【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、一部分において、触媒された脂肪族ポリカーボネート重合反応の生成物から触媒を除去するための方法を提供する。一態様において、この触媒は、金属配位子錯体である。一態様では粗生成物は、ポリ(プロピレンカーボネート)(「PPC」)を含有する。本明細書中の開示の様々な態様が、PPCの使用を介して図示されているが、本開示の目的は、手順および方法を、様々な脂肪族ポリカーボネートへと拡大することである。
【0006】
様々な態様において、本開示に従い利用される触媒は、金属配位子錯体を含み得る。様々な態様では、配位子は、サレンまたはポルフィリン(prophyrin)配位子を含み得る。本明細書中の開示の様々な態様が、コバルトサレン触媒の使用を介して図示されているが、本開示の目的は、合成手順および関連の方法を、遷移金属の様々なサレン錯体を利用した触媒系へと拡大することである。例えば、金属は、遷移金属、例えば、6族、7族、9族、12族などから選択することができる。代表的な遷移金属として、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、モリブデン(Mo)、カドミウム(Cd)または他の遷移金属触媒を挙げることができる。本開示を認識した当業者であれば、本明細書中に記載されている他の金属を中心とする様々な錯体は公知である。このような系は、任意の1つの合成系に関して最適な結果を示さない可能性もあるが、所望の触媒活性を達成するという問題は、慣例となっている実験法により対処することができる。したがって、付随する図、実施例および記載において、以下でより完全に記載されているように、本開示の関連する目的は、様々な遷移金属配位子錯体について、特定の用途に対してどれが望ましいか判定することができる選択を含む。
【0007】
様々な態様では、ポリカーボネート重合反応は、共触媒を含む。様々な実施形態では、共触媒は、ルイス塩基である。他の実施形態では、共触媒は塩である。様々な態様では、塩は、アンモニウム塩、ホスホニウム塩またはアルソニウム塩である。様々な態様では、共触媒は、N−メチルイミダゾール(「N−MeIm」)、ジメチルアミノピリジン(「DMAP」)または1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(「DABCO」)である。様々な態様では、共触媒は、第四級アンモニウム塩である。一部の態様では、共触媒は、テトラアルキルアンモニウム塩である。様々な態様では、共触媒は、テトラ−n−ブチルアンモニウムクロリド[(n−Bu)
4NCl]、テトラ−n−ブチルアンモニウムブロミド[(n−Bu)
4NBr]、テトラ−n−ブチルアンモニウムアジド[(n−Bu)
4NN
3]である。様々な態様では、共触媒は、ビス(トリフェニルホスフィン)イミニウム(PPN)塩である。特定の態様では、PPN塩は、ビス(トリフェニルホスフィン)イミニウムクロリド[[PPN]Cl]、ビス(トリフェニルホスフィン)イミニウムブロミド[[PPN]Br]、ビス(トリフェニルホスフィン)イミニウムアセテート[[PPN]OAc]、ビス(トリフェニルホスフィン)イミニウムトリフルオロアセテート[[PPN]TFA]、ビス(トリフェニルホスフィン)ペンタフルオロベンゾエートまたはビス(トリフェニルホスフィン)イミニウムアジド[[PPN]N
3]である。
【0008】
様々な態様では、本開示の方法は、APC溶液を、固相に接触させることを含む。様々な態様では、固相はポリマーを含む。様々な態様では、ポリマーは、ポリスチレン、ジビニルベンゼン、ポリビニルピリジン、ポリメチルメタクリレート、ポリオレフィン、ポリテトラフルオロエチレンおよびこれらの組合せまたは誘導体であってよい。他の態様では、固相は、無機の固体を含む。様々な態様では、無機の固相は、シリカ、アルミナ、ジルコニア、モレキュラーシーブ、ゼオライト、粘土またはこれらの誘導体および組合せであってよい。様々な態様では、固相は、強酸カチオン樹脂を含む。様々な態様では、強酸カチオンは、スルホン酸カチオンであってよい。本開示の一態様では、触媒の除去は、粗反応生成物の溶液とイオン交換樹脂との間の相互作用により遂行される。様々な態様では、触媒除去の効力は、比色分析により測定される。様々な態様では、固相は、イオン交換樹脂のビーズを含む。様々な態様では、固相は、多孔性物質であってよい。様々な態様では、接触のステップは、バッチ処理により実施される。様々な態様では、接触のステップは、連続プロセスである。様々な態様では、接触のステップは、充填カラム内で実施される。一態様では、触媒除去の効力は、UVおよび/または可視光(「UV/Vis」)分光法により測定される。様々な態様では、本開示の方法は、溶液を第2の固相に接触させることを含む。様々な態様では、第2の固相は、ポリマーを含む。様々な態様では、ポリマーは、ポリスチレン、ジビニルベンゼン、ポリビニルピリジン、ポリメチルメタクリレート、ポリオレフィン、ポリテトラフルオロエチレンおよびこれらの組合せまたは誘導体であってよい。他の態様では、第2の固相は、無機の固体を含む。様々な態様では、無機の固相は、シリカ、アルミナ、ジルコニア、モレキュラーシーブ、ゼオライトまたは粘土であってよい。様々な態様では、第2の固相は、酸吸収性樹脂を含む。様々な態様では、酸吸収性樹脂は、固定された塩基を含有するポリマー樹脂であってよい。
例えば、本発明は、以下の項目を提供する。
(項目1)
触媒により触媒作用を受けた脂肪族ポリカーボネート重合反応の生成物から該触媒を除去する方法であって、該触媒が遷移金属配位子錯体を含み、該重合反応の該生成物を、イオン交換体を含む固相と接触させるステップを含む方法。
(項目2)
前記イオン交換体がイオン交換樹脂を含む、項目1に記載の方法。
(項目3)
前記イオン交換樹脂が、ポリスチレン、ジビニルベンゼン、ジビニルベンゼンで架橋結合したポリスチレン、ポリビニルピリジン、ポリメチルメタクリレート、ポリオレフィンおよびポリテトラフルオロエチレンからなる群から選択されるポリマーを含む、項目2に記載の方法。
(項目4)
前記イオン交換樹脂が、ジビニルベンゼンで架橋結合したポリスチレンを含む、項目2に記載の方法。
(項目5)
前記イオン交換樹脂が、カチオン交換樹脂を含む、項目2に記載の方法。
(項目6)
前記カチオン交換樹脂が酸を含む、項目5に記載の方法。
(項目7)
前記カチオン交換樹脂がスルホン酸樹脂を含む、項目5に記載の方法。
(項目8)
