(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ケーシング内に先端部が開口する収納室を設け、該収納室内に、先方が縮径するテーパ面を有するテーパ穴を形成し、該テーパ穴内に、周方向に分割された楔状の雌型係止部材を軸方向に摺動可能に配置するとともに、該雌型係止部材の内面に複数の係止山からなる係止部を刻設し、前記雌型係止部材を付勢手段で先方へ付勢した雌型連結部材と、
複数の係止山からなる係止部を刻設した雄型係止部材を先部に設けた雄型連結部材とで構成され、
前記雄型係止部材を、前記雌型係止部材により構成される係止穴に挿入することにより該係止穴が拡径し、その後、付勢手段により前記係止穴が縮径し前記雌型係止部材の係止部と、前記雄型係止部材の係止部とが噛合するようにした連結具であって、
前記雄型係止部材における前記係止部より奥側に基部を設け、該基部の少なくとも一部において、その外径が奥側ほど徐々に大きくなるように形成し、
前記基部の最外径を、前記雄型係止部材における係止部の最外径より大きくしたことを特徴とする連結具。
前記雌型係止部材の係止部を雌ねじで形成し、雄型係止部材の係止部を前記雌ねじに係合する雄ねじで形成し、前記雌ねじと雄ねじにおける呼び径に対するピッチを、JISに規定する細目ねじの呼び径に対するねじピッチよりも小さく設定したことを特徴とする請求項1記載の連結具。
前記雄型連結部材は、先部が開口する中空部を有する連結体を備え、該中空部に前記雄型係止部材の奥側を取付け、前記連結体の外周面を円形に形成し、該連結体の外周に変形できる部材で形成した調整部材を設けたことを特徴とする請求項1乃至3記載の連結具。
【背景技術】
【0002】
従来、部材相互の連結具として、
図9に示すような、雌型連結部材100と雄型連結部材101が知られている。
【0003】
前記雌型連結部材100は、内部にテーパ穴102を形成するとともに、そのテーパ穴102の内面に軸方向に沿った摺動案内突条を周方向に分割して複数形成したケーシング103と、外面を前記テーパ穴102に沿うテーパ面104に形成するとともに内面に雌ねじ105を形成した雌型係止部材(楔ナット)106と、この楔ナット106を押圧する圧縮バネ107を有する。
【0004】
また、前記雄型連結部材101は、変形できる部材、例えば、発泡スチロール、ゴム等の弾性材、樹脂、ダンボールなどで形成された円筒状の調整部材108内に連結体109を設け、該連結体109の先部に雄型係止部材110を設け、該雄型係止部材110の外周部には、前記雌型連結部材100の雌ねじ105と噛合する雄ねじ111が刻設されている。
【0005】
前記連結体109の後部には、アンカーバー112が螺着して固設され、該アンカーバー112の後端には抜け止め部が設けられ、アンカーバー112の外周には、ゴム等の弾性材もしくは金属からなる空間保持用のパイプ113が設けられている。空間保持用のパイプ113の前側端部は、調整部材108の後側に係止し、後側端部は、アンカーバー112の抜け止め部に設けられたゴム等の弾性材からなる座部材に係止している。アンカーバー112と空間保持用のパイプ113との間には空隙114が設けられている。
【0006】
そして、この連結具における連結に際しては、その雌型連結部材100を回転することなく該雌型連結部材100に前記雄型係止部材110を挿通することにより、分割された楔ナット106の雌ねじ105が雄型係止部材110の雄ねじ111に係合してその楔ナット106が圧縮バネ107に抗して大径側へ押され、複数個の楔ナット106で形成される雌ねじ穴の内径が拡径して雄型係止部材110を雌型連結部材100の所定位置まで挿通でき、その挿通が終ると、圧縮バネ107の付勢力によって楔ナット106の雌ねじ105が雄型係止部材110の雄ねじ111に噛合し、雌型連結部材100と雄型連結部材101の連結が行われるようになっている。
【0007】
前記のように構成された連結具を用いて、例えば、トンネルに用いるコンクリート製のシールドセグメント相互を連結する要望がある。この場合、
図10に示すように、前記連結具の雌型連結部材100を一方のシールドセグメント120に設け、雄型連結部材101を他方のシールドセグメント121に設ける。
【0008】
雌型連結部材100の軸芯と雄型連結部材101の軸芯とが、
