【文献】
Fei-fei Wang et al.,"A novel electrolyte system without a Grignard reagent for rechargeable magnesium batteries",Chemical Communications,英国,2012年 9月13日,Vol.48,p.10763-10765
【文献】
Doron Aurbach et al.,"Electrolyte Solutions for Rechargeable Magnesium Batteries Based on Organomagnesium Chloroaluminate Complexes",Journal of The Electrochemical Society,2001年12月20日,Vol.149, issue 2,,p.A115-A121
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記エーテル系溶媒は、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、2‐メチルテトラヒドロフラン、エチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテルの群から選ばれた少なくとも一種である請求項1から3のいずれか一項に記載のマグネシウム電池用の電解液。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】Gregory T D, Hoffman R J, Winterton R C, Development of an ambient secondary magnesium battery, Journal of the Electrochemical Society, 1990, 137(3): 775−780;
【非特許文献2】Besenhard J O, Winter M, Advances in battery technology: rechargeable magnesium batteries and novel negative electrode materials for lithium ion batteries, Chemphyschem, 2002, 3(2): 155−159;
【非特許文献3】Levi E, Gofer Y, Aurbach D, On the Way to Rechargeable Mg Batteries: The Challenge of New Cathode Materials, Chemistry of Materials, 2010, 22(3): 860−868
【非特許文献4】Lossius L P, Emmenegger F, Plating of magnesium from organic solvents, Electrochimica Acta, 1996, 41(3): 445−447;
【非特許文献5】Aurbach D, Gofer Y, Lu Z, et al. A comparison between the electrochemical behavior of reversible magnesium and lithium electrodes, Journal of Power Sources, 2001, 97(8): 269−273.
【非特許文献6】Liebenow C, Yang Z, Lobitz P, The electrodeposition of magnesium using solutions of organomagnesium halides, amidomagnesium halides and magnesium organoborates, Electrochemistry Communications, 2000, 2(9): 641−645;
【非特許文献7】Guo Y S, Yang J, NuLi Y N, Study of electronic effect of Grignard reagents on their electrochemical behavior, Electrochemistry Communications, 2010, 12(2): 1671−1673.
