(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記保持移動部材により移動させられる前記薄板部材が一時的に載置されると共に載置された前記薄板部材の表裏を反転させるために回転自在な回転テーブルを有する、前記第一収容部材と前記第二収容部材との間に設置された中間旋回ステージと、
前記保持移動部材と前記中間旋回ステージとの間で前記薄板部材の受渡を行うために、前記保持移動部材により前記中間旋回ステージの近傍に移動させられた複数枚の前記薄板部材を支持して前記回転テーブル上に載置すると共に、前記回転テーブル上に載置されている前記薄板部材を支持して前記保持移動部材に向けて突き出す第三突出部材と、
をさらに備えることを特徴とする請求項1記載の薄板部材移載装置。
前記保持移動部材は、前記第一収容部材と前記中間旋回ステージとの間で前記薄板部材を移動させるための第一保持移動部材と、前記中間旋回ステージと前記第二収容部材との間で前記薄板部材を移動させるための第二保持移動部材と、を備えることを特徴とする請求項2記載の薄板部材移載装置。
前記中間旋回ステージは、前記回転テーブル上に設置されて、当該回転テーブル上に載置された前記薄板部材を両側から支持する薄板支持部材であって、前記第三突出部材によって支持された複数枚の前記薄板部材が所定の間隔で前記回転テーブル上に載置されるように案内するガイド部材を有する薄板支持部材を一対備え、
当該ガイド部材は、前記回転テーブル上に載置されている複数枚の前記薄板部材間に一箇所置きに介在するガイドを有すると共に水平方向にスライド自在な横スライドガイド部を備え、前記横スライドガイド部を水平方向にスライド移動させることで、前記薄板部材を二枚ずつ重ね合わせることを特徴とする請求項2又は3記載の薄板部材移載装置。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係るウェハー移載装置について説明する。本実施形態では、薄板部材移載装置として、半導体ウェハーを真空吸着により保持して移載するウェハー移載装置を例に挙げて説明する。
図1は、本実施形態に係るウェハー移載装置の構成を示す斜視図である。
図2は、本実施形態に係るウェハー移載装置の正面図である。
【0013】
同図に示すように、ウェハー移載装置1は、カセット5と、ボート8と、第一吸着移動部材10と、第二吸着移動部材20と、中間旋回ステージ40と、第一突出ユニット50と、第二突出ユニット60と、第三突出ユニット70とを備えている。
【0014】
カセット5は、複数枚のウェハー3を所定の間隔(ピッチ)で収容する収容部材であり、本実施形態では、5mmピッチで50枚のウェハー3を収容する。ボート8も複数枚のウェハー3を所定の間隔で収容する収容部材であり、本実施形態では、4mm間隔で100枚のウェハー3を収容する。なお、カセット5は、ウェハー3を垂直に立てた垂直状態で収容するのに対して、ボート8は、ウェハー3を垂直状態から10°傾斜させた傾斜状態で収容するように構成されている。
【0015】
ウェハー移載装置1は、このカセット5内に収容されているウェハー3をボート8に移載する際に、ウェハー3の間隔を可変しながら移し替える。また、本実施形態に係るウェハー3の片面には、ウェハー3に所定の処理を施すための処理液が塗布されており(以下、処理液が塗布された側を表面とする)、移載処理の後工程において、ボート8を拡散炉に入れてウェハー3の表面が焼成される。
【0016】
そして、本実施形態では、処理液が塗布されていないもう一方の面(以下、こちらを裏面とする)を向かい合わせた状態で、二枚のウェハー3を重ね、二枚重ねの状態でボート8内に収容する。
【0017】
すなわち、ウェハー移載装置1は、移載の際に、カセット5内に収容されているウェハー3を一枚置きに反転させて二枚重ねにしながらボート8へと移載する機能を備えている。このため、本実施形態では、カセット5とボート8との間に中間旋回ステージ40を設置しており、この中間旋回ステージ40上にいったんウェハー3を載置し、中間旋回ステージ40によりウェハー3の反転を行っている。
【0018】
第一吸着移動部材20は、カセット5に収容されているウェハー3を5枚単位で中間旋回ステージ40へと移動させる。
図3は、第一吸着移動部材の下方から見た斜視図である。
図4は、第一吸着移動部材の吸着プレートの斜視図である。