図11に示すように、相互に非同芯状態(目違い状態)で雌型連結部材100と雄型連結部材101とを連結することがあり、この際においても、雄型連結部材101は、調整部材108と空隙保持用パイプ113と空隙114により、アンカーバー112の抜け止め部を中心として、雌型連結部材100が位置する側の方向に回動することができるため、前記雌型連結部材100に前記雄型係止部材110が挿通し、両連結部材100、101を連結することが出来る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
前述のように、連結部材100、101は、相互に非同芯状態(目違い状態)においても連結することができる。しかし、
図11に示すように、雄型係止部材110が、雌型連結部材100が位置する側の方向に大きく傾いた状態で、雌型連結部材100に前記雄型係止部材110を挿通すると、雄型係止部材110の先端が、一方の側に位置する雌型係止部材106を、
図11に示すように、他方の雌型係止部材106よりも後方に大きく押し下げ、他方の雌型係止部材106は一方の雌型係止部材106よりも前方に位置する状態が生じることがある。
【0010】
このような状態となった後に、雌型係止部材106の雌ねじ105が雄型係止部材110の雄ねじ111に噛合すると、径方向の一方の側に位置する雌型係止部材106と他方の側に位置する雌型係止部材106の雄型係止部材110に対する前後方向の噛合位置が大きく異なる虞がある。
【0011】
このような状態において、シールドセグメント間に、これらの連結を外す方向に大きな外力が加わると、シールドセグメント間の目開きが大きくなり、漏水する虞がある。
【0012】
そこで本発明は、連結部材が相互に非同芯状態(目違い状態)において連結する部品、例えば、シールドセグメントを連結させた後に、シールドセグメント間に連結を外す方向に大きな外力が作用した状態においても、シールドセグメント間の目開きをできる限り小さくする連結具およびそれを用いたコンクリート部材の連結装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記課題を解決するために、請求項1記載の発明は、ケーシング内に先端部が開口する収納室を設け、該収納室内に、先方が縮径するテーパ面を有するテーパ穴を形成し、該テーパ穴内に、周方向に分割された楔状の雌型係止部材を軸方向に摺動可能に配置するとともに、該雌型係止部材の内面に複数の係止山からなる係止部を刻設し、前記雌型係止部材を付勢手段で先方へ付勢した雌型連結部材と、
複数の係止山からなる係止部を刻設した雄型係止部材を先部に設けた雄型連結部材とで構成され、
前記雄型係止部材を、前記雌型係止部材により構成される係止穴に挿入することにより該係止穴が拡径し、その後、付勢手段により前記係止穴が縮径し前記雌型係止部材の係止部と、前記雄型係止部材の係止部とが噛合するようにした連結具であって、
前記雄型係止部材における前記係止部より奥側に基部を設け、該基部の少なくとも一部において、その外径が奥側ほど徐々に大きくなるように形成し、
前記基部の最外径を、前記雄型係止部材における係止部の最外径より大きくしたことを特徴とする連結具である。
【0014】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の連結具において、前記雌型係止部材の係止部を雌ねじで形成し、雄型係止部材の係止部を前記雌ねじに係合する雄ねじで形成し、前記雌ねじと雄ねじにおける呼び径に対するピッチを、JISに規定する細目ねじの呼び径に対するねじピッチよりも小さく設定したことを特徴とするものである。
【0015】
請求項3記載の発明は、請求項1記載の連結具において、前記雌型係止部材の係止部を、周方向に環状に形成された平行な係止山と平行な係止溝で形成し、
前記雄型係止部材の係止部を、前記係止山と係止溝に嵌合する係止溝と係止山で形成し、
前記係止山における呼び径に対するピッチを、JISに規定する細目ねじの呼び径に対するねじピッチよりも小さく設定したことを特徴とするものである。
【0016】
請求項4記載の発明は、請求項1乃至3記載の連結具において、前記雄型連結部材は、先部が開口する中空部を有する連結体を備え、該中空部に前記雄型係止部材の奥側を取付け、前記連結体の外周面を円形に形成し、該連結体の外周に変形できる部材で形成した調整部材を設けたことを特徴とするものである。
