(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
水性のアルコキシル化脂肪アルコール硫酸塩ペーストからジオキサンを除去する方法であって、ペーストからジオキサンと水分を気化させ、それによってペーストを濃縮するために
ジオキサン含有の水性ペースト原料をエバポレータの流入口にポンプで入れることと;
エバポレータ内のペーストに熱を供給することと;
エバポレータ内の蒸気圧を下げることと;
得られる濃縮された生成物を回収することとを含み、
濃縮後の活性物アルコキシル化脂肪アルコール硫酸塩の重量%上昇が、ペーストの総重量を基にして少なくとも5重量%である方法。
エバポレータが流路を含み、さらに、方法が、ジオキサン含有のペースト原料を水分がペーストから減圧沸騰する温度に予備加熱することと、水の気化を回避するためにペーストに選択的に圧力を印加することと、水の減圧沸騰を回避するように選択される圧力下で流路の流入口にペーストをポンプで入れることと、流路にペーストを導入することと、流路におけるペーストに熱を供給することと、流路に沿って圧力を選択的に低下させてペーストからのジオキサン成分と水成分の減圧沸騰を生じさせ、その際、減圧沸騰中に遊離された蒸気が次第に粘性のペーストを流路に沿って動かす原動力として作用することと、流路の流出口の下流に配置される分離容器に得られる濃縮された生成物及び気化させたジオキサン成分と水成分を回収し、その際、分離容器は各流路の流出口の操作圧力よりも低い圧力で作動することと、塔頂の蒸気流出口の分離容器から気化させたジオキサン成分と水成分を放出することと、分離容器の底から残ったペースト組成物を排出することとを含む請求項1に記載の方法。
原料ペーストがエトキシル化脂肪アルコール硫酸塩ペーストであり、活性物エトキシル化脂肪アルコール硫酸塩に対する注入されるスチームの質量比が0.1〜1の範囲である請求項21に記載の方法。
水性ペーストからジオキサンを除去するための系であって、流入口及び流出口を有する加熱されるエバポレータ流路と、エバポレータ流路の流入口と流体連通する液体供給ポンプと、分離容器と、希釈器と、真空ポンプとを含み、前記分離容器がエバポレータ流路の流出口と流体連通する流入口と希釈器と流体連通する流出口とを有し、前記真空ポンプが分離容器と流体連通する系。
水性ペーストからジオキサンを除去する系であって、供給物流入口と濃縮生成物流出口と少なくとも1つの蒸気流出口を有するワイプフィルムエバポレータと、ワイプフィルムエバポレータの流入口と流体連通する液体供給ポンプと、濃縮生成物流出口と流体連通する希釈器と、ワイプフィルムエバポレータの蒸気流出口と流体連通する真空ポンプとを含む系。
【発明を実施するための形態】
【0032】
硫酸化されアルコキシル化されたアルコール及びAESは水溶液にて濃度が変化するにつれて複雑な流体特性を呈する。ほとんどの消費者製品は、約15〜20重量%(wt.%)までの及び一般により少ない低濃度範囲でAESを使用する。この濃度範囲では、溶液は普通のニュートン流体である。AESの濃度が上がるにつれて、約28重量%で、3モルのAESを超えるくらいで相転移が始まる。濃度が約28%を超えて上昇すると、粘度が極度に高くなり、この中間の濃度範囲(例えば、約30重量%〜約68重量%)でのAESペーストはゲル又は半固体として振る舞い、取り扱うのが難しい。しかしながら、70重量%AESの近傍では、粘度は驚くほど低下し、取り扱い易い流体相が生じる。この濃縮されたペースト形態は、濃縮された形態でこの製品を輸送したがる硫酸化工場の技師によって好まれる。70重量%を超える濃度ではペーストの粘度は再び徐々に高まるので、70重量%を超える濃度にすることは可能であり、場合によっては好まれ得る。
【0033】
アルコキシル化脂肪アルコールは「純粋な」物質ではなく、例えば、様々な量の酸化エチレンを含有する同族分子の混合物である。非イオン性界面活性剤を製造するのに脂肪アルコールへの酸化エチレンの添加が長い間行われてきた。これらは消費者製品で多数の用途を有する。典型的な非イオン性エトキシル化脂肪アルコール(AE)は名目上「3モルAE」と呼ぶことができ、それに付加された平均3モルの酸化エチレンを有することを意味する。実際、製品はEOを付加していない、若干の1−EO、若干の2−EO、若干の3−EO、若干の4−EOなどの同族シリーズを伴った一級アルコールの一部を含有するであろう。従って、ほとんどの製造元は脂肪アルコールと付加したEOの平均数を記載することによってAEを名付ける。空気/SO
3ガスによる硫酸化の際に生成する1,4−ジオキサンの量は、AE供給物のEO含量と共に増加する。1,4−ジオキサンの生成を最少限にするために、一部の製造元は生成する1,4−ジオキサンの量を減らす試みにおいて平均EO含量を2未満の数にシフトすることを決定している。よく機能する界面活性剤製品はAESにて高いEO含量を有する一方で、この選択は1,4−ジオキサンの生成の回避を生じ得る。
【0034】
本発明者らは、1,4−ジオキサンの量を減らすように試みるために硫酸化工程を改変することは1,4−ジオキサンを排除する又はわずかな濃度に減らす手段を効率的に提供しないことを認識した;代わりに本発明者らは、硫酸化に続いて、及び希釈製品が所望の場合の最終製品の製品化の前に、AESから1,4−ジオキサンを物理的に且つ選択的に取り除く方法及び好適な装置の実施形態を創った。
【0035】
本発明の原理によれば、ジオキサンを含有するペースト混合物は、ジオキサンの一部が蒸気相に移行するように蒸気流との平衡に入れられる。次いで蒸気相とペーストは機械的に分離され、それによってペーストにおけるジオキサンを減らす。
【0036】
ペーストからジオキサンを取り除く方法には、エバポレータの流入口にジオキサンを含有する水性ペースト原料をポンプで入れることと、エバポレータにおけるペーストに熱を供給することと、エバポレータにおける蒸気圧を下げてジオキサンと水をペーストから気化させ、それによってペーストを濃縮することと、得られた濃縮された生成物を回収することとが含まれる。
【0037】
エバポレータは任意の好適なエバポレータであることができる。エバポレータには、管状エバポレータ(水平及び垂直)、強制循環管状エバポレータ、流下膜式エバポレータ、流上/流下膜式エバポレータ、ガスケットプレートエバポレータ、及び撹拌薄膜エバポレータ(例えば、ワイプフィルムエバポレータ)が挙げられる。
【0038】
実施形態の1つの型では、エバポレータはワイプフィルムエバポレータである。
【0039】
実施形態の別の型では、エバポレータは流路である。そのような実施形態では、ペーストからジオキサンを取り除く方法は、
(a)水がペーストから減圧沸騰する温度までジオキサン含有の硫酸ペースト原料を予備加熱し、ペーストに選択的に圧力を印加してペーストの成分のいずれかの気化を回避することと;
(b)ペーストの成分のいずれかの減圧沸騰を回避するように選択された圧力下で乾燥器の入口にペーストをポンプで入れることと(乾燥器は少なくとも1つの流路を有する);
(c)ペーストを流路に導入することと;
(d)流路におけるペーストに熱を供給し、流路に沿って選択的に圧力を低下させ、ペーストのジオキサン成分と水成分の減圧沸騰を生じ、その際、減圧沸騰の間に遊離させた蒸気が次第に粘性のペーストを流路に沿って動かす原動力として作用することと;
(e)流路の流出口の下流に配置された分離容器に得られる濃縮された生成物及び気化させたジオキサン成分と水成分を回収し、その際、分離容器は各流路の流出口の操作圧より低い圧力で作動することと;
(f)分離容器から蒸発させたジオキサン成分と水成分を放出することとを含むことができる。
【0040】
使用され、製造される装置、方法及び組成物は、特に言及されない限り、以下でさらに記載される(図面で示すものを含む)追加の任意の要素、特徴及び工程の1以上の組み合わせを含む実施形態を含むように熟考される。
【0041】
本明細書で使用されるとき、用語「含む(comprising)」は、特定されたものに加えて他の剤、要素、工程又は特徴の潜在的な包含を指し示す。
【0042】
