特許第5909098号(P5909098)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5909098
(24)【登録日】2016年4月1日
(45)【発行日】2016年4月26日
(54)【発明の名称】排気ガス浄化装置
(51)【国際特許分類】
   F01N 13/00 20100101AFI20160412BHJP
   F01N 13/08 20100101ALI20160412BHJP
   F01N 3/28 20060101ALI20160412BHJP
   F01N 3/24 20060101ALI20160412BHJP
【FI】
   F01N13/00 B
   F01N13/08 A
   F01N3/28 301U
   F01N3/28 301W
   F01N3/24 E
【請求項の数】1
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2012-8947(P2012-8947)
(22)【出願日】2012年1月19日
(65)【公開番号】特開2013-148008(P2013-148008A)
(43)【公開日】2013年8月1日
【審査請求日】2014年8月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006781
【氏名又は名称】ヤンマー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134751
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 隆一
(72)【発明者】
【氏名】光田 匡孝
【審査官】 永田 和彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−144640(JP,A)
【文献】 特開2010−43546(JP,A)
【文献】 特開2011−208572(JP,A)
【文献】 特開2010−7556(JP,A)
【文献】 特開2008−106663(JP,A)
【文献】 特開2011−179384(JP,A)
【文献】 特開2010−43574(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/136203(WO,A1)
【文献】 特開2004−263593(JP,A)
【文献】 特開2005−194949(JP,A)
【文献】 特開2009−228516(JP,A)
【文献】 特開2009−91982(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01N 1/00−99/00,
F02D 35/00,
B01D 39/20,46/00,53/73,53/86−53/96
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンが排出した排気ガスを浄化する第1及び第2フィルタ体と、前記第1及び第2フィルタ体それぞれを内蔵する第1及び第2内側ケースと、前記第1及び第2内側ケースそれぞれを内蔵する第1及び第2外側ケースとを備えており、前記第1及び第2外側ケースを排気ガス移動方向に並べて連結することによって、浄化ケーシングを構成している排気ガス浄化装置において、
前記エンジンに前記浄化ケーシングを支持される固定脚体及び連結脚体と、前記第1内側ケースの外周側と前記第外側ケースの内周側とを連結する支持体とを備え、前記固定脚体が前記第1外側ケースの外周面に固着される一方、前記連結脚体が前記第2外側ケースのフランジに着脱可能に取り付けられており、
前記浄化ケーシングの排気ガス移動方向の両端部を塞ぐ蓋体は、内蓋体と外蓋体との二重構造に構成されており、前記浄化ケーシングを前記エンジンに搭載した状態で前記外蓋体において少なくとも下部に位置する箇所であって前記外蓋体において排気ガス移動方向の中心線を基準にした放射方向の位置に、前記内蓋体と前記外蓋体との間に溜まる水を排出させる第1水抜き穴が形成されており、
前記浄化ケーシングを前記エンジンに搭載した状態で、前記各外側ケースにおいて少なくとも下部に位置する箇所に、前記内側ケースと前記外側ケースとの間に溜まる水を排出させる第2水抜き穴が、前記第1ケースにおいて前記固定脚体を挟んだ両側と前記第2外側ケースとに形成されている
排気ガス浄化装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、ディーゼルエンジン等に搭載される排気ガス浄化装置に係り、より詳しくは、排気ガス中に含まれた粒子状物質(すす、パティキュレート)等を除去する排気ガス浄化装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ディーゼルエンジン(以下、単にエンジンという)の排気経路中に、排気ガス浄化装置としてディーゼルパティキュレートフィルタ(以下、DPFという)を設け、エンジンから排出された排気ガスをDPFにて浄化処理する技術が知られている(特許文献1参照)。また、DPFにおいては、外側ケースの内部に内側ケースを二重構造に設け、酸化触媒又はスートフィルタ等を内側ケースに内蔵させる技術が知られている(例えば特許文献2参照)。更に、DPFにおいて、酸化触媒内蔵のケースとスートフィルタ内蔵のケースとを、ボルトによって締結するフランジを介して分離可能に連結する技術も知られている(例えば特許文献3及び4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−263593号公報
【特許文献2】特開2005−194949号公報
【特許文献3】特開2009−228516号公報
