特許第5908852号(P5908852)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5908852
(24)【登録日】2016年4月1日
(45)【発行日】2016年4月26日
(54)【発明の名称】超音波診断装置及びその制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   A61B 8/00 20060101AFI20160412BHJP
【FI】
   A61B8/00
【請求項の数】7
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-21288(P2013-21288)
(22)【出願日】2013年2月6日
(65)【公開番号】特開2014-150870(P2014-150870A)
(43)【公開日】2014年8月25日
【審査請求日】2014年11月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】300019238
【氏名又は名称】ジーイー・メディカル・システムズ・グローバル・テクノロジー・カンパニー・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100137545
【弁理士】
【氏名又は名称】荒川 聡志
(72)【発明者】
【氏名】橋本 浩
【審査官】 伊藤 幸仙
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2011/127191(WO,A1)
【文献】 特表2013−523343(JP,A)
【文献】 特開2007−236767(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0137904(US,A1)
【文献】 国際公開第2014/124088(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 8/00 − 8/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体内に送信された超音波のエコー信号に基づいて超音波受信ビームを形成する受信ビーム形成部と、
前記超音波受信ビームに基づいて形成される超音波画像に、前記超音波受信ビームのビーム方向と被検体内に刺入される穿刺針の刺入予定経路との角度に応じた表示形態を有する画像を表示させる表示制御部と、
を備え
前記画像は、前記穿刺針の刺入予定経路を示す穿刺ガイドラインであって、前記角度に応じて表示形態が異なる穿刺ガイドラインである
ことを特徴とする超音波診断装置。
【請求項2】
前記穿刺ガイドラインは、前記角度に応じて部分的に表示形態が異なることを特徴とする請求項に記載の超音波診断装置。
【請求項3】
被検体内に送信された超音波のエコー信号に基づいて超音波受信ビームを形成する受信ビーム形成部と、
前記超音波受信ビームに基づいて形成される超音波画像に、前記超音波受信ビームのビーム方向と被検体内に刺入される穿刺針の刺入予定経路との角度に応じた表示形態を有する画像を表示させる表示制御部と、
を備え、
前記画像は、前記穿刺針の刺入予定経路を示す穿刺ガイドラインであって、前記超音波受信ビームのビーム方向が前記穿刺針の刺入予定経路と略直交する部分とそれ以外の部分とで異なる表示形態で表示される穿刺ガイドラインである
ことを特徴とする超音波診断装置。
【請求項4】
前記超音波受信ビームのビーム方向と前記刺入予定経路との角度は、前記超音波画像における前記超音波受信ビームの位置と前記刺入予定経路の位置とに基づいて特定されることを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載の超音波診断装置。
【請求項5】
前記受信ビーム形成部は、ビーム方向が異なる複数の超音波受信ビームを形成し、該複数の超音波受信ビームには、前記刺入予定経路に対して略直交する方向の超音波受信ビームが含まれることを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載の超音波診断装置。
【請求項6】
コンピュータに、
被検体内に送信された超音波のエコー信号に基づいて超音波受信ビームを形成する受信ビーム形成機能と、
前記超音波受信ビームに基づいて形成される超音波画像に、前記超音波受信ビームのビーム方向と被検体内に刺入される穿刺針の刺入予定経路との角度に応じた表示形態を有する画像を表示させる表示制御機能と、
