特許第5908908号(P5908908)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5908908ディスクフィルターのためのフィルター区分の製造方法及びフィルター区分
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5908908
(24)【登録日】2016年4月1日
(45)【発行日】2016年4月26日
(54)【発明の名称】ディスクフィルターのためのフィルター区分の製造方法及びフィルター区分
(51)【国際特許分類】
   B29C 45/14 20060101AFI20160412BHJP
   B29K 23/00 20060101ALN20160412BHJP
   B29K 105/12 20060101ALN20160412BHJP
   B29L 12/00 20060101ALN20160412BHJP
【FI】
   B29C45/14
   B29K23:00
   B29K105:12
   B29L12:00
【請求項の数】9
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2013-527038(P2013-527038)
(86)(22)【出願日】2011年8月30日
(65)【公表番号】特表2013-539431(P2013-539431A)
(43)【公表日】2013年10月24日
(86)【国際出願番号】SE2011051035
(87)【国際公開番号】WO2012030285
(87)【国際公開日】20120308
【審査請求日】2014年7月29日
(31)【優先権主張番号】1050901-6
(32)【優先日】2010年9月2日
(33)【優先権主張国】SE
(73)【特許権者】
【識別番号】506056620
【氏名又は名称】ベオリア ワーテル ソルスィヨン エ テクノロジ シュポール
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100102819
【弁理士】
【氏名又は名称】島田 哲郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100153084
【弁理士】
【氏名又は名称】大橋 康史
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100133008
【弁理士】
【氏名又は名称】谷光 正晴
(72)【発明者】
【氏名】オーケ ラルベルト
【審査官】 深草 祐一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−345195(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第01872843(EP,A1)
【文献】 特表平09−509092(JP,A)
【文献】 実開昭55−115321(JP,U)
【文献】 特開2009−136865(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 45/00−45/24,45/46−45/63,45/70−45/72,45/74−45/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスクフィルター(9)のためのディスク形状のフィルター区分(1)の製造方法であって、前記フィルター区分(1)が、フィルターフレーム(2)とフィルター材(3)とを具備し、前記フィルターフレーム(2)が、前記ディスクフィルター(9)のフィルター支持部(8)のために構成される製造方法において、
前記フィルターフレーム(2)の下半分(4a)及び上半分(4b)における射出成形であって、前記フィルター材(3)が、伸長され、射出成形の間に前記フィルターフレーム(2)の下半分(4a)及び上半分(4b)において伸長された状態で一体化され、前記フィルター材(3)は、射出成形後に前記フィルター区分(1)が冷却されるときに収縮する加熱された布を用いることによって伸長され、前記フィルター材(3)が、射出成形後に材料の残留張力を呈する射出成形を特徴とする製造方法。
【請求項2】
前記フィルターフレーム(2)の前記下半分(4a)が、第1の工程において射出成形され、次いで前記フィルター材(3)が、前記下半分(4a)に対して配置されて伸長され、前記フィルターフレーム(2)の前記上半分(4b)が、第2の工程において射出成形され、該第2の工程において前記フィルター材(3)が、前記フィルターフレーム(2)の前記下半分(4a)及び前記上半分(4b)において一体化されることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記フィルターフレーム(2)が、略細長い形状を有し、少なくとも1つの補強梁(5)が前記フィルターフレームの長手側部(6、7)間に延在することを特徴とする請求項1又は2に記載の製造方法。
【請求項4】
前記補強梁(5)が、射出成形によってフィルター布(3)において一体化されたことを特徴とする請求項3に記載の製造方法。
