(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
写真撮影の対象となるイメージの色は、周囲光により大きな影響を受ける。暖色系周囲光は、寒色系周囲光と比較して、赤味が強く、青味が弱いものと考えられる。暖色系周囲光としては、たとえばタングステンフィラメント(約3000K)を利用した、白熱灯の光があり得る。朝または午後の太陽は、暖色の度合いがより低い周囲光(約3500K)を生成する。より寒色寄りの周囲光としては、蛍光灯の光(約4500K)が挙げられる。真上にある太陽の昼光、曇りの日の昼光、および日陰の昼光は、漸進的により寒色寄りとなる光を生成する(5000−10000K)。標準的なキセノンフラッシュは、寒色系の光(約5500K)を生成し、そのフラッシュ光が、周囲光より優勢となる傾向がある。
【0003】
高品質のデジタルカメラでは、マニュアル制御により、現行の周囲光のタイプを選択することが可能である。選択の結果、写真の色が真の色により近くなるように、周囲光により生成されるカラーバイアスを補償する特定の補償アルゴリズムが、カラーピクセルに対して実行される。
【0004】
カラーバランスその他の技術により、周囲光のタイプを自動的に検出することのできるデジタルカメラもある。その結果、カメラのプロセッサは、複数の色補償アルゴリズムのうちの適当な1つのアルゴリズムを適用し、検出された周囲光に起因するカラーバイアスを補正する。
【0005】
標準的なキセノンフラッシュがカメラに使われる場合、カメラは、フラッシュが周囲光より優勢となることを前提とし、カメラにより選択される色補償アルゴリズムが、フラッシュの利用と関連付けられる場合がある。しかしながら、いくつかの特定の状況下では、フラッシュと周囲光との両方が、イメージの照明に実質的に寄与する。
【0006】
LEDは、携帯電話のカメラを含む小型カメラのフラッシュに利用するものとして、次第に一般的になってきている。これは、LEDが、キセノンフラッシュで必要とされるような高電圧のパルスを必要とせず、かつ、LEDおよびそのドライバが、キセノンバルブおよびそのドライバよりも、格段に小さいためである。また、LEDは、デジタルカメラを用いて動画を撮影する際に、連続点灯させることができる。
【0007】
今日使用されているフラッシュLEDは、典型的には、YAG蛍光体で覆われた標準的な青色LEDダイであり、YAG蛍光体から発せられた黄緑光が、蛍光層を介して漏れ出す青色LED光と混合されて、白色光が生成される。この光は寒色系の光と考えられ、約7000Kの色温度を有する。
【発明を実施するための形態】
【0015】
LEDフラッシュが、特定のカメラのために、LEDダイと、そのLEDダイの上に付与された蛍光体とを用いて、そのカメラにプログラミングされた周囲光設定のうちの1つと実質的に適合するようカスタマイズされた光特性を有する、白色光を生成するように作製される。各カメラ製造業者は、周囲光のタイプにつき、独自の基準を持ち得る(たとえば、白熱灯の光は、2500Kだったり3000Kだったりする)。そのため、LEDフラッシュは、そのカメラにおける既存の周囲光基準のうちの1つに、実質的に適合するようにカスタマイズされる。
【0016】
本発明の発明者は、周囲光の種々の色温度に対して、色誤差を比較するテストを行った(カラーチャートおよびdelta E94標準を使用して)。本発明の発明者は、カメラが自己の白熱灯光(タングステンフィラメント)用色補正アルゴリズムを用いるように設定された際には、LEDフラッシュがそのタングステンフィラメントと実質的に同一の色温度(約2700K)を発するようにカスタマイズされると、生成される色誤差が最も低くなることを見出した。このテストはまた、標準的なYAGタイプのLEDフラッシュを用いながら、タングステンフィラメントの周囲光に合わせてキャリブレーションされたカメラによって、最大の色誤差が生成されることを示した。
【0017】
