特許第5909236号(P5909236)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5909236キナーゼ阻害剤化合物としての置換ピリダジンカルボキサミド化合物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5909236
(24)【登録日】2016年4月1日
(45)【発行日】2016年4月26日
(54)【発明の名称】キナーゼ阻害剤化合物としての置換ピリダジンカルボキサミド化合物
(51)【国際特許分類】
   C07D 401/12 20060101AFI20160412BHJP
   A61K 31/501 20060101ALI20160412BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20160412BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20160412BHJP
【FI】
   C07D401/12CSP
   A61K31/501
   A61P43/00 111
   A61P35/00
【請求項の数】5
【全頁数】35
(21)【出願番号】特願2013-532984(P2013-532984)
(86)(22)【出願日】2011年10月7日
(65)【公表番号】特表2013-539764(P2013-539764A)
(43)【公表日】2013年10月28日
(86)【国際出願番号】US2011055427
(87)【国際公開番号】WO2012048258
(87)【国際公開日】20120412
【審査請求日】2014年10月6日
(31)【優先権主張番号】61/391,464
(32)【優先日】2010年10月8日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512077228
【氏名又は名称】エックスカバリー ホールディング カンパニー エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(72)【発明者】
【氏名】リャン,コンキン
【審査官】 瀬下 浩一
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2009/154769(WO,A1)
【文献】 特表2010−516680(JP,A)
【文献】 特表2008−510792(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 401/12
A61K 31/501
A61P 35/00
A61P 43/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
5−[(1R)−1−(2,6−ジクロロ−3−フルオロフェニル)エトキシ]−6−アミノピリダジン−3−イル}−N−(1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリジン−3−イル)カルボキサミド、またはその塩、またはその水和物、溶媒和化合物もしくは多形体である、化合物。
【請求項2】
請求項1に記載の化合物を含む、対象の疾患を治療する方法において使用するための組成物であって、前記方法が前記組成物を前記対象に投与することを含む、組成物
【請求項3】
前記疾患が、c−metキナーゼにより仲介される、請求項に記載の組成物
【請求項4】
前記疾患が、癌または増殖性疾患である、請求項に記載の組成物
【請求項5】
前記疾患が、肺、結腸、乳房、前立腺、肝臓、膵臓、脳、腎臓、卵巣、胃もしくは皮膚の癌、または骨癌、胃癌、膵臓癌、グリオーマ、リンパ腫、神経芽腫、および肝細胞癌、乳頭状腎細胞癌、または頭部および頸部鱗状細胞癌である、請求項に記載の組成物
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本願は、2010年10月8日出願の米国仮出願第61/391,464号の利益を主張し、その内容は、その全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、新規のピリダジン誘導体類、これらの塩、溶媒和化合物、水和物および多形体に関連する。同様に、本発明は、本発明の化合物を含む組成物およびプロテインキナーゼ調節に関連する疾患および状態を治療する方法におけるこのような組成物の使用法を提供する。
【背景技術】
【0003】
プロテインキナーゼとは、タンパク質のチロシン、セリン、およびスレオニン残基のヒドロキシル基のリン酸化を触媒する酵素である。(例えば、細胞増殖、分化、増殖、細胞周期および生存などの)多くの細胞周期の一態様がプロテインキナーゼ活性に依存する。さらに、異常のあるプロテインキナーゼ活性は、癌および炎症などの多くの障害に関連するとされてきた。したがって、かなりの労力がプロテインキナーゼ活性を調節する方法を同定することに向けられてきた。特に、プロテインキナーゼ阻害剤として作用する小分子を同定するために、多くの試みがなされている。
【0004】
c−Met癌原遺伝子は、Met受容体チロシンキナーゼをコードする。このMet受容体は、145kDaのベータ鎖にジスルフィド結合した50kDaのアルファ鎖から構成される190kDaのグリコシル化された二量体の複合体である。このベータ鎖が膜貫通型およびサイトゾルドメインを含むのに対し、アルファ鎖は、細胞外に見いだされる。Metは、前駆体として合成され、成熟したアルファおよびベータサブユニットを得るためにタンパク質を分解して分割される。細胞−細胞相互作用において含まれるセマフォリン、プレキシン、リガンド受容体ファミリーに対して類似的な構造が示される。Metのこのリガンドは、分散因子ファミリーの一員である肝細胞増殖因子(HGF)であり、プラスミノーゲンにいくつかの相同性を有する。(Longati,P. et al.,Curr. Drug Targets 2001,2,41−55);Trusolino,L. and Comoglio,P. Nature Rev. Cancer 2002,2,289−300]
【0005】
Metは、腫瘍形成および腫瘍転移内で機能する。MetのリガンドHGFに沿ったMetの発現とは、癌化、腫瘍化、転移化である(Jeffers,M. et al.,Oncogene 1996,13,853−856;Michieli,P. et al.,Oncogene 1999,18,5221−5231)。Metは、ヒトの癌のかなりのパーセンテージにおいて過剰発現しており、原発腫瘍および転移反応の間の移行の間に増幅する。多くの研究が、(肺、結腸、乳房、前立腺、肝臓、膵臓、脳、腎臓、卵巣、胃、皮膚および骨の癌を含む)異なる型の癌の疾患の進行状態とc−Metおよび/またはHGF/SFの発現に相関性があるとしてきた。さらに、このc−MetまたはHGFの過剰発現が、肺、肝臓、胃および乳房を含むいくつかの主要なヒトの癌における予後不良および疾患の予後と相関関係のあることが示されてきた。同様に、c−Metは、膵臓癌、グリオーマ、および肝細胞癌などの成功した治療レジメンがない癌に直接関係があるともされてきた。
【0006】
高いキナーゼ活性を示すMet変異体は、乳頭状腎細胞癌の遺伝性および散発性の形体において同定されてきた(Schmidt,L. et al.,Nat. Genet. 1997,16,68−73;Jeffers,M. et al.,Proc. Nat. Acad. Sci. 1997,94,11445−11500)。HGF/Metは、頭部および頸部扁平上皮癌細胞におけるアノイキス、停止誘導プログラム細胞死(アポトーシス)を阻害することが示されてきた。アノイキス抵抗または非依存生存生着は、上皮細胞の発癌性の形質転換の特徴である(Zeng,Q. et al.,J. Biol. Chem. 2002,277,25203−25208)。
【0007】
Met/HGFの発現の増加は、結腸(Fazekas,K. et al.,Clin. Exp. Metastasis 2000,18,639−649)、乳房(Elliott,B. E. et al.,2002,Can. J. Physiol. Pharmacol. 80,91−102)、前立腺(Knudsen,B. S. et al.,Urology 2002,60,1113−1117)、肺(Siegfried,J. M. et al.,Ann. Thorac. Surg.1998,66,1915−1918)および胃(Amemiya,H. et al.,Oncology 2002,63,286−296)を含む多くの転移腫瘍にみられる。同様に、HGF−Metシグナリングは、アテローム性動脈硬化症のリスクの増加(Yamamoto,Y. et al.,J. Hypertens. 2001,19,1975−1979;Morishita,R. et al.,Endocr. J. 2002,49,273−284)および肺の線維症の増加(Crestani,B. et al.,Lab. Invest. 2002,82,1015−1022)に関連するとされてきた。
【0008】
PF−2341066
【化1】
などの2−アミノ−ピリジン類は、HGF受容体チロシンキナーゼ(c−Met)およびALKの強力な阻害剤として報告されてきた(J. G. Christensen,et al. Abstract LB−271,AACR 2006 meeting;H. Y. Zou et al. Cancer Res 2007;67: 4408;開示されている特許:国際公開第2004/076412号,国際公開第2006/021881号,国際公開第2006/021886号)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
以前に、プロテインキナーゼ阻害剤として置換型ピリダジンカルボキサミド化合物が記述された(国際公開第2009/154769号)。これら化合物の大部分は、IC50<100nMであるc−MetおよびALKを強力に阻害する。本発明は、より選択性のあるc−Met阻害剤としてピリダジンカルボキサミドを置換した不飽和複素環を開示する。
【0010】
本発明は、(例えば、本明細書のいずれかの式の)ピリダジン誘導体化合物類、この化合物類を含む組成物類、およびこの化合物類および組成物類を使用する方法に関連する。これらを含む化合物類および組成物類は、プロテインキナーゼ調節活性により仲介され、もしくはプロテインキナーゼ調節活性に関連する疾患もしくは病徴を治療し、または予防するために有益である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、分離された式I
【化2】
の化合物、またはその塩、もしくはプロドラッグ、またはそのプロドラッグの塩、またはその水和物、溶媒和化合物、もしくは多形体を提供することにより、上記の問題を解決し
式中、
、R、R、およびRは、独立してH、アルキル、またはZであり、
は、不飽和のヘテロシクリルであり、Rは、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アルコキシ、ヒドロキシアルキル、およびZから独立して選択される1〜3つの基により任意に置換され、
各Zは、ハロゲン、CN、NO、OR15、SR15、S(O)OR15、NR1516、C−Cペルフルオロアルキル、C−Cペルフルオロアルコキシ、1,2−メチレンジオキシ、C(O)OR15、C(O)NR1516、OC(O)NR1516、NR15C(O)NR1516、C(NR16)NR1516、NR15C(NR16)NR1516、S(O)NR1516、R17、C(O)R17、NR15C(O)R17、S(O)R17、S(O)17、R16、オキソ、C(O)R16、C(O)(CHOH、(CHOR15、(CHC(O)NR1516、NR15S(O)17であり、各nは、独立して0〜6であり、
各R15は、独立して、水素、C−CアルキルまたはC−Cシクロアルキルであり、
各R16は、独立して、水素、アルケニル、アルキニル、C−Cシクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、C−Cアルキル、またはC−Cシクロアルキルアリール、ヘテロシクリル、もしくはヘテロアリールに置換されたC−Cアルキルであり、
各R17は、独立して、C−Cシクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、C−Cアルキル、またはC−Cシクロアルキルアリール、アリール、ヘテロシクリル、もしくはヘテロアリールに置換されたC−Cアルキルである。
【0012】
本発明の化合物類およびこれらを含む組成物類は、プロテインキナーゼ調節疾患、障害またはそれらの症状、すなわち、プロテインキナーゼ、特にc−metの阻害剤により効果的に治療される障害の重症度を治療、または軽減するために有益である。
