(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明の好ましい実施形態を、図面を参照して詳しく説明する。
尚、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
【0014】
(本発明の第1実施形態)
図1は、本発明の血圧計の好ましい第1実施形態を示す斜視図である。
図2は、
図1に示す血圧計の正面図である。
図1に示すように、血圧計1は、看護師等の医療従事者により手動加圧方式で患者の上腕Tを加圧することで、患者の血圧測定を行うことができる。この手動加圧方式の血圧計1は、送気球(加圧部)と血圧計本体部とが一体化されており、医療従事者は片手で送気球を加圧操作することができ、モータ音が無いために、夜間でも静かに血圧測定を行うことができる。
【0015】
医療従事者は、この血圧計1を用いる際には、患者の病態に応じて3つの測定モードを選択することができる。3つの測定モードとは、ノーマルモード、スローモード、そして聴診モードである。ノーマルモードは、自動測定により血圧測定をよりスピーディーに行うことができるモードである。スローモードは、自動測定により加圧後の減圧速度を、ノーマルモードの加圧後の減圧速度に比べて遅く設定して、低血圧の患者や脈拍の弱い患者の血圧測定を行うことができるモードである。そして、聴診モードは、自動測定は行わずに、医療従事者が聴診器を用いた聴診法により血圧測定をするモードである。
【0016】
図1と
図2に示す血圧計1における測定方式は、オシロメトリック法(いわゆるダブルカフ方式)であり、
図1に示すように測定対象部位は、被測定者である患者の上腕Tである。使用する電源としては、例えば乾電池を用いている。
図1と
図2に示すように、血圧計1は、血圧計本体部2と、腕帯部3を有している。血圧計本体部1は、筐体4と送気球5を有している。送気球5は、医療従事者が加圧操作することで内部の空気を送ることができるように、伸縮性を有する材料で作られている。送気球5は、この例えばゴム気球である。
【0017】
図1と
図2に示す血圧計本体部2の筐体4は、プラスチック製であり、長方形状の表示部8と、電源スイッチ9と、モードスイッチ10と、排気スイッチ11を有している。この表示部8は、例えば液晶表示装置や有機EL(エレクトロルミネッセンス)表示装置等であり、単色表示であっても、カラー表示であっても良い。この表示部8は、最高血圧値、最低血圧値、脈拍数、そして上述した3つの測定モードのどのモードが選択されているかを表示することができる。
電源スイッチ9は、医療従事者が押すことで、血圧計本体部2の電源をオンしたり、オフすることができる。モードスイッチ10は、医療従事者が押すことで、測定モードを上述したノーマルモード、スローモード、そして聴診モードの内の任意のモードに切り替えることができる。排気スイッチ11は、医療従事者が押すことで、後で説明する腕帯部3内の阻血用空気袋と動脈拍動検出用の空気袋内の空気を強制的に排出することができる。
【0018】
2本のチューブ6,7は、血圧計本体部2の筐体4と腕帯部3とを接続しているフレキシブルなチューブである。チューブ6はチューブ7に比べて太い。チューブ6の一端部6Bは、コネクタ部12を介して筐体4の上部に対して接続されている。チューブ7の一端部7Bは、プラグ7Cとコネクタ部12を介して筐体4の上部に対して接続されている。チューブ6,7の一端部6B、7B側付近は、ホルダー13により固定されている。このように、チューブ6,7がホルダー13により固定されていることにより、チューブ6,7が分離しないようにまとめているが、細いチューブ7の一端部7Bは、太いチューブ6の一端部6Bに比べて弛ませることで、チューブ6の動きにチューブ7の動きが追従できるように、チューブ6の長さには余裕を持たせてある。これにより、太いチューブ6を引き回したことで太いチューブ6が多少無理な方向に引っ張られたとしても、細いチューブ7が太いチューブ6につられて抜けてしまわない。
【0019】
図1に示すように、筐体4の下部には、延長部14が下方に突出して形成されている。この延長部14は、送気球5の正面部5Sの一部を覆っている薄板状の部材である。医療従事者が
図2に示すように、延長部14を手Hの指で支えながら送気球5を握ったり離したりする動作を繰り返すことにより、送気球5からの空気は、血圧計本体部2内の配管とチューブ6,7を通じて腕帯部3内の阻血用空気袋と動脈拍動検出用の空気袋に供給することができる。筐体4の両側には突出部4Tが形成されている。
【0020】
図3には、表示部8が表示できる表示項目の例を示している。
図3に示すように、表示部8は、最高血圧値表示領域8A、最低血圧値表示領域8B、脈拍表示領域8C、脈波信号表示領域8D、前回値の表示領域8E、排気中の表示領域8F、加圧不足の表示領域8G、過加圧の表示領域8H、選択中のモード表示領域8Kを有している。
最高血圧値表示領域8Aは、加圧中および減圧中にあっては血圧の瞬時圧を表示し、最終的には最高血圧値を表示する。最低血圧値表示領域8Bは、最終的に決定された最低血圧値を表示する。
【0021】
図3に示す脈拍表示領域8Cは、測定された脈拍値を表示する。脈波信号表示領域8Dは、検出された脈波信号の大きさを表示し、脈波信号の大きさは左右に移動するバー状に表示する。通常の脈を持つ患者の場合には、脈波信号の大きさの表示はリズミカルに左右に増加したり減少したりするが、不整脈を持つ患者の場合には、脈波信号の大きさの表示はリズミカルに左右に増加したり減少することはない。この脈波信号表示領域8Dを備えることで、被測定者である患者が不整脈を有するか否かを視覚的に判断することができる。
【0022】