図5は、第一吸着移動部材の吸着プレートによりウェハーを保持した状態を示す図である。
図6は、第一吸着移動部材のカム板駆動機構を示す斜視図である。
図7は、第一吸着移動部材によりウェハーを保持した状態を示す正面図であり、
図7(a)が吸着プレートのピッチを広げて保持した状態、
図7(b)が吸着プレートのピッチを狭めて保持した状態を示している。
【0019】
第一吸着移動部材10は、ウェハー3を一枚ずつ保持する保持具としての吸着プレート11と、プレート保持部材12と、エア供給部材13と、ピッチ可変部材15と、カバー17と、第一アーム30とを備えている。吸着プレート11は、
図4に示すように、板状形状であり、下端部分は、先端に向かってさらに厚みが薄くなるように尖った形状となっている。なお、
図3及び
図6では、吸着プレート11の厚みを省略して示している。
【0020】
吸着プレート11の上面には、吸着のためのエア供給口112が形成されている。また、吸着プレート11の側面には、ウェハー3を吸着プレート11に吸着するための吸着口113及び吹出口114が形成されている。
図4において、手前側の側面の4箇所に形成されているのが正圧によりエアを吹き出す吹出口114であり、奥側の側面の4箇所に形成され、点線で示されているのが負圧により吸引する吸着口113である。
【0021】
エア供給口112aは、吸着プレート11内のエア流路を介して吸着口113と接続されていると共に、チューブ等からなるエア供給部材13によって、エアポンプに接続されている。ウェハー3を保持する際には、吸着口113内が負圧になり、ウェハー3が吸着プレート11に真空吸着される。
【0022】
エア供給口112bは、吸着プレート11内のエア流路を介して吹出口114に接続されていると共に、チューブ等からなるエア供給部材13によって、エアポンプに接続されている。ウェハー3を保持する際には、吹出口114から吹き出されるエア流により、隣の吸着プレート11へ向けてウェハー3が押され、隣の吸着プレート11の吸着口113に当該ウェハー3を確実に吸着させることができる。
【0023】
吸着プレート11によるウェハー3の保持は、
図5に示すように、吸着プレート11によって、ウェハー3の上部が保持される。また、吸着プレート11の上部両端側には、切り欠き115が形成されており、この切り欠き115にプレート保持部材12の保持具が差し込まれることで、吸着プレート11がプレート保持部材12に固定保持される。
【0024】
ここで、第一吸着移動部材10は、並列に配置された6つの吸着プレート11及びプレート保持部材12を備えており、隣接する吸着プレート11の間の5箇所の隙間に5枚のウェハー3を保持して一度に移載することができる。なお、両端に位置する吸着プレート11の外側に位置する吸着口113及び吹出口114は、ウェハー3の保持に寄与しないため、これらには負圧や正圧は供給されない。
【0025】
また、第一吸着移動部材10は、ピッチ可変部材15を備えており、吸着プレート11の間隔を変更することで、保持するウェハー3の間隔を変更することができるように構成されている。ピッチ可変部材15は、
図6に示すように、カム板151と、プレート保持部材12の上部に形成されたカムフォロワ155と、カム板151をスライド駆動させるためのカム板駆動部材156とを備えている。
【0026】
カム板151には、カムフォロワ155を案内するためのガイド穴152が6箇所に形成されており、カム板151のスライドに合わせて、各ガイド穴152に挿入されている各カムフォロワ155が各ガイド穴152の形状に沿って移動することで、カムフォロワ152の間隔、すなわち、プレート保持部材12(吸着プレート11)の間隔を変更することができる。
【0027】
図7(a)は、吸着プレート11の間隔を狭くした状態、
図7(b)は、吸着プレート11の間隔を拡げた状態を示しており、
図7(a)に示した状態では、4mmピッチでウェハー3を保持しており、
図7(b)に示した状態では、5mmピッチでウェハー3を保持している。よって、第一吸着移動部材10は、5mmピッチでウェハー3が収容されているカセット5からウェハー3を取り出す作業は、
図7(b)に示した状態で行い、中間旋回ステージ40に4mm間隔でウェハー3を載置する作業は、
図7(a)に示した状態で行う。
【0028】