【0013】
別の一態様では、本発明は、本明細書のいずれかの式の化合物、またはその薬剤的な塩、溶媒和化合物または水和物(もしくはその組成物)の有効量を対象へ投与することを含み、それを必要とする対象の疾患または病徴を治療する方法に関する。この疾患または病徴は、プロテインキナーゼ(例えばc−met)により仲介されるいずれかのものであり得る。この疾患または病徴は、例えば、(例えば、本明細書の下記に記述されているものを含む)癌もしくは増殖性疾患または障害であり得る。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】これら全ての培養細胞株におけるc−Metの発現を示した。U87MG、PC3およびCaki細胞は、c−Metの高いリン酸化のレベルを発現した。総c−Met発現のレベルと比較して、U87−MGは、最も多いリン酸化−c−Metレベルを示した。したがって、生体内研究においてU87−MGが選択された。
図2】U−87MG異種移植腫瘍モデルに関する実施例1の増殖阻害である。このグラフのデータは、Balb/cヌードマウスのU87−MGの腫瘍量を示す。折れ線(Line)は各グループの腫瘍量を意味し、バー(Bar)は、±標準誤差を表す。 定義
【発明を実施するための形態】
【0015】
用語「寛解させる」および「治療する」は、互換可能に使用され、両用語は、疾患(例えば、本明細書に後述される疾患または障害)の減少、抑制、減衰、減退、阻止、又は発症若しくは進行の安定化を意味する。
【0016】
「疾患」は、細胞、組織、または器官の正常な機能を損傷させ、または妨害するいずれかの状態もしくは障害を意味する。
【0017】
「マーカー」は、疾患または障害に関連するいずれかの変化を意味する。例えば、疾患または障害に関連する発現レベルもしくは活性の変化を有するいずれかのタンパク質もしくはポリヌクレオチドがある。
【0018】
本開示では、「含む(備える)」および「有する」およびそれに類する用語は、米国特許法に帰する意味を有し、「含む」という意味を含むことができ、並びに「本質的に〜からなる」およびそれに類する用語は、米国特許法に帰する意味を有し、本用語は、制限がなく、かつ列挙される基本的もしくは新規の特徴が列挙される以上の存在により変更されない限り、列挙される以上の存在を有することができるが、先行技術の実施形態を除外するものではない。
【0019】
本明細書で使用される「化合物」という用語は、本明細書の式の化合物の塩、プロドラッグ、およびプロドラッグ塩をも含む意図がある。この用語は、前述の溶媒和化合物、水和物、多形体のいずれかをも含む。本願に記述される本発明のある一態様における「プロドラッグ」、「プロドラッグ塩」、「溶媒和化合物」、「水和物」、または「多形体」の特定の詳述は、用語「化合物」が、これらの他の形体の詳述なしに使用される本発明の他の一態様におけるこれらの形体の意図された省略として解釈されるべきではない。
【0020】
本発明の化合物の塩は、アミノ官能基などの本化合物の酸塩基性基およびカルボキシル官能基などの塩基酸性基の間において形成される。別の好ましい実施形態によれば、この化合物は、薬学的に許容可能な追加的な塩である。
【0021】
本明細書で使用され、特に明記のない限り、用語「プロドラッグ」は加水分解、酸化、または(生体内または生体外における)生物学的条件下で他の反応をすることができる化合物の誘導体を提供し、本発明の化合物を提供する。プロドラッグは、生物学的条件下の反応においてのみ活性化し得、また非反応型形体において活性を有し得る。本発明において考えられるプロドラッグの例は、制限するものではないが、アミド類、エステル類、カルバメート類、カーボネート類、およびリン酸塩類似体などの生物加水分解する成分を含む本明細書に開示される式のいずれか1つの化合物の類似体または誘導体を含む。プロドラッグは、概して、Burger′s Medicinal Chemistry and Drug Discovery(1995) 172−178,949−982(Manfred E. Wolff ed.,5th ed);see also Goodman and Gilman′s,The Pharmacological basis of Therapeutics,8th ed.,McGraw−Hill,Int. Ed. 1992,″Biotransformation of Drugs″により記述されるような周知の方法を使用して調製することができる。
【0022】
本明細書において使用され、特に明記のない限り、官能基(例えば、アミド、エステル、カーバメート、カーボネート、またはリン酸類似体のいずれか)を意味する用語「生体加水分解性部分」は、1)この化合物の生物学的な活性を破壊するものではなく、かつ、活性の取り込み、持続時間、もしくは活性の兆候などの生体内での化合物の有利な特性を与えるものではなく、2)生物学的な不活性であるが、生体内で生物化学的に活性のある化合物に転換されることを意味する。
【0023】
プロドラッグ塩は、アミノ官能基などのプロドラッグの酸性および塩基性基、またはカルボキシル官能基などのプロドラッグの塩基性および酸性基の間に形成される化合物である。1つの実施形態では、プロドラッグ塩は、薬学的に許容可能な塩である。
【0024】
特に好ましいプロドラッグおよびプロドラッグ塩は、このような化合物が哺乳類に(例えば、血液内により容易に吸収される化合物を経口投与させることにより)投与される時に、本発明の生物学的活性を高め、(例えば、脳または中枢神経系といった)生物学的な区分に対して親化合物の送達を高める。好ましいプロドラッグは、腸膜を通して水溶解度または活性輸送を高める群が、本明細書に開示されている式の構造に付加される誘導体を含む。例えば、Alexander,J. et al. Journal of Medicinal Chemistry 1988,31,318−322;Bundgaard,H. Design of Prodrugs;Elsevier: Amsterdam,1985;pp 1−92;Bundgaard,H.;Nielsen,N. M. Journal of Medicinal Chemistry 1987,30,451−454;Bundgaard,H. A Textbook of Drug Design and Development;Harwood Academic Publ.: Switzerland,1991;pp 113−191;Digenis,G. A. et al. Handbook of Experimental Pharmacology 1975,28,86−112;Friis,G. J.;Bundgaard,H. A Textbook of Drug Design and Development;2 ed.;Overseas Publ.: Amsterdam,1996;pp 351−385;Pitman,I. H. Medicinal Research Reviews 1981,1,189−214を参照されたい。
【0025】
本明細書で使用される用語「薬学的に許容可能な」は、薬学的判断の範囲内にあり、過度の毒性、刺激、アレルギー反応などのないヒトおよび他の哺乳類の組織に関する使用のために適しており、かつ、合理的な利点/リスクの比に合致していることを意味する。「薬学的に許容可能な塩」は、レシピエントへの投与に関して、本発明の化合物または化合物のプロドラッグを直接的または間接的に提供することのできる、毒性のないいずれかの塩を意味する。
【0026】
薬学的に許容可能な塩を形成するために商業的に使用される酸は、二硫化水素、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、およびリン酸などの無機酸、パラ−トルエンスルホン酸、サリチル酸、酒石酸、二酒石酸、アスコルビン酸、マレイン酸、ベシル酸、フマル酸、グルコン酸、グルクロン酸、ギ酸、グルタミン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、乳酸、シュウ酸、パラ−ブロモフェニルスルホン酸、炭酸、コハク酸、クエン酸、安息香酸および酢酸などの有機酸、および関連する無機酸および有機酸を含む。したがって、このような薬学的に許容可能な塩は、硫酸塩、ピロ硫酸塩、重硫酸塩、亜硫酸塩、亜硫酸水素塩、リン酸塩、モノリン酸水素塩、リン酸二水素塩、メタリン酸塩、ピロリン酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物、酢酸塩、プロピオン酸塩、デカン酸塩、カプリル酸塩、アクリル酸塩、ギ酸塩、イソ酪酸塩、カプリン酸塩、ヘプタン酸塩、プロピオン酸塩、シュウ酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、スベリン酸塩、セバシン酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、ブチン−1,4−二酸、ヘキシン−1,6−二酸、安息香酸塩、クロロ安息香酸塩、安息香酸メチル、ジニトロ安息香酸エステル、ヒドロキシ安息香酸エステル、メトキシ安息香酸エステル、フタル酸塩、テレフタル酸塩、スルホン酸塩、キシレンルホン酸塩、フェニル酢酸塩、フェニルプロピオン酸塩、フェニル酪酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、β−ヒドロキシ酪酸塩、グリコール酸塩、マレイン酸塩、酒石酸塩、メシル酸塩、プロパンスルホン酸塩、ナフタレン−1−スルホン酸塩、ナフタレン−2−スルホン酸塩、マンデル酸塩などの塩を含む。好ましい薬学的に許容可能な酸付加塩は、塩酸および臭化水素酸から、特には、マレイン酸などの有機酸から形成されるものを含む。
【0027】
本発明のプロドラッグの酸性官能基と薬学的に許容可能な塩を形成するための適切な塩基は、制限するものではないが、ナトリウム、カリウム、およびリチウムなどのアルカリ金属の水和物、カルシウムおよびマグネシウムなどのアルカリ土類金属の水和物、アルミニウムおよび亜鉛などの他の金属の水和物、非置換型またはヒドロキシ−置換型モノ−、ジ−、またはトリアルキルアミンルイなどのアンモニアおよび有機アミン類、ジシクロヘキシルアミン、トリブチルアミン、ピリジン、N−メチル、N−エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノ−、ビス−、またはトリス(2−ヒドロキシエチル)アミン、2−ヒドロキシ−tert−ブチルアミン、またはトリス−(ヒドロキシメチル)メチルアミンなどのモノ−、ビス−、またはトリス−(2−ヒドロキシ−低級アルキルアミン類)、N,N−ジメチル−N−(2−ヒドロキシエチル)アミンまたはトリ−(2−ヒドロキシエチル)アミンなどのN,N−ジ−低級アルキル−N−(ヒドロキシ低級アルキル)−アミン類、N−メチル−D−グルカミン、およびアルギニン、リジンなどのアミノ酸などを含む。
【0028】
本明細書で使用される用語「水和物」は、非共有結合型分子間力により結合する化学量論的または非化学量論的な量の水をさらに含む化合物を意味する。
【0029】
本明細書で使用される用語「溶媒和化合物」は、非共有結合型分子間力により結合する、水、アセトン、エタノール、メタノール、ジクロロメタン、2−プロパノールなどの化学量論的または非化学量論的な溶媒量をさらに含む化合物を意味する。
【0030】
本明細書で使用される用語「多形体」は、例えば、X線紛体解析パターン、または赤外分光法などの物理学的方法により特徴付けられる化合物または複合体の固体の結晶性形体を意味する。同一の化合物における異なる多形体は、異なる物理的、化学的および/または分光学的な特性を示す。異なる物理的特性は、制限するものではないが、(例えば、熱、光、または湿度に対する)安定性、圧縮性、(機能および生成物を製造するために重要な)密度、吸湿性、溶解性および(生物学的利用率に影響を与え得る)溶解率を含む。安定性の差異は、(例えば、1つの多形体が含まれる場合よりも、別の多形体が含まれる場合に、より早く剤形が変色するような判別の目安となるような酸化などの)化学的反応性、または(例えば、動力学的に好ましい多形体として保存されるクランブル状の錠剤が、熱力学的により安定する多形体に転換されるような)力学的特性、または(例えば、1つの多形体の錠剤は、高湿度でより分解されやすいといった)両方の特性により変化する。多形体類の異なる物理的性質は、これらの工程に影響される。例えば、1つの多形体は、溶媒和化合物をより形成しやすくなり、または、例えば、粒子の形状または大きさの分布のため、別の物質より不純物を濾過または洗浄しにくい可能性がある。
【0031】
