【文献】
Advanced video coding for generic audiovisual services,ITU-T Recommendation H.264,ITU,2005年 3月,pp.i-ix,1-4,39-46,63-80,98-102,,275-278,285-288
【文献】
Shun-ichi Sekiguchi et al.,Proposal on the support of interlace format in HEVC,Joint Collaborative Team on Video Coding (JCT-VC) of ITU-T SG16 WP3 and ISO/IEC JTC1/SC29/WG11,6th Meeting: Torino, IT,2011年 7月,JCTVC-F194_r1,pp.1-3
【文献】
Kazuo Sugimoto et al.,High level syntax to support interlace format,Joint Collaborative Team on Video Coding (JCT-VC) of ITU-T SG16 WP3 and ISO/IEC JTC1/SC29/WG11,7th Meeting: Geneva, CH,2011年11月,JCTVC-G450,pp.1-4
【文献】
Keiichi Chono and Hirofumi Aoki,AHG13: On interlace indication,Joint Collaborative Team on Video Coding (JCT-VC) of ITU-T SG16 WP3 and ISO/IEC JTC1/SC29/WG11,8th Meeting: San Jose, CA, USA,2012年 1月,JCTVC-H0056,pp.1-5
【文献】
Kazuo Sugimoto et al.,AHG13: Proposed interlace format indication for HEVC,Joint Collaborative Team on Video Coding (JCT-VC) of ITU-T SG16 WP3 and ISO/IEC JTC1/SC29/WG11,8th Meeting: San Jose, CA, USA,2012年 2月,JCTVC-H0588r1,pp.1-2
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記動画像形式情報に対応して設定される、前記符号化ビットストリームを復号する際に対象ピクチャの表示方式を示す表示パラメータを生成する表示パラメータ生成ステップをさらに含み、
前記表示パラメータは、前記表示対象ピクチャを前記フレームとして表示するか、または前記フィールドとして表示するかを示し、前記符号化ステップにおいて、前記ピクチャ単位の拡張情報領域に書き込まれる
請求項1記載の符号化方法。
【発明を実施するための形態】
【0022】
(本実施形態に至った経緯)
本発明が解決しようとする課題の欄において説明したように、現在標準化が行われているHEVCではプログレッシブ形式に対してのみの符号化方法が定義されており、インターレース形式のコンテンツを符号化することができない。
【0023】
インターレース形式に対応するためには、
図21を用いて説明したようなH.264と同様の符号化制御を導入する方法が考えられる。
【0024】
しかし、この方法を導入すると、符号化対象ピクチャがP_Frm7のようにフレーム構造のものなのか、P_FldT1のようにトップフィールド構造のものなのか、P_FldB2のようにボトムフィールド構造のものなのかを区別して符号化および復号化処理を行わなくてはならない。
【0025】
また、HEVCでは過去に符号化したピクチャの符号化情報を参照して符号化対象のピクチャの符号化処理を行う。そのため、例えば符号化対象がP_Frm7で符号化情報を参照するピクチャがP_FldT1とP_FldB2であった場合、フィールド構造の2枚のピクチャの符号化情報をフレーム構造の1枚のピクチャの符号化情報に加工して参照しなくてはならない。したがって、処理が非常に複雑になってしまう。
【0026】
そこで、本実施形態の動画像符号化装置では、動画像形式情報がプログレッシブ形式を示す場合、動画像信号における1枚のフレームをピクチャとして設定し、動画像形式情報がインターレース形式を示す場合、動画像信号における1枚のフィールドをピクチャとして設定する。そして、設定したピクチャに含まれる画素データを、動画像形式に依存しない共通の信号処理方式および共通のシンタックス構造を用いて符号化する。
【0027】
また、本実施形態の動画像復号化装置では、動画像形式に依存しない共通のシンタックス解析および共通の信号処理方式を用いて第1符号列を復号化し、ピクチャを取得する。そして、表示制御情報がプログレッシブ形式を示す場合、取得したピクチャを1枚のフレームと設定してフレームを表示順に1枚ずつ出力し、表示制御情報がインターレース形式を示す場合、取得したピクチャを1枚のフィールドと設定して対になるトップフィールドとボトムフィールドを取得した時点で表示順に出力する。
【0028】
以下、本実施形態の動画像符号化装置及び動画像復号化装置について詳しく説明する。
【0029】
(実施の形態1)(符号化処理)
実施形態1について、図面を参照しながら説明する。
【0030】
1.動画像符号化装置の構成
図1は、本実施形態に係る動画像符号化装置のブロック図である。
【0031】
この動画像符号化装置100は、ピクチャ設定部101と、動画像形式指定部102と、表示制御情報生成部103と、第2符号列生成部104と、ピクチャデータ符号化部110とを備えている。また、ピクチャデータ符号化部110は、ピクチャメモリ111と、予測残差符号化部112と、予測残差復号化部113と、ローカルバッファ114と、予測符号化部115と、量子化値決定部116と、第1符号列生成部117とを含む。
【0032】
ピクチャ設定部101は、表示を行う順にピクチャ単位で入力される入力画像信号151を、動画像形式指定部102から入力される動画像形式信号152に従って、符号化を行う順にピクチャの並び替えを行ってピクチャデータ符号化部110に出力する。このとき、ピクチャの動画像形式がプログレッシブ形式であれば入力画像信号151の1枚のフレームを1枚のピクチャとして設定し、動画像形式がインターレース形式であれば入力画像信号151の1枚のフィールドを1枚のピクチャとして設定する。
【0033】
ピクチャデータ符号化部110は、ピクチャ設定部101から入力された各ピクチャをブロックに分割し、ブロック単位で符号化処理を行ってピクチャデータの符号列を生成する。このとき、動画像形式がプログレッシブ形式であるかインターレース形式であるかに依存することなく、ピクチャ単位で共通の符号化処理が適用され、その結果生成されるピクチャデータの符号列も共通のシンタックスを持つ。
【0034】
動画像形式指定部102は外部からの指定もしくは入力された画像信号の情報を基に、符号化対象の動画像がプログレッシブ形式であるかインターレース形式であるかを決定する。そして、動画像形式指定部102は、動画像形式信号152を表示制御情報生成部103およびピクチャ設定部101に出力する。
【0035】
表示制御情報生成部103は、動画像形式指定部102から入力された動画像形式信号152に従って、表示制御情報信号153を生成し、第2符号列生成部104に出力する。
【0036】
ここで、表示制御情報信号153は、当該動画像符号化装置100に対応する動画像復号化装置において復号化画像を表示する際に使用する制御情報信号である。
【0037】
第2符号列生成部104は、表示制御情報生成部103が出力する表示制御情報信号153と、シーケンス単位およびピクチャ単位の符号化制御に関する情報をヘッダ情報として符号化し、ピクチャ上位層符号列を生成する。さらに、第2符号列生成部104は、生成したピクチャ上位層符号列と、ピクチャデータ符号化部110が生成するピクチャデータの符号列とを対応づけ、最終的な出力である符号列信号154を生成する。
【0038】
次に、ピクチャデータ符号化部110の処理について説明する。
【0039】
ピクチャメモリ111は、ピクチャ設定部101から出力されたピクチャ単位の入力画像に対して、複数の画素から構成されるブロックへの分割を行う。ブロックは、符号化処理単位である。分割されたブロック単位で、差分演算部118、予測符号化部115、量子化値決定部116からの読出し命令に応じて対応する画像信号をそれぞれ出力する。このブロックは、例えば水平64×垂直64画素、水平32×垂直32画素、水平16×垂直16画素から成る。つまり、このブロックのサイズは、以降の処理が可能なサイズであればどのようなサイズでも構わない。
【0040】
予測残差符号化部112は、差分演算部118から出力される差分画像信号161に対して直交変換を行う。さらに、予測残差符号化部112は、得られた各周波数成分の直交変換係数を量子化し、残差符号化信号162を生成する。そして、予測残差符号化部112は、生成した残差符号化信号162を、予測残差復号化部113および第1符号列生成部117に出力する。このとき予測残差符号化部112は、量子化値決定部116において決定された量子化値を用いて直交変換係数を量子化する。
【0041】
予測残差復号化部113は、予測残差符号化部112から出力される残差符号化信号162に対して、逆量子化および逆直交変換を行うことで差分画像情報の復元を行う。そして、予測残差復号化部113は、生成した残差復号化信号163を加算演算部119に出力する。
【0042】
ローカルバッファ114は、加算演算部119から出力される再構成画像信号164を格納する。この再構成画像信号164は、現在符号化対象となっているピクチャ以降のピクチャの符号化における予測符号化処理において参照用の画素データとして使用される。ローカルバッファ114は、予測符号化部115からの読出し命令に応じて、格納している再構成画像信号164を画素データとして予測符号化部115へ出力する。
