特許第5909314号(P5909314)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5909314可溶性共役ポリマーを使用する方法及びデバイス
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5909314
(24)【登録日】2016年4月1日
(45)【発行日】2016年4月26日
(54)【発明の名称】可溶性共役ポリマーを使用する方法及びデバイス
(51)【国際特許分類】
   H01L 51/50 20060101AFI20160412BHJP
   H05B 33/10 20060101ALI20160412BHJP
【FI】
   H05B33/14 B
   H05B33/10
   H05B33/22 B
   H05B33/22 D
【請求項の数】23
【全頁数】32
(21)【出願番号】特願2007-530486(P2007-530486)
(86)(22)【出願日】2005年9月6日
(65)【公表番号】特表2008-512856(P2008-512856A)
(43)【公表日】2008年4月24日
(86)【国際出願番号】US2005031911
(87)【国際公開番号】WO2006029226
(87)【国際公開日】20060316
【審査請求日】2008年8月12日
【審判番号】不服2014-11320(P2014-11320/J1)
【審判請求日】2014年6月16日
(31)【優先権主張番号】60/607,335
(32)【優先日】2004年9月3日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】60/657,836
(32)【優先日】2005年3月1日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506115514
【氏名又は名称】ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ カリフォルニア
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(74)【代理人】
【識別番号】100085279
【弁理士】
【氏名又は名称】西元 勝一
(72)【発明者】
【氏名】バサン、ギリェルモ、シー.
(72)【発明者】
【氏名】ヒーガー、アラン、ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】アイヤル、パラメスワー、ケイ.
(72)【発明者】
【氏名】リュー、ビン
(72)【発明者】
【氏名】ション、ゴン
(72)【発明者】
【氏名】マ、ワンリ
【合議体】
【審判長】 西村 仁志
【審判官】 鉄 豊郎
【審判官】 樋口 信宏
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−206981(JP,A)
【文献】 特開2007−302886(JP,A)
【文献】 特開2002−319489(JP,A)
【文献】 特開2003−347061(JP,A)
【文献】 国際公開第2004/037886(WO,A1)
【文献】 国際公開第2004/008533(WO,A1)
【文献】 「有機ELディスプレイの最新技術動向」、株式会社情報機構、2003年4月25日、p.7−8
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 51/50
H05B 33/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導性共役ポリマーを含有する発光層、並びに
電子を発光層に注入及び/又は輸送するように配置されており、発光半導性ポリマーのπ*−バンドに近い又はその中のエネルギーで、最低空分子軌道(LUMO)を有する共役ポリマーを含有する電子注入/輸送層、並びに
正孔を発光層に注入及び/又は輸送するように配置されており、発光半導性ポリマーの価電子帯に近い又はその中のエネルギーで、最高被占分子軌道(HOMO)を有する共役ポリマーを含有する正孔注入/輸送層、
を含む多層発光デバイス(LED)であって、
電子注入/輸送層、正孔注入/輸送層及び発光層が、溶液処理技術によるそれらの段階的堆積を可能にする溶解度を有し、電子注入/輸送層が、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、蟻酸、酢酸、酢酸エチル、水、アルコール及びポリアルコールからなる群より選択される少なくとも1種の極性溶媒中に可溶性であり、電子注入/輸送層に含まれる共役ポリマーが、前記共役ポリマーに結合しており前記極性媒体中の前記共役ポリマーの溶解度を増加させるための側鎖可溶化基を有しており、そして発光層がハロ炭化水素及び芳香族炭化水素からなる群より選択される少なくとも1種の有機溶媒中に可溶性である、多層発光デバイス。
【請求項2】
発光層が緑色光を発光する、請求項1記載のLED。
【請求項3】
発光層が、ポリ[2−メトキシ−5−(2−エチル−ヘキシルオキシ)−1,4−フェニレンビニレン](「MEH−PPV」)を含有する、請求項2記載のLED。
【請求項4】
発光層が赤色光を発光する、請求項1記載のLED。
【請求項5】
発光層が、(9,9−ジヘキシル−フルオレン)−(ベンゾチアジアゾール)共重合体(「PFO−BT」)を含有する、請求項4記載のLED。
【請求項6】
発光層が青色光を発光する、請求項1記載のLED。
【請求項7】
発光層が、ポリ(9,9−ジオクチルフルオレニル−2,7−ジイル)(「PFO」)を含有する、請求項6記載のLED。
【請求項8】
複数個の請求項1記載のLEDを含有するマトリックス。
【請求項9】
請求項1記載のLEDを含有するディスプレイデバイス。
【請求項10】
ディスプレイデバイスがフルカラーディスプレイである、請求項9記載のディスプレイデバイス。
【請求項11】
基体上の共役ポリマーの隣接層の形成方法であって、
ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、蟻酸、酢酸、酢酸エチル、水、アルコール及びポリアルコールからなる群より選択される少なくとも1種の極性溶媒及び前記極性媒体中の前記共役ポリマーの溶解度を増加させるための側鎖可溶化基が結合している第一共役ポリマーを含有する第一溶液を用意する工程、
第二共役ポリマー及び第二溶媒を含有する第二溶液を用意する工程、
前記第二溶液の第一層である発光層を基体の上に堆積し、そして第一層から溶媒を除去する工程、及び
前記第一溶液の第二層である電子注入/輸送層を第一層の上に堆積し、そして第二層から溶媒を除去する工程を含み、
第一層内で堆積されたポリマーが、第二層内で堆積された溶媒中に溶解せず、そして、第一共役ポリマーが、第二共役ポリマーのπ*−バンドに近い又はその中のエネルギーで、最低空分子軌道(LUMO)を有する方法。
【請求項12】
極性溶媒が水を含む、請求項11記載の方法。
【請求項13】
極性溶媒がメタノールを含む、請求項11記載の方法。
【請求項14】
第一溶液を堆積することに、第一溶液を第一層の上に印刷することが含まれる、請求項11記載の方法。
【請求項15】
第一層の上に第一溶液を堆積することに、スピン流延が含まれる、請求項11記載の方法。
【請求項16】
第一層の上に第一溶液を堆積することに、ドロップ流延が含まれる、請求項11記載の方法。
【請求項17】
前記溶媒を除去する工程の少なくとも1個に加熱することが含まれる、請求項11記載の方法。
【請求項18】
前記溶媒を除去する工程の少なくとも1個に、雰囲気圧力を低下させることが含まれる、請求項11記載の方法。
【請求項19】
前記溶媒を除去する工程の少なくとも1個に蒸発させることが含まれる、請求項11記載の方法。
【請求項20】
基体に電極が含まれる、請求項11記載の方法。
【請求項21】
基体がフィルムである、請求項11記載の方法。
【請求項22】
更に、1個又は2個以上の前記第一層の上への、別個の分離した第二層の複数回の堆積を含む、請求項11記載の方法。
【請求項23】
半導性共役ポリマーを含有する発光層、並びに
電子を発光層に注入及び/又は輸送するように配置されており、発光半導性ポリマーのπ*−バンドに近い又はその中のエネルギーで、最低空分子軌道(LUMO)を有する共役ポリマーを含有する電子注入/輸送層を含む多層発光デバイス(LED)であって、
電子注入/輸送層が、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、蟻酸、酢酸、酢酸エチル、水、アルコール及びポリアルコールからなる群より選択される少なくとも1種の極性溶媒中に可溶性であり、電子注入/輸送層に含まれる共役ポリマーが、前記共役ポリマーに結合しており前記極性媒体中の前記共役ポリマーの溶解度を増加させるための側鎖可溶化基を有しており、そして発光層がハロ炭化水素及び芳香族炭化水素からなる群より選択される少なくとも1種の有機溶媒中に可溶性である多層発光デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連特許出願に対するクロスリファレンス
本件特許出願は、2004年9月3日に出願された米国仮特許出願第60/607,335号及び2005年3月1日に出願された米国仮特許出願第60/657,836号の利益を主張する。
【0002】
本発明は、可溶性共役ポリマーを含有する1個又は2個以上の層を含む物品及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
