(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5909011
(24)【登録日】2016年4月1日
(45)【発行日】2016年4月26日
(54)【発明の名称】自動車水没時の緊急脱出装置
(51)【国際特許分類】
B60R 21/00 20060101AFI20160412BHJP
B62D 25/20 20060101ALI20160412BHJP
【FI】
B60R21/00 630A
B62D25/20 Z
【請求項の数】4
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2015-87116(P2015-87116)
(22)【出願日】2015年3月13日
【審査請求日】2015年10月22日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000246354
【氏名又は名称】有▲吉▼ 一夫
(72)【発明者】
【氏名】有▲吉▼ 一夫
【審査官】
粟倉 裕二
(56)【参考文献】
【文献】
特開平11−301384(JP,A)
【文献】
特開平11−020581(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 21/00
A62B 99/00
B62D 25/08
B62D 25/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
注水管を形成しており、該注水管の上端部に円座を取り付けており、また、注水管より大径の蓋を形成しており、該端部にとっ手を蝶番側に向けて斜め状に取り付けており、裏底には半球状の浮子を取り付けており、浮子回りは弾性に富んだパッキンを貼り付けており、而して、蓋の一端を円座に蝶着しており、他端は止め棒を取り付けており、該止め棒を円座に取り付けた止め金に掛けて蓋を閉じており、注水管の下部をフロアに円座をフロアサイレンサーに当てて取り付けている自動水没時の緊急脱出装置。
【請求項2】
蓋裏に円筒の浮子を取り付けており、浮子の外周にはOリングを装着しており、また、蓋の一端を円座に蝶着しており、Oリングを介して注水管に着脱自在に嵌入している請求項1記載の自動車水没時の緊急脱出装置。
【請求項3】
平面の蓋を形成しており、裏側にOリングを装着した浮子を取り付けており、而して蓋の一端を円座に蝶着している請求項1と2記載の自動車水没時の緊急脱出装置。
【請求項4】
上部外周に凸部を設けた長方形状の注水管を形成しており、また、注水管に被せる蓋をゴムまたは合成樹脂で形成しており、蓋の表と裏に当て板を当てて鋲着しており、旦、他端の鋲にはとっ手を一端方向に斜め状に向けて鋲着しており、蓋裏の当て板には直方体状の浮子を取り付けており、また、注水管の中間下部に座板を取り付けており、而して、蓋の一端を座板に蝶着して蓋を閉じており、注水管の下部をフロアに、座板をフロアサイレンサーに当て、横向きに取り付けている請求項1記載の自動車水没時の緊急脱出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車が水没した時の緊急脱出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車が水没すると、ドアに強大な水圧がかかるため、ドアを開けられず、そのため、車内に閉じ込められて溺死する。
【0003】
自動車(以下 車に略)が水没しても、きわめて簡単な操作で、大量の水を車内に流入させ、ドアにかかる水圧を加速度的に減じて、安全に緊急脱出ができるようにしたものである。
【0004】
そして、第1の課題解決手段の
図1から
図4は、注水管を形成し、該注水管の上端部に円座を取り付け、また、注水管よりやや大径の蓋を形成し、該端部にとっ手を蝶番側に向けて斜め状に取り付け、裏底には半球状の浮子を取り付け、浮子回りには弾性に富んだパッキンを貼り付け、而して、蓋の一端を円座に蝶番で取り付け、他端には止め棒を取り付け、該止め棒は円座に取り付けたバネ板の止め金に掛けて蓋を閉じ、然る後、注水管の下部をフロアに、円座をフロアサイレンサーに当てて取り付けたものである。
