(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5909277
(24)【登録日】2016年4月1日
(45)【発行日】2016年4月26日
(54)【発明の名称】反射体及びそれを具備する発光装置
(51)【国際特許分類】
C08L 77/12 20060101AFI20160412BHJP
C08K 3/22 20060101ALI20160412BHJP
C08K 3/34 20060101ALI20160412BHJP
C08K 7/20 20060101ALI20160412BHJP
H01L 33/60 20100101ALI20160412BHJP
【FI】
C08L77/12
C08K3/22
C08K3/34
C08K7/20
H01L33/00 432
【請求項の数】7
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-510230(P2014-510230)
(86)(22)【出願日】2011年11月28日
(65)【公表番号】特表2014-516093(P2014-516093A)
(43)【公表日】2014年7月7日
(86)【国際出願番号】KR2011009103
(87)【国際公開番号】WO2012153900
(87)【国際公開日】20121115
【審査請求日】2014年11月26日
(31)【優先権主張番号】10-2011-0043071
(32)【優先日】2011年5月6日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】514274443
【氏名又は名称】深▲せん▼市沃特新材料股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】濱田 健司
(72)【発明者】
【氏名】リ,ユン・ウン
(72)【発明者】
【氏名】リ,ジン・キュ
(72)【発明者】
【氏名】オ,ヨン・テク
(72)【発明者】
【氏名】キム,マン・ジョン
【審査官】
渡辺 陽子
(56)【参考文献】
【文献】
特開2003−128782(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2003/0100701(US,A1)
【文献】
特開昭57−177020(JP,A)
【文献】
米国特許第04351917(US,A)
【文献】
特開2007−320996(JP,A)
【文献】
特開2010−235810(JP,A)
【文献】
特開2007−271834(JP,A)
【文献】
特表2008−544498(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L、C08G69、H01L33
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒドロキシ安息香酸から誘導された反復単位、ヒドロキシナフトエ酸から誘導された反復単位、及びアミノ安息香酸から誘導された反復単位を含むが、芳香族ジカルボン酸から誘導された反復単位を含まない全芳香族液晶ポリエステルアミド樹脂のコンパウンドを含
み、
前記全芳香族液晶ポリエステルアミド樹脂は、前記ヒドロキシ安息香酸から誘導された反復単位と、前記アミノ安息香酸から誘導された反復単位との総計65〜85モル部、及
び前記ヒドロキシナフトエ酸から誘導された反復単位15〜35モル部を含み、
前記全芳香族液晶ポリエステルアミド樹脂は、前記ヒドロキシ安息香酸から誘導された
反復単位50〜84.5モル部、前記アミノ安息香酸から誘導された反復単位0.5〜1
5モル部、及び前記ヒドロキシナフトエ酸から誘導された反復単位20〜35モル部を含み、
前記全芳香族液晶ポリエステルアミド樹脂のコンパウンドは、白色無機充填剤をさらに
含む反射体。
【請求項2】
前記ヒドロキシ安息香酸は、p−ヒドロキシ安息香酸、3−ヒドロキシ安息香酸、2−ヒドロキシ安息香酸、及びそれらの組み合わせからなる群から選択され、前記ヒドロキシ
ナフトエ酸は、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、2
