(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5909282
(24)【登録日】2016年4月1日
(45)【発行日】2016年4月26日
(54)【発明の名称】スライド移送装置
(51)【国際特許分類】
G01N 1/28 20060101AFI20160412BHJP
B01L 9/00 20060101ALI20160412BHJP
G02B 21/34 20060101ALI20160412BHJP
【FI】
G01N1/28 U
B01L9/00
G02B21/34
【請求項の数】17
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-528926(P2014-528926)
(86)(22)【出願日】2012年8月21日
(65)【公表番号】特表2014-534409(P2014-534409A)
(43)【公表日】2014年12月18日
(86)【国際出願番号】EP2012066267
(87)【国際公開番号】WO2013034431
(87)【国際公開日】20130314
【審査請求日】2014年7月23日
(31)【優先権主張番号】61/533,096
(32)【優先日】2011年9月9日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507179346
【氏名又は名称】ベンタナ メディカル システムズ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100075270
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100101373
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 茂雄
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100186613
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 誠
(72)【発明者】
【氏名】ディーパースルート,デーヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】ヘバート,ラファエル
(72)【発明者】
【氏名】モリコーニ,デーヴィッド
【審査官】
土岐 和雅
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭54−066886(JP,A)
【文献】
米国特許第02522416(US,A)
【文献】
特開平11−130254(JP,A)
【文献】
特開2001−296480(JP,A)
【文献】
特開平08−043380(JP,A)
【文献】
特開平07−002308(JP,A)
【文献】
特開平07−043278(JP,A)
【文献】
特開平10−216538(JP,A)
【文献】
特開平01−302135(JP,A)
【文献】
特開平07−115123(JP,A)
【文献】
国際公開第2011/027488(WO,A1)
【文献】
特開平06−183512(JP,A)
【文献】
特開平06−293401(JP,A)
【文献】
特開平04−030552(JP,A)
【文献】
米国特許第04820396(US,A)
【文献】
米国特許出願公開第2004/0251796(US,A1)
【文献】
特開2010−066263(JP,A)
【文献】
国際公開第99/020995(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N1/00〜1/44、B01L9/00、G02B21/06〜21/36、B65D83/00、B65G1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
チャンバを画定するハウジングと、
前記チャンバの中に位置する複数のスライド支持体であって、それぞれがスライド受入開口部を有する複数のスライド支持体と、
前記ハウジングに連結された調整可能な間隔機構であって、
アクチュエータ、および
前記アクチュエータを前記複数のスライド支持体に連結する駆動装置であって、前記アクチュエータが前記ハウジングに対して動くに従い、前記スライド支持体を互いに対して前記チャンバに沿って動かすように構成された駆動装置
を含む調整可能な間隔機構と
を備え、
前記駆動装置は、ラック・アンド・ピニオン・アセンブリと、伸張器とを含み、前記ラック・アンド・ピニオン・アセンブリは、前記アクチュエータを前記伸張器に連結し、前記伸張器は、前記支持体が第1の配列にある折り畳み構成と、前記支持体が第2の配列にある伸張構成との間で可動であり、前記第1の配列は、前記第2の配列と異なる、顕微鏡用スライド移送装置。
【請求項2】