なお、本課題解決手段は、
図1のように、助手席と後部座席前に取り付ける。
【0005】
第2の課題解決手段の
図5と
図6は、裏底に円筒の浮子を取り付け、該下部は塞ぎ、浮子の外周にはOリングを装着し、該Oリングを介して注水管に着脱自在に嵌装し、而して、蓋の一端を円座に蝶番で取り付けたものである。
なお、本課題解決手段は、
図1のように、助手席と後部座席前に取り付ける。
【0006】
第3の課題解決手段の
図7と
図8は、平面の蓋を形成し、該蓋の一端を円座に蝶番で取り付けたものである。
なお、本課題解決手段は、
図1のように、助手席と後部座席前に取り付ける。
【0007】
図9から
図11は、第3の課題解決手段の応用実施例で、浮子の上下にOリングを嵌装し、蓋にはとっ手を立設し、水没時に上向きに抜くようにしたものである。
なお、本応用実施例は、
図9のように、助手席と後部座席前に取り付ける。
【0008】
第4の課題解決手段の
図12から
図15は、上部外周に凸部を設けた長方形状の注水管を形成し、また、注水管に被せる蓋をゴムまたは合成樹脂で形成し、蓋の表と裏に当て板を当てて鋲着し、且、他端の鋲にはとっ手を一端方向に斜め状に向けて鋲着し、蓋裏の当て板には直方体状の浮子を取り付け、また、注水管の中間下部に座板を取り付け、而して、蓋の一端を座板に蝶番で取り付けて蓋を閉じ、然る後、注水管の下部をフロアに、座板をフロアサイレンサーに当て、
図12のように横向きに取り付けたものである。
【0009】
第1の課題解決手段の
図1から
図4は、車に緊急脱出装置を取り付けたので、水没時は、先ず、車を停め、同時に、蓋のとっ手を持って蓋を開ければ、水がドット車内へ流れ込み、その水流と浮子の浮力で蓋は開き放しとなるので、蓋を開けた後は手を離しても水は車内に自動的に流れ込む。
【0010】
したがって、ドアが受ける水圧は急激に小さくなり、遂には零となる。
しかし、脱出は、水圧が零(車内の水位が車内の水位と同じになった時)になるまで待つのではなく、水没の危機は刻一刻と迫るので、ドアを押し続ければ、車内の水位は上昇し続け、それにつれて、ドアが受ける水圧は加速度的に減じていくので、水が車内に充満するを待たないで、ドアを開けて無事脱出することができる。
なお、平常時は、蓋は注水管に確実に装着されるので、水密生はよく、蓋を持ち上げない限り水は侵入しないと共に車の振動で外れることもない。
特に、蓋は、蝶番で保持されるので、脱出時に邪魔にならない。
【0011】
第2の課題解決手段の
図5と
図6は、第1の課題解決手段の
図1から
図4を簡単化したもので、製作しやすいと共に操作も容易である。
【0012】
第3の課題解決手段の
図7と
図8は、第2の課題解決手段の
図5と
図6を平面化したので、製作しやすいと共に蓋は平面であるので、平常時邪魔にならない。
【0013】
図9から
図11は、上記の
図7と
図8の応用実施例で、蓋は平面であるので、平常時邪魔にならないと共に緊急脱出時に水に浮くので、車に取り付けた全部の蓋を外したどうかを確認することができる。
【0014】
第4の課題解決手段の
図12から
図15は、巾が狹まい注水管を横向きに取り付けたので、脱出時に足元の邪魔にならない。
また、注水管は巾が狹いが横長に形成したので、開口部の面積は大きい。したがって、蓋を外せば、大量の水が流れ込み、ドアが受ける水圧は一気に下がるので、乗車全員が素早く脱出することができる。
【0015】
以上において、本発明はフロアに取り付けたが、フロアサイレンサー、パッキン、Oリングがあるので、騒音が車内に入らないと共に平常時、雨水をタイヤがはね、フロアに強く叩きつけても車内に入らず、平常通り走行することができる。
また、とっ手は蓋に溶着か鋲で強固に取り付けたので、外れることがなく、如何なる場合でも、蓋を確実に開けることができる。
【0016】
なお、本発明は、助手席のみでなく、後部座席にも取り付けたので、同乗者も操作して、後部からも大量の水を流れ込ませれば、車内への流入量は格段に増し、乗り合せた全員が無事脱出することができる。
