(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5909025
(24)【登録日】2016年4月1日
(45)【発行日】2016年4月26日
(54)【発明の名称】成長制限されたガラス凸型スペーサを用いた薄板ガラス製品の製造
(51)【国際特許分類】
C03C 27/06 20060101AFI20160412BHJP
C03C 23/00 20060101ALI20160412BHJP
C03B 23/02 20060101ALI20160412BHJP
E06B 3/663 20060101ALI20160412BHJP
【FI】
C03C27/06 101H
C03C27/06 101Z
C03C23/00 D
C03B23/02
E06B3/663 G
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-515071(P2015-515071)
(86)(22)【出願日】2013年5月23日
(65)【公表番号】特表2015-527276(P2015-527276A)
(43)【公表日】2015年9月17日
(86)【国際出願番号】US2013042383
(87)【国際公開番号】WO2013181054
(87)【国際公開日】20131205
【審査請求日】2015年2月3日
(31)【優先権主張番号】13/482,114
(32)【優先日】2012年5月29日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】397068274
【氏名又は名称】コーニング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【弁理士】
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100090468
【弁理士】
【氏名又は名称】佐久間 剛
(72)【発明者】
【氏名】グルジボウスキ,リチャード ロバート
(72)【発明者】
【氏名】ハーヴェイ,ダニエル ラルフ
(72)【発明者】
【氏名】ストレリツォフ,アレキサンダー ミカイロヴィッチ
【審査官】
増山 淳子
(56)【参考文献】
【文献】
特表2012−508335(JP,A)
【文献】
特開2003−307602(JP,A)
【文献】
実開昭54−51955(JP,U)
【文献】
特表2010−533639(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C03C 27/06
C03C 23/00
E06B 3/663
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の成長制限されたガラス凸型スペーサを備える薄板ガラス製品を形成する方法であって、前記方法は:
前記薄板ガラスの窓ガラスにレーザ放射を照射し、前記窓ガラスの複数のスペーサ部位を局所的に加熱して、前記窓ガラス内で複数のガラス凸型スペーサの成長を誘発するステップ;及び
前記レーザ放射の光路に位置決めされた散乱表面部分を備える成長制限プレートを用いて、前記複数のガラス凸型スペーサの成長を制限するステップ;
を含み、
前記光路は前記レーザ放射の源から前記窓ガラスを通って前記成長制限プレートの前記散乱表面部分まで延在し、
前記成長制限プレートの前記散乱表面部分は、前記窓ガラスを局所的に加熱するために使用される前記レーザ放射を有意に散乱させることにより、前記成長制限プレートに対する損傷を軽減する、方法。
【請求項2】
前記窓ガラスにUVレーザ放射を照射して、前記窓ガラス内で前記複数のガラス凸型スペーサの成長を誘発し、
前記成長制限表面の前記散乱表面部分を、前記UVレーザ放射を有意に散乱させるよう構成する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
複数の成長制限されたガラス凸型スペーサを備える、成長制限された薄板ガラス製品を形成するためのシステムであって、前記システムは:
前記薄板ガラスの窓ガラスにレーザ放射を照射し、前記窓ガラスの複数のスペーサ部位を局所的に加熱して、前記窓ガラス内で複数のガラス凸型スペーサの成長を誘発するよう構成された光学的システム;及び