前記アクチュエータは、第1の位置と第2の位置との間で可動であり、前記複数のスライド支持体は、前記アクチュエータが前記第1の位置にあるときに第1の平均ピッチを規定し、前記複数のスライド支持体は、前記アクチュエータが前記第2の位置にあるときに第2の平均ピッチを規定する、請求項1に記載の顕微鏡用スライド移送装置。
【請求項3】
前記アクチュエータは、前記複数のスライド支持体が規定するピッチを増減させるために、第1の位置と第2の位置との間で可動である、請求項1に記載の顕微鏡用スライド移送装置。
【請求項4】
前記調整可能な間隔機構は、隣り合う前記スライド支持体のスライド受入開口部の間の間隔を、前記アクチュエータが前記ハウジングに対して動く距離に比例するように変える、請求項1に記載の顕微鏡用スライド移送装置。
【請求項5】
前記伸張器は、第1のはさみ機構と、第2のはさみ機構とを含み、前記複数のスライド支持体は、前記第1のはさみ機構と、前記第2のはさみ機構との間に位置する、請求項1に記載の顕微鏡用スライド移送装置。
【請求項6】
前記ラック・アンド・ピニオン・アセンブリは、前記伸張器の一方の端部に連結された第1のラックと、前記伸張器の反対側の端部に連結された第2のラックと、前記第1のラックと前記第2のラックとの間に位置し、前記第1のラックおよび前記第2のラックを反対方向に駆動するピニオンとを含む、請求項1に記載の顕微鏡用スライド移送装置。
【請求項7】
前記スライド支持体を支持する伸張可能装置と、前記伸張可能装置が前記アクチュエータの作動に応じて動いたときに、互いから離れるように、または、互いの方へ向かって動く隣り合うスライド支持体とをさらに備える、請求項1に記載の顕微鏡用スライド移送装置。
【請求項8】
ハウジングと、
複数のスライド支持体と、
前記複数のスライド支持体および前記ハウジングに連結された駆動装置であって、第1の状態および第2の状態を有し、前記駆動装置が前記第1の状態にあるときは、前記スライド支持体が互いに対して静止しており、前記駆動装置が前記第2の状態にあるときは、前記スライド支持体が互いから離れる駆動装置と、
前記駆動装置により前記複数のスライド支持体と連結されるアクチュエータと、
を備え、
前記駆動装置は、ラック・アンド・ピニオン・アセンブリと、伸張器とを含み、前記ラック・アンド・ピニオン・アセンブリは、前記アクチュエータを前記伸張器に連結し、前記伸張器は、前記支持体が第1の配列にある折り畳み構成と、前記支持体が第2の配列にある伸張構成との間で可動であり、前記第1の配列は、前記第2の配列と異なる、
顕微鏡用スライドホルダー装置。
【請求項9】
前記駆動装置を前記第1の状態から前記第2の状態へ変えるように構成された手動アクチュエータをさらに備える、請求項8に記載のスライドホルダー装置。
【請求項10】
前記駆動装置に連結された制御部をさらに備え、前記制御部は、前記駆動装置に前記第1の状態または前記第2の状態となるように命令するよう構成される、請求項8に記載のスライドホルダー装置。
【請求項11】
前記駆動装置は、隣り合う前記スライド支持体を互いから離す、または、互いの方へ動かすことができる、請求項8に記載のスライドホルダー装置。
【請求項12】
前記スライド支持体は、第1の直線的配列と第2の直線的配列との間で可動であり、前記第1の直線的配列における前記スライド支持体は、第1の平均ピッチを規定し、前記第2の直線的配列における前記スライド支持体は前記第1の平均ピッチと実質的に異なる第2の平均ピッチを規定する、請求項8に記載のスライドホルダー装置。
【請求項13】
前記第1の平均ピッチは、前記第2の平均ピッチよりも少なくとも10%小さい、請求項12に記載のスライドホルダー装置。
【請求項14】
顕微鏡用スライドを第1のスライドホルダーから第2のスライドホルダーへ移動させる方法であって、
支持体が第1の平均ピッチを規定する間に、複数のスライドを第1のスライドホルダーから調整可能なスライドホルダー装置のそれぞれの前記支持体に同時に移すステップと、
前記支持体が前記第1の平均ピッチと異なる第2の平均ピッチを規定するように、前記支持体を他の前記支持体に対して動かすステップと、
前記支持体が前記第2の平均ピッチである間に、前記顕微鏡用スライドを前記支持体から前記第2のスライドホルダーのそれぞれのスライド保持機構へ同時に移すステップと
を含み、
前記スライドホルダー装置は、
アクチュエータと、
前記アクチュエータを前記支持体に連結する駆動装置であって、前記アクチュエータが動くに従い、前記支持体を互いに対して動かすように構成された駆動装置と、を有し、
前記駆動装置は、ラック・アンド・ピニオン・アセンブリと、伸張器とを含み、
前記支持体を他の前記支持体に対して動かすステップは、前記支持体が第1の配列にある折り畳み構成と前記支持体が第2の配列にある伸張構成との間で前記伸張器を動かすステップを含み、前記伸張器は、前記ラック・アンド・ピニオン・アセンブリにより前記アクチュエータに連結される、方法。
【請求項15】
