特許第5908710号(P5908710)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5908710地下構造物への雨水浸入防止装置、防止方法及び同防止装置用浸入防止バッグ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5908710
(24)【登録日】2016年4月1日
(45)【発行日】2016年4月26日
(54)【発明の名称】地下構造物への雨水浸入防止装置、防止方法及び同防止装置用浸入防止バッグ
(51)【国際特許分類】
   E06B 5/00 20060101AFI20160412BHJP
   E04H 9/14 20060101ALI20160412BHJP
【FI】
   E06B5/00 Z
   E04H9/14 Z
【請求項の数】10
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2011-275516(P2011-275516)
(22)【出願日】2011年12月16日
(65)【公開番号】特開2013-124531(P2013-124531A)
(43)【公開日】2013年6月24日
【審査請求日】2014年9月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005175
【氏名又は名称】藤倉ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083286
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 邦夫
(74)【代理人】
【識別番号】100166408
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 邦陽
(72)【発明者】
【氏名】高橋 誠
【審査官】 家田 政明
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−018270(JP,A)
【文献】 特開2005−226330(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 5/00−5/20
E04H 9/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
地下構造物の入口に設置される雨水浸入防止装置において、
地下構造物入口の床面に固定される床面固定エッジと、この床面固定エッジに対向する吊上エッジと、地下構造物の左右縦壁に固定される左右の縦壁固定エッジとを有する折り畳み可能なシート状浸水防止バッグ;
上記シート状浸水防止バッグの床面固定エッジと左右の縦壁固定エッジを、上記入口の床面と左右縦壁に固定した状態で、残部を折り畳んで床面及び左右縦壁に沿わせて収納した状態とする収納手段;及び
雨水浸入防止時に、上記シート状浸水防止バッグの吊上エッジを天井方向に吊り上げるための吊上手段;
を有することを特徴とする雨水浸入防止装置。
【請求項2】
請求項1記載の雨水浸入防止装置において、上記シート状浸水防止バッグは、上下に上記床面固定エッジ及び吊上エッジを有し、左右に左右エッジを有する展開状態で矩形の中央矩形シート材と、この中央矩形シート材の左右に位置する展開状態で四角形をなす左右シート材とからなり、この左右シート材の隣接する2辺が中央矩形シートの上記左右エッジに結合される結合辺であり、残りの2辺のうちの1辺が上記縦壁固定エッジを構成し、他の1辺が他の部材に結合されない遊び辺からなっている雨水浸入防止装置。
【請求項3】
請求項2記載の雨水浸入防止装置において、上記左右シート材の縦壁固定エッジの長さを1としたとき、上記一対の結合辺の長さ及び中央矩形シート材の左右エッジの長さの1/2は0.5を超える長さである雨水浸入防止装置。
【請求項4】
請求項2または3記載の雨水浸入防止装置において、上記左右シート材は、その一対の結合辺の長さが等長で、該一対の結合辺の一方の結合辺と縦壁固定エッジのなす角、及び他方の結合辺と上記遊び辺のなす角がそれぞれ90゜をなしている雨水浸入防止装置。
【請求項5】
請求項4記載の雨水浸入防止装置において、上記中央矩形シート材と左右シート材からなるシート状浸水防止バッグは、上記収納状態において、上記床面固定エッジと吊上エッジ、一対の結合片どうし、及び縦壁固定エッジと遊び片をそれぞれ重ねた状態で折り畳まれている雨水浸入防止装置。
【請求項6】
地下構造物の入口への雨水の浸入を防止する方法であって、
