(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に例示される背景技術は、複数の移動局と複数の基地局とを含む移動体通信のネットワークに関するものである。異なる複数のトリガ条件が検出されることに応じて移動局での測定を基地局に報告する測定報告のタイミングとするものである。例えば、無線信号のパラメータに関して測定された値が、上限の閾値を超えた場合および下限の閾値を下回った場合のそれぞれを測定報告のタイミングとして設定するものである。
【0006】
また、上記特許文献2に例示される背景技術は、光伝送路の伝送品質を判定し複数個所での判定において品質が劣化したとの警報に応じて伝送路の品質が劣化したと判断するものである。
【0007】
しかしながら、特許文献1に例示される背景技術は、複数のトリガ条件の各々において測定報告を行なうことが記載されているに過ぎない。測定報告と通常のデータ通信との通信タイミングの異同に関しては何ら記載されておらず、両者を同時に行なうことは想定されていない。また、特許文献2に例示される背景技術は、伝送路の品質劣化を複数の判定において判断することが記載されているに過ぎない。測定報告と通常のデータ通信との通信タイミングの異同に関しては何ら記載されておらず、両者を同時に行なうことは想定されていない。
【0008】
上記の特許文献に例示される背景技術は何れも、実使用に係るデータに並行して伝送品質を評価するデータを多重化して、実使用上の通常のデータ処理と同時に伝送路の品質チェックを行なうことに関しては何ら開示・示唆はされていない。実使用に係るデータの伝送に多重化して伝送品質を評価するデータを並行に伝送する際の課題については何ら解決を図るものではない。
【0009】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、実使用に係るデータに伝送品質を評価するデータを多重化することにより実使用上の通常のデータ処理と同時に伝送路の品質チェックを行なうことを可能とする多重化通信システム、送信装置、および受信装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を鑑みてなされた本願の請求項1に記載の多重化通信システムは、送信側において、外部から入力されるトリガ信号により乱数ビット列の生成の起動・停止が指令される送信側乱数発生器と、送信データ、乱数ビット列、および前記トリガ信号を多重化する多重化部とを備えている。
ここで、多重化部により生成される多重化データ列は、送信データを配列するために確保される第1データ領域と、乱数ビット列を配列するために確保される第2データ領域とを含み、第2データ領域は、送信側乱数発生器により生成された1つの乱数ビット列が予め定められた数複製されて配列される領域である。受信側では、多重化された信号から、送信データ、乱数ビット列、およびトリガ信号を復元する復元部と、トリガ信号に応じて起動・停止が指令され、乱数ビット列と同じビット配列の比較乱数ビット列を生成する受信側乱数発生器と、トリガ信号に応じて起動・停止が指令され、比較乱数ビット列に対する乱数ビット列のビットエラーレートを測定するビットエラーレート測定器とを備えている。
ここで、ビットエラーレート測定器は、予め定められた数の1つの乱数ビット列の各々についてビットエラーレートを測定する。
【0011】
【0012】
また、請求項
2に記載の多重化通信システムは、請求項
1に記載の多重化通信システムにおいて、多重化部
では、
外部から入力される1つのトリガ信号が
予め定められた数複製され
て多重化
される。
また、請求項3に記載の多重化通信システムは、送信データは、回路部品を実装する電子部品実装装置を制御するデータである。
【0013】
また、請求項4に記載の送信装置は、多重化通信システムに備えられるものである。外部から入力されるトリガ信号により乱数ビット列の生成の起動・停止が指令される送信側乱数発生器と、送信データ、乱数ビット列、およびトリガ信号を多重化する多重化部とを備えている。
ここで、多重化部により生成される多重化データ列は、送信データを配列するために確保される第1データ領域と、乱数ビット列を配列するために確保される第2データ領域とを含み、第2データ領域は、送信側乱数発生器により生成された1つの乱数ビット列が予め定められた数複製されて配列される領域である。受信側において、送信データに係る処理を行なうと共に、トリガ信号に応じて起動・停止が指令され、
