【課題を解決するための手段】
【0017】
発明の要約
本発明は、それ故に、式(I)
【化1】
〔式中、
Aは
【化2】
から成る群から選択され;
Vは水素、ハロまたは−OR
1bであり;
R
1、R
1aおよびR
1bは水素、C
1−6アルキル、C
6−10アリール−C
1−4アルキル、−C(O)C
6−10アリールおよび−C(O)C
1−6アルキルから成る群から独立して選択され;
R
2およびR
2aは、各々、ハロ、ヒドロキシ、C
1−6アルキルおよびC
1−6アルコキシから成る群から独立して選択され;
R
3はハロ、ヒドロキシ、C
1−6アルキル、ハロC
1−6アルキル、C
3−10シクロアルキル、C
1−6アルコキシまたはハロC
1−3アルコキシであり;
R
4は
【化3】
から成る群から選択され;
R
5はアミノ酸側鎖であり;
R
6はC
1−6アルキル、C
3−10シクロアルキル、C
3−10シクロアルキル−C
1−4アルキル、3〜10員ヘテロシクロアルキル、(3〜10員ヘテロシクロアルキル)−C
1−4アルキル、C
6−10アリール、C
6−10アリール−C
1−4アルキル、5〜10員ヘテロアリールまたは(5〜10員ヘテロアリール)−C
1−4アルキルであり;
R
7は各々独立して水素、C
1−6アルキル、C
3−10シクロアルキル、C
3−10シクロアルキル−C
1−4アルキル、3〜10員ヘテロシクロアルキル、(3〜10員ヘテロシクロアルキル)−C
1−4アルキル、C
6−10アリール、C
6−10アリール−C
1−4アルキル、5〜10員ヘテロアリールまたは(5〜10員ヘテロアリール)−C
1−4アルキルであり;
nは0、1、2または3であり;
qは0、1または2である。〕
の化合物またはその薬学的に許容される塩を提供する。
【0018】
本発明の化合物は、ナトリウムD−グルコース共輸送体(SGLT)が介在する疾患および状態、例えば高血糖、糖尿病などの処置に有用である。本発明はまたそのような疾患および状態の処置方法ならびにその処置のための化合物および組成物なども提供する。
【0019】
本発明の化合物は、インビボで代謝されたときナトリウム−D−グルコース共輸送体(SGLT)阻害効果を有するプロドラッグであり、それは、SGLTの阻害が有益である疾患および/または医学的状態、例えば糖尿病(1型および2型を含む)、高血糖、肥満、異脂肪血症、インスリン抵抗性および他のメタボリックシンドロームおよび/または網膜症、腎症、神経障害、虚血性心臓疾患、動脈硬化症、β細胞機能不全を含む糖尿病関連合併症の予防、管理、処置、進行制御または補助処置のために、また肥満の治療および/または予防剤として有益である。
【0020】
発明の詳細な記載
定義
特に断らない限り、用語“本発明の化合物”は、式(I)の化合物(実施例のものを含む)およびその塩類(好ましくは薬学的に許容される塩類)、および全ての立体異性体(ジアステレオ異性体およびエナンチオマーを含む)、互変異性体および同位体標識された式(I)の化合物(例えば、重水素置換)、ならびに必然的に形成された同族物(例えば、多形、溶媒和物および/または水和物)を意味する。
【0021】
アルキル、アルコキシ、アリールなどのような基における必須炭素原子数は、下記定義においてC
1−6、C
1−4などとして表す。例えば、C
1−6アルコキシは1〜6個の炭素原子を有し、C
1−10ヘテロアリールは1〜10個の炭素原子を有する。
【0022】
ここで使用する用語“アルキル”は、完全に飽和の分枝または非分枝炭化水素基を意味する。好ましくは、アルキルは1〜20個の炭素原子、より好ましくは1〜16個の炭素原子、1〜10個の炭素原子、1〜6個の炭素原子または1〜4個の炭素原子を含む。アルキルの代表例は、メチル、エチル、n−プロピル、イソ−プロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソ−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、n−ヘキシル、3−メチルヘキシル、2,2−ジメチルペンチル、2,3−ジメチルペンチル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−ノニルまたはn−デシルを含むが、これらに限定されない。
【0023】
ここで使用する用語“ハロアルキル”は、1個以上のここで定義するハロ基で置換された、ここで定義するアルキルを意味する。モノアルキルはアルキル基内に1個のヨード、ブロモ、クロロまたはフルオロを有し得る。ジハロアルキル基およびポリハロアルキル基は、アルキル内に2個以上の同じハロ原子または異なるハロ基の組み合わせを有し得る。典型的に、ポリハロアルキルは最大12個または10個または8個または6個または4個または3個または2個のハロ基を含む。ハロアルキルの非限定的例はフルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、クロロメチル、ジクロロメチル、トリクロロメチル、ペンタフルオロエチル、ヘプタフルオロプロピル、ジフルオロクロロメチル、ジクロロフルオロメチル、ジフルオロエチル、ジフルオロプロピル、ジクロロエチルおよびジクロロプロピルを含む。ペルハロアルキルは、全水素原子がハロ原子で置換されたアルキルを意味する。
【0024】
“アルキレン”は、1〜12個の炭素原子、好ましくは1〜6個の炭素原子を有し、分子骨格と基を連結する直鎖または分枝鎖の二価炭化水素鎖を意味する。アルキレン基の例はメチレン、エチレン、プロピレン、n−ブチレンなどを含む。アルキレンは、分子骨格に単結合を介しておよび基に単結合を介して結合する。アルキレンの分子骨格および基への結合点は鎖内の1個の炭素または任意の2個の炭素であり得る。
【0025】
“ハロゲン”または“ハロ”はフルオロ、クロロ、ブロモまたはヨードであり得る。
【0026】
ここで使用する用語“アルコキシ”は、アルキル−O−(式中、アルキルは上で定義したとおり)を意味する。アルコキシの代表例はメトキシ、エトキシ、プロポキシ、2−プロポキシ、ブトキシ、tert−ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、シクロプロピルオキシ−、シクロヘキシルオキシ−などを含むが、これらに限定されない。好ましくは、アルコキシ基は約1〜6個、より好ましくは約1〜4個の炭素を有する。
【0027】
ここで使用する用語“ハロアルコキシ”は、1個以上の個々で定義するハロ基で置換されたここで定義するアルコキシを意味する。ハロアルコキシはモノハロアルコキシでも、ジハロアルコキシでも、ペルハロアルコキシを含むポリハロアルコキシでもよい。モノハロアルコキシは、アルコキシ基内の1個のヨード、ブロモ、クロロまたはフルオロを有し得る。ジハロアルコキシ基およびポリハロアルコキシ基は、アルコキシ内に2個以上の同じハロ原子または異なるハロ基の組み合わせを有し得る。典型的に、ポリハロアルコキシは最大12個または10個または8個または6個または4個または3個または2個のハロ基を含む。ハロアルコキシの非限定的例はフルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、クロロメトキシ、ジクロロメトキシ、トリクロロメトキシ、ペンタフルオロエトキシ、ヘプタフルオロプロポキシ、ジフルオロクロロメトキシ、ジクロロフルオロメトキシ、ジフルオロエトキシ、ジフルオロプロポキシ、ジクロロエトキシおよびジクロロプロポキシを含む。ペルハロアルコキシは、全水素原子がハロ原子で置換されたアルコキシを意味する。
【0028】
用語“アリール”は、環部分に6〜10個の炭素原子を有する単環式または二環式芳香族炭化水素基を意味する。例はフェニルおよびナフチルを含む。
【0029】
用語“アリール”はまた、環系の少なくとも1個の環が芳香族である限り、アリール環が1個以上の非芳香族カルボシクリルと縮合した基も意味する。非限定的例は2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イルおよび1,2,3,4−テトラヒドロナフト−2−イルを含む。
【0030】
用語“アリールアルキル”は、分枝鎖でも非分枝鎖でもよいアルキレン基を介して他の基に連結しているアリール基を意味する。アリールアルキル基の例はベンジル、2−フェニル−エチル、2−(ナフト−2−イル)−ブタン−1−イルなどを含む。
【0031】
ここで使用する用語“ヘテロシクリル”は、例えば、場合により置換されていてよい、飽和または不飽和非芳香環または環系を意味し、それは、3員、4員、5員、6員または7員単環式、7員、8員、9員、10員、11員または12員二環式または10員、11員、12員、13員、14員または15員三環式環系であり、かつO、SおよびNから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含む(ここで、NおよびSはまた場合により種々の酸化状態で酸化されていてよい)。ヘテロ環基はヘテロ原子または炭素原子で結合してよい。ヘテロシクリルは縮合または架橋環ならびにスピロ環式環を含み得る。ヘテロ環の例はジヒドロフラニル、[1,3]ジオキソラニル、1,4−ジオキサニル、1,4−ジチアニル、ピペラジニル、1,3−ジオキソラニル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、ピロリジニル、ジヒドロピラニル、オキサチオラニル、ジチオラニル、1,3−ジオキサニル、1,3−ジチアニル、オキサチアニル、チオモルホリニル、オキシラニル、アジリジニル、オキセタニル、アゼチジニル、テトラヒドロフラニル、ピロリジニル、テトラヒドロピラニル、ピペリジニル、モルホリニル、アゼピニル、オキサピニル、オキサゼピニルおよびジアゼピニルを含む。
【0032】
ここで使用する用語“カルボシクリル”は、3〜12個の炭素原子、好ましくは3〜9個または3〜7個の炭素原子の、飽和または一部不飽和の(ただし芳香族ではない)単環式、二環式または三環式炭化水素基を意味する。単環式炭化水素基の例は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロペンテニル、シクロヘキシルまたはシクロヘキセニルを含むが、これらに限定されない。二環式炭化水素基の例は、ボロニル、デカヒドロナフチル、ビシクロ[2.1.1]ヘキシル、ビシクロ[2.2.1]ヘプチル、ビシクロ[2.2.1]ヘプテニル、6,6−ジメチルビシクロ[3.1.1]ヘプチル、2,6,6−トリメチルビシクロ[3.1.1]ヘプチルまたはビシクロ[2.2.2]オクチルを含む。三環式炭化水素基の例はアダマンチルを含む。“シクロアルキル”は完全に飽和されたカルボシクリルである。
【0033】
ここで使用する用語“ヘテロアリール”は、環系にN、OまたはSから選択される1〜8個のヘテロ原子および少なくとも1個の炭素原子、好ましくは1〜10個、より好ましくは1〜6個の炭素原子を有する5〜14員単環式または二環式または多環式芳香環系を意味する。好ましくは、ヘテロアリールは5〜10員または5〜7員環系である。単環式ヘテロアリール基の例はピリジル、チエニル、フラニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾイル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、トリアゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリルおよびテトラゾリルを含む。二環式ヘテロアリール基の例はインドリル、ベンゾフラニル、イソキノリニルインダゾリル、インドリニル、イソインドリル、インドリジニル、ベンズアミダゾリルおよびキノリニルを含む。
【0034】
用語“ヘテロアリール”はまた、環系の少なくとも1個の環が芳香族であり、少なくとも1個の環がヘテロ原子を含む限り、芳香環が1個以上の非芳香族カルボシクリルまたはヘテロシクリルに縮合している基、例えば、3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]オキサジン−7−イルおよび1,2,3,4−テトラヒドロキノリン−7−イルも意味する。
【0035】
ヘテロアリール基は単、二、三または多環式、好ましくは単、二または三環式、より好ましくは単または二環式であり得る。
【0036】
用語“ヘテロアリールアルキル”は、分枝鎖でも非分枝鎖でもよいアルキレン基を介して他の基に結合しているヘテロアリール基を意味する。ヘテロアリールアルキル基の例は2−(ピリジン−3−イル)−エチル、3−(キノリン−7−イル)−ブタン−1−イルなどを含む。
【0037】
