(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の例示の態様について説明するが、本発明は以下の態様に限定されず、特許請求の範囲の精神及び範囲から逸脱しない任意の改変が本発明に包含されることが意図される。また本開示で言及する特性値(具体的には引張強度、破断時伸び、T型剥離強度、ポリプロピレン接着力、ポリエチレン接着力、及び表面粗さ)は、それぞれ、本開示の[実施例]の項に記載する方法又はこれと同等であることが当業者に理解される方法で測定される値である。
【0011】
本発明の一態様は、紙基材と、該紙基材上に配置された粘着剤とを有するバッグシーリングテープであって、
該バッグシーリングテープの引張強度が10N/cm以上50N/cm以下であり、
粘着剤面同士を貼り合わせてT型剥離強度として測定される該粘着剤の20分後自着力が6N/cm以上であり、
ポリプロピレン板に対する180度剥離強度として測定される該粘着剤のポリプロピレン接着力が2.0N/cm以上であり、ポリエチレン板に対する180度剥離強度として測定される該粘着剤のポリエチレン接着力が1.5N/cm以上であるバッグシーリングテープを提供する。
【0012】
本開示のバッグシーリングテープにおいては、紙基材上に粘着剤が配置されている。典型的には、紙基材が有する2つの主面のうち片面全面上に粘着剤が粘着層として配置されている。本開示のバッグシーリングテープによれば、手切り可能なテープを単純な工程で(すなわち、例えば樹脂系テープにおいて手切れ性を付与するために必要とされるような追加の工程を経ずに)製造できる。本発明者らは、紙を基材としたバッグシーリングテープにおいて従来と比べて優れた手切れ性を得るための手段を種々検討し、テープの粘着力と機械強度とのバランスの重要性に着目した。
【0013】
本開示で、「手切れ性」とは、バッグシーリングテープを手で切断する際の切断性能を意味する。本発明者らは、手切れ性が、主として、バッグシーリングテープと被結束物である袋との粘着固定性(すなわち、バッグシーリングテープが袋から剥離してずれないこと)、及び、バッグシーリングテープの機械強度によって左右されることを見出した。すなわち、良好な手切れ性は、バッグシーリングテープと袋との粘着固定性が十分であり、かつバッグシーリングテープの機械強度が大きすぎないことによって発現することを見出した。バッグシーリングテープと袋との粘着固定性が不足する場合には、バッグシーリングテープをテープ幅方向に切断するための力を加えると、テープが袋から剥がれてしまい、テープの結束部位が緩んでテープに寄りしわが生じる。寄りしわ部分では切断方向(すなわちテープ幅方向)の単位長さ当たりの切断面面積が増大するため、切断に要する力がより大きくなる。また、バッグシーリングテープの機械強度がより大きいと、バッグシーリングテープを幅方向に切断するために要する力がより大きくなる。
【0014】
バッグシーリングテープにおいて粘着力を高くすることの有用性は従来認識されていなかった。しかし本発明者らは、バッグシーリングテープを袋から取外す際に、テープと袋との間の粘着固定性が不足していると、テープが袋から剥離してずれるために手切れ性が悪くなることに着目し、バッグシーリングテープの粘着力を、テープと袋との剥離を回避するのに十分な程度まで大きくすることが手切れ性の向上に有利であることを見出した。更に本発明者らは、基材が紙の場合、保管時の湿度や、果物や野菜等内容物から発生する水分による影響のため、基材が伸びる等変形し、シール部分がはがれやすくなることに着目し、バッグシーリングテープの粘着剤が、特定の自着力、ポリプロピレン接着力及びポリエチレン接着力を併せ持つことが、バッグシーリングテープと袋との良好な粘着固定性を得るために有利であることを見出した。
【0015】
更に本発明者らは、バッグシーリングテープが特定の引張強度を有すること、特に、粘着剤の上記の特定の自着力、ポリプロピレン接着力及びポリエチレン接着力との組合せにおいてバッグシーリングテープが特定の引張強度を有することが、優れた手切れ性の実現において極めて有利であることを見出した。
【0016】
