(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、材料を一対のロールで圧延して製造される製品の品質向上のために、製品の厚みの均一性をより高精度に管理することが求められている。
【0005】
そのため、本発明の目的は、より均一な厚みの製品を得るために、一対のロール間のギャップを極めて高精度に検出することが可能な圧延装置及びセンサユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一つの観点に係る圧延装置は、隣り合う第1及び第2のロールと、第1のロールの軸を回転可能に支持する第1の軸箱と、第2のロールの軸を回転可能に支持し且つ第1の軸箱と隣り合う第2の軸箱と、第1のロールと第2のロールとを近接及び離間させるように第1の軸箱の位置を調節する調節部と、第1の軸箱と第2の軸箱との間に介在し且つその両者に接するセンサユニットと、制御部とを備え、センサユニットは、第1及び第2の軸箱が並ぶ一の方向において伸縮する伸縮部を備える距離センサと、距離センサを保持する第1の部材と、伸縮部と当接し且つ一の方向に沿ってスライド可能に第1の部材に対して取り付けられた第2の部材とを含み、制御部は、伸縮部の伸縮量に基づいて調節部を制御する。
【0007】
本発明の一つの観点に係る圧延装置では、センサユニットは、第1の軸箱と第2の軸箱との間に介在し且つその両者に接している。また、センサユニットは、第1及び第2の軸箱が並ぶ一の方向において伸縮する伸縮部を備える距離センサと、距離センサを保持する第1の部材と、伸縮部と当接し且つ一の方向に沿ってスライド可能に第1の部材に対して取り付けられた第2の部材とを含む。そのため、第1及び第2の軸箱が近接する場合には、その近接した大きさだけ、第2の部材が一の方向にスライドして伸縮部が一の方向に縮む。一方、第1及び第2の軸箱が離間する場合には、その離間した大きさだけ、第2の部材が一の方向にスライドして伸縮部が一の方向に伸びる。このように、第1及び第2の軸箱の一の方向における移動量を、伸縮部の伸縮量として直接計測することができる。従って、センサユニットを用いて、一対のロール間のギャップを極めて高精度に検出することができる。
【0008】
2つのセンサユニットは、第1のロールの軸と第2のロールの軸とを結ぶ仮想直線が間に位置するように配置されていてもよい。この場合、第1及び第2の軸箱のうち一方が他方に対して傾いても、2つのセンサユニットで計測された2つの伸縮量の例えば平均値を用いることにより、一対のロール間のギャップを極めて高精度に検出することができる。
【0009】
第1及び第2の部材の一方は、第1及び第2の軸箱の一方に固定され、第1及び第2の部材の他方は、第1及び第2の軸箱の他方に固定されておらず、第1及び第2の軸箱の他方の表面に当接しつつ当該表面の面内において移動可能な接触面を含んでいてもよい。この場合、一の方向に直交する仮想平面において第1及び第2のロールのうち一方が他方に対してずれるように移動しても、接触面もそれに追従して第1及び第2の軸箱の他方の表面に当接しつつ当該表面の面内において移動する。従って、当該仮想平面に沿った方向においてセンサユニットに負荷が生ずることを抑制できる。また、伸縮部の伸縮方向が一の方向のままに保たれるので、第1及び第2のロールの間において上記のようなずれが生ずるような場合でも一対のロール間のギャップを極めて高精度に検出することができる。
【0010】
センサユニットは、距離センサに冷却ガスを供給するための供給路をさらに含んでいてもよい。圧延装置の動作中、第1及び第2のロールは加熱されるので、その熱によって距離センサが加熱されると温度ドリフトによって距離センサからの出力値が変動する虞がある。しかしながら、上記の場合には、供給路を通じて冷却ガスで距離センサを冷却することができる。そのため、一対のロール間のギャップをより高精度に検出することができる。
【0011】