地下構造物入口の床面に固定する床面固定エッジと、この床面固定エッジに対向する吊上エッジと、地下構造物の左右縦壁に固定する左右の縦壁固定エッジとを有する折り畳み可能なシート状浸水防止バッグを準備するステップ;
上記シート状浸水防止バッグの床面固定エッジと左右の縦壁固定エッジを、上記入口の床面と左右縦壁に固定し、残部を折り畳んで床面及び左右縦壁に沿わせて収納するステップ;及び
雨水浸入防止時に、上記シート状浸水防止バッグの吊上エッジを天井方向に吊り上げるステップ;
を有することを特徴とする雨水浸入防止方法。
【請求項7】
互いに平行をなす床面固定エッジ及び吊上エッジと、この床面固定エッジと吊上エッジに直交する左右エッジを有する展開状態で矩形の中央矩形シート材;及び
展開状態で縦壁固定エッジ、遊び辺及び一対の結合辺を有する四角形をなし、上記中央矩形シート材の左右に位置する左右シート材;
を有し、
上記中央矩形シート材の左右エッジと左右シート材の一対の結合辺とが接合されているシート状浸水防止バッグ。
【請求項8】
請求項7記載のシート状浸水防止バッグにおいて、上記左右シート材の縦壁固定エッジの長さを1としたとき、上記一対の結合辺の長さ及び中央矩形シート材の左右エッジの長さの1/2は0.5を超える長さであるシート状浸水防止バッグ。
【請求項9】
請求項7または8記載のシート状浸水防止バッグにおいて、上記左右シート材は、その一対の結合辺の長さが等長で、該一対の結合辺の一方の結合辺と縦壁固定エッジのなす角、及び他方の結合辺と上記遊び辺のなす角がそれぞれ90゜をなしているシート状浸水防止バッグ。
【請求項10】
請求項7ないし9のいずれか1項記載のシート状浸水防止バッグにおいて、上記中央矩形シート材と左右シート材はそれぞれゴム引布からなっているシート状浸水防止バッグ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地下構造物への雨水浸入防止装置、防止方法及び同防止装置用浸入防止バッグに関する。
【背景技術】
【0002】
最近頻発するようになったゲリラ豪雨による浸水被害が問題となっている。例えば地下鉄のような地下施設に浸水すると、物的損害だけでなく人命に拘わる被害が生じる可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006-283454号公報
【特許文献2】実用新案登録第3146022号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1は、地下構造物の入口に設置する止水装置を提案しているが、剛性構造物からなるもので、収納時のスペースの問題だけでなく止水能力にも問題がある。特許文献2は、水路を開閉する袋体による起伏ゲートを提案しているが、地下構造物の入口に適用することは難しい。
【0005】
本発明は、以上の問題意識に基づき、シートを用いた雨水浸入防止装置であって、収納時のスペースが小さく、十分な止水能力を有する装置、及び同装置に用いるシート状浸水防止バッグを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、地下構造物の入口に設置する雨水浸入防止装置において、地下構造物入口の床面に固定される床面固定エッジと、この床面固定エッジに対向する吊上エッジと、地下構造物の左右縦壁に固定される左右の縦壁固定エッジとを有する折り畳み可能なシート状浸水防止バッグ;上記シート状浸水防止バッグの床面固定エッジと左右の縦壁固定エッジを、上記入口の床面と左右縦壁に固定した状態で、残部を折り畳んで床面及び左右縦壁に沿わせて収納した状態とする収納手段;及び雨水浸入防止時に、上記シート状浸水防止バッグの吊上エッジを天井方向に吊り上げるための吊上手段;を有することに特徴を有する。
【0007】
上記シート状浸水防止バッグは、上下に上記床面固定エッジ及び吊上エッジを有し、左右に左右エッジを有する展開状態で矩形の中央矩形シート材と、この中央矩形シート材の左右に位置する展開状態で四角形をなす左右シート材とからなり、この左右シート材の隣接する2辺が中央矩形シートの上記左右エッジに結合される結合辺であり、残りの2辺のうちの1辺が上記縦壁固定エッジを構成し、他の1辺が他の部材に結合されない遊び辺からなることが好ましい。
【0008】
上記左右シート材の縦壁固定エッジの長さを1としたとき、上記一対の結合辺の長さ及び中央矩形シート材の左右エッジの長さの1/2は0.5を超える長さとするのが実際的である。
【0009】
上記左右シート材は、その一対の結合辺の長さが等長で、該一対の結合辺の一方の結合辺と縦壁固定エッジのなす角、及び他方の結合辺と上記遊び辺のなす角がそれぞれ90゜をなすのが好ましい。
【0010】