一態様において、本開示のバッグシーリングテープの引張強度は、10N/cm以上50N/cm以下である。引張強度は、バッグシーリングテープとしての必要強度を確保する観点から10N/cm以上、好ましくは20N/cm以上、より好ましくは25N/cm以上、更に好ましくは30N/cm以上であり、良好な手切れ性を得る観点から50N/cm以下、好ましくは40N/cm以下である。なお本開示において引張強度は引張試験における最大強度を意味する。
【0017】
好ましい態様において、バッグシーリングテープの破断時伸びは、12%以下である。破断時伸びは、バッグシーリングテープが伸び過ぎることによる手切れ性の低下を回避する観点から、好ましくは12%以下、より好ましくは10%以下、更に好ましくは9%以下である。破断時伸びは低い方が好ましいが、バッグシーリングテープの製造容易性の観点から、例えば4%以上、更に6%以上であってもよい。
【0018】
一態様において、本開示のバッグシーリングテープが有する粘着剤は、粘着剤面同士を貼り合わせてT型剥離強度として測定したときの20分後自着力6N/cm以上を有する。20分後自着力は、バッグシーリングテープの使用時における、粘着剤同士で固定された部位(通常テープ端部の合掌貼り部位)の粘着持続性の指標となる。この粘着持続性が良好であればバッグシーリングテープによる袋のシール性能が良好である。20分後自着力は、良好な粘着持続性を得る観点から、6N/cm以上であり、好ましくは7N/cm以上、より好ましくは8N/cm以上、更に好ましくは10N/cm以上である。20分後自着力は大きい方が好ましいが、バッグシーリングテープの使用時の取り扱い性及び製造容易性の観点から、例えば20N/cm以下、又は18N/cm以下、又は15N/cm以下であってよい。
【0019】
一態様において、本開示のバッグシーリングテープが有する粘着剤は、ポリプロピレン板に対する180度剥離強度として測定されるポリプロピレン接着力2.0N/cm以上を有する。また、一態様において、本開示のバッグシーリングテープが有する粘着剤は、ポリエチレン板に対する180度剥離強度として測定されるポリエチレン接着力1.5N/cm以上を有する。ポリプロピレン接着力及びポリエチレン接着力は、それぞれ、バッグシーリングテープの袋との粘着固定度合の指標となる。バッグシーリングテープと袋との粘着固定が弱すぎると、手切り時に袋からバッグシーリングテープがずれてしまい、スムーズな手切りが難しくなる。バッグシーリングテープと袋との粘着固定が所定程度以上であれば、このようなずれを防止して、良好な手切れ性を実現できる。野菜、果物、パン類、麺類等の食品、又はその他各種物品の包装袋の材質としては、ポリプロピレン又はポリエチレンが汎用されている。従って、粘着剤のポリプロピレン接着力及びポリエチレン接着力がそれぞれ特定範囲に制御された本開示のバッグシーリングテープは、汎用の材質を有する袋に対して所望の手切れ性を有利に発揮できる点で有利である。
【0020】
しかしながら本発明者らは更に、紙袋のためのバッグシーリングテープは、例えば上記のポリプロピレン及びポリエチレンのようなポリマーで構成されたフィルム袋のためのバッグシーリングテープと比べて、より高い粘着力を必要とすることを見出した。一般に紙はフィルムよりも寸法変化が大きく、特に高湿条件における寸法変化が顕著である。寸法変化はシール面積の低下、従ってバッグシーリングテープと袋との剥離をもたらす場合がある。本開示のバッグシーリングテープは、従来のバッグシーリングテープでは考慮されていなかった高粘着性に着目し、自着力、ポリプロピレン接着力及びポリエチレン接着力がいずれも高いため、例えば紙袋のシール用としても良好なシール性能にて使用できる。
【0021】
ポリプロピレン接着力は、良好な手切れ性を得る観点から、2.0N/cm以上、好ましくは3.0N/cm以上、より好ましくは4.0N/cm以上、更に好ましくは6.0N/cm以上である。ポリプロピレン接着力は大きい方が好ましいが、バッグシーリングテープの使用時の取り扱い性及び製造容易性の観点から、例えば15.0N/cm以下、又は12.0N/cm以下、又は10.0N/cm以下であってよい。
【0022】
