(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
水の浄化装置、排ガスの浄化装置、化学反応用触媒の担体等、各種の流体を処理する装置にセラミックス等の多孔質体フィルタが用いられている。
【0003】
ビルや工場内で使用する循環水の浄化設備や、生物処理された汚水の浄化設備に中空糸膜や平膜等の有機性の濾過膜が多用されているが、寿命が短いという問題があり、必要に応じてこれらに比較して十分に寿命が長いセラミックス等の多孔質体フィルタでなる膜エレメントが用いられる場合がある。
【0004】
このような例として、特許文献1には、隔壁内における濾液の流動抵抗を小さく抑えた高濾過面積のセラミックフィルタとして、ハニカム構造体のセルからセル壁を介して離隔して成り、ハニカム構造体の外部に連通する連通空隙を有するモノリス型セラミックフィルタが提案されている。
【0005】
特許文献2には、背圧を小さくし、多孔の表面積を有効に利用することを目的とする供給原料を変更する装置が提案されている。即ち、該装置がその中に供給原料を通過させる構造物からなり、該構造物が、押出一体構造物及び組込構造物からなる群より選択され、内側区域、外側区域、縦軸、及び該縦軸に沿って延在する2組の開放端通路を定義する壁からなり、該2組の通路が、互いに異なる断面形状または寸法を有し、一方の組の各々の通路が、他方の組の少なくとも1つの通路か、または該構造物の外部に隣接し、該構造物が組込構造物である場合には、少なくともいくつかの通路が円弧形状の断面を有することを特徴とする装置である。
【0006】
上述した従来の多孔質体フィルタを用いた膜エレメントは、混練されたセラミックス材料を押出し成形することにより製造されるものであったため、大型で長尺の膜エレメントを成形できるという良さがあるものの、歩留まりが悪く生産性が上がらないという問題があった。
【0007】
押出し成形された成形品は、含水率が比較的高いために、保形性の観点等から押出成形後に乾燥工程を経なければ焼成工程を実行することができず、最終の多孔質体フィルタを得るまでの成形工程、乾燥工程、焼成工程の各段階で変形や割れが生じても焼成後でないと不良品であるか否かの判別ができないという理由による。さらに、大型の多孔質体フィルタを製造するための専用の押出成形装置に対する設備投資額が嵩むという問題もある。
【0008】
そこで、特許文献3には、所定の開孔セルを備え、所定厚みのハニカム状セラミックモジュールを複数、開孔セルの軸方向が連通するように、開孔セルの軸方向に積層して所定厚みの前記ハニカム状セラミックモジュールを複数配設して成るハニカム状セラミック構造体が提案されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、特許文献3に記載された構造体であっても、上述の問題が効果的に解消されるものではなく、さらに、押出成形された所定厚みのハニカム状セラミックモジュールを積層するための焼成工程を実行する前に、個々のハニカム状セラミックモジュールを仮焼成して保形性を確保しなければならず、製造上手間が掛かる二度の焼成工程が必要になるという問題があった。
【0011】
さらに、特許文献3に記載された構造体には、特許文献1に記載されたような、外部に連通する連通空隙が形成されていないため、モジュールの外周面から離れた位置の開孔セルに供給された被処理流体に大きな流動抵抗がかかり、濾過効率が低下するという問題もあった。
【0012】
さらには、押出成形法では、押出方向に垂直な方向の加工が困難なため、そのような必要性がある場合には、仮焼成した後に機械加工工程を経なければならないという問題もあった。
【0013】
本発明の目的は、製品歩留まりを向上させるとともに製造工程を簡素化して、生産性がよく、且つ、濾過流体の流動抵抗が小さい多孔質
体、多孔質体の製造方法、及び多孔質接合体の製造方法を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上述の目的を達成するため、本発明による多孔質体の第一の特徴構成は、特許請求の範囲の書類の請求項1に記載した通り、一対の対向面間に貫通し被処理流体を案内する複数本の流体通流孔
と、少なくとも一部が閉塞され側面で開口するように形成されたスリットとが形成されている多孔質体であって、