前記イオン交換体が無機の固相を含む、項目1に記載の方法。
(項目9)
前記無機の固相が、シリカ、アルミナ、ジルコニア、モレキュラーシーブ、ゼオライトおよび粘土からなる群から選択される、項目8に記載の方法。
(項目10)
前記重合反応が、共触媒をさらに含む、項目1に記載の方法。
(項目11)
前記共触媒が、ルイス塩基である、項目10に記載の方法。
(項目12)
前記ルイス塩基が、N−メチルイミダゾール(N−MeIm)、ジメチルアミノピリジン(DMAP)または1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)である、項目11に記載の方法。
(項目13)
前記共触媒が、塩である、項目10に記載の方法。
(項目14)
前記塩が、アンモニウム塩、ホスホニウム塩またはアルソニウム塩である、項目13に記載の方法。
(項目15)
前記アンモニウム塩が、テトラ−n−ブチルアンモニウムクロリド、テトラ−n−ブチルアンモニウムブロミド、テトラ−n−ブチルアンモニウムアジド、ビス(トリフェニルホスフィン)イミニウムクロリド、ビス(トリフェニルホスフィン)イミニウムブロミドまたはビス(トリフェニルホスフィン)イミニウムアセテートである、項目14に記載の方法。
(項目16)
前記ホスホニウム塩が、テトラフェニルホスホニウムアセテートである、項目14に記載の方法。
(項目17)
前記金属が、6族遷移金属である、項目1に記載の方法。
(項目18)
前記遷移金属が、クロムまたはモリブデンである、項目17に記載の方法。
(項目19)
前記遷移金属が、7族遷移金属である、項目1に記載の方法。
(項目20)
前記遷移金属が、マンガンである、項目19に記載の方法。
(項目21)
前記遷移金属が、9族遷移金属である、項目1に記載の方法。
(項目22)
前記遷移金属が、コバルトである、項目21に記載の方法。
(項目23)
前記遷移金属が、12族遷移金属である、項目1に記載の方法。
(項目24)
前記遷移金属が、カドミウムである、項目23に記載の方法。
(項目25)
前記遷移金属配位子錯体が、サレン配位子を含む、項目1に記載の方法。
(項目26)
前記サレン配位子が、以下からなる群から選択される、項目25に記載の方法
【化24】
(式中、
Rdは、出現するたびに、独立して、
【化25】
の基、場合によって置換されているC1〜C20脂肪族、場合によって置換されているC1〜C20ヘテロ脂肪族、場合によって置換されている6から14員のアリール、場合によって置換されている5から14員のヘテロアリール、ハロゲン、−OR10、−OC(O)R13、−OC(O)OR13、−OC(O)NR11R12、−CN、−CNO、−C(O)R13、−C(R13)zH(3−z)、−C(O)OR13、−C(O)NR11R12、−NR11R12、−N+(R11)3、−NR11C(O)R10、−NR11C(O)OR13、−NR11SO2R13、−NCO、−N3、−NO2、−S(O)xR13m −SO2NR11R12、−NO2、−C(R13)zH(3−z)、−(CH2)kR14、−(CH2)k−Z−R16−、および−(CH2)k−Z−(CH2)m−R14からなる群から選択され、2つ以上の適切なRd基は、介在する原子と一緒になって、1つまたは複数の環を形成することができ、
Rd’は、出現するたびに、独立して、−H、C1−C12アルキル、C2−C12アルケニル、C2−C12アルキニル、−CN、−CNO、−C(O)R13、−C(R13)zH(3−z)、−C(O)OR13、−C(O)NR11R12、−C(R13)zH(3−z)、−(CH2)kR14、−(CH2)k−Z−R16−、−(CH2)k−Z−(CH2)m−R14からなる群から選択され、2つ以上の適切なRd’基は、介在する原子と一緒になって、1つまたは複数の環を形成することができ、
Aは、−O−、−S(O)x−、−(CH2)−、−C(O)−、−C(=NOR10)−、−(C(R14)xH(2−x))k−、C3からC8の置換または非置換の炭素環およびC1〜C8の置換または非置換の複素環からなる群から選択される二価のリンカーであり、
R10は、出現するたびに、独立して、−H、−C(R13)zH(3−z)、C1〜C12アルキル、C2〜C12アルケニル、C2〜C12アルキニル、C12までの炭素環、C12までの複素環、−S(O)2R13、−Si(R15)3およびヒドロキシル保護基からなる群から選択され、
R11およびR12は、出現するたびに、独立して、−H、場合によって置換されているC1〜C20脂肪族、場合によって置換されているC1〜C20ヘテロ脂肪族、場合によって置換されている6から14員のアリール、場合によって置換されている5から14員のヘテロアリールおよび−C(R13)zH(3−z)からなる群から選択され、R11およびR12は、両方存在する場合、場合によって、これらが結合している原子と一緒になって、3〜10員の環を形成することができ、
R13は、出現するたびに、−H、場合によって置換されているC1〜C20脂肪族、場合によって置換されているC1〜C20ヘテロ脂肪族、場合によって置換されている6〜14員のアリール、場合によって置換されている5〜14員のヘテロアリールからなる群から独立して選択される、場合によって置換されている部分であり、
R14は、出現するたびに、独立して、ハロゲン、−OR10、−OC(O)R13、−OC(O)OR13、−OC(O)NR11R12、−CN、−CNO、−C(R13)zH(3−z)、−C(O)R13、−C(O)OR13、−C(O)NR11R12、−NR11R12、−NR11C(O)R13、−NR11C(O)OR10、−NR11SO2R13、−NCO、−N3、−NO2、−S(O)xR13、−SO2NR11R12、C12までの複素環およびC12までの炭素環からなる群から選択され、
R15は、出現するたびに、独立して、C1〜C6アルキル、C2〜C6アルケニル、C2〜C6アルキニル、およびC12までの置換または非置換の炭素環からなる群から選択され、
R16は、出現するたびに、独立して、C1〜C12アルキル、C2〜C12アルケニル、C2〜C12アルキニル、C12までの複素環、C12までの炭素環および−C(R13)zH(3−z)からなる群から選択され、
Zは、−(CH=CH)a−、−(CH=CH)a−、−C(O)−、−C(=NOR11)−、−C(=NNR11R12)−、−O−、−N(R11)−、−N(C(O)R13)−、−S(O)x−、ポリエーテル、およびポリアミンからなる群から選択される二価のリンカーであり、