ポリマー性半導体が、広範囲の多数の電子、光学及びオプトエレクトロニクス材料及びデバイスの中に導入されている。半導性ポリマーを含める製造方法に於ける一つの制限は、多層材料を製造する際に於ける困難性である。溶液処理は、関心の共役ポリマーの層を堆積するための、最も簡単で、最も経済的で且つ最も制御可能な方法の一つである。しかしながら、殆どの共役ポリマーは、有機及び/又は非極性媒体中に可溶性であるので、1種の共役ポリマーの溶液を、他の共役ポリマーの前もって堆積された層の上に堆積すると、それを可溶化し、界面混合になり得る。これは、所望のデバイス配向/構造/形状の崩壊、方法再現不可能性及び得られるデバイスの低下した効率に至り得る。従って、多層デバイスの伝統的製造方法には、典型的に、スパッタリング、熱蒸着及び化学蒸着法(これらは、いっそうコストがかかり、そしていっそう制御し難いであろう)を含む、いっそう問題のある方法によって堆積された層を残しながら、ポリマーを堆積するための1個のみの溶液処理工程が含まれている。
【0004】
当該技術分野に於いて、異なった物理的特性を有する共役ポリマーについての、それらの製造方法及び使用方法についての並びにこのような化合物を含む組成物、製造物品及び機械についての要求が存在する。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0005】
可溶性共役ポリマーを含む方法、組成物及び製造物品が提供される。この共役ポリマーは、それらを、極性媒体、例えば、水及び/又はメタノール中に可溶性にするために十分な密度の極性置換基を有する。この共役ポリマーは、望ましくは、それらの伝導率特性を変えるモノマーを含有していてよい。これらのポリマーの異なった溶解度特性によって、他の共役ポリマーを含む多層フォーマットに於ける、これらの溶液中での堆積が可能になる。また、異なった溶解度特性を有する共役ポリマーの多層を含む製造物品が提供される。本発明の実施形態は、本明細書に於いて更に説明される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明者らは、望ましい特性を有する共役ポリマーを提供する。この共役ポリマーは、それを極性媒体中に可溶性にするために十分な密度の極性置換基を有する。従って、このポリマーは、複数の溶液処理工程を含む方法に於いて、異なった溶解度のポリマーと共にそれらを使用することを可能にする、望ましい溶解度特性を有する。これらのポリマーの異なった溶解度特性によって、他の共役ポリマーを含む多層フォーマットに於いて、溶液中のそれらの堆積が可能になる。
【0007】
幾つかの実施形態に於いて、極性置換基は、帯電された基、例えば、カチオン性基又はアニオン性基であってよい。これらの共役ポリマーは、高度に極性の溶媒、例えば、水及び/又はメタノール中に、それらを可溶性にするために十分な密度の可溶化極性基を有することができる。これは、提供される新規な溶液処理方法により多層ポリマーデバイスを製造するために、特に有利であろう。
【0008】
この共役ポリマーには、望ましくは、その導電特性を変えるモノマーが含まれていてよい。この共役ポリマーには、電子を注入及び/又は輸送するためのその能力を改良するモノマーが含まれていてよい。この共役ポリマーには、正孔を注入及び/又は輸送するためのその能力を改良するモノマーが含まれていてよい。このようなポリマーの導電率は、電子デバイス中の関心のある他の材料に適合するように選択することができる、使用するモノマー(群)の種類及び/又は量によって制御することができる。このポリマーの組成物は、また、ある種の導電性を防止するように選択することができる。例えば、ポリマーの組成物は、それが、正孔ブロッキング特性(これは、例えば、ポリマー発光ダイオード(PLED)に於ける、ある種のデバイス形状に於いて望ましいであろう)を有するように選択することができる。
【0009】
幾つかの実施形態に於いて、本発明者らは、極性媒体中で可溶性の導電性共役ポリマーになる、可溶化基及び導電性基の両方を含むカチオン性共役ポリマー(CCP)を提供する。これらの導電性ポリマーは望ましくは水及び/又は低級アルコール、特にメタノール中に可溶性である。
【0010】
また、異なった溶解度特性を有する共役ポリマーの複数層を含む製造物品が提供される。本明細書に記載された方法によって製造された複数のポリマー層は、種々の物品及び機械の何れの中にも含有させることができる。
【0011】
本発明の実施形態には、複合(multiplex)フォーマットが含まれていてよい。例えば、複数の異なったLEDを、ディスプレイフォーマット内で同時に使用することができる。複合実施形態は、本明細書中に記載された1個又は2個以上の実施形態によって提供された、2個、3個、4個、5個、10個、15個、20個、25個、50個、100個、200個、400個、1000個、5000個、10000個、50000個、200000個、100万個又はそれ以上の別個の物品を使用することができる。本発明の他の態様は、本明細書に於いて更に検討する。
【0012】
本発明を更に詳細に説明する前に、本発明は、記載した特別の方法論、物品、組成物又は装置に限定されないことが理解されるべきである。それは、このような方法、物品、組成物又は装置は、勿論、変わり得るからである。また、本明細書中に使用される専門用語は、特別の実施形態のみを説明する目的のためであり、本発明の範囲を限定することを意図していないことも理解されるべきである。
【0013】
単数形の使用には、文脈が他の方法で明瞭に指定していない限り、複数の参照が含まれる。従って、例えば、「共役ポリマー」に対する参照には、複数の共役ポリマーが含まれ、「溶媒」に対する参照には、複数のこのような溶媒が含まれ、「LED」に対する参照には、複数のLEDが含まれる、等々。追加的に、特定の複数の参照、例えば、「2」、「3」などの使用は、文脈が他の方法で明瞭に指定していない限り、同じ主題のより大きい数で読み取る。用語「又は」は、本明細書に於いて単独の接続詞として使用されるとき、他の方法で記載されない限り、「及び/又は」を意味する。本明細書で使用されるとき、用語「含む」及び関連する用語、例えば、「含有する」は、限定されず、特別に列挙されたものに加えて、要素の存在を許容する。
【0014】
「連結された」、「取り付けられた」及び「結合された」のような用語は、本明細書に於いて互換的に使用され、文脈が他の方法で明瞭に指定していない限り、直接的及び間接的、連結、取り付け又は結合を包含する。
【0015】
値の範囲が記載されている場合、その範囲の記載された上限及び下限の間のそれぞれの介在する整数値及びそれらのそれぞれの分数も、このような値の間のそれぞれの下位範囲と共に、特定的に開示されていると理解されるべきである。全ての範囲の上限及び下限は、独立に、この範囲内に含まれてよく又はこの範囲から除かれてよく、全てのこのような範囲は本発明内に包含される。検討されている値が固有の限界を有する場合、例えば、成分が0〜100%の濃度で存在し得る場合又は水溶液のpHが1〜14の範囲であってよい場合、これらの固有の限界は、範囲がこれらの固有の限界に基づくとき、特別に開示される。値が明示的に記載されている場合、記載された値とほぼ同じ量である値も、本明細書中に記載された全ての他の値と共に範囲がそれに基づくとき、本発明の範囲内である。
【0016】
要素の組合せ又はグループが開示されている場合、これらの要素のそれぞれの下位組合せも特定的に開示され、本発明の範囲内である。逆に、異なった要素又は要素のグループが開示されている場合、これらの組合せも開示される。
【0017】
本発明の如何なる要素も、複数の代替物を有するとして開示されている場合、それぞれの代替物が単独で又は他の代替物との全ての組合せで排除される発明の例も、これによって開示され、発明の2個以上の要素はこのような排除を有することができ、そしてこのような排除を有する要素の全ての組合せがこれによって開示される。
【0018】
他の方法で定義されるか又は文脈が他の方法で明瞭に指定していない限り、本明細書に於いて使用される全ての技術的及び科学的用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって普通に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書中に記載されたものと同様の又は均等の全ての方法及び材料は、本発明の実施又は試験に於いて使用することができるけれども、好ましい方法及び材料をここに記載する。
【0019】
本明細書中に記載された全ての刊行物を、参照が引用された特別の材料及び方法論を開示しそして記載する目的のために、参照して含める。本明細書中に記載された刊行物は、本件特許出願の出願日以前のそれらの開示のために単独で提供される。本発明が、先行発明によるこのような開示に先行すると明示されていない本明細書に於ける全てのことは、認容として解釈されるべきではない。
【0020】
定義
本発明を説明する際に、下記の用語を使用し、下記に示すように定義されるべきことを意図する。
「アルキル」は、1個又は2個以上の位置で任意に置換された1〜24個の炭素原子の、枝分かれした、枝分かれしていない又は環式の飽和炭化水素基を指し、多環式化合物を含む。アルキル基の例には、任意に置換された、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−デシル、ヘキシルオクチル、テトラデシル、ヘキサデシル、エイコシル、テトラコシルなど並びにシクロアルキル基、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、アダマンチル及びノルボルニルが含まれる。用語「低級アルキル」は、1〜6個の炭素原子、好ましくは1〜4個の炭素原子のアルキル基を指す。置換されたアルキル基上の代表的な置換基には、ヒドロキシル、シアノ、アルコキシ、=O、=S、−NO2、ハロゲン、ハロアルキル、ヘテロアルキル、カルボキシアルキル、アミン、アミド、チオエーテル及び−SHが含まれる。