ポリエチレン接着力は、良好な手切れ性を得る観点から、1.5N/cm以上、好ましくは2.0N/cm以上、より好ましくは3.0N/cm以上、更に好ましくは4.0N/cm以上である。ポリエチレン接着力は大きい方が好ましいが、バッグシーリングテープの使用時の取り扱い性及び製造容易性の観点から、例えば12.0N/cm以下、又は10.0N/cm以下、又は8.0N/cm以下であってよい。
【0023】
バッグシーリングテープの幅は用途に応じて種々設計できるが、例示の態様において、幅は、良好なシール性能を得る観点から、好ましくは6mm以上、より好ましくは8mm以上であり、良好な手切れ性を得る観点から、好ましくは15mm以下、より好ましくは12mm以下である。
【0024】
<紙基材>
本開示のバッグシーリングテープが有する紙基材としては、手切りが可能であり、所望の引張強度を実現する種々の紙基材を使用できる。好ましい態様において、紙基材は、引張強度を本開示の特定範囲に容易に調整できる点で、クレープ紙又は和紙である。本開示で、クレープ紙とは、しわ加工が施された紙全般を意味する。クレープ紙は、電気絶縁用テープ、マスキングテープ、包装・事務用テープ等に使用されるものとして当業者に知られている。クレープ紙は、一般に、被着体になじみ易い、伸びやすい、曲線に追従できるといった特徴がある。また本開示で、和紙とは、流し漉きの手法により、機械的に抄紙して得られる紙を意味する。
【0025】
クレープ紙としては、クラフトパルプを主原料とするものを例示できる。クラフトパルプは、バージンさらしパルプ、半ざらしパルプ、及び未ざらしパルプから選択される。クレープ紙は、三木特種製紙株式会社(たとえばグレードC−40,C−30,F−50)、KJ特殊紙株式会社、大福製紙株式会社、特種東海製紙株式会社等から市販で入手できる。クレープ紙の製造方法は、例えば、特表2012−516382に示されている。
【0026】
和紙の原紙としては、クラフトパルプを主原料とするものを例示できる。クラフトパルプ以外に、機械的強度や耐水性の改善のために、例えば、ポリエステル繊維、ポリビニルアルコール(ビニロン)繊維、マニラ麻等の抄紙可能な繊維を併用してもよい。和紙は三木特種製紙株式会社、KJ特殊紙株式会社、大福製紙株式会社、特種東海製紙株式会社等から市販で入手できる。和紙の製造方法は、例えば、特開平11−323789に示されている。
【0027】
紙基材は、バインダーとして、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド等の紙力増強剤を含んでもよい。また紙基材は、汎用の処理剤で処理されたものであってもよい。例えば、粘着剤塗工時の粘着剤の裏抜けを防止するための目止め、基材強度の調整、あるいは基材の内部強度の改善等のため含浸処理が施された紙基材を使用することができる。
【0028】
上記の含浸処理に用いる含浸剤は、好ましくは、約10℃未満、より好ましくは約0℃未満のガラス転移温度(Tg)を有する。好適な含浸剤として、例えば、合成又は天然イソプレン、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンゴム、粗ゴム、アクリレート、可塑化エラストマー等が挙げられる。
【0029】
紙基材は、非粘着剤配置面に離型処理層を有することが好ましい。離型処理層は、バッグシーリングテープを巻テープとする場合に、使用時のテープ引き出しをスムーズにする点で好ましい。離型処理層としては、例えば塗布法、コーティング法等の常用の技法を使用して、バッグシーリングテープの所望の特性に応じた好適な任意の厚さに形成された層を例示できる。例えば、適当な離型処理層は、長鎖アルキル基を有する(メタ)アクリル樹脂、フッ素系の合成樹脂、シリコーン系剥離剤等のコーティング層であることができる。中でも、バッグシーリングテープの滑り性が高くなりすぎることによる手切れ性の低下を回避しつつ良好な離型性を付与できる点で、長鎖アルキル基を有する(メタ)アクリル樹脂のコーティング層が特に好ましい。
【0030】