図3に示す前回値の表示領域8Eは、電源スイッチ9を押して血圧計本体部2の動作を立ち上げると点滅または点灯し、前回に測定した最高血圧値、最低血圧値、脈拍値が、最高血圧値表示領域8A、最低血圧値表示領域8B、脈拍表示領域8Cにそれぞれ表示される。そして、しばらく経過するか、あるいは送気球5を操作して送気が行われると、前回に測定した最高血圧値、最低血圧値、脈拍値の表示が消滅して、前回値の表示領域8Eは、電源スイッチ9を押して血圧計本体部2の動作を立ち上げると点滅または点灯も消滅する。排気中の表示領域8Fは、腕帯部3内の阻血用空気袋と動脈拍動検出用の空気袋の空気を急速に排気する際に点滅する。また、排気中の表示領域8Fは、排気スイッチ11が押された場合にも点滅する。
【0023】
図3に示す加圧不足の表示領域8Gが、点灯または点滅している時には、腕帯部3内の圧力が血圧測定をするのに十分なレベルまで達していないことを示すので、医療従事者に対してさらに送気球5を用いて空気を送るように促すことができる。
過加圧の表示領域8Hが、点灯または点滅している時には、腕帯部3内の圧力が所定の圧力以上(例えば、320mmHg以上)になっていることを示し、医療従事者は過加圧の表示領域8Hを確認することで、加圧動作を止めるように促すことができる。
【0024】
選択中のモード表示領域8Kは、モードスイッチ10を押すことで、ノーマルモード、スローモード、そして聴診モードの内のどのモードが選択されているかを表示している。このモード選択によって、排気(減圧)スピードを変えることができるようになっている。ノーマルモードが選択されると、排気スピードは例えば約5mmHg/秒に設定される。ノーマルモードでは、排気スピードが比較的速いので測定時間を比較的短くできるという利点がある。その一方で、圧力変化測定の刻みが大きいことになるので、脈拍が安定した人を測定する場合には特に問題はないが、不整脈の人の血圧を測定する場合には、脈が抜けやすいので測定誤差が大きくなる可能性がある。
【0025】
そこで、スローモードが設けられており、このスローモードが選択された場合には、排気スピードをノーマルモード時の略半分付近、例えば2.0〜2.5mmHg/秒に設定している。このように「スロー」モードでは通常よりゆっくり減圧することにより詳細に圧力変化を見ることができるので、脈が抜けやすい不整脈の人の測定がより正確に行うことができる。
さらに、聴診モードは、聴診器を使ってマニュアルで測定するモードであるが、この場合も通常モードの略半分程度の排気スピード、例えば2.0〜3.0mmHg/秒に設定される。
【0026】
次に、
図4を参照して、血圧計1の血圧計本体部2内に配置されている制御回路ブロック例について説明する。
図4は、血圧計本体部2内に配置されている制御回路ブロック例と、腕帯部3の構成例を示している。
図4に示す血圧計本体部2の筐体4の内部には、制御部100が配置されており、この制御部100は中央処理装置(CPU)101を有している。制御部100は、表示部8と、電源コントロール部102と、電源スイッチ9と、モードスイッチ10と、排気スイッチ11と、圧力センサ110と、ROM(読み出し専用メモリ)111と、RAM(ランダムアクセスメモリ)112と、駆動部113と、ブザー114に電気的に接続されている。
【0027】
図4に示す電池115の電源は、電源コントロール部102によりコントロールされることで、制御部100に供給される。電池115としては、乾電池であっても、2次電池(充電池)であっても良いが、好ましくは、医療従事者が片手で送気球5の加圧操作を行なうため、測定時の消費電力は0.5W程度であるため、使用する電源としては、例えば単3形乾電池(DC1.5V)または単3形充電池(DC1.5V)を1本のみ用いる。このため新品の単3形乾電池(DC1.5V)を使用する場合、1000回程度の血圧測定が可能となり、血圧計1全体の小型化,軽量化(135g程度)が図られる。表示部8は、制御部100の指令により
図3を参照しながら説明した表示項目を表示する。圧力センサ110は、後で説明する腕帯部3の阻血用空気袋20内の圧力と、動脈拍動検出用の空気袋40内の圧力を検出する。圧力センサ110は、阻血用空気袋20内の圧力の変化を検出する。しかも、動脈拍動検出用の空気袋40内の圧力は、血圧測定中に上腕Tの動脈拍動による動脈壁の振動により、すなわち上腕Tの動脈の脈波により変動するが、圧力センサ110はこの圧力の変動を検出する。阻血用空気袋20は大カフともいい、動脈拍動検出用の空気袋40は小カフともいう。
【0028】
ROM111は、制御プログラムや各種のデータを予め格納している。RAM112は、演算結果や測定結果を一時的に格納する。駆動部113は、制御部100の指令により電磁バルブ116を駆動する。腕帯部3が上腕Tを加圧している場合には、圧力センサ110により検出される圧力の変動値は、測定時である減圧時の圧力の変動値に比べてかなり大きい。このため圧力センサ110が検出する圧力の変動値が所定値以上であると、制御部100が判断すると、制御部100は現在加圧中であると判断して駆動部113に指令をして電磁バルブ116を閉める。
【0029】
これに対して、圧力センサ110が検出する圧力について、所定期間内に圧力変動値(上昇値)がほぼゼロもしくは減圧状態であると制御部100が判断すると、制御部100は駆動部113に指令をして電磁バルブ116を減圧スピードが所定値になるように開く。そして血圧計1の動作は、加圧モードから測定モードに移行することになる。
強制排気弁117は、排気スイッチ11が押されると、制御部100の指令により開くようになっている。ブザー114は、制御部100の指令により所定の警告音を発生する。例えば、ブザー114は、血圧計本体部2の電源スイッチ9を押して表示部8が表示可能な状態になった時、モードスイッチ10を押すことによるモードの切り替え時、血圧値が決定した時、エラーが発生した時等に警告音を発生する。