【非特許文献8】Aurbach D, Lu Z, Schechter A, Prototype system for rechargeable magnesium batteries, Nature, 2000, 407(6805): 724−727
【非特許文献9】Oren Mizrahi, Nir Amir, Aurbach D, Electrolyte Solutions with a Wide Electrochemical Window for Rechargeable Magnesium Batteries, Journal of The Electrochemical Society, 2007, 155(2): A103−A109.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
昔から、マグネシウム二次電池の発展は、2つの要因に制約されている。一つ目は、マグネシウムイオンとリチウムイオンとも、イオン半径が小さいが、マグネシウムイオンは、電荷が高く、溶媒化作用が強いため、マグネシウムイオンのインサート可能な基材が少なく、正極材の選択が制限される。2つ目は、マグネシウムは、大部分の電解液において不動態皮膜を生成し、この不動態皮膜は、Mg
2+イオンにとって不良導体である。そのため、マグネシウムの可逆的析出‐溶出率がよいとともに電気化学窓が広いマグネシウム二次電池電解液系の調製が難しく、マグネシウム二次電池の発展のネックになっている。
【0005】
マグネシウム電極は、グリニャール試薬/エーテル溶液においては不動態皮膜を生成しなく、マグネシウムの可逆的析出特性も優れるが、一般的なグリニャール試薬は、安定した電気化学窓が狭いため、マグネシウム二次電池に適用しにくい(非特許文献6、7を参照)。2000年に、Nature雑誌は、イスラエルの科学者Aurbach等が研究開発したマグネシウム二次電池に適用可能な新型電解液系(非特許文献8を参照)を開示し、その文章には、マグネシウムがMg(AX
4 −
nR
n)
2のエーテル溶液において可逆的析出でき、ここで、A=Al、B、As、P、Sb等で、X=Cl、Brで、Rはアルキル基、0<n<4,n’+n”=nである。この新型配合物は、ルイス酸RR’Mgとルイス塩基AX
3−nR
n’R’
n”との反応から得られたものとして考えられ、D.Aurbachチームに“第一世代電解液”と名付けられている。このシステムは、グリニャール試薬に対して、0.3−0.5Mの電解質溶液における室温での導電率が大幅に向上するとともに、陽極安定性も大幅に改善された。2007年末に、Aurbachチームは、全フェニル基マグネシウムアルミニウムハロゲン錯体のTHF溶液電解液系の合成に成功し、それを「第二世代電解液」と称した(非特許文献9を参照)。当該電解液は、ルイス塩基であるPhMgClとルイス酸であるAlCl
3とを2:1の比率でテトラヒドロフラン溶媒において反応させることにより得られるもので、その電気化学窓が3V以上になり、マグネシウム析出の過電位が0.2V未満で、また、溶液の導電率が、従来のシステムに比べて明らかに向上した。しかし、当該電解液におけるグリニャール試薬PhMgClの還元性が強く、無水で空気と隔離した条件で測定及び保存しなければならないため、当該システムの適用範囲が制限されている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記の問題を解決し、空気中において安定的に存在することができ、且つ正極材料の選択範囲が広がるマグネシウム電池用の新型電解液及びそれを含むマグネシウム電池を提供することを目的とする。
【0007】
この目的を達成するために、本発明の一実施形態は、溶質としてのフェノキシ基−Mg−Al−ハロゲン錯体と、エーテル系溶媒と、を含有するマグネシウム電池用の電解液を提供する。
【0008】
前記マグネシウム電池用の電解液において、前記溶質は、ルイス塩基としてのROMgXと、ルイス酸としてのAlCl
3との反応生成物であり、ここで、Rは、フッ素及び/又はアルキル基に置換されてもよいアリール基を示し、Xは、ハロゲンを示すことが好ましい。
【0009】
さらに、Rは、フッ素及び/又はアルキル基に置換されてもよいフェニル基を示すことが好ましい。
