(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【0001】
本発明は、短いサイクル時間、典型的には30分未満のサイクル時間による熱循環方法、特にPSA(圧力スイング吸着)型の変調圧力吸着方法において、各サイクルで前記熱循環方法によって経験する熱影響を減少するために使用することができる、任意の割合の吸着剤粒子と、相変化材料(PCM)を含む粒子或いは凝集体との混合物に関する。
【0002】
任意のサイクル方法、即ちその期間中のある工程が発熱性、即ち熱放出を伴うものであり、また一方で、ある他の工程が吸熱性、即ち熱の吸着を伴うものである任意のサイクル方法は「熱循環法」と呼ばれる。
【0003】
本発明による熱循環方法の典型例は、圧力変調吸着によるガス分離のための方法と、前述したように圧力変調吸着サイクルに連結された化学変換を用いて化学反応の平衡を移動することを可能にする任意の方法とを含んでいる。
【0004】
本発明の文脈では、吸着圧力と呼ばれる高圧力と再生圧力と呼ばれる低圧力との間での圧力の循環変化を用いる、圧力変調吸着によるガス分離のための任意の方法を、規定がなければ、用語“PSA法”と呼ぶ。したがって、総称「PSA法」を以下の循環方法を指すために区別せずに使用する:
−吸着を「高圧」と呼ばれる大気圧において、すなわち、1バール絶対圧〜1.6バール絶対圧、優先的には1.1〜1.5バール絶対圧において実質的に行い、「低圧」と呼ばれる脱着圧力は大気圧よりも低く、典型的に30〜800ミリバール絶対圧、好ましくは100〜600ミリバール絶対圧であるVSA法;
−吸着を、大気圧よりも実質的に高い圧力において、一般的に1.6〜8バール絶対圧、優先的には2〜6バール絶対圧において行い、低圧が、大気圧以下、典型的に30〜800ミリバール絶対圧、好ましくは100〜600ミリバール絶対圧であるVPSAまたはMPSA法、および
−吸着を、大気圧よりも相当に高い圧力、典型的には1.6〜50バール絶対圧、優先的には2〜35バール絶対圧において行い、低圧が、大気圧よりも高いか、実質的に等しく、従って、1〜9バール絶対圧、好ましくは1.2〜2.5バール絶対圧であるPSA法。
【0005】
1分未満の非常に速いサイクルを有するPSA法を示すために、これ以降、用語「RPSA法」を使用する。
【0006】
一般的に、PSA法は、ガス分子を含有するガス混合物から、所定の吸着剤の、または応用可能ならば、これら種々のガス分子のための複数の吸着剤の親和性における差異を利用することにより、1種以上のガス分子を分離することを可能とする。
【0007】
ガス分子のための吸着剤の親和性は、構造と吸着剤の組成に依存し、また、分子の性質、特にその大きさ、その電子構造、およびその多重極モーメントに依存する。
【0008】
吸着剤は、例えば、ゼオライト、活性炭、活性アルミナ、シリカゲル、カーボンベースの若しくはその他の分子シーブ、有機金属構造体、1種以上のアルカリ若しくはアルカリ土類金属の酸化物若しくは水酸化物、または1種以上のガス分子と可逆的に反応することができる物質、例えばアミン、物理的溶媒、金属錯化剤、金属酸化物若しくは水酸化物を含む多孔性構造体であり得る。
【0009】
吸着は発熱現象であり、各分子吸着剤のペアは、一般に、等比体積吸着エンタルピー、または反応エンタルピーにより特徴付けられる。対称的に、脱着は吸熱反応である。
【0010】
さらに、PSA法は、吸着と脱着のいくつかの連続的な工程を含むサイクルプロセスである。
【0011】
その結果として、PSAのサイクルの幾つかの工程は発熱性であり、特に吸着剤に吸着されるガス分子の吸着の工程である一方、他の工程は吸熱性であり、特に吸着剤に吸着された分子の再生または脱着の工程である。
【0012】
吸着エンタルピーまたは反応エンタルピーに起因する熱影響は、一般的に言えば、吸着容量を制限する吸着高温波、および脱着を制限する低温波の伝播をもたらす。
【0013】
温度の変化のこの局所的なサイクル現象は、文献 EP-A-1 188 470 に記載されているように、方法の分離性能、例えば生産力、分離効率、および具体的な分離エネルギーに対して影響が僅かであるわけではない。
【0014】
つまり、吸着エンタルピーに起因する熱変化が全くなくなれば、ある種の一般に知られる工業的O
2PSAは50%近く改善されるだろうし、酸素収率も10%改善されるであろうことがわかる。同様に、他のタイプのPSAについて、熱変化の減衰は、分離性能における相当の改善をもたらす。
【0015】
このマイナスとなる現象を特定したため、これを低下させるか取り除く試みのためのいくつかの解決法が既に記載されている。
【0016】
つまり、粒子の生成時の不活性バインダーの添加、不活性なコア上での吸着媒体の堆積、吸着剤と等しく、しかし不活性な粒子の添加により吸着媒体の熱容量を増やすことを提案する。例えば、O
2PSA法の場合において、単にその孔の大きさにより区別される5Aおよび3Aのゼオライトから成る複合床上で空気中に含まれる窒素の吸着を行う試験を既に行っており、3Aゼオライトのものはあまりにもその大きさが小さいために、5Aゼオライトのもののみが、窒素の吸着を可能にした。
【0017】
さらに、脱着のまたは吸着の熱影響を平衡化させるための外部の加熱および/または冷却手段の使用、例えば熱交換器の使用についても記載されている。
【0018】
吸着相および再生相の熱カップリングも提案されており、吸着剤をプレート熱交換器の連続する通路に配置し、流体の循環を、通路が吸着相と脱着相で交互になるように準備する。
【0019】