以下の記載では、原料は、他のジオキサン含有の原料を使用することができるけれども、例として中和されたAESに関して記載される。
【0043】
以下の記載では、言及される主要なジオキサン成分は、他のジオキサン異性体も熟考されるけれども、1,4−ジオキサンである。従って、ジオキサン成分は、1,2−ジオキサン、1,3−ジオキサン及び1,4−ジオキサンの1以上を含むことができる。
【0044】
以下の記載では、他の蒸気組成物を使用することができるけれども、エバポレータへの蒸気の任意の注入で使用するための蒸気としてスチームが記載される。空気によって揮散するときのジオキサン減少量は、系の総圧力によって分割されるジオキサンの蒸気圧の比の関数である。活性物の熱安定性を考慮すると、理に適った温度でのジオキサンは200mmHgの蒸気圧を有するに過ぎず、大気圧で操作するのであれば、4つのうちの1つの因子によって減少率は下げられるであろうから、系は真空下で作動すべきである。有意なジオキサンの減少率に必要とされる空気の容量を圧縮するのに十分大きな真空ポンプはスチームのような凝縮可能な注入蒸気に比べて法外である。従って、好ましくは注入蒸気は凝縮し易い蒸気、好ましくはスチームである。さらに、ジオキサンが揮散されるのであれば、その蒸気圧がジオキサンに類似するので水も揮散されるであろう。
【0045】
従って好まれる注入蒸気はスチームであるが、系は温度を制御するために真空下で作動することを必要とする。空気による揮散に比べてはるかに経済的な系である系に漏出する非凝縮物のためにポンプの大きさを決められるように真空ポンプの前でスチームを凝縮することができる。系は真空下で作動しているので、真空からペーストを排出するためにポンプ操作系が必要とされる。
【0046】
上記で言及したように、硫酸化工程の間で望ましくない副産物である1,4−ジオキサンが作られる。1,4−ジオキサン形成の提案されたメカニズムはSO
3の分子と複合体を形成するエトキシ硫酸の分子についてである。再構成が発生し、2つのわずかな酸化エチレン換算単位を伴った新しいエトキシ硫酸及びSO
3と複合体化する1,4−ジオキサンを生成する。SO
3は1,4−ジオキサンから放出され、反応してエトキシ硫酸を形成することができ、又はこの工程を介してリサイクルし、1,4−ジオキサンの別の分子を生成する。
【化1】
【0047】
アルコール分子当たり3モル以上のエトキシル化がある場合にのみ硫酸化の間にジオキサンが形成されることは一般に受け入れられている。延長線上で考えると、原料が2モル以下のエトキシル化を有するのであれば、ジオキサンは形成されないはずである。しかしながら、上記で言及したように、各分子上のエトキシレートの分布は均一ではないので、平均が2モルであり得るとしても、3モル以上のエトキシレートを伴う分子は若干あり、従ってエトキシル化の平均度が2モル以下であってもジオキサンが形成される。
【0048】
通常商業的に作製された流入口用のペースト原料の濃度は、28〜30重量%(通常28重量%)のAESでの希釈された形態又は約70重量%のAESでの濃縮された形態のいずれかである。本方法では、原料の好適な濃度は、粘度がそれをポンプ操作可能にする限り、例えば、20重量%〜85重量%の活性物の範囲にて使用することができ、好ましくは、原料の濃度は局所粘度の最小値に相当する濃度又はその近傍の濃度である。従って、原料は、低い局所粘度の最小値に相当する、例えば、約28重量%〜約30重量%の活性物の範囲内である濃度又はその近傍の濃度であることができる。別の実施形態では、原料は、高い局所粘度の最小値に相当する、例えば、約68重量%〜約75重量%の活性物の範囲内である濃度又はその近傍の濃度であることができる。65重量%〜約85重量%の活性物の範囲も熟考される。ペーストが相対的に低い水分含量を有する場合にジオキサン除去が改善されることが発見された。最低の外部スチームの要件と共に非常に高いジオキサンの除去率を達成し、例えば、本明細書で記載される機器にて取り扱い易いペーストを作るために揮散機/乾燥器の外での25重量%未満の又は約5重量%〜約25重量%の範囲での水分含量が特に熟考される。従って、予備加熱器及び関連するポンプの上流で中和系を含むための系も熟考され、好ましくは、
図1〜5で示す型のような系への供給物として約70%の活性物AESペーストを作るであろう高活性中和装置が熟考される。
【0049】
本明細書で記載される方法では、方法を実施してペーストの総重量を基にして少なくとも5重量%又は少なくとも6重量%又は少なくとも7重量%又は少なくとも8重量%又は少なくとも9重量%又は少なくとも10重量%又は少なくとも12重量%又は少なくとも15重量%以上の、濃縮に続く活性物スルホネートの重量%の上昇を得ることができる。
【0050】
「そのままの供給物」の質量流量率は、そのような特徴を含む装置のチューブ(単数)又はチューブ(複数)の流路(単数)又は流路(複数)への供給物質の分配にて役割を担う。以下に記載するように供給物質が一連の開口部を通して押し出されるにつれて圧力が低下する。類似の圧力の連結管を介して各チューブにスチームが供給されるので、流入口の供給物の質量及びスチームの質量はチューブ全てにて実質的に同等である。ペーストが霧状化され、連絡管の内部で高速乱流様式が設定される。ペーストがチューブ壁にて非常に薄い膜を形成するように蒸気速度は見かけの粘度を低下させる流体に剪断力を付与する。薄い膜ほど平衡に達するのに非常に短い時間を要し、スチームは非常に乱流の状態にあるので、ジオキサンは蒸気相にて迅速に分散し、平衡に非常に近くなる。系は、その信頼性を高める排出ポンプと真空系以外の機械的封止又は移動部分を有さないように設計することができる。
【0051】
エバポレータ装置は、供給物と蒸気揮散媒体が、例えば、チューブ(単数)又はチューブ(複数)の最上部で一緒に導入され、密接に接触して分離容器に流下するという点で並流構成で作動する。チューブの長さ及び二相の速度が二相の間で達するべき平衡の時間を決定する。チューブの流入口の圧力が注入スチームを凝縮し、高い活性の供給物を伴ったゲルを形成するのに十分に高くなるまで、チューブが長くなるにつれて圧力低下が蓄積するという点でチューブの長さには制限がある。本明細書で記載される好まれる条件下では、平衡分離は非常に迅速に生じる。広い範囲の条件下でジオキサンの分離のための適切な接触時間を提供するには約10フィート(3メートル)のチューブの長さは好適であり、本発明は特定のチューブの長さに限定されないが、約6フィート(約2メートル)〜約20フィート(6メートル)、任意で2メートル〜4メートルの範囲でのチューブの長さが広い多様性のペースト及び操作条件に好適であると予想される。
【0052】
好まれるワイプフィルムエバポレータは最上部蒸気排出形態であり、その際、ペーストは最上部で供給され、蒸気は最上部から排出され、向流が得られる。以前記載された多チューブ揮散器と同じ条件で、すなわち、操作温度を下げる真空でエバポレータを操作することが有利である。ペースト生成物排出の付近でスチームを加えることも有利である。エバポレータの空隙を部分的に満たしてスチームとペーストとの間での接触を高めるロータを使用することも有利である。
【0053】
「ジオキサン減少率」は本明細書では、生成物ペーストと比べた原料ペーストにおける100%活性物を基にしたジオキサン濃度の比率として定義される。2:1のジオキサン減少率は、100重量ppmのジオキサン(100%活性物を基にした)を含有する供給物が方法からの生成物として50ppmのジオキサンを有することを意味する。ジオキサン減少率は好ましくは少なくとも4:1、又は少なくとも5:1、又は少なくとも6:1、又は少なくとも7:1である。本明細書で記載される方法によれば、20、25、30、40以上のジオキサン減少率が達成されている。80ppm〜100ppmの1,4−ジオキサンを含有する物質が、本明細書で記載される流路エバポレータ系を介した単一パスにて約1ppmの1,4−ジオキサンまで精製されている。生成物に残る水分が少なければ少ないほど、同様に残ったジオキサンも少ない。従って、本明細書の記載に係る方法は、単一パスにて、例えば20ppm、20ppm未満、10ppm、10ppm未満、5ppm、5ppm未満、1ppm、又はさらに1ppm未満の1,4−ジオキサンの所望の限定を伴った生成物を提供することができる。所望であれば、多重パスも採用することができる。同様に、並行エバポレータ処理も、例えば、本明細書で記載されるように採用することができる。
