特許第5909092号(P5909092)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許5909092-遮水体および護岸体を建設する方法 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5909092
(24)【登録日】2016年4月1日
(45)【発行日】2016年4月26日
(54)【発明の名称】遮水体および護岸体を建設する方法
(51)【国際特許分類】
   E02B 3/06 20060101AFI20160412BHJP
【FI】
   E02B3/06 301
【請求項の数】13
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2011-541639(P2011-541639)
(86)(22)【出願日】2009年12月17日
(65)【公表番号】特表2012-512978(P2012-512978A)
(43)【公表日】2012年6月7日
(86)【国際出願番号】IB2009008073
(87)【国際公開番号】WO2010082083
(87)【国際公開日】20100722
【審査請求日】2012年11月28日
【審判番号】不服2014-26657(P2014-26657/J1)
【審判請求日】2014年12月26日
(31)【優先権主張番号】2008/0683
(32)【優先日】2008年12月18日
(33)【優先権主張国】BE
(73)【特許権者】
【識別番号】505458599
【氏名又は名称】ドレッジング・インターナショナル・ナムローゼ・フエンノートシャップ
【氏名又は名称原語表記】DREDGING INTERNATIONAL N.V.
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】ヴァン デン ブレーク,マルク
(72)【発明者】
【氏名】メールテンス,ヨナス ベンジャミン ロジャー
【合議体】
【審判長】 小野 忠悦
【審判官】 谷垣 圭二
【審判官】 住田 秀弘
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−147932(JP,A)
【文献】 特開2002−121721(JP,A)
【文献】 特開平9−165732(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02B3/04-3/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遮水体を建設する方法であって、上記遮水体は、水底の上の切石連続体のコアを配置することによって形成されており、上記遮水体は上記切石連続体のコアに、石またはコンクリートのブロックから成る保護層を設けており、少なくとも上記遮水体の位置において、上記水底を、底質を用いて隆起させることを条件とし、上記切石連続体のコアを配置する前に、上記水底を、その自然の高さから上記遮水体の近傍の位置まで徐々に隆起させ、この隆起体が傾斜を有し、上記遮水体の位置における平均水深が、20〜80%浅くなるような高さまで、かつ、移動限界水深を超過しない水深まで上記水底を隆起させることを特徴とする、方法。
【請求項2】
上記コアを配置する前に、上記水底を、底質により隆起させることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
上記遮水体の位置における平均水深が、40〜60%浅くなるような高さまで、上記水底を隆起させることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
移動限界水深の50%を超過しない水深まで、上記水底を隆起させることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
コアおよび保護層に必要な材料の体積が、水底を隆起させない遮水体と比べて、20〜80%減少するような高さまで、上記水底を隆起させることを特徴とする、請求項1〜のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
隆起させた上記水底を、少なくとも上記遮水体の位置において、固めることを特徴とする、請求項1〜のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
隆起させた上記水底を、1.6トン/m〜2.3トン/mの飽和密度まで、固めることを特徴とする、請求項に記載の方法。