本発明の他の観点に係るセンサユニットは、一の方向において伸縮する伸縮部を備える距離センサと、距離センサを保持し且つ一対の測定対象物の一方に接する第1の部材と、伸縮部と当接し、一の方向に沿ってスライド可能に第1の部材に対して取り付けられ且つ一対の測定対象物の他方に接する第2の部材とを備える。
【0012】
本発明の他の観点に係るセンサユニットでは、一対の測定対象物が近接する場合には、その近接した大きさだけ、第2の部材が一の方向にスライドして伸縮部が一の方向に縮む。一方、一対の測定対象物が離間する場合には、その離間した大きさだけ、第2の部材が一の方向にスライドして伸縮部が一の方向に伸びる。このように、一対の測定対象物の一の方向における移動量を、伸縮部の伸縮量として直接計測することができる。従って、センサユニットを用いて、一対の測定対象物の離間距離を極めて高精度に検出することができる。
【0013】
第1及び第2の部材の一方は、一の方向において離間する一対の計測対象物の一方に固定され、第1及び第2の部材の他方は、一対の測定対象物の他方に固定されておらず、一対の測定対象物の他方の表面に当接しつつ当該表面の面内において移動可能な接触面を含んでいてもよい。この場合、一の方向に直交する仮想平面において一対の測定対象物のうち一方が他方に対してずれるように移動しても、接触面もそれに追従して一対の測定対象物の他方の表面に当接しつつ当該表面の面内において移動する。従って、当該仮想平面に沿った方向においてセンサユニットに負荷が生ずることを抑制できる。また、伸縮部の伸縮方向が一の方向のままに保たれるので、一対の測定対象物において上記のようなずれが生ずるような場合でも一対の測定対象物の離間距離を極めて高精度に検出することができる。
【0014】
距離センサに冷却ガスを供給するための供給路をさらに含んでいてもよい。センサユニットが取り付けられる環境によっては、センサユニットの使用時に周囲からの熱によって距離センサが加熱されることがある。このとき、温度ドリフトによって距離センサからの出力値が変動する虞がある。しかしながら、上記の場合には、供給路を通じて冷却ガスで距離センサを冷却することができる。そのため、一対の測定対象物の離間距離をより高精度に検出することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、一対のロール間のギャップを極めて高精度に検出することが可能な圧延装置及びセンサユニットを提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施形態に係るカレンダ装置1について図面を参照して説明するが、以下の本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明を以下の内容に限定する趣旨ではない。説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。各要素の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
【0018】
カレンダ装置1は、
図1に示されるように、フレーム10と、ロール(測定対象物)12A〜12Dと、軸箱14A〜14Dと、油圧シリンダ(調節部)18A,18B,18Dと、ロールクロス機構22A,22Dと、センサユニット24A,24B,24Dと、制御部26とを備える。
【0019】
フレーム10は、床面上に設置されている。フレーム10は、開口部10a〜10cを含む。開口部10aは、側方から見て、床面に対して傾斜したX方向に沿って延びている。開口部10bは、側方から見て、X方向に直交するY方向に沿って延びている。開口部10bは、開口部10aと交差している。開口部10cは、開口部10bに対して開口部10aとは反対側に向けてX方向に沿って延びているが、開口部10aと同一直線上には位置していない。開口部10cは、開口部10bと交差している。
【0020】
ロール12Aは、開口部10a内に配置されている。ロール12Aは、円柱形状を呈している。ロール12Aは、X方向及びY方向に共に直交するZ方向(