熱変化の大きさを少なくすることを可能にする他の解決法は、吸着床に、文献 US-A-4,971,605 に記載されている相変化材料(PCM)を加えることから成る。このようにして、吸着および脱着の熱は、またはこの熱の幾分かは、PCMの相変化の温度において、または相変化の温度範囲において、PCMにより潜熱の形態で吸収される。その後、定温状況に近いモードにおいて、PSAユニットを操作することができる。
【0020】
実際に、相変化材料(PCM)は、その相変化温度において、または低い相変化温度と高い相変化温度との間にあるその相変化温度以上でヒートシンクとして作用する。
【0021】
それらを取り扱うことを可能にするためには、これらが固体状態であろうと液体状態であろうと、これらを、好ましくはポリマー(メラミンホルムアルデヒド、アクリル系等)に基づくミクロンサイズの固体シェル中に通常、マイクロカプセル封入することができる。
【0022】
文献 EP-A-1 565 539 は、吸着剤から殆ど距離を置かない周囲にこれらマイクロカプセルを置く種々の方法を記載している。すなわち、材料の1種はそのそばにあり、他は表面または内側にあり、従って、これらは、吸着および脱着にそれぞれ関連する熱の流れを貯蔵する/引き出すというこれらの役割を果たし得る。
【0023】
しかしながら、この文献に記載されている解決法は、工業レベルで適用するのが不可能であるか、困難を伴ってのみ適用可能である。
【0024】
一方、文献WO 2008/037904は、吸着剤の粒子と、その吸着剤の密度とは異なる密度を有する凝集体の形態であり混合物の安定性規準に適合する相変化材料(PCM)の粒子とを具備する床を使用するPSA型の方法を請求項に記載している:
−複合床におけるPCM凝集体と吸着剤粒子の密度の比(R密度)は、
R密度≦5.5−(2.R直径)
(式中、
R密度は、PCM凝集体と吸着剤粒子の密度の比であり、
R直径は、PCM凝集体と吸着剤粒子の等価直径の比であり、
上記R密度およびR直径比の分子および分母は、
1≦R密度≦3.5および1.0≦R直径≦2.25
を有するように選択される。
【0025】
異なる性質を有する粒子の混合物は、環境が力場、特に振動または衝撃にさらされた際に、複雑な様式で変化し得る準安定状態となることは実際に知られている。
【0026】
PSAユニットの吸着剤床はガス流にさらされ、この激しさと方向は、ある工程から次の工程へと変化する。これらは、また、バルブの開閉により引き起こされる遷移相にもさらされる。
【0027】
一般的に、吸着ユニットに入るまたは出ていく少なくとも1種の流れは、圧縮ユニット(コンプレッサまたは真空ポンプ)からもたらされまたは供給し、これは流体に対して可変の振動数の振動および強度を伝える。これらの現象は、粒子の全運動または局所的な運動を生じ、これは、吸着体の形状の寸法決定の際に考慮に入れる必要がある。
【0028】
その例は、セットリングを補償するための吸着剤ガードの使用、粒子の摩滅を避けるための最小の断面積の決定、異なる性質を有する吸着剤を混合することを避けるための金属シートの使用、または下部に位置する床の上に存在するセラミックボールの層の使用であって、ガスの循環による動きを防止する例が挙げられる。
【0029】
異なる性質を有する粒子の混合物の経時的な変化は、多数のパラメータ、すなわち、密度および形状または粒度分布のみならず、特に表面状態、弾性、介在性ガスの存在、湿気等、媒体に適用される振幅および振動の振動数等に依存する。
【0030】
この理由で、異なる性質を有する粒子から成る混合物における変化を予測することは、多くの場合、非常に困難であるか、予測できない。
【0031】
文献WO 2008/037904は一連の操作に基づき、粒子の密度と直径を使用して安定性基準を与えている。
【0032】
用語「密度」と「直径」の意味を定義する必要がある。
【0033】
従って、本発明に関連して、「直径」という語は、吸着剤であってもPCM凝集体であっても、粒子の等価直径を指す。粒子の「等価直径」という語は、同じ比表面積を有する球状のものであり、比表面積は、問題となる粒子の体積に匹敵する表面積である。
【0034】
従って、直径dおよび長さlを有するスティックについて、等価直径Deは、
De=6.l.d/(2.d+4.l)
として得られる。
【0035】
d+lのようなペレットについては、等価直径は粒子の直径である。
【0036】
一般的に言えば、シリンダタイプの用いられる粒子の形状の大部分について、シリンダの直径の0.75〜1.3倍の等価直径がみられる。
【0037】
球状のボールについては、等価直径はそのままボールの直径である。
【0038】
本質的に球状であるが、その直径が、工業製造プロセスにつきもののばらつきを有しているボールの集合体について、従来的な定義を採択する:ボールの集合体の等価直径は、同じ床体積については、同じ全表面積を与え得る同一のボールの直径である。この理由として、直径分布が測定されている限りは(すなわち、例えば篩い分けにより、または画像処理装置から直径Diの種々の割合Xiを測定し、好ましくはiは、十分な正確さを得るために5よりも大きいか5である)、等価直径を式:1/De=Σi(Xi/Di)から得る。
【0039】
砕いた吸着剤については、特に、ある種の活性炭を見出すことができ、粒子が球体へと同化し、その直径分布は篩い分けにより測定された後、上記の計算式を適用した形状を用いた。
【0040】
使用される吸着剤は非常に一般的には、それぞれのメッシュm1とm2と直列する2つの篩の使用によって、製造の最終時にふるい分けされ、それによって最も粗い粒子(>m1)と最小の粒子(<m2)を除去し、通常は最低でも95重量%の残りの集合体の大部分がこれらの範囲間に存在することに注意すべきである。