【0043】
予測符号化部115は、ピクチャメモリ111から出力される画像信号を基に、画面内予測、または画面間予測を用いて予測画像信号165を生成する。そして、予測符号化部115は、生成した予測画像信号165を差分演算部118よび加算演算部119に出力する。なお、予測符号化部115は、画面間予測を用いる際は、ローカルバッファ114に蓄積される既に符号化済みの過去のピクチャの再構成画像信号164を用いる。また、画面内予測を用いる際は、符号化対象ブロックに隣接する既に符号化済みブロックの現在のピクチャの再構成画像信号164を用いる。画面内予測を用いるか画面間予測を用いるかのモード判定は、どちらの予測方法がより残差信号の情報量(残差符号化信号162、符号列信号154等の情報量)を少なくできるかを推定して行われる。
【0044】
量子化値決定部116は、ピクチャメモリ111に格納されるピクチャに基づいて、予測残差符号化部112で差分画像信号161を量子化する際の量子化値を決定する。なお、量子化値決定部116における量子化値の決定方法として、符号列信号154のビットレートが、目標とするビットレートに近づくように量子化値を設定する、いわゆるレート制御に基づく量子化値の決定方法を用いてもよい。
【0045】
第1符号列生成部117は、予測残差符号化部112が出力する残差符号化信号162と、予測符号化部115が出力する予測情報信号166と、量子化値決定部116が出力する量子化値と、その他の符号化制御に関する情報を可変長符号化することでピクチャデータの符号列を生成する。
【0046】
差分演算部118は、ピクチャメモリ111から読み出された画像信号と予測符号化部115から出力される予測画像信号165との差分値である差分画像信号161を生成する。そして、差分演算部118は、生成した差分画像信号161を予測残差符号化部112に出力する。
【0047】
加算演算部119は、予測残差復号化部113から出力される残差復号化信号163と予測符号化部115から出力される予測画像信号165とを加算することにより再構成画像信号164を生成する。そして、加算演算部119は、生成した再構成画像信号164をローカルバッファ114に出力する。
【0048】
2.表示制御情報の生成方法
動画像形式指定部102から動画像形式信号152を受けて、表示制御情報生成部103で表示制御情報信号153を生成して第2符号列生成部104において符号列に記述する方法、および、ピクチャ設定部101において入力画像を符号化順に並び替える方法について、
図2の符号化処理全体のフローチャートを用いて具体的に説明する。
【0049】
まず、第2符号列生成部104はシーケンス単位でのヘッダ領域の符号列生成を行う(S501)。具体的には、第2符号列生成部104は、表示制御情報生成部103によって生成されたシーケンス単位の表示制御情報を、符号列におけるシーケンス単位でのヘッダ領域に記述する。なお、表示制御情報生成部103は、動画像形式指定部102によって指定された動画像形式に応じて、シーケンス単位の表示制御情報を生成する。
【0050】
次に、第2符号列生成部104はピクチャ単位でのヘッダ領域の符号列生成を行う(S502)。具体的には、第2符号列生成部104は、表示制御情報生成部103によって生成されたピクチャ単位の表示制御情報を、符号列におけるピクチャ単位での拡張情報領域に記述する。なお、表示制御情報生成部103は、動画像形式指定部102によって指定された動画像形式に応じてピクチャ単位の表示制御情報を生成する。
【0051】
次に、ピクチャ設定部101は、表示順で入力される入力画像を符号化順に並び替え、符号化対象とするピクチャを選択する(S503)。具体的には、ピクチャ設定部101は、動画像形式指定部102によって指定された動画像形式に応じて入力画像の並び替えを行う。
【0052】
次に、ピクチャデータ符号化部110は、
図1を用いて説明した一連の符号化処理を行い、ピクチャデータの符号列を生成する(S504)。なお、ステップS504では、動画像形式がプログレッシブ形式であってもインターレース形式であっても全く区別することなく共通の符号化処理が適用される。
【0053】
次に、現在処理中の符号化対象ピクチャの処理が完了すると、ステップS502に戻って次のピクチャの符号化処理に移り、シーケンス内の全てのピクチャの符号化処理が完了するまでステップS502からステップS504の処理を繰り返す(S505)。
【0054】
3.ピクチャの並び替え
ステップS503におけるピクチャの並び替え処理について、
図3、
図4、
図5を用いて詳しく説明する。
【0055】
動画像形式がプログレッシブ形式であった場合のピクチャの並び替え方法の一例として
図3に示すような方法がある。この並び替え方法は
図20を用いて説明した従来のプログレッシブ形式の処理と全く同様である。入力された1枚のフレームは1枚のピクチャとして並び替えて符号化される。画面間予測では符号化順で先に符号化が完了しているピクチャのみを参照することができる。つまり、
図3のような並び替えを行なった場合、P_1はI_0のみが参照可能となり、B_2はI_0とP_1が参照可能となる。これを表示順に置き換えて考えると、P_1はFrm3に相当するので前方向にあるFrm0のみを参照可能となり、B_2はFrm1に相当するので前方向にあるFrm0と後方向にあるFrm3とが参照可能となる。このようにピクチャの符号化順の並び替えを行うことにより、画面間予測における参照ピクチャの参照方法を制御することが可能となり、より効果的な予測を行うことができる。なお、I_0は他のピクチャを参照することなく画面内予測のみを行うピクチャである。
【0056】
一方、動画像形式がインターレース形式であった場合のピクチャの並び替え方法の一例として
図4および
図5に示すような方法がある。これは
図21を用いて説明した従来のインターレース形式の処理とは異なり、入力された1枚のフィールドを常に1枚のピクチャとして並び替えて符号化する。また、表示順を指定する情報であるPOCも常に1枚のピクチャに対して1つずつ割り当てられる。並び替えた各ピクチャはトップフィールドであるかボトムフィールドであるかを区別することなく、プログレッシブ形式を入力とした場合と全く同じ方法でピクチャ毎に符号化処理が行われる。
【0057】
なお、
図4の例では、1つのフレームに属するトップフィールドとボトムフィールドが常にペアになって並び替えが行われる。例えばFldT6とFldB7はP_2とP_3として並び替えられ、符号化順が常に連続するようになっている。他のピクチャに関しても全て同様である。このような並び替えを行うことにより、入力されたトップフィールドとボトムフィールドとを連続して符号化処理に回すことが可能となり、ピクチャ設定部101におけるメモリ管理処理を単純化することができる。
【0058】
それに対して、
図5では、トップフィールドとボトムフィールドがどのフレームに属するかとは無関係に並び替えが行われる。符号化構造だけを見ると
図3で説明したプログレッシブ形式の場合と全く同様の構造となっているが、例えばFldT6とFldB7はP_4とB_8として並び替えられ、符号化順が4ピクチャ分、離れてしまっている。他のピクチャに関しても同様に1ピクチャから4ピクチャ分離れた符号化順となる。このような並び替えを行うことにより、プログレッシブ形式とインターレース形式とで全く同様の符号化順で処理を行うことが可能となる。しかし、入力されたトップフィールドとボトムフィールドとを最大4ピクチャ分ずらして符号化処理に回すことが必要であり、ピクチャ設定部101におけるメモリ管理処理が複雑になる。
【0059】
4.符号列構成およびシンタックス
次に、本実施の形態によって生成される符号列の構成を
図6を用いて説明する。
【0060】
第2符号列生成部104が出力する符号列信号154が示す符号列は、シーケンス単位の符号化制御情報を記述したシーケンスヘッダ領域、ピクチャ単位の符号化制御情報を記述したピクチャヘッダ領域、ピクチャ単位の補助情報を記述した拡張情報領域、およびピクチャデータで構成される。このとき、
図2のステップS501で説明したシーケンス単位の表示制御情報は、シーケンスヘッダ領域に記述される。さらに、
図2のステップS502で説明したピクチャ単位の表示制御情報は、拡張情報領域に記述される。なお、表示制御情報以外の各情報は、動画像形式がプログレッシブ形式であってもインターレース形式であっても全く区別することなく共通のシンタックスで符号列に記述される。
【0061】
ここで、シーケンス単位の表示制御情報が記述されるシーケンスヘッダ領域のシンタックスについて
図7を用いて詳しく説明する。なお、
図7では本実施形態に関連するシンタックス以外は省略して記載している。
【0062】
シーケンスヘッダは、seq_parameter_set_data()にあるシンタックス構成で符号化される。シーケンス単位の表示制御情報としては、interlace_flag、continual_flag、max_distance_numの3つのパラメータがある。これらのパラメータは、シーケンスヘッダ内にある映像情報を集めたvui_parameters()の領域に記述される。
【0063】
interlace_flagは、対象シーケンスの動画像形式がプログレッシブ形式であるかインターレース形式であるかを指定する。具体的にinterlace_flagは、対象シーケンスの動画像形式がプログレッシブ形式であれば0の値を、インターレース形式であれば1の値を持つ。なお、上記の構成に限定されるものではなく、interlace_flagは、プログレッシブ形式であれば1の値を、インターレース形式であれば0の値を持ってもよい。
【0064】