−ヒドロキシ−1−ナフトエ酸、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、及びそれらの組み合
わせからなる群から選択され、前記アミノ安息香酸は、アントラニル酸、3−アミノ安息
香酸、4−アミノ安息香酸、及びそれらの組み合わせからなる群から選択されたことを特
徴とする請求項1に記載の反射体。
【請求項3】
前記白色無機充填剤は、酸化チタンを含むことを特徴とする請求項1に記載の反射体。
【請求項4】
前記白色無機充填剤の含量は、前記全芳香族液晶ポリエステルアミド樹脂コンパウンド
100重量部に対して、10ないし60重量部であることを特徴とする請求項1に記載の
反射体。
【請求項5】
前記全芳香族液晶ポリエステルアミド樹脂コンパウンドは、ガラスファイバ及び珪灰石
のうち少なくとも一つをさらに含むことを特徴とする請求項3に記載の反射体。
【請求項6】
請求項1ないし5のうち、いずれか1項に記載の反射体を具備する発光装置。
【請求項7】
発光ダイオード(LED)または有機ELディスプレイであることを特徴とする請求項
6に記載の発光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、反射体及びそれを具備する発光装置に係り、さらに詳細には、ヒドロキシ安息香酸から誘導された反復単位、ヒドロキシナフトエ酸から誘導された反復単位、及びアミノ安息香酸から誘導された反復単位を含むが、芳香族ジカルボン酸から誘導された反復単位を含まない全芳香族液晶ポリエステルアミド樹脂のコンパウンドを含む反射体及びそれを具備する発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
LED(light emitting diode)または有機EL(organic electroluminescence)ディスプレイ用の反射体のような各種反射体には、射出成形が容易であるポリアミド系樹脂が広く使用されている。しかし、かようなポリアミド系樹脂は、高電圧で作動するLEDなどの発光装置の光及び熱に長期間露出される場合には、変色したり、高分子分解が発生したりするため、反射体としての役割を正しく果たすことができず、発光装置の発光性能と寿命とを低下させるという問題点がある。
【0003】
反射体の新規材料として注目されている全芳香族液晶ポリエステル樹脂(LCP)は、耐熱性にすぐれ、微細成形が可能であるという長所がある。しかし、従来の全芳香族液晶ポリエステル樹脂は、射出時に、緻密な構造を有する成形品を形成することができず、成形品の表面に、クラックが発生するという問題が頻繁に発生し、既存のポリアミド系樹脂に比べて、初期反射率が低いという特性を示し、特に、信頼性評価の初期に、反射率が急激に低下するという現象が発生し、光及び熱に対する長期間の安定性が要求される内部または外部の照明やTV(television)用バックライトユニットに使用される発光体の反射体として使用される場合、画面の明暗や彩度が不安定になるという問題点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の一具現例は、ヒドロキシ安息香酸から誘導された反復単位、ヒドロキシナフトエ酸から誘導された反復単位、及びアミノ安息香酸から誘導された反復単位を含むが、芳香族ジカルボン酸から誘導された反復単位を含まない全芳香族液晶ポリエステルアミド樹脂のコンパウンドを含む反射体を提供するものである。
本発明の他の具現例は、前記反射体を具備する発光装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様は、ヒドロキシ安息香酸から誘導された反復単位、ヒドロキシナフトエ酸から誘導された反復単位、及びアミノ安息香酸から誘導された反復単位を含むが、芳香族ジカルボン酸から誘導された反復単位を含まない全芳香族液晶ポリエステルアミド樹脂のコンパウンドを含み、前記全芳香族液晶ポリエステルアミド樹脂のコンパウンドは、白色無機充填剤をさらに含む反射体を提供する。
【0006】
前記ヒドロキシ安息香酸は、p−ヒドロキシ安息香酸、3−ヒドロキシ安息香酸、2−ヒドロキシ安息香酸、及びそれらの組み合わせからなる群から選択されてもよい。
