【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)国等の委託研究の成果に係る特許出願(平成24年度 独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「環境調和型製鉄プロセス技術開発」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記臨時放熱運転において前記熱媒体を前記第2の流量で流出させる際に、前記液位センサに前記熱媒体の液位を検出させ、当該液位が前記吸入口よりも高いうちに、前記流出入制御部を制御して、前記容器の外部に流出する前記熱媒体の流量を、前記潜熱蓄熱体内に流入する前記熱媒体の流量以下の流量にする、請求項1に記載の熱利用方法。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態について、
図1に基づいて説明する。ただし、本発明は、以下に説明する実施形態に限定されるものではない。
【0010】
図1は、一実施形態の潜熱蓄熱装置1について一部を切り欠いて示す側面図である。
図1では、後述する容器4の側面を切り欠いて示しており、容器4の内部が図示されている。また、後述する循環管13(循環管13a、循環管13b)の一部も切り欠いて示している。
【0011】
潜熱蓄熱装置1において、概略的には、熱媒体3が、流入管5から容器4内に流入し、潜熱蓄熱体2と直接接触して熱交換しつつ、比重差によって浮上した後、流出管6から容器4の外部に流出する。
このような潜熱蓄熱装置1は、例えば、ゴミ焼却場、発電所、製鉄所等の工場20で発生した廃熱を、工場20とは別の建屋である施設30においてエアコン等に利用する場合に用いられる。
以下、潜熱蓄熱装置1を詳細に説明する。
【0012】
潜熱蓄熱装置1は、潜熱蓄熱容器である容器4を主体に構成されている。容器4には、潜熱蓄熱体2と熱媒体3とが収容されている。潜熱蓄熱体2としては、例えば、エリスリトール(融点:約118℃)、酢酸ナトリウム三水和物塩(融点:約58℃)等が挙げられる。熱媒体3は、例えば油であり、その具体例としては、鉱油系熱媒体油等が挙げられる。
【0013】
潜熱蓄熱体2と熱媒体3とは互いに混合せず、熱媒体3が潜熱蓄熱体2よりも比重が小さいため、容器4内では、上層に熱媒体3、下層に潜熱蓄熱体2と互いに分離して収容される。潜熱蓄熱体2と熱媒体3とが互いに混合しないため、潜熱蓄熱体2と熱媒体3との間には、それぞれを分離するための部材等は介在しておらず、潜熱蓄熱体2と熱媒体3とは直接接触している。
【0014】
容器4における潜熱蓄熱体2の収容空間である下方空間4aには、流入管5が配置されている。流入管5の外周面には、貫通孔である複数個の吐出口7が形成されている。容器4における下方空間4aの上側の空間である上方空間4bには、熱媒体3が溜まっており、流出管6が配置されている。流出管6の外周面にも、同様に、貫通孔である複数個の吸入口8が形成されている。流入管5および流出管6は、それぞれ、容器4の外部に連通しており、容器4の外部に配置された循環管13を介して、接続している。
【0015】
循環管13の途中には、流出入制御部としてのポンプ10が設置されている。流出管6および流入管5は、循環管13を介してポンプ10に接続している。ポンプ10の作動により、容器4の上方空間4bにある熱媒体3は、流出管6の吸入口8から吸入されて流出管6を流通して容器4の外部に流出し、循環管13を経由して、容器4内の流入管5に導入される。流入管5に導入された熱媒体3は、吐出口7から吐出して、容器4の下方空間4aに収容されている潜熱蓄熱体2内に流入する。熱媒体3の流出および流入の流量(速度)は、ポンプ10の調整によって変動自在である。