【0041】
平均直径1mmの吸着剤は例えば0.7〜1.3mmの集合体を有し、直径2mmの吸着剤は1.6〜2.4mmにある粒子に対応する。
【0042】
より広い集合体は2〜4.6mmの粒子で発見され、例えば平均直径では3mmよりも僅かに大きい。
【0043】
特にことわりがなければ、粒子(PCM凝集体、吸着剤)の集合体の直径について述べるときは、「平均等価直径」を意味することに注意すべきである。前述の例によれば、直径dの集合体では、通常、直径が0.66〜1.5dの粒子が発見されることが分かる。
【0044】
さらに、本発明に関して、「密度」という語は、粒子床の密度を意味する。この密度は充填法により、数%だけ変化し得る。一般的に言えば、ここで使用される密度は緻密な充填に対応する。工業的ユニットを充填するとき、通常は緻密なタイプの充填が行われ、これは、「雨」を発生するように吸着剤の粒子が十分な高さからディフレクタへ落下することを可能にすることによって得られる。
【0045】
これらの理由と、詰まった密度(緻密な充填)の獲得が、最大密度を得ることができ、嵩密度よりも特により再現可能であるので最良に定義される理由のため、粒子(PCMマイクロカプセル、PCM凝集体、吸着剤)については、詰めた密度を言及し、本記載では単に「密度」と呼ぶ。
【0046】
各粒子が、理論上、その最も良い位置を見出すことができるように、粒子を目盛付の試験片にゆっくりと充填することによりこの密度は得られる。実際は、試験片の上部においては、目の粗いメッシュ篩いを用いて、粒子の雨が発生される。種々の技法が用いられ、同様の結果が得られた。全ての測定および試験を、予め再生した吸着剤上或いは乾燥プロダクト上で、即ち、実際には5%未満または5重量%の吸着された湿気レベルを有するプロダクト上で行った。
【0047】
同じ吸着材又は凝集体を生成する活動では、幾つかの標本を使用して測定された密度に僅かなばらつきが観察されることに注意すべきである。大部分のプロダクトでは、測定においてマイナス又はプラス3%の差が一般的である。必要ならば平均密度は幾つかの測定を使用して定義されることができる。
【0048】
「基本的に同じ密度を有する」という表現は、吸着剤と凝集体の平均密度が5%未満であることを意味し、このことは幾つかの測定が各プロダクトについて行われるならば、測定間隔が高い確率の集計であることも意味している。
【0049】
粒子床ではなく粒子自体または、鉄、銅、固体または液体の炭化水素、ポリマーのような材料の密度を言及するときに、時折、用語「物質密度」を使用する必要がある。
【0050】
(時折、凝集体と呼ばれる)適切な粒子を構成する微粒子又は床を構成する粒子間の空隙比は通常、約0.3〜0.4であることに注意すべきである。以下、0.35の空隙比をしばしば使用する。
【0051】
したがって、文献WO 2008/037904の教示によれば、吸着剤の性質(直径、密度)を知っていれば、PCM粒子がPSAの機能期間中に安定な混合物を得るためにもつ必要のある性質を決定することが可能である。
【0052】
それにもかかわらず、このような方法は生じ得る全てのケースに効果があるわけではない。
【0053】
動作において吸着剤中の均一混合物を保存することに加えて、混合物を輸送して吸着剤を充填することをこれらの工程期間中に分離を生じさせずに、経済的方法で工業的にこの混合物を生成できることも必要である。
【0054】
混合物の生成は現地で又は遠隔的に行われることができる。「現地」は混合が充填以前又は充填の直前に行われることを意味する。
【0055】
どのようなケースでも、吸着剤とPCMとを分離するリスクは実在し、これらの工程期間では吸着剤が充填されるときよりも危険性が高い。
【0056】
道路輸送に起因する振動および衝撃中に生じる分離及び、吸着剤に位置するときには安定であると思われる混合物の充填期間中の部分的分離が視覚的に観察される。1つの解決策は、床の自由表面を基本的に平坦で水平に維持して、その表面に対して可能な限り近くで混合を行うことからなるが、このことは標準的な充填手順を非常に複雑にする。
【0057】
文献WO 2008/037904で推奨されている安定性規準は、以下より詳細に説明する種々の理由で、PCM/吸着剤または吸着剤/PCM直径比が2に近づく傾向があるとき非常に制約的になる。そのため、PCMと吸着剤が同じ密度を有することが必要である。
【0058】
ある複数のケースでは、2に近い直径比を有することが必要であろう:
−PCM粒子の直径は熱伝達により限定される。相変化は吸着期間とその後の再生相で基本的に完全な方法で生じなければならない。特性時間はPCM粒子の直径に依存している。「過剰に大きい」粒子は良好に作用せず、非効率的である。それ故、吸着剤のサイズよりも小さいサイズのMCP粒子を使用することが必要であろう。
【0059】
−PCM粒子が特に熱伝導性であるならば、交換を限定するのは、流体/表面の熱輸送である。交換表面を増加するために小さい粒子を使用する利点が存在することを示すことができる。
【0060】
−吸着剤のサイズ分布が比較的大きく、平均サイズについての推論が全く正当化されない。これは幾つかのシリカゲル又は活性化アルミナのような、ある数の通常の吸着剤についてのケースである(例えば2〜5mmの直径のボール)。これは破砕された吸着剤についても通常の事例である。追加的なふるい分けによって、吸着剤のサプライヤからより近い分布を得ることも可能であるが、これには付加的なコストがかかり、多額になる可能性がある。
【0061】