前記スリットは、前記対向面の少なくとも一方の面で開口し、前記側面の開口と前記一方の面での開口とが一体で形成されている点にある。
【0015】
上述の構成によれば、流体通流孔に圧入された被処理流体が多孔質体で濾過され、固体が分離された濾過流体が多孔質体の細孔を経由してスリットに流出する。多孔質体の細孔に流れる濾過流体には大きな流動抵抗が働くが、各流体通流孔の近傍にスリットが形成されているため、流動抵抗が大きくなる前にスリットに流出するようになり、濾過流体の流速の低下を来たすことなく効率的に濾過できるようになる。
そして、スリットは、対向面の少なくとも一方の面で開口し、側面の開口と一方の面での開口とが一体で形成されているので、製造工程が簡素化でき、例えば流体通流孔を形成した多孔質体に後から機械加工するような手間が省けるようになる。
【0016】
同第二の特徴構成は、同請求項2に記載した通り、上述の第一の特徴構成に加えて、
前記スリットは、互いに交差する方向に延びるように複数形成され、前記スリットの延出方向に沿って他のスリットと交差する交差領域で連通することがないように閉塞されている点にある。
【0017】
濾過流体の流速の低下を来たすことなく効率的に濾過しながらも、各スリットの交差領域を閉塞することにより多孔質体の強度を確保することができるようになる。
【0018】
同第三の特徴構成は、同請求項3に記載した通り、上述の第一または第二の特徴構成に加えて、
前記スリットは、少なくとも一部が前記対向面の一方の面で開口され、残りが前記対向面の他方の面で開口されている点にある。
【0019】
各対向面で多孔質体の強度を確保することで強度バランスを保った多孔質体を得ることができる。
【0020】
同第四の特徴構成は、同請求項4に記載した通り、
上述の第一または第二の特徴構成に加えて、前記スリットは、前記対向面間の中間位置で閉塞され、両対向面で開口されている点にある。
【0021】
本発明による多孔質体の製造方法の第一の特徴構成は、同請求項
5に記載した通り、セラミック粒状体をダイスに充填してプレス成形することにより、一対の対向面間を貫通する複数本の流体通流孔
と、少なくとも一部が閉塞され側面で開口するように形成されたスリットと、を備えた多孔質体を得る多孔質体の製造方法
であって、前記スリットは、前記対向面の少なくとも一方の面で開口し、前記側面の開口と前記一方の面での開口とが一体で形成されている多孔質体を得る点にある。
【0022】
プレス成形法で成形された多孔質体は、含水率を低く抑えることができるため、直ちに接合工程を実行することができる。従来の押出成形法で成形される場合には、比較的含水率が高い多孔質体となるため、保形性のために乾燥工程、仮焼成工程が必要になるが、本発明によれば、直ちに接合工程を実行することができるため、製造工程を簡素化できるようになる。
【0023】
また、押出成形法によれば、少なくとも一対の対向面の一方の面で閉塞され側面で開口するようなスリットを形成するためには、成形後に仮焼成した多孔質体に機械加工してスリットを形成する必要があるが、
スリットは、対向面の少なくとも一方の面で開口し、側面の開口と一方の面での開口とが一体で形成されているので、プレス成形法によれば、このようなスリットであっても、成形時に同時に形成できるため、製造工程を一層簡素化することができる。
【0024】
本発明による多孔質接合体の製造方法の第一の特徴構成は、同請求項
6に記載した通り、各流体通流孔が連通するように配列した複数の多孔質体の対向面に
シート状の接合材を介在させて焼成して、複数の多孔質体を一体に接合する点にある。
【発明の効果】
【0025】
以上説明した通り、本発明によれば、製品歩留まりを向上させるとともに製造工程を簡素化して、生産性がよく、且つ、濾過流体の流動抵抗が小さい多孔質
体、多孔質体の製造方法、及び多孔質接合体の製造方法を提供することができるようになった。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下に本発明による多孔質
体、多孔質体の製造方法、及び多孔質接合体の製造方法を説明する。
【0028】
図1には、例えば上水用の水処理装置に用いられる膜モジュール1が示されている。尚、当該膜モジュール1は、上水用に限らず下水、産業廃水等の水処理や食品工業等の固液分離、有用物の回収等にも使用できる。