小型デジタルカメラの分野では、フラッシュ写真の大部分は、白熱灯の光の下、屋内で撮影される。したがって、フラッシュ写真の1つの重要な色補償アルゴリズムは、白熱灯照明に対する色補償アルゴリズムである。LEDフラッシュが、カメラにより用いられているタングステンフィラメント光の基準を実質的に再現するように作製されると、実際のタングステンフィラメントの周囲光とLEDフラッシュとの組合せは、基本的に、より明るいタングステンフィラメントの照明を作り出す。カメラが周囲光の自動検出器を用いて周囲光のタイプを特定してもよいし、ユーザが周囲光のタイプを手動で指定してもよい。結果として、本発明によれば、白熱灯の光の下で屋内撮影されたフラッシュ写真は、LEDフラッシュがYAG型のフラッシュまたはその他の任意に設計されたフラッシュである場合と比較して、より真の色に近い写真となる。
【0018】
青色LEDダイの上に付与される赤色および緑色の蛍光体の密度、厚さ、比および/またはタイプを変化させることにより、そのカメラの白熱灯の光の基準に合わせて、LEDフラッシュが発する色を調整することができる。これらの蛍光体は、一体に組み合わされた層として積層されてもよいし、別個の層として積層されてもよいし、LEDダイに貼り合わせられる予め形成された薄いプレートの形態とされてもよい。1つの実施形態では、電気泳動により蛍光体が積層される。量子ドットまたはその他の波長変換材料を用いてもよい。
【0019】
別の実施形態では、LEDフラッシュは、昼光または蛍光灯の光といったような、別のタイプの周囲光をエミュレートする。
【0020】
別の実施形態では、カメラにより検出可能な様々な周囲光タイプ(たとえば白熱灯の光、蛍光灯の光、明るい昼光、および曇天の昼光)のそれぞれに対して、異なるLEDフラッシュがカスタマイズされる。その上で、異なる複数のLEDフラッシュが、互いに隣接させられてカメラに取り付けられる。フラッシュ写真を撮影する際には、周囲光のタイプが自動検出または手動入力され、その検出された周囲光と実質的に同一の色温度を発するLEDのみが、写真撮影のために作動させられる。したがって、そのカメラの、その光タイプ向けの色補償アルゴリズムが最適に動作して、より真の色に近い写真が形成される。
【0021】
最終的な写真が、周囲光に最も類似したLEDフラッシュで撮影された写真となるように、LEDフラッシュの多くの他の動作シナリオが用いられ得る。
【0022】
図1は、本発明の1つの実施形態に従って形成された白色光LED20の断面図である。ハイパワーの青色光LEDダイ22が、金のバンプ25その他の手段を用いて、サブマウント24にはんだ付けまたは超音波溶接で取り付けられている。サブマウント24は、表面上に金属の接触パッド26を有し、この接触パッド26に、LEDダイ22の底面電極28が電気的に接続されている。LEDダイ22は、フリップチップである。接触パッド26は、プリント回路基板30への接続のためサブマウント24の周囲または下面に形成された、別の導体に繋がっており、プリント回路基板30はさらに、電流源のような電源に接続されている。LEDダイ22は、AlInGaN材料を用いて形成されたものでもよく、好ましくは、約430−480nmのピーク波長を有する青色光を発する。ダイ22は、底面側のp層32、活性層34、および上面側のn層36を含んでいる。各層は、複数の層を含んでいてもよい。別の実施形態では、n層とp層の位置が逆転されてもよく、フリップチップでない機器とされてもよい。青色LEDダイの上表面はいかなる大きさであってもよく、典型的な大きさは約1mm
2である。
【0023】
LEDダイ22の上表面に取り付けられているのは、赤色蛍光体および緑色蛍光体を含有する1つまたは複数の蛍光体層40である。この例では蛍光体が使用されるが、蛍光体に代えて、量子ドットを用いてダウンコンバートを行ってもよい。1つまたは複数の蛍光体層40は、予め形成された薄い蛍光体プレートであってもよいし、液体バインダまたは電気泳動を利用して蛍光体を積層する等の方法により、積層された層であってもよい。蛍光体層40中の破線は、蛍光体が2つの層として積層される場合、または蛍光体がLEDダイ22の側面をカバーする場合、または蛍光体が蛍光体プレートのようにダイの上表面のみをカバーする場合の、バリエーションを示している。プレートと積層との組合せを用いてもよい。様々な白色光スペクトルを生成するための蛍光体の積層方法は、よく知られている。
【0024】
青色光の一部は赤色および緑色の蛍光体を介して漏れ出すので、結果として得られる光は、白色光となる。
【0025】
適当な赤色および緑色の蛍光体の例は多くあり、その中には、Y
3Al
5O
12:Cu
3+(緑色)、CaAlSiN
3:Eu
2+(赤色)、Lu
3Al
5O
12:Ce
3+(緑色)、および(BaSr)
2Si
