特許第5909054号(P5909054)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5909054切除サイズを査定するためのエネルギーアプリケータ温度監視
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5909054
(24)【登録日】2016年4月1日
(45)【発行日】2016年4月26日
(54)【発明の名称】切除サイズを査定するためのエネルギーアプリケータ温度監視
(51)【国際特許分類】
   A61B 18/18 20060101AFI20160412BHJP
   A61B 18/04 20060101ALI20160412BHJP
【FI】
   A61B17/36 340
   A61B17/38
【請求項の数】8
【外国語出願】
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2011-127167(P2011-127167)
(22)【出願日】2011年6月7日
(65)【公開番号】特開2011-255180(P2011-255180A)
(43)【公開日】2011年12月22日
【審査請求日】2014年2月17日
(31)【優先権主張番号】61/353,135
(32)【優先日】2010年6月9日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】513109016
【氏名又は名称】コビディエン エルピー
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(72)【発明者】
【氏名】ジョナサン,エー.コエ
(72)【発明者】
【氏名】ケーシー,エム.ラドコウ
【審査官】 佐藤 智弥
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2008/0275440(US,A1)
【文献】 特表2001−510702(JP,A)
【文献】 特開2010−82462(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 18/18
A61B 18/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作動可能となるように電気外科発電源と連結された放射区分及び作動可能となるように前記放射区分と連結された温度センサーを含むエネルギーアプリケータを提供するユニットと、
前記エネルギーアプリケータを組織の中に配置するユニットと、
第1の所定の時間間隔の間、エネルギーを前記電気外科発電源から前記放射区分を通して組織へ送達するユニットと、
前記放射区分と関連付けられた温度情報を取得するために第2の所定の時間間隔の間、前記温度センサーによって検出された温度を監視するユニットと、
切除体積を推定するために前記温度情報の関数を評価するユニットと、
前記推定切除体積の少なくとも1つのパラメータに基づいて前記電気外科発電源と関連付けられる少なくとも1つの動作パラメータを決定するユニットと、
第3の所定の時間間隔の間、エネルギーを前記電気外科発電源から前記放射区分を通して組織へ送達するユニットと、
前記放射区分と関連付けられる補足温度情報を取得するために第4の所定の時間間隔の間、前記温度センサーによって検出された温度を監視するユニットと、
前記推定切除体積の変化を査定するために前記補足温度情報を評価するユニットと、
を備えており、
前記第1の所定の時間間隔、前記第2の所定の時間間隔、前記第3の所定の時間間隔、および前記第4の所定の時間間隔は、連続的な時間間隔である、エネルギーを組織へ方向付けるシステム。
【請求項2】
前記放射区分と関連付けられた温度情報を取得するために第2の所定の時間間隔の間、前記温度センサーによって検出された温度を監視する前記ユニットが、前記第2の所定の時間の間、エネルギーを前記放射区分を通して組織へ送達することを停止させるために前記電気外科発電源を制御することを含んでいる、請求項に記載のエネルギーを組織へ方向付けるシステム。
【請求項3】
前記電気外科発電源と関連付けられる前記少なくとも1つの動作パラメータが、前記エネルギー源の設定温度、インピーダンス、電力、電流、電圧、動作モード及び適用時間から成る群から選択される、請求項に記載のエネルギーを組織へ方向付けるシステム。
【請求項4】
前記推定切除体積の前記少なくとも1つのパラメータが、体積、長さ、直径、最小直径、最大直径及び重心から成る群から選択される、請求項に記載のエネルギーを組織へ方向付けるシステム。
【請求項5】
前記第2の所定の時間間隔が、前記第1の所定の時間間隔に続いている、請求項に記載のエネルギーを組織へ方向付けるシステム。
【請求項6】
前記推定切除体積の前記変化に基づいて前記電気外科発電源と関連付けられる少なくとも1つの動作パラメータを決定するユニットを更に備えている、請求項に記載のエネルギーを組織へ方向付けるシステム。
【請求項7】
前記第3の所定の時間間隔が、前記第2の所定の時間間隔に続いている、請求項に記載のエネルギーを組織へ方向付けるシステム。
【請求項8】
前記第4の所定の時間間隔が、前記第3の所定の時間間隔に続いている、請求項に記載のエネルギーを組織へ方向付けるシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本特許出願は、2010年6月9日出願の米国仮特許出願第61/353,135号「切除サイズを査定するためのエネルギーアプリケータ温度監視」の優先権及びその恩恵を請求し、同仮出願の開示内容を参考文献としてここに援用する。
【0002】
