特許第5909197号(P5909197)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5909197
(24)【登録日】2016年4月1日
(45)【発行日】2016年4月26日
(54)【発明の名称】手術用具
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/44 20060101AFI20160412BHJP
   A61F 2/28 20060101ALI20160412BHJP
   A61F 2/46 20060101ALI20160412BHJP
   A61B 17/56 20060101ALI20160412BHJP
【FI】
   A61F2/44
   A61F2/28
   A61F2/46
   A61B17/56
【請求項の数】11
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2012-555952(P2012-555952)
(86)(22)【出願日】2012年2月2日
(86)【国際出願番号】JP2012052396
(87)【国際公開番号】WO2012105647
(87)【国際公開日】20120809
【審査請求日】2014年10月31日
(31)【優先権主張番号】特願2011-22332(P2011-22332)
(32)【優先日】2011年2月4日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000113263
【氏名又は名称】HOYA株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000231394
【氏名又は名称】アルフレッサファーマ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091292
【弁理士】
【氏名又は名称】増田 達哉
(74)【代理人】
【識別番号】100091627
【弁理士】
【氏名又は名称】朝比 一夫
(72)【発明者】
【氏名】冨永 芳恵
(72)【発明者】
【氏名】中島 武彦
(72)【発明者】
【氏名】森原 努
(72)【発明者】
【氏名】笹井 恭男
(72)【発明者】
【氏名】奥原 信
(72)【発明者】
【氏名】大村谷 聡
【審査官】 胡谷 佳津志
(56)【参考文献】
【文献】 特表2004−534612(JP,A)
【文献】 特開2007−236972(JP,A)
【文献】 特開2007−289728(JP,A)
【文献】 特開2006−230722(JP,A)
【文献】 特表2007−534375(JP,A)
【文献】 特表2005−527295(JP,A)
【文献】 特表2009−538207(JP,A)
【文献】 特開2007−260359(JP,A)
【文献】 特表2006−505339(JP,A)
【文献】 特開2004−195197(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/44
A61B 17/56
A61F 2/28
A61F 2/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性を有する袋体を備え、該袋体を骨欠損部または骨と接する部位に挿入し、その挿入状態で前記袋体の内部に充填材を充填して使用される手術用具であって、
前記袋体は、メッシュ状をなし、その目開きが大である大目開き部と、該大目開き部よりも目開きが小である小目開き部とを有し、前記充填材が未だ充填されていない自然状態で扁平形状をなし、前記充填材が充填された充填状態でも、その充填された分だけ膨張して扁平形状を維持するよう構成されており、
前記大目開き部と前記小目開き部とは、前記自然状態および前記充填状態のいずれの状態でも、目開きの大小関係は維持されていることを特徴とする手術用具。
【請求項2】
前記充填材は、ペースト状のものであり、
前記大目開き部では、前記充填材の通過が許容され、前記小目開き部では、前記充填材の通過が阻止または抑制される請求項1に記載の手術用具。
【請求項3】
前記充填材は、複数の顆粒で構成されたものであり、
前記大目開き部の目開きおよび前記小目開き部の目開きは、それぞれ、前記複数の顆粒の平均粒径よりも小さい請求項1に記載の手術用具。
【請求項4】
前記大目開き部の目開きは、前記平均粒径の0.5〜0.9倍であり、前記小目開き部の目開きは、前記平均粒径の0.05〜0.5倍である請求項3に記載の手術用具。
【請求項5】
前記大目開き部の目開きは、前記小目開き部の目開きの2〜50倍である請求項1ないし4のいずれかに記載の手術用具。
【請求項6】
前記大目開き部の目開きは、0.05〜9mmであり、前記小目開き部の目開きは、0.005〜5mmである請求項1ないし5のいずれかに記載の手術用具。
【請求項7】
前記骨欠損部が形成された骨または骨と接する前記部位には、前記充填材とできるだけ接触させたい接触可能部と、前記充填材との接触をできるだけ抑止したい接触抑止部とがあり、