【請求項5】
フィルターフレーム(2)及びフィルター材(3)を有するディスクフィルター(9)のためのフィルター区分(1)であって、前記フィルターフレーム(2)が、前記ディスクフィルター(9)のフィルター支持部(8)のために構成されるフィルター区分(1)において、
射出成形された前記フィルターフレーム(2)であって、当該フィルターフレーム(2)の下半分(4a)と当該フィルターフレーム(2)の上半分(4b)との間において伸長された状態で一体化された前記フィルター材(3)を有し、前記フィルター材(3)は、射出成形によって加熱された状態から冷却されるときに収縮して伸張したであり、前記フィルター材(3)が材料の残留張力を呈する、フィルターフレーム(2)を特徴とするフィルター区分(1)。
【請求項6】
前記フィルターフレーム(2)が略細長い形状を有し、少なくとも1つの補強梁(5)が、前記フィルターフレームの長手側部(6、7)間に延在することを特徴とする請求項5に記載のフィルター区分(1)。
【請求項7】
前記補強梁(5)が、射出成形によってフィルター布(3)において一体化されたことを特徴とする請求項6に記載のフィルター区分(1)。
【請求項8】
前記フィルターフレーム(2)がガラス繊維強化ポリプロピレンで構成されることを特徴とする請求項5から請求項7のいずれか1つに記載のフィルター区分(1)。
【請求項9】
前記フィルター材(3)がポリエステルを含むことを特徴とする請求項5から請求項8のいずれか1つに記載のフィルター区分(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスクフィルターのためのディスク形状のフィルター区分を製造するための方法及び装置に関し、そのフィルター区分は、フィルターフレーム及びフィルター材を具備し、そのフィルターフレームは、ディスクフィルターのフィルター支持部のために構成される。
【背景技術】
【0002】
ディスクフィルターのためのフィルターフレームは、欧州特許出願公開第1872843号明細書によって既に公知である。フィルターフレームは、鋳造アルミフレームと、接着によってそれに取り付けられたフィルター材と、から構成される。フィルター材は、金属製の布、繊維材又はプラスチック材料であってもよく、フレームに取り付けられ、フレームへの接着前において、布の周りに吊り下げられた重さによって予張力を付与される。ステンレス鋼のフィルターフレーム又は予張力を付与されたガラス繊維も従来から用いられてきており、且つ、既製の形状から構成され、フィルターフレームを形成するために共に結合される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
アルミ製のフィルターフレームは、既製の形状のフレームの構成と比較して多大な労働作業を減らしてきたが、布に予張力が付与されるときに大量のフィルター材が消費され、更に、フレームの機械加工及び布の接着に多くの時間がかかる、といった課題が残る。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の目的は、フィルターフレーム内のフィルター材の設置を行うための少ない且つ短い労働作業による大量生産に適したフィルターフレームを製造することにある。
【0005】
本発明に係る実施形態によれば、これらの目的及び他の目的は、ディスクフィルターのためのディスク形状のフィルター区分の製造方法によって実現され、そのフィルター区分は、フィルターフレームとフィルター材とを具備し、そのフィルターフレームが、ディスクフィルターのフィルター支持部のために構成され、フィルターフレームの下半分及び上半分における射出成形であって、下半分と上半分との間に配置されたフィルター材を有し、そのフィルター材が伸長され、射出成形の間に伸長された状態でフィルターフレームの下半分及び上半分において一体化され、フィルター材が、射出成形後に材料の残留張力を呈する射出成形を特徴とする製造方法によって実現される。従って、フィルターフレームは、所定の位置においてフィルター材と共に製造される。従って、後続の設置及び接着は、もはや必要ない。
【0006】
好適には、フィルターフレームの下半分が、第1の工程において射出成形され、次いでフィルター材が、下半分に対して配置されて伸長され、フィルターフレームの上半分が、第2の工程において射出成形され、第2の工程においてフィルター材が、フィルターフレームの下半分及び上半分において一体化される。2工程の射出成形によって、フィルター区分の十分な品質が保証される。
【0007】
好適には、射出成形後にフィルター材は、2N/cmより大きな材料の残留張力を呈する。この材料内の残留張力は、水処理のためにディスクフィルターに付与し得る力に耐えるのに十分である。
【0008】
好適な実施形態において、フィルターフレームは、略細長い形状を有し、少なくとも1つの補強梁がフィルターフレームの長手側部間に延在し、射出成形によってその補強梁は、フィルター布において一体化される。補強梁は、安定性を向上させ、フィルター区分における大きな荷重を許容する。
【0009】