【0007】
前記ヒドロキシナフトエ酸は、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、2−ヒドロキシ−1−ナフトエ酸、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、及びそれらの組み合わせからなる群から選択されてもよい。
【0008】
前記アミノ安息香酸は、アントラニル酸、3−アミノ安息香酸、4−アミノ安息香酸、及びそれらの組み合わせからなる群から選択されてもよい。
【0009】
前記全芳香族液晶ポリエステルアミド樹脂は、前記ヒドロキシ安息香酸から誘導された反復単位と、前記アミノ安息香酸から誘導された反復単位との総計65〜85モル部、及び前記ヒドロキシナフトエ酸から誘導された反復単位15〜35モル部を含んでもよい。
【0010】
前記全芳香族液晶ポリエステルアミド樹脂は、前記ヒドロキシ安息香酸から誘導された反復単位50〜84.5モル部、前記アミノ安息香酸から誘導された反復単位0.5〜15モル部、及び前記ヒドロキシナフトエ酸から誘導された反復単位15〜35モル部を含んでもよい。
【0011】
前記白色無機充填剤は、酸化チタンを含んでもよい。
【0012】
前記白色無機充填剤の含量は、前記全芳香族液晶ポリエステルアミド樹脂コンパウンド100重量部に対して、10ないし60重量部であってもよい。
【0013】
前記全芳香族液晶ポリエステルアミド樹脂コンパウンドは、ガラスファイバ及び珪灰石のうち少なくとも一つをさらに含んでもよい。
【0014】
本発明の他の一態様は、前記反射体を具備する発光装置を提供する。
前記発光装置は、LED(light emitting diode)または有機ELディスプレイであってもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明の一具現例によれば、ヒドロキシ安息香酸から誘導された反復単位、ヒドロキシナフトエ酸から誘導された反復単位、及びアミノ安息香酸から誘導された反復単位を含むが、芳香族ジカルボン酸から誘導された反復単位を含まない全芳香族液晶ポリエステルアミド樹脂のコンパウンドを含むことにより、白色度が高く、初期反射率の低下現象が低減し、光と熱とによる変色が防止された反射体が提供される。
【0016】
本発明の他の具現例によれば、前記反射体を具備することにより、発光性能が向上して寿命が延長された発光装置が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一具現例による反射体について詳細に説明する。
【0018】
本明細書で、「反射体」とは、光の反射を利用して、LED(light emitting diode)または有機ELディスプレイ(organic electroluminescence display)のような発光装置から放出される光の輝度を調節する物体を指す。
【0019】
前記反射体は、ヒドロキシ安息香酸から誘導された反復単位、ヒドロキシナフトエ酸から誘導された反復単位、及びアミノ安息香酸から誘導された反復単位を含むが、芳香族ジカルボン酸から誘導された反復単位を含まない全芳香族液晶ポリエステルアミド樹脂のコンパウンドを含む。
【0020】
前記全芳香族液晶ポリエステルアミド樹脂のコンパウンドは、主原料である前記全芳香族液晶ポリエステルアミド樹脂が有する固有の特性により、光と熱とに長期間露出されたとしても変色が起こらず、それを含む反射体は、白色度が高く、耐久性にすぐれる。また、前記全芳香族液晶ポリエステルアミド樹脂のコンパウンドを含む反射体は、初期反射率の低下現象が低減する。また、前記反射体を具備する発光装置は、発光性能が長期間維持され、その寿命が延長される。
【0021】