【0016】
循環管13は、より詳細には、後述する貯熱運転時に使用される循環管13aと、後述する放熱運転時に使用される循環管13bとに分岐している。循環管13aの途中には、廃熱を発生する廃熱エリアとしての工場20に設置された廃熱エリア熱交換器(以下、単に「熱交換器」という)12aが配設されている。循環管13bの途中には、廃熱を利用する熱利用エリアとしての施設30に設置された熱利用エリア熱交換器(以下、単に「熱交換器」という)12bが配設されている。
【0017】
循環管13の途中には、弁14aおよび弁14b(以下、まとめて「弁14」ともいう)が設けられている。
図1では、放熱運転時における弁14を実線で示しており、貯熱運転時における弁14を破線で示している。放熱運転時には、弁14は循環管13aを塞いでおり、ポンプ10の作動によって、熱媒体3は、循環管13bを通る。一方、貯熱運転時には、弁14は循環管13bを塞いでおり、ポンプ10の作動によって、熱媒体3は、循環管13aを通る。
【0018】
循環管13における熱交換器12aおよび熱交換器12b(以下、まとめて「熱交換器12」ともいう)の下流側であって、流入管5の上流側には、流出入制御部としての流量調整タンク11が配設されている。流量調整タンク11は、ポンプ10の作動により循環管13を通る熱媒体3の一部を貯留して、流入管5に導入される熱媒体3の流量を減じたり、また、貯留した熱媒体3を放出して、流入管5に導入される熱媒体3の流量を増やしたりする。
【0019】
容器4には、上方空間4bに溜まった熱媒体3の液位(液面の位置)を検出する液位センサ9が設けられている。液位センサ9としては特に限定されず、例えば光学的な手段や超音波を用いて非接触で熱媒体3の液位を検出するセンサが好適に挙げられる。なお、液位センサ9は、吸入口8よりも高い液位が検出できればよいが、吸入口8の位置以下にある液位も検出できるものが好ましい。
【0020】
次に、潜熱蓄熱装置1を用いた熱利用方法について説明する。本発明の熱利用方法は、通常運転(貯熱運転および放熱運転)を行なう工程のほか、さらに、臨時運転を行なう工程を備える。
まず、通常運転(貯熱運転および放熱運転)を説明する。貯熱運転を行なった後に放熱運転を行なうことで、工場20の廃熱を潜熱蓄熱体2に熱エネルギーとして貯蔵し、貯蔵した熱エネルギーを取り出して利用できる。
【0021】
<貯熱運転>
貯熱運転を開始する前の時点では、容器4は常温である。このため、容器4の下方空間4aに収容されている潜熱蓄熱体2は、例えばエリスリトールの場合には融点が118℃であるため、固相である。固相である潜熱蓄熱体2の上側の上方空間4bには、液相である熱媒体3が溜まっている。なお、上方空間4bが空である場合には、例えば容器4に設けられた図示しない栓から、液相の熱媒体3を導入すればよい。このとき、熱媒体3の液位は、液位センサ9により検出されており、吸入口8よりも高い所定の位置(以下、「定常位置」ともいう)となっている。
【0022】
貯熱運転では、熱媒体3の液位が吸入口8よりも高い定常位置にある状態で、弁14を動かして循環管13bを塞ぎ、熱媒体3が循環管13aを流通自在な状態にする。このとき、循環管13aの途中に配設されている熱交換器12aには、工場20で発生した廃熱(蒸気)が取り込まれている。
そして、ポンプ10を作動させて、上方空間4bに溜まっている熱媒体3を、吸入口8から吸入して流出管6を通して容器4の外部に流出させる。容器4の外部に流出した熱媒体3は、循環管13aを流通する過程で、熱交換器12aにおいて、取り込まれている蒸気と熱交換して加熱される。なお、熱交換器12aに取り込まれている蒸気は、熱交換により除熱され、適宜排気される。