continual_flagは、対象シーケンスの動画像形式がインターレース形式であった場合、同じフレームに属するトップフィールドとボトムフィールドとが符号化順で常に連続した位置関係にあるかどうかを指定する。具体的に、continual_flagは、同じフレームに属するトップフィールドとボトムフィールドとが符号化順で常に連続した位置関係になければ0の値を、常に連続した位置関係にあれば1の値を持つ。つまり、continual_flagは、
図4で説明したような並び替えを行う場合は1の値、
図5で説明したような並び替えを行う場合は0の値となる。このパラメータを用いることにより、対応する復号化装置において、常に連続する2枚のピクチャをペアとして復号化および表示制御を行うことが可能であるかどうかが分かる。これにより、復号化可否判断を容易に行うことが可能となる。なお、上記の構成に限定されるものではなく、continual_flagは、同じフレームに属するトップフィールドとボトムフィールドとが符号化順で常に連続した位置関係になければ1の値を、常に連続した位置関係にあれば0の値を持ってもよい。
【0065】
max_distance_numは、continual_flagが0の値であった場合、同じフレームに属するトップフィールドとボトムフィールドとが符号化順で離れている最大のピクチャ枚数を指定する。例えば、
図5で説明したような並び替えを行う場合は、P_4とB_8とが最も離れている組み合わせであり前記最大枚数は4となる。このパラメータを用いることにより、本動画像符号化装置100と対応する復号化装置において、同じフレームに属するトップフィールドとボトムフィールドとが揃うまでに待つ必要のあるピクチャ枚数を特定することが可能となる。これにより、復号化可否判断および必要なピクチャメモリ容量の特定を容易に行うことが可能となる。
【0066】
なお、ここで説明したパラメータ名およびパラメータ値は一例であり、これ以外のパラメータ名およびパラメータ値を用いて同様の機能を実現してもよい。また、ここで説明した全てのパラメータを使用せずに1部のパラメータのみを使用してもよい。また、ここではvui_parameters()の領域に上記各パラメータを記述する例を説明したが、シーケンス単位の制御情報が記述できる領域であればこれ以外の領域に記述してもよい。
【0067】
次に、ピクチャ単位の表示制御情報が記述される拡張情報領域のシンタックスについて
図8を用いて詳しく説明する。なお、
図8では本実施形態に関連するシンタックス以外は省略して記載している。
【0068】
拡張情報領域は、複数のSEI(Supplemental Enhancement Information)と呼ばれるパラメータ群から構成されている。
図8のpic_timing_SEI()は、前記SEIの1つであり、符号化対象ピクチャの復号化タイミングおよび表示タイミングを指定する役割を持っている。ピクチャ単位の表示制御情報としては、pic_struct、field_pair_POCの2つのパラメータがある。これらのパラメータは、pic_timing_SEI()の領域に記述される。
【0069】
pic_structは、符号化対象ピクチャの表示方式を指定するパラメータである。プログレッシブ形式におけるフレームとして表示する場合は0の値を、インターレース形式のトップフィールドとして表示する場合は1の値を、インターレース形式のボトムフィールドとして表示する場合は2の値を、それ以外の方式で表示する場合はそれに応じた値を持つ。なお、上記の構成に限定されるものではなく、例えば、pic_structは、プログレッシブ形式におけるフレームとして表示する場合は1の値を、インターレース形式のトップフィールドとして表示する場合は0の値を、インターレース形式のボトムフィールドとして表示する場合は2の値を、それ以外の方式で表示する場合はそれに応じた値を持ってもよい。つまり、pic_structは、少なくとも、プログレッシブ形式におけるフレームとして表示する場合、インターレース形式のトップフィールドとして表示する場合、インターレース形式のボトムフィールドとして表示する場合を識別できる情報であればどのような値でも構わない。
【0070】
field_pair_POCは、pic_structによって符号化対象ピクチャがインターレース形式のトップフィールドもしくはボトムフィールドとして表示することが指定された場合、同じフレームに属する対となるフィールドのPOCを示す情報である。例えば、
図4において、符号化対象ピクチャがP_2であった場合、対となるピクチャはP_3なので、field_pair_POCは7となる。また同様に、
図5において、符号化対象ピクチャがB_8であった場合、対となるピクチャはP_4なので、field_pair_POCは6となる。このパラメータを用いることにより、対応する復号化装置において、同じフレームに属するトップフィールドとボトムフィールドとがどのピクチャであるかを判定することが可能となり、インターレース形式に対応した表示制御を行うことが可能となる。
【0071】
なお、field_pair_POCは、POC値をそのまま指定する代わりに、POCの差分値で指定してもよい。例えば、
図4において、符号化対象ピクチャがP_2であった場合、対となるピクチャはP_3なので、field_pair_POCは7−6=1となる。また同様に、
図5において、符号化対象ピクチャがB_8であった場合、対となるピクチャはP_4なので、field_pair_POCは6−7=−1となる。このように差分値を用いることにより、より少ない符号量で対となるピクチャを指定することが可能となる。
【0072】
なお、
図7で説明したcontinual_flagが1の値であった場合は、同じフレームに属するトップフィールドとボトムフィールドとが符号化順で常に連続した位置関係にあることが保証される。したがって、対となるピクチャを容易に特定することができるため、field_pair_POCを記述しなくてもよい。
【0073】
なお、ピクチャ単位の表示制御情報である、pic_struct、field_pair_POCは、対象シーケンスの動画像形式がインターレース形式であった場合のみ記述してもよい。その場合、pic_structは、符号化対象ピクチャをトップフィールドとして表示する場合とボトムフィールドとして表示する場合を識別できる情報であればよい。
【0074】
なお、ここで説明したパラメータ名およびパラメータ値は一例であり、これ以外のパラメータ名およびパラメータ値を用いて同様の機能を実現してもよい。また、ここで説明した全てのパラメータを使用せずに1部のパラメータのみを使用してもよい。また、ここではpic_timing_SEI()の領域に上記各パラメータを記述する例を説明したが、ピクチャ単位の制御情報が記述できる領域であればこれ以外の領域に記述してもよい。
【0075】
5.まとめ
5−1.構成
本実施形態の動画像符号化装置100は、入力される動画像信号をピクチャ単位で符号化する。動画像符号化装置100は、
動画像信号の動画像形式がインターレース形式およびプログレッシブ形式のうちいずれの形式であるかを示す動画像形式情報を取得する動画像形式指定部102(動画像形式情報取得部)と、
符号化後の動画像信号が示す動画像を動画像形式情報が示す動画像形式の動画像として表示する際に利用する表示制御情報を、動画像形式情報に基づいて生成する表示制御情報生成部103と、
動画像形式情報がプログレッシブ形式を示す場合、動画像信号における1枚のフレームをピクチャとして設定しかつ符号化順に並び替え、動画像形式情報がインターレース形式を示す場合、動画像信号における1枚のフィールドをピクチャとして設定しかつ符号化順に並び替えるピクチャ設定部101と、
設定したピクチャに含まれる画素データを符号化処理単位であるブロック毎に、動画像形式に依存しない共通の信号処理方式および共通のシンタックス構造を用いて符号化することでブロック層符号列を生成し、さらに画素データを符号化する際にスライス単位で適用した符号化制御情報を、動画像形式に依存しない共通の信号処理方式および共通のシンタックス構造を用いて符号化することでスライス層符号列を生成し、ブロック層符号列とスライス層符号列を対応づけた第1符号列を出力するピクチャデータ符号化部110と、
画素データを符号化する際にピクチャ単位で適用した符号化制御情報、シーケンス単位で適用した符号化制御情報および表示制御情報を符号化してピクチャ上位層符号列を生成する第2符号列生成部104(ピクチャ上位層符号化部)と、
第1符号列およびピクチャ上位層符号列を対応づけた第2符号列を出力する第2符号列生成部104と、を備える。
【0076】
また好ましくは、表示制御情報生成部103は、符号化対象とするシーケンスに属する全てのピクチャの表示処理において共通して使用されるシーケンス単位表示制御情報と、符号化対象とするピクチャの表示処理において個別に使用されるピクチャ単位表示制御情報とから構成される表示制御情報を生成する。
【0077】
また好ましくは、第2符号列生成部104(ピクチャ上位層符号化部)は、ピクチャ上位層符号列のうちシーケンス単位で生成するシーケンスヘッダに含まれる映像情報領域に対して、シーケンス単位表示制御情報を格納する。
【0078】
また好ましくは、第2符号列生成部104(ピクチャ上位層符号化部)は、ピクチャ上位層符号列のうち同じシーケンスに属する各ピクチャの各拡張情報領域に対して、全て同じ値のシーケンス単位表示制御情報を格納する。
【0079】
また好ましくは、第2符号列生成部104(ピクチャ上位層符号化部)は、ピクチャ上位層符号列のうちピクチャ単位で生成する拡張情報領域に対して、ピクチャ単位表示制御情報を格納する。
【0080】
また好ましくは、表示制御情報生成部103は、符号化対象の動画像信号がプログレッシブ形式であるかインターレース形式であるかを識別する第1の識別子を含むシーケンス単位表示制御情報を生成する。
【0081】