前記マグネシウム電池用の電解液において、前記溶液において、前記AlCl
3に対する前記ROMgXの比率が1−3であることが好ましい。
【0010】
前記マグネシウム電池用の電解液において、電解液全体に対して、前記溶質の濃度が0.2〜1mol/Lであることが好ましい。
前記マグネシウム電池用の電解液において、前記ROMgXは、
【0011】
【化1】
の群から選ばれた少なくとも一種であることが好ましい。
【0012】
前記マグネシウム電池用の電解液において、前記エーテル系溶媒は、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、2‐メチルテトラヒドロフラン、エチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテルの群から選ばれた少なくとも一種であることが好ましい。
【0013】
また、本発明の別の一実施形態は、前記電解液を含むマグネシウム電池を提供する。
本発明によれば、空気中において安定的に存在することができ、且つ正極材料の選択範囲が広がるマグネシウム電池用の新型電解液及びそれを含むマグネシウム電池を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<電解液の調製>
不活性雰囲気において、所定量のフェノール類(ROHで示す)化合物を所定量のエーテル溶媒に溶解して、透明溶液になるまで攪拌してから、所定量のCH
3CH
2MgX(以下、CH
3CH
2をEtと略することがある)のエーテル溶液をゆっくり前記透明溶液に滴下して、所定の時間攪拌して、フェノキシ基−Mg−ハロゲン溶液が得られる。また、所定量のハロゲン化アルミニウムを所定量のエーテル溶媒に溶解して、透明溶液になるまで攪拌してから、得られた溶液を前記フェノキシ基−Mg−ハロゲン溶液にゆっくり滴下し、透明になるまで攪拌する。これにより、0.2〜1mol/Lのフェノキシ基−Mg−Al−ハロゲン/エーテル系電解液が得られる。
【0016】
ここで、反応式は、以下のとおりである。
ROH +CH
3CH
2MgX →ROMgX+CH
3CH
3↑
xROMgX+AlX
3 →(ROMgX)
x − AlX
3(x=1〜3)
Rは、フッ素及び/又はアルキル基に置換されてもよいアリール基を示し、Xは、ハロゲンを示す。さらに、好ましくは、Rは、フッ素及び/又はアルキル基に置換されてもよいフェニル基を示す。
【0017】
なお、電解液の調製方法は、前述したものに限られず、適宜に変更されてもよい。
<導電率の測定>
調製された0.2〜1mol/Lの電解液をinLab 710導電率測定セル(Mettler Toledo, Switzerland)に入れ、FE30導電率計により導電率を測定する。
【0018】
<サイクリックボルタモグラム試験>
パイプ型三電極ガラス試験電池において、金属白金(面積が3.14mm
2である)を作用電極とし、0.2〜1 mol/Lの前記電解液を所定量入れ、金属マグネシウムを対電極及び参照電極とし、三電極系を組み立てる。アルゴン雰囲気のグローブ・ボックスにおいて、1〜300mV/Sのスキャン速度でサイクリックボルタモグラム試験を行う。
【0019】
<電池の組み立て>
Ni片(面積が0.5mm
2である)をマグネシウム析出のベース電極とし、0.2〜1 mol/Lの電解液を0.1〜0.5 mL入れ、金属マグネシウムを対電極とし、多孔性ポリエチレン膜を隔膜として、ボタン型電池を組み立てる。そして、充放電電流密度0.1〜5mA/cm
2、定電流放電(マグネシウム析出)時に時間制御を行い、定電流充電(マグネシウム溶出)時に電圧制御を行うことで、マグネシウムの析出‐溶出性能を測定する。
【0020】
金属Ni片(面積が0.5mm
2)をマグネシウム析出のベース電極とし、0.2〜1 mol/Lの前記電解液を0.1〜0.5 mL入れ、金属マグネシウムを対電極とし、多孔性ポリエチレン膜を隔膜として、ボタン型電池を組み立てる。そして、析出電流密度0.1〜10 mA/cm
2、析出時間5〜24時間の条件で電気化学析出を行う。その後、アルゴン雰囲気のグローブ・ボックスにおいて電池を分解してテトラヒドロフランで洗浄し、析出物に対してX線回折(XRD)及び走査型電子顕微鏡(SEM)により測定を行う。