本明細書で使用される「他の立体異性体から実質的に遊離している」という用語は、他の立体異性体の25%未満、好ましくは、他の立体異性体の10%未満、より好ましくは、他の立体異性体の5%未満、および最も好ましくは、他の立体異性体の2%未満、または他の異性体の「X」%未満(このXは、0〜100の数字であり、0及び100を含むである)で存在していることを意味する。ジアステレオマーを得るまたは合成する方法は、当業者によく知られており、実行可能な最終化合物または開始物質もしくは中間体として適用され得る。他の実施形態では、この化合物は遊離化合物である。本明細書で使用される用語「少なくともX%鏡像異性的に濃縮された」は、少なくともX%の化合物が単一の鏡像異性の形体であり、このXは、0〜100の0及び100を含む数字である。
【0032】
本明細書で使用される用語「安定した化合物」は、十分に製造することができ、(例えば、薬剤に反応する疾患または状態を治療する治療用製品、治療用化合物の生成における使用のための中間体、分離可能なまたは貯蔵可能な中間体化合物の製剤といった)本明細書における詳細な目的に有益である、十分な期間での化合物の完全性を維持するために十分な安定性を有する化合物を意味する。
【0033】
「立体異性体」は、鏡像異性体およびジアステレオマーの両方を意味する。
【0034】
本明細書で使用される用語「ハロ」または「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素のいずれかの遊離基を意味する。
【0035】
本明細書で使用される用語「アルク」または「アルキル」は、1から12の炭素原子、好ましくは、1から8の炭素原子を有する直鎖または分岐した鎖である炭化水素基を意味する。「低級アルキル」という表現は、1〜4個の炭素原子(1及び4を含む)のアルキル基を意味する。
【0036】
用語「アリールアルキル」は、アルキルの水素原子が、アリール基と置換された部分を意味する。
【0037】
用語「アルケニル」は、少なくとも1つの二重結合を有する2〜10の炭素原子、好ましくは、2〜4の炭素原子の直鎖または分岐した鎖である炭化水素基を意味する。アルケニル基は、窒素原子と結合する場合、このような基が二重結合を有する炭素を通して直接結合していないことが好ましい。
【0038】
用語「アルコキシ」は、O−アルキル遊離基を意味する。用語「アルキレンオキソ」は、−O−R−O−の構造の二価の化学種を意味し、このRはアルキレンを表す。
【0039】
用語「アルキニル」は、少なくとも1つの三重結合を有する2〜10の、好ましくは2〜4の炭素原子の直鎖または分岐した鎖である炭化水素基を意味する。アルキニル基は窒素原子と結合する場合、このような基が三重結合を有する炭素を通して直接結合していないことが好ましい。
【0040】
用語「アルキレン」は、(例えば、xは1〜5である−(CH−などの)単結合により結合される1〜5個の炭素原子の二価の直鎖状の架橋を意味し、1〜3の低級アルキル基と置換され得る。
【0041】
用語「アルケニレン」は、単結合により結合され、1〜3の低級アルキル基と置換され得る、1つまたは2つの二重結合を有する2〜5個の炭素原子の直鎖状の架橋を意味する。アルケニレン基の例は、−CH=CH−CH=CH−、−CH−CH=CH−、−CH−CH=CH−CH−、−C(CHCH=CH−および−CH(C)−CH=CH−である。
【0042】
用語「アルキニレン」は、単結合により結合され、1〜3つの低級アルキル基と置換され得る、三重結合を有する2〜5個の炭素原子の直鎖状の架橋を意味する。アルキニレン基の例は、−C≡C−、−CH−C≡C−、CH(CH)C≡C−および−C≡C−CH(C)CH−である。
【0043】
本明細書で使用される用語「シクロアルキル」および「シクロアルケニル」は、3〜12個の炭素、好ましくは3〜8個の炭素、およびより好ましくは3〜6個の炭素を有する、飽和型および部分的に不飽和型の環状構造、炭化水素基を含む。
【0044】
用語「Ar」または「アリール」は、6〜14個の炭素原子を含む、(例えば、6員単環系、10員二環系、または14員三環系といった)芳香環基を意味する。例示的なアリール基は、フェニル、ナフチル、ビフェニル、アントラセンを含む。
【0045】
「ヘテロアリール」は、N、O、またはSから選択され、残りの環の原子がCである、1、2、3、または4つの環状のヘテロ原子を含む5〜12の環状原子である単環または縮合環基(すなわち、接触する原子を対として分ける環)を意味し、さらに、相補的に共役したパイ−電子系を有し、各環の0、1、2、3、または4つの原子は、置換基により置換され得る。例として、制限するものではないが、ヘテロアリール基は、ピロール、フラン、チオフェン、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、ピラゾール、ピリジン、ピリミジン、キノロン、キナゾリン、イソキノリン、プリン、およびカルバゾールである。
【0046】
用語「複素環」、「複素環式」または「ヘテロシクロ」は、完全飽和型または部分的に不飽和のシクリル基であり、例えば、3〜7員単環系、7〜12員二環系、または10〜15員三環系を意味し、少なくとも1つの環内に少なくとも1つのヘテロ原子を有し、各環の0、1、2、または3つの原子が、置換基により置換される。ヘテロ原子を含むヘテロシクリル基の各環は、窒素原子、酸素原子および/または硫黄原子から選択される、1、2、3、または4つのヘテロ原子を有し得、この窒素および硫黄ヘテロ原子は、任意に、酸化され、この窒素ヘテロ原子は、任意に4級化され得る。このヘテロシクリル基は、環または環系のいずれかのヘテロ原子または炭素原子に付着され得る。
【0047】
用語「ヘテロシクリル」は、完全飽和型または部分的に不飽和のシクリル基であり、例えば、3〜7員単環系、7〜12員二環系、または10〜15員三環系を意味し、少なくとも1つの環内に少なくとも1つのヘテロ原子を有し、各環の0、1、2、または3つの原子が置換基により置換され得る。ヘテロ原子を含むヘテロシクリル基の各環は、窒素原子、酸素原子、および/または硫黄原子から選択される1、2、3、または4つのヘテロ原子を有し、この窒素および硫黄ヘテロ原子は、任意に参加され、かつこの窒素ヘテロ原子は、任意に四級化され得る。このヘテロシクリル基は、環または環系のいずれかのヘテロ原子または炭素原子に付着され得る。
【0048】
用語「置換基」は、本明細書に記述するいずれかの官能基、例えば、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロシクリル、またはヘテロアリール基の中のいずれかの原子上の「置換された」基を意味する。有用な置換基は、制限するものではないが、ハロゲン、CN、NO、OR15、SR15、S(O)OR15、NR1516、C−Cペルフルオロアルキル、C−Cペルフルオロアルコキシ、1,2−メチレンジオキシ、C(O)OR15、C(O)NR1516、OC(O)NR1516、NR15C(O)NR1516、C(NR16)NR1516、NR15C(NR16)NR1516、S(O)NR1516、R17、C(O)R17、NR15C(O)R17、S(O)R17、S(O)17、R16、オキソ、C(O)R16、C(O)(CHOH、(CHOR15、(CHC(O)NR1516、NR15S(O)17であり、nは、独立して、0〜6を含む。各R15は、独立して、水素、C−CアルキルまたはC−Cシクロアルキルである。各R16は、独立して、水素、アルケニル、アルキニル、C−Cシクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、C−CアルキルまたはC−Cシクロアルキル、アリール、ヘテロシクリルもしくはヘテロアリールと置換したC−Cアルキルである。各R17は、独立して、C−Cシクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、C−CアルキルまたはC−Cシクロアルキル、アリール、ヘテロシクリルもしくはヘテロアリールと置換したC−Cアルキルである。各R15、R16、およびR17の各C−Cシクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、およびC−Cアルキルは、任意に、ハロゲン、CN、C−Cアルキル、OH、C−Cアルコキシ、NH、C−Cアルキルアミノ、C−Cジアルキルアミノ、C−Cペルフルオロアルキル、C−Cペルフルオロアルコキシ、または1,2−メチレンジオキシにて置換され得る。
【0049】
用語「オキソ」は、酸素原子を意味し、炭素に付着した場合、カルボニルを、窒素に付着した場合、N−オキシドを、かつ硫黄に付着した場合にスルホキシドを形成する。
【0050】
用語「アシル」は、アルキルカルボニル、シクロアルキルカルボニル、アリールカルボニル、ヘテロシクリルカルボニル、またはヘテロアリールカルボニル置換基を意味し、それらの内のいずれかは、置換基によりさらに置換され得る。
【0051】
本明細書中の可変式の任意の定義における化学基のリストの記述は、いずれかの単一基または表に記述された基の組み合わせとして可変性のある定義を含む。本明細書中の可変式の実施形態の記述は、単一の実施形態またはいずれかの他の実施形態との組み合わせ、またはその部分的な実施形態からなる実施形態を含む。本明細書の実施形態の記述は、いずれかの単一の実施形態、いずれかの他の実施形態との組み合わせ、またはその部分的な実施形態からなる実施形態を含む。
【0052】
本発明の化合物は、1つ以上の不斉中心を含み、したがって、ラセミ体およびラセミ混合物、単一の鏡像異性体、個々のジアステレオマーおよびジアステレオマー混合物として存在し得る。このような、これらの化合物の異性体型は、本発明に明白に含む。本発明の化合物は、同様に、複合的な互変異性型で存在し、このような例では、本発明は、本明細書に存在する化合物の全ての互変異性型を明白に含む。このような化合物の全ての異性体型は、本発明に明白に含まれる。本明細書に記述される化合物のすべての結晶形は、明白に本発明に含まれる。
本発明の化合物
【0053】
一態様において、本発明は、式I
【化3】
の化合物、またはその塩、プロドラッグまたは、プロドラッグの塩、または水和物、溶媒和化合物、または多形体を提供し、
式中、
各R、R、RおよびRは、それぞれ、H、アルキル、またはZであり、
は、不飽和型ヘテロシクリルであって、Rは、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アルコキシ、ヒドロキシアルキル、およびZから独立して選択される1〜3つの基により任意に置換され、
各Zは、ハロゲン、CN、NO、OR15、SR15、S(O)OR15、NR1516、C−Cペルフルオロアルキル、C−Cペルフルオロアルコキシ、1,2−メチレンジオキシ、C(O)OR15、C(O)NR1516、OC(O)NR1516、NR15C(O)NR1516、C(NR16)NR1516、NR15C(NR16)NR1516、S(O)NR1516、R17、C(O)R17、NR15C(O)R17、S(O)R17、S(O)17、R16、オキソ、C(O)R16、C(O)(CHOH、(CHOR15、(CHC(O)NR1516、NR15S(O)17であり、各nは、それぞれ0〜6であり、;
各R15は、それぞれ、ハロゲン、C−Cアルキル、またはC−Cシクロアルキルであり、
各R16は、それぞれ、ハロゲン、アルケニル、アルキニル、C−Cシクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、C−CアルキルまたはC−Cシクロアルキルアリール、ヘテロシクリルもしくはヘテロアリールと置換したC−Cアルキルであり;
各R17は、それぞれ、C−Cシクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、C−CアルキルまたはC−Cシクロアルキル、アリール、ヘテロシクリルもしくはヘテロアリールと置換したC−Cアルキルである。
【0054】
1つの実施形態では、本発明は、式II
【化4】
の化合物、またはその塩、プロドラッグ、またはそのプロドラッグの塩、水和物、溶媒和化合物、または多形体であるあり、
式中、
各R、R、R、R、RおよびRは、独立して、H、アルキル、またはZであり、
各Zはハロゲン、CN、NO、OR15、SR15、S(O)OR15、NR1516、C−Cペルフルオロアルキル、C−Cペルフルオロアルコキシ、1,2−メチレンジオキシ、C(O)OR15、C(O)NR1516、OC(O)NR1516、NR15C(O)NR1516、C(NR16)NR1516、NR15C(NR16)NR1516、S(O)NR1516、R17、C(O)R17、NR15C(O)R17、S(O)R17、S(O)17、R16、オキソ、C(O)R16、C(O)(CH2)nOH、(CHOR15、(CHC(O)NR1516、NR15S(O)17である。
各R15は、それぞれ、ハロゲン、C−Cアルキル、またはC−Cシクロアルキルであり;