また好ましくは、表示制御情報生成部103は、符号化対象の動画像信号がインターレース形式である場合、同じフレームに属する2つのフィールドが当該シーケンスにおいて常に符号化順で互いに連続しているか否かを識別する第2の識別子を含むシーケンス単位表示制御情報を生成する。
【0082】
また好ましくは、表示制御情報生成部103は、符号化対象の動画像信号がインターレース形式である場合、同じフレームに属する1つ目のフィールドと2つ目のフィールドの符号化順における間隔の当該シーケンスにおける最大値を示す情報を含むシーケンス単位表示制御情報を生成する。
【0083】
また好ましくは、表示制御情報生成部103は、符号化対象とするピクチャの表示処理において、(1)プログレッシブ形式の動画像信号に属する1つのフレームとして表示するか、(2)インターレース形式の動画像信号に属するトップフィールドとして表示するか、(3)インターレース形式の動画像信号に属するボトムフィールドとして表示するか、(4)その他の方式で表示するかを指定する第3の識別子を含むピクチャ単位表示制御情報を生成する。
【0084】
また好ましくは、表示制御情報生成部103は、符号化対象の動画像信号がインターレース形式である場合にのみ、符号化対象とするピクチャの表示処理において、(1)インターレース形式の動画像信号に属するトップフィールドとして表示するか、(2)インターレース形式の動画像信号に属するボトムフィールドとして表示するかを指定する第3の識別子を含むピクチャ単位表示制御情報を生成する。
【0085】
また好ましくは、表示制御情報生成部103は、符号化対象ピクチャを復号化して表示する際に、インターレース形式の動画像信号に属するトップフィールドもしくはボトムフィールドとして表示する場合、符号化対象ピクチャと同じフレームに属する対となるピクチャを指定する指定情報を含むピクチャ単位表示制御情報を生成する。
【0086】
また好ましくは、表示制御情報生成部103は、指定情報として、符号化対象ピクチャと同じフレームに属する対となるピクチャに割り当てられている表示順情報を記述する。
【0087】
また好ましくは、表示制御情報生成部103は、指定情報として、符号化対象ピクチャに割り当てられている表示順情報と、符号化対象ピクチャと同じフレームに属する対となるピクチャに割り当てられている表示順情報との差分値を記述する。
【0088】
本実施形態の動画像符号化方法は、入力される動画像信号をピクチャ単位で符号化する。この動画像符号化方法は、
動画像信号の動画像形式がインターレース形式およびプログレッシブ形式のうちいずれの形式であるかを示す動画像形式情報を取得し、
符号化後の動画像信号を動画像形式情報が示す動画像形式の動画像信号として表示する際に利用する表示制御情報を、動画像形式情報に基づいて生成し、
動画像形式情報がプログレッシブ形式を示す場合、動画像信号における1枚のフレームをピクチャとして符号化順に並び替えて設定し、一方動画像形式情報がインターレース形式を示す場合、動画像信号における1枚のフィールドをピクチャとして符号化順に並び替えて設定し、
設定したピクチャに含まれる画素データを符号化処理単位であるブロック毎に、動画像形式に依存しない共通の信号処理方式および共通のシンタックス構造を用いて符号化することでブロック層符号列を生成し、さらに画素データを符号化する際にスライス単位で適用した符号化制御情報を、動画像形式に依存しない共通の信号処理方式および共通のシンタックス構造を用いて符号化することでスライス層符号列を生成し、ブロック層符号列とスライス層符号列を対応づけた第1符号列を出力し、
画素データを符号化する際にピクチャ単位で適用した符号化制御情報、シーケンス単位で適用した符号化制御情報および表示制御情報を符号化してピクチャ上位層符号列を生成し、
第1符号列およびピクチャ上位層符号列を対応づけた第2符号列を出力する。
【0089】
5−2.効果等
本実施の形態による動画像符号化装置100を用いることにより、プログレッシブ形式の動画像を入力とした場合も、インターレース形式の動画像を入力とした場合も、処理量を増加させることなく共通の制御でピクチャデータの符号化処理を行うことが可能となり、符号化装置の実装を容易に行うことができる。
【0090】
(実施の形態2)(復号化処理)
実施形態2について、図面を参照しながら説明する。
【0091】
1.動画像復号化装置の構成
図9は、本実施形態に係る動画像復号化装置のブロック図である。
【0092】
この動画像復号化装置200は、第2符号列解析部201と、表示制御情報解析部202と、ピクチャデータ復号化部210と、出力ピクチャ設定部203を備えている。また、ピクチャデータ復号化部210は、第1符号列解析部211と、予測残差復号化部212と、ピクチャメモリ213と、予測復号化部214と、量子化値決定部215とを含む。
【0093】
第2符号列解析部201は、入力された符号列信号251に含まれるヘッダ情報の符号列から、表示制御情報および、シーケンス単位およびピクチャ単位の復号化制御に関する情報を抽出する。そして、第2符号列解析部201は、抽出した情報を表示制御情報信号252として表示制御情報解析部202へ出力する。
【0094】
ピクチャデータ復号化部210は、入力された符号列信号251に含まれるピクチャデータの符号列に対して、ブロック単位で復号化処理を行って対象ピクチャの復号化画像を生成する。このとき、動画像形式がプログレッシブ形式であるかインターレース形式であるかに依存することなく、ピクチャとして共通の復号化処理が適用され、また復号化の対象となるピクチャデータの符号列も共通のシンタックスを持つ。
【0095】
表示制御情報解析部202は、第2符号列解析部201から出力される表示制御情報信号252を解析して、復号化対象の動画像がプログレッシブ形式であるかインターレース形式であるかを決定する。そして、表示制御情報解析部202は、決定結果に基づく表示制御信号253を出力ピクチャ設定部203に出力する。
【0096】
出力ピクチャ設定部203は、表示制御情報解析部202から出力された表示制御信号253に従って、ピクチャデータ復号化部210が生成した復号化済みのピクチャを、出力を行う順に並び替える。そして、出力ピクチャ設定部203は、並び替えた後のピクチャを出力画像信号254として外部に出力する。出力画像信号254はプログレッシブ形式とインターレース形式との双方があり、プログレッシブ形式の場合は1枚のピクチャを1枚のフレームとして、インターレース形式の場合は1枚のピクチャを1枚のフィールドとして表示制御が行われる。
【0097】
次に、ピクチャデータ復号化部210の処理について説明する。
【0098】
第1符号列解析部211は、入力された符号列信号251のピクチャデータの符号列に対して可変長復号化を施すことにより復号化制御情報の解析およびブロック単位のピクチャデータの解析を行う。第1符号列解析部211は、解析して得られる残差符号化信号261を予測残差復号化部212へ出力する。さらに、第1符号列解析部211は、解析して得られる予測情報信号265を予測復号化部214へ出力する。さらに、第1符号列解析部211は、解析して得られる量子化値情報を量子化値決定部215へ出力する。
【0099】
予測残差復号化部212は、第1符号列解析部211から出力される残差符号化信号261に対して、逆量子化および逆直交変換を行うことで残差復号化信号262を生成し、加算演算部216に出力する。このとき予測残差復号化部212は、量子化値決定部215において決定された量子化値を用いて残差符号化信号261を逆量子化する。
【0100】
ピクチャメモリ213は、加算演算部216から出力される再構成画像信号263を格納する。この再構成画像信号263は、現在復号化対象となっているピクチャ以降のピクチャの復号化における予測符号化処理において参照用の画素データとして使用される。ピクチャメモリ213は、予測復号化部214からの読出し命令に応じて、格納している再構成画像信号263を画素データとして予測復号化部214へ出力する。また同時に、この再構成画像信号263は最終的な出力画像として出力ピクチャ設定部203へも出力される。
【0101】
予測復号化部214は、第1符号列解析部211から出力される予測情報信号265を基に、画面内予測、または画面間予測を用いて予測画像信号264を生成し、加算演算部216に出力する。なお、予測復号化部214は、画面間予測を用いる際は、ピクチャメモリ213に蓄積される既に復号化済みの過去のピクチャの再構成画像信号263を用いる。また、画面内予測を用いる際は、復号化対象ブロックに隣接する既に復号化済みのブロックの現在のピクチャの再構成画像信号263を用いる。画面内予測を用いるか画面間予測を用いるかの判定は、入力される予測情報信号265に従って行われる。
【0102】
加算演算部216は、予測残差復号化部212から出力される残差復号化信号262と予測復号化部214から出力される予測画像信号264を加算することによって再構成画像信号263を生成し、ピクチャメモリ213に出力する。
【0103】
2.表示制御方法
表示制御情報解析部202で表示制御情報を解析し、出力ピクチャ設定部203において復号化済みのピクチャを出力順に並び替えて出力画像とする方法について、
図10の復号化処理全体のフローチャートを用いて具体的に説明する。
【0104】
まず、第2符号列解析部201はシーケンス単位のヘッダ領域の符号列解析を行う(S1401)。このとき、表示制御情報解析部202はシーケンス単位の表示制御情報を取得する。
【0105】
次に、第2符号列解析部201はピクチャ単位のヘッダ領域の符号列解析を行う(S1402)。このとき、表示制御情報解析部202はピクチャ単位の表示制御情報を取得する。
【0106】
次に、ピクチャデータ復号化部210は、
図9を用いて説明した一連の復号化処理を行い対象ピクチャの復号化画像を生成する(S1403)。なお、ステップS1403では、動画像形式がプログレッシブ形式であってもインターレース形式であっても全く区別することなく共通の復号化処理が行われる。