第一アーム30は、第一吸着移動部材10を移動可能に保持するアームである。第一アーム30は、アーム駆動部材31を備え、アーム移動レール38に沿って水平方向においてスライド移動可能であると共に、第一吸着移動部材10を垂直方向に移動可能に構成されている。
【0029】
具体的には、第一アーム30は、
図2において左側に位置するカセット5から真ん中付近の中間旋回ステージ40との間をアーム移動レール38に沿って往復移動すると共に、第一吸着移動部材10を垂直方向に移動させることで、カセット5と中間旋回ステージ40との間でピッチを変更しながらウェハー3を移動させることができる。
【0030】
次に、第二吸着移動部材20の構成について説明する。第二吸着移動部材20は、上述した第一吸着移動部材10と略同様の構成及び機能を有しているため、同様の構成については説明を省略する。
【0031】
両者の主な相違点は、第二吸着移動部材20は、ピッチ可変部材を有していない点、第二吸着移動部材20は、二枚重ねの状態のウェハー3を両側から保持するため、吸着プレート21には吸着口213のみが設置されている点、第二吸着移動部材20は、吸着プレート21を傾斜状態にするための傾斜機構24を有している点である。
【0032】
第二吸着移動部材20は、吸着プレート21と、プレート保持部材22と、エア供給部材23と、傾斜機構24と、カバー27と、第二アーム35とを備えている。
図8は、第二吸着移動部材の吸着プレートの斜視図である。
図9は、第二吸着移動部材によりウェハー3を保持した状態を示す正面図である。
【0033】
吸着プレート21の上面には、エア供給部材に接続されるエア供給口212が形成されている。また、吸着プレート21の両側面には、ウェハー3を吸着プレート21に吸着するための吸着口113が4箇所ずつ設置されている。
【0034】
後述するように、中間旋回ステージ40でウェハー3は二枚重ねにされるため、第二吸着移動部材20が、中間旋回ステージ40に載置されているウェハー3を保持する際には、二枚重ねの状態で保持することになる。
図9において、第二吸着移動部材20によって保持されているウェハー3は二枚重ねのウェハー3である。
【0035】
吸着プレート21は、両側面に吸着口213が設置されており、二枚重ねのウェハー3の両側からウェハー3を一枚ずつ吸着保持している。なお、
図9において、第二吸着移動部材20は、8mmピッチで二枚重ね状態のウェハー3を保持している。第二吸着移動部材20は、ピッチ可変機構を備えておらず、保持されたウェハー3は、8mmピッチのまま、一段置きにボート8へと移載される。
【0036】
また、第二吸着移動部材は、図示しない傾斜機構24を備えており、吸着プレート21を垂直状態と、垂直状態から10°傾斜した傾斜状態とに変換可能である。
【0037】
第二アーム35は、第二吸着移動部材20を移動可能に保持するアームである。第二アーム35は、アーム駆動部材36を備え、アーム移動レール38に沿って水平方向にスライド移動可能であると共に、第二吸着移動部材20を垂直方向に移動可能に構成されている。
【0038】
具体的には、第二アーム35は、
図2において真ん中付近の中間旋回ステージ40からボート8との間を往復移動すると共に、第二吸着移動部材20を垂直方向に移動させることで、中間旋回ステージ40とボート8との間でウェハー3を移動させることができる。
【0039】
次に、中間旋回ステージ40の構成について詳細に説明する。
図10は、中間旋回ステージの斜視図である。
図11は、ウェハー支持部材を拡大して示す斜視図である。
図12は、ウェハー支持部材のスライドガイド部材を拡大して示す斜視図である。
【0040】
中間旋回ステージ40は、カセット5とボート8との中間に設置され、両者間で移載されるウェハー3が一時的に載置される中継点として機能している。また、中間旋回ステージ40は、カセット5に連続して収容されている10枚のウェハー3のうち、先に取り出される一枚置きの5枚のウェハー3を反転させたうえで、残りの5枚のウェハー3とそれぞれ裏面側を密着させた5組10枚の二枚重ねのウェハー3に整える機能を有している。
【0041】
中間旋回ステージ40は、回転テーブル41と、回転テーブル41上に設置された一対のウェハー支持部材42と、下端受け43とを備えており、ウェハー3は、下端が下端受け43に接触した垂直状態で回転テーブル41上に載置される。回転テーブル41は、円中心を回転軸として駆動部材により回動自在に構成されている。回転テーブル41の中心には、穴411が形成されており、この穴411から後述する第三突出ユニット70のキャッチャーが飛び出すことになる。