各R16は、それぞれ、ハロゲン、アルケニル、アルキニル、C−Cシクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、C−Cアルキル、またはC−Cシクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、もしくはヘテロアリールと置換したC−Cアルキルであり、;
各R17は、それぞれ、C−Cシクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、C−CアルキルまたはC−Cシクロアルキル、アリール、ヘテロシクリルもしくはヘテロアリールと置換したC−Cアルキルである。
【0055】
別の実施形態では、本発明は、式III
【化5】
の化合物、またはその塩、プロドラッグ、またはそのプロドラッグの塩、もしくは水和物、溶媒和化合物、または多形体を提供し、
式中、
各RおよびRは、それぞれ、H、アルキル、またはZであり、;
各Zは、ハロゲン、CN、NO、OR15、SR15、S(O)OR15、NR1516、C−Cペルフルオロアルキル、C−Cペルフルオロアルコキシ、1,2−メチレンジオキシ、C(O)OR15、C(O)NR1516、OC(O)NR1516、NR15C(O)NR1516、C(NR16)NR1516、NR15C(NR16)NR1516、S(O)NR1516、R17、C(O)R17、NR15C(O)R17、S(O)R17、S(O)17、R16、オキソ、C(O)R16、C(O)(CHOH、(CHOR15、(CHC(O)NR1516、NR15S(O)17であり、;
各R15は、それぞれ、水素、C−CアルキルまたはC−Cシクロアルキルであり、;
各R16は、それぞれ、水素、アルケニル、アルキニル、C−Cシクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、C−CアルキルまたはC−Cシクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、もしくはヘテロアリールと置換したC−Cアルキルであり、;
各R17は、それぞれ、C−Cシクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、C−CアルキルまたはC−Cシクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、もしくはヘテロアリールと置換したC−Cアルキルである。
【0056】
本発明の代表的な化合物を表1に記述する。これらの例において、キラル炭素原子の立体化学は、特定されない限り、独立してそれぞれ、RS、R、またはSである。表1を含む本明細書に記載される構造は、対応する水素原子が明白に存在しないが、−NH、−NH(アミノ)、または−OH(ヒドロキシル)として記録される−NH,−NH、または−OH基を含み得る。ある構造では、密着結合が描かれ、かつメチル基を示す。
【表1】
【0057】
本発明の代表的な化合物を以下に記述する。
{5−[(1R)−1−(2,6−ジクロロ−3−フルオロフェニル)エトキシ]−6−アミノピリダジン−3−イル}−N−(1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリジン−3−イル)カルボキサミド;
{6−アミノ−5−[(2,6−ジクロロ−3−フルオロフェニル)エトキシ]ピヂダジン−3−イル}−N−(1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリジン−3−イル)カルボキサミド;
{5−[(1S)−1−(2,6−ジクロロ−3−フルオロフェニル)エトキシ]−6−アミノピリダジン−3−イル}−N−(1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリジン−3−イル)カルボキサミド;
{6−アミノ−5−[(2,6−ジクロロ−3−フルオロフェニル)エトキシ]ピリダジン−3−イル}−N−(6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリジン−3−イル)カルボキサミド;
{6−アミノ−5−[(2,6−ジクロロ−3−フルオロフェニル)エトキシ]ピリダジン−3−イル}−N−[1−(2−メトキシエチル)−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリジン−3−イル]カルボキサミド;
{6−アミノ−5−[(2,6−ジクロロ−3−フルオロフェニル)エトキシ]ピリダジン−3−イル}−N−(1−エチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリジン−3−イル)カルボキサミド。
【0058】
本明細書の式の化合物の合成は、当業者である合成化学者により容易に行うことができる。本明細書中に、例えば、関連のある手順および中間体が開示される。本明細書において引用される、特許、特許出願、公報、または伝統的な刊行物またはインターネットを通してのみ得られる刊行物は、参照として本明細書の全体に組み込まれる。
【0059】
本明細書の式の化合物を合成する別のアプローチは、本明細書に記述される参照から容易に適合される。これらの手順および最適化の変形は、熟練した当業者の知識の範囲内である。
【0060】
上記に示す特定の手法および化合物は、限定する意図を示すものではない。本明細書中のスキームの化学構造は、同一であり可変性のある名前(例えば、R、R、R、R´、Xなど)により同定されるかどうかを、本明細書の式の化合物の対応する化学基の定義(部分、原子など)と一致するよう、本明細書において定義される可変性を示す。別の化合物の構造の合成の使用のための化合物の構造の化学基の適合性は、当業者の知識の範囲内である。本明細書中の式の化合物を合成する追加的な方法およびその合成手順は、本明細書のスキームに明白に示される経路ではなく、当業者である化学者の方法の範囲内である。競合する副産物を最小化する必要がある場合の反応条件を最適化する方法は、当業者の知識の範囲内である。本明細書に記述される方法は、同様に、本明細書の化合物の合成を極限まで可能にするための有益な保護基を加え、または除去するよう、本明細書で特に記述されているステップのそれぞれ前後のステップである追加的なステップを含む。さらに、多様な合成ステップが、代替的な配列においてまたは所望の化合物を得るために、行なわれる。適用可能な化合物を合成する際に有益な合成化学変換および保護基の方法論(保護および脱保護)は、当業者に知られており、例えば、R. Larock,Comprehensive Organic Transformations,VCH Publishers(1989);T.W. Greene and P.G.M. Wuts,Protective Groups in Organic Synthesis,3 Ed.,John Wiley and Sons(1999);L. Fieser and M. Fieser,Fieser and Fieser′s Reagents for Organic Synthesis,John Wiley and Sons(1994);and L. Paquette,ed.,Encyclopedia of Reagents for Organic Synthesis,John Wiley and Sons(1995)およびその次の版に記述される。
【0061】
本明細書に詳述される方法は、1つの式の化合物を、別の式の化合物に転換することが考えられる。1つ以上の化学変換を意味する転換の工程は、in situで、または、中間体化合物の分離において行われる。この変換は、本明細書の参照に記述されているものを含む、当業者の技術およびプロトコルを使用して追加的な試薬と開始化合物または中間体と反応することを含む。中間体は、精製(例えば、濾過、蒸留、昇華、結晶化、研和、固相抽出およびクロマトグラフィー)して、または精製をせずに使用される。
【0062】
本発明により記述される置換基の組み合わせおよび変更は、安定した化合物の組成のみの結果からなる。
【0063】
本発明は、同様に、本明細書のいずれかの式の化合物、または薬学的に許容可能な塩、溶媒和化合物、水和物、多形体またはプロドラッグ、もし適用可能な場合には、塩の化合物および許容可能なキャリアーの有効量を含む組成物を提供する。好ましくは、本発明の組成物は、薬学的な使用(「薬学的組成物」)のために形成され、このキャリアーは、薬学的に許容可能なキャリアーである。このキャリアーは、製剤の他の成分と適合し、薬学的に許容可能なキャリアーの場合には、概して薬物として使用される量がレシピエントに有害ではないことを意味する、「許容可能」でなければならない。
【0064】
本発明の薬学的組成物として使用し得る薬学的に許容可能なキャリアー、アジュバント、およびビヒクルは、制限するものではないが、イオン交換体、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、ヒト血清アルブミンなどの血清タンパク質、リン酸塩、グリシン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、飽和植物性脂肪酸の部分的グリセリド混合物、水、塩、などの緩衝物質、または硫酸プロタミン、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩、コロイドシリカ、3ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、セルロース系物質、ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリアクリル酸塩、蝋、ポリエチレン−ポリオキシプロピレン−ブロックポリマー、ポリエチレングリコールまたは羊毛脂などの電解物である。
【0065】
本発明の薬学的組成物は、経口投与、直腸投与、(頬側投与および舌下投与を含む)局所投与、腟内投与または(皮下投与、筋肉内投与、静脈内投与、および皮内投与を含む)非経口投与を含む。ある実施形態では、本明細書中の式の化合物は、(例えば、経皮吸収パッチを使用して)経皮的に投与される。他の製剤は、単位服用量において都合の良い形状、例えば、錠剤、および持続放出カプセルであり得、かつリポソーム内にあることができ、薬学の当業者に周知の方法により調製される。例えば、Remington′s Pharmaceutical Sciences,Mack Publishing Company,Philadelphia,PA(17th ed. 1985)を参照されたい。
【0066】
このような調製用の方法は、1つ以上の副成分を構成するキャリアーなどの、投与される成分である分子に関連する導入のステップを含む。一般的に、この組成物は、液体キャリアー、リポソームまたは細かく分割された固体状のキャリアー、またはその両方、および必要に応じて形づくられる生成物を、均一的におよび本質的にもたらすことにより調製する。
【0067】
ある好ましい実施形態では、この化合物を経口的に投与する。経口投与に適している本発明の組成物は、紛体または顆粒として、水性液体、もしくは非水性液体における溶液または懸濁液として、または水中油乳濁液もしくは油中水乳濁液として所定の量の活性成分をそれぞれ含むカプセル、包装、錠剤などの個々の単位として、またはリポソーム内に密封され、並びに急速投与剤などとして存在し得る。このような懸濁液を含むソフトゼラチンカプセルは、化合物の吸収の割合を有益に増加させる。
【0068】
錠剤は、1つ以上の副成分を任意に、圧縮または成形することにより作成される。圧縮錠剤は、結合剤、潤滑剤、不活性剤、希釈剤、保存剤、界面活性剤、または拡散剤を任意に混合した紛体または顆粒などの流動的な形状における活性成分を、適切な機械で圧縮することにより調製される。成形された錠剤は、不活性な液体の希釈剤で湿らせた紛体鍵応物の混合物を適切な機械で成形することにより作成される。この錠剤は、任意にコーディングされ、またはしるしをつけられ、かつ遅行したまたは制御された本明細書の活性成分の放出を提供するために処方し得る。本明細書および他の知られているような、薬学的に活性した成分の組成物の放出を遅らせ、または制御する処方の方法は、公知であり、制限するものではないが、いくつかの発行されたアメリカの特許文献である、米国特許第4,369,172号および第4,842,866号およびそれらの参照文献に記述されている。コーティングは、腸に化合物を送達するために使用される(米国特許第6,638,534号、米国特許第5,217,720号、および米国特許第6,569,457号、米国特許第6,461,631号、米国特許第6,528,080号、米国特許第6,800,663号およびそれらの参照文献を参考にされたい。)本発明の化合物に有益な製剤は、腸溶層が、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネートを含む腸内でペレットの形状である。
【0069】