【0021】
「アルコキシ」は、「−Oアルキル」基(但し、アルキルは前記定義された通りである)を指す。「低級アルコキシ」基は、1〜6個、更に好ましくは1〜4個の炭素原子を含有するアルコキシ基を意図する。
【0022】
「アルケニル」は、少なくとも1個の炭素−炭素二重結合を含有し、1個又は2個以上の位置で任意に置換された、2〜24個の炭素原子の不飽和の枝分かれした、枝分かれしていない又は環式の炭化水素基を指す。アルケニル基の例には、エテニル、1−プロペニル、2−プロペニル(アリル)、1−メチルビニル、シクロプロペニル、1−ブテニル、2−ブテニル、イソブテニル、1,4−ブタジエニル、シクロブテニル、1−メチルブト−2−エニル、2−メチルブト−2−エン−4−イル、プレニル、ペント−1−エニル、ペント−3−エニル、1,1−ジメチルアリル、シクロペンテニル、ヘキス−2−エニル、1−メチル−1−エチルアリル、シクロヘキセニル、ヘプテニル、シクロヘプテニル、オクテニル、シクロオクテニル、デセニル、テトラデセニル、ヘキサデセニル、エイコセニル、テトラコセニルなどが含まれる。ここで好ましいアルケニル基は、2〜12個の炭素原子を含有する。用語「低級アルケニル」は、2〜6個の炭素原子、好ましくは2〜4個の炭素原子のアルケニル基を意図する。用語「シクロアルケニル」は、3〜8個、好ましくは5個又は6個の炭素原子の環式アルケニル基を意図する。置換されたアルケニル基上の代表的な置換基には、ヒドロキシル、シアノ、アルコキシ、=O、=S、−NO2、ハロゲン、ハロアルキル、ヘテロアルキル、アミン、チオエーテル及び−SHが含まれる。
【0023】
「アルケニルオキシ」は、「−Oアルケニル」基(但し、アルケニルは前記定義された通りである)を指す。
【0024】
「アルキルアリール」は、アリール基に共有結合されたアルキル基を指す。好ましくは、このアルキル基は低級アルキルである。代表的アルキルアリール基には、ベンジル、フェネチル、フェノプロピル、1−ベンジルエチル、フェノブチル、2−ベンジルプロピルなどが含まれる。
【0025】
「アルキルアリールオキシ」は、「−Oアルキルアリール」基(但し、アルキルアリールは前記定義された通りである)を指す。
【0026】
「アルキニル」は、少なくとも1個の−C≡C−三重結合を含有し、1個又は2個以上の位置で任意に置換された、2〜24個の炭素原子の不飽和の枝分かれした又は枝分かれしていない炭化水素基を指す。アルキニル基の例には、エチニル、n−プロピニル、イソプロピニル、プロパルギル、ブト−2−イニル、3−メチルブト−1−イニル、オクチニル、デシニルなどが含まれる。ここで好ましいアルキニル基は、2〜12個の炭素原子を含有する。用語「低級アルキニル」は、2〜6個、好ましくは2〜4個の炭素原子及び1個の−C≡C−三重結合のアルキニル基を意図する。置換されたアルキニル基上の代表的な置換基には、ヒドロキシル、シアノ、アルコキシ、=O、=S、−NO2、ハロゲン、ハロアルキル、ヘテロアルキル、アミン、チオエーテル及び−SHが含まれる。
【0027】
「アミド」は、−C(O)NR’R’’(式中、R’及びR’’は、独立に、水素、アルキル、アリール及びアルキルアリールから選択される)を指す。
【0028】
「アミン」は、−N(R’)R’’基(式中、R’及びR’’は、独立に、水素、アルキル、アリール及びアルキルアリールから選択される)を指す。
【0029】
「アリール」は、共役π電子系を有する少なくとも1個の環を有し、炭素環式、複素環式、橋架けした及び/又は多環式アリール基を含有し、1個又は2個以上の位置で任意に置換されていてよい、芳香族基を指す。典型的なアリール基には、縮合及び/又は結合されていてよい1〜5個の芳香族環が含有されている。代表的なアリール基には、フェニル、フラニル、アゾリル、チオフラニル、ピリジル、ピリミジル、ピラジニル、トリアジニル、ビフェニル、インデニル、ベンゾフラニル、インドリル、ナフチル、キノリニル、イソキノリニル、キナゾリニル、ピリドピリジニル、ピロロピリジニル、プリニル、テトラリニルなどが含まれる。任意に置換されたアリール基上の代表的な置換基には、アルキル、アルコキシ、アルキルカルボキシ、アルケニル、アルケニルオキシ、アルケニルカルボキシ、アリール、アリールオキシ、アルキルアリール、アルキルアリールオキシ、縮合した飽和若しくは不飽和の任意に置換された環、ハロゲン、ハロアルキル、ヘテロアルキル、−S(O)R、スルホニル、−SO3R、−SR、−NO2、−NRR’、−OH、−CN、−C(O)R、−OC(O)R、−NHC(O)R、−(CH2nCO2R又は−(CH2nCONRR’(式中、nは0〜4であり、そしてR及びR’は、独立に、H、アルキル、アリール又はアルキルアリールである)が含まれる。
【0030】
「アリールオキシ」は、「−Oアリール」基(但し、アリールは前記定義された通りである)を指す。
【0031】
「炭素環式」は、少なくとも1個の環を含有し、全ての環原子が炭素であり、飽和されているか又は飽和されていなくてよい、任意に置換された化合物を指す。
【0032】
「炭素環式アリール」は、環原子が炭素である、任意に置換されたアリール基を指す。
【0033】
「ハロ」又は「ハロゲン」は、フルオロ、クロロ、ブロモ又はヨードを指す。「ハロゲン化物」は、ハロゲンのアニオン形を指す。
【0034】
「ハロアルキル」は、1個又は2個以上の位置で、ハロゲンによって置換されたアルキル基を指し、1種類のみのハロゲン原子によって置換されたアルキル基及び異なった種類のハロゲン原子の混合物によって置換されたアルキル基を指す。代表的なハロアルキル基には、トリハロメチル基、例えば、トリフルオロメチルが含まれる。
【0035】
「ヘテロアルキル」は、1個又は2個以上の炭素原子及び付随する水素原子(群)が、任意に置換されたヘテロ原子によって置き換えられているアルキル基を指し、1種類のみのヘテロ原子によって置換されたアルキル基及び異なった種類のヘテロ原子の混合物によって置換されたアルキル基を指す。ヘテロ原子には、酸素、硫黄及び窒素が含まれる。本明細書で使用されるとき、窒素ヘテロ原子及び硫黄ヘテロ原子には、窒素及び硫黄の全ての酸化された形、並びにプロトン化された形及びアルキル化された形を含む、4個の共有結合を有する窒素の全ての形が含まれる。任意に置換されたヘテロ原子は、アルキル、アリール、アルキルアリール及び/又はヒドロキシルによって任意に置き換えられた、1個又は2個以上の付随する水素を有するヘテロ原子を指す。
【0036】
「複素環式」は、少なくとも1個のヘテロ原子を有し、1個又は2個以上の位置で任意に置換されている、少なくとも1個の飽和又は不飽和環を含有する化合物を指す。典型的な複素環式基には、縮合及び/又は結合されていてよい1〜5個の環(それぞれの環は、5個又は6個の原子を含有する)を含有する。複素環式基の例には、ピペリジニル、モルホリニル及びピロリジニルが含まれる。任意に置換された複素環式基のための代表的な置換基は、環炭素に於いてアルキル及びアリール並びにヘテロ原子に於いてヘテロアルキルである。
【0037】
「複素環式アリール」は、少なくとも1個の芳香族環内に、少なくとも1個のヘテロ原子を有するアリール基を指す。代表的な複素環式アリール基には、フラニル、チエニル、ピリジル、ピリダジニル、ピロリル、N−低級アルキル−ピロロ、ピリミジル、ピラジニル、トリアジニル、テトラジニル、トリアゾリル、テトラゾリル、イミダゾリル、ビピリジル、トリピリジル、テトラピリジル、フェナジニル、フェナントロリニル、プリニルなどが含まれる。
【0038】
「ヒドロカルビル」は、枝分かれした、枝分かれしていない及び環式の種並びに飽和及び不飽和の種、例えば、アルキル基、アルキリデニル基、アルケニル基、アルキルアリール基、アリール基などを含む、1〜20個の炭素原子を含有するヒドロカルビル置換基を指す。用語「低級ヒドロカルビル」は、1〜6個の炭素原子、好ましくは1〜4個の炭素原子のヒドロカルビル基を意図する。
【0039】
「置換基」は、炭素又は窒素に結合している1個又は2個以上の水素に置き換わる基を指す。代表的な置換基には、アルキル、アルキリデニル、アルキルカルボキシ、アルコキシ、アルケニル、アルケニルカルボキシ、アルケニルオキシ、アリール、アリールオキシ、アルキルアリール、アルキルアリールオキシ、−OH、アミド、カルボキサミド、カルボキシ、スルホニル、=O、=S、−NO2、ハロゲン、ハロアルキル、縮合した飽和若しくは不飽和の任意に置換された環、−S(O)R、−SO3R、−SR、−NRR’、−OH、−CN、−C(O)R、−OC(O)R、−NHC(O)R、−(CH2)nCO2R又は−(CH2)nCONRR’(式中、nは0〜4であり、R及びR’は、独立に、H、アルキル、アリール又はアルキルアリールである)が含まれる。置換基には、また、任意に置換されたヘテロ原子による、炭素原子及び1個又は2個以上の付随する水素原子の置換が含まれる。
【0040】
「スルホニル」は、−S(O)2R(式中、Rは、アルキル、アリール、−C(CN)=C−アリール、−CH2CN、アルキルアリール又はアミンである)を指す。
【0041】
「チオアミド」は、−C(S)NR’R’’(式中、R’及びR’’は、独立に、水素、アルキル、アリール及びアルキルアリールから選択される)を指す。
【0042】
「チオエーテル」は、−SR(式中、Rは、アルキル、アリール又はアルキルアリールである)を指す。
【0043】
本明細書に於いて「多重化(multiplexing)」は、複数のアナライトを同時に分析することができる、分析又は他の分析的方法を指す。