【0029】
水処理装置には、被処理水に含まれる微小な汚物等を除去するために、当該膜モジュール1が一から数千個組み込まれる。各膜モジュール1は、外形が略直方体の複数本のセラミック製の膜エレメント2と、膜エレメント2を収容する樹脂製のケース7を備えている。
【0030】
ケース7には、膜エレメント2に被処理流体を供給する流体供給部(以下、「給水部」と記す。)8と、流体排出部(以下、「排水部」と記す。)9と、膜エレメント2で濾過された濾過流体を排出する濾過流体排出部(以下、「濾過水排出部」と記す。)10が設けられている。給水部8及び排水部9にはそれぞれ流路を開閉するバルブ8b,9bが設置されている。
【0031】
ケース7内部に、縦横に3本ずつ合計9本の膜エレメント2が並設され、各膜エレメント2の一端部にヘッダ8aを介して給水部8が接続され、他端部にヘッダ9aを介して排水部9が接続されている。膜エレメント2の周壁から滲みだし、ケース7に溜った濾過流体が濾過水排出部10から外部に排出される。
【0032】
図2には、ブロック状の多孔質体6が複数段接合された膜エレメント2が示され、
図3(a),(b)には、ブロック状の多孔質体6が示されている。
【0033】
各多孔質体6の一対の対向面6a,6b間には、被処理水を案内する複数本の流体通流孔3が高さ方向に貫通形成され、各流体通流孔3の内周面には濾過膜層4が形成されている。
【0034】
多孔質体6には、さらに、複数本の流体通流孔3を均等に分散させるように区画形成する複数のスリット5が、流体通流孔3に沿って形成されている。各スリット5は少なくとも対向面6a,6bの一方の面6aで閉塞され、側面6cで開口するように形成されている。
【0035】
多孔質体6は縦が約70mm、横が約70mm、高さが約40mmに形成され、縦70mm×横70mmの平面に、約2mm径の353本の流体通流孔3が高さ方向に沿って形成されている。中心部の流体通流孔3を除いて、中心から横方向に延びるように形成された2本のスリット5と、当該2本のスリット5と直交するように縦方向に延びるように形成された14本のスリット5によって、流体通流孔3が22本ずつの16ブロックに区画されている。端面6aとスリット5との間の厚さは約3mmである。
【0036】
膜エレメント2は、各多孔質体6に形成された流体通流孔3同士が連通するように、複数の多孔質体6が接合されて構成される。本実施形態では、高さ方向に沿って9個の多孔質体6が接合されて膜エレメント2が構成されている。
【0037】
図2では、スリット5が閉塞された面6aが非処理流体の流入口側を向くように、全ての多孔質体6が同じ配列姿勢で配置されているが、少なくとも最後段の多孔質体6のスリット5が閉塞された面6aが反転するように、他の多孔質体6の配列姿勢と反対姿勢で配置すれば、水処理装置を上下反転して使用することが可能になる。
【0038】
流体通流孔3の内周面に形成された濾過膜層4には、約0.1μm程度の多数の細孔が形成され、その層厚が約20μm程度に形成されている。
【0039】
図5(a)に示すように、給水部8のバルブ8bを開放し、バルブ9bを閉塞した状態で、給水部8から被処理水を加圧供給すると、被処理水が流体通流孔3に案内され、その内周面の濾過膜層4で濾過される。濾過膜層4を透過した濾過水は、多孔質体6の内部の微小流路を辿って多孔質体6の側面6c及びスリット5の表面から滲みだしてケース7に溜り、濾過水排出部10から排出される。
【0040】
複数本のスリット5は、濾過膜層4で濾過され、多孔質体6の内部の微小流路を流れる濾過水に、大きな流動抵抗がかかって濾過速度が低下することを回避するために設けられている。複数本の流体通流孔3が均等に分散するように区画形成されているため、多孔質体6の内部の微小流路を流れる濾過水にかかる流動抵抗が全域で偏ることなく低減させることができ、これにより濾過速度が確保されるようになる。
【0041】
図5(b)に示すように、ある程度の期間、濾過処理が行なわれ、濾過膜層4に閉塞物質等が付着すると、濾過性能を回復させるために逆洗浄が行なわれる。逆洗浄では、給水部8のバルブ8bが閉塞され、排水部9のバルブ9bは開放された状態で濾過水排出部10から洗浄水が圧入され、濾過工程とは逆の経路に沿って濾過膜層4に到達した洗浄水が流体通流孔3から排水部9を介して排水される。その際、エアブローを併用してもよい。