【請求項8】
隆起させた上記水底と上記コアとの間に、濾過層を配置することを特徴とする、請求項1〜のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
上記隆起体の高さは、上記遮水体の方向に、ほぼ一定の傾斜で上昇することを特徴とする、請求項1〜のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
上記傾斜の水平方向に対する傾斜角が、1:2〜1:20の範囲であることを特徴とする、請求項に記載の方法。
【請求項11】
上記隆起体が平均傾斜を有し、上記平均傾斜は1つまたは複数のほぼ水平な部分を含むことを特徴とする、請求項1〜のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
上記隆起体は、平均傾斜を有し、上記隆起体の上記傾斜には、傾斜方向に、上記遮水体としての第1の遮水体とほぼ同一線上にある複数の第2の遮水体が設けられていることを特徴とする、請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
上記複数の第2の遮水体の各頂上部は、上記第1の遮水体の方向に次第に高くなっているが、上記第1の遮水体の頂上部の高さを超えていないことを特徴とする、請求項12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、特に防波堤などの遮水体および護岸体を建設する方法、および、当該方法によって得られる遮水体に関する。
【0002】
防波堤は、その背後の海岸区域を保護するために海の中に配置された、比較的硬い岩から造られた構造体を含む。防波堤が、寄波の波エネルギーの大部分を吸収することにより、波が、減衰して海岸区域に到達するという点で、保護がもたらされる。公知のロックフィル型防波堤は、一般に、切石連続体(quarry run)のコアと、その外側の重たい保護層、いわゆるアーマー層とから造られている。アーマー層は、一般に、コア材料よりも大きく且つ重たい石のブロックを含む。コンクリート製の要素も用いられる。石のブロックは、保護層が十分に多くの穴を有するように、または、波を透水可能であるように、幾分不揃いの形状を有している。波が部分的に保護層を通り抜けることが可能であるため、波エネルギーは、弱力化する。
【0003】
波を弱めることに加えて、防波堤は、海岸区域から海に向かう流送土砂の好ましくない運搬により生じる侵食によって海岸が劣化することを保護する。防波堤は、流送土砂の自然な運搬のパターンを妨害して、海岸区域の侵食を妨げるか、または、いずれにせよ低減する。
【0004】
防波堤の保護作用により、侵食された海岸線に沿って定期的に砂を補充する必要は少ない。公知の遮水体または護岸体、特に防波堤の欠点は、海岸線に沿った上記流送土砂の運搬に与える上記効果が、例えば防波堤の長さ、および/または、海岸から防波堤までの距離といった、多くのパラメータに依存していることである。比率が最適でない場合には、好ましくない流送土砂の運搬に起因し得る問題が、常に生じる。従って公知の防波堤は、例えば、釣鐘状の流送土砂の堆積域(いわゆる突起部(salient))の形成を引き起こす。公知の防波堤はまた、防波堤の足部の近傍において、侵食を受けやすい。これにより、防波堤の安定性は損なわれる。
【0005】
本発明の目的は、少なくとも公知の遮水体と同等の保護を提供し、上述の問題を少なくとも部分的に回避することが可能な、遮水体、特に防波堤を建設することが可能な方法を提供することにある。
【0006】
本発明によれば、この目的は、上述の種類の遮水体を建設する方法であって、切石連続体のコアを水底に配置し、切石連続体に、石またはコンクリートのブロックから成る保護層を設ける方法を提供することによって実現される。この方法は、少なくとも上記遮水体の位置において、底質(bottom material)を用いて水底を隆起させることを条件とする。本発明に係る方法では、遮水体の位置に、より多くの底質または流送土砂が供給される。これは、一見、遮水体の近傍の底質の総量が著しく増大するため、安定性の欠如および/または望ましくない流送土砂の運搬が増大する虞があり、好ましくないように思われる。新たに供給される底質は、一般に、長期にわたってその場に存在している底質よりも安定性が少ないということが、この予想を一層正しいもののように思わせる。しかし驚くべきことに、本発明に係る方法によって得られる遮水体は、驚くほど頑丈であり、望ましくない流送土砂の運搬は、予測よりも少ないことが分かった。
【0007】