前記袋体では、前記大目開き部は、生体吸収性を有する生体吸収部として機能する部分となり、前記小目開き部は、生体への吸収が抑止または防止された生体非吸収部として機能する部分となっており、
前記大目開き部は、前記充填状態で前記接触可能部に宛がわれ、その宛がわれた状態で前記生体吸収性を発揮し、
前記小目開き部は、前記充填状態で前記接触抑止部に宛がわれ、その宛がわれた状態で前記生体への吸収が抑止または防止される請求項1ないし6のいずれかに記載の手術用具。
【請求項8】
前記袋体は、前記扁平形状の厚さ方向に位置する両面側にそれぞれ前記大目開き部が配置され、前記扁平形状の側面側に前記小目開き部が配置されている請求項1ないし7のいずれかに記載の手術用具。
【請求項9】
前記袋体は、X線透視下で視認可能なマーカ部を備える請求項1ないし8のいずれかに記載の手術用具。
【請求項10】
前記マーカ部は、前記大目開き部と前記小目開き部との境界部に配置されている請求項9に記載の手術用具。
【請求項11】
当該手術用具を椎体に使用する際、前記大目開き部は、前記椎体の終板骨に宛がわれ、前記小目開き部は、骨折線が生じた前記椎体の側壁を構成する骨に宛がわれる請求項1ないし10のいずれかに記載の手術用具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手術用具に関する。
【背景技術】
【0002】
外傷や骨粗鬆症等により椎体が潰れる、いわゆる椎体圧迫骨折の治療法の一つとして、圧潰した椎体内に、経椎弓根的に(椎弓を介して)充填材を充填する治療法がある。
【0003】
この治療法では、まず、圧潰した椎体をほぼ元の形状に戻すこと、すなわち、椎体に整復操作を施す。その後、かかる操作により椎体内に形成された空洞に骨補填材のような充填材を充填するが、それに先行して、前記空洞に骨補填材を収納可能なメッシュ状の袋体を挿入する(例えば、特許文献1参照)。そして、この前記空洞に挿入された袋体に骨補填材を充填することが行われる。
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の袋体では、メッシュの目開きがほぼ均一となっており、その大きさによっては、骨補填材が袋体から不本意に漏出することが考えられる。また、袋体内の骨補填材は、できる限り骨と接するのが好ましい場合があるが、目開きの大きさによっては、メッシュ(袋体)の細孔から露出することができずに骨との接触が不可能となることも考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2005−527295号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、袋体内からの充填材の不本意な漏出を防止することができるとともに、袋体内の充填材が骨の所望の部位に選択的に接することができる手術用具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このような目的は、下記(1)〜(11)の本発明により達成される。
(1) 可撓性を有する袋体を備え、該袋体を骨欠損部または骨と接する部位に挿入し、その挿入状態で前記袋体の内部に充填材を充填して使用される手術用具であって、
前記袋体は、メッシュ状をなし、その目開きが大である大目開き部と、該大目開き部よりも目開きが小である小目開き部とを有し、前記充填材が未だ充填されていない自然状態で扁平形状をなし、前記充填材が充填された充填状態でも、その充填された分だけ膨張して扁平形状を維持するよう構成されており、
前記大目開き部と前記小目開き部とは、前記自然状態および前記充填状態のいずれの状態でも、目開きの大小関係は維持されていることを特徴とする手術用具。
【0008】
これにより、袋体内からの充填材の不本意な漏出を防止することができるとともに、袋体内の充填材が骨の所望の部位に選択的に接することができる。
【0009】
(2) 前記充填材は、ペースト状のものであり、
前記大目開き部では、前記充填材の通過が許容され、前記小目開き部では、前記充填材の通過が阻止または抑制される上記(1)に記載の手術用具。
【0010】
これにより、使用状態では、小目開き部よりも大目開き部でより優先的に骨と接することができる。
【0011】
(3) 前記充填材は、複数の顆粒で構成されたものであり、
前記大目開き部の目開きおよび前記小目開き部の目開きは、それぞれ、前記複数の顆粒の平均粒径よりも小さい上記(1)に記載の手術用具。
【0012】
これにより、大目開き部では、充填材と骨とが接触することができ、小目開き部では、充填材と骨との接触が抑制または防止される。
【0013】
(4) 前記大目開き部の目開きは、前記平均粒径の0.5〜0.9倍であり、前記小目開き部の目開きは、前記平均粒径の0.05〜0.5倍である上記(3)に記載の手術用具。
【0014】
これにより、大目開き部では、充填材と骨とがより接触することができ、小目開き部では、充填材と骨との接触がより抑制または防止される。