【0107】
次に、出力ピクチャ設定部203は、復号化順に蓄積されている復号化画像を表示順に並び替え、表示対象とするピクチャを選択する処理を行う(S1404)。このとき、出力ピクチャ設定部203は、表示制御情報解析部202によって解析された表示制御方法に従ってピクチャの並び替えを行う。
【0108】
次に、現在処理中の復号化対象ピクチャの処理が完了すると、ステップS1402に戻って次のピクチャの復号化処理に移り、シーケンス内の全てのピクチャの復号化処理が完了するまでステップS1402からステップS1404の処理を繰り返す(S1405)。
【0109】
3.ピクチャの並び替え
ステップS1404におけるピクチャの並び替え処理について、
図11、
図12、
図13を用いて詳しく説明する。
【0110】
動画像形式がプログレッシブ形式であった場合のピクチャの並び替え方法の一例として
図11に示すような方法がある。この並び替えは、
図3を用いて説明した符号化装置におけるプログレッシブ形式の並び替え処理を逆にしたものであり、復号化された1枚のピクチャを1枚のフレームとして並び替えて表示する。
【0111】
一方、動画像形式がインターレース形式であった場合のピクチャの並び替え方法の一例として
図12および
図13に示すような方法がある。この並び替えは
図4および
図5を用いて説明した符号化装置におけるインターレース形式の並び替え処理を逆にしたものであり、復号化された1枚のピクチャは常に1枚のフィールドとして並び替えて表示される。
【0112】
なお、
図12では、1つのフレームに属するトップフィールドとボトムフィールドが常にペアで並び替えが行われている。例えばP_2とP_3はFldT6とFldB7として並び替えられ、表示順が常に連続するようになっている。他のピクチャに関しても全て同様である。このような並び替えを行うことにより、復号化されたトップフィールドとボトムフィールドとを連続して表示処理に回すことが可能となり、出力ピクチャ設定部203におけるメモリ管理処理を単純化することができる。
【0113】
それに対して、
図13では、トップフィールドとボトムフィールドがどのフレームに属するかとは無関係に並び替えが行われている。符号化構造だけを見ると
図11で説明したプログレッシブ形式の場合と全く同様の構造となっているが、例えばP_4とB_8はFldT6とFldB7として並び替えられ、復号化順が4ピクチャ分離れてしまっている2枚のフィールドをペアとなるように並び替えなくてはならない。他のピクチャに関しても同様に復号化順で1ピクチャから4ピクチャ分、離れた2枚のフィールドをペアとなるように並び替えられている。このような並び替えを行うことにより、プログレッシブ形式とインターレース形式とで全く同様の復号化順で処理が可能となる。しかし、復号化されたトップフィールドとボトムフィールドとを最大4ピクチャ分ずらして両方が揃ってから表示処理に回すことが必要であり、出力ピクチャ設定部203におけるメモリ管理処理が複雑になる。
【0114】
なお、ピクチャメモリ213は、メモリ容量を制限するために、蓄積されているピクチャの中から不要となったピクチャをメモリから削除することで、次に蓄積するピクチャのための領域を確保する処理が行われる。このとき、(1)予測符号化処理において参照用の画素データとして使用されることが無くなったピクチャである、(2)既に表示処理に回されたピクチャである、の2つの条件を満たしたピクチャが削除可能となる。つまり、動画像形式がインターレース形式であった場合は、1つのフレームに属するトップフィールドとボトムフィールドとの両方のピクチャの復号化処理が完了して、両方のピクチャの表示処理が完了した後に、ピクチャメモリ213から削除可能となる。
【0115】
4.符号列構成およびシンタックス
本実施の形態で復号化対象とする符号列の構成およびシンタックスは、実施の形態1で
図6から
図8を用いて説明したものと全く同様であるので、ここでは説明を省略する。
【0116】
5.まとめ
5−1.構成
本実施形態の動画像復号化装置200は、インターレース形式またはプログレッシブ形式の動画像形式を有する動画像信号をピクチャ単位で符号化して得られる符号列を、ピクチャ単位で復号化する。この動画像復号化装置200は、
符号列を解析し、ピクチャ上位層符号列および第1符号列を取得する第2符号列解析部201と、
ピクチャ上位層符号列から、動画像信号を符号化する際に利用した符号化制御情報および復号化したピクチャを表示する際に利用する表示制御情報を取得する第2符号列解析部201(ピクチャ上位層復号化部)と、
動画像形式に依存しない共通のシンタックス解析および共通の信号処理方式および、符号化制御情報のうち動画像形式に関係なく符号化時に共通して利用された情報を用い、第1符号列を復号化処理単位であるブロック毎に復号化し、ピクチャを取得するピクチャデータ復号化部210と、
表示制御情報がプログレッシブ形式を示す場合、取得したピクチャを1枚のフレームと設定しフレームを表示順に1枚ずつ出力し、一方表示制御情報がインターレース形式を示す場合、取得したピクチャを1枚のフィールドと設定し、対になるトップフィールドとボトムフィールドを取得した時点で表示順に出力する出力ピクチャ設定部203と、を備える。
【0117】
また好ましくは、第2符号列解析部201(ピクチャ上位層復号化部)は、復号化対象とするシーケンスに属する全てのピクチャの表示処理において共通して使用されるシーケンス単位表示制御情報と、復号化対象とするピクチャの表示処理において個別に使用されるピクチャ単位表示制御情報とから構成される。
【0118】
また好ましくは、第2符号列解析部201(ピクチャ上位層復号化部)は、ピクチャ上位層符号列のうちシーケンス単位で解析されるシーケンスヘッダに含まれる映像情報領域からシーケンス単位表示制御情報を取得する。
【0119】
また好ましくは、同じシーケンスに属する各ピクチャ単位の各拡張情報領域には、全て同じ値のシーケンス単位表示制御情報が格納されている。
【0120】
また好ましくは、第2符号列解析部201(ピクチャ上位層復号化部)は、ピクチャ上位層符号列のうちピクチャ単位で解析される拡張情報領域から、ピクチャ単位表示制御情報を取得する。
【0121】
また好ましくは、第2符号列解析部201(ピクチャ上位層復号化部)は、復号化対象の動画像信号がプログレッシブ形式であるかインターレース形式であるかを識別する第1の識別子を含むシーケンス単位表示制御情報を取得し、
出力ピクチャ設定部203は、取得した第1の識別子に基づいて、ピクチャの出力方法を変更する。
【0122】
また好ましくは、第2符号列解析部201(ピクチャ上位層復号化部)は、復号化対象の動画像信号がインターレース形式である場合、同じフレームに属する2つのフィールドが当該シーケンスにおいて常に復号化順で互いに連続しているか否かを識別する第2の識別子を含むシーケンス単位表示制御情報を取得し、
出力ピクチャ設定部203は、取得した第2の識別子に基づいて、ピクチャの出力方法を変更する。
【0123】
また好ましくは、第2符号列解析部201(ピクチャ上位層復号化部)は、復号化対象の動画像信号がインターレース形式である場合、同じフレームに属する1つ目のフィールドと2つ目のフィールドの復号化順における間隔の当該シーケンスにおける最大値を示す情報を含むシーケンス単位表示制御情報を取得し、
出力ピクチャ設定部203は、取得した最大値を示す情報に基づいて、ピクチャの出力方法を変更する。
【0124】
また好ましくは、第2符号列解析部201(ピクチャ上位層復号化部)は、復号化対象とするピクチャの表示処理において、(1)プログレッシブ形式の動画像信号に属する1つのフレームとして表示するか、(2)インターレース形式の動画像信号に属するトップフィールドとして表示するか、(3)インターレース形式の動画像信号に属するボトムフィールドとして表示するか、(4)その他の方式で表示するかを指定する第3の識別子を含むピクチャ単位表示制御情報を取得し、
出力ピクチャ設定部203は、取得した第3の識別子に基づいて、ピクチャの出力方法を変更する。
【0125】
また好ましくは、第2符号列解析部201(ピクチャ上位層復号化部)は、復号化対象の動画像信号がインターレース形式である場合にのみ、復号化対象とするピクチャの表示処理において、(1)インターレース形式の動画像信号に属するトップフィールドとして表示するか、(2)インターレース形式の動画像信号に属するボトムフィールドとして表示するかを指定する第3の識別子を含むピクチャ単位表示制御情報を取得し、
出力ピクチャ設定部203は、取得した第3の識別子に基づいて、ピクチャの出力方法を変更する。
【0126】
また好ましくは、第2符号列解析部201(ピクチャ上位層復号化部)は、復号化対象ピクチャを表示する際に、インターレース形式の動画像信号に属するトップフィールドもしくはボトムフィールドとして表示する場合、復号化対象ピクチャと同じフレームに属する対となるピクチャを指定する指定情報を含むピクチャ単位表示制御情報を取得し、
出力ピクチャ設定部203は、復号化対象ピクチャを出力する際に、指定情報が指定するピクチャと対となるように出力する。
【0127】
また好ましくは、第2符号列解析部201(ピクチャ上位層復号化部)は、指定情報として、復号化対象ピクチャと同じフレームに属する対となるピクチャに割り当てられている表示順情報を取得する。
【0128】
また好ましくは、第2符号列解析部201(ピクチャ上位層復号化部)は、指定情報として、復号化対象ピクチャに割り当てられている表示順情報と、復号化対象ピクチャと同じフレームに属する対となるピクチャに割り当てられている表示順情報との差分値を取得する。
【0129】
本実施形態の動画像復号化方法は、インターレース形式またはプログレッシブ形式の動画像形式を有する動画像信号をピクチャ単位で符号化して得られる符号列を、ピクチャ単位で復号化する。この動画像復号化方法は、
