(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5908912
(24)【登録日】2016年4月1日
(45)【発行日】2016年4月26日
(54)【発明の名称】強化されたガラスエンクロージャおよびその強化方法
(51)【国際特許分類】
C03B 23/037 20060101AFI20160412BHJP
C03B 23/047 20060101ALI20160412BHJP
H01J 5/02 20060101ALI20160412BHJP
【FI】
C03B23/037
C03B23/047
H01J5/02 A
【請求項の数】9
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-532856(P2013-532856)
(86)(22)【出願日】2011年10月3日
(65)【公表番号】特表2013-545699(P2013-545699A)
(43)【公表日】2013年12月26日
(86)【国際出願番号】US2011054552
(87)【国際公開番号】WO2012047784
(87)【国際公開日】20120412
【審査請求日】2014年10月2日
(31)【優先権主張番号】61/391,146
(32)【優先日】2010年10月8日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】397068274
【氏名又は名称】コーニング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【弁理士】
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100090468
【弁理士】
【氏名又は名称】佐久間 剛
(72)【発明者】
【氏名】アミン,ジェイミン
(72)【発明者】
【氏名】ムセンロー,デイヴィッド ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】ウィークス,ウェンデル ピー
【審査官】
岡田 隆介
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2010/021746(WO,A1)
【文献】
独国特許出願公開第102007051370(DE,A1)
【文献】
特開2004−043230(JP,A)
【文献】
独国特許出願公開第102006024566(DE,A1)
【文献】
特開2006−335577(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C03B 23/00−23/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
3次元的に成形されたガラス壁部を有するエンクロージャを作製する方法であって、
1回分のガラス分量をプリフォームに成形するステップであって、該プリフォームのプリフォーム断面の形状が、3次元の前記ガラス壁部の、より小さい断面形状に対応したものであるステップ、
前記プリフォームの表面部を、該プリフォームの形状を調節するように、または該プリフォームから可視の表面欠陥を除去するように、仕上げするステップ、
前記プリフォームを、前記プリフォーム断面に垂直な伸長軸に沿って延伸して、前記プリフォームを前記より小さい断面形状へと縮小させるステップ、および、
前記より小さい断面形状を焼戻しして、圧縮応力を受けた表面層をその上に有する前記ガラス壁部を生成するステップ、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記プリフォーム断面と前記より小さい断面形状との間のサイズ比率が、2:1から50:1までの範囲内であることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記より小さい断面形状が含む少なくとも1つの断面寸法が、該より小さい断面形状のための形状仕様を、該形状仕様の対応する寸法から0.25%の範囲内で満たしていることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記プリフォーム断面が2以上の異なるガラスの部分を含み、さらに該ガラスのうちの少なくとも1つが、半透明の部分、有色の部分、または不透明な部分、を形成することを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記プリフォームが、鋳造、プレス加工、機械加工、サギング、再成形、および押出成形から成る群から選択されるプロセスにより形成されることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項6】