上記中央矩形シート材と左右シート材からなるシート状浸水防止バッグは、上記収納状態において、上記床面固定エッジと吊上エッジ、一対の結合片どうし、及び縦壁固定エッジと遊び片をそれぞれ重ねた状態で折り畳まれるのが実際的である。
【0011】
方法のカテゴリーからなる本発明は、地下構造物の入口への雨水の浸入を防止する方法であって、地下構造物入口の床面に固定する床面固定エッジと、この床面固定エッジに対向する吊上エッジと、地下構造物の左右縦壁に固定する左右の縦壁固定エッジとを有する折り畳み可能なシート状浸水防止バッグを準備するステップ;上記シート状浸水防止バッグの床面固定エッジと左右の縦壁固定エッジを、上記入口の床面と左右縦壁に固定し、残部を折り畳んで床面及び左右縦壁に沿わせて収納するステップ;及び雨水浸入防止時に、上記シート状浸水防止バッグの吊上エッジを天井方向に吊り上げるステップ;を有することに特徴を有する。
【0012】
別の観点からなる本発明は、互いに平行をなす床面固定エッジ及び吊上エッジと、この床面固定エッジと吊上エッジに直交する左右エッジを有する展開状態で矩形の中央矩形シート材;及び展開状態で縦壁固定エッジ、遊び辺及び一対の結合辺を有する四角形をなし、上記中央矩形シート材の左右に位置する左右シート材;を有し、上記中央矩形シート材の左右エッジと左右シート材の一対の結合辺とが接合されていることに特徴を有する。
【0013】
本発明のシート状浸水防止バッグにあっては、上記左右シート材の縦壁固定エッジの長さを1としたとき、上記一対の結合辺の長さ及び中央矩形シート材の左右エッジの長さの1/2は0.5を超える長さであることが実際的である。
【0014】
上記左右シート材は、その一対の結合辺の長さが等長で、該一対の結合辺の一方の結合辺と縦壁固定エッジのなす角、及び他方の結合辺と上記遊び辺のなす角がそれぞれ90゜をなしていることが好ましい。
【0015】
上記中央矩形シート材と左右シート材はそれぞれゴム引布からなることが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、シート状浸水防止バッグを用いて地下構造物入口への雨水の浸入を防止するので、様々な地下構造物入口の大きさ、形状に容易に対応させることが容易である。また、シート状浸水防止バッグを折り畳んで収納するため、収納に必要な地下構造物の左右縦壁、床面のスペースが小さくて済む。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明によるシート状浸水防止バッグの一実施形態の各構成部材を結合前の展開状態で示した平面図である。
図2】同シート状浸水防止バッグの各構成部材を結合して折り畳んだ状態を示した平面図である。
図3】同シート状浸水防止バッグの斜視図である。
図4】地下構造物の入口に設置した同シート状浸水防止バッグの収納状態を示した斜視図である。
図5】地下構造物の入口に設置した同シート状浸水防止バッグを収納状態から使用状態に移行する途中の状態を示した斜視図である。
図6】地下構造物の入口に設置した同シート状浸水防止バッグの使用状態を示した斜視図である。
図7】同シート状浸水防止バッグの接合部分の一例を示した断面図である。
図8】(A)、(B)、(C)は、同シート状浸水防止バッグを地下構造物の入口に設けた凹部に収納する工程の異なる段階を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1ないし図5は、本発明による地下構造物への雨水浸入防止装置に用いる雨水浸入防止バッグ10の一実施形態を示している。この雨水浸入防止バッグ10は、ともにゴム引布からなる中央矩形シート材20と、左右シート材30とからなるもので、展開状態で矩形の中央矩形シート材20は、互いに平行をなす床面固定エッジ21と、この床面固定エッジ21と平行をなす吊上エッジ22と、床面固定エッジ21及び吊上エッジ22に直交する左右エッジ23とを有している。床面固定エッジ21の内側には、地下構造物入口の床面への固定用孔列21Fが形成されており、吊上エッジ22の内側には、引上板25を固定するための固定用孔列22Fが形成されている。
【0019】
左右シート材30は、展開状態で、等長の縦壁固定エッジ31と遊び辺32、及び等長の結合辺33を有する四角形(四辺を有する多角形)をなしている。縦壁固定エッジ31と一方の結合辺33、及び遊び辺32と他方の結合辺33はそれぞれ直交している。別言すると、左右シート材30は、2つの直角三角形を長辺34を共通にして展開した形状をしている。縦壁固定エッジ31の内側には、地下構造物の縦壁への固定用孔列31Fが形成されている。
【0020】