【0021】
本発明で使用される金属ベース電極は、銅、アルミニウム、ニッケル又は銀である。
電解液の調製及び電池の組み立ての全てのステップをアルゴン雰囲気のグローブ・ボックスにて行う。
【0022】
以下、実施例により本発明をより詳しく説明するが、本発明は、以下の実施例に限られない。
実施例1
アルゴン雰囲気のグローブ・ボックスにおいて、2−三級ブチル基−4−メチルフェノール(ROH)を0.3285 g (2 mmol)秤量し、1mlのテトラヒドロフラン(以下、THFと称する)溶媒に溶解して、マグネチックスターラーによって透明溶液になるまで攪拌してから、ピペットで2 mol/L CH
3CH
2MgClのTHF溶液 1mlをゆっくり前記透明溶液に滴下して、0.5時間ぐらい攪拌して、2−三級ブチル基−4−メチルフェノキシ基−Mg−Cl溶液(2mmol)が得られた。また、0.2667 g(2 mmol)のAlCl
3を2mlのTHFに溶解して、マグネチックスターラーによって透明溶液になるまで攪拌してから、得られた溶液を、前記2−三級ブチル基−4−メチルフェノキシ基−Mg−Cl溶液にゆっくり滴下し、透明になるまで攪拌した。これにより、0.5 mol/Lの2−三級ブチル基−4−メチルフェノキシ基−Mg−Al−Cl錯体/テトラヒドロフラン電解液が得られた(x=1,xはルイス塩基とルイス酸とのモル比を示す。以下も同じである)。
【0023】
0.5 mol/Lの 2−三級ブチル基−4−メチルフェノキシ基−Mg−Al−Cl錯体/テトラヒドロフラン電解液(x=1) 4mlをinLab 710導電率測定セル(Mettler Toledo, Switzerland)に入れ、FE30導電率計により導電率を測定した。測定された電解液の導電率は1.32 mS/cmであった。
【0024】
白金を作用電極とし、0.5 mol/Lの2−三級ブチル基−4−メチルフェノキシ基−Mg−Al−Cl錯体/テトラヒドロフラン電解液を3ml入れ、金属マグネシウムを対電極及び参照電極として、三電極系を組み立てた。アルゴン雰囲気のグローブ・ボックスにおいて、50mV/Sのスキャン速度でサイクリックボルタモグラム試験を行った。サイクリックボルタモグラムの結果は、0V vs. Mgの付近で現れた還元酸化過程は、マグネシウムの析出及び溶出に対応し、陽極酸化電位は2.5 V vs. Mgになった。
【0025】
実施例2
アルゴン雰囲気のグローブ・ボックスにおいて、2−三級ブチル基−4−メチルフェノール(ROH)を0.3285 g (2 mmol)秤量し、1mlのTHF溶媒に溶解して、マグネチックスターラーによって透明溶液になるまで攪拌してから、ピペットで2 mol/L CH
3CH
2MgClのTHF溶液 1mlをゆっくり前記透明溶液に滴下して、0.5時間ぐらい攪拌して、2−三級ブチル基−4−メチルフェノキシ基−Mg−Cl溶液(2mmol)が得られた。また、0.1333g(1 mmol)のAlCl
3を2mlのTHFに溶解して、マグネチックスターラーによって透明溶液になるまで攪拌してから、得られた溶液を、前記2−三級ブチル基−4−メチルフェノキシ基−Mg−Cl溶液にゆっくり滴下し、透明になるまで攪拌した。これにより、0.5 mol/Lの2−三級ブチル基−4−メチルフェノキシ基−Mg−Al−Cl錯体/テトラヒドロフラン電解液が得られた(x=2)。
【0026】
0.5 mol/Lの 2−三級ブチル基−4−メチルフェノキシ基−Mg−Al−Cl錯体/テトラヒドロフラン電解液 4mlをinLab 710導電率測定セル(Mettler Toledo, Switzerland)に入れ、FE30導電率計により導電率を測定した。測定された電解液の導電率は2.56 mS/cmであった。
【0027】
白金を作用電極とし、0.5 mol/Lの2−三級ブチル基−4−メチルフェノキシ基−Mg−Al−Cl錯体/テトラヒドロフラン電解液(x=2)を3ml入れ、金属マグネシウムを対電極及び参照電極として、三電極系を組み立てた。アルゴン雰囲気のグローブ・ボックスにおいて、50mV/Sのスキャン速度でサイクリックボルタモグラム試験を行った。サイクリックボルタモグラムの結果は、
図1に示すように、0V vs. Mgの付近で現れた還元酸化過程は、マグネシウムの析出及び溶出に対応し、陽極酸化電位は2.6 V vs. Mgになった。
