(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
一対の帯状シートの間に糸状弾性体を該帯状シートの搬送方向と交差する方向に伸長した状態に接着固定した伸縮性シートで、該搬送方向に沿う該伸縮性シートの一側部及び他側部それぞれに、該帯状シートと該糸状弾性体との間の接着力が相対的に強い強接着部を有し、該一側部の強接着部と該他側部の強接着部との間に、該接着力が該強接着部に対し相対的に弱い複数の弱接着部を有する伸縮性シートを連続的に製造する、伸縮性シートの製造方法であって、
弾性体巻回手段を用いて前記糸状弾性体を、該糸状弾性体の搬送手段に前記搬送方向と交差する方向に伸長状態で巻回し、巻回された該糸状弾性体を該搬送手段により前記搬送方向に搬送する搬送工程と、
一対の前記帯状シートにおける前記強接着部及び前記弱接着部の形成予定位置に塗布装置を用いて接着剤を塗布する接着剤塗布工程と、
前記接着剤塗布工程を経た一対の前記帯状シートを、前記搬送手段により搬送されている前記糸状弾性体に合流させ、一対の該帯状シート間に伸長状態の該糸状弾性体を挟んで前記接着剤により接着固定して複合シートを得る一体化工程とを有し、
前記塗布装置は、接着剤を収容するタンクと、接着剤を前記帯状シートに塗布する塗布手段と、該タンク内の接着剤を該塗布手段へ供給する供給路とを具備し、且つ該供給路として、少なくとも前記強接着部形成用の接着剤を供給する第1供給路と、少なくとも前記弱接着部形成用の接着剤を供給する第2供給路とを具備し、該第1供給路と該第2供給路とは互いに独立しており、該第1供給路を通る接着剤と該第2供給路を通る接着剤とが、前記帯状シートへの塗布前に混ざらないようになされており、
前記強接着部形成用の接着剤と前記弱接着部形成用の接着剤とは種類が同じであり、前記強接着部は、該接着剤を相対的に高坪量で塗布することによって形成し、前記弱接着部は、該接着剤を相対的に低坪量で塗布することによって形成し、
一対の前記帯状シートの一方に、前記第1供給路を用いて所定坪量の前記強接着部形成用の接着剤の一部を塗布し、他方に、前記第2供給路を用いて該所定坪量の強接着部形成用の接着剤の残りと所定坪量の前記弱接着部形成用の接着剤の全部とを塗布し、
前記他方における前記第2供給路を用いた接着剤の塗布においては、前記所定坪量の強接着部形成用の接着剤の残りを塗布して形成された1の接着剤塗布部と、前記所定坪量の弱接着部形成用の接着剤の全部を塗布して形成された1の接着剤塗布部とで、接着剤の坪量が同じであり、
また、一対の前記帯状シートの一方に前記第1供給路を用いて前記所定坪量の強接着部形成用の接着剤の一部を塗布して形成された接着剤塗布部と、一対の該帯状シートの他方に前記第2供給路を用いて前記所定坪量の強接着部形成用の接着剤の残りを塗布して形成された接着剤塗布部とで、接着剤の坪量比が、前者/後者として、1.1〜200の範囲であり、
前記一体化工程において、一方の前記帯状シートに塗布された前記所定坪量の強接着部形成用の接着剤の一部と、他方の前記帯状シートに塗布された前記所定坪量の強接着部形成用の接着剤の残りとを重ね合わせる伸縮性シートの製造方法。
前記塗布装置は、前記タンクとして、前記強接着部形成用の接着剤を収容し且つ前記第1供給路が接続された第1タンクと、前記弱接着部形成用の接着剤を収容し且つ前記第2供給路が接続された第2タンクとを具備する請求項1又は2記載の伸縮性シートの製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の伸縮性シートの製造方法を、その好ましい実施態様に基づき図面を参照しながら説明する。後述する第1実施態様で製造する伸縮性シートは、
図1に示すように、例えば展開型の使い捨ておむつ1のウエストパネル3に用いられる。以下、先ず、後述する第1実施態様により製造される伸縮性シートをウエストパネル3として用いた、展開型の使い捨ておむつ1について説明する。
【0012】
おむつ1は、
図1に示すように、装着時に装着者の腹側に位置する腹側部A、背側に位置する背側部B、及び腹側部Aと背側部Bとの間に位置する股下部Cを有する吸収性本体2と、背側部Bの左右両外方に連設された左右一対のウエストパネル3,3とを有する。おむつ1は、
図1に示すように、腹側部Aの左右両外方に連設された左右一対のパネル材4,4を有している。おむつ1を
図1に示す如く平面状に拡げた状態において、吸収性本体2は矩形形状、パネル材4は台形形状であり、台形状のパネル材4は、その長辺(下底)側が、ホットメルト接着剤や融着等の公知の接合手段により吸収性本体2に固定されている。尚、図中、符合Xで示す方向はおむつ1(吸収性本体2)の幅方向、符合Yで示す方向はおむつ1(吸収性本体2)の長手方向であり、両方向X,Yは互いに直交している。
【0013】
吸収性本体2は、
図1に示すように、液透過性の表面シート21と、液不透過性又は撥水性の裏面シート22と、これら両シート21,22間に介在配置された液保持性の吸収体23とを有している。表面シート21は、おむつ1(吸収性本体2)の肌対向面を形成し、裏面シート22は、おむつ1(吸収性本体2)の非肌対向面を形成している。表面シート21及び裏面シート22は、それぞれ、吸収体23よりも外形寸法の大きい平面視矩形形状を有し、吸収体23の周縁部から外方に延出しており、それらの延出部において直接的に又は他の部材を介在させて互いに接合されている。尚、肌対向面は、使い捨ておむつ又はその構成部材における着用時に着用者の肌側に向けられる面であり、非肌対向面は、使い捨ておむつ又はその構成部材における着用時に着用者の肌側とは反対側に向けられる面である。
【0014】
図1に示すように、吸収性本体2の長手方向Yに沿う左右両側部には、一対の立体ガード形成用シート24,24が、吸収性本体2の長手方向Yの略全長に亘って配置されている。各立体ガード形成用シート24は、その長手方向Yに沿う一側縁部(外側縁部)が吸収性本体2(表面シート21)に固定され、他側縁部(内側縁部)は、吸収性本体2に固定されておらず自由縁部となっており、該他側縁部に、1本以上の糸状の弾性部材25が長手方向Yに伸長された状態で固定されている。斯かる構成により、一対の立体ガード形成用シート24,24は、おむつ1の着用時において、股下部Cにおける前記他側縁部が弾性部材25の収縮力によって表面シート21から離間し、それによって一対の立体ガードが形成される。また、吸収性本体2の長手方向Yに沿う左右両側部における着用者の脚廻りに配される部位(レッグ部)には、レッグギャザー形成用の糸状の弾性部材26が伸長状態で配されており、おむつ1の着用時には、弾性部材26の収縮により一対のレッグギャザーが形成され、脚廻りに対して良好にフィットする。
【0015】
一対のウエストパネル3,3は、それぞれ、
図1に示すように、2枚のシート5,6の間に複数本の糸状弾性体7が伸長状態で接着固定された伸縮性シートであり、
図1に示す如き平面状に拡げた状態において矩形形状である。ウエストパネル3は、ファスニングテープ8がホットメルト接着剤や融着等の公知の接合手段により固定されている外側縁部3Aと、外側縁部3Aとは幅方向Xの反対側に位置する内側縁部3Cとを有し、これら両側縁部3A,3C間に、幅方向Xに伸縮性を有する伸縮部3Bを有している。ウエストパネル3は、その内側縁部3Cにて、吸収性本体2(具体的には例えば、立体ガード形成用シート24と裏面シート22との間)にホットメルト接着剤や融着等の公知の接合手段により固定されている。