【0042】
上述した多孔質体6は、スプレードライ法を用いて所定の粒径に造粒したムライト系のセラミック粒状体をプレス成形することにより得られたものであり、濾過膜層4は、球状アルミナを主材としたスラリーをコーティングして形成されたものである。
【0043】
以下、膜エレメント2の製造方法の一例を詳述する。
上述の膜エレメント2は、造粒工程と、成形工程と、接合工程と、膜形成工程を経て製造される。
【0044】
造粒工程では、数μmから数十μmのムライト(3Al
2O
3・2SiO
2)系セラミックスに水と有機バインダ等を添加してスラリー状のセラミックスを生成し、当該スラリー状のセラミックスをスプレで噴霧しながら乾燥させるスプレードライ法を用いて、100μm前後の粒径のセラミック粒状体に造粒する。
【0045】
成形工程では、スリット5に対応した複数本の突起が形成された下パンチに、流体通流孔3を形成するためのコアピンを立設し、セラミック造粒体をダイスに投入した後に上パンチを下パンチに向けて押圧して
図3(a),(b)に示した多孔質体6のベースを形成するプレス成形が実行される。
【0046】
図4に示すように、接合工程では、成形工程で得られた多孔質体6の対向面6a,6b間に、接合材となるシリカシート11を介在させて、各多孔質体6に形成された流体通流孔3同士が連通するように複数段積層した後に、約1時間、約1000〜1300℃程度の温度で焼成処理する。当該焼成処理によって各多孔質体6の対向面6a,6b同士がシリカを介して焼結接合され、多孔質接合体となる。尚、シリカシート11は、焼成工程で流体通流孔3にシリカが流れ込まないように、予め流体通流孔3に対応する部位が開口されている。
【0047】
多孔質体6の原材料としてムライト(3Al
2O
3・2SiO
2)系セラミックスを採用した例を示したが、これに限るものではなく、アルミナ(Al
2O
3)やコージュライト等、多孔質体が形成可能なセラミックスであれば適宜用いることができる。
【0048】
接合材としてシリカ(酸化ケイ素)以外に、母材であるセラミックスと焼結可能な材料であれば適当な種類のものを用いることも可能である。但し、母材であるセラミックスの焼結温度以下で焼結する材料が望ましい。さらに母材であるセラミックスの収縮率に近い収縮率の材料であればなお望ましい。
【0049】
プレス成形法で成形された多孔質体6は、比較的含水率を低く抑えることができるため、押出成形法で成形され、含水率が数%と高い多孔質体6で保形性のために必要とされる仮焼成を行なわずに、直ちに接合工程を実行することができるため、製造工程を簡素化できるようになる。
【0050】
また、押出成形法によれば、少なくとも一対の対向面6a,6bの一方の面6aで閉塞され側面6cで開口するようなスリット5を形成するためには、成形後に仮焼成した多孔質体6に機械加工してスリット5を形成する必要があるが、プレス成形法によれば、このようなスリット5であっても、成形時に同時に形成できるため、製造工程を一層簡素化することができる。
【0051】
尚、少なくともヘッダ8aに接続される多孔質体6の端面は、スリット5が形成されていない平坦な一方の対向面6aが配置され、当該対向面6aにも濾過膜層が形成されていることが好ましい。対向面6aに濾過膜層が形成されない場合には、端面6aを流体が通過しないように処理することが好ましい。例えば、焼成工程前に釉薬を塗布したり、焼成工程後に樹脂を塗布する等の処理が可能である。対向面6aの微小開口から濾過膜層4を介さずに流れ込んだ被処理水が濾過膜層4を通過した濾過水に混入することを回避するためである。
【0052】
膜成形工程では、粒径0.1μm〜1μmの球状アルミナに水とバインダを添加したスラリーを、接合した多孔質体6の流体通流孔3に一端側から圧入する等して流体通流孔3の内周面に塗布し、その後、約1時間、約1000〜1300℃程度の温度で焼成処理する。
【0053】
このようにして得られた膜エレメント2をケース7に収容することにより、膜モジュール1が製造される。
【0054】
つまり、膜エレメント2は、一対の対向面間に貫通し被処理流体を案内する複数本の流体通流孔3と、流体通流孔3に沿って少なくとも対向面の一方の面で閉塞され側面で開口するように形成されたスリット5とが、プレス成形法により形成された多孔質体6が、各多孔質体6に形成された流体通流孔3同士が連通するように複数段接合され、各流体通流孔3の内周面に濾過膜層4が形成されている。