本開示は、組織切除用途で使用するのに適した電気外科装置に関し、より厳密には、エネルギーを組織へ方向付けるシステム及び方法、及びエネルギーアプリケータと関連付けられる温度情報に応じて切除サイズを査定するシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
或る種の疾患の治療は、例えば腫瘍などの悪性組織成長の破壊を必要とする。腫瘍細胞を加熱及び破壊するために電磁放射線を使用することができる。治療は、切除探針を癌性腫瘍が特定された組織の中へ挿入することを含む場合がある。探針が配置されると、電磁エネルギーが探針を通って周辺組織の中へ送られる。
【0004】
癌のような疾患の治療では、或る種の腫瘍細胞は、健常細胞にとっては通常有害である温度より幾らか低い昇温で変性することが分かっている。温熱治療のような周知の治療方法は、隣接する健常細胞を不可逆的な細胞破壊が起こる温度より低く維持しながら、異常細胞を41°Cを上回る温度まで加熱する。それらの方法は、組織を加熱、切除及び/又は凝固させるために電磁放射線を照射することを含んでいる。マイクロ波エネルギーは、それらの方法を実行するために時折利用される。更に、組織を加熱するために電磁放射線を利用する他の処置は、組織の凝固、切断及び/又は切除を含んでいる。組織を加熱するために電磁放射線を利用する多くの処置及び装置の型が開発されてきた。
【0005】
組織加熱の度合いは、治療中にエネルギーが組織に吸収される又は組織の中で消散される率を含む幾つかの因子によって決まり得る。温熱治療のような電磁放射線を利用する治療方法では、放射、伝導及び対流の機構によって熱の移動又は分散が発生する場合がある。電磁エネルギーによる組織の加熱に起因する生物学的影響は、多くの場合「熱的」影響と呼ばれる。
【0006】
腫瘍切除の1つの態様は、切除マージン又は腫瘍表面と切除組織又は熱壊死組織の包括的な帯域の表面との間の最小距離である。切除マージンは、査定することが困難である場合が多く、代用的に切除サイズ及び幾何学形状を使用する場合がある。
【0007】
残念なことに、切除サイズを査定する現下の方法は、限定的である。医師は、通常、切除サイズを査定するためにコンピュータ断層撮影法(CT)又は他の画像診断法を利用しており、当該撮影法又は診断法は、治療を中断させる必要があり、患者及び撮像要員の両方を医療撮像による放射線量に曝す可能性がある。温度測定探針は、更に、時間、温度と細胞壊死との間の実証された関係を頼りに使用される場合もある。しかしながら、この手法には、追加的なハードウェアが必要であり、大抵の場合、追加的な挿入部位のような外科手術のためのより侵襲的な手法が温度測定探針には必要とされる。
【0008】
医療撮像又は温度測定の必要無く切除サイズを査定するシステム及び方法は、臨床的な安全性を確実にすることを支援する可能性がある。切除サイズを査定するために撮像する必要のない腫瘍治療方法は、多重CTスキャン及び他の画像診断法による患者への放射線の危険性を減らすことができるであろう。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示は、エネルギーアプリケータを組織の中に配置するためのユニットを含むエネルギーアプリケータと関連付けられる温度情報に応じて切除サイズを査定するシステムに関する。エネルギーアプリケータは、放射区分及び温度センサーを含んでいる。放射区分は、作動可能となるようにエネルギー源と連結されている。システムは、エネルギー源から放射区分を通して組織までエネルギーを送達するユニットを含んでいる。また、システムは、所定の時間間隔の間、放射区分を通して組織にエネルギーを送達することを停止させ、所定の時間間隔の少なくとも一部の間、エネルギーアプリケータと関連付けられる温度情報を取得するために所定の時間間隔の少なくとも一部の間温度センサーを監視し、かつ、切除サイズを査定するために温度情報を評価するユニットを含んでいる。
【0010】
本開示は、更に、作動可能となるように電気外科発電源と連結された放射区分及び作動可能となるように放射区分と連結された温度センサーを含むエネルギーアプリケータを提供するユニットを含む、エネルギーを組織へ方向付けるシステムに関する。システムは、エネルギーアプリケータを組織の中に配置し、第1の所定の時間間隔の間、エネルギーを電気外科発電源から放射区分を通して組織まで送達するユニットを含んでいる。システムは、放射区分と関連付けられる温度情報を取得するために第2の所定の時間間隔の間、温度センサーを監視し、切除サイズを推定するために温度情報を評価し、かつ、推定切除サイズに基づいて電気外科発電源と関連付けられる1つ又はそれ以上の動作パラメータを決定するユニットを更に含んでいる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本開示の1つの実施形態による標的組織区域にエネルギーを送達するために配置されたエネルギーアプリケータ配列を含むシステムの概略図である。
図2】本開示の1つの実施形態によるエネルギーアプリケータを含む切除システムのブロック/断面図である。
図3】本開示の1つの実施形態による切除後の温度プロファイルグラフを示す図である。
図4】本開示の1つの実施形態によるエネルギーアプリケータの活性電極先端で記録された活性電極温度監視データの近似線グラフを示す図である。
図5】本開示の1つの実施形態によるエネルギーアプリケータと関連付けられる温度情報に応じて切除サイズを査定する方法を図解する流れ図である。
図6】本開示の1つの実施形態によるエネルギーを組織へ方向付ける方法を図解する流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