“ヘテロアリール”および“ヘテロシクリル”はまた酸化されたSまたはN、例えばスルフィニル、スルホニルおよび三級環窒素のN−オキシドを含むことも意図する
【0038】
特に明示的に断らない限り、ここで、アリールアルキルのように複数基の組み合わせを一つの部分として記載しているとき、最後に記載した基が、該部分が分子骨格に結合している原子を含む。
【0039】
アミノ酸類は次の構造式を有する。
【化4】
〔式中、R”はアミノ酸側鎖である。〕。用語“アミノ酸側鎖”は、天然に存在するアミノ酸ならびに非標準アミノ酸類の側鎖を意味する。天然に存在するアミノ酸類はグリシン(側鎖は水素である)、アラニン、システイン、アスパラギン、グルタミン、グルタミン酸、アルギニン、アスパラギン酸、ヒスチジン、リシン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、スレオニン、トリプトファン、チロシンおよびバリンを含む。非標準アミノ酸類は3,5−ジブロモチロシン、3,5−ジヨードチロシン、gem−ジメチルグリシン、ヒドロキシリシン、α−アミノ酪酸、ヒドロキシプロリン、ランチオニン、サイロキシン、オルニチンおよびシトルリンを含む。好ましいアミノ酸側鎖はバリンの側鎖である。
【0040】
“立体異性体”は、同じ結合により結合した同じ原子から成るが、置き替え可能ではない異なる三次元構造を有する化合物を意味する。本発明は種々の立体異性体およびそれらの混合物を意図し、かつ、分子が互いに重なり合わない鏡像である2個の立体異性体を意味する“エナンチオマー”を含む。
【0041】
本発明の化合物は、cis−およびtrans−形態、E−およびZ−形態、R−、S−およびメソ−形態、ケト−およびエノール−形態を含むが、これらに限定されない1個以上の幾何、光学、エナンチオマー、ジアステレオマーおよび互変異性形態で存在し得る。全てのこのような異性体形態は本発明に包含される。異性体形態は異性体的に純粋でもまたは富化された形態ならびに異性体混合物(例えばラセミ体またはジアステレオマー混合物)であり得る。
【0042】
従って、本発明は
・ 式(I)の化合物の立体異性混合物;
・ 式(I)の化合物のジアステレオマー的に富化されたまたはジアステレオマー的に純粋な異性体;または
・ 式(I)の化合物のエナンチオマー的に富化されたまたはエナンチオマー的に純粋な異性体
を提供する。
【0043】
適当であるとき、異性体は既知方法(例えばクロマトグラフィー法および再結晶法)の利用または適用によりそれらの混合物から分離できる。適当であるとき、異性体は既知方法(例えば不斉合成)の利用または適用により製造できる。
【0044】
特記しない限り、本発明は、全てのこのような可能な異性体、ならびにそれらのラセミ体および光学的に純粋な形態を包含することを意図する。光学活性(+)および(−)、(R)−および(S)−または(D)−および(L)−異性体は、キラルシントンまたはキラル反応材を使用して製造してよく、またはキラルカラムを使用するHPLCのような慣用法を使用して分割してよい。ここに記載する化合物がオレフィン様二重結合または他の幾何不斉中心を含むとき、かつ、特に断らない限り、該化合物はEおよびZの両者の幾何異性体を含むことを意図する。同様に、全ての互変異性形態も包含することを意図する。
【0045】
ここで使用する用語“塩”または“塩類”は、本発明の化合物の酸付加塩または塩基付加塩を意味する。“塩類”は特に“薬学的に許容される塩類”を含む。用語“薬学的に許容される塩類”は、本発明の化合物の生物学的有効性および特性を保持し、典型的に生物学的にまたは他の点で望ましくないものではない塩類を意味する。多くの例で、本発明の化合物はアミノおよび/またはカルボキシル基またはそれらに類する基の存在により、酸および/または塩基塩を形成できる。
【0046】
薬学的に許容される酸付加塩類は無機酸類および有機酸類と形成でき、例えば、酢酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベシル酸塩、ブロマイド/ヒドロブロマイド、ビカーボネート/カーボネート、ビスルフェート/スルフェート、カンファースルホン酸塩、クロライド/ヒドロクロライド、クロロテオフィリン酸塩、クエン酸塩、エタンジスルホン酸塩、フマル酸塩、グルセプチン酸塩、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、馬尿酸塩、ヒドロアイオダイド/アイオダイド、イセチオン酸塩、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、ラウリル硫酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、マンデル酸塩、メシル酸塩、メチル硫酸塩、ナフトエ酸塩、ナプシル酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オクタデカン酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、ホスフェート/ハイドロゲン・ホスフェート/ジハイドロゲン・ホスフェート、ポリガラクツロン酸塩、プロピオン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、スルホサリチル酸塩、酒石酸塩、トシル酸塩およびトリフルオロ酢酸塩である。
【0047】
塩類を誘導できる無機酸類は、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などを含む。
【0048】
塩類を誘導できる有機酸類は、例えば、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、シュウ酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、スルホサリチル酸などを含む。
【0049】
薬学的に許容される塩基付加塩類は無機および有機塩基類と形成できる。
【0050】
塩類を誘導できる無機塩基類は、例えば、アンモニウム塩類および元素周期律表のI〜XII欄の金属を含む。ある態様において、塩類はナトリウム、カリウム、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、銀、亜鉛および銅から誘導され、特に好適な塩類はアンモニウム塩、カリウム塩、ナトリウム塩、カルシウム塩およびマグネシウム塩を含む。
【0051】
塩類を誘導できる有機塩基類は、例えば、1級、2級および3級アミン類、天然に存在する置換アミン類を含む置換アミン類、環状アミン類、塩基性イオン交換樹脂などを含む。ある種の有機アミン類はソプロピルアミン、ベンザチン、コリナート、ジエタノールアミン、ジエチルアミン、リシン、メグルミン、ピペラジンおよびトロメタミンを含む。
【0052】
本発明の薬学的に許容される塩類は、慣用の化学方により、塩基性または酸性基から合成できる。一般的に、このような塩類は、遊離酸形態のこれらの化合物と化学量論量の適当な塩基(例えばNa、Ca、MgまたはKの水酸化物、炭酸塩、重炭酸塩など)を反応させることにより、または遊離塩基形態のこれらの化合物と化学量論量の適当な酸を反応させることにより製造できる。このような反応は、典型的に水中でまたは有機溶媒中でまたはこれら2種の混合物中で行う。一般的に、実際的であれば、エーテル、酢酸エチル、エタノール、イソプロパノールまたはアセトニトリルのような非水性媒体の使用が望ましい。さらなる適用可能な塩類の一覧は、例えば、“Remington's Pharmaceutical Sciences”, 20th ed., Mack Publishing Company, Easton, Pa., (1985); および“Handbook of Pharmaceutical Salts: Properties, Selection, and Use” by Stahl and Wermuth (Wiley-VCH, Weinheim, Germany, 2002に見ることができる。
【0053】
さらに、本発明の化合物は、その塩類を含み、また、結晶化に使用した溶媒を含む、その水和物または溶媒和物の形で得ることもできる。本発明の化合物は必然的にまたは設計により薬学的に許容される溶媒(水を含む)と溶媒和物を形成し、それにより、本発明は溶媒和され、または溶媒和されていない形態の両方を含むことを意図する。用語“溶媒和物”は、本発明の化合物(その薬学的に許容される塩類を含む)と1個以上の溶媒分子の分子複合体を意味する。このような溶媒分子は、受容者に無害であることが知られている医薬分野で一般的に使用されるもの、例えば、水、エタノールなどである。用語“水和物”は、溶媒分子が水であるときの該複合体を意味する。
【0054】
本発明の化合物は、その塩類、水和物および溶媒和物を含み、必然的にまたは設計により多形を形成し得る。
【0055】
本発明の化合物は、式(I)およびここに記載する実施例または態様のいずれかに存在する原子の全ての同位体を含むことを明らかにする。例えば、H(または水素)は
1H、
2H(D)および
3H(T)を含む水素のあらゆる同位体形態を意味し、Cは
12C、
13Cおよび
14Cを含む炭素のあらゆる同位体形態を意味し、Oは
16O、
17Oおよび
18Oを含む酸素のあらゆる同位体形態を意味し、Nは
13N、
14Nおよび
15Nを含む窒素のあらゆる同位体形態を意味し、Pは
31Pおよび
32Pを含むリンのあらゆる同位体形態を意味し、Sは
32Sおよび
35Sを含む硫黄のあらゆる同位体形態を意味し、Fは
19Fおよび
18Fを含むフッ素のあらゆる同位体形態を意味し、Clは
35Cl、
37Clおよび
36Clを含む塩素のあらゆる同位体形態を意味する。好ましい態様において、式(I)で表される化合物は、その天然に存在する量でその中に原子の同位体を含む。しかしながら、ある例では、1個以上の原子の通常少ない量で存在する特定の同位体を富化することが望ましい。例えば、
1Hは通常99.98%を超える量で存在するが、しかしながら、本発明の化合物は、Hが存在する一カ所以上で
2Hまたは
3Hを富化できる。式(I)の化合物の具体的な態様において、例えば、水素が重水素同位体で富化されているとき、重水素の富化を示すために記号“D”を使用し得る。一つの態様において、本発明の化合物で放射活性同位体、例えば
3Hおよび
14Cが富化されているとき、該化合物は薬物および/または基質組織分布アッセイにおいて有用であり得る。同様に、陽電子放出同位体、例えば
11C、
18F、
15Oおよび
13Nでの富化は、基質受容体占拠を試験するための陽電子放射型断層撮影法(PET)試験に有用であり得る。本発明は、SGLTを阻害する全てのこのような同位体形態を包含すると解釈すべきである。
【0056】
同位体富化した式(I)の化合物は、一般的に、当業者に慣用の技術により、またはここに記載する方法に準じて、先に用いた非富化反応材の代わりに適当な同位体富化した反応材を使用して製造できる。
【0057】
水素結合のドナーおよび/またはアクセプターとして作用できる基を含む本発明の化合物、すなわち式(I)の化合物は、適当な共結晶形成剤と共結晶を形成できる可能性がある。これらの共結晶は、知られた共結晶形成法により式(I)の化合物から製造し得る。このような方法は、溶液中で、式(I)の化合物と共結晶形成剤を結晶化条件で粉砕、加熱、共浸漬、共融解または接触させ、それにより形成した共結晶を単離することを含む。適当な共結晶形態は、WO2004/078163に記載のものを含む。故に、本発明は、さらに、式(I)の化合物を含む共結晶を提供する。
【0058】
ここで使用する用語あらゆる疾患または障害の“処置する”または“処置”は、一つの態様において、疾患または障害の寛解(すなわち、疾患またはその臨床症状の少なくとも一つの発症の遅延または停止または減少)を意味する。他の態様において、“処置する”または“処置”は、患者が認識し得ないものを含む身体パラメータの少なくとも1個の軽減または回復を意味する。さらに他の態様において、“処置する”または“処置”は、身体的に(例えば、認識できる症状の安定化)、生理学的に(例えば、身体パラメータ、例えば決闘の安定化)またはその両者により疾患または障害を修飾することを意味する。さらに他の態様において、“処置する”または“処置”は、疾患または障害の発症または進展または進行の予防または遅延を意味する。
【0059】
ここで使用する対象は、このような対象がこのような処置により生物学的に、医学的にまたはクオリティ・オブ・ライフの点で利益を受けるならば、処置する“必要がある”。
【0060】
投与する本発明の化合物の量は、本化合物または誘導体を疾患または状態もしくはその症状の処置に使用するとき、治療有効量でなければならず、本化合物または誘導体を疾患または状態もしくはその症状の予防に使用するとき、予防有効量でなければならない。
