特許第5909278号(P5909278)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5909278
(24)【登録日】2016年4月1日
(45)【発行日】2016年4月26日
(54)【発明の名称】イメージングのための患者頭部支持機器
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/04 20060101AFI20160412BHJP
   A61B 6/03 20060101ALI20160412BHJP
   A61B 6/14 20060101ALI20160412BHJP
【FI】
   A61B6/04 301
   A61B6/03 323R
   A61B6/14 310
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-514158(P2014-514158)
(86)(22)【出願日】2011年6月9日
(65)【公表番号】特表2014-515969(P2014-515969A)
(43)【公表日】2014年7月7日
(86)【国際出願番号】IB2011002037
(87)【国際公開番号】WO2012168756
(87)【国際公開日】20121213
【審査請求日】2014年4月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】508143775
【氏名又は名称】トロフィー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】ルデルグ,ダヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】ルカヤー,ヤン
(72)【発明者】
【氏名】コンニー,フィリップ
【審査官】 亀澤 智博
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−272347(JP,A)
【文献】 実開平02−130613(JP,U)
【文献】 特開平07−275239(JP,A)
【文献】 特許第4527200(JP,B2)
【文献】 特開昭57−114133(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 6/00 − 6/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向する第1の側面および第2の側面を有し、患者の頭部に対して位置決めするための第1の保持部材および第2の保持部材を支持する本体であって、前記第1の保持部材は前記本体の前記第1の側面に沿った第1の基準位置を有するとともに前記本体から外側に伸びる第1の移送機器に連結され、前記第2の保持部材は前記本体の前記第2の側面に沿った第2の基準位置を有するとともに前記本体から外側に伸びる第2の移送機器に連結される、本体と、
前記第1の保持部材が前記第1の基準位置から動かされるとき、前記第2の移送機器の位置をロックし、前記第2の保持部材が前記第2の基準位置から動かされるとき、前記第1の移送機器の位置をロックする、前記本体内の延長ロックメカニズムと、を備える、
イメージング機器内で患者の頭部を位置決めする支持機器。
【請求項2】
前記第1の保持部材および前記第2の保持部材の一部は、患者の右耳腔および左耳腔に対して位置する、
請求項1に記載の支持機器。
【請求項3】
前記イメージング機器は、軸の周りを回転し、
X線源と、
対象を通って通過したX線を検出するセンサと、を備える、
ガントリを備え、
前記ガントリの回転軸は、前記第1の保持部材または前記第2の保持部材がそれぞれの基準位置にあるか否かによって、2つ以上の位置を有する、
請求項1に記載の支持機器。
【請求項4】
請求項1に記載の支持機器を提供するステップと、
前記本体の前記第1の側面に沿って前記第1の基準位置から離れて前記第1の保持部材を調整することを可能にし、一方で同時に、前記本体の前記第2の側面に沿って前記第2の基準位置において前記第2の保持部材の調整を制限するステップと、
前記第2の保持部材の前記第2の基準位置により回転軸の位置を調整するステップと、