前記複数の顕微鏡用スライドを前記第1のスライドホルダーから前記調整可能なスライドホルダー装置のそれぞれの支持体に同時に移すステップは、前記第1のピッチに実質的に等しい平均ピッチで保持される前記複数の顕微鏡用スライドを前記支持体の中へと動かすステップを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記顕微鏡用スライドを前記支持体から前記第2のスライドホルダーのそれぞれのスライド保持機構へ同時に移すステップは、前記スライド保持機構が、前記第2の平均ピッチに実質的に等しい平均ピッチにある間に行われる、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記支持体を互いに対して動かす前記ステップは、はさみ機構を折り畳み構成から伸張構成へ広げるステップを含み、前記はさみ機構は、前記支持体に連結されている、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、基板保持装置に関する。より詳しくは、本発明は、スライド移送装置、および、このスライド移送装置を使用する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
病理学または組織学の実験機器には、多くの場合、スライドホルダーがあり、このスライドホルダーは、顕微鏡用スライドをその機器に装填するのに使用される。ある実験機器用のスライドホルダーは、他の実験機器と互換性がないことがある。例えば、ステーナー(stainer)用のスライドホルダーは、撮像システム、デジタル式病理機器、または、自動スライドスキャナーと互換性がないことがある。実験室では、スライドが、バスケット、カセット、スライドラック、および/または、格納箱の間で、例えば、画像化による着色を行うために、たびたび移される。スライドをスライドホルダーの間で移すのは難しいことである。これは、スライドホルダーが多くの場合に異なるピッチの保持機構(例えば、棚)を有するからである。スライドは、多くの場合、スライドホルダーの間で手作業により1つずつ移される。残念ながら、手作業による移送処理は、時間がかかることが多く、この結果、実験室での処理量が少ない。加えて、スライドは、取り扱い方を間違えると壊れたり、損傷を受けたりすることがある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
少なくとも一部の実施形態は、ハウジングと、複数の支持体とを含むホルダー装置を対象とする。間隔機構が隣り合う支持体の間の間隔を変えて、支持体を任意の数の所望の空間的配列に移動させることができる。支持体は、基板状の形態をした物品(例えば、顕微鏡用スライド、カバーガラス付き顕微鏡用スライド等)、または、標本(複数可)もしくは検体(複数可)を保持する他の物品を保持するように構成できる。特定の実施形態では、支持体を、検体担持カバーガラス付きスライドを保持できる寸法にする。例えば、各支持体は、検体担持カバーガラス付きスライドを1つだけ保持できる寸法とすることができる。
【0004】
応用例によっては、スライドホルダー装置は、互換性のないスライドホルダー(例えば、実質的に異なる空間配列でスライドを保持するように構成されたスライドホルダー)の間で顕微鏡用スライドを移すための移送装置としての役割を果たすことができる。第1のスライドホルダーによって第1の配列に保持されるスライドをスライドホルダー装置に装填することができる。スライドホルダー装置は、スライドを第1の配列から第2の配列へ移動させる。第2の配列のスライドは、第2のスライドホルダーに送られる。
【0005】
実施形態によっては、スライドホルダー装置により、比較的多くのスライド(例えば20枚のスライド)のスライドラックからカセットへの迅速な移送が容易となる。スライドラックは、ディップ・アンド・ダンク(dip and dunk)機器で使用するように構成されることがあり、カセットは、撮像機器で使用するように構成されることがある。スライドホルダー装置は、スライドラックのスライド間隔、および、カセットのスライド間隔に適応することができ、実施形態によっては、伸張機構によって1つに連結された一連の支持体を含むことができる。実施形態によっては、伸張機構は、支持体を支持するはさみアセンブリである。貝殻型のハウジングで伸張機構と、はさみアセンブリとを囲むことができる。ランク・アンド・ピニオンギア・アセンブリをはさみアセンブリの両端部に連結して、支持体を離したり、くっつけたりすることができる。
【0006】
支持体は、はさみ腕部に対する連結点を形成する複数のピン(例えば、各側面に2つのピン)を有するスリーブ(sleeve)とすることができる。実施形態によっては、はさみ腕部の内側の組と外側の組とが支持体の各側面にある。2つの端部部品は、概して対称的なデザインを有することができ、はさみ機構アセンブリの両端部の最も外側の支持体に連結される。はさみアセンブリが押し縮められた状態にあると、支持体のピッチは、スライドラックによって保持されるスライドのピッチに実質的に一致することができる。
【0007】
実施形態によっては、移送装置は、チャンバを画定するハウジングと、チャンバの中に位置する複数の支持体と、調整可能な間隔機構とを含む。支持体は、物品を入れるための開口部を有する。間隔機構は、実施形態によっては、アクチュエータと、駆動装置とを含む。駆動装置は、アクチュエータを支持体に連結し、かつ、アクチュエータを操作するにつれ、支持体を互いに対してチャンバに沿って動かすように構成される。