符号列を解析し、ピクチャ上位層符号列および第1符号列を取得し、
ピクチャ上位層符号列から、動画像信号を符号化する際に利用した符号化制御情報および復号化したピクチャを表示する際に利用する表示制御情報を取得し、
動画像形式に依存しない共通のシンタックス解析および共通の信号処理方式および、符号化制御情報のうち動画像形式に関係なく符号化時に共通して利用された情報を用い、第1符号列を復号化処理単位であるブロック毎に復号化し、ピクチャを取得し、
表示制御情報がプログレッシブ形式を示す場合、取得したピクチャを1枚のフレームと設定しフレームを表示順に1枚ずつ出力し、一方表示制御情報がインターレース形式を示す場合、取得したピクチャを1枚のフィールドと設定し、対になるトップフィールドとボトムフィールドを取得した時点で表示順に出力する。
【0130】
5−2.効果等
本実施の形態による動画像復号化装置200を用いることにより、プログレッシブ形式の動画像を符号化した符号列に対しても、インターレース形式の動画像を符号化した符号列に対しても、処理量を増加させることなく共通の制御でのピクチャデータの復号化処理および表示制御を行うことが可能となる。これにより、復号化装置の実装を容易に行うことができる。
【0131】
(実施の形態3)(符号化処理の他の例)
実施形態3について、図面を参照しながら説明する。
【0132】
1.動画像符号化装置の構成
図14は、本実施形態に係る動画像符号化装置のブロック図である。
【0133】
この動画像符号化装置100−1は、実施形態1の動画像符号化装置100のピクチャデータ符号化部110、第2符号列生成部104の代わりに、ピクチャデータ符号化部110−1、第2符号列生成部104−1を備えている。ピクチャデータ符号化部110−1は、第1符号列生成部117の代わりに、第1符号列生成部117−1を含む。
【0134】
以下、説明の便宜上、実施形態1と同様の構成については詳細な説明を省略する。さらに、
図14では、
図1と同様の機能を有するブロックについては同じ番号を付す。
【0135】
ピクチャデータ符号化部110−1は、ピクチャ設定部101から入力された各ピクチャをブロックに分割し、ブロック単位で符号化処理を行ってピクチャデータの符号列を生成する。このとき、動画像形式がプログレッシブ形式であるかインターレース形式であるかに依存することなく、ピクチャ単位で共通の符号化処理が適用され、その結果生成されるピクチャデータの符号列も共通のシンタックスを持つ。また、本実施形態では、ピクチャデータ符号化部110−1は、シーケンスヘッダの符号列及びピクチャヘッダの符号列を生成する。
【0136】
第1符号列生成部117−1は、予測残差符号化部112が出力する残差符号化信号162と、予測符号化部115が出力する予測情報信号166と、量子化値決定部116が出力する量子化値と、その他の符号化制御に関する情報を可変長符号化することでピクチャデータの符号列を生成する。また、本実施形態では、第1符号列生成部117−1は、シーケンス単位およびピクチャ単位の符号化制御に関する情報をヘッダ情報として符号化し、シーケンスヘッダの符号列及びピクチャヘッダの符号列を生成する。
【0137】
第2符号列生成部104−1は、表示制御情報生成部103が出力する表示制御情報信号153を符号化し、拡張情報領域符号列を生成する。表示制御情報信号153は、シーケンス単位およびピクチャ単位の表示制御情報を含む。さらに、第2符号列生成部104−1は、生成した拡張情報領域符号列と、ピクチャデータ符号化部110が生成するシーケンスヘッダ、ピクチャヘッダ及びピクチャデータの符号列とを対応づけ、最終的な出力である符号列信号154を生成する。
【0138】
2.表示制御情報の生成方法
動画像形式指定部102から動画像形式信号152を受けて、表示制御情報生成部103で表示制御情報信号153を生成して第2符号列生成部104−1において符号列に記述する方法、および、ピクチャ設定部101において入力画像を符号化順に並び替える方法について、
図15の符号化処理全体のフローチャートを用いて具体的に説明する。
【0139】
まず、第1符号列生成部117−1はシーケンス単位でのヘッダ領域の符号列生成を行う(S1801)。
【0140】
次に、第1符号列生成部117−1はピクチャ単位でのヘッダ領域の符号列生成を行う(S1802)。
【0141】
次に、表示制御情報生成部103は、動画像形式指定部102によって指定された動画像形式に応じてシーケンス単位の表示制御情報及びピクチャ単位の表示制御情報を生成する(S1803)。第2符号列生成部104−1は、これらの表示制御情報を符号化し、符号列における拡張情報領域に記述する。
【0142】
次に、ピクチャ設定部101は、表示順で入力される入力画像を符号化順に並び替え、符号化対象とするピクチャを選択する(S1804)。このとき、ピクチャ設定部101は、動画像形式指定部102によって指定された動画像形式に応じてピクチャの並び替えを行う。
【0143】
次に、ピクチャデータ符号化部110−1は、前述の一連の符号化処理を行いピクチャデータの符号列を生成する(S1805)。なお、ステップS1805では、動画像形式がプログレッシブ形式であってもインターレース形式であっても全く区別することなく共通の符号化処理が行われる。
【0144】
次に、現在処理中の符号化対象ピクチャの処理が完了すると、ステップS1802に戻って次のピクチャの符号化処理に移り、シーケンス内の全てのピクチャの符号化処理が完了するまでステップS1802からステップS1805の処理を繰り返す(S1806)。
【0145】
3.ピクチャの並び替え
ステップS1804におけるピクチャの並び替え処理については、実施形態1で
図3、
図4、
図5を用いて説明した処理と同様の処理が行われる。そのため、説明を省略する。
【0146】
4.符号列構成およびシンタックス
次に、本実施の形態によって生成される符号列の構成を
図16を用いて説明する。
【0147】
生成される符号列は、シーケンス単位の符号化制御情報を記述したシーケンスヘッダ領域、ピクチャ単位の符号化制御情報を記述したピクチャヘッダ領域、ピクチャ単位の補助情報を記述した拡張情報領域、およびピクチャデータで構成されている。このとき、シーケンス単位の表示制御情報、およびピクチャ単位の表示制御情報は、両方とも拡張情報領域に記述される。なお、表示制御情報以外の各情報は入力画像形式がプログレッシブ形式であってインターレース形式であっても全く区別することなく共通のシンタックスで符号列に記述される。
【0148】
ここで、シーケンス単位の表示制御情報およびピクチャ単位の表示制御情報が記述される拡張情報領域のシンタックスについて
図17を用いて詳しく説明する。なお、
図17では本実施形態に関連するシンタックス以外は省略して記載している。
【0149】
図17では、interlace_flag、continual_flag、max_distance_flag、pic_struct、field_pair_POCが全てpic_timing_SEI()に記述されている。各パラメータの詳細な説明については
図7および
図8で説明した内容と全く同様なのでここでは省略する。
【0150】
拡張情報領域は各々のピクチャ毎に符号化されるため、シーケンス単位の表示制御情報のinterlace_flag、continual_flag、max_distance_flagは、冗長ではあるがシーケンス内で常に同じ値がピクチャ毎に繰り返して記述されることになる。しかし、
図17のように全ての表示制御情報を拡張情報領域にまとめて記述することで、拡張情報領域以外の全てのシンタックス領域は、動画像形式がプログレッシブ形式であってインターレース形式であっても全く区別することなく共通のシンタックスとすることができる。したがって、符号化処理のさらなる簡略化を図ることができる。
【0151】
なお、ここで説明したパラメータ名およびパラメータ値については一例であり、これ以外のパラメータ名およびパラメータ値を用いて同様の機能を実現してもよい。また、ここで説明した全てのパラメータを使用せずに1部のパラメータのみを使用してもよい。また、ここではpic_timing_SEI()の領域に記述する例を説明したが、ピクチャ単位の制御情報が記述できる領域であればこれ以外の領域に記述してもよい。
【0152】
5.まとめ
5−1.構成
本実施形態の動画像符号化装置100−1は、入力される動画像信号をピクチャ単位で符号化する。この動画像符号化装置100−1は、
動画像信号の動画像形式がインターレース形式およびプログレッシブ形式のうちいずれの形式であるかを示す動画像形式情報を取得する動画像形式指定部102(動画像形式情報取得部)と、
符号化後の動画像信号が示す動画像を動画像形式情報が示す動画像形式の動画像として表示する際に利用する表示制御情報を、動画像形式情報に基づいて生成する表示制御情報生成部103と、
動画像形式情報がプログレッシブ形式を示す場合、動画像信号における1枚のフレームをピクチャとして設定しかつ符号化順に並び替え、動画像形式情報がインターレース形式を示す場合、動画像信号における1枚のフィールドをピクチャとして設定しかつ符号化順に並び替えるピクチャ設定部101と、
設定したピクチャに含まれる画素データを、動画像形式に依存しない共通の信号処理方式および共通のシンタックス構造を用いて符号化することで、第1符号列を出力するピクチャデータ符号化部110−1と、
表示制御情報を符号化して拡張情報領域符号列を生成する第2符号列生成部104−1(拡張情報領域符号化部)と、
第1符号列および拡張情報領域符号列を対応づけた第2符号列を出力する第2符号列生成部104−1と、を備え、
表示制御情報は、符号化対象とするシーケンスに属する全てのピクチャの表示処理において共通して使用されるシーケンス単位表示制御情報と、符号化対象とするピクチャの表示処理において個別に使用されるピクチャ単位表示制御情報とから構成され、