現下開示されるエネルギーを組織へ方向付けるシステム及び方法並びに現下開示されるエネルギーアプリケータと関連付けられる温度情報に応じて切除サイズを査定する方法の目的及び特徴は、添付図面を参照しながらそれに関する様々な実施形態の記述を読んで頂ければ当業者には明白となるであろう。
【0013】
以下、エネルギーを組織へ方向付けるシステム及び方法の実施形態並びに本開示のエネルギーアプリケータと関連付けられる温度に応じて切除サイズを査定する方法の実施形態を、添付図面を参照しながら説明する。類似の参照番号は、図面の記述を通して類似又は同一要素を指し得る。図面で示すように、且つその記述で使用するように、目的物の相対的な位置付けに関する場合に恒例であるように、用語「近位の」は、使用者により近位の器械又は当該構成要素の一部分の該当部分を指しており、用語「遠位の」は、使用者からより遠位の器機又は当該構成要素の該当部分を指している。
【0014】
本記述では、語句「1つの実施形態では」、「複数の実施形態では」、「幾つかの実施形態では」又は「他の実施形態では」を使用する場合があるが、当該語句は、それぞれ、本開示による同じ又は異なる実施形態の1つ又はそれ以上を指し得る。本記述ために、形式「A/B」の表現は、A又はBを意味している。本記述ために、形式「A及び/又はB」の表現は、(A)、(B)又は(A及びB)を意味している。本記述ために、「A、B又はCの少なくとも1つ」の表現は、(A)、(B)、(C)、(A及びB)、(A及びC)、(B及びC)又は(A、B及びC)を意味している。
【0015】
電磁エネルギーは、エネルギーを増大させること又は波長を減少させることで、概略的には、電波、マイクロ波、赤外線、可視光、紫外線、X線及びガンマ線に分類される。本記述で使用されるように、「マイクロ波」は、標準的には、300メガヘルツ(MHz)(3×10サイクル/秒)から300ギガヘルツ(GHz)(3×1011サイクル/秒)の周波数域の電磁波を指している。本記述で使用されるように、「切除処置」は、標準的には、例えばマイクロ波切除、高周波(RF)切除又はマイクロ波切除又はRF切除を補助的に使用する切除術のような任意の切除処置を指している。
【0016】
本記述で使用されるように、「エネルギーアプリケータ」は、標準的には、マイクロ波又はRF電気外科発電機のような発電源からのエネルギーを組織に移動させるために使用することができる任意の装置を指している。本記述で使用されるように、「伝送ライン」は、標準的には、或る点から別の点までの信号の伝播に使用することができる任意の伝送媒体を指している。本記述で使用されるように、「流体」は、標準的には、液体、気体又はその両方を指している。
【0017】
本開示の様々な実施形態は、エネルギーを組織へ方向付けるシステム及び方法を提供している。本開示の様々な実施形態は、エネルギーアプリケータ温度を監視することができるシステム及びエネルギーアプリケータと関連付けられる温度情報に応じて切除サイズ(本明細書では「切除体積」とも呼ばれる)を査定する方法を提供している。実施形態は、マイクロ波周波数又は他の周波数の電磁放射線を使用して実施され得る。様々な実施形態による、エネルギーアプリケータ配列を含む電磁エネルギー送達装置は、約300MHz及び約10GHzの間で作動するように設計及び構成されている。
【0018】
現下開示されるエネルギーアプリケータ又はエネルギーアプリケータ配列を含む電気外科システムの様々な実施形態は、マイクロ波切除に、及びマイクロ波切除を補助的に使用する切除術のために組織を事前に凝固させるために使用することに適している。更に、以下の記述は、双極子マイクロ波アンテナ及びRF電極の使用を説明しているが、本開示の教示は、単極、螺旋状又は他の適切な型のマイクロ波アンテナにも適用され得る。
【0019】
本開示の1つの実施形態による電気外科システム100は、図1で示されており、電磁エネルギー送達装置又はエネルギーアプリケータ配列「E」を含んでいる。エネルギーアプリケータ配列「E」は、1つ又はそれ以上のエネルギーアプリケータ又は探針を含んでいてもよい。探針厚さは、例えば手術部位の外傷を減らし、且つ外科医が周辺の健常組織の損傷を最小に抑えながら標的組織を治療することができるように正確な探針位置付けを容易にするために最小化され得る。幾つかの実施形態では、エネルギーアプリケータ配列「E」は、複数の探針を含んでいる。探針は、同様の又は異なる直径を有していてもよく、同等の又は異なる長さまで伸張していてもよく、先細の先端を備えた遠位端部を有していてもよい。幾つかの実施形態では、1つ又はそれ以上の探針は、冷却室を備えていてもよい。1つ又は複数の探針は、電気用及び/又は冷却用の接続を1つ又は複数の探針へ提供するハブ(例えば図1で示されるハブ34)と一体化して関連付けられてもよい。更に、又は或いは、1つ又は複数の探針は、冷却室へ流入する及び冷却室から流出する冷却液の流れを促進するために冷却液流入及び流出ポートを含んでいてもよい。冷却室及び冷却液流入及び流出ポートの実施形態の例は、同一出願人による2009年3月10日出願の米国特許出願第12/401,268号「冷却誘導緩衝マイクロ波双極子アンテナ」及び米国特許第7,311,703号「マイクロ波アンテナ冷却用装置及び方法」で開示される。
【0020】
図1で示される実施形態では、エネルギーアプリケータ配列「E」は、異なる長さを有しており、実質的に互いに平行に配置された3つのエネルギーアプリケータ又は探針1、2及び3を含んでいる。探針1、2及び3は、標準的には、放射区分「R1」、「R2」及び「R3」を含んでおり、それぞれ作動可能となるように送りライン(又は軸)1a、2a及び3aによって、例えばマイクロ波又はRF電気外科発電機などの電気外科発電源16にそれぞれ接続されている。伝送ライン10、11及び12を、送りライン1a、2a及び3aをそれぞれ電気外科発電源16と電気的に連結させるために設けてもよい。