前記全芳香族液晶ポリエステルアミド樹脂は、前記ヒドロキシ安息香酸から誘導された反復単位と、前記アミノ安息香酸から誘導された反復単位との総計65〜85モル部、及び前記ヒドロキシナフトエ酸から誘導された反復単位15〜35モル部を含んでもよい。前記ヒドロキシ安息香酸から誘導された反復単位と、前記アミノ安息香酸から誘導された反復単位との総含量、及び前記ヒドロキシナフトエ酸から誘導された反復単位の含量がそれぞれ前記範囲内であるならば、前記全芳香族液晶ポリエステルアミド樹脂は、製造が容易であり、反射体として使用するのに十分な白色度を有し、高温でも、高い耐変色性を維持し、高い物理的強度を有し、前記樹脂を含む樹脂コンパウンドは、射出時に、離型、折れ及び粉塵発生などが少なく、射出性にすぐれる。
【0022】
さらに具体的には、前記全芳香族液晶ポリエステルアミド樹脂は、前記ヒドロキシ安息香酸から誘導された反復単位50〜84.5モル部、前記アミノ安息香酸から誘導された反復単位0.5〜15モル部、及び前記ヒドロキシナフトエ酸から誘導された反復単位15〜35モル部を含んでもよい。前記ヒドロキシ安息香酸から誘導された反復単位、前記アミノ安息香酸から誘導された反復単位、及び前記ヒドロキシナフトエ酸から誘導された反復単位の含量が、それぞれ前記範囲内であるならば、前記全芳香族液晶ポリエステルアミド樹脂は、製造が容易であり、反射体として使用するのに、十分な白色度を有し、高温でも高い耐変色性を維持することができる。
【0023】
前記全芳香族液晶ポリエステルアミド樹脂コンパウンドの製造に使用される全芳香族液晶ポリエステルアミド樹脂は、下記段階を経て製造されもする:
(a)1種以上の単量体を溶融縮重合することにより、全芳香族液晶ポリエステルアミドプレポリマーを合成する段階;
(b)前記プレポリマーを固相重合することにより、全芳香族液晶ポリエステルアミド樹脂を合成する段階。
【0024】
前記(a)段階で使用される単量体は、p−ヒドロキシ安息香酸、3−ヒドロキシ安息香酸、2−ヒドロキシ安息香酸、及びそれらの組み合わせからなる群から選択されたヒドロキシ安息香酸;6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、2−ヒドロキシ−1−ナフトエ酸、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、及びそれらの組み合わせからなる群から選択されたヒドロキシナフトエ酸;及びアントラニル酸、3−アミノ安息香酸、4−アミノ安息香酸、及びそれらの組み合わせからなる群から選択されたアミノ安息香酸を含むが、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、テレフタル酸及びフタル酸のような芳香族ジカルボン酸を含まない。
【0025】
また、前記芳香族液晶ポリエステルアミドプレポリマーの合成段階には、反応促進のための触媒として、金属酢酸塩が追加して使用されもする。前記金属酢酸塩触媒は、酢酸マグネシウム、酢酸カリウム、酢酸カルシウム、酢酸亜鉛、酢酸マンガン、酢酸鉛、酢酸アンチモン及び酢酸コバルトからなる群から選択された少なくとも1種を含んでもよい。前記金属酢酸塩触媒の使用量は、例えば、前記単量体の総使用量100重量部を基準に、0.10重量部以下であってもよい。
【0026】
前記(a)段階の合成方法としては、溶融縮重合法または塊状縮重合法(bulk condensation polymerization)が使用されもする。また、前記(a)段階で、縮合反応を促進させるために、アシル化剤(特に、アセチル化剤)などの化学物質で前処理され、反応性が上昇した単量体(すなわち、アシル化された単量体)を使用することができる。
【0027】
前記(b)段階の固相縮重合反応のためには、前記プレポリマーに適切な熱が提供されなければならず、かような熱提供方法としては、加熱板を利用する方法、熱風を利用する方法、高温の流体を利用する方法などがある。固相縮重合反応時に発生する副産物を除去するために、不活性ガスを利用した反応器内容物のパージや、真空減圧による除去を実施することができる。
【0028】
前記全芳香族液晶ポリエステルアミド樹脂コンパウンドは、添加剤として、白色無機充填剤をさらに含む。また、前記全芳香族液晶ポリエステルアミド樹脂コンパウンドは、ガラスファイバ及び/または珪灰石をさらに含んでもよい。前記白色無機充填剤は、前記全芳香族液晶ポリエステルアミド樹脂コンパウンドの白色度を上昇させ、前記樹脂コンパウンドを含む反射体の反射機能を向上させる役割を行う。また、前記ガラスファイバは、前記全芳香族液晶ポリエステルアミド樹脂コンパウンドを含む反射体の反射機能を低下させずに、その機械的強度を向上させる役割を行う。前記珪灰石は、前記ガラスファイバの使用によって発生しうる樹脂コンパウンドの表面粗度の上昇及び接着性低下の問題を解決する役割を行う。