aは、1、2、3または4であり、
【化26】
は、共有結合テザーを介して前記配位子に結合している、1つまたは複数の、独立して定義された共触媒部分を表し、
各Z’は、独立して、本明細書中に記載されている前記重合反応において、共触媒として作用することが可能な任意の部分を表し、適切な共触媒部分として、これらに限らないが、アンモニウム塩、ホスホニウム塩、アルソニウム塩、グアニジウム塩、アゾニウム塩、アミノ基、ホスフィン基、グアニジン基、アミジン基、複素環基およびヘテロアリール基が挙げられ、mは、1から4の整数(1と4を含む)であり、前記テザー上に存在するZ’基の数を表し、
【化27】
は、1つまたは複数の原子からなる共有結合のテザーを表し、
kは、1から8の整数(1と8を含む)であり、
mは、1から8の整数(1と8を含む)であり、
xは、0、1または2であり、
yは、0、1、2、3または4であり、
zは、1、2または3である)。
(項目27)
前記触媒の遷移金属錯体が、以下からなる群から選択される、項目26に記載の方法
【化28】
(式中、Mは遷移金属である)。
(項目28)
前記触媒の遷移金属錯体が、以下からなる群から選択される、項目27に記載の方法
【化29】
(式中、Mは遷移金属である)。
(項目29)
前記遷移金属配位子錯体が、ポルフィリン配位子を含む、項目1に記載の方法。
(項目30)
前記遷移金属配位子錯体が、重合開始剤を含む、項目1に記載の方法。
(項目31)
前記脂肪族ポリカーボネートが、ポリ(プロピレンカーボネート)、ポリ(エチレンカーボネート)、ポリ(シクロヘキセンカーボネート)、ポリ(ブチレンカーボネート)、ポリ(シクロペンテンカーボネート)、ポリ(シクロオクテンカーボネート)、ポリ(リモネンカーボネート)、およびポリ(ノルボルネンカーボネート)からなる群から選択される、項目1に記載の方法。
(項目32)
前記生成物が、溶媒を含む、項目1に記載の方法。
(項目33)
前記溶媒が、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、アセトン、ブタノン、テトラヒドロフランおよびこれらの組合せからなる群から選択される、項目32に記載の方法。
(項目34)
前記生成物が、実質的にエポキシドを含まない、項目1に記載の方法。
(項目35)
前記接触のステップの前に、前記触媒作用を受けた脂肪族重合反応が、酸でクエンチされた、項目1に記載の方法。
(項目36)
前記酸が、非求核性アニオンを含有する、項目35に記載の方法。
(項目37)
前記酸が、p−トルエンスルホン酸である、項目35に記載の方法。
(項目38)
前記固相が、複数のビーズを含み、前記接触のステップが、前記生成物を前記複数のビーズと接触させることを含む、項目1に記載の方法。
(項目39)
前記複数のビーズが、カラム内に配置され、前記接触のステップが、該カラムに前記生成物を流し込むことを含む、項目38に記載の方法。
(項目40)
前記接触のステップが、前記生成物を、前記カラムを通して再循環させることを含む、項目39に記載の方法。
(項目41)
前記複数のビーズが、容器内に配置され、前記接触のステップが、前記生成物と前記複数のビーズを混合することを含む、項目38に記載の方法。
(項目42)
前記固相が、多孔性物質を含み、前記接触のステップが、前記生成物を該多孔性の物質と接触させることを含む、項目1に記載の方法。
(項目43)
前記接触のステップが、前記生成物を前記多孔性物質の少なくとも一部分に流し込むことを含む、項目42に記載の方法。
(項目44)
前記固相が、ポリスチレン、ジビニルベンゼンおよびこれらの組合せからなる群から選択されるポリマーを含む、項目1に記載の方法。
(項目45)
前記固相が、シリカを含む、項目1に記載の方法。
(項目46)
前記固相が、スルホン酸で誘導体化されたポリスチレン−ジビニルベンゼンコポリマーを含む、項目1に記載の方法。
(項目47)
前記固相が、スルホン酸で誘導体化されたシリカを含む、項目1に記載の方法。
(項目48)
前記ポリマー溶液を第2の固相と接触させるステップをさらに含む、項目1に記載の方法。
(項目49)
前記第2の固相が酸吸収樹脂である、項目48に記載の方法。
(項目50)
前記酸吸収樹脂がアニオン交換樹脂である、項目49に記載の方法。
(項目51)
前記生成物が、ポリ(プロピレンカーボネート);ポリ(エチレンカーボネート);ポリ(ブチレンカーボネート);ポリ(シクロヘキセンカーボネート);ポリ(3−ビニルシクロヘキセンカーボネート);ポリ(リモネンカーボネート);ポリ(ノルボルネンカーボネート);ポリ(シクロペンテンカーボネート);ポリ(シクロオクテンカーボネート);およびこれらのうちの任意の2つ以上のコポリマーからなる群から選択される脂肪族ポリカーボネートを含む、項目1に記載の方法。
(項目52)
前記生成物が、ポリ(プロピレンカーボネート)を含む、項目1に記載の方法。
(項目53)
前記生成物が、ポリ(エチレンカーボネート)を含む、項目1に記載の方法。
(項目54)
前記生成物が、プロピレンオキシド、二酸化炭素、ならびにエチレンオキシド、エピクロロヒドリン、グリシジルエーテル、グリシジルエステル、1,2−ブチレンオキシド、2,3−ブチレンオキシド、シクロペンテンオキシド、シクロヘキセンオキシド、3−ビニルシクロヘキセンオキシド、シクロオクテンオキシド、ノルボルネンオキシドおよびリモネンオキシドからなる群から選択される1つまたは複数のエポキシドのポリマーを含む、項目1に記載の方法。
(項目55)
前記生成物が、ポリ(エチレン−co−プロピレンカーボネート)を含む、項目1に記載の方法。
(項目56)
前記遷移金属配位子錯体が、以下からなる群から選択される、項目1に記載の方法。
【化30】
【化31】
【化32】
【化33】
【化34】
(項目57)
MがCo(III)である、項目56に記載の方法。
(項目58)
脂肪族ポリカーボネート重合反応の生成物を精製する方法であって、
該重合反応の生成物を、酸性イオン交換体を含む第1の固相と接触させるステップと、
続いて、該重合反応の生成物を、塩基性イオン交換体を含む第2の固相と接触させるステップと
を含む方法。
【0009】
本出願は、これらすべてが本明細書中に参照により組み込まれている、様々な交付済み特許、公開された特許出願、学術論文および他の出版物を参照している。
【0010】
本開示に記載の1つまたは複数の実施形態の詳細は、本明細書中で説明されている。本開示の他の特徴、目的および利点は、記載、図、実施例および特許請求の範囲から明らかである。
