【文献】
Registry No. 1174838-72-2 (Entered STN: 21 Aug 2009),DATABASE REGISTRY [Online]: Chemical Abstracts Service, Columbus, Ohio, USA. Retrieved from STN
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ストア作動性カルシウム(SOC)チャネル活性を調節するために使用される請求項1〜14のいずれか1つに記載の化合物であって、SOCチャネル複合体またはその一部が、前記化合物に接触されるものである、化合物。
カルシウム放出依存性カルシウム(CRAC)チャネルの調節から恩恵を受ける疾患、障害、または状態の治療のために使用される請求項1〜14のいずれか1つに記載の化合物。
非小細胞肺癌を患っている患者を治療するために使用されるCRAC阻害剤であって、有効量の前記CRAC阻害剤が前記患者に投与されるものであり、前記CRAC阻害剤は、請求項1〜14のいずれか1つに記載の化合物を有するものである、CRAC阻害剤。
前記CRAC阻害剤がCRACM1/Orai1、CRACM2/Orai2、CRACM3/Orai3、またはこれらの任意の組み合わせを阻害する、請求項17または18に記載のCRAC阻害剤。
【背景技術】
【0004】
細胞内カルシウムの調節は、細胞内への、および細胞内でのシグナル伝達における重要な要素である。成長因子、神経伝達物質、ホルモンおよび様々な他のシグナル分子に対する細胞応答は、カルシウム依存性プロセスを通して開始される。第2のメッセンジャーとしてのカルシウムイオンの重要性は、連携してカルシウム恒常性を維持する多くの異なるメカニズムで特に際立っている。細胞内遊離カルシウムイオン濃度の変化は、多数の細胞応答を制御するための最も重要で広く知られたシグナル伝達イベントを表す。細胞内へのカルシウムイオンの流入のための広範囲に及ぶ経路は、ストア作動性チャネル(SOC)を介するものであり、すなわち、多くの細胞型が、カルシウムイオン流入の主要経路としてストア作動性カルシウムイオン流入を用いる。このメカニズムは、ストアからのカルシウムイオン放出に従い開始し、枯渇したストアは、カルシウム放出依存性カルシウム(CRAC)チャネルの活性化をもたらす。
【0005】
ストア作動性チャネルのサブファミリーであるCRACチャネルは、細胞内ストア、特に小胞体(ER)からのカルシウムの放出により活性化される。これらのチャネルは、筋収縮、タンパク質および体液分泌、ならびに細胞成長および増殖に対する統御を含む広範な細胞機能の制御において重要な因子であり、したがって免疫障害およびアレルギー反応等の様々な疾患において重要な役割を担う。いくつかの生物物理学的に明確な別個のストア作動性の流れのうち、最も特徴づけられており最もカルシウムイオン選択的であるものは、CRAC流である。したがって、CRACチャネルは、分泌から遺伝子発現および細胞成長に至る重要な機能を媒介し、適応的免疫反応を確立する免疫細胞の活性化に重要なネットワークを形成する。最近、2種のタンパク質、すなわち間質相互作用分子(STIM1)およびCRACモジュレータ1(CRACM1またはOrai1)が、類似した生物物理学的特徴で、異種発現系におけるCRAC流を完全に再構成し増幅する重要な成分として特定された。哺乳動物において、これらのタンパク質のいくつかのホモログ、すなわち小胞体におけるSTIM1およびSTIM2、ならびに原形質膜におけるCRACM1、CRACM2、およびCRACM3が存在する。
【0006】
CRAC流は、最初にリンパ球およびマスト細胞内で発見され、同時にS2ショウジョウバエ、DT40B細胞、肝細胞、樹枝状、巨核球、およびMadin−Darbyイヌ腎臓細胞等の様々な細胞株において特性決定されている。リンパ球およびマスト細胞内で、抗原またはFc受容体を介した活性化が、第2のメッセンジャーイノシトール(1,4,5)−トリホスフェート(Ins(1,4,5)P
3)によりもたらされる細胞内ストアからのカルシウムイオンの放出を開始し、次いでこれが原形質膜内のCRACチャネルを介したカルシウムイオン流入をもたらす。平滑筋、A431上皮細胞、様々な組織からの内皮細胞、および前立腺癌細胞株において特性決定されたストア作動性Ca
2+流は、異なる分子源を示唆する変更された生物物理学的特徴を示している。
【0007】
例えば、細胞膜に渡るカルシウムイオン流入は、リンパ球活性化および適応的免疫反応において重要である。TCR(T細胞抗原受容体)の刺激により誘発される
[Ca
2+]振動が顕著であり、単一のカルシウムイオン流入経路であるストア作動性CRACチャネルのみが関与するようであることが実証されている。例えば、Lewis"Calcium signalling mechanisms in T lymphocytes,"Annu.Rev.Immunol.19,(2001),497−521、Feske
et al."Ca
++ calcineurin signalling in cells of the immune system,"Biochem.Biophys.Res.Commun.311,(200
3),1117−1132、Hogan et al."Transcriptional regulation by calcium,calcineurin,and NFAT,"Genes Dev.17,(2003)2205−2232を参照のこと。
【0008】
現在、細胞内カルシウムが様々な細胞機能において重要な役割を担うこと、およびその濃度が細胞膜上のカルシウムチャネルを介したカルシウムイオン流入により制御されることが十分確立されている。神経系、内分泌系、心臓血管系、および骨格系に位置し、膜電位により調節されるカルシウムイオンチャネルは、電圧作動性Ca
2+(VOC)チャネルと呼ばれる。これらのチャネルは、L、N、P、Q、R、およびTサブタイプに分類される。VOCチャネルを介した過剰Ca
2+流入は、高血圧および脳機能不全を引き起こす。対照的に、リンパ球、マスト細胞および好中球を含む炎症細胞上のカルシウムイオンチャネルは、それらの膜電位とは無関係に活性化され得る。この種のカルシウムイオンチャネルは、炎症および自己免疫疾患の危機的状況および悪化において機能することが報告されている。T細胞においては、活性化の初期段階がCa
2+前および後イベントで構成されることが報告されている。T細胞受容体の刺激は、IP3の生成を含むCa
2+前イベントを誘導し、続いて小胞体(ER)からCa
2+が放出される。Ca
2+後イベントにおいて、ERにおけるCa
2+の枯渇がCRACチャネルの活性化を誘導し、CRACチャネルを介した容量性Ca
2+流入が、高い細胞内Ca
2+濃度([Ca
2+]i)を維持する。この長期的な高い[Ca2+]iは、細胞質シグナル伝達を活性化して、炎症および自己免疫疾患の発症に関連する脂質メディエータ(例えば、LTD
4)、サイトカイン[例えば、インターロイキン−2(IL−2)]、およびマトリックスメタロプロテアーゼを産生する。
【0009】
これらの事実は、CRACチャネルモジュレータが、ステロイドにおいて観察される副作用なしに、炎症細胞の活性化により引き起こされる疾患の治療に有用となり得ることを示唆している。VOCチャネルモジュレータは、神経系および心臓血管系に有害事象を引き起こすであろうため、CRACチャネルモジュレータは、抗炎症薬として使用される場合、VOCチャネルよりも十分な選択性を示すことが必要となり得る。
【0010】
したがって、CRACチャネルモジュレータは、炎症、糸球体腎炎、ブドウ膜炎、肝疾患または肝障害、腎疾患または腎障害、慢性閉塞性肺疾患、関節リウマチ、炎症性腸疾患、脈管炎、皮膚炎、変形性関節炎、炎症性筋疾患、アレルギー性鼻炎、膣炎、間質性膀胱炎、強皮症、骨粗しょう症、湿疹、同種または異種移植、移植片拒絶反応、移植片対宿主病、紅斑性狼瘡、I型糖尿病、肺線維症、皮膚筋炎、甲状腺炎、重症筋無力症、自己免疫性溶血性貧血、嚢胞性線維症、慢性再発性肝炎、原発性胆汁性肝硬変、アレルギー性結膜炎、肝炎およびアトピー性皮膚炎、喘息、シェーグレン症候群、癌および他の増殖性疾患、ならびに自己免疫疾患または障害を含む、カルシウム放出依存性カルシウムチャネルに関連した疾患または障害の治療、予防および/または改善に有用であると言われている。例えば、国際公開WO第2005/009954号、WO第2005/009539号、WO第2005/009954号、WO第2006/034402号、WO第2006/081389号、WO第2006/081391号、WO第2007/087429号、WO第2007/087427号、WO第2007087441号、WO第200/7087442号、WO第2007/087443号、WO第2007/089904号、WO第2007109362号、WO第2007/112093号、WO第2008/039520号、WO第2008/063504号、WO第2008/103310号、WO第2009/017818号、WO第2009/017819号、WO第2009/017831号、WO第2010/039238号、WO第2010/039237号、WO第2010/039236号、WO第2009/089305号およびWO第2009/038775号、ならびに米国特許出願公開US第2006/0173006号およびUS第2007/0249051号を参照のこと。
【0011】
特定されているCRACチャネル阻害剤は、SK&F96365(1)、エコナゾール(2)、およびL−651582(3)を含む。
【化1】
【0012】
しかしながら、これらの分子は、VOCに勝る十分な効能および選択性を有さず、したがって治療用途には好適ではない。
【0013】
Taijiら(European Journal of Pharmacology,560,225−233,2007)およびYasurio Yonetokyら(Bio.& Med.Chem.,16,9457−9466,2008)による最近の発表は、T細胞機能を阻害することができ、気管支喘息を含む炎症性疾患の治療においてある程度有益であるとして提案される、選択的CRACチャネル阻害剤コード化YM−58483を説明している。
【化2】
【0014】
Yasurio Yonetokyらは、YM−58483が、電圧作動性チャネル(VOC)よりもCRACチャネル選択性であり、選択指数が31であることを開示している。
【0015】
開示されている他のCRACチャネルモジュレータは、例えば、Synta Pharmaceuticals社に譲渡されたPCTまたは米国特許出願、すなわちWO第2005/009954号、WO第2005/009539号、WO第2005/009954号、WO第2006/034402号、WO第2006/081389号、WO第2006/081391号、WO第2007/087429号、WO第2007/087427号、WO第2007087441号、WO第200/7087442号、WO第2007/087443号、WO第2007/089904号、WO第2007109362号、WO第2007/112093号、WO第2008/039520号、WO第2008/063504号、WO第2008/103310号、WO第2009/017818号、WO第2009/017819号、WO第2009/017831号、WO第2010/039238号、WO第2010/039237号、WO第2010/039236号、WO第2009/089305およびWO第2009/038775号、US第2006/0173006号およびUS第2007/0249051号を含む、様々なビアリールおよび/または複素環式カルボキシアニリド化合物を含む。
【0016】
CRACチャネルモジュレータに関する他の特許公報は、Astellas社、Queens Medical Centre、Calcimedica社等による出願、すなわち、WO第2007/121186号、WO第2006/050214号、WO第2007/139926号、WO第2008/148108号、US第7,452,675号、US第2009/023177号、WO第2007/139926号、US第6,696,267号、US第6,348,480号、WO第2008/106731号、US第2008/0293092号、WO第2010/048559号、WO第2010/027875号、WO第2010/025295号、WO第2010/034011号、WO第2010/034003号、WO第2009/076454号、WO第2009/035818号、US第2010/0152241号、US第2010/0087415号、US第2009/0311720およびWO第2004/078995号を含む。
【0017】
CRACチャネル領域のさらなる考察および文献の開示は、Isabella Derler et al.,Expert Opinion in Drug Discovery,3(7),787−800,2008、Yousang G et al.,Cell Calcium,42,145−156,2007、Yasurio Yonetoky et.al.,Bio.& Med.Chem.,14,4750−4760,2006、およびYasurio Yonetoky et.al.,Bio.& Med.Chem.,14,5370−5383,2006を含む。これらの特許および/または特許出願ならびに文献の開示の全ては、全ての目的において、参照することによりその全内容が本明細書に組み込まれる。
【0018】
癌は、インド、米国およびその他の世界各国における主要な公衆衛生問題である。現在、インドでは4人に1人が癌により死亡している。肺癌は、その高い発生率および死亡率のため、世界中の癌死亡の主要な原因となっており、非小細胞肺癌(NSCLC)については、5年推定生存率は約10%である。生存率を改善するためには、肺癌の腫瘍形成および化学耐性のメカニズムに対するさらなる調査が必要であることが報告されている(Jemal A,et al.,Cancer Statistics,CA Cancer.J.Clin.,56,106−130,2006)。NSCLCには4つの主要な種類、つまり腺癌、扁平上皮癌、細気管支肺胞上皮癌、および大細胞癌がある。腺癌および扁平上皮癌は、細胞形態に基づきNSCLCの最も一般的な種類である(Travis et al.,Lung Cancer Principles and Practice,Lippincott−Raven,New York,361−395,1996)。腺癌は、肺のより周縁部に位置することを特徴とし、多くの場合K−ras腫瘍遺伝子における突然変異を有する(Gazdar et al.,Anticancer Res.,14,261−267,1994)。扁平上皮癌は、典型的には、より中心部に位置し、しばしばp53遺伝子突然変異を有する(Niklinska et al.,Folia Histochem.Cytobiol.,39,147−148,2001)。
【0019】
NSCLCの大部分は、ras突然変異の存在を特徴とし、それにより、患者は、既知のキナーゼ阻害剤による治療に対し比較的鈍感になる。その結果、肺癌の現在の治療は、一般に、細胞毒性薬、手術、および放射線治療に限られる。より副作用が少なく、癌細胞をより特異的に標的化し、より非侵襲的で、患者の予後を改善する治療が必要とされている。
【0020】
肺腫瘍開始細胞および関連マーカーの特定は、治療アプローチの最適化、ならびに肺癌患者における予測および予後情報に有用となり得る。したがって、肺癌に罹患した患者の予測、評価および治療の新たな方法が必要とされている。
【0021】
特にCRACに関連した疾患および障害の治療のためにCRACチャネルを制御および/または調節するための、Stim1および/またはOrai1に対する特異性を有する小分子モジュレータの必要性は、依然として満たされておらず、極めて必要とされている。
この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、以下のものがある(国際出願日以降国際段階で引用された文献及び他国に国内移行した際に引用された文献を含む)。
(先行技術文献)
(特許文献)
【特許文献1】米国特許出願公開第2001/0044445号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2006/0173006号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2007/0249051号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第2008/0293092号明細書
【特許文献5】米国特許出願公開第2009/0023177号明細書
【特許文献6】米国特許出願公開第2009/0311720号明細書
【特許文献7】米国特許出願公開第2010/0087415号明細書
【特許文献8】米国特許出願公開第2010/0152241号明細書
【特許文献9】米国特許第6,348,480号明細書
【特許文献10】米国特許第6,696,267号明細書
【特許文献11】米国特許第7,452,675号明細書
【特許文献12】国際公開第2008/016643号
【特許文献13】国際公開第2007/004038号
【特許文献14】国際公開第2005/095351号
【特許文献15】国際公開第03/045912号
【特許文献16】国際公開第03/022852号
【特許文献17】国際公開第02/089793号
【特許文献18】国際公開第99/62885号
【特許文献19】国際公開第2010/048559号
【特許文献20】国際公開第2004/078995号
【特許文献21】国際公開第2005/009539号
【特許文献22】国際公開第2005/009954号
【特許文献23】国際公開第2006/034402号
【特許文献24】国際公開第2006/050214号
【特許文献25】国際公開第2006/081389号
【特許文献26】国際公開第2006/081391号
【特許文献27】国際公開第2007/087427号
【特許文献28】国際公開第2007/087429号
【特許文献29】国際公開第2007/087441号
【特許文献30】国際公開第2007/087442号
【特許文献31】国際公開第2007/087443号
【特許文献32】国際公開第2007/089904号
【特許文献33】国際公開第2007/109362号
【特許文献34】国際公開第2007/112093号
【特許文献35】国際公開第2007/121186号
【特許文献36】国際公開第2007/139926号
【特許文献37】国際公開第2008/039520号
【特許文献38】国際公開第2008/063504号
【特許文献39】国際公開第2008/10331O号
【特許文献40】国際公開第2008/106731号
【特許文献41】国際公開第2008/148108号
【特許文献42】国際公開第2009/017818号
【特許文献43】国際公開第2009/017819号
【特許文献44】国際公開第2009/017831号
【特許文献45】国際公開第2009/035818号
【特許文献46】国際公開第2009/038775号
【特許文献47】国際公開第2009/076454号
【特許文献48】国際公開第2009/089305号
【特許文献49】国際公開第2010/025295号
【特許文献50】国際公開第2010/027875号
【特許文献51】国際公開第2010/034003号
【特許文献52】国際公開第2010/034011号
【特許文献53】国際公開第2010/039236号
【特許文献54】国際公開第2010/039237号
【特許文献55】国際公開第2010/039238号 (非特許文献)
【非特許文献1】Goldstein et al. Intellectual Property Today 2008, 15 (8), 10−11
【非特許文献2】Williams et al. Foye’s Principles of Medicinal Chemistry, 5th Edition, 2002, page 59
【非特許文献3】Patani et al. Chemical Reviews 1996, 96, 3147−3176
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【非特許文献5】National Cancer Institute at the National Institutes of Health, A to Z List of Cancers, http://www.cancer.gov/cancertopics/types/alphalist/n accessed July 24, 2012
【非特許文献6】Sweeney et al. ChemMedChem 2009, 4, 706−718
【非特許文献7】Stella et al. Prodrugs: Challenges and Rewards, Springer New York 2007
【非特許文献8】Rami−Porta et al. Journal of Thoracic Oncology 2007, 2 (7), 593−602
【非特許文献9】Dubey et al. Lancet Oncology 2006, 7 (5), 416−424, Abstract
【非特許文献10】International Search Report for PCT/IB2010/002539
【非特許文献11】Isabella Derler et al., Expert Opinion in Drug Discovery, 3(7), 787−800, 2008
【非特許文献12】Taiji et al. (European Journal of Pharmacology 560, 225−233, 2007)
【非特許文献13】Yasuhiro Yonetoku et al. (Bio. & Med. Chem., 16, 9457−9466, 2008)
【非特許文献14】Yousang G et al., Cell Calcium, 42,145−156, 2007
【非特許文献15】Yonetoku, et al., Novel potent and selective calcium−release−activated calcium (CRAC) channel inhibitors. Part 1: Synthesis and inhibitory activity of 5−(1−methyl−3−trifluoromethyl−1Hpyrazol−5−yl)−2−thiophenecarboxamides, Bioorganic & Medicinal Chemistry 14 (2006) 4750−4760
【非特許文献16】Yonetoku, et al., Novel potent and selective calcium−release−activated calcium (CRAC) channel inhibitors. Part 2: Synthesis and inhibitory activity of aryl−3−trifluoromethylpyrazoles, Bioorganic & Medicinal Chemistry 14 (2006) 5370−5383
【非特許文献17】Yonetoku, et aI., Novel Potent and Selective Ca2+ release−activated Ca2+ (CRAC) channel inhibitors. Part 3: Synthesis and CRAC channel inhibitory activity of 4’−[trifluoromethyl)pyrazol−1−yl]carboxanilides, Bioorganic & Medicinal Chemistry 16 (2008) 9457−9466
【非特許文献18】Yasurio Yonetoky et. al., Bio. & Med. Chem., 14, 4750−4760, 2006
【非特許文献19】Yasurio Yonetoky et.al., Bio. & Med. Chem., 14, 5370−5383, 2006
【非特許文献20】Application No. 12/899,416, filed on October 6, 2010
【非特許文献21】International Search Report for PCT/IB2010/002535
【発明の概要】
【0022】
本発明は、式(I)の化合物、それらの調製のための方法、それらを含有する薬学的組成物、およびそれらを用いた治療の方法に関する。
【0023】
特に、式(I)の化合物およびそれらの薬学的に許容される塩は、カルシウム放出依存性カルシウムチャネルに関連した疾患または障害の治療、予防、阻害および/または改善において有用な、カルシウム放出依存性カルシウムチャネルモジュレータである。
【0024】
一態様において、本発明は、式(I)
【化3】
の化合物、またはその互変異性体、そのプロドラッグ、そのN−オキシド、その薬学的に許容されるエステル、もしくはその薬学的に許容される塩に関し、
式中、
環Hyは、
【化4】
を表し、
環Hyは、任意でR′′′で置換され、
R
1およびR
2は、同じかまたは異なり、CH
3、CH
2F、CHF
2、CF
3、置換または非置換C
(3−5)シクロアルキル、CH
2−OR
a、CH
2−NR
aR
b、CN、およびCOOHから独立して選択されるが、ただし、
a)R
1およびR
2の両方が同時にCF
3を表すことはなく、
b)R
1およびR
2の両方が同時にCH
3を表すことはなく、
c)R
1がCF
3である場合、R
2はCH
3ではなく、
d)R
1がCH
3である場合、R
2はCF
3ではなく、
環Arは、
【化5】
を表し、T、U、V、およびWは、同じかまたは異なり、CR
aおよびNから独立して選択され、
Z
1、Z
2、およびZ
3は、同じかまたは異なり、CR
a、CR
aR
b、O、S、および−NR
aから独立して選択されるが、ただし、Z
1、Z
2、およびZ
3のうちの少なくとも1つは、O、S、または−NR
aを表し、
L
1およびL
2は、一緒になって、−NH−C(=X)−、−NH−S(=O)
q−、−C(=X)NH−、−NH−CR′R′′、または−S(=O)
qNH−を表し、
Aは、存在しないか、または−(CR′R′′)−、O、S(=O)
q、C(=X)、および−NR
aから選択され、
R′およびR′′の各発生は、同じかもしくは異なり、水素、ヒドロキシ、シアノ、ハロゲン、−OR
a、−COOR
a、−S(=O)
q−R
a、−NR
aR
b、−C(=X)−R
a、置換もしくは非置換C
(1−6)アルキル基、置換もしくは非置換C
(1−6)アルケニル、置換もしくは非置換C
(1−6)アルキニル、および置換もしくは非置換C
(3−5)シクロアルキルから独立して選択されるか、または、R′およびR′′は、共通の原子に直接結合した場合、一緒になって、同じかもしくは異なってもよく、O、NR
aおよびSから選択される1つ以上のヘテロ原子を任意で含んでもよい、置換もしくは非置換の飽和もしくは不飽和3〜6員環を形成してもよく、
R′′′は、水素、ヒドロキシ、シアノ、ハロゲン、−OR
a、−COOR
a、−S(=O)
q−R
a、−NR
aR
b、−C(=X)−R
a、置換または非置換C
(1−6)アルキル基、置換または非置換C
(1−6)アルケニル、置換または非置換C
(1−6)アルキニル、および置換または非置換C
(3−5)シクロアルキルから選択され、
Xの各発生は、O、S、および−NR
aから独立して選択され、
Cyは、置換または非置換シクロアルキル基、置換または非置換ヘテロシクリル、置換または非置換アリール、および置換または非置換ヘテロアリールから選択される二環式環であり、
R
aおよびR
bの各発生は、同じかもしくは異なり、水素、ニトロ、ヒドロキシ、シアノ、ハロゲン、−OR
c、−S(=O)
q−R
c、−NR
cR
d、−C(=Y)−R
c、−CR
cR
d−C(=Y)−R
c、−CR
cR
d−Y−CR
cR
d−、−C(=Y)−NR
cR
d−、−NRR
d−C(=Y)−NR
cR
d−、−S(=O)
q−NR
cR
d−、−NR
cR
d−S(=O)
q−NR
cR
d−、−NR
cR
d−NR
cR
d−、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換アルケニル、置換もしくは非置換アルキニル、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換シクロアルキルアルキル、置換もしくは非置換シクロアルケニル、置換もしくは非置換ヘテロシクリル、置換もしくは非置換ヘテロシクリルアルキル、置換もしくは非置換アリール、置換もしくは非置換アリールアルキル、置換もしくは非置換ヘテロアリール、および置換もしくは非置換ヘテロアリールアルキルから独立して選択されるか、または、R
aおよびR
bは、同じ原子に直接結合する場合、一緒になって、同じかもしくは異なっていてもよく、O、NR
c、およびSから選択される1つ以上のヘテロ原子を任意で含んでいてもよい、置換もしくは非置換の飽和もしくは不飽和3〜10員環を形成してもよく、
R
cおよびR
dの各発生は、同じかもしくは異なっていてもよく、水素、ニトロ、ヒドロキシ、シアノ、ハロゲン、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換アルケニル、置換もしくは非置換アルキニル、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換シクロアルキルアルキル、置換もしくは非置換シクロアルケニル、置換もしくは非置換複素環式基、置換もしくは非置換ヘテロシクリルアルキルから独立して選択されるか、または、2つのR
cおよび/もしくはR
d置換基は、同じ原子に直接結合する場合、一緒になって、同じかもしくは異なり、O、NHおよびSから選択される1つ以上のヘテロ原子を任意で含んでいてもよい、置換もしくは非置換の飽和もしくは不飽和3〜10員環を形成してもよく、
Yの各発生は、O、S、および−NR
aから選択され、
qの各発生は、独立して、整数0、1、または2を表すが、
ただし、(e)式(I)の化合物は、
N−[4−[5−シクロプロピル−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]フェニル]−1−メチル−3−(トリフルオロメチル)−1H−チエノ[2,3−c]ピラゾール−5−カルボキサミドまたはN−[4−[5−シクロプロピル−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]フェニル]−ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−カルボキサミドではない。
【0025】
好ましい一実施形態において、R
1は、シクロプロピルである。
【0026】
好ましい一実施形態において、R
2は、シクロプロピルである。
【0027】
好ましい一実施形態によれば、Hyは、
【化6】
である。
【0028】
さらに好ましいのは、Hyが以下の通りである式(I)の化合物である:
【化7】
【0029】
さらに好ましいのは、Hyが以下の通りである式(I)の化合物である:
【化8】
【0030】
好ましい一実施形態によれば、Arは、
【化9】
である。
【0031】
さらに好ましいのは、Arが以下の通りである式(I)の化合物である:
【化10】
【0032】
さらに好ましいのは、Arが以下の通りである式(I)の化合物である:
【化11】
【0033】
好ましい一実施形態によれば、L
1およびL
2は、一緒になって、−NH−C(=O)−、−NH−S(=O)
q−、−C(=O)NH−、または−NH−CH
2−を表す。
【0034】
好ましい一実施形態によれば、Aは、存在しないか、または−(CR′R′′)−、O、S(=O)
q、C(=X)および−NR
aから選択される。より好ましくは、Aは、−CH
2−、−CHMe−、または−(CR′R′′)−であり、式中、R′およびR′′は、一緒になって、同じかまたは異なり、O、NR
a(例えば、NH)、およびSから選択される1つ以上のヘテロ原子を任意で含んでいてもよい、置換または非置換の飽和または不飽和3〜6員環を形成する。
【0035】
さらに好ましいのは、Aが以下の通りである式(I)の化合物である:
【化12】
【0036】
さらに好ましいのは、Aが以下の通りである式(I)の化合物である:
【化13】