【0021】
各探針1、2及び3の遠位端部に位置するのが先端部分1b、2b及び3bであり、それぞれ、人体の臓器「OR」又は何らかの他の体組織の中へ挿入されるように構成され得る。先端部分1b、2b及び3bは、最小抵抗で組織の中へ挿入されるように鋭い先端で終端し得る。先端部分1b、2b及び3bは、例えば丸みを帯びた、平坦な、四角い、六角形の又は円柱円錐形の先端のような他の形状を含んでいてもよい。エネルギーアプリケータ配列「E」の探針の形状、サイズ及び数は、図1に描写される構成とは異なっていてもよい。
【0022】
探針1、2及び3は、それぞれが先端部分1b、2b及び3bの中に又は当該先端部分と接触してそれぞれ配置される温度センサー4、5及び6を含んでいる。温度センサー4、5及び6は、例えば熱電対、サーミスタ又は先端部分1b、2b及び3bの温度を示す信号をプロセッサユニット26へ送信することができる任意の他の型の温度感知装置であってもよい。
【0023】
本開示の実施形態による電気外科システム100は、限定的ではないが、1つ又はそれ以上のユーザーインターフェイス要素(例えば図1で示される23、24及び25)を視覚的に表示するように構成された平面グラフィックLCD(液晶ディスプレイ)のようなディスプレイ装置21を含み得るユーザーインターフェイス50を含んでいる。1つの実施形態では、ディスプレイ装置21は、例えばディスプレイ装置21との直接的な物理的なやり取り、例えばタッチペン又は指先でディスプレイ装置21のディスプレイパネルに接触することを通じてユーザー入力を受け取るタッチスクリーン性能を含んでいる。ユーザーインターフェイス要素(例えば図1で示される23、24及び/又は25)は、ユーザーインターフェイス要素と関連付けられる活動領域の中でディスプレイパネルを触れることでユーザーインターフェイス要素と関連付けられる入力はユーザーインターフェイス50によって受け取られるように、対応する活動領域を有し得る。
【0024】
ユーザーインターフェイス50は、更に、又は或いは、限定的ではないが、スイッチ(例えば押しボタンスイッチ、トグルスイッチ、スライドスイッチ)及び/又は連続的アクチュエータ(例えば回転式又は線形電位差計、加点式又は線形エンコーダ)を含んでいてもよい1つ又はそれ以上の制御要素22を含んでいてもよい。1つの実施形態では、制御要素22は、例えばディスプレイコントラスト調節、電源オン/オフなどの専用機能を有している。制御要素22は、電気外科システム100の動作モードによって変化し得る機能を更に有していてもよい。ユーザーインターフェイス要素(例えば図1で示される23)を、制御要素22の機能を表示するために設けてもよい。制御要素22は、電光指示器のような指示器、例えば単色又は可変的有色のLED(発光ダイオード)指示器を更に含んでいてもよい。
【0025】
幾つかの実施形態では、電気外科発電源16は、約300MHzから約2500MHzまでの作動周波数のマイクロ波エネルギーを提供するように構成されている。他の実施形態では、電気外科発電源16は、約300MHzから約10GHzまでの作動周波数のマイクロ波エネルギーを提供するように構成されている。電気外科発電源16は、様々な周波数の電気外科エネルギーを提供するように構成されてもよい。
【0026】
送りライン1a、2a及び3aは、適切な、可撓性を有する、半剛体又は剛体のマイクロ波導電性ケーブルから形成されてもよく、電気外科発電源16に直接的に接続されてもよい。送りライン1a、2a及び3aは、放射区分「R1」、「R2」及び「R3」の近位端部からそれぞれ送信ライン10、11及び12の遠位端まで、それぞれ1インチの長さから12インチの長さの範囲で可変的な長さを有していてもよい。送りライン1a、2a及び3aは、組織及び/又は皮膚を穿刺するのに必要な強度を標準的に提供するステンレス鋼でできていてもよい。送りライン1a、2a及び3aは、内部導体、内部導体を同軸上で取り囲む誘電材料及び誘電材料を同軸上で取り囲む外部導体を含んでいてもよい。放射区分「R1」、「R2」及び「R3」は、送りライン1a、2a及び3aの遠位部をそれぞれ放射区分「R1」、「R2」及び「R3」のそれぞれの中へ伸張している内部導体の一部分から形成されてもよい。送りライン1a、2a及び3aは、電力処理を改善するために流体、例えば食塩水、水又は他の適した冷却流体などによって冷却され得、ステンレス鋼カテーテルを含んでいてもよい。伝送ライン10、11及び12は、更に、又は或いは、冷却流体を冷却源32からエネルギーアプリケータ配列「E」まで提供するように構成された導管を提供してもよい。
【0027】
図1で示されるように、電気外科システム100は、(本明細書では「戻り」電極とも呼ばれる)基準電極19を含んでいてもよい。戻り電極19は、で伝送ライン20を介して発電源16と電気的に連結され得る。処置の間、戻り電極19は、患者の皮膚又は臓器「OR」の表面と接触するように配置され得る。外科医が、エネルギーアプリケータ配列「E]を作動させると、戻り電極19及び伝送ライン20は、発電源16から探針1、2及び3を通って流れる電流用の戻り電流経路として作用する。
【0028】