【0011】
定義
特定の官能基および化学的用語の定義は、以下でより詳細に記載されている。本発明の目的のため、化学元素は、Periodic Table of the Elements、CAS version、Handbook of Chemistry and Physics、第75版、内表紙に従い特定され、特定の官能基は、本明細書中で記載の通り、一般的に定義される。さらに、有機化学の一般的原理、ならびに特定の官能基の部分および反応性は、それぞれの全体の内容が本明細書に参照により組み込まれている、Organic Chemistry、Thomas Sorrell、University Science Books、Sausalito、1999年、Smith and March March’s Advanced Organic Chemistry、第5版、John Wiley & Sons, Inc.、New York、2001年、Larock、Comprehensive Organic Transformations、VCH Publishers, Inc.、New York、1989年、Carruthers、Some Modern Methods of Organic Synthesis、第3版、Cambridge University Press、Cambridge、1987年に記載されている。
【0012】
本発明の特定の化合物は、1つまたは複数の不斉中心を含むことができ、したがって、例えば、鏡像異性体および/またはジアステレオマーなど様々な立体異性の形態で存在することができる。したがって、本発明の化合物およびその組成物は、個々の鏡像異性体、ジアステレオマーまたは幾何異性体の形態であってよく、または立体異性体の混合物の形態であってよい。特定の実施形態では、本発明の化合物は、エナンチオピュアな化合物である。特定の他の実施形態では、鏡像異性体またはジアステレオマーの混合物を提供する。
【0013】
さらに、特定の化合物は、本明細書中に記載されている通り、特に指定しない限り、ZまたはE異性体のいずれかとして存在することのできる1つまたは複数の二重結合を有し得る。本発明は、個々の異性体として、他の異性体を実質的に含まない化合物、あるいは、様々な異性体の混合物として、例えば、鏡像異性体のラセミ混合物をさらに包含する。上述の化合物それ自体に加えて、本発明はまた、1つまたは複数の化合物を含む組成物を包含する。
【0014】
本明細書で使用する場合、「異性体」という用語は、任意のおよびすべての幾何異性体および立体異性体を含む。例えば、本発明の範囲内に入るような「異性体」として、シス異性体およびトランス異性体、E異性体およびZ異性体、R鏡像異性体およびS鏡像異性体、ジアステレオマー、(D)異性体、(L)異性体、これらのラセミ混合物、ならびにこれらの他の混合物が挙げられる。例えば、化合物は、一部の実施形態では、1つまたは複数の対応する立体異性体を実質的に含まずに提供されてもよく、これを「立体化学的に強化されている」と呼んでもよい。
【0015】
ある特定の鏡像異性体が好ましい場合、これは、一部の実施形態では、反対の鏡像異性体を実質的に含まずに提供されてもよく、これを「光学的に強化されている」と呼んでもよい。「光学的に強化されている」とは、本明細書で使用する場合、この化合物は1つの鏡像異性体の著しくより大きな割合から構成されることを意味する。特定の実施形態では、この化合物は、少なくとも約90重量%の鏡像異性体で構成される。一部の実施形態では、化合物は少なくとも約95重量%、97重量%、98重量%、99重量%、99.5重量%、99.7重量%、99.8重量%または99.9重量%の鏡像異性体で構成される。一部の実施形態では、提供される化合物の鏡像体過剰率は、少なくとも約90%、95%、97%、98%、99%、99.5%、99.7%、99.8%または99.9%である。一部の実施形態では、鏡像異性体は、キラル高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)およびキラル塩の形成および結晶化を含めた当業者に公知の任意の方法によりラセミ混合物から単離することができ、または不斉合成により調製することができる。例えば、Jacques、ら、Enantiomers、Racemates and Resolutions(Wiley Interscience、New York、1981年)、Wilen、S.H.ら、Tetrahedron、33巻:2725頁(1977年)、Eliel、E.L.Stereochemistry of Carbon Compounds(McGraw−Hill、NY、1962年)、Wilen、S.H.、Tables of Resolving Agents and Optical Resolutions、268頁(E.L.Eliel編、Univ. of Notre Dame Press、Notre Dame、1972年)を参照されたい。
【0016】
「ハロ」および「ハロゲン」という用語は、本明細書で使用する場合、フッ素(フルオロ、−F)、塩素(クロロ、−Cl)、臭素(ブロモ、−Br)およびヨウ素(ヨード、−I)から選択される原子を指す。
【0017】
「脂肪族」または「脂肪族基」という用語は、本明細書で使用する場合、直鎖状の鎖(すなわち、非分枝)、分枝または環状(縮合、架橋およびスピロ縮合した多環式を含む)であってよく、完全に飽和していてもよく、または1つもしくは複数の不飽和の単位を含有していてもよいが、芳香族ではない炭化水素の部分を意味する。特に指定しない限り、脂肪族基は、1〜30個の炭素原子を含有する。特定の実施形態では、脂肪族基は、1〜12個の炭素原子を含有する。特定の実施形態では、脂肪族基は、1〜8個の炭素原子を含有する。特定の実施形態では、脂肪族基は、1〜6個の炭素原子を含有する。一部の実施形態では、脂肪族基は、1〜5個の炭素原子を含有し、一部の実施形態では、脂肪族基は、1〜4個の炭素原子を含有し、さらに他の実施形態では、脂肪族基は、1〜3個の炭素原子を含有し、さらに他の実施形態では、脂肪族基は、1〜2個の炭素原子を含有する。適切な脂肪族基として、直鎖状または分枝の、アルキル、アルケニルおよびアルキニル基、ならびにこれらの混成物、例えば(シクロアルキル)アルキル、(シクロアルケニル)アルキルまたは(シクロアルキル)アルケニルが挙げられるが、これらに限らない。
【0018】