【0037】
さらに好ましいのは、Aが存在しない、式(I)の化合物である。
【0038】
さらに好ましいのは、Aが−CH
2−である、式(I)の化合物である。
【0039】
好ましい一実施形態によれば、Cyは、
【化14】
である。
【0040】
さらに好ましいのは、Cyが以下の通りである式(I)の化合物である:
【化15】
【0041】
さらに好ましいのは、Cyが以下の通りである式(I)の化合物である:
【化16】
【0042】
さらに別の実施形態は、式(IA):
【化17】
を有する化合物、またはその互変異性体、そのプロドラッグ、そのN−オキシド、その薬学的に許容されるエステル、もしくはその薬学的に許容される塩であり、式中、変数(例えば、R′′′、R
1、R
2、T、U、V、W、L
1、L
2、A、およびCy)は、式(I)に関して上で説明されたように定義されるが、ただし、式(IA)の化合物は、上で定義されたような条件(a〜e)における化合物のいずれでもない。
【0043】
さらに別の実施形態は、式(IA−I)
【化18】
を有する化合物、またはその互変異性体、そのプロドラッグ、そのN−オキシド、その薬学的に許容されるエステル、もしくはその薬学的に許容される塩であり、式中、変数(例えば、R′′′、R
1、R
2、T、U、V、W、A、およびCy)は、式(I)に関して上述されたように定義されるが、
ただし、式(IA)の化合物は、上で定義された条件(a〜e)における化合物のいずれでもない。
【0044】
さらに好ましいのは、式(IA−I)
【化19】
の化合物、またはその互変異性体、そのプロドラッグ、そのN−オキシド、その薬学的に許容されるエステルもしくはその薬学的に許容される塩であり、式中、
R
1およびR
2は、同じかまたは異なり、CH
2F、CHF
2、CF
3、およびシクロプロピルから独立して選択されるが、ただし、R
1およびR
2の両方が同時にCF
3を表すことはなく、
R′′′は、水素またはハロゲンであり、
T、U、V、Wは、独立して、CR
aまたはNであり、
R
aは、水素またはハロゲンであり、
Aは、存在しないか、または
【化20】
から選択され、
Cyは、二環式置換もしくは非置換アリールまたは単環式置換もしくは非置換ヘテロアリールから選択されるが、
ただし、式(IA)の化合物は、上で定義された条件(e)における化合物のいずれでもない。
【0045】
さらに好ましいのは、R
1およびR
2の両方がシクロプロピルを表す式(IA−I)の化合物である。
【0046】
さらに好ましいのは、R
1およびR
2の一方が、CF
3であり、他方は、シクロプロピルである、式(IA−I)の化合物である。
【0047】
さらに好ましいのは、R
1が、シクロプロピルであり、R
2が、CF
3である式(IA−I)の化合物である。
【0048】
さらに好ましいのは、T、U、V、Wが、CH、CF、またはNである式(IA−I)の化合物である。
【0049】
さらに好ましいのは、Tが、CFまたはNであり、U、V、およびWのそれぞれが、CHである式(IA−I)の化合物である。
【0050】
さらに好ましいのは、TおよびVのそれぞれがCFまたはNであり、UおよびWのそれぞれが、CHである式(IA−I)の化合物である。
【0051】
さらに好ましいのは、Aが、存在しないか、または以下から選択される式(IA−I)の化合物である:
【化21】
【0052】
さらに好ましいのは、Cyが以下から選択される式(IA−I)の化合物である:
【化22】
【0053】
さらに別の実施形態は、式(IA−II)
【化23】
を有する化合物、またはその互変異性体、そのプロドラッグ、そのN−オキシド、その薬学的に許容されるエステル、もしくはその薬学的に許容される塩であり、式中、
R
1およびR
2は、同じかまたは異なり、CH
2F、CHF
2、CF
3、シクロプロピルから独立して選択されるが、ただし、R
1およびR
2の両方が同時にCF
3を表すことはなく、
R′′′は、水素またはハロゲンであり、
T、U、V、Wは、独立してCR
aまたはNであり、
R
aは、水素またはハロゲンであり、
Aは、存在しないか、または
【化24】
から選択され、
Cyは、C
(8〜13)二環式置換または非置換ヘテロアリールから選択されるが、
ただし、式(IA)の化合物は、上で定義された条件(e)における化合物のいずれでもない。
【0054】
さらに好ましいのは、R
1およびR
2の両方がシクロプロピルを表す式(IA−II)の化合物である。
【0055】
さらに好ましいのは、R
1およびR
2の一方が、CF
3であり、他方は、シクロプロピルである式(IA−II)の化合物である。
【0056】
さらに好ましいのは、R
1が、シクロプロピルであり、R
2が、CF
3である式(IA−II)の化合物である。
【0057】
さらに好ましいのは、T、U、V、Wが、CH、CF、またはNである式(IA−II)の化合物である。
【0058】
さらに好ましいのは、Tが、CFまたはNであり、U、V、およびWのそれぞれが、CHである式(IA−II)の化合物である。
【0059】
さらに好ましいのは、TおよびVのそれぞれが、CFまたはNであり、UおよびWのそれぞれが、CHである式(IA−II)の化合物である。
【0060】
さらに好ましいのは、Aが、存在しないか、−CH
2−である式(IA−II)の化合物である。
【0061】
一実施形態において、Aは、−CH
2−である。
【0062】
さらに好ましいのは、Cyが以下から選択される式(IA−III)の化合物である:
【化25】
【0063】
さらに別の実施形態は、式(IA−III)
【化26】
を有する化合物、またはその互変異性体、プロドラッグ、N−オキシド、薬学的に許容されるエステル、もしくは薬学的に許容される塩であり、
式中、
R
1およびR
2は、同じかまたは異なり、CH
2F、CHF
2、CF
3、シクロプロピルから独立して選択されるが、ただし、R
1およびR
2の両方が同時にCF
3を表すことはなく、
TおよびVは、同じかまたは異なり、CFおよびNから独立して選択され、
UおよびVのそれぞれは、CR
aであり、
L
1およびL
2は、一緒になって、−NH−C(=X)−、−NH−S(=O)
q−、−C(=X)NH−、−S(=O)
qNH−、または−NH−CR′R′′−を表し、
Aは、存在しないか、または−(CR′R′′)−および−NR
aから選択され、
R′およびR′′の各発生は、同じかもしくは異なり、水素または置換もしくは非置換C
(1−6)アルキル基から独立して選択されるか、あるいは、R′およびR′′は、一緒になって、同じかまたは異なっていてもよく、O、NR
a、およびSから選択される1つ以上のヘテロ原子を任意で含んでいてもよい、置換または非置換の飽和または不飽和3〜6員環を形成してもよく、
R′′′は、水素またはハロゲンからなる群から選択され、
Xの各発生は、O、S、および−NR
aから独立して選択され、
Cyは、置換または非置換へテロシクリル、置換または非置換アリール、および置換または非置換ヘテロアリールから選択される二環式環であり、
R
aおよびR
bの各発生は、同じかもしくは異なり、水素、ニトロ、ヒドロキシ、シアノ、ハロゲン、−OR
c、−S(=O)
q−R
c、−NR
cR
d、−C(=Y)−R
c、−CR
cR
d−C(=Y)−R
c、−CR
cR
d−Y−CR
cR
d−,−C(=Y)−NR
cR
d−、−NRR
d−C(=Y)−NR
cR
d−、−S(=O)
q−NR
cR
d−、−NR
cR
d−S(=O)
q−NR
cR
d−、−NR
cR
d−NR
cR
d−、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換アルケニル、置換もしくは非置換アルキニル、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換シクロアルキルアルキル、置換もしくは非置換シクロアルケニル、置換もしくは非置換ヘテロシクリル、置換もしくは非置換ヘテロシクリルアルキル、置換もしくは非置換アリール、置換もしくは非置換アリールアルキル、置換もしくは非置換ヘテロアリール、および置換もしくは非置換ヘテロアリールアルキルから独立して選択されるか、または、R
aおよびR
b置換基は、同じ原子に直接結合する場合、一緒になって、同じかもしくは異なっていてもよく、O、NR
c、およびSから選択される1つ以上のヘテロ原子を任意で含んでいてもよい、置換もしくは非置換の飽和もしくは不飽和3〜10員環を形成してもよく、
R
cおよびR
dの各発生は、同じかもしくは異なっていてもよく、水素、ニトロ、ヒドロキシ、シアノ、ハロゲン、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換アルケニル、置換もしくは非置換アルキニル、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換シクロアルキルアルキル、置換もしくは非置換シクロアルケニル、置換もしくは非置換複素環式基、置換もしくは非置換ヘテロシクリルアルキルからなる群から独立して選択されるか、または、2つのR
cおよび/もしくはR
d置換基は、同じ原子に直接結合する場合、一緒になって、同じかもしくは異なり、O、NH、およびSから選択される1つ以上のヘテロ原子を任意で含んでいてもよい、置換もしくは非置換の飽和もしくは不飽和3〜10員環を形成してもよく、
Yの各発生は、O、S、および−NR
aから選択され、
qの各発生は、独立して、0、1または2を表す。
【0064】
さらに好ましいのは、R
1およびR
2の両方がシクロプロピルを表す式(IA−III)の化合物である。
【0065】
さらに好ましいのは、R
1およびR
2の一方が、CF
3であり、他方は、シクロプロピルである式(IA−III)の化合物である。
【0066】
さらに好ましいのは、R
1およびR
2の一方が、CF
3であり、他方は、CH
2F、CHF
2である式(IA−III)の化合物である。
【0067】
さらに好ましいのは、R
1が、シクロプロピルであり、R
2は、CF
3である式(IA−III)の化合物である。
【0068】
さらに好ましいのは、Tが、CFまたはNである式(IA−III)の化合物である。
【0069】
さらに好ましいのは、U、V、Wが、CH、CF、またはNである式(IA−III)の化合物である。
【0070】
さらに好ましいのは、L
1およびL
2が、一緒になって、−NH−C(=O)−、C(=O)NH−、または−NH−CH
2−を表す式(IA−III)の化合物である。
【0071】
さらに好ましいのは、Aが、存在しないか、−NH−または−CH
2−である式(IA−III)の化合物である。
【0072】
さらに好ましいのは、Cyが以下から選択される、式(IA−III)の化合物である:
【化27】
【0073】
さらに別の実施形態は、式(IA−IV)
【化28】
を有する化合物、またはその互変異性体、プロドラッグ、N−オキシド、薬学的に許容されるエステルもしくは薬学的に許容される塩であり、
式中、
R
1およびR
2は、同じかまたは異なり、CH
2F、CHF
2、CF
3、シクロプロピルから独立して選択されるが、ただし、R
1およびR
2の両方が同時にCF
3を表すことはなく、
TおよびVは、同じかまたは異なり、CH、CF、およびNから独立して選択され、
UおよびVのそれぞれは、CR
aであり、
L
1およびL
2は、一緒になって、−NH−C(=X)−、−NH−S(=O)
q−、−C(=X)NH−、−S(=O)
qNH−、または−NH−CR′R′′−を表し、
Aは、−(CR′R′′)−および−NR
aから選択され、
R′およびR′′の各発生は、同じかもしくは異なり、水素または置換もしくは非置換C
(1〜6)アルキル基から独立して選択されるか、あるいは、R′およびR′′は、一緒になって、同じかまたは異なっていてもよい、O、NR
a、およびSから選択される1つ以上のヘテロ原子を任意で含んでいてもよい、置換または非置換の飽和または不飽和3〜6員環を形成してもよく、
R′′′は、水素またはハロゲンからなる群から選択され、
Xの各発生は、O、Sおよび−NR
aから独立して選択され、
Cyは、二環式置換または非置換のヘテロアリールであり、
R
aおよびR
bの各発生は、同じかもしくは異なり、水素、ニトロ、ヒドロキシ、シアノ、ハロゲン、−OR
c、−S(=O)
q−R
c、−NR
cR
d、−C(=Y)−R
c、−CR
cR
d−C(=Y)−R
c、−CR
cR
d−Y−CR
cR
d−,−C(=Y)−NR
cR
d−、−NRR
d−C(=Y)−NR
cR
d−、−S(=O)
q−NR
cR
d−、−NR
cR
d−S(=O)
q−NR
cR
d−、−NR
cR
d−NR
cR
d−、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換アルケニル、置換もしくは非置換アルキニル、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換シクロアルキルアルキル、置換もしくは非置換シクロアルケニル、置換もしくは非置換ヘテロシクリル、置換もしくは非置換ヘテロシクリルアルキル、置換もしくは非置換アリール、置換もしくは非置換アリールアルキル、置換もしくは非置換ヘテロアリール、および置換もしくは非置換ヘテロアリールアルキルから独立して選択されるか、または、R
aおよびR
b置換基は、同じ原子に直接結合する場合、一緒になって、同じかもしくは異なっていてもよい、O、NR
cおよびSから選択される1つ以上のヘテロ原子を任意で含んでいてもよい、置換もしくは非置換の飽和もしくは不飽和3〜10員環を形成してもよく、
R
cおよびR
dの各発生は、同じかもしくは異なっていてもよく、水素、ニトロ、ヒドロキシ、シアノ、ハロゲン、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換アルケニル、置換もしくは非置換アルキニル、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換シクロアルキルアルキル、置換もしくは非置換シクロアルケニル、置換もしくは非置換複素環式基、置換もしくは非置換ヘテロシクリルアルキルからなる群から独立して選択されるか、または、2つのR
cおよび/もしくはR
d置換基は、同じ原子に直接結合する場合、一緒になって、同じかもしくは異なる、O、NHおよびSから選択される1つ以上のヘテロ原子を任意で含んでいてもよい、置換もしくは非置換の飽和もしくは不飽和3〜10員環を形成してもよく、
Yの各発生は、O、Sおよび−NR
aから選択され、
qの各発生は、独立して、0、1または2を表す。
【0074】
さらに好ましいのは、R
1およびR
2の両方がシクロプロピルを表す式(IA−IV)の化合物である。
【0075】
さらに好ましいのは、R
1およびR
2の一方が、CF
3であり、他方は、シクロプロピルである式(IA−IV)の化合物である。
【0076】
さらに好ましいのは、R
1およびR
2の一方が、CF
3であり、他方は、CH
2F、CHF
2である式(IA−IV)の化合物である。
【0077】
さらに好ましいのは、R
1が、シクロプロピルであり、R
2は、CF
3である式(IA−IV)の化合物である。
【0078】
さらに好ましいのは、Tが、CF、またはNである式(IA−IV)の化合物である。
【0079】
さらに好ましいのは、U、V、Wが、CH、CF、またはNである式(IA−IV)の化合物である。
【0080】
さらに好ましいのは、L
1およびL
2が、一緒になって、−NH−C(=O)−、C(=O)NH−、または−NH−CH
2−を表す式(IA−IV)の化合物である。
【0081】
さらに好ましいのは、Aが、存在しないか、−NH−または−CH
2−である式(IA−IV)の化合物である。
【0082】
さらに好ましいのは、Cyが以下から選択される式(IA−IV)の化合物である:
【化29】
【0083】
さらに別の実施形態において、本発明は、カルシウム放出依存性カルシウム(CRAC)阻害剤を用いて非小細胞肺癌(NSCLC)を治療するための方法、ならびに癌の治療および診断のための治療薬を特定するための方法に関する。ある実施形態において、CRAC阻害剤は、本明細書に記載の実施形態のいずれかにあるような、式I、IA、IA−II、IA−III、またはIA−IVの化合物である。
【0084】
本発明者らは、ORAI(例えば、ORAI1、ORAI2、もしくはORAI3)またはSTIM(例えば、STIM1もしくはSTIM2)を発現する癌細胞が、カルシウム放出依存性カルシウム(CRAC)阻害剤による治療に対して感受性があることを発見している。これらの癌細胞型は、非小細胞肺癌(NSCLC)を患っている多くの患者に発現する。
【0085】
本発明の一実施形態は、有効量のCRAC阻害剤を患者に投与することによる、NSCLCを患っている患者の治療方法である。好ましい一実施形態において、少なくともいくつかの癌細胞は、ORAI1、STIM1、またはSTIM2を発現する。CRAC阻害剤は、肺癌(またはNSCLC)を治療する単剤療法としてまたは1つ以上の他の方法との補助療法として使用され得る。ある実施形態において、CRAC阻害剤は、本明細書に記載の実施形態のいずれかにあるような、式I、IA、IA−II、IA−III、またはIA−IVの化合物である。
【0086】
別の実施形態は、少なくともいくつかの癌細胞内へのカルシウムの流入を改変することによって、好ましくは、少なくともいくつかの癌細胞の原形質膜中のカルシウム放出依存性カルシウム(CRAC)チャネルおよび/またはSTIMタンパク質の発現レベルを増加させることによって、NSCLCを患っている患者を治療する方法である。
【0087】
さらに別の実施形態は、NSCLCを治療するための候補薬剤を特定するための方法である。本方法は、(a)(i)候補薬剤が、カルシウム放出依存性カルシウム(CRAC)チャネルを調節するかどうか、および/または(ii)候補薬剤が、CRACチャネルのStimタンパク質の発現を調節するかどうか、またはその両方を判定することと、(b)CRACチャネルおよび/またはCRACチャネルのStimタンパク質を調節する能力に基づいて、候補薬剤を選択することと、を含む。
【0088】
好ましい一実施形態において、候補薬剤は、癌性細胞へのカルシウムの流入を改変することができる。例えば、候補薬剤は、選択的に、CRACチャネルまたはSTIMタンパク質を調節し得る。好ましくは、候補薬剤は、選択的に、CRACチャネルまたはSTIMタンパク質を阻害する。例えば、阻害されるCRACチャネルは、CRACM1/Orai1、CRACM2/Orai2、およびCRACM3/Orai3から選択され得る。別の実施形態において、候補薬剤は、細胞の小胞体膜上に位置するSTIMタンパク質を阻害する。特定の実施形態において、STIMタンパク質は、STIM1またはSTIM2等のSTIMファミリーの膜貫通タンパク質から選択される。好ましい実施形態によれば、STIMタンパク質は、STIM1である。ある実施形態において、候補薬剤は、本明細書に記載の実施形態のいずれかにあるような、式I、IA、IA−II、IA−III、またはIA−IVの化合物である。
【0089】
さらに別の実施形態は、(b)薬学的に許容される担体、希釈剤、または賦形剤と共に、(a)上の方法に従って特定された、NSCLCの治療に有効な候補薬剤を含む、NSCLCを治療するための薬学的組成物である。ある実施形態において、候補薬剤は、本明細書に記載の実施形態のいずれかにあるような、式I、IA、IA−II、IA−III、またはIA−IVの化合物である。
【0090】
さらに別の実施形態は、(a)上の方法に従って特定された、有効量の候補薬剤、または(b)(b)薬学的に許容される担体、希釈剤、または賦形剤と共に、(i)上の方法に従って特定された、NSCLCの治療に有効な候補薬剤を含む、1つ以上の薬学的組成物を患者に投与することによって、NSCLCを患っている患者を治療する方法であり、薬学的組成物によって提供される候補薬剤の総量は、治療上有効量の候補薬剤を提供する。ある実施形態において、候補薬剤は、本明細書に記載の実施形態のいずれかにあるような、式I、IA、IA−II、IA−III、またはIA−IVの化合物である。
【0091】
さらに別の実施形態は、肺細胞(例えば、癌性細胞)内のカルシウム放出依存性カルシウム(CRAC)チャネルおよび/またはSTIMタンパク質のレベルを検出することによって、ヒトが、肺癌に罹患し易いか、あるいは肺癌を患っているかどうかを判定するための方法である。一実施形態において、本方法は、より高いレベルのOraiおよび/またはSTIMタンパク質の検出を含む。例えば、本方法は、癌性細胞内の増加したレベルのSTIMタンパク質を検出することを含み得る。例えば、検出対象のSTIMタンパク質は、STIM1またはSTIM2等のSTIMファミリーのメンバーの膜貫通タンパク質である。一実施形態において、検出対象のSTIMタンパク質は、STIM1である。
【0092】
本発明の代表的化合物は、下記および表1で特定される化合物、ならびにその薬学的に許容される塩を含む。本発明は、それらに限定されるように解釈されるべきではない。
1.N−[4−(3,5−ジシクロプロピル−1H−ピラゾール−1−イル)フェニル]−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−6−カルボキサミド
2.N−[4−(3,5−ジシクロプロピル−1H−ピラゾール−1−イル)フェニル]−1H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−6−カルボキサミド
3.N−[4−(3,5−ジシクロプロピル−1H−ピラゾール−1−イル)フェニル]−キノリン−6−カルボキサミド塩酸塩
4.N−[4−(3,5−ジシクロプロピル−1H−ピラゾール−1−イル)フェニル]キノキサリン−6−カルボキサミド
5.2−(1H−ベンゾ[d]イミダゾール−1−イル)−N−[4−(3,5−ジシクロプロピル−1H−ピラゾール−1−イル)フェニル]アセトアミド
6.2−(1H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−1−イル)−N−[4−(3,5−ジシクロプロピル−1H−ピラゾール−1−イル)フェニル]アセトアミド
7.N−[4−(3,5−ジシクロプロピル−1H−ピラゾール−1−イル)フェニル]−2−(1H−インドール−3−イル)アセトアミド
8.N−[4−(3,5−ジシクロプロピル−1H−ピラゾール−1−イル)フェニル]−2−(イミダゾ[1,2−a]ピリジン−2−イル)アセトアミド塩酸塩
9.N−[4−(3,5−ジシクロプロピル−1H−ピラゾール−1−イル)フェニル]−2−キノリン−6−イル)アセトアミド
10.N−[4−(3,5−ジシクロプロピル−1H−ピラゾール−1−イル)フェニル]−2−(キノリン−6−イル)アセトアミド塩酸塩
11.2−(1H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−1−イル)−N−(4−(3,5−ジシクロプロピル−1H−ピラゾール−1−イル)−3−フルオロフェニル)アセトアミド
12.N−[4−(3,5−ジシクロプロピル−1H−ピラゾール−1−イル)−3−フルオロフェニル]−2−(キノリン−6−イル)アセトアミド塩酸塩
13.N−[6−(3,5−ジシクロプロピル−1H−ピラゾール−1−イル)ピリジン−3−イル]キノリン−6−カルボキサミド二塩酸塩
14.N−[6−(3,5−ジシクロプロピル−1H−ピラゾール−1−イル)ピリジン−3−イル]キノキサリン−6−カルボキサミド
15.2−(1H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−1−イル)−N−[6−(3,5−ジシクロプロピル−1H−ピラゾール−1−イル)ピリジン−3−イル]アセトアミド
16.N−[6−(3,5−ジシクロプロピル−1H−ピラゾール−1−イル)ピリジン−3−イル]−2−(キノリン−6−イル)アセトアミド二塩酸塩
17.N−{4−[5−シクロプロピル−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]フェニル}キノリン−6−カルボキサミド塩酸塩
18.N−{4−[5−シクロプロピル−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]フェニル}キノキサリン−6−カルボキサミド
19.2−(1H−ベンゾ[d]イミダゾール−1−イル)−N−{4−[5−シクロプロピル−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]フェニル}アセトアミド
20.2−(1H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−1−イル)−N−{4−[5−シクロプロピル−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]フェニル}アセトアミド
21.2−(2H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−2−イル)−N−{4−[5−シクロプロピル−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]フェニル}アセトアミド
22.2−(3H−[1,2,3]トリアゾール[4,5−b]ピリジン−3−イル)−N−{4−[5−シクロプロピル−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]フェニル}アセトアミド
23.(S)−2−(3H−[1,2,3]トリアゾール[4,5−b]ピリジン−3−イル)−N−{4−[5−シクロプロピル−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]フェニル}プロパンアミド
24.2−(6−アミノ−9H−プリン−9−イル)−N−{4−[5−シクロプロピル−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]フェニル}アセトアミド
25.N−(4−(5−シクロプロピル−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル)フェニル)−2−(1,3−ジメチル−2,6−ジオキソ−2,3−ジヒドロ−1H−プリン−7(6H)−イル)アセトアミド
26.N−{4−[5−シクロプロピル−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル)フェニル)−2−(イミダゾ[1,2−a]ピリジン−2−イル)アセトアミド塩酸塩
27.N−{4−[5−シクロプロピル−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]フェニル}−2−(キノリン−6−イル)アセトアミド塩酸塩
28.N−{4−[5−シクロプロピル−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]フェニル}−2−(キノリン−6−イル)プロパンアミド塩酸塩
29.N−{4−[5−シクロプロピル−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]−3−フルオロフェニル}−1H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−6−カルボキサミド
30.2−(1H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−1−イル)−N−{4−[5−シクロプロピル−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]−3−フルオロフェニル}アセトアミド
31.N−{6−[5−シクロプロピル−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]ピリジン−3−イル}−1H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−5−カルボキサミド
32.2−(1H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−1−イル)−N−{6−[5−シクロプロピル−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]ピリジン−3−イル}アセトアミド
33.2−(2H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−2−イル)−N−{6−[5−シクロプロピル−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]ピリジン−3−イル}アセトアミド
34.N−{6−[5−シクロプロピル−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]ピリジン−3−イル}−2−(キノリン−6−イル)アセトアミド塩酸塩
35.2−(1H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−1−イル)−N−{6−[4−クロロ−5−シクロプロピル−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]ピリジン−3−イル}アセトアミド
36.4−[5−シクロプロピル−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]−3−フルオロ−N−(キノリン−6−イルメチル)ベンズアミド塩酸塩
37.1−[4−(3,5−ジシクロプロピル−1H−ピラゾール−1−イル)フェニル]−3−(キノリン−6−イル)尿素:
【表1】
【0093】
本発明の化合物(例えば、式I、IA、IA−I、IA−II、IA−III、および/またはIA−IVの化合物、それらの薬学的に許容されるエステルおよび塩を含む)は、カルシウム放出依存性カルシウム(CRAC)チャネルに関連する疾患および障害の治療、予防、阻害、および/または改善に有用である。
【0094】
本発明の別の実施形態は、有効量の本発明の化合物(例えば、上で定義されたような、式I、IA、IA−I、IA−II、IA−III、および/またはIA−IVの化合物)を、そのような治療を必要とする患者に投与することにより、CRACチャネルの調節を介して疾患または障害を治療するための方法である。
【0095】
本発明のさらに別の実施形態は、少なくとも1つの他の抗炎症薬剤と組み合わせて(同時にまたは逐次的に)、有効量の本発明の化合物(例えば、上で定義されたような式I、IA、IA−I、IA−II、IA−III、および/またはIA−IVの化合物)を、そのような治療を必要とする患者に投与することにより、CRACチャネルの調節を介して疾患または障害を治療するための方法である。
【0096】
本発明のさらに別の実施形態は、少なくとも1つの他の抗癌薬剤と組み合わせて(同時にまたは逐次的に)、有効量の本発明の化合物(例えば、上で定義されたような式I、IA、IA−I、IA−II、IA−III、および/またはIA−IVの化合物)を、そのような治療を必要とする患者に投与することにより、CRACチャネルの調節を介して疾患または障害を治療するための方法である。
【0097】
本発明の化合物は、ストア作動性カルシウム流入を阻害し、SOCE単位の集合を妨害し、ストア作動性カルシウムチャネル複合体を形成するタンパク質の機能的相互作用を改変し、STIM1のOrai1との機能的相互作用を改変することができる。これらの化合物は、SOCチャネルポアブロッカーであり、またCRACチャネルポアブロッカーである。
【0098】
本明細書に記載の化合物は、細胞内カルシウムを調節し、細胞内カルシウムの調節が有益な効果を有する疾患、障害または状態の治療に使用される。一実施形態において、本明細書に記載の化合物は、ストア作動性カルシウム流入を阻害する。一実施形態において、細胞内カルシウムレベルを調節することができる本発明の化合物は、SOCE単位の集合を妨害する。別の実施形態において、細胞内カルシウムレベルを調節することができる本発明の化合物は、ストア作動性カルシウムチャネル複合体を形成するタンパク質の機能的相互作用を改変する。一実施形態において、細胞内カルシウムレベルを調節することができる本発明の化合物は、STIM1のOrai1との機能的相互作用を改変する。他の実施形態において、細胞内カルシウムレベルを調節することができる本発明の化合物は、SOCチャネルポアブロッカーである。他の実施形態において、細胞内カルシウムレベルを調節することができる本発明の化合物は、CRACチャネルポアブロッカーである。
