(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
工程b)が吹込成形キャビティ(1)内で実施され、工程c)が、別個の適合キャビティ(3)内で実施され、これらの2つの工程間で、前記中間容器が、前記吹込成形キャビティから前記適合キャビティまで移送される、請求項1に記載のプロセス。
前記凸状部分に描かれた特定の場所が、前記駆動方向の方向に前記駆動方向と一致する線から外れて、前記凸状部分上に描かれた前記特定の場所の最初の場所から測定して約5度以下の変動内で移動する、というように、前記凸状部分が反転するとき、前記凸状部分上の前記場所は、直線経路において並進する、請求項1に記載のプロセス。
【背景技術】
【0002】
延伸吹込成形プロセスを使用して形成された一体ハンドルは有利である。一体成形されたハンドルは、クリップ式ハンドルなど別個のハンドルよりも一般に費用が安い場合がある。一体ハンドルを提供するための手法は典型的に、ハンドルの構造的基礎を形成するボトルの本体において、一対の対向する凹部又はキャビティの形成を必要とする。これらの凹部は、次いで共に溶接され、指及び/若しくは親指を挿入して通すことができる、完全に開放された空間(「貫通」ハンドル)を形成するように、溶接部によって包囲される中央区分を除去することができる、又は別の方法としては、単純にグリップを形成するために残される、のいずれかであり得る。グリップは、凹部の底部に指の先端が触れることなくグリップ上で手を閉じることができるように、十分に幅広くかつ深く形成される場合、グリップは、ハンドルを通じたものに匹敵する程度に人間工学的に許容され得る。
【0003】
一体ハンドルを提供するために利用可能な手法に関連する問題の1つは、これらの凹部における材料の分布が不均一であり得るということである。これは予備成形物を、容器のハンドルの凹部の様々な区分に変形させるのに必要とされる、様々な程度の延伸により生じる場合がある。様々な延伸度は、不規則な壁厚及び不規則な機構特性及び審美的特性となる恐れがある。
【0004】
一体ハンドルを形成するための1つの手法は、吹込プロセス中に膨張する予備成形物を圧縮し、並びに、深い凹部を形成するために、成形型の可動区分の使用を必要とする。このプロセスは、2つの問題をもたらす可能性がある。第1に、このプロセスは、材料が成形型と接触した後に、材料の有意レベルの延伸を必要とする。これは、ハンドル領域における非常に不規則な壁厚及び応力下の材料の破損をもたらす場合がある。第2に、成形型を吹込成形するために必要とされる、例えば2000kPa(20bar)を超える吹込高圧に逆らって成形型区分を移動させる必要があるという複雑性は、機械的な複雑性及び高価な成形型の設計を必要とする。
【0005】
代替の手法は、凹状のグリップ区分を形成するために、1つ又は2つ以上の関節ゾーンの周囲で内向きに機械的に変形させることができる凸区分を備える中間容器を製造することである。このプロセスは、より均一な延伸比、したがってより均一な壁厚を可能にする。しかしながら、この凸区分の反転は、ハンドル周囲の領域の有意な変形をもたらす可能性があり、これは審美的欠陥を生じさせる場合がある。これらの欠陥は、ハンドル周囲の変形の実際の性質が、壁厚における非常に小さなばらつきに大いに依存するため、制御することが非常に困難であり得る。凸部から凹部へのグリップ形状のきれいな反転をもたらす際の問題を最小化するために、複数の関節区域を使用することは、限定された設計幾何学形状となる場合があり、グリップを形成するプラスチックシート内の残留応力を排除することができず、結果として、望ましくないしわ及び不十分な人間工学となる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書で意味するところの「延伸吹込成形」とは、予備成形物が、そのガラス転移温度より高い温度に加熱され、次いで、例えば容器又はボトル等の中空体を形成するために、高圧空気を使用して成形型に吹込むプロセスである。予備成形物は、プロセスの一部として、心棒を用いて延伸される。