【0042】
一対のウェハー支持部材42は、回転テーブル41上の穴411の周囲に180°間隔で相対して設置されており、両者の間にウェハー3が案内・支持される。ウェハー支持部材42は、固定ガイド部材421と、スライドガイド部材422とを備えている。固定ガイド部材421は、各ウェハー支持部材42のウェハー3に対向する内側面の最上部(一段目)と最下部(四段目)に固定され、ウェハー3を整列させるために並行に形成された6つのガイドを備えている。
【0043】
スライドガイド部材422は、一段目と四段目に進退ガイド部423を備え、二段目と三段目に横スライドガイド部424を備えている(
図11、
図12参照)。進退ガイド部423は、並列に形成された5つのガイド423aを有し、シリンダ駆動機構により、ガイド423aが固定ガイド421のガイド421aと同じ位置まで飛び出した前進位置と、引っ込んだ後退位置と間で進退スライドを行う。
【0044】
前進位置では、進退ガイド部423の5つガイド423aは、6つのガイド421a間の5つの隙間に位置することになる。よって、進退ガイド部423が飛び出した位置にあるとき、6つのガイド421aと5つのガイド423aとの間に10つの隙間ができる。この隙間にウェハー3を通すことで、ウェハー支持部材42は、10枚のウェハー3が等ピッチ(4mm)で整列するように案内することができる。
【0045】
一方、進退ガイド部423が後退位置にあるときには、ウェハー支持部材42の一段目と四段目は、固定ガイド部材421の6つガイド421a間の5つの隙間でウェハー3をガイドすることになる。このとき、6つのガイド421aの設置間隔は、8mmピッチである。
【0046】
横スライドガイド部424は、進退ガイド部423のガイド423aと同ピッチの5つのガイド424aを有し、シリンダ駆動機構により、ガイド424aの整列方向に水平に横スライドを行う。横スライドガイド部424は、定位置では、各ガイド424aが固定ガイド部材421の各ガイド421aの真下及び真上に位置するのに対して、後述するようにウェハー3を二枚重ねにする移動位置では、各ガイド424aが進退ガイド部423の各ガイド423aの真下及び真上に位置するように横スライドする。
【0047】
次に、第一突出ユニット50の構成について詳細に説明する。
図13は、第一突出ユニットの斜視図である。第一突出ユニット50は、カセット5の下方に設置されており、カセット5と第一吸着移動部材10との間でのウェハー3の受け渡しを補助する。
【0048】
第一突出ユニット50は、キャッチャー51と、キャッチャー支持部材52と、キャッチャースライド部材53と、突出ユニット移動レール58とを備えている。キャッチャー51は、略板状の部材であり、その上端には、一枚のウェハー3を嵌め込んで支持するための嵌合溝51aが両端二箇所に形成されている。
【0049】
また、第一突出ユニット50は、5つのキャッチャー51を備え、キャッチャー51は、所定の間隔で並列に整列するようにキャッチャー支持部材52により下端を支持されている。本実施形態において、第一突出ユニット50は、カセット5に5mmピッチで整列収容されているウェハー3を一枚置きに嵌合保持して上方に突き上げる処理を行うため、キャッチャー51は、嵌合溝51aが10mmピッチで位置するように設置されている。
【0050】
キャッチャースライド部材53は、キャッチャー支持部材52を垂直方向に上下スライド可能に保持する駆動機構であり、キャッチャースライド部材53により、キャッチャー51をカセット5の下方の位置から、カセット5内へと突き上げることができる。
【0051】
5つのキャッチャー51がカセット5内へと突き上げられると、カセット5内に収容されているウェハー3が、一枚置きに5枚、各嵌合溝51aに嵌め込まれ、上方へと突き上げられる。このように、カセット5内から上方へ突出させられた5枚のウェハー3が、上記第一吸着移動部材10により吸着保持されて移動させられる。
【0052】
また、第一突出ユニット50は、スライド機構の駆動により、突出ユニット移動レール58に沿って移動自在に構成されている。突出ユニット移動レール58は、カセット5が位置する領域に沿って設置されており、第一突出ユニット50は、突出ユニット移動レール58に沿って移動することで、カセット5内に収容されている全てのウェハー3を順次突き上げることができる。