【0016】
一対のウエストパネル3,3は、それぞれ、相対向する2枚のシート5,6間に、幅方向Xに伸長された状態の複数本の糸状弾性体7が長手方向Yに所定間隔を置いて介在配置されて構成されている。
図1に示すように、相対向する2枚のシート5,6どうしは、長手方向Yに延びる複数の直線状の強接着部9及び弱接着部10にて接合されており、また、複数本の糸状弾性体7は、それぞれ、少なくとも伸縮部3Bの幅方向Xの全長に亘り、伸縮部3Bにおいて複数の直線状の強接着部9及び弱接着部10と重なり、各接着部9,10にてシート5,6の内面に接着固定されている。複数の直線状の強接着部9及び弱接着部10は、幅方向Xに所定間隔を置いて配置されている。強接着部9及び弱接着部10は、それぞれ、後述するようにホットメルト型接着剤等の公知の接着剤が塗布された接着剤塗布部であり、シート5,6(ウエストパネル3)の長手方向Yの全長に亘って連続し、糸状弾性体7の伸縮方向Xと直交する方向に沿う、連続直線状の接合ラインを形成している。尚、
図1では、説明容易のため、強接着部9及び弱接着部10は、外部から明瞭に認識できるように記載しているが、実際にはそのようになっているとは限らない。
【0017】
シート5,6それぞれの内面(糸状弾性体7の固定面)において、接着部9,10が形成されていない部位は、接着剤が塗布されていない接着剤非塗布部となっており、該接着剤非塗布部では、糸状弾性体7はシート5,6に対して非固定状態となっている。糸状弾性体7は、伸縮部3Bにおいて伸長された状態でシート5,6に固定されているため、伸縮部3Bでは、シート5,6(ウエストパネル3)が自然状態(力をかけずに放置した状態)の場合には収縮し、シート5,6(ウエストパネル3)が幅方向Xに伸長された伸長状態の場合には伸長する。また、糸状弾性体7が収縮した状態では、伸縮部3Bにおいて各接着部9,10間でシート5、6が収縮して襞が形成される。
図1は、シート5,6(ウエストパネル3)に前記襞を形成させずに、糸状弾性体7を伸長させた状態を示したものである。このように、糸状弾性体7は、伸縮部3Bでは、収縮状態から伸長状態あるいはこれとは逆に状態が変化するのに対し、外側縁部3A及び内側縁部3Cでは、常時、弛緩状態(非伸長状態)となっている。
【0018】
強接着部9は、シート5,6と糸状弾性体7との間の接着力が相対的に強い部位であり、弱接着部10は、該接着力が強接着部9に対し相対的に弱い部位である。また、強接着部9は、該接着力が弱接着部10に対し相対的に強い部位である。接着部における接着力の強弱は、接着部を形成する接着剤の単位面積当たりの塗布量(坪量)や接着剤の種類によって調整可能である。一般に、接着剤の坪量が増えると接着力は向上するため、例えば、シート5,6と糸状弾性体7との接着に使用する接着剤の種類が1種類である場合、強接着部9は、接着剤を相対的に高坪量で塗布することによって形成することができ、弱接着部10は、接着剤を相対的に低坪量で塗布することによって形成することができる。また例えば、シート5,6と糸状弾性体7との接着に使用する接着剤として、接着力の異なる2種類の接着剤を用いる場合、強接着部9は、相対的に接着力の強い接着剤を用いて形成することができ、弱接着部10は、相対的に接着力の弱い接着剤を用いて形成することができる。
【0019】
シート5,6と糸状弾性体7との接着に使用する接着剤の種類が1種類である場合において、強接着部9における接着剤の坪量P1と弱接着部10における接着剤の坪量P2との比(P1/P2)は、好ましくは1.1〜200、更に好ましくは1.6〜100である。また、坪量P1は、好ましくは16〜200g/m
2、更に好ましくは16〜100g/m
2であり、坪量P2は、好ましくは1〜15g/m
2、更に好ましくは1〜10g/m
2である。ここで言う、接着剤の坪量P1(P2)は、1本の直線状の強接着部9(弱接着部10)の坪量を意味する。
【0020】
シート5,6と糸状弾性体7との接着に使用する接着剤としては、この種の伸縮性シート(ウエストパネル)において各部材間を接合するのに使用されているものを特に制限無く用いることができ、例えば、非晶性ポリオレフィン、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−アクリル酸エステル共重合体(EEA)、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)、スチレン−エチレン/ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン−エチレン/プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEPS)等の熱可塑性ポリマー及びそれらの混合物等が挙げられる。前記接着剤はホットメルト型が好ましい。
【0021】
シート5,6と糸状弾性体7との接着に使用する接着剤として、接着力の異なる2種類の接着剤を用いる場合において、強接着部9の形成材料としては、例えばエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)等が挙げられ、弱接着部10の形成材料としては、例えばスチレン−エチレン/ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)等が挙げられる。
【0022】
図1に示すように、強接着部9は、ウエストパネル3の長手方向Yに沿う一側部及び他側部それぞれに配置されており、弱接着部10は、該一側部の強接着部9と該他側部の強接着部9との間に配置されている。
図1に示すウエストパネル3は、2本の直線状の強接着部9と4本の直線状の弱接着部10とを有している。尚、ここでいう、「ウエストパネルの長手方向に沿う一側部及び他側部」は、通常、前述した「ウエストパネル3の外側縁部3A及び内側縁部3C」よりも幅広の領域(幅方向Xの長さが長い領域)を意味するが、両者は基本的には無関係である。
図1に示すウエストパネル3において、伸縮部3Bは、2本の強接着部9,9及びこれらに挟まれた領域であり、外側縁部3A及び内側縁部3Cは、それぞれ、強接着部9よりも幅方向Xの外方に位置する領域(強接着部9は含まない)である。外側縁部3A及び内側縁部3Cは、何れも、伸縮部Bのように伸長状態で接着固定された糸状弾性体7を有しておらず、実質的に幅方向Xに伸縮性を有していない非伸縮領域である。
【0023】
このように、ウエストパネル3の長手方向Yに沿う一側部及び他側部それぞれに、シート5,6と糸状弾性体7との間の接着力が相対的に強い強接着部9が形成され、該一側部の強接着部9と該他側部の強接着部9との間(伸縮部3B)に、該接着力が相対的に弱い弱接着部10が形成されていることにより、糸状弾性体7がシート5,6にしっかりと接着固定されるようになって糸状弾性体7の抜けが起こり難くなると共に、斯かる接着力の強弱分布によって接着剤の適切な使用(接着剤の坪量の適切な制御等)が促進される。このため、過剰量の接着剤の使用が抑制され、過剰量の接着剤に起因する不都合、例えば、ウエストパネル全体のべたつきによる装着感の低下、伸縮性シート全体の硬化による必要な伸縮性の低下、非塗布面積減少によるシート5,6の柔らかさの低下、製造設備の汚染や製造効率の低下等が効果的に防止される。