【0017】
請求項5記載の発明は、請求項1乃至4記載の連結具において、前記雌型連結部材の前記雌型係止部材と前記付勢手段との間に、ワッシャを複数枚設けたことを特徴とするものである。
【0018】
請求項6記載の発明は、前記請求項1乃至5の何れか1項に記載の連結具を用い、
前記雌型連結部材を、連結すべき一方のコンクリート部材に固設し、前記雄型連結部材を連結すべき他方のコンクリート部材に固設したことを特徴とするコンクリート部材の連結装置である。
【0019】
請求項7記載の発明は、請求項6記載のコンクリート部材の連結装置において、前記コンクリート部材が、シールドセグメントであることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0020】
本発明は、雄型係止部材における基部の少なくとも一部を、その外径が奥側ほど徐々に大きくなるように形成したことにより、連結部材が相互に非同芯状態(目違い状態)においても、両連結部材の連結時にこの拡径部により、雄型係止部材が雌型連結部材の軸心方向に移動するため、一つの雌型係止部材と他の雌型係止部材の雄型係止部材に対する前後方向の噛合位置のズレを小さくすることができる。
【0021】
これにより、雄型連結部材と雌型連結部材とが、相互に非同芯状態(目違い状態)において、連結する部品、例えば、シールドセグメント同士を連結させた後に、シールドセグメント同士の連結を外す方向に大きな外力が作用した場合においても、連結する部品間の目開きを小さく抑えることが出来る。
【0022】
また、シールドセグメント間の連結に適用した場合、目開きを小さく抑えることが出来るため、シールドセグメント間に設けるシール材を小さくすることもできる。
【0023】
そのため、本発明の連結具を、シールドセグメント間の連結に適用した場合、シールドセグメント間の目開きを小さく抑えることが出来、シールドセグメントを有効に連結することが出来る。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明を実施するための形態を図に示す実施例に基づいて説明する。
【0026】
[実施例1]
図1乃至
図5は、本発明の実施例1を示す。
図1は、本実施例1の雌型連結部材1の半面を断面とした部分断面図を示し、
図2は、前記雌型連結部材1と連結する雄型連結部材2の半面を断面とした部分断面図を示すものである。
【0027】
雌型連結部材1は、ケーシング3を有し、該ケーシング3は、筒状、例えば円筒状に形成され、その内部に収納室4が形成されている。該収納室4の先部は、その内周面を先端部4a側から後方(奥部)にかけて内径が徐々に拡大するテーパ面にしてなる円錐状のテーパ穴5に形成され、収納室4の中間部は付勢手段収納部6に形成されている。ケーシング3の後部の内周面には雌ねじ3aが刻設されている。
【0028】
前記収納室4の先部には挿入部7が形成され、該挿入部7の先端部は開口し、その内周壁には雌ねじ7aが刻設されている。
【0029】
前記テーパ穴5内には、軸芯X−X方向に沿った摺動案内突条11が、
図4に示すように周方向に分割して複数形成されている。また、前記テーパ穴5内には、
図4に示すように周方向に複数に分割してなる楔状の雌型係止部材12が、前記摺動案内突条11相互間においてケーシング3の軸芯X−X方向に摺動可能に配設されている。雌型係止部材12の数を、本実施例においては、
図4に示すように3個としたが、任意に設定する。なお、以下において、雌型係止部材12を楔ナット12ともいう。
【0030】
更に、該楔状の雌型係止部材12の外面は、前記テーパ穴5のテーパ面に沿った、すなわち、先端部4a側から後方にかけて外径が徐々に拡大するテーパ面12aに形成されている。更に、各雌型係止部材12の内周面には、螺旋状の係止山及び係止溝からなる係止部(雌ねじ)12bが、ケーシング3の軸芯X−Xを中心とする円弧でかつ軸芯X−Xに沿った方向に刻設されている。この螺旋状の係止部12bは、螺旋状に形成されていれば、その断面形状としては任意の形状のねじ山を用いることができ、
図5に示すような、軸方向断面が不等辺三角形状で、先部のテーパ角度が小さく形成した、のこぎり刃形状の係止山12d及び係止溝12eからなる係止部(雌ねじ)12bや、二等辺三角形状、直角三角形等の形状のものを用いることができる。