−(例えば重畳されたマルチ床のように)同じ吸着体または異なる用途について、2つの異なるタイプの吸着剤と混合するのに、同じPCM粒子を使用することが望まれる。
【0062】
全てのこれらのケースにおいて、吸着剤の平均直径よりも小さい直径を有するPCM凝集体を使用することが必要であり得る。吸着剤のサイズ分布が比較的広いケースでは、最小の粒子サイズを有するPCM凝集体を使用する選択をすることが可能である。PCM凝集体のサイズ分布は、その製造方法のために、吸着剤のサイズ分布よりもより近い可能性があることに注意すべきである。例えば、平均2mmを目標とすれば、直径が1.9〜2.1mmの集合体を得ることが可能である。
【0063】
最後に、最小の偏析が「カタストロフィックな」効果を有する可能性があるので、超安定な吸着剤/PCM混合物が必要とされ得る。80%容量の吸着剤と20%のPCMの均一混合物を想定してみる。動作期間中、PCMのうち僅かの割合が上部表面に移動する。
【0064】
垂直軸を有する円筒形の吸着体の場合、このことはPCMの小部分が使用できないが、性能における影響は限定されることを意味する。
【0065】
放射状の吸着体の場合、このPCM層は入口と出口との間にバイパスを生み、このパイパスは大部分の用途では受け入れがたい。
【0066】
全てのこれらの理由によって、WO 2008/037904の教示に従うと、吸着剤の密度に近い密度を有するPCM粒子の使用が望まれる。PCM粒子の密度を吸着剤の密度に適合する方法に関してはPCM文献には示唆が与えられていない。それどころか前述の引用文献にはこのことが困難であり高価であることが述べられている。
【0067】
したがって、課された問題は、用途によって適合され許容可能な価格で所定の密度のPCM粒子を供給すること、換言すると、時間の経過において安定な混合物を生成するためのPSA型の循環ガス生成ユニットで使用される市場で入手可能な吸着剤の密度に近い密度を有するPCM粒子を供給することである。
【0068】
本発明の1つの解決策は、第1の相変化材料(PCM)と、800kg.m
3よりも大きい密度を有し、凝集体のコアを形成する成分とを具備する凝集体である。
【0069】
凝集体は本発明によれば、湿式造粒法と流動床での乾燥とによって生成されることができる。
【0070】
より正確には、熱循環方法で使用されることを目的とする凝集体の製造に適用される湿式造粒法と流動床での乾燥において、最低でも水溶液、PCM微粒子、本発明のケースでは800kg/m
3よりも大きい密度を有する成分を含んでいる懸濁液(基本的に液体媒体中の固体粒子の均一混合物)が、優先的に、熱いガス流が通るリアクタへ噴霧により注入される。このガス流は基本的に、形成された粒子を懸濁状態に維持するために前記リアクタの下部から上部へ導かれる。この用途では、このガスは優先的に大気であり、選択肢として部分的に適切な手段によって乾燥される。リアクタ中の圧力は大気圧に近い。圧力は、ガスがリアクタ(例えば最大でも数十ミリバールの負の圧力を維持するファン型の抽出装置)から機械的に抽出されるとき、大気圧よりも僅かに低い可能性がある。やがて、注入された懸濁物は移動する粒子を均一に被覆し、それらに基本的に球体の形状を与える。この方法は吹付塗装とも呼ばれ、用語「流動床」をリアクタの機能の記載に使用する。
【0071】
動作パラメータ(注入流、空気流、圧力、温度)は最良実施にしたがって使用される造粒機のタイプにしたがって適合されるが、一般的に言えば、動作条件は特に、注入ノズルのアップストリームのみ数バール(通常は1〜10バールabs)の最大圧力と、適度な温度(100℃よりも低い状態であり得る)を有するPCMの特性に適合されることに注意すべきである。圧力は吸着剤/PCM混合物のペレット成形、押出し(数十バール)又は活性のための圧力よりも非常に低い状態である。
【0072】
本発明により凝集体を製造するため、基本的に圧力効果を使用するペレット成形や、型鍛造棒を使用する押出し等のような他の方法を想像することができる。
【0073】
したがって、凝集体は、製造方法がどのような方法であっても、PCMを含む任意の凝集体を意味する。
【0074】
状況にしたがって、本発明による凝集体は以下の特性の1以上を含むことができる:
−前記成分は強磁性であり、これが強磁性成分である故に、凝集体は混合物にあるときには吸着剤の磁化によって分離されることができ、この場合、前記成分は鉄、ニッケル又は強磁性合金から選択される;
−前記成分は1000kg/m
3よりも大きい密度を有する;
−前記成分は金属又は鉱物である;
−前記成分は鉄、銅、アルミニウム、ガラス、砕石、砂及び/又は水晶からなる;
−前記成分は第1相変化材料とは異なる第2相変化材料からなる;
−前記成分は前記凝集体のコア又はエンベロープを形成する;
−前記成分は凝集体全体に分布し、換言すると、成分は相変化材料に沿っている、及び/又は相変化材料の粒子(マイクロカプセル)を被覆する;
−相変化材料はパラフィン、脂肪酸、含水素化合物、含酸素化合物、フェニル、水和塩、又はこれらの化合物の混合物から選択される;
前記凝集体はバインダーを具備する。バインダーは好ましくは前記凝集体の30容量%未満を表し、粘土、水圧バインダー、ポリマー、接着剤、樹脂から選択される。バインダーは凝集体のコヒーレンスを確実にするため接着剤又はセメントの役目を実現する添加物である。その広範はボールを強くする役目をもつ。
【0075】
PCMは、パラフィン、脂肪酸、含水素化合物、含酸素化合物(アルコール又は酸)、フェニル、シリコーンのような有機物、又は水和塩や金属合金のような無機物であることができる。PCMは純粋状態のこれらの化合物の1つ、又はこれらの化合物の1つを含む(例えば共晶混合物のような)任意の混合物を意味する。