患者の頭部のボリューム画像を得るために、前記調整された回転軸の周りにガントリを回転させるステップと、を含む、
患者の頭部のボリューム画像を得る方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、X線イメージング、とりわけコンピュータ断層撮影(CT)イメージングから耳、鼻、および咽喉(ENT)画像のような人間の頭部内の構造のボリューム画像を得る、患者支持機器に関する。
【背景技術】
【0002】
CTイメージング機器は、回転するイメージングしたアンサンブル、または患者に対して固定された軸の周りを回転するX線源およびイメージングセンサを有するガントリで、複数の2D画像を取得することにより作動する。CTのイメージングは、患者の解剖学的構造の3Dまたはボリューム画像の再構成を可能にする。小さい、いわゆる“部分的”CTイメージングシステムは、患者の対象となる局部の解剖学的領域に集中した小さいサイズのX線照射野の使用を可能にする。歯科のイメージングでは、例えば部分的CTイメージングシステムは、2本または3本の歯のイメージングに使用可能である。そのような技術の利点は、それが患者が受けるX線量とセンサのサイズおよびコストの両方を限定することである。
【0003】
人間の頭部のCTイメージングについては、X線源およびセンサを支持するガントリ構造の回転軸を、患者の対象領域の上方の垂直線上に正確に位置決めしなければならない。これは患者を正確に位置決めし、イメージングが続く間移動を制約することを必要とする。歯科のイメージングで、患者は、顎台、前頭支持部、側頭支持部、および特に患者の前歯を位置決めする咬合部のような支持装置を用いて、患者を通常位置決めする。ガントリの回転軸は、垂直線に対応する軸が咬合部の上方に伸びるように、事前に設定した位置に移動する。前歯は、それで、基準点として機能する。例えば歯科医が臼歯のCT画像を取る必要がある場合、回転軸は、それが臼歯を通る垂直線に沿って伸びるように、事前に設定した位置に(xy)水平面に変換される。いくつかの実施形態では、患者の頭部を囲み前頭支持部の両端に付着されたストラップによるなどで、患者は適切な位置にしっかりと固定される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
耳、鼻、および咽喉(ENT)の部分的CTイメージングに関する患者支持部の必要条件は、歯科のイメージングのそれとさまざまな方法で異なる。例えば側頭骨のイメージングについては、前歯を拘束する咬合部の必要はない。実際に前歯は耳および側頭骨から遠すぎるので、ENTイメージングの基準点としては使用できない。結果として、患者の耳が、ENTイメージングの有用な基準点として機能する。
【0005】
患者の耳を拘束する側頭部保持部材を採用する装置を含む種々の機器が、ENTイメージングに対し患者の位置を安定化するため考案されてきた。Ando他の米国特許第3,737,660号、“Apparatus for Taking Tomograms of Parabolically Curved Objects”は、患者の頭部を回転軸に対して中央に置く調節可能な耳入桿を有する頭部安定化装置を記載する。Nakano他の米国特許第5,642,392号、“Medical Radiographic Apparatus and Patient’s Head Fixing Device”は、頭部の角度および位置をイメージングのため中心軸に対して固定するよう意図された患者フレームを記載する。
【0006】
これらの解決策が患者の頭部を支持するいくつかの手段を提供するかもしれないが、それらは患者の頭部を対称に位置決めし、および耳入桿間の中心におくことを必要とし、基準位置を提供しない。
【0007】
イメージングシステムに対して患者の基準位置を提供する、人間の頭部内の構造のボリューム画像を得るための患者支持機器のニーズが存在する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の目的は、ボリュームイメージング機器を用いてENTイメージング業界を前進させることである。
【0009】
本発明の他の目的は、変動する回転軸を有するボリュームENTイメージングを提供することである。