「任意の」又は「任意に」は、続いて記載する事象又は状況が起きてもよく又は起きなくてもよいこと並びにこの記載に、該事象又は状況が単独で又は複数で起きている例及びこれが全く起きていない例が含まれることを意味する。例えば、句「任意に置換されたアルキル」は、置換されていてよい又は置換されていなくてよいアルキル単位を意味し、この記載には、置換されていないアルキル、単置換されたアルキル及び多置換されたアルキルの全てが含まれる。
【0044】
極性媒体中に可溶性である共役ポリマー
極性媒体中に可溶性である共役ポリマー(CP)が提供され、本明細書に記載された実施形態に於いて使用することができる。CPには、極性媒体中のポリマー溶解度を増加させるための、ポリマーサブユニットに結合された可溶化官能基としての極性基が含まれている。CPのサブユニットの何れか又は全てに、1個又は2個以上の側鎖可溶化基が含まれていてよい。代表的な極性基には、1個又は2個以上の双極子モーメントをCPに導入するもの、例えば、ハロゲン化物、ヒドロキシル、アミン、アミド、シアノ、カルボン酸、スルホン酸及びチオールが含まれる。
【0045】
好ましくは、極性基は、荷電基、更に好ましくはカチオン性基である。どのような適切なカチオン性基も、CCPの中に含有させることができる。含有させることができる代表的なカチオン性基には、アンモニウム基、グアニジニウム基、ヒスチジン、ポリアミン、ピリジニウム基及びスルホニウム基が含まれる。
【0046】
この可溶化基は、リンカー、好ましくは非共役リンカー、例えば、アルキル基、ポリエーテル、アルキルアミン及び/又はポリアミンによって、共役ポリマー主鎖に結合させることができる。
【0047】
荷電基を共役ポリマーの中に導入するための一つの合成的アプローチは、下記の通りである。最初に、中性ポリマーを、1種又は2種以上のビス−(又はトリス−など)ボロン酸置換されたモノマーと、1種又は2種以上の、芳香族環位置上に少なくとも2個の臭素置換基を有するモノマーとの、スズキカップリングによって形成する。臭素基は、リンカーを介してモノマーの何れか又は全てに結合している。カチオン性水溶性ポリマーへの転換は、凝縮したトリメチルアミン(これは、側鎖臭素をアンモニウム基によって置換する)の添加によって達成される。
【0048】
幾つかの実施形態に於いて、共役ポリマーには、望ましくは、ポリマー全体の導電率を変えて、電気種を輸送するためのその能力を増加させる導電性モノマーが含まれていてよい。例えば、共役ポリマーには、電子を注入及び/又は輸送するためのその能力を改良するモノマー(群)が含まれていてよい。共役ポリマーには、正孔を注入及び/又は輸送するためのその能力を改良するモノマー(群)が含まれていてよい。2種以上の導電性モノマーを、共役ポリマー中に含有させることができる。このようなポリマーの導電率は、所定の電子デバイス中の関心のある他の材料と相溶性である電子形状を与えるように選択することができる、使用するモノマー(群)の種類及び/又は量によって制御することができる。
【0049】
導電性モノマーは、電子不足モノマー又は電子富化モノマーであってよい。電子不足モノマーは、電子を注入及び/又は輸送するためのポリマーの能力を増加させるために、電子輸送層として機能するためのその能力を改良するために使用することができる。電子不足モノマーには、電子求引性基によって適切に置換された不飽和及び/又は芳香族基が含まれる。多数の電子不足モノマーが、当該技術分野に於いて公知である。代表的な電子不足モノマーには、ベンゾチアジアゾール、オキサジアゾール、キノキサリン、シアノ置換されたオレフィン、スクエア酸及びマレイミドが含まれる。
【0050】
電子富化モノマーは、正孔を注入及び/又は輸送するためのポリマーの能力を増加させるために、正孔輸送層として機能するためのその能力を改良するために使用することができる。電子富化モノマーには、電子供与性基、例えばアルキル基によって適切に置換された不飽和及び/又は芳香族基が含まれる。多数の電子富化モノマーが、当該技術分野に於いて公知である。代表的な電子富化モノマーには、9,9−ジアルキルフルオレン、2,5−ジメチル−1,4−フェニリデン、2,5−ジオクチルオキシ−1,4−フェニリデン及びテルチオフェンが含まれる。
【0051】
ポリマーの組成物は、また、ある種の導電性を防止するように選択することができる。例えば、ポリマーの組成物は、それが、正孔ブロッキング特性(これは、例えば、ポリマー発光ダイオード(PLED)に於ける、ある種のデバイス形状に於いて望ましいであろう)を有するように選択することができる。
【0052】
CPは、コポリマーであってよく、そしてブロックコポリマー、グラフトコポリマー又は両者であってよい。可溶化官能基及び/又は導電性サブユニットは、CPの中に、ランダムに、交互に、周期的に及び/又はブロックで含有させることができる。
【0053】
本発明の化合物の主鎖を形成することができる代表的なポリマーには、例えば、ポリピロール、ポリフルオレン、ポリフェニレン−ビニレン、ポリチオフェン、ポリイソチアナフテン、ポリアニリン、ポリ−p−フェニレン及びこれらのコポリマーが含まれる。他の代表的なポリマー性サブユニット及び繰り返し単位を、付属する表に示す。
【0054】
【表1】
【0055】
【表2】
CPには、ポリマー全体を極性媒体中に可溶性にするために十分な密度の可溶化官能基が含有されている。CPには、好ましくは、少なくとも約0.01モル%の、少なくとも1個の可溶化官能基で置換されたモノマーが含有されており、そして少なくとも約0.02モル%、少なくとも約0.05モル%、少なくとも約0.1モル%、少なくとも約0.2モル%、少なくとも約0.5モル%、少なくとも約1モル%、少なくとも約2モル%、少なくとも約5モル%、少なくとも約10モル%、少なくとも約20モル%又は少なくとも約30モル%が含有されていてよい。CPには、100モル%以下の可溶化官能基が含有されていてよく、そして約99モル%以下、約90モル%以下、約80モル%以下、約70モル%以下、約60モル%以下、約50モル%以下又は約40モル%以下が含有されていてよい。
【0056】
CPには、好ましくは、少なくとも約0.01モル%の、導電性モノマーが含有されており、そして少なくとも約0.02モル%、少なくとも約0.05モル%、少なくとも約0.1モル%、少なくとも約0.2モル%、少なくとも約0.5モル%、少なくとも約1モル%、少なくとも約2モル%、少なくとも約5モル%、少なくとも約10モル%、少なくとも約20モル%又は少なくとも約30モル%が含有されていてよい。CPには、100モル%以下の導電性モノマーが含有されていてよく、そして約99モル%以下、約90モル%以下、約80モル%以下、約70モル%以下、約60モル%以下、約50モル%以下又は約40モル%以下が含有されていてよい。
【0057】
望ましくは、本明細書中に記載されたCPは、水溶液及び他の高度に極性の溶媒中に可溶性であり、好ましくは、水中に可溶性である。「水溶性」によって、物質が、優勢的に水性の溶液(これは、50体積%よりも多くの水を含有するけれども、限定無しに、緩衝剤、ブロッキング剤、共溶媒、塩、金属イオン及び洗剤を含む他の物質をこの溶液から排除しない)中に、溶解度を示すことが意味される。
【0058】
一つの実施形態に於いて、代表的CCPは、一般式A:
【0059】
【化1】
によって表される。
【0060】
一般式Aに於いて、CP1、CP2、CP3及びCP4は、任意に置換された共役ポリマーセグメント又はオリゴマー構造であり、そして同じか又はお互いから異なっていてよい。CP1、CP2、CP3及びCP4は、芳香族繰り返し単位であってよく、そして、それぞれ任意に置換されている、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フルオレン、チオフェン、フラン、ピリジン及びオキサジアゾールからなる群から選択することができる。典型的な芳香族繰り返し単位を下記の表1に示し、代表的なポリマーセグメント及びオリゴマー構造を表2に示す。CP1-4の1個又は2個以上は、電子注入及び/若しくは輸送特性又は正孔注入及び/若しくは輸送特性を有する導電性モノマーであってよい。導電性モノマーは、ポリマー主鎖に沿って、均一に又はランダムに分布していてよい。
【0061】
CP1、CP2、CP3及びCP4は、それぞれ任意に、1個又は2個以上の位置で、−R1−A、−R2−B、−R3−C及び−R4−D(これらは、橋架け官能基−E−及び−F−を介して結合されている)から選択された1個又は2個以上の基によって置換されている。但し、ポリマーは、全体として、複数のカチオン性基によって置換されていなくてはならない。
【0062】
1、R2、R3及びR4は、独立に、それぞれ任意に置換された、アルキル、アルケニル、アルコキシ、アルキニル及びアリール、アルキルアリール、アリールアルキル並びにポリアルキレンオキシドから選択され、これらは1個若しくは2個以上のヘテロ原子を含有していてよく又は存在しなくてよい。R1、R2、R3及びR4は、独立に、C1-22アルキル、C1-22アルコキシ、C1-22エステル、1〜約22個の炭素原子を有するポリアルキレンオキシド、1〜約22個の炭素原子を有する環式クラウンエーテルから選択することができ又は存在していなくてよい。好ましくは、R1、R2、R3及びR4は、1〜約12個の炭素原子を有する直鎖若しくは分枝鎖アルキル基又は1〜約12個の炭素原子を有するアルコキシ基から選択することができる。2個以上の官能基が、1個又は2個以上の位置で、式に示されたような環に結合してよいことが理解されるべきである。
【0063】