【0061】
本発明の化合物の“治療有効量”なる用語は、対象に生物学的または医学的応答、例えば、酵素またはタンパク質活性の減少または阻害または症状軽減、状態軽減、疾患進行減速または遅延または疾患の予防などをもたらす本発明の化合物の量を意味する。一つの非限定的態様において、用語“治療有効量”は、対象に投与したとき、(1)(i)SGLT1および/またはSGLT2により介在される、(ii)SGLT1および/またはSGLT2活性と関与する、(iii)SGLT1および/またはSGLT2の活性(正常または異常)により特徴付けられる状態または疾患もしくはその症状を少なくとも一部軽減する、阻止する、予防するおよび/または回復させる;または(2)SGLT1および/またはSGLT2の活性を減少するまたは阻害するのに有効な本発明の化合物の量を意味する。他の非限定的態様において、用語“治療有効量”は、細胞または組織または非細胞性材料または媒体に適用したとき、SGLT1および/またはSGLT2の活性を少なくとも一部減少するまたは阻害する;またはSGLT1および/またはSGLT2の発現を少なくとも一部減少するまたは阻害するのに有効な本発明の化合物の量を意味する。正確な投与量は、一般に、投与時の患者の状態による。患者における疾患状態の重症度、患者の一般的健康状態、年齢、体重、性別、食習慣、投与の時間、頻度および経路、薬物組み合わせ、反応感受性および治療に対する患者の耐容性または応答を含む因子を、投与量決定時に考慮に入れ得る。厳密な量は日常的実験により決定されるが、最終的に医師の判断による。一般的に、有効投与量は、0.01mg/kg/日(患者体重に対する薬物重量)〜1000mg/kg/日、例えば1mg/kg/日〜100mg/kg/日または1mg/kg/日〜10mg/kg/日である。組成物は、個々に患者に投与してよく、または、他の薬剤、薬物またはホルモン類と組み合わせて投与してよい。
【0062】
ここで使用する用語“対象”は、動物を意味する。典型的に、動物は哺乳動物である。対象はまた例えば、霊長類(例えば、ヒト、男性または女性)、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、イヌ、ネコ、ウサギ、ラット、マウス、魚類、鳥類などを意味する。ある態様において、対象は霊長類である。さらに別の態様において、対象はヒトである。
【0063】
ここで使用する用語“阻害する”または“阻害”は、ある状態、症状または障害または疾患の減少または抑制または生物学的活性または過程のベースライン活性の顕著な減少を意味する。
【0064】
ここで使用する用語“疾患”および“状態”は交換可能に使用してよく、または特定の疾患または状態が既知原因因子を有し得ない(従って、病因がまだ決定されていない)、それ故に、疾患としてはまだ認識されていないが、多かれ少なかれ特定の一連の症状が医師により確認されている望ましくない状態または症候群としてのみ認識されている点で異なってよい。ここで使用する用語“障害”は“状態”の同義語である。
【0065】
用語“含む”は“含む”ならびに“から成る”を包含し、例えば、Xを“含む”組成物は排他的にXから成っても、何か付加的なものを含んでも、例えば、X+Yでもよい。
【0066】
用語“実質的に”は、“完全に”を除外せず、例えば、Yが“実質的にない”組成物は、完全にYがなくてよい。必要であれば、用語“実質的に”は本発明の定義から削除し得る。
【0067】
数値xと関連した用語“約”は、例えば、x±10%を意味する。
【0068】
ここに記載する全ての方法は、ここに特記しない限り、または文脈から明らかに矛盾しない限り、あらゆる適当な順番で実施できる。ここに提供する任意のおよび全ての例および例示的表現(例えば“のような”)は、単に本発明をよりよく説明することを意図し、本発明の範囲を他に請求している以外に限定するものではない。
【0069】
ここで使用する用語単数表現および本発明の文脈(特に特許請求の範囲の文脈)で使用する類似の用語は、ここに特記しない限り、または文脈から明らかに矛盾しない限り、単数および複数の両方を包含する。
【0070】
ある基が置換されているまたは所望により置換されていてよいと明示していない限り、該基は非置換であると解釈すべきである。
【0071】
本発明の化合物
本発明の種々の態様をここに記載する。各態様において特定した事項を他の特定事項と組み合わせて、さらなる態様を提供することは認識される。
【0072】
一つの態様において、本発明は式(I)
【化5】
〔式中、
Aは
【化6】
から成る群から選択され;
Vは水素、ハロまたは−OR
1bであり;
R
1、R
1aおよびR
1bは水素、C
1−6アルキル、C
6−10アリール−C
1−4アルキル、−C(O)C
6−10アリールおよび−C(O)C
1−6アルキルから成る群から独立して選択され;
R
2およびR
2aは、各々、ハロ、ヒドロキシ、C
1−6アルキルおよびC
1−6アルコキシから成る群から独立して選択され;
R
3はハロ、ヒドロキシ、C
1−6アルキル、ハロC
1−6アルキル、C
3−10シクロアルキル、C
1−6アルコキシまたはハロC
1−3アルコキシであり;
R
4は
【化7】
から成る群から選択され;
R
5はアミノ酸側鎖であり;
R
6はC
1−6アルキル、C
3−10カルボシクリル、C
3−10カルボシクリル−C
1−4アルキル、3〜10員ヘテロシクリル、(3〜10員ヘテロシクリル)−C
1−4アルキル、C
6−10アリール、C
6−10アリール−C
1−4アルキル、5〜10員ヘテロアリールまたは(5〜10員ヘテロアリール)−C
1−4アルキルであり;
R
7は各々独立して水素、C
1−6アルキル、C
3−10カルボシクリル、C
3−10カルボシクリル−C
1−4アルキル、3〜10員ヘテロシクリル、(3〜10員ヘテロシクリル)−C
1−4アルキル、C
6−10アリール、C
6−10アリール−C
1−4アルキル、5〜10員ヘテロアリールまたは(5〜10員ヘテロアリール)−C
1−4アルキルであり;
nは0、1、2または3であり;
qは0、1または2である。〕
の化合物またはその薬学的に許容される塩を提供する。
【0073】
一つの態様において、本発明は式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を提供し、ここで、nは0である。
【0074】
他の態様において、本発明は式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を提供し、ここで、qは0である。
【0075】
他の態様において、本発明は式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を提供し、ここで、Aは
【化8】
である。
【0076】
他の態様において、本発明は式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を提供し、ここで、Vは−OR
1bである。
【0077】
他の態様において、本発明は式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を提供し、ここで、R
1、R
1aおよびR
1bは水素である。
【0078】
他の態様において、本発明は式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を提供し、ここで、R
3はC
1−4アルキルまたはC
3−6シクロアルキルである。
【0079】
他の態様において、本発明は式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を提供し、ここで、R
3はエチルまたはシクロプロピルである。
【0080】
他の態様において、本発明は式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を提供し、ここで、R
3はエチルである。
【0081】
他の態様において、本発明は式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を提供し、ここで、R
4は
【化9】
である。
【0082】
他の態様において、本発明は式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を提供し、ここで、R
5はグリシン、アラニン、システイン、アスパラギン、グルタミン、グルタミン酸、アルギニン、アスパラギン酸、ヒスチジン、リシン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、スレオニン、トリプトファン、チロシンおよびバリンの側鎖から成る群から選択される天然に存在するアミノ酸側鎖である。
【0083】
他の態様において、本発明は式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を提供し、ここで、R
5はバリンの側鎖である。
【0084】
他の態様において、本発明は式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を提供し、ここで、R
5は3,5−ジブロモチロシン、3,5−ジヨードチロシン、gem−ジメチルグリシン、ヒドロキシリシン、α−アミノ酪酸、ヒドロキシプロリン、ランチオニン、サイロキシン、オルニチンおよびシトルリンの側鎖から成る群から選択される非標準アミノ酸側鎖である。
【0085】
他の態様において、本発明は式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を提供し、ここで、R
4は
【化10】
である。
【0086】
他の態様において、本発明は式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を提供し、ここで、R
6はC
1−6アルキル、C
3−8カルボシクリル−C
1−4アルキルまたはフェニル−C
1−4アルキルである。
【0087】
他の態様において、本発明は式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を提供し、ここで、R
6はメチル、エチル、イソブチル、tert−ブチル、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−イルメチルまたは1−フェニル−エタン−1−イルである。
【0088】
他の態様において、本発明は式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を提供し、ここで、R
4は
【化11】
である。
【0089】
他の態様において、本発明は式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を提供し、ここで、R
7は各々独立して水素またはC
1−6アルキルである。
【0090】
他の態様において、本発明は式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を提供し、ここで、各R
7はエチルである。
【0091】
他の態様において、本発明は式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を提供し、ここで、各R
7は水素である。
【0092】
他の態様において、本発明は式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を提供し、ここで、
Aは
【化12】
であり;
Vは−OR
1bであり;
R
1、R
1aおよびR
1bは水素であり;
R
3はC
1−6アルキルまたはC
3−10シクロアルキルであり;
R
4は
【化13】
であり;
R
5はアミノ酸側鎖であり;
nおよびqは0である。
【0093】
他の態様において、本発明は式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を提供し、ここで、
Aは
【化14】
であり;
Vは−OR
1bであり;
R
1、R
1aおよびR
1bは水素であり;
R
3はC
1−6アルキルまたはC
3−10シクロアルキルであり;
R
4は
【化15】
であり;
R
5はバリン側鎖であり;
nおよびqは0である。
【0094】
他の態様において、本発明は式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を提供し、ここで、
Aは
【化16】
であり;
Vは水素、ハロまたは−OR
1bであり;
R
1、R
1aおよびR
1bは水素であり;
R
3はC
1−6アルキルまたはC