【0076】
PCMの熱吸着容量がより大きくなれば、その潜熱も高くなる。通常、PCMはそれらの固−液相変化に使用される。
【0077】
これらを取り扱うことを可能にするためには、これらが固体または液体状態であろうと、PCMは実際には通常、好ましくはポリマー(メラミン、ホルムアルデヒド、アクリル等)に基づくミクロンサイズの固体シェルにマイクロカプセル封入されることができる。
【0078】
特にパラフィンはマイクロカプセル封入が比較的容易であるため、これらは水和塩に比べると一般に好まれるPCMである。これは、例え、パラフィンが、水和塩よりも一般的により低い潜熱を有していてもである。
【0079】
さらに、パラフィンは他の利点、例えば相変化の可逆性、化学安定性、確定した相変化温度または確定した高いおよび低い相変化温度(つまり、ヒステリシス効果がない)、低コスト、制限された毒性、並びに炭素原子の数および分子構造に依存する相変化温度の幅広い選択を有する。
【0080】
マイクロカプセル封入されたパラフィンPCMは粉末の形態にあり、この粉末を構成する各マイクロカプセルは、直径50nm〜100μm、好ましくは直径0.2〜50μmであり、優先的には直径0.2〜50μmである。パラフィンが、マイクロカプセル内で固体状態であるか液体状態であるかによって、各マイクロカプセルは、約0.1〜0.2W/m/Kの熱伝導率を有する。
【0081】
粉末の形態で得られるマイクロカプセル封入されたPCMは、そのままでは吸着床中に導入することができない。というのは、これらは、吸着体中で循環するガス流に同伴されるためである。
【0082】
本発明の別の主題は、先に規定したように、全体的密度D2の凝集体と、密度D1の吸着剤粒子の少なくとも1つの混合物であり、前記凝集体の全体的密度D2が0.67D1≦D2≦1.5D1であることを特徴とする。
【0083】
状況により、本発明の混合物は以下の特性の1以上を有することができる:
−前記凝集体の全体的密度D2は0.80D1≦D2≦1.25D1、好ましくは、0.9D1≦D2≦1.1D1であり;
−吸着剤の粒子と凝集体は基本的に同じ密度であり;
−吸着剤の粒子は直径d1を有し、前記凝集体の直径d2は0.5d1≦d2≦0.8d1とされ、これは前述したことの反復になるが平均等価直径であり;
−凝集体の直径と、吸着剤粒子の直径は基本的に同じであり;
−凝集体の容積濃度は3%〜30%、優先的には5%〜20%であり;
−吸着剤は活性炭素であり、凝集体の粒子は550〜900kg/m
3の密度を有し;
−吸着剤は活性アルミナであり、凝集体の粒子は550〜900kg/m
3の密度を有し;
−吸着剤はシリカゲルであり、凝集体の粒子は450〜800kg/m
3の密度を有し;
−吸着剤はゼロライトであり、凝集体の粒子は500〜800kg/m
3の密度を有し;
−吸着剤はMOFであり、凝集体の粒子は400〜800kg/m
3の密度を有する。
【0084】
本発明の別の主題は、本発明による混合物が使用される固定床または移動床を具備する吸着ユニットである。
【0085】
状況にしたがって、吸着ユニットは以下の特性の1以上を有することができる:
−吸着ユニットは固定床を具備し、凝集体の割合は床の容積にわたって実質的に一定であり、「実質的に一定」は凝集体の割合が15%未満、好ましくは10%未満、さらに選択的には5%未満の変動を意味し;
−吸着ユニットは固定床を具備し、凝集体の割合は床内で変化し;
−前記ユニットはH
2PSA、CO
2PSA、O
2PSAまたはN
2PSAである。
【0086】
吸着ユニットが固定床を具備するならば、この床は1以上の層を具備することに注意すべきである。
【0087】
よって、本発明は大半のPSA法、特に限定されずに、H
2、O
2、N
2、CO
2のPSA以外に、合成ガスを少なくとも2つの部分に分割するPSAと、窒素を除去することを目的とする天然ガスにおけるPSAと、炭化水素混合物を分割する役目を行うPSAに関する。
【0088】
通常、吸着材料は通常は「吸着体」と呼ばれるリアクタ中の固定床に置かれるが、吸着剤が移動中である(移動床)場合の方法も存在する。本発明はこれらの全てのタイプの用途に適用できる。しかしながら、先験的に移動床は必然的に、実際に同一の特徴(密度、直径)を有する吸着剤の粒子とPCMを有する必要があり、そうでなければ粒子は混合物の移動期間中に「分離」することに注意すべきである。
【0089】
吸着剤に添加される凝集されたPCMの割合は問題とするPSAによって変化する可能性があり、例えば高い吸着域ではより大きく(30%)、成分のトレースの吸着が問題である領域ではそれよりも小さく、ゼロでさえある。
【0090】
所定の層中の均一混合物が望ましいが、特に微粒子媒体中で流体流を一定に混合する理由で、局部的な不均質は全体的な結果には重大な影響を与えない。
【0091】
固定床の最も通常のケースでは、吸着剤床の容積全体にわたってPCMの均一分布を有する必要はないことに注意すべきである。例えばO
2PSA法では、むしろゼロライト床の前半部にPCM凝集体を配置することがより有効である。
【0092】
より一般的には、マルチ床PSA法では、PCM凝集体はこれらの床のうちの1つのみに、又はこれらの床のうちの1つの一部に、或いはこれらの床のうちの幾つかのある部分にのみ導入されることができる。
【0093】
さらに、所定の領域では、PCM凝集体の分布は丁度均一ではないが、ある標準的な偏差を伴う可能性がある。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【