本明細書で使用する場合、「ヘテロ脂肪族」という用語は、1つまたは複数の炭素原子が、独立して、1つまたは複数の酸素、硫黄、窒素またはリンで置き換えられている脂肪族基を意味する。特定の実施形態では、1または2個の炭素原子は、独立して、1つまたは複数の酸素、硫黄、窒素またはリンで置き換えられている。ヘテロ脂肪族基は、置換または非置換であり、分枝または非分枝であり、環式または非環式であってよく、「複素環」「ヘテロシクリル(hetercyclyl)」「ヘテロ脂環式」または「複素環」基を含む。
【0019】
「エポキシド」という用語は、本明細書で使用する場合、置換または非置換のオキシランを指す。置換されたオキシランとして、一置換のオキシラン、二置換のオキシラン、三置換のオキシランおよびテトラ置換されたオキシランが挙げられる。このようなエポキシドは、本明細書中で定義されているように、さらに場合によって置換されていてもよい。特定の実施形態では、エポキシドは、単一のオキシラン部分を含む。特定の実施形態では、エポキシドは、2つ以上のオキシラン部分を含む。
【0020】
「ポリマー」という用語は、本明細書で使用する場合、相対分子質量の高い分子を指し、この構造体は、相対分子質量の低い分子から、実際または概念的に誘導された単位の複数の反復を含む。特定の実施形態では、ポリマーは、モノマー種を1つだけ(例えば、ポリエチレンオキシド)含む。特定の実施形態では、本発明のポリマーは、1つまたは複数のエポキシドのコポリマー、ターポリマー、ヘテロポリマー、ブロックコポリマーまたはテーパーヘテロポリマーである。
【0021】
「不飽和」という用語は、本明細書で使用する場合、1つまたは複数の二重結合または三重結合を有する部分を意味する。
【0022】
「脂環式」という用語は、単独で使用する場合、またはより大きい部分の一部として使用する場合、本明細書中に記載されているように、3から12員を有する、飽和または部分的に不飽和の環状脂肪族の単環式系、二環式系または多環式系を指し、この中で、脂肪族環系は、上に定義され、本明細書中に記載されているように、場合によって置換されている。脂環式の基として、制限なしで、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロペンテニル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、シクロヘプチル、シクロヘプテニル、シクロオクチル、シクロオクテニル、ノルボルニル、アダマンチルおよびシクロオクタジエニルが挙げられる。一部の実施形態では、シクロアルキルは、3〜6個の炭素を有する。「脂環式」という用語はまた、1つまたは複数の芳香族環または非芳香族環に縮合している脂肪族環、例えばデカヒドロナフチルまたはテトラヒドロナフチル(結合のラジカルまたは点が脂肪族環上にある)を含み得る。一部の実施形態では、炭素環の基は、二環式である。一部の実施形態では、炭素環の基は、三環式である。一部の実施形態では、炭素環の基は、多環式である。
【0023】
「アルキル」という用語は、本明細書で使用する場合、単一の水素原子を除去することにより、1〜12個の間の炭素原子を含有する脂肪族の部分から誘導された飽和、直鎖状または分枝鎖の炭化水素ラジカルを指す。特に指定しない限り、アルキル基は、1〜12個の炭素原子を含有する。特定の実施形態では、アルキル基は、1〜8個の炭素原子を含有する。特定の実施形態では、アルキル基は、1〜6個の炭素原子を含有する。一部の実施形態では、アルキル基は、1〜5個の炭素原子を含有し、一部の実施形態では、アルキル基は、1〜4個の炭素原子を含有し、さらに他の実施形態では、アルキル基は、1〜3個の炭素原子を含有し、さらに他の実施形態では、アルキル基は、1〜2個の炭素原子を含有する。アルキル基の例として、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソ−ブチル、sec−ブチル、sec−ペンチル、イソ−ペンチル、tert−ブチル、n−ペンチル、ネオペンチル、n−ヘキシル、sec−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−デシル、n−ウンデシル、ドデシルなどが挙げられるが、これらに限らない。
【0024】
「アルケニル」という用語は、本明細書で使用する場合、少なくとも1つの炭素炭素二重結合を有する直鎖状または分枝鎖の脂肪族の部分から誘導された一価の基を意味する。特に指定しない限り、アルケニル基は、2〜12個の炭素原子を含有する。特定の実施形態では、アルケニル基は、2〜8個の炭素原子を含有する。特定の実施形態では、アルケニル基は、2〜6個の炭素原子を含有する。一部の実施形態では、アルケニル基は、2〜5個の炭素原子を含有し、一部の実施形態では、アルケニル基は、2〜4個の炭素原子を含有し、さらに他の実施形態では、アルケニル基は、2〜3個の炭素原子を含有し、さらに他の実施形態では、アルケニル基は、2個の炭素原子を含有する。アルケニル基として、例えば、エテニル、プロペニル、ブテニル、1−メチル−2−ブテン−1−イルなどが挙げられる。
【0025】
「アルキニル」という用語は、本明細書で使用する場合、少なくとも1つの炭素炭素三重結合を有する直鎖状または分枝鎖の脂肪族の部分から誘導された一価の基を指す。特に指定しない限り、アルキニル基は、2〜12個の炭素原子を含有する。特定の実施形態では、アルキニル基は、2〜8個の炭素原子を含有する。特定の実施形態では、アルキニル基は、2〜6個の炭素原子を含有する。一部の実施形態では、アルキニル基は、2〜5個の炭素原子を含有し、一部の実施形態では、アルキニル基は、2〜4個の炭素原子を含有し、さらに他の実施形態では、アルキニル基は、2〜3個の炭素原子を含有し、さらに他の実施形態では、アルキニル基は、2個の炭素原子を含有する。代表的なアルキニル基として、エチニル、2−プロピニル(プロパルギル)、1−プロピニルなどが挙げられるが、これらに限らない。
【0026】
「炭素環」および「炭素環式環」という用語は、本明細書で使用する場合、環が、炭素原子しか含有しない、単環式および多環式の部分を指す。特に指定しない限り、炭素環は、飽和、部分的に不飽和または芳香族であってよく、3から20個の炭素原子を含有する。一部の実施形態では、炭素環は、脂肪族である。代表的な炭素環(carbocyles)として、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、ノルボルネン、フェニル、シクロヘキセン、ナフタレンおよびスピロ[4.5]デカンが挙げられる。