【0017】
このように、注入操作はきわめて簡単であるが、水没するとパニックになって操作方法を忘れ、そのショックで溺死することも考えられるので、ふだんから操作方法を訓練して身体で覚えるようにしたがよい。
また、運転車がパニックになった場合に備えて、同乗する家族、その他の人も訓練して、沈着、冷静に脱出操作ができるようにしたがよい。
【0018】
なお、本発明の構造、取り付け、操作きわめて簡単であると共に安価に製作できるので、製造中のみならず、使用中の全車種に取り付ければ、水没時に全員が無事脱出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
第1の課題解決手段
第2の課題解決手段
第3の課題解決手段
第4の課題解決手段
【発明を実施するための形態】
【0020】
第1の課題解決手段の
図1から
図4の1は注水管、2は注水管1の上端部に取り付けた円座、3は注水管1よりやや大径の蓋で該端部にとっ手4を蝶番7側に向けて斜め状に取り付けている。5は蓋3の裏に取り付けた半球状の浮子で、浮子5回りには強性に富んだパッキン6を貼り付けている。7は蝶番で蓋3の一端を円座2に蝶着し、他端は止め棒8を取り付け、円座2に取り付けた板バネで形成した止め金9に掛けて蓋3を閉じ、
図1のように、注水管1をフロア10に、円座2をフロアサイレンサー11に当てて取り付けている。
【0021】
第2の課題解決手段の
図5と
図6の1は、蓋3の裏底に取り付けた下部を塞いだ円筒の浮子で、該外周にOリング12を装着し、蓋3の一端を蝶番7で円座2に蝶着し、浮子5を注水管1に着脱自在に嵌装している。而して、
図1のように、フロア10に取り付けている。
【0022】
第3の課題解決手段の
図7と
図8の1は、平面の蓋で、該平面の蓋3の上面にとっ手4を、下面に円筒状の浮子5を取り付け、蓋3と円座2を蝶番7で蝶着し、浮子5を注水管1に着脱自在に嵌装している。而して、
図1のようにフロア10に取り付けている。
【0023】
上記第3の課題解決手段の応用実施例の
図9から
図11は、平面の蓋1の下部に円筒の浮子5を取り付け、該浮子5の上下にOリング12を嵌装している。而して、該浮子5を注水管1にOリング12を介して嵌装し、水没時に上向きに抜き、水を車内に流入させるようにしている。
【0024】
第4の課題解決手段の
図12から
図14の1は長方形状の注水管、3は注水管1に被せる蓋でゴムまたは合成樹脂で形成している。13は当て板で蓋3の表と裏に当て板13を当てて鋲着している。なお、他端の鋲にはとっ手4を一端方向に斜め状に向けて鋲着している。5は蓋3裏の当て板13に取り付けた直方体状の浮子、14は注水管1の中間下部に取り付けた座板で、蓋1の一端を該座板14に蝶番7で蝶着し、蓋1を閉じている。
而して、
図12のように、注水管1の下部をフロア10に、座板14をフロアサイレンサー11に当てて横向きに取り付けている。
【符号の説明】
【0025】
1 注水管
2 円座
3 蓋
4 とっ手
5 浮子
6 パッキン
7 蝶番
8 止め棒
9 止め金
10 フロア
11 フロアサイレンサー
12 Oリング
13 当て板
14 座板
【要約】
【課題】 従来、車が水没すると、ドアに強大な水圧がかかるため、ドアを開けられず、そのため、車内に閉じ込められて溺死する。
【解決手段】 自動車が水没した時、とっ手を持って蓋を開けさえすれば、後は、手を離しても大量の水が車内に自動的に流れ込むように構成した。
これにより、自動車が水没しても、車内に水がドットと流れ込む。
したがって、ドアが受ける水圧は急激に小さくなり遂には零となる。
しかし、脱出は、水圧が零(車内の水位が車外の水位と同じになった時)になるまで待つのではなく、水没の危機は刻一刻と迫るので、ドアを押し続ければ、車内の水位は上昇し続け、それにつれて、ドアが受ける水圧は加速度的に減じていくので、水が車内に充満するを待たないで、ドアを開けて無事脱出することができる。
【選択図】
図1