【0008】
アクチュエータは、実施形態によっては、支持体の空間配列を調整するために、第1の位置と第2の位置との間で可動である。特定の実施形態では、アクチュエータが第1の位置にあるとき、支持体が第1の平均ピッチを規定する。支持体は、アクチュエータが第2の位置にあるとき、第2の平均ピッチを規定する。伸張可能装置は、アクチュエータの操作に応じて伸張可能装置が動くときに、隣り合う支持体が互いから離れるように、または、互いの方へ向かって動くように支持体を支持する。実施形態によっては、伸張可能装置は、1つまたは複数のはさみ機構を含む。支持体は、基板支持体または顕微鏡用スライド支持体の形態とすることができる。伸張可能装置は、アクチュエータに直接的または間接的に連結することができる。
【0009】
実施形態によっては、顕微鏡用スライドホルダー装置は、ハウジングと、スライド支持体と、駆動装置とを備える。駆動装置は、スライド支持体に連結されている。駆動装置は、第1の状態および第2の状態を有し、駆動装置が第1の状態にあるとき、スライド支持体が互いに対して静止している。スライド支持体は、駆動装置が第2の状態にあるとき、互いから離れる。特定の実施形態では、手動のアクチュエータが、駆動装置を第1の状態から第2の状態へ変えるように構成される。他の実施形態では、制御部が駆動装置に連結され、アクチュエータに第1の状態または第2の状態となるように命令する。
【0010】
顕微鏡用スライドをスライドホルダーから移動させる方法は、支持体が第1の空間配列を規定する間に、複数のスライドを第1のスライドホルダーから調整可能なスライドホルダー装置のそれぞれの支持体に移送するステップを含む。支持体が第1の空間配列と異なる第2の空間配列を規定するように、支持体が互いに対して動かされる。顕微鏡用スライドは、支持体が第2の空間配列にある間に、支持体から第2のスライドホルダー装置のそれぞれのスライド保持機構(例えば、スロット、棚等)へ移送される。
【0011】
非限定的かつ非網羅的な実施形態が以下の図面を参照しながら説明される。同一の参照番号は、他に特定しない限り、さまざまな図面を通じて同様の部品または動作に言及する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】一実施形態による、伸張アセンブリが押し縮めた構成となっているスライド移送装置の等角図である。
【
図2】伸張アセンブリが伸ばした構成となっているスライド移送装置の等角図である。
【
図3】
図1のスライド移送装置の分解等角図である。
【
図5】一実施形態によるスライド移送装置の部分切断等角図である。
【
図7】一実施形態による、スライド支持体が間隔を開けた配列にあるスライド移送装置の部分切断等角図である。
【
図9】バスケットが保持するスライド、空のカセット、および、スライド移送装置を示す図である。
【
図10】スライド移送装置のスライド支持体に挿入される準備ができたバスケットに支持されるスライドを示す図である。
【
図11】それぞれのスライド支持体に挿入されたスライドを示す図である。
【
図12】スライド移送装置の支持体によって支持されるスライドから離れたバスケットを示す図である。
【
図13】カセットに挿入される準備ができたスライドを示す図である。
【
図14】カセットに挿入されたスライドを示す図である。
【
図15】スライド移送装置をカセットから離した後のスライド移送装置およびカセットを示す図である。
【
図16】一実施形態によるスライド移送装置の等角図である。
【
図17】一実施形態による自動スライド移送装置の等角図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、スライド移送装置100を示しており、このスライド移送装置100は、ハウジング110と、一連のスライド支持体120と、調整可能な間隔機構124とを含んでいる。支持体120は、ハウジング110が画定するチャンバ130の中に位置する。スライダー134の形態をしたアクチュエータをハウジング110に沿って動かすことで、間隔機構124を駆動することができる。間隔機構124は、次に、支持体120を互いから離したり、互いの方へ動かしたりする。
【0014】
使用者は、手動でスライド支持体120のピッチを調整して、広範囲のさまざまなピッチでスライドを受け、且つ配送することができる。スライダー134を矢印140で示す方向に動かすと、支持体120が互いから離れる。
図2は、支持体120が間隔を空けた直線空間配列となっているところを示す。スライド移送装置100は携帯可能であり、人が容易に持ち運ぶ(例えば、手で搬送する)ことができる。実験室環境では、スライド移送装置100を手作業により作業場の間で搬送し、スライドをバスケット、カセット、格納箱、または、ラック、ならびに、他のタイプのスライドホルダーの間で移し変えることができる。スライドは、広範囲のさまざまなタイプの病理学または組織学的機器向けに設計されたスライドホルダーの間で便利に移し変えることもできる。実施形態によっては、20枚のスライドを1分以内に(例えば、10秒未満で)移すことができる。スライドを迅速に移せば、実験室での処理量が増えるであろう。