【0055】
以下に、本発明による膜エレメント2を構成する多孔質体6の別実施形態について説明する。
【0056】
図6(a),(b)には、別実施形態によるブロック状の多孔質体6が示されている。各多孔質体6の一対の対向面6a,6b間には、被処理水を案内する複数本の流体通流孔3が高さ方向に貫通形成され、各流体通流孔3の内周面には濾過膜層4が形成されている。
【0057】
多孔質体6には、さらに、複数本の流体通流孔3を均等に分散させるように区画形成する複数のスリット5が、流体通流孔3に沿って形成されている。各スリット5は少なくとも対向面6a,6bの一方の面6aで閉塞され、側面6cで開口するように形成されている。
【0058】
多孔質体6は縦が約36mm、横が約40mm、高さが約40mmに形成され、縦36mm×横40mmの平面に、約3mm径の65本の流体通流孔3が高さ方向に沿って形成されている。中心部の流体通流孔3を除いて、中心から横方向に延びるように形成された2本のスリット5と、当該2本のスリット5と直交するように縦方向に延びるように形成された6本のスリット5によって、流体通流孔3が8本ずつの8ブロックに区画されている。端面6aとスリット5との間の厚さは約3mmである。
【0059】
図7(a),(b)に示すように、膜エレメント2は、
図6(a),(b)に示す各多孔質体6に形成された流体通流孔3同士が連通するように、複数の多孔質体6が接合されて構成される。本実施形態では、高さ方向に沿って9個の多孔質体6が接合されて膜エレメント2が構成されている。
【0060】
図7(a)では、スリット5が閉塞された面6aが非処理流体の流入口側を向くように、全ての多孔質体6が同じ配列姿勢で配置されているが、
図7(b)に示すように、少なくとも最後段の多孔質体6のスリット5が閉塞された面6aが反転するように、他の多孔質体6の配列姿勢と反対姿勢で配置すれば、水処理装置を上下反転して使用することが可能になる。
【0061】
尚、
図6(c)に示すように、各スリット5に、少なくとも対向面6a,6b間の何れかの位置で一部を閉塞する閉塞部5aが形成されていてもよい。スリット5の一部を閉塞する閉塞部5aによって、多孔質体6、特にスリット5及びその周辺部の保形性と十分な強度を確保することができるようになる。対向面6a,6bの一方の面が多孔質体で閉塞されていない場合には、被処理流体が直接スリット5に流入しないように、対向面6a,6bの一方の面に開口したスリット5の端部に目止め層を設ける必要がある。
【0062】
図8(a),(b)には、さらに、別実施形態によるブロック状の多孔質体6が示されている。多孔質体6には、約3mm径の65本の流体通流孔3が高さ方向に沿って形成され、中心部の流体通流孔3を除いて、中心から縦及び横方向に延びるように形成された4本のスリット5によって、流体通流孔3が16本ずつの4ブロックに区画された形状であってもよい。スリット5は、一方の対向面6aで閉塞され側面6c及び他方の対向面6bで開口するように形成されている。
【0063】
このような多孔質体6は、
図7(a),(b)に示す膜エレメント2と同様に、各多孔質体6に形成された流体通流孔3同士が連通するように、複数の多孔質体6が接合されて膜エレメントを構成する。
【0064】
図9(a),(b)には、さらに、別実施形態によるブロック状の多孔質体6が示されている。多孔質体6は、断面が方形の縦横面に約3mm径の65本の流体通流孔3が高さ方向に沿って形成され、中心部の流体通流孔3を除いて、中心から横方向に延びるように形成された2本のスリット5aと、中心から縦方向に延びるように形成された2本のスリット5bとによって、流体通流孔3が16本ずつの4ブロックに区画された形状であってもよい。
【0065】
スリット5aは、一方の対向面6aで閉塞され側面6c及び他方の対向面6bで開口するように形成され、スリット5bは、他方の対向面6bで閉塞され側面6c及び一方の対向面6aで開口するように形成されている。スリット5aが閉塞された対向面6aにはスリット5aに対応する位置にスリット5aより僅かに幅狭の突起5cが形成され、スリット5bが閉塞された対向面6bにはスリット5bに対応する位置にスリット5bより僅かに幅狭の突起5dが形成されている。