を実行させることを特徴とする超音波診断装置の制御プログラムであって、
前記画像は、前記穿刺針の刺入予定経路を示す穿刺ガイドラインであって、前記角度に応じて表示形態が異なる穿刺ガイドラインである
ことを特徴とする超音波診断装置の制御プログラム
【請求項7】
コンピュータに、
被検体内に送信された超音波のエコー信号に基づいて超音波受信ビームを形成する受信ビーム形成機能と、
前記超音波受信ビームに基づいて形成される超音波画像に、前記超音波受信ビームのビーム方向と被検体内に刺入される穿刺針の刺入予定経路との角度に応じた表示形態を有する画像を表示させる表示制御機能と、
を実行させることを特徴とする超音波診断装置の制御プログラムであって、
前記画像は、前記穿刺針の刺入予定経路を示す穿刺ガイドラインであって、前記超音波受信ビームのビーム方向が前記穿刺針の刺入予定経路と略直交する部分とそれ以外の部分とで異なる表示形態で表示される穿刺ガイドラインである
ことを特徴とする超音波診断装置の制御プログラム
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波受信ビームのビーム方向と、被検体内に刺入される穿刺針の刺入予定経路との角度に応じた表示形態を有する画像が表示される超音波診断装置及びその制御プログラム(program)に関する。
【背景技術】
【0002】
超音波診断装置では、被検体の超音波画像をリアルタイム(real time)で表示することができる。このリアルタイム性を生かし、被検体内に穿刺針を刺入する時に、穿刺針の位置をリアルタイムの超音波画像によって確認している。
【0003】
例えば、特許文献1には、超音波画像において、被検体内に刺入された穿刺針と、体内組織とを容易に識別することを目的とした超音波診断装置が記載されている。この超音波診断装置では、超音波ビームを穿刺針の刺入経路に対して略直交する方向に偏向させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−208859号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に記載された超音波診断装置においては、刺入経路に対して略直交する方向に偏向させた超音波ビームに基づいて得られる超音波画像と、通常の超音波ビームに基づいて得られる超音波画像とを加算した画像を表示している。この加算画像において、偏向させた超音波ビームに基づいて得られる超音波画像が加算された部分は、穿刺針が明瞭に表示される。一方、前記加算画像において、通常の超音波ビームに基づいて得られる超音波画像のみの部分、すなわち偏向させた超音波ビームに基づく超音波画像が加算されていない部分については、偏向させた超音波画像が加算された部分と比べて、穿刺針が明瞭ではなく、この部分に、穿刺針が達しているか否かが分かりづらい。
【0006】
このように、超音波ビームのビーム方向と穿刺針との角度によって、超音波画像における穿刺針の見え方が異なる。超音波画像において、穿刺針が明瞭に見える部分と不明瞭な部分とが存在すると、不明瞭な部分に穿刺針が達していても、操作者は、明瞭な部分にしか穿刺針が達していないと判断するおそれもある。従って、穿刺針に対する超音波ビームの角度を知りたいという要望がある。
【0007】
また、一方向の超音波ビームのみを形成する場合には、穿刺針を刺入する前に、穿刺針が明瞭に見えるビーム方向を選択して超音波画像を表示させたいという要望がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の課題を解決するためになされた一の観点の発明は、被検体内に送信された超音波のエコー信号に基づいて超音波受信ビームを形成する受信ビーム形成部と、前記超音波受信ビームに基づいて形成される超音波画像に、前記超音波受信ビームのビーム方向と被検体内に刺入される穿刺針の刺入予定経路との角度に応じた表示形態を有する画像を表示させる表示制御部と、を備えることを特徴とする超音波診断装置である。
【発明の効果】
【0009】
上記観点の発明によれば、前記超音波画像に、前記超音波受信ビームのビーム方向と被検体内に刺入される穿刺針の刺入予定経路との角度に応じた表示形態を有する画像が表示されるので、この画像を参照することにより、穿刺針の刺入予定経路に対する超音波受信ビームの角度を容易に把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明に係る超音波診断装置の実施形態の概略構成の一例を示すブロック図である。