3−10シクロアルキルであり;
R
4は
【化17】
であり;
R
6はC
1−6アルキル、C
3−10カルボシクリル−C
1−4アルキルまたはC
6−10アリール−C
1−4アルキルであり;
nおよびqは0である。
【0095】
他の態様において、本発明は式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を提供し、ここで、
Aは
【化18】
であり;
Vは水素、ハロまたは−OR
1bであり;
R
1、R
1aおよびR
1bは水素であり;
R
3はC
1−6アルキルまたはC
3−10シクロアルキルであり;
R
4は
【化19】
R
6はメチル、エチル、イソブチル、tert−ブチル、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−イルメチルまたは1−フェニル−エタン−1−イルであり;
nおよびqは0である。
【0096】
他の態様において、本発明は式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を提供し、ここで、
Aは
【化20】
であり;
Vは水素、ハロまたは−OR
1bであり;
R
1、R
1aおよびR
1bは水素であり;
R
3はC
1−6アルキルまたはC
3−10シクロアルキルであり;
R
4は
【化21】
であり;
R
7は各々独立して水素またはC
1−6アルキルであり;
nおよびqは0である。
【0097】
他の態様において、本発明は式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を提供し、ここで、
Aは
【化22】
であり;
Vは水素、ハロまたは−OR
1bであり;
R
1、R
1aおよびR
1bは水素であり;
R
3はC
1−6アルキルまたはC
3−10シクロアルキルであり;
R
4は
【化23】
であり;
各R
7は水素または各R
7はエチルであり;
nおよびqは0である。
【0098】
他の態様において、本発明は式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を提供し、ここで、本化合物は、次のものから成る群から選択される。
(R)−2−アミノ−3−メチル−酪酸(2R,3S,4R,5R,6S)−6−[3−(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−6−イルメチル)−4−エチル−フェニル]−3,4,5−トリヒドロキシ−テトラヒドロ−ピラン−2−イルメチルエステル;
炭酸(2R,3S,4R,5R,6S)−6−[4−シクロプロピル−3−(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−6−イルメチル)−フェニル]−3,4,5−トリヒドロキシ−テトラヒドロ−ピラン−2−イルメチルエステルメチルエステル;
炭酸(2R,3S,4R,5R,6S)−6−[4−シクロプロピル−3−(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−6−イルメチル)−フェニル]−3,4,5−トリヒドロキシ−テトラヒドロ−ピラン−2−イルメチルエステルエチルエステル;
炭酸(2R,3S,4R,5R,6S)−6−[4−シクロプロピル−3−(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−6−イルメチル)−フェニル]−3,4,5−トリヒドロキシ−テトラヒドロ−ピラン−2−イルメチルエステルイソブチルエステル;
炭酸(2R,3S,4R,5R,6S)−6−[3−(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−6−イルメチル)−4−エチル−フェニル]−3,4,5−トリヒドロキシ−テトラヒドロ−ピラン−2−イルメチルエステルエチルエステル;
炭酸(2R,3S,4R,5R,6S)−6−[3−(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−6−イルメチル)−4−エチル−フェニル]−3,4,5−トリヒドロキシ−テトラヒドロ−ピラン−2−イルメチルエステルイソブチルエステル;
炭酸tert−ブチルエステル(2R,3S,4R,5R,6S)−6−[3−(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−6−イルメチル)−4−エチル−フェニル]−3,4,5−トリヒドロキシ−テトラヒドロ−ピラン−2−イルメチルエステル;
炭酸ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イルメチルエステル(2R,3S,4R,5R,6S)−6−[3−(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−6−イルメチル)−4−エチル−フェニル]−3,4,5−トリヒドロキシ−テトラヒドロ−ピラン−2−イルメチルエステル;
炭酸(2R,3S,4R,5R,6S)−6−[3−(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−6−イルメチル)−4−エチル−フェニル]−3,4,5−トリヒドロキシ−テトラヒドロ−ピラン−2−イルメチルエステル(S)−1−フェニル−エチルエステル;
リン酸(2R,3S,4R,5R,6S)−6−[3−(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−6−イルメチル)−4−エチル−フェニル]−3,4,5−トリヒドロキシ−テトラヒドロ−ピラン−2−イルメチルエステルジエチルエステル;
リン酸(2R,3S,4R,5R,6S)−6−[4−シクロプロピル−3−(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−6−イルメチル)−フェニル]−3,4,5−トリヒドロキシ−テトラヒドロ−ピラン−2−イルメチルエステルジエチルエステル;
リン酸モノ−{(2R,3S,4R,5R,6S)−6−[3−(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−6−イルメチル)−4−エチル−フェニル]−3,4,5−トリヒドロキシ−テトラヒドロ−ピラン−2−イルメチル}エステル。
【0099】
他の態様において、式(I)における可変基は、下の実施例の章における基により定義されるものである。
【0100】
他の態様において、個々の本発明の化合物は、下の実施例の章に列記されるものである。
【0101】
疾患および状態の処置
式(I)の化合物はSGLTの阻害剤であることが判明した。ここで使用するSGLTの阻害は、SGLT2の排他的阻害、SGLT1の排他的阻害またはSGLT1およびSGLT2の両者の阻害を意味する。
【0102】
本発明は、治療に使用するための式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を提供する。本発明は、さらに、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を薬学的に許容される添加物と組み合わせて含む、医薬組成物を提供する。
【0103】
本発明は、さらに、対象に式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩の治療有効量を投与する過程を含む、ナトリウムD−グルコース共輸送体が介在する疾患または状態の処置方法を提供する。本発明はまたナトリウムD−グルコース共輸送体が介在する疾患または状態の処置用医薬の製造における、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩の使用を提供する。本発明はまた、ナトリウムD−グルコース共輸送体が介在する疾患または状態の処置に使用するための、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を提供する。
【0104】
本発明の化合物のSGLT阻害活性は、下に記載するSGLT2およびSGLT1アッセイにより証明し得る。好ましい本発明の化合物は、SGLT2アッセイで<100nM、一つの態様において<30nM、一つの態様において<20nM、一つの態様において<10nM、他の態様において<5nM、他の態様において<1nM、他の態様において<0.5nMのIC
50を有する。他の態様において、好ましい本発明の化合物は、SGLT1アッセイにおいて<10,000nM、一つの態様において<1500nM、一つの態様において<1000nM、一つの態様において<700nM、他の態様において<500nM、他の態様において<200nMのIC
50を有する。
【0105】
本発明はまた処置を必要とする対象に式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、糖尿病の処置方法も提供する。
【0106】
他の態様において、本発明は、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩の治療有効量を処置を必要とする哺乳動物に投与することを含む、哺乳動物におけるナトリウムD−グルコース共輸送体が介在する疾患または状態の処置方法を提供する。
【0107】
本発明の化合物は、SGLT−2および/またはSGLT−1の阻害が関連する疾患または状態の予防的および治療的処置の両者に有用である。
【0108】
1. ナトリウムD−グルコース共輸送体が介在する疾患および状態
本発明は、ナトリウムD−グルコース共輸送体が介在する疾患または障害の処置のために有用である。ナトリウムD−グルコース共輸送体が介在する疾患および状態は、代謝障害、網膜症、腎症、糖尿病性足病変、潰瘍、大血管障害、代謝性アシドーシスまたはケトーシス、反応性低血糖、高インスリン血症、グルコース代謝障害、インスリン抵抗性、メタボリックシンドローム(例えば異脂肪血症、肥満、インスリン抵抗性、高血圧、微量アルブミン尿、高尿酸血症および凝固性亢進)、種々の原因の脂質異常症、アテローム性動脈硬化症および関連疾患、高血圧、慢性心不全、浮腫、高尿酸血症、症候群X、糖尿病、インスリン抵抗性、糖耐性低下(耐糖能障害、IGTとしても知られている)、非インスリン依存性糖尿病、2型糖尿病、1型糖尿病、糖尿病性合併症、体重障害、体重減少、肥満度指数およびレプチン関連疾患を含む。一つの態様において、疾患および状態はメタボリックシンドローム(例えば異脂肪血症、肥満、インスリン抵抗性、高血圧、微量アルブミン尿、高尿酸血症および凝固性亢進)、症候群X、糖尿病、インスリン抵抗性、糖耐性低下(耐糖能障害、IGTとしても知られている)、非インスリン依存性糖尿病、2型糖尿病、1型糖尿病、糖尿病性合併症、体重障害、体重減少、肥満度指数およびレプチン関連疾患を含む。一つの態様において、疾患および状態は糖耐性低下、2型糖尿病または肥満である。
【0109】
式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩はまた膵臓ベータ細胞のアポトーシスまたは壊死のようなベータ細胞変性の予防に、膵臓細胞の機能性の改善または回復に、膵臓ベータ細胞の数およびサイズの増加に、利尿剤または降圧剤としての使用におよび急性腎不全の予防および処置にまた有用であり得る。
【0110】
さらなる面として、本発明は、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩の有効量を投与することを含む、1型および2型糖尿病、糖尿病合併症から選択される障害の処置方法に関する。
【0111】
ここで使用する患者は、該患者が次の少なくとも一つを示すならば、“肥満”に罹患している。
・ 30以上の肥満度指数(BMI)、すなわち、患者の身長(m)の二乗で割った患者の体重(kg);
・ 男性で>102cmまたは女性で>88cmの絶対的腹囲;
・ 男性で>0.9または女性で>0.85のウェスト対ヒップ;または
・ 男性で>25%または女性で>30%の体脂肪。
【0112】
ここで使用する患者は、糖尿病診断についての世界保健機関基準(Definition and diagnosis of diabetes mellitus and intermediate hyperglycaemia, WHO, 2006)を満たすならば、すなわち、患者が次の少なくとも一つを示すならば、“2型糖尿病”に罹患している。
・ 空腹時血糖値≧7.0mmol/l(126mg/dl);または
・ 75g経口グルコース負荷摂取2時間後の静脈血糖値≧11.1mmol/l(200mg/dl)。
【0113】