【0030】
図4に示す強制排気弁117は、チューブ6の一端部6Bと導通管120の間に配置されている。送気球5は、マニホールド118と、分岐部119と、導通管120と、強制排気弁117を通じて、チューブ6の一端部6Bに接続されている。チューブ6の他端部6Aは、阻血用空気袋20に接続されている。また、送気球5は、マニホールド118と、分岐部119と、マニホールド121と、分岐部122を介して、圧力センサ110に接続されている。分岐部122は、チューブ7の一端部7Bに接続されている。チューブ7の他端部7Aは、動脈拍動検出用の空気袋40に接続(連通)されている。このため、阻血用空気袋20と動脈拍動検出用の空気袋40は等しい内圧で連通している。
【0031】
これにより、圧力センサ110は、阻血用空気袋20内の圧力の変動と、動脈拍動検出用の空気袋40内の圧力の変動を検出することができる。医療従事者が送気球5を握ったり離したりすることで、空気は、マニホールド118と、分岐部119と、導通管120と、強制排気弁117と、チューブ6を通じて、阻血用空気袋20内に送り込むことができるとともに、空気は、マニホールド118と、分岐部119と、マニホールド121と、分岐部122と、チューブ7を通じて、動脈拍動検出用の空気袋40に送り込むことができる。
【0032】
次に、
図1に示す腕帯部3の構造例を説明する。
この腕帯部3は、患者(被測定者)の上腕Tの素肌に直接巻かれるものであり、詳しい構造例は、
図5から
図7に示している。
図5は、腕帯部3が巻かれようとする状態を示す斜視図である。
図6(A)は、腕帯部3の内面側を示し、
図6(B)は、腕帯部3の外面側を示す斜視図である。
図7(A)は、腕帯部3の外面側を示す平面図であり、
図7(B)は、腕帯部3の内部に配置される阻血用空気袋20と動脈拍動検出用の空気袋40の形状例を示す平面図である。
【0033】
図5と
図6と
図7(A)に示すように、腕帯部3は、カフカバー50と、大カフである阻血用空気袋20と、小カフである動脈拍動検出用の空気袋40を有している。カフカバー50は、阻血用空気袋20と動脈拍動検出用の空気袋40を着脱可能に収納することで覆っている。
カフカバー50は、外布51と内布52から成り、外布51と内布52は長方形状である。外布51の端部と内布52の端部は例えば糸で縫製することで固定されており、外布51と内布52の中には、阻血用空気袋20と動脈拍動検出用の空気袋40が着脱可能に収納することができる。これにより、カフカバー50は、阻血用空気袋20と動脈拍動検出用の空気袋40から外して取り替えたり、消毒を行うことができる。
【0034】
図5と
図6と
図7(A)に示すカフカバー50の外布51と内布52は、阻血用空気袋の外面を覆う収納体を構成しており、円周方向及び長手方向に非伸縮性の材料で形成されており、変形可能であるが伸縮性が非常に低いかほとんど無い布部材である。これにより、外布51と内布52は、阻血用空気袋20と動脈拍動検出用の空気袋40内に空気を供給した際に、阻血用空気袋20と動脈拍動検出用の空気袋40が腕帯部2の半径方向の外側に膨れないようにすることができる。したがって、阻血用空気袋20と動脈拍動検出用の空気袋40は半径方向の内側である上腕T側に加圧力をかけることができ、阻血用空気袋20が発生する圧力と動脈拍動検出用の空気袋40が発生する圧力は、腕帯部2の外側へは逃げずに上腕Tに対して加圧でき、正確な血圧測定をすることができる。
【0035】
図7(A)に示すように、カフカバー50は、取り出し用の開口部分50Pを有している。この取り出し用の開口部分50Pは、外布51と内布52との間の隙間であり、カフカバー50内に収納されている阻血用空気袋20と動脈拍動検出用の空気袋40を取り出したり、逆にカフカバー50内に入れ込むために設けられている。この開口部分50Pからカフカバー50内に阻血用空気袋20と動脈拍動検出用の空気袋40を取り出したり、逆にカフカバー50内に入れ込むことを容易するために、長方形状の阻血用空気袋20は台形状の延長部分21を有している。台形状の延長部分21は、開口部分50Pに対応した位置にあり、延長部分21が外側に向けて幅が小さくなるように傾斜部22を有している。これにより、医療従事者がこの延長部分21を手で掴むことにより、阻血用空気袋20と動脈拍動検出用の空気袋40は開口部分50Pを通じて、取り出したり、逆にカフカバー50内に入れ込むことを容易に行える。
【0036】
しかも、この延長部分21は、
図7(A)と
図7(B)に示すように、阻血用空気袋20の長手方向に関して中央から少し位置がずれるように形成されている。このため、開口部分50Pからカフカバー50内に阻血用空気袋20と動脈拍動検出用の空気袋40を入れ込む際に、逆方向に入れ込んでしまうことを防止している。すなわち、開口部分50Pからカフカバー50内に阻血用空気袋20と動脈拍動検出用の空気袋40が正確な方向に入れ込まれれば、延長部分21が開口部分50Pの位置に一致するが、逆方向に入れ込まれれば、延長部分21が開口部分50Pの位置に不一致となる。このことから、医療従事者は、カフカバー50内に阻血用空気袋20と動脈拍動検出用の空気袋40が正確に入れ込まれたかどうかを判断できる。
【0037】
図7(A)に示す腕帯部3としては、患者の腕周り寸法を考慮して異なるサイズを用意することができる。腕帯部3のサイズは、例えば小さいものから大きいものにかけて、SSサイズ(上腕周長13〜20cmに適用)、Sサイズ(上腕周長17〜26cmに適用)、Mサイズ(上腕周長24〜32cmに適用)、Lサイズ(上腕周長32〜42cmに適用)、そしてLLサイズ(上腕周長42〜50cmに適用)である。