5N
8:Eu
2+(赤色、BSSNとして知られる)が含まれる。赤色蛍光体と緑色蛍光体とのいかなる組合せが用いられてもよい。
【0026】
蛍光体プレートが用いられる場合、各プレートまたは一体に組み合わせられたプレートの厚さは、使用される蛍光体のタイプ、使用される青色LEDのタイプ(たとえばよりハイパワーのLEDはより厚いプレートを必要とし得る)、蛍光体の密度、および当業者であれば理解できる他の因子に応じて、典型的には50−300μmの間の厚さとされる。
【0027】
プレートは、焼結された蛍光体粉末、またはシリコーン等の透明バインダ中に分配された蛍光体粉末であってもよい。あるいは、プレートは、エポキシまたはシリコーンといった適当なマトリックス中に埋め込まれた半導体ナノ粒子(量子ドット)を含むものとされてもよい。あるいは、プレートは、ハイブリッド型のもの(たとえば、半導体ナノ粒子を含むバインダ中に、蛍光体が付与されたもの)とされてもよい。量子ドットは、その量子ドット粒子の大きさに応じて、特定の波長に光を波長変換する。かかる量子ドット、および特定の赤色もしくは緑色の発光を生成するために必要とされる量子ドットの特性は、よく知られている。
【0028】
赤色および緑色のプレートまたは層が重畳されて用いられる場合には、赤色の蛍光体を、緑色の蛍光体の下に配するのが有利である。これは、赤色のダウンコンバータは一般的に緑色の光子を吸収するが、緑色のダウンコンバータは赤色の光子に著しい影響を与えないためである。この配置は、傾向として、改善されたダウンコンバート効率をもたらす。
【0029】
本発明は、発せられる白色光が、周囲光の特性に対する補償を行うべくデジタルカメラ内で使用される特定の色補償アルゴリズムに実質的に適合するように、青色LEDダイにより付活される赤色および緑色の蛍光体(またはその他の波長変換材料)を、カスタマイズすることに関する。その上で、白色光のLEDが、カメラのフラッシュとして使用される。LEDフラッシュが、カメラにプログラミングされた既存の周囲光タイプのうちの1つと実質的に適合するようにカスタマイズされると、LEDフラッシュは周囲光を効果的に明るくし、特定タイプの周囲光に対するカメラの色補償アルゴリズムが最適に動作して、より真の色に近い写真の色を作り出す。
【0030】
1つの実施形態では、1つのカメラ内で、複数の異なるLEDフラッシュが使用され、各LEDフラッシュは、異なる周囲光に対応するものとされる。たとえば携帯電話のカメラフラッシュといったようなより簡略化された実施形態では、LEDフラッシュは、カメラが自己の白熱灯光用色補償アルゴリズムにおいて想定する白熱灯(タングステンフィラメント)の周囲光と、実質的に適合するようにカスタマイズされる。
【0031】
図2は、複数のLEDフラッシュ52、53および54を含む、カメラ50を図示している。ここで用いるフラッシュとの用語は、1枚の写真ではなく動画撮影中に点灯される連続照明も包含するものとする。LEDフラッシュ52は、明るい昼光の周囲光のカメラ設定に実質的に適合するようにカスタム設計されている。LEDフラッシュ53は、白熱灯の周囲光のカメラ設定に実質的に適合するようにカスタム設計されている。LEDフラッシュ54は、蛍光灯の周囲光のカメラ設定に実質的に適合するようにカスタム設計されている。他の光の設定に対応する、追加のLEDフラッシュが設けられてもよい。各LEDフラッシュの上には、波長(x軸)に対して、LEDフラッシュにより発せられる光の相対強度を示した簡略グラフが示されており、グラフ中の波長は、左側の青色波長から、右側の赤色波長の方向に増大する。蛍光灯の光については、発光は、使用されている蛍光体の特定の放射に起因する。このような、カメラの色補償アルゴリズムによって想定されている各タイプの周囲光の特性は、本発明に従うカスタマイズ作製されたLEDフラッシュの利用を望む、各カメラ製造業者によって提供され得る。白熱灯の周囲光の全体の色温度は2500K−4000Kであると想定され、蛍光灯の周囲光の全体の色温度は4000K−5000Kであると想定され、昼光の周囲光の全体の色温度は5000K−6500Kであると想定される。
【0032】
特定の色補償アルゴリズムを選択する目的において、カメラの周囲光設定は、手動設定されてもよいし、自動設定されてもよい。
【0033】