例えば電気外科システム100を使用するマイクロ波切除の間、エネルギーアプリケータ配列「E]は、組織の中へ挿入される又は組織に隣接して配置され、マイクロ波エネルギーは、そこへ供給される。超音波又はコンピュータ断層撮影(CT)による誘導を、治療のためにエネルギーアプリケータ配列「E]を組織の区分の中へ正確に導入するために使用してもよい。探針1、2及び3は、例えば外科スタッフによる従来式の外科技法を用いて経皮的に又は外科的に配置されてもよい。臨床医は、マイクロ波エネルギーを適用する時間の長さを予め決定してもよい。適用時間は、エネルギーアプリケータ設計、同時に使用されるエネルギーアプリケータの数、腫瘍のサイズ及び場所並びに腫瘍が続発性癌であるか原発性癌であるか、などの様々な因子によって決まり得る。エネルギーアプリケータ配列「E」を使用するマイクロ波エネルギー適用時間は、破壊されるべき組織区域及び/又はその周辺組織の中での熱分配の進行によって決まり得る。
【0029】
図1は、実線「T」で断面を表示された切除標的組織を含む標的領域を示している。多大な致死的熱上昇で標的領域「T」を完全に包み込むことによって標的領域「T」を切除することは望ましい。標的領域「T」は、例えば、医療撮像システム30によって検出された腫瘍であってもよい。
【0030】
様々な実施形態による、医療撮像システム30は、任意の適切な撮像モダリティのスキャナ(例えば図1で示される15)を含んでいる。スキャナ15は、画像データを提供するために臓器「OR」と接触するように配置され得る。説明用の例として、図1の2つの破線15Aは、スキャナ15、例えば実時間超音波スキャナによる検査用領域の境界を示している。幾つかの実施形態では、医療撮像システム30は、異なるモダリティを使用して走査することができる多重モーダル撮像システムであってもよい。
【0031】
電気外科システム100は、プロセッサユニット26を含んでいる。プロセッサユニット26は、任意の型の計算装置、計算回路又はプロセッサユニット26と関連付けられるメモリ(図示せず)に記憶される一連の命令を実行することができる任意の型のプロセッサ又は処置回路を含んでいてもよい。プロセッサユニット26は、オペレーティングシステムプラットフォーム及びアプリケーションプログラムを実行するように構成されてもよい。プロセッサユニット26は、キーボード(図示せず)、例えばマウス、ジョイスティック又はトラックボールなどのポインティング装置27及び/又はプロセッサユニット26と通信可能に連結された他の装置からのユーザー入力を受信し得る。
【0032】
図1では、標的領域「T」を囲む破線8は、臓器「OR」を通る断面で切除等温線を表示している。その様な切除等温線は、約50°C又はそれ以上の可能な温度を達成する表面の等温線であり得る。破線8で図示されるような、切除等温線体積の形状及びサイズは、エネルギーアプリケータ配列「E]の構成、放射区分「R1」、「R2」及び「R3」の幾何学形状、探針1、2及び3の冷却、切除時間及びワット数並びに組織インピーダンスなどの組織特性を含む様々な因子の影響を受ける。
【0033】
プロセッサユニット26は、プロセッサユニット26からの出力を表示する1つ又はそれ以上のディスプレイ装置(例えば図1で示される21)に接続されてもよく、当該装置は、切除処置などの処置の間、標的領域「T」及び/又は等温線体積8を視覚化するために臨床医によって使用され得る。複数の実施形態では、CTスキャン、超音波又はMRI(又は他の走査モダリティ)から得られる実時間データ及び/又は実時間に近いデータは、プロセッサユニット26から1つ又はそれ以上のディスプレイ装置へ出力され得る。
【0034】
電気外科システム100は、複数の熱プロファイル又はオーバーレイ202−202を含むライブラリ200を含んでいてもよい。本記述で使用される場合、「ライブラリ」は、標準的には、任意の収納庫、データバンク、データベース、キャッシュ、記憶ユニットなどを指している。オーバーレイ202−202のそれぞれは、特定のエネルギーアプリケータ設計の特性を示す及び/又は特有の熱プロファイル、特定のエネルギーアプリケータ配列及び/又は暴露時間を含み得る。ライブラリ200は、例えば1つ又はそれ以上のエネルギーアプリケータ(例えば図1で示される1、2及び3)及び/又は1つ又はそれ以上のエネルギーアプリケータ配列(例えば図1で示される「E」)と関連付けられるパラメータなどのエネルギーアプリケータデータを記憶及び読み出すように構成されたデータベース284を含んでいてもよい。切除パターントポロジー、例えばエネルギーアプリケータ配列のワイヤーフレームモデル(例えば図1で示される25)及び/又はそれらと関連付けられる放射パターンの表現などは、データベース284の中に含まれてもよい。ライブラリ200は、(標準的に、図1の58と示される)画像保管及び通信システム(PACS)データベースと通信可能に関連付けられてもよい。プロセッサユニット26は、PACSデータベース58と通信可能に関連付けられてもよい。
【0035】
ライブラリ200に記憶される及び/又はPACSデータベース58から読み出される画像及び/又は非グラフィカルデータは、電気外科システム100及び/又はその制御機能を構成するために使用され得る。推定切除サイズと関連付けられるデータは、処置の前及び/又は処置の間にデータベース(例えば図1で示される284)に記憶されてもよい。
【0036】
本開示による推定切除サイズの1つ又はそれ以上のパラメータは、機器及び/又は臨床医の動きを制御するため、例えば臨床医が大血管、健常な臓器又は生命活動に必要な膜障壁などの重要な構造を切除することを回避させるためにフィードバックツールとして使用されてもよい。推定切除サイズのパラメータの例は、体積、長さ、直径、最小直径、最大直径及び重心を、これらに限定するわけではなく含んでいる。ユーザーインターフェイス50のディスプレイ装置21で表示される画像及び/又は他の情報は、例えば組織、腫瘍及び癌細胞の切除のような組織の熱処理の間、より最適化された結果を実現する方法をより良く可視化及び理解するために臨床医によって使用され得る。