予め定められた数の1つの乱数ビット列
の各々についてビットエラーレートの測定が行なわれる。
【0014】
また、請求項5に記載の受信装置は、多重化通信システムに備えられるものである。送信データ、
1つの乱数ビット列
を予め定められた数複製したビット列、および乱数ビット列の生成の起動・停止を指令するトリガ信号を含んで送信された多重化データ列を復元する復元部と、トリガ信号に応じて起動・停止が指令され、乱数ビット列と同じビット配列の比較乱数ビット列を生成する受信側乱数発生器と、トリガ信号に応じて起動・停止が指令され、比較乱数ビット列に対する乱数ビット列のビットエラーレートを測定するビットエラーレート測定器とを備えている。
ここで、ビットエラーレート測定器は、予め定められた数の1つの乱数ビット列の各々についてビットエラーレートを測定する。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に記載の多重化通信システムでは、外部から入力されるトリガ信号により送信側にある送信側乱数発生器で生成した乱数ビット列を送信データおよびトリガ信号と共に多重化して送信する。受信側では、トリガ信号に応じて、受信側乱数発生器により生成した比較乱数ビット列を送信された乱数ビット列と比較する。比較乱数ビット列は送信側乱数発生器で生成した乱数ビット列と同じビット配列を有しているので、ビットエラーレート測定器により、伝送されることによって乱数ビット列に生じたビットエラーを検出してビットエラーレートを測定することができる。
【0016】
これにより、データ伝送によるビットエラーレートを測定するために、専用の測定装置を備えることは必要ない。送信側の機器に送信側乱数発生器を備え、受信側の機器に受信側乱数発生器およびビットエラーレート測定器を備えることにより、実使用の状態でビットエラーレートを測定することができる。この場合、通常の送信データに乱数ビット列を多重化して送信することができるので、通常のデータ伝送による機器の稼働中でもビットエラーレートの測定を行なうことができる。稼働中の伝送品質を把握することができ、システムの稼働信頼性を高めることができる。また、送信されたトリガ信号に応じて受信側でビットエラーレートの測定を行なうことができる。送信側への外部指令より送受信間でのビットエラーレートの測定の開始・終了を制御することができる。
【0017】
また、多重化データ列は、送信データを配列するために確保される第1データ領域と、乱数ビット列を配列するために確保される第2データ領域とを含んで構成されているので、実使用に供される送信データとビットエラーレートを測定するための乱数ビット列とを混在させて多重化した上で送信することができる。
【0018】
また、第2データ領域は、乱数ビット列を複数組配列できる領域を備えおり、ビットエラーレート測定器は、複数組の乱数ビット列の各々についてビットエラーレートを測定する。これにより、送信側乱数発生器で生成した乱数ビット列を複製して複数組を多重化してやれば、1つの多重化データ列で複数組のビットエラーレートを測定することができる。多重化される乱数ビット列の組数に応じて1つの多重化データ列の送信で実行できるビットエラーレートの測定回数を増やすことができる。ビットエラーレートの1回当りの測定時間を短縮することができると共に、ビットエラーレートのトータルの測定精度を向上させることができる。
【0019】
請求項
2に記載の多重化通信システムでは、
外部から入力される1つのトリガ信号は送信の際、
予め定められた数複製され
て多重化される。これにより、複製された
数の
1つの同じトリガ信号が整って初めてトリガ信号が認識される。このため、ビットエラーにより本来のトリガ信号とは異なる信号がトリガ信号として誤認識されることを防止することができる。
【0020】
請求項4に記載の送信装置、および請求項5に記載の受信装置では、本願に記載の多重化通信システムを構成することができる。これにより、データ伝送によるビットエラーレートを測定するために専用の測定装置を備えることは必要ない。また、通常のデータ伝送による機器の稼働中にビットエラーレートの測定を行なうことができる。稼働中の伝送品質を把握することができ、システムの稼働信頼性を高めることができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態として、図を参照しつつ詳しく説明する。初めに、本願の多重化通信システムを適用することが可能な例として、