前記ガラス壁部を、化学的イオン交換プロセスにより焼戻しすることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項7】
前記ガラス壁部の断面形状が、開口した、U字型構造または3面チャネル型構造であることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項8】
前記ガラス壁部が、長円形、正方形、スプライン形状、三角形、および長方形の形状から成る群から選択される、閉じた非円形断面形状を有することを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項9】
3次元的に成形されたガラス壁部を有するエンクロージャと、電子表示機器とを含む電子機器を製造する方法であって、当該方法が、
前記エンクロージャを作製するステップ、および、
前記エンクロージャ内に前記電子表示機器を少なくとも部分的に配置するステップ、
を含み、
前記エンクロージャを作製する前記ステップが、
1回分のガラス分量をプリフォームに成形するステップであって、該プリフォームのプリフォーム断面の形状が、3次元の前記ガラス壁部の、より小さい断面形状に対応したものであるステップ、
前記プリフォームの表面部を、該プリフォームの形状を調節するように、または該プリフォームから可視の表面欠陥を除去するように、仕上げするステップ、
前記プリフォームを、前記プリフォーム断面に垂直な伸長軸に沿って延伸して、前記プリフォームを前記より小さい断面形状へと縮小させるステップ、および、
前記より小さい断面形状を焼戻しして、圧縮応力を受けた表面層をその上に有する前記ガラス壁部を生成するステップ、
を含むことを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【0001】
本出願は、その内容が引用され、その全体が参照することにより本書に組み込まれる、2010年10月8日に出願された米国仮特許出願第61/391146号の優先件の利益を米国特許法第119条の下で主張するものである。
【技術分野】
【0002】
本開示は、ガラス製造分野のものであり、特に、電子機器用の壁部の薄い高強度ガラスエンクロージャの製造に関する。
【背景技術】
【0003】
ガラスエンクロージャを製造する従来のプロセスは、成形を、すなわち、プレス加工、吹込成形、延伸成形、ヘラ絞り加工、および鋳造を含むものである。こういったプロセスは長い間、食品容器から食器、白熱灯エンベロープ、陰極線管バルブ、蛍光灯や実験器具などの用途のための引き伸ばした管に至るまで、様々な製品の製造に使用されてきた。
【0004】
従来のガラスエンクロージャのほとんどの用途では、着色不純物を含まないガラスを必要としないし、光学的品質の表面仕上げも必要としない。これは、光学的欠陥が存在していないことが典型的には必須である、テレビ用、コンピュータモニタ用、そして携帯電話、ラップトップコンピュータ、および携帯型エンターテイメントデバイスを含めた他のコンシューマ電子機器用のディスプレイ画面などの、高度な技術用途のためのフラットガラスとは対照的である。
【0005】
多くの容器用途にとって、ガラスは金属やプラスチックを上回る多くの利点を提供し、例えば、透明性、硬度、耐熱性、耐化学攻撃性、および高電気抵抗性が挙げられる。ただし、通常のガラスの耐破壊性は、物理的衝撃や高応力に曝されることが推定される用途には適していないと一般に考えられる。すなわち、タンブラーなどのガラス食器や窓ガラス用の平坦なガラスは、応力または衝撃による破損への耐性を高めることが必要であるとき、熱的なまたはさらには化学的な焼戻しによって多くの場合強化される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ガラスは高温で溶解しかつ成形しなければならないため、その用途が形状精度、光学的透明度、および/または光学的表面仕上げを必要とする、容器や、または他のエンクロージャ用の成形構成要素の作製に使用するには、ガラスは一般に適していないと考えられていた。レンズや望遠鏡のミラーブランクなどの3次元湾曲面を有するガラス製品を光学的に仕上げするための既存のプロセスは、容器表面の仕上げに適したものではなく、また極めて高価である。すなわち、既存の技術は、ガラスから精密な形と欠陥のない表面とを必要とする容器またはエンクロージャを製造するには、あまり適していない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は、光学的欠陥を実質的に含まない高形状精度のガラスエンクロージャおよびエンクロージャ構成要素と、さらにこれらを作製する方法とを提供する。この構成要素は、光学的品質のガラスや熱的または化学的焼戻しに適しているガラスを含めた、幅広い種類のガラスから作製することができる。さらにこの方法は、幅広く様々な精密な断面形状を有した、軸方向に延びるエンクロージャまたはエンクロージャ構成要素の製作に適合させることができる。