本発明に係る方法では、コアおよび保護層の全体的な高さが、公知の遮水体よりも低い遮水体が得られる。本発明に係る方法の重要な利点は、本発明に係る遮水体が、公知の遮水体よりも経済的な方法で得られる点にある。コアおよび保護層用の材料は、概して、購入費用が高価であり、さらに、陸路で輸送される場合が多いため、コストが高くなる。本発明に係る方法によって得られる遮水体は、ほぼ同じ高さの公知の遮水体よりも少ない体積のコア材料を用いているので、いずれにしても、コストを節減することができる。遮水体に必要な材料の量は、水深が深くなるにつれて急増するため、本発明に係る方法は、比較的深い海で遮水体を建設するために特に適している。ここで、深い海とは、少なくとも水深8メートル、より好ましくは少なくとも水深14メートル、および最も好ましくは少なくとも水深20メートルの海を意味するものと理解される。
【0008】
本発明に係る方法の他の利点は、遮水体用の材料の一部の供給を、単純且つ素早く行うことが可能な点である。水底を隆起させるために必要な底質の供給は、例えば、この底質、一般には砂を、実質的に陸路で供給することによって行うことが可能であるが、建設される遮水体の近傍、より好ましくは直近において、底質を浚渫することが推奨される。浚渫は、それ自体、公知の技術であり、例えば、トレーリングサクションホッパー浚渫船を用いて行うことが可能である。トレーリングサクションホッパー浚渫船は、ドラッグヘッドを備えている。ドラッグヘッドは、吸上げ管と一緒に、トレーリングサクションホッパー浚渫船の後方において、それ自体の重量の影響を受けて水底に接触するまで、水中に降下される。トレーリングサクションホッパー浚渫船の前進運動によって、ドラッグヘッドは、水底の上を引きずられて、浚渫を行う。この際に、土がほぐされ、吸上げ管を介して、水と共に吸い上げられる。必要に応じて、吸い上げられた底質を、直ちに輸送管を介して、所望の場所、より具体的にいえば、建設される遮水体の近傍まで輸送することが可能である。
【0009】
好ましい一実施形態では、本発明に係る方法は、コアを配置する前に、水底を底質で隆起させることを特徴とする。これによって、より効果的な方法が得られ、この方法はさらに、高い信頼性を提供する。従って、例えば、コアを配置する前に、隆起させる水底の高さを決定することが可能である。必要に応じて、水底の隆起した部分を固め(compact)てもよいし、または、他の方法で処理してもよい。
【0010】
本発明によれば、水底は、基本的に、遮水体の安定性が保証されたまま、任意の高さまで隆起させることが可能である。ほぼ全体が底質から構成される遮水体は、一般に、頑丈でないため、その機能を適切に果たすことはできない。本発明に係る方法の好ましい一実施形態では、遮水体の位置における平均水深が、20〜80%、より好ましくは30〜70%、および最も好ましくは40〜60%分浅くなるような高さまで、水底を隆起させる。この範囲内において、遮水体は、最も良好な結果を生成することが分かった。
【0011】
移動限界水深(closure depth)の50%を超過しない、より好ましくは移動限界水深の75%を超過しない、および最も好ましくは移動限界水深を超過しない水深まで水底を隆起させる方法によって、特に頑丈な遮水体が得られることが分かった。移動限界水深とは、当業者に公知の用語である。すなわち、海岸線から離れた場所で、水深を正式に測定する場合、水深が時間によって変動しない最小水深と認められる場所が存在する。この水深が、移動限界水深と呼ばれる。移動限界水深は、実験的に測定してもよいし、または、本特許出願の意味するところでは、以下の適切な数式(1)によって簡単に求めることが可能である。
【0012】
=1.75Hs0.137 (1)
ここで、dは移動限界水深を示し、Hs0.137は遮水体の位置における有効波高である。有効波高とは、一年につき最大12時間だけ超過される波高、従って、最大発生率が0.137%である波高をいう。
【0013】
本発明に係る方法は、コアおよび保護層に必要な材料の体積が、隆起されていない水底に設けられた遮水体よりも20〜80%、より好ましくは30〜70%、および最も好ましくは40〜60%低減するような高さまで水底を隆起させるように、行われることが好ましい。例えば上述の種類の、静的に安定した防波堤は、一般に、波の攻撃による変形がわずかでなければならない。従って、比較的重たい構成が求められる。本発明に係る方法では、単位体積あたりについて、公知の遮水体よりも軽い遮水体が得られる。このことが、遮水体の安定性にほとんど影響を与えない、または全く影響を与えないことは、驚きである。防護されていない砂の遮水体は、一見、極めて明瞭な解決方法であるようには見えないであろう。自然は、このような遮水体に影響し、変形させ、場合によっては、時間の経過と共に、このような遮水体を完全に平らにしてしまうことになるだろう。本発明に係る遮水体は、同じ高さの公知の遮水体よりも少ない量の、重量材料(切石連続体、および保護層の石)を含む。それにもかかわらず。上述の問題は、ほとんど生じない。