ここで使用する患者は、IGT診断についての世界保健機構基準(Definition and diagnosis of diabetes mellitus and intermediate hyperglycaemia, WHO, 2006)を満たすならば、すなわち、患者が次のいずれも示すならば、“IGT”に罹患している。
・ 空腹時血糖値<7.0mmol/l(126mg/dl);および
・ 75g経口グルコース負荷摂取2時間後の静脈血糖値≧7.8および<11.1mmol/l(200mg/dl)。
【0114】
投与および製剤
1. 全般
医薬使用のために、本発明の化合物は、静脈内、筋肉内、皮下、経皮、気道(エアロゾル)、経口、鼻腔内、直腸、膣および局所(頬側および舌下を含む)投与を含む、経腸または非経腸経腸経路により医薬として投与し得る。式(I)の化合物は、提案される適応症の処置ための最も適する投与形態および投与経路を選択するために、生物薬剤学特性、例えば溶解度および溶液安定性(pHの全域で)、透過性などを評価しなければならない。一つの態様において、本化合物は経口で投与される。
【0115】
本発明の化合物は結晶または非晶質製品として投与し得る。本発明の化合物は、単独でまたは1種以上の他の本発明の化合物と組み合わせてまたは1種以上の他の薬物と組み合わせて(またはこれらの任意の組み合わせとして)投与し得る。一般的に、それらは1種以上の薬学的に許容される添加物と共に製剤として投与される。用語“添加物”は、機能的(例えば放出速度制御)および/または非機能的(例えば加工助剤または希釈剤)特性を付与し得る、本発明の化合物以外のあらゆる成分を含む。添加物の選択は、大部分、特定の投与方法、溶解度および安定性に対する添加物の影響および投与形態の性質のような因子による。
【0116】
本発明は、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩および薬学的に許容される添加物を含む医薬組成物を提供する。
【0117】
典型的薬学的に許容される添加物または担体は
・希釈剤、例えばラクトース、デキストロース、スクロース、マンニトール、ソルビトール、セルロースおよび/またはグリシン;
・滑沢剤、例えばシリカ、タルク、ステアリン酸、そのマグネシウムまたはカルシウム塩および/またはポリエチレングリコール;
・結合剤、例えばケイ酸アルミニウム・マグネシウム、デンプンペースト、ゼラチン、トラガカント、メチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロースおよび/またはポリビニルピロリドン;
・崩壊剤、例えばデンプン類、寒天、アルギン酸またはそのナトリウム塩または起沸性混合物;および/または
・吸収剤、着色剤、香味剤および/または甘味剤
を含む。
【0118】
薬学的に許容される添加物の詳細な記載はGennaro, Remington: The Science and Practice of Pharmacy 2000, 20th edition (ISBN: 0683306472)から入手可能である。
【0119】
従って、一つの態様において、本発明は、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩および1種以上の薬学的に許容される担体を含む医薬組成物を提供する。
【0120】
2. 経口投与
本発明の化合物は経口で投与し得る。経口投与は、化合物が消化管に入るような嚥下および/または化合物が口腔から直接血流に入る頬側、舌または舌下投与を含み得る。
【0121】
経口投与に適切な製剤は、固体プラグ、固体微粒子、半固体および液体(多相または分散系を含む)、例えば錠剤;多またはナノ粒子を含む軟および硬カプセル、液体(例えば水溶液)、エマルジョンまたは散剤;ロゼンジ(充填液体を含む);噛むもの;ゲル;速分散性投与形態;フィルム;卵形のもの;スプレー;および頬側/粘膜付着性パッチを含む。
【0122】
経口投与に適切な製剤はまた式(I)の化合物を即時放出形態でまたは速度遅延方法で送達するために設計してもよく、ここで、放出プロファイルは遅延、パルス状、制御、持続または遅延かつ持続であるかまたは該化合物の治療効果を最適化するような方法で修飾されている。化合物を速度持続方法で送達するための手段は知られており、放出を制御するために該化合物と製剤できる遅延放出ポリマー類を含む。
【0123】
速度遅延ポリマー類の例は、該化合物を拡散または拡散とポリマー浸食の組み合わせにより放出するために使用できる分解性および非分解性ポリマー類を含む。速度遅延ポリマー類の例はヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、キサンタンゴム、ポリメタクリレート類、ポリエチレンオキシドおよびポリエチレングリコールを含む。
【0124】
液体(多相および分散系を含む)製剤はエマルジョン、懸濁液、溶液、シロップおよびエリキシルを含む。このような製剤は軟および硬カプセル(例えば、ゼラチンまたはヒドロキシプロピルメチルセルロース製)の充填材として存在してよく、典型的に担体、例えば、水、エタノール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、メチルセルロースまたは適当な油および1種以上の乳化剤および/または懸濁化剤を含む。液体製剤はまた、例えば、サシェットからの固体の再構成により製造してもよい。
【0125】
本発明の化合物は、Liang and Chen, Expert Opinion in Therapeutic Patents 2001, 11(6): 981-986に記載されているような、速溶性、速分解性投与形態に使用してもよい。
【0126】
錠剤の製剤はH. Lieberman and L. Lachman, Pharmaceutical Dosage Forms: Tablets 1980, vol. 1 (Marcel Dekker, New York)に記載されている。
【0127】
3. 非経腸投与
本発明の化合物を非経腸的に投与できる。
【0128】
本発明の化合物を、直接血流に、皮下組織に、筋肉にまたは体内臓器に投与し得る。適当な投与手段は、静脈内、動脈内、くも膜下腔内、脳室内、尿道内、胸骨内、脳内、筋肉内、滑膜内および皮下を含む。適当な投与用デバイスは、針(マイクロニードルを含む)注射器、無針注射器および点滴方法を含む。
【0129】
非経腸製剤は典型的に水性または油性溶液である。溶液が水性であるとき、添加物、例えば糖類(グルコース、マンニトール、ソルビトールなどを含むが、これらに限定されない)、塩類、炭水化物および緩衝剤(好ましくはpH3〜9まで)だけでなく、ある適用では、滅菌非水溶液としてまたは適当な媒体、例えば滅菌、無発熱源水(WFI)と組み合わせて使用すべき乾燥形態としてさらに適切に製剤し得る。
【0130】
非経腸製剤は、分解性ポリマー類、例えばポリエステル類(すなわちポリ乳酸、ポリラクチド、ポリラクチド−コ−グリコリド、ポリカプロラクトン、ポリヒドロキシブチレート)、ポリオルトエステル類およびポリ無水物由来のインプラントを含み得る。これらは、外科的切開を介して皮下組織に、筋肉組織にまたは直接特定臓器に投与し得る。
【0131】
非経腸製剤の滅菌条件下での、例えば、凍結乾燥による製造は、当業者に周知の標準的医薬技術を使用して容易に達成し得る。
【0132】
非経腸溶液の製造に使用する式(I)の化合物の溶解度は、適当な製剤技術の使用により、例えば、共溶媒および/または溶解促進剤、例えば界面活性剤、ミセル構造物およびシクロデキストリン類の取り込みにより上昇させ得る。
【0133】
4. 吸入および鼻腔内投与
本発明の化合物は、鼻腔内にまたは吸入により、典型的に乾燥粉末吸入器からの乾燥粉末(単独で、混合物として、例えば、ラクトースとの乾燥混合物としてまたは混合成分粒子として、例えば、リン脂質、例えばホスファチジルコリンと混合して)の形で、加圧容器、ポンプ、スプレー、アトマイザー(好ましくは細かな霧を発生させるために電気流体力学を使用するアトマイザー)またはネブライザーからのエアロゾルスプレーとして、適当な噴射剤、例えば1,1,1,2−テトラフルオロエタンまたは1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパンを使用してまたは使用せずに、または点鼻剤として投与できる。鼻腔内使用のために、粉末は生体接着剤、例えばキトサンまたはシクロデキストリンを含み得る。
【0134】
加圧容器、ポンプ、スプレー、アトマイザーまたはネブライザーは例えば、エタノール、エタノール水溶液または活性成分を分散させるため、溶解させるためまたは放出拡散のための適当な代替剤、溶媒としての噴射剤および任意の界面活性剤、例えばソルビタントリオレエート、オレイン酸またはオリゴ乳酸を含む、本発明の化合物の溶液または懸濁液を含む。
【0135】
乾燥粉末または懸濁液製剤で使用する前に、薬物を吸入送達に適するサイズまで粉砕する(典型的に5ミクロン未満)。これは、任意の適当な粉砕方法、例えばスパイラルジェットミリング、流動床ジェットミリング、ナノ粒子を形成するための超臨界液体処理、高圧均質化またはスプレー乾燥により達成し得る。
【0136】
吸入器または吹き入れ器(insufflator)において使用するためのカプセル(例えば、ゼラチンまたはヒドロキシプロピルメチルセルロース製)、ブリスターまたはカートリッジを、本発明の化合物、適当な基剤、例えばラクトースまたはデンプンおよび性能修飾剤、例えばl−ロイシン、マンニトールまたはステアリン酸マグネシウムの粉末混合物を含むように製剤し得る。ラクトースは無水であるか、または一水和物の形であってよく、好ましくは後者である。他の適当な添加物は、デキストラン、グルコース、マルトース、ソルビトール、キシリトール、フルクトース、スクロースおよびトレハロースを含む。
【0137】
吸入/鼻腔内投与用製剤は、例えば、PGLAを使用して、即時および/または修飾放出に製剤し得る。修飾放出製剤は、遅延、持続、パルス状、制御、標的および計画放出を含む。
【0138】
5. 経皮投与
経皮適用に適する製剤は、治療有効量の本発明の化合物を単体と共に含む。有利な担体は、宿主の皮膚の通過を助けるための吸収性の薬理学的に許容される溶媒を含む。特徴的に、経皮デバイスは、裏打ち部材、化合物を所望により担体と共に含む貯蔵部、所望により化合物を宿主皮膚に制御されかつ予定された速度で長期間送達するための速度制御バリアおよび該デバイスを皮膚に固定するための手段を含むバンデージの形である。
【0139】
組み合わせ治療
式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩は、有用に、治療に使用するために、1種の他の薬理学的活性化合物または2種以上の他の薬理学的活性化合物と組み合わせ得る。例えば、上に定義した式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を、先に挙げた障害の処置のために、1種以上の薬剤と組み合わせて、同時に、逐次にまたは別々に投与し得る。
【0140】
このような組み合わせに適当な治療剤は、例えば、抗糖尿病剤、例えばメトホルミン、スルホニルウレア類(例えばグリベンクラミド、トルブタミド、グリメピリド)、ナテグリニド、レパグリニド、チアゾリジンジオン類(例えばロシグリタゾン、ピオグリタゾン)、PPAR−ガンマ−アゴニスト(例えばGl 262570)およびアンタゴニスト、PPAR−ガンマ/アルファモジュレーター(例えばKRP 297)、アルファ−グルコシダーゼ阻害剤(例えばアカルボース、ボグリボース)、DPPIV阻害剤(例えばLAF237、MK-431)、アルファ2−アンタゴニスト、インスリンおよびインスリンアナログ、GLP−1およびGLP−1アナログ(例えばエキセンディン−4)またはアミリンを含む。リストはまたタンパク質チロシンホスファターゼ1の阻害剤、例えばグルコース−6−ホスファターゼ、またはフルクトース−1,6−ビスホスファターゼの阻害剤のような肝臓での脱制御されたグルコース産生に影響する物質、グリコーゲンホスホリラーゼ、グルカゴン受容体アンタゴニストおよびホスホエノールピルビン酸カルボキシキナーゼ、グリコーゲンシンターゼキナーゼまたはピルビン酸デヒドロキナーゼの阻害剤、例えばHMG−コA−レダクターゼ阻害剤(例えばシンバスタチン、アトルバスタチン)、フィブラート(例えばベザフィブラート、フェノフィブラート)、ニコチン酸およびその誘導体、PPAR−アルファアゴニスト、PPAR−デルタアゴニスト、ACAT阻害剤(例えばアバシミブ)のような脂質低下剤または例えば、エゼチミブのようなコレステロール吸収阻害剤、例えば、コレスチラミンのような胆汁酸結合物質、回腸胆汁酸輸送の阻害剤、HDL上昇化合物、例えばCETP阻害剤またはABC1レギュレーターまたは肥満の処置のための活性物質、例えばシブトラミンまたはテトラヒドロリポスタチン、デクスフェンフルラミン、アキソキン、カンナビノイドi受容体のアンタゴニスト、MCH−1受容体アンタゴニスト、MC4受容体アゴニスト、NPY5またはNPY2アンタゴニストまたはβ3−アゴニスト、例えばSB-418790またはAD-9677および5HT2c受容体のアゴニストを含む。