【0008】
特定の実施形態によれば、本開示は3次元的に成形された3次元ガラス壁部を有するエンクロージャを作製する方法を含み、この方法は、1回分のガラス分量をプリフォームに成形するステップであって、このプリフォームのプリフォーム断面の形状が3次元ガラス壁部のより小さい断面形状に対応したものである、最初のステップを含む。その後必要であれば、プリフォームの少なくとも表面部を、任意の可視の光学面の欠陥を除去するように、および/または幾何公差を満たすように、仕上げし、さらにプリフォーム断面に垂直な伸長軸に沿ってプリフォームを延伸して、プリフォームのサイズを3次元ガラス壁部のより小さい断面形状へと減少すなわち縮小させる。その後、より小さい断面形状またはそれに含まれる部分を焼戻しして、圧縮応力を受けた表面層をその上に有する強化されたガラス壁部を生成する。
【0009】
前述の方法に従って作製される3次元的に成形されたガラス壁部は、軸方向に延びている、ほぼ無制限の様々な湾曲または傾斜した断面形状で生み出すことができる。特定の実施形態は、U字型または3面チャネル型などの開口した湾曲または傾斜形状の他、傾斜した非円形形状を含む閉じた形状を含む。例としては、規則的な閉じた形状である、長円形、正方形、三角形、または長方形の断面の他、スプライン形状などの不規則な形状が挙げられる。
【0010】
本書で説明するようなエンクロージャまたはエンクロージャ壁部の提供する電気的、化学的、および物理的特性により、このエンクロージャまたはエンクロージャ壁部は、高感度電子回路を組み込んだ電子機器を含めた高感度電子回路の、包囲または部分的包囲に使用するのに特に適した状態となる。すなわち本開示は、3次元的に成形されたガラス壁部を有するエンクロージャ内に少なくとも部分的に配置された、例えば電子表示装置を含めた電子機器をさらに提供する。特定の実施形態において、成形されたガラス壁部は少なくとも外側に、エンクロージャの強度を高めるよう圧縮応力を受けた表面層を含み、例えば、熱的焼戻し、化学的焼戻し、または積層により提供される、圧縮応力を受けた形状が挙げられる。
【0011】
ここで開示される方法および製品を、添付の図面を参照して以下でさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】プリフォームの押出成形ダイ出口面を概略的に示した図
【
図2】エンクロージャ用ガラスプリフォームの概略図
【
図3】延伸されたガラスエンクロージャ部分の概略図
【
図4】エンクロージャ部分の端面を拡大して示した写真
【発明を実施するための形態】
【0013】
本説明の中で明記する方法は、様々な技術用途のための広範なエンクロージャの製作に適合するが、その方法に従って提供されるエンクロージャ構成要素は、コンシューマ電子機器またはその構成要素の、エンクロージャ全体またはその一部のための化学強化されたエンクロージャ構成要素の製作に特に有用である。したがって、以下の詳細な説明は、こういった用途に適したエンクロージャの例および説明を含むが、本開示はこれに限定されるものではない。
【0014】
開示される方法によるエンクロージャまたはエンクロージャ構成要素の製作に適したガラスプリフォームを作るために使用されるプロセスは、重要ではない。ニアネットな断面形状のプリフォームは、例えば鋳造、プレス加工、機械加工、サギング、再成形、または押出成形により提供することができ、多くの場合、仕上げおよび延伸の前に再び形作る必要がない、あるいはその必要がほとんどない、形状精度を有している。
【0015】