【特許文献4】特開2009−91982号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、DPFにおいては、排気ガス温度の低下で結露が発生したり雨水が浸入したりして、DPFの内部に凝縮水等の水が溜まる場合が往々にしてある。当該水は腐食性が強く、DPFの外形を構成するケースに悪影響を与える。特に二重構造のDPFでは、内側及び外側ケースとこれらの排気ガス移動方向の両端部を塞ぐ蓋体との間や、内側ケースと外側ケースとの間が水の溜まるスペースになるため、このような水を取り除く必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願発明は、上記のような現状を検討して改善を施した排気ガス浄化装置を提供することを技術的課題としている。
【0006】
本願発明は、エンジンが排出した排気ガスを浄化する第1及び第2フィルタ体と、前記第1及び第2フィルタ体それぞれを内蔵する第1及び第2内側ケースと、前記第1及び第2内側ケースそれぞれを内蔵する第1及び第2外側ケースとを備えており、前記第1及び第2外側ケースを排気ガス移動方向に並べて連結することによって、浄化ケーシングを構成している排気ガス浄化装置において、前記エンジンに前記浄化ケーシングを支持される固定脚体及び連結脚体と、前記第1内側ケースの外周側と前記第外側ケースの内周側とを連結する支持体とを備え、前記固定脚体が前記第1外側ケースの外周面に固着される一方、前記連結脚体が前記第2外側ケースのフランジに着脱可能に取り付けられており、前記浄化ケーシングの排気ガス移動方向の両端部を塞ぐ蓋体は、内蓋体と外蓋体との二重構造に構成されており、前記浄化ケーシングを前記エンジンに搭載した状態で前記外蓋体において少なくとも下部に位置する箇所であって前記外蓋体において排気ガス移動方向の中心線を基準にした放射方向の位置に、前記内蓋体と前記外蓋体との間に溜まる水を排出させる第1水抜き穴が形成されており、前記浄化ケーシングを前記エンジンに搭載した状態で、前記各外側ケースにおいて少なくとも下部に位置する箇所に、前記内側ケースと前記外側ケースとの間に溜まる水を排出させる第2水抜き穴が、前記第1ケースにおいて前記固定脚体を挟んだ両側と前記第2外側ケースとに形成されているというものである。
【0007】
【0008】
【発明の効果】
【0009】
本願発明によると、エンジンが排出した排気ガスを浄化する複数のフィルタ体と、前記各フィルタ体を内蔵する複数の内側ケースと、前記各内側ケースを内蔵する複数の外側ケースとを備えており、前記各外側ケースを排気ガス移動方向に並べて連結することによって、浄化ケーシングを構成している排気ガス浄化装置において、前記浄化ケーシングの排気ガス移動方向の両端部を塞ぐ蓋体は、内蓋体と外蓋体との二重構造に構成されており、前記浄化ケーシングを前記エンジンに搭載した状態で前記外蓋体において少なくとも下部に位置する箇所に、前記内蓋体と前記外蓋体との間に溜まる水を排出させる第1水抜き穴が形成されているから、前記浄化ケーシングの排気ガス移動方向の両端部を、前記内蓋体と前記外蓋体との二重構造で塞いで断熱性を確保したものでありながら、結露や雨水等によって前記内蓋体と前記外蓋体との間に溜まる水を前記第1水抜き穴から排出でき、排気ガス浄化装置の水抜き性がよくなる。このため、前記排気ガス浄化装置の耐腐食性能が向上する。
【0010】
本願発明によると、前記第1水抜き穴は、前記外蓋体において排気ガス移動方向の中心線を基準にした放射方向の位置に形成されているから、前記浄化ケーシングの排気ガス移動方向の両端部を同一形状の前記外蓋体で塞ぐことが可能になる。このため、構成部品点数を減少させてコスト低減に寄与できる。しかも、前記外蓋体の形状を変更することなく、前記浄化ケーシングの排気ガス移動方向の各端部に対して、前記外蓋体の前記中心線回りの取り付け向きを簡単に変更できる。ひいては、前記各外側ケースの前記エンジンに対する取り付け向きの自由度を高められる。
【0011】
本願発明によると、前記浄化ケーシングを前記エンジンに搭載した状態で、前記各外側ケースにおいて少なくとも下部に位置する箇所に、前記内側ケースと前記外側ケースとの間に溜まる水を排出させる第2水抜き穴が形成されているから、前記浄化ケーシングを、前記内側ケースと前記外側ケースとの二重構造に構成して断熱性を確保したものでありながら、結露や雨水等によって前記内側ケースと前記外側ケースとの間に溜まる水を前記第2水抜き穴から排出でき、前記排気ガス浄化装置の水抜き性がよくなる。このため、前記排気ガス浄化装置の耐腐食性能の更なる向上に寄与できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】エンジンを斜め前方から見た斜視図である。
図2】エンジンの左側面図である。
図3】エンジンの右側面図である。
図4】エンジンの平面図である。
図5】エンジンの正面図である。
図6】エンジンの背面図である。
図7】DPFを浄化入口管側から見た外観斜視図である。
図8】DPFを浄化出口管側から見た外観斜視図である。
図9】DPFの断面説明図である。
図10】挟持フランジの分離側面図である。
図11】吊り下げ体及び吊り下げ金具の位置関係を示すDPFの外観斜視図である。
図12】DPFの底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0014】
(1).エンジンの概略構造
はじめに、図1図6を参照しながら、コモンレール式のエンジン1の概略構造について説明する。なお、以下の説明では、クランク軸線と平行な両側部(クランク軸線を挟んで両側の側部)を左右、冷却ファン9配置側を前側、フライホイルハウジング10配置側を後側と、排気マニホールド7配置側を左側、吸気マニホールド6配置側を右側と称して、これらを便宜的に、エンジン1における四方及び上下の位置関係の基準としている。
【0015】