【0015】
本明細書で使用する場合、用語「スライドホルダー」は意味の広い用語であり、格納箱、ラック、バスケット、カセット、および、顕微鏡用スライドを個別にし、間隔を空けた配列で保持することができる他の支持体またはスライドホルダーのことを概していう。実施形態によっては、スライド移送装置100は、第1のピッチでスライドを保持する第1のスライドホルダーから第2のピッチでスライドを保持する別のスライドホルダーへ顕微鏡用スライドを移送することができる。ステーナー、カバースリッパー(cover slipper)、撮像システム、その他のスライド処理機器は、多くの場合、さまざまな構成のスライドホルダーを有する。
【0016】
図1および2を参照すると、ハウジング110は、前方壁部150と、後方壁部152と、側壁部154、156とを含み、概して長方形の開口部158を画定する。支持体120は、開口部158の長手方向の長さの全体に沿って動かすことができる。スライダー134は、実質的にU字形状であり、基部171(
図3)に沿って延びており、かつ、側壁部154、156に沿って延びている。側壁部154、156は、互いに概ね同様とすることができ、したがって、他に明確に示さない限り、一方に関する説明は他方に同じように当てはまる。
図1の側壁部154は、スライダー134を入れるためのくぼみ領域157と、スライダー134を案内する一対のレール160、162とを含む。
【0017】
ハウジング110は、全体または一部を1つまたは複数のプラスチック、ポリマー、金属、これらの組合せ等から作ることができ、成形処理(射出成形、圧縮成形、他を含む)、機械加工処理、または、これらの組合せを使用して作ることができる。実施形態によっては、ハウジング110がクラムシェル式のハウジングであり、1つまたは複数の締結具(例えば、ネジ、ボルト、雄/雌のコネクターなど)、接着剤、溶接、または、これらの組合せを使用して連結することができる。クラムシェル式のハウジング110は、内部部品のまわりに便利に組み立てることができる。次に、スライダー134をこの組み立てたハウジング110に組み付けることができる。
【0018】
図3は、支持体120を示す。この支持体120は、一対の、間隔を開けて配置された概して四角い平板と、平板の間に挟まれたスペーサーとを有するスリーブとすることができる。スリーブの開口している端部は、顕微鏡用スライドが入る寸法にしてある。ピンの上側の列170およびピンの下側の列172が支持体120に連結されている。伸張装置は、少なくとも1つのはさみ機構180という形態で図示したが、ピン170、172に連結されたリンクを有する。上側のピン170は、はさみ機構180の上端部190に回転可能に連結されており、下側のピン172は、はさみ機構180の下端部192に回転可能に連結されている。はさみ機構180を広げることで、支持体120を互いから離すことができる。はさみ機構180を収縮させることで、支持体120を、実質的に均一な間隔を維持しながら、互いの方へ動かすことができる。隣り合う支持体120の間の間隔における変化は、スライダー134がハウジング110に対して移動した距離に比例させることができる。
【0019】
図3に示されるように、上側のピン170および下側のピン172は、支持体120の側面に動かないように連結できる。図示の実施形態も含むいくつかの実施形態によっては、ピン170、172がはさみ機構180の開口部を通って外まで延びている。
【0020】
駆動装置200は、はさみ機構180と、ラック・アンド・ピニオン・アセンブリ202とを含んでいる。ラック・アンド・ピニオン・アセンブリ202は、一対のラック210、212と、ピニオン214とを含む。ラック210の取り付け端部220は、受入部222に連結されている。ラック212の取り付け端部220は、受入部232に連結されている。ラック210、212の各々はラック歯車を含み、このラック歯車は、ピニオン214とかみ合う。スライダー134のピン240は、基部171にある長孔242に通してラック212にある開口部(例えば、長孔または孔173)に入れることができる。ピン240は、平行移動可能にラック212に固定することができる。スライダー134が平行移動をすると、ラック212は、ハウジング110の長孔241に沿って動く。
【0021】
図4を参照すると、支持体120は互いに概ね同様とすることができ、したがって、他に明確に示さない限り、1つのものに関する説明は他のものに等しく当てはまる。支持体120aは、受入部222に連結されている。顕微鏡用スライドは、スライド受入開口部250aから挿入して、細長いチャンバ252aに入れることができる。顕微鏡用スライド260は、支持体120bの中に置かれる。実施形態によっては、スライド受入開口部の幅をスライドの厚さよりも若干大きくすることができる。スライドが従来のスライドであれば、スライド受入開口部の幅は、約1mmから約2.5mmの範囲とすることができる。スライド受入開口部250は、約25mmから約30mmの範囲の長手方向長さを有することができる。支持体120bの側壁部の間の距離は、比較的小さくして、顕微鏡用スライド260が支持体120bに対して大きく動くことが決してないようにすることができる。