図1の紙面に対して垂直方向)に延びている。ロール12Aは、両端からその軸心方向に沿って延びる軸部を介して、一対の軸箱14Aに回転可能に支持されている(
図3の(a)参照)。一対の軸箱14Aは、開口部10a内において、図示しないスライダを介してフレーム10に取り付けられている。そのため、ロール12Aは、開口部10a内をその延びる方向(X方向)に移動可能である。
【0021】
油圧シリンダ18Aは、ハウジング20Aを介してフレーム10に取り付けられている。油圧シリンダ18Aは、開口部10aのうちX方向における開口部10b,10cとは離れた側の端部に位置している。油圧シリンダ18Aのピストンは、軸箱14Aのうち、X方向において軸箱14Bとは反対側に位置する端縁に接続されている。油圧シリンダ18Aは、制御部26からの信号に基づいて、軸箱14Aを介してロール12AをX方向に押し引きする。
【0022】
ロールクロス機構22Aは、モータ28Aと、シャフト30Aと、ギアボックス32Aとを含む。モータ28Aは、フレーム10の外側に取り付けられている。シャフト30Aは、Y方向に沿って、フレーム10の外側から開口部10aへと延びている。シャフト30Aの先端は、軸箱14AのうちX方向に延びる側縁に接続されている。ギアボックス32Aは、モータ28Aの回転運動をシャフト30AのY方向における直線運動に変換する。そのため、モータ28Aは、制御部26からの信号に基づいて、シャフト30AをY方向に進退させることで、軸箱14AをY方向に押し引きする。これにより、隣り合うロール12A,12Bが並ぶ方向(X方向)から見て、ロール12Aがロール12Bに対して所定の角度θ傾斜する(
図3の(b)参照)。
【0023】
ロール12Aがロール12Bに対して傾斜すると、カレンダ装置1に材料が供給されていない時には、ロール12A,12B間のギャップが、ロール12A,12Bの中央部で狭くなり、ロール12A,12Bの両端部で広くなる。一方、ロール12A,12B間に材料が供給されると、ロール12A,12Bの中央部のギャップが押し広げられてロール12A,12Bの中央部が外方に向けて撓む。そのため、ロール12A,12B間のギャップが略一定となるので、ロール12A,12B間を通過して圧延された後の材料を略均一な厚さとすることができる。
【0024】
ロール12Bは、開口部10b内に配置されている。ロール12Bは、円柱形状を呈している。ロール12Bは、Z方向(
図1の紙面に対して垂直方向)に延びている。ロール12Bは、両端からその軸心方向に沿って延びる軸部を介して、一対の軸箱14Bに回転可能に支持されている(
図3の(a)参照)。一対の軸箱14Bは、開口部10b内において、図示しないスライダを介してフレーム10に取り付けられている。そのため、ロール12Bは、開口部10b内をその延びる方向(Y方向)に移動可能である。一対の軸箱14Bは、X方向において一対の軸箱14Aと隣り合っている。
【0025】
油圧シリンダ18Bは、ハウジング20Bを介してフレーム10に取り付けられている。油圧シリンダ18Bは、開口部10bのうちY方向における開口部10a,10cとは離れた側の端部に位置している。油圧シリンダ18Bのピストンは、軸箱14Bのうち、Y方向において軸箱14Cとは反対側に位置する端縁に接続されている。油圧シリンダ18Bは、制御部26からの信号に基づいて、軸箱14Bを介してロール12BをY方向に押し引きする。
【0026】
ロール12Cは、開口部10c内に配置されている。ロール12Cは、円柱形状を呈している。ロール12Cは、Z方向(
図1の紙面に対して垂直方向)に延びている。ロール12Cは、両端からその軸心方向に沿って延びる軸部を介して、一対の軸箱14Cに回転可能に支持されている。一対の軸箱14Cは、開口部10cのうち開口部10a,10b側の端部に位置しており、開口部10c内において固定されている。そのため、ロール12Cは、開口部10c内において移動しない。一対の軸箱14Cは、Y方向において一対の軸箱14Bと隣り合っている。
【0027】