【0023】
熱交換して加熱された熱媒体3(以下、便宜的に、熱交換した熱媒体3を「熱媒体3a」ともいう)は、続けて、ポンプ10の作動により、流量調整タンク11を経由して、流入管5を通り吐出口7から吐出して、容器4の下方空間4aに収容されている潜熱蓄熱体2に流入する。なお、通常の貯熱運転においては、流量調整タンク11による熱媒体3(熱媒体3a)の流量調整は行なわれない。
潜熱蓄熱体2内に流入した熱媒体3aは、比重が潜熱蓄熱体2よりも小さいため、上方空間4bの熱媒体3まで浮上して、熱媒体3に取り込まれる。熱媒体3aは、浮上中に、潜熱蓄熱体2と直接接触して熱交換する。すなわち、熱媒体3aに供給された熱は、潜熱蓄熱体2に伝導される。
【0024】
上述したように、貯熱運転の開始時点において、潜熱蓄熱体2は固相であるが、貯熱運転を継続することにより、容器4に収容されている潜熱蓄熱体2および熱媒体3の温度が上昇し、潜熱蓄熱体2の温度が融点に達すると、潜熱蓄熱体2は次第に融解し、融解の過程で、潜熱を貯熱する。こうして、工場20で発生した廃熱が、潜熱蓄熱装置1の潜熱蓄熱体2に貯熱される。
【0025】
このような貯熱運転においては、上述したように、流量調整タンク11は作動させないでポンプ10を作動させる。このため、流出管6を経由して上方空間4bから容器4の外部に流出する熱媒体3の流量(以下、「流出流量」ともいう)と、容器4の外部から流入管5を経由して容器4内の潜熱蓄熱体2に流入する熱媒体3(熱媒体3a)の流量(以下、「流入流量」ともいう)とは、同量である。
熱媒体3の流出流量と流入流量とが同量であるため、液位センサ9により検出される熱媒体3の液位は、貯熱運転の間、定常位置からほぼ不変である。
【0026】
<放熱運転>
次に、通常の放熱運転を説明する。基本的な流れは、貯熱運転と同じである。
放熱運転の開始時点(貯熱運転の終了時点)では、容器4の下方空間4aに収容されている潜熱蓄熱体2は、部分的な場合を含めて液相であり、潜熱を貯熱している。また、上方空間4bに溜まっている熱媒体3も、潜熱蓄熱体2の融点と同程度の高温となっており、かつ、液位が吸入口8よりも高い定常位置にある。
【0027】
このような状態で、弁14を動かして循環管13aを塞ぎ、熱媒体3が循環管13bを流通自在な状態にする。このとき、循環管13aの途中に配設されている熱交換器12aには、施設30において、エアコンに使用される熱媒体である気体や液体等の流体が取り込まれている。
そして、ポンプ10を作動させて、上方空間4bに溜まっている高温の熱媒体3を、吸入口8から吸入して流出管6を通して容器4の外部に流出させる。容器4の外部に流出した熱媒体3は、循環管13bを流通する過程で、熱交換器12bに取り込まれている流体と熱交換して除熱される。熱交換器12bに取り込まれている流体は、熱を帯びた熱媒体3から熱伝導されて加熱され、施設30のエアコンの熱媒体として使用される。こうして、貯熱運転で潜熱蓄熱体2に貯熱された工場20の廃熱が、取り出されて利用される。
【0028】
熱交換した低温の熱媒体3(熱媒体3a)は、続けて、ポンプ10の作動により、流量調整タンク11を経由して、流入管5を通り吐出口7から吐出して、潜熱蓄熱体2内に流入する。なお、通常の貯熱運転と同様に、通常の放熱運転においても、流量調整タンク11による熱媒体3(熱媒体3a)の流量調整は行なわれない。
潜熱蓄熱体2内に流入した低温の熱媒体3aは、潜熱蓄熱体2との比重差によって浮上する。このとき、低温の熱媒体3aは、浮上中に、潜熱蓄熱体2と熱交換し、液相の潜熱蓄熱体2から伝熱されて、高温の熱媒体3aと化して、上方空間4bにある高温の熱媒体3に取り込まれる。
【0029】