【0141】
さらに、例えばA−IlアンタゴニストまたはACE阻害剤、ECE阻害剤、利尿剤、β−ブロッカー、Ca−アンタゴニスト、中枢性に作用する降圧剤、アルファ−2−アドレナリン受容体のアンタゴニスト、中性エンドペプチダーゼの阻害剤、血小板凝集阻害剤およびその他またはそれらの組み合わせのような、高血圧、慢性心不全またはアテローム性動脈硬化症に作用する薬物との組み合わせが適する。アンギオテンシンIl受容体アンタゴニストの例はカンデサルタンシレキセチル、カリウムロサルタン、エプロサルタンメシレート、バルサルタン、テルミサルタン、イルベサルタン、EXP-3174、L-158809、EXP-3312、オルメサルタン、メドキソミル、タソサルタン、KT-3-671、GA-01 13、RU-64276、EMD-90423、BR-9701などである。アンギオテンシンIl受容体アンタゴニストは好ましくは高血圧および糖尿病合併症の処置または予防に、しばしばヒドロクロロチアジドのような利尿剤と組み合わせて、使用する。
【0142】
尿酸合成阻害剤または尿酸排泄性剤との組み合わせは、痛風の処置または予防に適する。
【0143】
GABA−受容体アンタゴニスト、Na−チャネルブロッカー、トピラマート、タンパク質−キナーゼC阻害剤、終末糖化産物阻害剤またはアルドースレダクターゼ阻害剤との組み合わせは、糖尿病合併症の処置または予防に使用し得る。
このような組み合わせは、治療において、相乗活性を含む顕著な利益を提供し得る。
【0144】
本発明は、故に、次のものを提供する。
対象におけるナトリウムD−グルコース共輸送体が介在する疾患または状態の処置用医薬の製造における、インスリン、インスリン誘導体または模倣剤;インスリン分泌促進物質;インスリン分泌性スルホニルウレア受容体リガンド;PPARリガンド;インスリン増感剤;ビグアナイド;アルファ−グルコシダーゼ阻害剤;GLP−1、GLP−1アナログまたは模倣剤;DPPIV阻害剤;HMG−CoAレダクターゼ阻害剤;スクアレンシンターゼ阻害剤;FXRまたはLXRリガンド;コレスチラミン;フィブラート;ニコチン酸およびアスピリンから成る群から選択される薬剤の使用であって、ここで、該薬剤を式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩と組み合わせて投与する。
【0145】
対象におけるナトリウムD−グルコース共輸送体が介在する疾患または状態の処置用医薬の製造における式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩の使用であって、ここで、該化合物を、インスリン、インスリン誘導体、インスリン模倣剤;インスリン分泌促進物質;インスリン分泌性スルホニルウレア受容体リガンド;PPARリガンド;インスリン増感剤;ビグアナイド;アルファ−グルコシダーゼ阻害剤;GLP−1、GLP−1アナログ、GLP−1模倣剤;DPPIV阻害剤;HMG−CoAレダクターゼ阻害剤;スクアレンシンターゼ阻害剤;FXRリガンド、LXRリガンド;コレスチラミン;フィブラート;ニコチン酸およびアスピリンから成る群から選択される薬剤と組み合わせて投与する。
【0146】
インスリン、インスリン誘導体、インスリン模倣剤;インスリン分泌促進物質;インスリン分泌性スルホニルウレア受容体リガンド;PPARリガンド;インスリン増感剤;ビグアナイド;アルファ−グルコシダーゼ阻害剤;GLP−1、GLP−1アナログ、GLP−1模倣剤;DPPIV阻害剤;HMG−CoAレダクターゼ阻害剤;スクアレンシンターゼ阻害剤;FXRリガンド、LXRリガンド;コレスチラミン;フィブラート;ニコチン酸およびアスピリンから成る群から選択される薬剤と組み合わせた、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩の使用。
【0147】
本発明はまた、治療において同時に、別々にまたは逐次的に使用するための治療有効量の式(I)の化合物を治療有効量のインスリン、インスリン誘導体、インスリン模倣剤;インスリン分泌促進物質;インスリン分泌性スルホニルウレア受容体リガンド;PPARリガンド;インスリン増感剤;ビグアナイド;アルファ−グルコシダーゼ阻害剤;GLP−1、GLP−1アナログ、GLP−1模倣剤;DPPIV阻害剤;HMG−CoAレダクターゼ阻害剤;スクアレンシンターゼ阻害剤;FXRリガンド、LXRリガンド;コレスチラミン;フィブラート;ニコチン酸およびアスピリンと組み合わせて含む、医薬組成物も提供する。
【0148】
医薬組成物は上に定義した本発明の化合物の治療有効量を単独でまたは他の治療剤と組み合わせて、例えば、各々、文献で報告されている治療有効量で含んでよい。このような治療剤は次のものを含む。
a) 抗糖尿病剤、例えばインスリン、インスリン誘導体および模倣剤;インスリン分泌促進物、例えばスルホニルウレア類、例えば、グリピジド、グリブリドおよびアマリール;インスリン分泌性スルホニルウレア受容体リガンド、例えばメグリチナイド、例えば、ナテグリニドおよびレパグリニド;タンパク質チロシンホスファターゼ−1B(PTP−1B)阻害剤、例えばPTP-112;GSK3(グリコーゲンシンターゼキナーゼ−3)阻害剤、例えばSB-517955、SB-4195052、SB-216763、NN-57-05441およびNN-57-05445;RXRリガンド、例えばGW-0791およびAGN-194204;ナトリウム依存性グルコースコトランスポーター阻害剤、例えばT-1095;グリコーゲンホスホリラーゼA阻害剤、例えばBAY R3401;ビグアナイド類、例えばメトホルミン;アルファ−グルコシダーゼ阻害剤、例えばアカルボース;GLP−1(グルカゴン様ペプチド−1)、GLP−1アナログ、例えばエキセンディン−4およびGLP−1模倣剤;およびDPPIV(ジペプチジルペプチダーゼIV)阻害剤、例えばビルダグリプチン;
【0149】
b) 脂質低下剤、例えば3−ヒドロキシ−3−メチル−グルタリルコエンザイムA(HMG−コA)レダクターゼ阻害剤、例えば、ロバスタチン、ピタバスタチン、シンバスタチン、プラバスタチン、セリバスタチン、メバスタチン、ベロスタチン(velostatin)、フルバスタチン、ダルバスタチン(dalvastatin)、アトルバスタチン、ロスバスタチンおよびリバスタチン(rivastatin);スクアレンシンターゼ阻害剤;FXR(ファルネソイドX受容体)およびLXR(肝臓X受容体)リガンド;コレスチラミン;フィブラート;ニコチン酸胆汁酸結合樹脂、例えばコレスチラミン;フィブラート;ニコチン酸および他のGPR109アゴニスト;コレステロール吸収阻害剤、例えばエゼチミブ;CETP阻害剤(コレステロール−エステル−輸送−タンパク質阻害剤)およびアスピリン;
【0150】
c) 抗肥満剤、例えばオーリスタット、シブトラミンおよびカンナビノイド受容体1(CB1)アンタゴニスト例えばリモナバン;
【0151】
d) 抗高血圧剤、例えば、ループ利尿剤、例えばエタクリン酸、フロセミドおよびトルセミド;アンギオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤、例えばベナゼプリル、カプトプリル、エナラプリル、フォシノプリル、リシノプリル、モエキシプリル、ペリノドプリル(perinodopril)、キナプリル、ラミプリルおよびトランドラプリル;Na−K−ATPase膜ポンプ阻害剤、例えばジゴキシン;中性エンドペプチダーゼ(NEP)阻害剤;ACE/NEP阻害剤、例えばオマパトリラート、サムパトリラート(sampatrilat)およびファシドトリル;アンギオテンシンIIアンタゴニスト、例えばカンデサルタン、エプロサルタン、イルベサルタン、ロサルタン、テルミサルタンおよびバルサルタン、特にバルサルタン;レニン阻害剤、例えばジテキレン(ditekiren)、ザンキレン、テルラキレン(terlakiren)、アリスキレン、RO 66-1132およびRO-66-1168;β−アドレナリン受容体ブロッカー、例えばアセブトロール、アテノロール、ベタキソロール、ビソプロロール、メトプロロール、ナドロール、プロプラノロール、ソタロールおよびチモロール;変力剤、例えばジゴキシン、ドブタミンおよびミルリノン;カルシウムチャネルブロッカー、例えばアムロジピン、ベプリジル、ジルチアゼム、フェロジピン、ニカルジピン、ニモジピン、ニフェジピン、ニソルジピンおよびベラパミル;アルドステロン受容体アンタゴニスト;およびアルドステロンシンターゼ阻害剤;および
【0152】
e) ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体のアゴニスト、例えばフェノフィブラート、ピオグリタゾン、ロシグリタゾン、テサグリタザル、BMS-298585、L-796449、特許出願WO2004/103995に具体的に記載された化合物、すなわち実施例1〜35の化合物または請求項21に具体的に列記された化合物特許WO03/043985に具体的に記載された化合物、すなわち実施例1〜7の化合物または請求項19に具体的に列記された化合物および特に(R)−1−{4−[5−メチル−2−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−オキサゾール−4−イルメトキシ]−ベンゼンスルホニル}−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−2−カルボン酸またはその塩。
【0153】
故に、本発明は、
i) 式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩、
ii)
a) 抗糖尿病剤、
b) 脂質低下剤、
c) 抗肥満剤、
d) 抗高血圧剤、
e) ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体のアゴニスト
から選択される少なくとも1種の化合物
を含む医薬組み合わせ剤を提供する。
【0154】
生物学的アッセイ
式(I)の化合物のナトリウム依存性グルコース共輸送体SGLT(SGLT1およびSGLT2)に対する阻害効果は次の試験方法を使用して証明し得る。
【0155】
物質がSGLT−2活性を阻害する能力を、CHO−K1細胞株(ATCC No. CCL 6 1)または代替的にHEK293細胞株(ATCC No. CRL-1573)をヒトナトリウムグルコース共輸送体2のコーディング配列のcDNA(Genbank Ace. No.NM_003041)を含む発現ベクターpZeoSV(Invitrogen, EMBL accession number L36849)で安定にトランスフェクトする試験設定で証明し得る(CHO−hSGLT2またはHEK−hSGLT2)。これらの細胞は、
14C標識アルファ−メチル−グルコピラノシド(
14C−AMG、Amersham)をナトリウム依存的方法で細胞の内部に輸送する。
【0156】
SGLT−2アッセイを次のとおり行った:CHO−hSGLT2細胞を10%ウシ胎児血清および250μg/mLゼオシン(Invitrogen)添加ハムF12培地(BioWhittaker)で培養し、HEK293−hSGLT2細胞を10%ウシ胎児血清および250μg/mLゼオシン(Invitrogen)添加DMEM培地で培養する。培養フラスコをPBSで2回洗浄し、続いてトリプシン/EDTAで処理することにより細胞を培養フラスコから剥がす。細胞培養培地添加後、細胞を遠心分離し、培養培地に再懸濁し、Casy細胞カウンターで計数する。次いで、40,000細胞/ウェルをポリ−D−リシンでコーティングした白色、96ウェルプレートに播種し、一夜、37℃、5%CO
2でインキュベートする細胞を250μlのアッセイ緩衝液(ハンクス平衡塩溶液、137mM NaCl、5.4mM KCl、2.8mM CaCl
2、1.2mM MgSO
4および10mM HEPES(pH7.4)、50μg/mLのゲンタマイシン)で2回洗浄する。250μlのアッセイ緩衝液および5μlの試験化合物を各ウェルに添加し、プレートをさらに15分間、インキュベーターでインキュベートする。5μlの10%DMSOをネガティブコントロールとして使用する。5μlの
14C−AMG(0.05μCi)を各ウェルに添加することにより反応を開始させる。37℃、5%CO