【0099】
一態様において、細胞内カルシウムレベルを調節することができる本発明の化合物は、活性化SOCチャネルに直接関連した電気生理学的な電流(I
SOC)を阻害する。一態様において、細胞内カルシウムレベルを調節することができる化合物は、活性化CRACチャネルに直接関連した電気生理学的な電流(I
CRAC)を阻害する。
【0100】
本発明の化合物は、免疫系関連疾患(例えば、自己免疫疾患)、炎症を伴う疾患または障害(例えば、喘息、慢性閉塞性肺疾患、関節リウマチ、炎症性腸疾患、糸球体腎炎、神経炎症性疾患、多発性硬化症、ブドウ膜炎、および免疫系の障害)、癌または他の増殖性疾患、肝疾患または肝障害、ならびに腎疾患または腎障害が含まれるが、これらに限定されない、細胞内カルシウムの調節から恩恵を受ける疾患、状態または障害の治療に有用である。一実施形態において、本明細書に記載の化合物は、移植片拒絶反応、同種または異種移植拒絶反応(臓器、骨髄、幹細胞、他の細胞および組織)、ならびに/または移植片対宿主病を予防(または阻害)するための免疫抑制剤として使用される。例えば、本発明の化合物は、組織または臓器移植から生じる移植片拒絶反応を予防(または阻害)するために使用され得る。本発明の化合物はまた、骨髄または幹細胞移植から生じる移植片対宿主病を予防(または阻害)するためにも使用され得る。
【0101】
より具体的には、式(I、IA、IA−I、IA−II、IA−III、および/またはIA−IV)の化合物は、炎症、糸球体腎炎、ブドウ膜炎、肝疾患または肝障害、腎疾患または腎障害、慢性閉塞性肺疾患、関節リウマチ、炎症性腸疾患、脈管炎、皮膚炎、変形性関節炎、炎症性筋疾患、アレルギー性鼻炎、膣炎、間質性膀胱炎、強皮症、骨粗しょう症、湿疹、同種または異種移植、移植片拒絶反応、移植片対宿主病、紅斑性狼瘡、I型糖尿病、肺線維症、皮膚筋炎、甲状腺炎、重症筋無力症、自己免疫性溶血性貧血、嚢胞性線維症、慢性再発性肝炎、原発性胆汁性肝硬変、アレルギー性結膜炎、肝炎およびアトピー性皮膚炎、喘息、ならびにシェーグレン症候群が含まれるが、これらに限定されない、様々な炎症性疾患の治療に有用である。
【0102】
本明細書に記載の化合物は、ストア作動性カルシウムチャネル複合体内のタンパク質の少なくとも一部の活性を調節し、その相互作用を調節し、またはそれに結合もしくはそれと相互作用する。一実施形態において、本明細書に記載の化合物は、カルシウム放出活性化カルシウムチャネル複合体内のタンパク質の少なくとも一部の活性を調節し、その相互作用を調節し、またはそれに結合もしくはそれと相互作用する。一実施形態において、本明細書に記載の化合物は、機能性ストア作動性カルシウムチャネル複合体のレベルを低減する。別の実施形態において、本明細書に記載の化合物は、活性化ストア作動性カルシウムチャネル複合体のレベルを低減する。さらなる実施形態において、ストア作動性カルシウムチャネル複合体は、カルシウム放出活性化カルシウムチャネル複合体である。
【0103】
疾患または障害の治療のための、細胞内カルシウムレベルを調節することができる本発明の化合物は、疾患または障害を有する対象に投与されると、疾患、状態または障害の症状または徴候を効果的に低減、改善、または排除する。他の実施形態において、本明細書に記載の化合物は、疾患、状態または障害の症状がまだ現れていない、疾患、状態または障害に罹患し易い対象に投与され、症状の発現を予防または遅延させる。さらなる実施形態において、本発明の化合物は、単独で、もしくは他の薬剤と組み合わせてそのような効果を示し、または、別の薬剤の治療効果を向上させるように機能する。
【0104】
本発明の別の実施形態は、有効量の、上に定義されるような式I、IA、IA−I、IA−II、IA−III、および/またはIA−IVの少なくとも1つの化合物を、そのような治療を必要とする患者に投与することによって、カルシウムの調節を介して増殖性疾患を治療するための方法である。
【0105】
本発明のさらに別の実施形態は、少なくとも1つの他の抗癌薬剤と組み合わせて(同時にまたは逐次的に)、有効量の、上に定義されるような式I、IA、IA−I、IA−II、IA−III、および/またはIA−IVの少なくとも1つの化合物を、そのような治療を必要とする患者に投与することによって、カルシウムの調節を介して増殖性疾患を治療するための方法である。一実施形態において、増殖性疾患は、癌である。
【0106】
より具体的には、式I、IA、IA−I、IA−II、IA−III、および/またはIA−IVの化合物、ならびにその薬学的に許容されるエステルもしくは塩は、癌および他の増殖性疾患もしくは障害が含まれるが、これらに限定されない、カルシウムに関与する疾患もしくは障害の治療、予防、および/または改善のために投与することができる。
【0107】
式I、IA、IA−I、IA−II、IA−III、および/またはIA−IVの化合物は、以下のものを含むが、これらに限定されない、様々な癌の治療に有用である。
・白血病、急性リンパ性白血病、急性リンパ芽球性白血病、B細胞リンパ腫、T細胞リンパ腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、有毛細胞リンパ腫、およびバーキットリンパ腫を含む、リンパ系の造血系腫瘍;
・急性および慢性骨髄性白血病、骨髄異形成症候群、および前骨髄球性白血病を含む、骨髄細胞系の造血系腫瘍;
・膀胱、胸部、結腸、腎臓、肝臓、肺(小細胞肺癌を含む)、食道、胆嚢、卵巣、膵臓、胃、頸部、甲状腺、前立腺、および皮膚(扁平上皮細胞癌を含む)の癌腫を含む、癌腫;
・線維肉腫および横紋筋肉腫を含む、間葉由来の腫瘍;
・星状細胞腫、神経芽細胞腫、神経膠腫、および神経鞘腫を含む、中枢および末梢神経系の腫瘍;ならびに、
・メラノーマ、セミノーマ、奇形癌、骨肉腫、色素性乾皮症、角膜黄色腫、甲状腺濾胞状癌、およびカポジ肉腫を含む、他の腫瘍。
【0108】
一般に、細胞増殖の制御におけるカルシウムの重要な役割により、カルシウムチャネル阻害剤は、異常細胞増殖を特徴とする任意の疾患過程、例えば、良性前立腺過形成、家族性大腸腺腫症、神経線維腫症、アテローム性動脈硬化、肺線維症、関節炎、乾癬、糸球体腎炎、血管形成後または血管手術後の再狭窄、肥厚性瘢痕形成、炎症性腸疾患、移植拒絶反応、内毒素性ショック、および真菌感染症の治療に有用となり得る、可逆的な細胞増殖抑制剤として機能することができる。
【0109】
アポトーシスのモジュレータとしての本発明の化合物は、癌(本明細書で上述した種類のものを含むが、これらに限定されない)、ウイルス感染症(ヘルペスウイルス、ポックスウイルス、Epstein−Barrウイルス、Sindbisウイルスおよびアデノウイルスを含むが、これらに限定されない)の治療、HIV感染者におけるAIDS発現、自己免疫疾患(全身性紅斑性狼瘡、自己免疫介在性糸球体腎炎、関節リウマチ、乾癬、炎症性腸疾患、および自己免疫性糖尿病を含むが、これらに限定されない)、神経変性障害(アルツハイマー病、AIDS関連認知症、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、網膜色素変性症、脊髄性筋萎縮症および小脳変性症を含むが、これらに限定されない)、骨髄異形成症候群、再生不良性貧血、心筋梗塞、脳梗塞および再かん流障害に関連した虚血性傷害、不整脈、アテローム性動脈硬化、毒素誘因性またはアルコール関連肝疾患(慢性貧血および再生不良性貧血を含むが、これらに限定されない)、筋骨格系の変性疾患(骨粗しょう症および関節炎を含むが、これらに限定されない)、アスピリン感受性副鼻腔炎、嚢胞性線維症、多発性硬化症、腎疾患ならびに癌性疼痛の予防に有用である。
【0110】
本発明の化合物は、細胞RNAおよびDNA合成のレベルを調節し得る。したがって、これらの薬剤は、ウイルス感染症(HIV、ヒト乳頭腫ウイルス、Epstein−Barrウイルス、Sindbisウイルス、およびアデノウイルスを含むが、これらに限定されない)の治療に有用である。
【0111】
本発明の化合物は、癌の化学的予防に有用である。化学的予防は、変異原性イベントの開始を遮断するか、またはすでに損傷を受けている前癌状態細胞の発達を遮断するか、または腫瘍再発を阻害することによる、浸潤癌の発現の阻害として定義される。化合物はまた、腫瘍血管新生および転移の阻害に有用である。
【0112】
本発明の化合物はまた、放射線治療等の既知の抗癌治療、または細胞増殖抑制剤もしくは細胞毒性薬剤もしくは抗癌薬剤、例えば、限定されないが、シスプラチンもしくはドキソルビシン等のDNA相互作用薬剤、エトポシド等のトポイソメラーゼII阻害剤、CPT−11もしくはトポテカン等のトポイソメラーゼI阻害剤、天然もしくは合成の、パクリタキセル、ドセタキセルもしくはエポチロン(例えば、イクサベピロン)等のチューブリン相互作用薬剤、タモキシフェン等のホルモン剤、5−フルオロウラシル等のチミジル酸合成酵素阻害剤、ならびにメトトレキセート等の代謝拮抗物質、IressaおよびOSI−774等の他のチロシンキナーゼ阻害剤、血管形成阻害剤、EGF阻害剤、VEGF阻害剤、CDK阻害剤、SRC阻害剤、c−Kit阻害剤、Her1/2阻害剤ならびにエルビタックス(EGF)およびハーセプチン(Her2)等の成長因子受容体に対するモノクローナル抗体、また同様に他のタンパク質キナーゼモジュレータと組み合わせても有用である。
【0113】
本発明は、さらに、式I、IA、IA−I、IA−II、IA−III、および/またはIA−IVの1つ以上の化合物、ならびに薬学的に許容される担体を含む、薬学的組成物を提供する。
【0114】
本発明のさらに別の実施形態は、薬学的に許容される担体を任意に含む、本発明の1つ以上の化合物を含む剤形である。剤形は、例えば、錠剤またはカプセル剤等の固体経口剤形であってもよい。
【発明を実施するための形態】
【0116】
別段に定義されない限り、本明細書で使用されている全ての技術および科学用語は、請求される主題が属する分野において一般的に理解されているのと同じ意味を有する。本明細書において、用語対し、複数の定義が存在する場合、この項での定義が優先される。
【0117】
上記概要および以下の詳細な説明は、例示および説明のみを目的とし、請求されるいかなる主題も制限されないことを理解されたい。本出願において、別段に具体的に指定されない限り、単数の使用は、複数を含む。明細書および添付の請求項において使用される場合、文脈上異なる定義が明示されない限り、単数形は複数形の対象も含むことに留意しなければならない。本明細書において、「または」の使用は、別段に指定されない限り、「および/または」を意味する。さらに、「含んでいる(including)」という用語、ならびに「含む(include)」、「含む(includes)」および「含まれる(included)」等の他の形の使用は、限定的ではない。
【0118】
標準的な化学および分子生物学の用語の定義は、Carey and Sundberg"ADVANCED ORGANIC CHEMISTRY 4
th edition"Vols.A(2000)and B(2001),Plenum Press,New Yorkおよび"MOLECULAR BIOLOGY OF THE CELL 5
th edition"(2007),Garland Science,New Yorkを含むが、これらに限定されない、参考資料に見出される。別段に示されない限り、質量分析、NMR、HPLC、タンパク質化学、生化学、組み換えDNA技術および薬理学の従来の方法は、本明細書において開示される実施形態の範囲内に企図される。
【0119】
特定の定義が示されない限り、本明細書に記載の分析化学、ならびに医薬品および薬化学に関連して使用される命名法、ならびにその実験手順および技術は、一般的に使用されるものである。いくつかの実施形態において、標準的な技術が、化学分析、薬学的調製、製剤化および送達、ならびに患者の治療に用いられる。他の実施形態において、標準的な技術が、組み換えDNA、オリゴヌクレオチド合成、ならびに組織培養および形質転換(例えば、エレクトロポレーション、リポフェクション)に用いられる。より詳細な実施形態において、例えば、製造者の仕様書のキットを用いて、または本明細書に記載のように、反応および精製技術が行われる。上記技術および手順は、一般に、従来の方法により、ならびに本明細書全体において引用および議論される、様々な一般的およびより具体的な参考文献に記載されるように行うことができる。
【0120】
本明細書で使用される場合、別段に示されていない限り、以下の定義が適用される。さらに、本明細書において定義される基の多くは、任意で置換されていてもよい。定義における置換基の列挙は例示であり、明細書の別の箇所で定義される置換基を制限するように解釈されるべきではない。
【0121】
「アルキル」という用語は、不飽和を含まず、1個から8個の炭素原子を有し、単結合により分子の残りの部分に結合した、炭素および水素原子のみから構成される直鎖または分岐鎖炭化水素鎖基、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、1−メチルエチル(イソプロピル)、n−ブチル、n−ペンチル、および1,1−ジメチルエチル(t−ブチル)を指す。
【0122】
置換または非置換(C
1−6)アルキルという用語は、6個までの炭素原子を有する、上で定義されたようなアルキル基を指す。
【0123】
「アルケニル」という用語は、炭素炭素二重結合を有し、約2個から約10個の炭素原子を有する直鎖または分岐または分岐鎖であってもよい脂肪族炭化水素基、例えば、エテニル、1−プロペニル、2−プロペニル(アリル)、イソ−プロペニル、2−メチル−1−プロペニル、1−ブテニル、および2−ブテニルを指す。
【0124】
置換または非置換(C
1−6)アルケニルという用語は、6個までの炭素原子を有する、上で定義されたようなアルケニル基を指す。
【0125】
「アルキニル」という用語は、少なくとも1個の炭素炭素三重結合を有し、約2個から12個までの範囲の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖ヒドロカルビル基(約2個から10個までの範囲の炭素原子を有するラジカルが現在好ましい)、例えば、エチニル、プロピニル、およびブチニルを指す。
【0126】
置換または非置換(C
1−6)アルキニルという用語は、6個までの炭素原子を有する、上で定義されたようなアルキニル基を指す。
【0127】
「アルコキシ」という用語は、酸素連結を介して分子の残りの部分に結合した、上で定義されたようなアルキル基を示す。それらの基の代表例は、−OCH
3および−OC
2H
5である。
【0128】
「シクロアルキル」という用語は、約3個から12個の炭素原子の非芳香族単環式または多環式環系、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、およびシクロヘキシルを示す。多環式シクロアルキル基の制限されない例は、ペルヒドロナフチル、アダマンチル、ノルボルニル基(架橋環式基)、またはスピロ二環式基、例えばスピロ(4,4)ノン−2−イルを含む。
【0129】
「シクロアルキルアルキル」という用語は、アルキル基に直接結合した約3個から8個までの範囲の炭素原子を含有し、一方そのアルキル基が、安定な構造の形成をもたらすアルキル基の任意の炭素で主要構造に結合する、環式環含有基、例えば、シクロプロピルメチル、シクロブチルエチル、およびシクロペンチルエチルを指す。
【0130】
「シクロアルケニル」という用語は、少なくとも1個の炭素炭素二重結合を有する、約3個から8個までの範囲の炭素原子を含有する環式環含有基、例えば、シクロプロペニル、シクロブテニル、およびシクロペンテニルを指す。
【0131】
「アリール」という用語は、6個から20個までの範囲の炭素原子を有する芳香族基、例えば、フェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、インダニル、およびビフェニルを指す。
【0132】
「アリールアルキル」という用語は、上で定義されたようなアルキル基に直接結合した、上で定義されたようなアリール基、例えば、−CH
2C
6H
5、および−C
2H
5C
6H
5を指す。
【0133】
「複素環式環」という用語は、炭素原子、ならびに窒素、リン、酸素、および硫黄からなる群から選択される少なくとも1個のヘテロ原子からなる、非芳香族3〜15員環基を指す。本発明の目的において、複素環式環基は、縮合、架橋、またはスピロ環系を含んでもよい単環式、二環式、三環式、または四環式環系であってもよく、複素環式環基内の窒素、リン、炭素、酸素または硫黄原子は、任意で様々な酸化状態まで酸化されてもよい。さらに、窒素原子は、任意で四級化されてもよい。複素環式環基は、安定な構造の形成をもたらす任意のヘテロ原子または炭素原子で主要構造に結合してもよい。
【0134】
「ヘテロアリール」という用語は、環原子としてN、O、およびSから選択される1つ以上のヘテロ原子を有する、任意で置換された5〜14員芳香族環を指す。ヘテロアリールは、単環式、二環式、または三環式環系であってもよい。そのようなヘテロアリール環基の例には、オキサゾリル、チアゾリル、イミダゾリル、ピロリル、フラニル、ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ベンゾフラニル、インドリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、カルバゾリル、キノリルおよびイソキノリルが含まれるが、これらに限定されない。ヘテロアリール環基は、安定な構造の形成をもたらす任意のヘテロ原子または炭素原子で主要構造に結合してもよい。
【0135】
そのような「複素環式環」または「ヘテロアリール」基の例には、アゼチジニル、アクリジニル、ベンゾジオキソリル、ベンゾジオキサニル、ベンゾフラニル、カルバゾリル、シンノリニル、ジオキソラニル、インドリジニル、ナフチリジニル、ペルヒドロアゼピニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサジニル、フタラジニル、ピリジル、プテリジニル、プリニル、キナゾリニル、キノキサリニル、キノリニル、イソキノリニル、テトラゾリル、イミダゾリル、テトラヒドロイソキノリル、ピペリジニル、ピペラジニル、2−オキソピペラジニル、2−オキソピペリジニル、2−オキソピロリジニル、2−オキソアゼピニル、アゼピニル、ピロリル、4−ピペリドニル、ピロリジニル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、オキサゾリル、オキサゾリニル、オキサゾリジニル、トリアゾリル、インダニル、イソオキサゾリル、イソオキサゾリジニル、モルホリニル、チアゾリル、チアゾリニル、チアゾリジニル、イソチアゾリル、キヌクリジニル、イソチアゾリジニル、インドリル、イソインドリル、インドリニル、イソインドリニル、オクタヒドロインドリル、オクタヒドロイソインドリル、キノリル、イソキノリル、デカヒドロイソキノリル、ベンズイミダゾリル、チアジアゾリル、ベンゾピラニル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、フリル、テトラヒドロフリル、テトラヒドロピラニル、チエニル、ベンゾチエニル、チアモルホリニル、チアモルホリニルスルホキシドチアモルホリニルスルホン、ジオキサホスホラニル、オキサジアゾリル、クロマニル、イソクロマニル等が含まれるが、これらに限定されない。
【0136】
「ヘテロアリールアルキル」という用語は、アルキル基に直接結合した、上で定義されたようなへテロアリール環基を指す。ヘテロアリールアルキル基は、安定な構造の形成をもたらすアルキル基からの任意の炭素原子で主要構造に結合してもよい。
【0137】
「ヘテロシクリルアルキル」という用語は、アルキル基に直接結合した、上で定義されたような複素環式環基を指す。ヘテロシクリルアルキル基は、安定な構造の形成をもたらすアルキル基の任意の炭素原子で主要構造に結合してもよい。
【0138】
「置換」という用語は、別段で指定されない限り、以下の置換基のいずれか1つまたはいずれかの組合せによる置換を指す:水素、ヒドロキシ、ハロゲン、カルボキシル、シアノ、ニトロ、オキソ(=O)、チオ(=S)、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換アルコキシ、置換もしくは非置換アルケニル、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換アルコキシ、置換もしくは非置換アルケニル、置換もしくは非置換アルキニル、置換もしくは非置換アリール、置換もしくは非置換アリールアルキル、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換シクロアルケニル、置換もしくは非置換アリール、置換もしくは非置換ヘテロアリール、置換ヘテロシクリルアルキル環、置換もしくは非置換ヘテロアリールアルキル、置換もしくは非置換複素環式環置換もしくは非置換グアニジン、−COOR
x、−C(O)R
x、−C(S)R
x、−C(O)NR
xR
y、−C(O)ONR
xR
y、−NR
yR
z、−NR
xCONR
yR
z、−N(R
x)SOR
y、−N(R
x)SO
2R
y、−(=N−N(R
x)R
y)、−NR
xC(O)OR
y、−NR
xR
y、−NR
xC(O)R
y−、−NR
xC(S)R
y−NR
xC(S)NR
yR
z、−SONR
xR
y−、−SO
2NR
xR
y−、−OR
x、−OR
xC(O)NR
yR
z、−OR
xC(O)OR
y−、−OC(O)R
x、−OC(O)NR
xR
y、−R
xNR
yC(O)R
z、−R
xOR
y、−R
xC(O)OR
y、−R
xC(O)NR
yR
z、−R
xC(O)R
x、−R
xOC(O)R
y、−SR
x、−SOR
x、−SO
2R
x、および−ONO
2(上記基のそれぞれのR
x、R
yおよびR
zは、水素原子、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換アルコキシ、置換もしくは非置換アルケニル、置換もしくは非置換アルキニル、置換もしくは非置換アリール置換もしくは非置換アリールアルキル、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換シクロアルケニル、置換もしくは非置換アミノ、置換もしくは非置換アリール、置換もしくは非置換ヘテロアリール、置換ヘテロシクリルアルキル環、置換もしくは非置換ヘテロアリールアルキル、置換もしくは非置換複素環式環であってもよく、または、R
x、R
yおよびR
zの任意の2つは、一緒になって、同じかもしくは異なってもよい、O、NR
XもしくはSから選択されるヘテロ原子を任意で含んでもよい、置換もしくは非置換の飽和もしくは不飽和3〜10員環を形成してもよい)。例えば、「置換アルキル」上の置換基が「置換アリール」である場合、「置換アリール」上の置換基は、「置換アルケニル」とはなり得ない。本発明により想定される置換または置換基の組み合わせは、好ましくは、安定な化合物の形成をもたらすものである。
【0139】
「ハロゲン」または「ハロ」という用語は、フッ素、塩素、臭素、およびヨウ素の基を指す。
【0140】
「保護基」または「PG」という用語は、特定の官能基を遮断または保護するために使用される置換基を指す。化合物上の他の官能基の反応性は維持され得る。例えば、「アミノ保護基」は、化合物におけるアミノ官能基を遮断または保護する、アミノ基に結合する置換基である。好適なアミノ保護基は、アセチル、トリフルオロアセチル、tert−ブトキシカルボニル(BOC)、ベンジルオキシカルボニル(CBz)、および9−フルオレニルメチレンオキシカルボニル(Fmoc)を含むが、これらに限定されない。同様に、「ヒドロキシ保護基」は、ヒドロキシ官能基を遮断または保護するヒドロキシ基の置換基を指す。好適なヒドロキシ保護基は、アセチルおよびシリルを含むが、これらに限定されない。「カルボキシ保護基」は、カルボキシ官能基を遮断または保護するカルボキシ基の置換基を指す。好適なカルボキシ保護基は、−CH
2CH
2SO2Ph、シアノエチル、2−(トリメチルシリル)エチル、2−(トリメチルシリル)エトキシメチル、2−トルエンスルホニル)エチル、2−(p−ニトロフェニルスルフェニル)エチル、2−ジフェニル−1−ホスフィノ)−エチル、およびニトロエチルを含むが、これらに限定されない。保護基およびその使用に関する概要については、T.W.Greene,Protective Groups in Organic Synthesis,John Wiley & Sons,New York,1991を参照のこと。
【0141】
「立体異性体」という用語は、同一の化学組成を有するが、空間中の原子および基の配置に関して異なる化合物を指す。これらは、鏡像異性体、ジアステレオマー、幾何異性体、アトロプ異性体、または配座異性体を含む。
【0142】
本明細書に記載の化合物の全ての構造異性体が、本発明の範囲内である。ラセミ混合物もまた、本発明の範囲内に包含される。したがって、本発明の化合物の単一の立体化学的異性体、ならびに鏡像異性体、ジアステレオマーおよび幾何異性体(または配座異性体)の混合物が、本発明の範囲に含まれる。
【0143】
「互変異性体」という用語は、平衡状態にある異性体の比較的容易な相互変換を特徴とする化合物を指す。これらの異性体は、本発明に包含されることが意図される。
【0144】
「プロドラッグ」は、体内で通常の代謝プロセスによりその活性形態に変換される、化合物の不活性前駆体である化合物を指す。
【0145】
「エステル」という用語は、酸とアルコールとの間の脱水を伴う反応により形成される化合物を指す。エステルは、式RCOOR′により表すことができ、式中、Rは、ベース化合物であり、R′はエステル部分(例えば、エチル基)である。
【0146】
さらに、本発明はまた、例えば水素の重水素との置換等、1つ以上の同位体濃縮原子の存在のみが異なる化合物を含む。
【0147】
本発明の一部を成す薬学的に許容される塩は、Li、Na、K、Ca、Mg、Fe、Cu、Zn、およびMn等の無機塩基から得られる塩、N,N′−ジアセチルエチレンジアミン、グルカミン、トリエチルアミン、コリン、水酸化物、ジシクロヘキシルアミン、メトホルミン、ベンジルアミン、トリアルキルアミン、およびチアミン等の有機塩基の塩、アルキルフェニルアミン、グリシノール、およびフェニルグリシノール等のキラル塩基、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、ノルロイシン、チロシン、シスチン、システイン、メチオニン、プロリン、ヒドロキシプロリン、ヒスチジン、オルニチン、リシン、アルギニン、およびセリン等の天然アミノ酸の塩、MeIおよび(Me)
2SO
4等の、本発明の化合物のアルキルハライドまたはアルキルサルフェートとの四級アンモニウム塩、D−異性体または置換アミノ酸等の非天然アミノ酸、グアニジンまたは置換基がニトロ、アミノ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アンモニウムから選択される置換グアニジン、もしくは置換アンモニウム塩およびアルミニウム塩を含む。塩は、適切な場合には、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、過塩素酸塩、ホウ酸塩、ヒドロハライド、酢酸塩、主席酸塩、マレイン酸塩、クエン酸塩、フマル酸塩、コハク酸塩、パモ酸塩、メタンスルホン酸塩、安息香酸塩、サリチル酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、アスコルビン酸塩、グリセロリン酸塩、およびケトグルタル酸塩である酸付加塩を含んでもよい。
【0148】
「対象」または「患者」という用語は、哺乳動物および非哺乳動物を包含する。哺乳動物の例には、哺乳類網のいかなる成員、すなわち、ヒト、ヒト以外の霊長類、例えばチンパンジー、および他の類人猿およびサルの種類;家畜、例えばウシ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、およびブタ;ペット動物、例えばウサギ、イヌ、およびネコ;ならびにげっ歯類を含む実験動物、例えばラット、マウスおよびモルモットをも含まれるが、これらに限定されない。非哺乳動物の例には、鳥および魚が含まれるが、これらに限定されない。本明細書に記載される方法および組成物の一実施形態において、哺乳動物は、ヒトである。
【0149】
「治療する」、「治療すること」、または「治療」という用語は、本明細書で使用される場合、予防的および/または治療的に、疾患、障害もしくは症状を軽減、弱体化もしくは改善すること、追加的な症状を予防すること、症状の根本にある原因を改善もしくは予防すること、疾患、障害もしくは状態を阻害すること、例えば、疾患、障害もしくは状態の発達を停止させること、疾患、障害もしくは状態を緩和すること、疾患、障害もしくは状態の退行をもたらすこと、疾患、障害もしくは状態により引き起こされる状態を緩和すること、または疾患、障害もしくは状態の症状を停止させることを含む。
【0150】
本明細書で使用される場合、「標的タンパク質」という用語は、本明細書に記載の化合物が結合することができる、またはそれと相互作用することができるタンパク質またはタンパク質の一部、例えば、STIMタンパク質および/またはOraiタンパク質を調節することができる化合物を指す。ある特定の実施形態において、標的タンパク質は、STIMタンパク質である。別の実施形態において、標的タンパク質は、Oraiタンパク質であり、さらに他の実施形態において、化合物は、STIMおよびOraiタンパク質の両方を標的とする。
【0151】
「STIMタンパク質」という用語は、CRACチャネルによる細胞内へのカルシウム流れの速度の増加を活性化する、小胞体または原形質膜に位置する任意のタンパク質を指す(STIMは、間質相互作用分子(stromal interaction molecule)を指す。)。本明細書で使用される場合、「STIMタンパク質」としては、ヒトおよびげっ歯類(例えばマウス)STIM−1等の哺乳動物STIM−1、キイロショウジョウバエD−STIM、シノラブディス・エレガンスC−STIM、ガンビエハマダラカSTIM、ならびにヒトおよびげっ歯類(例えばマウス)STIM−2等の哺乳動物STIM−2が含まれるが、これらに限定されない。本明細書に記載されるように、そのようなタンパク質は、ストア作動性カルシウム流入またはその調節、細胞内カルシウムストア(例えば、小胞体)内のカルシウムレベルまたは該ストアへの、ストア内のもしくはストアからの移動の細胞質カルシウム緩衝および/または調節に関与、関連、および/またはそれを提供するものとして特定されている。
【0152】
「活性化させる」または「活性化」とは、CRACチャネルによる細胞内へのカルシウム流れを上方制御、刺激、向上または他の様式で促進するSTIMタンパク質の能力を意味することが理解される。直接的または間接的分子間相互作用により、STIMタンパク質とCRACチャネルとの間のクロストークが生じ得ることが想定される。好適には、STIMタンパク質は、CRACチャネルに関連した、またはそれに近接した膜貫通タンパク質である。
【0153】
STIM1は、CRACチャネル活性化の重要な成分であることが当技術分野で周知である。本発明者らは、STIM1およびSTIM2が、あるNSCLC細胞株において発現することを観察している。さらに、CRACM1/Orai1およびCRACM3/Orai3は、あるNSCLC細胞株において過剰に発現する。いかなる特定の理論によっても拘束されることを望まないが、CRACおよびSTIMタンパク質は、(i)NSCLC細胞内のSTIMの過剰な異常調節は、STIMの不適切な原形質膜蓄積をもたらし、(ii)原形質膜で、STIMは、CRACを活性化し(直接あるいは間接相互作用のいずれかによって)、これは、細胞への過剰なカルシウム流入、NSCLC細胞における転写、増殖、および侵襲性の促進をもたらすような方法で、NSCLC細胞内の増殖経路の活性化に潜在的に寄与する。したがって、CRACチャネルまたはSTIM経路の阻害は、NSCLCに対する効果的な治療である。
【0154】