図7(A)に示す腕帯部3では、横方向の長さL1と幅W1を示しており、各サイズの寸法例を挙げると次の通りである。
例えば、SSサイズの腕帯部3のカフカバー50の横方向の長さL1と幅W1は(345±5mm,100±4mm)、阻血用空気袋20の横方向の長L2と幅W2は(130±10mm,80±5mm)、動脈拍動検出用の空気袋40の横方向の長L3と幅W3は(30±1mm,20±1mm)である。
Sサイズのカフについて、例えば、腕帯部3のカフカバー50の横方向の長さL1と幅W1は(435±5mm,130±4mm)、阻血用空気袋20の横方向の長L2と幅W2は(170±10mm,110±5mm)、動脈拍動検出用の空気袋40の横方向の長L3と幅W3は(40±1mm,25±1mm)である。
Mサイズのカフについて、例えば、腕帯部3のカフカバー50の横方向の長さL1と幅W1は(520±5mm,150±4mm)、阻血用空気袋20の横方向の長L2と幅W2は(240±10mm,130±5mm)、動脈拍動検出用の空気袋40の横方向の長L3と幅W3は(60±1mm,30±1mm)である。
Lサイズのカフについて、例えば、腕帯部3のカフカバー50の横方向の長さL1と幅W1は(640±5mm,190±4mm)、阻血用空気袋20の横方向の長L2と幅W2は(320±10mm,170±5mm)、動脈拍動検出用の空気袋40の横方向の長L3と幅W3は(80±1mm,40±1mm)である。
LLサイズのカフについて、例えば、腕帯部3のカフカバー50の横方向の長さL1と幅W1は(220±4mm,830±5mm)、阻血用空気袋20の横方向の長L2と幅W2は(420±10mm,200±5mm)、動脈拍動検出用の空気袋40の横方向の長L3と幅W3は(100±1mm,50±1mm)である。
【0038】
次に、
図5と
図6と
図7(A)を参照して、腕帯部3のカフカバー50の構造について説明する。
図5と
図6(B)と
図7(A)に示すように、カフカバー50の外布51には、面ファスナのメス(ループ)部分53が設けられている。この面ファスナのメス部分53は、長方形状の部材であり、外布51の始端部54側から外布51のほぼ中央位置まで配置されている。外布51の始端部54側には、始端部54を示す2つの認識マーク55が設けられている。2つの認識マーク55は例えば三角形状である。また、外布51の開口部分50P付近には、リング状の認識マーク56が設けられている。この認識マーク56は、
図1に示す患者の上腕Tの動脈を圧迫する位置を示す。このため、
図5に示すように、腕帯部3を上腕Tに巻き付けて固定する場合には、この認識マーク56が上腕Tの動脈の上に位置決めする。これにより、動脈拍動検出用の空気袋40は動脈の上に正確に位置決めすることができ、正確な血圧測定が行える。
【0039】
一方、
図5と
図6(A)に示すように、カフカバー50の内布52には、面ファスナのオス部分57が設けられている。
図5に示すように、腕帯部3が上腕Tに対して巻き付けて固定される際には、この面ファスナのオス(フック)部分57は、上述した面ファスナのメス部分53に対して着脱可能に貼り付けられることで腕帯部3を筒状にして、腕帯部3が上腕Tに対してずれないように固定することができる。この面ファスナのオス部分57は、内布52の終端部58側寄りの位置に設けられている。
図6(A)に示すように、内布52の中央位置には、2つの矢印マーク59が設けられている。2つの矢印マーク59は、腕帯部3が上腕Tに直接接する面であることと、腕帯部3の巻き付ける方向を示している。
図5と
図6と
図7(A)に示すように、カフカバー50の終端部58側の内部には、錘60が配置されている。この錘60は、例えば金属製の丸棒状の部材であり、カフカバー50の終端部58において、外布51と内布52の間に挟み込んで動かないように、終端部58の方向に沿って固定されている。この終端部58の中には、阻血用空気袋20は配置されていないので、錘60は簡単に終端部58の中に収納することができる。
このように錘60がカフカバー50の終端部58に配置されているので、
図1に示すように医療従事者が患者の上腕Tに対して巻き付けて固定する際に、錘60の重さを利用して面ファスナのオス部分57は、上述した面ファスナのメス部分53に対して着脱可能に貼り付けることができる。すなわち、医療従事者が腕帯部3を患者の上腕Tに巻き付けて巻き付け終わる際に、腕帯部3の終端部58にある錘60の重さが腕帯部3を巻き付ける方向に掛かることから、容易に巻き付けることができる。このため、医療従事者の腕帯部3の巻き付け固定作業効率を上げることができる。
しかも、錘60がカフカバー50の終端部58に配置されているので、カフカバー50の終端部58には突起部分が形成でき、医療従事者はこの錘60を指で掴む持ち手としての役割も果たすことができる。このため、医療従事者は腕帯部3の終端部58を手で持つ際に、確実に持つことができるので、腕帯部3の終端部58が手から外れてしまうことが無くなる。このため、医療従事者の腕帯部3の巻き付け固定作業効率を上げることができる。
また、
図5と
図6と
図7(A)に示すように、カフカバー50の内布52の始端部54側には、好ましくは滑り止め部61が例えば接着剤を用いて貼り付けて固定されている。この滑り止め部61は、例えば帯状の薄い部材であり、上腕Tに対して密着することで滑り難い材質である、例えば合成ゴム、ポリウレタン、エラストマー等を用いることができる。この滑り止め部61の材質は、上腕Tの肌面に対して高摩擦力を発揮して、上腕Tの肌面に負担にならない材料である。この滑り止め部61が腕帯部3の内面側である内布52の始端部54側に対して配置されることにより、医療従事者が患者の上腕Tに対して腕帯部3を巻き付ける際に、腕帯部3の始端部54が上腕Tの素肌から滑ることを防いで、動脈拍動検出用の空気袋40が上腕Tの動脈上からずれてしまうことを防止できる。このため、正確な血圧測定を行うことができる。