開示される方法のさらなる利点は、この方法がいかなる特定のガラス組成の使用にも限定されないことである。コンシューマ電子機器のエンクロージャに関する特定の興味深い実施形態は、目に見える表面の欠陥、好適には本体の欠陥を含んでいない、焼戻しによって効果的に強化し得るガラスである。適切なガラスの実例としては、そのアニール点未満の温度でイオン交換処理によって高い表面応力レベルまで化学強化することができる、アルカリケイ酸塩、アルカリホウケイ酸塩、アルカリアルミノケイ酸塩、およびアルカリ・ホウアルミノケイ酸塩(alkali boroaluminosilicate)ガラスが挙げられる。同じく有用なのは、成形後の熱処理によって高強度かつ高耐久性の半結晶性ガラスセラミックのエンクロージャへと変わり得る、造核剤を含有したガラスの他、偏光または他の光学的に特有の効果を提供するよう銀などの光学活性成分でドープされたガラスである。
【0016】
選択されたエンクロージャまたはエンクロージャ部の、より小さい(縮小された)断面を実現するよう適切に構成されたプリフォームの伸長は、プリフォームを加熱し、かつ従来の誘導加熱延伸炉または抵抗加熱延伸炉から下方延伸することで適切に実行されるが、他の延伸方法または設備を代わりに用いてもよい。ただし、何らかの形の延伸を使用することは、本説明によるエンクロージャおよびエンクロージャ構成要素の製作において重要なステップである。これは、延伸により実現される断面の縮小によって、延伸された形状において、ガラス表面のサイズおよびプリフォームの形状欠陥の、著しくかつ必須の縮小がもたらされるためである。このときの断面の縮小は、プリフォーム断面の外側寸法において、典型的には少なくとも2:1から最大50:1以上までの縮小となる。
【0017】
コンシューマ電子機器の保護用に設計されたエンクロージャには、典型的には非常に高い形状精度が要求される。すなわち、少なくともガラス壁部を含むエンクロージャの、より小さい断面形状は、顧客の指示による形状の仕様を厳密に守ったものでなければならない。都合のよいことに、本開示の方法が実現するより小さい断面形状は、このより小さい形状の少なくとも1つの、より典型的には全ての断面寸法が、より小さい形状のための形状仕様を、その対応する寸法の±0.25%の範囲内で満たしている、そしていくつかの実施形態では±0.025%の範囲内で満たしていることを特徴とする。
【0018】
この範囲の形状精度は、従来のガラス成形プロセスにおいて一貫して維持することはできないが、10:1の下方延伸によるサイズ縮小の場合、成形されたプリフォームの形状精度を0.3mm以内に維持することによって満たすことができる。同様に、プリフォーム表面に残存するガラス表面の傷は、延伸プロセス中にガラス表面を軟化させることができる場合には大幅に減少または修復され、その結果いくつかの事例においてはある程度、注意深く作られたプリフォームに対し、眼に見える光学面の欠陥をプリフォームから除去するステップを延伸プロセスの過程で達成することができる。
【0019】
開示される方法のさらなる実施形態は、物理的に適合する、同じまたは異なるガラス組成の複数の壁部分から形成されるエンクロージャを作ることができるようにするものである。一例は、エンクロージャが1つの透明な壁部と、さらに1つの半透明の、有色の、または不透明な壁部とを含んでいる場合であろう。異なった形状および/または組成のプリフォーム部分を結合することにより作られた複雑な断面形状のプリフォームは、各部分のガラスの温度・粘度特性が延伸温度で類似している場合、およびその熱膨張係数が延伸温度から室温までの冷却範囲に亘って類似している場合には、共に延伸させることができる。あるいは、同じまたは異なるガラスの2つのプリフォームセグメントを延伸の過程で合わせてシールしてもよいが、この場合もガラスの粘度および膨張特性があまり異ならないことが条件になる。こういった方法でエンクロージャへと結合させるのに適した、異なるガラス組成または異なる形状の適切な対、またはさらに大きな群は、所定の実験によって容易に特定できる。
【0020】
開示される方法を、以下の実例を参照して以下でさらに説明する。
【実施例1】
【0021】
電子回路装置用のエンクロージャへと延伸するよう設計された、長円形断面を有する管状のプリフォームを押出成形により作製する。図面の
図1に概略的に示したように、その出口面に長円形の排出オリフィス12を提供するよう機械加工された耐火金属押出成形ダイ10を、長径(D)35.6mmおよび短径(d)13.7mmの長円形プリフォームを形作るために作製する。オリフィス12の幅の範囲は、約1.1mmから約1.3mmである。
【0022】
コーニングのコード2318ガラスの組成を有するアルカリアルミノケイ酸塩ガラスの円筒状ブールが、カレットから溶解されかつ直径3.75インチ(約9.525cm)および深さ8インチ(約20.32cm)の黒鉛型に流し込まれる。ブールをダイ上に位置している押出機バレル内に置き、この機械を1050℃まで加熱する。一旦熱平衡に達すると、プランジャを使用し、ガラスを10