図1ないし
図5を参照して、電子部品装着装置の構成について説明する。
【0023】
図1に、電子部品装着装置(以下、「装着装置」と略す場合がある)10を示す。その図は、装着装置10の外装部品の一部を取り除いた斜視図である。装着装置10は、1つのシステムベース12と、そのシステムベース12の上に互いに隣接されて並んで配列された2つの電子部品装着機(以下、「装着機」と略す場合がある)16とを含んで構成されており、回路基板に電子部品を装着する作業を行うものとされている。なお、以下の説明において、装着機16の並ぶ方向をX軸方向とし、その方向に直角な水平の方向をY軸方向と称する。
【0024】
装着装置10の備える装着機16の各々は、主に、フレーム部20とそのフレーム部20に上架されたビーム部22とを含んで構成された装着機本体24と、回路基板をX軸方向に搬送するとともに設定された位置に固定する搬送装置26と、その搬送装置26によって固定された回路基板に電子部品を装着する装着ヘッド28と、ビーム部22に配設されて装着ヘッド28をX軸方向およびY軸方向に移動させる移動装置30と、フレーム部20の前方に配設され装着ヘッド28に電子部品を供給する電子部品供給装置(以下、「供給装置」と略す場合がある)32とを備えている。
【0025】
搬送装置26は、2つのコンベア装置40、42を備えており、それら2つのコンベア装置40、42は、互いに平行、かつ、X軸方向に延びるようにフレーム部20のY軸方向での中央部に配設されている。2つのコンベア装置40、42の各々は、電磁モータ44(
図5参照)によって各コンベア装置40、42に支持される回路基板をX軸方向に搬送する構造とされている。さらに、コンベア装置40、42の各々は、基板保持装置46(
図5参照)を有しており、所定の位置において回路基板を固定的に保持する構造とされている。
【0026】
また、装着ヘッド28は、搬送装置26によって保持された回路基板に対して電子部品を装着するものであり、下面に電子部品を吸着する吸着ノズル50を有している。吸着ノズル50は、正負圧供給装置52(
図5参照)を介して負圧エア、正圧エア通路に通じており、負圧にて電子部品を吸着保持し、僅かな正圧が供給されることで保持した電子部品を離脱する構造とされている。さらに、装着ヘッド28は、吸着ノズル50を昇降させるノズル昇降装置(
図5参照)54および吸着ノズル50をそれの軸心回りに自転させるノズル自転装置(
図5参照)56を有しており、保持する電子部品の上下方向の位置および電子部品の保持姿勢を変更することが可能とされている。なお、吸着ノズル50は、装着ヘッド28に着脱可能とされており、電子部品のサイズ、形状等に応じて変更することが可能とされている。
【0027】
移動装置30は、その装着ヘッド28をフレーム部20上の任意の位置に移動させるものであり、装着ヘッド28をX軸方向に移動させるためのX軸方向スライド機構(図示省略)と、装着ヘッド28をY軸方向に移動させるためのY軸方向スライド機構(図示省略)とを備えている。Y軸方向スライド機構は、Y軸方向に移動可能にビーム部22に設けられたY軸スライダ(図示省略)と、駆動源としての電磁モータ(
図5参照)64とを有しており、その電磁モータ64によって、Y軸スライダがY軸方向の任意の位置に移動可能とされている。また、X軸方向スライド機構は、X軸方向に移動可能にY軸スライダに設けられたX軸スライダ66と、駆動源としての電磁モータ(
図5参照)68とを有しており、その電磁モータ68によって、X軸スライダ66がX軸方向の任意の位置に移動可能とされている。そして、そのX軸スライダ66に装着ヘッド28が取り付けられることで、装着ヘッド28は、移動装置30によって、フレーム部20上の任意の位置に移動可能とされている。なお、装着ヘッド28は、X軸スライダ66にワンタッチで着脱可能とされており、種類の異なる作業ヘッド、例えば、ディスペンサヘッド等に変更することが可能とされている。
【0028】
また、供給装置32は、ベースとしてのフレーム部20の前方側の端部に配設されており、フィーダ型の供給装置とされている。供給装置32は、電子部品がテーピング化されたテープ化部品(
図2参照)70をリール72に巻回させた状態で収容する複数のテープフィーダ74と、それら複数のテープフィーダ74の各々に収容されているテープ化部品70を送り出す複数の送出装置(
図5参照)75とを有しており、テープ化部品70から電子部品を装着ヘッド28への供給位置に順次供給する構造とされている。