【0015】
(5) 前記大目開き部の目開きは、前記小目開き部の目開きの2〜50倍である上記(1)ないし(4)のいずれかに記載の手術用具。
【0016】
これにより、充填材は、大目開き部での通過が確実に許容され、小目開き部での通過が確実に阻止または抑制され、よって、使用状態では、小目開き部よりも大目開き部で優先的に骨と接することができる。
【0017】
(6) 前記大目開き部の目開きは、0.05〜9mmであり、前記小目開き部の目開きは、0.005〜5mmである上記(1)ないし(5)のいずれかに記載の手術用具。
【0018】
これにより、充填材は、大目開き部での通過がより確実に許容され、小目開き部での通過がより確実に阻止または抑制され、よって、使用状態では、小目開き部よりも大目開き部でより優先的に骨と接することができる。
【0019】
(7) 前記骨欠損部が形成された骨または骨と接する前記部位には、前記充填材とできるだけ接触させたい接触可能部と、前記充填材との接触をできるだけ抑止したい接触抑止部とがあり、
前記袋体では、前記大目開き部は、生体吸収性を有する生体吸収部として機能する部分となり、前記小目開き部は、生体への吸収が抑止または防止された生体非吸収部として機能する部分となっており、
前記大目開き部は、前記充填状態で前記接触可能部に宛がわれ、その宛がわれた状態で前記生体吸収性を発揮し、
前記小目開き部は、前記充填状態で前記接触抑止部に宛がわれ、その宛がわれた状態で前記生体への吸収が抑止または防止される上記(1)ないし(6)のいずれかに記載の手術用具。
【0020】
これにより、充填材は、大目開き部を通過して、骨と接することができるが、小目開き部では通過が阻止され、骨との接触が防止される。このように、本発明の手術用具では、袋体内の充填材が骨の所望の部位に確実に選択的に接することができる。
【0021】
(8) 前記袋体は、前記扁平形状の厚さ方向に位置する両面側にそれぞれ前記大目開き部が配置され、前記扁平形状の側面側に前記小目開き部が配置されている上記(1)ないし(7)のいずれかに記載の手術用具。
【0022】
例えば椎体に本発明の手術用具を使用する場合、大目開き部を椎体の目的部位、すなわち、椎体に対し大目開き部を宛がいたい部分に確実に宛がうことができ、小目開き部を椎体の他の目的部位、すなわち、椎体に対し小目開き部を宛がいたい部分に確実に宛がうことができる。
【0023】
(9) 前記袋体は、X線透視下で視認可能なマーカ部を備える上記(1)ないし(8)のいずれかに記載の手術用具。
【0024】
これにより、骨欠損部または骨と接する部位での袋体の設置状態をX線透視下で把握することができる。
【0025】
(10) 前記マーカ部は、前記大目開き部と前記小目開き部との境界部に配置されている上記(9)に記載の手術用具。
【0026】
これにより、術時においては、袋体の内部が密になるように充填材を導入することが容
易になり、術後においては、経過観察が容易になる。
(11) 当該手術用具を椎体に使用する際、前記大目開き部は、前記椎体の終板骨に宛がわれ、前記小目開き部は、骨折線が生じた前記椎体の側壁を構成する骨に宛がわれる上記(1)ないし(10)のいずれかに記載の手術用具。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、袋体を骨欠損部または骨と接する部位(以下代表的に「骨欠損部」と言う)に挿入して当該袋体に充填材を充填することにより、大目開き部が骨の所望の部位(以下「第1の部位」と言う)に宛がわれ、小目開き部が骨の他の所望の部位(以下「第2の部位」と言う)に宛がわれることとなる。そして、充填材は、大目開き部を通過して、第1の部位と接するが、小目開き部では通過が制限され、第2の部位の接触が防止または抑制される。このように、本発明では、袋体内の充填材が第1の部位に優先的に接することができる。これにより、充填材と第1の部位とが癒合して、手術用具が骨欠損部内で確実に安定する。また、小目開き部での充填材の不本意な漏出を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1図1は、本発明の手術用具の自然状態(未使用時)での第1実施形態を示す斜視図である。
図2図2は、図1に示す手術用具の使用状態の一例を示す斜視図である。
図3図3は、図2中のA−A線断面図(図1に示す手術用具の使用状態での経時的な変化を示す断面図)である。
図4図4は、本発明の手術用具(第2実施形態)の使用状態での経時的な変化を示す断面図である。
図5図5は、図4に示す手術用具に充填される充填材の粒度分布を示すグラフである。
図6図6は、本発明の手術用具(第3実施形態)を構成する線状体の使用状態での経時的な変化を示す図である。
図7図7は、本発明の手術用具の自然状態(未使用時)での第4実施形態を示す斜視図である。
図8図8は、図1に示す手術用具の使用方法を順に説明するための図である。
図9図9は、図1に示す手術用具の使用方法を順に説明するための図である。