【0027】
「アリール」という用語は、単独で、または「アラルキル」、「アラルコキシ」または「アリールオキシアルキル」のように、より大きい部分の一部として使用される場合、合計5から20の環員を有する単環式および多環式の環系を指し、この系内で、少なくとも1つの環は、芳香族であり、この系内の各環は、3から12の環員を含有する。「アリール」という用語は、「アリール環」という用語と交換可能に使用してもよい。本発明の特定の実施形態では、「アリール」は、これらに限らないが、フェニル、ビフェニル、ナフチル、アントラシルなどを含む芳香環系を指し、これらは、1つまたは複数の置換基を保持し得る。本明細書中で使用する場合、同様に「アリール」という用語の範囲内に含まれるのは、芳香環が、1つまたは複数の追加の環に縮合している基、例えばベンゾフラニル、インダニル、フタルイミジル、ナフトイミジル(naphthimidyl)、フェナントリイジニル(phenantriidinyl)またはテトラヒドロナフチルなどである。
【0028】
「ヘテロアリール」および「heteroar−」という用語は、単独で、または例えば「ヘテロアラルキル」または「ヘテロアラルコキシ」のように、より大きい部分の一部として使用される場合、5から14個の環原子、好ましくは5、6または9個の環原子を有し、環状の配列内で共有されている6、10または14πの電子を有し、炭素原子に加えて、1から5個のヘテロ原子を有する基を指す。「ヘテロ原子」という用語は、窒素、酸素または硫黄を指し、窒素または硫黄の任意の酸化型、および塩基性窒素の任意の四級化された形態を含む。ヘテロアリール基として、制限なしで、チエニル、フラニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、チアジアゾリル、ピリジル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、インドリジニル、プリニル、ナフチリジニル、ベンゾフラニルおよびプテリジニルが挙げられる。「ヘテロアリール」および「heteroar−」という用語はまた、本明細書で使用する場合、芳香族複素環が、1つまたは複数のアリール環、脂環式環、またはヘテロシクリル環に縮合している基を含み、この環内で、結合のラジカルまたは点は、芳香族複素環上にある。非制限的な例として、インドリル、イソインドリル、ベンゾチエニル、ベンゾフラニル、ジベンゾフラニル、インダゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンズチアゾリル、キノリル、イソキノリル、シンノリニル、フタラジニル、キナゾリニル、キノキサリニル、4H−キノリジニル、カルバゾリル、アクリジニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサジニル、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、およびピリド[2,3−b]−1,4−オキサジン−3(4H)−オンが挙げられる。ヘテロアリール基は、単環式または二環式であってよい。「ヘテロアリール」という用語は、「ヘテロアリール環」、「ヘテロアリール基」、または「ヘテロ芳香族」という用語と交換可能に使用してもよく、これらの用語のいずれかは、場合によって置換されている環を含む。「ヘテロアラルキル」という用語は、ヘテロアリールで置換されたアルキル基を指し、この中で、アルキルおよびヘテロアリール部分は、独立して、場合によって置換されている。
【0029】
本明細書で使用する場合、「複素環」、「ヘテロシクリル」、「複素環ラジカル」および「複素環式環」という用語は、交換可能に使用され、飽和もしくは部分的に不飽和のいずれかであり、炭素原子に加えて、1つまたは複数の、好ましくは1から4個のヘテロ原子(上で定義された通り)を有する、安定した5から7員の単環式、または7〜14員の二環式複素環の部分を指す。複素環式の環原子と関連して使用される場合、「窒素」という用語は、置換された窒素を含む。例えば、酸素、硫黄または窒素から選択される0〜3個のヘテロ原子を有する、飽和または部分的に不飽和の環において、窒素は、N(3,4−ジヒドロ−2H−ピロリルの場合のように)、NH(ピロリジニルの場合のように)、または
+NR(N置換されたピロリジニルの場合のように)であってよい。
【0030】
複素環式環は、安定した構造を形成することになる任意のヘテロ原子または炭素原子において、そのペンダント基に結合することができ、この環原子のいずれかは、場合によって置換されていることができる。このような飽和または部分的に不飽和の複素環のラジカルの例として、制限なしで、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチエニル、ピロリジニル、ピロリドニル、ピペリジニル、ピロリニル、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、デカヒドロキノリニル、オキサゾリジニル、ピペラジニル、ジオキサニル、ジオキソラニル、ジアゼピニル、オキサゼピニル、チアゼピニル、モルホリニル、およびキヌクリジニルが挙げられる。「複素環」、「ヘテロシクリル」、「ヘテロシクリル環」、「複素環基」、「複素環の部分」および「複素環ラジカル」という用語は、交換可能に本明細書中で使用され、ヘテロシクリル環が、結合のラジカルまたは点がヘテロシクリル環上にある1つまたは複数のアリール環、ヘテロアリール環、または脂環式の環、例えばインドリニル、3H−インドリル、クロマニル、フェナントリイジニルまたはテトラヒドロキノリニルなどに縮合している基も含む。ヘテロシクリル基は、単環式または二環式であってよい。「ヘテロシクリルアルキル」という用語は、ヘテロシクリルで置換されたアルキル基を指し、この中で、アルキルおよびヘテロシクリルの部分は、独立して、場合によって置換されている。
【0031】
本明細書で使用する場合、「部分的に不飽和である」という用語は、少なくとも1つの二重結合または三重結合を含む環部分を指す。「部分的に不飽和である」という用語は、複数の不飽和部位を有する環を包含することを意図するが、本明細書中で定義されたアリールまたはヘテロアリール部分を含むことは意図していない。
【0032】