本明細書で使用される場合、「Oraiタンパク質」は、Orai1(WO第07/081,804号に記載の配列番号1)、Orai2(WO第07/081,804号に記載の配列番号2)、またはOrai3(WO第07/081,804号に記載の配列番号3)を含む。Orai1の核酸配列は、GenBank受入番号NM−032790に対応し、Orai2の核酸配列は、GenBank受入番号BC069270に対応し、Orai3の核酸配列は、GenBank受入番号NM−152288に対応する。本明細書で使用される場合、Oraiとは、Orai遺伝子のうちのいずれか1つ、例えば、Orai1、Orai2、およびOrai3を指す(WO第07/081,804号の表Iを参照のこと)。本明細書に記載されるように、そのようなタンパク質は、ストア作動性カルシウム流入またはその調節、細胞内カルシウムストア(例えば、小胞体)内のカルシウムレベルまたは該ストアへの、ストア内のもしくはストアからのカルシウム移動の細胞質カルシウム緩衝および/または調節に関与、関連、および/またはそれを提供するものとして特定されている。代替の実施形態において、Oraiタンパク質は、タグ分子、例として、酵素断片、タンパク質(例えば、c−myc、または他のタグタンパク質もしくはその断片)、酵素タグ、蛍光タグ、フルオロフォアタグ、発色団タグ、ラマン活性化タグ、化学発光タグ、量子ドットマーカー、抗体、放射性タグ、またはこれらの組み合わせで標識化され得る。
【0155】
「断片」または「誘導体」という用語は、タンパク質(例えば、STIM、Orai)に関する場合、少なくとも1つのアッセイにおいて、天然タンパク質(複数を含む)と本質的に同じ生物学的機能または活性を保持するタンパク質またはポリペプチドを意味する。例えば、参照されたタンパク質の断片または誘導体は、好ましくは、例えば、カルシウム流入アッセイにより決定されるように、天然タンパク質の活性の少なくとも約50%、天然タンパク質の活性の少なくとも75%、または少なくとも約95%を維持する。
【0156】
本明細書で使用される場合、「改善」は、疾患もしくは状態の改善、または疾患もしくは状態に関連した症状の少なくとも部分的な軽減を指す。本明細書で使用される場合、特定の化合物または薬学的組成物の投与による特定の疾患、障害または状態の症状の改善は、恒久的であるか、または一時的、持続的もしくは過渡的であるかにかかわらず、化合物または組成物の投与に起因するまたは関連する任意の重症度の低下、発症の遅延、進行の抑制、または期間の短縮を指す。
【0157】
「調節する」という用語は、本明細書で使用される場合、標的タンパク質の活性を改変するために、例えば、例示のみを目的として、標的の活性を阻害する、または標的の活性を制限もしくは低減するために、直接的または間接的に標的タンパク質と相互作用することを意味する。
【0158】
本明細書で使用される場合、「モジュレータ」という用語は、標的(例えば、標的タンパク質)の活性を改変する化合物を指す。例えば、いくつかの実施形態において、モジュレータは、モジュレータが存在しない場合の活性の大きさと比較した、標的のある特定の活性の大きさの増加または低下をもたらす。ある特定の実施形態において、モジュレータは、標的の1つ以上の活性の大きさを低下させる阻害剤である。ある特定の実施形態において、阻害剤は、標的の1つ以上の活性を完全に防止する。
【0159】
本明細書で使用される場合、細胞内カルシウムに関連した「調節」は、細胞質および/もしくは細胞内カルシウム貯蔵細胞小器官、例えば小胞体におけるカルシウム濃度の改変、または細胞への、細胞からの、または細胞内のカルシウム流出の動態の改変を含むが、これらに限定されない、細胞内カルシウムの任意の改変または調整を指す。態様において、調節は、還元を指す。
【0160】
SOCチャネル活性またはCRACチャネル活性に関する「阻害する」、「阻害している」、または「阻害剤」という用語は、ストア作動性カルシウムチャネル活性またはカルシウム放出依存性カルシウムチャネル活性の阻害を指す。
【0161】
製剤、組成物、または成分に関する「許容される」という用語は、本明細書で使用される場合、治療されている対象の全体的な健康に対し、有害な持続的影響を有さないことを意味する。
【0162】
「薬学的に許容される」という用語は、生理学的に耐性で、典型的にはヒトに投与された場合アレルギー反応または同様の有害反応、例えば急性胃蠕動および目まいを生じない分子的実体および組成物を指す。好ましくは、本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される」という用語は、動物、より具体的にはヒトにおける使用に関して、政府もしくは州政府の規制当局により承認されている、または米国薬局方もしくは他の一般的に認識される薬局方にリストされていることを意味する。
【0163】
「薬学的組成物」という用語は、本発明の化合物と、担体、安定剤、希釈剤、分散剤、懸濁剤、増粘剤、および/または賦形剤等の他の化学成分との混合物を指す。
【0164】
本発明の化合物および薬学的組成物は、静脈内、経口、エアロゾル、非経口、眼内、肺内、および局所投与を含むが、これらに限定されない、様々な投与経路により投与され得る。
【0165】
「有効量」または「治療上有効量」という用語は、本明細書で使用される場合、治療されている疾患または状態の症状のうちの1つ以上をある程度軽減する、投与されている薬剤または化合物の十分な量を指す。その結果は、疾患の徴候、症状または原因の低減および/もしくは軽減、または生体系の任意の他の所望の改変である。例えば、治療用途における「有効量」は、疾患の症状の臨床的に有意な減少を提供するのに必要とされる、本発明の化合物の量である。いくつかの実施形態において、任意の個々の場合における適切な「効果的な」量は、用量増加試験等の技術を使用して決定される。
【0166】
「向上させる」または「向上」という用語は、本明細書で使用される場合、効能または期間に関して、所望の効果を増加または延長することを意味する。したがって、治療薬剤の効果の向上に関して、「向上」という用語は、効能または期間に関して、系において他の治療薬剤の効果を増加または延長する能力を指す。「向上に有効量」は、本明細書で使用される場合、所望の系における別の治療薬剤の効果を向上させるために適正な量を指す。
【0167】
「担体」という用語は、本明細書で使用される場合、細胞または組織内への化合物の組み込みを促進する、比較的非毒性の化学化合物または薬剤を指す。
【0168】
「希釈剤」という用語は、送達前に対象化合物を希釈するために使用される化学化合物を指す。いくつかの実施形態において、希釈剤は、より安定な環境を提供するため、化合物を安定化するために使用される。リン酸緩衝生理食塩水を含むが、これに限定されない緩衝溶液(これはまたpHの統御または維持を提供する)中に溶解した塩が、希釈剤として利用される。
【0169】
「癌性細胞」とは、前癌状態の細胞、腫瘍細胞、悪性細胞、発癌性細胞、非発癌性細胞、および肺癌幹細胞を含む、肺からの細胞を意味する。
【0170】
本明細書で使用される場合、「細胞内カルシウム」は、特定の細胞位置の指定なしに細胞内に位置するカルシウムを指す。それに対して、カルシウムに関する「細胞質(cytosolic)」または「細胞質(cytoplasmic)」は、細胞質内に位置するカルシウムを指す。
【0171】
本明細書で使用される場合、細胞内カルシウムに対する効果は、細胞内カルシウムレベルの改変、および細胞または細胞内カルシウムストアまたは細胞小器官への、それらからの、またはそれらの内部のカルシウムの移動の改変を含むがこれらに限定されない、細胞内カルシウムの任意の態様の任意の改変である。例えば、いくつかの実施形態において、細胞内カルシウムに対する効果は、例えば、細胞または細胞の一部において生じるカルシウム流出または移動の動態、感度、速度、振幅、および電気生理学的特徴等の特性の改変である。いくつかの実施形態において、細胞内カルシウムに対する効果は、ストア作動性カルシウム流入、細胞質カルシウム緩衝、および細胞内カルシウムストア内のカルシウムレベル、または該ストアへの、ストアからのもしくはストア内でのカルシウムの移動を含む、任意の細胞内カルシウム調節プロセスの改変である。これらの態様のいずれも、カルシウムもしくは他のイオン(特にカチオン)のレベル、カルシウムもしくは他のイオン(特にカチオン)の移動、カルシウムもしくは他のイオン(特にカチオン)のレベルの変動、カルシウムもしくは他のイオン(特にカチオン)の流れの動態、および/またはカルシウムまたは他のイオン(特にカチオン)の膜を通した輸送の評価を含むがこれらに限定されない、さまざまな手法で評価される。改変は、統計的に有意な任意のそのような変化である。したがって、例えば、いくつかの実施形態において、試験細胞および対照細胞における細胞内カルシウムが異なると言われる場合、そのような差は、統計的に有意な差である。
【0172】
細胞内カルシウムの調節は、細胞質および/または細胞内カルシウム貯蔵細胞小器官、例えば小胞体におけるカルシウム濃度またはレベルの改変、細胞または細胞内カルシウムストアまたは細胞小器官への、それらからの、またはそれら内のカルシウムの移動の改変、細胞内のカルシウムの場所の改変、および細胞への、細胞からのおよび細胞内のカルシウム流出の動態または他の特性の改変を含むが、これらに限定されない、細胞内カルシウムの任意の改変または調整である。いくつかの実施形態において、細胞内カルシウム調節は、ストア作動性カルシウム流入、細胞質カルシウム緩衝、細胞内カルシウムストアもしくは細胞小器官内のカルシウム濃度、またはそれらへの、それらからのもしくはそれらの内部のカルシウムの移動、および/あるいは基底もしくは休止細胞質カルシウムレベルの改変または調整、例えば低減または阻害を含む。細胞内カルシウムの調節は、受容体媒介イオン(例えば、カルシウム)の移動、第2のメッセンジャー作動性イオン(例えば、カルシウム)の移動、細胞内へのもしくは細胞外へのカルシウム流入もしくはカルシウム流出、ならびに/または、例えばエンドソームおよびリソソームを含む細胞内区画へのもしくは細胞内区画からのイオン(例えば、カルシウム)取り込みもしくは放出の改変または調整が関与する。
【0173】
本明細書で使用される場合、タンパク質と細胞内カルシウムまたは細胞内カルシウム制御の態様との間の関係に関して、「関与する」とは、細胞内のタンパク質の発現または活性が低減、改変または排除された場合に、細胞内カルシウムまたは細胞内カルシウム制御の1つ以上の態様の、同時のまたは関連した低減、改変または排除が生じることを意味する。発現または活性のそのような改変または低減は、タンパク質をコード化する遺伝子の発現の改変により、またはタンパク質のレベルを改変することにより生じる。したがって、細胞内カルシウムの一態様、例えば、ストア作動性カルシウム流入等に関与するタンパク質は、細胞内カルシウムまたは細胞内カルシウム制御の一つの側面を提供するか、またはそれに関連するものである。例えば、ストア作動性カルシウム流入を提供するタンパク質は、STIMタンパク質および/またはOraiタンパク質である。
【0174】
本明細書で使用される場合、カルシウムチャネルの成分であるタンパク質は、チャネルを形成する複数プロテイン複合体に関与するタンパク質である。
【0175】
本明細書で使用される場合、細胞内への「カチオン流入」または「カルシウム流入」は、カルシウム等のカチオンの、細胞の細胞質等の細胞内の場所への、または細胞内小器官もしくは貯蔵部位の内腔への流入を指す。したがって、いくつかの実施形態において、カチオン流入は、例えば、細胞外媒体から、または細胞内小器官もしくは貯蔵部位から細胞質内へのカチオンの移動、あるいは、細胞質または細胞外媒体から細胞内小器官または貯蔵部位へのカチオンの移動である。細胞内小器官または貯蔵部位から細胞質内へのカルシウムの移動はまた、細胞内小器官または貯蔵部位からの「カルシウム放出」とも呼ばれる。
【0176】
本明細書で使用される場合、「細胞応答」は、細胞への、または細胞からの、または細胞内のイオン移動から得られる任意の細胞応答を指す。いくつかの実施形態において、細胞応答は、例えばカルシウム等のイオンに少なくとも部分的に依存する任意の細胞活性に関連する。そのような活性は、例えば、細胞活性化、遺伝子発現、エンドサイトーシス、エクソサイトーシス、細胞輸送およびアポトーシス細胞死を任意で含む。
【0177】
本明細書で使用される場合、「免疫細胞」は、T細胞、B細胞、リンパ球、マクロファージ、樹枝状細胞、好中球、好酸球、好塩基球、マスト細胞、形質細胞、白血球、抗原提示細胞およびナチュラルキラー細胞等であるがこれらに限定されない、免疫系の細胞および免疫反応において機能または活動を行う細胞を含む。
【0178】
本明細書で使用される場合、「サイトカイン(単数)」または「サイトカイン(複数)」は、いくつかの実施形態において、分泌細胞または別の細胞の挙動または特性を改変する細胞により分泌される、低分子可溶性タンパク質を指す。サイトカインは、サイトカイン受容体に結合し、細胞内での挙動または特性、例えば細胞増殖、細胞死または細胞分化を誘発する。例示的なサイトカインは、インターロイキン(例えば、IL−2、IL−3、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−8、IL−9、IL−10、IL−11、IL−12、IL−13、IL−15、IL−16、IL−17、IL−18、IL−1α、IL−1β、およびIL−1RA)、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、オンコスタチンM、エリスロポエチン、白血病抑制因子(LIF)、インターフェロン、B7.1(CD80としても知られる)、B7.2(B70、CD86としても知られる)、TNFファミリーメンバー(TNF−α、TNF−β、LT−β、CD40リガンド、Fasリガンド、CD27リガンド、CD30リガンド、4−1BBL、Trail)、およびMIFを含むが、これらに限定されない。
【0179】
「ストア作動性カルシウム流入」または「SOCE」は、細胞内ストアからのカルシウムイオンの放出が、原形質膜を介したイオン流入と連携するメカニズムを指す。
【0180】
細胞カルシウム恒常性は、細胞内カルシウムレベルおよび移動の統御に関与する制御系の統合した結果である。細胞カルシウム恒常性は、カルシウム結合により、ならびに原形質膜を介した細胞への、または細胞からのカルシウムの移動、および、例えば、小胞体、筋小胞体、ミトコンドリア、ならびにエンドソームおよびリソソームを含む細胞内小器官を含む、細胞内小器官の膜を介したカルシウムの移動による細胞内のカルシウムの移動により、少なくとも部分的に達成される。
【0181】
細胞膜を介したカルシウムの移動は、特別なタンパク質により行われる。例えば、細胞外空間からのカルシウムは、様々なカルシウムチャネルおよびナトリウム/カルシウム交換体を通して細胞に流入し、カルシウムポンプおよびナトリウム/カルシウム交換体により細胞から活発に排除される。カルシウムはまた、イノシトール三リン酸またはリアノジン受容体を通して内部ストアから放出され、カルシウムポンプを用いてこれらの細胞小器官により取り込まれる可能性が高い。
【0182】
カルシウムは、電圧作動性カルシウム(VOC)チャネル、ストア作動性カルシウム(SOC)チャネル、および反転モードで作動しているナトリウム/カルシウム交換器を含むがこれらに限定されない、いくつかの一般クラスのチャネルのいずれかにより細胞に流入する。VOCチャネルは、膜の脱分極により活性化され、神経および筋肉等の興奮性細胞に見られ、大部分は非興奮性細胞には見られない。いくつかの条件下では、Ca
2+はまた、反転モードで動作するNa
+−−Ca
2+交換体を介して細胞に流入する。
【0183】
エンドサイトーシスは、細胞がエンドソームを通して細胞外培地からカルシウムを取り込む別のプロセスを提供する。さらに、いくつかの細胞、例えば、外分泌細胞は、エクソサイトーシスを介してカルシウムを放出する。
【0184】
細胞質カルシウム濃度は、哺乳動物細胞においては、通常約0.1μMと推定される休止レベルで厳密に制御され、一方、細胞外カルシウム濃度は、典型的には約2mMである。この厳密な制御は、原形質膜および細胞内小器官の膜を介した過渡的カルシウム流出を通して、細胞への、および細胞内でのシグナル伝達の変換を促進する。細胞内には、細胞内カルシウムシグナルを変換し、低い休止細胞質カルシウム濃度を維持するように機能する、複数の細胞内カルシウム輸送および緩衝系が存在する。休止中の細胞において、基底カルシウムレベルの維持に関与する主要な成分は、カルシウムポンプならびに小胞体および原形質膜における漏出である。休止細胞質カルシウムレベルの外乱は、そのようなシグナルの伝播をもたらし、複数の細胞プロセスに欠陥を生じさせる。例えば、細胞増殖には、カルシウムシグナル伝達シーケンスの延長が関与する。分泌、シグナル伝達、および受精を含むがこれらに限定されない他の細胞プロセスには、カルシウムシグナル伝達が関与する。
【0185】
ホスホリパーゼC(PLC)を活性化する細胞表面受容体は、細胞内および細胞外の源から細胞質Ca
2+シグナルを生成する。[Ca
2+]
i(細胞内カルシウム濃度)の最初の過渡的上昇は、小胞体(ER)からのCa
2+の放出から生じ、これは、ERにおけるIP
3受容体を開裂するPLC生成物、イノシトール−1,4,5−トリホスフェート(P
3)により誘発される(Streb et al.Nature,306,67−69,1983)。次いで、原形質膜における特別なストア作動性カルシウム(SOC)チャネル(免疫細胞の場合、SOCチャネルは、カルシウム放出依存性カルシウム(CRAC)チャネルである)を通して、原形質膜を介した持続的Ca
2+流入の次の段階が続く。ストア作動性Ca
2+流入(SOCE)は、Ca
2+ストアが空になること自体が原形質膜におけるCa
2+チャネルを活性化させ、ストアを補充するのを補助するプロセスである(Putney,Cell Calcium,7,1−12,1986、Parekh et al,Physiol.Rev.757−810;2005)。SOCEは、単にストアを補充するためにCa
2+を提供するだけでなく、それ自体が、遺伝子発現、細胞代謝、およびエクソサイトーシス等の重要な機能を統御する持続的Ca
2+シグナルを生成する(Parekh and Putney,Physiol.Rev.85,757−810(2005)。
【0186】
リンパ球およびマスト細胞において、抗原またはFc受容体の活性化が細胞内ストアからのCa
2+の放出を引き起こし、これがひいては原形質膜におけるCRACチャネルを通したCa
2+流入をもたらす。続く細胞内Ca
2+の増加は、転写因子NFATを制御するホスファターゼであるカルシニューリンを活性化する。休止細胞において、NFATはリン酸化されて細胞質内に存在するが、カルシニューリンにより脱リン酸化されると、NFATは細胞核に転移し、刺激条件および細胞型に依存して異なる遺伝的プログラムを活性化する。感染症に応答して、および移植拒絶反応中、NFATは、「エフェクター」T細胞の細胞核内の転写因子AP−1(Fos−Jun)と協働し、それにより、サイトカイン遺伝子、T細胞増殖を制御する遺伝子、および活性免疫反応を組織化する他の遺伝子を転写活性化する(Rao et al.,Annu Rev Immunol,1997;15:707−47)。対照的に、自己抗原を認識するT細胞において、NFATは、AP−1の非存在下で活性化され、自己免疫反応を抑制する「アネルギー」としても知られる転写プログラムを活性化する(Macian et al.,Transcriptional mechanisms underlying lymphocyte tolerance.Cell.2002 Jun.14;109(6):719−31)。自己反応性エフェクターT細胞により媒介される自己免疫を抑制する、制御T細胞として知られるT細胞のサブクラスにおいて、NFATは、転写因子FOXP3と協働して、抑制因子機能を担う遺伝子を活性化する(Wu et al.,Cell,2006 Jul.28;126(2):375−87、Rudensky A Y,Gavin M,Zheng Y.Cell.2006 Jul.28;126(2):253−256)。
【0187】
小胞体(ER)は、様々なプロセスを実行する。ERは、アゴニスト感受性Ca
2+ストアおよびシンクの両方としての役割を有し、タンパク質折り畳み/処理がその内腔内で生じる。ここで、多くのCa
2+依存性シャペロンタンパク質が、新たに合成されたタンパク質が正しく折り畳まれて適切な目的地に送り出されることを確実とする。ERはまた、小胞輸送、ストレスシグナルの放出、コレステロール代謝の制御、およびアポトーシスに関与する。これらのプロセスの多くは、腔内Ca
2+を必要とし、タンパク質の誤った折り畳み、ERストレス反応、およびアポトーシスは、全て、長期間にわたりERのCa
2+を枯渇させることにより誘導される可能性が高い。Ca
2+の源としてのその役割のために、ERのCa
2+含量は、刺激後に低下するはずであることが明らかである。しかしながら、ERの機能的完全性を保存するために、Ca
2+含量が低下し過ぎない、または低いレベルに維持されることが重要である。したがって、ERのCa
2+の補充が、全ての真核細胞にとって中心的なプロセスである。ERのCa
2+含量の低下は、原形質膜におけるストア作動性Ca
2+チャネルを活性化するため、このCa
2+流入経路の主要機能は、適切なタンパク質合成および折り畳みに必要なERのCa
2+レベルの維持であると考えられる。しかしながら、ストア作動性Ca
2+チャネルは、他の重要な役割を有する。
【0188】
ストア作動性カルシウム流入の理解は、ストアを空にするプロセスが、マスト細胞内のCa
2+放出依存性Ca
2+電流すなわちI
CRACと呼ばれるCa
2+電流を活性化することを立証した電気生理学的研究により提供された。I
CRACは、非電圧依存性で、内向き整流性で、またCa
2+に極めて感受性である。これは、主として造血由来のいくつかの細胞型に見られる。I
CRACは、唯一のストア作動性電流ではなく、現在、ストア作動性流入は、異なる細胞型で異なる特性を有するCa
2+透過性チャネルのファミリーを包含することが明らかである。I
CRACは、説明された初めてのストア作動性Ca
2+電流であり、ストア作動性流入を研究する上で最も一般的なモデルとなっている。
【0189】
細胞内カルシウムに対する化合物または薬剤の効果は、細胞(細胞質および細胞内小器官もしくは区画を含む)カルシウム、ならびに/または細胞、細胞小器官、カルシウムストアもしくはその一部(例えば、膜)への、それらの内部の、もしくはそれらからのイオンの移動の直接的または間接的評価または測定を提供する、様々なスクリーニング/特定法を用いて監視することができる。カルシウムレベルおよびイオンの移動もしくは流れを評価するために、様々な方法を使用することができる。使用される特定の方法および使用される条件は、細胞内カルシウムの特定の態様が監視または評価されているかどうかに依存する。例えば、いくつかの態様において、試薬および条件は、ストア作動性カルシウム流入、休止細胞質カルシウムレベル、カルシウム緩衝、ならびに細胞内小器官およびカルシウムストアによる取り込みまたはそれらからの放出を特異的に評価するために使用され得る。あるいは、細胞内カルシウムに対する化合物または薬剤の効果は、例えば、細胞、細胞内小器官もしくはカルシウム貯蔵区画、膜(例えば、分離膜片もしくは脂質二重層を含む)または細胞を含まないアッセイ系(例えば、裏返しの膜小胞)を使用して、監視または評価することができる。一般に、細胞内カルシウムのいくつかの側面は、試験薬剤の存在下で監視または評価され、試験薬剤の非存在下で、対照、例えば細胞内カルシウムと比較される。
疾患、障害、または状態
【0190】
臨床試験では、抗体に対するT細胞の応答に内在する遺伝子の活性化には、CRACチャネルが絶対的に必要であることが実証されている。リンパ球活性化および適応的免疫反応には、持続的なカルシウム流入が必要である。リンパ球へのカルシウム流入は、主にCRACチャネルを通して生じる。増加したカルシウムは、NFAT活性化、および免疫反応に必要なサイトカインの発現をもたらす。ストア作動性カルシウム流入の阻害は、T細胞活性化を防止するための効率的な手法である。
【0191】
細胞内カルシウムレベルを調節する化合物によるCRACチャネル活性の阻害は、重症複合型免疫不全(SCID)に罹患した患者に見られるストア作動性カルシウム流入の排除により実証されるように、免疫抑制療法を提供するための手段を提供する。T細胞活性化に主な欠陥を有するT細胞免疫不全またはSCIDに罹患した患者からのT細胞、線維芽細胞、およびいくつかの場合においてはB細胞は、ストア作動性カルシウム流入に強い欠陥を示す。SCID患者は、適応的免疫反応を示さないが、主要な器官においていかなる機能障害または毒性も有さない。SCID患者の表現型は、CRACチャネルの阻害が、免疫抑制の効果的な戦略であることを示している。
炎症が関与する疾患/障害および免疫系に関連する疾患/障害
【0192】
いくつかの実施形態において、細胞内カルシウムレベルを調節し得る本明細書に開示される化合物、その組成物、および細胞内カルシウムレベルを調節し得る化合物を特定するための本明細書に記載の方法を使用して治療または予防される、疾患、障害、または状態は、炎症が関与する、および/または免疫系に関連する疾患、状態、または障害を含む。これらの疾患は、喘息、慢性閉塞性肺疾患、関節リウマチ、炎症性腸疾患、糸球体腎炎、多発性硬化症等の神経炎症性疾患、および免疫系の障害を含むが、これらに限定されない。
【0193】
炎症メディエータによる好中球(PMN)の活性化は、細胞質カルシウム濃度の増加により部分的に達成される。特に、ストア作動性カルシウム流入は、PMN活性化において重要な役割を果たすと考えられている。外傷は、PMNストア作動性カルシウム流入を増加させ、ストア作動性カルシウム流入の向上に起因する細胞質カルシウム濃度の長期的上昇は、刺激−応答対によるケモタキシンへの結合を改変し、損傷後のPMN機能障害に寄与する可能性が高いことが示されている。したがって、ストア作動性カルシウムチャネルによるPMN細胞質カルシウム濃度の調節は、PMN媒介炎症の制御に有用となり得、損傷、ショックまたは敗血症後の心臓血管機能を確保し得る。
【0194】
カルシウムは、リンパ球活性化において重要な役割を果たす。例えば、抗原刺激によるリンパ球の活性化は、細胞内遊離カルシウム濃度の急速な増加、ならびに、活性化T細胞(NFAT)の核因子、NF−κB、JNK1、MEF2、およびCREBを含む転写因子の活性化をもたらす。NFATは、IL−2(および他のサイトカイン)遺伝子の主要な転写制御因子である。細胞内カルシウムレベルの持続的上昇は、NFATを転写活性状態に維持するために必要であり、ストア作動性カルシウム流入に依存する。リンパ球におけるストア作動性カルシウム流入の低減または遮断は、カルシウム依存性リンパ球活性化を遮断する。したがって、いくつかの実施形態において、リンパ球におけるSTIMタンパク質および/またはOraiタンパク質、ならびに特にストア作動性カルシウム流入の調節(例えば、ストア作動性カルシウム流入の低減、排除)は、例えば、慢性免疫疾患/障害、急性免疫疾患/障害、自己免疫および免疫不全疾患/障害、炎症が関与する疾患/障害、臓器移植片拒絶反応および移植片対宿主病、ならびに改質(例えば活動亢進性)免疫反応を含む、免疫障害および免疫関連障害を治療するための方法である。例えば、いくつかの実施形態において、自己免疫疾患/障害の治療は、リンパ球におけるストア作動性カルシウム流入の低減、遮断または排除を含む。
【0195】
免疫疾患の例には、例えば、乾癬、関節リウマチ、脈管炎、炎症性腸疾患、皮膚炎、変形性関節炎、喘息、炎症性筋疾患、アレルギー性鼻炎、膣炎、間質性膀胱炎、強皮症、骨粗しょう症、湿疹、同種または異種移植(臓器、骨髄、幹細胞および他の細胞ならびに組織)片拒絶反応、移植片対宿主病、紅斑性狼瘡、炎症性疾患、I型糖尿病、肺線維症、皮膚筋炎、シェーグレン症候群、甲状腺炎(例えば、橋本甲状腺炎および自己免疫性甲状腺炎)、重症筋無力症、自己免疫性溶血性貧血、多発性硬化症、嚢胞性線維症、慢性再発性肝炎、原発性胆汁性肝硬変、アレルギー性結膜炎およびアトピー性皮膚炎が含まれる。
【0196】
他の実施形態において、細胞内カルシウムレベルを調節し得る本明細書に開示される化合物、その組成物、および細胞内カルシウムレベルを調節し得る化合物を特定するための本明細書に記載の方法は、リンパ網内起源の悪性腫瘍、膀胱癌、乳癌、結腸癌、子宮内膜癌、頭頸部癌、肺癌、黒色腫、卵巣癌、精巣癌および直腸癌を含むがこれらに限定されない、悪性腫瘍の治療と関連して使用される。ストア作動性カルシウム流入は、癌細胞における細胞増殖において重要な役割を果たすと考えられる。
【0197】
SOCEの阻害は、主要細胞増殖の予防に十分である。直接的I
CRACブロッカーであるピラゾール誘導体BTP−2は、SOCEならびにジャーカット細胞内および結腸癌細胞内の増殖を阻害する。さらに、持続的SOCEには、ミトコンドリアCa
2+吸収が必要であり、そのミトコンドリアCa
2+吸収の予防がSOCE阻害につながる。ジャーカット細胞の刺激は、持続的SOCE、ならびにNFATを脱リン酸化してインターロイキン−2の発現および増殖を促進するCa
2+依存性ホスファターゼカルシニューリンの活性化を誘導する。他の実施形態において、細胞内カルシウムレベルを調節し得る化合物は、SOCEを阻害し、癌または他の増殖性疾患もしくは状態の治療に使用される。
【0198】
いくつかの実施形態において、細胞内カルシウムレベルを調節し得る本明細書に開示される化合物、その組成物、および細胞内カルシウムレベルを調節し得る化合物を特定するための本明細書に記載の方法を使用して治療または予防される、疾患、障害または状態は、例えば、肝臓病または肝疾患および肝障害を含む。これらの疾患、状態または障害は、例えば移植、肝炎および肝硬変に起因する肝臓損傷を含むが、これらに限定されない。
【0199】
ストア作動性カルシウム流入は、慢性肝疾患および低温保存−昇温脱酸素後の移植損傷に関連づけられている。
【0200】
いくつかの実施形態において、細胞内カルシウムレベルを調節し得る本明細書に開示される化合物、その組成物、および細胞内カルシウムレベルを調節し得る化合物を特定するための本明細書に記載の方法を使用して治療または予防される、疾患、状態または障害は、例えば、腎疾患または腎臓病および腎障害を含む。メサンギウム細胞過形成がそのような疾患および障害の主要な特徴であることが多い。他の実施形態において、そのような疾患および障害は、IgAN、膜性増殖性糸球体腎炎またはループス腎炎を含む、損傷の免疫または他の機構により引き起こされる。メサンギウム細胞複製の統御の不均衡もまた、進行性腎不全の病因において重要な役割を果たしているようである。正常成人腎臓におけるメサンギウム細胞の代謝回転は、非常に低く、再生率は1%未満である。糸球体/腎疾患の顕著な特徴は、メサンギウム細胞の増殖の亢進または細胞消失の低下に起因する、メサンギウム細胞過形成である。例えば分裂刺激により細胞消失を伴わずにメサンギウム細胞増殖が誘導されると、メサンギウム増殖性糸球体腎炎がもたらされる。データは、メサンギウム細胞成長の制御因子、特に成長因子が、ストア作動性カルシウムチャネルを制御することにより機能すると考えられることを示している。さらに他の実施形態において、ストア作動性カルシウム流入のモジュレータが、メサンギウム細胞増殖を阻害することにより糸球体疾患の治療に役立つ。
【0201】
一態様において、本明細書に記載の化合物は、例えば、免疫系細胞(例えば、リンパ球、白血球、T細胞、B細胞)、線維芽細胞(もしくは線維芽細胞から得られる細胞)、または上皮、真皮もしくは皮膚細胞(例えば、ケラチノサイト)におけるCRACチャネル活性の阻害(例えば、I
CRACの阻害、SOCEの阻害)等の、SOCチャネル活性の調節(例えば、低減または阻害)等であるがこれらに限定されない、細胞内カルシウムの調節を行う。いくつかの実施形態において、細胞内カルシウムの調節に関与する1種以上のタンパク質(例えば、STIMタンパク質および/またはOraiタンパク質)を調節するステップは、例えば、タンパク質のレベル、発現、活性、機能、および/または分子間相互作用の低減を含む。例えば、細胞が、カルシウムレベルの増加、または細胞内カルシウム調節、例えばストア作動性カルシウム流入の制御の欠如を示す場合、他の実施形態において、調節は、タンパク質、例えばSTIMタンパク質および/またはOraiタンパク質のレベル、発現、活性もしくは機能、または分子間相互作用の低減を含む。
NSCLCのための治療薬剤を特定する方法
【0202】