図1】
図1は3つのケースの凝集体10、20、30を示す。
【
図3】
図3は幾つかの連続的な吸着床31、32、33を具備するPSAユニットの吸着体30を示す。
【0095】
●
図3は幾つかの連続的な吸着床31、32、33を具備するPSAユニットの吸着体30を示している。
【0096】
第1の床31は、例えば活性炭素、ゼロライト、シリカゲル又は活性アルミナの吸着剤の粒子と混合されたPCM凝集体を含む本発明による複合吸着床である。
【0097】
第2の床32は、例えば活性炭素、ゼロライト、シリカゲル又は活性アルミナの吸着剤の粒子と混合されたPCM凝集体を含む本発明による複合吸着床である。床31と32におけるPCMの割合は同じではない。
【0098】
第3の床33はPCM凝集体のない吸着剤の床である。
【0099】
ガスGは吸着工程期間中に、連続して第1の床31、その後第2の床32、その後第3の床33を通過する。
【0100】
以下の例は、工業的PSA法におけるPCMに基づいた複合床の用途の1例である。
【0101】
H
2PSA法はH
2に加えて、CO、CO
2、CH
4、N
2、H
2O及び炭化水素からの少なくとも1つの分子を含むガス混合物中の水素を純化することを可能にする。
【0102】
この気体混合物は次のソース、即ちスチーム又は自己熱リフォーマ、例えば部分酸化リアクタ、フィッシャー・トロプシュ型のリアクタ、天然ガスライン、又は石油化学設備又は精油所のガスシステム中の任意のラインから来ることができる。
【0103】
O
2PSA法は、空気中に存在する窒素の選択的な吸着によって、吸着体からの排出時に、70%〜99容積%、優先的には80%〜90%の純度で酸素を発生することを可能にする。
【0104】
同時に、O
2PSAは再生工程期間中に吸着体の注入時に、窒素富化された空気も発生できる。O
2PSAは例えば、以下の例で使用される:
−例えばWO-A-2003/090903、WO-A-2005/028059、US-A-5906672又はUS-A-6793719に記載されているように、酸素富化された又は酸素貧乏された呼吸性空気を発生するための医学的環境。酸素富化された空気を送る医学的O
2PSAの場合、単位当たりで輸送される酸素の流量は典型的に0.5〜300Nl/分である。これらのPSAの幾つかは例えばWO-A-2013/064009、WO-A-2004/054493、EP-A-1307278又はWO-A-02/08948に記載されているようにポータブルでありうる。
【0105】
−飛行中の航空機の機上に酸素富化された空気を送るための機上O
2PSAのような航空分野。これらのPSAはしばしばOBOGS(機上酸素生成装置)と呼ばれる。このようなシステムは例えばWO-A-02/04076、EP-A-1400275又はEP-A-1374972に記載されている。
【0106】
これらの最初の2つの用途では、改善された熱伝導性を備えたPCM凝集体を必要とするRPSAがその事例であろう。
【0107】
−金属学、ガラス産業、養魚又は水処理における産業。
【0108】
O
2PSAユニットは通常、幾つかの吸着体、典型的に1〜3の吸着体を含んでおり、O
2の0.03Nm
3/h(例えば医学的O
2PSA)から10,000Nm
3/hまで発生できる。
【0109】
CO
2PSAは、一方では脱炭酸されたガスを、他方ではCO
2富化されたガスを、CO
2含有供給ガスから生成することを可能にする。脱炭酸されたガスは、0.1〜15%の残余CO
2、優先的には1〜8%の残余CO
2を含む。CO
2富化されたガスは、10〜99%のCO
2(JP A 2003-001061)、優先的には50〜96%のCO
2を含む。CO
2PSAにおいては、CO
2を吸着して、再生工程中に回収し、吸着工程中に、吸着されない脱炭酸されたガスを吸着体から放出するときに回収する。従来技術においては、回転式CO
2PSA(US A 6,500,236)が存在し、これについても本発明は適用される。CO
2PSAを、400ppm〜80%のCO
2、優先的には5%〜50%のCO
2を含有するガスを処理するために用いることができ、および例えば冶金産業において、例えばDRI、Corex、Midrex、HYL、または溶鉱炉(US A 6,562,103、US A 5,582,029、US A 5,858,057、US A 5,676,732)から生じるガスの脱炭酸のために、紙産業において、石灰産業において、セメント産業において、発電所において(JP 2003-001061)、IGCCプロセスにおいて(EP A 1142623、US A 5,582,029)、天然ガスの処理若しくは天然バイオガスの処理において、または閉じられた環境を脱炭酸するため、例えば潜水艦または潜水において適用することができる。CO
2PSA法のサイクル時間は1分〜30分、優先的には2分〜20分である。
【0110】
N
2PSAは、空気中に存在する酸素を優先的に吸着することにより、70〜99.9%、優先的には80〜98%の純度において窒素を製造することを可能とする。N
2PSAは、一般的に、カーボンベースのモレキュラーシーブを用いる。酸素と窒素を共に製造することができるPSAも存在する。WO-A-2004054493 および WOA-2003086586 を参照されたい。
【0111】
ドライヤーPSAはガス、通常は空気中の少なくとも幾らかの湿気を保持することを目的とする。水の吸着は重大な放熱につながるので(脱着中はその反対)、PCMの添加は性能を改良する。このようなユニットは共同して空気から全ての又は幾らかのCO