離型処理層は、未処理の紙基材上にバリア層を介して形成されてもよい。バリア層は紙基材にある程度の溶媒耐性を与えることができる。バリア層は、−5℃〜75℃のガラス転移温度(Tg)を有するエラストマーを含んでよい。有用なバリア層として、アクリレート、ポリエステル、スチレンブタジエン、スチレンブタジエンアクリロニトリル、メラミン、ポリアミド、又は尿素ホルムアルデヒド樹脂に基づくものが挙げられる。バリア層は、典型的には、紙基材1平方メートルあたり2〜10グラムの乾燥質量で塗布される。あるいは、バリア層として熱可塑性層を用いてよい。熱可塑性層を構成する熱可塑性樹脂の代表例として、ポリアミド(例えばナイロン)及びポリオレフィン(例えばポリプロピレン、ポリエチレン、ポリブチレン、ポリブタジエン、ポリ−4−メチルペンテン、及び他のポリオレフィン)、ポリスチレン、ポリエステル、コポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアセテート、コポリマー(例えばエチレン/プロピレンコポリマー、プロピレン/ブチレンコポリマー、エチレン/プロピレン/ブチレンコポリマー、エチレン/ビニルアセテートコポリマー、及びエチレン/ブチルアクリレートコポリマー)、ポリメチルメタクリレート、熱可塑性ゴムブロックコポリマー、並びにこれらの配合物及び混合物が挙げられる。
【0031】
一方、紙基材の粘着剤配置面には、紙基材と粘着剤との密着性を向上させるため、コロナ処理、プライマー処理、マット処理等が施されていることが好適である。プライマー処理としては、プライマー組成物を未処理の紙基材に塗布し、乾燥させてプライマーコーティングを形成する方法を例示できる。プライマー組成物は、反応性又は非反応性であってよく、例えば天然ゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ネオプレンゴム、エチレン酢酸ビニル系樹脂、オレフィン系樹脂、又はこれらの混合物を含んでよい。プライマーコーティングは、典型的には、紙基材1平方メートルあたり2〜8グラムの乾燥質量で適用される。また、紙基材の非粘着剤配置面には印刷層を設けてもよい。
【0032】
本発明者らは、紙基材の表面粗さもまた良好な手切れ性に寄与することを見出した。紙基材の表面が粗いと、テープと手指との間の摩擦力により、手指の滑りが防止されて手切れ性がより良好になる。表面粗さを大きくできる点で、クレープ紙は特に好ましい。
【0033】
好ましい態様において、紙基材の表面粗さ(Ra)は、良好な手切れ性を得る観点から、好ましくは5μm以上、より好ましくは8μm以上、更に好ましくは9μm以上である。一方、表面粗さは、手切り時にバッグシーリングテープが伸びすぎないようにする観点から、好ましくは20μm以下、より好ましくは18μm以下、更に好ましくは15μm以下である。上記表面粗さは、紙基材の少なくとも非粘着剤配置部において実現されていればよい。典型的には、紙基材が有する2つの主面のうち一方の面全体に粘着剤が配置されるため、該紙基材の他方の面(すなわち手指と接触する面)の表面粗さが上記範囲であることが好ましい。しかし、紙基材が粘着剤配置部において上記表面粗さを有する場合、袋とバッグシーリングテープとの間の摩擦力によって良好なシール性能が得られる観点で有利である。この利点は、バッグシーリングテープを例えば紙袋のような寸法変化しやすい材質の袋のシールに用いた場合に特に顕著である。
【0034】
紙基材の厚みは、バッグシーリングテープに所望の特性(例えば機械強度)を付与するように適宜設計できる。例示の態様において、該厚みは、好ましくは0.04mm以上、より好ましくは0.05mm以上、更に好ましくは0.06mm以上であり、好ましくは0.20mm以下、より好ましくは0.15mm以下、更に好ましくは0.12mm以下である。
【0035】
紙基材の乾燥坪量は、例えば、好ましくは30〜60g/m
2、より好ましくは35〜50g/m
2であってよい。
【0036】
<粘着剤>
本開示のバッグシーリングテープが有する粘着剤としては、所望の粘着力を発現する種々の粘着剤を使用できる。粘着剤としては、ポリアクリレート、ポリビニルエーテル、ジエン含有ゴム(例えば、天然ゴム、イソプレンゴム、及びイソブチレンゴム)、スチレンブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム、ブタジエンアクリロニトリルポリマー、熱可塑性エラストマー、ブロック重合体(例えば、スチレン−イソプレン−スチレンブロック重合体、スチレン−ブタジエン-スチレンブロック重合体、エチレン−プロピレン−ジエンポリマー)、ポリ−αオレフィン、非晶質ポリオレフィン、シリコーン、エチレン含有コポリマー(例えば、エチレンビニルアセテート、エチルエチルアクリレート、及びエチルメタクリレート)、ポリウレタン、ポリアミド、エポキシ、ポリビニルピロリドン及びビニルピロリドンコポリマー、ポリエステル等が挙げられる。