A、B、C及びDは、独立に、H、−SiR’R’’R’’’、−N+R’R’’R’’’、グアニジニウム基、ヒスチジン、ポリアミン、ピリミジニウム基及びスルホニウム基から選択される。R’、R’’及びR’’’は、独立に、水素、C1−12アルキル、C1−12アルコキシ及びC3−10シクロアルキルからなる群から選択される。R’、R’’及びR’’’が、低級アルキル又は低級アルコキシ基であることが好ましい。
【0064】
E及びFは、独立に、存在しない、−O−、−S−、−C(O)−、−C(O)O−、−C(R)(R’)−、−N(R’)−及び−Si(R’)(R’’)−(式中、R’及びR’’は、前記定義された通りである)から選択される。
【0065】
Xは、O、S、Se、−N(R’)−又は−C(R’)(R’’)−であり、Y及びZは、独立に、−C(R)=及び−N=から選択される(式中、R、R’及びR’’は前記定義された通りである)。
【0066】
m及びnは、独立に、0〜約10,000である(但し、m+n>1)。好ましくは、m及びnは、それぞれ独立に、0〜約20、更に好ましくは0〜約10である。m及びnのそれぞれの繰り返しは、他の繰り返しと同じであるか又は他の繰り返しとは異なっていてよい。
【0067】
a、b、c及びdは、独立に、0〜約250である。a、b、c及びdの少なくとも1個は、1以上でなくてはならない。
【0068】
G及びG1は、キャッピング単位であり、そして同じか又は異なっていてよい。このキャッピング単位は、ポリマー鎖を延長するための更なる化学反応を可能にする活性化された単位であってよく又は活性化されていない末端停止単位であってよい。G及びG1は、独立に、水素、任意に置換されたアリール、ハロゲン置換されたアリール、ボロン酸置換されたアリール及びボロナート(boronate)基置換されたアリールから選択することができる。
【0069】
共役ポリマーは、また、精製された形で提供されてよい。精製のために、どのような利用可能な方法又は方法の組合せも使用することができる。代表的な方法には、沈殿、抽出及び昇華が含まれる。CPの溶液も提供される。溶液は、全ての適切な形状の容器内で提供することができる。溶液は、溶液処理装置、例えば、プリンタの中に含有させるために設計された容器内に包装することができる。幾つかの実施形態に於いて、溶液は、インクジェットプリンタで使用するように設計されたインクジェットカートリッジ内で提供することができる。
【0070】
極性溶媒
可溶性共役ポリマーを溶解させるために使用される媒体は、極性であり、少なくとも1種の極性溶媒を含む。「極性」によって、正味双極子モーメントを有することが意味される。代表的な極性溶媒には、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ギ酸、酢酸、酢酸エチル、水、アルコール及びポリアルコール、特に低級アルコール(C1-4)、特にメタノールが含まれる。好ましくは、極性溶媒は、少なくともエタノール又は酢酸エチルのものの極性を有する。幾つかの実施形態に於いて、CPを溶解させるために使用される極性溶媒は、その上にCPを堆積すべき第二の共役ポリマーを溶解させるためのその無能力性に基づいて選択される。
【0071】
ある種の実施形態に於ける極性溶媒及び幾つかの実施形態に於けるそれから形成された溶液は、それが適用されるべき表面上で濡れ性であり、そうして、それが堆積されたとき、それは、一般的に均一に且つ一様に表面上を流れ、好ましくは厚さが制御可能である。溶媒の組合せも使用することができる。好ましくは、溶媒は基体上で十分に濡れ性であり、溶液は、その上に堆積されたとき適切に広がる。表面を濡らすためのその能力を改良し及び/又はその表面張力を低下させるために、1種又は2種以上の湿潤剤を溶液中に含有させることができる。例えば、水を含む溶液は、アルコール、界面活性剤又は湿潤剤として役立つそれに添加された材料の組合せを有していてよい。
【0072】
使用方法
本明細書に記載されたCPは、種々の方法に於いて使用することができる。特に関心のある方法には、電子デバイス、特に共役ポリマーの多層を含むデバイスの中への、CPの堆積が含まれる。限定無しに、真空スパッタリング(RF又はマグネトロン)、電子ビーム蒸発、熱蒸着、化学蒸着、昇華及び溶液処理方法を含む、種々の堆積方法の何れも、所定のデバイスに於いて使用することができる。本発明に於いて提供された可溶性極性ポリマーを堆積するために、当該技術分野に於いて知られている又は見出すことができる何れの堆積方法も使用することができるけれども、溶液方法が現在好ましい。
【0073】
これらの層は、普通、スピンコーティング、ドロップ流延(drop casting)、逐次スピン流延、ラングミュア−ブロジェットフィルムの形成又は静電吸着技術[28]によって堆積される。製造物品は、ポリマー層の段階的堆積によって製作することができる。本発明に於いて提供されたCPの水溶解度によって、製造の間にある種の利点を与え、材料の薄い層の堆積を含む、異なった溶解度を有する異なった材料の層の逐次的堆積が可能になる。
【0074】
特別の実施形態に於いて、製造物品の中にCPを含有させるために、溶液処理方法を使用することができる。CPを堆積するために、印刷技術、例えば、インクジェット印刷、オフセット印刷などを、有利に使用することができる。
【0075】
複数の共役ポリマー層を含む多層デバイス中にCPを使用する場合、これらの層の1個又は2個以上に、関心の極性媒体中に可溶性ではない非極性共役ポリマーが含有されていてよい。これらには、例えば、MEH−PPV、P3AT[ポリ(3−アルキルチオフェン)(ここで、アルキルは6〜16個の炭素である)]、例えば、ポリ(2,5−ジメトキシ−p−フェニレンビニレン)−「PDMPV」及びポリ(2,5−チエニレンビニレン);ポリ(フェニレンビニレン)又は「PPV」及びそのアルコキシ誘導体;PFO、PFO−BT並びにポリアニリンが含まれる。非極性共役ポリマーは、全ての適切な技術によって堆積することができる。幾つかの実施形態に於いて、これは、溶液から直接、堆積又は流延することができる。典型的に、典型的に低い極性を有する有機溶媒が使用される。代表的な有機溶媒には、ハロ炭化水素、例えば、塩化メチレン、クロロホルム及び四塩化炭素、芳香族炭化水素、例えば、キシレン、ベンゼン、トルエン並びにデカリンを含む他の炭化水素が含まれる。
【0076】
混合した溶媒も使用することができる。非極性ポリマーと極性ポリマーとの異なった溶解度特性によって、溶液処理方法による多重ポリマー層の堆積が可能になり、これは、製造を単純化しそしてコストを低下させることができる。本明細書に記載した水溶性ポリマーによって、二層又は多層デバイスを形成するための、異なった溶解度のポリマーの交互層の溶液堆積が可能になる。
【0077】
基体の上に共役ポリマーを堆積するとき、溶液は比較的希薄であってよく、例えば、濃度が0.1〜20%w/w、特に0.2〜5%wであってよい。幾つかの実施形態に於いて、フィルム厚さは、少なくとも約50、100又は200nmであってよい。幾つかの実施形態に於いて、約400、200又は100nmよりも薄いフィルム厚さを使用することができる。
【0078】
ポリマー溶液は、全ての適切な方法、例えば、押出により、所望により選択された形状、例えば、繊維、フィルムなどに形成することができる。
【0079】
共役ポリマーを含有する溶液を堆積した後、溶媒を除去する。溶媒を除去するために、どのような利用可能な方法又は方法の組合せも使用することができる。代表的な溶媒除去方法には、蒸発、加熱、抽出及び溶液を真空に付すことが含まれる。
【0080】
幾つかの実施形態に於いて、共役ポリマーを基体の上に堆積することができる。この基体は、広範囲の材料、即ち、生物学的材料、非生物学的材料、有機材料、無機材料又はこれらの何れかの組合せを含んでいてよい。幾つかの実施形態に於いて、この基体は透明であってよい。この基体は、硬質材料、例えば硬質プラスチック又は硬質無機酸化物であってよい。この基体は、軟質材料、例えば、透明な有機ポリマー、例えばポリエチレンテレフタレート又は軟質ポリカーボネートであってよい。この基体は、導電性又は非導電性であってよい。
【0081】
CPは、種々のフォーマットの何れかで、基体の上に堆積することができる。例えば、基体は、重合したラングミュア−ブロジェットフィルム、官能化されたガラス、Si、Ge、GaAs、インジウムドープトGaN、GaP、SiC(ネイチャー(Nature)430:1009、2004)、SiO2、SiN4、半導体ナノ結晶、変性シリコン又は広範囲の種々のゲル若しくはポリマー、例えば、(ポリ)テトラフルオロエチレン、(ポリ)ビニリデンジフルオリド、ポリスチレン、架橋したポリスチレン、ポリアクリル、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、(ラクチド)−(グリコリド)共重合体、ポリ無水物、ポリ(メチルメタクリレート)、(エチレン)−(酢酸ビニル)共重合体、ポリエチレンテレフタレート、ポリシロキサン、ポリマー性シリカ、ラテックス、デキストランポリマー、エポキシド、ポリカーボネート、アガロース、ポリ(アクリルアミド)又はこれらの組合せであってよい。導電性ポリマー及び光導電性材料を使用することができる。基体は、フォトダイオード、オプトエレクトロニクスセンサー、例えば、オプトエレクトロニクス半導体チップ若しくはオプトエレクトロニクス薄膜半導体又はバイオチップの形態を取ることができる。
【0082】
CPは、関心の全ての特性についてCPをスクリーンする方法に於いて使用することができる。例えば、CPは、ターゲットに結合することについて、発色団へのエネルギー移動について、増加した蛍光効率について、減少した自己クエンチングについて、吸光度波長、発光波長、導電性特性、電子を注入及び/若しくは輸送する能力、正孔をブロックする能力、正孔を注入及び/若しくは輸送する能力並びに/又は仕事関数などについて試験することができる。