【0024】
強接着部9及び弱接着部10の採用による前記効果をより確実に奏させるようにする観点、並びにウエストパネル3の柔軟性の観点から、強接着部9の幅W1(
図1参照)及び弱接着部10の幅W2(
図1参照)はそれぞれ、好ましくは0.5〜3mm、更に好ましくは1〜2mmである。また、ウエストパネル3の柔軟性の観点から、幅W1と幅W2との比(W1/W2)は、0.6〜1.5が好ましく、同じであることが一層好ましい。ここで、幅W1と幅W2とが同じであるとは、両幅が完全に一致する場合のみならず、意図しない製造上の寸法誤差等により両幅に若干の差が生じる場合を含み、具体的には、幅W1と幅W2との比(W1/W2)が0.8〜1.2の範囲であれば、両幅は同じである。強接着部9の幅W1と弱接着部10の幅W2とが同じであると、強接着部9でも、弱接着部10と同様に接着剤に阻害されること無く動きやすいため、ウエストパネル3(伸縮部3B)の柔軟性が損なわれ難くなると共に、ウエストパネル3の伸縮領域に伸縮性をバランスよく与えることができる。
【0025】
強接着部9及び弱接着部10の採用による前記効果をより確実に奏させるようにする観点から、ウエストパネル3(伸縮性シート)の各部の寸法等は次のように設定することが好ましい。
隣接する強接着部9と弱接着部10との間隔W3(
図1参照)、及び隣接する2本の弱接着部10,10の間隔W4(
図1参照)は、それぞれ、好ましくは1〜15mm、更に好ましくは2〜7.5mmである。
隣接する2本の糸状弾性体7,7の間隔W5(
図1参照)は、好ましくは3〜20mm、更に好ましくは5〜10mmである。
【0026】
おむつ1における各部の形成材料について説明すると、表面シート21及び裏面シート22としては、当該技術分野において従来用いられている各種のものを用いることができる。表面シート21としては、不織布や開孔フィルム等の各種液透過性のシート材を用いることができる。裏面シート22としては、透湿性を有しない樹脂フィルムや、微細孔を有し、透湿性を有する樹脂フィルム、撥水不織布等の不織布、これらと他のシートとのラミネート体等の各種液不透過性ないし撥水性のものを用いることができる。吸収体23としては、パルプ繊維等の繊維集合体若しくは不織布又はこれらに吸水性ポリマーの粒子を保持させてなる吸収性コアを用いることができ、該吸収性コアを透水性の薄紙や不織布からなるコアラップシートで被覆したものを用いることもできる。立体ガードを構成する立体ガード形成用シート24としては、伸縮性のフィルム、不織布、織物又はそれらの積層シート等を用いることができる。また、パネル材4としては、ウエストパネル3を構成するシート5,6として使用可能なもの(後述する)を用いることができる。
【0027】
ウエストパネル3を構成するシート5,6としては、例えば、エアースルー不織布、ヒートロール不織布、スパンレース不織布、スパンボンド不織布、メルトブローン不織布等の各種製法による不織布、織布、編布、紙、樹脂フィルム等、及びこれら2以上を積層一体化させてなるシート材等を用いることができる。また、ファスニングテープ8としては、例えば、不織布等のテープ基材の一方の面上にメカニカルファスナーのフック部材を熱融着や接着剤等により貼り付けてなるものを用いることができる。
【0028】
糸状弾性体7並びに立体ガードを構成する弾性部材25及びレッグギャザー形成用の弾性部材26としては、天然ゴム、ポリウレタン、ポリスチレン−ポリイソプレン共重合体、ポリスチレン−ポリブタジエン共重合体、アクリル酸エチル−エチレン等のポリエチレン−αオレフィン共重合体等からなる糸状の伸縮性材料を用いることができる。本発明に係る糸状弾性体及び弾性部材には、断面が円形、正方形状のものの他、楕円形、断面矩形等の細幅帯状のものも含まれ、マルチフィラメントタイプのものも含まれる。本発明に係る糸状弾性体及び弾性部材の幅(又は径)は、例えば、0.1〜3mmであり、好ましくは1mm以下である。
【0029】
次に、本発明の伸縮性シートの製造方法の好ましい実施態様を、前述したおむつ1のウエストパネル3(伸縮性シート)を製造する場合を例にとり図面を参照しながら説明する。
図2及び
図3には、第1実施態様のウエストパネル3(伸縮性シート)の製造方法に好適に用いられる製造装置11が模式的に示されている。
【0030】
製造装置11は、
図2及び
図3に示すように、ウエストパネル3(伸縮性シート)の原反である帯状の伸縮性シート3Aを連続的に製造する装置であり、糸状弾性体7の搬送手段16と、搬送手段16に、糸状弾性体7を連続的に伸長状態で巻回する弾性体巻回用の回転アーム(弾性体巻回手段)14とを備えている。搬送手段16は、帯状シート50,60の搬送方向(MD;Machine Direction)と直交する方向(CD;Cross machine Direction)に離間した一対の搬送ベルト12,13を含んで構成されており、糸状弾性体7は、回転アーム14によって、一対の搬送ベルト12,13間を搬送方向yと交差する方向に伸長状態で巻き掛けられる。帯状シート50,60は、ウエストパネル3を構成するシート5,6の原反である。
【0031】
図2及び
図3中符合yで示す方向(y方向)は、帯状シート50,60の搬送方向(MD)を示し、符号xで示す方向(x方向)はCDを示す。y方向(MD)は、搬送手段16(搬送ベルト12,13)に巻回された糸状弾性体7の搬送方向や伸縮性シート3Aの搬送方向と一致し、更に、おむつ1(吸収性本体2)の長手方向Y(
図1参照)とも一致する。また、x方向(CD)は、帯状シート50,60の幅方向と一致し、更に、おむつ1(吸収性本体2)の幅方向X(
図1参照)とも一致する。また、
図3中符合zで示す方向(z方向)は、一体化手段18の一対のニップローラー181,182どうしが対向する方向を示す。
【0032】
製造装置11について更に説明すると、製造装置11は、糸状弾性体7を連続して繰り出し、回転アーム(弾性体巻回手段)14に糸状弾性体7を伸長状態で導入する弾性体供給手段15と、回転アーム14により巻回された糸状弾性体7を一対の帯状シート50,60の間に搬送する搬送手段16と、ホットメルト接着剤等の接着剤を帯状シート50,60に塗布する塗布手段172A,172Bを備えた塗布装置17(
図4参照)と、一対のニップローラー181,182を用いて一対の帯状シート50,60の間に伸長状態の糸状弾性体7を固定する一体化手段18と、帯状シート50,60の搬送方向(y方向)に沿う両端部から外方に延出している糸状弾性体7を切断し、糸状弾性体7の搬送手段16(搬送ベルト12,13)に対する巻回状態を解除する切断手段19とを具備している。
【0033】
搬送手段16の搬送ベルト12は、
