【実施例】
【0047】
次に、本発明を実施例により具体的に説明する。なお、実施例及び比較例における処理、物性は、下記手段に準じて実施、測定した。
【0048】
1.オートクレーブ処理
(株)平山製作所製、高圧蒸気滅菌器「HV50型」を用いて行った。条件は135℃下80分間であり、当該オートクレーブ処理の前に所定条件の洗濯を、後にタンブル乾燥を組み合わせた工程を1サイクルとした。
【0049】
2.膜の破断強伸度
(株)島津製作所製「オートグラフAGS−5kNG型」を用い、引張速度200mm/分で測定した。
【0050】
3.積層布帛の耐水圧(防水性試験)
繊維布帛、硬化型接着剤及びポリアミド系エラストマー膜を順次積層したものについては、繊維布帛を上側(エラストマー膜を下側)に向けて測定した。これは、膜を下側に向けると、繊維布帛とエラストマー膜との間に水が浸入しやすくなり、結果、膜破裂しやすくなるからである。裏地をさらに備えたものについては、裏地を下側に向け測定した。
【0051】
4.剥離強度
JIS L1089 6.10に基づいて経方向の剥離強度を測定した。
【0052】
(
参考例1)
経糸、緯糸の双方に、ポリエチレンテレフタレートマルチフィラメント糸83dtex72fを用いて、経糸密度110本/2.54cm、緯糸密度90本/2.54cmの平組織織物を製織した。
【0053】
製織後、精練剤(日華化学(株)製「サンモールFL」)を1g/L用いて、織物を80℃で20分間精練し、分散染料(ダイスタージャパン(株)社製「Dianix Blue UN-SE」)を0.5%omf含む染浴で織物を130℃で30分間染色した。続いて、170℃で1分間ファイナルセットした後、市販のフッ素系撥水剤エマルジョン(旭硝子(株)製「アサヒガードAG−E061」、固形分20質量%)を用いて有効成分5質量%の水分散液を調製し、パディング法に準じて織物に水分散液をピックアップ率40%の割合で付与した。付与後、120℃下2分間の乾燥に続き、170℃で40秒間熱処理して、繊維布帛を得た。
【0054】
次に、ポリエーテルブロックアミド共重合体(アルケマ(株)製「Pevax MV3000」及び「Pevax MV1041」)と、耐候性向上剤(アルケマ(株)製「MM33SU01」)とを用意した。なお、かかる2種のポリエーテルブロックアミド共重合体は、ナイロン12を主体に構成されるポリアミドブロックと、ポリエチレングリコールを主体に構成されるポリエーテルブロックとを備え、ポリアミドブロックがハードセグメントを、ポリエーテルブロックがソフトセグメントをそれぞれ構成する。
【0055】
ポリエーテルブロックアミド共重合体と耐候性向上剤とを、「Pevax MV3000」/「Pevax MV1041」/「MM33SU01」=70/30/5の割合でドライブレンドし、Tダイ押出成形機(口径30mm、C/R:2.75、L/D:38)を用いて温度210℃で溶融押出した後、冷却しながら経方向に延伸することで、厚み約15μmのポリアミド系エラストマー膜を得た。なお、当該エラストマー膜の物性を測定したところ、100%モジュラスは経8.2MPa、緯7.5MPaであり、破断強度は経29MPa、緯25MPa、破断伸度は経620%、緯580%であり、さらに、透湿性は27500g/m
2・24hrsであった。
【0056】
さらに、硬化型接着剤として反応性ホットメルト型ポリウレタン系接着剤(DIC(株)製「タイフォースNH−320」)を用意し、これを120℃で溶融した後(溶融粘度2500mPa・s)、42メッシュのドット状グラビアロール(ドット径0.5mm、ドット間隔0.1mm、接着面積63%、深度0.1mm)を用いて、前記エラストマー膜の表面に、接着剤の占有面積が膜表面(塗布面)の全面積に対し約60%となるよう接着剤を部分的に約50g/m
2塗布した。
【0057】
そして、接着剤を自然冷却した後、接着剤を塗布した面の上から前記繊維布帛を重ね、圧力300kPaで熱圧着し、常温で3日間エージングすることで、
積層布帛を得た。
【0058】
(
参考例2)
「Pebax MV1041」と、「Pevax MV3000」と、耐候性向上剤(アルケマ(株)製「MM33SU01」)とを30/70/3の割合でドライブレンドしたものを、温度220℃で溶融押出してポリアミド系エラストマー膜を得る以外は、
参考例1と同様に行い、積層布帛を得た。
【0059】
なお、当該エラストマー膜の物性を測定したところ、100%モジュラスは経13MPa、緯12MPaであり、破断強度は経45MPa、緯38MPa、破断伸度は経510%、緯500%であり、さらに、透湿性は13600g/m
2・24hrsであった。
【0060】
(
参考例3)
ポリエチレンテレフタレートマルチフィラメント糸28dtex/7fを用いて、28ゲージのトリコット編地を編成し、通常の方法で精練し、裏地とした。
【0061】
次に、上記ポリウレタン系接着剤「タイフォースNH−320」を120℃で溶融した後、56メッシュのドット状グラビアロール(ドット径0.4mm、ドット間隔0.05mm、接着面積71%、深度0.08mm)を用いて、