【0029】
前記白色無機充填剤は、チタン酸化物、例えば、二酸化チタンを含んでもよい。
【0030】
また、前記白色無機充填剤の含量は、前記全芳香族液晶ポリエステルアミド樹脂コンパウンド100重量部に対して、10ないし60重量部、例えば、30ないし60重量部である。前記白色無機充填剤の含量が、前記全芳香族液晶ポリエステルアミド樹脂コンパウンド100重量部に対して、10ないし60重量部であるならば、白色度、引っ張り強度及び屈曲強度が高い射出成形品を得ることができる。
【0031】
前記ガラスファイバの含量は、前記全芳香族液晶ポリエステルアミド樹脂コンパウンド100重量部に対して、5ないし50重量部でもある。前記ガラスファイバの含量が前記範囲内であるならば、射出後、射出成形品に、その構造を支持しうる支持力が十分に提供され、樹脂コンパウンドの収率が高く、射出後に射出成形品の弾性率が適切であり、射出成形品が崩れず、射出成形品内のガラスファイバが好ましく分散し、未成形が発生せずに、製品の強度が一定になる。
【0032】
前記珪灰石の含量は、前記全芳香族液晶ポリエステルアミド樹脂コンパウンド100重量部に対して、5ないし40重量部でもある。前記珪灰石の含量が、前記範囲内であるならば、射出時に、射出成形品の表面粗度及び強度の改善効果が高く、射出後に、射出成形品に、その構造を支持しうる支持力が十分に提供され、樹脂コンパウンドの収率が高くなる。
【0033】
前記全芳香族液晶ポリエステルアミド樹脂コンパウンドは、前述の全芳香族液晶ポリエステルアミド樹脂、白色無機充填剤、並びに選択的にガラスファイバ及び/または珪灰石などを、所定の比率で混合して溶融混練した後、乾燥させることによって製造される。かような溶融混練のために、回分式混練機、二軸押出機またはミキシングロールなどが使用されもする。また、円滑な溶融混練のために、溶融混練時に、フルオロ系滑剤のような滑剤を使用することができる。
【0034】
前記全芳香族液晶ポリエステルアミド樹脂コンパウンドは、圧力制御方式または速度制御方式の射出機を使用して、厚み0.1mmないし100mmの円形、板、コップまたは電灯笠のような多様な形態の反射体として射出成形されもする。かような射出成形時、前記全芳香族液晶ポリエステルアミド樹脂コンパウンドは、フレームにインサート射出されたり、あるいは単独で射出されもする。かように製造された反射体は、LEDのような発光装置に使用される。
【0035】
以下、実施例を挙げ、本発明についてさらに詳細に説明するが、本発明がかような実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0036】
製造例1−1:全芳香族液晶ポリエステルアミド樹脂(1)の製造
【0037】
温度調節が可能な10L容量の回分式反応器に、p−ヒドロキシ安息香酸2,983g(21.6モル)、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸1,298g(6.9モル)、4−アミノ安息香酸206g(1.5モル)及び酢酸カリウム(触媒)0.3gを投入して窒素ガスを注入し、前記反応器の内部空間を不活性状態にした後、前記反応器に、酢酸無水物(acetic anhydride)3,247g(31.8モル)をさらに添加した。その後、反応器温度を30分にわたって150℃まで昇温させ、前記温度で2時間、前記単量体のヒドロキシ基をアセチル化した。次に、前記アセチル化反応で生成された酢酸を除去しつつ、反応器温度を5時間20分にわたって300℃まで昇温させた後、300℃で60分間維持し、単量体の縮重合反応によって、全芳香族液晶ポリエステルアミドプレポリマー(1)を製造した。また、前記プレポリマー(1)の製造時に、副産物として、酢酸がさらに生成されるが、この酢酸も、前記アセチル化反応で生成された酢酸と共に、前記プレポリマー(1)の製造の間、連続的に除去した。次に、前記プレポリマー(1)を反応器から回収して冷却固化させた。