2と、いわゆる二次的な不純物(酸化窒素、炭化水素等)を除去する役目を行うことができる。
【0112】
本発明は以下の方法でも実行されうる:
−特に、US-A-6,544,318、US-A-6,432,170、US-A-5,395,427 または US-A-6,527,831 に記載されるアルゴンPSA。ArPSA法は、例えばO
2PSAから生じるO
2富化された流れ中に存在するアルゴンまたは酸素のいずれかを優先的に吸着することにより、93%を超える純度において酸素を生成することを可能とする。ArPSAは、一般的に、炭素質のモレキュラーシーブ、または銀交換ゼオライトを用いる(US-A-6,432,170)。
【0113】
−HePSA法であって、供給流中に存在する他の分子を優先的に吸着することにより、ヘリウムを製造することを可能にする。
【0114】
−アルケンおよびアルカンの分離を可能にするあらゆるPSAであり、例えば、典型的にはエチレン−エタン、またはプロピレン−プロパンPSAである。これらの分離は、モレキュラーシーブ上での分子の吸着動力学における差、炭素質であるか否かに基づく。
【0115】
−合成用ガス(合成ガス)を分画するためのあらゆるPSA。
【0116】
−N
2からCH
4を分離するためのあらゆるPSA。
【0117】
本発明を例示により説明する。
【0118】
以下の試験で使用されたPCM「粉末」の密度は約300〜500kg/m
3である。約30%〜40%の空隙レベルでは、物質密度は450〜850kg/m
3の範囲にある。
【0119】
バインダーが存在する割合が小さければ、凝集体の密度をあまり変更しないことに注意すべきである。
【0120】
主な吸着剤の密度は、活性炭素における約400kg/m
3から活性アルミナにおける900kg/m
3の範囲である。
【0121】
一般的に言えば、PCM凝集体は元来、吸着剤の粒子よりもかなり軽い。使用される吸着剤密度に近づけるためにPCM凝集体の製造プロセスで800kg/m
3を超える密度を有する成分を添加する可能性が、それ故本発明により研究された。第2の制約は吸着剤の平均直径に近いサイズのPCM凝集体を形成すること(「超安定」の制約)又は吸着剤の直径の約半分を有するPCM凝集体を形成すること(熱伝達の制約)である。
【0122】
ある数のプロダクトがそれらの物質密度とそれらの特徴にしたがって選択された:即ちグラファイト(約2000kg/m
3)、アルミニウム(2700)、鉄(7800)、銅(9000)、ガラス(2300)、水晶−数百ミクロンの粒(2500)又は微小砂(床において1650)、(ポリウレタン)。
【0123】
凝集体の有利な特性の中で、大きな熱伝導性、凝集体の最終幾何学形状、強磁性/又は廉価が採択された。
【0124】
一般的に言えば、PCMの体積百分率が優位の状態を維持するように材料は使用され、(それが粒状又は繊維の形状で使用されるならば)その「物質密度」、又は(それが粉末の場合では)その床における密度はPCMの密度よりも実質的に大きい。
【0125】
実際に、製造される全ての複合凝集体は1000kg/m
3よりも大きい密度又は「物質密度」の重い材料で製造された。
【0126】
したがって、例えば350kg/m
3のPCM/バインダー密度の平均値に基づき、粒子に導入される重い成分の容積百分率を、それがPCM間に分散された粉末形状であるか、或いは中心コアまたは外部エンベロープの場合のようにさらに隔離された様式にあるかにしたがって、決定することができる。
【0127】
例1:
450kg/m
3の密度、よって約450kg/m
3の密度を有する活性炭素との混合物を形成することを目的とする本発明によって、凝集体を生成することを試みている。
【0128】
3つのタイプの凝集体が製造される。
【0129】
第1のケースでは、7800kg/m
3の物質密度を有する鉄のコアが存在する:金属コアの必要な容積は粒子の容積の1.3%を表していることを決定することが可能である。
【0130】
直径2mmの粒子では、これは約475ミクロンの直径を有する鉄のコアに対応する。
【0131】
第2のケースでは、5000kg/m
3の密度を有する鉄屑が存在し、必要な容積は約2.0%である。
【0132】
第3のケースでは、約7800kg/m
3の物質密度を有する外部金属化が存在する。
【0133】
直径2mmの粒子では、これは数(4〜5)ミクロンの厚さの金属化に対応する。
【0134】
図1.1、1.2、1.3は3つのケースの凝集体10、20、30を示している。
【0135】
エレメント11、21、31と12、22、32はそれぞれPCMマイクロカプセルと、結合を行うバインダーとに対応する。
図1.1では、エレメント13はPCM/バインダー混合物が上に付着されている鉄のコアを表し、エレメント14は必要ならば凝集体の機械的特徴(破砕、摩耗等に対する耐性)を改良する任意のエンベロープを表している。
【0136】
図1.2では、エレメント23は鉄屑に対応する。この金属屑はPCM液体混合物に添加されており、バインダーおよび全体は粒子が形成する流動床のリアクタに注入される。
【0137】
図1.3では、エレメント33は凝集体の金属化されたエンベロープを表している。エンベロープを構成する材料はPCM粒子が必要なサイズに到達したときに添加される。有利には、この工程は凝集体を形成するためのリアクタと同じリアクタで生じることが可能である。
【0138】