図1図6に示すように、農業機械や建設・土木機械といった作業機械に搭載される原動機としてのエンジン1は、連続再生式の排気ガス浄化装置2(ディーゼルパティキュレートフィルタ、以下、DPFという)を備えている。DPF2によって、エンジン1から排出される排気ガス中の粒子状物質(PM)が除去されると共に、排気ガス中の一酸化炭素(CO)や炭化水素(HC)が低減される。
【0016】
エンジン1は、エンジン出力軸であるクランク軸3とピストン(図示省略)とを内蔵したシリンダブロック4を備えている。シリンダブロック4上にはシリンダヘッド5が搭載されている。シリンダヘッド5の右側面に吸気マニホールド6が配置され、シリンダヘッド5の左側面に排気マニホールド7が配置されている。シリンダヘッド5の上面側はヘッドカバー8にて覆われている。シリンダブロック4の前後両側面から、クランク軸3の前後両端側を突出させている。エンジン1の前面側に冷却ファン9が設けられている。クランク軸3の前端側から冷却ファン用Vベルト22を介して冷却ファン9に回転動力が伝達される。
【0017】
エンジン1の後面側にフライホイルハウジング10が設けられている。フライホイルハウジング10内に、フライホイル11がクランク軸3の後端側に軸支された状態で収容されている。エンジン1の回転動力は、クランク軸3からフライホイル11を介して作業機械の作動部に伝達される。シリンダブロック4の下面には、潤滑油を貯留するオイルパン12が配置されている。オイルパン12内の潤滑油は、シリンダブロック4の右側面に配置されたオイルフィルタ13等を介してエンジン1の各潤滑部に供給され、その後、オイルパン12に戻る。
【0018】
シリンダブロック4右側面におけるオイルフィルタ13の上方(吸気マニホールド6の下方)には燃料供給ポンプ14が設けられている。また、エンジン1には、電磁開閉制御型の燃料噴射バルブ(図示省略)を有する四気筒分のインジェクタ15を備えている。各インジェクタ15は、燃料供給ポンプ14、円筒状のコモンレール16(蓄圧室)及び燃料フィルタ17を介して、作業機械に搭載された燃料タンク(図示省略)に接続されている。燃料タンクの燃料が燃料供給ポンプ14から燃料フィルタ17を経由してコモンレール16に圧送され、高圧の燃料がコモンレール16に蓄えられる。各インジェクタ15の燃料噴射バルブを開閉制御することによって、コモンレール16内の高圧の燃料が各インジェクタ15からエンジン1の各気筒に噴射される。
【0019】
シリンダブロック4の前面側には、冷却水潤滑用の冷却水ポンプ21が冷却ファン9のファン軸と同軸状に配置されている。クランク軸3の回転動力によって、冷却ファン用Vベルト22を介して、冷却ファン9と共に冷却水ポンプ21が駆動される。作業機械に搭載されるラジエータ(図示省略)内の冷却水は、冷却水ポンプ21の駆動によって、シリンダブロック4及びシリンダヘッド5に供給され、エンジン1を冷却する。エンジン1の冷却に寄与した冷却水はラジエータに戻される。なお、冷却水ポンプ21の左側方にオルタネータ23が配置されている。
【0020】
シリンダブロック4の左右側面に機関脚取付け部24がそれぞれ設けられている。各機関脚取付け部24には、防振ゴムを有する機関脚体(図示省略)がそれぞれボルト締結される。エンジン1は、各機関脚体を介して作業機械(具体的にはエンジン取付けシャーシ)に防振支持される。
【0021】
図2及び図4に示すように、吸気マニホールド6の入口部は、EGR装置26(排気ガス再循環装置)を介してエアクリーナ(図示省略)に連結されている。エアクリーナに吸い込まれた新気(外部空気)は、当該エアクリーナにて除塵及び浄化されたのち、EGR装置26を介して吸気マニホールド6に送られ、エンジン1の各気筒に供給される。
【0022】
EGR装置26は、エンジン1の排気ガスの一部(排気マニホールド7からのEGRガス)及び新気(エアクリーナからの外部空気)を混合させて吸気マニホールド6に供給するEGR本体ケース27(コレクタ)と、エアクリーナにEGR本体ケース27を連通させる吸気スロットル部材28と、排気マニホールド7にEGRクーラ29を介して接続する再循環排気ガス管30と、再循環排気ガス管30にEGR本体ケース27を連通させるEGRバルブ部材31とを備えている。
【0023】
吸気マニホールド6には、EGR本体ケース27を介して吸気スロットル部材28が連結されている。吸気スロットル部材28はEGR本体ケース27の長手方向の一端部にボルト締結されている。EGR本体ケース27の左右内向きの開口端部が吸気マニホールド6の入口部にボルト締結されている。EGR本体ケース27には、EGRバルブ部材31を介して、再循環排気ガス管30の出口側が連結されている。再循環排気ガス管30の入口側は、EGRクーラ29を介して排気マニホールド7の下面側に連結されている。EGRバルブ部材31内のEGRバルブ(図示省略)の開度を調節することによって、EGR本体ケース27へのEGRガスの供給量が調節される。
【0024】
上記の構成において、エアクリーナから吸気スロットル部材28を介してEGR本体ケース27内に新気(外部空気)が供給される一方、排気マニホールド7からEGRバルブ部材31を介してEGR本体ケース27内にEGRガス(排気マニホールド7から排出される排気ガスの一部)を供給される。エアクリーナからの新気及び排気マニホールド7からのEGRガスがEGR本体ケース27内で混合されたのち、EGR本体ケース27内の混合ガスが吸気マニホールド6に供給される。このように、排気マニホールド7から排出された排気ガスの一部を吸気マニホールド6経由でエンジン1に還流させることによって、高負荷運転時の最高燃焼温度を低下させ、エンジン1からのNOx(窒素酸化物)の排出量を低減している。
【0025】
図1図5に示すように、シリンダヘッド5の右側方で且つ排気マニホールド7の上方には、ターボ過給機32が配置されている。ターボ過給機32は、タービンホイル(図示省略)を内蔵したタービンケース33と、ブロアホイル(図示省略)を内蔵したコンプレッサケース34とを備えている。タービンケース33の排気入口側は、排気マニホールド7の出口部に接続されている。タービンケース33の排気出口側は、DPF2を介してテールパイプ(図示省略)に連結されている。エンジン1の各気筒から排気マニホールド7に排出された排気ガスは、ターボ過給機32のタービンケース33及びDPF2等を経由して、テールパイプから外部に放出される。