経口使用のための錠剤の場合、一般的に使用されるキャリアーは、ラクトースおよびコーンスターチを含む。概して、ステアリン酸マグネシウムなどの平滑剤も添加される。カプセル形体の経口投与のために有益な希釈剤は、ラクトースおよび乾燥したコーンスターチを含む。水性の懸濁液が、経口的に投与されたとき、活性成分は、乳化剤および懸濁剤と併用される。望ましい場合には、ある甘味料、および/または香料、および/または着色料が添加される。
【0070】
局所投与に有益な組成物は、一般にスクロースおよびアカシアまたはトラガントが主成分である香料を含むトローチ並びにゼラチンおよびグリセリン、またはスクロースおよびアカシアなどの不活性な主成分内の活性成分を含む錠剤を含む。
【0071】
非経口投与に有益な組成物は、抗酸化剤、緩衝液、静菌薬および予定されたレシピエントの血液と等張の製剤を与える溶質を含む水性および非水性の無菌注射溶液、並びに懸濁剤および増粘剤を含む水性および非水性の無菌懸濁液を含む。この製剤は、単位服用量または複合−服用容器、例えば、密封されたアンプルおよび水薬瓶内に存在し、無菌液体キャリアー、例えば、使用に先立つ注射のための水などのみを添加することを要求されるため、フリーズドライ(凍結乾燥)された状態において保存される。
【0072】
即時注射液および懸濁液は、無菌紛体、顆粒および錠剤から調製され得る。
【0073】
このような注射液は、例えば、水性または油性の無菌性であり注射可能な懸濁液といった形体であり得る。この懸濁液は、有益な拡散剤、(例えばTween80などの)湿潤剤、および懸濁液を使用する既知の技術により処方する。無菌であり注射可能な調製は、同様に、非経口的に毒性のない、許容可能な希釈剤または溶媒中の無菌であり注射可能な溶液または懸濁液であり得、例えば、1,3−ブタンジオール中の溶液があげられる。使用され得る許容可能なビヒクルおよび溶媒の中には、マンニトール、水、リンゲル溶液、および等張食塩水があげられる。さらに、無菌の不揮発性油は、溶媒または懸濁媒体として従来使用されている。この目的のためにいずれかの合成のモノまたはジグリセリドを含む無菌の不揮発性の油が使用され得る。オレイン酸およびそのグリセリドなどの脂肪酸が、注射剤の調製に有益であり、オリーブ油、天然の薬学的に許容可能な油、特に、ポリオキシエチレン化した油が有益である。これらのオイル溶液または懸濁液は、同様に長鎖アルコール希釈剤または分散剤を含む。
【0074】
本発明の薬学的組成物は、直腸投与のための座薬の形体において投与され得る。これらの組成物は、室温では固体だが、直腸温では液体であり、したがって、直腸内で溶解し、活性成分を放出する適切な非刺激性の賦形剤と本発明の混合物を混合することにより調製される。このような物質は、制限するものではないが、ココアバター、みつろう、ポリエチレングリコールを含む。
【0075】
本発明の薬学的組成物は、鼻用の噴霧剤または吸入剤により投与され得る。このような組成物は、薬剤の公知技術により調製され、ベンジルアルコールまたは他の有益な保存剤、生物学的利用能高める吸収促進剤、フッ化炭素、および/または他の可溶化剤または既知の拡散剤を使用する生理食塩水中の溶液として調製される。
【0076】
所望の治療が、局所適用により容易に到達することができる領域または器官に関与するとき、本発明の薬学的組成物の局所投与が特に有益である。皮膚への局所適用のために、薬剤化合物は、キャリアー内に懸濁または溶解する活性成分を含む有益な軟膏剤を含有して処方されるべきである。本発明の化合物の局所投与のためのキャリアーは、制限するものではないが、鉱物油、流動石油、白色ワセリン、プロピレングリコール、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、乳化ろうおよび水を含む。代替的に、薬学的組成物は、キャリアー内に懸濁または溶解した活性化合物を含む適切なローションまたはクリームを含有して処方され得る。適切なキャリアーは、制限するものではないが、鉱物油、オクチルドデカノール、ポリソルベート60、セチルエステルワックス、ステアリルアルコール、2−オクチルドデカノール、ベンジルアルコールおよび水を含む。本発明の薬学的組成物は、直腸座薬製剤または適切な浣腸製剤により、より低い腸管に局所的に適用され得る。局所経皮パッチおよびイオン泳動的投与も、同様に、本発明に含まれる
【0077】
特に好ましい誘導体およびプロドラッグは、このような化合物が哺乳類に対して(例えば、より容易に血液に吸収される化合物を経口的に投与されることによって)投与される時、本発明の化合物の生物学的利用率を増加させ、または、親の種に関連する生物学的な区画(例えば、脳、または中枢神経系)に対して本発明の化合物の送達を高める。好ましいプロドラッグは、腸膜を通して水溶解度または能動輸送を高める基は、本明細書中に記述される式の構造に加えられる。例えば、Alexander,J. et al. Journal of Medicinal Chemistry 1988,31,318−322;Bundgaard,H. Design of Prodrugs;Elsevier: Amsterdam,1985;pp 1−92;Bundgaard,H.;Nielsen,N. M. Journal of Medicinal Chemistry 1987,30,451−454;Bundgaard,H. A Textbook of Drug Design and Development;Harwood Academic Publ.: Switzerland,1991;pp 113−191;Digenis,G. A. et al. Handbook of Experimental Pharmacology 1975,28,86−112;Friis,G. J.;Bundgaard,H. A Textbook of Drug Design and Development;2 ed.;Overseas Publ.: Amsterdam,1996;pp 351−385;Pitman,I. H. Medicinal Research Reviews 1981,1,189−214.を参照されたい。
【0078】
対象の部位に投与するために、治療用の対象の投与は、局所的でありえる。多様な技術が、注射、カテーテル、トロカール、発射体(projectiles)、プルロニックゲル、ステント、持続性薬物放出ポリマーまたは内部アクセスのために提供される他のデバイスの使用などの、対象となる部位において目的となる組成物を提供するために使用することができる。
【0079】
別の実施形態によれば、本発明は、本発明の化合物または組成物を備えた薬剤放出デバイスと接触するステップを含む埋め込み型薬剤放出デバイスを浸透させる方法を提供する。
【0080】
埋め込み型薬剤放出デバイスは、制限するものではないが、生分解性ポリマーカプセルまたは錠剤、非溶解拡散性ポリマーカプセルおよび生分解性ポリマーオブラートを含む。
【0081】
別の実施形態によれば、本発明は、薬学的に活性する本発明の化合物などの本発明の化合物を含む化合物または組成物をコーティングする埋め込み型医学デバイスを提供する。
【0082】
別の実施形態において、本発明の組成物は、第2の治療薬をさらに含む。この第2の治療薬は、単独でまたは本明細書の式中のいずれかの化合物と投与される時、有益な特性を有するまたは示すことが知られているいずれかの化合物または治療薬を含む。これらの化合物と有益に組み合わせることのできる薬剤は、上記で記述された疾患および障害の治療のための他のキナーゼ阻害剤および/または他の化学療法剤を含む。
【0083】
このような薬剤は、先行技術に詳細に記述される。好ましくは、この第2の治療薬は、癌から選択される疾患または状態の治療または予防に有益な薬剤である。
【0084】
さらに好ましくは、本発明の化合物と同時に処方されるこの第2の治療薬は、c−met、ronまたはALK並びにALKEML4−ALKおよびNPM−ALK関連疾患/障害などの融合タンパク質の治療に有益な薬剤である。さらにより好ましくは、本発明の化合物と同時に処方されるこの第2の治療薬は、c−met関連障害の治療に有益な薬剤である。
【0085】
別の実施形態では、本発明は、お互いに関連する本発明の化合物および第2の治療薬のそれぞれの剤形を提供する。本明細書において使用される用語「お互いに関連する」は、それぞれの剤形が固体であり、(連続的に、または同時にお互い24時間以内に)共に投与されることが容易に明白となるために、それぞれの剤形が、共にまたは他方ではお互いに付着して包装される。
【0086】
本発明の薬学的組成物において、本発明の化合物は、有効量で存在する。本明細書において使用されるように、用語「有効量」は、適切な投与レジメンにおいて投与される時に、治療される障害の重症度、持続時間または進行を減少させ、または寛解させ、治療される障害の進行を予防するために十分であり、治療される障害の後退を引き起こし、または別の療法の予防的または治療的効果を高めまたは改善する量を意味する。
【0087】
動物およびヒトの(体表面平方メートルあたりミリグラムに基づく)投与量の相互関係は、Freireich et al.,(1966) Cancer Chemother Rep 50: 219に記述される。体表面積は、この対象の高さおよび重さからおおよそ決定される。Scientific Tables,Geigy Pharmaceuticals,Ardley,N.Y.,1970,537を参照されたい。本発明の化合物の有効量は、約0.001mg/kg〜約500mg/kg、好ましくは、0.01mg/kg〜50mg/kg、より好ましくは、0.1mg/kg〜約2.5mg/kgの範囲内にある。有効な投与量は、治療される疾患、またはこの疾患の重症度、投与の経路、対象の年齢、性別および一般的な健康状態、賦形剤の利用、他の薬剤などの使用などの他の薬学的治療と同時に処方される可能性、および治療する内海の判断により変化すると、当業者の技術により認識されている。
【0088】
第2の治療薬を含む薬学的組成物のために、この第2の薬剤の有効量は、この薬剤だけを使用した単剤療法のレジメンにおいて通常利用される投与量の約20%および100%の間である。
【0089】
好ましくは、有効量は通常の単剤療法の投与量の約70%および100%の間である。これら第2の治療薬の通常の単剤療法は、当業者に知られている。Wells et al.,eds.,Pharmacotherapy Handbook,2nd Edition,Appleton and Lange,Stamford,Conn.(2000);PDR Pharmacopoeia,Tarascon Pocket Pharmacopoeia 2000,Deluxe Edition,Tarascon Publishing,Loma Linda,Calif.(2000)が参照され、これらの各参考文献は、参照として本明細書全体に組み込まれる。
【0090】
上記に参照される第2の治療薬の中には、本発明の化合物と相乗的に反応するものもあることが予測される。このことが起こる時、第2の治療薬および/または本発明の化合物の有効量が、単剤療法において要求される有効量よりも減少する。このことは、本発明の化合物のそれぞれの第2の治療薬の毒性のある副作用の最小化、相乗的な有効性の改善、投与または使用の改善された緩和、および/または化合物の調製または製剤の総合的費用の減少といった利点を有する。
治療方法
【0091】
別の実施形態によれば、本発明は、(例えば本明細書に記述されるような)疾患または障害または症状を患う、または感受性のある対象を治療する方法であって、この患者に本発明の化合物または組成物の有効量を投与するステップを含む方法を提供する。このような疾患は、当業者に知られており、本明細書にも開示されている。
【0092】
一態様において、この治療方法は、例えば、c−met、ronなどのプロテインキナーゼに関連する疾患の治療を含む。
【0093】
別の一態様において、本発明は、本明細書のいずれかの式の化合物を対象に投与することを含む、対象における疾患を治療する方法を提供する。
【0094】
別の一態様において、本発明は、本明細書のいずれかの式の化合物を含む組成物を対象に投与することを含む、対象における疾患を治療する方法を提供する。
【0095】
ある実施形態では、この疾患は、c−metまたはronキナーゼにより仲介される。
【0096】
別の実施形態において、この疾患は、癌または増殖性疾患である。
【0097】
なお別の実施形態において、この疾患は、肺、結腸、乳房、前立腺、肝臓、膵臓、脳、腎臓、卵巣、胃または皮膚、の癌、または骨癌、胃癌、乳癌、膵臓癌、グリオーマ、および肝細胞癌、乳頭状腎細胞癌、または頭部および頸部鱗状細胞癌である。
【0098】