図3に示すように、無端状の回転ベルトであり、上下2段の上段搬送ベルト12aと下段搬送ベルト12bとからなる。上段搬送ベルト12aは、回転軸方向がz方向に配された2つのプーリーの間に架け渡されており、そのうちの1つは、一体化手段18よりも上流側に配されたプーリー122であり、他の1つは、一体化手段18よりも下流側に配されたプーリー(図示せず)である。また、下段搬送ベルト12bは、回転軸方向がz方向に配された他の2つのプーリーの間に架け渡されており、そのうちの1つは、一体化手段18よりも上流側でプーリー122の下方に配されたプーリー125であり、他の1つは、一体化手段18よりも下流側で上段搬送ベルト12aが架け渡されている図示しない前記プーリーの下方に配されたプーリー(図示せず)である。各プーリーは、帯状シート50,60の搬送方向(y方向)に沿う端部の外方に配されている。図示しない下流側のプーリーには、その駆動部に図示しないサーボモーターが連設されており、このサーボモーターにより上段搬送ベルト12a及び下段搬送ベルト12bそれぞれの回転速度を変更することができる。
【0034】
搬送手段16の搬送ベルト13も、搬送ベルト12と同様に無端状の回転ベルトであり、
図3に示すように、上下2段の上段搬送ベルト13aと下段搬送ベルト13bとからなる。搬送ベルト13は搬送ベルト12と同様に構成されており、両ベルト13a,13bは、それぞれ、一体化手段18を挟んで上流側と下流側とに配された2つのプーリーの間に架け渡されており、
図3では、各ベルト13a,13bに対応した2つのプーリーのうち、上流側に配されたプーリー132,135のみを図示し、下流側に配されたプーリーの図示を省略している。プーリー132は上段搬送ベルト13aに、プーリー132は下段搬送ベルト13bにそれぞれ対応しており、両プーリー132,135は、同じ位置に上下2段で配されている。
【0035】
搬送ベルト12(上段搬送ベルト12a,下段搬送ベルト12b)及び搬送ベルト13(上段搬送ベルト13a,下段搬送ベルト13b)は、それぞれ、前記各プーリーに架け渡されることにより、一対のニップローラー181,182(一体化手段18)の上流側から下流側に亘って配される。
図2に示すように、両ベルト12,13は、帯状シート50,60の搬送方向(y方向)に沿う端部の外方に位置し、互いに左右対称に配される。両ベルト12,13は、それぞれの外周側がy方向に移動するように回転する。両ベルト12,13は、何れもタイミングベルトであることが好ましい。両ベルト12,13の回転速度、即ち、下流側のプーリー(図示せず)の駆動部に配されたサーボモーター(図示せず)の回転速度は、製造装置11の備える制御部(図示せず)により制御される。
【0036】
回転アーム(弾性体巻回手段)14は、
図2及び
図3に示すように、軸部142、周回部143及び連結部144を有するアーム部141と、軸部142の中心線を回転軸として、アーム部141を回転させる駆動機構147とを備えている。連結部144は、軸部142及び周回部143のそれぞれに対して角度をなして結合しており、周回部143と軸部142とは略平行となっている。
図3に示すように、軸部142は、その一端に糸状弾性体7の導入口145を有しており、また周回部143は、その一端に糸状弾性体7の導出口146を有しており、導入口145から導入された糸状弾性体7が、軸部142、連結部144及び周回部143を通って導出口146からスムーズに導出される。アーム部141の屈曲部や導出口146等には、糸状弾性体7との間の摩擦を低減し得る各種公知の部材(従動ロールや低摩擦部材等)を配置することもできる。
【0037】
周回部143は、導出口146が搬送ベルト12(上段搬送ベルト12a,下段搬送ベルト12b)及び搬送ベルト13(上段搬送ベルト13a,下段搬送ベルト13b)の上流側の端部より下流側に位置するように配されている。回転アーム14(弾性体巻回手段)の駆動部(軸部142)には、
図3に示すように、サーボモーター148が取り付けられており、サーボモーター148の回転により、周回部143が、両ベルト12,13の外周を周回する。導出口146が回転する軌跡の直径は、一対の搬送ベルト12,13の外面間の距離より大きい。このような回転アーム14により、取り込んだ糸状弾性体7を、両ベルト12,13の上流側の端部であって且つそれぞれの外周側に連続的に巻回することができる。回転アーム14の回転速度、即ち、サーボモーター148の回転速度は、製造装置11の備える制御部(図示せず)により制御される。
【0038】
弾性体供給手段15は、
図3に示すように、糸状弾性体7を巻き付けたロール体70と、ロール体70の下流側に位置して糸状弾性体7にブレーキによりテンションをかけるテンサー151と、テンサー151の下流側に位置してロール体70から糸状弾性体7を繰り出す繰り出しローラー152と、繰り出しローラー152の下流側に位置してテンションを測定するためのテンション測定器153とを備えている。繰り出しローラー152は、その回転軸方向がx方向(シートの搬送方向と直交する方向)に配されている。繰り出しローラー152には、その駆動部にサーボモーター(図示せず)が取り付けられている。繰り出しローラー152は、その外周に糸状弾性体7が2回巻き付けられて使用される。製造装置11の備える制御部(図示せず)により、テンション測定器153による検出出力に基づき、図示しないサーボモーターの回転速度、即ち繰り出しローラー152の回転速度を制御し、所定のテンションで糸状弾性体7をロール体70から巻き出すことができる。
【0039】
弾性体供給手段15は、
図3に示すように、繰り出しローラー152の下流側に位置するフィードローラー156を備えている。フィードローラー156は、回転アーム(弾性体巻回手段)14と繰り出しローラー152との間に配され、その回転軸方向がx方向に配されている。フィードローラー156は、その駆動部にサーボモーター(図示せず)が取り付けられている。図示しないサーボモーターの回転速度、即ちフィードローラー156の回転速度は、製造装置11の備える制御部(図示せず)により制御される。
【0040】
一体化手段18は、
図2に示すように、一対のニップローラー181,182を備えている。一対のニップローラー181,182は、搬送ベルト12(上段搬送ベルト12a,下段搬送ベルト12b)の内周側と搬送ベルト13(上段搬送ベルト13a,下段搬送ベルト13b)の内周側との間に位置している。一対のニップローラー181,182としては、金属製の円筒形のローラーや、低硬度シリコンゴム製の円筒形のローラーを用いることができる。一対のニップローラー181,182は、何れか一方の駆動部にサーボモーター(図示せず)が取り付けられており、製造装置11が備える制御部(図示せず)により回転速度が制御されている。一対のニップローラー181,182それぞれの回転軸には駆動伝達用のギヤが取り付けられている。この図示しない駆動手段により、伸縮性シートの生産速度に基づき、図示しないサーボモーターの回転速度、即ち一対のニップローラー181,182のうちの一方の回転速度をコントロールすることができる。その際、駆動伝達用のギヤが噛み合うことによって、一対のニップローラー181,182のうちの他方にも駆動力が伝達され、一対のニップローラー181,182を回転させることができる。一対のニップローラー181,182の軸受け部分は、一対の帯状シート50,60の間に伸長状態の糸状弾性体7を確実に固定する為に、油圧、空圧、バネ等の力を利用して、それぞれの軸受け部分が加圧されている。