【0028】
Ni片をマグネシウム析出のベース電極とし、0.5 mol/Lの2−三級ブチル基−4−メチルフェノキシ基−Mg−Al−Cl錯体/テトラヒドロフラン電解液(x=2)を0.3 ml入れ、金属マグネシウムを対電極とし、ポリエチレン膜を隔膜として、ボタン型電池を組み立てた。そして、充放電電流1 mA/cm
2、放電時間30 min、充電オフ電圧0.8 V vs. Mgの条件でマグネシウム析出−溶出性能を測定した。サイクル初期のマグネシウム析出−溶出效率結果は、
図3に示すように、一回目のサイクル効率が82.1%になり、初期サイクル後のマグネシウム析出−溶出クーロン效率は98%以上に維持されていた。
【0029】
金属Ni片をマグネシウム析出のベース電極とし、0.5 mol/L の2−三級ブチル基−4−メチルフェノキシ基−Mg−Al−Cl錯体/テトラヒドロフラン電解液を0.3 ml入れ、金属マグネシウムを対電極とし、ポリエチレン膜を隔膜として、ボタン型電池を組み立てた。そして、析出電流密度0.2 mA/cm
2、析出時間10 時間の条件で電気化学析出を行った。その後、アルゴン雰囲気のグローブ・ボックスにおいて電池を分解してテトラヒドロフランで洗浄し、析出物に対してX線回折(XRD)及び走査型電子顕微鏡(SEM)により測定を行った。XRD結果は、
図4に示すように、基質であるNiの回折ピーク(それぞれ44.5及び51.9にある)を除き、34.45
o、36.79
o、47.99
o、57.61
o、63.30
o及び68.73
oなどで現れた回折ピークは金属マグネシウムのピーク(JCPDS 35−0821)であった。SEM結果(
図4における挿図)によれば、析出されたマグネシウム層は緻密で島状であった。
【0030】
実施例3
アルゴン雰囲気のグローブ・ボックスにおいて、フェノール(ROH)を0.1882 g (2 mmol)秤量し、1mlのTHF溶媒に溶解して、マグネチックスターラーによって透明溶液になるまで攪拌してから、ピペットで2 mol/L CH
3CH
2MgClのTHF溶液 1mlをゆっくり前記透明溶液に滴下して、0.5時間ぐらい攪拌して、フェノキシ基−Mg−Cl溶液(2mmol)が得られた。また、0.1333g(1 mmol)のAlCl
3を2mlのTHF溶媒に溶解して、マグネチックスターラーによって透明溶液になるまで攪拌してから、得られた溶液を前記フェノキシ基−Mg−Cl溶液にゆっくり滴下し、透明になるまで攪拌した。これにより、0.5 mol/Lのフェノキシ基−Mg−Al−Cl錯体/テトラヒドロフラン電解液(x=2)が得られた。
【0031】
0.5 mol/Lの フェノキシ基−Mg−Al−Cl錯体/テトラヒドロフラン電解液 4mlをinLab 710導電率測定セル(Mettler Toledo, Switzerland)に入れ、FE30導電率計により導電率を測定した。測定された電解液の導電率は0.99 mS/cmであった。
【0032】
白金を作用電極とし、0.5 mol/Lのフェノキシ基−Mg−Al−Cl錯体/テトラヒドロフラン電解液(x=2)を3 ml入れ、金属マグネシウムを対電極及び参照電極として、三電極系を組み立てた。アルゴン雰囲気のグローブ・ボックスにおいて、50mV/Sのスキャン速度でサイクリックボルタモグラム試験を行った。サイクリックボルタモグラムの結果は、0V vs. Mgの付近で現れた還元酸化過程は、マグネシウムの析出及び溶出に対応し、陽極酸化電位は2.3 V vs. Mgになった。
【0033】
実施例4
アルゴン雰囲気のグローブ・ボックスにおいて、o−フッ素−フェノール(ROH)を0.18 ml (2 mmol)秤量し、1mlのTHF溶媒に溶解して、マグネチックスターラーによって透明溶液になるまで攪拌してから、ピペットで2 mol/L CH
3CH
2MgClのTHF溶液 1mlをゆっくり前記透明溶液に滴下して、0.5時間ぐらい攪拌して、フェノキシ基−Mg−Cl溶液(2mmol)が得られた。また、0.1333g(1 mmol)のAlCl
3を2mlのTHFに溶解して、マグネチックスターラーによって透明溶液になるまで攪拌してから、得られた溶液を前記フェノキシ基−Mg−Cl溶液にゆっくり滴下し、透明になるまで攪拌した。これにより、0.5 mol/Lのo−フッ素−フェノキシ基−Mg−Al−Cl錯体/テトラヒドロフラン電解液(x=2)が得られた。