【0029】
テープ化部品70は、
図2に示すように、多数の収容凹部78および送り穴80が等ピッチで形成されたキャリアテープ82と、収容凹部78に収容される電子部品84と、キャリアテープ82の電子部品84が収容された収容凹部78を覆うトップカバーテープ86とから構成されている。一方、テープフィーダ74は、
図3に示すように、そのテープ化部品70が巻回されるリール72を保持するリール保持部88と、そのリール72から引き出されたテープ化部品70が上端面に延在させられるフィーダ本体90とから構成されている。
【0030】
フィーダ本体90内部には、
図4に示すように、テープ化部品70のキャリアテープ82に形成された送り穴80に係合するスプロケット92が内蔵されており、そのスプロケット92が回転させられることで、キャリアテープ82にトップカバーテープ86が貼着された状態のテープ化部品70が、フィーダ本体90の上端面において、リール72から離間する方向に送り出される。そして、剥離装置(図示省略)によって、キャリアテープ82からトップカバーテープ86が剥ぎ取られることで、フィーダ本体90の上端面の先端部において、電子部品84が収容された収容凹部78が順次解放され、その解放された収容凹部78から電子部品84が吸着ノズル50によって取り出される。
【0031】
また、テープフィーダ74は、フレーム部20の前方側の端部に固定的に設けられたテープフィーダ装着台(以下、「装着台」と略す場合がある)100に着脱可能とされている。装着台100は、フレーム部20の上面に設けられたスライド部102と、そのスライド部102の搬送装置26に近い側の端部に立設された立設面部106とから構成されている。スライド部102には、Y軸方向に延びるように複数のスライド溝108が形成されており、それら複数のスライド溝108の各々に、テープフィーダ74のフィーダ本体90の下縁部を嵌合させた状態でスライドさせることが可能とされている。そして、フィーダ本体90の下縁部を嵌合させた状態で立設面部106に接近させる方向にスライドさせることで、フィーダ本体90のテープ化部品70の送り出し方向である送出方向の側の側壁面110が立設面部106に取り付けられる。これにより、テープフィーダ74が装着台100に装着される。
【0032】
その立設面部106には、上記複数のスライド溝108に対応して、複数のコネクタ接続部112が設けられている。一方、立設面部106に取り付けられるテープフィーダ74の側壁面110には、コネクタ114が設けられたおり、テープフィーダ74の側壁面110が立設面部106に取り付けられた際に、コネクタ114がコネクタ接続部112に接続されるようになっている。また、テープフィーダ74の側壁面110には、コネクタ114を上下方向に挟むように1対の立設ピン116が設けられており、装着台100の立設面部106のコネクタ接続部112を上下方向に挟むように形成された1対の嵌合穴118に嵌合されるようになっている。
【0033】
また、装着台100の上部には、
図4に示すように、カバー120が開閉可能に設けられている。カバー120は、装着機16のビーム部22の前方側の端部に、X軸方向に延びる軸線まわりに回動可能に取り付けられており、装着台100を覆う閉位置と、装着台100を開放する開位置との間で回動可能とされている。装着台100にテープフィーダ74が装着された状態で、カバー120が閉じられると、その装着されているテープフィーダ74のフィーダ本体90がカバー120によって覆われるようになっている。
【0034】
そのカバー120の下端部には、3個の表示ランプ122(図では1個のみ示されている)が設けられた表示部124が取り付けられており、装着台100にテープフィーダ74が装着された状態で、カバー120が閉じられると、その表示部124がフィーダ本体90の上方に位置するようになっている。なお、表示部124は、複数のスライド溝108に対応して、複数設けられており、それら複数の表示部124の表示ランプ122は、テープフィーダ74を装着台100に装着する際に点灯され、複数のスライド溝108のいずれにテープフィーダ74を装着すべきかを案内するものとして使用される。
【0035】
また、装着機16は、マークカメラ(
図5参照)130およびパーツカメラ(