前記複数のガラス凸型スペーサの成長を制限するための、前記レーザ放射の光路に位置決めされた散乱表面部分を備える成長制限プレートであって、
前記光路は前記レーザ放射の源から前記窓ガラスを通って前記成長制限表面の前記散乱表面部分まで延在し、
前記成長制限表面の前記散乱表面部分は、前記窓ガラスを局所的に加熱するために使用される前記レーザ放射を有意に散乱させることにより、前記成長制限プレートに対する損傷を軽減する、成長制限プレート;
を備える、薄板ガラス製品を形成するためのシステム。
【請求項4】
対向する窓ガラス及び端部封止を備える真空遮断ガラス製品であって、
前記対向する窓ガラスは、向かい合わせに略平行に配置されて、前記対向する窓ガラスの間に内部領域を画定し;
端部封止が前記窓ガラスの周縁に配置され、前記対向する窓ガラス間に画定された前記内部領域を密閉封止し;
少なくとも1つの前記窓ガラスは、内部に一体形成された複数のガラス凸型スペーサを備え;
前記ガラス凸型スペーサは、前記対向する窓ガラス間に画定された前記内部領域に亘って延在して、前記対向する窓ガラスのうちの一方が備える面が当接する複数の接触表面を画定し;
前記ガラス凸型スペーサの前記各接触表面は、紫外又は赤外レーザ光を有意に散乱させるよう構成された散乱表面部分を備える、真空遮断ガラス製品。
【請求項5】
前記ガラス凸型スペーサは略平坦な上方部分を有する、請求項4に記載の製品。
【発明の詳細な説明】
【0001】
本出願は、米国特許法第120条の下で、2012年5月29日出願の米国特許出願第13/482114号の優先権の利益を主張するものであり、本出願は参照により上記出願の内容全体を援用する。
【技術分野】
【0002】
本開示は概して真空遮断ガラス窓に関し、特にガラス凸型スペーサを採用したこのような窓に関する。
【背景技術】
【0003】
真空遮断ガラス(VIG)窓は典型的には、2枚以上の窓ガラスからなり、これらの窓ガラスの間に減圧空間を有する。この減圧空間は、通常のガラス窓と比較して、窓の熱及び騒音の遮断特性を強化する。前述の空間を維持するために、典型的にはこのような窓の窓ガラスの間にスペーサを配置する。スペーサは典型的には、窓ガラスの間に配置及び固定される別個の要素であり、アルミニウム、プラスチック、セラミック、又はガラスで作製できる。
【0004】
同一の出願人による特許文献1は、複数のガラス凸型スペーサが窓ガラスの一方の表面内に一体形成されたVIG窓を形成する方法を提供する。このスペーサは、レーザ成長処理において窓ガラス内に形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許出願公開第2010/0107525号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、散乱表面又は散乱表面部分を成長制限ガラスプレート上に設けることにより、及びこの散乱表面の特性をガラス凸型スペーサの対応する表面に付与することにより、前述のスペーサ成長方法を強化できることを確認した。本明細書中で考察する様々なVIG製品の構造的な特徴に関連するコンセプト及びレーザ成長処理を実施してガラス凸型スペーサを形成できる様式は、前述の特許文献1の教示から容易に収集でき、本明細書は参照によりその内容の全体を援用する。ただし、本明細書中では本開示のコンセプトを、例えばVIGガラス窓等のVIGガラス製品を主に参照して説明するものの、本明細書中に開示のコンセプトは、2枚の対向する窓ガラスの間に減圧された又は減圧されていない空間が維持されるいずれの用途に対する幅広い適用可能性を有することも考えられる。本明細書中に開示のコンセプトは、前述の特許出願に開示の特定のプロセス及びレーザ成長システムに制限されることなく、いずれのレーザ誘発スペーサ成長処理に対する適用可能性を有することも考えられる。
【0007】
本開示の一実施形態によると、薄板ガラス製品を形成する方法は、複数の成長制限されたガラス凸型スペーサを含む。本方法によると、薄板ガラス製品の窓ガラスにレーザ放射を照射し、窓ガラスの複数のスペーサ部位を局所的に加熱して、窓ガラス内で複数のガラス凸型スペーサの成長を誘発する。散乱表面部分を備える成長制限プレートを用いて、複数のガラス凸型スペーサの成長を制限する。この成長制限プレートの散乱表面は、成長制限プレートに対する損傷を軽減し、窓ガラスに対する損傷も軽減できる。
【0008】