【0034】
0.5 mol/Lの o−フッ素−フェノキシ基−Mg−Al−Cl錯体/テトラヒドロフラン電解液 4mlをinLab 710導電率測定セル(Mettler Toledo, Switzerland)に入れ、FE30導電率計により導電率を測定した。測定された電解液の導電率は2.02 mS/cmであった。
【0035】
白金を作用電極とし、0.5 mol/Lのo−フッ素−フェノキシ基−Mg−Al−Cl錯体/テトラヒドロフラン電解液(x=2)を3 ml入れ、金属マグネシウムを対電極及び参照電極として、三電極系を組み立てた。アルゴン雰囲気のグローブ・ボックスにおいて、50mV/Sのスキャン速度でサイクリックボルタモグラム試験を行った。サイクリックボルタモグラムの結果は、0V vs. Mgの付近で現れた還元酸化過程は、マグネシウムの析出及び溶出に対応し、陽極酸化電位は2.6 V vs. Mgになった。
【0036】
実施例5
白金を作用電極とし、上記実施例2と同じ方法で調製された0.5 mol/Lの2−三級ブチル基−4−メチルフェノキシ基−Mg−Al−Cl錯体/テトラヒドロフラン電解液(x=2)を3 ml入れ、金属マグネシウムを対電極及び参照電極として、三電極系を組み立てた。空気中において、50mV/Sのスキャン速度でサイクリックボルタモグラム試験を行った。サイクリックボルタモグラムの結果は、
図2に示すように、0V vs. Mgの付近で現れた還元酸化過程は、マグネシウムの析出及び溶出に対応し、陽極酸化電位は2.7 V vs. Mgぐらいになり、10回のサイクルにおいて優れた繰り返し性を維持していた。
【0037】
実施例6
溶媒として、テトラエチレングリコールジメチルエーテルとテトラヒドロフランとを1:1の体積比で混合してなる混合液を使用したほかに、上記実施例2と同じ方法で、アルゴン雰囲気のグローブ・ボックスにおいて、0.5 mol/Lの2−三級ブチル基−4−メチルフェノキシ基−Mg−Al−Cl錯体(x=2)/混合エーテル(テトラエチレングリコールジメチルエーテル:テトラヒドロフランの体積比=1:1)溶液を調製して、マグネシウム二次電池用電解液とした。当該電解液によれば、テトラヒドロフラン溶媒の揮発性を大幅に低減できるとともに、安全性も明らかに向上した。当該電解液4 mlをinLab 710導電率測定セル(Mettler Toledo, Switzerland)に入れ、FE30導電率計により導電率を測定した。測定された電解液の導電率は0.98 mS/cmであった。
【0038】
白金を作用電極とし、0.5 mol/Lの前記電解液を3 ml入れ、金属マグネシウムを対電極及び参照電極として、三電極系を組み立てた。アルゴン雰囲気のグローブ・ボックスにおいて、50mV/Sのスキャン速度でサイクリックボルタモグラム試験を行った。サイクリックボルタモグラムの結果は、0 V vs. Mg/Mg
2+の付近で現れた還元酸化過程は、マグネシウムの析出及び溶出に対応し、陽極酸化電位は2.4 V vs. Mg/Mg
2+以上(
図5)であった。
【0039】
比較例1
白金を作用電極とし、0.5 mol/Lの(PhMgCl)
2−AlCl
3/テトラヒドロフラン電解液(即ち、「第二世代電解液」)を3 ml入れ、金属マグネシウムを対電極及び参照電極として、三電極系を組み立てた。空気中において、50mV/Sのスキャン速度でサイクリックボルタモグラム試験を行った。サイクリックボルタモグラムの結果は、
図6に示すように、0 V vs. Mg/Mg
2+の付近で、マグネシウムの析出及び溶出に対応する還元酸化過程が現れなかった。
【0040】
実施例1−6及び対比例1から分かるように、溶質としてのフェノキシ基−Mg−Al−ハロゲン錯体とエーテル系溶媒と、を含有する電解液を含むマグネシウム電池は、陽極酸化電位が高く、サイクル繰り返し性が優れ、0 V vs. Mg/Mg
2+の付近でマグネシウムの析出及び溶出に対応する還元酸化過程が現れた。よって、本願における溶質としてのフェノキシ基−Mg−Al−ハロゲン錯体と、エーテル系溶媒と、を含有する電解液を使用した電池は、空気中において安定的に存在することができ、且つ正極材料の選択範囲が広い。