【0031】
上記により、複数個の楔ナット12により、
図4に示すように、係止穴(雌ねじ穴)12cが形成され、各楔ナット12がテーパ面に沿って後退することにより、その雌ねじ穴12cが拡径され、先方へ移動することにより、その雌ねじ穴12cが縮径するようになっている。
【0032】
また、前記楔ナット12の後端には、各楔ナット12に共通して係合する付勢手段受け(バネ受け)13が配置されている。この付勢手段受け13の厚みは、例えば、ワッシャの枚数を変えることで、連結するシールドセグメント間に許容される目開き量等に応じて設定する。この付勢手段受け13の厚みを変えることにより、楔ナット12の後方への移動量を調節することができる。本実施例では、付勢手段受け13としてワッシャ13aを2枚重ねて用いた。このワッシャ13aの枚数は、1枚でも複数でもよく、楔ナット12の後方への移動量に応じて設定する。このように、ワッシャ13aを用いることで、付勢手段受け13の厚みを容易に変えることができる。
【0033】
前記ケーシング3の後部の雌ねじ3aには、中心部にねじ穴14aを形成した蓋板14が螺着されている。前記付勢手段収納部6内の前記付勢手段受け13と蓋板14の間には付勢手段15が収納されている。該付勢手段15は、コイルバネ、ゴム、樹脂、ウレタンなどの弾性部材で形成される。本実施例1ではコイルバネを使用して圧縮状態で収納されている。該付勢手段15の付勢力により各楔ナット12は、常時先端部4a方向へ付勢されている。
【0034】
前記蓋体14には、蓋体14から後方向に突出するアンカーバー18が螺着して固設されている。アンカーバー18の後側には、抜け止め部18aが外周側へ突出して設けられている。
【0035】
前記の雌型連結部材1は、一方の連結する部品、例えば、
図3に示すようなコンクリート部材であるシールドセグメント19に、ケーシング3の先端部4a側の面3cがシールドセグメント19の接合面19aと面一になるように埋設して固設されている。
【0036】
次に、雄型連結部材2について説明する。
雄型連結部材2は、変形できる部材、例えば、発泡スチロール、ゴム等の弾性材、樹脂、ダンボールなどで形成された調整部材21を有する。該調整部材21は、内周面及び外周面が円形の円筒状に形成され、この調整部材21内には、外面が円形に形成された連結体22が設けられている。この連結体22は、金属製で、軸方向の両端(先端と後端)が開口する中空部22aが形成されている。中空部22aの内壁には、先部から後端に掛けて雌ねじ22bが刻設され、該雌ねじ22bの先端から連結体22の先端の間は、無ねじの円筒状に形成された円筒部22cが形成されている。
【0037】
前記連結体22における雌ねじ22bの先部には、
図2に示すように、雄型係止部材23の奥側に設けられ、かつ、外周に雄ねじ23cが刻設された雌ねじ体23aが螺着されている。
【0038】
前記雄型係止部材23は、前記連結体22の先端より突出しており、その先部(前側)には、先部が縮径するドーム状の案内部24が形成されている。すなわち、先部に前記雌型係止部材12を誘導する曲面が形成され、その後部、かつ、雄ねじ体23aより先部には、例えば
図5に示すような、螺旋状の係止山及び係止溝からなる係止部(雄ねじ)23bが刻設されている。
【0039】
この係止部23bは、螺旋状で、前記楔ナット12の係止部12bに対応した形状であれば任意の形状のものを用いることがで、例えば
図5に示すような、軸方向断面が不等辺三角形状で、先部のテーパ角度が小さく形成した、のこぎり刃形状の係止山23d及び係止溝23eからなる係止部(雄ねじ)23bや、二等辺三角形状、直角三角形等の形状のものを用いることができる。前記係止部23bの直径は、前記各楔ナット12が最前進した場合に、これらで形成されるねじ穴12cの直径よりも若干大径に設定されている。
【0040】
前記係止部(雄ねじ)23bと雄ねじ体23aとの間には基部25が形成され、該基部25は、
図2に示すように、その先端が係止部23bの外径と略同じに設定され、その先端から奥部に向かうほど拡径するテーパ状の拡径部25aが形成されている。拡径部25aの最外径は、前記挿入部7の内径よりも小さく設定され、テーパ面の角度は任意に設定する。なお、拡径部25aは、基部25の少なくとも一部に形成されていれば良い。また、拡径部25aは、奥部に向かうほど拡径していれば、曲面状に形成しても良い。