参考例2で得た積層布帛のエラストマー膜表面に、接着剤の占有面積が膜表面(塗布面)の全面積に対し約65%となるよう接着剤を部分的に約35g/m
2塗布した。
【0062】
そして、接着剤を自然冷却した後、接着剤を塗布した面の上から前記裏地を重ね、以降は
参考例1と同様に行い、積層布帛を得た。
【0063】
(実施例4)
Tダイ押出成形機(口径30mm、C/R:2.75、L/D:38)を用いて、ポリエーテルブロックアミド共重合体(アルケマ(株)製「Pevax MV1041」)を温度230℃で溶融押出した後、冷却しながら経方向に延伸することで、厚み約12μmのポリアミド系エラストマー膜を得た。エラストマー膜の物性は、100%モジュラスが経17MPa、緯15MPa、破断強度が経85MPa、緯71MPa、破断伸度が経750%、緯670%、透湿性が10060g/m
2・24hrsであった。
【0064】
そして、硬化型接着剤として下記処方1に示す組成のポリカーボネート型ポリウレタン系接着剤(固形分48質量%、粘度2700mPa・s(25℃))を用意し、
参考例1で用いたドット状グラビアロールを用いて、前記エラストマー膜の表面に、接着剤の占有面積が膜表面(塗布面)の全面積に対し約60%となるよう接着剤を部分的に約100g/m
2塗布した。
【0065】
続いて、120℃で2分間乾燥した後、接着剤を塗布した面の上から
参考例1で用いた繊維布帛を重ね、以降は
参考例1と同様に行った。
【0066】
<処方1>
ポリカーボネート型ポリウレタン系樹脂溶液 100質量部
(大日精化工業(株)製「レザミンUD8348」、固形分70質量%)
イソシアネート系架橋剤溶液 8質量部
(大日精化工業(株)製「レザミンUD架橋剤」、固形分75質量%)
架橋促進剤溶液 1質量部
(大日精化工業(株)製「HI101」、固形分22質量%)
トルエン 25質量部
メチルエチルケトン 25質量部
【0067】
次に、80メッシュのドット状グラビアロール(ドット径0.25mm、ドット間隔0.05mm、接着面積60%、深度0.07mm)を用いて、前記エラストマー膜のもう一方の表面に、接着剤の占有面積が膜表面(塗布面)の全面積に対し約55%となるよう上記ポリカーボネート型ポリウレタン系接着剤を部分的に約80g/m
2塗布した。
【0068】
そして、120℃で2分間乾燥した後、接着剤を塗布した面の上から
参考例3で用いた裏地を重ね、圧力300kPaで熱圧着し、40℃で3日間エージングすることで、本発明の積層布帛を得た。
【0069】
(比較例1)
コンマコータを用いて、離型紙(リンテック(株)製「EV130TPO」)の離型面に、下記処方2に示す組成のポリウレタン系接着剤(固形分23質量%)を全面状に65g/m
2塗布し、100℃で3分間乾燥することで、厚み約15μmのポリウレタン系エラストマー膜を得た。当該エラストマー膜の物性は、100%モジュラスが経8.5MPa、緯8.0MPa、破断強度が経62MPa、緯61MPa、破断伸度が経570%、緯560%、透湿度が28600g/m
2・24hrsであった。
【0070】
<処方2>
エーテル型透湿防水性ポリウレタン系樹脂溶液 100質量部
(三洋化成工業(株)製「サンプレンHMP−17A」、固形分30質量%)
メチルエチルケトン 30質量部
【0071】
次に、ポリアミド系エラストマー膜に代えて上記ポリウレタン系エラストマー膜を用いる以外は、
参考例1と同様に行い、積層布帛を得た。
【0072】
(比較例2)
参考例3における方法を準用して、比較例1で得た積層布帛のエラストマー膜表面に、
参考例3で用いた裏地を積層することで、積層布帛を得た。
【0073】
(比較例3)
<処方1>中からイソシアネート系架橋剤溶液を抜いた以外は、実施例4と同様に行い、積層布帛を得た。
【0074】
上記実施例、
参考例及び比較例で得た積層布帛の物性を下記の表1に示す。
【0075】
なお、表中、「家庭洗濯/湿熱処理」とは、JIS L0217 103法に基づく洗濯を10回繰り返した後、60℃で30分間タンブル乾燥し、135℃で80分間オートクレーブ処理し、さらに60℃で30分間タンブル乾燥する工程を1サイクルとして、積層布帛に対しこれを10サイクル繰り返すこという。また、「工業洗濯/湿熱処理」とは、上述の条件で工業洗濯した後、135℃で80分間オートクレーブ処理し、さらに60℃で30分間タンブル乾燥する工程を1サイクルとして、積層布帛に対しこれを10サイクル繰り返すこという。
【0076】
さらに、「初期」とは、上記する一連の洗濯、オートクレーブ処理を実施する前の段階をいう。
【0077】
【表1】
【0078】
本発明の積層布帛は、洗濯耐久性、耐湿熱性及び耐アルカリ性に優れるものである。特に、裏地を備えた
参考例3、
実施例4にかかる積層布帛は、工業洗濯に十分耐えうるだけの耐久性を有するものであった。
【0079】
これに対し、エラストマー膜としてポリアミド系ではなくポリウレタン系のものを用いた比較例1、2では、膜の損傷が激しく使用に耐えられるものでなかった。また、比較例3では、架橋剤を使用しなかったため、一連の洗濯、オートクレーブ処理の途中、具体的には3サイクル目の途中で繊維布帛から膜が剥離した。このため、透湿防水性を評価できなかった。