【0040】
図7(B)に示す阻血用空気袋20と動脈拍動検出用の空気袋40は、可撓性を有する材料で形成されている袋状の部材である。例えば、阻血用空気袋20は、天然ゴム、合成ゴム、エラストマー等により作られている。動脈拍動検出用の空気袋40は、ポリウレタン等により作られている。
阻血用空気袋20と動脈拍動検出用の空気袋40の間には、硬質板65が配置されている。この硬質板65が配置されていることにより、動脈拍動検出用の空気袋40内の微小な圧力変動が、阻血用空気袋20内の大きな圧力変動に影響されること無く検出することができる。
【0041】
図6に示すように、阻血用空気袋20の延長部分21は、チューブ6の他端部6Aに接続され、動脈拍動検出用の空気袋40は、チューブ7の他端部7Aに接続されている。直径の小さいチューブ7の他端部7Aが直径の大きいチューブ6の他端部6Aに対して弛ませるようにしてあるので、カフカバー50の開口部分50Pを通じて阻血用空気袋20と動脈拍動検出用の空気袋40を取り出し、あるいはカフカバー50の開口部分50Pを通じて阻血用空気袋20と動脈拍動検出用の空気袋40を収納する場合に、直径の小さいチューブ7の他端部7Aが直径の大きいチューブ6の他端部6Aにつられて破損してしまうことを防いでいる。
【0042】
次に、上述した血圧計1の使用例を説明する。
医療従事者は、
図1に示す患者の上腕Tの素肌に対して直接腕帯部3を、次のようにして巻き付けて固定する。
図8は、腕帯部3を患者の上腕Tの素肌に直接巻く手順の例を示している。
図8(A)に示すように、上腕Tに巻こうとする腕帯部3は、外布51側を下側にして内布52を上側にし、まず
図8(A)から
図8(B)に示すように、内布52側を上腕Tの下側から当てる。医療従事者は、手で腕帯部3の始端部54を持ってR1方向に沿って腕帯部3を上腕Tに対して巻き付ける。この際に、
図5と
図6(A)に示す認識マーク56は、
図8(B)に示すように上腕Tの動脈の位置に合わせて位置決めすることで、動脈拍動検出用の空気袋40が上腕Tの動脈に対して正確に位置決めできる。
【0043】
そして、
図8(C)に示すように、医療従事者は手で腕帯部3の終端部58を持ってR2方向に沿って腕帯部3を上腕Tに対して巻き付ける。終端部58側の面ファスナのオス部分57は、上述した面ファスナのメス部分53に対して着脱可能に貼り付ける。面ファスナのメス部分53と面ファスナのオス部分57が着脱可能にかみ合うので、腕帯部3は上腕Tの素肌に対して直接巻き付けてずれない様に固定することができる。
【0044】
次に、
図9から
図13を参照して、血圧計1が患者の上腕Tの血圧を測定する手順を説明する。
まず、
図9を参照する。
図9は、本発明の実施形態の血圧計1において、阻血用空気袋20により上腕Tに対して加えられる圧力が、時間経過により変化する圧力の変化例を示している。
図1に示すように腕帯部3が上腕Tに対して正しい姿勢で保持された状態で、医療従事者は、
図3に示す電源スイッチ9を押し、しかもモードスイッチ10を押すことで例えばノーマルモードを選択する。
図2に示すように、延長部14を手Hの指で支えながら送気球5を握ったり離したりする動作を繰り返すことにより、送気球5からの空気は、血圧計本体部2内の配管とチューブ6,7を通じて腕帯部3内の阻血用空気袋20と動脈拍動検出用の空気袋40内に空気をそれぞれ送り込まれる。これにより、患者の上腕Tは、腕帯部3内の阻血用空気袋20と動脈拍動検出用の空気袋40により加圧されて、
図9に示す圧力の変化例を生じる。
図9に示す圧力の変化例は、圧力上昇期間t1、自然減圧期間t2、最適速度減圧期間t3、そして強制排気期間t4を有している。
【0045】
図4に示す腕帯部3内の阻血用空気袋20と動脈拍動検出用の空気袋40内には空気を送るので、
図9に示すように、腕帯部3内の阻血用空気袋20内の圧力は、圧力上昇期間t1において上昇する。この圧力上昇期間t1では、
図4の制御部100のCPU(中央処理装置)101は、
図4の圧力センサ110が検出する圧力検出信号PLSにより、現在加圧中であると判断して駆動部113に指令をして電磁バルブ116を閉める。そして、医療従事者が送気球5を握ったり離したりする動作を停止して加圧を終了する。
このように加圧を終了した時点の上腕Tに対する最高点の加圧力PPの値は、患者の最高血圧値に対して任意のオーバーシュート加圧量を加えた値、例えば30mmHgから40mmHgだけ高い圧力値である。
【0046】
ゴム球である送気球5を使用しているので、
図9に示す自然減圧期間t2では、圧力は自然に少し低下することから、CPU101は自然減圧期間t2の間(例えば2,3秒)待機する。
その自然減圧期間t2の経過後、CPU101は
図9に示す最適速度減圧期間t3に入る。
図9に示す最適速度減圧期間t3では、
図4の圧力センサ110が検出する圧力検出信号PLSにより、
図4のCPU101が減圧状態であると判断すると、CPU101は駆動部113に指令をして電磁バルブ116を、減圧速度が所定値の最適な減圧速度になるように開く。
【0047】
これにより、腕帯部3内の阻血用空気袋20内の圧力が所定値の最適な減圧速度で減少され、この減圧の間に、
図4に示すCPU101は、圧力センサ110の圧力検出信号PLSから、最高血圧値(SYS)と最低血圧値(D1A)と脈拍値(脈拍値)を取得する。
その後、
図9に示す強制排気期間t4では、
図4のCPU101は強制排気弁117を作動することで、腕帯部3内の阻血用空気袋20と動脈拍動検出用の空気袋40内の空気を強制排気することで、圧力を大気圧に戻す。