【0010】
本明細書で意味するところの「予備成形物」は、膨張させて最終物を形成する前に製造される成形物である。予備成形物は、必ず最終物よりも幾分小さい。予備成形物は一般に、例えば溶解温度を超える高温で射出成形によって製造される。
【0011】
本明細書で使用するとき、「傾斜」は、平行でないことを意味する。
【0012】
熱成形は、プラスチック樹脂を使用可能な有用な製品に変換する、多くの製造プロセスのうちの1つである。熱成形の基本的な概念は、以下のとおりである。事前に製造された熱可撓性シートが、柔らかく、かつ柔軟になるまで加熱される。シートは例えば、平坦な構造体又は容器の予備成形物であり得る。これは、次いで、元の状態に冷却されるまで成形型の輪郭に押し付けられる。いったん冷却されると、これは、成形型の形状を維持したまま、成形型から取り外される。熱成形は、広義の用語であり、多くの異なる種類の熱成形プロセスが存在する。深い熱成形では、吹き出し部プラグ支援形成が採用されてもよい。この形成技術の利点は、事前延伸処理のおかけで、材料分布を改善するということである。このプロセスにより、シートが延伸され壁の均一な厚さが確実になるため、形成される物品の厚さを制御することができる。いったんシートがフレーム内に定置され、加熱されると、制御された空気圧が吹き出し部を形成する。この吹き出し部は、材料を所定のレベルに延伸する。次いで、雄型のプラグ支援部は下げられ、延伸されたストックが、キャビティに押し込まれる。通常、雄型のプラグは、プラスチックを早期冷却するのを防止するために加熱される。プラグは、プラスチックが、完成製品のほぼ最終の形状に延伸されるように、可能な限り大きく作製される。雌型の成形型は、閉じ込められた空気がプラスチックと成形型との間から脱出できるようにするために、通気孔を付けられてもよい。
【0013】
熱成形は、2次元で行うことができ、それによって表面が変形される、又は2次元変形に加えて厚さの変化が発生する、三次元で行うこともできる。
【0014】
延伸吹込成形容器上への深グリップの形成の問題に対処するために、吹き出し部プラグ支援熱成形技術を使用してもよい。
【0015】
本明細書において、「深グリップ」という用語は、ブラインドハンドル、すなわち、ユーザの親指及び指がハンドルの周囲を包むことができるが、指が完全にハンドルの背後及びハンドルの中を通過できない把持機能を意味するために使用される。「貫通」型のハンドルは、ハンドルと容器の本体との間に形成される材料のウェブの一部又はすべてを切り取ることによって得ることができる。
【0016】
一体ハンドルを形成するのに使用することができるプラスチック樹脂材料には、熱可塑性材料を挙げることができる。一体ハンドルを形成するのに使用することができるプラスチック樹脂材料には、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)などの一般的なポリエステルを挙げることができる。一体ハンドルを有する容器に使用するのに適した他の材料には、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリスチレン(PS)、ポリ塩化ビニル(PVC)、及びポリ乳酸(PLA)が挙げられる。
【0017】
使用するポリマーの温度履歴は、変形挙動における重要な要因となり得る。ガラス転移温度は、それよりも低い温度では、ポリマーは、脆性のガラス状固体のように挙動し、それよりも高い温度では、ポリマーは、ゴムのように挙動し、容易に変形可能である温度として定義される。溶解温度とは、すべての結晶子が溶解され、ポリマーが流体として挙動する温度である。半結晶性ポリマーの再結晶化温度Tcは、非配向ポリマーが、溶解物から冷却される際、特定の期間、典型的に数分間以内に有意な結晶成長を示す温度として定義される。ガラス転移温度及び溶解温度は、ASTM D3418に従って測定される。
【0019】
図1〜4は、一体ハンドルを有する容器を作製するプロセスを示す。まず、予備成形物6が、