【0041】
切断手段19は、
図2に示すように、搬送されてくる糸状弾性体7が当たる部分が先鋭な切断刃となされたカッター190を備えている。カッター190は、図示しない支持体により、糸状弾性体7が当たる位置に配置されており、糸状弾性体7が、搬送ベルト12,13により搬送されてカッター190に押しつけられることにより切断される。切断手段19の位置は、シートの搬送方向(y方向)においては、一対のニップローラー181,182と、搬送ベルト12(上段搬送ベルト12a,下段搬送ベルト12b)に対応する下流側の2つのプーリー(図示せず)及び搬送ベルト13(上段搬送ベルト13a,下段搬送ベルト13b)に対応する下流側の2つのプーリー(図示せず)との間であり、また、シートの搬送方向と直交する方向(x方向)においては、ニップローラー181,182と搬送ベルト12,13との間であっても良く、搬送ベルト12,13それぞれの内周部と外周部との間であっても良く、搬送ベルト12,13それぞれの外周部の外側であっても良い。切断手段19としては、糸状弾性体7を切断し得る各種公知のものを特に制限なく使用することができ、例えば、外周面に周方向に亘る切断刃を備えたカッターローラーと該切断刃を受けるアンビルローラーとを備えたローラーカッターを用いることができ、レーザーや熱等で糸状弾性体7を切断可能な切断手段であっても良い。
【0042】
塗布装置17について説明する。塗布装置17は、
図4に示すように、接着剤を収容するタンク171と、接着剤を帯状シート50に塗布する第1塗布手段172Aと、タンク171内の接着剤を第1塗布手段172Aへ供給する第1供給路173Aと、接着剤を帯状シート60に塗布する第2塗布手段172Bと、タンク171内の接着剤を第2塗布手段172Bへ供給する第2供給路173Bとを具備し、一対の帯状シート50,60それぞれに1対1で対応する2本の供給路173A,173Bが、1つのタンク171に接続されて構成されている。
【0043】
第1実施態様では、
図4に示すように、一対の帯状シート50,60の一方(帯状シート50)に、第1供給路173Aを用いて第1塗布手段172Aにより所定坪量の強接着部形成用の接着剤の全部を塗布して強接着部用接着剤塗布部9’を形成し、他方(帯状シート60)に、第2供給路173Bを用いて第2塗布手段172Bにより所定坪量の弱接着部形成用の接着剤の全部を塗布して弱接着部用接着剤塗布部10’を形成する。ここで、「所定坪量の接着剤の全部を塗布」とは、例えば強接着部9あるいは弱接着部10における接着剤の坪量(1本の直線状の強接着部9あるいは弱接着部10の坪量)を10g/m
2とする場合、接着剤を坪量10g/m
2で塗布することを意味する。尚、第1実施態様は、
図4に示すように帯状シート50に強接着部用接着剤塗布部9’を形成し帯状シート60に弱接着部用接着剤塗布部10’を形成する態様に制限されず、これとは逆に、帯状シート60に強接着部用接着剤塗布部9’を形成し帯状シート50に弱接着部用接着剤塗布部10’を形成する態様でも良い。
【0044】
第1実施態様で使用するタンク171は、第1供給路173A及び第2供給路173Bが接続された両供給路共通の共用タンクである。第1実施態様では、帯状シート50,60と糸状弾性体7との接着に使用する接着剤の種類は1種類(即ち、強接着部形成用の接着剤と弱接着部形成用の接着剤とが同じ)であり、その1種類の接着剤を共用タンク171に収容している。従って、第1実施態様では、強接着部9(強接着部用接着剤塗布部9’)は、1種類の接着剤を相対的に高坪量で塗布することによって形成し、弱接着部10(弱接着部用接着剤塗布部10’)は、該接着剤を相対的に低坪量で塗布することによって形成する。
【0045】
第1供給路173Aと第2供給路173Bとは互いに独立しており、第1供給路173Aを通る接着剤(強接着部形成用の接着剤)と第2供給路173Bを通る接着剤(弱接着部形成用の接着剤)とが、帯状シート50,60への塗布前に混ざらないようになされている。このように、強接着部形成用の接着剤と弱接着部形成用の接着剤とが、互いに交わることのない別々の供給路173A,173Bによって供給されることにより、接着剤の塗布量(坪量)を適切に制御することが可能となり、帯状シート50,60に対して過剰量の接着剤を使用することが抑制され、前述した過剰量の接着剤に起因する不都合が効果的に防止される。
【0046】
図4に示すように、タンク171又はその近傍には、接着剤の塗布量(坪量)を調整する計量手段174A,174Bが配されている。ここで、「タンク又はその近傍に計量手段が配されている」とは、タンクと計量手段とが一体となっている形態、及びタンクの外面から1m以内の領域に計量手段が配されている形態を含む。計量手段174Aは第1供給路173Aに、計量手段174Bは第2供給路173Bにそれぞれ接続されており、それぞれ、タンク171内の接着剤の所定量を塗布手段172A,172Bに送液する機能を有している。計量手段174A,174Bによる接着剤の計量及び送液は、塗布装置17の備える制御部(図示せず)により制御される。計量手段174A,174Bとしては、例えば、ギアポンプ、ねじポンプ等の定量ポンプを用いることができる。
【0047】
塗布手段172A,172Bとしては公知の接着剤塗布手段を用いることができ、塗布手段のコーティングヘッドが被塗布面に接触する接触型塗布手段でも良く、塗布手段のコーティングヘッドが被塗布面に接触しない非接触型塗布手段でも良い。接触型塗布手段としては、例えば、スロットコーター、グラビアコーター、ロータリースクリーンコーター等が挙げられる。非接触型塗布手段としては、例えば、スプレーコーター、ビードコーター、カーテンコーター等が挙げられる。また、供給路173A,173Bとしては、金属製の管やフレキシブルチューブ等を用いることができる。
【0048】
第1実施態様では、このような構成の製造装置11を用い、次のようにしてウエストパネル3(伸縮性シート)を製造する。
【0049】
先ず、
図2及び
図3に示すように、糸状弾性体7を連続して繰り出し、繰り出された糸状弾性体7を伸長状態で弾性体巻回手段としての回転アーム14に導入する(供給工程)。詳述すると、繰り出しローラー152を用いて、糸状弾性体7を巻き付けた巻回ロール70から糸状弾性体7を連続して繰り出す。繰り出す際には、テンション測定器153による糸状弾性体7のテンションの検出出力に基づき、製造装置11の備える制御部(図示せず)によって、巻き出しローラー152の回転速度を調整し、所定のテンションで巻回ロール70から糸状弾性体7を繰り出す。そして、その糸状弾性体7を回転アーム14に導入するのであるが、導入する際には、前述したフィードローラー156により、回転アーム14(弾性体巻回手段)に導入する糸状弾性体7の速度を一定の速度に調整して導入する。導入速度は、搬送手段16(一対の搬送ベルト12,13)に巻回させる巻回速度に応じた速度とする。
【0050】
前記供給工程後には、