図1、5参照)132を備えている。マークカメラ130は、下方を向いた状態でX軸スライダ66の下面に固定されており、移動装置30によって移動させられることで、回路基板の表面を任意の位置において撮像することが可能となっている。一方、パーツカメラ132は、上を向いた状態でフレーム部20の搬送装置26と供給装置32との間に設けられており、装着ヘッド28の吸着ノズル50によって吸着保持された電子部品を撮像することが可能となっている。マークカメラ130によって得られた画像データおよび、パーツカメラ132によって得られた画像データは、画像処理装置134(
図5参照)において処理され、回路基板に関する情報、基板保持装置46による回路基板の保持位置誤差、吸着ノズル50による電子部品の保持位置誤差等が取得される。
【0036】
さらに、装着機16は、
図5に示すように、制御装置140を備えている。制御装置140は、CPU、ROM、RAM等を備えたコンピュータを主体とするコントローラ142と、上記電磁モータ44、64、68、基板保持装置46、正負圧供給装置52、ノズル昇降装置54、ノズル自転装置56、送出装置75の各々に対応する複数の駆動回路144と、複数の表示部124に設けられた複数の表示ランプ122の各々に対応する複数の制御回路146とを備えている。コントローラ142には、各駆動回路144を介して搬送装置、移動装置等の駆動源が接続されており、搬送装置、移動装置等の作動を制御することが可能とされている。また、コントローラ142には、各制御回路146を介して複数の表示ランプ122に接続されており、それら複数の表示ランプ122の各々を制御可能に点灯することが可能とされている。また、複数の表示部124には図示しない各種のスイッチが設けられる場合もあり、各制御回路146に対してスイッチ入力に伴う各種の制御信号が送られる。さらに、コントローラ142には、マークカメラ130およびパーツカメラ132によって得られた画像データを処理する画像処理装置134が接続されている。
【0037】
装着機16では、上述した構成によって、搬送装置26に保持された回路基板に対して、装着ヘッド28によって電子部品の装着作業を行うことが可能とされている。具体的に説明すれば、まず、搬送装置26によって、回路基板を装着作業位置まで搬送するとともに、その位置において回路基板を固定的に保持する。次に、移動装置30によって、装着ヘッド28を回路基板上に移動させ、マークカメラ130によって、回路基板を撮像する。その撮像により回路基板の種類、搬送装置26による回路基板の保持位置誤差が取得される。その取得された回路基板の種類に応じた電子部品を、供給装置32のテープフィーダ74によって供給し、その電子部品の供給位置に、装着ヘッド28を移動装置30によって移動させる。これにより、装着ヘッド28の吸着ノズル50によって電子部品が吸着保持される。
【0038】
続いて、電子部品を保持した状態の装着ヘッド28を、移動装置30によってパーツカメラ132上に移動させ、パーツカメラ132によって、装着ヘッド28に保持された電子部品を撮像する。その撮像により電子部品の保持位置誤差が取得される。そして、移動装置30によって、装着ヘッド28を回路基板上の装着位置に移動させ、装着ヘッド28によって、回路基板および電子部品の保持位置誤差に基づいて装着ノズル50を自転させた後に、電子部品が装着される。
【0039】
さて、本願の多重化通信システムは、上記の電子部品装着装置10に例示される電子部品装着装置や電子部品の実装装置、あるいはその他の様々な製造ラインにおいて稼働する自動機などに適用することが可能なシステムである。上述したように、電子部品装着装置10では、制御装置140から、各種の電磁モータ44、64、68やその他の可動装置および表示ランプ122に対して、各種のデータが送信されこれらの機器が制御される。また、制御装置140は、マークカメラ130やパーツカメラ132、各種の電磁モータ44、64、68やその他の可動装置、および表示部124などからの図示しない各種のデータを受信して制御の用に供する。
【0040】
具体的には、制御装置140の各駆動回路144から動作指令データが各種の電磁モータ44、64、68やその他の可動装置に発せられ駆動制御が行われる。また、制御装置140の制御回路146から点灯制御データが表示ランプ122に発せられ点灯制御が行われる。一方、制御装置140には、マークカメラ130やパーツカメラ132から画像データが受信され、各種の電磁モータ44、64、68やその他の可動装置からトルク情報や位置情報等の機器情報データが受信され、各機器に備えられるセンサやスイッチなど(不図示)から各種の入力データが受信される。