図1に示されるように提供される。
【0020】
次いで、予備成形物6は、成形型キャビティ1において延伸吹込成形され、中間容器8を形成し、これは
図2に示すように、中間容器8から外側に延びる凸状部分9を備える。典型的に、延伸吹込成形プロセスは、ガラス転移温度Tgよりも高い温度で実施される。凸状部分9は、凸状の吹き出し部であってもよい。
【0021】
次いで、
図3に示されるように、約100kPa(約1bar)より高い中間容器8内の圧力において、凸状部分9は、各プラグ5に関連して矢印によって示される駆動方向を有して内向きに移動するプラグ5によって反転され、凹状の把持領域を形成することよって、凸状部分9上の場所は、凸状部分9が凸状部分から凹状部分まで反転するときに、実質的に直線の経路において並進する。成形型キャビティ1に凸状部9を反転させるための可動プラグ5が備わっている場合、凸状部分9は成形型キャビティ1内で反転され得る。凸状部分9を反転させるための可動プラグ5が備わっている、別個の適合成形型3において、凸状部分9は反転されてもよい。
【0022】
反転する工程が完了した後、完成した容器10内の過剰圧力が解放される。完成した容器は、成形型から外され、この成形型内で、
図4に示されるような深把持領域13を有する完成した容器10を用いて、反転する工程が実施される。
【0023】
プラグ5の概略の側面図が
図5に示され、
図5に示されているプラグ5の付随の斜視図が
図6に示されている。内向き移動するプラグ5は、接触表面積21を有する接触面20を有してもよい。接触面20は、凸状部分9が反転されたときに、凸状部分9と接触するプラグ5の部分である。
【0024】
接触面20は、第1接触面25及びこの第1接触面25に近位の、かつプラグ5の駆動方向に対して傾斜している第2接触面30から構成される。第2接触面30は、第2接触表面積32を有する。第1接触面25は、第1接触表面積27を有してもよい。第2接触面30は、第1接触面25に当接してもよく、これに隣接してもよく、又はこれに近位であってもよい。第2接触面30は、プラグ5の1つ以上の凹状部分によって第1接触面25から分離されてもよく、凹状部分の表面積が第1接触表面積27よりも小さい場合は、第1接触面25に近位であるとみなされてもよい。
【0025】
駆動方向は直線であってもよい。プラグ5の第1接触面25は、プラグ5が駆動方向に移動するときに、凸状部分9と最初に接触するプラグ5の部分である。第1接触面25が凸状部分9と接触した後、プラグ5の第2接触面30は、凸状部分9と接触する。第1接触面25が凸状部分9を接触した後、第2接触面30を凸状部分9と接触させることによって、凸状部分9上の場所は、凸状部分9がそれ自体の上に反転されたときに、実質的に直線経路で並進される。更に、駆動方向に対して傾斜する第2接触面30を有することは、これが、内部で反転させる工程が実施される成形型から最終的な容器10が取り出されるときに、最終容器10がプラグ5から容易に分離することができるようにするため、望ましいと考えられる。理論に束縛されるものではないが、プラグ5の側面に沿ったせん断抵抗は、最終容器10を取り出すために最終容器10にかけられる力に対抗し得るので、取り出しを阻止する、又は妨げると考えられる。
【0026】
接触面20は、接触面周辺部35を有してもよい。接触面周辺部35は、凸状部分9が反転されるときに、凸状部分9と接触するプラグ5の最大延長部によって画定される。非限定的な例によって、プラグ5が第1接触面25及び第2接触面30のみを有している場合、接触面周辺部35は、第1接触面25及び第2接触面30を有するプラグ5の部分を結合する。
【0027】