ロール12Dは、開口部10c内に配置されている。ロール12Dは、円柱形状を呈している。ロール12Dは、X方向及びY方向に共に直交するZ方向(
図1の紙面に対して垂直方向)に延びている。ロール12Dは、両端からその軸心方向に沿って延びる軸部を介して、一対の軸箱14Dに回転可能に支持されている。一対の軸箱14Dは、開口部10c内において、図示しないスライダを介してフレーム10に取り付けられている。そのため、ロール12Dは、開口部10c内をその延びる方向(X方向)に移動可能である。一対の軸箱14Dは、X方向において一対の軸箱14Cと隣り合っている。
【0028】
油圧シリンダ18Dは、ハウジング20Dを介してフレーム10に取り付けられている。油圧シリンダ18Dは、開口部10cのうちX方向における開口部10a,10bとは離れた側の端部に位置している。油圧シリンダ18Dのピストンは、軸箱14Dのうち、X方向において軸箱14Cとは反対側に位置する端縁に接続されている。油圧シリンダ18Dは、制御部26からの信号に基づいて、軸箱14Dを介してロール12DをX方向に押し引きする。
【0029】
ロールクロス機構22Dは、モータ28Dと、シャフト30Dと、ギアボックス32Dとを含む。モータ28Dは、フレーム10の外側に取り付けられている。シャフト30Dは、Y方向に沿って、フレーム10の外側から開口部10cへと延びている。シャフト30Dの先端は、軸箱14DのうちX方向に延びる側縁に接続されている。ギアボックス32Dは、モータ28Dの回転運動をシャフト30DのY方向における直線運動に変換する。そのため、モータ28Dは、制御部26からの信号に基づいて、シャフト30DをY方向に進退させることで、軸箱14DをY方向に押し引きする。これにより、隣り合うロール12C,12Dが並ぶ方向(X方向)から見て、ロール12Dがロール12Cに対して所定の角度傾斜する。
【0030】
ロール12Dがロール12Cに対して傾斜すると、カレンダ装置1に材料が供給されていない時には、ロール12C,12D間のギャップが、ロール12C,12Dの中央部で狭くなり、ロール12C,12Dの両端部で広くなる。一方、ロール12C,12D間に材料が供給されると、ロール12C,12Dの中央部のギャップが押し広げられてロール12C,12Dの中央部が外方に向けて撓む。そのため、ロール12C,12D間のギャップが略一定となるので、ロール12C,12D間を通過して圧延された後の材料を略均一な厚さとすることができる。
【0031】
センサユニット24Aは、軸箱14Aと軸箱14Bとの間に介在し且つその両者に接している(
図1〜
図3参照)。センサユニット24Aは、軸箱14Aと軸箱14Bとの間において、Y方向に並ぶように2つ配置されている。2つのセンサユニット24Aは、ロール12Aの軸とロール12Bの軸とを結ぶ仮想直線が間に位置するように配置されている。
【0032】
センサユニット24Bは、軸箱14Bとフレーム10との間に介在し且つその両者に接している(
図1及び
図2参照)。センサユニット24Bは、軸箱14Bの側縁のうちY方向において油圧シリンダ18Bとは反対側に位置している。
【0033】
センサユニット24Dは、軸箱14Cと軸箱14Dとの間に介在し且つその両者に接している(
図1及び
図2参照)。センサユニット24Dは、軸箱14Cと軸箱14Dとの間において、Y方向に並ぶように2つ配置されている。2つのセンサユニット24Dは、ロール12Cの軸とロール12Dの軸とを結ぶ仮想直線が間に位置するように配置されている。
【0034】
センサユニット24A,24B,24Dの構成について、さらに詳しく説明する。センサユニット24A,24B,24Dの構成はいずれも同様であるので、以下ではセンサユニット24Aの構成について
図4を参照しつつ説明し、他のセンサユニット24B,24Dの説明は省略する。
【0035】
センサユニット24Aは、距離センサ34と、筐体(第1の部材)36と、筐体(第2の部材)38と、ガイド部材40と、2つのボルト42と、2つのコイルばね44とを含む。距離センサ34は、伸縮部34aと、センサ本体部34bとを含む。伸縮部34aは、その長さ方向(