一態様において、本発明は、NSCLCを治療するための治療薬剤を特定するための方法を提供し、この薬剤は、1つ以上の原形質膜カルシウム輸送経路を阻害する。本方法は、候補薬剤が、NSCLC細胞内のCRAC/STIM経路の全てまたは一部を調節する、つまり、上皮細胞の1つ以上の癌に関連した特性を改変することができるかどうかを判定することを含む。
【0203】
「癌に関連した特性」とは、細胞の癌に起因する細胞のいかなる生理学的および/または病理学的な兆候を意味する。転写の促進、細胞の増殖、細胞死(例えば、アポトーシスおよび壊死)および侵襲性は範囲内であり、侵襲性は、転移、遊走、および接着能の喪失を含む。
【0204】
一般形態において、候補薬剤は、CRACチャネルを直接調節し得ることが理解されよう。代替的な形態において、候補薬剤は、STIMタンパク質を調節し、それによって、癌性細胞へのカルシウム流れを改変し得る。
【0205】
本発明の文脈において、「改変する」または「改変」は、その範囲内に、原形質膜を介したカルシウム流れの減少、低減、または下方制御を含む。癌性細胞へのカルシウム流れの改変は、カルシウム流れの選択的改変を含むことが想定される。
【0206】
「調節」、「モジュレータ」、または「調節する」というメカニズムは、その範囲内で、CRACチャネルおよび/またはSTIMタンパク質のいずれかのカルシウム流れに関連した活性に干渉する、阻害する、遮断する、もしくは妨害する、または活性化するもしくは増加させる、任意の干渉を含むことが容易に理解される。ある実施形態において、モジュレータは、阻害剤である。他の実施形態において、モジュレータは、拮抗薬である。さらに他の実施形態において、モジュレータは、作動薬である。さらなる実施形態において、モジュレータは、活性剤である。
【0207】
本発明の一実施形態において、候補薬剤は、CRACチャネルおよび/またはSTIMタンパク質を選択的に調節する。別の実施形態において、候補薬剤は、選択的に、CRACチャネルおよび/またはSTIMタンパク質を阻害する。さらに別の実施形態において、候補薬剤は、CRACチャネルおよび/またはSTIMタンパク質の阻害によってカルシウム流れを改変する。
【0208】
したがって、モジュレータは、所望の生物学的活性および半減期を有する、ペプチド、タンパク質、例えば、抗体または他の有機分子(有機小分子等)であり得る。全タンパク質あるいはその生物学的に活性な断片のいずれかを対象にするポリクローナルおよびモノクローナル抗体の両方が、好適なモジュレータであることが想定される。
【0209】
「生物学的に活性な断片」とは、タンパク質の断片、一部、領域、または部分を意味し、これは、全タンパク質または完全長タンパク質の生物学的活性の少なくとも10%、好ましくは少なくとも25%、より好ましくは少なくとも50%、さらにより好ましくは少なくとも70%、80%、もしくは90%を示す。
【0210】
CRACチャネルに関して、生物学的活性は、カルシウム輸送活性である。STIMタンパク質に関しては、生物学的活性は、CRACチャネルとの直接的相互作用あるいは間接的相互作用のいずれかによって、細胞へのカルシウム輸送を活性化する能力である。
【0211】
ヒトにおける治療への応用に使用される抗体は、これらの抗体をヒトに用いるのに適したものにさせる特異性を有さなければならないことを当業者には理解されよう。一般に、治療抗体は、「ヒト化」され、この抗体は、典型的には90%を超えるヒト配列およびマウス抗体の相補性決定領域を含む。ヒト化抗体は、異物免疫反応を誘発する可能性を減少させることから、医療用途に対しては特に有益である。
【0212】
ヒト化抗体は、これらに限定されないが、STIM1およびSTIM2等の任意のSTIMを対象にし得ることが想定される。一実施形態において、ヒト化抗体は、STIM1を対象にする。
【0213】
他の特定の実施形態において、調節薬剤は、CRACチャネルを対象にする抗体である。代替的な特定の実施形態において、CRACチャネルを対象にする抗体は、CRACM1を対象にする。
【0214】
有効な調節薬剤は、本発明に従って有用であり得る他の有望なCRACチャネル阻害剤を含むことが容易に企図される。好適な例としては、SKF−96365、T182、YM−58483、BTP−2、ガドニウム等のランタニド、ならびに例えば、Synta Pharmaceuticals社に譲渡されたPCTまたは米国特許出願、すなわちWO第2005/009954号、WO第2005/009539号、WO第2005/009954号、WO第200/6034402,A1号、WO第2006/081389号、WO第2006/081391号、WO第2007/087429号、WO第2007/087427号、WO第2007/087441号、WO第2007/087442号、WO第2007/087443号、WO第2007/089904号、WO第2007/109362号、WO第2007/112093号、WO第2008/039520号、WO第2008/063504号、WO第2008/103310号、WO第2009/017818号、WO第2009/017819号、WO第2009/017831号、US第2006/0173006号 US第2007/0249051 A1号、WO第2010/039238号、WO第2010/039237号、WO第2010/039236号、WO第2009/089305号、WO第2009/038775号;Astellas社、Queens Medical Center,Calcimedica社等による特許、および/または特許出願、すなわち、WO第2007/121186号、WO第2006/050214号、WO第2007/139926号、WO第2008/148108号、US第7,452,675号、US第2009/023177号、WO第2007/139926号、US第6,696,267号、US第6,348,480号、WO第2008/106731号、US第2008/0293092号、WO第2010/048559号、WO第2010/027875号、WO第2010/025295号、WO第2010/034011号、WO第2010/034003号、WO第2009/076454号、WO第2009/035818号、US第2010/0152241号、US第2010/0087415号、US第2009/0311720号、およびWO第2004/078995号に開示されるような、他のCRACチャネルモジュレータ化合物が含まれるが、これらに限定されない。
【0215】
さらに好適なCRACチャネルモジュレータは、Isabella Derler et al.Expert opinion in Drug Discovery 3(7)(2008)pg.787−800、Yousang G et al.,Cell Calcium 42(2007)145−156、Yasurio Yonetoky et al.,Bio.& Med Chem.14(2006)4750−4760、およびYasurio Yonetoky et al.,Bio.& Med Chem.14(2006)5370−5383に開示されるものを含む。これらの特許および/または特許出願および文献の開示の全ては、全ての目的において、参照することによりその全内容が本明細書に組み込まれる。
【0216】
CRAC/STIM経路を調節するための分子生物学的アプローチが使用され得ることがさらに企図される。siRNA等のRNA干渉は、同種のmRNAの配列特異的切断によって潜在的な治療遺伝子標的をサイレンシングするための魅力的な方法を提供する。Takeshita and Ochiya(Cancer Sci,2006,97:689−696)は、癌に対するRNA干渉の治療可能性の多数の例を提供し、これを参照することにより本明細書に組み込まれる。
【0217】
「遺伝子」という用語は、イントロン、エクソン、スプライス部位、オープンリーディングフレーム、ならびにプロモーター配列および/もしくはポリアデニル化配列等の5′および/もしくは3′非コード調節配列のうちの1つ以上を含み得るゲノム内の、別個の核酸の遺伝子座、単位、もしくは領域を記載するために、本明細書に使用される。
【0218】
したがって、当業者は、本発明が、RNA分子の合成を導くことができる1つ以上のヌクレオチド配列を含む遺伝的構造を企図することを容易に理解し、ここで、ヌクレオチド配列は、
(i) 対象となるヌクレオチド配列によってコードされるRNA配列に対して実質的に相同であるRNA配列を含むRNA分子に転写可能なヌクレオチド配列、
(ii) (i)のヌクレオチド配列の逆相補配列、
(iii) (i)および(ii)のヌクレオチド配列の組み合わせ、
(iv) 任意にスペーサー配列により分断される、(i)、(ii)、または(iii)のヌクレオチド配列の複数のコピー、
(v) (ii)のヌクレオチド配列が、スペーサー配列により分断される、(i)のヌクレオチド配列の逆方向反復を示す、(i)および(ii)のヌクレオチド配列の組み合わせ、
(vi) スペーサー配列は、該組み合わせからスプライシング可能なイントロン配列を含む、(v)に記載の組み合わせ、から選択される。
【0219】
ヌクレオチド配列が、非イントロンスペーサー配列によって分断される逆方向反復を含む場合、転写時に、非イントロンスペーサー配列の存在は、逆方向反復配列が互いに結合することによって、ステムループの形成を促進する。非イントロンスペーサー配列の存在が、実質的には一塊のままであるように形成された転写RNA配列(本明細書において「転写物」とも呼ばれる)を、本明細書において「ヘアピン」とも呼ばれ得る形態にさせる。あるいは、ヌクレオチド配列が、スペーサー配列がイントロン配列を含む逆方向反復配列を含む場合、転写時に、イントロン配列のいずれかの側のイントロン/エクソンスプライスジャンクション配列の存在が、さもなければループ構造を形成したであろうものの除去を促進する。得られた転写物は、任意に一方または両方の末端で突出3’配列を有する、二本鎖RNA(dsRNA)分子を含む。そのようなdsRNA転写物は、本明細書において「完全ヘアピン」と呼ばれる。RNA分子は、二本鎖DNA配列の領域に生じる一本鎖DNAの「バルジ」を含む、単一のヘアピンまたは複数のヘアピンを含み得る。
【0220】
用途に応じて、RNA分子は、単一の標的、または代替として、複数の標的を対象にし得る。
【0221】
ある実施形態において、RNA分子は、CRACM1/Orai1、CRACM2/Orai1もしくはCRACM3/Orai1、および/またはSTIM1もしくはSTIM2をコードする。
【0222】
当業者は、癌の治療に対する本発明の治療薬剤が、いくつかの方法によって特定され得ることを承知している。したがって、治療薬剤を特定する方法は、候補薬剤が、CRACチャネルを直接調節するおよび/またはSTIMタンパク質を調節することができるかどうかを判定することを含む。一実施形態において、本方法は、候補薬剤が、CRACチャネルおよび/またはSTIMタンパク質を調節することによって、細胞へのカルシウムの流入を改変することができるかどうかを判定することを含む。
【0223】
一実施形態において、NSCLCの治療のための本発明の治療薬剤は、例えば、Nestler & Liu,1998,Comb.Chem.High Throughput Screen,1,113およびKirkpatrick et al.,1999,Comb.Chem.High Throughput Screen,2,211に記載されるような方法による、組み合わせライブラリーを含む、合成化学ライブラリー等の分子のスクリーニングライブラリーのために特定され得る。
【0224】
また、天然に存在する分子のライブラリーが、Kolb,1998,Prog.Drug.Res.51,185に記載されるもの等のような、周知の方法によってスクリーニングされ得ることも企図される。同様に、分子はまた、米国の国際衛生研究所(National Institute of Health(NIH))によって提供されるような、分子ライブラリープログラム(MLP)からも特定され得る。
【0225】
NSCLCの治療のための治療薬剤を設計するためのより合理的なアプローチは、当技術分野で周知のであるような、X線結晶学、NMR分光法、コンピュータ支援による構造データベースのスクリーニング、コンピュータ支援によるモデリング、または分子の結合相互作用を検出するより従来的な生物物理学的手法が使われてもよい。
【0226】
また、構造バイオインフォマティクスを使用して、NSCLCを治療するための候補薬剤を特定し得る。創薬に対する構造バイオインフォマティクスのアプローチに関する考察は、Fauman et al.,2003,Meth.Biochem.Anal.44:477、およびNature Reviews Drug Discovery 7,783(September 2008)に提供され、これらの両方は、参照することにより組み込まれる。
【0227】
コンピュータ支援による構造データベース検索およびバイオインフォマティクスのアプローチは、アゴニストおよびアンタゴニスト分子を特定および/または設計するための手順としてますます利用されるようになっている。データベース検索方法の例は、米国特許第5,752,019号および国際公開WO第97/41526号(EPO模倣体の特定を対象とする)および米国特許第7,158,891号および第5,680,331号に見出すことができ、これらは、タンパク質モデリングおよびタンパク質活性の構造上の模倣に対するより一般的な計算論的アプローチを対象とする。
【0228】
一般的に、他の適用可能な方法は、分子相互作用を特定する様々な生物物理的手法のいずれかが含まれる。そのような方法としては、例えば、Chapter 20 of CURRENT PROTOCOLS IN PROTEIN SCIENCE Eds.Coligan et al.,(John Wiley & Sons,1997)に提供されるもののような、競合的放射性リガンド結合アッセイ、電気生理学、分析的な超遠心分離法、微小熱量測定、表面プラスモン共鳴法および光学的バイオセンサに基づく方法等の潜在的に有用性のある技術に適用可能な方法が含まれるが、これらに限定されず、これらは、参照することにより本明細書に組み込まれる。
【0229】
当業者は、調節薬剤が、結合パートナーの形態であり得、したがって、酵母ツーハイブリッドアプローチ等の相互作用アッセイによって特定され得ることを理解されよう。ツーハイブリッドスクリーニング法は、Chapter 20 of CURRENT PROTOCOLS IN PROTEIN SCIENCE Eds.Coligan et al.,(John Wiley & Sons,1997)に提供され、これは、参照することにより本明細書に組み込まれる。
NSCLCの薬学的組成物および治療方法
【0230】
また、一態様において、本発明は、薬学的に許容される担体、希釈剤、または賦形剤と共に、上の方法によって特定される癌の治療に有効な治療薬剤を含む、薬学的組成物を提供することも企図される。
【0231】
別の態様において、本発明は、上に記載の方法によって特定される癌の治療に有用な治療薬剤をヒトに投与することによる、ヒトにおける癌の治療方法を提供する。CRAC阻害剤等の治療薬剤は、NSCLCを治療する単剤療法としてまたは1つ以上の他の治療方法との補助療法として使用され得る。
【0232】
一実施形態において、癌の治療に有効な治療薬剤は、経皮パッチまたは他の侵襲性投与経路として、経口投与に適している薬学的に許容される担体、希釈剤、または賦形剤と共に製剤化される有機小分子またはペプチドの形態である。
【0233】
なお別の態様において、本発明は、有効量のCRAC阻害剤を患者に投与することによる、NSCLCを患っている患者の治療方法を含む。CRAC阻害剤は、肺癌(またはNSCLC)を治療する単剤療法としてまたは1つ以上の他の治療方法との補助療法として使用され得、これには、例えば、シスプラチン(Platinol(登録商標))、エトポシド(VP−16;VePesid(登録商標))、カルボプラチン(Paraplatin(登録商標))、パクリタキセル(Taxol(登録商標))、ドセタキセル(Taxotere(登録商標))、酒石酸ビノレルビン(Novelbine(登録商標))、ドキソルビシン(Adriamycin(登録商標))、硫酸ビンクリスチン(Oncovin(登録商標))、イホスファミド(Ifex(登録商標))、およびゲムシタビン塩酸塩(Gemzar(登録商標))等の肺癌の治療のための化学療法薬剤が含まれる。
【0234】
補助療法として、CRAC阻害剤は、肺癌に対する標準的な化学療法と共に使用することができ、これは、一般的には、例えば、シスプラチン(Platinol(登録商標))、エトポシド(VP−16;VePesid(登録商標))、カルボプラチン(Paraplatin(登録商標))、パクリタキセル(Taxol(登録商標))、ドセタキセル(Taxotere(登録商標))、酒石酸ビノレルビン(Novelbine(登録商標))、ドキソルビシン(Adriamycin(登録商標))、硫酸ビンクリスチン(Oncovin(登録商標))、イホスファミド(Ifex(登録商標))、およびゲムシタビン塩酸塩(Gemzar(登録商標))のうちの2つ以上の組み合わせから成る。そのような標準的な化学療法の併用療法は、治療への総合応答率を改善することが示されている。標準的な化学療法の併用療法における公知の薬物対は、パクリタキセル+カルボプラチン、シスプラチン+酒石酸ビノレルビン、シスプラチン+エトポシド、およびカルボプラチン+エトポシドを含む。併用放射線治療は、シスプラチン+エトポシド、またはカルボプラチン+エトポシドの標準的な化学療法の組み合わせと共に頻繁に使用される。
【0235】
肺癌を治療するのに使用され得る他の化学療法薬剤は、例えば、シクロホスファミド(Neosar(登録商標))、メトトレキサート、ロムスチン(CCNU)、およびトポテカン塩酸塩(Hycamtin(登録商標))を含む。
【0236】
補助療法として、非小細胞肺癌に対し、CRAC阻害剤は、非小細胞肺癌(NSCLC)を含む多くの固形腫瘍に対して独特の活性を有する化学療法薬物である、ゲムシタビン塩酸塩(Gemzar(登録商標))と組み合わせて使用され得る。ゲムシタビン、シスプラチン、および酒石酸ビノレルビンを用いた併用療法は、進行性NSCLCを患っている者において、安全かつ非常に活性であることが見出されている。進行疾患を患っているNSCLC患者に対する別の治療法の選択肢は、交互化学放射線療法(例えば、シスプラチンおよびエトポシド、続いて、放射線療法)である。
【0237】
「薬学的に許容される担体、希釈剤、または賦形剤」という用語は、全身投与に安全に使用され得る固体または液体充填剤、希釈剤、または封入材料を含む。特定の投与経路に応じて、当技術分野で周知の様々な担体が使用され得る。これらの担体は、糖類、デンプン、セルロース、およびその誘導体、麦芽、ゼラチン、タルク、硫酸カルシウム、植物油、合成油、ポリオール、アルギン酸、リン酸緩衝溶液、乳化剤、等張食塩水、ならびに塩類、例えば、塩酸塩、臭化物塩、および硫酸塩を含む鉱酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、およびマロン酸塩等の有機酸塩、ならびに発熱性物質を含まない水から選択され得る。
【0238】
薬学的に許容される担体、希釈剤、および賦形剤を記載する有用な参照文献は、Remington’s Pharmaceutical Sciences(Mack Publishing Co.N.J.USA,1991)であり、これは、参照することにより本明細書に組み込まれる。
【0239】
任意の安全な投与経路が、本発明の治療薬剤または薬学的組成物を患者に提供するために使用され得る。例えば、経口、直腸、非経口、舌下、口腔、静脈内、経皮、関節内、筋肉内、皮内、皮下、吸入、眼球内、腹腔内、脳室内、および経皮投与が、使用され得る。
【0240】
好適な剤形としては、錠剤、分散剤、懸濁液、注射剤、溶液、シロップ、トローチ、カプセル、座剤、エアロゾル、および経皮貼付剤が含まれるが、これらに限定されない。これらの剤形はまた、特にこの目的のために設計された注射またはインプラント型の放出制御デバイス、またはこの方法において追加的に作用するよう修飾されたインプラントの他の形態を含み得る。治療薬剤の制御放出は、例えば、アクリル樹脂、ワックス、高級脂肪族アルコール、ポリ乳酸、およびポリグリコール酸を含む疎水性ポリマー、ならびにヒドロキシプロピルメチルセルロース等のある種のセルロース誘導体で、その同一物を被覆することによって達成され得る。加えて、制御放出は、他のポリマーマトリクス、リポソーム、および/またはミクロスフィアを使用することにより達成され得る。
【0241】
経口または非経口投与に適する本発明の薬学的組成物は、それぞれが、所定量の本発明の1つ以上の治療薬剤を、粉末もしくは顆粒として、あるいは水性液体、非水性液体、水中油エマルションまたは油中水液体エマルション中の溶液または懸濁液として含有する、別個の単位、例えば、カプセル剤、サシェ剤、または錠剤として提供されてもよい。そのような組成物は、薬学の方法のいずれか、例えば、1つ以上の成分を構成する担体と、上に記載の1つ以上の薬剤を会合させることによって調製され得る。組成物は、本発明の薬剤を液体担体または細かく分割された固体担体、あるいはその両方と均一かつ密接に混合し、その後、任意に、製品を所望の体裁に整形することによって調製することができる。
【0242】
上の組成物は、投与剤形に沿うように、かつ薬学的に有効な量で投与してもよい。本発明の文脈において、患者に投与される用量は、適切な時間にわたって患者において有益な反応をもたらすのに十分なものとすべきである。投与される薬剤の量は、施術者の判断に応じた因子である、その年齢、性別、体重、および一般的健康状態を含めて、治療すべき対象に依存するものであってよい。
診断方法
【0243】
なお別の実施形態において、本発明は、診断マーカーとして、CRACチャネルおよびSTIMタンパク質を利用するNSCLCのための診断方法を目的とする。特定の一態様において、本発明は、患者が、癌性細胞内の原形質膜局在型STIMのレベルを測定することによって、CRACおよび/またはSTIM経路を介してカルシウム流入を改変する治療薬剤による治療に応答し得るかどうかを判定するための診断方法を提供する。
【0244】
特定の一実施形態において、本発明は、肺由来の細胞等の、癌性細胞内のSTIMタンパク質の過剰レベルを検出することによって、ヒトが、NSCLCに罹患し易い、またはNSCLCを患っているかどうかを判定するための診断方法を提供する。
【0245】
別の特定の態様において、本発明の診断方法は、STIMの1つの特定の形態の、STIMの別の特定の形態に対する比の測定を含む。
【0246】
さらなる実施形態において、本発明は、肺細胞内のCRACチャネル発現の活性化を検出するための診断方法を提供する。CRACチャネル発現は、タンパク質に基づいた手法、あるいは核酸に基づいた手法のいずれかによって分析され得ることが想定される。
【0247】
したがって、「罹患し易い(predisposed)」および「素因」は、個人が、NSCLCの臨床的な症状を示し得るか、またはNSCLCのいかなる既存の明らかな臨床的な症状が、潜在的な生化学的原因の結果である、可能性の文脈において使用される。
【0248】
多くの方法が、癌性細胞の原形質膜におけるSTIMの発現レベルを測定するのに利用され得ることは、当業者には、容易に理解されよう。単なる例として、標識抗体を用いた蛍光活性化細胞分類(FACS)解析は、タンパク質の細胞表面発現の定量的測定が容易である。例えば、免疫蛍光および他の蛍光顕微鏡検査法はまた、STIMのレベルを検出するための、染色組織に使用することもできる。他の従来の免疫組織化学手法を使用してもよい。
【0249】
あるいは、相対的なタンパク質発現レベルは、1つ以上のタンパク質の相対的な発現レベルを検出するために、免疫測定法、例えば、ELISAおよび免疫ブロット法を含む他のタンパク質に基づいた方法によって判定され得る。
【0250】
プロテオミクスパターン解析は、タンパク質の網羅的発現パターン解析に特に有用である別の診断方法を提供する。プロテオミクスパターンを用いた癌の診断方法は、Conrads et al.,Expert Rev Mol Diagn.2003 July;3(4):411−20において提供され、参照することにより本明細書に組み込まれる。
【0251】
特定の実施形態において、複数のタンパク質は、複数の方法において、例えば、ファージ提示系もしくは細胞提示系、または二次元ゲル電気泳動、またはより具体的には、示差的な二次元ゲル電気泳動(2D−DIGE)によって示されたタンパク質ライブラリーに使用され得る。これらの特定の実施形態は、一般に、例えば、Chapters 3.9.1 and 22 of CURRENT PROTOCOLS IN PROTEIN SCIENCE Eds.Coligan et al.,John Wiley & Sons NY USA(1996−2002)に記載されるような、「プロテオミクス」法としてまたは「タンパク質プロファイリング」法として称され得る。
【0252】
タンパク質アレイに関するある実施形態において、本発明の癌に関連したタンパク質(例えば、NSCLCに関連したタンパク質)は、アレイ上の特定可能なアドレスに位置する。
【0253】
例示的な実施形態において、タンパク質アレイは、癌に関連したタンパク質(例えば、NSCLCに関連したタンパク質)、またはその断片に固定化した、浸透した、結合した、またはそうでなければカップリングさせた基板を含む。
【0254】
基板は、化学的に誘導体化されたアルミニウムチップ、PVDFもしくはニトロセルロース等の合成膜、スライドガラス、またはマイクロタイタープレートであり得る。
【0255】
基板に結合したタンパク質の検出は、質量分析法、ELISA、免疫組織化学、蛍光顕微鏡検査法を用いて、または比色検出によって行われ得る。
【0256】
本発明の診断方法は、STIMタンパク質および/またはCRACチャネルをコードする核酸の発現レベルを測定することを含み得る。この点において、プロモーターにおけるヌクレオチド配列の変形は、例えば、罹患した、または罹患し易い個人の1つ以上の細胞内のCRACチャネルの遺伝子転写物の定常状態レベルに影響を及ぼし得る。
【0257】
核酸の相対的レベルは、本発明の診断方法において、測定および/または比較され得ることも企図される。例として、CRACおよび/またはSTIMのmRNAレベルが測定され得る。
【0258】
参照核酸の発現レベルと比較した核酸レベルの相対的レベルの測定は、核酸アレイを用いて、便宜的に行われ得る。
【0259】
核酸アレイ技術は、当技術分野で周知となっており、アレイ技術に適用できる方法の例は、例えば、Chapter 22 of CURRENT PROTOCOLS IN MOLECULAR BIOLOGY Eds.Ausubel et al.(John Wiley & Sons NY USA 1995−2001)に提供される。
【0260】
アレイは、様々な方法によって、例えば、フォトリソグラフィー法(例えば、米国特許第5,143,854号、第5,510,270号、および第5,527,681号を参照のこと)、機械的方法(例えば、米国特許第5,384,261号に記載されるようなダイレクトフロー法)、ピン(pin)ベースの方法(例えば、米国特許第5,288,514号に記載されるような)、ならびにビーズベースの技術(例えば、国際公開第PCT/US93/04145号に記載される)によって生成され得る。
【0261】
参照はまた、米国特許第5,858,659号および第6,300,063号に記載されるようなAffymetrixの核酸アレイシステムに対してなされ、疾患に関連した多型の核酸アレイに基づいた検出に関する特定の教示を提供する。
【0262】
この実施形態の別の特定形態において、CRACチャネルをコードする核酸またはSTIMをコードする核酸に対応するプライマーを用いた定量的または半定量的PCRを用いて、CRACチャネル核酸またはSTIM核酸の相対的な発現レベルを定量化し、それによって、個人が、NSCLCに罹患し易い、またはNSCLCを患っているかどうかを判定することができる。
【0263】
PCR増幅は、比例ではなく、したがって、エンドポイント解析が、必ずしも核酸発現レベルの精密測定を可能にするとは限らない。
【0264】
リアルタイムPCR解析は、遺伝子発現レベルを測定するハイスループット法を提供する。それは、特定のプライマー、並びにそれぞれのサイクル後の生成物の量を測定するための蛍光検出を用いる。ハイブリダイゼーションプローブは、消光色素または蛍光のいずれかを利用して、直接信号を生じる。この方法を用いて、非患者から得られた細胞または組織と比較した、癌患者から得られた細胞または組織における核酸発現の差異を確認および定量化することができる。
【0265】
本明細書に記載される以下の一般的方法は、本発明の化合物の作製および使用の様式および方法を提供するが、制限的ではなく例示的である。本発明の目的を成就および達成するために、記載される方法論のさらなる修正および追加的な新しい方法もまた考案され得る。したがって、本明細書により定義されるような本発明の精神および範囲に包含される他の実施形態が存在し得ることを理解されたい。
式(I)の化合物の調製の一般的方法
【0266】
本発明の化合物は、以下のプロセスに従い調製され得る。別段の指定がない限り、全ての変数は、以下の式中で使用される場合、式(IA)に関して上述された基を表すものとして理解されたい。これらの方法は、式(I)の他の化合物(例えば、(IA−I)、(IA−II)、(IA−III)、および(IA−IV)にも同様に適用することができる。
【0267】
スキーム1は、式(IA)の化合物の合成のための一般的な過程を提供し、式中、L
1およびL
2は、一緒になって、−NH−CO−であり、R′′′は、水素またはハロゲンであり、他の全ての変数R、R
1、R
2、T、U、V、W、A、およびCyは、式(IA)に関して上述の通りである。
【化30】
【0268】
式1の化合物を、式2の化合物(例えば、フェニルヒドラジン)と反応させ、式3の化合物を形成することができる。次いで、式3の化合物を、例えば、濃H
2SO
4および濃HNO
3の混合物を使用してニトロ化し、式4の化合物を形成することができる。例えば、活性炭の存在下でのFeCl
3およびヒドラジンによる式4の化合物の還元により、式5a(式中、R′′′は水素である)の対応するアミン化合物を得る。代替として、式4の化合物のハロゲン化に続く還元によって、式5b(式中、R′′′はハロゲンである)の対応するアミン化合物を得る。式5aまたは5bの化合物を、好適なカップリング剤の存在下で様々な他の中間体とカップリングさせ、式(IA)の化合物を得ることができる。式5aまたは5bの化合物を、(ベンゾトリアゾール−1−イルオキシ)トリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(BOP試薬)またはN−(3−ジメチルアミノプロピル)−N′−エチルカルボジイミド塩酸塩(EDC)等の1つ以上のアミドカップリング剤を使用して、i.Cy−A−COOHと、ii.式Cy−A−COClの酸塩化物と、またはiii.式Cy−NCOのイソシアネートとカップリングさせることができる(式中、AはNHである)。
【0269】
スキーム2は、式(IA)の化合物の合成のための一般的な過程を提供し、式中、L
1およびL
2は、一緒になって、i−NH−CO−であり、R′′′は、水素またはハロゲンであり、他の全ての変数R、R
1、R
2、T、U、V、W、A、およびCyは、式(IA)に関して上述の通りである。
【化31】
【0270】
ステップ1:式aのケトンを、金属アルコキシド、例えばナトリウムエトキシド等の塩基の存在下で式bのエステルと縮合させ、式1のジケトンを生成することができる。
【0271】
ステップ2:式1の化合物を、ヒドラジンと反応させることにより、式2aのピラゾール化合物に変換することができる。式2aの化合物を、アルカリ金属炭酸塩、例えばCs
2CO
3等の好適な塩基の存在下で式2b(式中、L
gは、脱離基(ハロゲン等)である)の化合物と反応させ、式4の化合物を生成することができ、これをスキーム1において上述のような同様の転換のシーケンスに供して、式IAの化合物を得ることができる。
【0272】
スキーム2Aは、式(IA)の化合物の合成のための一般的な過程を提供し、式中、L
1およびL
2は、一緒になって、−CO−NH−であり、R′′′は、水素またはハロゲンであり、他の全ての変数R、R
1、R
2、T、U、V、W、A、およびCyは、式(IA)に関して上述の通りである。
【化32】
【0273】
式2aの化合物を、アルカリ金属炭酸塩、例えばCs