【0066】
図10に示すように、各多孔質体は、上段側の多孔質体6のスリット5aに下段側の多孔質体6の突起5cが嵌入するように配置され、下部の多孔質体6のスリット5bに上部の多孔質体6の突起5dが嵌入するように交互に配置されて膜エレメントを構成する。
【0067】
尚、
図9(c)に示すように、多孔質体6は、断面が方形の縦横面に約3mm径の65本の流体通流孔3が高さ方向に沿って形成され、中心部の流体通流孔3を除いて、中心から横方向に延びるように形成された4本のスリット5fによって、流体通流孔3が16本ずつの4ブロックに区画された形状であってもよい。
【0068】
スリット5fは、一方の対向面6aで閉塞され側面6c及び他方の対向面6bで開口するように形成されている。スリット5fが閉塞された対向面6aにはスリット5eに対応する位置にスリット5fより僅かに幅狭の突起5gが形成されている。
【0069】
このように構成された多孔質体は、上段側の多孔質体6のスリット5fに下段側の多孔質体6の突起5gが嵌入するように配置されて膜エレメントを構成する。
【0070】
図11に示すように、多孔質体6の一対の対向面6a,6b間には、被処理水を案内する14本の流体通流孔3が高さ方向に貫通形成され、各流体通流孔3の内周面には濾過膜層4が形成され、複数本の流体通流孔3を分散させるように区画形成する4本の濾過流体流出孔5が、多孔質体6の高さ方向に貫通形成されたものと、多孔質体6の一対の対向面6a,6b間には、被処理水を案内する14本の流体通流孔3が高さ方向に貫通形成され、各流体通流孔3の内周面には濾過膜層4が形成され、複数本の流体通流孔3を分散させるように区画形成する4本の濾過流体流出孔5と、濾過流体流出孔5と連通し側面6cで開口するようなスリット5eとが多孔質体6の高さ方向に貫通形成されたものを、各多孔質体6に形成された流体通流孔3同士が連通するように複数段接合して構成してもよい。
【0071】
また、多孔質体6の一対の対向面6a,6b間には、被処理水を案内する14本の流体通流孔3が高さ方向に貫通形成され、各流体通流孔3の内周面には濾過膜層4が形成され、複数本の流体通流孔3を均等に分散させるように区画形成する4本の濾過流体流出孔5が、多孔質体6の高さ方向に貫通形成されたものだけを、各多孔質体6に形成された流体通流孔3同士が連通するように複数段接合して構成してもよい。
【0072】
この場合、被処理流体の流入側である最上段の多孔質体6の面6aでは、濾過流体流出孔5を塞いで被処理流体が直接流入しないように構成し、最下段の多孔質体6の面6bでは、流体通流孔3を塞いで被処理流体が直接濾過水排出部10へと流出しないように構成すればよい。
【0073】
以上、被処理流体が上水用の被処理水である場合を例に本発明による膜エレメント及び膜モジュールを説明したが、本発明による膜エレメント及び膜モジュールの用途は上水用に限るものではなく、下水や汚水等の浄化処理、排ガスの浄化処理等、様々な流体の浄化処理に用いることが可能である。
【0074】
尚、上述の何れの実施形態でも、多孔質体の一対の対向面間に貫通形成された各流体通流孔の端部に面取りを施してもよい。流体通流孔同士が連通するように多孔質体を接合する際に、流体通流孔に多少の位置ズレがあっても、面取り部によってズレが吸収されるので、高精度な位置決め工程が不要となり製造工程がより簡略化できる。
【0075】
また、上述の何れの実施形態でも、流体通流孔の内周面に濾過膜層を形成する構成について説明したが、濾過膜層の孔径や層厚は、被処理流体に含まれる固体の大きさに応じて適宜設定されるものである。また、流体通流孔の内周面に濾過膜層を形成せずに多孔質体を構成してもよい。
【0076】
また、上述の何れの実施形態でも、多孔質体をスプレードライ法を用いて所定の粒径に造粒したセラミック粒状体をプレス成形して得る構成について説明したが、多孔質体は、射出成形により形成することも可能である。但し、製造工程を簡素化できる点でプレス成形法を採用することが好ましい。
【0077】
また、膜エレメントのサイズや形状、及び膜モジュールを構成する膜エレメントの数等の具体的構成は上述した実施形態で説明した内容に限定されるものではなく、本発明による作用効果を奏する範囲において適宜変更設計可能であることはいうまでもない。