図4の左右方向)に伸縮可能である。伸縮部34aは、その長さ方向において外力が加えられると縮み、当該外力が除かれると元の長さに復元する。センサ本体部34bは、円柱状の連結部材34dを介して伸縮部34aと接続されている。センサ本体部34bは、伸縮部34aの伸縮量を電気信号に変換する。センサユニット24Aにおいて、伸縮部34aの伸縮方向は、軸箱14A,14Bが隣り合う方向(X方向)である。
【0036】
筐体36は、内側筒状部(第1の部材)36aと、底壁(第1の部材)36bと、外側筒状部36cと、接続壁36dとを含む。内側筒状部36aは、センサ本体部34bを収容している。内側筒状部36aの側壁には、2つの貫通孔(供給路)H1,H2が異なる位置に形成されている。内側筒状部36aの一端は、軸箱14A,14Bの一方に固定されている。
【0037】
貫通孔H1は、図示しないガス供給源に接続されており、貫通孔H1からは、内側筒状部36a内に冷却ガス(例えば空気)が導入される。貫通孔H2からは、内側筒状部36a内においてセンサ本体部34bと熱交換した後の冷却ガスが内側筒状部36aから排出される。貫通孔H2は、センサ本体部34bに接続された信号線34cをセンサユニット24Aの外に取り出すためにも用いられる。
【0038】
底壁36bは、内側筒状部36aの他端を閉塞している。底壁36bには、内側筒状部36aの内外を連通する貫通孔H3が形成されている。貫通孔H3には、伸縮部34aが内側筒状部36aの外側に位置し且つセンサ本体部34bが内側筒状部36aの内側に位置するように、連結部材34dが挿通されている。そのため、連結部材34dは、貫通孔H3によって支持される。すなわち、距離センサ34は、内側筒状部36aに保持されている。
【0039】
外側筒状部36cは、内側筒状部36aの外側に位置しており、内側筒状部36aと同軸上に延びている。接続壁36dは、内側筒状部36a及び外側筒状部36cを接続している。接続壁36dには、伸縮部34aの伸縮方向に延びる貫通孔H4が4つ形成されている。
【0040】
筐体38は、筒状部(第2の部材)38aと、底壁(第2の部材)38bと、鍔部38cとを含む。筒状部38aは、内側筒状部36aと外側筒状部36cとの間に位置している。筒状部38aは、内側筒状部36a及び外側筒状部36cと同軸上に延びている。
【0041】
底壁38bは、筒状部38aの一端を閉塞している。底壁38bのうち内側筒状部36aに面する内表面F1には、伸縮部34aの先端が当接している。底壁38bのうち外表面F2は、軸箱14A,14Bの他方に固定されておらず、軸箱14A,14Bの他方の表面に当接しつつ当該表面の面内において移動可能な接触面である。
【0042】
鍔部38cは、環状を呈しており、筒状部38aの外方に向けて延びている。鍔部38cには、伸縮部34aの伸縮方向に延びる貫通孔H5が4つ形成されている。各貫通孔H5はそれぞれ、伸縮部34aの伸縮方向から見て、対応する貫通孔H4と重なり合っている。
【0043】
ガイド部材40は、内側筒状部36aの外周面と筒状部38aの内周面との間に介在している。ガイド部材40は、筒状部38aを内側筒状部36aに対して回転可能に支持すると共に、筒状部38aを内側筒状部36aに対して伸縮部34aの伸縮方向に案内可能に支持している。そのため、筒状部38a(筐体38)は、ガイド部材40を介して内側筒状部36a(筐体36)に取り付けられている。
【0044】
ボルト42はそれぞれ、貫通孔H4,H5内に挿通されている。ボルト42の先端は、鍔部38cと螺合している。そのため、ボルト42も、筒状部38aを内側筒状部36aに対して伸縮部34aの伸縮方向に案内する機能を有する。
【0045】
コイルばね44はそれぞれ、ボルト42に挿通されている。コイルばね44は、接続壁36dと鍔部38cとの間に配置されている。コイルばね44は、接続壁36dと鍔部38cとを離間させる方向に両者の間に付勢力を付与する。
【0046】