2CO
3等の好適な塩基の存在下で式2c(式中、L
gは、脱離基(例えばハロゲン)の化合物と反応させ、式4aの化合物を生成することができ、次いで、これを加水分解させて式5cの化合物を生成することができる。(ベンゾトリアゾール−1−イルオキシ)トリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(BOP試薬)またはN−(3−ジメチルアミノプロピル)−N′−エチルカルボジイミド塩酸塩(EDC)等の1つ以上のアミドカップリング試薬を使用して、式5cの化合物をCy−A−NH
2とカップリングさせることができる。
【0274】
当業者に知られているような、ある特定の修正を加えた同様の方法論を用いて、好適な中間体および試薬を用い、式(I)、(IA−I)、または(IA−II)(式中、変数は、式(I)、(IA−I)、(IA−II)、(IA−III)、または(IA−IV)に関連して上述された基を表すものとして理解されたい)の化合物を合成することができる。
実験
【0275】
本開示全体を通して、以下の略語が使用される:EDC.HCl(N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N′−エチルカルボジイミド塩酸塩)、HOBt[ヒドロキシベンゾトリアゾール]、TEA(トリエチルアミン)、DMF(ジメチルホルムアミド)、AcOEt(酢酸エチル)、DCM(ジクロロメタン)、DMSO(ジメチルスルホキシド)、THF(テトラヒドロフラン)。別段の指定がない限り、後処理とは、括弧内に示された水相と有機相との間の反応混合物の分配、有機層の分離およびNa
2SO
4上での乾燥、ならびに残渣を得るための溶媒の蒸発を暗に意味する。別段の指定がない限り、精製とは、固定相としてシリカゲルを使用し、移動相として好適な極性を有する石油エーテル(沸点60〜80℃)および酢酸エチルまたはジクロロメタンおよびメタノールの混合物を使用した、カラムクロマトグラフィーを暗に意味する。RT(またはrt)とは、周囲温度(約25〜28℃)を暗に意味する。
【0276】
中間体1:1,3−ジシクロプロピルプロパン−1,3−ジオン:ナトリウムエトキシド(8g、117.64mmol)を、DMSO(30mL)中のシクロプロピルメチルケトン(5g、59.4mmol)およびメチルシクロプロパンカルボキシレート(12mL、118.9mmol)に添加した。得られた混合物を60℃で一晩加熱し、0℃まで冷却した。反応物を6N HClで反応停止した後、後処理(H
2O/AcOEt)により、茶色液体として表題化合物を得、これを精製せずに使用した。
1H−NMR(δ ppm,CDCl
3,400 MHz):16.05(bs,0.6H),5.72(s,0.6H) 3.78(s,0.8H),2.08−2.0(m,0.8H),1.62−1.53(m,1.2H),1.12−1.05(m,4H),0.97−0.83(m,4H)。MS(m/z):153.2[M+H]
+。
【0277】
中間体2:1−シクロプロピル−4,4,4−トリフルオロブタン−1,3−ジオン:中間体1に関して説明された手順と同様の手順に従った。シクロプロピルメチルケトン(10g、119mmol)、エチル2,2,2−トリフルオロアセテート(29mL、237mmol)、DMSO(60mL)、およびナトリウムエトキシド(16.1g、237mmol)から、茶色液体として表題化合物(15g)を得、これを精製せずに次のステップにおいて使用した。
1H−NMR(δ ppm,CDCl
3,400 MHz):5.65(s,2H),2.16−2.04(m,1H),1.18−1.12(m,2H),0.98−0.94(m,2H)。
【0278】
中間体3:3,5−ジシクロプロピル−1H−ピラゾール:エタノール(20mL)中の中間体1(5.3g、35mmol)およびヒドラジン水和物(1.8mL、38.3mmol)を、一晩還流した。混合物を周囲温度まで冷却した後の後処理(H
2O/AcOEt)により、茶色固体として表題化合物を得た。融点:161〜164℃。
1H−NMR(δ ppm,CDCl
3,400 MHz):15.2(bs,1H),5.65(s,1H),2.16−2.09(m,2H),1.18−1.14(m,4H),0.98−0.94(m,4H)。MS(m/z):149.04.[M+H]
+。
【0279】
中間体4:5−シクロプロピル−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール:中間体2(0.120g、0.66mmol)およびヒドラジン水和物(0.04mL、0.72mmol)を、エタノール(6mL)中に溶解し、一晩還流した。混合物をRTまで冷却した後、後処理(H
2O/AcOEt)により、茶色固体として表題化合物(0.114g)を得た。
【0280】
中間体5:3,5−ジシクロプロピル−1−(4−ニトロフェニル)−1H−ピラゾール:DMSO(15mL)中の中間体3(2.0g、13.5mmol)およびCs
2CO
3(5.51g、40.5mmol)の溶液を、窒素下で0.5時間160℃で加熱した。この混合物に、4−クロロ−1−ニトロベンゼン(6.38g、40.5mmol)を添加し、同じ温度で4時間撹拌した。後処理(H
2O/AcOEt)および精製により、表題化合物(0.8g)を得た。
1H−NMR(δ ppm,CDCl
3,400 MHz):8.32(d,J 9.0,2H),7.92(d,J 9.0,2H),5.76(s,1H),1.97−1.91(m,1H),1.86−1.80(m,1H),1.09−1.04(m,2H),0.98−0.94(m,2H),0.83−0.75(m,4H)。
【0281】
中間体6:3,5−ジシクロプロピル−1−(2−フルオロ−4−ニトロフェニル)−1H−ピラゾール:DMSO(20mL)中の中間体3(2.0g、13.5mmol)およびK
2CO
3(5.5g、40.6mmol)の溶液を、窒素下で0.5時間120℃で加熱した。この混合物に、3,4−ジフルオロ−1−ニトロベンゼン(2.15g、13.5mmol)を添加し、同じ温度で2時間撹拌した。後処理(H
2O/AcOEt)および精製により、黄色固体として、表題化合物(3.16g)を得た。
1H−NMR(δ ppm,CDCl
3,400 MHz):8.19−8.12(m,2H),7.78(t,J 7.9,1H),5.70(s,1H),2.10−2.00(m,1H),1.68−1.58(m,1H),1.08−0.92(m,4H),0.82−0.74(m,2H),0.72−0.65(m,2H)。
【0282】
中間体7:2−(3,5−ジシクロプロピル−1H−ピラゾール−1−イル)−5−ニトロピリジン:DMSO(60mL)中の中間体3(8.0g、54.05mmol)およびK
2CO
3(27.96g、202.6mmol)の溶液を、窒素下で0.5時間、110℃で加熱した。この混合物に、2−クロロ−5−ニトロピリジン(12.8g、80.75mmol)を添加し、同じ温度で2時間撹拌した。後処理(H
2O/AcOEt)および精製により、表題化合物(3.03g)を得た。
1H−NMR(δ ppm,CDCl
3,400 MHz):9.24(d,J 2.6,1H),8.51(dd,J 2.6,9.9,1H),8.10(d,J 9.2,1H),5.72(s,1H),2.90−2.75(m,1H),1.99−1.90(m,1H),1.06−0.93(m,4H),0.82−0.64(m,4H)。
【0283】
中間体8:5−シクロプロピル−1−(4−ニトロフェニル)−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール:中間体5に関して従った手順と同様の手順を使用した。中間体4(1.0g、5.67mmol)、Cs
2CO
3(5.5g、16.9mmol)、DMSO(4mL)、および4−クロロ−1−ニトロベンゼン(1.93g、14.1mmol)から、表題化合物(0.7g)を得た。
1H−NMR(δ ppm,CDCl
3,400 MHz):8.38(d,J 7.08,2H),7.92(d,J 7.08,2H),6.32(s,1H),1.89−1.82(m,1H),1.19−1.11(m,2H),0.89−0.85(m,2H),MS(m/s):298.15[M+H]
+。
【0284】
中間体9:5−シクロプロピル−1−(2−フルオロ−4−ニトロフェニル)−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール:DMSO(20mL)中の中間体4(6.3g、35mmol)およびK
2CO
3(14.6g、105mmol)の溶液を、窒素下で30分間120℃で加熱した。この混合物に、1,2−ジフルオロニトロベンゼン(5.68g、35mmol)を添加し、同じ温度で2時間撹拌した。後処理(H
2O/AcOEt)および精製により、表題化合物(7.52g)を得た。
1H−NMR(δ ppm,DMSO−d
6,400 MHz):8.49(dd,J 2.4,9.9,1H),8.47−8.27(m,1H),8.04−8.02(m,1H),6.73(s,1H),1.76−1.68(m,1H),0.99−0.90(m,2H),0.84−0.74(m,2H)。
【0285】
中間体10:2−[5−シクロプロピル−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]−5−ニトロピリジン:DMSO(10mL)中の中間体4(1.0g、5.67mmol)およびK
2CO
3(2.35g、17.03mmol)の溶液を、窒素下で30分間90℃で加熱した。この混合物に、2−クロロ−5−ニトロピリジン(1.35g、8.5mmol)を添加し、同じ温度で2時間撹拌した。後処理(H
2O/AcOEt)および精製により、表題化合物(0.30g)を得た。
1H−NMR(δ ppm,CDCl
3,400 MHz):9.33(d,J 2.5,1H),8.62(dd,J 2.8,9.0,1H),8.19(d,J 9.0,1H),6.29(s,1H),2.92−2.83(m,1H),1.60−1.50(m,2H),0.79−0.70(m,2H)。
【0286】
中間体11:2−[4−クロロ−5−シクロプロピル−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]−5−ニトロピリジン:中間体10(1.5g、5.0mmol)をDMF中に溶解し、これに、N−クロロスクシンイミド(0.8g、6mmol)を0℃で添加した。次いで、反応物を室温で2時間撹拌した。反応が完了した後、後処理(EtOAc)および精製により、表題化合物(0.802g)を得た。
1H−NMR(δ ppm,DMSO−d
6,400 MHz):9.34(d,J 2.5,1H),8.65(dd,J 2.5,9,1H),8.09(d,J 9,1H),2.48−2.38(m,1H),1.13−1.03(m,2H),0.90−0.82(m,2H)。
【0287】
中間体12:4−(3,5−ジシクロプロピル−1H−ピラゾール−1−イル)アニリン:鉄粉(0.88g、15.8mmol)および塩化アンモニウム(17mg、0.3mmol)を、EtOH/H
2O(2:1、15mL)中の中間体5(0.85g、3.15mmol)の溶液に添加し、混合物を30分間還流した。混合物を、セライトを通して濾過し、セライトをエタノールで洗浄した。合わせた層の濃縮後の後処理(H
2O/AcOEt)により、黄色固体として、表題化合物(0.68g)を得た。
1H−NMR(δ ppm,DMSO−d
6,400 MHz):7.11(d,J 8.6,2H),6.61(d,J 8.6,2H),5.65(s,1H),5.24(s,2H),1.81−1.74(m,1H),1.67−1.60(m,1H),0.86−0.77(m,4H),0.61−0.56(m,4H)。MS(m/z):240.3[M+H]
+。
【0288】
中間体13:4−(3,5−ジシクロプロピル−1H−ピラゾール−1−イル)−3−フルオロアニリン:鉄粉(1.86g、34.8mmol)および塩化アンモニウム(30mg、0.7mmol)を、EtOH/H
2O(2:1、30mL)中の中間体6(2g、7.0mmol)の溶液に添加し、混合物を1時間還流した。混合物を、セライトを通して濾過し、セライトをエタノールで洗浄した。後処理(H
2O/AcOEt)および合わせた層の濃縮により、黄色固体として、表題化合物(1.34g)を得た。
【0289】
中間体14:6−(3,5−ジシクロプロピル−1H−ピラゾール−1−イル)ピリジン−3−アミン:鉄粉(0.79g、14.17mmol)および塩化アンモニウム(15mg、0.28mmol)を、EtOH/H
2O(2:1、15mL)中の中間体7(0.77g、2.86mmol)の溶液に添加し、混合物を1時間還流した。混合物を、セライトを通して濾過し、セライトをエタノールで洗浄した。合わせた層の濃縮後の後処理(H
2O/AcOEt)により、黄色固体として、中間体14(0.570g)を得た。
1H−NMR(δ ppm,DMSO−d
6,400 MHz):7.75(d,J 2.5,1H),7.27(d,J 8.6,1H),7.06(dd,J 2.7,8.6,1H),5.67(s,1H),5.43(s,2H),2.39−2.27(m,1H),1.88−1.74(m,1H),0.90−0.72(m,4H),0.69−0.50(m,4H)。
【0290】
中間体15:4−[5−シクロプロピル−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]アニリン:中間体12に関して使用された手順と同様の手順に従った。中間体8(0.69g、2.32mmol)、EtOH−H
2O(2:1、12mL)、Fe(0.64g、15.8mmol)、およびNH
4Cl(0.012mg、0.22mmol)から、黄色固体として、表題化合物(0.49g)を得た。
1H−NMR(δppm,DMSO−d
6,400MHz):7.19(d,J8.64,2H)、6.65(d,J8.64,2H)、6.47(s,1H)、5.46(s,2H)、1.75−1.69(m,1H)、0.94−0.89(m,2H)、0.77−0.73(m,2H)。MS(m/z):268.1[M+H]
+。
【0291】
中間体16:4−[3−シクロプロピル−5−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]−3−フルオロアニリン:鉄粉(4.75g、85.1mmol)および塩化アンモニウム(90mg、1.7mmol)を、EtOH/H
2O(2:1、45mL)中の中間体9(5g、17.00mmol)の溶液に添加し、混合物を1時間還流した。混合物を、セライトを通して濾過し、セライトをエタノールで洗浄した。合わせた層の濃縮後の後処理(H
2O/AcOEt)により、黄色固体として、表題化合物(4.3g)を得た。
1H−NMR(δ ppm,DMSO−d
6,400 MHz):7.16(t,J 8.5,1H),6.50−6.45(m,3H),5.86(s,2H),1.60−1.51(m,1H),0.91−0.82(m,2H),0.76−0.69(m,2H)。
【0292】
中間体17:6−[5−シクロプロピル−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]ピリジン−3−アミン:鉄粉(0.279g、5.00mmol)および塩化アンモニウム(5mg、0.09mmol)を、EtOH/H
2O(2:1、9mL)中の中間体10(0.77g、2.86mmol)の溶液に添加し、混合物を1時間還流した。混合物を、セライトを通して濾過し、セライトをエタノールで洗浄した。合わせた層の濃縮後の後処理(H
2O/AcOEt)により、黄色固体として、中間体17(0.239g)を得た。
1H−NMR(δ ppm,DMSO−d
6,400 MHz):7.84(d,J 2.6,1H),7.33(d,J 8.6,1H),7.12(dd,J 2.6,8.6,1H),6.49(s,1H),5.69(s,2H),2.45−2.36(m,1H),0.90−0.81(m,2H),0.74−0.65(m,2H)。MS(m/z):269.2[M+H]
+。
【0293】
中間体18:6−[4−クロロ−5−シクロプロピル−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]ピリジン−3−アミン:鉄粉(1.56g、28.0mmol)および塩化アンモニウム(600mg、11.2mmol)を、EtOH/H
2O(2:1、15mL)中の中間体11(1.7g、5.60mmol)の溶液に添加し、混合物を1時間還流した。混合物を、セライトを通して濾過し、セライトをエタノールで洗浄した。後処理(H
2O/AcOEt)および合わせた層の濃縮により、黄色固体として、中間体18(1.1g)を得た。
1H−NMR(δ ppm,DMSO−d
6,400 MHz):8.04(s,1H),7.39(d,J 8.2,1H),7.20(d,J 8,1H),4.26(s,2H),2.10−1.99(m,1H),1.96−1.85(m,2H),1.84−1.70(m,2H)。
【0294】
中間体19:2−クロロ−N−[4−(3,5−ジシクロプロピル−1H−ピラゾール−1−イル)フェニル]アセトアミド:クロロアセチルクロリド(0.2mL、2.39mmol)を、ジクロロメタン(DCM)中の中間体12(600mg、2.24mmol)の溶液に0℃で添加した。この混合物を15分間撹拌した。後処理(H
2O/DCM)により、中間体19を得、これをさらに精製せずに次のステップにおいて使用した。
【0295】
中間体20:2−クロロ−N−{4−[5−シクロプロピル−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]フェニル}アセトアミド:クロロアセチルクロリド(0.05mL、0.62mmol)を、ジクロロメタン(DCM)中の中間体15(150mg、0.561mmol)の溶液に0℃で添加した。この混合物を15分間撹拌した。後処理(H
2O/DCM)により、表題化合物を得、これをさらに精製せずに次のステップにおいて使用した。
【0296】
中間体21:2−クロロ−N−{6−[5−シクロプロピル−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]ピリジン−3−イル}アセトアミド:クロロアセチルクロリド(0.16mL、2.00mmol)を、ジクロロメタン(DCM)中の中間体17(500mg、1.86mmol)の溶液に0℃で添加した。この混合物を15分間撹拌した。後処理(H
2O/DCM)により、中間体21を得、これをさらに精製せずに次のステップにおいて使用した。
【0297】
中間体22:5−シクロプロピル−1−(2−フルオロ−4−ヨードフェニル)−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール:水5mL中の中間体16(1.9g、7.20mmol)に、濃HCl(5mL)を添加し、0℃まで冷却した。これに、亜硝酸ナトリウム溶液(1g、15mmol)を徐々に添加し、0℃で15分間撹拌した。この混合物に、ヨウ化カリウム溶液(2.5g、15mmol)を同じ温度で添加し、反応混合物を室温で添加した。後処理(H
2O/AcOEt)および精製により、黄色液体として、所望の生成物を得た。
1H−NMR(δ ppm,DMSO−d
6,400 MHz):8.01(dd,J 1.7,9.5,1H),7.79(dd,J 1.7,8.4,1H),7.45(t,J 8.1,1H),6.63(s,1H),1.64−1.56(m,1H),0.92 −0.84(m,2H),0.79−0.71(m,2H)。
【0298】
中間体23:4−[5−シクロプロピル−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]−3−フルオロ安息香酸:マグネシウム(143mg、6mmol)およびひとつまみのヨウ素を、不活性雰囲気下でエーテルに懸濁させた。これに、少量のヨウ化メチルを添加し、反応混合物を還流してグリニャール形成を開始させた。この段階で、中間体22(790mg、2mmol)を添加し、還流条件下で反応を続行した。出発材料が完全に消費された後、反応混合物を室温まで冷却し、これにドライアイス片を添加し、続いて2N HClを添加した。形成した固体を濾過し、高真空下で乾燥させて、オフホワイトの固体として、表題化合物(160mg)を得た。
1H−NMR(δ ppm,DMSO−d
6,400 MHz):13.6(bs,1H),7.97−7.92(m,2H),7.84−7.78(m,1H),6.68(s,1H),1.69−1.61(m,1H),0.94−0.87(m,2H),0.80−0.74(m,2H)。
【0299】
中間体24:1H−ベンゾ[d]イミダゾール−6−カルボン酸:3,4−ジアミノ安息香酸(5g、32mmol)およびギ酸(20mL)を混合し、一晩還流した。ギ酸をロータベーパー上で除去し、水を残渣に添加して、固体を得た。固体を濾過し、乾燥させて、表題化合物を定量的に得た。
【0300】
中間体25:1H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−6−カルボン酸:3,4−ジアミノ安息香酸(5g、32.8mmol)をAcOH(30mL)中に溶解し、この混合物を5℃まで冷却した。この混合物に、NaNO2溶液(水8mL中の2.7g)を添加し、続いて、硫酸2mLに添加した。反応混合物を90分間撹拌した。この反応混合物を氷で反応停止した後、、得られた固体を濾過し、水で洗浄して、茶色固体として、表題化合物(4.5g)を得た。
【0301】
中間体26:キノリン−6−カルボン酸:硫酸(67.5mL)を、4−アミノフェニル酢酸(45g、297mmol)、グリセロール(61.7g、67mmol)、およびヨウ素(1.14g、4mmol)に、室温で滴加した。混合物を140℃まで5時間加熱した。この反応混合物を氷で反応停止した後、形成された固体を濾過し、固体をMeOH中に溶解し、炭をそれに添加し、1時間還流した。この混合物を、セライトを通して濾過し、メタノールを除去して、茶色固体として、表題化合物(7g)を得た。
【0302】
中間体27:キノキサリン−6−カルボン酸:3,4ジアミノ安息香酸(500mg、3.29mmol)を、炭酸カリウム水溶液(7mL、1.82g K
2CO
3)に徐々に添加した。次いで、グリオキサルビス(亜硫酸ナトリウム)付加水和物(963mg、3.62mmol)を徐々に添加した。この混合物を80℃まで5時間加熱して、透明な溶液を得た。反応が完了した後、反応混合物を希釈HClに徐々に添加し、形成された固体を濾過し、乾燥させて、茶色固体として、表題化合物(300mg)を得た。
【0303】
中間体28:エチル 2−(イミダゾ[1,2−a]ピリジン−2−イル)酢酸塩:2−アミノピリジン(500mg、5.31mmol)およびエチル クロロアセトアセテート(870mg、5.31mmol)を、DMSO中に溶解し、不活性雰囲気下で、100℃まで1時間加熱した。1時間後、水を反応混合物に添加し、続いて、後処理(H
2O/AcOEt)ならびにAcOEtおよび石油エーテル(30:70)を用いた60〜120メッシュシリカゲル上の精製により、茶色液体として、表題化合物(110mg)を得た。
1H−NMR(δ ppm,CDCl
3,400 MHz):8.06(d,J 6.7,1H),7.59(s,1H),7.55(d,J 9.4,1H),7.14(t,J 7.9,1H),6.75(t,J 6.7,1H),4.12(q,J 7.1,2H),3.87(s,2H),1.3(t,J 7.1,3H)。
【0304】
中間体29:2−(イミダゾ[1,2−a]ピリジン−2−イル)酢酸:中間体28(7.5g、39.22mmol)を水(30mL)中に溶解し、NaOH(2.35g、58.8mmol)を添加した。この混合物を90℃まで1時間加熱した。その後、水を蒸留によって除去し、反応混合物を、希釈HClでpH7まで酸性化して、固体を得た。固体を濾過し、真空上で乾燥させて、茶色固体として、表題化合物を定量的に得た。
1H−NMR(δ ppm,CDCl
3,400 MHz):8.50(d,J 6.7,1H),7.82(s,1H),7.46(d,J 9,1H),7.20(t,J 7.5,1H),6.85(t,J 6.7,1H),3.69(s,2H)。
【0305】
中間体30:2−(キノリン−6−イル)酢酸:硫酸(67.5mL)を、4−アミノフェニル酢酸(45g、297mmol)、グリセロール(61.7g、67mmol)、およびヨウ素(1.14g、4mmol)に、室温で滴加した。この混合物を140℃まで24時間加熱した。その後、反応混合物を室温まで冷却し、10% 水酸化ナトリウム溶液を用いて、pHを5に調整した。これに、メタノール(350mL)および硫酸(3mL)を添加し、100℃まで24時間加熱した。反応混合物を、セライトを通して濾過し、濾液をロータベーパー上で蒸発させて、残渣を得た。4% NaOH溶液を用いて、残渣のpHを5に調整し、EtOAcで抽出した。EtOAc層を無水Na
2SO
4上で乾燥させ、EtOAcをロータベーパー上で除去して、粗生成物を得た。粗生成物を、溶離液として、EtOAcおよび石油エーテルを用いたカラムによって精製して、メチル−2−(キノリン−6−イル)酢酸塩(11.2g)を得た。メチル−2−(キノリン−6−イル)酢酸塩(11.2g)を、メタノール(8mL)および水(8mL)中に溶解し、水酸化ナトリウム(3.3g、82mmol)を添加した。この混合物を30分間撹拌し、メタノールをロータベーパー上で除去して、残渣を得た。残渣を、0.8N HClを用いて、pHを5まで酸性化して、固体を得た。固体を濾過し、乾燥させて、表題化合物(8.2g)を得た。
【0306】
中間体31:2−(3−ニトロピリジン−2−イルアミノ)酢酸:2−クロロ−3−ニトロピリジン(5g、31.5mmol)をEtOH(125mL)中に溶解し、炭酸カリウム(4.35g、31.5mmol)を添加し、この混合物に、水25mL中のグリシン(4.73g、6.3mmol)を添加し、一晩還流した。この反応混合物を0℃まで冷却して、固体を得た。次いで、EtOHをロータベーパー上で除去し、2N HClで酸性化し、固体を濾過し、真空上で乾燥させて、黄色固体として、表題化合物を定量的に得た。
【0307】
中間体32:2−(3−アミノピリジン−2−イルアミノ)酢酸:鉄粉(14.15g、0.25mol)および塩化アンモニウム(5.41g、101.47mmol)を、EtOH/H
2O(2:1、225mL)中の中間体31(10g、50.74mmol)の溶液に添加し、混合物を1時間還流した。混合物を、セライトを通して濾過し、セライトをエタノールで洗浄した。後処理(H
2O/AcOEt)および合わせた層の濃縮により、黄色固体として、表題化合物(10g)を得た。
【0308】
中間体33:2−(3H−[1,2,3]トリアゾロ[4,5−b]ピリジン−3−イル)酢酸:中間体32(10.92g、65.35mmol)を、水30mL中に溶解し、AcOH13mLを添加した。この混合物に、亜硝酸ナトリウム(4.96g、71.88mmol)溶液を室温で添加し、混合物を0℃まで冷却した。この反応混合物を30分間撹拌し、反応混合物を濾過した。得られた固体を真空下で乾燥させて、赤色固体として、表題化合物(7.5g)を得た。
【0309】
中間体34:(R)−2−(3−ニトロピリジン−2−イルアミノ)プロパン酸:2−クロロ−3−ニトロピリジン(500mg、3.15mmol)を、EtOH(12.5mL)中に溶解し、炭酸カリウム(435mg、3.15mmol)を添加し、この混合物に、水2.5mL中の(S)−2−アミノプロパン酸(561mg、6.3mmol)を添加し、一晩還流した。反応混合物を0℃まで冷却し、固体を得た。次いで、EtOHをロータベーパー上で除去し、2N HClで酸性化し、固体を濾過し、真空上で乾燥させて、黄色固体として、表題化合物(460mg)を得た。
【0310】
中間体35:(R)−2−(3−アミノピリジン−2−イルアミノ)プロパン酸:鉄粉(657mg、11.78mmol)および塩化アンモニウム(251mg、53.4mmol)を、EtOH/H
2O(2:1、12mL)中の中間体34(500mg、2.35mmol)の溶液に添加し、混合物を1時間還流した。混合物を、セライトを通して濾過し、セライトをエタノールで洗浄した。後処理(H
2O/AcOEt)および合わせた層の濃縮により、黒色固体として、表題化合物(600mg)を得た。
【0311】
中間体36:(R)−2−(3H−[1,2,3]トリアゾロ[4,5−b]ピリジン−3−イル)プロパン酸:中間体35(600mg、3.3mmol)を、水1.5mL中に溶解し、AcOH0.5mLを添加した。この混合物に、亜硝酸ナトリウム((190mg、2.76mmol)溶液を室温で添加し、混合物を0℃まで冷却した。この反応混合物を30分間撹拌し、次いで、濾過した。得られた固体を真空下で乾燥させて、赤色固体として、表題化合物(160mg)を得た。
1H−NMR(δ ppm,DMSO−d
6,400 MHz):11.04(s,1H),8.18−8.17(m,1H),7.51−7.40(m,2H),5.30(q,J 7.12,1H),1.18(d,J 7.12,3H)。
【0312】
中間体37:メチル 2−(キノリン−6−イル)プロパン酸塩:THF(5mL)をRBF中に入れ、ジイソプロピルアミン(0.19mL、1.29mmol)を添加し、窒素雰囲気下で、−78℃まで冷却した。次いで、n−BuLi(0.8mL、1.29mmol)を添加し、同じ温度で30分間撹拌した。この段階で、メチル 2−(キノリン−6−イル)酢酸塩(0.2g、0.99mmol)を添加し、−78℃で30分間撹拌した。次いで、ヨウ化メチル(0.17g、1.2mmol)を添加し、−78℃で30分間撹拌し、次いで、室温に徐々に戻した。室温で、反応混合物を一晩撹拌した。反応混合物を水で反応停止し、EtOAcで抽出した。有機層を無水Na
2SO
4上で乾燥させ、ロータリーエバポレーターを用いて、EtOAcを除去して、粗生成物を得て、これを60〜120のメッシュシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィーならびに溶離液としてEAおよび石油エーテル(25:75)によって精製した。
1H−NMR(δ ppm,CDCl
3,400 MHz):8.89−8.86(m,1H),8.13(d,J 7.8,1H),8.07(d,J 8.7,1H),7.76−7.64(m,2H),7.42−7.37(m,1H),3.92(q,J 7.2,1H),3.68(s,3H),1.60(d,J 7.2,3H)。
【0313】
中間体38:2−(キノリン−6−イル)プロパン酸:中間体37(440mg、2.04mmol)をMeOH(5mL)中に溶解し、水(2mL)および水酸化リチウム(427mg、10.2mmol)を添加した。この混合物を2時間還流し、反応混合物を冷却した。メタノールをロータベーパー上で除去し、残渣に、6N HClを添加して、pHを7に調整した。得られた固体を濾過し、乾燥させて、固体として、表題化合物を得た。
【0314】
中間体39:キノリン−6−イルメタンアミン:6−シアノキノリン(14gms)[Srivastava,Rajiv et al,Synthetic Communications 37(3),431−438,2007のように合成]、アンモニア性メタノール(250ml)、ラネーニッケル(20gms)を混合し、水素雰囲気下(50〜60Psi)で、40〜45℃で4時間維持した。反応が完了した後、反応混合物を、セライトを通して濾過し、セライトベッドをMeOHで洗浄した。濾液を濃縮して、シロップ状の黒色液体として、表題化合物(13.5g)を得た。
アミド形成の一般手順
【0315】
手順1:DMF中の適切なアニリン(1当量)、必要な酸(1.1当量)、EDC.HCl(1.2当量)、HOBt(0.5当量)、およびTEA(3当量)の溶液を、室温で一晩撹拌した。後処理(H
2O/AcOEt)および精製により、所望の生成物を得た。
【0316】
手順2:酸(1当量)をDCM中に溶解し、0℃まで冷却し、塩化オキサリル(3当量)および3滴のDMFを添加した。反応混合物を室温で30分間撹拌し、DCMをロータベーパー上で除去して、酸塩化物を得た。アミンをN
2雰囲気下でDCM中に溶解し、ピリジン(1.3当量)を添加した。この混合物に、DCM中の酸塩化物を添加し、アミンが完全に消費されるまで室温で撹拌した。後処理(H