放熱運転を継続することにより、上方空間4bにある高温の熱媒体3を取り出して、連続的に熱利用できるが、放熱運転の期間が長くなると、容器4内の潜熱蓄熱体2および熱媒体3の温度は下降する。そして、潜熱蓄熱体2の温度が凝固点に達すると、潜熱蓄熱体2が次第に凝固し、潜熱を放熱する。
【0030】
このような放熱運転においても、流量調整タンク11は作動させないでポンプ10を作動させるため、やはり、熱媒体3の流出流量と流入流量とは同量である。したがって、貯熱運転と同様、通常の放熱運転の間も、液位センサ9により検出される熱媒体3の液位は、定常位置からほぼ不変である。
【0031】
もっとも、放熱運転における熱媒体3の流量(流出流量および流入流量)は、以下に説明するように、熱媒体3と潜熱蓄熱体2との熱交換速度によって上限が決定される。
まず、放熱運転においては、流入管5から流入した低温の熱媒体3aが、浮上中に潜熱蓄熱体2と熱交換し、高温となって上方空間4bにある高温の熱媒体3に取り込まれる。 しかし、このとき、熱媒体3aの流入速度が速すぎると、潜熱蓄熱体2との熱交換が不十分となって、高温とならないまま、上方空間4bにある熱媒体3に取り込まれてしまう。そうすると、上方空間4bにある熱媒体3の温度が低下し、低温の熱媒体3が流出することになる。低温の熱媒体3が流出すると、施設30での熱交換器12bにおける熱利用の観点から好ましくない。
このため、放熱運転における熱媒体3の流量は、流入管5から流入した低温の熱媒体3aが、その浮上中に潜熱蓄熱体2と十分に熱交換できて高温となる流量に設定する。このように、熱媒体3と潜熱蓄熱体2との熱交換速度によって上限が決定される熱媒体3の流量を「第1の流量」とする。「第1の流量」は、この上限の流量を含む、ある程度の幅を持った流量である。
放熱運転における熱媒体3の流出流量および流入流量は、「第1の流量」の範囲で、ともに同量とする。
【0032】
<臨時放熱運転>
ところで、貯熱運転の終了後または通常の放熱運転の途中において、例えば、冬の明け方に施設30内に設置されているエアコンの稼働台数や設定温度を上げたい場合など、一時的に熱利用量を増大させたい場合も想定される。その場合、熱媒体3の流量を「第1の流量」の上限よりも大きくすることを要するが、そうすると、上述したように、低温の熱媒体3が容器4から流出してしまうため、熱利用の観点から問題となる。
しかしながら、このとき、潜熱蓄熱装置1において、後述する臨時放熱運転を行えば、一時的に熱利用量を増大できる。以下、臨時放熱運転について説明する。
【0033】
貯熱運転の終了後または通常の放熱運転の途中においては、上方空間4bの熱媒体3は、潜熱蓄熱体2の融点と同程度の高温となっており、かつ、液位が吸入口8よりも高い定常位置にある。
この状態で、まず、ポンプ10を調整して、上方空間4bからの熱媒体3の流出流量を、一時的に「第1の流量」の上限よりも大きい「第2の流量」にする。熱媒体3の流出流量を「第2の流量」にすれば、熱交換器12bにおいて、施設30内に設置されたエアコンの熱媒体である流体と熱交換できる熱媒体3の量も増大するため、施設30内に設置されたエアコンの稼働台数や設定温度を上げたい場合など、一時的な熱利用量の増大に対応できる。
【0034】
ところで、熱媒体3の流出流量を「第2の流量」にすると、容器4に流入する熱媒体3aの流入流量も「第2の流量」となり得るが、このとき、流量調整タンク11を作動して熱媒体3の一部を貯留させ、熱媒体3aの流入流量を「第1の流量」にする。
これにより、熱媒体3aの流入流量は、最大でも、熱媒体3と潜熱蓄熱体2との熱交換速度により決定される上限の流量となるため、流量が速すぎて潜熱蓄熱体2との熱交換が不十分で高温とならないまま、上方空間4bにある熱媒体3に取り込まれることがなくなる。つまり、上方空間4bにある熱媒体3の温度が低下して、低温の熱媒体3が流出管6から流出することが防止される。このように、臨時放熱運転では「第2の流量」で流出させて、熱利用することができる。