【0037】
図2は、本開示の1つの実施形態によるエネルギーアプリケータ201を含む切除システム200を示している。エネルギーアプリケータ201は、例えば経皮的に又は手術中に開放創の中へと、組織の中へ配置するための細長い軸又はカニューレ本体「C」を含んでいる。1つの実施形態では、カニューレ本体「C」は、まとめて「S」と表記されている遠隔支持要素と連結されたヘッド又はハブ要素「H」と一体化されている。
【0038】
カニューレ本体「C」は、例えばステンレス鋼、チタン等の金属ような導電材料で形成された細長い切除電極211を含んでいる。電極211は、長さ及び直径がカニューレ本体「C」の中に収まるようなサイズの、実質的に中空の管状本体を含んでいてもよい。カニューレ本体「C」の遠位端部では、電極211は、先端212を画定している。RF電力供給装置216を使用している時の作動中には、電流は、周辺組織を通過して組織を加熱させるように先端212から伝播される。
【0039】
電極211は、電極211の軸215から周辺組織へ電流が流れることを選択的に防止するために全長の一部分に絶縁被覆213を備えている。絶縁被覆213は、RF電流から介在組織を遮蔽しているので、軸215の全長沿いの組織は、露出先端212からの加熱効果以外に実質的に加熱されることはない。
【0040】
電極211の近位端部は、ハブ「H」の拡大ハウジング214と一体化されており、以下に説明するように電気的及び冷却液の接続を備えている。患者の身体の外部に配置された部分では、ハウジング214は、円筒形形状になっており、支持構成要素「S」、例えば電気的及び流体連結部への接続用ポートを画定している。ハウジング214は、電極211と一体化していて、金属で形成されていてもよく、又は以下に説明するように別個の部分組立部を構成していてもよい。ハウジング214は、プラスチックでできていてもよく、別個の電気接続部を収納するようになっていてもよい。その関連で、プラスチックハウジング214は、幾つかの状況で望ましいように、X線CT、MRI等による人為的影響の低い撮像に適している。
【0041】
ハウジング214は、ブロック218をハウジング214へしっかりと留めるルアー先細係止部219を画定するブロック218と結合している。安定化RF電源216への接続は、標準ケーブルコネクタ、リーダーワイヤ、ジャック式接続の形態又は他の設計で構成されてもよい。温度感知及び無線周波数の電気接続は、ハウジング214を貫通して、RFライン225が接合部221、例えば溶接、ろう付け又は他の方法で固定された電気的接続部によって接続される、先端212の領域まで伸張し得る。複数の実施形態では、センサーライン224は、熱センサー223、例えばサーミスタ、又は熱電対又は温度を示す信号を送信することができる任意の他の型の温度感知装置まで伸張している。熱センサー223は、先端212の温度を感知するために先端212の壁と融合されていても又は熱接触していてもよい。
【0042】
RF電源216は、図2で図示されるように基準電位と呼ばれてもよく、ハブ「H」に取り付けられたブロック218を貫通するように連結されてもよい。複数の実施形態では、RF電源216は、ライン225として表されるような電極211への電気的接続を備えたブロック218を通して接続接合部221にRF電圧を提供している。RF電源216は、マサチューセッツ州バーリントンのRadionics社から販売されるRFG−3C RF Lesion Generator Systemの例のようなRF発電機の形態であってもよい。
【0043】
先に示した通り、及び一般的な方法によると、切除電極211が患者の身体内にある時、電気回路は、身体を通って、身体の他の部分に接続された基準又は分散電極R(図2では象徴的に表現されている)へ達して閉じられる。RF電源216から伝送されるエネルギーは、先端212から流れる電流で身体組織を加熱する。その関連で、温度監視装置220は、先端212の中に又は先端212と接触するように配置される温度センサー223に、ライン222及び224によって電気的に接続されてもよい。温度センサー223は、熱電対、サーミスタ又は他の温度感知装置であってもよい。1つの実施形態では、センサー223は、先端212へ接続されている。感知温度は、所定の温度、例えば100°Cを実質的に下回る最大温度を維持しながら所望の切除を成し遂げるために、RFエネルギーの流れ又は冷却液の流れの一方又は両方を制御するために利用され得る。先端212付近の様々な場所で温度を測定するために先端212の外側に伸張するユニットを含む複数のセンサーを利用することができる。温度監視装置220として適切に使用され得る温度監視装置の例は、マサチューセッツ州バーリントンのRadionics社から販売されるTC熱電対温度監視装置を含み得る。
【0044】
このようにして、(例えば温度監視装置220によって明示される)先端212又はその付近の温度は、切除電極211を通る冷却流体の流れを制御することによって制御され得る。このようにして、組織と接触する先端212の表面区域の温度は、制御することができる。1つの実施形態では、流体源「FS」からの流体は、ハウジング214から電極211の遠位端部まで伸張し、先端212の開口端部228で終端する管226を通って切除電極211の全長に運ばれる。電極211の近位端部では、ハウジング214内部で、管226は、冷却流体を受け入れるために接続されている。流体の流れは、先端212で感知された感知温度によって調整され得、RFエネルギーの流れを増やすことを可能にする。
【0045】