【0026】
コンプレッサケース34の吸気入口側は、吸気管35を介してエアクリーナに連結されている。コンプレッサケース34の吸気出口側は、過給管36を介して吸気スロットル部材28に連結されている。エアクリーナにて除塵された新気は、コンプレッサケース34から吸気スロットル部材28及びEGR本体ケース27を経由して吸気マニホールド6に送られ、エンジン1の各気筒に供給される。吸気管35は、ブローバイガス戻し管37を介してヘッドカバー8内のブリーザ室38に連結されている(図7参照)。ブリーザ室38にて潤滑油を分離除去されたブローバイガスは、ブローバイガス戻し管37を通じて吸気管35に戻され、吸気マニホールド6に還流されてエンジン1の各気筒に再供給される。
【0027】
(2).DPFの概略構造
次に、図7図10を参照しながら、DPF2の概略構造について説明する。DPF2は、浄化入口管41及び浄化出口管42を有する耐熱金属材料製の浄化ケーシング40を備えている。浄化ケーシング40の内部には、二酸化窒素(NO2)を生成する白金等のディーゼル酸化触媒43と、捕集した粒子状物質(PM)を比較的低温で連続的に酸化除去するハニカム構造のスートフィルタ44とが、排気ガスの移動方向(図9の矢印方向参照)に直列に並べて収容されている。浄化ケーシング40の長手方向両側(一端側と他端側)に、浄化入口管41と浄化出口管42とが振り分けて設けられている。浄化入口管41はタービンケース33の排気出口側に連結されている。浄化出口管42はテールパイプ(図示省略)に連結されている。
【0028】
上記の構成において、エンジン1の排気ガスは、タービンケース33の排気出口側から浄化入口管41を経由して浄化ケーシング40内に流入し、ディーゼル酸化触媒43、スートフィルタ44の順に通過して浄化処理される。排気ガス中の粒子状物質は、スートフィルタ44における各セル間の多孔質な仕切り壁を通り抜けできずに捕集される。その後、ディーゼル酸化触媒43及びスートフィルタ44を通過した排気ガスがテールパイプに向けて放出される。
【0029】
排気ガスがディーゼル酸化触媒43及びスートフィルタ44を通過する際に、排気ガス温度が再生可能温度(例えば約300℃)を超えていれば、ディーゼル酸化触媒43の作用で、排気ガス中の一酸化窒素(NO)が不安定な二酸化窒素に酸化される。そして、二酸化窒素が一酸化窒素に戻る際に放出する酸素(O)がスートフィルタ44に堆積した粒子状物質を酸化除去することによって、スートフィルタ44の粒子状物質捕集能力は回復する(スートフィルタ44は自己再生する)。
【0030】
なお、実施形態では、浄化ケーシング40の長手方向他端側が消音器45に構成されており、当該消音器45に浄化出口管42が設けられている。ディーゼル酸化触媒43及びスートフィルタ44とは、排気ガス浄化用のフィルタ体に相当する。
【0031】
浄化ケーシング40は、触媒内側ケース46及び触媒外側ケース47と、フィルタ内側ケース48及びフィルタ外側ケース49と、消音内側ケース50及び消音外側ケース51とを備えている。それぞれの内側ケース46,48,50及び外側ケース47,49,51の組合せは二重筒構造に構成されている。触媒内側ケース46内にディーゼル酸化触媒43が収容される。フィルタ内側ケース48内にスートフィルタ44が収容される。触媒内側ケース46の外周側と触媒外側ケース47の内周側との間に、断面L字状の薄板製支持体52が配置されている。触媒内側ケース46の外周側と触媒外側ケース47の内周側とは、薄板製支持体52を介して連結されている。
【0032】
それぞれの内側ケース46,48及び外側ケース47,49の組合せが浄化ケーシング40の構成要素である浄化ケースに相当する。実施形態のDPF2は消音器45付きであるが、消音器45自体はDPF2に必須の構成要素ではない。つまり、消音内側ケース50及び消音外側ケース51は浄化ケーシング40に必須の構成要素ではない。
【0033】
触媒内側ケース46及び触媒外側ケース47の一端側(排気上流側の端部)に触媒内蓋体53が溶接固定されている。触媒内側ケース46及び触媒外側ケース47の一端側を触媒内蓋体53によって塞いでいる。触媒内蓋体53の外端面側には、触媒内蓋体53を外側から覆う触媒外蓋体54が溶接固定されている。触媒外側ケース47の外周側に浄化入口管41が溶接固定されている。浄化入口管41は、触媒内側ケース46及び触媒外側ケース47に形成された排気ガス入口55を介して触媒内側ケース46内に連通している。
【0034】
触媒内側ケース46の他端側(排気下流側の端部)に、触媒外側ケース47の外周側(半径外側)にはみ出る薄板状の触媒フランジ56が溶接固定されている。触媒フランジ56の外周側に、触媒外側ケース47の他端側が溶接固定されている。一方、フィルタ内側ケース48の外周側の長手中途部に、フィルタ外側ケース49の外周側にはみ出る薄板状のフィルタ入口フランジ57が溶接固定されている。フィルタ入口フランジ57の外周側に、フィルタ外側ケース49の一端側(排気上流側の端部)が溶接固定されている。
【0035】
図7図9に示すように、ガスケット58を介して触媒フランジ56とフィルタ入口フランジ57とを突き合わせ、各外側ケース47,49の外周側を囲う厚板状の中央挟持フランジ59,60で両フランジ56,57を排気ガス移動方向の両側から挟持し、ボルト61及びナット62で両中央挟持フランジ59,60を両フランジ56,57と共に締結することによって、触媒外側ケース47とフィルタ外側ケース49とが連結される。触媒外側ケース47とフィルタ外側ケース49とを連結した状態では、フィルタ内側ケース46の一端側が、触媒内側ケース46及び触媒外側ケース47の他端側から内部にオーバーラップしている(挿入されている)。