【0083】
製造物品
CPは、オプトエレクトロニクス又はエレクトロニクスデバイス、バイオセンサー、フォトダイオード及び発光ダイオード(LED)を含むダイオード、オプトエレクトロニクス半導体チップ、半導体薄膜及びチップを含む種々の製造物品の何れの中にも含有させることができ、アレイ又はミクロアレイ形で使用することができる。このポリマーは、ポリマー性フォトスイッチの中に含有させることができる。このポリマーは、光信号を電気インパルスに転換させるための光インターコネクト又はトランスデューサーの中に含有させることができる。CPは、液晶材料として機能することができる。CPは、電気化学電池の電極として、エレクトロクロミック・ディスプレイ中の導電層として、電界効果トランジスターとして及びショットキーダイオードとして使用することができる。
【0084】
CPは、レージング材料として使用することができる。光学的ポンプドレーザー発光が、従来の色素レーザーとの直接類似性で、適切な溶媒中の希薄溶液中のMEH−PPVから報告された[D.Moses、Appl.Phys.Lett.、第60巻、第3215頁(1992年)、米国特許第5,237,582号明細書]。生の未希釈フィルムの形での半導性ポリマーは、固体レーザー内の活性発光材料として示された[F.Hide、M.A.Diaz−Garcia、B.J.Schwartz、M.R.Andersson、Q.Pei及びA.J.Heeger、Science、第273巻、第1833頁(1996年)、N.Tessler、G.J.Denton及びR.H.Friend、Nature、第382巻、第695頁(1996年)]。固体レーザー用の材料としての半導性ポリマーの使用は、Diaz−Garciaらに対して1999年3月9日に発行された米国特許第5,881,083号明細書、発明の名称「固体レーザー用の材料としての共役ポリマー(Conjugated Polymers as Materials for Solid State Lasers)」に開示されている。半導性ポリマーに於いて、発光は、分子間及び分子内エネルギー移動からもたらされる顕著な吸収の開始よりも長い波長で起こる(ストークスシフト)。従って、発光された放射線の最小自己吸収が存在し[F.Hideら、Science、第273巻、第1833頁(1996年)]、そうして自己吸収は、材料損失を大きくしない。更に、吸収及び発光はスペクトル的に分離されるので、π→π*遷移により励起状態をポンピングすることは、発光を刺激せず、そして反転占有数を比較的低いポンプ力で得ることができる。
【0085】
発光ダイオードは導電層として機能し得るCPの1個又は2個以上の層を含有させることによって製作できる。光は種々の方法で、例えば、1個又は2個以上の透明な又は半透明な電極を使用し、それによって発生した光をデバイスから出すことによって発光させることができる。
【0086】
ポリマーLEDの作用の機構は、電極を、半導性ポリマーの電子構造物に適合させることによって、キャリア注入を最適化させ、バランスさせることを必要とする。単層デバイスに於ける最適注入のために、アノードの仕事関数は、バランスバンド、Evのほぼ頂部(π−バンド又は最高被占分子軌道、HOMO)に存在しなくてはならず、カソードの仕事関数は、導電バンド、Ecのほぼ底(π*−バンド又は最低空分子軌道、LUMO)に存在しなくてはならない。
【0087】
LED実施形態には、正孔注入及び電子注入電極が含まれる。高い仕事関数材料(約4.5eV)から製造された導電層は、正孔注入電極として使用することができる。代表的な高仕事関数材料には、電気陰性金属、例えば、金又は銀及び金属−金属酸化物混合物、例えば、インジウム−スズ酸化物が含まれる。電子注入電極は、典型的に4.3よりも低い仕事関数を有する、低仕事関数金属又は合金から製造することができる。代表的な低仕事関数材料には、インジウム、カルシウム、バリウム及びマグネシウムが含まれる。電極は全ての適切な方法によって適用することができ、多数の方法が当該技術分野で公知である(例えば、蒸発、スパッタリング又は電子ビーム蒸発)。
【0088】
幾つかの実施形態に於いて、ポリマー発光ダイオードは、デバイス形状:ITO(インジウムスズ酸化物)/PEDOT(ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン))/発光性ポリマー/ETL/Ba/Alで、発光層として有機溶媒中の溶液から流延した半導性ポリマー及び電子輸送層(ETL)として水溶性(又はメタノール溶解性)共役コポリマーを使用して製作されている。本発明者らは、発光層として、有機溶媒中の溶液から流延した、半導性ポリマー(赤色、緑色又は青色発光)及び電子輸送層として水溶性(又はメタノール溶解性)カチオン性共役コポリマーを使用して、多層PLEDを成功裡に製作した。
【0089】
実施例は、正孔注入及び/又は輸送層としての可溶性導電性ポリマーの使用並びに電子注入及び/又は輸送特性を有する可溶性導電性ポリマーの使用を示す。デバイス形状及び堆積順序は、使用する導電性ポリマーの種類に依存して選択することができる。2種類以上の導電性ポリマーを、同じ多層デバイス中に使用することができる。多層デバイスには、2個以上の電子注入共役ポリマーの層、2個以上の正孔注入共役ポリマーの層又は少なくとも1個の正孔注入ポリマーの層及び少なくとも1個の電子注入共役ポリマーの層が含まれてよい。その結果は、ETL、HTL又は両方を有するデバイスが、特に、著しく低いターンオン電圧、より高い明るさ及び改良された発光効率を有するフォーマットに於いて、改良された特徴を有することを示す。
【0090】
PLEDに於いて、デバイス効率は、再結合帯域が典型的にカソードの近くに配置されているので、カソードクエンチングによって低下される[20]。ETLの添加は、再結合帯域をカソードから遠くの方に輸送し、それによってカソードクエンチングを除く。更に、ETLは、金属原子、例えば、バリウム及びカルシウムの拡散を阻止するように作用し、それによって、カソード堆積工程の間のクエンチング中心の発生を防止する[20]
【0091】
幾つかの実施形態に於いて、可溶性共役ポリマーを、ポリマー発光ダイオード(PLED)中の電子輸送層(ETL)として使用するとき、主な規準は下記の通りである。(1)ETLの最低空分子軌道(LUMO)は、発光半導性ポリマーのπ*−バンドに近い又はその中で等しいエネルギーになくてはならない(そうして、電子を注入することができる)及び(2)電子注入材料を流延するために使用される溶媒は、下にある発光性ポリマーを溶解してはならない。
【0092】
同様に、ポリマー発光ダイオード(PLED)中に使用するためのポリマー系正孔輸送層(HTL)のための主な規準は、HTLの最高被占分子軌道(HOMO)が、発光半導性ポリマーの価電子帯に近い又はその中で等しいエネルギーになくてはならないことである。
【0093】
溶解度考慮は、所望のデバイス形状を作るために使用される特別のCP及び溶媒の堆積順序を指定できる。異なった溶解度を有するCPの多数の層を、これらの技術を使用することによって、溶液処理によって堆積することができる。
【0094】
本明細書に記載したCPを含むPLEDを、フルカラーLEDディスプレイ、セル電話ディスプレイ、PDA(パーソナルデジタルアシスタント)、複数の機能を発揮する携帯組合せデバイス(電話/PDA/カメラ/等々)、テレビジョン又はモニターを含むフラットパネルディスプレイ、コンピュータモニター、ラップトップコンピュータ、コンピュータノートパド及び統合コンピュータ−モニターシステムを含む、全ての利用可能なディスプレイデバイス中に組み込むことができる。PLEDは、能動又は受動マトリックス中に組み込むことができる。
【0095】
実施例
下記の実施例は、本発明の製造方法及び使用方法の完全な説明を当業者に提供するように記載され、そして発明として見なされるものの範囲を限定することを意図しない。使用した数字(例えば、量、温度など)に関して正確性を確保する努力を払ったが、幾らかの実験誤差及び偏差が考えられるべきである。他の方法で示さない限り、部は重量部であり、温度は摂氏度であり、圧力は大気圧又はその付近であり、全ての材料は市販されている。
【実施例1】
【0096】
PLEDの製作
一つの実施形態に於いて、ポリマー発光ダイオード(PLED)を、デバイス形状:ITO/PEDOT/発光性ポリマー/ETL/Ba/Alで、発光層として有機溶媒中の溶液から流延した半導性ポリマー及び電子輸送層(ETL)として水溶性(又はメタノール溶解性)共役コポリマーを使用して製作した。この結果は、ETLを有するデバイスが、著しく低いターンオン電圧、より高い明るさ及び改良された発光効率を有することを示している。図参照。
【0097】
水溶性共役コポリマーである、[9,9−ビス(6’−(N,N,N−トリメチルアンモニウム)ヘキシル)−フルオリン−2,7−ジイル]−[2,5−ビス(p−フェニレン)−1,3,4−オキサジアゾール]交互共重合体(PFON+(CH33-−PBD)を、パラジウム触媒作用スズキカップリング反応[13,14]を使用して合成し、そして電子輸送層(ETL)として使用した。(9,9−ジヘキシル−フルオレン)−(ベンゾチアジアゾール)共重合体(PFO−BT)もまた、スズキカップリング反応[15]を使用して合成した。ポリ(9,9−ジオクチルフルオレニル−2,7−ジイル)(PFO)及びポリ[2−メトキシ−5−(2−エチル−ヘキシルオキシ)−1,4−フェニレンビニレン](MEH−PPV)は、アメリカン・ダイ・ソース社(American Dye Source, Inc)(カナダ)から購入した。PFO、PFO−BT、MEH−PPV及びPFON+(CH33-−PBDの分子構造を下記に示す。
【0098】
【化2】