接触面周辺部35は突出した面領域を有し、これはプラグ5の駆動方向に整列した方向において突出する接触面20の面領域である。接触表面積21は、突出した面領域よりも大きい。接触面20の1つの可能な形状は、円錐台であり、これは基部に平行な切断部で円錐をスライスすることによって作製された錐台である。接触面20が円錐台の形状を有し、プラグ5の駆動方向が、円錐台の放射軸と整列している場合、接触面周辺部の突出した面領域は、円錐台の基部の半径を有する円である。第1接触面25は、円錐台の頂部の領域であり、第2接触面30は、円錐台の傾斜表面である。第1接触表面積27は、円錐台の頂部の領域である。第2接触表面積32は、円周率(pi)×傾斜高さ×円錐台の頂部の半径と円錐台の底部の半径の合計である。円錐台であるプラグ5に関して、組み合わされた第1接触表面積27と第2の接触表面積32は、円錐台の突出した面領域よりも大きい。
【0028】
接触面20は、接触面周辺部25に対して実質的に凸状である。すなわち、プラグ5は、凸状部分9で押圧して、凸状部分9を反転させる指のようなものであり得る。接触面20は、凸状部分9を反転させることによって形成される、凹状の把持領域13と実質的に一致してもよい。接触面20は、凸状部分9を反転させることによって形成される、凹状の把持領域13と完全に一致してもよい。理論に束縛されるものでないが、接触面20を完成した容器10におけるグリップの形状の鏡像とすることによって、望ましくない皺及び折り重なりは、凸状部分9が反転されるときに生じない。望ましくない皺及び折り重なりは、完成した容器10の審美性及び性能に有害な影響を与え得る。
【0029】
プラグ5がどのように凸状部分9を反転できるかという概要が
図7A〜
図7Eに示されている。
図7Aにおいて、凸状部分9の一部分の断面が示され、断面が描写されている。凸状部分9は、全体的に曲線上であってもよく、平坦な区分を備えてもよく、又は曲線区分及び平坦な区分の組み合わせであってもよい。
図7Bにおいて、プラグ5の第1接触面25は、凸状部分9に接触する。プラグ5が駆動方向において内向きに移動するとき、凸状部分9は、
図7Cに示されるようにそれ自体の上に反転し始める。凸状部分9が反転されるとき、反転の場所11は、凸状部分9の場所から前進し、これは、
図7B、7C及び7Dで示されているように、最終容器10の本体12の最終的に一部であるものに向かう波として外向きに、プラグ5の第1接触面25と接触し、凸状部分9を形成する材料は、プラグ5の駆動方向に垂直な方向である横方向にほとんど又は全く移動しない。すなわち、凸状部分9上に描かれた特定の場所に関して、特定の場所は、駆動方向に実質的に平行な、つまり実質的に直線で移動する。1つの非限定的な実施形態では、凸状部分9上に描かれた特定の場所の最初の位置から測定して駆動方向の方向において、駆動方向と一致する線から約10°以下、又は約5°以下、又は約3°以下の変動内で外れて、凸状部分9上に描かれた特定の場所が移動するのであれば、凸状部分9上に描かれた特定の場所は、駆動方向に実質的に平行である実質的に直線で移動すると考えることができる。
【0030】
本発明のプロセスは、
a)予備成形物6を準備する工程(
図1)と、
b)予備成形物6を成形型キャビティ1内で延伸吹込成形して、少なくとも1つ、可能な場合少なくとも2つの凸状部分9(
図2)を含む中間容器8を形成する工程であって、必要に応じて、この中間容器8を別個の適合成形型3内に移送し、並びに、必要に応じてこの中間容器を再加熱する、という工程(
図3)と、
c)内向きに移動するプラグ5によって、凸状部分9又は各凸状部分9を変形させて、1つ以上の凹状の把持領域を形成する工程であって、同時に中間容器(8)内の圧力を100kPa(約1bar)より高く維持し、並びに中間容器の把持領域の材料の温度をガラス転移度Tgよりも低く維持する、という工程(
図3)と、
d)容器内の過剰圧力を解放する工程と(圧力の解放は、把持領域13の形状を維持するのを助けるために、容器内からプラグ5を引き抜く前であってもよい)、
e)凸状部分が反転されている成形型(成形型キャビティ1又は適合成形型3)から、完成した容器10を取り出す工程(
図4)と、の概略図を示す
図1〜4を参照して理解することができる。
【0031】
図1に示される工程は、延伸吹込成形又は再加熱の延伸吹込成形を介して行なわれてもよく、後者の方法では、射出と延伸吹込成形は、2つの別個の装置で行なわれる。