ほとんどの携帯電話カメラは、白熱灯の周囲光の下でLEDフラッシュを使用する。本発明の最も単純なシナリオでは、そのカメラの白熱灯の周囲光設定に実質的に適合するLEDフラッシュのみが、特定のカメラメーカーのために作製される。こうすることにより、白熱灯の周囲光と共にフラッシュを用いると、イメージに対するすべての照明が白熱灯の光の特性を有することとなるので、そのカメラの白熱灯の光用の色補償アルゴリズムが、写真に対して最適に適用される。この技術は、
図3のフローチャートで説明される。このフローチャートは、LEDフラッシュの設計に関する部分と、カメラの動作に関する部分とに分けられる。
【0034】
図3のステップ58において、LED製造業者は、周囲光が白熱灯(タングステンフィラメント)の光であることを特定するために特定のカメラタイプが使用している光特性を、特定する。そのようなカメラは、かかる白熱灯の周囲光の下で撮影される写真に適用される、色補償アルゴリズムを持っているであろう。
【0035】
続いて、ステップ59において、LED製造業者は、特定のカメラに既にプログラミングされている白熱灯の光の特性に適合するようカスタマイズされた白色光LEDを形成するべく、特定の青色LEDダイに対して、赤色および緑色の蛍光体の特性をカスタマイズする。このカスタマイズは、密度、厚さ、比、タイプ、および場合によってはその他の因子といった、蛍光体の特性のうちの1つまたは複数を、変化させることを包含し得る。積層方法も、白色光の特性に影響を与える。1つの実施形態では、赤色蛍光体は予め形成された薄い蛍光体プレートとされ、異なる厚さを有するプレートの中から特定のプレートが選択されて、所望の赤色光成分が実現される。同様に、緑色のプレートが、異なる複数のプレートの中から選択されて、所望の緑色成分が実現される。青色成分は、これらのプレートを介して漏れ出すLED光であるので、プレートの厚さも、青色光成分に影響を与える。プレートと、特定の駆動電流により駆動される青色LEDとの様々な組合せにより実現される光特性は、経験的に特定されてもよいし、コンピュータシミュレーションにより特定されてもよい。
【0036】
ステップ60において、結果として得られたLEDフラッシュが、特定のカメラ内にプログラミングされた白熱灯の周囲光特性を実質的に再現するべく、そのカメラに取り付けられる。
【0037】
図4は、典型的なタングステンフィラメントのスペクトル62を示しており、このスペクトルの特性が、かかるフィラメントが周囲光源として使用された際の色補償のため、デジタルカメラ内にプログラミングされているものとする。
図4はまた、このフィラメントのスペクトルに実質的に適合するようにカスタマイズされた白色光LED53(
図2)の、簡略化されたスペクトル64も示している。約450nmの青色波長におけるLED光の相対輝度の隆起は、赤色および緑色の蛍光体を介して漏れ出す、LEDダイの青色光に起因する隆起である。LEDのフラッシュ特性が、(カメラにより感知される)周囲光特性に概ね追従している限り、そのLEDフラッシュは、周囲光に実質的に適合していると捉えられる。異なる蛍光体は、異なる半値全波長幅特性を有しており、これはLEDのフラッシュ特性の滑らかさに影響を及ぼす。しかしながら、カメラは基本的に赤色、緑色および青色の光のみを検出するので、カメラがそのLEDフラッシュを単に周囲光の明るさを強化するものとして認識する限り、LEDフラッシュは、周囲光の全スペクトルに類似している必要はない。
【0038】
ここではカメラが周囲光のタイプを自動的に検出するものと想定すると、
図3のステップ66において、カメラが「シャッターを開き」(電子系統の意味で)、カメラのカラーピクセルセンサ68が、たとえば低解像度で、フラッシュがない状態での照明されたイメージを検出する。センサ68は、CCD、CMOSまたはその他のタイプのセンサとされ得る。カメラのマイクロプロセッサ70は、たとえばメモリ71内に格納されている特性と特性比較すること等により、周囲光のタイプを特定するために、イメージ処理を行う。カメラは、全体の色温度を検知するために、別個の光センサを用いてもよい。別の実施形態では、ユーザが、カメラのメニュー画面を通じて、周囲光のタイプを手動指定する。
【0039】