【0036】
浄化ケーシング40の長手方向他端側に位置する消音器45は、二重筒構造の消音内側ケース50及び消音外側ケース51を備えている。消音内側ケース50の一端側(排気上流側の端部)に仕切蓋体63が溶接固定されている。消音内側ケース50の一端側を仕切蓋体63によって塞いでいる。消音内側ケース50及び消音外側ケース51の他端側(排気下流側の端部)には消音内蓋体64が溶接固定されている。消音内蓋体64の外端面側には、消音内蓋体64を外側から覆う消音外蓋体65が溶接固定されている。
【0037】
仕切蓋体63と消音内蓋体64との間には一対の連通管66が設けられている(図9では一方のみ示す)。両連通管66の一端側は仕切蓋体63を貫通している。両連通管66の他端側は消音内蓋体64によって塞がれている。各連通管66には多数の連通穴67が形成されている。仕切蓋体63と消音内蓋体64とで仕切られた消音内側ケース50の内部は、連通穴67を介して両方の連通管66と連通する共鳴室に構成されている。
【0038】
消音内側ケース50及び消音外側ケース51には、両連通管66の間を通る浄化出口管42を貫通させている。浄化出口管42の一端側(上端側)には一対の出口蓋体68が溶接固定されている。浄化出口管42の一端側を両出口蓋体68によって塞いでいる。両出口蓋体68は上下に適宜間隔を開けて配置されている。浄化出口管42のうち消音内側ケース50内の部分には多数の排気穴69が形成されている。従って、消音内側ケース50内の両連通管66は、連通穴67、共鳴室及び排気穴69を介して浄化出口管42に連通している。浄化出口管42の他端側(下端側)は、例えばテールパイプや既設の消音部材に接続される。上記の構成において、消音内側ケース46の両連通管66内に侵入した排気ガスは、連通穴67、共鳴室及び排気穴69を介して浄化出口管42を通過し、消音器45外に排出される。
【0039】
フィルタ内側ケース48の他端側に、フィルタ外側ケース49の外周側にはみ出る薄板状のフィルタ出口フランジ70が溶接固定されている。フィルタ出口フランジ70の外周側に、フィルタ外側ケース49の他端側が溶接固定されている。一方、消音内側ケース50の一端側に、消音外側ケース51の外周側にはみ出る薄板状の消音フランジ71が溶接固定されている。消音フランジ71の外周側に、消音外側ケース51の一端側が溶接固定されている。
【0040】
図7図9に示すように、ガスケット72を介してフィルタ出口フランジ70と消音フランジ71とを突き合わせ、各外側ケース49,51の外周側を囲う厚板状の出口挟持フランジ73,74で両フランジ70,71を排気ガス移動方向の両側から挟持し、ボルト75及びナット76で両出口挟持フランジ73,74を両フランジ70,71と共に締結することによって、フィルタ外側ケース49と消音外側ケース51とが連結される。
【0041】
各中央挟持フランジ59(60)は、対応する外側ケース47(49)の周方向に複数に分割された円弧体59a,59b(60a,60b)からなっている。各円弧体59a,59b(60a,60b)は円弧状(略半円の馬蹄形)に形成されている。触媒外側ケース47とフィルタ外側ケース49とを連結した状態では、両円弧体59a,59b(60a,60b)の端部同士が周方向に対峙して突き合わさり、触媒外側ケース47(フィルタ外側ケース49)の外周側を取り囲む。ここで、触媒側の円弧体59a,59bとフィルタ入口側の円弧体60a,60bとの端部同士の突合せ部分は、お互いに位相をずらした位置におかれる(突合せ部分同士を同位相に重ねない)。中央挟持フランジ59,60を構成する各円弧体59a,59b,60a,60bはいずれも同一形態である。
【0042】
各出口挟持フランジ73(74)も、中央挟持フランジ59,60と同様に、対応する外側ケース49(51)の周方向に複数に分割された円弧体73a,73b(74a,74b)からなっている。各円弧体73a,73b(74a,74b)は、中央挟持フランジ59(60)の各円弧体59a,59b(60a,60b)と基本的に同じ形態のものである。フィルタ出口側の円弧体73a,73bと、消音側の円弧体74a,74bとの端部同士の突合せ部分も、お互いに位相をずらした位置におかれる。
【0043】
挟持フランジ59,60,73,74のうち少なくとも一つに、浄化ケーシング40をエンジン1に支持させる連結脚体77が着脱可能に取り付けられる。実施形態では、出口挟持フランジ73における一方の円弧体73aに、貫通穴付きの脚体締結部78が形成されている。連結脚体77には、円弧体73aの脚体締結部78に対応する取付けボス部が形成されている。円弧体73aの脚体締結部78に連結脚体77の取付けボス部をボルト締結することによって、フィルタ出口側の出口挟持フランジ73に連結脚体77が着脱可能に取り付けられる。浄化ケーシング40(実施形態では触媒外側ケース47)の外周側には、浄化ケーシング40をエンジン1に支持させる固定脚体79が溶接にて固着されている。連結脚体77及び固定脚体79は、フライホイルハウジング10の上面側に形成されたDPF取付け部80にボルト締結される。つまり、DPF2は、連結脚体77及び固定脚体79によって、高剛性部材であるフライホイルハウジング10上に安定的に連結支持される。
【0044】
図7及び図8に示すように、浄化ケーシング40の外周側には、浄化ケーシング40内の排気ガス圧力を検出する排気ガス圧力センサ81と、同じく浄化ケーシング40内の排気ガス温度を検出する排気ガス温度センサ82とを備えている。排気ガス圧力センサ81は、スートフィルタ44を挟んだ排気上流側及び排気下流側間の排気ガスの圧力差を検出するものである。当該圧力差に基づきスートフィルタ44の粒子状物質の堆積量が換算され、DPF2内の詰り状態が把握される。
【0045】