【0048】
ここで、
図10を参照する。
図10は、
図4に示す腕帯部3により上腕Tを加圧しようとする時に、送気球5が空気を送ることにより発生する圧力変動波形VLのグラフ例を示している。
図10に示すグラフ例の縦軸は圧力であり、横軸は時間(msec)である。
図10に示す圧力変動波形VLは、
図9に示す圧力上昇期間t1における圧力変動波形VLの一部分ASを一例として取り出して拡大して示している。圧力変動波形VLは、圧力上昇部分VL1と圧力下降部分VL2を有し、圧力上昇部分VL1と圧力下降部分VL2を繰り返す。
この圧力変動波形VLの圧力上昇部分VL1は、送気球5を握って空気を腕帯部3内の阻血用空気袋20と動脈拍動検出用の空気袋40内に供給している状態を示す。しかも、圧力変動波形VLの圧力下降部分VL2は、送気球5を離して空気を腕帯部3内の阻血用空気袋20と動脈拍動検出用の空気袋40内には供給していない状態を示している。この圧力変動波形VLの圧力下降部分VL2には、脈波MNが含まれている。
【0049】
図11(A)は、
図10に示す圧力変動波形VLの圧力下降部分VL2だけを切り出して示している。
図11(B)は、
図4に示すCPU101が、脈波MNを検出する手法を示している。
具体的には、制御部であるCPU101は、
図10の圧力変動波形から、複数の圧力下降部分VL2を読み出し、そのうちのひとつの圧力下降部分VL2を、他の全ての圧力下降部分VL2と比較する。すなわち、各圧力下降部分VL2の値の微分を取ることで脈波MNを
図11(B)のように検出し、比較する。
図10に示す圧力変動波形VLの取得と、
図11(A)に示す圧力変動波形VLの圧力下降部分VL2だけの切り出し処理と、
図11(B)に示す脈波MNを検出する処理は、
図4に示す制御部100のCPU101が行う。
図11(A)の円で囲んでいる圧力変動波形VLの圧力下降部分VL2の部分には、脈波MNが含まれている。
図11(B)の円で囲んでいる部分では、脈波MNの発生の検出例が示され、その後には、脈波MNの消滅の検出例が示されている。
【0050】
次に、
図12と
図13を参照して、医療従事者が
図4に示す送気球5を握ったり離したりすることで上腕Tを加圧する際に、腕帯部3が上腕Tに与えた加圧力が適切であることを、
図4に示す制御部100のCPU101が判断して、医療従事者に対して加圧停止を教示することができる手順を説明する。
従来の血圧計は、医療従事者自身が送気球の加圧作業を停止させる圧力を判断して、その時点で加圧作業を停止する仕様となっている。このため、被測定者である患者の血圧値が高い場合には、上腕に対する加圧不足が発生し、患者の血圧値が低い場合には、過加圧になることがあった。
【0051】
本発明の実施形態の血圧計1は、このような従来の問題を解決して、以下に説明するように、腕帯部3が上腕Tに与えた加圧力が適切であることを、
図4に示す制御部100のCPU101が判断して、医療従事者に対して加圧停止を教示することができる。すなわち、制御部100は、上腕Tを加圧中に、圧力センサ110の圧力検出信号PLSから、少なくとも1つの脈波MNを検出後に腕帯部3の加圧により所定の加圧力が得られたと判断して、ブザー114に指令をして加圧停止指示の報知をさせる。
図12は、本発明の第1実施形態において、
図4に示す送気球5を加圧操作することで圧力上昇期間t1において圧力上昇している途中で、
図4のCPU101が、1つの脈波MNのみを検出している例を示す。
図13は、
図12に示すように1つの脈波MNのみを検出できた時に、CPU101が、腕帯部3により上腕Tに対する加圧力が十分であると判断して、加圧停止を報知する手順を示すフロー図である。
図13のフロー図では、ステップST1からステップST6を有する。
【0052】
図12において、2点鎖線で示す長方形の区間は、
図4のCPU101が、圧力上昇期間t1中に脈波を切り出すために、複数回設定された切り出し区間GG1から切り出し区間GG8である。これらの切り出し区間GG1から切り出し区間GG8は、圧力上昇期間t1中の圧力変動波形VLの圧力下降部分VL2にそれぞれ対応して設定されている。
図13のステップST1では、
図4のCPU101が、
図10に示す加圧時の圧力変動波形VLの前処理をする。すなわち、
図11(A)に示すように、圧力変動波形VLから圧力下降部分VL2だけを切り出す。そして、
図13のステップST2において、
図11(B)に示すように、
図4に示すCPU101が、脈波MNを検出するために、ひとつひとつの圧力下降部分VL2に基づく脈波を他の圧力下降部分VL2に基づく脈波と比較して、
図11(B)の丸印に示す棘波状の脈波MNを見つけるのである。その次の圧力下降部分VL2では、丸印で示す様に脈波MNは消失している。
【0053】
この場合に、
図12に示すように、
図4のCPU101は、圧力上昇期間t1中に圧力下降部分VL2から脈波を検出して切り出すために、圧力下降部分VL2にそれぞれ対応して複数の切り出し区間GG1からGG8を設定している。
図13のステップST3では、切り出し区間GG1からGG5では、
図4のCPU101は、圧力センサ110の圧力検出信号PLSの圧力下降部分VL2からは脈波MNを検出していないが、切り出し区間GG6に達すると、CPU101は、圧力下降部分VL2から1つの脈波MNを検出する。そして
図13のステップST4では、CPU101は、圧力下降部分VL2から、次の切り出し区間GG7では、再び脈波MNは検出できない。このため、
図4のCPU101は切り出し区間GG7では、圧力下降部分VL2において脈波MNが消失したことを確認できる。
【0054】
このように、CPU101は、