HOMO(最高被占分子軌道)及びLUMOエネルギーレベルを、図1に示す(図1には、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)、ポリ(スチレンスルホン酸)(PEDOT:PSS)及びバリウムの仕事関数も、比較のために示す)。インジウムスズ酸化物(ITO)上のPEDOT:PSSを、正孔注入二層電極として使用した。PLEDSは、ETL層有り及び無しで、下記のデバイス構造、即ち、(ITO)/PEDOT:PSS/発光性ポリマー/Ba/Al及び(ITO)/PEDOT:PSS/発光性ポリマー/ETL/Ba/Alで製作した。デバイス製作及び試験の詳細は、他のところで報告した。全ての製作工程は、窒素雰囲気下で制御された雰囲気ドライボックス内で実施した[16,17]。ETLを、発光層の上に、メタノール中の溶液(0.6重量%)からのスピン流延によって堆積して、約30nmの厚さを有するPFON+(CH33-−PBD層を形成し、次いで90℃で2時間アニールして、残留溶媒を除去した。(水ではなく)親水性メタノールを溶媒として使用して、よく規定された多層を維持しながら、より良い層間濡れを達成した。用語「発光性ポリマー/ETL」を、ETLを有するデバイスを指定するために使用した。
【実施例2】
【0099】
水溶性CCPを含むPLEDのキャラクタリゼーション
図2は、ETL有り及び無しで、PFOを使用して製造されたデバイスの、電流密度対電圧及び明るさ対電圧特性を示す。PFO/ETLデバイスは、約3Vでターンオンし(ターンオン電圧は、0.1cd/m2の明るさでの電圧として定義される)、一方、ETL無しで製造されたPFOデバイスについて、ターンオン電圧は約5Vである[18]。6Vで、PFO/ETLデバイスから得られた輝度(luminance)(L)は、ETL無しのデバイスについてのL=30cd/m2に比較して、L=3450cd/m2である。
【0100】
同様の改良は、緑色及び赤色発光共役ポリマーで製造されたデバイスから観察された。MEH−PPV/ETLデバイスについて、ETL無しで製作した類似のデバイスについてのL=3550cd/m2に比較して、5VでL=5600cd/m2である。従って、ETLの追加は、より低いターンオン電圧及びより高い明るさになる。
【0101】
明るさに於ける劇的な改良及び低下したターンオン電圧は、改良された電子注入(発光性ポリマー(群)のπ*−バンドに対する、ETLのLUMOの良好な適合が存在する)から及びETLの正孔ブロッキング能力(真空に対して6.24eVでのLUMOエネルギー)からもたらされる。
【0102】
ETL有り及び無しのデバイスについての、発光効率(cd/AでのLE)対電流密度(mA/cm2でのJ)を、図3a、3b及び3cに示す。図3に示されるように、ETL有りのデバイスは、所定の電圧で、より高い発光効率、より高い電力効率及び相当するより高い明るさを有する。
【0103】
LE及びPEに於ける改良は、PFON+(CH33-−PBDのものを有する発光性ポリマーのLUMOエネルギーレベルとバリウムの仕事関数とを比較することによって(図1参照)、いっそう詳細に理解できる。PFOのLUMOとバリウムの仕事関数との間のエネルギーバリヤーは、約0.6eVである。従って、PFON+(CH33-−PBD層をETLとして追加することによって、電子注入が増強される。
【0104】
PFO−BT及びMEH−PPVについて、電子注入のためのエネルギーバリヤーは存在しない。しかしながら、PFON+(CH33-−PBD層の正孔ブロッキング特徴は、より良くバランスされた電子流及び正孔流に至る。更に、増強された電子注入は、正孔注入を容易にすることができる[21]。従って、より大きい及びいっそう近くバランスされた電子流及び正孔流は、ETLを有するデバイスに於いてより高い発光効率に至る。
【0105】
界面エネルギーは、有機LEDの発光特徴に於いて重要な役割を演じることが知られている[22][23]。カソードと発光性ポリマーとの間にETLを追加することによって、両界面での接触が改良される。原子間力顕微鏡(AFM)画像は、ETLの表面が、発光性ポリマーのものよりもいっそう粗いことを示している。図4参照。結果として、ETLとカソードとの間の増加した接触面積のために、いっそう効率的な電子注入が簡単に達成される。
【0106】
結果。水及びメタノール溶解性共役ポリマー、PFON+(CH33-−PBDを、多層PLED中の電子輸送層として使用した。メタノール中の溶液からETLを、そして有機溶媒中の溶液から発光層を流延することによって、界面混合が回避された。発光層として青色、緑色又は赤色発光半導性ポリマーを使用し、ETLとしてPFON+(CH33-−PBDを使用して、性能に於ける顕著な改良が示された。更に重要なことに、本発明者らの結果は、多層PLEDを、複数の溶液の堆積によって製作できることを示している。
【実施例3】
【0107】
可溶性HTL/HIL及びETL/EILを含むPLEDの製造及びキャラクタリゼーション
HTL/HIL層、ETL/EIL層又は両方を含む、種々の形状にある多層PLEDを、下記のようにして製造し、そしてキャラクタリゼーションした。
【0108】
PVK−SO3Liの合成:PVKのスルホン化を、文献[S.Wangら、Macromolecules、2000年、第33巻、第3232頁]に記載された手順によって実施した。PVKのスルホン化度は約28%であった。スルホン化PVKを、最小量の熱エタノール中に溶解させ、得られた溶液を室温にまで冷却した。この溶液に、エタノール中の過剰のEtOLi溶液を添加し、そして白色沈殿を形成させた。この沈殿を濾過によって集め、冷却したエタノールで洗浄し、真空下で乾燥して、リチウム塩、PVK−SO3Liを得た。
【0109】
t−Bu−PBD−SO3Naの合成:t−Bu−PBD−SO3Hを、文献[T.J.Boyd、R.R.Schrock、Macromolecules、1999年、第32巻、第6608頁]に記載された手順によって合成した。水/THF(v/v 6:1)中のt−Bu−PBD−SO3Hの濃厚溶液を、食塩水の中に添加して、白色沈殿を得た。この沈殿をエタノールの中に抽出し、そしてエタノールを除去して、所望のナトリウム塩、t−Bu−PBD−SO3Naを得た。
【0110】
この実施例で使用した発光層には、1種又は2種以上の有機金属エミッタとの、1種又は2種以上の発光ポリマー(又はコポリマー)のブレンド(混合物)を含んでいる。発光層は、トリス(2,5−ビス−2’−(9’,9’−ジヘキシルフルオレン)ピリジン)イリジウム(III)、(Ir(HFP)3)とブレンドしたPFO又は5−ビフェニル−1,3,4−オキサジアゾールで末端封鎖したポリ(9,9−ジオクチルフルオレン)(PFO−ETM)から製造し、そしてデバイスは、1%フルオレノンを含むポリ(9,9−ジオクチルフルオレン−コフルオレノン)(PFO−F(1%))及びIr(HFP)3とのPFO−ETMのブレンドから製造した。PFO−ETM、PFO−F(1%)及びIr(HFP)3の分子構造を下記に示す。PFO−ETMの合成は、報告されている[X.Gongら、Adv.Func.Mater.、2004年、第14巻、第393頁]。青色発光性ポリマーを含有する他の発光性ポリマーもまた、本発明の実施に於いて使用することができる。Ir(HFP)3の合成は、報告されている[J.C.Ostrowskiら、Chem.Commun.、2002年、第7巻、第784頁]。PFO−F(1%)の合成も報告されている[X.Gong、D.Moses及びA.J.Heeger、Synth.Met.、2004年、第141巻、第17頁]。Ir(HFP)3は、中心原子としてIr、Pr、Os、Ru又はAuなどを有する錯体及び化合物である、有用な有機金属エミッタの代表である。
【0111】
【化3】
3種の貯蔵溶液、即ち、PFO−ETM、PFO−F(1%)及びIr(HFP)3を、それぞれ、50mgのPFO−ETM、20mgのPFO−F(1%)及び5mgのIr(HFP)3を、1mLのトルエンの中に溶解させることによって製造した。得られる0.5重量%のIr(HFP)3溶液を0.05重量%のIr(HFP)3にまで希釈した。この混合物を65℃で一晩攪拌し、次いで室温にまで冷却した。
【0112】
2種の発光性種を含有するタイプI溶液を、下記のようにして製造した。トルエン中の0.05重量%のIr(HFP)3の溶液2.4μL及びトルエン中の5重量%のPFO−ETMの溶液400μLを、純粋なトルエン197.6μLの中に添加した。
【0113】
3種の発光性種を含有するタイプII溶液を、下記のようにして製造した。トルエン中の0.05重量%のIr(HFP)3の溶液19.2μL及びトルエン中のwet%のPFO−ETMの溶液400μLを、純粋なトルエン180.8μLの中に添加した。
【0114】
エタノール中の0.5重量%のPVK−SO3Liの溶液を製造し、窒素雰囲気中で、PEDOT:PSSの予備形成した正孔注入層の上に、5000rpmでスピン流延し、その後、真空オーブン内で約85℃で24時間ベークして、正孔注入層の上に正孔輸送層を生成させた。例えば、ポリ(BTPD−Si−PFCB)のような代替の正孔輸送層を使用することができる。
【0115】
次いで、タイプI及びタイプII溶液を、窒素雰囲気中で、前記のようにして製造したPVK−SO3Li層の上に、2000rpmでスピン流延し、その後、窒素雰囲気中で65℃で20時間ベークして、正孔輸送層の上に種々の発光層を生成させた。
【0116】
エタノール中の0.5重量%のt−Bu−PBD−SO3Naの溶液を製造し、そして窒素雰囲気中で、幾つかの発光層の上に、5000rpmでスピン流延し、その後、真空オーブン内で約95℃で24時間ベークして、発光層の上に代表的電子輸送層を生成させた。例えば、PFON+(CH33-−PBDのような代替の電子輸送層を使用することができる。