【0041】
以下の実施形態では、こうした様々なデータの通信が行われる稼働状態の電子部品装着装置10において、データ通信の際に、伝送路のビットエラーレート(以下、BERと略記する。)を測定する疑似ランダム符号(以下、PRBS信号と略記する。ここで、PRBSとは、Pseudo-Random Binary Sequenceを表す略記号である。)を合わせて送信するデータ伝送に適用して好適な多重化通信システム、送信装置、および受信装置について説明する。
【0042】
図6は、送信側に備えられる装置を示すブロック図である。稼働状態の電子部品装着装置10において必要とされる実データD1、D2、・・・、Dnに加えて、BER測定のためのPRBS信号PRBS1を生成して実データD1、D2、・・・、Dnと共に多重化して送信する機能を奏する制御部分である。
【0043】
実データD1、D2、・・・、Dnは入力バッファB1を介して後述する多重化部B11に送られる。ここで、実データD1、D2、・・・、Dnとは以下のデータである。送信側が制御装置140である場合には、例えば、電磁モータ44、64、68やその他の可動装置を駆動制御する動作指令データであり、表示ランプ122を点灯制御する点灯制御データである。送信側が制御装置140ではない場合には、マークカメラ130やパーツカメラ132から出力される画像データであり、電磁モータ44、64、68やその他の可動装置から発せられる各種の機器情報データであり、各機器に備えられるセンサやスイッチなど(不図示)から各種の入力データである。
【0044】
送信側にはBER測定のために、更に、PRBS複製部B3、トリガ複製部B5、PRBSジェネレータB7、記憶部B9、および多重化部B11が備えられている。
【0045】
トリガ複製部B5は外部トリガ信号TR(X)に応じて、PRBSジェネレータB7を起動するとともに、外部トリガ信号TR(X)を複製して2つのトリガ信号Tr1(X)、Tr2(X)を生成する。ここで、トリガ信号は、BER測定開始と測定終了のそれぞれのタイミングで発せられる。以下の説明では、トリガ信号について、BER測定開始を示す場合にはXを「S」と表記し、BER測定終了を示す場合にはXを「E」と表記する。また、何れかを特定しない場合は表記を「X」とする。
【0046】
PRBSジェネレータB7は、BER測定開始の外部トリガ信号TR(S)に応じて、記憶部B9に格納されている初期値を読出しPRBS信号PRBS1の生成が開始される。尚、生成されるPRBS信号PRBS1は、生成終了を指示する外部トリガ信号TR(E)が入力されるまで継続される。生成されたPRBS信号PRBS1はPRBS複製部B3に送られ複製される。
図6では3重に複製される場合を例示する。生成された3重のPRBS信号PRBS1、PRBS2、PRBS3は多重化部B11に送られる。
【0047】
一方、トリガ複製部B5では、外部トリガTR(X)を2重に複製してトリガ信号Tr1(X)、Tr2(X)を生成する。生成されたトリガ信号Tr1(X)、Tr2(X)は多重化部B11に送られる。
【0048】
多重化部B11は、入力された実データD1、D2、・・・、Dn、PRBS信号PRBS1、PRBS2、PRBS3、およびトリガ信号Tr1(X)、Tr2(X)を多重化する。多重化された多重化データ列は、誤り訂正符号化部B13において誤り訂正符号が付加された上で通信トランシーバB15により送信される。
【0049】
図7は、受信側に備えられる装置を示すブロック図である。通信トランシーバB21により受信された多重化データ列は、誤り訂正復号化部B23により誤りの検出および訂正が行われる。
【0050】
受信側にはBER測定のために、更に、多重化復元部B25、トリガ検出部B27、PRBSジェネレータB29、記憶部B31、BER測定器B33、およびBER判定部B35が備えられている。
【0051】
誤り訂正された多重化データ列は多重化複合部B25により復元され、個々の実データD1、D2、・・・、Dnと、PRBS信号PRBS1、PRBS2、PRBS3、およびトリガ信号Tr1(X)、Tr2(X)に分離される。このうち、実データD1、D2、・・・、Dnは、そのまま稼働状態にある電子部品装着装置10の各種の機器に転送される。これにより、稼働状態は継続される。
【0052】