本開示の別の実施形態によると、複数の成長制限されたガラス凸型スペーサを備える、成長制限された薄板ガラス製品を形成するために、あるシステムが提供される。本システムは、薄板ガラス製品の窓ガラスにレーザ放射を照射し、窓ガラスの複数のスペーサ部位を局所的に加熱して、窓ガラス内で複数のガラス凸型スペーサの成長を誘発するよう構成された光学的システムを備える。成長制限プレートもまた設けられ、これは前述の散乱表面部分を備える。
【0009】
本開示のまた別の実施形態によると、ガラス凸型スペーサの各接触表面が、紫外線又は赤外線レーザ光を有意に散乱させるよう構成された散乱表面部分を備える、真空遮断ガラス製品が提供される。
【0010】
本開示の特定の実施形態の以下の詳細な説明は、類似の構造を類似の参照番号で示す添付の図面と併せて読むと最もよく理解できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】向かい合わせに略平行に配置された、対向する窓ガラスを備える真空遮断ガラス製品
【
図2】本開示による考察対象であるガラス凸型スペーサ構成の一実施例
【
図3】ガラス凸型スペーサを形成する、考察対象の方法
【
図4】考察対象のレーザ誘発成長処理が、従来の成長制限ガラスプレート内に局所的な損傷を誘発し得ることを発明者が確認したことを示す図
【
図5】ガラス凸型スペーサを形成する、考察対象の方法
【発明を実施するための形態】
【0012】
本明細書に開示のコンセプトは、2枚の対向する窓ガラスの間に減圧された又は減圧されていない空間が維持されるいずれの用途に対する適用可能性を有するが、例示の目的において、まずは
図1に示すVIG製品10を参照する。このVIG製品10は、向かい合わせに略平行に配置された、対向する窓ガラス20を備える。端部封止30を窓ガラス20の周縁付近に設け、2枚の窓ガラス20の間で密閉封止される内部領域40を画定する。封止された内部領域40を少なくとも部分的に排気して、所望の熱的及び音響的遮断特性を与えることができる。
【0013】
図示したVIG製品10は更に、一方又は両方の窓ガラス20内に一体形成された複数のガラス凸型スペーサ50を含む。考察対象のガラス凸型スペーサ50のサイズ、縮尺、幾何学的形状、及び全体の形状は、本開示の範囲を逸脱せずに変更できるが、本開示による考察対象のガラス凸型スペーサ構成の一実施例を示すために
図2を提示する。考察対象のガラス凸型スペーサ50は窓ガラス20内に一体形成されるものであり、VIG製品の分離した別個の要素として追加されるものではない。従って、ガラス凸型スペーサ50は、本質的に窓ガラスと同じ材料から形成され、従って本質的に窓ガラスと同じ材料からなり、窓ガラス20の本体部分の延長部と説明するのが正確である。
【0014】
上述のように、特許文献1の開示は、ガラス凸型スペーサ50を窓ガラス内に形成する様々な好適な方法を提示している。
図3を参照すると、ガラス凸型スペーサ50を形成する考察対象の方法は一般に、他の種類のレーザ源を含む、1つ若しくは複数の中間赤外波長レーザ、1つ若しくは複数の高反復率のナノ秒パルス幅UVレーザ、又はこれらの組み合わせと、スペーサ50を形成しようとする窓ガラス上において軸方向に僅かに(例えば約0.8mm〜約1.0mm)偏位した焦点にレーザビームの形態のレーザ放射70を集束させるのに適した光学部品60とを採用する。集束させたレーザ放射70により、窓ガラス20をその加工温度まで局所的に加熱してガラス凸型スペーサ50を形成できるようにすることが可能である。
【0015】
より具体的には、レーザ放射70の一部は、窓ガラス20を通過することで吸収される。この吸収によって窓ガラスが局所的に加熱され、窓ガラス20内に制限された膨張区域が形成される。特筆すべき点として、前述の膨張区域内のガラスは多くの場合、単に膨張するのではなく、溶融して流れる。膨張区域は、この膨張区域を取り囲んでいる加熱されず従って膨張しないガラスの領域によって制約されているため、膨張区域内のガラスは、溶融する、流れる、膨張する又は上方に成長することにより内部応力を解放することになり、これによりガラス凸型スペーサ50が形成される。スペーサ50は、窓ガラス20の加熱された領域を急速冷却することにより固定できる。1つの考察対象の実施形態では、この固定はレーザ照射を単に終了することにより達成できる。