【0022】
図5および6を参照すると、ラック212が平行移動をすることで、ラック歯車の歯部により、ピニオン214が回転する。ピニオン214が回転することにより、ラック210も平行移動する。ラック210が矢印274で示される方向に平行移動するにつれ、ラック212が矢印275で示される反対方向に平行移動する。このようにして、ラック210、212は反対方向に平行移動する。
【0023】
図2、7および8を参照すると、ラック210、212は、受入部222、232を開口部158の両側の端部に位置させることができる。受入部222は、後方壁部152の近傍にある。受入部232は、前方壁部150の近傍にある。
図8における支持体120のピッチP
2は、
図4における支持体120のピッチP
1と実質的に異なる。例えば、実施形態によっては、ピッチP
2はピッチP
1より少なくとも10%大きい。他の実施形態では、ピッチP
2は、ピッチP
1よりも少なくとも50%、100%、200%または300%大きくすることができる。これ以外のピッチの変更も、必要であるか、望ましいのであれば、可能である。
図2に示されるスライダー134は、
図1に示される位置に戻し、支持体120を元通りにまとめることができる。スライダー134はまた、
図1および2に示される位置の間に配置して、中間の間隔の支持体120を得ることもできる。
【0024】
図9を参照すると、スライド移送装置100は、顕微鏡用スライド310をバスケット300からカセット320へ便利に移すことができる。スライド310の端部をそれぞれの支持体120に挿入することができる。バスケット300を取り除いた後、支持体120を移動させて、カセット320の棚322の間隔を大まかに合わせることができる。次に、スライド310をカセット320に移すことができる。移送時間を減らすために、スライド310は、バスケット300からスライド移送装置100へ同時に移すことができ、また、スライド移送装置100からカセット320へ同時に移すことができる。
【0025】
バスケット300は、ディップ・アンド・ダンク・マシン(dip and dunk machines)で使用されるスライドラックとすることができる。ディップ・アンド・ダンク・マシンは、狭い間隔で置かれた顕微鏡用スライドを保持するラックをオープンバス(open bath)に沈めることによって標本をバッチ単位で処理する。スライドラックの1つにSAKURA(登録商標)バスケットというものがある。バスケット300は、タブ、長孔、スペーサー、または、他のスライド位置決め機構を有することがある。スライド310のピッチP
Bが比較的小さく、スライド310を異なるピッチのカセット320に移すことを難しくすることがある。カセット320は、ピッチP
Bと実質的に異なるピッチP
Cを規定する棚322を有することができる。例えば、ピッチP
Cは、ピッチP
Bの2倍、3倍、4倍、5倍であることもできるし、このようなピッチを含むような範囲にあることもできる。
【0026】
スライド310は、さまざまなタイプの生体試料を保持することができる。生体試料は、患者、植物等から切除した組織標本(例えば、細胞を収集した任意のもの)のことがある。実施形態によっては、限定はしないが、生体試料に組織切片、臓器、腫瘍切片、塗抹、凍結切片、細胞学的プレップ(cytology prep)または細胞株が含まれる。切開生検、コア生検、切除生検、針吸引生検、針生検、定位生検、直視下生検、または、外科的生検を利用して標本を得ることができる。代替として、生体試料は、植物の切片、植物組織培養等のこともある。
【0027】
顕微鏡用スライドは、実質的に平坦な基板とすることができる。「実質的に平坦な基板」とは、限定はしないが、少なくとも1つの実質的に平坦な基板を有するあらゆる物をいい、より典型的には、対向する側面に2つの実質的に平坦な基板を有するあらゆる物をいい、さらに典型的には、対向する実質的に平坦な面を有し、この対向する面の大きさはほぼ等しいが、その物の他のどの面よりも大きいあらゆる物をいう。実質的に平坦な基板は、適する任意の材料で形成できる。適する材料には、ガラス、シリコン、半導体材料、金属、これらの組合せ等が含まれる。実質的に平坦な基板の非限定的な例には、従来のスライド(25.4mm(1インチ)×76.2mm(3インチ)の顕微鏡用スライド、および、25mm×75mmの顕微鏡用スライドの両方)、SELDIおよびMALDIチップ、シリコンウエハー、または、他の概して平坦な物で少なくとも1つの実質的に平坦な面を備えたものが含まれる。スライドにはカバーガラスを載せることができる。例えば、
図9のスライド310は、検体担持スライドで、カバーガラスを保持するものとすることができる。