図2】Bモード画像及び穿刺ガイドラインが表示された表示部を示す図である。
図3】穿刺予定経路と超音波送受信ビームとの角度を説明する図である。
図4】穿刺ガイドラインの拡大図である。
図5】穿刺ガイドラインの他例を示す拡大図である。
図6】穿刺ガイドラインの他例を示す拡大図である。
図7】第二実施形態における超音波送受信ビームのビーム方向を示す図である。
図8】第二実施形態における他の超音波送受信ビームのビーム方向を示す図である。
図9】第二実施形態における他の超音波送受信ビームのビーム方向を示す図である。
図10】合成画像が表示された表示部を示す図である。
図11】第二実施形態の第一変形例の表示部を示す図である。
図12】第二実施形態の第二変形例の表示部を示す図である。
図13】第二実施形態の第三変形例の表示部を示す図である。
図14】第三実施形態において、Bモード画像が表示された表示部を示す図である。
図15】第三実施形態において、他のBモード画像が表示された表示部を示す図である。
図16】第三実施形態において、他のBモード画像が表示された表示部を示す図である。
図17】第三実施形態の変形例において、Bモード画像が表示された表示部を示す図である。
図18】第三実施形態において、他のBモード画像が表示された表示部を示す図である。
図19】第三実施形態において、他のBモード画像が表示された表示部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について説明する。
(第一実施形態)
先ず、第一実施形態について、図1図6に基づいて説明する。図1に示す超音波診断装置1は、超音波プローブ2、送受信ビームフォーマ3、エコーデータ処理部4、表示制御部5、表示部6、操作部7、制御部8、記憶部9を備える。
【0012】
前記超音波プローブ2は、アレイ状に配置された複数の超音波振動子を有して構成され、この超音波振動子によって被検体に対して超音波を送信し、そのエコー信号を受信する。本例では、前記超音波プローブ2は、コンベックス(convex)型の超音波プローブである。ただし、前記超音波プローブ2は、セクタ(sector)型の超音波プローブであってもよい。
【0013】
前記超音波プローブ2における超音波の照射面2aの近傍には、穿刺ガイドアタッチメント10が着脱自在に取り付けられるようになっている。この穿刺ガイドアタッチメント10には穿刺針11が前進及び後退可能な状態で装着されるようになっている。前記穿刺針11は、前記穿刺ガイドアタッチメント10に設けられたガイド孔(図示省略)に挿入されることにより、前記穿刺ガイドアタッチメント10に装着される。前記ガイド孔は、複数設けられていてもよい。複数の前記ガイド孔は、被検体に対する前記穿刺針11の刺入角度が異なっていてもよい。
【0014】
前記穿刺ガイドアタッチメント10に装着された前記穿刺針11は、前記超音波プローブ2に前記穿刺ガイドアタッチメント10が取り付けられた状態において、前記超音波プローブ2のアジマス(azimuth)方向(図1のx軸方向)における端部に位置する。
【0015】
前記穿刺ガイドアタッチメント10を介して前記超音波プローブ2に取り付けられた前記穿刺針11は、超音波の送受信面(走査面)に沿って、前進及び後退が可能となっている。
【0016】
前記送受信ビームフォーマ3は、超音波送受信ビームを形成する(ビームフォーミング機能)。ここに、超音波送受信ビームとは、超音波送信ビームと超音波受信ビームとを含む概念である。
【0017】
前記送受信ビームフォーマ3は、前記超音波プローブ2から所定の送信パラメータの超音波送信ビームを送信するための信号を、前記制御部8からの制御信号に基づいて前記超音波プローブ2に供給する。
【0018】
また、前記送受信ビームフォーマ3は、前記超音波プローブ2で受信したエコー信号に対して、A/D変換、遅延加算処理等の信号処理や、所定のゲイン(gain)で増幅を行なう信号処理などを行ない、超音波受信ビームを形成する。前記送受信ビームフォーマ3は、本発明における受信ビーム形成部の実施の形態の一例である。また、前記ビームフォーミング機能は、本発明における受信ビーム形成機能の実施の形態の一例である。
【0019】
前記送受信ビームフォーマ3は、信号処理後のエコーデータを前記エコーデータ処理部4へ出力する。
【0020】