【0117】
(電子注入用の)Ba電極を、t−Bu−PBD−SO3Na層の上に、約100オングストロームの厚さで形成させ、次いで、保護Alオーバー層を、10-6トールで蒸着により、約2000オングストロームの厚さで堆積した[X.Gongら、Adv.Mat.、2002年、第14巻、第581頁;X.Gongら、Adv.Mat.、2003年、第15巻、第45頁]。Ca又は他の低仕事関数金属(及びそれらの合金)を、電子注入層用に使用することができる。オーバー層を、全ての不活性金属、例えば、銀又は金を使用して製造することができる。
【0118】
「青色発光している」PFO−ETMからの強い緑色発光は、デバイス製作/操作の間に生じるフルオレノン欠如からもたらされる[X.Gongら、Adv.Func.Mater.、2003年、第13巻、第325頁]。PFO−F(1%)からの広い緑色発光は、PFO−ETM主成分からフルオレノン副成分への、コポリマー中の励起エネルギー移動に由来する。[X.Gongら、Synthe.Met.、2004年、第141巻、第17頁]。600nmでの極大及び620でのショルダーを有する赤色発光は、Ir(HFP)3三重項発光である。[X.Gongら、Adv.Mat.、2003年、第15巻、第45頁;J.C.Ostrowskiら、Chem.Commun.、2002年、第7巻、第784頁]。
【0119】
全てのタイプIデバイスは、より厚いフィルム厚さのために、PVK−SO3Li無しのデバイスよりも約1V高い、約6Vでターンオンすることが見出された。タイプIデバイスは、16VでLmax〜2.4×104cd/m2を有する。
【0120】
タイプIIデバイスは、より厚いフィルム厚さのために、PVK−SO3Li無しのデバイスよりも約1V高い、約6Vでターンオンすることが見出された。タイプIIデバイスは、25VでLmax〜1.0×104cd/m2を有する。
【0121】
図6は、それぞれ、HIL/HTLとしてPEDOT:PSS、ETLとしてt−Bu−PBD−SO3Na並びにHTLとしてPVK−SO3Li及びETLとしてt−Bu−PBD−SO3Naを有するタイプIデバイスについての、フォワードビューイング(forward viewing)外部発光効率(LEext)対電流密度、J(mA/cm2)並びにフォワードビューイング外部電力効率(PEext、lm/W)対J(mA/cm2)を示す。
【0122】
ディスプレイ応用について、ランベルト強度プロフィールを推定した。図6に示されるフォワードビューイング効率、LEext及びPEextは、下記の結果で測定された。[K.Mullen編、「エレクトロルミネセンス−合成からデバイスまで(Electroluminescence-from Synthesis to Device)」、Wiley−VCH、2005年(印刷中)。タイプIデバイスは、J=23mA/cm2(V=11V)で、LEext=10.4cd/A、L=2391cd/m2及びPEext=3 lm/Wを有する。J=200mA/cm2でも、タイプIデバイスは、L=19500cd/m2、LEext=9.5cd/A及びPEext=2 lm/Wを有することに注目されたい。200mA/cm2でのLEext及びPEextは、白色OLED及びPLEDについて以前報告された何れのものよりも著しく高い。
【0123】
図6に示されるように、ETLとしてt−Bu−PBD−SO3Naを含有する白色PLEDからのLEextは、t−Bu−PBD−SO3Naを含有しないものよりも高い。同様に、HTLとしてPVK−SO3Na及びETLとしてt−Bu−PBD−SO3Naの両方を含有する白色PLEDからのLEextは、ETLとしてt−Bu−PBD−SO3Naのみを含有するものよりも高い。従って、これらの結果は、正孔及び電子注入のためのエネルギーバリヤーを減少するHTL及びETLを含有するPLEDは、最高のLEext及びPEextを有し、それに応じて、与えられたJで最高のLを有することを示している。
【0124】
図7は、それぞれ、HIL/HTLとしてPEDOT:PSS、ETLとしてt−Bu−PBD−SO3Na並びにHTLとしてPVK−SO3Li及びETLとしてt−Bu−PBD−SO3Naを有するタイプIIデバイスについての、フォワードビューイング外部発光効率(LEext)対電流密度、J(mA/cm2)並びにフォワードビューイング外部電力効率(PEext、lm/W)対J(mA/cm2)を示す。タイプIIデバイスについて、J 12mA/cm2(V=15V)で、LEext=7.2cd/A、L=882cd/m2及びPEext=1.5 lm/W。J=200mA/cm2でも、タイプIIデバイスは、L=9600cd/m2、LEext=4.8cd/A及びPEext 0.65 lm/Wを有することに注目されたい。再び、200mA/cm2でのLEext及びPEextは、白色OLED及びPLEDについて以前報告された何れのものよりも著しく高い。
【0125】
図7に示されるように、ETLとしてt−Bu−PBD−SO3Naを含有する白色タイプII PLEDからのLEextは、t−Bu−PBD−SO3Naを含有しないものよりも高い。同様に、HTLとしてPVK−SO3Na及びETLとしてt−Bu−PBD−SO3Naの両方を含有する白色PLEDからのLEextは、ETLとしてt−Bu−PBD−SO3Naのみを含有するものよりも高い。
【0126】
本発明を、好ましい実施形態を参照して幾らか詳細に説明したけれども、当業者は、本明細書中の教示に照らして、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、一定の変更及び修正を行うことができることを実現するであろう。従って、本発明は、特許請求の範囲によってのみ限定される。
【0127】
文献
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【図面の簡単な説明】
【0128】
図1】Baの仕事関数に対して比較した、ポリ(9,9−ジオクチルフルオレニル−2,7−ジイル)(「PFO」)、(9,9−ジヘキシル−フルオレン)−(ベンゾチアジアゾール)共重合体(「PFO−BT」)、ポリ[2−メトキシ−5−(2−エチル−ヘキシルオキシ)−1,4−フェニレンビニレン](「MEH−PPV」)及び[9,9−ビス(6’−(N,N,N−トリメチルアンモニウム)ヘキシル)−フルオリン−2,7−ジイル]−[2,5−ビス(p−フェニレン)−1,3,4−オキサジアゾール]交互共重合体(「PFON+(CH33-−PBD」)の、HOMO(最高被占分子軌道)及びLUMO(最低空分子軌道)エネルギーレベルを示す(全て、真空に対して参照される)。
図2】電子輸送層(ETL)として、PFON+(CH33-−PBD有り及び無しで、青色発光PFOを使用して製造されたデバイスについての、電流密度(mA/cm2)対適用電圧(V)及び輝度(cd/m2)対適用電圧(V)を示す。
図3(a)】ETL有り及び無しで、PFOで製造されたデバイスについての、電流密度(mA/cm2)の関数としての発光効率(cd/A)を示す。差し込み図:ETL有り及び無しでPFOによって製造されたデバイスについての電力効率(lm/W)対バイアス(V)。
図3(b)】ETL有り及び無しで、PFO−BTで製造されたデバイスについての、電流密度(mA/cm2)の関数としての発光効率(cd/A)を示す。差し込み図:ETL有り及び無しで、PFO−BTによって製造されたデバイスについての、明るさ(cd/m2)対電流密度(mA/cm2)。
図3(c)】ETL有り及び無しで、MEH−PPVで製造されたデバイスについての、電流密度(mA/cm2)の関数としての発光効率(cd/A)を示す。差し込み図:ETL有り及び無しで、MEH−PPVによって製造されたデバイスについての、明るさ(cd/m2)対電流密度(mA/cm2)。
図4】(a)及び(b)は、ETLの表面及び発光性ポリマーの表面を示す、原子間力顕微鏡(AFM)画像である。ETL層は、示したスケールで、特徴の増加量をもたらし、ETLとカソードとの間の増加した接触面積のために、いっそう有効な電子注入を簡単にもたらす。
図5】PFO−ETM、PVK−SO3Li、t−Bu−PBD−SO3Naの最高被占分子軌道(HOMO)及び最低空分子軌道(LUMO)エネルギーレベル並びにPEDOT:PSS及びBaの仕事関数を示す。
図6】タイプIデバイスについて、それぞれ、HIL/HTLとしてポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン):スチレンスルホン酸PEDOT:PSS及びETLとしてt−Bu−PBD−SO3Naを有するデバイスについての並びにHTLとしてPVK−SO3Li及びETLとしてt−Bu−PBD−SO3Naを有するデバイスについての、フォワードビューイング外部発光効率(LEext)対電流密度、J(mA/cm2)並びにフォワードビューイング外部電力効率(PEext、lm/W)対J(mA/cm2)を示す。
図7】タイプIIデバイスについて、それぞれ、HIL/HTLとしてPEDOT:PSS及びEIL/ETLとしてt−Bu−PBD−SO3Naを有するデバイスについての並びにHIL/HTLとしてPVK−SO3Li及びEIL/ETLとしてt−Bu−PBD−SO3Naを有するデバイスについての、フォワードビューイング外部発光効率(LEext)対電流密度、J(mA/cm2)並びにフォワードビューイング外部電力効率(PEext、lm/W)対J(mA/cm2)を示す。
図1
図2
図3(a)】
図3(b)】
図3(c)】
図4
図5
図6
図7