【0054】
種々のEOモル比のAES(硫酸ナトリウム)ペースト及び3モルAES(硫酸アンモニウム)ペーストを含む種々のAES供給物と共に方法が実行されている。結果は、系が顕著に万能であり、制御可能であることを示している。特定のペースト物をわずかな実験で性状分析することができ、本明細書の教示を考慮して当業者によって系の条件が選択されて、所望である1,4−ジオキサンでの所望の減少をほとんど行うことができる。組成物の蒸気/液体の平衡挙動は検査室測定によってあらかじめ決定され得る。測定については、組成物における水分とジオキサンの沸点又は減圧沸騰点を予備決定するので、標的操作条件を決定することが可能である。好ましくは、エバポレータ(例えば、流入口揮散器/乾燥器流路)の操作圧にて水の減圧沸騰温度より有意に高いが、ペーストが分解しないように十分に低い標的温度を決定する。
【0055】
本明細書で記載される方法で使用することができる一般的な原料物質は、脂肪アルコールのモル当たり2.5〜3モルの酸化エチレン(EO)でエトキシル化されたエトキシ硫酸ナトリウム(AES)である。脂肪アルコールの炭素鎖の長さは通常、C
12〜C
16の範囲であり、天然に存在する物質から作製することができ、又は純粋に合成であることができる。酸化エチレンによるエトキシル化の程度は、エトキシ硫酸への硫酸化及びそれに続く酸の中和の目的で、脂肪アルコールのモルに対してEOの0.5〜50モルの範囲、例えば、1〜12又は3〜7の範囲であることができる。中和は、例えば、アニオン塩基にてナトリウム型、カリウム型及びアンモニウム型(例えば、TEA)によることができる。例えば、エトキシ硫酸ナトリウム(3モルのEO)の分子量は442ダルトンの範囲である。ジオキサンを取り除くための本明細書で記載される方法は、炭素鎖の供給源、エトキシル化の程度又は中和剤によって制約されない。
【0056】
この議論の目的で、原料は100%活性物基準に言及され、活性物は例えば、エトキシ硫酸ナトリウムを指す。典型的な市販のエトキシ硫酸ナトリウムは70重量%活性物として製造され、残りは主として水、及び少量の未反応のエトキシレート、硫酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、塩化ナトリウム、炭酸ナトリウム及びクエン酸ナトリウムである。しかしながら、AESは65重量%〜85重量%活性物の間で製造することができ、本明細書で記載される方法及び装置にて処理することができる。エバポレータ又はエバポレータ流路(負荷)当たりの原料の活性物流量は変化し得るが、流路径及び原料物質の粘度に左右される。AES物質の粘度は組成物及び温度に依存性である。
【0057】
上記で言及したように、本明細書で記載される方法にて原料を乾燥させる方法は生成物の1,4−ジオキサン含量を有意に減らす。本明細書で記載される方法及び装置にて達成することができる追加の任意の利益には、1以上の二次成分及び/又は混入物(例えば、油、エステル類、ケトン類及びアルデヒド類の1以上)の低下、脱気、及びAESの脱臭の1以上を挙げることができる。
【0058】
本明細書で記載される装置及び/又は方法の特定の利点は揮散の際に工程にエネルギー(熱)を加える能力である。熱を加える能力がなければ、工程は一部の熱を失い、熱が失われるにつれてスチームの一部が凝縮して低濃度のペーストを形成するので濃度曲線の上位で操作するのが難しい。低濃度範囲では(例えば、28重量%〜30重量%)、ペーストの粘度が単純に低下するので、これは受け入れ可能である。しかしながら、高い濃度範囲では、ゲル粒子が生成することができ、ゲル粒子は従来の揮散系で対処するのが非常に難しい。本明細書で記載される装置及び/又は方法によって、凝縮(例えば、チューブ型エバポレータのチューブ内での)を回避するために追加の熱を加えることができる。
【0059】
本明細書で記載される方法及び装置にてそれが処理される場合、AESにおける1,4−ジオキサン含量の低下に影響する3つの主な操作パラメータがあり、エバポレータへの蒸気の任意の注入を採用する場合、4つの主な操作パラメータがある。
【0060】
第1の操作パラメータは、例えば、チューブ又はチューブの束の末端(例えば、以下で記載される要素32及び57)での減圧沸騰槽のような回収/分離容器(例えば、以下で記載される容器18、容器58又はエバポレータ216)にて測定されるような真空(圧力)レベルである。それが理解されるであろうように、回収容器は分離容器としても作動する。これは、100〜300トールの範囲、例えば、150トールであることができ、その際、低い圧力は乾燥の程度を高める。
【0061】
第2の操作パラメータは、例えば、ヒートジャケット温度(例えば、以下に記載されるジャケット33、ジャケット88又はジャケット231)によって影響されるようなエバポレータ(例えば、チューブ)における温度である。
【0062】
第3の操作パラメータはチューブへのペーストの供給温度である。ペーストの供給温度及びジャケットの温度は並行して設定することができ、又は別の方法では、異なることができる。スチームを注入する際、例えば、ジャケット温度と供給温度は185°F(85℃)に設定することができる。別の例として、スチームを用いないで乾燥する際、ジャケット温度と供給温度は240°F(116℃)に、又は約200°F〜265°F(93℃〜129℃)の範囲に設定することができる。上昇する温度によって濃縮された生成物中の水分含量が低下し、1,4−ジオキサン含量が低下する。
【0063】
第4の操作パラメータは、注入スチームと供給物の比、使用される場合、例えば、スチームとペーストの総質量又は活性成分の質量の質量比である。約0〜1又は0.1〜1の範囲でのスチームとペースト総質量の質量比は供給物ストックの条件の範囲に適合することができる。約0〜1又は0.1〜1の範囲でのスチームと活性AES成分質量の質量比も熟考される。比はジオキサン除去の量に影響し、高い比はさらに多いジオキサンの除去をもたらす。従って、選択される特定の比は1,4−ジオキサン除去の所望の量に依存することができる。乾燥が注入スチームの使用と組み合わせられる場合、注入スチームは所望の1,4−ジオキサン低下の程度に応じて結果的に減少することができる。任意で、注入スチームの使用を完全に排除して取り扱うのに必要とされる凝縮物の量の低下を生じることできる。
【0064】
乾燥が単独で、又はスチーム注入と組み合わせて使用される場合、達成される1,4−ジオキサン減少率の量は5〜100の範囲に及んでいる。これらの場合では、方法における供給活性物に対する水蒸気の量は0.1〜1の範囲に及んでいる。水蒸気の一部は、注入スチームに由来することができ、且つ一部はそれがチューブを流下するにつれて処理ペーストから蒸発させられた水分に由来することができる。
【0065】
AESが実質的に乾燥しているならば、材料は、供給物流入口の濃度に水で希釈し戻すことができ、又は所望に応じて、例えば、25重量%〜28重量%前後の活性物の低い局所粘度最小値に相当する濃度に希釈し戻すことができる。AES材料は、本明細書で記載される流路装置及び方法にて95重量%活性物まで乾燥させている;例えば、3モルのAESは92重量%活性物又は95重量%固形物まで乾燥させている。機能的には、生成物における残った水分含量が低ければ低いほど、同じエネルギー消費(例えば、スチームを加熱すること、例えば、ジャケット及び/又は予備加熱器を加熱すること)について1,4−ジオキサンの減少は大きい。従って、AESを、例えば、少なくとも80重量%活性物、又は少なくとも85重量%活性物、又は少なくとも86重量%活性物、又は少なくとも87重量%活性物、又は少なくとも88重量%活性物、又は少なくとも89重量%活性物、又は少なくとも90重量%活性物、又は少なくとも91重量%活性物、又は少なくとも92重量%活性物まで乾燥させることができることが熟考される。同様に、AESを、例えば、少なくとも83重量%固形物、又は少なくとも88重量%固形物、又は少なくとも89重量%固形物、又は少なくとも90重量%固形物、又は少なくとも91重量%固形物、又は少なくとも92重量%固形物、又は少なくとも93重量%固形物、又は少なくとも94重量%固形物、又は少なくとも95重量%固形物まで乾燥させることができることが熟考される。ジオキサンの除去に続いて、例えば、早めに加えられるとペーストから揮散したであろう成分、例えば、エタノールのような追加の最終生成物成分をペーストに加えることができる。