図10図10は、図1に示す手術用具の使用方法を順に説明するための図である。
図11図11は、図1に示す手術用具の使用方法を順に説明するための図である。
図12図12は、図1に示す手術用具の使用方法を順に説明するための図である。
図13図13は、図1に示す手術用具の使用方法を順に説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の手術用具を添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
<第1実施形態>
図1は、本発明の手術用具の自然状態(未使用時)での第1実施形態を示す斜視図、図2は、図1に示す手術用具の使用状態の一例を示す斜視図、図3は、図2中のA−A線断面図(図1に示す手術用具の使用状態での経時的な変化を示す断面図)、図8図13は、それぞれ、図1に示す手術用具の使用方法を順に説明するための図である。なお、図2図8図13中、紙面手前側が「頭側」、紙面奥側が「脚側」、上側が「腹側」、下側が「背側」となっている。
【0030】
図2図12図13に示すように、手術用具1は、骨欠損部あるいは骨と接する部位に挿入して使用されるものである。ここで、骨欠損部とは、外傷による喪失、腫瘍等の除去手術による除去、骨粗鬆症等による骨密度の低下等、または、これらの複合的な要因により生じた骨の空洞部のことを言う。また、骨と接する部位とは、椎体と椎体の間である椎間などのことを言う。
【0031】
また、手術用具1は、頭蓋顎顔面骨、椎間、鎖骨、胸骨、肋骨、手根骨、中手骨、手の指骨、坐骨、恥骨、膝蓋骨、足根骨、中足骨、足の指骨、椎体、腸骨、肩甲骨、上腕骨、尺骨、橈骨、大腿骨、脛骨および腓骨からなる群より選択される少なくとも1種の骨の骨欠損部あるいは骨と接する部位に好適に使用される。これらの骨は、比較的大きいサイズ(寸法)の骨であり、このような骨の骨欠損部に、手術用具1は、充填材8Aを効率よくかつ高い充填率で充填して使用することができる。充填材8Aの構成材料としては、特に限定されず、例えば、リン酸カルシウム系化合物、アルミナ、ジルコニア、高分子樹脂などの1種またはそれらの組合せあってもよい。また、充填材8Aは、顆粒状、ブロック状、ペースト状などのいずれの形態にしてもよい。
【0032】
以下では、椎体が圧潰した際に、この椎体の修復を行う手技(椎体圧迫骨折整復術)に、手術用具1を適用する場合について代表的に説明する。
【0033】
図1図2図12図13についても同様)に示すように、本実施形態の手術用具1は、可撓性を有する袋体2と、袋体2に接続された可撓性を有する管状部3とで構成されている。この手術用具1は、袋体2を椎体91の空洞(骨欠損部)911に挿入することができる(図12参照)。そして、その挿入状態で、手術用具1は、袋体2の内腔部(内部空間)21に、生体親和性を有する充填材8Aを充填して使用される(図13参照)。以下、袋体2内に充填材8Aが充填された状態を「充填状態」と言う。
【0034】
まず、充填材8Aについて説明する。
充填材8Aは、手術用具1に充填されるまでは粘性(流動性)を有するペースト状のものである。これにより、充填材8Aを手術用具1に容易にかつ確実に充填することができる。なお、充填材8Aの充填には、例えば図13に示すように、シリンジ10を用いることができる。また、充填材8Aとしては、特に限定されず、例えば、以下の物性(稠度)を有するものが好ましい。25℃の環境下で1[g]のペースト状の充填材8Aをガラス板上に載置し、その上から120[g]のガラス板を静かに重ねる。そして、このときに広がった充填材8Aの最大幅を有する部分の長さと最小幅を有する部分の長さとを測定し、これらの平均値を算出する。その平均値は、10〜40[mm]が好ましく、15〜30[mm]がより好ましい。
【0035】
このような充填材8Aは、骨補填材(生体材料)として用いられる材料の粉体と、硬化用の液剤とを練和してなるものである。なお、ここでいう「粉体」とは、粉粒体、顆粒、微小な薄片または針状体等を含む広い概念であり、その形状や形態、製造方法等は特に限定されない。
【0036】
このような粉体としては、例えば、リン酸カルシウム系化合物による粉体が好ましい。リン酸カルシウム系化合物は、生体内で長期間安定に存在することができ、生体材料として特に優れている。
【0037】
リン酸カルシウム系化合物としては、例えば、ハイドロキシアパタイト(Ca10(PO46(OH)2)、TCP(Ca3(PO42)、Ca227、Ca(PO32、Ca10(PO462、Ca10(PO46Cl2、DCPD(CaHPO4・2H2O)、Ca4O(PO42等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を混合して用いることができる。
【0038】
また、粉体の平均粒径は、特に限定されないが、通常、1〜50μm程度であるのが好ましく、4〜30μm程度であるのがより好ましい。
【0039】