【0014】
本発明に係る方法のさらに好ましい一実施形態は、隆起させた水底を、少なくとも遮水体の位置において固めることを特徴とする。隆起させた水底を固めることは、例えば、振動させること、または重力落下で杭打ちすることによって、行うことが可能である。隆起させた水底をさらに安定化するために、隆起させた水底に漆喰(grout)の支柱を設けて、遮水体が地震に対してより耐性を有するようにすることも、可能であると共に有効である。
【0015】
隆起した水底は、基本的に、任意の所望の飽和密度まで固めることが可能である。飽和密度とは、水でほぼ完全に飽和した材料の体積の密度を意味するものと理解される。隆起した水底を、1.6トン/m〜2.3トン/m、より好ましくは1.7トン/m〜2.2トン/m、および最も好ましくは1.9トン/m〜2.1トン/mの飽和密度まで固めることが有効であることが分かった。
【0016】
上記方法を、隆起した水底とコアとの間に1つの濾過層を配置する点において特徴付けることが、さらに有効である。この措置は、土質工学的安定性を強化するものである。これによって、遮水体、特に防波堤の先端における土の侵食は、低減される。さらに、底質がコアまで移動することが、妨げられる。底質は、基本的に、切石連続体よりも、不透水である。従って、上記移動が、コアの多孔率を低下させることを引き起こす可能性があり、これによって防波堤の作用効果が低減する。本実施形態の変形例は、これを少なくとも部分的に回避する。幾つかのケースでは、濾過層も水を通す。比較的透水性のある遮水体または防波堤は、砂で埋まる可能性が高く、砂が多い条件では確実に砂で埋まり、すなわち、波および潮流が、砂を供給する。その後この砂は、(コア内の)穴を充填する。
【0017】
本発明に係る遮水体は、さらに、コアと保護層との間に、例えば石層の形態をした多重の濾過層を含んでいてもよい。これによって、比較的細かい材料から粗い材料までの段階的な遷移が得られる。必要に応じて、遮水体には、さらに、斜面の傾斜方向において保護層を支えるための先端構造体を設けることができ、また遮水体の上部にクラウンウォールを設け、その上を歩けるようにもできる。
【0018】
本発明に係る遮水体、特に、本発明に係る防波堤は、その頂上部が水中または水上に来るように、建設することが可能である。平均水位に対する防波堤の頂上部の高さ位置は、構造体に掛かることが許容される波エネルギーの量と、回折が生じる程度とを決定する。通り抜けることが許容される波エネルギーが大きければ大きいほど、防波堤にかかる波の負荷は小さくなる。その頂上部が水中にある防波堤は、ある(大)量の波エネルギーが通り抜けることを許容し、このため、防波堤にかかる負荷が低減するというさらなる利点を有している。
【0019】
完全に不透水性の防波堤は、波エネルギーをはね返す、または、エネルギーを比較的小さな石の体積に分散させる。このような防波堤には、一般に、より重たい負荷がかかる。従って、このような防波堤には、より重量を与える形態が好ましい。
【0020】
本発明に係る方法の好ましいさらなる一実施形態は、水底を、その自然の高さから遮水体の近傍の位置まで、徐々に隆起させることを特徴とする。このため、この隆起体は、傾斜を有している。この変形例は、波が、既に、遮水体よりもかなり前に、少なくとも部分的にそのエネルギーを失うという利点を有している。さらに、モデル試験では、遮水体と海岸線との間の区域への流送土砂の運搬が、ほとんど生じないことが示された。ここで、隆起体の高さが遮水体の方向にほぼ一定の傾斜で増大する場合が、さらに都合がよい。水平方向に対する傾斜角が1:2と1:20との間、より好ましくは1:5と1:15との間、および最も好ましくは1:7と1:10との間にある場合に、最も良好な結果が得られる。水底は、その自然の高さから遮水体の近傍の位置まで、徐々に隆起されることが好ましい。ここで、隆起体は、平均傾斜を有しているが、この平均傾斜は、1つまたは複数の水平部分を含んでいる。水平部分は、この位置において、隆起された水深の約2〜3倍の長さを有していることが好ましい。
【0021】