【0010】
これらの目的は例示の目的のみで示すものであり、そのような目的は本発明の1つまたは複数の実施形態の例示でありうる。開示された発明により本質的に得られる他の望ましい目的および利点が生じ、または当業者に明らかになりうる。本発明は、添付の請求項により定義される。
【0011】
本発明の1つの態様によれば、対向する第1および第2の側面を有し、患者の頭部に対して位置決めする第1および第2の保持部材を支持する本体であって、第1の保持部材は本体の第1の側面に沿った第1の基準位置を有し、かつ本体から外側に伸びる第1の移送機器に連結され、第2の保持部材は本体の第2の側面に沿った第2の基準位置を有し、かつ本体から外側に伸びる第2の移送機器に連結される、本体、および、第1の保持部材が第1の基準位置から動かされるとき、第2の移送機器の位置をロックし、第2の保持部材が第2の基準位置から動かされるとき、第1の移送機器の位置をロックする本体内の延長ロックメカニズム、を備える、イメージング機器内で患者の頭部を位置決めする支持機器が提供される。
【0012】
本発明の前述および他の目的、機能、および利点は、添付の図に示されるように、本発明の実施形態の後述のより詳細な記載から明らかである。図の要素は、互いに対して必ずしも同じ縮尺ではない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1A】構成要素が静止位置にある、ENTの患者を支持する構成要素および頭部の他のイメージング構造の正面図を示す。
図1B】1つの保持部材が動作中の、ENTの患者を支持する構成要素および頭部の他のイメージング構造の正面図を示す。
図1C】別の保持部材が動作中の、ENTの患者を支持する構成要素および頭部の他のイメージング構造の正面図を示す。
図2A】本発明の実施形態による組み立てられた頭部支持機器を示す斜視図である。
図2B】本発明の実施形態による頭部支持機器の構成要素を示す斜視図である。
図3】シャフト位置を示す頭部支持機器の側面図である。
図4】静止位置で一対のシャフトが本体内を伸びる状態を示す、頭部支持機器の断面図である。
図5】1つの移送機器が移動可能な、一対のシャフトが本体内を伸びる状態を示す頭部支持機器の断面図である。
図6】調節可能な保持部材付きのボリュームイメージング機器を用いて、3Dで得られた頭部の画像である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の望ましい実施形態を、図を参照して以下に詳細に記載する。図内では、いくつかの図のそれぞれで同一の参照番号は同一の構造の要素を指す。注目すべきは、これらの図が本発明の実施形態による全体の機能および関係を示すために提供するものであり、実際のサイズまたは縮尺を表す意図で提供するものではないことである。
【0015】
本開示の文脈で、“ボリューム画像”の語は、”3次元画像”または“3−D画像”の語と同義である。本発明の実施形態は主としてCTボリュームイメージングのために開発されたが、他のタイプのボリュームイメージングに使用も可能である。ボリューム画像を得るため、複数の、撮影される患者に対して異なる角度または他の対象の画像が撮られる。
【0016】
“第1の”、“第2の”、“第3の”などの語が使用される場合、これらは順序または優先関係を必ずしも表さないが、単に1つの構成要素を他からより明らかに識別するために使用する。
【0017】
図1Aの概略ブロック図は、本発明の実施形態による、静止位置にある頭部支持機器70の機能を示す。頭部支持機器70は支持構造36上に据え付けられ、本体1、基部9、および任意の顎台8を有する。患者の頭部に対して位置決めのための側頭部保持部材2および3があり、それぞれが移送機器72および74にそれぞれ連結される。それぞれの保持部材2および3は、R1およびR2でそれぞれ示される、それぞれの基準位置を有する。移送機器72および74の構成要素は、本体1のそれぞれの側から1つが外側に伸びる1つまたは複数のシャフトまたは他の構成要素を有する。耳入桿40および50が、患者の耳腔の外側部分にはめるため提供される。図1Aに示された静止位置で、静止位置の両方の耳入桿40および50の間の距離は、明らかに患者の頭部のサイズより小さい。