2O/AcOEt)および精製により、所望の生成物を得た。
【0317】
これらの手順を使用して、以下の化合物を調製した。
実施例1
N−[4−(3,5−ジシクロプロピル−1H−ピラゾール−1−イル)フェニル]−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−6−カルボキサミド:
【0318】
一般手順1に従い、中間体24(97mg、0.60mmol)および中間体12(120mg、0.50mmol)から、オフホワイト色固体として表題化合物(160mg)を調製した。融点:170〜176℃。
1H−NMR(δ ppm,DMSO−d
6,400 MHz):12.74(bs,1H),10.37(s,1H),8.37(s,1H),8.30(s,1H),7.93(d,J 8.84,2H),7.87−7.84(m,1H),7.69(d,J 8.48,1H),7.55(d,J 8.84,2H),5.79(s,1H),1.86−1.76(m,2H),0.94−0.90(m,2H),0.89−0.82(m,2H),0.69−0.62(m,4H)。MS(m/z):382.17.[M−H]
−。
実施例2
N−[4−(3,5−ジシクロプロピル−1H−ピラゾール−1−イル)フェニル]−1H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−6−カルボキサミド:
【0319】
一般手順1に従い、中間体25(97mg、0.59mmol)および中間体12(120mg、0.50mmol)から、白色固体として表題化合物(30mg)を調製した。融点:240〜246℃。
1H−NMR(δ ppm,DMSO−d
6,400 MHz):16.02(bs,1H),10.55(s,1H),8.6(bs,1H),8.06−7.98(m,2H),7.92(d,J 8.8,2H),7.57(d,J 8.8,2H),5.80(s,1H),1.84−1.78(m,2H),0.93−0.82(m,4H),0.69−0.62(m,4H)。MS(m/z):383.21[M−H]
−。
実施例3
N−[4−(3,5−ジシクロプロピル−1H−ピラゾール−1−イル)フェニル]キノリン−6−カルボキサミド塩酸塩:
【0320】
一般手順1に従い、中間体26(95mg、0.55mmol)および中間体12(120mg、0.5mmol)から、淡黄色固体としてN−[4−(3,5−ジシクロプロピル−1H−ピラゾール−1−イル)フェニル]キノリン−6−カルボキサミド(60mg)を調製し、THF中に溶解した。この溶液に、ジエチルエーテル中の飽和HClを0℃で添加し、15分間撹拌した。析出した固体を濾過し、乾燥させて、白色固体として、表題化合物(46mg)を得た。融点 114〜119℃。
1H−NMR(δ ppm,DMSO−d
6,400 MHz):11.00(s,1H),9.34(d,J 3.8,1H),9.18(d,J 8.2,1H),9.00(s,1H),8.59(d,J 8.8,1H),8.48(d,J 8.8,1H),8.15−8.05(m,1H),7.61(d,J 8.9,2H),7.61(d,J 8.9,2H),5.84(s,1H),1.89−1.77(m,2H),0.95−0.84(m,4H),0.70−0.64(m,4H)。MS(m/z):393.05[M−H−HCl]
−。
実施例4
N−[4−(3,5−ジシクロプロピル−1H−ピラゾール−1−イル)フェニル]キノキサリン−6−カルボキサミド
【0321】
一般手順1に従い、中間体27(104mg、0.574mmol)および中間体12(120mg、0.50mmol)から、白色固体として、表題化合物(48mg)を調製した。融点:162〜167℃。
1H−NMR(δ ppm,DMSO−d
6,400 MHz):10.77(s,1H),9.08−9.06(br.d,J 4.7,2H),8.77(d,J 1.7,1H),8.36(d,J 1.9,1H),8.24(d,J 8.76,1H),7.96(d,J 8.84,2H),7.59(d,J 8.84,2H),5.81(s,1H),1.88−1.77(m,2H),0.95−0.90(m,2H),0.87−0.82(m,2H),0.69−0.62(m,4H)。MS(m/z):394.[M−H]
−。
実施例5
2−(1H−ベンゾ[d]イミダゾール−1−イル)−N−[4−(3,5−ジシクロプロピル−1H−ピラゾール−1−イル)フェニル]アセトアミド
【0322】
中間体19(130mg、0.41mmol)およびベンズイミダゾール(53mg、0.45mmol)を、DMF(5mL)中に0℃で溶解し、水素化ナトリウム(28.35mg、1.23mmol)を反応混合物に添加した。次いで、反応物を周囲温度で一晩撹拌した。後処理(H
2O:AcOEt)、続いて、カラム上での精製により、白色固体として、表題化合物(40mg)を得た。融点 230〜235℃。
1H−NMR(δ ppm,DMSO−d
6,400 MHz):10.61(s,1H),8.23(s,1H),7.70−7.65(m,3H),7.54−7.51(m,3H),7.26−7.18(m,2H),5.78(s,1H),5.19(s,2H),1.86−1.71(m,2H),0.92−0.80(m,4H),0.68−0.59(m,4H)。MS(m/z):396.07[M−H]
−。
実施例6
2−(1H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−1−イル)−N−[4−(3,5−ジシクロプロピル−1H−ピラゾール−1−イル)フェニル]アセトアミド:
【0323】
一般手順1に従い、2−(1H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−1−イル)酢酸(177mg、0.60mmol)および中間体12(120mg、0.50mmol)から、オフホワイト色固体として、表題化合物(100mg)を調製した。融点:216〜220℃。
1H−NMR(δ ppm,DMSO−d
6,400 MHz):10.75(s,1H),8.07(d,J 8.4,1H),7.85(d,J 8.4,1H),7.69(d,J 8.84,2H),7.58−7.52(m,3H),7.44−7.40(m,1H),5.78(s,1H),5.71(s,2H),1.85−1.80(m,2H),0.90−0.80(m,4H),0.66−0.60(m,4H)。MS(m/z):396.93[M−H]
−。
実施例7
N−[4−(3,5−ジシクロプロピル−1H−ピラゾール−1−イル)フェニル]−2−(1H−インドール−3−イル)アセトアミド:
【0324】
2−(1H−インドール−3−イル)酢酸(104mg、0.6mmol)および中間体12(120mg、0.500mmol)から、白色固体として、表題化合物(160mg)を調製した。融点158〜164℃。
1H−NMR(δ ppm,DMSO−d
6,400 MHz):10.90(s,1H),10.23(s,1H),7.70(d,J 8.8,2H),7.60(d,J 7.8,1H),7.47(d,J 8.8,2H),7.34(d,J 8.0,1H),7.26−7.25(d,J 1.9,1H),7.06(t,J 7.4,1H),6.97(t,J 7.3,1H),5.76(s,1H),3.74(s,2H),1.84−1.80(m,1H),1.79−1.71(m,1H),0.89−0.79(m,4H),0.65−0.59(m,4H)。MS(m/z):395.25[M−H]
−。
実施例8
N−[4−(3,5−ジシクロプロピル−1H−ピラゾール−1−イル)フェニル]−2−(イミダゾ[1,2−a]ピリジン−2−イル)アセトアミド塩酸塩:
【0325】
一般手順1に従い、中間体29(79mg、0.45mmol)および中間体12(90mg、0.38mmol)から、茶色固体として、N−[4−(3,5−ジシクロプロピル−1H−ピラゾール−1−イル)フェニル]−2−(イミダゾ[1,2−a]ピリジン−2−イル)アセトアミド(56mg)を調製し、THF中に溶解した。この溶液に、ジエチルエーテル中の飽和HClを0℃で添加し、15分間撹拌した。析出した固体を濾過し、乾燥させて、淡茶色固体として、表題化合物(54mg)を得た。融点92〜97℃。
1H−NMR(δppm,DMSO−d
6,400MHz):10.82(s,1H),8.92(d,J6.7,1H),8.32(s,1H),7.97−7.92(m,2H),7.75(d,J8.7,2H),7.53(d,J8.7,2H),7.52−7.47(m,1H),5.79(s,1H),3.80(s,2H),1.87−1.71(m,2H),0.93−0.79(m,4H),0.69−0.58(m,4H)。MS(m/z):398.24[M+H−HCl]
+。
実施例9
N−[4−(3,5−ジシクロプロピル−1H−ピラゾール−1−イル)フェニル]−2−(キノリン−6−イル)アセトアミド:
【0326】
一般手順1に従い、中間体30(93mg、0.49mmol)および中間体12(100mg、0.42mmol)から、茶色固体として、表題化合物(45mg)を得た。融点:171〜177℃。
1H−NMR(δ ppm,DMSO−d
6,400 MHz):10.41(s,1H),8.86−8.85(m,1H),8.34(d,J 8.26,1H),7.98(d,J 8.64,1H),7.89(s,1H),7.76−7.70(m,3H),7.52−7.48(m,3H),5.77(s,1H),3.88(s,2H),1.84−1.78(m,1H),1.77−1.70(m,1H),0.90−0.80(m,4H),0.65−0.59(m,4H)。MS(m/z):409.38[M+H]
+。
実施例10
N−[4−(3,5−ジシクロプロピル−1H−ピラゾール−1−イル)フェニル]−2−(キノリン−6−イル)アセトアミド塩酸塩:
【0327】
実施例9(200mg、0.48mmol)を、ジエチルエーテル中の飽和HCl中に0℃で溶解し、15分間撹拌した。析出した固体を濾過し、乾燥させて、茶色固体として、表題化合物(140mg、収率65%)を得た。融点:152〜158℃。
1H−NMR(δ ppm,DMSO−d
6,400 MHz):10.78(s,1H),9.26(m,1H),9.16(d,J 8.3,1H),8.36(d,J 8.8,1H),8.29(s,1H),8.17−8.15(m,1H),8.08−8.04(m,1H),7.75(d,J 8.9,2H),7.50(d,J 8.9,2H),5.79(s,1H),4.04(s,2H),1.85−1.70(m,2H),0.89−0.81(m,4H),0.66−0.60(m,4H)。MS(m/z):443.01[M−H]
−。
実施例11
2−(1H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−1−イル)−N−(4−(3,5−ジシクロプロピル−1H−ピラゾール−1−イル)−3−フルオロフェニル)アセトアミド:
【0328】
一般手順1に従い、2−(1H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−1−イル)酢酸(133mg、0.75mmol)および中間体13(120mg、0.47mmol)から、淡黄色固体として、表題化合物(29mg)を調製した。融点:201〜203℃。
1H−NMR(δ ppm,DMSO−d
6,400 MHz):11.0(s,1H),8.07(d,J 8.4,1H),7.85(d,J 8.4,1H),7.74(dd,J 2,12.5,1H),7.56(t,J 7.4,1H),7.47(t,J 8.4,1H),7.43−7.40(m,2H),5.74(s,2H),1.86−1.80(m,1H),1.55−1.44(m,2H),0.90−0.74(m,4H),0.62−0.54(m,4H)。MS(m/z):417.28[M+H]
+。
実施例12
N−[4−(3,5−ジシクロプロピル−1H−ピラゾール−1−イル)−3−フルオロフェニル]−2−(キノリン−6−イル)アセトアミド塩酸塩:
【0329】
一般手順1に従い、中間体13(200mg、0.78mmol)および中間体30(232mg、1.2mmol)から、黄色固体として、N−[4−(3,5−ジシクロプロピル−1H−ピラゾール−1−イル)−3−フルオロフェニル]−2−(キノリン−6−イル)アセトアミド(95mg)を調製し、THF中に溶解した。この溶液に、ジエチルエーテル中の飽和HClを0℃で添加し、15分間撹拌した。析出した固体を濾過し、乾燥させて、黄色固体として、表題化合物(50mg)を得た。融点:106.8〜108.2℃。
1H−NMR(δ ppm,DMSO−d
6,400 MHz):10.99(s,1H),9.24(d,J 4.5,1H),9.09(d,J 8.0,1H),8.32−8.25(m,2H),8.12(d,J 8.6,1H),8.05−8.01(m,1H),7.83(d,J 11.3,1H),7.50−7.41(m,2H),5.73(s,1H),4.07(s,2H),1.84−1.76(m,1H),1.52−1.42(m,1H),0.82−0.74(m,4H),0.62−0.52(m,4H)。MS(m/z):427.10[M+H]
+。
実施例13
N−[6−(3,5−ジシクロプロピル−1H−ピラゾール−1−イル)ピリジン−3−イル]キノリン−6−カルボキサミド二塩酸塩:
【0330】
一般手順1に従い、中間体26(103mg、0.59mmol)および中間体14(120mg、0.49mmol)から、オレンジ色固体として、N−[6−(3,5−ジシクロプロピル−1H−ピラゾール−1−イル)ピリジン−3−イル]キノリン−6−カルボキサミド(71mg)を調製し、THF中に溶解した。この溶液に、ジエチルエーテル中の飽和HClを0℃で添加し、15分間撹拌した。析出した固体を濾過し、乾燥させて、黄色固体として、表題化合物(62mg)を得た。融点232〜238℃。
1H−NMR(δ ppm,DMSO−d
6,400 MHz):11.09(s,1H),9.25(d,J 4.0,1H),9.02(d,J 7.3,1H),8.93(d,J 8.4,2H),8.53(d,J 9.0,1H),8.43−8.36(m,2H),8.02−7.95(m,1H),7.78(d,J 8.8,1H),5.83(s,1H),2.74−2.65(m,1H),1.93−1.84(m,1H),1.00−0.80(m,4H),0.74−0.58(m,4H)。MS(m/z):393.94[M−H−2HCl]
−。
実施例14
N−[6−(3,5−ジシクロプロピル−1H−ピラゾール−1−イル)ピリジン−3−イル]キノキサリン−6−カルボキサミド:
【0331】
一般手順1に従い、中間体27(104mg、0.59mmol)および中間体14(120mg、0.49mmol)から、茶色固体として、表題化合物(117mg)を調製した。融点193〜198℃。
1H−NMR(δ ppm,DMSO−d
6,400 MHz):10.98(s,1H),9.08(dd,J 1.6,5.8,2H),8.91(d,J 2.4,1H),8.81(d,J 1.6,1H),8.40−8.36(m,2H),8.25(d,J 8.7,1H),7.77(d,J 8.7,1H),5.83(s,1H),2.75−2.61(m,1H),1.94−1.81(m,1H),0.98−0.82(m,4H),0.70−0.55(m,4H)。MS(m/z):397.22[M+H−HCl]
+。
実施例15
2−(1H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−1−イル)−N−[6−(3,5−ジシクロプロピル−1H−ピラゾール−1−イル)ピリジン−3−イル]アセトアミド:
【0332】
一般手順1に従い、中間体14(200mg、0.84mmol)および2−(1H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−1−イル)酢酸(237mg、1.34mmol)から、オレンジ色固体として、表題化合物(250mg)を調製した。融点:130.1〜132.8℃。
1H−NMR(δppm,DMSO−d
6,400MHz):10.92(s,1H),8.64(d,J2.6,1H),8.13(dd,J2.6,8.9,1H),8.07(d,J8.4,1H),7.86(d,J8.4,1H),7.70(d,J8.9,1H),7.56(t,J7.6,1H),7.44(t,J7.6,1H),5.81(s,1H),5.74(s,2H),2.70−2.60(m,1H),1.90−1.80(m,1H),0.93−0.83(m,4H),0.70−0.58(m,4H)。MS(m/z):400.28[M+H−HCl]
+。
実施例16
N−[6−(3,5−ジシクロプロピル−1H−ピラゾール−1−イル)ピリジン−3−イル]−2−(キノリン−6−イル)アセトアミド二塩酸塩:
【0333】
一般手順1に従い、中間体30(112mg、0.59mmol)および中間体14(120mg、0.49mmol)から、淡黄色固体として、N−[6−(3,5−ジシクロプロピル−1H−ピラゾール−1−イル)ピリジン−3−イル]−2−(キノリン−6−イル)アセトアミド(138mg)を調製し、THF中に溶解した。この溶液に、ジエチルエーテル中の飽和HClを0℃で添加し、15分間撹拌した。析出した固体を濾過し、乾燥させて、オフホワイト色固体として、表題化合物(34mg)を得た。融点62〜67℃。
1H−NMR(δ ppm,DMSO−d
6,400 MHz):10.86(s,1H),9.21(d,J 4.4,1H),9.04(d,J 8.1,1H),8.69(s,1H),8.30−8.22(m,2H),8.18(d,J 8.1,1H),8.09(d,J 8.4,1H),8.00−7.97(m,1H),7.68(d,J 8.8,1H),5.80(s,1H),4.05(s,2H),2.69−2.55(m,1H),1.89−1.75(m,1H),0.97−0.78(m,4H),0.70−0.50(m,4H)。MS(m/z):410.26[M+H−2HCl]
+。
実施例17
N−{4−[5−シクロプロピル−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]フェニル}キノリン−6−カルボキサミド塩酸塩:
【0334】
一般手順1に従い、中間体26(85mg、0.49mmol)および中間体15(120mg、0.45mmol)から、茶色固体(35mg)として、N−{4−[5−シクロプロピル−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]フェニル}キノリン−6−カルボキサミド(35mg)を調製し、THFに溶解した。この溶液に、ジエチルエーテル中の飽和HClを0℃で添加し、15分間撹拌した。析出した固体を濾過し、乾燥させて、黄色固体として、表題化合物(30mg)を得た。融点188〜192℃。
1H−NMR(δ ppm,DMSO−d
6,400 MHz):10.86(s,1H),9.15(d,J 4,1H),8.80−8.78(m,2H),8.39(d,J 8.8,1H),8.26(d,J 8.8,1H),8.04(d,J 8.8,2H),7.83−7.80(m,1H),7.67(d,J 8.8,2H),6.62(s,1H),1.89−1.84(m,1H),1.00−0.96(m,2H),0.84−0.80(m,2H)。MS(m/z):457.16[M−H]
−。
実施例18
N−{4−[5−シクロプロピル−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]フェニル}キノキサリン−6−カルボキサミド:
【0335】
一般手順1に従い、中間体27(78mg、0.44mmol)および中間体15(110mg、0.411mmol)から、淡黄色固体として、表題化合物(60mg)を調製した。融点205〜209℃。
1H−NMR(δ ppm,DMSO−d
6,400 MHz):10.87(s,1H),9.08−9.05(m,2H),8.79(d,J 1.6,1H),8.36(dd,J 1.8,8.7,1H),8.25(d,J 8.72,1H),8.05(d,J 8.84,2H),7.67(d,J 8.8,2H),6.62(s,1H),1.88−1.84(m,1H),0.99−0.96(m,2H),0.84−0.81(m,2H)。MS(m/z):422.03[M−H]
−。
実施例19
2−(1H−ベンゾ[d]イミダゾール−1−イル)−N−{4−[5−シクロプロピル−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]フェニル}アセトアミド:
【0336】
中間体20(180mg、0.523mmol)およびベンズイミダゾールを、DMF(3mL)中に0℃で溶解し、水素化ナトリウム(37.7mg、1.57mmol)を反応混合物に添加した。次いで、反応物を周囲温度で一晩撹拌した。後処理(H
2O:AcOEt)、続いて、カラム上での精製により、白色固体として、表題化合物を得た。融点178〜184℃。
1H−NMR(δppm,DMSO−d
6,400MHz):10.72(s,1H),8.23(s,1H),7.77(d,J8.8,2H),7.66(d,J7.72,1H),7.59(d,J8.8,2H),7.54(d,J7.72,1H),7.26−7.18(m,2H),6.59(s,1H),5.21(s,2H),1.82−1.78(m,1H),0.96−0.92(m,2H),0.81−0.77(m,2H)。MS(m/z):424.04[M−H]
−。
実施例20
2−(1H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−1−イル)−N−{4−[5−シクロプロピル−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]フェニル}アセトアミド:
【0337】
中間体20(150mg、0.44mmol)およびベンゾトリアゾール(52mg、0.44mmol)を、DMF(3mL)中に0℃で溶解し、水素化ナトリウム(31.5mg、1.30mmol)を反応混合物に添加した。次いで、反応物を周囲温度で一晩撹拌した。後処理(H
2O:AcOEt)、続いて、カラム上での精製により、白色固体として、表題化合物(60mg)を得た。融点200〜204℃。
1H−NMR(δ ppm,DMSO−d
6,400 MHz):10.86(s,1H),8.07(d,J 8.4,2H),7.86(d,J 8.4,2H),7.77(d,J 8.8,1H),7.60(d,J 8.8,1H),7.59−7.54(m,1H),7.44−7.40(m,1H),6.60(s,1H),5.73(s,2H),1.83−1.77(m,1H),0.97−0.92(m,2H),0.79−0.75(m,2H)。MS(m/z):425.02[M−H]
−。
実施例21
2−(2H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−2−イル)−N−{4−[5−シクロプロピル−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]フェニル}アセトアミド:
【0338】
中間体20(500mg、1.45mmol)およびベンゾトリアゾール(173mg、1.45mmol)をDMF(10mL)中に0℃で溶解し、水素化ナトリウム(31.5mg、1.30mmol)を反応混合物に添加した。次いで、反応物を周囲温度で一晩撹拌した。後処理(H
2O:AcOEt)、続いて、カラム上での精製により、白色固体として、表題化合物(60mg)を得た。融点188〜192℃。
1H−NMR(δ ppm,DMSO−d
6,400 MHz):10.85(s,1H),7.95(dd,J 2.8,6.4,2H),7.77(d,J 8.7,2H),7.61(d,J 8.7,2H),7.45(dd,J 2.8,6.4,2H),6.60(s,1H),5.74(s,2H),1.86−1.78(m,1H),0.99−0.91(m,2H),0.83−0.76(m,2H)。MS(m/z):425.14.[M−H]
−。
実施例22
2−(3H−[1,2,3]トリアゾロ[4,5−b]ピリジン−3−イル)−N−{4−[5−シクロプロピル−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]フェニル}アセトアミド:
【0339】
一般手順2に従い、中間体15(500mg、1.9mmol)および中間体33(442mg、2.2mmol)から、白色固体として、表題化合物(20mg)を調製した。融点:206〜209℃。
1H−NMR(δ ppm,DMSO−d
6,400 MHz):10.98(s,1H),7.83(dd,J 1.4,4.8,1H),7.71(d,J 8.9,2H),7.60(d,J 8.9,2H),7.35(dd,J 1.4,8,1H),7.20−7.15(m,1H),6.61(s,1H),4.50(s,2H),1.85−1.76(m,1H),1.00−0.92(m,2H),0.82−0.76(m,2H)。MS(m/z):468.71[M+CH
3CN]
+。
実施例23
(S)−2−(3H−[1,2,3]トリアゾロ[4,5−b]ピリジン−3−イル)−N−{4−[5−シクロプロピル−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]フェニル}プロパンアミド:
【0340】
一般手順2に従い、中間体15(180mg、0.67mmol)および中間体36(170mg、0.81mmol)から、淡黄色固体として、表題化合物(20mg)を調製した。融点:186〜191℃。
1H−NMR(δ ppm,DMSO−d
6,400 MHz):11.02(s,1H),7.86(dd,J 1.3,4.8,1H),7.72(d,J 8.8,2H),7.60(d,J 8.8,2H),7.38(dd,J 1.3,8,1H),7.22−7.14(m,1H),6.60(s,1H),4.94(q,J 7.2,1H),1.89−1.79(m,1H),1.29(d,J 7.2,3H),1.00−0.92(m,2H),0.82−0.74(m,2H)。MS(m/z):482.78[M+CH
3CN]
+。
実施例24
2−(6−アミノ−9H−プリン−9−イル)−N−{4−[5−シクロプロピル−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]フェニル}アセトアミド:
【0341】
アデニン(233mg、1.76mmol)を、DMF(10mL)中に溶解し、炭酸カリウム(298mg、2.2mmol)を添加し、室温で30分間撹拌した。中間体15(233mg、1.8mmol)をこの反応混合物に添加し、室温で2時間撹拌した。反応が完了した後、水を反応混合物に添加し、AcOEtで抽出した。AcOEt層を無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、AcOEtをロータベーパー上で除去して、粗生成物を得た。粗生成物を、溶離液としてDCM:MeOH(98:2)を用いたカラムによって精製して、白色固体として、表題化合物を得た。融点:249.3〜251.7℃。
1H−NMR(δ ppm,DMSO−d
6,400 MHz):10.73(s,1H),8.12(d,J 8.12,2H),7.76(d,J 8.8,2H),7.59(d,J 8.8,2H),7.23(s,2H),6.60(s,1H),5.10(s,2H),1.85−1.76(m,1H),1.00−0.90(m,2H),0.82−0.74(m,2H)。MS(m/z):440.71[M−H]
−。
実施例25
N−(4−(5−シクロプロピル−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル)フェニル)−2−(1,3−ジメチル−2,6−ジオキソ−2,3−ジヒドロ−1H−プリン−7(6H)−イル)アセトアミド:
【0342】
一般手順1に従い、テオフィリン−7−酢酸(117mg、0.49mmol)および中間体15(120mg、0.45mmol)から、淡黄色固体として、表題化合物(77mg)を調製した。融点178〜184℃。
1H−NMR(δ ppm,DMSO−d
6,400 MHz):10.66(s,1H),8.07(s,1H),7.75(d,J 8.9,2H),7.59(d,J 8.9,2H),6.59(s,1H),5.23(s,2H),3.45(s,3H),3.19(s,3H),1.83−1.77(m,1H),0.98−0.91(m,2H),0.85−0.76(m,2H)。MS(m/z):486.20[M−H]
−。
実施例26
N−{4−[5−シクロプロピル−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル)フェニル)−2−(イミダゾ[1,2−a]ピリジン−2−イル)アセトアミド塩酸塩:
【0343】
一般手順1に従い、中間体29(71mg、0.40mmol)および中間体15(90mg、0.34mmol)から、茶色固体として、N−{4−[5(3)−シクロプロピル−3(5)−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル)フェニル)−2−(イミダゾ[1,2−a]ピリジン−2−イル)アセトアミドを調製し、THF中に溶解した。この溶液に、ジエチルエーテル中の飽和HClを0℃で添加し、15分間撹拌した。析出した固体を濾過し、乾燥させて、白色固体として、表題化合物(79mg)を得た。融点294〜299℃。
1H−NMR(δ ppm,DMSO−d
6,400 MHz):10.85(s,1H),8.90(d,J 6.5,1H),8.30(s,1H),7.97−7.88(m,2H),7.82(d,J 8.7,2H),7.61(d,J 8.7,2H),7.47(t,J 5.6,1H),6.61(s,1H),4.16(s,2H),1.84−1.79(m,1H),0.98−0.90(m,2H),0.64−0.49(m,2H)。MS(m/z):426.27[M+H−HCl]
+。
実施例27
N−{4−[5−シクロプロピル−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]フェニル}−2−(キノリン−6−イル)アセトアミド塩酸塩:
【0344】
一般手順1に従い、中間体30(92mg、0.49mmol)および中間体15(120mg、0.45mmol)から、オフホワイト色固体として、N−{4−[3−シクロプロピル−5−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]フェニル}−2−(キノリン−6−イル)アセトアミド(95mg)を調製した。このアミドを、ジエチルエーテル中の飽和HCl中に0℃で溶解し、15分間撹拌した。析出した固体を濾過し、乾燥させて、オフホワイト色固体として、表題化合物(80mg)を得た。融点248〜254℃。
1H−NMR(δ ppm,DMSO−d
6,400 MHz):10.75(s,1H),9.17(d,J 4.4,1H),8.95(d,J 8.2,1H),8.24−8.19(m,2H),8.05(d,J 8.6,1H),7.94−7.91(m,1H),7.82(d,J 8.7,2H),7.57(d,J 8.7,2H),6.59(s,1H),4.03(s,2H),1.79−1.75(m,1H),0.96−0.91(m,2H),0.80−0.77(m,2H)。MS(m/z):435[M−H−HCl]
−。
実施例28
N−{4−[5−シクロプロピル−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]フェニル}−2−(キノリン−6−イル)プロパンアミド塩酸塩:
【0345】
一般手順1に従い、中間体15(150mg、0.56mmol)および中間体38(180mg、0.89mmol)から、茶色固体として、N−{4−[5−シクロプロピル−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]フェニル}−2−(キノリン−6−イル)プロパンアミド(74mg)を調製し、THF中に溶解した。この溶液に、ジエチルエーテル中の飽和HClを0℃で添加し、15分間撹拌した。析出した固体を濾過し、乾燥させて、茶色固体として、表題化合物(45mg)を得た。融点:168〜170℃。