液剤としては、特に限定されないが、例えば、注射用水等が挙げられる。液剤には、例えば、コンドロイチン硫酸ナトリウム、コハク酸二ナトリウム無水物、亜硫酸水素ナトリウム等などの添加剤を加えてもよい。
【0040】
そして、粉体と液剤とを練和することにより、その練成体(練和物)は、経時的に硬化して硬化体となる。
【0041】
次に、手術用具1について説明する。
手術用具1は、袋体2と管状部3とで構成されている。
【0042】
図1図2に示すように、袋体2は、複数本の線状体22を交差させてメッシュ状に形成した編組体で構成されている。その織り方(編み方)としては、特に限定されないが、例えば、平織り、綾織り、朱子織、からみ織、模紗織、メリヤス編み、たて編み、スリーブ、ステッチまたはこれらを組み合わせた織り方が挙げられる。
【0043】
そして、このメッシュ状をなす袋体2は、目開きの度合いが異なる大目開き部24と小目開き部25とを有する、すなわち、線状体22同士の間に形成される細孔23の配設密度が「疎」の部分と「密」の部分と有する。なお、袋体2での目開きの大きさを変える方法としては、特に限定されないが、例えば、前述した織り方を適宜変更する方法、線状体22の太さを大目開き部24と小目開き部25とで変更する方法、大目開き部24では1枚のメッシュ状の編組体を使用し、小目開き部25では2枚のメッシュ状の編組体を重ね合わせて使用する方法等が挙げられる。なお、袋体2はメッシュ状に限らず、バルーン状であってもよい。
【0044】
また、袋体2は、図1に示す自然状態で扁平形状をなし、図2に示す使用状態、すなわち、充填材8Aが充填された状態でも、その充填された分だけ膨張して扁平形状を維持する。特に、図2に示す使用状態での外形形状は、椎体91のおおよそ決まっている空洞911の形状に近似している。さらに、扁平形状の厚さ方向に位置する両面側(図3中の上下方向)にそれぞれ大目開き部24が配置され、側面側(図3中の左右方向)に小目開き部25が配置されている。このような外形形状と各目開き部の配置とにより、袋体2は、後述する大目開き部24を椎体91の目的部位、すなわち、椎体91に対し大目開き部24を宛がいたい部分に確実に宛がうことができ、小目開き部25を椎体91の他の目的部位、すなわち、椎体91に対し小目開き部25を宛がいたい部分に確実に宛がうことができる。
【0045】
大目開き部24は、その目開きの大きさ、すなわち、細孔23の大きさが袋体2のなかでも比較的大の部分である。一方、小目開き部25は、その目開きの大きさが袋体2のなかでも比較的小の部分、すなわち、大目開き部24よりも目開きが小の部分である。
【0046】
大目開き部24の目開き(細孔23)と小目開き部25の目開き(細孔23)との大小関係としては、例えば、使用前の状態で、大目開き部24の目開き(細孔23)の大きさが小目開き部25の目開き(細孔23)の2〜50倍であるのが好ましく、5〜20倍であるのがより好ましい。具体的には、大目開き部24の目開きは、0.05〜9mmであるのが好ましく、0.5〜5mmであるのがより好ましい。小目開き部25の目開きは、0.005〜5mmであるのが好ましく、0.1〜1mmであるのがより好ましい。
【0047】
このように大目開き部24および小目開き部25の各目開きの大きさがそれぞれ設定されていることにより、図3(a)に示すように、充填材8Aは、大目開き部24では、その各細孔23からの通過が確実に許容され、小目開き部25では、その各細孔23からの通過が確実に阻止(または抑制)される。これにより、使用状態では、充填材8Aは、小目開き部25よりも大目開き部24で優先的に椎体91と接することができる。換言すれば、使用状態では、充填材8Aは、大目開き部24での椎体91との接触面積が、小目開き部25での椎体91との接触面積よりも大となる。
【0048】
ところで、椎体91には、人体が直立した状態で上下方向にそれぞれ位置する終板骨(円盤状の骨)912と、2つの終板骨912の間に位置し、これらを連結する側壁を構成する骨913とがある。そして、椎体圧迫骨折整復術を施す場合、各終板骨912(接触可能部)には、充填材8Aをできるだけ接触させたく、側壁を構成する骨913(接触抑止部)には、充填材8Aとの接触をできるだけ抑止したい。その理由としては、側壁を構成する骨913は、終板骨に比べて骨折線が生じ易く、かかる側壁を構成する骨913に骨折線が生じた場合、骨折線から漏出した充填材8Aが、付近に存在する脊髄や神経根に接触する恐れがあるためである。また、終板骨912と充填材8Aとの接触を行ないたい理由としては、その接触が行なわれれば、充填材8Aと終板骨912とが接合(癒合)して、充填状態の手術用具1を椎体91の空洞911内で安定させることができるためである。
【0049】