支持構造36にこれも据え付けられた回転可能なガントリ60は、X線の検出および画像の形成のため、X線源62およびセンサ64を提供する。支持構造36は図1Aで表され、立ったまたは座った患者に対し任意の数の形態を取ることが可能である。例えばガントリ60の回転の回転メカニズムのような、X線イメージング機器の他の従来の支持構成要素は図示しない。患者の頭部をさらに安定化、または頭部角度の調整を補助するよう、マウスピースまたは咬合構造もまた提供可能である。詳細をさらに後述するように、基準位置R1または基準位置R2が固定されているかどうかによって、回転軸Aの位置は変わる可能性がある。
【0018】
詳細をさらに後述する延長ロックメカニズム80は、一度に側頭部保持部材2および3のどちらかの移動を制約する。図1Bに示されたように、保持部材3が本体1から外側に動かされたとき、保持部材2はその基準位置R1にロックされる。同様に、図1Cに示されたように、保持部材2が本体1から外側に動かされたとき、保持部材3はその基準位置R2にロックされる。このようにして、一度に保持部材2または3の1つのみを外側に動かすことが可能である。どの時点でも、保持部材2が基準位置R1にあるか、保持部材3が基準位置R2にあるかどちらかである。これは、イメージング中のX線源およびセンサのガントリ回転に関する回転軸A1またはA2に対して、患者の頭部Hを適切な位置に支持する代替基準を可能にする。本発明の1つの実施形態において、回転軸は図1Bおよび図1CのA1およびA2で示される2つの位置のどちらかに設定可能であり、例えば、異なる軸に沿って回転するとき、左耳または右耳のイメージング構造についてイメージングガントリの位置変更を可能にする。軸A1またはA2に関する位置の調整は、操作者によりなされる機械的調整でありうるし、またはボリュームイメージング機器を操作する制御ロジックにより自動的に実行してもよい。図1Bに示されたように、任意のセンサ34は、適切な軸の選択が可能でありうるように、ボリュームイメージング機器の制御ロジックが、保持部材2または3が調整されたかどうか判断することを可能にする。
【0019】
図2Aの斜視図は、本発明の実施形態の頭部支持機器70を示す。図2Bの斜視図は、頭部支持機器70の構成要素を詳細に示す。本体1の一方の側で、保持部材2が、本体1を通して伸びる一対の横方向シャフト6および7に沿って移送機器72に連結される。本体1の反対側で、保持部材3が、本体1を通して伸びる一対の横方向シャフト4および5に沿って移送機器74に連結される。保持部材2および3は、対応する耳入桿40および50をそれぞれ支持する。示される実施形態で、基部9は3本のネジ10で本体1に固定される。基部9は、例えば患者の高さを調整するため垂直方向に調節可能な水平アーム(図示せず)に沿って、追加の口腔イメージング装置のフレームに連結される。任意の顎支持部8は、その底面に留められた垂直プレート8aを備える。プレート8aは、本体1の溝8b内を自由にスライドして、本体に対して、およびさらに後述するように患者の耳に対して、顎の垂直位置を調整することが可能である。調整ノブのような調整制御部11が提供され、調整制御部11は本体の外面から溝8bへ本体1を通して伸びる螺刻穴11bと協働する螺刻シャフト11aを備える。制御部11を回すことで、螺刻シャフトは顎台8のプレート8aを適切な垂直位置でブロックする。強調すべきは、顎支持部8は任意選択であることである。安定化が必要とされる場合、顎または歯の位置および角度の安定化のため、他のタイプの支持構造を提供可能である。
【0020】
2つのネジ13が、移送シャフト4および5の両方の末端で、ストッパ12を1つの面に固定する。シャフトの他の端部において、側頭部保持部材2の末端は2つのホルダ14および15に囲まれ、これらの3つの部品は、シャフト4および5の他の末端面で2つのネジ16または他の留め具により付けられる。シャフト5は、大きい直径部分17および小さい直径部分18を有する。バネ19は小さい直径部分18を囲み、大きい直径部分17の面に対して接触する。シャフト4は、溝20を有する。本実施形態ではシャフト4の直径はシャフト5の直径と同じであるが、これは必要ではない。
【0021】