図2に示すように、回転アーム14(弾性体巻回手段)を用いて糸状弾性体7を、搬送手段16(一対の搬送ベルト12,13)に帯状シート50,60の搬送方向(y方向)と交差する方向に伸長状態で巻回し、巻回された糸状弾性体7を搬送手段16により一対の帯状シート50,60の間に搬送する(搬送工程)。詳述すると、伸長状態で回転アーム14内に供給された糸状弾性体7は、
図3に示すように、導入口145からアーム部141内に導入され、軸部142,連結部144及び周回部143内を通って、導出口146から導出される。導出口146から導出される糸状弾性体7は、回転アーム14が回転しながら導出されることによって、搬送ベルト12(上段搬送ベルト12a,下段搬送ベルト12b)の上流側の端部における外周側及び搬送ベルト13(上段搬送ベルト13a,下段搬送ベルト13b)の上流側の端部における外周側に巻回する。ここで、搬送ベルト12,13の回転走行により、両ベルト12,13それぞれの外周側に糸状弾性体7が連続的に螺旋状に巻き掛けられる。こうして搬送手段16に連続的に伸長状態で巻き掛けられた糸状弾性体7を、下流側の一対の帯状シート50,60の間に搬送する。
【0051】
ここで、搬送手段16(一対の搬送ベルト12,13)に巻き掛けられた直後の糸状弾性体7は、y方向(シートの搬送方向)と直交する方向(x方向)を除く、y方向と交差する方向に、その巻き掛け長さを形成するように伸長しているが、x方向には伸長していない。巻き掛けられた直後の糸状弾性体7の伸長方向をx方向に修正するには、例えば、
図2に示すように糸状弾性体7が巻き掛けられている場合には、搬送ベルト12においては、上段搬送ベルト12aの回転速度を下段搬送ベルト12bの回転速度よりも遅くし、搬送ベルト13においては、下段搬送ベルト13bの回転速度を上段搬送ベルト13aの回転速度よりも遅くすれば良い。このように搬送ベルト12,13の回転速度を適宜調整することにより、y方向への搬送中に糸状弾性体7の傾き(伸長方向)を徐々に変化させることができ、糸状弾性体7を一対の帯状シート50,60の間(一対のニップローラー181,182の間)に搬送するまでに、糸状弾性体7の傾きを、y方向と直交する方向であるx方向に修正することができる。
【0052】
図2に示すように、帯状シート50,60は、何れも接着剤の塗布前において、図示しないセーラー等により、その搬送方向(y方向)に沿う両側部(x方向の両端部)が外面側(合流される他方の帯状シートとの対向面とは反対側)に折り返されている。そして、
図4に示すように、塗布装置17を用いて、帯状シート50の内面(合流される他方の帯状シート60との対向面)における強接着部9の形成予定位置に接着剤を所定坪量塗布して、連続直線状の強接着部用接着剤塗布部9’を複数(第1実施態様では2本)形成すると共に、帯状シート60の内面(合流される他方の帯状シート50との対向面)における弱接着部10の形成予定位置に接着剤を所定坪量塗布して、連続直線状の弱接着部用接着剤塗布部10’を複数(第1実施態様では4本)形成する(接着剤塗布工程)。こうして接着剤が塗布された帯状シート50は搬送ベルト12,13の上方側から、また、接着剤が塗布された帯状シート60は搬送ベルト12,13の下方側から、それぞれ一対のニップローラー181,182の間(一体化手段18)に供給される。
【0053】
次いで、前記接着剤塗布工程を経た一対の帯状シート50,60を、搬送手段16により搬送されている糸状弾性体7に合流させ、両シート50,60間に伸長状態の糸状弾性体7を挟んで前記接着剤(強接着部用接着剤塗布部9’,弱接着部用接着剤塗布部10’)により接着固定して複合シート30Aを得る(一体化工程)。詳述すると、一対のニップローラー181,182間に、搬送手段16(一対の搬送ベルト12,13)に連続的に巻き掛けられた伸長状態の糸状弾性体7を供給すると共に、一対のニップローラー181,182間と同位置かそれよりも上流側の位置にて、内面に接着剤が塗布された一対の帯状シート50,60を、搬送中の糸状弾性体7と対向するように供給して合流させる。両シート50,60は、それらの内面に形成された強接着部用接着剤塗布部9’及び弱接着部用接着剤塗布部10’が糸状弾性体7と接触するように該糸状弾性体7に合流され、両シート50,60間に糸状弾性体7が挟持固定された状態で一対のニップローラー181,182間を搬送されて押圧される。この押圧を経て、強接着部用接着剤塗布部9’は、帯状シート50,60と糸状弾性体7との間の接着力が相対的に強い強接着部9となり、弱接着部用接着剤塗布部10’は、該接着力が相対的に弱い弱接着部10となる。こうして得られた複合シート30Aにおける糸状弾性体7は、一対の搬送ベルト12,13間に架け渡されて、複合シート30Aの搬送方向(y方向)と直交する方向に伸長状態で帯状シート50,60に固定されており、且つ複合シート30Aのy方向に沿う端縁から該複合シート30Aの外方に延出している部分を有している。
【0054】
次いで、複合シート30Aの搬送方向(y方向)に沿う側縁から該複合シート30Aの外方に延出している伸長状態の糸状弾性体7を切断して該糸状弾性体7を収縮させ、該複合シート30Aのy方向に沿う一側部及び他側部それぞれに、該糸状弾性体7の切断により生じた切断端部を存在させる(切断工程)。詳述すると、一対の搬送ベルト12,13間に架け渡されて伸長状態となっている糸状弾性体7における、複合シート30A(一対の帯状シート50,60)の搬送方向(y方向)に沿う両側縁(複合シート30Aのx方向の両端縁)から延出している箇所を、前述したカッター190で切断する。この糸状弾性体7の切断によって、糸状弾性体7の一対の搬送ベルト12,13(搬送手段16)に対する巻回状態が解除され、帯状の伸縮性シート3Aが、その帯状シート50,60のy方向に沿う両側部(x方向の両端部)がそれぞれ外面側に折り返された状態で得られる。糸状弾性体7は、カッター190による切断によって収縮するところ、その切断によって生じた糸状弾性体7の切断端部は、通常、折り返された状態の帯状の伸縮性シート3Aのy方向に沿う両側縁から延出した状態となるが、糸状弾性体7の伸縮特性や折り返し幅等によっては、該両側縁よりもシート3Aの内方に位置する(即ちシート50とシート60との間に位置する)場合もある。糸状弾性体7の切断後、図示しないセーラー等を用いて、帯状の伸縮性シート3Aを構成する帯状シート50,60を、折り返しの無い状態とすることで、
図2(b)に示す如き帯状の伸縮性シート3Aが得られる。
【0055】
こうして得られた帯状の伸縮性シート3Aを、図示しない公知の切断手段により所定の単位長さ(製品長さ)に切断することにより、目的とするウエストパネル3(伸縮性シート)が得られる。伸縮性シート3Aは、伸縮部3Bに、シート5,6がそれぞれ外方に向けて凸状に隆起してなる畝状の襞(図示せず)を多数有している。これら多数の襞は、それぞれ接着部9,10に沿って延び、個々の該襞が接着部9,10に沿って規則正しく列をなすように多数形成されたギャザーとなっている。
【0056】