そこで、手術用具1は、袋体2が前述したような形状をなしていることにより、椎体91の空洞911に挿入して充填材8Aを充填しさえすれば、当該充填材8Aが袋体2をその内側から押し広げ、終板骨912には大目開き部24が確実に宛がわれ(臨み)、側壁を構成する骨913には小目開き部25が確実に宛がわれることとなる(図13参照)。そして、充填材8Aは、大目開き部24の細孔23を通過して、終板骨912と接するが、小目開き部25では通過が阻止され、側壁を構成する骨913との接触が防止される(図3(a)参照)。このように、手術用具1では、袋体2内の充填材8Aが椎体91の終板骨912および側壁を構成する骨913のうちの終板骨912(所望の部位)にのみ選択的に接することができる。これにより、充填材8Aと終板骨912とが接合して、充填状態の手術用具1が椎体91の空洞911内で確実に安定する。また、小目開き部25での充填材8Aの不本意な漏出を防止することができる。これにより、充填材8Aが、側壁を構成する骨(脊柱管)にある脊髄やその近傍に存在する神経根等と接触するのを確実に防止することができる。
【0050】
さて、大目開き部24は、その全体(または少なくとも60%の部分)が生体吸収性(生分解性)を有しているのが好ましい。これに対し、小目開き部25は、その全体(または少なくとも60%の部分)が生体への吸収が抑止または防止されているのが好ましい。
【0051】
生体吸収性を有する材料(以下「第1の材料」と言う)としては、特に限定されず、例えば、ポリ−L−ラクチド(PLLA)、ポリ−D−ラクチド(PDLA)、ポリ−D,L−ラクチド(P−D,L−LA)、ポリグリコール酸、ポリカプロラクトン、ポリジオキサノン、L−ラクチド/グリコライド共重合体、D−ラクチド/グリコライド共重合体、L−およびD−ラクチド/グリコライド共重合体(P(LA/GA))、L−ラクチド/カプロラクトン共重合体、D−ラクチド/カプロラクトン共重合体、L−およびD−ラクチド/カプロラクトン共重合体(P(LA/CL))からなる群から選択された少なくとも1種を用いることができる。この場合、大目開き部24を編成する互いに交差する2本の線状体22の双方(または片方)を第1の材料で構成することができる。これにより、図3(a)〜(c)に示すように、使用状態で、大目開き部24の各線状体22は、経時的に分解・吸収され、遂には消失する。また、その過程の途中では、各線状体22が分解・吸収された分、各細孔23の大きさが増大する。
【0052】
このような構成の大目開き部24が設けられていることにより、充填材8Aは、椎体91の終板骨912との接触面積が経時的に増大し、これに伴って椎体91の終板骨912との接合力も経時的に増大することとなる。これにより、充填状態の手術用具1が椎体91の空洞911内でより確実に安定する。
【0053】
なお、椎体圧迫骨折整復術が施される椎体91では、その骨形成がなされるまでは、大目開き部24を残すのが好ましいが、骨形成後には大目開き部24は消失してもよい。大目開き部24は、このような要望を満足することができるよう構成されたものであるということができる。
【0054】
また、大目開き部24は、袋体2において、生体に吸収される「生体吸収部」を兼ねた(「生体吸収部」として機能する)部分であるということができる。
【0055】
また、大目開き部24の目開きの大きさの経時的な変化は、例えば、0.1〜5%/日の割合で大きくなるのが好ましい。このような設定がなされているか否かは、例えば疑似体液(SBF(Simulated Body Fluid))や生理食塩水に「大目開き部24」のサンプルを含浸させ、当該サンプルの目開きの変化過程を観察することによって確認することができる。
【0056】
一方、生体への吸収が抑止または防止される材料(以下「第2の材料」と言う)としては、特に限定されず、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミド(例:ナイロン6、ナイロン46、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン6−12、ナイロン6−66)、または、羊毛、絹糸、リネンおよび綿糸のような天然繊維が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせたものを用いることができる。この場合、小目開き部25を編成する互いに交差する2本の線状体22の双方を第2の材料で構成することができる。これにより、図3(a)〜(c)に示すように、使用状態でも、小目開き部25の各線状体22は、大目開き部24の各線状体22のように経時的に分解・吸収されるのが確実に防止される。これにより、小目開き部25の細孔23の大きさが一定に維持され、よって、充填材8Aが不本意に漏出して椎体91の側壁を構成する骨913に接するのが防止された状態を、持続することができる。
【0057】
このように小目開き部25は、袋体2において、生体への吸収が抑止または防止された「生体非吸収部」を兼ねた(「生体非吸収部」として機能する)部分であるということができる。
【0058】
以上のような構成の袋体2では、目開きに大小を有することと、生体吸収性および生体非吸収を有することとの相乗効果により、袋体2内からの充填材8Aの不本意な漏出を確実に防止することができるとともに、袋体2内の充填材8Aが椎体91の終板骨912に選択的に確実に接することができる。