前述した流動床における凝集方法は、これらの種々のタイプの凝集体を製造することを可能にする。解決策1.1はある数の利点を有する。即ち、鉄のコアの存在は、PCM及びバインダー溶液が上に付着される核として作用するので、PCMボールの形成を加速する。時間が節約され、よって製造価格が下がる。金属研磨剤は良好に調整されるので、ボールの粒子サイズ分布が減少する。熱性能に関しては、中心にいかなるPCMも含んでいない事実は動力学を加速する。PCM容積の損失は無視できる程度である。
【0139】
例2:
これは、迅速なPSAサイクル(RPSA)において、650kg/m
3の密度で、直径2mmの吸着剤と混合されることを目的とした直径1mmのPCM複合体を決定するケースである。それ故、PCMの所定容積%で凝集体の交換表面を増加することによって熱動力学を支持することを所望する。
【0140】
この目的で、第1のケースでは、グラファイトマイクロファイバが使用される:PCM凝集体中に18容積%のグラファイトが含まれ、これはグラファイトファイバの大きな伝達性により、粒子の熱動力学も効率的に改良する。
【0141】
第2のケースでは、銅が凝集体の成分として使用される:吸着剤と同じ密度を得ることは、この場合、銅3.5容積%、即ち330ミクロンのコアの使用につながる。例1の第1のケースでのように、動力における利得は、PCMが基本的に外周のみにあること(より高速度の熱伝達)に由来する。
【0142】
第3のケースでは、本発明による凝集体は、容積の約8.5%を占める3900kg/m
3の物質密度を有する多孔性の鉄コア、即ち直径440ミクロンのコアを使用して生成される。この場合、PCMは実際には外周のみを占有し、10%未満の容積の損失がある。
【0143】
第4のケースでは、本発明による凝集体は例えば水晶コアを使用して生成される。コアの平均直径は製造される粒子の直径の半分よりも僅かに大きい。
【0144】
図2は第1及び第4のケースを示す。この図面では、エレメント40と50は凝集体に対応し、エレメント41と51はPCM微粒子に対応し、エレメント42と52はバインダーに対応する。エレメント43は炭素繊維を表し、エレメント53は水晶コアを表し、エレメント54は外部エンベロープを表している。
【0145】
凝集体の低い製造価格と及び特性(熱容量、動力学、強磁性等)のために、第3のケースは特に有益であると判断されている。
【0146】
これまで考慮してきたよりも高密度(例えば1000kg/m
3の物質密度)を有するPCM微粒子が存在することに注意すべきである。例えば(炭化水素ではなく)水和塩の場合であろう。よって密度目的を実現するためには低密度の成分を使用することが適切であろう。高い多孔性レベルに導くバインダーの使用は可能性があるが、かなり低い熱性能(ほんの僅かのPCM粒子、貧弱な伝達性)を生じるリスクを負う。例えば低密度で非常に多孔性のコアが優先的に使用される。
【0147】
幾つかのPCM粒子は高密度であり、これらは求められている密度を得るためにさらに軽いPCM粒子との混合物で使用されることができることにも注意すべきである。
【0148】
それ故、大量生産し、少なくとも1つの他の材料が高密度を有するので、廉価なPCMから、吸着剤の粒子と直接混合可能であるように選択された物理的特徴を備えた凝集体を得ることが可能であり、PSAユニットの熱関連を改良することが理解されるであろう。
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1]凝集体であって、第1の相変化材料(PCM)と、800kg/m3よりも大きい密度を有し、前記凝集体のコアを形成する成分とを具備する凝集体。
[2]前記成分は1000kg/m3よりも大きい密度を有することを特徴とする[1]記載の凝集体。
[3]前記成分は強磁性であることを特徴とする[1]又は[2]記載の凝集体。
[4]前記成分は金属又は鉱物であることを特徴とする[1]又は[2]記載の凝集体。
[5]前記成分は鉄、銅、アルミニウム、ガラス、砕石、砂及び/又は水晶からなることを特徴とする[4]記載の凝集体。
[6]前記成分は第1の相変化材料とは異なる第2の相変化材料であることを特徴とする[1]又は[2]記載の凝集体。
[7]前記相変化材料は、パラフィン、脂肪酸、含水素化合物、含酸素化合物、フェニル、水和塩、又はこれらの化合物の混合物から選択されることを特徴とする[1]乃至[6]のいずれか1記載の凝集体。
[8]前記凝集体はバインダーを具備していることを特徴とする[1]乃至[7]のいずれか1記載の凝集体。
[9]全体的密度D2と、密度D1の吸着剤粒子を有する、[1]乃至[8]のいずれか1で定義した少なくとも1つの凝集体の混合物であって、前記凝集体の全体的密度D2が0.67D1≦D2≦1.5D1であることを特徴とする混合物。
[10]前記凝集体の全体的密度D2は0.80D1≦D2≦1.25D1、好ましくは、0.9D1≦D2≦1.1D1であることを特徴とする[9]記載の混合物。
[11]前記吸着剤の粒子は直径d1を有し、前記凝集体の直径d2は、0.5d1≦d2≦2d1、好ましくは0.5d1≦d2≦0.8d1となっていることを特徴とする[9]又は[10]記載の混合物。
[12][9]乃至[11]のいずれか1に記載の混合物が使用されている固定床又は移動床を具備する吸着ユニット。
[13]吸着ユニットは固定床を具備し、凝集体の割合は前記床の容積を通して実質的に一定であることを特徴とする[12]記載の吸着ユニット。
[14]吸着ユニットは固定床を具備し、凝集体の割合は前記床内で変化することを特徴とする[12]記載の吸着ユニット。
[15]前記ユニットはH2PSA、CO2PSA、O2PSAまたはN2PSAであることを特徴とする[12]乃至[14]のいずれか1記載の吸着ユニット。