なお、熱媒体3の流入流量は「第1の流量」にするが、ゼロにはしない。これは、流入管5の吐出口7から吐出する熱媒体3の流量をゼロにすると、潜熱蓄熱体2が吐出口7から逆流するおそれがあるからである。
【0035】
臨時放熱運転では、熱媒体3の流出流量が流入流量よりも大きくなるため、上方空間4bにある熱媒体3の量が減少して熱媒体3の液位が低下する。
しかし、臨時放熱運転の開始前である貯熱運転の終了後または通常の放熱運転の途中においては、上述したように、熱媒体3の液位は吸入口8よりも高い定常位置にあるので、臨時放熱運転の開始後、しばらくは、高温の熱媒体3を流出できる。
【0036】
もっとも、熱媒体3の液位の低下が進み、吸入口8よりも低くなると、熱媒体3を流出できなくなる。そこで、熱媒体3を「第2の流量」で流出させる際には、液位センサ9に熱媒体3の液位を検出させる。そして、熱媒体3の液位が吸入口8よりも高いうちに、再びポンプ10を調整し、熱媒体3の流出流量を、現状で「第1の流量」である流入流量以下の流量にする。例えば、流出流量を、「第1の流量」の範囲で、流入流量と同じにする。これにより、熱媒体3の液位が低下しすぎて熱媒体3が流出できなくなることが防止される。こうして、臨時放熱運転が終了する。
【0037】
臨時放熱運転が終了した後、例えば、「第1の流量」の範囲で流出流量と流入流量とを同量にした場合には、上述した通常の放熱運転に移行することになる。
ところで、臨時放熱運転が終了した時点では、流量調整タンク11には、流入流量を減じるために貯留していた熱媒体3が貯えられている。そこで、臨時放熱運転の終了後に移行した放熱運転において流量調整タンク11の熱媒体3を放出してもよい。この場合、例えば、ポンプ10を調整して、容器4から外部に流出する熱媒体3の流出流量を「第1の流量」の上限よりも小さくしつつ、流量調整タンク11から熱媒体3を徐々に放出させ、容器4内の潜熱蓄熱体2に流入する熱媒体3の流入流量を「第1の流量」の上限以下の流量とすればよい。
また、臨時放熱運転の終了後に移行した放熱運転は、流量調整タンク11から熱媒体3を放出させずに通常どおりに行ない、放熱運転後の貯熱運転において、流量調整タンク11から熱媒体3を放出させるようにしてもよい。
【0038】
次に、上方空間4bにおける、流出管6の吸入口8の位置よりも上側の空間(以下、便宜的に「有効空間4b1」ともいう)について説明する。
有効空間4b1の容積は、容器4および下方空間4aの寸法が一定であれば、上方空間4bにおける流出管6の位置に応じて変動する。
ここで、流出管6の位置が高く、有効空間4b1の容積が小さすぎる場合、上述した臨時放熱運転の際に、高温のまま流出する熱媒体3の量が相対的に少なくなってしまう。このため、臨時放熱運転を長くできる観点からは、有効空間4b1の容積は大きい方が好ましい。
一方で、有効空間4b1の容積が大きすぎる場合、有効空間4b1の上部にある熱媒体3は、下方空間4aにある潜熱蓄熱体2からの熱を受けにくく、冷めやすい等の問題が生じるおそれがある。
そこで、有効空間4b1の容積は、容器4の全容積に対して、10〜40%が好ましく、20〜30%がより好ましい。この範囲であれば、臨時放熱運転を適宜に長くでき、かつ、熱媒体3も冷めにくくできる。
【0039】
なお、流出管6の位置を変更して有効空間4b1の容積を設定するに際しては、流出管6の位置が低すぎると、吸入口8から熱媒体3を吸入する際に潜熱蓄熱体2を巻き込んで吸入してしまうおそれがあるため、潜熱蓄熱体2が混入しない程度に下方空間4bから離れた高さにあるのが好ましい。