【0032】
図3に示す工程は、内部で吹込成形が行なわれる成形型キャビティ1とは別の適合成形型3を提供する選択肢を示している。吹込工程時若しくは吹込工程後に、並びに/又は適合成形型3の移送時若しくは移送後に、凸状部分9が冷却され過ぎた場合、中間容器8は再加熱されてもよい。
【0033】
変形例において、内部に中間容器8が形成されている同じ成形型において、成形型キャビティ1に凸状部分9を反転させるための可動プラグ5が備わっている場合、凸状部分9は、成形型キャビティ1内で反転することができる。かかる手法は、吹込成形と凸状部分9の反転との間の時間が短縮されるということ、並びに、プラグに対する容器の相対運動がないため、容器上の公差が(特に凸状部分9の周囲において)より小さいという点で有利であり得る。1つのキャビティで一体化することは、吹込成形型は可動プラグを必要とため、吹込成形型の構成を複雑にし、吹込成形装置を、熱成形工程を制御するように適合させなければならず、プラグ5の移動が吹込サイクルを長くするので総サイクル時間は増加する。
【0034】
図3に示す工程において、容器は加圧され、キャビティ内のボトルの凸状場所を可能にし、プラグ5は、凸状部分9を反転し、所望の深把持領域13を形成するように凸状部分9を押圧する。プラグ5が完全に嵌合する際、従来の圧力−吹き出し部/プラグ支援熱成形プロセスの雌型の成形型部分として効果的に作用するように、約100〜約500kPa(約1〜約5bar)の超過圧力が容器の内部に適用される。これはまた、雄型のプラグ5が深グリップ部分を熱成形する際に、容器の非深グリップ部分が変形しないようにさせる。いったん雄型のプラグ5が完全に嵌合されると、プラスチックは、プラグ5に適合され、最終の深グリップの幾何学形状が達成される。凸状部分(9)を反転させるプロセスは、吹込成形型1とは別の適合成形型3で実施してもよい。
【0035】
許容可能な一体ハンドルは、1つ以上の凹状の把持領域13を形成する、内向きに移動するプラグ5によって、凸状部分9又は各凸状部分9を変形させたときに、凸状部分(9)の温度をガラス転移温度Tgよりも低くすることにより、上記のプロセスによって提供することができる。予想外なことに、中間容器8から、完成した容器10への変形を可能にするために、凸状部分(9)の材料はガラス転移温度Tgよりも高くする必要はない。凸状部分(9)の温度は、ガラス転移温度Tgよりも低く、かつガラス転移温度Tgの約35℃以内であってもよい。凸状部分(9)の温度は、ガラス転移温度Tgよりも低く、かつガラス転移温度Tgの約25℃以内であってもよい。凸状部分(9)の温度は、ガラス転移温度Tgよりも低く、かつガラス転移温度Tgの約15℃以内であってもよい。PETに関しては、把持領域の材料は、約50℃〜約81℃の温度を有してもよい。約50℃〜約75℃の温度領域において、PETの材料剛性は、Tg(81℃)を超える材料剛性よりも大きく、これによって大幅な材料の変形を制限する。プラグ5は、凹状の把持領域を形成し、材料歪み及び歪み速度は穏やかである。変形は通常、引っ張り歪みがない、又は引っ張り歪みが殆どない曲げである。引っ張り歪みが全くない場合、歪み速度は全く適用されない。わずかな引っ張り歪みの適用を伴う材料の曲げを有することは有利であると考えられる。引っ張り歪みは、約1%〜約100%であってもよく、又は約10%〜約50%であってもよい。歪み速度は次いで約50〜1000mm/秒であってもよく又は約100〜500mm/秒であってもよい。
【0036】
Tgよりも低い温度を凸状部分9を変形する工程時に使用することは、完成した容器を作製するのに必要とされるエネルギーを低減し得るので、これにより容器のコストを低くすることができ、並びに、変形前にガラス転移温度Tgよりも高く凸状部分9を再加熱する必要がないため、変換速度を増加させることができる。更に、凸状部分9をTgよりも高い温度に過熱することは、凸状部分9の反転がもたらす、凸状部分9及び深グリップ領域13内の及びこれらの近位における材料分布の問題を起こし得る。