各左右シート材30の一対の結合辺33は、中央矩形シート材20を曲折(半折り)した状態で、該中央矩形シート材20の左右の左右エッジ23に接合されている。すなわち、一対の結合辺33は特定の角度αをなしていて一直線上には位置していないため、中央矩形シート材20を曲折した状態で接合している。この接合状態では、図2に示すように、中央矩形シート材20と左右シート材30(雨水浸入防止バッグ10)を、中央矩形シート材20の中心の折り畳み線24及び左右シート材30の長辺34を中心に平面状に折り畳むことができる。折り畳み状態では、中央矩形シート材20の床面固定エッジ21と吊上エッジ22、左右の左右シート材30の縦壁固定エッジ31と遊び片32、及び結合辺33どうしが互いに重なる。
【0021】
中央矩形シート材20と左右シート材30はそれぞれ、周知のゴム引布から構成されている。ゴム引布は、一般的に基布にゴムを貼り合わせたシートで、基布とゴムの特性を併せ持った複合材料として知られている。基布材料、ゴム材料とも、各種が知られているが、本実施形態の雨水浸入防止バッグ10は最高の強度が要求されるため、基布としては例えばナイロン基布、ゴム材料としては例えばクロロプレンゴムを用いることができる。勿論、本発明の雨水浸入防止バッグ10は、以上の構成のゴム引布に限定されるものではない。また図では、中央矩形シート材20と左右シート材30を各1枚のシート状に描いているが、地下構造物の入口へ設置する大きさでは、中央矩形シート材20と左右シート材30はそれぞれ複数枚のゴム引布を接合して製造するのが実際的である。
【0022】
シート状浸水防止バッグ10は、上記左右シート材30の縦壁固定エッジ31の長さを「1」としたとき、上記一対の結合辺33の長さ及び中央矩形シート材20の左右エッジ23の長さの1/2は「0.5」を超える長さであることが好ましい。一対の結合辺33の長さ及び中央矩形シート材20の左右エッジ23の長さの1/2が「0.5」の場合、結合辺33の長さ×2=縦壁固定エッジ31の長さとなり、左右シート材30が正三角形となって、一対の結合辺33が特定の角度αを持たず一直線となってしまうためである。縦壁固定エッジ31と一方の結合辺33とが接している頂点と遊び辺32と他方の結合辺33とが接している頂点とを結ぶ直線の長さは、縦壁固定エッジ31の長さと等しくなるように設定することが好ましい。上記直線の方が短いと、シート状浸水防止バッグ10の使用状態(地下構造物の入口を塞いだ状態)において、吊上エッジ22の高さが縦壁固定エッジ31の上端位置より低くなる。
【0023】
上記左右シート材30は、その一対の結合辺33の長さが等長で、該一対の結合辺33の一方の結合辺33と縦壁固定エッジ31のなす角、及び他方の結合辺33と上記遊び辺32のなす角がそれぞれ90゜をなしていることが好ましい。上記各角が90°をなしていないと、床面固定エッジ21と縦壁固定エッジ31が、図2の折り畳み状態で、一直線とならないため対応する地下構造物の左右縦壁の収納スペースが床面に対して垂直とならず、収納スペースの奥行き(人の通行方向のスペース)が大きくなってしまう。
【0024】
中央矩形シート材20の左右エッジ23と左右シート材30の結合辺33との接合は、例えば次のように行う。
シート材から、中央矩形シート材20及び左右シート材30を裁断する。
中央矩形シート材20の左右エッジ23と左右シート材30の結合辺33とを図7に示すように重ね合わせて、接着剤63で接着し、圧着硬化する。左右エッジ23と結合辺33の重ね合わせの幅は、十分な結合強度が得られるように定める。例えば30mm程度とすることができる。
左右エッジ23と結合辺33の重ね合わせ接着部分を縫製糸61により縫製し、針穴(縫製糸61と針穴の隙間)を目止めし、さらにシールテープ62を接着する。
【0025】
図4ないし図6は、以上の雨水浸入防止バッグ10を地下構造物の入口40に設置した状態を示している。入口40は、単純化して示すように、その開口に床面41、左右縦壁42及び天井43を備えている。雨水浸入防止バッグ10の中央矩形シート材20の床面固定エッジ21は、固定用孔列21Fを利用して、床面41に沿わせて固定板28及びボルトにより固定され、左右シート材30の縦壁固定エッジ31は、固定用孔列31Fを利用して、左右縦壁42に沿わせて固定されている。そして収納状態では、中央矩形シート材20の吊上エッジ22が固定されている床面固定エッジ21に重なり、左右シート材30の遊び辺32が縦壁固定エッジ31と重なるようにして、床面41と左右縦壁42内に、雨水浸入防止バッグ10(中央矩形シート材20と左右シート材30)が収納されている(図4)。
【0026】