第2符号列生成部104−1(拡張情報領域符号化部)は、拡張情報領域符号列を、ピクチャ単位で生成する拡張情報領域に格納する。
【0153】
また好ましくは、第2符号列生成部104−1(拡張情報領域符号化部)は、同じシーケンスに属する各ピクチャの各拡張情報領域に、全て同じ値のシーケンス単位表示制御情報を格納する。
【0154】
また好ましくは、表示制御情報生成部103は、符号化対象の動画像信号がプログレッシブ形式であるかインターレース形式であるかを識別する第1の識別子を含むシーケンス単位表示制御情報を生成する。
【0155】
また好ましくは、表示制御情報生成部103は、符号化対象の動画像信号がインターレース形式である場合、同じフレームに属する2つのフィールドが当該シーケンスにおいて常に符号化順で互いに連続しているか否かを識別する第2の識別子を含むシーケンス単位表示制御情報を生成する。
【0156】
また好ましくは、表示制御情報生成部103は、符号化対象の動画像信号がインターレース形式である場合、同じフレームに属する1つ目のフィールドと2つ目のフィールドの符号化順における間隔の当該シーケンスにおける最大値を示す情報を含むシーケンス単位表示制御情報を生成する。
【0157】
また好ましくは、表示制御情報生成部103は、符号化対象とするピクチャの表示処理において、(1)プログレッシブ形式の動画像信号に属する1つのフレームとして表示するか、(2)インターレース形式の動画像信号に属するトップフィールドとして表示するか、(3)インターレース形式の動画像信号に属するボトムフィールドとして表示するか、(4)その他の方式で表示するかを指定する第3の識別子を含むピクチャ単位表示制御情報を生成する。
【0158】
また好ましくは、表示制御情報生成部103は、符号化対象の動画像信号がインターレース形式である場合にのみ、符号化対象とするピクチャの表示処理において、(1)インターレース形式の動画像信号に属するトップフィールドとして表示するか、(2)インターレース形式の動画像信号に属するボトムフィールドとして表示するかを指定する第3の識別子を含むピクチャ単位表示制御情報を生成する。
【0159】
また好ましくは、表示制御情報生成部103は、符号化対象ピクチャを復号化して表示する際に、インターレース形式の動画像信号に属するトップフィールドもしくはボトムフィールドとして表示する場合、符号化対象ピクチャと同じフレームに属する対となるピクチャを指定する指定情報を含むピクチャ単位表示制御情報を生成する。
【0160】
また好ましくは、表示制御情報生成部103は、指定情報として、符号化対象ピクチャと同じフレームに属する対となるピクチャに割り当てられている表示順情報を記述する。
【0161】
また好ましくは、表示制御情報生成部103は、指定情報として、符号化対象ピクチャに割り当てられている表示順情報と、符号化対象ピクチャと同じフレームに属する対となるピクチャに割り当てられている表示順情報との差分値を記述する。
【0162】
本実施形態の動画像符号化方法は、入力される動画像信号をピクチャ単位で符号化する。この動画像符号化方法は、
動画像信号の動画像形式がインターレース形式およびプログレッシブ形式のうちいずれの形式であるかを示す動画像形式情報を取得し、
符号化後の動画像信号が示す動画像を動画像形式情報が示す動画像形式の動画像として表示する際に利用する表示制御情報を、動画像形式情報に基づいて生成し、
動画像形式情報がプログレッシブ形式を示す場合、動画像信号含まれる複数のフレームを符号化順に並び替え、かつ複数のフレームのそれぞれをピクチャとして設定し、動画像形式情報がインターレース形式を示す場合、動画像信号に含まれる複数のフィールドを符号化順に並び替え、かつ複数のフィールドのそれぞれをピクチャとして符号化順に並び替えて設定し、
設定したピクチャに含まれる画素データを、動画像形式に依存しない共通の信号処理方式および共通のシンタックス構造を用いて符号化することで、第1符号列を出力し、
表示制御情報を符号化して拡張情報領域符号列を生成し、
第1符号列および拡張情報領域符号列を対応づけた第2符号列を出力し、
表示制御情報は、符号化対象とするシーケンスに属する全てのピクチャの表示処理において共通して使用されるシーケンス単位表示制御情報と、符号化対象とするピクチャの表示処理において個別に使用されるピクチャ単位表示制御情報とから構成され、
各表示制御情報を、ピクチャ単位で生成する拡張情報領域に格納する。
【0163】
5−2.効果等
本実施の形態による動画像符号化装置100−1を用いることにより、プログレッシブ形式の動画像を入力とした場合も、インターレース形式の動画像を入力とした場合も、処理量を増加させることなく共通の制御でピクチャデータの符号化処理を行うことが可能となり、符号化装置の実装を容易に行うことができる。
【0164】
一般に動画像復号化装置においては、符号化された符号列を復号化して復号化画像を生成する復号化処理と、生成された復号化画像を対応する表示装置に合わせて表示させる表示処理とを別の階層として制御される。例えば前者をハードウェアで構成し、後者をソフトウェアで構成するといった方法が取られる。これにより、例えばテレビとパソコンのように表示方法が異なる装置の開発において、復号化処理を行うハードウェアは共通のものを使用し、表示処理を行うソフトウェアのみを装置毎に作成することで開発工数を削減することが可能となる。
【0165】
本実施形態では、
図16で説明した符号列のように、符号化処理には不要な情報(表示制御情報等)のみを記述した拡張情報領域と、復号化処理に必要な情報を記述したそれ以外の領域とが完全に分離されている。これにより、上記のような用途において、復号化処理を行う階層と表示処理を行う階層とに、それぞれの階層で必要とされる符号列のみを送ることが容易となり、階層毎の独立性が高くなる。つまり、プログレッシブに対応した復号化装置もインターレースに対応した復号化装置も、復号化処理を行う階層(ハードウェア)を完全に共通のものを使用して装置を構成することが可能となる。
【0166】
(実施の形態4)(復号化処理の他の例)
実施形態4について、図面を参照しながら説明する。
【0167】
1.動画像復号化装置の構成
図18は、本実施形態に係る動画像復号化装置のブロック図である。
【0168】
この動画像復号化装置200−1は、実施形態2の動画像復号化装置200のピクチャデータ復号化部210、第2符号列解析部201の代わりに、ピクチャデータ復号化部210−1、第2符号列解析部201−1を備えている。ピクチャデータ復号化部210−1は、第1符号列解析部211の代わりに、第1符号列解析部211−1を含む。
【0169】
以下、説明の便宜上、実施形態2と同様の構成については詳細な説明を省略する。さらに、
図18では、
図1と同様の機能を有するブロックについては同じ番号を付す。
【0170】
第2符号列解析部201は、入力された符号列信号251に含まれるヘッダ情報の符号列の拡張情報領域から、少なくとも表示制御情報を抽出する。そして、第2符号列解析部201は、抽出した情報を表示制御情報信号252として表示制御情報解析部202へ出力する。
【0171】
ピクチャデータ復号化部210は、入力された符号列信号251に含まれるピクチャデータの符号列に対して、ブロック単位で復号化処理を行って対象ピクチャの復号化画像を生成する。このとき、動画像形式がプログレッシブ形式であるかインターレース形式であるかに依存することなく、ピクチャとして共通の復号化処理が適用され、また復号化の対象となるピクチャデータの符号列も共通のシンタックスを持つ。
【0172】
第1符号列解析部211は、入力された符号列信号251のピクチャデータの符号列に対して可変長復号化を施すことにより復号化制御情報の解析およびブロック単位のピクチャデータの解析を行う。この復号化制御情報には、シーケンス単位およびピクチャ単位の復号化制御に関する情報が含まれる。第1符号列解析部211は、解析して得られる残差符号化信号261を予測残差復号化部212へ出力する。さらに、第1符号列解析部211は、解析して得られる予測情報信号265を予測復号化部214へ出力する。さらに、第1符号列解析部211は、解析して得られる量子化値情報を量子化値決定部215へ出力する。
【0173】
2.表示制御方法
表示制御情報解析部202で表示制御情報を解析し、出力ピクチャ設定部203において復号化済みのピクチャを出力順に並び替えて出力画像とする方法について、
図19の復号化処理全体のフローチャートを用いて具体的に説明する。
【0174】
まず、第1符号列解析部211−1は、シーケンス単位のヘッダ領域の符号列解析を行う(S1901)。
【0175】
次に、第1符号列解析部211−1は、ピクチャ単位のヘッダ領域の符号列解析を行う(S1902)。
【0176】
次に、第2符号列解析部201−1は、拡張情報領域の符号列解析を行う(S1903)。このとき、表示制御情報解析部202は、シーケンス単位の表示制御情報及びピクチャ単位の表示制御情報を取得する。
【0177】
次に、ピクチャデータ復号化部210−1は、一連の復号化処理を行い対象ピクチャの復号化画像を生成する(S1904)。なお、ステップS1904では、動画像形式がプログレッシブ形式であってインターレース形式であっても全く区別することなく共通の復号化処理が行われる。
【0178】
次に、出力ピクチャ設定部203は、復号化順に蓄積されている復号化画像を表示順に並び替え、表示対象とするピクチャを選択する(S1905)。このとき、出力ピクチャ設定部203は、表示制御情報解析部202によって解析された表示制御方法に従ってピクチャの並び替えを行う。
【0179】
次に、現在処理中の復号化対象ピクチャの処理が完了すると、ステップS1902に戻って次のピクチャの復号化処理に移り、シーケンス内の全てのピクチャの復号化処理が完了するまでステップS1902からステップS1904の処理を繰り返す(S1905)。