【0037】
図4に示す工程では、圧力が最初に解放され、次いでプラグ5が後退され、容器が取り出される。完成した容器10はTgよりも低い温度で取り出すことができ、これは更なる機械的な変形を阻止し、完成した容器10を所望の形状に保持することができる。
【0038】
一実施形態では、深グリップは凸状部分9の鏡像形状であってもよい。他の実施形態では、これは、凸状部分9の表面領域が深グリップの表面積よりも多少小さい場合は(約1%〜約50%小さい)有利であり得る。凸状部分9の表面積が深グリップの表面積よりも小さい場合、深グリップを形成するために凸状部分9が三次元に変形される。深グリップを形成するために凸状部分9の、結果として生じる壁厚の減少は、深グリップの細部を明確にするのに有利であり得る。理論に束縛されるものではないが、理論に束縛されるものではないが、「大きすぎる」表面は、審美性及び性能に悪い印象を与える折り目及び皺を形成し得るので、凸状部分9の表面積は深グリップの面積よりも大きくすべきではないと考えられる。凸状部分9は吹き出し部の形状であってもよい。
【0039】
完成した容器10のグリップにおける凸状部分9の全体的な変形は大きくてもよい。グリップ凹部(
図8の寸法z)は、約10mmよりも大きくてもよく、典型的に約20mmよりも大きくてもよい。凸状部分9が完成した容器10のグリップの鏡像である場合において、グリップを形成する材料はグリップ凹部の距離の2倍、すなわち約20mmよりも大きく、典型的に約40mmよりも大きく移動する。しかしながら、各材料成分は最終的な位置まで移動する雄型プラグの形状に対して横揺れするときにほんのわずかな変形を受ける。鏡像の凸状部分9の場合には、変形は引っ張り歪みのない、又は限定された量の引っ張り歪みを有する曲げである。これは凸状部分9が最終グリップの表面よりも小さい場合に有利であり得る。その場合では、材料は曲げ及び引っ張り歪みを受ける。その引っ張り歪みは約50%以内、約10%以内、約5%以内、約1%以内、又は約0.1%以内であってもよい。
【0040】
深グリップは、消費者が容器を保持する、及び容器から製品を注ぐのを助けるために、人間工学的に成形されてもよい。人体測定研究は、錐体を取り囲む際に親指及び人差し指によって形成される円形の最小のグリップの直径が、20〜59歳の女性で34mm(DIN33402に従って)であることを示し、これは、107mmの内側周辺に対応する。したがって、深グリップは、貫通ハンドルと同等の人間工学的機能性を確保するために、少なくともこの量の把持可能展開長さを提供してもよい。
【0041】
図8は、主要な深グリップの機能的寸法:深グリップパームレストx(52)、深グリップ指レストy(54)、深グリップ凹部深さz(56)を有する完成した容器10の図面である。
【0042】
図9は、錐体を取り囲む際に親指及び指によって作られる円形の最小直径(DIN 33402に従って)として定義される、グリップの直径dを示す。
【0043】
深グリップは、可能な限り深くあってもよく、原理限界は、ボトルの設置面積である。深グリップは、約107mmの展開長さを生じるのに必要とされるもの以上の深さを有してもよい。
図8に示される対称深グリップ設計の場合、x+2y+2zは、約107mm以上であってもよい。
【0044】
深グリップのパームレスト(x)は、好ましくは、ボトルは手の掌に直感的に収まり、及び深グリップ凹部の底部において指同士が触れないように十分に手を広げることができるほど、十分に大きくてもよい。人間工学研究によって、貫通ハンドルと同等の快適な使いやすさを提供するために、少なくとも約30mmのパームレスト幅(すなわちx>約30mm)を必要とし得るということが発見された。
【0045】
それぞれの深グリップ凹部の深さ(z)は、約10mm以上(すなわち、z>約10mm)であってもよい。
【0046】
非対称は、容器の人間工学的性能を改善することができるため、対向する深グリップの一方は、深さ及び形状の点で対称である必要はない。
【0047】