【0053】
次に、第二突出ユニット60の構成について詳細に説明する。
図14は、第二突出ユニットの正面図である。第二突出ユニット60は、ボート8の下方に設置されており、第二吸着移動部材20とボート8との間でのウェハー3の受け渡しを補助する。
【0054】
第二突出ユニット60は、キャッチャー61と、キャッチャー支持部材62と、キャッチャースライド部材63と、突出ユニット移動レール68とを備えている。第二突出ユニット60は、上述した第一突出ユニット50とほぼ同様の構成をしている。両者の主な相違点は、第二突出ユニット自体が傾斜した状態でウェハー移載装置1に設置されている点と、5つのキャッチャー61の設置間隔と嵌合溝61aの大きさが異なる点である。
【0055】
ボート8は、二枚重ねのウェハー3を傾斜して収容するように構成されており、第二突出ユニット60は、傾斜した状態のウェハー3を支持するためにキャッチャー61が傾斜して設置されている。
【0056】
また、上述したように、カセット5に5mmピッチで整列していたウェハー3は、中間旋回ステージ40を経て、8mmピッチで整列する5組10枚の二枚重ねのウェハー3に整えられてボート8へと移動してくる。このため、第二突出ユニット60のキャッチャー61は、嵌合溝61aが8mmピッチで位置するように、キャッチャー支持部材62によって整列支持されると共に、嵌合溝61aは、二枚重ね状態のウェハー3を嵌合させて支持するための幅を有している。
【0057】
また、第二突出ユニット60は、スライド機構の駆動により、突出ユニット移動レール68に沿って移動自在に構成されている。突出ユニット移動レール68は、ボート8が位置する領域に沿って設置されており、第二突出ユニット60は、突出ユニット移動レール68に沿って移動することで、ボート8の全体にウェハー3を順次収容することができる。
【0058】
第三突出ユニット70は、中間旋回ステージ40の下方に設置されており、第一吸着移動部材10と中間旋回ステージ40との間のウェハー3の受け渡し、及び、中間旋回ステージ40と第二吸着移動部材20との間のウェハー3の受け渡しを補助する。
【0059】
第三突出ユニット70は、キャッチャー71と、キャッチャー支持部材72と、キャッチャースライド部材73と、突出部材移動レール78とを備え、第一突出ユニット50と略同様の構成である。両者の主な相違点は、5つのキャッチャー71の設置間隔と嵌合溝71aの大きさが異なる点である。
【0060】
上述したように、第一吸着移動部材10に保持されるウェハー3は、8mmピッチ間隔の5枚のウェハー3として中間旋回ステージ40へと移動してくる。また、中間旋回ステージ40では、8mm間隔の5組10枚の二枚重ねのウェハー3に整えられる。よって、第三突出ユニット70のキャッチャー71は、嵌合溝71aが8mmピッチで位置するように、キャッチャー支持部材72によって整列支持されると共に、嵌合溝71aは、一枚のウェハー3及び二枚重ねのウェハー3の双方を嵌合させて支持するための幅を有している。
【0061】
以上、ウェハー移載装置1の構成をついて詳細に説明したが、続いて、ウェハー移載装置1におけるウェハー3の移載処理について説明する。
図15は、本実施形態に係るウェハーの移載処理の流れを示すフローチャートである。本実施形態では、カセット5に5mm間隔で整列収容されているウェハー3の裏面を向かい合わせて二枚重ねにした状態で、4mm間隔でボート8に整列収容させる移載処理を行っている。
【0062】
まず、S10において、第一突出ユニット50が、カセット5に整列収容されているウェハー3を一枚置きに5枚上方に突き上げて突出させる。続いて、S11において、第一吸着移動部材10が、これら5枚のウェハー3を保持して中間旋回ステージ40へと移動させる。
【0063】
具体的には、第一吸着移動部材10を下降させて、吸着プレート11を突出している5枚のウェハー3の間に介在させる。その後、吸着口113を負圧にすると共に吹出口114を正圧にして5枚のウェハー3をそれぞれ吸着プレート11に吸着保持させる。このようにウェハー3を吸着保持した状態で、第一アーム30により第一吸着移動部材10を中間旋回ステージ40へと移動させる。