【0066】
任意で方法はさらに、2.5%を超える濃度の三酸化イオウによってアルコキシル化脂肪酸を硫酸化してアルコキシル化脂肪アルコール硫酸塩を製造することを含む。濃度は、例えば、少なくとも3%又は3%を超える、又は少なくとも3.5%又は3.5%を超える、又は少なくとも4%又は4%を超える濃度であることができる。三酸化イオウ濃度を高めることは生成する1,4−ジオキサンの量を増やすが、アルコキシル化脂肪アルコール硫酸塩のペーストの収率も劇的に高める。本方法では、硫酸化工程にて相対的に高い濃度の三酸化イオウを用いて収率を高め、上述の濃縮方法を用いてAESペーストから1,4−ジオキサンを取り除いて、さらに効率的である全体的な工程を生じることが熟考される。
【0067】
同様に、方法は任意で、相対的に高い、例えば、少なくとも1.00、又は少なくとも1.03、又は少なくとも1.04である、例えば、1.00〜1.05又は1.03〜1.05の範囲であるので、アルコキシル化脂肪酸供給物のAESへの変換がさらに完全である三酸化イオウガスとアルコキシル化脂肪酸のモル比を持つアルコキシル化脂肪酸を硫酸化してアルコキシル化脂肪アルコール硫酸塩ペーストを製造する工程を含むことができる。硫酸化工程における三酸化イオウガスとアルコキシル化脂肪酸のモル比を高めることは、生成する1,4−ジオキサンの量を高めるが、アルコキシル化脂肪アルコール硫酸塩ペーストの収率も高める。本方法では、硫酸化工程にて三酸化イオウガスとアルコキシル化脂肪酸の相対的に高いモル比を用いて収率を高め、上述の濃縮方法を用いてAESペーストから1,4−ジオキサンを取り除いて、さらに効率的である全体的な方法を生じることが熟考される。
【0068】
本発明に係る方法は、一般的に指定されるジオキサン除去系10が、流入口ポンプ12、予備加熱器14、揮散器/乾燥器16、回収容器18及び、例えば、押出器、押出機又はポンプのような流出口手段20を含む
図1にてさらに説明される。ほとんどの場合、ポンプが適切であろう。
図2は揮散器/乾燥器16及び系の他の部分をさらに詳細に描いている。
【0069】
ジオキサン含有のペーストは導管22を介して系10に入り、ポンプ12によって予備加熱器14に運ばれる。ペーストは任意の所望の固形含有物を含有してもよく、好ましくは、約68重量%〜約85重量%の範囲である。ポンプ12は、ペーストが選択された温度であるようにペーストが通常176°F(80℃)〜約320°F(160℃)(又は必要に応じてそれ以上)の範囲の温度に加熱される予備加熱器14を通ってペーストをメーター供給する。予備加熱器14は、加熱流体が導管25を介して交換器に入り、導管27を介して交換器を出る熱交換器であり得る。
【0070】
それを介して加熱ペーストが動く導管22はペースト成分が導管22にて減圧沸騰しないように圧力下で保持されなければならない。圧力下で溶液を維持するペースト溶液流への制限は、注入チューブ30によって、好ましくは複数の注入チューブ30によって供給されてもよく、それを介して揮散器/乾燥器16に入る直前にペーストが流れる。注入チューブ又はチューブ(複数)30は必要とされる背圧を供給して導管22における減圧沸騰を妨げるように設計される。例えば、注入チューブ30は約0.06インチから注入チューブが接続される揮散器/乾燥器16の流路の直径までに及ぶ内径を有し得る。複数の注入チューブ30が使用される場合、背圧はチューブ間でのペーストの均一な分配も保証する。
【0071】
ペーストが注入チューブ又はチューブ(複数)30を流下するにつれて、圧力が低下し、ペーストの成分が減圧沸騰し始める。減圧沸騰の間に遊離した蒸気が次第に粘性の材料を乾燥器16に向かって下に動かす原動力として作用する。揮散器/乾燥器16の圧力は、所望の気化が生じるように弁45のような制御手段によって通気口44を制御することにより選択される。
【0072】
注入チューブ又はチューブ(複数)30を介して揮散器/乾燥器16の流路又は流路(複数)32にペーストが導入される。各乾燥器流路は、導管、例えば、注入チューブ30の流経路に接続される流経路(流路32)を有するチューブ32aの形態である。各乾燥器チューブ32aは好ましくは約0.31インチ〜1インチの間での内径を有する。好ましくは、揮散器/乾燥器16は、束にて方向付けされた複数の乾燥器チューブ32aを含み、ジャケット33のような熱交換手段によって取り囲まれる。スチームのような熱伝達材は導管34を介してジャケット33に流れ込み、導管36を介してジャケット33から流れ出る。
【0073】
揮散器/乾燥器16の流入口領域38では、スチーム又は他の蒸気又は蒸気生成材が導管40を介して揮散器/乾燥器16に注入され得る。ペーストがチューブ又はチューブ32aを流下するにつれて、チューブ又はチューブ32aの壁を介して伝達された熱はさらにペーストから水分と1,4−ジオキサンを気化させる。蒸気が遊離し、圧力が低下するにつれて液体/蒸気のペースト混合の速度が高まる。高圧ガス(40にて加えられる減圧沸騰成分及びスチーム又は他の蒸気を含む)及び洗剤ペーストの粒子が混合して処理流体を形成する。工程は種々の圧力で操作することができるので、乾燥器チューブを出るガス速度は通常、約50フィート/秒〜約1500フィート/秒の間である。乾燥器チューブにおける処理流体の高い速度及び乱流はチューブの壁を介した熱伝達を最大化する。
【0074】
処理流体が揮散器/乾燥器16を離れるにつれて、ジオキサン含有の蒸気及び精製され、濃縮された生成物(例えば、未だペーストの形態での)が分離する。蒸気は通気口44を介して搬送され、任意で真空系に搬送される(示さず)。精製され、濃縮されたペーストはチューブの底にて容器18で回収され、ポンプ、押出器、押出機又は他の好適な装置20を利用して流出口導管46を介して容器18から取り出される。ほとんどの場合、ポンプが適切であろう。
【0075】
精製し、濃縮した生成物を当該技術で既知の種々の方法で処理し、流出口導管46から最終生成物を生じ得る。上記で言及したように、濃縮したペーストを
処理水49によって希釈器48にて局所粘度最小値に相当する濃度に希釈することができる。希釈工程又は追加の任意の工程にてペーストに追加の成分を加えることができる。
【0076】
代わりの装置及び方法は
図3〜5の図面で説明される。
図3を参照して、一般に指定される装置50は、流入口ポンプ52、予備加熱器54、一般的に制限する装置55、チューブ57によって規定される乾燥器流路を有する揮散器/乾燥器56、回収容器58、精製され、例えば、押出器、押出機又はポンプのような濃縮された生成物のための流出口メカニズム60、及び通気口のような蒸気流出口61を含む。
図3にも示されるのは、流入口ポンプ52への組成物の供給のための供給物槽62である。
【0077】
図4及び
図5は
図3で示した揮散器/乾燥器56の異なる実施形態を描くので、それぞれ参照番号56a及び56bによって揮散器/乾燥器を特定する。しかしながら、同一の参照番号を用いて同一である揮散器/乾燥器の実施形態の要素が特定されるであろう。従って、揮散器/乾燥器56a及び56bのそれぞれは、揮散器/乾燥器の流入口又は分配チャンバー64の下流に配置される揮散器/乾燥器チューブ57を含む。揮散器/乾燥器56a及び56bはそれぞれその制約装置55a及び55bに関して異なる。
【0078】