図3を更に参照すると、ガラス凸型スペーサの成長中に、ガラスプレート80の形態の成長制限表面を窓ガラス20に隣接して配置することで、ガラス凸型スペーサ50の成長をある一定の凸部高さに制限できる。得られたガラス凸型スペーサ50は、略平坦な上方部分を有することになり、これは
図2に詳細に示されている。
【0016】
図4を参照し、本発明者らは、考察対象のレーザ誘発成長処理が従来の成長制限ガラスプレート80’において局所的な損傷90を誘発し得、これが典型的にはレーザ照射に対する高い透過性を有することを確認した。更に、この局所的な損傷90は、ガラス凸型スペーサ50を成長させる窓ガラス20内に局所的な亀裂を誘発し得る。より具体的には、2〜3mm厚のソーダ石灰ガラス上において、12〜14Wのレーザ光線、0.3秒の露出時間を用いて、凸部成長処置を実施した。成長制限シリカプレート内の局所的な損傷90、及びソーダ石灰窓ガラスの割れが確認された。成長制限プレート内の損傷は、成長の進行に従って集束が徐々に強くなることによって起こると考えられる。実際、成長中の凸部は比較的小さな焦点距離を有するレンズとして作用し、これによってレーザ光線は成長制限プレート内部に集束した。更に、照射レーザ光線の一部が成長制限プレートの入射面から反射されてソーダ石灰窓ガラス内部に集束することで、窓ガラス内で損傷が誘発されると考えられる。従って、成長制限プレート内で誘発される局所的な損傷が、凸部が成長しているソーダ石灰窓ガラス内に亀裂を誘起すると考えられる。
【0017】
図3、5に示すように、成長制限プレート80及び窓ガラス20に対する前述の損傷の様々な要因は、成長制限ガラスプレート80の成長制限側の散乱表面又は散乱表面部分85を利用して、レーザ光線が成長制限プレート80内に集束するのを阻害し、反射光がガラス窓20へと再集束するのを防止することによって緩和できる。
【0018】
より具体的には、
図3、5に示す本開示の実施形態によると、レーザ放射70の光路に位置決めされた散乱表面部85を備える成長制限プレート80を利用することで、複数のガラス凸型スペーサ50の成長を制限する。
図3に概略的に示すように、光路はレーザ放射源から窓ガラス20を通って成長制限プレート80の散乱表面部分85まで延在する。成長制限プレート80の散乱表面部分85は、窓ガラスを局所的に加熱するために使用されるレーザ放射を散乱させるよう設計され、またこれを様々な形態で提示してよい。なお、本開示のコンセプトを定義及び説明するために、「有意な」散乱とは、窓ガラス20又は成長制限プレート80に対する前述の損傷の少なくとも大部分を緩和する程度の散乱を意味すると解釈される。
【0019】
図1、2を併せて参照すると、ガラス凸型スペーサ50は、対向する窓ガラス20の間で画定された内部領域に亘って延在し、対向する窓ガラス20のうちの一方が備える面が当接する複数の接触表面を画定する。ガラス凸型スペーサ50は、一方又は両方の対向する窓ガラス20内に一体形成できると考えられる。いずれの場合も、各スペーサ高さ及び窓ガラスの平坦性を正確に制御すれば、対向する窓ガラスはガラス凸型スペーサ50の接触表面に当接することになる。ガラス凸型スペーサは成長処理中に成長制限プレート80の散乱表面部分85と接触するため、ガラス凸型スペーサ50の各接触表面は相補的な散乱表面部分55を備えることになる。従って、相補的な散乱表面部分55の光学的及び機械的特性は、成長制限プレート80の散乱表面部分85の特性を模倣したものとなる。特に、散乱表面部分55は、スペーサ50の散乱表面部分55と対向する窓ガラス20の対応する表面との間に画定された接触平面における機械的応力の低減を補助できると考えられる。
【0020】
例えば限定するわけではないが、成長制限プレート80はボロケイ酸ガラスプレート又はシリカガラスプレートからなってよく、散乱表面部分はプレートの研削表面部分として提供できる。あるいは、散乱表面部分は、光学的に加工された散乱表面を成長制限プレート80上に設けることにより提供でき、この表面を成長制限プレート80の表面に取り付けるか又はこの内部に一体形成してよい。光学的に加工された散乱表面の実施例としては、機械的に研磨された、エッチングされた、又は溶出させた表面が挙げられるがこれらに限定されない。本開示において特定の構造を「プレート」と呼ぶ場合、この「プレート」は均一なシート様の構造である必要はないことに留意されたい。むしろ、本開示のコンセプトを定義及び説明する目的において、「プレート」は、連続的又は非連続的な、規則的又は非規則的な、平坦又は湾曲した面を呈するいずれの構造を含んでよい。