1H−NMR(δ ppm,DMSO−d
6,400 MHz):10.61(s,1H),9.11(d,J 3.7,1H),8.87(d,J 8,1H),8.18(d,J 9,2H),8.07(dd,J 1.6,8.8,1H),7.85(dd,J 4.9,8.3,1H),7.79(d,J 8.9,2H),7.55(d,J 8.9,2H),6.59(s,1H),4.20(q,J 6.8,1H),1.80−1.70(m,1H),1.57(d,J 6.8,3H),1.00−0.90(m,2H),0.80−0.70(m,2H)。MS(m/z):451.11[M+H−HCl]
−。
実施例29
N−{4−[5−シクロプロピル−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]−3−フルオロフェニル}−1H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−6−カルボキサミド:
【0346】
一般手順2に従い、中間体16(150mg、0.53mmol)および中間体25(114mg、0.63mmol)から、白色固体として、表題化合物(30mg)を調製した。融点:235〜237℃。
1H−NMR(δ ppm,DMSO−d
6,400 MHz):10.84(s,1H),8.66(s,1H),8.07(dd,J 2.2,12.7,1H),8.02(s,2H),7.79(dd,J 1.8,8.7,1H),7.66(t,J 8.6,1H),6.62(s,1H),1.68−1.60(m,1H),0.96−0.88(m,2H),0.81−0.75(m,2H)。MS(m/z):428.84[M−H]
−。
実施例30
2−(1H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−1−イル)−N−{4−[5−シクロプロピル−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]−3−フルオロフェニル}アセトアミド:
【0347】
一般手順1に従い、2−(1H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−1−イル)酢酸(112mg、0.80mmol)および中間体16(300mg、1.14mmol)から、白色固体として、表題化合物(145mg)を調製した。融点:197〜202℃。
1H−NMR(δ ppm,DMSO−d
6,400 MHz):11.09(s,1H),8.07(d,J 8.4,1H),7.86(d,J 8.4,1H),7.81(dd,J 2,12.4,1H),7.63(t,J 8.6,1H),7.57(t,J 7.7,1H),7.50−7.48(m,1H),7.42(t,J 7.8,1H),6.60(s,1H),5.75(s,2H),1.64−1.52(m,1H),0.92−0.84(m,2H),0.78−0.69(m,2H)。MS(m/z):442.69[M−H]
−。
実施例31
N−{6−[5−シクロプロピル−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]ピリジン−3−イル}−1H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−5−カルボキサミド:
【0348】
一般手順1に従い、中間体17(200mg、0.75mmol)および中間体25(194mg、1.2mmol)から、白色固体として、表題化合物(43mg)を調製した。融点:235.6〜238.4℃。
1H−NMR(δ ppm,DMSO−d
6,400 MHz):10.86(s,1H),8.99(d,J 2.5,1H),8.68(bs,1H),8.48(dd,J 2.6,8.8,1H),8.08−8.01(m,2H),7.82(d,J 8.8,1H),6.65(s,1H),2.58−2.50(m,1H),1.04−0.98(m,2H),0.82 −0.74(m,2H)。MS(m/z):413.89[M+H]
+。
実施例32
2−(1H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−1−イル)−N−{6−[5−シクロプロピル−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]ピリジン−3−イル}アセトアミド:
【0349】
中間体21(200mg、0.58mmol)およびベンゾトリアゾール(69mg、0.58mmol)を、DMF(10mL)中に0℃で溶解し、水素化ナトリウム(41.0mg、1.74mmol)を反応混合物に添加した。次いで、反応物を周囲温度で一晩撹拌した。後処理(H
2O:AcOEt)、続いて、カラム上での精製により、白色固体として、表題化合物(60mg)を得た。融点189〜192℃。
1H−NMR(δ ppm,DMSO−d
6,400 MHz):11.07(s,1H),8.76(d,J 2.1,1H),8.25(dd,J 2.3,8.8 1H),8.07(d,J 8.3,1H),7.87(d,J 8.3,1H),7.78(d,J 8.8,1H),7.57(t,J 7.6,1H),7.42(t,J 7.6,1H),6.62(s,1H),5.77(s,2H),2.40−2.30(m,1H),1.00−0.90(m,2H),0.80−0.70(m,2H)。MS(m/z):426.13[M−H]
−。
実施例33
2−(2H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−2−イル)−N−{6−[5−シクロプロピル−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]ピリジン−3−イル}アセトアミド
【0350】
中間体21(200mg、0.58mmol)およびベンゾトリアゾール(69mg、0.58mmol)を、DMF(10mL)中に ℃で溶解し、水素化ナトリウム(41.0mg、1.74mmol)を反応混合物に添加した。次いで、反応物を周囲温度で一晩撹拌した。後処理(H
2O:AcOEt)、続いて、カラム上での精製により、白色固体として、表題化合物(60mg)を得た。融点193〜198℃。
1H−NMR(δ ppm,DMSO−d
6,400 MHz):11.06(s,1H),8.75(d,J 2.4,1H),8.25(dd,J 2.5,8.8,1H),7.98−7.92(m,2H),7.78(d,J 8.8,1H),7.50−7.44(m,2H),6.62(s,1H),5.78(s,2H),2.58−2.40(m,1H),1.00−0.90(m,2H),0.80−0.71(m,2H)。MS(m/z):425.99[M−H]
−。
実施例34
N−{6−[5−シクロプロピル−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]ピリジン−3−イル}−2−(キノリン−6−イル)アセトアミド塩酸塩
【0351】
一般手順1に従い、中間体30(133mg、0.71mmol)および中間体17(120mg、0.45mmol)から、淡黄色固体として、N−{6−[5−シクロプロピル−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]ピリジン−3−イル}−2−(キノリン−6−イル)アセトアミド(67mg)を調製し、THF中に溶解した。この溶液に、ジエチルエーテル中の飽和HClを0℃で添加し、15分間撹拌した。析出した固体を濾過し、乾燥させて、白色固体として、表題化合物(63mg)を得た。融点225〜230℃。
1H−NMR(δ ppm,DMSO−d
6,400 MHz):10.96(s,1H),9.15(d,J 4.4,1H),8.90(d,J 8.0,1H),8.80(d,J 2.3,1H),8.30(dd,J 2.4,8.8,1H),8.21(d,J 8.7,1H),8.18(s,1H),8.03(d,J 8.3,1H),7.90(dd,J 5,8.2,1H),7.75(d,J 8.8,1H),6.61(s,1H),4.06(s,2H),2.51−2.40(m,1H),1.01−0.90(m,2H),0.81−0.70(m,2H)。MS(m/z):436.02[M−H−2HCl]
−。
実施例35
2−(1H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−1−イル)−N−{6−[4−クロロ−5−シクロプロピル−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]ピリジン−3−イル}アセトアミド:
【0352】
一般手順1に従い、2−(1H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−1−イル)酢酸(123mg、0.68mmol)および中間体18(120mg、0.43mmol)から、茶色固体として、表題化合物(97mg)を調製した。融点:182.5〜189.3℃。
1H−NMR(δ ppm,DMSO−d
6,400 MHz):11.13(s,1H),8.78(d,J 2.4,1H),8.27(dd,J 2.6,8,1H),8.07(d,J 8.4,1H),7.87(d,J 8.4,1H),7.75(d,J 8.7,1H),7.6(t,J 7.3,1H),7.4(t,J 7.5,1H),5.78(s,2H),2.20−2.08(m,1H),0.92−0.84(m,2H),0.70−0.59(m,2H)。MS(m/z):459.8[M−H]
−。
実施例36
4−[5−シクロプロピル−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]−3−フルオロ−N−(キノリン−6−イルメチル)ベンズアミド塩酸塩:
【0353】
一般手順2に従い、中間体23(200mg、0.67mmol)および中間体39(188mg、0.60mmol)から、白色固体として、4−[5−シクロプロピル−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]−3−フルオロ−N−(キノリン−6−イルメチル)ベンズアミド(83mg)を調製し、THF中に溶解した。この溶液に、ジエチルエーテル中の飽和HClを0℃で添加し、15分間撹拌した。析出した固体を濾過し、乾燥させて、オフホワイト色固体として、表題化合物(70mg)を得た。融点:156〜159℃。
1H−NMR(δ ppm,DMSO−d
6,400 MHz):9.61(t,J 5.7,1H),9.15(d,J 4.2,1H),8.95(d,J 8.4,1H),8.25(d,J 8.8,1H),8.17(s,1H),8.07−8.03(m,2H),7.98(d,J 8.3,1H),7.93−7.90(m,1H),7.84(t,J 7.8,1H),6.68(s,1H),4.75(d,J 5.7,2H),1.72−1.61(m,1H),0.97−0.88(m,2H),0.81−0.74(m,2H)。MS(m/z):455.03[M+H−HCl]
+。
実施例37
1−[4−(3,5−ジシクロプロピル−1H−ピラゾール−1−イル)フェニル]−3−(キノリン−6−イル)尿素:
【0354】
6−アミノキノリン(200mg、0.88mmol)、トリホスゲン(156mg、0.53mmol)、およびトリエチルアミン(0.4mL、3.5mmol)を、DCM中に溶解し、窒素雰囲気下で、室温で30分間撹拌した。その後、中間体12(200mg、0.88mmol)を添加し、混合物を40℃まで40時間加熱した。その後、CHCl
3(10mL)および0.2M クエン酸(2.5mL)を反応混合物に添加し、水相を除去した。有機層をブラインで洗浄し、無水Na
2SO
4上で乾燥させた。有機層をロータベーパー上で除去して、粗生成物を得た。粗生成物を60〜120メッシュのシリカゲルならびに溶離液としてDCMおよびMeOH(98:2)を用いたカラムクロマトグラフィーによって精製して、茶色固体として、表題化合物(25mg)を得た。融点:102〜104℃。
1H−NMR(δ ppm,DMSO−d
6,400 MHz):9.07(s,1H),8.96(s,1H),8.73(dd,J 1.6,4.2,1H),8.23(d,J 7.9,1H),8.17(d,J 2.2,1H),7.94(d,J 9.0 1H),7.71(dd,J 2.4,9.1,1H),7.59(d,J 8.9,2H),7.48(d,J 8.9,2H),7.47−7.43(m,1H),5.77(s,1H),1.88−1.71(m,2H),0.90−0.82(m,4H),0.70−0.58(m,4H)。MS(m/z):410.44[M+H]
+
生物学的アッセイ
【0355】
本発明の化合物の特性は、いくつかの生物学的/薬理学的アッセイにより確認することができる。本発明による化合物および/またはその薬学的に許容される塩を用いて実行することができる生物学的/薬理学的アッセイを、以下で説明する。同様に、本発明の化合物はまた、他のアッセイ、例えばジャーカットおよびヒトPBMCにおけるサイトカイン(IL−2、IL−4、IL−5、IL−10、IL−12、TNFα、インターフェロンγ等)推定法を用いて試験することもできる。本発明の化合物はまた、本発明の化合物の様々な治療可能性を確立するために、様々な動物モデルにおいて試験することができる。
1.インビトロCRACチャネル阻害アッセイ
1A.ジャーカット細胞におけるインビトロCRACチャネル阻害アッセイ
【0356】
CRACチャネルの阻害を、ジャーカット細胞におけるタプシガルギン(Sigma社、カタログ番号T9033)誘導小胞体カルシウム放出に従い決定した。(Yasurio Yonetoky et.al Bio.&Med Chem.14(2006)4750−4760を参照のこと)。細胞を遠心分離し、96ウェル黒色プレート内で、同量のCa
2+およびMg
2+不含Hanks緩衝液ならびにFluo−8 NW染料(ABD Bioquest,Inc.、Sunnyvale、CA)含有溶液に、2×10
5細胞/100μL/ウェルで再懸濁した。プレートを37℃/5% CO
2で30分間インキュベートし、続いて、室温でさらに15分間インキュベートした。所望の濃度の試験化合物(Ca
2+およびMg
2+不含Hanks緩衝液中に希釈したDMSOストック)をウェルに添加し、15分間インキュベートした。タプシガルギン(最終濃度1μM)をウェルに添加し、15分間インキュベートして、筋小胞体Ca
2+ATPaseポンプを阻害し、それにより小胞体カルシウムを枯渇させ、細胞質カルシウム濃度を上昇させた。ストア作動性カルシウム流入は、細胞外Ca
2+を最終濃度1.8mMまで添加することにより開始させた。蛍光は、励起波長485nm、発光波長520nmで、プレートリーダ(BMG Labtech.、Germany)上で5分間監視した。GraphPad Prismを使用してデータを分析した。細胞へのタプシガルギン誘導カルシウム流入の阻害パーセントに基づき、各化合物のIC
50を決定した。結果は、表1Aに示される通りである。
【表1A】
1B.NCI−H460癌細胞株におけるインビトロCRACチャネル阻害アッセイ
【0357】
CRACチャネルの阻害を、NCI−H460細胞(National Centre For Cell Science(NCCS)、Pune)におけるタプシガルギン(Sigma社、カタログ番号T9033)誘導小胞体カルシウム放出に従い決定した。
【0358】
細胞(1ウェルあたり30,000)を、完全RPMI培地中で一晩播種した。96ウェル黒色プレート内で、Ca
2+およびMg
2+不含Hanks緩衝液ならびにFluo−8 NW染料(ABD Bioquest,Inc.、Sunnyvale、CA)含有溶液で培地を置換した。プレートを37℃/5% CO
2で30分間インキュベートし、続いて、室温でさらに15分間インキュベートした。所望の濃度の試験化合物(Ca
2+およびMg
2+不含Hanks緩衝液中に希釈したDMSOストック)をウェルに添加し、15分間インキュベートした。タプシガルギン(最終濃度1μM)をウェルに添加し、15分間インキュベートして、筋小胞体Ca
2+ATPaseポンプを阻害し、それにより小胞体カルシウムを枯渇させ、細胞質カルシウム濃度を上昇させた。ストア作動性カルシウム流入は、細胞外Ca
2+を最終濃度2.5mMまで添加することにより開始させた。蛍光は、励起波長485nm、発光波長520nmで、プレートリーダ(BMG Labtech.、Germany)上で30分間監視した。GraphPad Prismを使用してデータを分析した。細胞へのタプシガルギン誘導カルシウム流入の阻害パーセントに基づき、各化合物のIC
50を決定した。結果は、表2に示される通りである。
1C.NCI−H460癌細胞株におけるインビトロ細胞増殖アッセイ(抗癌活性)
【0359】
10%FBS添加培地を使用して、成長阻害アッセイを行った。96ウェルプレートにおいて、5000細胞/ウェルの濃度で細胞を播種した。24時間後、0.01〜10000nMの濃度範囲の試験化合物を添加した。3−[4,5−ジメチルチアゾール−2−イル]−2,5−ジフェニルテトラゾリウムブロミド(MTT)染料還元試験を使用して、0時間(試験化合物の添加前)および試験化合物の添加から48時間後に増殖を評価した。Fluostar Optima(BMG Labtech社、Germany)上で、450nmの波長で吸収を読み出した。GraphPad Prismを使用してデータを分析した。対照と比較した試験化合物による阻害%に基づき、各化合物のIC−50を決定した。結果は、表2に示される通りである。
【0360】
細胞増殖アッセイの方法に関しては、例えば、Mosmann.T.,Journal of Immunological Methods,65(1−2),55−63,(1983)を参照のこと。
【表2】
2.ジャーカット細胞、ヒト全血および末梢血単核細胞(PBMC)における、サイトカイン放出のインビトロ阻害
サイトカインIL−2、IL−4、IL−5、およびTNFαの阻害を、以下に記載のように決定した。
a.ジャーカット細胞におけるIL−2の阻害:所望の濃度の阻害剤で、細胞を15分間インキュベートした。IL−2およびTNFαに対してはコンカナバリンA(25μg/mL)+ホルボールミリステートアセテート(50ng/mL)の添加により、または、IL−4およびIL−5に対してはフィトヘムアグルチニン(5μg/mL)により、サイトカイン放出を誘導し、95% CO
2を含む雰囲気中で、37℃でインキュベートした。ELISAによるサイトカインの評価のために、20時間後(IL−2およびTNFα)または48時間後(IL−4およびIL−5)に上澄みを回収した。GraphPad Prismを使用してデータを分析した。対照と比較した試験化合物による阻害パーセントに基づき、各化合物のIC
50値を決定した。
b.ヒト全血(HWB)におけるサイトカイン放出の阻害:新しく採取したHWBをRPMI培地で希釈し(1:4.5)、96ウェルプレートに添加した。所望の濃度の阻害剤で、ウェルを15分間インキュベートした。IL−2およびTNFαに対してはコンカナバリンA(25μg/mL)+ホルボールミリステートアセテート(50ng/mL)の添加により、または、IL−4およびIL−5に対してはフィトヘムアグルチニン(5μg/mL)により、サイトカイン放出を誘導し、95% CO
2を含む雰囲気中で、37℃でインキュベートした。ELISAによるサイトカインの評価のために、20時間後(IL−2およびTNFα)または48時間後(IL−4およびIL−5)に上澄みを回収した。GraphPad Prismを使用してデータを分析した。対照と比較した試験化合物による阻害パーセントに基づき、各化合物のIC
50値を決定した。
c.PBMCにおけるサイトカイン放出の阻害:Histopaqueを使用した密度勾配により、新しく採取したHWBからPBMCを単離し、96ウェルプレートに播種した。所望の濃度の阻害剤で、細胞を15分間インキュベートした。IL−2およびTNFαに対してはコンカナバリンA(25μg/mL)+ホルボールミリステートアセテート(50ng/mL)の添加により、または、IL−4およびIL−5に対してはフィトヘムアグルチニン(5μg/mL)により、サイトカイン放出を誘導し、95% CO
2を含む雰囲気中で、37℃でインキュベートした。ELISAによるサイトカインの評価のために、20時間後(IL−2およびTNFα)または48時間後(IL−4およびIL−5)に上澄みを回収した。GraphPad Prismを使用してデータを分析した。対照と比較した試験化合物による阻害パーセントに基づき、各化合物のIC
50値を決定した。結果は、表3に示される通りである。
【表3】
抗癌活性
【0361】
CRACおよびSTIMタンパク質の相関および本発明におけるその使用は、複数の生物学的/薬理学的アッセイによって確認することができる。本発明に従って実行することができる生物学的/薬理学的アッセイを、以下で説明する。
【0362】
化合物A、2−(1H−ベンゾ[d]イミダゾール−1−イル)−N−(4−(5−シクロプロピル−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル)フェニル)アセトアミド、および化合物B、N−(4−(3,5−ジシクロプロピル−1H−ピラゾール−1−イル)フェニル)−2−(キノリン−6−イル)アセトアミドは、生物学的アッセイのためのCRACチャネル阻害剤として使用した。
【0363】
実施例I:A549およびNCI−H460細胞におけるOrai1およびStim1の発現
非小細胞肺癌細胞株におけるOrai1およびStim1の発現は、PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)によって確認された。簡潔には、所望の濃度の試験物質で処理された5×10
6細胞を、収穫し、ペレット化し、TRI試薬(シグマ社,ミズーリ州セントルイス)1mL中に再懸濁し、全RNAは、製造業者の説明書に従って抽出した。cDNAは、First Strand cDNA合成を用いて調製し、以下のプライマー対を用いて増幅した:
Orai1:順方向5’ CATGGTGGCAATGGTGGAGGTG 3’
逆方向5’ AGGCACTGAAGGCGATGAGCA 3’
Orai2:順方向5’ATGGTGCCATGGTGGAGGT 3’
逆方向5’TGCAGGCGCTGAAGGCAAT 3’
Orai3:順方向5’AAGCTCAAAGCTTCCAGCCGC 3’
逆方向5’GGTGGGTACTCGTGGTCACTCT3’
Stim1:順方向5’AAGGCTCTGGATACAGTGCTCTTT 3’
逆方向5’AGCATGAAGTCCTTGAGGTGATTAT 3’
Stim2:順方向5’ ACGACACTTCCCAGGATAGCA 3’
逆方向5’ GACTCCGGTCACTGATTTTCAAC 3’
例えば、Peel et.al.,Respiratory Research,7,119,2006、Gwack et.al.,J.Biol.Chem.,282,16232−16243,2006を参照のこと。
バンドは、アガロースゲル電気泳動法によって分離され、SYBR safe DNAゲル染色を用いて可視化した。結果を、
図1に示す。
【0364】
実施例II:NCI−H460癌細胞株におけるインビトロCRACチャネル阻害アッセイ
CRACチャネルの阻害を、NCI−H460細胞(National Centre For Cell Science(NCCS)、Pune)におけるタプシガルギン(シグマ社、カタログ番号T9033)誘導小胞体カルシウム放出後に、測定した。
方法論に関しては、1Bを参照のこと。
化合物Aは、200nM未満のIC
50値を有し、1uMで100%の阻害を示した。
図2を参照のこと。
【0365】
実施例III:NCI−H460癌細胞株におけるインビトロ細胞増殖アッセイ(抗癌活性)
肺癌細胞の増殖および生存率におけるCRACおよび/またはSTIMタンパク質の効果は、次のように測定した。
方法論に関しては、1Cを参照のこと。
化合物Aは、200nM未満のGI
50値を有し、1uMで100%の阻害を示した(
図3を参照のこと)。
【0366】
実施例IV:NCI−H460細胞内のOraiの発現およびStim発現における化合物Bの効果
1および10μMの化合物Bを用いる、上の実施例1に記載の方法論を用いて、NCI−H460細胞内における、OraiおよびStimの発現が、測定された。
データにより、NCI−H460細胞がOrai1、Orai3、Stim1、およびStim2を発現したことが示された。Orai1、Stim1、およびStim2のmRNA発現は、定質的PCRによって明らかであるように、化合物Bを用いて細胞を処理する際に、著しく低下した。
図4を参照のこと。
【0367】
実施例V:NCI−H460細胞における細胞毒性の判定
試験化合物(化合物B)の細胞毒性は、乳酸脱水素酵素アッセイキット(ケイマン・ケミカルズ社,ミシガン州)をいくつかの微修正のある製造業者の説明書に従って使用して判定した。簡潔には、完全RPMI−1640培地中の20,000細胞/ウェルを、96ウェル組織培養プレート中に播種し、37℃および5% CO
2で一晩インキュベートした。試験化合物を、所望の濃度でトリプリケートでウェルに添加した。ドキソルビシンおよび/または1% Triton−Xを、陽性対照として使用した。48時間後、培地を除去し、比色アッセイにおいて乳酸脱水素酵素に対してアッセイした。光学密度は、490nMで、マイクロプレートリーダ(BMG・ラブテック社(BMG Labtech),ドイツ)上で測定した。Graphpad Prism(グラフパッド・ソフトウェア社(Graphpad software);カリフォルニア州サンディエゴ)を使用してデータを分析した。
データは、培地内の乳酸脱水素酵素が検出できないレベルであることから明らかなように、化合物Bが、NCI−H460細胞株内において細胞毒性がないことを示した。
【0368】
実施例VI:NCI−H460ヒト非小細胞肺癌移植片を有する雌Balb/cヌードマウスにおける抗腫瘍効果の評価
皮下移植片肺癌モデルを使用して、試験化合物の抗腫瘍効果を評価した。タキソールが陽性対照として使用された。モデルは、それぞれの動物の右側腹部の皮下にNCI−H460細胞(5×10
6)を移植(0.1mL/マウス)することによって確立された。平均腫瘍体積が、約170mm
3に達した時、30匹のヌードマウスを、腫瘍体積に基づいて選択し、1処置群あたり6匹の動物が無作為に割り当てられた。動物には、15日間、1日2回、30mg/kgの試験化合物(化合物A)を経口投与した。処置期間中、移植した腫瘍は、盲検法で1週間に3回、キャリパーによって測定した。腫瘍は、全幅(X)および全長(Y)について測定し、腫瘍体積(V)は、式:V=(X
2Y)/2を用いて計算した。また、動物の体重も同時に測定した。Graphpad Prism(グラフパッド・ソフトウェア社(Graphpad software);カリフォルニア州サンディエゴ)を使用してデータを分析した。
試験化合物の投与は、体重の著しい変化なしで、腫瘍増殖において32%の低減をもたらした。体重の著しい減少を伴う腫瘍増殖における36%の低減が、タキソールの静脈内投与によって処置された動物において観察された。
図5を参照のこと。
【0369】
実施例VII:インビボ動物モデルを使用した、様々な抗炎症および自己免疫疾患におけるCRACチャネルモジュレータの有用性の評価
i.雌Balb/Cマウスにおけるコンカナバリン(Con)A誘導肝炎:Con Aは、高レベルの細胞傷害性Tリンパ球を有する実験動物を準備するためにしばしば使用されるが、これは、これらの細胞がヒトにおけるウイルス感染の発達に関与するためである。このモデルにおいて、Con Aの静脈内投与の1時間前に、動物に試験化合物を経口投与する。血清中の血清グルタミン酸オキサロ酢酸トランスアミナーゼ(SGOT)および血清グルタミン酸ピルビン酸トランスアミナーゼ(SGPT)の決定のために、24時間後に血液試料を採取する。
試験化合物の投与時の血清SGOTおよびSGPT中の低減率(%)を試験することができる。
ii.雌Balb/cマウスにおけるTNCB誘導接触過敏症:接触過敏症は、細胞媒介免疫機能の単純なインビボアッセイである。この手順において、外因性ハプテンに対する上皮細胞の暴露が、測定および定量可能な遅延型過敏反応をもたらす。簡潔には、7%TNCB溶液を8週齢のBalb/cマウスの腹部に塗布する。TNCB感作から7日後に、耳の厚さを測定する。化合物を経口投与し、続いて、耳介の内側および外側に1%TNCBを塗布する。TNCB負荷から24時間後に、耳の厚さを測定する。
試験化合物の投与時の耳炎症の低減率(%)を試験することができる。
iii.雄Balb/cマウスにおける手足の遅延型過敏症:DTH腫脹反応を使用して、インビボでの免疫抑制分子および/またはサプレッサーT細胞の活性を追跡することができる。0日目および7日目にマウス(尾の基部)に皮内抗原(メチル化BSA)注射を行う。0日目から10日目に、1日1回、化合物を投与する。10日目に動物の右後足の足蹠にメチル化BSAを注射する。メチル化BSAの注射から24時間後(11日目)に左右の後足を秤量することにより、抗原により誘導された重量差を決定する。
マウスにおける抗原誘発された足の炎症の低減率(%)を試験することができる。
iv.モルモットにおけるOVA誘導喘息:気道音および気道上皮落屑の改変された神経制御に関連した肺好酸球増多および気道再形成は、喘息における気道過敏症(AHR)に寄与する。好酸球低減の決定のために、0日目、7日目、および14日目に動物をOVAで感作し、続いて、19日目および20日目に、吸入により別のラウンド(0.1%w/v)を行う。OVA負荷(0.3%)の1時間前に、化合物を経口投与する。白血球百分率およびサイトカイン推定のために、22日目にBAL液を採取する。呼吸パラメータの変化の決定のために、ova負荷の直後に動物を全身プレスチモグラフィーに供する。試験化合物の投与時の同時改善に伴う血中好酸球の低減率(%)を試験することができる。
v.雄DBA/1 OlaHSDマウスにおけるコラーゲン誘導関節炎:げっ歯類モデルにおけるコラーゲン誘導関節炎は、ヒト関節リウマチの治療標的の検証のための代理として役立つだけでなく、疾患の発達を説明および理解するために広く使用されている。マウスをイソフルランで麻酔し、フロイント完全アジュバント注射においてウシII型コラーゲン150μLを与えた(0日目および21日目)。試験0日目に処置を開始し、1日1回、毎日継続する(po、qd)。18日目から、足のそれぞれ(右前足、左前足、右後足、左後足)に対して臨床スコアを開始し、致死の日(34日目)まで継続する。対照動物と比較して、関節炎の症状、疾患の進行、および罹患率を軽減するような、試験化合物の毎日の投与を、試験することができる。
【0370】
様々な抗炎症性および自己免疫疾患におけるCRACチャネルモジュレータの効果を試験することができる他のインビボモデルは、
Chronic Experimental Autoimmune Encephalomyelitis in C57/Bl6Jマウスにおける慢性実験的自己免疫性脳脊髄炎を含む:実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)は、中枢神経系の炎症性疾患であり、多発性硬化症の動物モデルとして広く使用される。動物に百日咳毒素を静脈内投与し、0日目にミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質(MOG)を皮下投与する。9日目から42日目にEAEの発達が観察される。処置期間の最後に、組織病理学的分析および血漿中サイトカインの推定のために動物を致死させる。
【0371】
本明細書において、具体的実施形態を参照しながら本発明を説明したが、これらの実施形態は、単に本発明の原理および応用の例示であることを理解されたい。したがって、明細書および特許請求の範囲に記載されるような本発明の精神および範囲から逸脱せずに、例示的実施形態に多くの修正を行うことができ、また他の構成を考案することができることを理解されたい。
【0372】
本出願において引用される全ての出版物ならびに特許および/または特許出願は、個々の出版物または特許出願がそれぞれ参照により本明細書に組み込まれることが具体的および個々に示されるのと同じ程度に、参照により本明細書に組み込まれる。