前記エコーデータ処理部4は、前記送受信ビームフォーマ3から出力されたエコーデータに対し、超音波画像を作成するための処理を行なう。例えば、前記エコーデータ処理部4は、対数圧縮処理、包絡線検波処理を含むBモード処理を行なってBモードデータを作成する。
【0021】
前記表示制御部5は、表示制御機能を実行する。具体的には、前記表示制御部5は、前記Bモードデータに対し、スキャンコンバータ(scan converter)による走査変換を行なって、Bモード画像データを作成する。前記表示制御部5は、前記Bモード画像データに基づくBモード画像を前記表示部6に表示させる。Bモード画像は、本発明における超音波画像の実施の形態の一例である。
【0022】
また、前記表示制御部5は、図2に示すように、前記表示部6に表示されたBモード画像BIに、前記穿刺針11の刺入予定経路を示す穿刺ガイドラインGLを表示させる。この穿刺ガイドラインGLは、前記穿刺ガイドアタッチメント10を用いて、被検体に前記穿刺針11を刺入した場合の刺入経路を示している。
【0023】
前記穿刺ガイドアタッチメント10の種類や、前記穿刺ガイドアタッチメント10において穿刺針11を挿入するガイド孔の位置に応じて、前記Bモード画像BIにおける前記穿刺ガイドラインGLの位置が、前記記憶部9に記憶されている。
【0024】
前記穿刺ガイドラインGLは、超音波送受信ビームとの角度に応じた表示形態で表示される。詳細は後述する。前記表示制御部5は、本発明における表示制御部の実施の形態の一例である。また、前記穿刺ガイドラインGLは、本発明において、前記超音波受信ビームのビーム方向と被検体内に刺入される穿刺針の刺入予定経路との角度に応じた表示形態を有する画像の実施の形態の一例である。
【0025】
前記表示部6は、LCD(Liquid Crystal Display)やCRT(Cathode Ray Tube)などである。前記操作部7は、操作者が指示や情報を入力するためのキーボード及びポインティングデバイス(図示省略)などを含んで構成されている。
【0026】
前記制御部8は、CPU(CentRal Processing Unit)であり、前記記憶部9に記憶された制御プログラムを読み出し、前記ビームフォーミング機能及び前記表示制御機能をはじめとする前記超音波診断装置1の各部における機能を実行させる。
【0027】
前記記憶部9は、例えばHDD(Hard Disk Drive)や半導体メモリ(memory)などである。
【0028】
さて、本例の超音波診断装置1の作用について説明する。操作者は、前記超音波プローブ2によって超音波の送受信を行なって、前記表示部6にBモード画像BIを表示させる。操作者は、前記操作部7を用いて、穿刺ガイドアタッチメント10の種類や穿刺針11を挿入するガイド孔の選択を行なう入力を行なう。この入力により、穿刺ガイドラインGLが特定され、前記表示制御部5は、穿刺ガイドラインGLを前記Bモード画像BIに表示する。
【0029】
ここで、前記穿刺ガイドラインGLによって示される穿刺予定経路と、超音波送受信ビームとの角度について図3に基づいて説明する。図3において、符号glは穿刺予定経路、符号BMは超音波送受信ビームを示している。前記超音波プローブ2において、音線順次で超音波の送受信が行われて、超音波送受信ビームBMが順次形成される。各超音波送受信ビームBMと穿刺予定経路glとの角度θ(符号省略)は異なっている。ただし、ここではθ≦90°と定義する。
【0030】
なお、図3において、超音波送受信ビームBMは一部のみ図示されている。
【0031】
前記穿刺ガイドラインGLは、前記角度θに応じた表示形態で表示される。前記表示制御部5は、前記Bモード画像BIにおける前記超音波受信ビームBMの位置及び穿刺針11の刺入予定経路の位置に基づいて前記角度θを特定する。
【0032】
本例では、前記穿刺ガイドラインGLは破線であり、図4に拡大して示すように、前記角度θに応じた太さで表示される。前記穿刺ガイドラインGLは、第一部分P1、第二部分P2、第三部分P3、第四部分P4及び第五部分P5を有している。前記第一部分P1が一番太く、前記第二部分P2及び前記第三部分P3が同じ太さで二番目に太い。次いで、前記第四部分P4が三番目に太く、前記第五部分P5が一番細い。
【0033】