【0041】
基部25の拡径部25aの奥部には、軸芯Y−Y方向において略同径の無ねじ状の円筒部25bが形成されている。該円筒部25bの外径は、係止部23bの外径と略同じで、かつ、連結体22における中空部22aの円筒部22cの内径と同じか若干小さく設定され、基部25の円筒部22は、中空部22aの円筒部25b内に嵌合している。
【0042】
前記連結体22の後部には、
図2に示すように、アンカーバー30が螺着して固設されている。該アンカーバー30の後端には抜け止め部30aが設けられている。また、アンカーバー30の外周には、ゴム等の弾性材もしくは金属からなる空間保持用のパイプ31が設けられている。空間保持用のパイプ31の前側端部は、前記調整部材21の後側の係止部21aに係止し、後側端部は、アンカーバー30の抜け止め部30aに設けられたゴム等の弾性材からなる座部材32に係止している。アンカーバー30と空間保持用のパイプ31との間には空隙33が設けられている。
【0043】
なお、空間保持用のパイプ31と空隙33を設けることなく、アンカーバー30における空間保持用のパイプ31に相当する部分の外周全体にゴム等の弾性材により形成してもよい。例えば、調整部材21を奥側まで延在させて形成しても良い。
【0044】
前記調整部材21、アンカーバー30、空間保持用パイプ31は、
図3に示すように、他方の連結する部品、例えば、コンクリート部材であるシールドセグメント35に、連結体22の前端面22dがシールドセグメント35の接合面35aと面一になるように埋設して固設されるもので、その前記調整部材21、空隙保持用パイプ31、抜け止め部30aの外部にはコンクリートが打設されている。
【0045】
また、前記一方のシールドセグメント19における接合面19aには、図示しないシール材が突出して設けられ、他方のシールドセグメント35における接合面35aには、図示しないシール材が突出して設けられている。
【0046】
他方の連結する部品35に設けられた雄型連結部材2は、変形できる部材からなる調整部材21と空隙33と空隙保持用パイプ31と座部材32の相互作用により、アンカーバー30の抜け止め部30aを中心として、その軸芯Y−Yと直交する方向に変位できるようになっている。
【0047】
次に、前記楔ナット12の雌ねじ12bと、前記雄型係止部材23の雄ねじ23bの係止山間の間隔(ねじピッチ)Pについて、
図5により説明する。
【0048】
前記楔ナット12の雌ねじ12bと、前記雄型係止部材23の雄ねじ23bのねじピッチPは所望に形成するもので、JISに規定する細目ねじの呼び径に対するねじピッチとしてもよく、また、JISに規定する細目ねじの呼び径に対するねじピッチよりも小さくしてもよい。
【0049】
例として、呼び径がM24(mm)の場合には、JIS B 0207のメートル細目ねじではねじピッチを2mm又は1.5mm又は1mmに形成するが、本発明では、ねじピッチPを0.3mm〜0.8mm、望ましくは0.5mmに設定する。
【0050】
また、呼び径がM30(mm)の場合もねじピッチPを0.3mm〜0.8mm、望ましくは0.5mmに設定する。
【0051】
次に本発明をシールドセグメントに適用した例に基づいて連結操作を説明する。
先ず、雌型連結部材1の軸芯X−Xと雄型連結部材2の雄型係止部材23の軸芯Y−Yとが略同軸上に位置した状態で、一方のシールドセグメント19と他方のシールドセグメント35を相対的に近接させ、雄型係止部材23を雌型連結部材1の挿入部7の開口より挿入する。
【0052】
雄型係止部材23が、雌型連結部材1における挿入部7から挿入すると、雄型係止部材23が各楔ナット12を付勢手段15の付勢力に抗して後退させて各楔ナット12で形成されるねじ穴12cを拡径し、各楔ナット12の係止山を乗り越えつつ進入する。
【0053】
そして、その基部25の拡径部25aが挿入口7内に挿入されると、雄型係止部材23は、拡径部25aにより、徐々に雌型連結部材1の軸芯X−X側に移動する。
【0054】