図4の圧力センサ110からの圧力検出信号PLSにより、加圧中に切り出し区間GG6において1回の脈波MNのみが検出でき、CPU101は、1つの脈波MNが得られたことを確認する。
そして、
図13のステップST5では、CPU101は、加圧力が一定圧力に達するかあるいは一定時間が経過後、具体的には、
図12に示す切り出し区間GG7の次の切り出し区間GG8に到達すると、
図13のステップST6では、CPU101は、
図4に示すブザー114を作動させてブザー音を発生する。
これにより、制御部100のCPU101は、ブザー音により医療従事者に対して加圧停止をすることを報知して教示できるので、医療従事者は
図1に示す送気球5の加圧操作を確実に停止することができる。また、ブザー音に加えてあるいはブザー音に代えて、CPU101は、
図4に示す表示部8に、「加圧停止をする」旨を表示することで、医療従事者に対して視覚により教示することもできる。
【0055】
このように、
図12と
図13に示す本発明の実施形態では、
図1に示す腕帯部3が患者の上腕Tを加圧中に、
図4に示すCPU101が脈波MNを一回だけ検出でき、その直後に脈波MNが消失した場合には、CPU101は、腕帯部3が上腕Tへの最高点の加圧力PPが、最高血圧値に30mmHgから40mmHgを加えた程度に達していて、血圧測定には十分であると判断する。このCPU101の判断により、CPU101は加圧停止を報知することで、医療従事者に対して送気球5の加圧操作の停止を教示して促すことができ、医療従事者は送気球5の手動操作を確実に停止することができる。このため、血圧測定時間を短縮でき、患者に余計な負担を与えない。
【0056】
(本発明の第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態を説明する。
図14は、
図4に示す送気球5を加圧操作することで圧力上昇期間t1において圧力上昇している途中で、
図4のCPU101が、圧力下降部分VL2から例えば複数の脈波MN1からMN5を検出している例を示す。
図15は、
図14に示すように検出した複数の脈波の中から最大振幅の脈波MN2を確認して、最大振幅の脈波MN2の後の脈波MN4の振幅が予め定めたスレッシュTHE以下であった時に、CPU101が、腕帯部3により上腕Tに対する加圧が十分であると判断して、加圧停止指示を報知する手順を示すフロー図である。
図15のフロー図では、ステップST10からステップST16を有する。
【0057】
図14において、2点鎖線で示す長方形の区間は、
図4のCPU101が、圧力上昇期間t1中に脈波を切り出すために複数回設定された切り出し区間GG11からGG18である。切り出し区間GG11からGG18は、圧力上昇期間t1中の圧力変動波形VLの圧力下降部分VL2にそれぞれ対応して設定されている。
図15のステップST10では、
図4のCPU101が、
図10に示す加圧時の圧力変動波形VLの前処理をする。すなわち、
図11(A)に示すように、圧力変動波形VLから圧力下降部分VL2だけを切り出す。そして、
図15のステップST11において、
図11(B)に示すように、
図4に示すCPU101が、脈波を検出するために圧力下降部分VL2の値と圧力下降部分VL2の値の平均値との差分を取って、すなわち微分を取ることで脈波MN1からMN5を検出する。
【0058】
この場合に、
図14に示すように、
図4のCPU101は、圧力上昇期間t1中に圧力下降部分VL2から脈波を切り出すために、複数の切り出し区間GG11からGG18を設定する。
図15のステップST12では、切り出し区間GG11からGG13では、CPU101は、
図4の圧力センサ110の圧力検出信号PLSの圧力下降部分VL2から脈波MNを検出していない。しかし、切り出し区間GG14に達すると、CPU101は、圧力下降部分VL2から脈波MN1を検出し、切り出し区間GG15では、CPU101は、圧力下降部分VL2から脈波MN2を検出し、切り出し区間GG16では、CPU101は、圧力下降部分VL2から脈波MN3を検出し、切り出し区間GG17では、CPU101は、圧力下降部分VL2から脈波MN4を検出し、そして切り出し区間GG18では、CPU101は、圧力下降部分VL2から脈波MN5を検出する。
【0059】
そして、
図15のステップST13では、
図4のCPU101は、検出した複数の脈波MN1からMN5の中から、最大振幅(最大脈波レベル(mmHg)ともいう)を有する脈波を確認する。
図14の例では、
図4のCPU101は、脈波MN2の振幅が最大振幅(最大脈波レベルmmHg)であることを確認する。
図15のステップST14では、CPU101が、最大振幅の脈波MN2が発生した後に発生した脈波MN3、MN4、MN5の中から、スレッシュTHE以下の振幅を有する脈波MN4の出現を確認する。このスレッシュTHEの値は、予め定めた脈波振幅の閾値である。このスレッシュTHEの値は、例えばスレッシュTHE=脈波の最大振幅×30%で定めている。
【0060】
この結果、
図15のステップST15では、CPU101は、スレッシュTHE以下の振幅を有する脈波MN4の出現の確認を行ってから、加圧力が一定圧力に達するかあるいは一定時間が経過後に、具体的には、
図14に示すさらに次の切り出し区間GG18になると、
図15のステップST16では、CPU101は、
図4に示すブザー114を作動させてブザー音を発生する。これにより、医療従事者に対して加圧停止をすることを報知して教示することで、医療従事者は送気球5の加圧操作を確実に停止することができる。また、ブザー音に加えてあるいはブザー音に代えて、CPU101は、
図4に示す表示部8に、「加圧停止をする」旨を表示することで、医療従事者に対して視覚により教示することもできる。
【0061】
このように、
図14と