原料は、供給物槽62とポンプ52との間に配置された導管68を介してポンプ52によって、任意の壁ワイプ撹拌器66を伴った、ここで示す供給物槽62から予備加熱器54に搬送される。ポンプ52は導管70と予備加熱器54を介して組成物をメーター供給する。
【0079】
予備加熱器54は、例えば、チューブとシェル又はプレートとフレームの構成を有するもののような標準の熱交換器であることができる。特定の設計又は構成に限定されないけれども、予備加熱器54は好ましくは、スチームのような加熱流体が流入口導管72を介して予備加熱器54に入り、流出口導管74を介して好ましくは液体凝縮物として予備加熱器54を出る管状熱交換器である。加熱されたペーストは導管76を介して予備加熱器54を出る。
【0080】
加熱された組成物は、成分のいずれかの気化を回避するのに十分な及び予備加熱器54、導管76、流入口/分配チャンバー64の全体を通して及び制約装置55までの単相流動様式を保証するのに十分な圧力下で維持されるべきである。不十分な圧力は、予備加熱器54における沸騰及び導管76や流入口/分配チャンバー64におけるスラグ流を生じるであろう。スラグ流は流路57における不均一な流れ分配を作るであろう。
【0081】
図4を参照して、揮散器/乾燥器チューブ57のそれぞれへの組成物の均一な分布を保証するには、各乾燥器チューブ57への流入口80のすぐ上流の、流入口/分配チャンバー64と揮散器/乾燥器チューブ57との間に配置された流量制限78を介して流入口/分配チャンバー64の中に単相の組成物を流すことが必要である。各流量制限78は、流入口/分配チャンバー64と流入口80にて揮散器/乾燥器チューブ57の直径よりも断面が小さい乾燥器チューブ57との間での通路を定義する。流量制限は、揮散器/乾燥器チューブ57(又は流路を形成する他の幾何体)によって定義される流路の断面積より小さい管、ノズル又は穴によって定義される空隙の断面積を持つ、板を通って伸びる穿孔のような小さな管、ノズル又は開口部によって形成され得る。
図4に示す実施形態では、制限78全てを提供する装置55aは、流入口/分配チャンバー64と乾燥器チューブ57のそれぞれとの間に配置される開口部板83である。板83は、複数の穿孔84と、各流量制限78を形成する各穿孔84を定義する実質的に円筒状の壁とを含む。流量制限78の直径は好ましくは約0.75ミリメートル(mm)(0.03インチ)〜約2mm(0.08インチ)の間の範囲である。揮散器/乾燥器チューブ57の直径は、例えば、約6.35mm(0.25インチ)〜約25.4mm(1インチ)の範囲であることができる。組成物が制限78を通って流れるにつれて、圧力が低下し、水分とジオキサンの一部が気化することができ、蒸気速度を高めるので、二相流動を促進する。水分を減圧沸騰することによって生じるかなり大きな圧力低下は、予備加熱器54、導管76及び流入口/分配チャンバー64にて沸騰や気化が起きず、上流のペーストの流れが単相流動のままである理由である。水分の一部の気化はそれが流量制限78を通るとき、二相流動に必要な蒸気速度を創ることによって各流路57への流れの分配に間接的に寄与する。二相流動様式における流路57にわたる低い圧力低下は、各流路57への実質的に均一な流れの分配を可能にし、促進する。
【0082】
これをさらに説明するために、流入口/分配チャンバー64における圧力をP1、各流路57の流入口での圧力をP2及び生成物受取槽58の圧力をP3とすると、流量制限78全てに対する流入口圧力P1は共通する流入口/分配チャンバー64のために同一であろう。また、流路全ての流出口圧力は共通する受取槽58のために同一のP3であろう。しかしながら、各流路57への流入口80での圧力P2は、各流路57を介した圧力低下、P2−P3が一定である場合にのみ一定であろう。このことは、複数の流路57全体を通しての二相流動によってのみ達成される。P1、P2及びP3が各乾燥流路について同一であるならば、そのような流動様式を記載する流体力学方程式は、各流路57にて流速が一定であることを述べる。
【0083】
不均一な量のペーストが流路57に渡されると、そのような不均一な分配は流路57の中での不適切な及び/又は不均一な揮散/乾燥の原因となり、流路57を塞ぐ原因となる。流路の閉塞自体は、ペーストの不均一及び/又は不適切な揮散/乾燥にさらに寄与する。このことは、良好な流れの分配が多重流路の揮散器/乾燥器にてそのように重要である理由である。
【0084】
制限78を離れる組成物は、水分が気化し、追加のジオキサンを揮散する加熱流路57を二相流動で通過し、それによって、次第に粘性の組成物を流路57の流出口86を通って回収容器58に押し出す。好ましくは、流路57は揮散器/乾燥器56の中での束にて方向付けられるチューブであり、スチームを導入することができる共有ジャケット88のような一般的な熱伝達メカニズムによって取り囲まれる。スチームのような熱伝達流体は導管90を通ってジャケット88に流れ込み、スチーム及び凝縮物は導管92を通ってジャケットを流れ出る。流路57の構造物の長さ、内径、厚さ、及び材料は、ジオキサンの適切な揮散を達成するように選択される。例えば、一実施形態では、各流路又はチューブ57は、約6.35mm(0.25インチ)〜約25.4mm(1インチ)、例えば、1cm(0.4インチ)の内径を有する。各チューブは約2メートル〜6メートル、例えば、好ましくは約3メートルの長さを有する。しかしながら、本発明の他の実施形態は、PerryのChemical EngineersのHandbook,5−25(第6版、1984)(第7版、1997の6−12〜6−13も参照)の表5〜8にて定義されたのと同等の直径を有する流路又は導管を採用し得ることが言及される。さらに、流路、チューブ又は導管を先細にして組成物が乾燥するにつれてガス速度が徐々に高まることを保証し得る。
【0085】
揮散器/乾燥器チューブ57を介した組成物の均一な分配はヒートジャケット88の使用によって支援されると考えられる。例えば、もしチューブ57が詰まり始めると、そのチューブへの組成物の流量を低下させるであろう。このことは同様に、それを介して組成物がチューブ57に搬送される穿孔84を横切る圧力低下を抑え、チューブ57内での圧力低下を高める。チューブ57の壁が実質的に一定の比率で加熱されるので、詰まりの上流の蒸気圧がチューブ57を吹き清め、チューブ流入口80にて二相流動を再確立するまで詰まったチューブ57の入口で圧力は上昇するであろう。
【0086】
乾燥流路57の全長を通って組成物を運ぶ原動力は、乾燥流路57の蒸気の速度に左右される。蒸気速度が低すぎると、所望の二相流動が持続されない。上記で述べたように、最小の速度は、例えば、粘度のような組成物の物性に幾分左右される。しかしながら、一般に、蒸気の質量流量率は、乾燥流路の断面積の39,000kg/hr/m
2(8000lbs/hr/ft
2)を上回るべきである。
【0087】
スチーム及び/又は他の種類の蒸気手段は、導管94を介して流入口/分配チャンバー64に導入され、共通するスチームヘッダー96に導入され、次いで流量制限98を介して各流路流入口80に導入され得る。しかしながら、ジオキサンを減らすために十分な減圧沸騰が流路57内で生じる場合、同時のスチーム注入は不要であり得る。
【0088】
上記で議論したように、
図4は流量制限装置55aが各流路57への入口で穴を開けた穿孔84と共に流路57の入口に位置する開口部板83である実施形態を示す。幾分さらに良好な温度/圧力の平衡は、2つの開口部板100及び102を含む
図5で示す制限装置55bを用いて一部の適用で達成することができる。開口部板100及び102は、各チューブ57の上流に順次配置される複数の流量制限を提供する。具体的には、
図5Aを参照して、第1の制限105及び第2の制限106がガスケット108によって互いに分離されて順次配置される。各流量制限105、106及びガスケット108が穿孔を定義する。第1の流量制限105の各穿孔109は、ガスケット108の少なくとも1つの穿孔110及び第2の制限106の穿孔112及び少なくとも1つのチューブ57と流体連通する。流量制限を提供するために、各穿孔109及び112の直径はチューブ57の内径よりも小さい。好ましくは、