5から10
7ポアズの範囲内の粘度で数百キログラムの圧力によって強制的にダイに通す。押し出す長円形をダイから延伸し、冷却し、さらに区分して、長さおよそ5フィート(約152.4cm)の管状の長円形プリフォームを生成する。図面の
図2は、典型的なプリフォーム20の断面形状を概略的に示したものである。
【0023】
こうして提供された管状のプリフォームを、重量で5%のHF+5%のHCl+5%のHNO
3を含む、酸性水溶液中でおよそ20分間浸水させて洗浄する。この管をその後、脱イオン水ですすぎ、次いでメタノール中ですすぎ、最後に空気乾燥させた。
【0024】
次に、洗浄されたプリフォームを、3ゾーンの電気延伸炉の上部開口上に位置付けられた下向き供給機構のチャックにクランプさせ、かつチャックをその開口の中心軸と位置合わせする。炉をその後、ガラスプリフォームが炉の上部開口上に垂下している状態で、上部ゾーン温度が830℃、中間ゾーン温度が950℃、そして下部ゾーン温度が725℃に達するまで予熱する。
【0025】
プリフォームを10分間予熱した後、これを供給速度約10mm/分で炉の加熱ゾーン内に下降させる。プリフォームの底部が炉の中間加熱ゾーンに入るまで供給を続け、その後さらに管の下部が十分に加熱されて軟化しかつ細長くなり始めるまで、プリフォームをその位置で保持する。プリフォームの細長くなった端部、すなわちいわゆる「ベイト・オフ(bait-off)」端部(伸長の結果、サイズが縮小したもの)は、その後、延伸のために炉出口の下に位置付けられた下方延伸牽引機内に供給され、さらに牽引機はプリフォームの細くなった端部を制御された速度で下方に牽引し得るように駆動される。
【0026】
細くなったプリフォームの牽引機による下方延伸が一旦開始されると、炉の上部開口内へのプリフォームの供給は制御された速度で再開される。下方延伸プロセスはその後、プリフォームの供給速さ、炉内の温度プロファイル、そして牽引機の牽引速さを管理することで制御される。これらの3つの変数によって、例えば、下方延伸されたより小さい製品の断面サイズまたは壁厚に対する、プリフォームの断面サイズまたは壁厚の割合など、プロセス中にもたらされる縮小率が決定する。
【0027】
図面の
図3は、長円形断面を有する再延伸された棒状エンクロージャ30の全長の概略図であり、これは実際の比率または縮尺ではなく、
図2の一般的なプリフォーム構造を有するプリフォームを下方延伸して得られたものである。
図2に示されているようなガラスプリフォームから
図3に示されているような再延伸されたエンクロージャ部分への縮小率約3:1は、本実施例のガラスプリフォームおよび延伸設備を利用して容易に実現できる。
【0028】
上記サイズのコーニングのコード2318ガラスプリフォームから説明されるような、エンクロージャ部分を延伸する典型的な手順では、下向き供給速度が40mm/分のプリフォーム、牽引速度が50cm/分の牽引機、および860℃の上部ゾーン温度、950℃の中間ゾーン温度、そして750℃の下部ゾーン温度を含む炉の温度プロファイルを用いて、特定の縮小が得られる。この条件下でのガラスの延伸粘度は約10
6ポアズである。
【0029】
図面の
図4は、本実施例によるガラスプリフォームから延伸されたガラスエンクロージャ部分の切断端面の拡大写真である。写真上に記録されたエンクロージャ部分の断面寸法は、約3.1:1の縮小率が得られたことを示しており、さらに最初のプリフォームに与えられた断面形状が実質的に保持されたことを示している。同じガラスおよび延伸設備を利用して、プリフォームの供給速度、延伸速度、および/または延伸炉の温度プロファイルを変化させることにより、より大きいまたはより小さい縮小率が同様に実現できる。当然のことながら周知のように、他のガラスでの延伸の成功は、処理対象として選択された特定のガラスの組成および粘度・温度プロファイルに依存するが、的確な供給速度および牽引速度の他、最適な炉の温度プロファイルは、所定の実験によって容易に決定することができる。
【0030】
前述の説明から、本書において開示された特定の組成、製品、方法、および/または装置は、説明の目的のみのために提示されたものであること、さらに添付の請求項の範囲内において、その多くの改作および改変を、新たな用途や既存の用途の要件を満たすために採用し得ることは明らかであろう。
【符号の説明】
【0031】
10 耐火金属押出成形ダイ
12 排出オリフィス
20 プリフォーム
30 エンクロージャ