本体1を、重量に耐え、示された調節可能および静止したハードウェアを支持することが可能な金属または他の適切な物質で形成することが可能である。本体1を通してその右面F1から反対側のその左面F2へ伸びる4つの経路がある。本体1の右面F1には穴101〜104があり、前面底部の穴101は、図2Bに見られるように、実施形態で示される他の3つより大きい。左面F2には穴201〜204がある。背面底部の穴204は、他の3つより大きい。対の穴101および201、102および202、103および203、104および204は、面F1から面F2に本体1を横断する平行な経路によってそれぞれ互いに連結されている。移送機器74のシャフト5は、本体1を通して面F1の大きい直径の穴101から対向する面F2の底部前面の小さい直径の穴201へ伸びる移動経路を有する。シャフト4は、穴102から前方頂部の穴202へ本体1内を伸びる移動経路を有する。シャフト6はシャフト5と同様の構造を有し、異なる直径の2つの区間を有する。シャフト6の小さい直径の区間は、周辺バネ19を有する。シャフト6は、背面底部の大きい直径の穴204を通して本体1内を伸び、背面底部の穴104を通して本体1を出る。シャフト7はシャフト4と同様の構造を有する。シャフト7は1つの単一の区間および1つの溝を有し、背面頂部の穴203を通して本体1内を伸び、背面頂部の穴103を通して本体1を出る。図2Bに示されたように、プレートおよび留め具の配置を用いて、保持部材3が移送機器74のシャフト6および7に連結される。4つのシャフト4、5、6、および7のそれぞれは、面F1およびF2に沿って設置された対応するスリーブ301〜304および401〜404を有する。これらのスリーブは、シャフトが本体1の内側のそれらのそれぞれの経路内をスライドするとき、摩擦の減少を補助する。
【0022】
なお図2Bを参照すると、延長ロックメカニズム80は、本体1の頂面から伸びる垂直経路21内に位置付けられた、直径を規制された球状の構成要素であるボール30を有する。ネジ23または他の留め具により本体1の頂面に付着されたストッパ22が、ボール30の本体1内の位置の保持を補助する。
【0023】
図3は本体1を貫通した一部の断面側面図であり、延長ロックメカニズム80の構成要素の詳細をさらに示す。経路21内に挿入されるとき、ボール30は、経路の底部に沿ってはまりシャフト4および7に対して接触するように落下する。この図は、図1Aの”静止位置”の支持器を有する(詳細をさらに後述する)。静止位置で、保持部材2および3はそれぞれの基準位置にあり、それぞれが本体1のその対応する面F1およびF2に接触している。シャフト4および7内のそれぞれの溝20は中央に位置付けられ、延長ロックメカニズム80の経路21と整列される。シャフト4および7の両方が基準位置にあるとき、ボール30はシャフト4および7の両方の溝20内にある。
【0024】
図4は、本体1内を伸びたシャフト4および5を示す正面断面図である。図3と同様に、図4も患者支持機器70の静止位置を示し、この図で保持部材2および3は、図1Aについて前に述べたように、両方ともそれらの基準位置R1およびR2にある。シャフト5は、ショルダ41を有する経路28に沿って伸びる。シャフト5の周りのバネ19がショルダ41に対して圧迫して、シャフト5の面42の右へ向けられた力を加え、この力は保持部材2をその基準位置に戻そうとする傾向がある。結果として保持部材2はシャフト5に連結され、このバネの力からの軽い圧力が、ホルダ15と本体1の左面F2の間の接触を起こす。シャフト4は、同様に保持部材2に連結される。保持部材2および3が静止位置にあるとき、溝20は本体1の中央平面に位置付けられる。
【0025】
同じ理由で、静止位置で、側頭部保持部材3は本体1の右面F1と接触し、シャフト7の溝は本体1内にあり、シャフト4の溝に面する。経路21内のボール30も、本体1内にある。静止位置で、ボール30はシャフト4および7の両方の溝20に位置する。移送機器72または74のどちらかが、両方の溝20内のボール30とともに静止位置から移動可能である。しかし、一度には、移送機器72または74のうちの1つのみが、この位置から移動可能である。
【0026】