【0064】
本実施形態では、カセット5内に収容されているウェハー3をそのままの間隔(5mmピッチ)で第一吸着移動部材10に保持させるのではなく、第一突出ユニット50によって一枚置きに突出させ、第一吸着移動部材10が一枚置きにウェハー3を保持するように構成することで、カセット5内に狭小ピッチで整列しているウェハー3でも移載処理が可能となる。
【0065】
一枚置きであれば、第一吸着移動部材10によって保持されるウェハー3の間隔は10mmピッチとなる。本実施形態に係る吸着プレート11の厚みは7mm程度である。よって、5mmピッチで整列するウェハー3の間には吸着プレート11を挿入することができないが、一枚置きに突出することで10mmピッチとなって整列するウェハー3間には吸着プレート11を挿入して吸着を行うことができる。
【0066】
さらに、S11においては、ピッチ可変部材15により、ウェハー3の間隔の変更が行われる。中間旋回ステージ40において、二枚重ねを行う前には、10枚のウェハー3が4mmピッチで整列させられるため、S11においては、5mmピッチから4mmピッチへ対応するために、ウェハー3の整列間隔の変換が行われる。但し、第一吸着移動部材10は、一枚置きにウェハー3を保持しているため、ピッチ可変部材15は、10mmピッチから8mmピッチへの変換を行う。
【0067】
次に、S12において、中間旋回ステージ40にウェハー3を載置する。具体的には、第三突出ユニット70のキャッチャー71が上昇し、第一吸着移動部材10から8mmピッチで整列する5枚のウェハー3を受け取った後、キャッチャー71を下降させ、5枚のウェハー3をウェハー支持部材42により案内しながら回転テーブル41上に載置させる。
【0068】
このとき、ウェハー支持部材42のスライドガイド部材422は、進退ガイド部423が前進位置にあると共に、横スライドガイド部424は定位置にある。よって、ウェハー支持部材42は、固定ガイド部材421と進退ガイド部423の存在により、10枚のウェハー3を4mmピッチで保持可能な状態となっている。
【0069】
この状態で、回転テーブル41上に下降してくる5枚のウェハー3は、一枚飛ばしの状態(8mmピッチ)でウェハー支持部材42によって支持され、回転テーブル41上に載置される。続いて、S13では、先に載置されたこれら5枚のウェハー3の反転が行われる。具体的には、回転テーブル41を180°回転させる。
【0070】
S12〜S13が行われている間に、残りの5枚のウェハー3の移動処理(S14及びS15)が並行して行われる。S14においては、S10と同様に、残りの5枚のウェハー3が第一突出ユニット50によって突き上げられる。S15においては、S11と同様に、ピッチ変換が行われながら、残り5枚のウェハー3が中間旋回ステージ40に向けて移動させられる。
【0071】
続いて、S16では、S12と同様に、残り5枚のウェハー3が回転テーブル41上に載置される。このとき、ウェハー支持部材42は、上記S12と同様に10枚のウェハー3を4mmピッチで保持可能な状態となっており、一枚飛ばしで5つの隙間には既に先に5枚のウェハー3が載置されている。残り5枚のウェハー3は、残りの5つの隙間に一枚置きに収容されることになる。
【0072】
ここで、上記S13により、先の5枚のウェハー3は反転しているため、先の5枚のウェハー3と残り5枚のウェハー3とは、表面又は裏面同士を向き合わせた状態で、回転テーブル41上に載置されている。
【0073】
次に、S17では、隣り合うウェハー3を二枚ずつ密着させる二枚重ね処理が行われる。具体的には、進退ガイド部423を後退位置にスライドさせると共に、横スライドガイド424を水平方向にスライドさせることで、二枚重ね状態とする。本実施形態では、ウェハー3の裏面同士を向かい合わせて密着させるように構成されている。
【0074】
続いて、S18では、二枚重ねにされた5組10枚のウェハー3を第三突出ユニット70によって上方に突き上げる処理を行う。そして、S19では、第二吸着移動部材20により、二枚重ねにされた10枚のウェハー3がボート8に向けて保持移動させられる。上述したように、第二吸着移動部材20は、二枚重ねの状態で10枚のウェハー3を吸着保持して移動させる。なお、S19では、傾斜機構24により吸着プレート21が傾斜状態に変換させられる。
【0075】