【0059】
図1図2に示すように、袋体2の小目開き部25には、管状部3が接続されている。管状部3は、その管路(中空部)31が袋体2の内腔部21と連通している。そして、この管路31は、袋体2の内腔部21に充填材8Aを充填するときに、当該充填材8Aが通過する流路として機能する。これにより、袋体2への充填材8Aの充填を容易かつ確実に行なうことができる。
【0060】
また、管状部3は、メッシュ状をなしている。管状部3の目開きは、小目開き部25の目開きよりも小さく設定されており、例えば、小目開き部25の目開きの0.1〜1倍であるのが好ましい。これにより、充填材8Aを袋体2に充填する際、充填材8Aは、管状部3での漏出が確実に防止され、よって、袋体2まで確実に到達することができる。
【0061】
なお、管状部3の構成材料としては、特に限定されないが、例えば、小目開き部25の構成材料と同様のものを用いることができる。これにより、袋体2と管状部3とを編み機で一括して製造することができる。
【0062】
次に、手術用具1の使用方法の一例について、図8図13を参照しつつ説明する。
[1] まず、X線透視下で、図8に示すように、椎体圧迫骨折整復術を施す椎骨9の椎弓92、92から、椎体91に向けて穿孔器20を穿刺する。これにより、椎骨9の図8中の左右両側には、各椎弓92から椎体91内にかけて、細径の孔93、93が形成される。次に、リーマ30を用いて、各孔93の内径をそれぞれ拡径する。
【0063】
[2] 次に、先端部が湾曲したキュレット40を2本用意する。そして、図9に示すように、各キュレット40をそれぞれ孔93に挿入して、椎体91内を掻爬する。
【0064】
[3] 次に、図10に示すように、ラスプ50を一方の孔93に挿入して、椎体91の空洞911を清掃するとともに、椎体91に対し整復を行なう。
【0065】
[4] 次に、予め生理食塩水Qが充填されたシリンジ60を用意する。そして、図11に示すように、シリンジ60の口部601を一方の孔93に挿入し、この状態で、椎体91の空洞911に生理食塩水Qを注入する。この注入操作は、生理食塩水Qが他方の孔93から排出されるまで行なわれる。これにより、椎体91の空洞911が洗浄される。
【0066】
[5] 次に、図12に示すように、例えば挿入用ガイド棒70を用いて、一方の孔93から椎体91の空洞911に手術用具1の袋体2を挿入する。このとき、一方の孔93には、手術用具1の管状部3を位置させる。
【0067】
[6] 次に、予め充填材8Aが充填されたシリンジ10を用意する。そして、図13に示すように、シリンジ10の口部101を手術用具1の管状部3に挿入し、この状態で、手術用具1に充填材8Aを充填する。この充填操作は、袋体2の大目開き部24が椎体91の終板骨912に宛がわれ、小目開き部25が側壁を構成する骨913に宛がわれるまで行なわれる。これにより、充填材8Aが充填された手術用具1が椎体91に留置されることとなる。
【0068】
<第2実施形態>
図4は、本発明の手術用具(第2実施形態)の使用状態での経時的な変化を示す断面図、図5は、図4に示す手術用具に充填される充填材の粒度分布を示すグラフである。
【0069】
以下、これらの図を参照して本発明の手術用具の第2実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
本実施形態は、充填材の態様が異なること以外は前記第1実施形態と同様である。
【0070】
図4に示すように、本実施形態では、充填材8Bは、複数の顆粒81で構成されたものである。なお、ここでいう「顆粒」とは、粉粒体、粒子、微小な薄片やブロック体または針状体等を含む広い概念であり、その形状や形態、製造方法等は特に限定されない。
【0071】
また、各顆粒81は、それぞれ、例えば前記第1実施形態での充填材8Aを構成する粉体と同様の材料で構成されている。
【0072】
また、顆粒81の平均粒径dは、特に限定されないが、例えば、0.1〜10mmであるのが好ましく、1〜5mmであるのがより好ましい。
【0073】
そして、大目開き部24の目開きおよび小目開き部25の目開きは、それぞれ、使用前の状態で、平均粒径dよりも小さい。具体的には、大目開き部24の目開きは、平均粒径dの0.5〜0.9倍であるのが好ましい。小目開き部25の目開きは、平均粒径dの0.05〜0.5倍であるのが好ましい。
【0074】
このような数値範囲に設定することにより、図5に示すように、図中の「右側に傾斜したハッチング」の領域内の顆粒81が大目開き部24で確実に捕捉される、すなわち、大目開き部24を通過するのが防止されることが分かる。また、図5中の「左側に傾斜したハッチング」の領域内の顆粒81が小目開き部25でも確実に捕捉される、すなわち、小目開き部25を通過するのも防止されることが分かる。
【0075】
これにより、複数の顆粒81で構成された充填材8Bであっても、大目開き部24では、充填材8Bが漏出するのが防止されつつ、椎体91の終板骨912と接触することができる。また、小目開き部25では、充填材8Bが漏出するのが防止され、椎体91の側壁を構成する骨913との接触も抑制される(図4参照)。