本明細書中に記載されているように、本発明の化合物は、「場合によって置換されている」部分を含有することができる。一般的に、「置換されている」という用語は、「場合によって」という用語が前に付いているかいないかにかかわらず、指定した部分の1つまたは複数の水素が適切な置換基で置き換えられていることを意味する。特に指定しない限り、「場合によって置換されている基」は、基の置換可能な各位置で適切な置換基を有することができ、任意の所与の構造体の2つ以上の位置が、特定された基から選択される2つ以上の置換基で置換されていてもよい場合、置換基は、あらゆる位置で、同一であるか、異なるかのいずれかであってよい。本発明で想定される置換基の組合せは、安定した、または化学的に実現可能な化合物を形成することになるものが好ましい。「安定した」という用語は、本明細書で使用する場合、これらの生成、検出、さらに特定の実施形態では、これらの回収、精製、ならびに本明細書中に開示されている1つまたは複数の目的のための使用を可能とする条件に暴露された場合、実質的に変質しない化合物を指す。
【0033】
本明細書中のいくつかの化学構造において、置換基は、示された分子の環内の結合と交差する結合に付加していることが示されている。これは、1つまたは複数の置換基が、任意の利用可能な位置で環に付加し得る(通常、親構造体の水素原子の代わりに)ことを意味する。このように置換された環原子が、2つの置換可能な位置を有する場合、2つの基は、同じ環原子上に存在していてもよい。2つ以上の置換基が存在する場合、各置換基は、もう一方から独立して定義され、それぞれ異なる構造を有し得る。環の結合と交差していることが示された置換基が−Rである場合、この置換基は、先行する段落において記載の通り、環が「場合によって置換されている」と述べられているかのごとく、同じ意味を有する。
【0034】
「場合によって置換されている」基の置換可能な炭素原子上の適切な一価の置換基は、独立して、ハロゲン;−(CH
2)
0〜4R°;−(CH
2)
0〜4OR°;−O−(CH
2)
0〜4C(O)OR°;−(CH
2)
0〜4CH(OR°)
2;−(CH
2)
0〜4SR°;R°で置換されていてもよい−(CH
2)
0〜4Ph;R°で置換されていてもよい−(CH
2)
0〜4O(CH
2)
0〜1Ph;R°で置換されていてもよい−CH=CHPh、R°;−NO
2;−CN;−N
3;−(CH
2)
0〜4N(R°)
2;−(CH
2)
0〜4N(R°)C(O)R°;−N(R°)C(S)R°;−(CH
2)
0〜4N(R°)C(O)NR°
2;−N(R°)C(S)NR°
2;−(CH
2)
0〜4N(R°)C(O)OR°;−N(R°)N(R°)C(O)R°;−N(R°)N(R°)C(O)NR°
2;−N(R°)N(R°)C(O)OR°;−(CH
2)
0〜4C(O)R°;−C(S)R°;−(CH
2)
0〜4C(O)OR°;−(CH
2)
0〜4C(O)N(R°)
2;−(CH
2)
0〜4C(O)SR°;−(CH
2)
0〜4C(O)OSiR°
3;−(CH
2)
0〜4OC(O)R°;−OC(O)(CH
2)
0〜4SR−、SC(S)SR°;−(CH
2)
0〜4SC(O)R°;−(CH
2)
0〜4C(O)NR°
2;−C(S)NR°
2;−C(S)SR°;−SC(S)SR°、−(CH
2)
0〜4OC(O)NR°
2;−C(O)N(OR°)R°;−C(O)C(O)R°;−C(O)CH
2C(O)R°;−C(NOR°)R°;−(CH
2)
0〜4SSR°;−(CH
2)
0〜4S(O)
2R°;−(CH
2)
0〜4S(O)
2OR°;−(CH
2)
0〜4OS(O)
2R°;−S(O)
2NR°
2;−(CH
2)
0〜4S(O)R°;−N(R°)S(O)
2NR°
2;−N(R°)S(O)
2R°;−N(OR°)R°;−C(NH)NR°
2;−P(O)
2R°;−P(O)R°
2;−OP(O)R°
2;−OP(O)(OR°)
2;SiR°
3;−(C
1〜4直鎖もしくは分枝のアルキレン)O−N(R°)
2、または−(C
1〜4直鎖もしくは分枝のアルキレン)C(O)O−N(R°)
2(式中、各R°は、以下に定義された通り置換されていてもよく、独立して、水素、C
1〜8脂肪族、−CH
2Ph、−O(CH
2)
0〜1Phであるか、または、窒素、酸素もしくは硫黄から独立して選択される0〜4個のヘテロ原子を有する、5〜6員の飽和、部分的に不飽和もしくはアリール環であるか、または、上記の定義にかかわらず、独立して出現する2つのR°は、介在する原子(複数可)と一緒になって、窒素、酸素もしくは硫黄から独立して選択される0〜4個のヘテロ原子(以下に定義された通り置換されていてもよい)を有する、3〜12員の飽和、部分的に不飽和もしくはアリールの単環式もしくは多環式の環を形成する)である。
【0035】
R°上の適切な一価の置換基(または独立して出現する2つのR°が介在する原子と一緒になって形成された環)は、独立して、ハロゲン、−(CH
2)
0−22R
●、−(haloR
●)、−(CH
2)
0−2OH、−(CH
2)
0−2OR
●、−(CH
2)
0−2CH(OR
●)
2;−O(haloR
●)、−CN、−N
3、−(CH
2)
0−2C(O)R
●、−(CH
2)
0−2C(O)OH、−(CH
2)
0−2C(O)OR
●、−(CH
2)
0−4C(O)N(R°)
2;−(CH
2)
0−2SR
●、−(CH
2)
0−2SH、−(CH
2)
0−2NH
2、−(CH
2)
0−2NHR
●、−(CH
2)
0−2NR
●2、−NO
2、−SiR
●3、−OSiR
●3、−C(O)SR
●−(C
1〜4直鎖もしくは分枝のアルキレン)C(O)OR
●、または−SSR
●(式中、各R
●は、非置換であるか、または「ハロ」が前に付いている場合、1つまたは複数のハロゲンのみで置換されており、独立して、C
1〜4脂肪族、−CH
2Ph、−O(CH
2)
0〜1Ph、または、窒素、酸素もしくは硫黄から独立して選択される0〜4個のヘテロ原子を有する、5〜6員の飽和、部分的に不飽和もしくはアリールの環から選択される)である。R°の飽和した炭素原子上の適切な二価の置換基は、=Oおよび=Sを含む。
【0036】
「場合によって置換されている」基の飽和した炭素原子上の適切な二価の置換基として、=O、=S、=NNR
*2、=NNHC(O)R
*、=NNHC(O)OR
*、=NNHS(O)
2R
*、=NR
*、=NOR
*、−O(C(R
*2))
2〜3O−、または−S(C(R
*2))
2〜3S−(式中、R
*は、それぞれ独立して出現する場合、水素、以下に定義された通り置換されていてもよいC