傾斜の有効な効果をさらに支援するために、本方法の好ましい一実施形態では、傾斜に複数の遮水体を設ける。これらの遮水体は、互いに一定の相互距離を有して配置され、先の遮水体とほぼ同一線上(in line with)にある。これら多数の遮水体の頂上部は、先の遮水体の方向に、次第に高くなりながら配置されていることが好ましく、これら遮水体の頂上部の高さは、先の遮水体の頂上部の高さを超過しないことを条件とする。
【0022】
ここで、本発明を添付の図面を参照しながら、さらに説明するが、本発明は、これらの図面に限定されるものではない。
【0023】
図1は、本発明に係る遮水体の第1の実施形態を示す概略的な断面図である。
【0024】
図2は、本発明に係る遮水体の第2の実施形態を示す概略的な断面図である。
【0025】
図1を参照すると、本発明に係る方法を用いて得られる、防波堤として実施された遮水体1が示されている。遮水体1の図示される実施形態は、少なくとも遮水体1の位置において、他の場所から供給された底質4を用いて、既存の水底3を隆起させ、その後、例えば供給された底質4の上に切石連続体2のコアを流し入れることによって、切石連続体2のコアを底質4の上に配置して、得る。切石連続体2のコアには、石6から構築されたおよそ2mの厚さの保護層5が設けられる。隆起させた水底4とコア2との間には、石の寸法が5〜75mmである粒状材料の濾過層8が配置される。同様に、典型的な厚さが2〜5mmであるジオテキスタイルを用いることも可能である。
【0026】
図1に示される形態では、遮水体の上部は、水面7の上に突出している。けれども、例えば、防波堤を見えないように隠すために、この上部が、水面7よりも下にあってもよい。例えば、水位7よりも14m下にある既存の水底は、本発明に係る方法を用いて、例えば水位7よりも平均5m下まで隆起させることが可能である。ここで、水底は、水深が−14mから−5mまで低減される高さまで隆起され、従って約65%隆起される。既知の例では、既存の水底の上に直接配置された従来技術の遮水体は、少なくとも約14mの高さを有する。本発明に係る方法では、コア2と保護層6とを合わせた全高さは、少なくとも約9mだけであり、これは、高さが約65%低減したことに相当する。
【0027】
水底3が、その自然の高さから遮水体1の近傍の位置まで徐々に隆起される場合が、都合がよい。このため、隆起体4の高さは、遮水体1の方向に、ほぼ一定の傾斜9で上昇する。図示された実施形態では、水平方向に対する傾斜角10は、1:10と1:20との間である。
【0028】
隆起体4は、遮水体1の海側(図1の左側)において、比較的長距離に広がっていてよい。好ましい変形例(図示せず)では、傾斜9には、遮水体1とほぼ同一線上にあり、遮水体1と同じ方法によって得られる、複数の遮水体が設けられている。ここで、これら複数の遮水体の頂上部は、海側から遮水体1を見る方向において、次第に高くなっているが、これら複数の遮水体の頂上部は、遮水体1の頂上部の高さを超えてはいない。
【0029】
図2を参照すると、遮水体1の他の一実施形態が示されている。この遮水体1も、同様に、本発明に係る方法を用いて得られる。図示される遮水体1の実施形態は、既存の水底3を、少なくとも遮水体1の位置において、他の場所から供給された底質4を用いて隆起させ、その後、その上に、切石連続体のコア(2,2a,2b)をその上に配置することによって、得られる。切石連続体のコアの部分2aは、粗い岩から構成されており、切石連続体のコアの右の部分は、部分的に、さらに粗い岩2bから構成されている。コア(2,2a,2b)を、供給された底質4の上に、多数回流し入れる。その後、コア(2,2a,2b)に、石6から構築された、およそ2mの厚さの保護層5を設ける。隆起した水底4とコア2との間に、5〜75mmの厚さを有する濾過層8を配置する。上記の部分(2a,2b)は、コア層(2,2a,2b)の多孔率を局所的に増大することを提供する。これによって、波エネルギーを、局所的により良好に分散させる。この形態はさらに、ほぼ水平の2つのテラス(9a,9b)と、傾斜を有する2つの部分(9c,9d)とを備えた隆起体4を有している。このような構造は、防波堤の作用および遮水体1の安定性に、好ましい影響を与える。
【0030】
本発明は、上述の典型的な実施形態に決して限定されることはなく、添付の請求項の保護範囲から逸脱しない多くの形態が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】本発明に係る遮水体の第1の実施形態を示す概略的な断面図である。
図2】本発明に係る遮水体の第2の実施形態を示す概略的な断面図である。
図1
図2