挟持フランジ59,60,73,74のうち少なくとも一つに、排気ガス圧力センサ81及び排気ガス温度センサ82を支持する略L字板状のセンサブラケット83が着脱可能に取り付けられる。実施形態では、消音側の出口挟持フランジ74における一方の円弧体74aに、貫通穴付きのセンサ支持部86が形成されている。つまり、センサ支持部86は、排気ガス入口55側から最も遠い消音側の出口挟持フランジ74の一部に形成されている。円弧体43aのセンサ支持部86にセンサブラケット83の鉛直板部85をボルト締結することによって、消音側の出口挟持フランジ74にセンサブラケット83が着脱可能に取り付けられる。
【0046】
図7図8及び図10に示すように、円弧体74aのセンサ支持部86は浄化ケーシング40の外周側(半径外側)に張り出している。このため、センサブラケット83の水平板部84は浄化ケーシング40の外周側から外向きに離れている。排気ガス圧力センサ81及び排気ガス温度センサ82は、センサブラケット83の水平板部84上に並設されている。センサブラケット83の水平板部84は、浄化ケーシング40の排気ガス移動方向の長さ範囲内に両センサ81,82が収まるように、フィルタ外側ケース49の外周側に位置している。このような取付け構造を採用すると、仮にDPF2に消音器45が直付けされていない場合であっても、浄化ケーシング40の排気ガス移動方向の長さ範囲内に両センサ81,82を収められる。
【0047】
排気ガス圧力センサ81には圧力用配線コネクタ87が一体的に設けられている。排気ガス圧力センサ81には、上流及び下流センサ配管88,89を介して上流及び下流管継手体90,91の基端側がそれぞれ接続されている。触媒内側ケース46とフィルタ内側ケース48とには、スートフィルタ44を挟むような位置関係で、圧力用ボス体92が溶接にて固着されている。各圧力用ボス体92の外向き突端側は、対応する外側ケース47,49に形成された開口から半径外向きに突出している。各管継手体90,91の先端側はそれぞれ対応する圧力用ボス体92に管継手ボルト93を介して締結される。
【0048】
排気ガス温度センサ82は、センサブラケット83の水平板部84上に、温度用配線コネクタ94を備えている。排気ガス温度センサ82(温度用配線コネクタ94といってもよい)からは三本のセンサ配管95〜97が延びている。触媒内側ケース46とフィルタ内側ケース48とには、温度用ボス体98が溶接にて固着されている。触媒内側ケース46には二つ、フィルタ内側ケース48には一つの温度用ボス体98が設けられている。各温度用ボス体98外向き突端側は、対応する外側ケース47,49に形成された開口から半径外向きに突出している。各温度用ボス体98に螺合する装着ボルト99に、排気ガス温度センサ82から延びるセンサ配管95〜97先端の検出部分を貫通させ、装着ボルト99を介して温度用ボス体98にセンサ配管95〜97先端の検出部分が固定される。各センサ配管95〜97先端の検出部分は、触媒内蓋体53とディーゼル酸化触媒43との間、ディーゼル酸化触媒43とスートフィルタ44との間、並びに、スートフィルタ44と仕切蓋体63との間にそれぞれ突入している。
【0049】
実施形態では、圧力用配線コネクタ87と温度用配線コネクタ94との接続方向を同じ方向に向けた状態で、排気ガス圧力センサ81及び排気ガス温度センサ82をセンサブラケット83の水平板部84上に固定している。このため、各コネクタ87,94に対する配線の接続作業性を向上できる。
【0050】
また、実施形態では、フィルタ出口側の出口挟持フランジ73における他方の円弧体73bに吊り下げ体101が一体的に形成されると共に、浄化ケーシング40の触媒外蓋体54に吊り下げ金具102がボルト締結されている。浄化ケーシング40の対角線方向(長手軸線Aと交差する方向)に各々の開口穴103,104が位置するように、吊り下げ体101と吊り下げ金具102が排気ガス移動方向の両側に離間させて対峙させている(図11参照)。フィルタ出口側の出口挟持フランジ73だけでなく、その他の挟持フランジ59,60,74も、浄化ケース連結用の厚板フランジに相当する。つまり、その他の挟持フランジ59,60,74に吊り下げ体101を一体的に形成してもよい。
【0051】
このように構成すると、エンジン1の組立工場等において、例えばチェンブロックのフック(図示省略)に吊り下げ体101及び吊り下げ金具102を係止し、チェンブロックによって浄化ケーシング40を昇降させ、エンジン1に浄化ケーシング40を組み付けできる。つまり、作業者が自力で浄化ケーシング40を持ち上げたりせずに、吊り下げ体101及び吊り下げ金具102を用いて浄化ケーシング40をスムーズにエンジン1に搭載できる。
【0052】
また、吊り下げ体101と吊り下げ金具102の対角線方向の位置関係によって、重量物である浄化ケーシング40を安定した姿勢で吊り下げでき、例えばフライホイルハウジング10のDPF取付け部80と、連結脚体77及び固定脚体79との位置合せを簡単に行える。従って、DPF2の組付け作業性を向上できる。
【0053】
ところで、図10に示すように、厚板フランジに相当する各挟持フランジ59,60,73,74には、貫通穴付きのボルト締結部105が周方向に沿った等間隔で複数設けられている。実施形態では、各挟持フランジ59,60,73,74一組に付き十箇所のボルト締結部105を備えている。各円弧体59a,59b,60a,60b,73a,73b,74a,74b単位で見ると、周方向に沿った等間隔で五箇所ずつボルト締結部105が設けられている。各フランジ56,57,70,71には、挟持フランジ59,60,73,74の各ボルト締結部105に対応するボルト穴106が形成されている。このため、各挟持フランジ59,60,73,74の円弧体59a,59b,60a,60b,73a,73b,74a,74b群の取付け位相は、浄化ケーシング40の排気ガス移動方向の長手軸線A回りに(浄化ケーシング40の周方向に沿って)多段階に変更可能である。
【0054】