2で2時間インキュベーション後、細胞を再び250μlのPBS(200C)で洗浄し、25μlの0.1N NaOH(5分間、37℃)の添加により溶解させる。200μlのMicroScint20(Packard)を各ウェルに添加し、インキュベーションをさらに20分間、37℃で続ける。このインキュベーション後、吸着された
14C−AMGの放射活性を、
14CシンチレーションプログラムでTopcount(Packard)を使用して測定する。
【0157】
ヒトSGLT1に対する選択性を測定するために、hSGLT2 cDNAの代わりにhSGLTIのcDNA(Genbank Ace. No. NM000343)をCHO−K1またはHEK293細胞で発現させる類似の試験を設定する。
【0158】
本発明の化合物は、例えば、SGLT2について、1000nM以下、特に100nM以下、最も好ましくは10nM以下のIC
50値を有し得る。実施例の表題化合物を上記アッセイで評価しており、その結果を表1にまとめる。
【0159】
【表1】
【0160】
本発明の化合物はインビボで親化合物に代謝されるプロドラッグであるため、親化合物のSGLT1およびSGLT2に対する阻害活性は本発明の化合物のインビボでの活性と相関する。本発明の各化合物の親化合物を上記アッセイで評価しており、その結果を表2にまとめる。
【0161】
【表2】
【0162】
本発明の化合物はSGLT阻害剤として有用であり、それ故に、SGLTが介在する疾患および状態、例えばここに開示する代謝障害の処置に有用であることを見ることができる。
【0163】
製造方法
本発明は、他の面において、式(I)の化合物の製造方法を提供する。下に略記するスキームは、式(I)の化合物の合成のための一般的経路を示す。一般に、本発明の化合物は、グリコシド環の1級アルコール基のプロドラッグを形成させるための修飾により製造する。グリコシド環の2級アルコール基は、保護してよく、または、1級アルコールのみを修飾するために3個のグリコシド環の2級アルコール基を超える1級アルコールの反応性増加を利用して保護しないままでもよい。典型的に、アルコール基をエステル類、トリメチルシリル(TMS)、tert−ブチルジメチルシリル(TBDMS)、ベンジルなどで保護し得る。
【0164】
アミノ酸プロドラッグは、エステル結合を形成する標準方法により製造し得る(スキームI参照)。例えば、アミノ酸(ii)のアミン基を、例えば、tert−ブチルオキシカルボニル(BOC)保護基で保護し得る。アミノ酸(ii)のカルボン酸基を、次いで、グリコシド(i)の1級アルコールと、カップリング剤、例えばN,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド、N,N’−ジイソプロピルカルボジイミドまたは1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドの存在下、塩基の存在下で反応させて、アミノ酸プロドラッグ(iii)を形成する。保護基を当分野で知られた方法で除去して、式(I)の化合物を形成できる。
【0165】
【化24】
【0166】
カーボネートプロドラッグを、クロロホルメート(v)とグリコシド(iv)を、塩基の存在下、スキームIIに示すとおりに反応させて製造できる。
【化25】
【0167】
リン酸エステルプロドラッグを、グリコシド(iv)と、アルキルクロロホスフェート(vii)を、塩基の存在下、スキームIIIに示すとおりに反応させて製造できる。
【化26】
【0168】
ホスフェートプロドラッグは、スキームIVに示すとおり、グリコシド(iv)とホスホロアミド酸エステル(ix)を、テトラゾール存在下で反応させ、続いてメタ−クロロペルオキシ安息香酸で処理することにより製造できる。アンバーリスト15での処理により、ホスフェートプロドラッグを得る。
【化27】
【0169】
出発物質の合成
式(xii)の化合物(式中、Lgは脱離基、例えばハロゲンであり、全ての他の記号は上に定義したとおりである)をアルキルリチウムまたはMgと反応させて、式(xiii)の化合物(式中、MはLiまたはMg−ハロゲンから選択され、全ての他の記号は上に定義したとおりである)を得ることができる。式(xiii)の化合物を、式(xiv)の化合物(式中、PGは保護基、例えばアセチルである)と反応させ得る。得られた中間体を、トリエチルシランBF
3−エーテラートのような反応材を使用して脱ヒドロキシル化/脱アルコキシル化して、式(v)の化合物(式中、全ての記号は上で定義したとおりである)を得る。
【化28】
【0170】
式(xiii)の化合物(式中、MはLiまたはMg−ハロゲンから選択され、全ての他の記号は上に定義したとおりである)を、式(xvi)の化合物(式中、Lgは脱離基、例えばハロゲン、メシレート、トシレートまたはトリフルオロメタンスルホニルであり、全ての他の記号は上に定義したとおりである)を反応させて、式(xv)の化合物(式中、全ての記号は上で定義したとおりである)を得ることができる。
【化29】
【0171】
中間体(xii)を、スキームVIIに示すとおり、酸クロライド(xvii)とAで表される芳香族化合物を、AlCl
3の存在下で反応させることにより製造できる。
【化30】
【0172】
上におよび本明細書の他のところに詳細に示した方法は単に本発明を説明するためのものであり、限定するものと解釈してはならないことは理解されよう。当業者に知られた同様のまたは類似の反応材および/または条件を使用する方法もまた本発明の化合物を得るために使用し得る。
【0173】
本明細書の範囲内で、特に断らない限り、本発明の化合物の特定の所望の最終産物の構成要素ではない容易に除去可能な基のみを“保護基”と呼ぶ。このような保護基による官能基の保護、保護基自体およびその開裂反応は、標準参考書、例えばJ. F. W. McOmie, “Protective Groups in Organic Chemistry”, Plenum Press, London and New York 1973, in T. W. Greene and P. G. M. Wuts, “Protective Groups in Organic Synthesis”, Third edition, Wiley, New York 1999, in "The Peptides"; Volume 3 (editors: E. Gross and J. Meienhofer), Academic Press, London and New York 1981, in “Methoden der organischen Chemie” (Methods of Organic Chemistry), Houben Weyl, 4th edition, Volume 15/I, Georg Thieme Verlag, Stuttgart 1974, in H.-D. Jakubke and H. Jeschkeit, “Aminosaeuren, Peptide, Proteine” (Amino acids, Peptides, Proteins), Verlag Chemie, Weinheim, Deerfield Beach, and Basel 1982, and in Jochen Lehmann, “Chemie der Kohlenhydrate: Monosaccharide und Derivate” (Chemistry of Carbohydrates: Monosaccharides and Derivatives), Georg Thieme Verlag, Stuttgart 1974に記載されている。保護基の特徴は、容易に(すなわち望まない二次反応なしに)、例えば、加溶媒分解、還元、光分解によりまたは生物学的条件下(例えば酵素開裂により)除去できることである。
【0174】
得られた最終産物または中間体のあらゆる混合物を、例えば、クロマトグラフィー、蒸留、分別結晶または適当であればまたは本環境下で可能であるならば塩の形成により、既知方法で、構成要素の物理化学的差異に基づき純粋な最終産物または中間体に分割できる。
【0175】
次の実施例は本発明を説明することを意図し、それに限定すると解釈してはならない。特に断らない限り、全ての蒸発は減圧下で行う。最終産物、中間体および出発物質の構造は、標準分析法、例えば、微量分析、融点(m.p.)および分光特徴付け、例えばMSおよびNMRにより確認している。使用する略語は当分野で慣用のものである。
【0176】
出発物質
中間体1:酢酸(2R,3R,4R,5S)−3,4,5−トリアセトキシ−6−[4−ブロモ−3−(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−6−イルメチル)−フェニル]−テトラヒドロ−ピラン−2−イルメチルエステル
【化31】
【0177】
工程I:撹拌中の2−ブロモ−5−ヨード安息香酸(25.0g、76.48mmol)のジクロロメタン(200mL)溶液に、塩化オキサリル(10.3mL、114.74mmol)を0℃で、続いてDMF(0.9mL)を添加した。添加完了後、反応混合物を室温で3時間撹拌した。揮発物を減圧下蒸発させて、2−ブロモ−5−ヨード−ベンゾイルクロライド(26.4g)を得た。粗製の生成物を次工程で直ぐに使用した。
【0178】
工程II:撹拌中の2−ブロモ−5−ヨード−ベンゾイルクロライド(26.4g、76.56mmol)のジクロロメタン(250mL)溶液に、ベンゾ(1,4)−ジオキサン(10.41g、76.26mmol)を0℃で添加した。この反応混合物に、AlCl
3(40.78g、305.47mmol)を少しずつ添加した。一夜、室温で撹拌後、反応混合物を破砕氷に注加した。得られた混合物をジクロロメタン(500mL×2)で抽出した。ジクロロメタン層を合わせ、水(200mL)、飽和重炭酸ナトリウム水溶液(200mL×2)および塩水(200mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮した。固体生成物をヘキサンで摩砕し、摩砕した生成物を真空下で乾燥させて、(2−ブロモ−5−ヨード−フェニル)−(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−6−イル)−メタノン(30g)を得た。
1H NMR(400 MHz, DMSO-D
6):δ 4.29-4.37 (m, 4H), 7.02 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 7.16 (d, J = 2.4 Hz, 1H), 7.18-7.19 (m, 1H), 7.53 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 7.77-7.81 (m, 1H), 7.82 (d, J = 2.0 Hz, 1H)
【0179】
工程III:撹拌中の(2−ブロモ−5−ヨード−フェニル)−(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−6−イル)−メタノン(30.0g、67.4mmol)のトリフルオロ酢酸(100mL)溶液に、トリエチルシラン(86.2mL、539.3mmol)、トリフリン酸(6.0mL、67.42mmol)を室温で添加した。25分間、室温で撹拌後、揮発物を減圧下蒸発させた。得られた残渣を酢酸エチルに取り込み、飽和重炭酸ナトリウム水溶液(200mL×2)、水(200mL)および塩水(200mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、6−(2−ブロモ−5−ヨード−ベンジル)−2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン(26.5g)を得た。
1H NMR(400 MHz, DMSO-D
6):δ 3.90 (s, 4H), 4.2 (s, 2H), 6.65 (dd, J = 8.4 Hz, J = 2.0 Hz, 1H), 6.68 (d, J = 2.0 Hz, 1H), 6.77 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 7.39 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 7.50 (dd, J = 8.4 Hz, J = 2.4 Hz 1H), 7.67 (d, J = 2.8 Hz, 1H)
【0180】