1〜6脂肪族、または、窒素、酸素もしくは硫黄から独立して選択される0〜4個のヘテロ原子を有する、非置換の5〜6員の飽和、部分的に不飽和もしくはアリール環から選択される)が挙げられる。「場合によって置換されている」基の近接する置換可能な炭素に結合している適切な二価の置換基として、−O(CR
*2)
2〜3O−(式中、R
*は、それぞれ独立して出現する場合、水素、以下に定義された通りに置換されていてもよいC
1〜6脂肪族、または、窒素、酸素もしくは硫黄から独立して選択される0〜4個のヘテロ原子を有する、非置換の5〜6員の飽和、部分的に不飽和もしくはアリールの環から選択される)が挙げられる。
【0037】
R
*の脂肪族基上の適切な置換基として、ハロゲン、−R
●、−(ハロR
●)、−OH、−OR
●、−O(ハロR
●)、−CN、−C(O)OH、−C(O)OR
●、−NH
2、−NHR
●、−NR
●2または−NO
2(式中、各R
●は、非置換であるか、または「ハロ」が前に付いている場合、1つもしくは複数のハロゲンのみで置換されており、独立して、C
1〜4脂肪族、−CH
2Ph、−O(CH
2)
0〜1Ph、または、窒素、酸素もしくは硫黄から独立して選択される0〜4個のヘテロ原子を有する、5〜6員の飽和、部分的に不飽和もしくはアリールの環である)が挙げられる。
【0038】
「場合によって置換されている」基の置換可能な窒素上の適切な置換基として、−R
†、−NR
†2、−C(O)R
†、−C(O)OR
†、−C(O)C(O)R
†、−C(O)CH
2C(O)R
†、−S(O)
2R
†、−S(O)
2NR
†2、−C(S)NR
†2、−C(NH)NR
†2、または−N(R
†)S(O)
2R
†(式中、各R
†は、独立して、水素、以下に定義された通り置換されていてもよいC
1〜6脂肪族、非置換の−OPh、または、窒素、酸素もしくは硫黄から独立して選択される0〜4個のヘテロ原子を有する、非置換の5〜6員の飽和、部分的に不飽和もしくはアリールの環であるか、または、上記の定義にかかわらず、2つの独立して出現するR
†は、介在する原子(複数可)と一緒になって、窒素、酸素もしくは硫黄から独立して選択される0〜4個のヘテロ原子を有する、非置換の3〜12員の飽和、部分的に不飽和もしくはアリールの単環式もしくは二環式の環を形成する)が挙げられる。
【0039】
R
†の脂肪族基上の適切な置換基は、独立して、ハロゲン、−R
●、−(ハロR
●)、−OH、−OR
●、−O(ハロR
●)、−CN、−C(O)OH、−C(O)OR
●、−NH
2、−NHR
●、−NR
●2、または−NO
2(式中、各R
●は、非置換であるか、または、「ハロ」が前に付いている場合、1つもしくは複数のハロゲンのみで置換されており、独立して、C
1〜4脂肪族、−CH
2Ph、−O(CH
2)
0〜1Ph、または、窒素、酸素もしくは硫黄から独立して選択される0〜4個のヘテロ原子を有する、5〜6員の飽和、部分的に不飽和もしくはアリール環である)である。
【0040】
本明細書で使用する場合、「触媒」という用語は、それ自体は、消費されず、または永久的化学変化の対象とはならない一方で、その存在により、化学反応の速度を増加させる物質を指す。
【0041】
「四配座」は、金属中心に配位することができる4つの部位を有する配位子を指す。
【0042】
本明細書で使用する場合、「アニオン交換体」という用語は、正の電荷を帯びた官能基および交換アニオンを含有するイオン交換体を指す。
【0043】
本明細書で使用する場合、「カチオン交換体」という用語は、負の電荷を帯びた官能基および交換カチオンを含有するイオン交換体を指す。
【0044】
本明細書で使用する場合、「共イオン」という用語は、官能基と同じ電荷符号を有するイオン種を指す。
【0045】
本明細書で使用する場合、「対イオン」という用語は、イオン交換体により保有されている交換イオンを指す。
【0046】
「ドープ」または「ポリマードープ」という用語は、本明細書で使用する場合、重合反応の粗生成物を指す。このようなドープは、保存するか、または触媒の除去、脱揮発、沈殿など、さらなる処理の対象とすることができることを当業者であれば理解されたい。
【0047】
本明細書で使用する場合、「交換可能な」という用語は、イオンがイオン交換を行うことが可能なことを指す。
【0048】
本明細書で使用する場合、イオン交換樹脂という文脈において、「官能基」という用語は、ポリマーマトリックスに結合している、電荷を帯びた酸性基、塩基性基またはキレート基を指す。
【0049】
本明細書で使用する場合、「官能基部位」という用語は、官能基、結合基、ポリマー鎖に組み込まれた、電荷を帯びることのできる原子、および無機イオン交換体の結晶構造体のイオン交換単位を指す。
【0050】
本明細書で使用する場合、「イオン交換」という用語は、異なる相に位置する2つ以上のイオン化した種の間でのイオン交換を指し、イオン化した種のうちの少なくとも1つは、イオン交換体である。イオン交換は、キレート化、錯体形成、配位結合の生成、および弱イオン交換相互作用を含み得る。
【0051】
本明細書で使用する場合、「イオン交換体」という用語は、可逆的に固定したイオンより生じる、不溶性の電荷キャリアを含有する相(マトリックス)を指す。
【0052】
本明細書で使用する場合、「イオン交換ポリマー」または「イオン交換樹脂」という用語は、交換イオンを結合した固定された官能基または部位を保有するポリマーを指す。
【0053】
本明細書で使用する場合、「イオン型」という用語は、イオン交換体の官能基部位に存在する対イオンに依存するイオン交換体の状態を指す。例えば、Na
+イオンを含有するイオン交換体は、ナトリウム型である。Na
+イオンがK
+イオンに置き換えられるイオン交換が行われた後で、イオン交換体は、カリウム型となる。
【0054】
本明細書で使用する場合、「浸透圧的に不活性」という用語は、それが位置する相から移動できないキャリアを指す。
【0055】
「求核剤」という用語は、エポキシドを開環できる任意の剤を指す。
【0056】
本明細書で使用する場合、「ポルフィリン」という用語は、メチン架橋を通して、それらのα炭素原子を介して相互接続している4つのピロリンサブユニット由来の任意の配位子を指す。
【0057】
本明細書で使用する場合、「サレン」という用語は、ジアミンおよび2当量のサリチルアルデヒドまたはその誘導体由来の任意の配位子を指す。
【0058】
本明細書で使用する場合、「ジイミネート」および「ジイミネート配位子」という用語は1,3−ジケチミン部分を含有する配位子を指す。