前記第一部分P1は、前記角度θがほぼ90°の部分である。具体的には、前記第一部分P1は、90−α≦θ≦90の部分である。例えば、αは、前記角度θが、前記Bモード画像BIにおいて、前記穿刺針11が明瞭に見えると操作者等が判断する角度になるように設定される(例えば、α<0.5°)。前記第二部分P2及び前記第三部分P3は、90−β≦θ<90−α(α<β)の部分である。前記第四部分P4は、90−γ≦θ<90−β(β<γ)の部分である。前記第五部分P5は、90−δ≦θ<90−γ(γ<δ)の部分である。
【0034】
前記角度θがほぼ90°であれば、前記Bモード画像BIにおいて、前記穿刺針11は明瞭に表示される。一方、前記角度θが90°よりも小さくなるほど、前記Bモード画像BIにおいて、前記穿刺針11は不明瞭になる。しかし、前記穿刺ガイドラインGLの太さを参照すれば、穿刺針11の刺入予定経路glに対する超音波送受信ビームBMの角度を容易に把握することができ、穿刺ガイドラインGLが細い部分については、Bモード画像BIにおいて穿刺針11が不明瞭であることを意識してBモード画像BIを観察することができる。このように、角度θに応じた見え方を意識して穿刺針11を観察することができるので、穿刺針11が到達しているか否かを容易に判断することができる。
【0035】
この第一実施形態において、前記穿刺ガイドラインGLは、前記角度θに応じて部分的に表示形態が異なっていればよく、上述の図4に示されたものに限られない。例えば、図5に示すように、実線と複数種類の破線とで表示されてもよい。図5では、前記第一部分P1が実線である。また、前記第二部分P2、前記第三部分P3、前記第四部分P4及び前記第五部分P5は、破線であり、前記角度θに応じて破線の種類が異なっている。
【0036】
また、図6に示すように、前記穿刺ガイドラインGLは、前記第一部分とその他の部分(前記第二部分P2〜前記第五部分P5)とで表示形態が異なっていてもよい。図6では、前記第一部分P1の太さと第二部分P2〜第五部分P5の太さとが異なっている。このように、前記穿刺ガイドラインGLの表示形態が、前記第一部分P1とその他の部分とで異なっていることによっても、前記角度θがほぼ90°の部分とそれ以外の部分とを認識することができる。従って、Bモード画像BIにおいて穿刺針11が不明瞭である部分を意識してBモード画像BIを観察することができる。
【0037】
また、上述の説明において、前記穿刺ガイドラインGLは、90−α≦θ≦90、90−β≦θ<90−α、90−γ≦θ<90−β、90−δ≦θ<90−γの四つの範囲について異なる表示形態で表示されているが、表示形態が異なる角度θの範囲は、これに限られるわけではない。例えば、前記穿刺ガイドラインGLは、前記角度θが1°異なるごとに、異なる表示形態で表示されてもよい。
【0038】
(第二実施形態)
次に、第二実施形態について説明する。以下、第一実施形態とは異なる事項について説明する。
【0039】
本例の超音波診断装置1は、第一実施形態と同一の構成であるが、本例では、前記超音波プローブ2として、リニア(linear)型の超音波プローブを用いる例について説明する。
【0040】
本例では、複数方向の超音波送受信ビームが形成され、各超音波受信ビームに基づいて得られる超音波画像が合成される。本例では、図7図9に示すように、三方向の超音波送受信ビームBM1〜BM3が形成される。具体的には、図7に示された超音波送受信ビームBM1は、前記超音波プローブ2の照射面2aに対して垂直なビーム方向になっている。また、図8に示された超音波送受信ビームBM2及び図9に示された超音波送受信ビームBM3は、前記超音波送受信ビームBM1に対して、互いに異なる方向に同じ角度だけ傾いたビーム方向になっている。前記超音波送受信ビームBM2と、穿刺針11の刺入予定経路glとの角度θは、ほぼ90°になっている。一方、前記超音波送受信ビームBM1,BM3と前記刺入予定経路glとの角度θは、90°よりも小さくなっている。
【0041】
前記超音波プローブ2においては、例えば前記超音波送受信ビームBM1を形成するための超音波の送受信を行なった後、前記超音波送受信ビームBM2を形成するための超音波の送受信を行なう。そして、その後前記超音波送受信ビームBM3を形成するための超音波の送受信を行なう。前記表示制御部5は、前記超音波送受信ビームBM1に基づくBモード画像BI1と、前記超音波送受信ビームBM2に基づくBモード画像BI2と、前記超音波送受信ビームBM3に基づくBモード画像BI3とを加算し、得られた合成画像BIaddを、図10に示すように前記表示部6に表示させる。なお、図10では、説明の便宜上、前記Bモード画像BI1〜BI3の輪郭線が示されているが、実際の合成画像BIaddにはこのような輪郭線は表示されない。