工程IV:撹拌中の6−(2−ブロモ−5−ヨード−ベンジル)−2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン(26.5g、61.47mmol)のTHF:トルエン2:1(300mL)溶液に、1.6M n−BuLiのヘキサン溶液(42.3mL、67.62mmol)を−78℃で添加した。反応混合物を1時間撹拌し、撹拌中の2,3,4,6−テトラキス−O−(トリメチルシリル)−D−グルコピラノン(28.69g、61.47mmol)のトルエン(100mL)溶液に−78℃で移した。1時間撹拌後、0.6Nメタンスルホン酸のメタノール溶液(265mL)を滴下し、反応混合物を16時間、室温で撹拌した。NaHCO
3水溶液(〜75mL)の添加により反応停止させ、酢酸エチル(250mL×3)で抽出し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、(3R,4S,5S,6R)−2−[4−ブロモ−3−(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−6−イルメチル)−フェニル]−6−ヒドロキシメチル−2−メトキシ−テトラヒドロ−ピラン−3,4,5−トリオール(28.4g)を得た。
【0181】
工程V:撹拌中の(3R,4S,5S,6R)−2−[4−ブロモ−3−(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−6−イルメチル)−フェニル]−6−ヒドロキシメチル−2−メトキシ−テトラヒドロ−ピラン−3,4,5−トリオール(28.4g、57.1mmol)のアセトニトリル−ジクロロメタン1:1(250mL)溶液に、トリエチルシラン(36.5mL、228.4mmol)および三フッ化ホウ素−ジエチルエーテル複合体(14.1mL、114.2mmol)を−10℃で添加した。4時間、10℃で撹拌後、飽和重炭酸ナトリウム水溶液(〜100mL)で反応停止させた。有機層を分離し、水層を酢酸エチル(3×150mL)で抽出した。有機層を合わせ、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮して、(3R,4R,5S,6R)−2−[4−ブロモ−3−(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−6−イルメチル)−フェニル]−6−ヒドロキシメチル−テトラヒドロ−ピラン−3,4,5−トリオール(28.4g)を得た。粗製の生成物をさらに精製することなく次反応で使用した。
【0182】
工程VI:撹拌中の(3R,4R,5S,6R)−2−[4−ブロモ−3−(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−6−イルメチル)−フェニル]−6−ヒドロキシメチル−テトラヒドロ−ピラン−3,4,5−トリオール(28.4g、60.81mmol)のジクロロメタン(300mL)溶液に、ピリジン(40mL、486.5mmol)、酢酸無水物(50mL、486.5mmol)およびDMAP(740mg、6.08mmol)を室温で添加した。2時間撹拌後、揮発物を減圧下蒸発させた。得られた残渣を酢酸エチル(500ml)に取り込み、1N HCl(200mL×2)、塩水(200ml)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮した。得られた粗製の化合物をエタノール(320mL)に65℃で溶解し、撹拌しながら室温に冷却した。形成した淡黄色固体を濾過し、例エタノール(150mL)、ヘキサン(200mL)で洗浄して、酢酸(2R,3R,4R,5S)−3,4,5−トリアセトキシ−6−[4−ブロモ−3−(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−6−イルメチル)−フェニル]−テトラヒドロ−ピラン−2−イルメチルエステル粉末(22.5g、純度98%)を得た。
【0183】
中間体2:(2S,3R,4R,5S,6R)−2−[3−(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−6−イルメチル)−4−エチル−フェニル]−6−ヒドロキシメチル−テトラヒドロ−ピラン−3,4,5−トリオール
【化32】
【0184】
工程I:撹拌中の酢酸(2R,3R,4R,5S)−3,4,5−トリアセトキシ−6−[4−ブロモ−3−(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−6−イルメチル)−フェニル]−テトラヒドロ−ピラン−2−イルメチルエステル(中間体1、10.0g、15.74mmol)のトルエン(200mL)溶液に、トリシクロヘキシルホスフィン(1.76g、6.29mmol)、リン酸三カリウム(13.3g、62.9mmol)の水(15mL)溶液およびエチルボロン酸(3.4g、47.2mmol)を添加した。反応混合物を45分間脱気し、酢酸パラジウム(II)(529mg、2.3mmol)を添加した。一夜還流後、反応混合物を室温に冷却し、水を添加した。得られた混合物を酢酸エチル(2×200mL)で抽出し、水および塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮し、カラムクロマトグラフィーで精製して、酢酸(2R,3R,4R,5S)−3,4,5−トリアセトキシ−6−[3−(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−6−イルメチル)−4−エチル−フェニル]−テトラヒドロ−ピラン−2−イルメチルエステル(5.4g)を得た。
【0185】
工程II:撹拌中の酢酸(2R,3R,4R,5S)−3,4,5−トリアセトキシ−6−[3−(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−6−イルメチル)−4−エチル−フェニル]−テトラヒドロ−ピラン−2−イルメチルエステル(9.3g、15.9mmol)のメタノール:THF:水3:2:1(170mL)溶液に、水酸化リチウム(764mg、19.1mmol)を添加した。2時間、室温で撹拌後、揮発物を減圧下蒸発させた。得られた残渣を酢酸エチル(150mL)に取り込み、塩水(75mL)、5mLの5%KHSO
4水溶液含有塩水(75mL)および再度塩水(20mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮して、(2S,3R,4R,5S,6R)−2−[4−シクロプロピル−3−(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−6−イルメチル)−フェニル]−6−ヒドロキシメチル−テトラヒドロ−ピラン−3,4,5−トリオール(6.5g)を得た。
1H NMR(400 MHz, CD
3OD):δ 1.07 (t, J = 7.6 Hz, 3H), 2.57 (q, J = 7.6 Hz, 2H), 3.34-3.50 (m, 4H), 3.68 (dd, J = 12.0, 5.6 Hz, 1H), 3.85-3.91 (m, 3H), 4.08 (d, J = 9.6 Hz, 1H), 4.17 (s, 4H), 6.53-6.58 (m, 2H), 6.68 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 7.15-7.25 (m, 3H)
MS (ES) m/z 434.2 (M+18)
【0186】
中間体3:(2S,3R,4R,5S,6R)−2−[4−シクロプロピル−3−(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−6−イルメチル)−フェニル]−6−ヒドロキシメチル−テトラヒドロ−ピラン−3,4,5−トリオール
【化33】
【0187】
工程I:撹拌中の酢酸(2R,3R,4R,5S)−3,4,5−トリアセトキシ−6−[4−ブロモ−3−(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−6−イルメチル)−フェニル]−テトラヒドロ−ピラン−2−イルメチルエステル(中間体1、10.0g、15.74mmol)のトルエン(100mL)溶液に、トリシクロヘキシルホスフィン(1.76g、6.29mmol)、リン酸三カリウム(13.3g、62.9mmol)の水(15mL)溶液およびシクロプロピルボロン酸(4.06g、47.2mmol)を添加した。反応混合物を45分間脱気し、酢酸パラジウム(II)(529mg、2.3mmol)を添加した。反応混合物を90℃で一夜撹拌し、室温に冷却し、セライトで濾過し、セライトを酢酸エチル(200mL)で洗浄した。濾液の有機層を分離し、水(100mL)、塩水(100mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮して、粗製の生成物を得て、それをさらにカラムクロマトグラフィーで精製して、酢酸(2R,3R,4R,5S)−3,4,5−トリアセトキシ−6−[4−シクロプロピル−3−(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−6−イルメチル)−フェニル]−テトラヒドロ−ピラン−2−イルメチルエステル(7.25g、純度98%)を得て、これを無水エタノールで再結晶して、白色固体を得た(5.25g、純度>99%)。
1H NMR(400 MHz, CDCl
3):δ 0.57-0.62 (m, 2H), 0.84-0.86 (m, 2H), 1.76 (s, 3H), 1.77-1.80 (m, 1H), 1.99 (s, 3H), 2.05 (s, 3H), 2.08 (s, 3H), 3.78-3.82 (m, 1H), 3.99-4.10 (ABq, J = 15.6 Hz, 2H), 4.14 (dd, J = 12.4 Hz, 2.4 Hz, 1H), 4.22 (s, 4H), 4.26 (d, J = 12.4 Hz, 4.8 Hz, 1H), 4.33 (d, J = 9.6 Hz, 1H), 5.14 (t, J = 9.2 Hz, 1H), 5.22 (t, J = 9.2 Hz, 1H), 5.30 (t, J = 9.2 Hz, 1H), 6.57-6.59 (m, 2H), 6.76 (dd, J = 7.2 Hz, 2.0 Hz, 1H), 6.98 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 7.02 (d, J = 1.6 Hz, 1H), 7.17 (dd, J = 8.0 Hz, 1.6 Hz, 1H)
MS (ES) m/z 597.3 (M+1)
【0188】
工程II:撹拌中の酢酸(2R,3R,4R,5S)−3,4,5−トリアセトキシ−6−[4−シクロプロピル−3−(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−6−イルメチル)−フェニル]−テトラヒドロ−ピラン−2−イルメチルエステル(10.5g、17.61mmol)のメタノール:THF:水3:2:1(120mL)溶液に、水酸化リチウム(813mg、19.37mmol)を添加した。2時間、室温で撹拌後、揮発物を減圧下蒸発させた。得られた残渣を酢酸エチル(150mL)に取り込み、塩水(75mL)、10mLの5%KHSO
4水溶液含有塩水(75mL)および再度塩水(20mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮して、(2S,3R,4R,5S,6R)−2−[4−シクロプロピル−3−(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−6−イルメチル)−フェニル]−6−ヒドロキシメチル−テトラヒドロ−ピラン−3,4,5−トリオール(7.25g)を得た。
1H NMR(400 MHz, CD
3OD):δ 0.53-0.56 (m, 2H), 0.81-0.86 (m, 2H), 1.80-1.82 (m, 1H), 3.34-3.45 (m, 4H), 3.67 (dd, J = 12.0, 5.2 Hz, 1H), 3.86 (d, J = 11.6 Hz, 1H), 3.99-4.09 (m, 3H), 4.17 (s, 4H), 6.58-6.62 (m, 2H), 6.68 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 6.96 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 7.19 (m, 2H). MS (ES) m/z 446.2 (M+18)。