1つの実施形態において、本発明の方法は、疾患もしくは状態を患うまたは感受性を有する対象を治療するために使用される。このような疾患、障害または症状は、例えば、(c−met、ronなどの)プロテインキナーゼにより調節される。この疾患または疾患の症状は、例えば、癌、または増殖性疾患または障害であり得る。この疾患または症状は、肺、結腸、乳房、前立腺、肝臓、膵臓、脳、腎臓、卵巣、胃、皮膚および骨の癌、胃癌、乳癌、膵臓癌、グリオーマおよび肝細胞癌、乳頭状腎細胞癌または頭部および頸部鱗状細胞癌である。本明細書に記載される方法は、対象が特定の明言された治療の必要性があると同定されることを含む。このような治療を必要とする対象の同定は、対象またはヘルスケアの専門職の判断によるものであり、(意見などの)主観的または(試験または診断方法により測定可能な)客観的なものであり得る。
【0099】
別の実施形態では、本発明は、本明細書のいずれかの式の1つ以上の化合物と細胞を接触させることを含む、細胞における(例えば、タンパク質チロシンキナーゼ、本明細書に表示されるキナーゼ類などの)プロテインキナーゼの活性を調節する方法を提供する。
【0100】
別の実施形態では、上記の治療方法は、この患者に1つ以上の第2の治療薬を同時に処方するさらなるステップを含む。第2の治療薬の選択は、本明細書中の兆候に有益である
ことが知られているいずれかの第2の治療薬から行われる。追加的な治療薬は、この疾患、障害または症状の治療のための薬剤を制限するものではないが、例えば、抗癌剤、抗増殖薬、抗悪性腫瘍薬、抗腫瘍薬、代謝拮抗型/チミジル酸シンターゼ阻害剤抗悪性腫瘍薬、アルキル化型抗悪性腫瘍薬、抗生型抗悪性腫瘍薬、または、例えば、ビンブラスチン硫酸塩、ビンクリスチン、ビンデシン、ビネストラミド、ビノレルビン、ビントリプトール、ビンゾリジン、タモキシフェン、トレミフェン、ラロキシフェン、ドロロキシフェン、イオドキシフェン、メゲストロール酢酸エステル、アナストロゾール、レトラゾール、ボラゾール、エキセメスタン、フルタミド、ニルタミド、ビカルタミド、シプロテロン酢酸エステル、ゴセレリン酢酸塩、ルプロリド、フィナステリド、ハーセプチン、メトトレキサート、5−フルオロウラシル、シトシンアラビノシド、ドキソルビシン、ダウノマイシン、エピルビシン、イダルビシン、マイトマイシンC、ダクチノマイシン、ミトラマイシン、シスプラチン、カルボプラチン、メルファラン、クロラムブシル、ブスルファン、シクロホスファミド、イホスファミド、ニトロソウレア、チオテファン、ビンクリスチン、タキソール、タキソテール、エトポシド、テニポシド、アムサクリン、イリノテカン、トポテカン、エポチロン、イレッサ、アバスチン、血管新生抑制剤、OS−774、血管新生阻害剤、EGFR阻害剤、MEK阻害剤、VEGFR阻害剤、CDK阻害剤、HerlおよびHer2阻害剤並びにモノクローナル抗体を含む、(例えば、antinausea、antianemiaなどの)癌の治療プロトコルにおける第1の薬剤もしくはアジュバント薬剤として投与されるいずれかの他の薬剤を含む。
【0101】
本明細書で使用される用語「同時に投与される」は、第2の治療薬が、(上記に記述される本発明の化合物および第2の治療薬を含む本発明の組成物などの)単一の剤形の一部または分離した複合的な剤形として、本発明の化合物と共に投与されることを意味する。代わりに、追加的な薬剤が、本発明の化合物の投与に先立ち連続して、または続いて投与されることもある。このような治療の組み合わせにおいて、本発明の化合物および第2の治療薬の両方が、従来の方法により投与される。本発明の化合物および第2の治療薬を含む本発明の組成物の対象への投与は、一定期間の治療の間、別の時間に、同一の治療薬、他のいずれかの第2の治療薬、本発明のいずれかの化合物を、この対象に分離して個々に投与することを除くものではない。
【0102】
これらの第2の治療薬の有効量は当業者に既知であり、投与の手引きは、ells et al.,eds.,Pharmacotherapy Handbook,2nd Edition,Appleton and Lange,Stamford,Conn.(2000);PDR Pharmacopoeia,Tarascon Pocket Pharmacopoeia 2000,Deluxe Edition,Tarascon Publishing,Loma Linda,Calif.(2000)および他の薬学のテキストと同じく本明細書に参照される特許および公開特許公報から発見され得る。しかしながら、第2の治療薬の有効量の範囲を決定することは、当業者の技術の範囲内である。
【0103】
本発明の1つの実施形態において、第2の治療薬を対象に投与することは、本発明の化合物の有効量が、第2の治療薬を投与していない時の有効量よりも少ないこととなる。別の実施形態において、第2の治療薬の有効量は、本発明の化合物が投与されていない時の有効量よりも少ないこととなる。この場合、それぞれの薬剤の高投与量に関連する望まれない副作用を最小化し得る。他の(限定するものではないが、改善された投与レジメンおよび/または薬剤の費用の減少を含む)を潜在的な利点は、当業者において明白である。
【0104】
さらなる別の一態様において、本発明は、上記に表される疾患、障害または症状の対象を治療または予防する目的において、単一の組成物またはそれぞれの剤形として、本明細書の式のいずれかの化合物のみまたは薬剤の製造における上記に記載された1つ以上の第2の治療薬の使用を提供する。本発明の別の一態様は、本明細書に記載されている疾患、障害、または症状である対象の治療または予防における使用を目的とする、本明細書の式の化合物である。
【0105】
他の一態様において、本明細書の方法は、治療投与に関して対象を管理することをさらに含む。このような管理は、治療レジメンのマーカーまたは指標として、対象の組織、体液、試料、細胞、タンパク質、化学的マーカー、遺伝的マーカーなどを含み得る。他の方法では、この対象は、このような治療の適合性に関連のあるマーカーまたは指標のための試験による治療の必要性があるものとして、予備検査または同定される。
【0106】
1つの実施形態において、本発明は、治療の進行を管理する方法を提供する。この方法は、本明細書に記載される障害または症状を患う、または感受性を有する対象における(例えば、本明細書の化合物により調節される本明細書に記載されるいずれかの標的または細胞の型の)診断マーカー(マーカー)または(例えば、スクリーニング、アッセイなどの)診断測定のレベルを決定するステップを含み、この対象は、この疾患または症状を治療するために十分な本明細書の化合物の薬学的な量を投与される。この方法により決定されるマーカーのレベルは、すでに既知である、健康で正常な対照またはこの対象の疾患状態を有する他の患者のそれぞれのマーカーのレベルと比較することができる。好ましい実施形態では、この対象のマーカーの第2のレベルは、第1のレベルの決定よりも遅い時点において決定され、この2つのレベルは、疾患の経過、またはこの治療の有効性を管理するために比較される。ある好ましい実施形態では、あらかじめ治療されたこの対象のマーカーのレベルは、本発明による治療が開始する前に決定され、この予め治療されたマーカーのレベルは、治療を開始した後の対照のマーカーのレベルと比較され、治療の有効性を決定する。
【0107】
ある方法の実施形態において、対象におけるマーカーまたはマーカー活性のレベルは、少なくとも1度決定される。例えば、同一の患者、別の患者、または正常な対照から、前もってまたはその後に得られた別のマーカーの測定レベルに対するマーカーのレベルの比較は、本発明による治療が、所望の効果を有するかどうかを決定し、それにより、適切な投与量のレベルを調節することができるために有益であり得る。マーカーのレベルの決定は、公知、または本明細書に記述されているいずれかの適切な試料/発現アッセイ方法を使用して行われる。好ましくは、組織または体液サンプルは、対象からまず除去される。適切なサンプルの例は、根源を含む血液、尿、組織、口または頬の細胞、および髪のサンプルを含む。他の適切なサンプルは、当業者により知られている。サンプルにおけるタンパク質のレベルおよび/またはmRNAのレベル(例えばマーカーのレベル)の決定は、制限するものではないが、酵素免疫測定法、ELISA法、放射標識/アッセイ技術、ブロッティング/化学ルミネセンス法、リアルタイムPCRなどを含むいずれかの当業者の適切な技術を使用して行われる。
【0108】
本発明は、同様に、本明細書に記述されるものを含む疾患、障害または症状の使用のためのキットを提供する。これらのキットは、a)容器の中にある、本明細書の式のいずれかの化合物、その塩、プロドラッグもしくはそのプロドラッグの塩、またはその水和物、溶媒和化合物、もしくは多形体を含む薬学的組成物、およびb)本明細書に記述されるものを含む疾患、障害または症状を治療するための薬学的組成物を使用する方法が記載される説明書を含む。
【0109】
この容器は、この薬学的組成物を保持することのできるいずれかの容器、他の密閉または密閉可能な装置であり得る。例えば、この例は、ボトルをであって、分割されたもしくは複数のチャンバーホルダーボトルを含み、各分割部またはチャンバーは、この組成物の単一投与量、分割されたホイルのパケットを含み、各分割部は、組成物の単一投与量、または組成物の単一投与量を分配するディスペンサーを含む。この容器は、薬学的に許容可能な物質、例えば、紙、または段ボール箱、ガラス、プラスチックのびん、ジャー、(例えば、異なる容器内に配置するために錠剤を「詰め替え」を行うための)再密閉可能な袋、または治療のスケジュールに従って、パックから取られるためにそれぞれの投与量を備えたプラスチックの包みから作られる。使用する容器は、中に含むために的確な投与量に依存する。例えば、段ボール箱は、一般的に液体の懸濁液を保持するためには使用しない。1つ以上の容器が、単一の形体を市場に出すために単一の包装で共に使用されることがありうる。例えば、錠剤は、瓶の中、または箱の中に含まれる。好ましくは、この容器は、プラスチックの包みである。
【0110】
このキットは、内科医、薬剤師、または対象のための情報および/または説明書を追加的に含む。このような記録の目的は、摂取されるべき特定の錠剤またはカプセルのレジメンの日程に対応する投与量を含む各チャンバーまたは分割部上に印刷される数または各チャンバーまたは分割部に印刷される週の曜日、または同一の型の情報を含むカードを含む。
【0111】
本明細書に記述される化合物は、例えば、本明細書に記述されているものを含む公知のプロトコルを使用してそれらの生物学的活性を評価することができる。本明細書のある化合物は、潜在的な治療薬として候補を予想外によりよくする優れた性状(例えば、P450、Met、Ronなどの阻害、薬物動態的性質など)を示す。
【0112】
制限するものではないが、概要、論説、定期刊行物、出版物、テキスト、論文、技術的データシート、インターネットウェブサイト、データベース、特許、特許出願、および特許公報を含む、電子工学的なコンピュータで読み取り可能な記憶媒体において書かれている本明細書に記載されるすべての参考文献は、本明細書の全体に明白に組み込まれる。
【0113】
実施例
5−[(2,6−ジクロロ−3−フルオロフェニル)エトキシ]−6−{(tert−ブトキシ)−N−[(tert−ブチル)オキシカルボニル]カルボニルアミノ}ピリダジン−3−カルボン酸(A)の合成
【化6】
【0114】
ステップ1:25%の水酸化アンモニウム(3L)中のA1(400g、2.68mol)の懸濁液を密封されたステンレスオートクレーブにおいて12時間、130℃で加熱した。このチューブを0℃まで冷却した後、この混合物を濾過した。結果としてられた固体を水において、何回か洗浄し、真空で乾燥した後、A2(284g、82%)を提供した。
【0115】
ステップ2:メタノール(3.5L)中のA2(284g、2.19mol)溶液に臭素(350g、2.19mol)の液滴に続き、NaHC03(368.4g、4.38mol)を室温で添加した。添加が完了した後、この混合物を20時間撹拌し、その後、濾過しメタノールにより何回か洗浄した。この濾液を濃縮し、残存物を水(2L)に溶解し、酢酸エチル(2Lx3)で抽出した。この混合有機層を10%のチオ硫酸ナトリウム水溶液(2L)、塩、炭酸水素ナトリウム(2L)、および塩水(2L)において洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、蒸発させた。この残存物をカラムクロマトグラフィー(EA:PE=2:1)により精製し、A3(159.8g,35%)を提供した。
【0116】
ステップ3:メタノール(800mL)中のA4(150g,0.72mol)溶液を0℃まで冷却するために、部分的にNaBH4(66g,1.74mol)を添加した。この結果として得られる混合物を室温で約1時間撹拌し蒸発させた。pH=6になるまで3N HC1の添加に続き、0℃の残存物に水(1L)を添加した。この結果として得られる混合物を酢酸エチル(400mLx4)で抽出した。この混合有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、濃縮し、A5(148.6g,98%).を得た。