また、トリガ信号Tr1(X)、Tr2(X)はトリガ検出部B27に入力される。トリガ検出部B27では、2重に複製されたトリガ信号Tr1(X)、Tr2(X)が共に入力されることに応じてBER測定のためのPRBS信号PRBS1、PRBS2、PRBS3を受信したものと判断することができる。これにより、伝送中に発生するビットエラーなどによりデータ値が反転してしまい、本来のトリガ信号ではない信号をトリガ信号であると誤認識してBER測定の開始・終了がされてしまうことを防止することができる。
【0053】
トリガ信号Tr1(X)、Tr2(X)に応じて生成されるトリガ信号Tr(X)は、PRBSジェネレータB29およびBER測定器B33に入力される。PRBSジェネレータB29はPRBSジェネレータB7と同じ構成を有している。また、記憶部B31に格納されている初期値は記憶部B9に格納されている初期値と同じである。したがって、トリガ信号Tr(S)に応じて、PRBSジェネレータB7により生成されたPRBS信号PRBS1と同一のPRBS信号PRBS1を生成する。尚、生成されるPRBS信号PRBS1は、生成終了を指示するトリガ信号Tr(E)が入力されるまで継続される。
【0054】
PRBSジェネレータB29により生成されたPRBS信号PRBS1はBER測定器B33に送られる。BER測定器B33では、PRBSジェネレータB29により生成されたPRBS信号PRBS1と受信したPRBS信号PRBS1、PRBS2、PRBS3の各々とが比較され、BER測定が行われる。受信したPRBS信号PRBS1、PRBS2、PRBS3のビット列のうちPRBSジェネレータB29により生成されたPRBS信号PRBS1とは異なるビット数を計測してBERを測定する。
【0055】
BER測定器B33において測定されたBERの測定値は、BER判定部B35において、記憶部B31に格納されている規定値と比較される。これにより、伝送品質として許容できる値か否かの判定が行われ、判定結果が出力される。BER判定部B35から出力される判定結果は、表示ランプ、表示板、表示モニタなどの表示装置により表示される。
【0056】
図8には、PRBSジェネレータB7、B29の一例を示す回路図である。PRBS信号はITU−Tの標準規格により定められているビット列であり、ビット列の長短により幾つかの規格が制定されている。
図8に示す回路図は、(29−1)タイプのビット列を生成するジェネレータである。9つのD型ラッチ1DLないし9DLを直列に連結してシフトレジスタを構成し、5段目のD型ラッチ5DLと9段目のD型ラッチ9DLとを排他的論理和ゲートXORに入力する。排他的論理和ゲートXORの出力信号は1段目のD型ラッチ1DLにフィードバックされる。起動時、格段のD型ラッチ1DLないし9DLに初期値を設定した後、クロック信号CLKに応じてシフト動作が継続される。サイクルごとに更新される9段目のD型ラッチ9DLの出力信号OUTがPRBS信号として出力される。この時出力されるPRBS信号は、(29−1)タイプとして規定されているビット列となる。
【0057】
図9は、本実施形態におけるデータ処理の流れを模式的に示した図である。本実施形態では、電子部品装着装置10が稼働状態にあることを前提として、稼働状態において伝送路のBER測定を行なうものである。そのため、動作指令データ、点灯制御データ、画像データ、機器情報データ、入力データ等の電子部品装着装置10の稼働状態において伝送される各種のデータ(機器データ)である実データD1、D2、・・・、Dnに加えて、BER測定のためのPRBS信号PRBS1、および測定開始・終了を示す外部トリガ信号TR(X)に基づいて生成されるトリガ信号Tr1(X)、Tr2(X)が多重化されて送信される。
【0058】
送信に当たって、PRBS信号PRBS1および外部トリガ信号TR(X)は多重に複製される。本実施形態では、PRBS信号PRBS1は3重に複製されてPRBS信号PRBS1、PRBS2、PRBS3が生成される。また、外部トリガ信号TR(X)は、2重に複製されてトリガ信号Tr1(X)、Tr2(X)が生成される。
【0059】
実データD1、D2、・・・、Dn、3重に複製されたPRBS信号PRBS1、PRBS2、PRBS3、および2重に複製されたトリガ信号Tr1(X)、Tr2(X)が、多重化されて伝送路を伝搬して通信される。伝送中のPRBS信号は3重に複製されたPRBS信号PRBS1、PRBS2、PRBS3である。このため、BER測定を3重に行なうことができ、より精度の高いBER測定ができる。また、1単位の多重化データ列に3重のBER測定を埋め込むことができ、BER測定時間の短縮を図ることができる。また、伝送中のトリガ信号は2重に複製されたトリガ信号Tr1(X)、Tr2(X)である。トリガ信号が2重化されているので、伝送中のビットエラー等により本来のトリガ信号ではない信号をトリガ信号と誤認識するおそれが低減され、トリガタイミングを確実に送信することができる。