以上の構成を有するセンサユニット24Aは、伸縮部34aが所定量だけ縮められ且つ完全には縮められていない状態(以下、「基準状態」という。)で、軸箱14A,14B間に配置される。そのため、軸箱14A,14B間の離間距離が大きくなった場合には、伸縮部34aもそれに追従して伸びる。その結果、距離センサ34は、基準状態に対する伸縮部34aの伸び量を検出し、当該伸び量に基づいて隣り合うロール12A,12B間のギャップを算出する。一方、軸箱14A,14B間の離間距離が小さくなった場合には、伸縮部34aもそれに追従して縮まる。その結果、距離センサ34は、基準状態に対する伸縮部34aの縮み量を検出し、当該縮み量に基づいて隣り合うロール12A,12B間のギャップを算出する。このように、距離センサ34は、伸縮部34aの伸縮量に基づいて、隣り合うロール12A,12B間のギャップを計測する。
【0047】
図1に戻って、制御部26は、一つ又は複数の制御用コンピュータにより構成され、カレンダ装置1を制御する。制御部26は、制御条件に基づいてカレンダ装置1の各部の制御処理を実行する処理部(図示せず)と、コンピュータ読み取り可能な記録媒体からプログラムを読み取る読み取り部(図示せず)とを有する。当該記録媒体に記録されているプログラムは、カレンダ装置1の各部に制御処理を実行させるためのプログラムである。記録媒体としては、例えば、半導体メモリ、光記録ディスク、磁気記録ディスク、光磁気記録ディスクであってもよい。
【0048】
具体的には、制御部26はカレンダ装置1を制御して、ロール12A,12B間に供給された材料M1及びロール12C,12D間に供給されたM2と共にシート状の基材S1をロール12B,12Cで圧延することで、基材S1の各面に材料M1,M2の膜が成形されたシート状の製品S2をカレンダ装置1に製造させる(
図2参照)。このとき、制御部26は、距離センサ34からの信号に基づいて、隣り合うロール12A,12B間のギャップと、隣り合うロール12B,12C間のギャップと、隣り合うロール12C,12D間のギャップが一定となるように、各油圧シリンダ18A,18B,18Dを制御する。
【0049】
例えば、距離センサ34によって計測された隣り合うロール12A,12B間のギャップが、目標値よりも小さい場合には、ロール12Aがロール12Bから離間するように、軸箱14Aを油圧シリンダ18A側に引き寄せる。一方、距離センサ34によって計測された隣り合うロール12A,12B間のギャップが、目標値よりも大きい場合には、ロール12Aがロール12Bに近接するように、油圧シリンダ18Aによって軸箱14Aを押す。
【0050】
以上のような本実施形態では、センサユニット24Aは、軸箱14Aと軸箱14Bとの間に介在し且つその両者に接している。また、センサユニット24Aは、軸箱14A,14Bが並ぶ一の方向において伸縮する伸縮部34aを備える距離センサ34と、距離センサ34を保持する筐体36と、伸縮部34aと当接し且つ一の方向に沿ってスライド可能に筐体36に対して取り付けられた筐体38とを含む。そのため、軸箱14A,14Bが近接する場合には、その近接した大きさだけ、筐体38が一の方向にスライドして伸縮部34aが一の方向に縮む。一方、軸箱14A,14Bが離間する場合には、その離間した大きさだけ、筐体38が一の方向にスライドして伸縮部34aが一の方向に伸びる。このように、軸箱14A,14Bの一の方向における移動量を、伸縮部34aの伸縮量として直接計測することができる。従って、センサユニット24Aを用いて、ロール12A,12B間のギャップを極めて高精度に検出することができる。特に、特許文献1に記載のような非接触式の距離センサを用いた場合の精度は例えば10μm以上であるが、伸縮部34aにより軸箱14A,14Bの一の方向における移動量を伸縮量として直接計測した場合の精度は例えば1μm程度である。その結果、制御部26が当該伸縮量に基づいて油圧シリンダ18Aを制御することにより、ロール12A,12B間のギャップに関し、極めて高精度な制御が実現される。
【0051】