【0037】
好ましい態様において、粘着剤は、ゴム粘着剤である。ゴム粘着剤は、自着力、ポリプロピレン接着力及びポリエチレン接着力の制御(特にこれらを高い値とすること)が容易である点で有利である。
【0038】
好ましい態様において、ゴム粘着剤は、イソプレン系ゴム及びスチレンブロック重合体系ゴムからなる群から選択されるゴムを含む。イソプレン系ゴム及びスチレンブロック重合体系ゴムは、前述の自着力、ポリプロピレン接着力及びポリエチレン接着力が特に良好であり有利である。
【0039】
イソプレン系ゴムとしては、天然ゴム、及び合成イソプレンゴムを使用でき、中でも、自着力、ポリプロピレン接着力及びポリエチレン接着力がいずれも特に良好であるという観点から天然ゴムが望ましい。
【0040】
スチレンブロック重合体系ゴムとしては、スチレン−イソプレン−スチレンブロック重合体(SIS)、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック重合体(SBS)等が挙げられる。中でも、自着力、ポリプロピレン接着力及びポリエチレン接着力がいずれも特に良好であるという観点からSISが望ましい。
【0041】
スチレンブロック重合体は市販品であってもよく、例えば日本ゼオン社製クインタック(登録商標)、クレイトンポリマージャパン社製クレイトン(登録商標)等であることができる。
【0042】
ゴムはブレンド物であってもよい。ブレンド物としては、イソプレン系ゴムとスチレン−ブタジエンゴム(SBR)とのブレンド物等を例示できる。
【0043】
好ましい態様において、ゴム粘着剤は、ゴムと粘着付与剤とを含み、より好ましくは、ゴム100質量部と、粘着付与剤30〜200質量部とを含む。ゴム100質量部に対する粘着付与剤の質量部(すなわちphr)は、ゴム粘着剤に良好な粘着力を付与する観点から、好ましくは30質量部以上、より好ましくは60質量部以上、更に好ましくは90質量部以上であり、低温環境下において良好な粘着力を付与する観点から、好ましくは200質量部以下、より好ましくは180質量部以下、更に好ましくは160質量部以下である。
【0044】
粘着付与剤としてはゴム粘着剤に従来用いられているものを種々使用できるが、例としては、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂等の天然物及びその誘導体、脂肪族系石油樹脂、脂環族系石油樹脂、芳香族系石油樹脂、クマロンインデン樹脂、スチレン系樹脂、フェノール系樹脂、キシレン樹脂等の合成樹脂を挙げることができる。
【0045】
ロジン系樹脂としては、例えば、ポリペールレジン、ステベライトレジン、フォーラルAX、ペンタリンA、ペンタリンH(以上、イーストマンケミカル社製、登録商標)、エステルガムA、エステルガムH(以上、荒川化学工業社製、登録商標)、ハリエスターT(ハリマ化成社製、登録商標)等が挙げられる。また、ロジンフェノール樹脂として、例えば、スミライトレジンPR12603(住友ベークライト社製、登録商標)、タマノル803(荒川化学工業社製、登録商標)等が挙げられる。
【0046】
テルペン系樹脂としては、例えば、YSレジンPx、YSレジンTO、YSポリスターT(以上、ヤスハラケミカル(株)製、登録商標)、ピコライトA(イーストマンケミカル社製、登録商標)等が挙げられる。
【0047】
脂肪族系石油樹脂としては、例えば、Piccopale(イーストマンケミカル社製、登録商標)、エスコレッツ(エクソンモービルケミカル社製、登録商標)、WingTack(クレイバリー社製、登録商標)、ハイレッツ(三井化学社製、登録商標)、クイントン(日本ゼオン社製、登録商標)等が挙げられる。
【0048】
脂環族系石油樹脂としては、例えば、アルコンP、アルコンM(以上、荒川化学工業社製、登録商標)等が挙げられる。芳香族系石油樹脂としては、例えば、ペトロジン(三井化学社製、登録商標)等が挙げられる。クマロンインデン樹脂としては、例えば、クマロンNG(日塗化学製、登録商標)等が挙げられる。