【0021】
いくつかの考察対象の本開示の実施形態では、窓ガラスにUVレーザ放射を照射して、窓ガラス20内において複数のガラス凸型スペーサ50の成長を誘発し、成長制限表面の散乱表面部分85を、UVレーザ放射を有意に散乱させるよう構成する。効果的な成長及び散乱のために考察対象のUV波長は、約340nm〜約380nmの間である。他の考察対象の本開示の実施形態では、窓ガラスにIRレーザ放射を照射して、窓ガラス20内において複数のガラス凸型スペーサ50の成長を誘発し、成長制限表面の散乱表面部分85を、IRレーザ放射を有意に散乱させるよう構成する。効果的な成長及び散乱のために考えられたIR波長は、約800nm〜約1600nmの間である。
【0022】
本開示を説明及び定義するために、本明細書中の「少なくとも1つの」構成部品、要素等という表現の使用は、上記表現の代わりに単数形を使用する場合はその対象が単一の構成部品、要素等に制限されている筈であるという推定を構成するものではないことに留意されたい。なお、本開示の構成部品が、特定の様式で、又は特定の特性を実装するよう、又は特定の様式で機能するよう「構成)」されるという表現は、使用目的を表すためのものではなく、構造を表すためのものである。より具体的には、構成部品を「構成する」様式についての本明細書中の言及は、構成部品の実際の物理的な条件を示すものであり、従って構成部品の構造的な特徴の限定的表現として捉えるべきものである。
【0023】
本明細書において、用語「好ましくは」、「一般的には」、及び「典型的には」を使用する場合、これらは請求対象の開示の範囲を制限するため、又は請求の範囲の構造や機能に対して特定の特徴が決定的なものであること、本質的なものであること、若しくは更には重要であることを示唆するために用いられるものではない。これらの用語はむしろ、本開示の実施形態の特定の側面を識別すること、又は本開示の特定の実施形態で使用しても使用しなくてもよい代替の若しくは追加の特徴を強調することを単に意図したものである。
【0024】
本実施形態を説明及び定義するために、「略(substantially)」、「おおよそ(approximately)」及び「約(about)」という用語は本明細書において、いずれの定量比較、値、測定値、又は他の表現が備え得る不確実性の固有の程度を表すために使用されることに留意されたい。本明細書において、「略」、「おおよそ」及び「約」という用語は、ある量的表現が、争点となる主題の基本的な機能に変更をもたらすことなく規定の基準から変化し得る程度を表すために使用される。
【0025】
本開示の主題について詳細に、特定の実施形態に言及することで説明してきたが、本明細書に開示された様々な詳細は、本明細書に添付の各図面中に特定の要素が示されている場合においてさえ、これらの詳細が、本明細書に記載の様々な実施形態の不可欠な構成部品である要素に関することを含意するものと捉えるべきではないことに留意されたい。むしろ、ここに添付される請求の範囲は、本開示の幅、及びこれに対応する、本明細書に記載の様々な実施形態の請求の範囲を単に表すものとして捉えられるべきである。更に、添付の請求の範囲に定義された本発明の範囲から逸脱することなく、改変及び変更が可能であることは明らかであろう。より具体的には、本開示のいくつかの態様は、好適な又は特定の利点として本明細書中で識別されるが、本開示はこれらの態様に制限される必要はないと考えられる。
【0026】
なお、以下の請求の範囲の1つ又は複数は、移行句として「ここで(wherein)」という用語を用いる。この用語は、一連の構造の特徴の列挙を導入するために使用される非制限的な移行句として請求の範囲に導入されるものであり、より一般的に使用される非制限的な用語「備える(comprising)」と同様の様式で解釈されるべきものであることに留意されたい。
【符号の説明】
【0027】
10 VIG製品
20 窓ガラス
30 端部封止
40 内部領域
50 ガラス凸型スペーサ
55 スペーサの散乱表面部分
60 光学部品
70 レーザ放射
80 ガラスプレート
80’ 従来の成長制限ガラスプレート
85 散乱表面、散乱表面部分
90 損傷