本実施形態では、2つのセンサユニット24Aは、ロール12Aの軸とロール12Bの軸とを結ぶ仮想直線が間に位置するように配置されている。そのため、軸箱14A,14Bのうち一方が他方に対して傾いても、2つのセンサユニット24Aで計測された2つの伸縮量の例えば平均値を用いることにより、ロール12A,12B間のギャップを極めて高精度に検出することができる。
【0052】
本実施形態では、内側筒状部36a(筐体36)は、軸箱14Aに固定されている。底壁38b(筐体38)は、軸箱14Bに固定されておらず、軸箱14Bの表面に当接しつつ当該表面の面内において移動可能な外表面F2を含んでいる。そのため、一の方向(伸縮部34aの伸縮方向)に直交する仮想平面においてロール12A,12Bのうち一方が他方に対してずれるように移動しても、外表面F2もそれに追従して軸箱14Bの表面に当接しつつ当該表面の面内において移動する。従って、当該仮想平面に沿った方向においてセンサユニット24Aに負荷が生ずることを抑制できる。また、伸縮部34aの伸縮方向が一の方向のままに保たれるので、ロール12A,12Bの間において上記のようなずれが生ずるような場合でもロール12A,12B間のギャップを極めて高精度に検出することができる。
【0053】
カレンダ装置1の動作中、ロール12A,12Bは加熱されるので、その熱によって距離センサ34が加熱されると温度ドリフトによって距離センサ34からの出力値が変動する虞がある。しかしながら、本実施形態では、距離センサ34(センサ本体部34b)に冷却ガスを供給するための供給路として、内側筒状部36aに貫通孔H1,H2が形成されている。そのため、貫通孔H1,H2を通じて冷却ガスで距離センサ34を冷却することができる。従って、ロール12A,12B間のギャップをより高精度に検出することができる。
【0054】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記した実施形態に限定されるものではない。例えば、筐体36,38の一方は、軸箱14A,14Bの一方に固定されており、筐体36,38の他方は、軸箱14A,14Bの他方に固定されておらず、軸箱14A,14Bの他方の表面に当接しつつ当該表面の面内において移動可能な接触面を含んでいてもよい。
【0055】
隣り合う一対の軸箱間には、少なくとも1つのセンサユニットが介在していてもよい。
【0056】
装置の動作時において、距離センサ34の周囲に熱が生じ難い場合には、距離センサ34を冷却するための供給路をセンサユニット24Aが含んでいなくてもよい。
【0057】
貫通孔H1,H2を通じて冷却ガスで距離センサを冷却する代わりに、筐体36,38を断熱材等で形成してもよい。この場合、距離センサ34に付与される熱を低減することができるので、温度ドリフトによる影響を抑制することができる。従って、ロール12A,12B間のギャップをより高精度に検出することができる。
【0058】
カレンダ装置1は、油圧シリンダ18A,18B,18Dがロール12A,12B,12Dからそれぞれ受けた圧力を電気信号に変換する圧力変換器を備えていてもよい。
【0059】
上記の実施形態では、カレンダ装置1について説明したが、隣り合う一対のロールによって材料を圧延する圧延装置に対して、本発明を広く適用することができる。
【解決手段】カレンダ装置1は、隣り合うロール12A,12Bと、ロール12Aの軸を回転可能に支持する軸箱14Aと、ロール12Bの軸を回転可能に支持し且つ軸箱14Aと隣り合う軸箱14Bと、ロール12Aとロール12Bとを近接及び離間させるように軸箱14Aの位置を調節する油圧シリンダ18Aと、軸箱14Aと軸箱14Bとの間に介在し且つその両者に接するセンサユニット24Aと、制御部26とを備える。センサユニット24Aは、軸箱14A,14Bが並ぶ方向において伸縮する伸縮部を備える距離センサと、距離センサを保持する内側筒状部と、伸縮部と当接し且つ伸縮部の伸縮方向に沿ってスライド可能に内側筒状部に対して取り付けられた筒状部とを含む。制御部26は、伸縮部の伸縮量に基づいて油圧シリンダ18Aを制御する。