【0042】
また、前記表示制御部5は、図10に示すように、前記表示部6に表示された合成画像BIaddに、穿刺ガイドラインGLを表示させる。本例でも、操作者による前記操作部7の入力によって、前記穿刺ガイドラインGLが表示される。
【0043】
本例においても、前記穿刺ガイドラインGLは、超音波送受信ビームBMと前記穿刺予定経路gl(穿刺ガイドラインGL)との角度θに応じた表示形態で表示される。本例では、前記穿刺ガイドラインGLは、前記超音波送受信ビームBM2が形成された領域Raと、それ以外の領域Rbとで、破線の種類が異なっている。
【0044】
前記超音波送受信ビームBM2が形成された領域Raは、前記Bモード画像BI2と前記Bモード画像BI1の一部とが加算された領域及び前記Bモード画像BI2のみの領域である(平行四辺形の領域)。ちなみに、この領域Raにおいては、前記超音波送受信ビームBM2と穿刺ガイドラインGLとの角度θは、ほぼ90°であり、前記合成画像BIaddにおいて、前記穿刺針11は明瞭に表示される。
【0045】
前記超音波送受信ビームBM2が形成された領域以外の領域Rb、すなわち前記超音波送受信ビームBM1のみが形成された領域、前記超音波送受信ビームBM1,BM3の両者が形成された領域及び前記超音波ビームBM3が形成された領域は、前記Bモード画像BI1のみの領域、前記Bモード画像BI1と前記Bモード画像BI3とが加算された領域及び前記Bモード画像BI3のみの領域である(三角形の領域)。
【0046】
複数の超音波送受信ビームBMが形成されている部分については、前記角度θとして、例えば大きい方の角度を用いる。例えば、前記領域Raは、前記超音波送受信ビームBM1が形成された部分を含むが、この超音波送受信ビームBM1と穿刺予定経路glとの角度よりも、前記超音波送受信ビームBM2と穿刺予定経路glとの角度の方が大きい。従って、前記角度θとして、前記超音波送受信ビームBM2と穿刺予定経路glとの角度を用いて、前記領域Raにおける前記穿刺ガイドラインGLの表示形態を決定する。
【0047】
本例によれば、前記角度θが、ほぼ90°の領域と、それ以外の領域とで、前記穿刺ガイドラインGLの表示形態が異なっている。従って、第一実施形態と同様に、Bモード画像BIにおいて穿刺針11が不明瞭である部分を意識してBモード画像BIを観察することができる。
【0048】
次に、第二実施形態の変形例について説明する。先ず、第一変形例について説明する。第一変形例では、前記表示制御部5は、図11に示すように、前記超音波受信ビームBM2が形成された領域Raを示す輪郭線OLを前記表示部6に表示させる。前記輪郭線OLは、同じ方向に形成される超音波受信ビームの領域を示す領域指示画像の実施の形態の一例である。
【0049】
この第一変形例においても、前記輪郭線OLにより、前記Bモード画像BIにおいて、超音波送受信ビームBMが穿刺針11の刺入予定経路glと直交する領域とそれ以外の領域とを識別しうるので、穿刺針11が明瞭である部分と不明瞭である部分とを意識してBモード画像BIを観察することができる。
【0050】
この第一変形例において、特に図示しないが、前記領域Raではなく、前記領域Rbに前記輪郭線OLが表示されてもよい。前記領域Rbに前記輪郭線OLが表示されることによっても、超音波送受信ビームBMが穿刺針11の刺入予定経路glと直交する領域とそれ以外の領域とを識別しうる。
【0051】
次に、第二変形例について説明する。本例では、図12に示すように、前記超音波送受信ビームBM2が形成された領域Raとそれ以外の領域Rbとで、前記穿刺ガイドラインGLの表示形態が異なる。また、前記領域Rbにおいて、領域Rb1と領域Rb2とで、前記穿刺ガイドラインGLの表示形態が異なる。図12では、前記穿刺ガイドラインGLは、前記領域Raと前記領域Rb1と前記領域Rb2とで、破線の種類が異なっている。
【0052】
前記領域Rb1は、前記領域Rbのうち、前記超音波送受信ビームBM1が形成された領域であり、前記Bモード画像BI1のみの領域及び前記Bモード画像BI1と前記Bモード画像BI3とが加算された領域である。また、前記領域Rb2は、前記領域Rbのうち、前記超音波送受信ビームBM3のみが形成された領域であり、前記Bモード画像BI3のみの領域である。
【0053】