図5に示すように、穿孔109及び112はガスケットの穿孔110の直径よりも小さい。制限の穿孔109、112、ガスケットの穿孔110の例となる直径及びチューブ57の内径はそれぞれ、1.6mm(0.0625インチ)、12.7mm(0.5インチ)及び12.7mm(0.5インチ)である。相対的な直径のサイズに基づいて、チャンバー114は各2つの制限105と106との間に配置される。チャンバーの上部と底部はそれぞれ、第1及び第2の制限105及び106によって定義され、チャンバー114の側壁116はガスケット108の厚さによって定義される。
【0089】
図5及び
図5Aに示すように、制限105、106及びその中の穿孔109、112は互いに協調しないが、代わりに、中心線から約3mm(0.125インチ)ずらして配置される中心軸を有する。従って、制限105及び106を通る組成物の流れは「蛇のよう」であり、直線ではない。これは、上流の導管76及び予備加熱器54にて背圧を提供するのに役立つと考えられる。加熱された単相の組成物が第1の制限105に入り、通過するにつれて、二相流動がチャンバー114に出る。二相流動がチャンバー114を出て、第2の制限106に入るにつれて、さらに多くの水蒸気が減圧沸騰され、さらに多量の二相流動がチューブ57の流入口80に出る。二相流動現象の開始は
図4で示す単一制限乾燥器の設計に関して上記で詳述したものと同じであり、同様に最大の減圧沸騰及び複数の流路57全体にわたる流量の均一な分配を生成するのに十分な背圧及び十分な圧力低下を提供する。
【0090】
ペーストの流量は、流量制限装置55bに入り、それを通過するにつれて大きく制限されるので、十分な背圧が達成される。流量制限装置55a及び55bを介した十分な圧力低下は大部分、「速度水頭」圧損失として知られるものによる。流量制限に入るのに先立って、ペーストは単相の液体/ゲルの形態であり得る。単相のペーストが流量制限78又は流量制限105及び106を通過するにつれて、材料が制限を通って流れるとき経験する圧力低下(例えば、約3バール(平方インチ当たり45ポンド(psi))〜約15バール(225psi))によってペーストの一部は泡状の二相材料に揮発する。速度の急激な上昇は、「速度水頭」圧損失−ペーストからの水分の気化を最大化するのに必要な圧損失を生じる。十分な速度水頭圧損失はほとんどの場合、
図5で示す二重開口部板100及び112の代わりに
図4で示す単一開口部板83を用いることによって達成できる。上記で言及したように、他の好適な制限装置には、先細ノズル、末広ノズル、先細末広ノズル、小径注入器チューブ及び同一の流れ幾何体によって製造することができる他の形状が挙げられる。これらの装置の全てにおける開口部のサイズは必要とされる背圧に対して十分な二相流動の速度を生じるのに十分小さくなければならない。
【0091】
各流路57にわたって圧力低下を一定に保持することによって各流路57を通る均一な流量が確保される。このように、流量制限105及び106は各揮散器/乾燥器の流路流入口における均一圧力の点に流量を均一に分配している。各流路57における一定の圧力低下は、流路57の全長にわたって二相流動が存在すれば初めて維持することができる。予備加熱器54と流量制限78(又は105及び106)の組み合わせは所望の均一な流量分配を間接的に生じるように一緒に機能する。開口部を介した材料の従来の減圧沸騰は、材料が一定の圧力での共通チャンバーに減圧沸騰していれば初めて流量を均一に分配することが言及される。乾燥流路57は流量制限と共通の受取容器58との間にある。従って、各流路57の末端で共通チャンバーとの組み合わせにて乾燥流路全てで二相流動様式を達成することは、各流路57の流入口で本質的に一定の流入口圧力を可能にするので、分配は均一である。
【0092】
いったん流量制限78(又は105及び106)が設置されると、異なる背圧が所望されるたびごとに置き換える必要はない。設置された制限によって生成される背圧の量は方法全体を通して特定の操作条件を変えることによって調整することができる。例えば、所与の流量制限にわたる圧力低下を支配する変数には、供給組成物の流速及び温度の双方が含まれる。予備加熱器54における減圧沸騰を防ぐのに必要とされる相対的に高い圧力低下を達成するには、制限における開口部の断面積が、液体が二相に減圧沸騰する場合、蒸気速度が所望の圧力低下を生じるのに十分高いように十分に小さくなければならない。供給組成物の温度が高ければ高いほど、蒸気速度が高いので、流量制限にわたる圧力低下が高い。供給組成物の温度は上流の予備加熱器54によって制御されることを思い出すこと。組成物が予備加熱器54にて過熱されなければ、流量制限にて減圧沸騰は起こらず、圧力低下は相対的に低い。
【0093】
組成物が流量制限78(又は105及び106)を通って流れるにつれて、圧力が低下し、水成分及びジオキサン成分は蒸気相に減圧沸騰する。この減圧沸騰の間に遊離された蒸気が乾燥器チューブ57を通る組成物の残りを進ませる原動力として作用する。遊離された水蒸気は組成物からジオキサンを揮散させるように役立つ。揮散器/乾燥器の流路57内での絶対圧は、とりわけ、所望の気化が起きるように揮散器/乾燥器56の通気口61を制御することによって選択される。二相流動で操作する際、流路57にわたる圧力低下は、ほとんどの場合、相対的に低く、例えば、0.5バール(7.5psi)〜2.0バール(30psi)の範囲であることができる。
【0094】
組成物の残りが流路57を通過するにつれて、チューブ57の壁57aを通って伝達された熱は組成物から追加の水分を気化させる。二相の液体/蒸気の混合物の速度は、蒸気が遊離され、圧力が下げるにつれて上昇する。高圧ガス(減圧沸騰する溶媒及びスチーム又は導管94を介して加えられ得る他の高圧ガス)と組成物の粒子が混ざって二相流動を形成する。工程は通気口61を介して蒸気の流量を制御することによって真空下にて種々の圧力で操作することができるので、流路57を出るガス速度は約15.25メートル/秒(m/秒)(50フィート/秒(ft/秒))〜約460m/秒(1,500ft/秒)の範囲で維持することができる。乾燥器流路57における二相流動の高い速度及び乱流は流路57の壁57aを通る熱伝達を最大化する。
【0095】
制限流入口での温度を用いて減圧沸騰の量を制御する。従って、制限流入口の温度は、組成物からジオキサンを揮散させるのに十分な及び流路を閉塞させることなく制限及び流路を通ってペーストを受取槽に進めるのに十分な蒸気の減圧沸騰を生成するのに十分高くすべきである。流入口温度及び生成される減圧沸騰の量とのその関係は、当然、特定の組成物及び組成物の熱感受性に左右される。生成物の乾燥度は乾燥器ジャケット88における加熱流体の温度によって主として制御される。この温度は生成物の熱感受性によっても制限される。従って、各異なる組成物は異なる一連の操作条件を必要とし得る。
【0096】
二相流動が揮散器/乾燥器56を出るにつれて、ジオキサン含有の蒸気及び精製され、濃縮された組成物が分離される。ジオキサン含有の蒸気は通気口61を通って、任意で真空系122に行く。精製され、濃縮された組成物は流路の出口に位置する容器58にて回収され、ポンプ、押出器、押出機又は他の装置60を利用した流出口導管124を介して容器58から取り出され、処理水65によって希釈器63にて希釈される。容器58は流路流出口の操作圧力よりも少ない圧力で作動し、且つ真空下で作動する。そのような減圧下及び/又は真空条件下で容器58を操作することは蒸気と精製され、濃縮された材料の容易な分離を可能にする。
【0097】
最終製品を製造するために、流出口導管124から、精製され、濃縮された生成物を種々の単位操作に供し得る。多くの場合、揮散器/乾燥器56から排出された熱い生成物を保存又は希釈に先立って冷却する。
【0098】
本明細書で記載されるように、精製され、濃縮された生成物を希釈し得る。
【0099】
乾燥の方法及び装置を用いて、広い範囲の粘度及びジオキサン含量を有する供給物質から精製され、濃縮された洗剤を形成し得る。例えば、乾燥器56に供給される加熱された物質は、薄いペースト(およそ50センチポイズ)〜非常に濃厚なペースト(およそ500,000センチポイズ)の範囲に及び得る。