雌型連結部材1におけるケーシング3の先端面、すなわち、一方のシールドセグメント19の接合面19aと、雄型連結部材2における連結体22の先端面、すなわち他方のシールドセグメント35の接合面35aが接して雄型連結部材2の挿入が停止されると、各楔ナット12は、付勢手段15の付勢力によって先端部4a側へ押戻されるとともにテーパ面によって各楔ナット12で形成されるねじ穴12cの径が縮径し、各楔ナット12の雌ねじ12bが雄型係止部材23の雄ねじ23bに噛合する。
【0055】
本実施例1の雌型連結部材1と雄型連結部材2は、前記のような構造を有しているため、次のような作用、効果を奏する。
【0056】
雌型連結部材1の軸芯X−Xと、雄型係止部材23の軸芯とが相互に非同芯状態(目違い状態)となっている場合においても、雄型連結部材2は、変形できる部材からなる調整部材21と空隙33と空隙保持用パイプ31と座部材32の相互作用により、アンカーバー30の抜け止め部30aを中心として。雄型係止部材23の軸芯は、雄型連結部材2の軸芯Y−Yと直交する方向に変位でき、雄型係止部材23を、雌型連結部材1のねじ穴12c内に挿入することが出来る。
【0057】
また、上記の目違い状態により雄型係止部材23が傾いた状態で、両連結部材1,2を連結する際に、前記雄型係止部材23の基部25に設けた拡径部25aにより、雄型係止部材23の軸が、徐々に雌型連結部材1の軸心X−X方向に変位するため、軸方向における一つの楔ナット12と他の楔ナット12の位置が、大きく異なることを防止できる。
【0058】
これにより、連結後において、シールドセグメント19、35間にこれらを離間する方向に大きな外力が作用したとしても、シールドセグメント19、35間の目開きを最小限に抑えることが出来、シールドセグメント19,35間からの漏水を防止できる。また、目開きを小さくすることができるため、シールドセグメント19、35間に設けるシール材を小さくすることができ、製造コストを低減できる。
【0059】
雄型係止部材23における基部25の円筒部25bが、連結体22における中空部22aの円筒部22c内に嵌合していることにより、シールドセグメント19、35の連結時に、雄型係止部材23に加わる剪断荷重に対する強度を上げることができる。そのため、雄型係止部材23を細くすることができ、雄型連結部材2の製造コストを低減できる。
【0060】
前記従来の雄型連結部材101においては、連結体109の外周面を六角形状に形成していたために、その周方向において大径部と小径部が生じ、その連結体109の外周に嵌合される円筒状の調整部材108の外径は、大径部に合わせて設定する必要があった。それに対し、本実施例では連結体22の外周面を円形に形成したことにより、前記従来の調整部材108よりも調整部材21の直径を小さくすることができ、雄型連結部材2の製造コストを低減できる。
【0061】
[実施例2]
前記実施例1においては、雄型係止部材23の係止部23b及び雌型係止部材12の係止部12bを螺旋状の係止山及び係止溝で形成したが、例えば、
図6に示すように、雄型係止部材37の係止部37b及び雌型係止部材38の係止部38bを、軸心X−X、Y−Yに対して直交する環状に形成された複数の係止山及び係止溝を、多数、その軸心方向に連続配置したものとしてもよい。
【0062】
この環状の係止部37b、38bとして、
図6に示すような、軸心X−X、Y−Yに対して直交する環状でのこぎり刃形状の係止山37c、38cを、その軸心方向に多数連続配置して形成したものを用いることができる。
【0063】
なお、雄型係止部材37の係止部37b及び雌型係止部材38の係止部38bの係止山及び係止溝は、
図6に示すような形状に限定されるものではなく、二等辺三角形状の係止山が連続してなる係止部や、直角三角形や、先部のテーパ角度が小さい不等辺三角形状の係止山が連続してなる係止部を用いることができる。
【0064】
係止山間の間隔(ピッチ)Pの寸法は、前記実施例1に示したねじピッチの寸法に相当する値に設定する。
【0065】
その他の部材については、前記実施例1と同様の構造を有するため、その説明を省略する。
また、本実施例2においても、前記実施例1と同様の作用、効果を奏する。
【0066】
[実施例3]
図7,8は、実施例3を示す。
【0067】