プラグ5内に、吹込成形型に従来使用された通気孔と同様に設計される通気孔を含むことは有利であり得る。凹状把持領域を形成するために事前延伸される吹き出し部が熱成形される際、材料の表面は、プラグ5の外側輪郭に密接に適合し、凸状部分(9)とプラグ5との間の空気は通気孔を通って逃れることができる。更に、容器の取り出しの直前にプラグ5が抜去されると、通気孔は、凹状の把持領域とプラグ5との間に、深グリップの変形を引き起こし得る真空ができるのを防止する。
【0048】
また、把持される際のいかなる相対運動も実質的に排除するように、対向する凹状の把持領域を互いに連結させる手段を設けることは有利であり得る。そのような手段の1つの例は、両方の凹状の把持領域が接触する、ペグ及びピンである。ペグ及びピンは、凸状部分9が反転された後に位置合わせされ、連結されてもよい。一実施形態では、ペグ及びピンは凸状部分9内に凹状に形成され、次いで深グリップの反転工程中その最終的な凸形状に形成されてもよい。
【0049】
本発明の利点は、最終の深グリップ域の形成が、正確な比率で既に実質的に延伸されている材料を用いて行われるということである。これは冷却された成形型壁に対する有意な延伸を必要とするのを阻止する。プラグはまた、比較的低い圧力(典型的に500kPa(5bar)未満)に対して移動するので、成形型構成を大幅に簡略化する。更に、冷却された成形型壁に有意な密接した接触を有する中間容器で深グリップの形成は生じないが、代わりに、中間容器吹込後の工程中の低歪みの曲げによって、深グリップ形成で材料にかけられる圧力は遥かに小さくあり得るので、深グリップ領域における内部応力は、より小さくなる。
【実施例】
【0050】
(実施例1)
凸状部分を有する容器を90〜95℃で延伸吹込成形するために、Equipolymer(登録商標)C93 PETを使用する。凸状部分9は30〜81℃の温度である間、容器を吹込キャビティから適合成形型3まで移動する。移送の条件は、深グリップ形成工程前及びこの工程時、PET材料が本質的に非晶質のままであるように選択されることである。更に、移送のための温度/時間プロファイルが、延伸吹込成形時で生じ得る以上の結晶成長を制限するように選択される。容器は、熱成形キャビティ内で100〜500kPa(1〜5bar)に加圧され、次いで、深グリップは、空気圧シリンダーを使用することによって熱成形される。深グリップはT
gよりも低い温度で形成される。最終的な深グリップの形状に適合する接触面を有するプラグは、凸状部分を反転するのに使用される。容器は、通気孔を付けられ、次いで、61℃を下回る温度で取り出される。
【0051】
PETでは、熱成形工程において吹込容器の所望の温度を達成するために、吹込キャビティを最大60℃(30〜81℃)まで加熱することは有利であり得る。
【0052】
本明細書に開示した寸法及び値は、記載された正確な数値に厳密に限定されるものと理解されるべきではない。むしろ、特に断らない限り、そのような寸法のそれぞれは、記載された値及びその値の周辺の機能的に同等の範囲の両方を意味するものとする。例えば、「40mm」として開示された寸法は、「約40mm」を意味することを意図する。
【0053】
本発明の「発明を実施するための形態」で引用したすべての文献は、関連部分において本明細書に援用するが、いずれの文献の引用もそうした文献が本発明に対する先行技術であることを容認するものとして解釈されるべきではない。本書における用語の任意の意味又は定義が、参照により組み込まれた文献における同一の用語の任意の意味又は定義と相反する限りにおいては、本書においてその用語に与えられた意味又は定義が適用されるものとする。
【0054】
本発明の特定の実施形態が例示され記載されてきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく他の様々な変更及び修正を実施できることが、当業者には自明であろう。したがって、本発明の範囲内にあるそのようなすべての変更及び修正を添付の特許請求の範囲で扱うものとする。