【0040】
以上、本実施の形態では、1台の熱交換器12aまたは熱交換器12bに対して、1台の潜熱蓄熱装置1が設置された例を示したが、複数台の潜熱蓄熱装置1が設置されていてもよい。その場合、1台目の潜熱蓄熱装置1で貯熱運転を終えた後に放熱運転を行なっている最中に、2台目の潜熱蓄熱装置1で貯熱運転を行なうことで、1台目の潜熱蓄熱装置1による放熱運転の後、連続的に、2台目の潜熱蓄熱装置1による放熱運転を行なうことができるため、効率的に熱利用できる。
【実施例】
【0041】
以下に、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0042】
図1に基づいて説明した潜熱蓄熱装置1を用いて、高温の熱媒体3を取り出して熱利用を行なった。
このとき、容器4の寸法は、長さ0.7m×幅0.7m×高さ1.0mで、有効空間4b1の容積は、容器4の全容積に対して30%であった。
また、潜熱蓄熱体2としてエリスリトール(融点:118℃)300kgを用い、熱媒体3として油(NeoSK−OIL L400(綜研テクニックス社製))を用いた。
なお、潜熱蓄熱体2と熱媒体3との熱交換速度によって決定される「第1の流量」の上限を、70L/minとした。
放熱運転および臨時放熱運転において熱利用に供されて容器4内に流入する熱媒体3の温度は、90℃で一定に保った。
【0043】
(実験例1)
まず、通常の貯熱運転を行ない潜熱蓄熱体2を融解させた。
次に、通常の放熱運転として、ポンプ10を作動させ、容器4に収容されている熱媒体3を流出流量60L/minで容器4の外部に流出させて熱利用に供しつつ、流量調整タンク11を作動させないで、流出流量と同じ流入流量60L/minで容器4内に流入させた。このような放熱運転を30分間行なったが、この間、容器4の外部に流出した熱媒体3の平均温度は、114℃であった。
【0044】
(実験例2)
まず、通常の貯熱運転を行ない潜熱蓄熱体2を融解させた。
次に、通常の放熱運転として、ポンプ10を作動させ、容器4に収容されている熱媒体3を流出流量120L/minで容器4の外部に流出させて熱利用に供しつつ、流量調整タンク11を作動させないで、流出流量と同じ流入流量120L/minで容器4内に流入させた。このような放熱運転を15分間行なったが、この間、容器4の外部に流出した熱媒体3の平均温度は、105℃であった。
【0045】
(実験例3)
まず、通常の貯熱運転を行ない潜熱蓄熱体3を融解させた。貯熱運転の終了後における容器4の熱媒体3の温度は115℃であった。
次に、液位センサ9に容器4内の熱媒体3の液位を検出させて、熱媒体3の液位が吸入口8よりも高く保たれていることを確認しながら、2分間の臨時放熱運転を行なった。具体的には、ポンプ10を作動させ、容器4に収容されている熱媒体3を流出流量120L/minで容器4の外部に流出させて熱利用に供しつつ、流量調整タンク11を作動させて、流入流量60L/minで容器4内に流入させた。この間、容器4の外部に流出した熱媒体3の温度は114℃であった。なお、容器4内の熱媒体3の液位は、臨時放熱運転中に低下を続けたが吸入口8よりは高く推移し、容器4の外部への熱媒体3の流出は終始可能であった。
臨時放熱運転の終了後、通常の放熱運転を行なった。具体的には、ポンプ10を調整して、熱媒体3を流出流量60L/minで容器4の外部に流出させて熱利用に供しつつ、臨時放熱運転時に流量調整タンク11に貯えられた熱媒体3を放出させないで、流出流量と同じ流入流量60L/minで容器4内に流入させた。このとき、容器4の外部に流出した熱媒体3の平均温度は、当初は114℃であったが、放熱の進行につれて低下した。