このように構成すると、各挟持フランジ59,60,73,74の形状(吊り下げ体101の形成位置)を変更することなく、浄化入口管41や浄化出口管42の連結方向(エンジン1に対するDPF2の取付け仕様)に対して吊り下げ体101の位置を簡単に変更でき、DPF2の組付け作業性の更なる向上に寄与できる。
【0055】
図9に詳細に示したように、浄化ケーシング40の排気ガス移動方向の両端部を塞ぐ蓋体は、内蓋体53,64と外蓋体54,65との二重構造に構成されている。そして、浄化ケーシング40をエンジン1に搭載した状態で外蓋体54,65において少なくとも下部に位置する箇所に、内蓋体53,64と外蓋体54,65との間に溜まる水を排出させる第1水抜き穴107が形成されている(図7図11参照)。外蓋体54,65は略円盤状の同一形状に形成されている。第1水抜き穴107は、各外蓋体54,65において排気ガス移動方向の中心線(長手軸線A)を基準にした放射方向の周縁部に形成されている。実施形態の第1水抜き穴107は、排気ガス移動方向の中心線(長手軸線A)をから見て十字方向の周縁部に開口している(一つの外蓋体54,65に対して四箇所開口している)。これら第1水抜き穴107を介して、内蓋体53,64と外蓋体54,65との間が外部に連通している。
【0056】
このように構成すると、浄化ケーシング40の排気ガス移動方向の両端部を、内蓋体53,64と外蓋体54,65との二重構造で塞いで断熱性を確保したものでありながら、結露や雨水等によって内蓋体53,64と外蓋体54,65との間に溜まる水を第1水抜き穴107から排出でき、DPF2の水抜き性がよくなる。このため、DPF2の耐腐食性能が向上する。その上、浄化ケーシング40の排気ガス移動方向の両端部を同一形状の外蓋体54,65で塞ぐことになるから、構成部品点数を減少させてコスト低減に寄与できる。外蓋体54,65の形状を変更することなく、浄化ケーシング40の排気ガス移動方向の各端部に対して、外蓋体54,65の前記中心線(長手軸線A)回りの取り付け向きを簡単に変更できる。ひいては、外側ケース(例えば触媒外側ケース47や消音外側ケース51)の前記エンジン1に対する取り付け向きの自由度を高められる。
【0057】
図12に示すように、浄化ケーシング40をエンジン1に搭載した状態で各外側ケース47,49において少なくとも下部に位置する箇所には、内側ケース46,48と外側ケース47,49との間に溜まる水を排出させる第2水抜き穴108が形成されている。実施形態では、触媒外側ケース47において固定脚体79を挟んだ両側とフィルタ外側ケース49との三箇所に、第2水抜き穴108が形成されている。このように構成すると、浄化ケーシング40を、内側ケース46,48と外側ケース47,49との二重構造に構成して断熱性を確保したものでありながら、結露や雨水等によって内側ケース46,48と外側ケース47,49との間に溜まる水を第2水抜き穴108から排出でき、DPF2の水抜き性がよくなる。このため、DPF2の耐腐食性能の更なる向上に寄与できる。
【0058】
(3).まとめ
以上の構成から明らかなように、エンジン1が排出した排気ガスを浄化する複数のフィルタ体43,44と、前記各フィルタ体43,44を内蔵する複数の浄化ケース46〜49からなる浄化ケーシング40と、前記浄化ケーシング40内の排気ガス圧力を検出する排気ガス圧力センサ81と、前記浄化ケーシング40内の排気ガス温度を検出する排気ガス温度センサ82とを備えている排気ガス浄化装置2において、前記浄化ケーシング40の外周側に、前記両センサ81,82が前記浄化ケーシング40の排気ガス移動方向の長さ範囲内に収まるように配置されているから、エンジン1の仕様毎や作業機械毎に前記各センサ81,82の初期設定(調整)の適否を評価する必要がなく、設計・試験等の評価工数を削減できる。前記排気ガス浄化装置2関連の構成部品の標準化を図れる。前記両センサ81,82の取付け位置が前記浄化ケーシング40の排気ガス移動方向の長さ範囲内に収まるから、前記浄化ケーシング40(前記排気ガス浄化装置2)の排気ガス移動方向の全長に対して前記両センサ81,82の影響をなくせる。その結果、エンジン1の配置スペース内に、前記両センサ81,82を含む前記排気ガス浄化装置2をコンパクトに配置できる。
【0059】
また、前記浄化ケース46〜49群のフランジ59,60,73,74の一部に設けたセンサ支持部86に、センサブラケット83が着脱可能に取り付けられており、前記センサブラケット83に前記両センサ81,82が設けられているから、高剛性の前記フランジ59,60,73,74に前記両センサ81,82を支持させて、前記両センサ81,82に伝わる振動を低減できる。このため、前記両センサ81,82の検出精度に対する悪影響を抑制できる。前記両センサ81,82の脱落も防止できる。
【0060】
更に、前記センサ支持部86は、前記浄化ケース46〜49群において排気ガス入口55側から最も遠いフランジ74の一部に形成されており、前記センサブラケット83の水平板部84が前記浄化ケーシング40の外周側から外向きに離れた位置にあり、前記水平板部84上に前記両センサ81,82が並設されているから、前記排気ガス浄化装置2の発する熱は前記両センサ81,82に伝わり難い。このため、前記排気ガス浄化装置2に前記両センサ81,82を組み付けたものでありながら、過熱による前記両センサ81,82の故障を抑制できる。その上、前記排気ガス浄化装置2と前記両センサ81,82とが近接するから、前記排気ガス浄化装置2と前記両センサ81,82とをつなぐ各センサ配管88,89,95〜97の長さを短く設定でき、組付け作業性の改善やコストダウンを実現できる。
【0061】