【0028】
スライドは、(一次元または多次元のバーコードまたはインフォグリフ(infoglyph)、RFIDタグ、ブラッグ回折格子、磁気ストライプ、または、ナノバーコードのような)機械で読み取り可能なコードのあるラベルを含むことができる。機械で読み取りコードには符号化された命令があり、この符号化された命令は、特定の検体等を取り扱うために送られる液体(複数可)のタイプ、順番、タイミングを特定するものである。
【0029】
図10〜15は、スライドを移送する方法を示す。
図10を参照すると、はさみ機構180は押し縮めた状態にあり、支持体120のピッチがスライド310のピッチと実質的に等しくなっている。スライド310は、支持体120の受入開口部に位置を合わせ、挿入することができる。バスケット300から突出するスライド部分のほとんど、または、実質的に全てを支持体120の中へ移動させることができる。
【0030】
図11は、個別にしたスライド310をスライド支持体120の中に位置させたところを示す。各支持体120が1つのスライドを保持できる。スライド310の端部がそれぞれの支持体120に入った後、組み合っているバスケット300およびスライド移送装置100をおよそ180度回転させて、スライド310がバスケット300から支持体120の中へスライドできるようにすることが可能である。全てのスライド310を支持体120に装填したら、バスケット300をゆっくりと引っ張って、スライド310から離すことができる。このようにして、全ての、または、実質的に全てのスライド310をバスケット300からスライド支持体120へ同時に移すことができる。
【0031】
図12は、スライド310から切り離したバスケット300を示す。スライド310は、いつでも所望の間隔に動かすことができる。使用者は、スライダー134を手で掴んで、動かすことができる。駆動装置200は、スライドカセット320の受入開口部のピッチに実質的に等しいピッチにスライドが移動するまで、隣り合うスライド310の間隔を大きくする。
【0032】
図13は、カセット320に装填される準備ができたスライド310を示す。カセット320は、移送装置100と位置が揃えてある。スライド310のピッチは、カセット320の開口部324のピッチP
0に実質的に等しくすることができる。使用者は、スライダー134を動かしてスライド310の間隔を調整し、カセット320へ移すのに適した望ましい配列にすることができる。
【0033】
位置決め部330、332は、それぞれの受入部222、232に挿入することができる。
図14は、受入部222、232がそれぞれの機構330、332を保持し、カセット320がスライド移送装置100に対して動くのを禁止する、制限する、または、実質的に防止するところを示す。これは、スライド310の破損を回避するのに役立つことができる。はめ合わせたスライド移送装置100およびカセット320は、およそ180度回転して、スライドがスライド移送装置100から出てカセット320へスライドさせることができる。
【0034】
図15に示すように、スライド移送装置100は、矢印340で示すように、装填したカセット320から離し、スライド310を棚322に残すことができる。装填したカセット320は、所望の場所へ搬送することができる。
【0035】
移送工程は、比較的短い時間で行うことができる。応用例によっては、移送工程は約15秒より短い時間で行うことができる。故に、移送工程は、スライドをバスケット300とカセット320との間で1つずつ手により移すよりもずっと速くできる。この工程は、必要であったり、望ましかったりすれば、逆にして、スライドをカセット320からバスケット300へ戻すこともできる。スライドをスライドホルダーに移送するのに他のタイプの手法を利用することもできる。
【0036】
図16はスライド移送装置400を示しており、このスライド移送装置400は、以下に詳述する点を除き、
図1〜15との関連で論じたスライド移送装置100と概して同様である。スライド移送装置400は、支持体420のピッチを調節するように構成された調節アセンブリ410を含む。使用者は、アクチュエータ434が初期位置にあるときに支持体420のピッチを設定することができ、また、アクチュエータ434が端部位置にあるときに支持体420のピッチを設定することもできる。リセット装置440は、リセットボタンとして図示されるが、設定をリセットするのに使用することができる。
【0037】
図示の調節アセンブリ410は、支持体420の最小ピッチを設定するための阻止部450を含んでいる。しるし460を使用して阻止部450を位置決めすることができる。しるし460は、線と、関連する参照数字がある測定用のしるしという形態にすることができる。参照テーブルを使用して、所望のピッチを阻止部450の所望の設定に関連づけることができる。
【0038】
第2の阻止部462を使用してアクチュエータ434の第2の位置(例えば、端部位置)を設定することができる。実施形態によっては、これには