そして、S20において、ボート8上にウェハー3を載置する。具体的には、傾斜して設置されている第二突出ユニット60のキャッチャー61が上昇し、第二吸着移動部材20から5組10枚の二枚重ねウェハー3を受け取った後、キャッチャー61を下降させることで、5組の二枚重ねウェハー3をボート8に8mmピッチで一段置きにボート8内に収容する。
【0076】
上述したS10〜S20を繰り返すことで、順次、カセット5内のウェハー3を二枚重ねにしながら5組10枚ずつボート8に移載することができる。なお、上述したように、ボート8は、4mmピッチでウェハー3を収容可能に構成されている。
【0077】
よって、本実施形態では、次の5組10枚のウェハー3が第二吸着移動部材20により移動させられてきた場合には、既にボート8の収容箇所に一段置きに収容されている二枚重ねのウェハー3の間に次の二枚重ねのウェハー3を収容するように構成している。これにより、最終的には、二枚重ねのウェハー3が4mmピッチでボート8内に収容されることになる。
【0078】
このように、二枚重ねのウェハー3としてボート8内に収容することで、一度に大量のウェハー3をボート8内に収容することができ、後述する焼成工程を効率よく行うことができる。これは、本実施形態に係る焼成工程では、処理液が塗布された表面だけを焼成すれば良いからである。なお、本実施形態では、4mmピッチで100枚収容可能なボート8内に100組200枚のウェハー3を一度に収容することができる。
【0079】
ウェハー3を収容したボート8は、後工程において、拡散炉に運ばれ、ウェハー3が焼成される。この焼成工程が終了すると、ボート8が拡散炉から取り出され、今度は、ボート8からカセット5へのウェハー3の移し替えが行われる。このボート8からカセット5へと戻す作業は、上述した移載処理作業を逆に行うことで実現される。よって、ボート8から中間旋回ステージ40までは、ウェハー3は二枚重ね状態で移載され、中間旋回ステージ40からカセット5へは、一枚ずつに分離されて移載される。
【0080】
以上、本実施形態について詳細に説明したが、本実施形態によれば、ウェハー3を一枚置きに取り出して吸着移動部材10,20により移動させるようにしているので、狭いピッチ間隔で収容部材に収容されているウェハー3であっても、良好に移載を行うことができる。
【0081】
また、本実施形態によれば、中間旋回ステージ40において、ウェハー3を二枚重ねにしてからボート8へ移載することで、一枚ずつ収容する場合と比較して、ボート8内により多くのウェハー3を収容することができ、後工程である焼成工程を効率よく行うことができる。
【0082】
また、本実施形態では、カセット5から中間旋回ステージ40へウェハー3を移動させるための第一吸着移動部材10と、中間旋回ステージ40からボート8へとウェハー3を移動させるための第二吸着移動部材20とを設置しており、両移動を並行して行うことで、移載処理を高速に行うことができる。
【0083】
また、本実施形態では、第一吸着部材10がピッチ可変機構を備えており、収納ピッチの異なる収納部材に対しても容易に移載処理を行うことができる。
【0084】
以上、本実施形態について詳細に説明したが、本発明の実施の形態は、上記実施形態に限られるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。例えば、上記実施形態におけるウェハー移載装置を構成する部材の形状やサイズ等は適宜変更可能であるのは言うまでもない。
【0085】
また、カセットやボートの収納枚数、中間旋回ステージ上の載置枚数、吸着移動部材のウェハーの保持枚数等も適宜変更可能である。また、上記実施形態では、吸着移動部材によりウェハーを保持する際に、カセットに収容されているウェハーを一枚置きに保持し、二回に分けて移動させるようにしているが、三枚置き、四枚置き等、三回以上に分けて移動させるようにしても良い。
【0086】
また、上記実施形態では、薄板部材として、半導体ウェハーを移載する場合を例に挙げて説明したが、液晶パネル用のガラス薄板等、適宜他の薄板部材に対しても本発明を適用することができる。
【0087】
また、上記実施形態では、ウェハーの保持移動部材が真空吸着によりウェハーを保持しているが、ウェハーを一枚ずつ保持して間隔を可変にできる保持部材であれば、例えば、ベルヌーイチャック等、適宜他の方法にウェハーを保持する保持移動部材を用いても良い。