【0100】
本発明に係る別の方法及び装置は、一般に指定されるジオキサン除去系210が、流入口ポンプ212、任意の予備加熱器214、ワイプフィルムエバポレータ216、例えば、押出器、押出機又はポンプのような流出口手段218、及び希釈器220を含む
図18にてさらに説明される。ほとんどの場合、ポンプが適切であろう。
【0101】
ジオキサン含有のペーストは導管222を介して系10に入り、ポンプ212によって任意の予備加熱器214に入れられる。ペーストは所望の固形分含量を含有してもよく、好ましくは、約68重量%〜約85重量%の範囲である。ポンプ212は、ペーストが選択された温度であるようにペーストが通常、176°F(80℃)〜約320°F(160℃)(必要に応じてそれより高い)の範囲での温度に加熱される予備加熱器214を介してペーストをメーター供給する。予備加熱器214は、加熱流体が導管225を介して交換器に入り、導管227を介して交換器を出る熱交換器であり得る。
【0102】
加熱されたペーストがそれを介して移動する導管222はペースト成分が導管222で減圧沸騰しないように圧力下で保持されなければならない。ペーストは流入口229を介してワイプフィルムエバポレータに導入される。エバポレータ216は加熱のためにジャケットで囲まれる(要素231)。ペーストは流出口233に向かってエバポレータを流下する。ジオキサン含有の蒸気流はガス流出口235を通って出るが、それは真空ポンプ237と連通する。ペーストがエバポレータ216を流下するにつれて、加熱ジャケット231からエバポレータ216の壁を通って伝達された熱がペーストから水分とジオキサンをさらに気化させる。
【0103】
処理流体がエバポレータ216を離れるにつれて、ジオキサン含有の蒸気と精製され、濃縮された生成物(例えば、未だペーストの形態)が分離する。蒸気は通気口235を介して、任意で真空系237に採取される。精製され、濃縮されたペーストは底にてエバポレータ216で回収され、ポンプ、押出器、押出機又は他の好適な装置218を利用した流出口導管233を介してエバポレータ216から取り出される。ほとんどの場合、ポンプが適切であろう。精製されたペーストは希釈器220にて処理水239によって希釈される。系210は任意で、例えば、スチーム243又は他のガスの注入のための、エバポレータ216の底に向かう流入口241を含むことができる。
【0104】
理論
以下はこの理論的な区分で使用される命名法である:
ppm
xは常に流れXにおけるジオキサンの100万分率である。
%
xは常に流れXにおける水分のパーセントである。
%A
xは流れXにおける活性物のパーセントである。
M
xはXのモル流速である。
Mw
xはXの分子量である。
#
xはXの質量又は重量流速である。
x
xは液体状態におけるXのモル分率である。
y
xは蒸気状態におけるXのモル分率である。
V
0pxは成分Xの蒸気圧である。
P
Tは平衡が生じた場合の系の総圧力である。
【0105】
Xの値
Dはジオキサンである。
Wは水分である。
Airは空気である。
Vは蒸気である。
Pは生成物である。
Fは供給物である。
Sはスチームである。
iは方程式全体を通して一貫して使用される任意の成分である。
【0106】
定数及び比は使用されるように定義されるであろう。
【0107】
ジオキサン減少率D
Rは生成物のジオキサンのレベルで割った供給物のジオキサンの比として定義される。これは、生成物の水分含量が供給物と同じであることを前提にするが、それは常に真実であるわけではない。正確な定義は
【数1】
である。
【0108】
上記の定義、方程式1から出発して、我々は、系の性能を予測するのに使用することができる点でジオキサン減少率の表現を導き出すことができる。
【0109】
以下は系の周りでのジオキサンの均衡である。
#
Fppm
F=#
Pppm
P+#
Vppm
V
【0110】
次は系の周りでの活性物の均衡である。
#
F%A
F=#
P%A
P
【0111】
方程式を組み合わせて以下を得る:
【数2】
【0113】
単純化し、組み合わせた方程式の左辺はジオキサン減少率の定義で使用した一番上の項と同一なので、方程式1に置換することができる:
【数4】
【0114】
それを同様に単純化すると、
【数5】
【0115】
項、スチーム比S
Rは、方法で使用される揮散するスチームの量を記載するのに使用される。スチーム比は最終生成物との平衡におけるスチームの量と同等であり、又は
【数6】
と同等である。
【0116】
系における蒸気は本質的に純粋な水であり、わずかなppmのジオキサンは安全に無視できるので、我々はジオキサン減少率の方程式を以下のように改変することができる。
【数7】
【0117】
この方程式は、スチーム比が操作者によって制御される変数であり、生成物のジオキサン含量は我々が獲得しようと試みている変数であるという点で非常に有用である。ジオキサン率を予測するには、操作者によって制御される変数を用いて蒸気相のジオキサン含量が決定されなければならない。
【0118】
系を評価する場合、一段階で可能である最大分離である蒸気/液体の平衡を決定することが必須である。3つの以下の分析は、理想的な二成分系、次いで経験的データを伴った二成分系、及び最終的には揮散のための無視できるガスを用いた非二成分系として系を処理する。
【0119】
理想的な解決
理論的な平衡は、以下のように液体及び蒸気において成分の部分圧をその成分のモル分率に関係付けるラウールの法則及びダルトンの法則から決定することができる。
【数8】
【0120】
部分圧は、以下の方程式を生み出して排除することができる。
【数9】
【0121】
系の総圧力を用いて我々の関心のある場合にて任意の2つの成分の関係を決定することができる。
【数10】
【0122】
活性物における任意の化合物について同じ種類の関係が発生し得ることに留意のこと。例として、油は十分な蒸気圧を有し、経験は揮散の際、油含量が減ることを示す。
【0123】
分離方法では、分離因子を一般に用いて方程式を単純化するが、それは、蒸気平衡の場合、平衡温度での2つの成分の蒸気圧の比(相対揮発度)である。温度に対するジオキサンと水分についての分離因子のグラフは方程式の作成に従う。分離因子は以下のように定義される:
【数11】
【0124】
方程式は以下のようになる:
【数12】
【0125】
分離因子(相対揮発度)のグラフは
図6及び
図7にて異なる2つのx軸と共に示される。蒸気相はほとんど純粋な水であるので、ある圧力でのスチームの温度を用いてx軸を同一視することができるが、温度及び圧力は減圧沸騰容器で測定されるべきであり、特に温度はペーストのものであるべきである。我々は平衡を決定しようとしているので、揮散器の流入口でのペーストと蒸気の特性は、それらが平衡ではなく、減圧沸騰槽で測定されなければならないので興味を引かず、最後にペーストと蒸気は分離の前に接触する。
【0126】
一般に決定され、実際面で利用可能である変数を使用するように方程式をさらに改変することができる。
【数13】
【0128】
単純化した方程式は以下である:
【数15】
【0129】
この方程式は2つの流れの組成物を想定せず、方程式2にて我々が必要とした項を我々に与えてジオキサン減少の理論的決定を行う。
【数16】
【0130】
方程式5を方程式3に置換して、我々は以下を得る:
【数17】
【0131】
(S
f%
V/%
P)をI
fに等しく設定して、方程式を以下に単純化する。
【数18】
【0132】
図8での次のグラフは異なる濃度でのI
fの値を示す。
【0133】
経験的モデル
前述は、二成分蒸気/液体系の理想的な挙動に基づく。実際に結果と比べた場合、予測された平衡は、経験的データを説明するのに必要な値のおよそ半分である。ジオキサン及び水分は理想的な方法で挙動しないことが知られている。マーギュレス方程式はモデルの二成分液体系に対する経験的な方法である。ラウールの法則の代わりにマーギュレス方程式を用いて以下は同じ手順である。
【数19】
【0134】
γ
iが活性係数である場合。上記のように計算を継続する:
【数20】
【0136】
例えば、水分含量が重量パーセントで測定される一方で、我々は20重量ppm以下のレベルを達成することを試みてジオキサンを揮散させている。モル分率に変換すると、x
Dの値はゼロに近づき、これらの項を外して以下を得ることができる:
【数22】
【0137】
方程式8に置換して、
【数23】
これは、理想的な場合、方程式4の同等物である。
【0138】
A
DWの公表された値は以下のとおりである。
【表1】
【0139】
理想的な場合として同様に継続するが、マーギュレス補正用の項を加えると、方程式は以下である:
【数24】
及び
【数25】
【0140】
方程式が扱いにくい場合があるので、方程式の最後の項を
【数26】
であるマーギュレス因子に組み入れている。
【0141】
新しい方程式を作るには:
【数27】
【0142】
図9〜16のグラフは、種々の活性物の分子量と共に異なる活性物の濃度についてのマーギュレス因子を示す。グラフは、活性物の温度に対するマーギュレス因子を示す第1の群と減圧沸騰槽圧力に対する第2の設定で重複させる。
【0143】
多数の異なる条件及び異なるモルのエトキシル化での材料についての経験的データに対して方程式12をチェックした。生成物のジオキサン含量に対する理論からの逸脱を考慮することによって幾つかの結論を引き出すことができる。ペーストの水分含量に類似する値に近づく誤差の否定の傾向がある。だから、25%水分のペーストについては、分離は理論上75%又は−25%の誤差に近づいていると思われ、15%ペーストは理論上85%又は−15%の誤差に近づいている。論理的には、ペーストにおける0%水分で、ジオキサンのレベルは0であるはずであり、誤差は0%である。理想に対するこの変動は特定の設計にとって独特であり、言い換えれば、真空中和器としての、異なる長さ又は異なる設計原理の揮散器は異なる効率を有する。
【0144】
方程式12を改変して経験的試験で見られるものを反映させることができる:
D
R=(1+eS
RM
f) 方程式16
ここで、eは揮散器の効率である。本明細書で記載される装置で使用される良好な値は70%活性物のペーストについて約75%である。
【0145】
理論の適用及び実際の適用
我々は方程式11を検討して乾燥の際の効果を見る。
【数28】
【0146】
項%
Pは最終的なペーストにおける水分の重量パーセントである。水分の量がゼロに近づくにつれて、ジオキサンの減少率が無限大に近づくのは明らかである。ジオキサンの蒸気圧は水より大きく、そうであるならば、水は全て蒸発させられ、その後ジオキサンも全て蒸気相に入り、取り除かれるので、これは当然である。これは実験データと一致する。
【0147】
始動の間にジオキサンの除去レベルに達するのに困難さがあるのであれば、又は除去を増やす必要性があるのであれば、行動方針の1つは生成物を軽く乾燥させることである。スチーム比はチューブの排出時のスチームと生成物の比であるので、乾燥はスチームの量を増やし、生成物の量を減らし、スチーム比S
Rを高める。方程式11に基づいて、低水分含量のペースト、100%/%
Vはさらに良好な減少を達成する。さらに、生成物の水分レベルが下がり、方程式16でのeが高まるので、我々は実際面では平衡に近づくと思われる。
【0148】
揮散の間に生成物を乾燥させる別の理由がある。乾燥させると系は平衡にさらに近づくことが認められている。特定の理論に束縛されることを意図しないで、水分が膜で気化するにつれて膜全体を通してペーストとの良好な接触があると考えられる。
【0149】
本明細書で記載されるように、希釈系を含めて最終的な生成物の濃度を調整することが望ましい。原則として、スチームの量をできるだけ少なくして特定のレベルの減少を達成するために、高度な固形物(例えば、68重量%〜85重量%の範囲)に中和し、ジオキサンを揮散させ、ペーストを乾燥させ/濃縮し、次いでペーストを希釈することが望ましい。これを行う上での制約は中和したペーストの粘度及びその後の取り扱い問題である。
【0150】
本明細書で記載される揮散器/乾燥器系を順次用いることによって、又は単一段階を介してキャンペーンを行うこと(ユニットを介して生成物を複数回実行すること)によって考えられる有意なコスト削減があり得る。2段階に比べて3段階でのスチーム消費でははるかに少ない劇的な改善があり得るが、特にキャンペーン様式では3以上の段階が望ましい状況が依然としてある。すなわち、工程混乱の間に起こり得るように、1段階について正常なもののジオキサンの過剰な減少が必要とされる場合。この場合、ジオキサン減少率はD
Rnであり、その際、D
Rは1段階のジオキサン比であり、nは段階の数である。1段階を想定する例が5:1の減少を得るとき、2段階は25:1を得、3段階は125:1を得る。
【0151】
実施例
限定することが意図されない以下の実施例を用いて本発明をさらに記載し、説明する。機器条件、処理条件、原料条件及び生成物条件は、
図17a及び
図17bに分けた表にて実施例1〜17に提供される。実施例1及び2では、方法は、チューブの内径が0.4インチ(1cm)で2インチ(5cm)の内径のパイプの10フィート(3メートル)の伸長が続く10フィート(3メートル)の3チューブ束状構造を用いた。実施例3〜17の残りでは、方法は、チューブ内径が0.4インチ(1cm)である単一の10フィート(3メートル)の3チューブ束状構造を用いた。
【0152】
実施例は、本明細書で記載される方法に従って100を超えるジオキサン減少率が達成されたことを示している。実施例はまた、追加の揮散スチームの注入が特に有利である一方で、原料にすでに存在する水分からのスチームの減圧沸騰が約7ほど高いジオキサン減少率を達成することができることも示している(実施例16を参照)。実施例はまた、相対的に高い程度に生成物を乾燥させることの有益な効果も示している。例えば、実施例1及び2を比べて、濃縮されたペースト生成物の水分含量は実施例1で10%及び実施例2で5%だった。1,4−ジオキサン減少率は実施例1で46、及び実施例2で103(2倍以上)だったのに対して、注入スチームは一定のままだったが、乾燥温度は上昇した。
【0153】
本発明の範囲内での改変は当業者に明らかであろうから、前述の記載は理解の明瞭さのためのみに与えられるのであって、不必要な限定はそれらから理解されるべきではない。
【0154】
本明細書及び以下に続く特許請求の範囲の全体を通して、文脈が特に要求しない限り、単語「含む(comprise)」及び「含む(comprises)」や「含む(comprising)」のような変形は、述べられた整数又は工程又は整数若しくは工程の群の包含を暗示するが、他の整数又は工程又は整数若しくは工程の群の排除は暗示しないように理解されるであろう。
【0155】
本明細書の全体を通して、組成物が成分又は材料を含むとして記載される場合、特に記載されない限り、組成物は引用された成分又は材料の任意の組み合わせから本質的に成る又は成ることもできることが熟考される。同様に、方法が特定の工程を含むとして記載される場合、特に記載されない限り、方法は、引用された工程の任意の組み合わせから本質的に成る又は成ることもできることが熟考される。本明細書で説明的に開示される本発明は、本明細書で具体的に開示されない要素又は工程の非存在下で実践され得る。
【0156】
本明細書で開示される方法の実践及びその個々の工程は、手動で実施することができ、及び/又は電子機器によって提供される自動化の助けを借りて又は自動化によって実施することができる。特定の実施形態を参照して方法を記載してきたが、当業者は方法に関連する行為を実施する他の方法を使用し得ることを容易に十分に理解するであろう。例えば、種々の工程の順序は、特に記載されない限り、方法の範囲又は精神から逸脱することなく変更され得る。加えて、個々の工程の一部は組み合わせ、省略し、又はさらに追加の工程に細分することができる。
【0157】
本明細書で引用された特許、出版物及び参考文献は全て参照によって完全に組み入れられる。本開示と組み入れられる特許、出版物及び参考文献との間で不一致がある場合、本開示が調整すべきである。