図16に図示の実施形態も含まれるが、第2の阻止部462を矢印464、468が示す方向に動かして、支持体420の最大ピッチを設定することができる。
【0039】
いったん阻止部450、462を位置決めすると、ボタン440を押して阻止部450、462をロックすることができる。ロックした阻止部450、462は、アクチュエータ434の移動経路を設定する。阻止部450、462の位置を変更するために、ボタン440を押すことができる。使用者は、阻止部450、462を新しい位置まで手でスライドさせることができる。阻止部450、462は、ボタン440を押すことで所定の位置にロックすることができる。このようにして、スライド移送装置400は、さまざまなピッチ設定で便利に取り扱うことができる。
【0040】
図17は自動スライド移送装置500を示しており、この自動スライド移動装置500は、ハウジング512に連結させた制御部510を含んでいる。制御部510は、駆動装置520にコマンドを送り、駆動装置520は、次に、間隔機構522を動かし、支持体530を正確に位置決めする。制御部510は、表示部540と、入力装置542とを含んでいる。表示部540は、画面または他の表示装置のことがある。入力装置542は、限定はしないが、1つまたは複数のボタン、キーボード、入力パッド、コントロールモジュール、または、他の適する入力要素を含むことができる。加えて、または、代えて、入力装置542は、送信機、受信機、または、この両方を有し、機器と無線通信をすることもできる。
【0041】
制御部510はまた、限定はしないが、1つまたは複数の中央演算処理装置、処理デバイス、マイクロプロセッサ、デジタル・シグナル・プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、リーダー等を一般的に含むことができる。情報を格納するために制御部510は、限定はしないが、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、読み出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)等のようなストレージ要素を1つまたは複数含むこともできる。格納される情報は、限定はしないが、製造業者情報(例えば、さまざまな製造業者により製造されたスライドホルダーに関する情報、製造業者が推奨するピッチ設定、他)、支持体間隔情報、実行可能なコードまたはプログラム等が含まれる。制御部510は、支持体530の望ましい位置に基づいてプログラムすることができる。使用者は、スライドホルダーについての、スライド移送装置500がスライドを移送するのに使用するであろう情報を入力することができる。制御部510は、支持体530の適切なピッチを決めることができる。
【0042】
駆動装置520は、動力源550からエネルギーを受けるモーターとすることができる。実施形態によっては、駆動装置520はステッピングモーターであり、このステッピングモーターは、1つまたは複数のバッテリーという形態の動力源550から電気エネルギーを受ける。動力源550は、駆動装置520に直接連結することができる。他の実施形態では、駆動装置520および/または動力源550がハウジング512内部に位置する。駆動装置520は、間隔機構522を、制御部510からの1つもしくは複数の信号、または、センサーからの信号に応答して動かすことができる。駆動装置520は、駆動モーター、ステッピングモーター等とすることができる。
【0043】
他のタイプの駆動装置を用いることもでき、他のタイプの駆動装置は、限定はしないが、キャリッジ(carriages)、リニアスライド(linear slides)、歯車、ベルト、動力源(例えば、バッテリー、電源等)、モーター、または、これらの組合せを含むことができる。移送装置は、顕微鏡用スライドを保持することに関連して論じた。しかし、移送装置は他のタイプの物と共に使用することもできる。他のタイプの物には、光学機器、例えば顕微鏡のような機器を使用して検査する検体(複数可)を保持するための基板または他の物が含まれる。
【0044】
なお、本明細書および添付の特許請求の範囲で使用する場合、単数形「a」、「an」および「the」は、内容が明らかに他を示さない限り、複数形にも言及する。よって、例えば、「はさみ機構」を含むスライド移送装置といった場合、1つのはさみ機構、または、複数のはさみ機構が含まれる。さらにまた、用語「または」は、一般に、内容が明らかに他を示さない限り、「および/または」を含む意味で用いられる。
【0045】
上述したさまざまな実施形態および特徴は、他の実施形態を提供するために組み合わせることができる。上記した詳細な説明に鑑み、実施形態にさまざまな変更を加えることができる。一般に、添付の特許請求の範囲では、使用された用語を明細書および特許請求の範囲で開示した特定の実施形態に特許請求の範囲を限定するものと解釈すべきではなく、むしろ、可能な全ての実施形態と共に、権利が付与された請求項の均等の範囲全てを含むものと解釈すべきである。したがって、特許請求の範囲は、開示によって限定されない。