【0049】
スチレン系樹脂としては、例えば、Piccolastic A(イーストマンケミカル社製、登録商標)等が挙げられる。フェノール系樹脂としては、例えば、ヒタノール(日立化成社製、登録商標)等が挙げられる。
【0050】
粘着付与剤は複数種類をブレンドして使用してもよい。粘着付与剤は、自着力、ポリプロピレン接着力、及びポリエチレン接着力を付与する観点から、C5系石油樹脂を使用することが最も好ましい。C5系石油樹脂はブレンド物であってもよい。また粘着付与剤の軟化点は、自着力、ポリプロピレン接着力、及びポリエチレン接着力を付与する観点から、好ましくは85℃〜125℃、更に好ましくは95℃〜115℃である。軟化点がこれより低くなると、冷蔵品、冷凍品等低温化での粘着性が悪くなり、軟化点がこれより高くなると、保管時等での高温化でのシール特性が悪くなる。粘着付与剤は、液状テルペン系樹脂等、軟化点が低い成分を含むブレンド物であってもよい。
【0051】
また、粘着剤は、液体の可塑化油、例えばShellflex371(シェル社製、登録商標)や、鉱油等を含有することができる。
【0052】
更に、粘着剤は、酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、充填剤等の常用の添加剤を必要に応じて含有することができる。粘着剤は、溶剤系、エマルジョン等の水系、無溶剤系等の方法で調製することができる。イソプレン系ゴムの場合、硫黄化合物、熱反応性フェノール樹脂、ポリイソシアネート等の架橋剤を用いて架橋することもできる。
【0053】
本開示のバッグシーリングテープにおける粘着剤の厚みは、バッグシーリングテープに所望の粘着力を付与するように適宜設計できる。例示の態様において、該厚みは、好ましくは0.01mm以上、より好ましくは0.02mm以上、更に好ましくは0.03mm以上であり、好ましくは0.10mm以下、より好ましくは0.08mm以下、更に好ましくは0.05mm以下である。
【0054】
本開示のバッグシーリングテープは種々の方法で製造でき、例えば、紙基材の片面全面上に、グラビアコーター、ロールコーター、リバースコーター、ドクターブレードコーター、バーコーター、ナイフコーター、ダイコーター等によってコーティングを形成し、必要に応じて更に熱、活性光線、電子線等を与える方法で粘着剤を紙基材上に形成する方法を例示できる。
【0055】
以上説明したように、本開示のバッグシーリングテープによれば、紙を基材とするとともに粘着剤の粘着力が大きくされていることにより優れた手切れ性を付与できる。従って本開示のバッグシーリングテープはテープの再剥離及び再利用を目的としない用途において特に有用である。
【実施例】
【0056】
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明の例を更に説明するが、本発明はこれらの実施例には何ら限定されない。
【0057】
<バッグシーリングテープの作製>
表1に示す基材及び粘着剤を用い、下記配合の通り調製した溶液をナイフコーターで基材上に塗布し、90℃5分で溶剤を乾燥させ、所望厚さの粘着剤を基材の片面全面に有する幅9mmのテープを得た。なお比較例1では、マスキングテープ mt(カモ井株式会社より市販で入手可能)、比較例6では、バッグシールテープタイプE(積水化学工業株式会社より市販で入手可能)をテープとしてそれぞれ用いた。
【0058】
<試験方法>
以下の各試験を、JIS Z0237(2000年版)に準拠し、温度23℃、相対湿度50%にて行った。
引張強度及び破断時伸び:引張試験機(株式会社島津製作所製のオートグラフAG−X)を用い、引張速度300mm/分にて試験した。
表面粗さRa:テープの非粘着剤配置面の表面粗さRaを、レーザー顕微鏡〈キーエンス社製 VK−X100)を用いて測定した。
20分後自着力:9mm幅のテープを約100mmの長さに2本切り出し、一方の端部から約50mmの長さ分の粘着剤面同士を貼り合せ、2kgのローラーで押圧した。残りの約50mmの部分はそれぞれ剥離試験時の掴み代とした。20分間放置後、2本の掴み代部をそれぞれ試験機のチャックで把持して300mm/分で引張ることにより、T型剥離強度を測定した。