上記の記載並びに図7図8及び図11から明らかなように、エンジン1が排出した排気ガスを浄化する複数のフィルタ体43,44と、前記各フィルタ体43,44を内蔵する複数の浄化ケース47,49,51からなる浄化ケーシング40とを備えている排気ガス浄化装置2において、前記各浄化ケース47,49,51を排気ガス移動方向に並べて厚板フランジ59,60,73,74にて連結することによって前記浄化ケーシング40が構成されており、前記厚板フランジ73に吊り下げ体101が一体的に形成されているから、例えば前記エンジン1の組立工場等において、例えばチェンブロックのフック(図示省略)に前記吊り下げ体101及び前記吊り下げ金具102を係止し、前記チェンブロックによって前記浄化ケーシング40を昇降させ、前記エンジン1に前記浄化ケーシング40を組み付けできる。つまり、作業者が自力で前記浄化ケーシング40を持ち上げたりせずに、前記吊り下げ体101及び前記吊り下げ金具102を用いて前記浄化ケーシング40をスムーズに前記エンジン1に搭載できる。
【0062】
上記の記載並びに図11から明らかなように、前記浄化ケーシング40の排気ガス移動方向一端側に前記吊り下げ体101が配置される一方、前記浄化ケーシング40の排気ガス移動方向他端側に吊り下げ金具102が配置されており、前記浄化ケーシング40の排気ガス移動方向の長手軸線Aと交差する方向にそれぞれの開口穴103,104が位置するように、前記吊り下げ体101と前記吊り下げ金具102とを排気ガス移動方向の両側に離間させて対峙させているから、前記吊り下げ体101と前記吊り下げ金具102の対角線方向の位置関係によって、重量物である前記浄化ケーシング40を安定した姿勢で吊り下げでき、例えばフライホイルハウジング10のDPF取付け部80と、連結脚体77及び固定脚体79との位置合せを簡単に行える。従って、排気ガス浄化装置2の組付け作業性を向上できる。
【0063】
上記の記載並びに図10及び図11から明らかなように、前記浄化ケーシング40の排気ガス移動方向の長手軸線A回りに、前記厚板フランジ59,60,73,74の取付け角度を変更可能に構成されているから、前記厚板フランジ59,60,73,74の形状(前記吊り下げ体101の形成位置)を変更することなく、浄化入口管41や浄化出口管42の連結方向(前記エンジン1に対する前記排気ガス浄化装置2の取付け仕様)に対して前記吊り下げ体101の位置を簡単に変更でき、前記排気ガス浄化装置2の組付け作業性の更なる向上に寄与できる。
【0064】
上記の記載並びに図7図12から明らかなように、エンジン1が排出した排気ガスを浄化する複数のフィルタ体43,44と、前記各フィルタ体43,44を内蔵する複数の内側ケース46,48,50と、前記各内側ケース46,48,50を内蔵する複数の外側ケース47,49,51とを備えており、前記各外側ケース47,49,51を排気ガス移動方向に並べて連結することによって、浄化ケーシング40を構成している排気ガス浄化装置において、前記浄化ケーシング40の排気ガス移動方向の両端部を塞ぐ蓋体は、内蓋体53,64と外蓋体54,65との二重構造に構成されており、前記浄化ケーシング40を前記エンジン1に搭載した状態で前記外蓋体54,65において少なくとも下部に位置する箇所に、前記内蓋体53,64と前記外蓋体54,56との間に溜まる水を排出させる第1水抜き穴107が形成されているから、前記浄化ケーシング40の排気ガス移動方向の両端部を、前記内蓋体53,64と前記外蓋体54,65との二重構造で塞いで断熱性を確保したものでありながら、結露や雨水等によって前記内蓋体53,64と前記外蓋体54,65との間に溜まる水を前記第1水抜き穴107から排出でき、排気ガス浄化装置2の水抜き性がよくなる。このため、前記排気ガス浄化装置2の耐腐食性能が向上する。
【0065】
また、前記第1水抜き穴107は、前記外蓋体54,65において排気ガス移動方向の中心線(長手軸線A)を基準にした放射方向の位置に形成されているから、前記浄化ケーシング40の排気ガス移動方向の両端部を同一形状の前記外蓋体54,65で塞ぐことが可能になる。このため、構成部品点数を減少させてコスト低減に寄与できる。しかも、前記外蓋体54,65の形状を変更することなく、前記浄化ケーシング40の排気ガス移動方向の各端部に対して、前記外蓋体54,65の前記中心線(長手軸線A)回りの取り付け向きを簡単に変更できる。ひいては、前記外側ケース(例えば触媒外側ケース47や消音外側ケース51)の前記エンジン1に対する取り付け向きの自由度を高められる。
【0066】
更に、前記浄化ケーシング40を前記エンジン1に搭載した状態で、前記各外側ケース47,49において少なくとも下部に位置する箇所に、前記内側ケース46,48と前記外側ケース47,49との間に溜まる水を排出させる第2水抜き穴108が形成されているから、前記浄化ケーシング40を、前記内側ケース46,48と前記外側ケース47,49との二重構造に構成して断熱性を確保したものでありながら、結露や雨水等によって前記内側ケース46,48と前記外側ケース47,49との間に溜まる水を前記第2水抜き穴108から排出でき、前記排気ガス浄化装置2の水抜き性がよくなる。このため、前記排気ガス浄化装置2の耐腐食性能の更なる向上に寄与できる。
【0067】
なお、本願発明は、前述の実施形態に限定されるものではなく、様々な態様に具体化できる。本願発明における各部の構成は図示の実施形態に限定されるものではなく、本願発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更が可能である。
【符号の説明】
【0068】
1 エンジン
2 DPF(排気ガス浄化装置)
40 浄化ケーシング
41 浄化入口管
42 浄化出口管
43 ディーゼル酸化触媒
44 スートフィルタ
46 触媒内側ケース
47 触媒外側ケース
48 フィルタ内側ケース
49 フィルタ外側ケース
55 排気ガス入口
56 触媒フランジ
57 フィルタ入口フランジ
59,60 中央挟持フランジ
70 フィルタ出口フランジ
71 消音フランジ
73,74 出口挟持フランジ
107 第1水抜き穴
108 第2水抜き穴
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12