流体冷却は、先端212から熱を対流除去する水又は食塩水の形態であってもよい。冷却流体を供給するリザーバ又は源ユニットは、冷却された水、食塩水又は他の流体の大型のリザーバであってもよい。単純な例として、約0°Cの温度で冷却液を維持するために、角氷の入った水のタンクを使うことができる。別の例では、流体源「FS」は、蠕動ポンプ又は他の流体ポンプを内蔵していることがあり得、又は袋又は剛体タンクから流体を供給する単なる重力送り装置であり得る。
【0046】
先端212から離れる流れは、矢印242及び243で図示されるように出口ポート240を通ってハブ「H」から出るようにハブ「H」に戻る。ポートは、単純な連結部、剛体ユニットの形態になっていてもよく、又は電極211へ伝播されるトルクを減らすために可撓性を有する管状連結部を含んでいてもよい。冷却液流れ部材は、使用し易くするために、単純に、プラスチックルアー接続部を備えたPVC管の形態であってもよい。
【0047】
冷却液の流れによって、電極211の内部、例えば電極先端212を、流体源「FS」の温度に近い温度に維持することができる。冷却液は、図2で図示するような閉システムの中で循環することができる。幾つかの状況では、流体流れの方向を図2で描写されるものから逆転させることが望ましい場合がある。冷却と共にRF加熱を伴う協調的な動作は、マイクロプロセッサ244によって実現され得る。その関連で、マイクロプロセッサ244は、流動率及び温度に関するデータを受信して制御を行うために、RF電源216、温度監視装置220及び流体源「FS」と連結される。統合された動作は、制御された様式の温度監視装置20からのフィードバックを用いて提供され得、様々な機能を同時に遂行することができる。複数の実施形態では、冷却によって支援されることで、切除電極211は、抑制、変更制御又は安定化され得る。その様な制御動作は、標的腫瘍の大きさに応じた平衡温度分配を達成するために先端212付近の組織の温度を効果的に下げ得る。
【0048】
先端212付近の組織での温度分配は、標準的には、放射区分「R」及び/又は先端212からのRF電流及び放射区分「R」及び/又は先端212に隣接する組織の温度によって決まる。先端温度は、源「FS」からの流体の温度に近似するように制御することができる。このように、熱境界条件は、放射区分「R」及び/又は先端212付近の組織の温度を、凡そ先端自身の温度、例えば先端212の内側の冷却流体の温度に近づけて維持することで確立される。従って、温度制御によって、外科医は、RF加熱工程と幾らか無関係であり得る電極放射区分「R」及び/又は先端212の境界で画定温度を課することができ、組織の中での温度分配を劇的に修正することができる。
【0049】
図3は、切除後の温度プロファイルグラフを示している。グラフは、t、t+25秒、t+50秒、t+100秒及びt+150秒に相当する時間での活性電極からの半径方向距離(cm)に関する組織温度(°C)に対応した5つの異なる曲線を示している。
【0050】
図4は、本開示の1つの実施形態によるエネルギーアプリケータの活性電極先端で記録された活性電極温度監視データの近似線グラフを示している。
【0051】
これより、エネルギーアプリケータと関連付けられる温度情報に応じて切除サイズを査定する方法を、図5を参照しながら説明し、更にエネルギーを組織へ方向付ける方法を、図6を参照しながら説明してゆく。本明細書で提供される方法の段階は、本開示の範囲から逸脱すること無く、組み合わせて及び本明細書で提示されるものとは異なる順番で実行されてもよいことを理解頂きたい。
【0052】
図5は、本開示の1つの実施形態によるエネルギーアプリケータと関連付けられる温度情報に応じて切除サイズを査定する方法を図解している流れ図である。段階510では、エネルギーアプリケータ(例えば図1で示されるエネルギーアプリケータ配列「E」のエネルギーアプリケータ1)は、組織「T」の中に配置される。エネルギーアプリケータ1は、放射区分「R1」及び温度センサー4を含んでいる。幾つかの実施形態では、温度センサー4は、エネルギーアプリケータ1の遠位先端部分1bの内部に設置されている。放射区分「R1」は、作動可能となるようにエネルギー源16と連結されている。エネルギーアプリケータ1は、放射区分「R1」及びエネルギー源16と電気的に連結された伝送ライン10との間に電気的に連結された送りライン1aを含んでいてもよい。
【0053】
段階520では、エネルギー源16からのエネルギーは、放射区分「R1」を通って組織「T」へ送達される。複数の実施形態は、マイクロ波周波数又は他の周波数の電磁放射線を使用して実施されてもよい。幾つかの実施形態では、エネルギー源16は、エネルギーを出力することができる電気外科発電源である。
【0054】
段階530では、エネルギーを放射区分「R1」を通して組織「T」へ送達することを所定の時間間隔の間停止させる。所定の時間間隔は、任意の適切な間隔であってもよい。幾つかの実施形態では、所定の時間間隔は、約1秒から約3分までであってもよい。エネルギーを放射区分「R1」を通して組織「T」へ送達することを所定の時間間隔の間停止させることは、電気外科発電源と関連付けられる1つ又はそれ以上の動作パラメータを制御することを含み得る。
【0055】
段階540では、所定の時間間隔の少なくとも一部の間、エネルギーアプリケータ1と関連付けられる温度情報を取得するために、所定の時間間隔の少なくとも一部の間、温度センサー4を監視する。温度センサー4を手術前又は手術後に監視してもよい。
【0056】
段階550では、段階540で取得された温度情報を、切除サイズを査定するために評価する。複数の実施形態では、切除サイズは、エネルギーアプリケータ1又はその一部、例えばその先端部分の温度の変化率、すなわち温度センサー4が達する最大温度及び温度センサー測定の時間積分の1つ又はそれ以上に応じて査定されてもよい。