本発明は更に、フィルターフレーム及びフィルター材を有するディスクフィルターのためのフィルター区分であって、フィルターフレームが、ディスクフィルターのフィルター支持部のために構成されるフィルター区分において、射出成形されたフィルターフレームであって、そのフィルターフレームの下半分とそのフィルターフレームの上半分との間において伸長された状態で一体化されたフィルター材を有し、フィルター材が、射出成形後に材料の残留張力を呈するフィルターフレームを特徴とするフィルター区分に関する。伸長された状態でフィルター材を一体化することによって、荷重付与されたときにフィルター材の少ない膨張を呈する完成した製品が実現される。
【0010】
好適には、フィルターフレームは、ガラス繊維強化ポリプロピレンから構成される。この材料は、射出成形に適しており、フィルターフレームの軽量化を可能とする。
【0011】
好適には、フィルター材は、ポリエステルを含む。十分な強度を呈するポリエステルのフィルター布は、適したフィルター特性で製造されてもよく、フィルターフレームの材料における一体化が可能である。
【0012】
本発明は、ここで例示によって本発明に係る好適な実施形態を示す添付の概略図を参照し、より詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1a】本発明に係るディスクフィルターのためのフィルター区分を上面図で示す概略図である。
図1b】本発明に係るディスクフィルターのためのフィルター区分を側面図で示す概略図である。
図2図1に係る3つのフィルター区分を備えたディスク形状のフィルター要素の概略的斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1a及び図1bにおいて、ディスクフィルターのホルダー(図示せず)内に適合するように設計されたフィルターフレーム2を具備する、従来のディスクフィルター(図示せず)において使用するためのディスク形状のフィルター区分1又はプラスチックパネルが示されている。フィルターフレーム2は、概して細長い形状を有し、上下逆のコーン状の円錐台としてここで示されており、ディスクフィルターのフィルター要素(図示せず)の大部分に亘り径方向へと延在して向かっている。好適には、フィルターフレーム2は、ガラス繊維強化ポリプロピレン又は類似の特性を備える他のプラスチック材料から成り、フィルターフレーム2の下半分4aとフィルターフレーム2の上半分4bとの間の平面に一体化されて配置された、伸長された状態のフィルター材3と共に射出成形される。フィルター材3は、ポリエステル布を有するが、当然のことながら、他のプラスチック材料又は金属で作られてもよい。フィルター材3の一体化は、射出成形の間、フィルターフレーム2のプラスチックが布を通りこれをフィルターフレーム2に固定することを示す一方で、同時に布がフィルターフレーム2を強化する。フィルター材3の伸長は、フィルターフレーム2を射出成形するために用いられる成形部のすぐ外側の布を固定し、次いで固定された布を伸長し、又は、射出成形後の加熱された布を用いてフィルター区分1が冷却されるときに収縮させるといった様々な方法で実現されてもよい。従って、射出成形後、フィルター材3は、材料の残留張力を呈し、2N/cmより大きく、好適には4N/cmより大きい。力が付与されたときにフィルターフレーム2が内方に膨張してはならないため、補強梁5が、フィルターフレームの長手側部6及び長手側部7との間で延在する。例えばディスクフィルターの水処理中に、空気洗浄のために用いられる類似のフィルターと比較して、より高い圧力を受けるため、こうしたフィルター材3の予張力は重要である。
【0015】
補強梁5は、射出成形によってフィルター材3に一体化され、フィルター材3の両側に好適に延在する。フィルター材3の残留張力は、従来の接着された布と比較して、力が付与されたときの布の膨張を低減させる。補強梁5も布の膨張の低減に貢献する。低減された膨張によって疲労摩耗が低減されるため、布の長期の耐用年数を実現し、同時に、低減された膨張は、ディスクフィルターのより短い構成長さを実現するのに必要である。
【0016】
図2に示されたように、フィルター区分1は、ディスクフィルター9のホルダー内に摺動されることを意図され、或いは、別の方法で、図2におけるディスクフィルター9のフィルター支持部8の側部のそれぞれに解放可能に取り付けられることを意図されている。図2において、3つのフィルター区分がフィルター支持部8に配置されて示されている。複数のディスク形状のフィルター区分1は、フィルター支持部8の各側部において略円筒のディスク形状のフィルター区分11を形成するためにディスクフィルター9の中央円筒部10の周りに配置されている。図2のディスク形状のフィルター要素11は、フィルター区分1のための14の位置を有するが、当然のことながら、位置の数はディスクフィルター9のサイズによって変更し得る。こうして清浄されるように意図された液体は、中央円筒部10の開口部12を通って流れ、フィルター支持部8の周りに配置された2つのフィルター要素11を通り、次いで各フィルター区分1内のフィルター材3を通過するように出て、汚染物質が布で採取され得ることを可能とする。
図1a
図1b
図2