本例によれば、前記角度θに応じて、前記穿刺ガイドラインGLは、三種類の破線で表示され、部分的に表示形態が異なっているので、前記角度θに応じた見え方を意識して穿刺針11を観察することができる。
【0054】
次に、第三変形例について説明する。本例では、図13に示すように、前記領域Raの輪郭線OLa、前記領域Rb1の輪郭線OLb1及び前記領域Rb2の輪郭線OLb2が表示される。前記輪郭線OLa,OLb1,OLb2は、互いに表示形態が異なっている。図13では、前記輪郭線OLaは実線である。また、前記輪郭線OLb1,OLb2は、種類が異なる破線である。
【0055】
ちなみに、他の図において、説明の便宜上示されている、前記Bモード画像BI1及び前記Bモード画像BI3の輪郭線は、図13では図示省略されている。
【0056】
本例によれば、前記角度θに応じて、表示形態が異なる輪郭線OLa,OLb1,OLb2が表示されるので、前記角度θに応じた見え方を意識して穿刺針11を観察することができる。
【0057】
(第三実施形態)
次に、第三実施形態について説明する。以下、第一、第二実施形態とは異なる事項について説明する。
【0058】
本例においても、第二実施形態と同様に、リニア型の超音波プローブを用いた超音波の送受信が行われ、前記超音波送受信ビームBM1〜BM3が形成される。ただし、第二実施形態とは異なり、前記Bモード画像BI1〜BI3が加算された合成画像BIaddは作成されない。本例では、前記超音波送受信ビームBM1を形成するための超音波の送受信、前記超音波送受信ビームBM2を形成するための超音波の送受信、前記超音波送受信ビームBM3を形成するための超音波の送受信が切り替えて行われ、前記超音波送受信ビームBM1〜BM3のいずれかに基づくBモード画像BIが表示される。前記超音波送受信ビームBM1〜BM3の切り替えは、操作者による前記操作部7の入力に基づいて行われる。
【0059】
図14図16に示すように、Bモード画像BI1〜Bモード画像BI3には、前記角度θに応じた表示形態の穿刺ガイドラインGLが表示される。本例でも、前記穿刺ガイドラインGLは破線であり、前記角度θに応じて、破線の種類が異なっている。
【0060】
本例によれば、操作者は、穿刺針11を刺入する前に、前記超音波送受信ビームBMのビーム方向を切り替えて、前記Bモード画像BI1〜BI3のいずれかを表示させる。Bモード画像BI1〜BI3には、前記角度θに応じた表示形態の前記穿刺ガイドラインGLが表示されるので、穿刺針11が最も明瞭に見えるビーム方向を容易に把握することができる。従って、操作者は、穿刺針11を刺入する前に、穿刺針11が最も明瞭に見えるビーム方向を容易に選択することができる。
【0061】
本例では、前記超音波送受信ビームBM2のビーム方向が、穿刺針11が最も明瞭に見える方向である。従って、操作者は、前記超音波送受信ビームBM2のビーム方向を選択してBモード画像BI2を表示させた後、穿刺針11を刺入する。
【0062】
次に、第三実施形態の変形例について説明する。この変形例では、図17図19に示すように、Bモード画像BI1〜BI3の輪郭に、前記角度θに応じた表示形態を有する輪郭線OL1,OL2,OL3が表示される。本例では、前記輪郭線OL1,OL2,OL3は破線であり、破線の種類が異なっている。
【0063】
以上、本発明を前記各実施形態によって説明したが、本発明はその主旨を変更しない範囲で種々変更実施可能なことはもちろんである。例えば、前記穿刺ガイドラインGLの表示形態は、上述のものに限られず、前記角度θに応じて色が異なっていてもよい。また、前記輪郭線OLも、前記角度θに応じて色が異なっていてもよい。
【0064】
また、前記領域Raや前記領域Rb,Rb1,Rb2を示す画像は、前記輪郭線OL,OLa,OLb1,OLb2に限られず、例えば前記領域Raや前記領域Rb,Rb1,Rb2に、色を付してもよい。この場合、前記角度θに応じて異なる色とする。ただし、色を付す場合には、背景のBモード画像BIを透過させる。
【0065】
また、例えば超音波送信ビームのフォーカスを形成しない場合には、前記角度θは、超音波受信ビームのビーム方向と穿刺予定経路glとの角度とする。
【符号の説明】
【0066】
1 超音波診断装置
3 送受信ビームフォーマ(受信ビーム形成部)
5 表示制御部
11 穿刺針
GL 穿刺ガイドライン
gl 刺入予定経路
OL 輪郭線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図15
図16
図17
図18
図19