【0117】
ステップ4:THF(3L)中のA5(147.6g,0.71mol)溶液に0℃で60% NaH(28.4g,0.71mol)を添加し、結果として得られた混合物をこの温度で30分間撹拌し、すばやくA3(147g,0.71mmol)を添加した。この結果として得られた混合物を還流下で一晩加熱し、蒸発させた。この残存物をカラムクロマトグラフィー(PE:EA=4:1)により精製し、高度な中間体であるA6(89.3g37.6%)を提供した。
【0118】
ステップ5:DMF(1L)中のA6(97g,0.288mol)溶液にBoc20(113g,0.519mol)およびDMAP(7g,58mmol)を添加した。この混合物を室温で一晩撹拌し、蒸発させた。この残存物をカラムクロマトグラフィー(PE:EA=10:1)により精製し、A7(136g,88%)を得た。
【0119】
ステップ6:エタノール/DMF[(5:1)(1200mL)]中のA7(136g,0.25mol)溶液に酢酸ナトリウム(41g,0.50mol)を添加した。この混合物を脱気し、その後、Pd(dppf)Cl2.CH2Cl2(18.63g,22.5mmol)を添加した。この結果として得られる混合物を、CO中で90℃、1.5時間加熱し、その後蒸発させた。この残存物は、カラムクロマトグラフィー(PE:EA=1:4)により精製し、A8(141g,97%)を得た。
【0120】
ステップ7:THF(650mL)中のA8(141g,0.246mol)溶液にIN LiOHaq.(390mL)を添加した。この結果として得られる混合物を室温で週末にかけて撹拌し、その後、pH=5になるまで2N HC1において酸性化し、酢酸エチル(300mL×5)で抽出した。この混合有機層をNa2S04で乾燥し、濾過および濃縮し、A(134g,99%)を得た。
【0121】
6−[ビス(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−5−[(1R)−1−(2,6−ジクロロ−3−フルオロ−フェニル)エトキシ]ピリダジン−3−カルボン酸(B)の合成
【化7】
【0122】
ステップ1:ジクロロエタン(3500mL)中のA5(219g,1.05mol)溶液に、0℃でEDCI(163g,0.85mol)およびDMAP(21.57g,0.18mol)に続き、Boc−D−Pro(141g,0.65mol)を添加した。この結果として得られる混合物を室温で一晩撹拌し、その後、水(3500mL)を添加し、分離させ、この水相を、DCM(1500mLx3)で抽出し、MgS0で乾燥し、濃縮し、カラムクロマトグラフィー(PE:EA=30:1)により精製し、Bl(55.96g,51.1%)を得た。
【0123】
ステップ2:THF(1200mL)中のBl(59.96g,268mmol)溶液に0℃で60%NaH(10.71g,268mmol)を添加し、この結果として得られる混合物を、0℃で30分間撹拌し、その後、すばやくA3(55.82g,268mmol)を添加した。この結果として得られる混合物を還流下で一晩加熱し、蒸発させた。この残存物をカラムクロマトグラフィー(PE:EA=4:1)により精製し、高度な中間体B2(33.95g,37.7%)を提供した。IH−NMR(300MHz,CDC13):5=1.87(d,3H),5.08(s,2H),6.03−6.09(m,1H),6.42(s,1H),7.14(t,1H),7.35(dd,1H).LC−MS [M+H]+:336.0
【0124】
ステップ3:DMF(400mL)中のB2(33.95g,l01mmol)溶液にBOC20(39.59g,182mmol)およびDMAP(2.46g,20.2mmol)を添加した。この混合物を室温で一晩撹拌した。この残存物をカラムクロマトグラフィー(PE:EA=10:1)により精製し、この残存物をPE:EA=10:1で処置し、B3(46.9g,86.7%)を得た。
【0125】
ステップ4:酢酸ナトリウム(14.34g,175mmol)をエタノール/DMF[(5:1)(480mL)]中のB3(46.9g,87.4mmol)溶液に添加した。この混合物を脱気し、その後、Pd(dppf)Cl2.CH2Cl2(7.14g,8.74mmol)を添加した。この結果として得られる混合物を、CO中で90℃で一晩加熱した後、蒸発させた。この残存物をカラムクロマトグラフィー(PE:EA=4:1)により精製し、B4(47.lg,94.0%)を得た。.1H−NMR(300MHz,CDC13):5=1.38(s,18H),1.46(t,3H),1.88(d,3H),4.45−4.53(m,2H),6.18(q,1H),7.13(t,1H),7.34(dd,1H),7.57(s,1H). LC−MS [M+H]+: 574.0
【0126】
ステップ5:THF(400mL)中のB4(47.lg、82.1mmol)溶液にINLiOHaq.(98.5mL)を添加した。この結果として得られる混合物を、週末にかけて室温で撹拌し、その後、pH=5になるまで2NHClにおいて酸性化し、酢酸エチル(400mL×3)で抽出した。この混合有機層をNaS0上で乾燥し、濾過および濃縮して、B(45.94g,−100%)を得た。
【0127】
6−[ビス(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−5−[(15)−1−(2,6−ジクロロ−3−フルオロ−フェニル)エトキシ]ピリダジン−3−カルボン酸(C)の合成
【化8】
【0128】
ステップ1:1,2−ジクロロエタン(800mL)中のA5(41.8g、200mmol)溶液に0℃でEDCI(31.lg、163mmol)およびDMAP(4.12g,33.8mmol)に続き、Boc−L−Pro(26.9g、125mmol)を添加した。この結果として得られた混合物を室温で一晩撹拌し、その後、水(350mL)を添加し、分離し、この水はDCM(150mL×3)で抽出され、MgS0で乾燥した後、(PE:EA=30:1)に対するカラムクロマトグラフィーにより精製し、(13.72g,収率:65.6%)C1を得た。
【0129】
ステップ2:C1〜Cへの手順は、B1〜(9.46g、収率C1から26.4%)Bの手順に類似している。
【0130】
実施例1:{5−[(1R)−1−(2,6−ジクロロ−3−フルオロフェニル)エトキシ]−6−アミノピリダジン−3−イル}−N−(1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリジン−3−イル)カルボキサミドの合成
【化9】
【0131】
ステップ1:DMF(500mL)中の1a(16.0g、114mmol)溶液にNaH(5.5g、137mmol)を添加した。この懸濁液を0℃で0.5時間撹拌し、0℃でCH3I(17.8g、126mmol)を液滴した。この結果として得られる混合物を室温で1時間温め蒸発させた。この残存物に塩NaHCO(50mL)および水(50mL)を加えた。この懸濁液をDCM(300mL)で2回抽出した。この混合抽出物を水で洗浄し、MgS0で乾燥し、濃縮した。この残存物をPE:EA=10:1で再び処置し、lb(11.05g、63.0%)を提供した。
【0132】
ステップ2:還元鉄の粉末(39.0g、69.6mmol)および2NHCl(20mL)を、0℃で撹拌したエタノール(300mL)中のlb(15.4g、100mmol)溶液に添加した。この結果として得られる混合物を、還流下で2時間加熱した後濾過した。この茶色の固体をエタノールで2、3回洗浄した。この混合エタノール相を蒸発させ、この残存物を酢酸エチル(400mL)に溶解させ、1.5NNa2C03aq.(400mL)で洗浄した。この二層混合物を分離し、水層を酢酸エチル(250mL×3)で再抽出した。この混合有機層をMgS0で乾燥し、濾過し蒸発させ、lc(10.0g、80.6%)を得た。
【0133】
ステップ11:DMF(200mL)中のB(20.00g,36.6mmol),HATU(28.00g,73.7mmol)およびDIEA(14g,108.5mmol)を室温で0.5時間撹拌し、その後、lc(l0g,81.9mmol)を添加した。この結果として得られる混合物を室温で0.5時間撹拌し、蒸発させた。この残存物をカラムクロマトグラフィー(EA:MeOH=5:l)により精製し、Id(18.0g,75.4%)を提供した。
【0134】
ステップ12:Id(18.0g,27.6mmol)をDCM(150mL)およびTFA(50mL)の混合物に溶解し、室温で2時間撹拌し、蒸発させた。この残存物をpH=8になるまで塩Na2C03において調節し、DCM(200mL×5)で抽出した。この混合有機層をMgS0で乾燥させ、濃縮した。この残存物をメタノールにおいて粉砕し、濾過した後、この固体をDCMに溶解させ、Et20中のHClを添加し、この混合物を室温で一晩撹拌した後、濃縮させ、オイルポンプで乾燥させ、1(13.5g,1dから84.1%). 1H−NMR(300MHz,DMSO−d6): 5=1.82(d,3H),3.41(s,3H),6.24(q,1H),6.38(d,1H),7.04(s,1H),7.42−7.66(m,3H),8.17(s,1H). LC−MS [M+H]+: 452.0.を得た。
【0135】
実施例2:{6−アミノ−5−[(2,6−ジクロロ−3−フルオロフェニル)エトキシ]ピリダジン−3−イル}−N−(1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリジン−3−イル)カルボキサミドの合成
【化10】
【0136】
A〜2の手順は実施例1と同様であった(70mg、Aから42%)。1H−NMR(300MHz,CDC13): 5=1.89(d,3H),3.57(s,3H),5.40(s,2H),6.21−6.27(m,1H),6.59(d,1H),7.06−7.12(m,1H),7.26−7.37(m,3H),8.28(d,1H),9.40(s,1H). LC−MS [M+H]+:451.9.
【0137】
実施例3:{5−[(15)−1−(2,6−ジクロロ−3−フルオロフェニル)エトキシ]−6−アミノピリダジン−3−イル}−N−(1−メチル−6−オキソ−1,6−dジヒドロ−ピリジン−3−イル)カルボキサミドの合成
【化11】
【0138】
C〜3の手順は、3を得るための実施例1と同様であった(1.29g;収率7cから71.3%)。IH−NMR(300MHz,DMSO−d6): 5=1.86(d,3H),3.42(s,3H),6.27(q,IH),6.41(d,IH),7.06(s,IH),7.52(t,IH),7.61−7.70(m,2H),8.23(d,IH),10.47(s,IH). LC−MS [M+H]+: 452.1.
【0139】
実施例4:{6−アミノ−5−[(2,6−ジクロロ−3−フルオロフェニル)エトキシ] ピリダジン−3−l}−N−(1−メチル−6−オキソ(3−ピペリジル)カルボキサミドの合成。
【化12】
【0140】
ステップ1:メタノール中の1b溶液に10%のPd/Cを添加した。この混合物をH2下で一晩水素化した。Pd/Cを濾過し、この濾過物を蒸発させ、精製することなく次のステップに使用される未精製の4aを提供した。
【0141】
ステップ2:4a〜4の手順は、実施例1と同様であった(131mg、Aから21%)。IH−NMR(300MHz,CDC13): 5=1.88(d,3H),1.92−2.08(m,2H),2.47−2.54(m,2H),2.92(d,3H),3.20−3.27(m,IH),3.59−3.65(m,IH),4.39−4.42(m,IH),5.37(s,2H),6.18−6.24(m,IH),7.06−7.11(m,IH),7.31−7.36(m,2H),7.95(d,IH). LC−MS [M+H]+:457.1。
【0142】
実施例5:{6−アミノ−5−[(2,6−ジクロロ−3−フルオロフェニル)エトキシ]ピリダジン−3−l}−N−(6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリジン−3−イル)カルボキサミドの合成
【化13】
【0143】
ステップ1:1a〜5aまでの手順は、精製することなく次のステップで使用される2aを提供する1b〜1cと同様であった。
【0144】
ステップ2:2a〜5の手順は、実施例1と同様であった(6.8mg、5aから4.2%)。1H−NMR(300MHz,OMSO−d6): 5=1.82(d,3H),6.14−6.21(m,IH),6.32(d,IH),6.89(s,2H),6.99(s,IH),7.47(t,IH),7.56−7.61(m,IH),7.76−7.80(m,IH),7.93(s,IH),10.40(s,IH),11.41(brs,IH). LC−MS [M+H]+:437.9.