ウエストパネル3を備えるおむつ1の製造方法としては、先ず、公知の方法により、吸収性本体2の連続体を別工程で製造する。製造された吸収性本体2の連続体は、表面シート21の連続体、裏面シート22の連続体、及び両シート21,22の連続体間にそれらの搬送方向(y方向)に間欠的に配置された複数個の吸収体23,23・・・を備え、且つ表面シート21の連続体の搬送方向(y方向)の両側部に、伸長した状態の複数本の弾性部材25及び立体ガード形成用シート24の連続体が配されている。次いで、この製造された吸収性本体2の連続体を搬送しながら、該連続体に含まれる1個の吸収体23につきファスニングテープ8が間欠的に配置された一対のウエストパネル3を、吸収性本体2の搬送方向(y方向)と直交するx方向の両外方に突出するように該吸収性本体2に取り付け、吸収性本体2の連続体に複数対のウエストパネル3を配してなる、おむつ1の連続体を製造する。ここで、吸収性本体2の連続体の搬送方向(y方向)と、ウエストパネル3(伸縮性シート)を製造する際の搬送方向(y方向)は、同方向であり、ウエストパネル3(伸縮性シート)を90°反転する必要はない。その後、おむつ1の連続体を、公知の切断手段(図示せず)により、個々のおむつ1の寸法に切断して、おむつ1を製造することができる。
【0057】
次に、本発明の伸縮性シートの製造方法の他の実施態様について説明する。後述する他の実施態様については、前述した第1実施態様と異なる点について主として説明し、同様の点については、同一の符号を付して説明を省略する。特に説明しない点は、第1実施態様と同一に解釈することができる。後述する他の実施態様は、何れも前述したおむつ1のウエストパネル3(伸縮性シート)を製造する態様である。
尚、第2実施態様、第3実施態様、第5実施態様及び第6実施態様は何れも参考例である。
【0058】
図5には、本発明の第2実施態様の製造方法の実施に好適に用いられる塗布装置17Aの概略構成が示されている。第2実施態様では、
図5に示すように塗布装置17Aを用いて、一対の帯状シート50,60の一方(帯状シート50)に、第1供給路173Aを用いて塗布手段172により所定坪量の強接着部形成用の接着剤の全部を塗布すると共に、第2供給路173Bを用いて該塗布手段172により所定坪量の弱接着部形成用の接着剤の全部を塗布して、強接着部用接着剤塗布部9’及び弱接着部用接着剤塗布部10’をそれぞれ形成し、他方(帯状シート60)には接着剤を塗布しない。斯かる塗布形態に対応する塗布装置17Aは、接着剤を収容する共用タンク171と、接着剤を帯状シート50に塗布する塗布手段172と、タンク171内の接着剤を塗布手段172へ供給する、2種類の互いに独立した強接着部形成用の接着剤を供給する第1供給路173A及び弱接着部形成用の接着剤を供給する第2供給路173Bとを具備している。第2実施態様でも、第1実施態様と同様に、強接着部9(強接着部用接着剤塗布部9’)は、1種類の接着剤を相対的に高坪量で塗布することによって形成し、弱接着部10(弱接着部用接着剤塗布部10’)は、該接着剤を相対的に低坪量で塗布することによって形成する。塗布手段172は、第1供給路173Aによって供給された接着剤と第2供給路173Bによって供給された接着剤とを混ぜ合わせることなく、それぞれ別個に帯状シート50に塗布する。塗布手段172による強接着部用接着剤塗布部9’及び弱接着部用接着剤塗布部10’の形成は、略同時になされる。
【0059】
第2実施態様によっても、第1実施態様と同様に、接着剤が適切に使用され、糸状弾性体7の抜けが起こり難く、柔軟で実用上十分な伸縮性を有するウエストパネル3(伸縮性シート)を効率良く製造することができる。特に第2実施態様によれば、一対の帯状シート50,60の一方のみに接着剤を塗布するため、両方に接着剤を塗布する第1実施態様に比して、接着剤の塗布設備を簡略化でき、より一層の製造コストの低減を図ることができる。また、帯状シート50と帯状シート60とを合流させる場合に、強接着部用接着剤塗布部9’と弱接着部用接着剤塗布部10’との位置ズレを考慮しなくてもよいので、調整が容易である。尚、第2実施態様は、
図5に示すように帯状シート50に接着剤を塗布し帯状シート60には接着剤を塗布しない態様に制限されず、これとは逆に、帯状シート60に接着剤を塗布し帯状シート50には接着剤を塗布しない態様でも良い。
【0060】
図6には、本発明の第3実施態様の製造方法の実施に好適に用いられる塗布装置17Bの概略構成が示されている。塗布装置17B(第3実施態様)は、計量手段174A,174Bが、タンク171又はその近傍に配されていない代わりに、塗布手段172又はその近傍に配されている点で、塗布装置17A(第2実施態様)と異なる。ここで、「塗布手段又はその近傍に計量手段が配されている」とは、塗布手段と計量手段とが一体となっている形態、及び塗布手段の外面から3m以内の領域に計量手段が配されている形態を含む。また、塗布装置17Bにおいては、タンク171の近傍(タンク171の外面から1m以内の領域)に計圧手段175が配されている。計圧手段175は、計量手段174A、174Bに安定的に接着剤を供給するための手段であり、より具体的には、ピストンポンプ等の高精度を必要としないポンプに圧力制御弁を組み合わせて流体を一定圧力で押し出す経済性の高いシステムであり、タンク171内の流体を計量手段174A、174Bまである程度の精度で供給し得る。
【0061】
第3実施態様によっても、第2実施態様と同様の効果が奏される。特に第3実施態様によれば、接着剤の塗布量(坪量)を調整する計量手段174A,174Bが塗布手段172又はその近傍に配されているため、計量手段174A,174Bがタンク171又はその近傍に配されている第2実施態様に比して、接着剤が供給路173A,173Bを通ることに起因する接着剤送液圧力の損失や接着剤の温度のばらつきが抑制され、それによって接着剤の塗布量(坪量)をより高精度に制御することができる。
【0062】
図7には、本発明の第4実施態様の製造方法の実施に好適に用いられる塗布装置17Cの概略構成が示されている。第4実施態様では、
図7に示すように塗布装置17Cを用いて、一対の帯状シート50,60の一方(帯状シート50)に、第1供給路173Aを用いて第1塗布手段172Aにより所定坪量の強接着部形成用の接着剤の一部を塗布して連続直線状の準強接着部用接着剤塗布部9a’を複数(第4実施態様では2本)形成し、他方(帯状シート60)に、第2供給路173Bを用いて第2塗布手段172Bにより所定坪量の該強接着部形成用の接着剤の残りを塗布して連続直線状の準強接着部用接着剤塗布部9b’を塗布部9a’と同数(第4実施態様では2本)形成すると共に、該第2供給路173Bを用いて該第2塗布手段172Bにより所定坪量の弱接着部形成用の接着剤の全部を塗布して連続直線状の弱接着部用接着剤塗布部10’を複数(第4実施態様では4本)形成する。準強接着部用接着剤塗布部9b’及び弱接着部用接着剤塗布部10’は、共通の第2供給路173Bを用いて形成されているため、1本の直線状の準強接着部用接着剤塗布部9b’と1本の直線状の弱接着部用接着剤塗布部10’とで、接着剤の坪量は同じである。尚、本発明においては、第1供給路173Aは、少なくとも強接着部形成用の接着剤を供給するものであれば良く、強接着部形成用の接着剤に加えて更に、弱接着部形成用の接着剤を供給するものであっても良く、また、第2供給路173Bは、少なくとも弱接着部形成用の接着剤を供給するものであれば良く、弱接着部形成用の接着剤に加えて更に、強接着部形成用の接着剤を供給するものであっても良い。第4実施態様は、第2供給路173Bが弱接着部形成用の接着剤及び強接着部形成用の接着剤の両方を供給する態様である。