【0180】
3.ピクチャの並び替え
ステップS1905におけるピクチャの並び替え処理については、実施形態2で
図11、
図12、
図13を用いて説明した処理と同様の処理が行われる。したがって、説明は省略する。
【0181】
4.符号列構成およびシンタックス
本実施の形態で復号化対象とする符号列の構成およびシンタックスは、実施の形態1で
図6から
図8を用いて説明したものと全く同様であるので、ここでは説明を省略する。
【0182】
5.まとめ
5−1.構成
本実施形態の動画像復号化装置200−1は、インターレース形式またはプログレッシブ形式の動画像形式を有する動画像信号をピクチャ単位で符号化して得られる符号列を、ピクチャ単位で復号化する。この動画像復号化装置200−1は、
符号列を解析し、拡張情報領域符号列および第1符号列を取得する第2符号列解析部201−1と、
拡張情報領域符号列から、復号化したピクチャを表示する際に利用する表示制御情報を取得する第2符号列解析部201−1(拡張情報領域復号化部)と、
動画像形式に依存しない共通のシンタックス解析および共通の信号処理方式を用いて第1符号列を復号化し、ピクチャを取得するピクチャデータ復号化部210−1と、
表示制御情報がプログレッシブ形式を示す場合、取得したピクチャを1枚のフレームと設定しフレームを表示順に1枚ずつ出力し、表示制御情報がインターレース形式を示す場合、取得したピクチャを1枚のフィールドと設定し、対になるトップフィールドとボトムフィールドを取得した時点で表示順に出力する出力ピクチャ設定部203と、を備え、
表示制御情報は、復号化対象とするシーケンスに属する全てのピクチャの表示処理において共通して使用されるシーケンス単位表示制御情報と、復号化対象とするピクチャの表示処理において個別に使用されるピクチャ単位表示制御情報とから構成され、
拡張情報領域復号化部201−1は、ピクチャ単位の拡張情報領域から、各表示制御情報を取得する。
【0183】
また好ましくは、同じシーケンスに属する各ピクチャ単位の各拡張情報領域には、全て同じ値のシーケンス単位表示制御情報が格納されている。
【0184】
また好ましくは、第2符号列解析部201−1(拡張情報領域復号化部)は、復号化対象の動画像信号がプログレッシブ形式であるかインターレース形式であるかを識別する第1の識別子を含むシーケンス単位表示制御情報を取得し、
出力ピクチャ設定部203は、取得した第1の識別子に基づいて、ピクチャの出力方法を変更する。
【0185】
また好ましくは、第2符号列解析部201−1(拡張情報領域復号化部)は、復号化対象の動画像信号がインターレース形式である場合、同じフレームに属する2つのフィールドが当該シーケンスにおいて常に復号化順で互いに連続しているか否かを識別する第2の識別子を含むシーケンス単位表示制御情報を取得し、
出力ピクチャ設定部203は、取得した第2の識別子に基づいて、ピクチャの出力方法を変更する。
【0186】
また好ましくは、第2符号列解析部201−1(拡張情報領域復号化部)は、復号化対象の動画像信号がインターレース形式である場合、同じフレームに属する1つ目のフィールドと2つ目のフィールドの復号化順における間隔の当該シーケンスにおける最大値を示す情報を含むシーケンス単位表示制御情報を取得し、
出力ピクチャ設定部203は、取得した最大値を示す情報に基づいて、ピクチャの出力方法を変更する。
【0187】
また好ましくは、第2符号列解析部201−1(拡張情報領域復号化部)は、復号化対象とするピクチャの表示処理において、(1)プログレッシブ形式の動画像信号に属する1つのフレームとして表示するか、(2)インターレース形式の動画像信号に属するトップフィールドとして表示するか、(3)インターレース形式の動画像信号に属するボトムフィールドとして表示するか、(4)その他の方式で表示するかを指定する第3の識別子を含むピクチャ単位表示制御情報を取得し、
出力ピクチャ設定部203は、取得した第3の識別子に基づいて、ピクチャの出力方法を変更する。
【0188】
また好ましくは、第2符号列解析部201−1(拡張情報領域復号化部)は、復号化対象の動画像信号がインターレース形式である場合にのみ、復号化対象とするピクチャの表示処理において、(1)インターレース形式の動画像信号に属するトップフィールドとして表示するか、(2)インターレース形式の動画像信号に属するボトムフィールドとして表示するかを指定する第3の識別子を含むピクチャ単位表示制御情報を取得し、
出力ピクチャ設定部203は、取得した第3の識別子に基づいて、ピクチャの出力方法を変更する。
【0189】
また好ましくは、第2符号列解析部201−1(拡張情報領域復号化部)は、復号化対象ピクチャを表示する際に、インターレース形式の動画像信号に属するトップフィールドもしくはボトムフィールドとして表示する場合、復号化対象ピクチャと同じフレームに属する対となるピクチャを指定する指定情報を含むピクチャ単位表示制御情報を取得し、
出力ピクチャ設定部203は、復号化対象ピクチャを出力する際に、指定情報が指定するピクチャと対となるように出力する。
【0190】
また好ましくは、第2符号列解析部201−1(拡張情報領域復号化部)は、指定情報として、復号化対象ピクチャと同じフレームに属する対となるピクチャに割り当てられている表示順情報を取得する。
【0191】
また好ましくは、第2符号列解析部201−1(拡張情報領域復号化部)は、指定情報として、復号化対象ピクチャに割り当てられている表示順情報と、復号化対象ピクチャと同じフレームに属する対となるピクチャに割り当てられている表示順情報との差分値を取得する。
【0192】
本実施形態の動画像復号化方法は、インターレース形式またはプログレッシブ形式の動画像形式を有する動画像信号をピクチャ単位で符号化して得られる符号列を、ピクチャ単位で復号化する。この動画像復号化方法は、
符号列を解析し、拡張情報領域符号列および第1符号列を取得し、
拡張情報領域符号列から、復号化したピクチャを表示する際に利用する表示制御情報を取得し、
動画像形式に依存しない共通のシンタックス解析および共通の信号処理方式を用いて第1符号列復号化し、ピクチャを取得し、
表示制御情報がプログレッシブ形式を示す場合、取得したピクチャを1枚のフレームと設定しフレームを表示順に1枚ずつ出力し、表示制御情報がインターレース形式を示す場合、取得したピクチャを1枚のフィールドと設定し、対になるトップフィールドとボトムフィールドを取得した時点で表示順に出力し、
表示制御情報は、復号化対象とするシーケンスに属する全てのピクチャの表示処理において共通して使用されるシーケンス単位表示制御情報と、復号化対象とするピクチャの表示処理において個別に使用されるピクチャ単位表示制御情報とから構成され、
ピクチャ単位の拡張情報領域から、各表示制御情報を取得する。
【0193】
5−2.効果等
本実施の形態による動画像復号化装置200−1を用いることにより、プログレッシブ形式の動画像を符号化した符号列に対しても、インターレース形式の動画像を符号化した符号列に対しても、処理量を増加させることなく共通の制御でのピクチャデータの復号化処理および表示制御を行うことが可能となる。これにより、復号化装置の実装を容易に行うことができる。
【0194】
また、実施形態3において説明したように、本実施形態では、符号化処理には不要な情報(表示制御情報等)のみを記述した拡張情報領域と、復号化処理に必要な情報を記述したそれ以外の領域とが完全に分離されている。これにより、上記のような用途において、復号化処理を行う階層と表示処理を行う階層とに、それぞれの階層で必要とされる符号列のみを送ることが容易となり、階層毎の独立性が高くなる。つまり、プログレッシブに対応した復号化装置もインターレースに対応した復号化装置も、復号化処理を行う階層(ハードウェア)を完全に共通のものを使用して装置を構成することが可能となる。
【0195】
(その他の実施形態)
上記実施の形態で示した動画像符号化装置および動画像復号化装置に含まれる各手段と同等の機能を備えるプログラムを、フレキシブルディスク等の記録媒体に記録してもよい。これにより、上記実施の形態で示した処理を、独立したコンピュータシステムにおいて簡単に実施することが可能となる。なお、記録媒体はフレキシブルディスクに限らず、光ディスク、ICカード、ROMカセット等、プログラムを記録できるものであれば何でもよい。
【0196】
また、上記実施の形態で示した動画像符号化装置および動画像復号化装置に含まれる各手段と同等の機能を集積回路であるLSIとして実現してもよい。これらは一部または全てを含むように1チップ化されてもよい。LSIは集積度の違いにより、IC、システムLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIと称されることもある。
【0197】
また、集積回路化の手法はLSIに限るものではなく、専用回路または汎用プロセッサで実現しても良い。LSI製造後に、プログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)や、LSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサを利用しても良い。
【0198】
さらには、半導体技術の進歩または派生する別技術によりLSIなどに置き換わる集積回路の技術が登場すれば、当然、その技術を用いて機能ブロックの集積化を行ってもよい。
【0199】
また、本発明は、上述した動画像符号化装置および動画像復号化装置を含む、放送局から放送される放送波を圧縮し、記録を行うDVDレコーダー、BDレコーダー等の放送波記録装置に適用しても構わない。
【0200】
また、上記実施の形態に係る、動画像符号化装置および動画像復号化装置、またはその変形例の機能のうち少なくとも一部を組み合わせてもよい。