前記実施例1,2においては、雄型連結部材2に、調整部材21、アンカーバー30、空間保持用パイプ31等を設けることにより、雄型係止部材23を、雄型連結部材2の軸芯Y−Yと直交する方向に変位できるようにしたが、雄型連結部材2に、前記調整部材21、アンカーバー30、空間保持用パイプ31等を設けず、雌型連結部材1に、前記雄型連結部材2における調整部材21、アンカーバー30、空間保持用パイプ31等と同様の効果を奏する部材を設けることにより、アンカーバーの抜け止め部を中心として雌型連結部材をその軸芯X−Xと直交する方向に変位できるようにしてもよい。
【0068】
図7,8に示すように、雌型連結部材41のケーシング3の外周には、変形できる部材、例えば、発泡スチロール、ゴム等の弾性材、樹脂、ダンボールで形成された円筒状の調整部材42を設け、該調整部材42の後側には後方に突出する係止部42aが設けられている。
【0069】
また、アンカーバー18の外周には、ゴム等の弾性材もしくは金属からなる空間保持用のパイプ43を設ける。空間保持用のパイプ43の前側端部は、調整部材42の係止部42aに係止し、後側端部は、アンカーバー18の抜け止め部18aに設けられたゴム等の弾性材からなる座部材44に係止している。アンカーバー18と空間保持用のパイプ43との間には空隙45が設けられている。
【0070】
なお、空間保持用のパイプ43と空隙45を設けることなく、アンカーバー18における空間保持用のパイプ43に相当する部分の外周全体にゴム等の弾性材により形成してもよい。例えば、調整部材42を奥側まで延在させて形成しても良い。
【0071】
前記調整部材42、アンカーバー18、空間保持用パイプ43は、一方の連結部材、例えば、シールドセグメント19に、ケーシング3の前端面がシールドセグメント19の接合面19aと面一になるように埋設して固設されるもので、その前記調整部材42、空隙保持用パイプ43、抜け止め部18aの外部にはコンクリート19bが打設されている。
【0072】
一方の連結部材19に設けられた雌型連結部材41は、変形できる部材からなる調整部材42と空隙45と空隙保持用パイプ43と座部材44の相互作用により、アンカーバー18の抜け止め部18aを中心として、その軸芯X−Xと直交する方向に変位できるようになっている。
【0073】
その他の部材については、前記実施例1,2と同様の構造を有するため、その説明を省略し、同様の部材については前記実施例1、2と同様の符号を付す。
また、本実施例3においても、前記実施例1,2と同様の作用、効果を奏する。
【0074】
[実施例4]
前記実施例1乃至3においては、雌型連結部材又は雄型連結部材のいずれか一方のみをその軸芯X−X又はY−Yと直交する方向に変位できるようにしたが、雌型連結部材及び雄型連結部材の双方をその軸芯X−X及びY−Yと直交する方向に変位できるように、雄型連結部材2に、調整部材21、アンカーバー30、空間保持用パイプ31等を設け、かつ、雌型連結部材1、41に調整部材42、空隙45、空隙保持用パイプ43等を設けても良い。
【0075】
その他の部材については、前記実施例1乃至3と同様の構造を有するため、その説明を省略する。
また、本実施例4においても、前記実施例1乃至3と同様の作用、効果を奏する。
【0076】
[その他の実施例]
前記実施例1乃至4においては、雌型連結部材1,41におけるテーパ穴5内に摺動案内突条11を設けたが、この摺動案内突条11を設けなくてもよい。
【0077】
また、前記実施例1乃至4においては、楔ナット12を複数個設けたが、1個としてもよい。
【0078】
また、前記実施例1乃至4においては、雌型連結部材1、41を、その先端部4a側の面3cを、シールドセグメント19の接合面19aと面一になるように埋設し、また、雄型連結部材2の連結体22の前端面22dがシールドセグメント35の接合面35aと面一となるように埋設したが、先端部4a側の面3cと前端面22bのいずれか一方を、接合面19a、35aより突出させ、他方を前方が開口するように埋没させてもよい。
【0079】
また、前記実施例1乃至4においては、連結体22の外周面を円形に形成したが、連結体22の外周面の形状は、六角形等の多角形状に形成しても良い。
【0080】
また、前記実施例1乃至4においては、連結体22における中空部22aの先端まで雌ねじを刻設して円筒部22cを設けないようにしてもよい。
【0081】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。