【0063】
そして、第4実施態様では、前記一体化工程において、一方の帯状シート50に塗布された所定坪量の強接着部形成用の接着剤の一部(準強接着部用接着剤塗布部9a’)と、他方の帯状シート60に塗布された所定坪量の該強接着部形成用の接着剤の残り(準強接着部用接着剤塗布部9b’)とを重ね合わせる。これにより、塗布部9a’と塗布部9b’とが一体化され、所定坪量の強接着部形成用の接着剤の全部が塗布されてなる、第1実施態様における強接着部用接着剤塗布部9’(
図4参照)に相当する連続直線状の接着剤塗布部が形成される。塗布部9a’における接着剤の坪量Q1と塗布部9b’における接着剤の坪量Q2との比(Q1/Q2)は、特に制限されないが、通常1.1〜200の範囲とされる。
【0064】
第4実施態様によっても、第1実施態様と同様の効果が奏される。特に第4実施態様によれば、強接着部形成用の接着剤をシート50及びシート60の双方に塗布し、両シート50,60を合流させて互いに重ね合わせたときにそれぞれに塗布された該接着剤で糸状弾性体7の長さ方向の両端部を上下から挟みこんで接着固定可能にしたため、糸状弾性体7を両シート50,60により強固に固定することが可能となる。換言すれば、1枚のシート当たりの接着剤の塗布量を従来に比して減らしても、糸状弾性体7の強固な固定(接着強度)が得られる。尚、第4実施態様は、
図7に示すように帯状シート60に弱接着部用接着剤塗布部10’を形成し帯状シート50には塗布部10’を形成しない態様に制限されず、これとは逆に、帯状シート50に塗布部10’を形成し帯状シート60には塗布部10’を形成しない態様でも良い。
【0065】
図8には、第5実施態様の製造方法の実施に好適に用いられる塗布装置17Dの概略構成が示されている。塗布装置17Dは、
図8に示すように塗布手段として、第1供給路173Aが接続された第1塗布手段172Aと、第2供給路173Bが接続された第2塗布手段172Bとを具備し、第5実施態様では、一対の帯状シート50,60の一方(帯状シート50)に、第2供給路173Bを用いて第2塗布手段172Bにより弱接着部形成用の接着剤を塗布して弱接着部用接着剤塗布部10’を形成した後、第1供給路173Aを用いて第1塗布手段172Aにより強接着部形成用の接着剤を塗布して強接着部用接着剤塗布部9’を形成する。第5実施態様では、他方(帯状シート60)には接着剤を塗布しない。また、第5実施態様では、強接着部形成用の接着剤の塗布後(強接着部用接着剤塗布部9’の形成後)速やかに、具体的には、強接着部形成用の接着剤の塗布後3秒以内に、他方(帯状シート60)を合流させることが、強接着部用の接着剤が温度低下で固化しない間に一対の帯状シート50,60と糸状弾性体7とを確実に固着させる点で好ましい。第2塗布手段172Bによって接着剤が塗布されたシートに接着剤を塗布する、第1塗布手段172Aとしては、既に塗布された接着剤(強接着部用接着剤塗布部9’)に影響を及ぼさないようにする観点から、前述した非接触型塗布手段が好ましく用いられる。
【0066】
第5実施態様によっても、第2実施態様と同様の効果が奏される。特に第5実施態様によれば、塗布手段172A,172B内の接着剤の流路設計が単純になり装置製作が経済的に有利になるという効果が奏される。尚、第5実施態様は、
図8に示すように帯状シート50に接着剤を塗布し帯状シート60には接着剤を塗布しない態様に制限されず、これとは逆に、帯状シート60に接着剤を塗布し帯状シート50には接着剤を塗布しない態様でも良い。
【0067】
図9には、第6実施態様の製造方法の実施に好適に用いられる塗布装置17Eの概略構成が示されている。塗布装置17Eは、
図9に示すように、接着剤を収容するタンクとして、強接着部形成用の接着剤を収容し且つ第1供給路173Aが接続された第1タンク171Aと、弱接着部形成用の接着剤を収容し且つ第2供給路173Bが接続された第2タンク171Bとを具備する。前述した実施態様(第1〜第5実施態様)では、強接着部形成用の接着剤と弱接着部形成用の接着剤とが同じであり、1種類の接着剤の塗布量(坪量)を部分的に異ならせることで強接着部9及び弱接着部10を形成していたが、このように、強接着部形成用の接着剤を収容するタンクと弱接着部形成用の接着剤を収容するタンクとが分けられていると、強接着部9と弱接着部10とで接着剤の種類を変えることが可能となり、シート5,6と糸状弾性体7との接着に使用する接着剤として、接着力の異なる複数種の接着剤を用いることが可能となる。即ち第6実施態様によれば、例えば、強接着部9には比較的接着力の強い(接着剤塗布部が比較的硬い)接着剤を用い、弱接着部10には比較的接着力の弱い(接着剤塗布部が比較的柔らかい)接着剤を用いることが可能となる。尚、第6実施態様は、
図9に示すように帯状シート50に強接着部用接着剤塗布部9’を形成し帯状シート60に弱接着部用接着剤塗布部10’を形成する態様に制限されず、これとは逆に、帯状シート60に強接着部用接着剤塗布部9’を形成し帯状シート50に弱接着部用接着剤塗布部10’を形成する態様でも良い。
【0068】
本発明の伸縮性シートの製造方法は、前記実施態様に制限されず適宜変更可能である。前述した一の実施態様のみが有する部分は、すべて適宜相互に利用できる。
【0069】
また、
図1に示す形態では、一対のウエストパネル3,3の平面視形状は矩形であったが、台形や平行四辺形であっても良い。ウエストパネル3の平面視形状は、伸縮性シート3Aを切断して一対のウエストパネル3,3を得る際に、廃棄する部分(ウエストパネル3として用いない部分)ができるだけ少なくなるような形状とすることが好ましい。
【0070】
また、前記実施態様では、糸状弾性体7を一対の搬送ベルト12,13にy方向(シートの搬送方向)と直交せずに交差する方向に伸長状態で巻き掛けた後、その傾き(伸長方向)をy方向と直交する方向(x方向)に修正したが、搬送ベルト12,13に巻き掛けた角度のまま修正せずに一対の帯状シート50,60に固定しても良い。
【0071】
また、弾性体巻回手段としては、回転軸部分に糸状弾性体の導入部を有する円盤と該円盤からy方向の下流側に突出するアームとを有し、該アームが、搬送ベルト12,13の周囲を周回して、糸状弾性体を搬送ベルト12,13の周囲に巻回させるもの等を用いることもできる。また、フィードローラー156としては、
図3に示すように、材料(糸状弾性体)を巻き掛けて該材料を送るものに代えて、ニップロールで材料を挟んで該材料を送るもの等を用いることもできる。
【0072】
また、搬送ベルトとしては、一対の搬送ベルトではなく、WO2005/060910に開示のようなコンベアベルトを用いても良い。また、特開2002−192641号公報の
図4〜6に記載されているスクリュー溝が設けられた糸支持部材を用いても良い。
【0073】
本発明の製造方法により製造される伸縮性シートは、使い捨ておむつ1のウエストパネル3以外に、展開型又はパンツ型の使い捨ておむつの胴周り部、パンツ型使い捨ておむつの胴回り部、パンツ型の生理用ナプキン、使い捨ての下着、使い捨てマスクの耳掛け部、掃除用シート、包帯などにも使用することができる。