図15に示す本発明の第2実施形態では、
図1に示す腕帯部3が患者の上腕Tを加圧中に、
図4に示す制御部100のCPU101が複数回の脈波MN1からMN5を検出できる。この際に、最大振幅の脈波MN2を検出後に脈波MN3、MN4、MN5のように脈波の振幅が小さくなっていき、例えば脈波MN4の振幅がスレッシュTHE以下になった場合には、CPU101は、腕帯部3が上腕Tへの加圧力が、最高血圧値に30mmHgから40mmHgを加えた程度に達していて、血圧測定には十分であると判断する。このCPU101の判断により、CPU101は加圧停止指示を報知することで、医療従事者に対して送気球5の加圧操作の停止を教示して促すことができ、医療従事者は送気球5の手動操作を確実に停止することができる。このため、血圧測定時間を短縮でき、患者に余計な負担を与えない。
【0062】
本発明の実施形態の血圧計1は、
図1の腕帯部3を患者の上腕Tに装着して加圧することで血圧を測定する際に、
図4の腕帯部3内に配置されて空気を供給することで上腕Tを加圧する空気袋20,40と、空気袋内の圧力を検出する圧力センサ110と、報知部の一例であるブザー114と、上腕Tを加圧中に、圧力センサ110の圧力検出信号PLSから少なくとも1つの脈波MN(MN1からMN5)を検出後に腕帯部3の加圧により所定の加圧力が得られたと判断して、ブザー114に指令をして加圧停止指示の報知をさせる制御部100を有する。
【0063】
このため、上腕Tに対する加圧力が適切であることを判断して加圧停止指示を出すことができる。この制御部100は、圧力センサ110からの圧力検出の信号から少なくとも1つの脈波MNを検出すると、腕帯部3の加圧により所定の加圧力が得られたと判断して、
図4のブザー114に指令をして加圧停止指示の報知をさせるので、医療従事者はブザー114からの加圧停止指示により、加圧を止めるタイミングを確実に知ることができる。したがって、加圧不足が生じることを防いで、再度医療従事者が送気球による加圧作業を行って血圧測定をし直す必要が無くなるので、血圧測定時間が短縮できる。また、過加圧になってしまうことが無いので、患者の上腕Tにしびれが生じることが無いことから、患者に余計な負担を与えない。
【0064】
図12と
図13に示すように、制御部100のCPU101は、上腕Tを加圧中に、1つの脈波MNを検出してその後に新たな脈波が検出できない場合には、腕帯部3の加圧により所定の加圧力が得られたと判断して、報知部であるブザー124により加圧停止指示の報知をさせる。このため、制御部100は、上腕Tを加圧中に1つの脈波MNを検出してその後に新たな脈波が検出できなければ、腕帯部3の加圧により所定の加圧力が得られたと判断して、医療従事者に簡単に加圧停止指示の報知をすることができる。
【0065】
図14と
図15に示すように、制御部100のCPU101は、上腕Tを加圧中に、複数の脈波MN1からMN5を検出して複数の脈波MN1からMN5の中から最大振幅の脈波MN2を確認し、確認した最大振幅の脈波MN2の後の脈波MN4の振幅が予め定めた脈波振幅の閾値(スレッシュTHE)以下になった場合には、所定の加圧力が得られたと判断して、ブザー114により加圧停止指示の報知をさせる。このため、制御部100は、上腕Tを加圧中に脈波の振幅が予め定めた脈波振幅の閾値以下になった場合には、所定の加圧力が得られたと判断して、医療従事者に簡単に加圧停止指示の報知をすることができる。
【0066】
制御部100のCPU101は、上腕Tを加圧中に生じる圧力変動波形VLの圧力下降部分VL2に対して複数の切り出し区間GG1からGG8(あるいはGG11からGG18)を設けて、切り出し区間において脈波の有無を確認することで脈波を検出する。このため、圧力変動波形VLの圧力下降部分VL2に発生する脈波を、切り出し区間において確実に検出することができる。
【0067】
腕帯部3の空気袋は、空気を供給することで上腕を阻血する阻血用空気袋20と、空気を供給することで上腕Tの動脈の拍動を検出する動脈拍動検出用の空気袋40とにより構成され、阻血用空気袋20と動脈拍動検出用の空気袋40は、腕帯部カバー50により収納されている。このため、動脈拍動検出用の空気袋40は上腕Tの動脈に合わせて容易に位置決めしながら巻き付けることができる。このため、正確な血圧測定が行える。
【0068】
腕帯部3の阻血用空気袋20と動脈拍動検出用の空気袋40に対してチューブ6,7を用いて接続された血圧計本体部2を有し、血圧計本体部2は、筐体4と、筐体に取り付けられて押すことによりチューブ6,7を通じて空気を阻血用空気袋20と動脈拍動検出用の空気袋40に送る送気球5を有する。このため、医療従事者が一方の手で送気球を持った状態で、医療従事者は他方の片手だけで腕帯部を上腕に容易に位置決めしながら巻き付けることができ、腕帯部の巻き付け作業性を向上できる。
【0069】
本発明は、上記実施形態に限定されず、特許請求の範囲を逸脱しない範囲で種々の変更を行うことができる。
図示した血圧計は、手動加圧式のものであるが、本発明の血圧計はこれに限らない。自動式の血圧計は、腕帯部と、腕帯部とは別体の血圧計本体部を有し、腕帯部は患者(被測定者)の上腕に対して巻き付ける。そして、血圧計本体部内のポンプを駆動すると、血圧計本体部から空気がチューブを通じて阻血用空気袋と動脈拍動検出用の空気袋に送ることができる。
また、報知部としては、
図4に示すブザー114に限らない。このブザー114に代えてあるいは加えて、
図4に示すように報知部としてのスピーカSSPを設けて、制御部100のCPU101の指令により、スピーカSSPを用いて音声により加圧停止指示の報知を行うようにしても良い。
上記実施形態の各構成は、その一部を省略したり、上記とは異なるように任意に組み合わせることができる。