【0038】
その後、前記全芳香族液晶ポリエステルアミドプレポリマー(1)を、平均粒径1mmに粉砕した後、前記粉砕された全芳香族液晶ポリエステルアミドプレポリマー(1)3.2kgを、10L容量のロータリーキルン反応器に投入し、窒素を1Nm
3/時間の流速でさらに流しつつ、重量減少開始温度である200℃まで、1時間にわたって昇温させた後、200℃で2時間半維持した後、さらに280℃まで5時間にわたって昇温させ、280℃で4時間維持することにより、全芳香族液晶ポリエステルアミド樹脂(1)を製造した。次に、前記反応器を、常温まで1時間にわたって冷却させた後、前記反応器から全芳香族液晶ポリエステルアミド樹脂(1)を回収した。
製造例1−2〜1−6:全芳香族液晶ポリエステルアミド樹脂(2)〜(6)の製造
【0039】
p−ヒドロキシ安息香酸、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸及び4−アミノ安息香酸の使用量を、下記表1に示されているようにそれぞれ変更したことを除いては、前記製造例1−1と同一の方法で、全芳香族液晶ポリエステルアミド樹脂(2)〜(6)を製造した。
【0040】
【表1】
製造例2−1:全芳香族液晶ポリエステルアミド樹脂コンパウンド(1)の製造
【0041】
前記製造例1−1で製造された全芳香族液晶ポリエステルアミド樹脂(1)、長さ分布が100〜300μmであり、平均長が150μmであり、直径が10±1μmであるガラスファイバ(ソンジンファイバー、MF150W−AC)、UV(ultraviolet)安定性を有するアルミナ、 シリカ、及び疎水性有機化合物でコーティングされた酸化チタン(Dupont社製、T−Pure R−105)を、重量基準で、5:1:4の比率で混合し、回分式混合機(第一産業機器製)を使用して、30分間混合した。その後、オーブン乾燥器(アソンPLANT社製)で、130℃で4時間以上乾燥させ、水分含有率を200wtppm以下に低くした後、二軸押出機(L/D:40、直径:25mm)を使用して、時間当たり10kgの供給速度で、定量フィーディングしながら溶融混練し、全芳香族液晶ポリエステルアミド樹脂コンパウンド(1)を製造した。前記溶融混練時に発生するガス及び副産物の除去のために、1個のオープンベント部と、1個の真空ベント部とを、前記二軸押出機の3番及び7番のバレル部にそれぞれ設置した。かように製造された全芳香族液晶ポリエステルアミド樹脂コンパウンド(1)に対して、冷却設備(セウォンMテック、メッシュ・コンベヤーベルト)を使用して、冷却及び水分除去を行った後でペレット化した。次に、前記製造された全芳香族液晶ポリエステルアミド樹脂コンパウンド(1)のペレットを、自動乾燥器(第一産業機器製)を使用して、2時間乾燥及び混合した。
製造例2−2:全芳香族液晶ポリエステルアミド樹脂コンパウンド(2)の製造
【0042】
前記製造例1−1で製造された全芳香族液晶ポリエステルアミド樹脂(1)の代わりに、前記製造例1−2で製造された全芳香族液晶ポリエステルアミド樹脂(2)を使用したことを除いては、前記製造例2−1と同一の方法で、全芳香族液晶ポリエステルアミド樹脂コンパウンド(2)を製造した。
製造例2−3:全芳香族液晶ポリエステルアミド樹脂コンパウンド(3)の製造
【0043】
前記製造例1−1で製造された全芳香族液晶ポリエステルアミド樹脂(1)の代わりに、前記製造例1−3で製造された全芳香族液晶ポリエステルアミド樹脂(3)を使用したことを除いては、前記製造例2−1と同一の方法で、全芳香族液晶ポリエステルアミド樹脂コンパウンド(3)を製造した。
製造例3−1:全芳香族液晶ポリエステル樹脂コンパウンド(1)の製造
【0044】
前記製造例1−1で製造された全芳香族液晶ポリエステルアミド樹脂(1)の代わりに、前記製造例1−4で製造された全芳香族液晶ポリエステル樹脂(1)を使用したことを除いては、前記製造例2−1と同一の方法で、全芳香族液晶ポリエステル樹脂コンパウンド(1)を製造した。
製造例3−2:全芳香族液晶ポリエステル樹脂コンパウンド(2)の製造
【0045】