【0060】
受信側では、多重化データ列が複合され個々のデータに分離される、実データD1、D2、・・・、Dnは各機器に転送され通常の稼働状態での動作、制御が継続して行われる。一方、電子部品装着装置10の通常の稼働状態での動作、制御とは独立して、トリガ信号Tr1(X)、Tr2(X)により定められる測定開始・終了のタイミングに合わせて、3重に複製された各々のPRBS信号PRBS1、PRBS2、PRBS3に対してBER測定が行われる。
【0061】
以上詳細に説明したように、本実施形態によれば、送信側にあるPRBSジェネレータB7で生成したPRBS信号PRBS1を実データD1、D2、・・・、Dnと共に多重化して送信する。受信側では、実データD1、D2、・・・、Dnに伴う機器の通常の稼働状態に影響を与えることなく、BER測定器B33においてBERを測定することができる。この場合、送信側のPRBSジェネレータB7と受信側のPRBSジェネレータB29とは同一の構成を有しており、各記憶部B7、B31に格納されている初期値も同一であるため、両者から生成されるPRBS信号PRBS1は同じビット列となる。これにより、BER測定器B33では、伝送途中で発生したビットエラーを確認することができ、BERを測定することができる。
【0062】
データ伝送における伝送路でのビットエラーを、専用の測定装置を備える必要なく、しかも、電子部品装着装置10の通常の稼働状態において測定することができる。実稼働状態でBERを測定することができ、実稼働状態での伝送路の伝送品質を精度よく把握することができる。また、稼働中の伝送品質を把握することができ、システムの稼働信頼性を高めることができる。
【0063】
また、PRBS信号PRBS1を多重に複製して送信することができるので、PRBSジェネレータB7において1つのPRBS信号PRBS1を生成するだけで、多重にBER測定を行なうことができ、1回の多重化データ列の送信で実行できるBER測定の回数を増やすことができる。BER測定の1回当りの測定時間を短縮することができると共に、トータルの測定精度を向上させることができる。
【0064】
また、外部トリガ信号TR(X)が多重に複製されて伝送されるので、伝送中においてビットエラーにより本来のトリガ信号ではない信号がトリガ信号として誤認識されることを防止することができる。
【0065】
ここで、実データD1、D2、・・・、Dnは送信データの一例であり、PRBS3信号PRBS1は乱数ビット列および比較乱数ビット列の一例である。また、PRBSジェネレータB7は送信側乱数発生器の一例であり、PRBSジェネレータB29は受信側乱数発生器の一例である。また、多重化部B11は多重化部の一例であり、多重化復元部B25は復元部の一例である。また、BER測定器B33はビットエラーレート測定器の一例である。また、多重化データ列において実データD1、D2、・・・、Dnが配列される領域は多重化データ列の第1データ領域の一例であり、多重化データ列においてPRBS信号PRBS1、PRBS2、PRBS3が配列される領域は多重化データ列の第2データ領域の一例である。
【0066】
尚、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内での種々の改良、変更が可能であることは言うまでもない。
例えば、本実施形態では、PRBS信号PRBS1の複製数を3重とし、外部トリガ信号TR(X)の複製数を2重として説明したが、本願はこれに限定されるものではない。更に多重に複製することができることは言うまでもない。
また、複製されるPRBS信号およびトリガ信号は同一のデータである必要はない。複製と共にデータの少なくとも一部のビット値を変更するように構成してもよい。この場合、受信側においてあらかじめ変更のルールを規定しておけば、受信側においても問題なくBER測定を行なうことができる。
また、PRBS信号PRBS1の送信を実データD1、D2、・・・、Dnの送信と共に多重化して送信するものとして説明したが、本願はこれに限られない。実データの送信がない状態でPRBS信号を送信するように設定することも可能である。