【0057】
図6は、本開示の1つの実施形態によるエネルギーを組織へ方向付ける方法を図解している流れ図である。
【0058】
段階610では、エネルギーアプリケータ(例えば図2で示される201)が提供される。エネルギーアプリケータ201は、作動可能となるように電気外科発電源216と連結された放射区分「R」及び作動可能となるように放射区分「R」と連結された温度センサー223を含んでいる。電気外科発電源216は、様々な周波数の電磁エネルギーを提供するように構成され得る。
【0059】
段階620では、エネルギーアプリケータ201は、組織の中に配置される。エネルギーアプリケータ201は、直接的に組織の中へ挿入されること、管腔、例えば静脈、針又はカテーテルの中を通して挿入されること、臨床医によって手術中に身体の中へ設置されること又は他の適した方法で身体の中に配置されること、ができる。エネルギーアプリケータ201を治療される組織の区域の中へ正確に誘導するために、超音波、コンピュータ断層撮影(CT)誘導又は他の誘導を、使用してもよい。
【0060】
段階630では、電気外科発電源216からのエネルギーは、第1の所定の時間間隔の間、放射区分「R」を通って組織に送達される。第1の所定の時間間隔は、任意の適切な時間間隔であってもよいが、30秒及び2分の間の間隔は、組織の温度を明らかに上昇させるものであることが確認された。
【0061】
段階640では、温度センサー223は、放射区分と関連付けられる温度情報を取得するために第2の所定の時間間隔の間監視される。当該段階は、エネルギーアプリケータ201の先端部分212の温度を示す信号を受信することを含んでいてもよく、温度センサー223からの前述の信号は、プロセッサユニット224によって受信される。
【0062】
幾つかの実施形態では、第1及び第2の所定の時間間隔は、連続的な時間間隔になっている。幾つかの実施形態では、段階640で、第2の所定の時間間隔の間、温度センサー223を監視することは、例えば第2の所定の時間間隔の間、エネルギーを放射区分「R」を通して組織に送達することを停止させるために、電気外科発電源216と関連付けられる1つ又はそれ以上の動作パラメータを制御することを含んでいる。
【0063】
段階650では、温度情報は、切除体積を推定するために評価される。当該推定は、例えば球体又は回転楕円体の体積に対する方程式を用いることで査定された切除サイズから決定され得る。
【0064】
段階660では、電気外科発電源216と関連付けられる1つ又はそれ以上の動作パラメータは、推定切除体積の1つ又はそれ以上のパラメータに基づいて決定される。電気外科発電源216と関連付けられる動作パラメータの例は、限定的ではないが、電磁エネルギーの温度、インピーダンス、電力、電流、電圧、動作モード及び適用時間を含んでいる。推定切除体積のパラメータの例は、限定的ではないが、体積、長さ、直径、最小直径、最大直径及び重心を含んでいる。
【0065】
1つの実施形態では、エネルギーを組織へ方向付ける現下開示される方法は、第3の所定の時間間隔の間、エネルギーを電気外科発電源216から放射区分「R」を通して組織まで送達し、放射区分と関連付けられる補足温度情報を取得するために第4の所定の時間間隔の間、温度センサー223を監視し、更に推定切除体積の変化を査定するために補足温度情報を評価する追加的な段階を含んでいる。上述の追加的段階は、任意の適切な回数反復されてもよく、それぞれの反復で、電気外科発電源216と関連付けられる1つ又はそれ以上の動作パラメータは、推定切除体積の変化に基づいて決定され得る。幾つかの実施形態では、第1、第2、第3及び第4の所定の時間間隔は、連続的な時間間隔である。
【0066】
先に記載したシステム及び方法は、処置、例えば切除処置の計画及び効果的な実行を容易にするために切除サイズを査定するためにエネルギーアプリケータと関連付けられる温度データの使用を含んでいてもよい。
【0067】
先に記載したシステム及び方法は、エネルギーアプリケータの温度の変化率に応じて切除サイズを査定するためにエネルギーアプリケータ温度監視の使用を含んでいてもよい。先に説明したように、推定切除体積の1つ又はそれ以上のパラメータを含むデータは、PACSデータベースに記憶され得、記憶された画像データは、処置の前及び/又は処置の間、例えば切除処置の計画及び効果的な実行を容易にするためにPACSデータベースから読み出され得る。
【0068】
先に記載したように、処置の間、例えば処置の間切除サイズの査定で使用するために、温度データを1つ又はそれ以上のエネルギーアプリケータから受信してもよい。電気外科発電源と関連付けられる1つ又はそれ以上の動作パラメータは、切除処置の間に査定される切除サイズに応じて決定されてもよい。
【0069】
本開示の様々な実施形態によると、上述の方法で決定されるような切除サイズは、電気外科装置の配置(例えば大血管、健康な臓器又は生体膜障壁のような敏感な構造を切除することを避けるために指向性放射パターンを備えたエネルギーアプリケータの回転)を制御するために、及び/又はエネルギーアプリケータと作動可能となるように関連付けられる電気外科発電源を制御するために使用されてもよい。
【0070】
複数の実施形態を、例証及び解説の目的で添付図面と参照しながら詳細に説明してきたが、それによって発明の工程及び器械が制限を課されると解釈されるものではないことを理解頂きたい。本開示の範囲を逸脱すること無く、前述の実施形態に様々な変更を施すことができることは、当業者には自明であろう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6