前記製造例1−1で製造された全芳香族液晶ポリエステルアミド樹脂(1)の代わりに、前記製造例1−5で製造された全芳香族液晶ポリエステル樹脂(2)を使用したことを除いては、前記製造例2−1と同一の方法で、全芳香族液晶ポリエステル樹脂コンパウンド(2)を製造した。
製造例3−3:全芳香族液晶ポリエステル樹脂コンパウンド(2)の製造
【0046】
前記製造例1−1で製造された全芳香族液晶ポリエステルアミド樹脂(1)の代わりに、前記製造例1−6で製造された全芳香族液晶ポリエステル樹脂(3)を使用したことを除いては、前記製造例2−1と同一の方法で、全芳香族液晶ポリエステル樹脂コンパウンド(3)を製造した。
実施例1〜3:LED用反射体(1)〜(3)の製造
【0047】
製造例2−1〜2−3で製造されたそれぞれの全芳香族液晶ポリエステルアミド樹脂コンパウンドを、オーブン乾燥器(アソンPLANT社製)を使用して、130℃で4時間以上乾燥させ、水分含有率を200wtppm以下に低くした後、電動射出機(Sodick社、TR30EH2)を使用して、厚みが2mmであり、横50mmであり、縦50mmである板状の反射体(1)〜(3)をそれぞれ製造した。この場合、200回の射出を介して射出機内部をクリーニングした後、各反射体当たり100個ずつのサンプルを得た。
参考例1〜3:LED用反射体(4)〜(6)の製造
【0048】
製造例2−1〜2−3で製造されたそれぞれの全芳香族液晶ポリエステルアミド樹脂コンパウンドの代わりに、前記製造例3−1〜3−3で製造されたそれぞれの全芳香族ポリエステル樹脂コンパウンドを使用したことを除いては、前記実施例1〜3と同一の方法で、LED用反射体(4)〜(6)を製造した。
[評価例]
LED用反射体(1)〜(6)の性能評価
【0049】
前記実施例1〜3及び参考例1〜3で製造されたLED用反射体(1)〜(6)の初期反射率低下の改善効果を下記のような方法で評価した。
【0050】
(初期反射率低下改善効果の評価)
色差計(Konica Minolta社、CM−3700d)を使用して、射出直後の各反射体の反射率を測定した後、キセノンランプ(xenon lamp)(POLARION社のPS−PHモデル、定格出力50W、最大光束5,000lumen、色温度4,300K)が設置された密閉空間中に、前記各反射体サンプルを入れ、射出後6時間経過時の反射率変化を測定し、初期反射率低下の改善効果を評価した。経時的反射率の変化が小さいほど、初期反射率低下の改善効果が良好であるということを意味する。すなわち、色差計を使用して、360nm〜740nmの波長範囲にわたり、10nmの波長間隔で、各LED用反射体当たり5個のサンプルに係わる反射率を測定した後、このサンプルの各波長別平均値を求めた後、汎用的に通用する反射率の基準である450nm、550nm及び650nmでの平均値を、各反射体の反射率として表示した。このとき、反射率の測定範囲は、0〜100%であり、反射率標準偏差は、0.1%以内であるということが分かった。初期反射率低下の改善効果の評価結果を下記表2に示した。
【0051】
【表2】
【0052】
前記表2を参照すれば、初期反射率低下の改善効果(反射率差が小さいほど高い)は、全ての波長領域で、実施例1〜3で製造されたLED用反射体が、参考例1〜3で製造されたLED用反射体に比べて、優秀であるということが分かった。このように、「初期(すなわち、6時間以内)反射率低下の改善効果」が高い場合には、本発明の反射体を具備したディスプレイ装置を使用する消費者が、前記ディスプレイ装置を購買してそのまま使用したり(すなわち、「輝度」モードが自動設定された状態)、あるいは手動で「輝度」モードを設定した後で使用したとき、短時間内には、「輝度」低下が目立って発生しないために、「輝度」モードを再設定しなければならない手間を避けることができ、それにより、消費者の信頼低下を防止しうる。
【0053】
本発明は、実施例を参照して説明したが、それらは例示的なものに過ぎず、本技術分野の当業者であるならば、それらから多様な変形及び均等な他の具現例が可能であるという点を理解するであろう。従って、本発明の真の技術的保護範囲は、特許請求の範囲の技術的思想によって決定されるものである。