図5は、シャフト4および7の両方の軸により形成された平面の頭部支持機器70の断面図であり、図1Bの概略図に対応して、一対のシャフトが本体1内を伸び、移送機器74(シャフト6および7)が移動可能で、移送機器72(シャフト4および5)が所定の位置にロックされた状態を示す。
【0027】
右耳または左耳の側頭骨の画像のようなENTのCT画像が所望されるとき、施術医は患者を座らせ、側頭部保持部材2を本体1に対して適切な位置にし、患者の頭部に対して側頭部保持部材3を調整し、戻りバネによって生じる力を釣合せて保持部材3をその静止位置から除くよう横力を及ぼす。この動作で、保持部材3に連結された移送機器72を、横方向に移動可能である。ボール30はシャフト7の溝20から押し出されるが、移送機器74に対する対応するシャフト4の溝20内にははまり続ける。シャフト7はボール30に沿って一種の軸受接触でスライドし、単一の接触点でスライドする。シャフト4は、ボール30によって所定の位置にロックされる。
【0028】
側頭部保持部材3がその静止位置にないと、ボール30がシャフト4の溝20とシャフト7の側面の間の経路21(図2B)内に閉じ込められるので、移送機器74のシャフト4に連結された他の側頭部保持部材2はその静止位置から移動できない。ボール30が1つのシャフトの溝20に位置付けられる一方で他のシャフトの溝20から出て、この後者のシャフトに面し、シャフトが動くとき単一のベアリング接触点を提供可能なように、ボール30の直径は十分に小さい。ボール30は、それが両方の溝20から離れる一方で両方のシャフトに面することができないように、十分に大きい。ボール30が閉じ込められると、シャフト4およびそれに対応する側頭部保持部材2は本体1に対して固定位置にあり、結果として、X線源およびセンサを支持するガントリに対して固定位置にある。
【0029】
患者が右耳のCT画像のため位置決めされるとき、施術医は側頭部保持部材3を(患者に対して)左に移動させ、顎を顎台8上に位置決めし、側頭部保持部材2上の耳入桿40がわずかに右耳腔に侵入するように患者の頭部を位置決めする。施術医はそれから、側頭部保持部材3に及ぼされた力を解放する。シャフト6を囲む戻りバネ19の力は、保持部材3を静止位置の方へ穏やかに戻す。患者は、保持部材3上の耳入桿50がわずかに左耳腔に侵入するように彼の頭部を位置決めする。
【0030】
頭部支持機器70を用いて適切に位置決めされたとき、患者の頭部が安定しイメージングの間動かないように、患者を顎および2つの耳の3つの非平面状のポイント上で保持可能である。耳入桿40、および結果として患者の右耳が、ガントリおよびそれが関連するイメージング構成要素に対してうまく画定された位置にある。注目すべきは、保持部材2または保持部材3のどちらが調整されるかに基き、患者の頭部位置は異なりうることである。また、必要とされる場合患者の頭部の角度移動が他の手段により制約されるように、顎台8は任意選択である。
【0031】
図6は、患者の頭蓋骨の(上方から見た)水平断面図である。撮影される側頭骨500が、右外耳道600内の耳入桿の末端位置700から既知の距離に位置付けられ、この距離はわずかに患者によって決まるのみである。これは、CTが捕捉する間X線源およびセンサが周りを回転するガントリの垂直回転軸の水平面(xy)で、予め設定された位置を画定する。追加の口腔イメージングシステムのソフトウェア作動ロジックは、それから回転軸を2つの予め設定した位置(それぞれの耳のCT捕捉に1つ)のどちらかに向けることが可能である。
【0032】
現時点の望ましい実施形態を特に言及して本発明を詳細に記載したが、本発明の趣旨および範囲内で変形および改良することができることが理解されるであろう。例えば、頭部の安定化および角度方向を向上するため、咬合または他の構成要素を任意選択的に提供することが可能である。2つの移送機器のうちの1つのみの移動を可能にする延長ロックメカニズムを提供するよう、別の技術を使用可能である。現段階で開示された実施形態は、従って全ての点で一例と考えられ、制限するものではない。本発明の範囲は添付の請求項に示され、その意味および等価物の範囲内に入る全ての変更は、その中に包含されることが意図される。
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6