ポリプロピレン接着力:バッグシーリングテープの、幅9mm×長さ300mmに切り出した粘着剤面をポリプロピレン板(新神戸電機株式会社 PP−N−BN)に貼り付け、2kgローラーで押圧し、20分間放置後、株式会社島津製作所社製オートグラフAG−Xを用いて、300mm/分の引き剥がし速度で180度剥離試験にて測定した。
ポリエチレン接着力:上記のポリプロピレン板に変えてポリエチレン板(新神戸電機株式会社 EL−N−AN)を用いた他はポリプロピレン接着力と同様の手順で測定した。
シール保持力:シリンダー形錘(径54mm、長さ127mm、200g)をポリエチレン袋(厚み20μm、幅170mm×長さ270mm)内に入れた。バッグシーラー(オープンインダストリーズ社製のBS−1200)で袋をテープでシールした。これによりテープ端部の粘着剤面同士が長さ約22mmに亘って合掌貼りされた。袋の、シール部よりも約20mm開口部寄りの袋部を治具で把持して吊るした。
65時間放置後、合掌貼り部位の剥離距離(すなわちテープ長さ方向の剥離長さ)を測定した。
【0059】
手切れ性:上記シール保持力と同じ手順で袋をテープでシールした。これを手切りし、以下の基準で手切れ性を評価した。
(袋からの剥がれ)
良:テープが袋から剥がれてずれることなく、結束部分に緩みがでることもない。
可:テープが袋から一部剥がれてずれ、結束部分が緩み、基材の切断方向(すなわちテープの幅方向)先端に寄りしわが生じる。
不良:テープが袋から完全に剥がれてずれる。
(切れやすさ)
良:容易に手で切れる。
可:基材に寄りしわができて幅方向に収れんし、丸まってしまうためテープを切りにくい。
不可:基材強度が強すぎてテープを切断できない。
シール性能:上記シール保持力と同じ手順で袋をテープでシールした。これを65時間放置したのちに目視で観察し、以下の基準でシール性能を評価した。
良:結束部分に緩みがない。
不良:結束部分に緩みが見られる。
結果を表1及び2に示す。
【0060】
<配合>
(実施例1及び6)
イソプレン系ゴム100質量部、粘着付与剤1 100質量部、及びノルマルヘプタン800質量部からなる溶液を基材に塗布しテープを作製した。
(実施例2〜5、及び比較例2〜5)
SIS 1又はSIS 2(各々100質量部)に対して表1に示す量の粘着付与剤2を含む、固形分率50質量%のトルエン溶液を、基材のプライマー塗布面に塗布してテープを作製した。
【0061】
【表1】
【0062】
クレープ紙1:坪量40g/m
2のパルプにクレープ処理を施し、スチレンブタジエンゴムエマルジョンを乾燥含浸量10g/m
2となるよう含浸乾燥させ調製した。
クレープ紙2:坪量50g/m
2のパルプにクレープ処理を施し、スチレンブタジエンゴムエマルジョンを乾燥含浸量10g/m
2となるよう含浸乾燥させ調製した。
和紙1:叩解した木材パルプに対して20質量%のポリビニルアルコール短繊維(長さ3〜20mm)を混合して粥状のパルプ液を調製し、抄紙機で総坪量40g/m
2の和紙様の風合いを有する紙基材を調製した。この紙基材にアクリル樹脂エマルジョンを固形分の含浸量が5g/m
2となるように含浸し、粘着面となる側にプライマーとしてエチレン酢酸ビニル系エマルジョンを塗布量1g/m
2となるように塗布し、乾燥させて調製した。
和紙2:総坪量を90g/m
2とする以外は和紙1と同様に調製した。
和紙3:総坪量を15g/m
2とする以外は和紙1と同様に調製した。
イソプレン系ゴム:天然ゴム
SIS 1:クレイトンポリマージャパン株式会社 D1107 ジブロック含量17質量%、スチレン含量15質量%
SIS 2:クレイトンポリマージャパン株式会社 D1119 ジブロック含量66質量%、スチレン含量22質量%
粘着付与剤1:荒川化学工業株式会社 アルコンP115(軟化点115℃)
粘着付与剤2:ゼオン株式会社 クイントンM100 (軟化点100℃)
【0063】
【表2】
【0064】
実施例1ではシール保持力、手切れ性及びシール性能がいずれも良好であった。一方比較例1ではこれら性能がいずれも悪かった。またPET基材である比較例6では手切りができなかった。