また、中央矩形シート材20の吊上エッジ22には、固定用孔列22Fを利用して、引上板25が固定されており、この引上板25に複数の吊上ロープ26の一端部がアイボルト27を介して結合されている。吊上ロープ26の他端部は、引上板25上を這わせた後、左右縦壁42に沿って天井43に導かれ、天井43(入口のフレーム)に設置した巻上機構44に接続されている。実際の設置に当たっては、床面41と左右縦壁42に凹部41Rと42Rを形成し、この凹部41Rと42R内に、折り畳み状態の中央矩形シート材20と左右シート材30と吊上ロープ26を収納し、収納後、該凹部41Rと42Rを蓋体51と52で塞ぐ。蓋体51と52は、例えば床面41と左右縦壁42にヒンジ結合し、または着脱可能とすることができる。
【0027】
図8は、雨水浸入防止バッグ10を床面41と左右縦壁42の凹部41Rと42Rに収納する工程を段階的に示している。折り畳み状態の中央矩形シート材20と左右シート材30は(図8(A))、折り畳み線24部分からエッジ21、22に向かって、第1の折り曲げ線71で折り曲げ、さらに第2の折り曲げ線72で折り曲げて2回折りする(図8(B))。
【0028】
2回折りした中央矩形シート材20と左右シート材30をそれぞれ、中央矩形シート材20と左右シート材30の接合部(左右エッジ23、結合辺33)で略直角に折り曲げて、床面41と左右縦壁42に凹部41Rと42Rに収納する(図8(C))。床面固定エッジ21と縦壁固定エッジ31は、凹部41Rと42R内(底部)に固定されている。
【0029】
折り畳み状態の中央矩形シート材20と左右シート材30を折り曲げる回数は図示実施例に限定されない。また、折り曲げずに、折り畳み線24部分からエッジ21、22に向かって筒状に巻いていき、筒状に巻いた中央矩形シート材20と左右シート材30をそれぞれ、凹部41Rと42R内に収納することも可能である。
【0030】
巻上機構44は、巻上モータ45、減速機構46、複数の巻上ドラム47を備えている。引上板25にはアイボルト27を介して複数の吊上ロープ26が結合されており、この吊上ロープ26は、吊上エッジ22の内側上を這わせ、床面41と左右縦壁42の凹部41Rと42R内に沿って収納され、さらに天井43に沿って這わされて対応する各巻上ドラム47に結合されており、これらの複数の巻上ドラム47は減速機構46を介して巻上モータ45によって巻上駆動される。巻上ドラム47は、凹部41Rの直上に凹部41Rと平行に直列に配置されており、吊上ロープ26をそれぞれ、天井43に形成された穴(図示せず)から出し入れする。
【0031】
上記構成の本装置は、床面41と左右縦壁42に形成した凹部41Rと42R内に、折り畳み状態の中央矩形シート材20と左右シート材30と吊上ロープ26を収納し、蓋体51、52で塞いだ収納状態では、入口40の人の通行を妨げることがない。一方、ゲリラ豪雨等が発生し、入口40からの雨水の浸入を防止する際には、先ず蓋体51、52を取り外し(開き)、次に、巻上モータ45を巻上げ駆動させる。すると、吊上ロープ26が各巻上ドラム47に巻上げられて、引上板25が凹部41Rから引き上げられる。引上板25が引き上げられるのに従って中央矩形シート材20と左右シート材30は、折り曲げ状態あるいは巻き取り状態を解かれながら、凹部41Rと42Rから引き出され、上方に展開していく。引上板25(吊上エッジ22)は、縦壁固定エッジ31の長さ分引上げられ、このとき遊び辺32には遊び(しわ)ができる(図6)。引上板25(吊上エッジ22)は、天井43(フレーム)に当接可能な位置まで引上げられて、引上板25と天井43とで吊上エッジ22を挟み込む構成とすることが好ましい。吊上エッジ22を引上板25と天井43とで挟み込むことで、水密を確保できる。吊上ロープ26を収納状態から使用状態まで巻き上げる量は引上板25の中央寄りに結合された吊上ロープ26程長いので、例えば、各巻上ドラム47の巻上げ開始タイミングを調整することにより、引上板25(吊上エッジ22)を同時に引き揚げるように制御する。
【0032】
この遊び辺32の遊び(しわ)部分から、若干の雨水が地下構造物内に流入するが、浸水した雨水はポンプで排出される。すなわち、本装置は、雨水の完全な浸入防止を図るものではなく、ポンプで排水可能な程度に浸水を抑えるものである。
【符号の説明】
【0033】
10 雨水浸入防止バッグ
20 中央矩形シート材
21 床面固定エッジ
22 吊上エッジ
23 左右エッジ
24 折り畳み線
25 引上板
26 吊上ロープ
30 左右シート材
31 縦壁固定エッジ
32 遊び辺
33 結合辺
34 長辺
40 入口
41 床面
41R 凹部(収納手段)
42 左右縦壁
42R 凹部(収納手段)
43 天井
44 巻上機構(吊上手段)
45 巻上モータ
46 減速機構
47 巻上ドラム
51 52 蓋体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8