【0145】
実施例6:{6−アミノ−5−[(2,6−ジクロロ−3−フルオロフェニル)エトキシ] ピリダジン−3−イル}−N−[1−(2−メトキシエチル)−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリジン−3−イル]カルボキサミドの合成
【化14】
【0146】
この合成は、(157mg、Bから56%の)実施例1の合成と同様であった。1H−NMR(300MHz,CDC13): 5=1.89(d,3H),3.32(s,3H),3.69(t,2H),4.10−4.15(m,2H),5.38(s,2H),6.23−6.27(m,IH),6.58(d,IH),7.07−7.12(m,IH),7.32−7.44(m,3H),8.13(d,IH),9.39(s,IH). LC−MS [M+H]+:496.0.
【0147】
実施例7:{6−アミノ−5−[(2,6−ジクロロ−3−フルオロフェニル)エトキシ] ピリダジン−3−イル}−N−(1−エチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリジン−3−イル)カルボキサミドの合成
【化15】
【0148】
ステップ1:水素化ナトリウム(鉱物油中に60%分散している。0.63g、15.8g)を、室温でDMF(20mL)中の化合物1a(2g、14.4mmol)溶液に添加し、30分間撹拌した。ヨウ化エチル(2.2g,14.4mmol)をこの反応混合物に添加し、室温で16時間撹拌した。この反応混合物を酢酸エチルにおいて希釈し、水において洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ。真空下で濃縮し、化合物7a(2g,60%)を得た。
ステップ2:AcOH(5mL)、水(50mL)およびMeOH(50mL)中の化合物7a(5g,29.7mmol)、Fe(6.7g,119mmol)の混合物を還流するまで30分間加熱した、この溶媒を真空内で除去し、この残存物をカラムクロマトグラフィーにより精製し、化合物7b(2.5g,60%)を得た。
【0149】
ステップ3:DMF(30ml)中の化合物7b(lg、7.25mmol)溶液にHATU(4.13g,10.87mmol)および化合物B(20mg,163mmol)、DIEA(3.8mL,21.74mmol)を添加し、この混合物を室温で一晩撹拌した。この反応混合物を水で処理し、EAで抽出した。この有機層を鹹水で洗浄し、MgS0で乾燥させ、減圧下で濃縮し、この未精製の混合物をフラッシュクロマトグラフィー(DCM:MeOH=10:l)により精製し、化合物7c(3.2g,66%)を得た。
【0150】
ステップ4:DCM(5mL)中の化合物7c溶液にTFA(3mL)を添加した。この混合物を室温で4時間撹拌し、蒸発させた。この残存物をカラムクロマトグラフィー(DCM:MeOH=20:l)により精製し、7を得た。(700mg,50%).1H−NMR(300MHz,DMSO−d6):5=10.04(s,1H),8.23−8.24(d,1H),7.69−7.73(dd,1H),7.56−7.61(m,1H),7.44−7.50(t,1H),6.97(s,1H),6.92(s,2H),6.33−6.37(d,1H),6.15−6.18(q,1H),3.85−3.92(q,2H),1.80−1.82(d,3H),1.17−1.22(t,3H),. LC−MS [M+H] + : 467.0。
【0151】
実施例8:生物学的データ
Met,ALK生物学的アッセイ
キナーゼアッセイ。アッセイを、Fabian et al.(2005) Nature Biotechnology,vol. 23,p.329 and in Karaman et al.(2008) Nature Biotechnology,vol. 26,p.l27に記述されるように行った。
【0152】
大部分のアッセイについて、キナーゼ−タグ化T7ファージ株を、BL21株に由来するE.coliの宿主内で、24ウェルブロックに並行して増殖した。E.coliを対数期まで増殖し、(感染多重度1以下の)凍結ストックからT7ファージに感染させ、溶解するまで、(90分以内)30℃で振盪させた。この溶菌液を遠心分離(6,000×g)し、(0.2mmで)濾過し、細胞片を除去した。この残存するキナーゼをHEK−293細胞内で酸性し、その後、qPCR検出でDNAをタグ化した。ストレプトアビジン被膜磁性ビーズを室温で30分間、ビオチン化小分子リガンドで処理し、キナーゼアッセイのためのアフィニティ樹脂(affinity resin)を作成した。このリガンドビーズを過度のビオチンで阻害し、ブロッキングバッファー(SeaBlock(Pierce)、(1%BSA,0.05%Tween20,1mM DTT)で洗浄し、結合していないリガンドを除去し、非特異性ファージ結合を還元した。結合反応を、1×結合バッファー(20%SeaBlock,0.17xPBS,0.05%Tween20,6mMDTT)中の混合キナーゼ、リガンド化したアフィニティビーズ、および試験的化合物により集めた。試験的化合物は、100%DMSO中の40×ストックとして調製され、アッセイ内へ直接希釈した。全ての反応は、最終容量が0.04mlのポリプロピレンの384ウェルプレートで行われた。このアッセイプレートを、1時間振盪しながら室温でインキュベートし、アフィニティビーズを洗浄バッファー(lxPBS,0.05%Tween20)で洗浄した。このビーズを、その後、溶出バッファー(l×PBS、0.05%Tween20、0.5mMのビオチン化されていないアフィニティリガンド)内で再懸濁し、室温で30分間、振盪しながらインキュベートした。この溶出物内のキナーゼの濃度を、qPCRにより測定した。
非置換型の複素環であるRによる本発明の大部分の実施例は、選択的c−Met阻害剤、特に、このc−Metアッセイで5nM未満のIC50値を提供するR−鏡像異性体(例えば、実施例1)またはラセミ混合物(例えば、実施例2、5、6および7)であり、対照的に、この対応するALKのIC50の値は、高い(10nmより大きい)値である。
【0153】
対照的に、このS−鏡像体(実施例3)は、このc−Metアッセイにおいて最大50nMで全く顕著な阻害を示さない。
【0154】
さらに、R6が非置換型の複素環(実施例4)であるこの例は、c−MetおよびALKの両アッセイで100mMより大きいIC50値を有するが、R6が芳香環である(以下に示す)例では、c−MetおよびALKの両アッセイに対して(IC50が5nMよりも小さい)強力な効果を有する。
【化16】
【0155】
したがって、この(例えば、実施例1の)非置換型複素環であるRを備えた化合物のR−鏡像異性体は、(少なくとも、ALKと比較して)有効でありかつ選択性のあるc−met阻害剤である驚くべき生物学的特性を有する。
【0156】
c−Met受容体リン酸化アッセイ
本アッセイでは、A549細胞を使用する。細胞を、24ウェルプレート内の増殖培地(RPMI+10%FBS)内で、40,000細胞/ウェルの密度で播種し、吸着のために37℃で一晩培養する。細胞を飢餓培地(RPMI+1%BSA)に曝す。希釈したこの試験的化合物をプレートに添加し、37℃で1時間添加した。その後、40ng/mlのHGFで細胞を15分間撹拌し、15分間室温になるまで冷却する。細胞を氷冷したPBSで一度洗浄し、その後、110μl/ウェルの溶解バッファー(細胞シグナリング#9803+0.2%プロテアーゼ阻害剤,Sigma PI 860)において、4℃、1時間溶解する。細胞溶解物を遠心分離チューブに移し、4℃で10分間、l0000rpmで回転させ、リン酸化HGFRを製造者の手順に従ってHuman Phospho−HGF R/c−Met ELISA kit(R&D,DYC2480)により定量する。
【0157】
U−87MG腫瘍異種移植片モデルに対する実施例1の化合物の生体内抗−腫瘍有効性
(a)c−Metの細胞のリン酸化状態に基づく培養細胞株の選択
HeLa、NIH−3T3、HEK293T、U87MG、PC3およびCakiをATCCから得て、完全増殖培地を備えた10cmのプレート内で培養した。活性増殖細胞をIXPBSで一度洗浄し、その後、溶解バッファーですすぎ、あらかじめ超音波処理をした後、10,000rpmで10分間遠心分離することにより除去した。合計のタンパク質は、BCRタンパク質アッセイキットを使用して測定した。等量の各培養細胞株のタンパク質の溶菌液をウエスタンブロッティングのために充填した。
【0158】
(b)動物
Balb/cヌードマウス(生後6週間、オス)をShanghai Slac Laboratory Animal Co. Ltd(Shanghai,China)から購入した。全てのマウスを移植の前の2週間、病原体のない施設内においた。これらのマウスは、トウモロコシの穂軸のあるプラスチックのケージ(4〜6匹のマウス/ケージ)内に配置し、病原体のない施設(20〜25℃、湿度30〜70%)におかれた。
【0159】
(c)異種移植のヒト腫瘍モデル
U−87MG異種増殖モデルを、3.6×l0/マウス(120μl)のU−87MG細胞を有する正しい側腹部を皮下注射した無胸腺のBalb/cヌードマウスに移植することによって行われる。腫瘍の大きさは、120〜380mmに達するとされる。
【0160】
【表2】
注:すべての処置は、経口胃管栄養法(10m/kg)によって与えられ。一日に複合投与をするために、第2の投与量は、第1回目から7時間後に得られる。
【0161】
(d)観察係数
腫瘍量は、ノギスで1週間に二回測定した。腫瘍量を、式
【数1】
により計算した。
処置の開始後の腫瘍増殖抑制(GI)のパーセンテージを、式
【数2】
により計算した。
相対的腫瘍量を、得られた時間の腫瘍量および処置の開始時の腫瘍量の割合として定義した。この相対的腫瘍量(RTV)を式
【数3】
TV=腫瘍量initial
TV=時間Tの腫瘍量
により計算した。
相対的腫瘍増殖率(T/C%)を、式
【数4】
RTV=処置した相対的腫瘍量
RTV=対照となる相対的腫瘍量
により計算した。
各マウスの体重を腫瘍の大きさ測定と共に、週1回測定した。この減量のパーセンテージを式
【数5】
により計算した。
腫瘍の重量を実験の最後に測定した。この腫瘍抑制率(IR)を、式
【数6】
により計算した。
【0162】
(e)結果
この処置は、腫瘍を移植して24日後に開始される、この平均腫瘍量は、230.52+8.04mm(平均±標準誤差)に達した。連続的な処置から11日後、25および50mg/kg ig BIDの実施例1は、それぞれ、65.95%(P<0.01)および88.71%(P<0.01)といった、顕著な腫瘍増殖抑制(GI)の割合を示した。この結果は、表8および図2に要約される。
【0163】
【表3】
【0164】
多くの本発明の実施例が記述されるが、本発明の化合物および方法を利用する他の実施形態を提供するために、基本となる実施例を変更し得ることは明白である。したがって、本発明の範囲は、実施例のために表される特定の実施形態よりも添付されるクレームにより定義されることが認識される。
【0165】
本願を通して引用される(文献となる参照、発行された特許、公開された特許出願および係属中の特許出願を含む)すべての参照文献の内容は、参照として本明細書の全体に明白に組み込まれる。他において定義されない限り、本明細書において使用される全ての技術的および科学的用語は、当業者に共通に知られている意味と一致する。
図1
図2