【0076】
<第3実施形態>
図6は、本発明の手術用具(第3実施形態)を構成する線状体の使用状態での経時的な変化を示す図である。
【0077】
以下、この図を参照して本発明の手術用具の第3実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
本実施形態は、線状体の構成が異なること以外は前記第1実施形態と同様である。
【0078】
図6に示すように、本実施形態では、大目開き部24での各線状体22は、それぞれ、素線221と素線222とを撚り合わせてなる撚り線で構成されている。もしくは各線状体22は、複数の糸を撚らず束ねたものも含む合糸であってもよい。そして、素線221が、前述した第1の材料(生体吸収性を有する材料)で構成されている。これにより、大目開き部24では、素線221が生体吸収部として機能して、目開きの増大に寄与する。また、素線222は、第2の材料(生体への吸収が抑止または防止される材料)で構成されている。
【0079】
なお、大目開き部24での各線状体22をそれぞれ構成する素線の本数は、本実施形態では2本であるが、これに限定されず、例えば、3本以上であってもよい。この場合、少なくとも1本の素線を生体吸収性材料で構成することができる。
【0080】
<第4実施形態>
図7は、本発明の手術用具の自然状態(未使用時)での第4実施形態を示す斜視図である。
【0081】
以下、この図を参照して本発明の手術用具の第4実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
【0082】
本実施形態は、手術用具が有する袋体の構成が異なること以外は前記第1実施形態と同様である。
【0083】
図7に示すように、本実施形態の手術用具1では、袋体2にX線透視下で視認可能なマーカ部26が設けられている。マーカ部26の設置形態としては、特に限定されないが、例えば、Ni−Ti系の超弾性合金で構成された金属線を線状体22に編み込む形態が挙げられる。その他の形態として、造影剤、例えば硫酸バリウム、フッ化バリウム、およびケイ酸バリウム、ビスマス化合物、ジルコニウム化合物、ランタン化合物、トリウム化合物、ならびに希土類金属等を含んだ繊維(ペレットに含有させる、繊維にコーティングするなど、手段を問わない)を編み込む形態も挙げられる。
これにより、マーカ部26に造影性をもたせることができ、よって、椎体91の空洞911での袋体2の設置状態をX線透視下で把握することができる。その結果、術時においては、袋体2の内部が密になるように充填材を導入することが容易になり、術後においては、経過観察が容易になる。
【0084】
なお、マーカ部26の配置位置としては、特に限定されないが、例えば、大目開き部24(生体吸収部)と小目開き部25(生体非吸収部)との境界部であるのが好ましい。これにより、袋体2が体内の適切な位置、方向に設置されているかどうかを、補填時や手術後の経過観察時にも確認することができる。また、マーカ部26は、袋体2の全体に配置されていてもよいし、患部に補填した際に上端、中央、下端になる部分、あるいは前方、中央、後方、あるいはこれらのうちの1つ以上を組み合わせた位置でもよい。
【0085】
以上、本発明の手術用具を図示の実施形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、手術用具を構成する各部は、同様の機能を発揮し得る任意の構成のものと置換することができる。また、任意の構成物が付加されていてもよい。
【0086】
また、本発明の手術用具は、前記各実施形態のうちの、任意の2以上の構成(特徴)を組み合わせたものであってもよい。
【0087】
また、袋体では、生体吸収部および生体非吸収部を省略することできる。すなわち、袋体全体が第1の材料で構成されていてもよいし、袋体全体が第2の材料で構成されていてもよい。
【0088】
また、袋体には、ハイドロキシアパタイトや、BMP、TGF等の骨癒合を促進する物質が含まれていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0089】
本発明によれば、袋体を骨欠損部または骨と接する部位に挿入して当該袋体に充填材を充填することにより、大目開き部が骨の第1の部位に宛がわれ、小目開き部が骨の第2の部位に宛がわれることとなる。そして、充填材は、大目開き部を通過して、第1の部位と接するが、小目開き部では通過が制限され、第2の部位の接触が防止または抑制される。このように、本発明では、袋体内の充填材が第1の部位に優先的に接することができる。これにより、充填材と第1の部位とが癒合して、手術用具が骨欠損部内で確実に安定する。また、小目開き部での充填材の不本意な漏出を防止することができる。したがって、本発明は、産業上の利用可能性を有する。
図1
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