周囲光の明るさが写真撮影には不十分であることをカメラが検出したと想定して、ステップ72において、カメラが、LEDフラッシュを作動させて写真を撮影する。周囲光が白熱灯の光である場合には、LEDフラッシュは、実質的に色を変化させることなく、ただ周囲光の明るさを強化する。LEDフラッシュ53を作動させるため、マイクロプロセッサ70は、LEDフラッシュ53に電流パルス(写真の場合)または連続電流(動画の場合)を印加する信号を、LEDドライバ73に供給する。フラッシュ用のLEDドライバは、よく知られており、市販されている。
【0040】
周囲光が白熱灯の光であると検出されたと想定すると、ステップ76において、色補償アルゴリズムが最適に動作するように、白熱灯の周囲光用の色補償設定を使用して、カメラがイメージを処理する。マイクロプロセッサ70がアドレスにより参照するメモリ71内に、色補正因子(カラーシフトおよび明るさを含む)が保存されていてもよい。周囲光が白熱灯の光ではない状況でLEDフラッシュが使用された場合には、結果として得られる照明は、実際の周囲光とLEDフラッシュとの混合となる。カメラは、照明光中でLEDフラッシュが優勢の場合には、LEDフラッシュと関連付けられた色補償アルゴリズムを適用してもよいし、LEDフラッシュと実際の周囲光との混合を考慮に入れた別の色補償アルゴリズムを適用してもよい。
【0041】
ステップ80では、色補正された写真が、メモリカード等のメモリ82内に保存される。
【0042】
図3のフローチャートの処理は、白熱灯の周囲光の下でフラッシュを用いて写真が撮影された際に、最適の結果を生み出す。より高品質のカメラでは、同じ領域(たとえば反射器)内に複数のLEDフラッシュ52−54が取り付けられてもよく、その場合、検出された周囲光に対応するフラッシュのみが、最終的な写真撮影に利用される。
【0043】
図5は、カメラに取り付けられた複数のLEDフラッシュを伴う処理のフローチャートである。カメラ設定は、少なくとも昼光(晴天で太陽が真上にある場合)、白熱灯、および蛍光灯の設定を含むものと仮定する。より多い、またはより少ない、設定およびフラッシュが設けられてもよい。
【0044】
図5のステップ84では、周囲光が昼光、白熱灯、または蛍光灯の光であることを特定するために特定のカメラタイプが使用している光特性が、特定される。カメラによるそのような規定は、続いて、写真撮影されるイメージの色補償に使用される、上記特性と関連付けられた色補償アルゴリズムを適用する。これらの特性は、カメラ製造業者から、LEDフラッシュの製造業者に与えられてもよい。
【0045】
ステップ86では、ステップ84で特定された昼光、白熱灯、および蛍光灯の特性に実質的に適合するように、LEDフラッシュが作製される。かかる特性の簡略化された例は、
図2において、LEDフラッシュ52−54の上に示されている。
【0046】
ステップ88では、3つのLEDフラッシュがデジタルカメラに取り付けられる。
【0047】
続いて、LEDフラッシュと周囲光とを組み合わせて、写真に適用する最適な色補正アルゴリズムを選択するのに、様々なカメラ技術が使用され得る。
図5の例では、ステップ90において周囲光の検出が行われ、たとえば、シャッターを「開いて」(機械的ではなく電子系統上で行われる)実際の周囲光特性をメモリ71内に格納された周囲光特性と比較することにより、周囲光が検出される。周囲光はまた、単純にユーザにより指定されてもよい。
【0048】
ステップ92では、LEDフラッシュ52−54のうち、検出された周囲光タイプと最も近く関連付けられるもののみが、フラッシュ写真を撮影するために作動させられる。マイクロプロセッサ70は、LEDドライバ73に対してこの適当なフラッシュを指定し、LEDドライバ73は、選択されたLEDに、電流パルスまたは連続電流を印加する。
【0049】
ステップ94では、周囲光およびマッチングされたLEDフラッシュで照明されたイメージが、その周囲光に対する適切な色補正因子を用いて処理される。こうして、アルゴリズムが最適に適用される。
【0050】
ステップ96において、最終的な写真がメモリ82内に保存される。
【0051】
図6は、
図5で作製されたLEDフラッシュを用いたカメラ動作の、別の例を示している。
図6のステップ98では、カメラのシャッターが開かれ、周囲光のみを用いた低解像度写真が処理される。
【0052】
ステップ100において、カメラは、3つのフラッシュ52−54のそれぞれを用いて、低解像度の別の写真を撮影し、どのフラッシュが、ステップ98で検出された周囲光と最もよく合致するイメージを形成したかを特定する。
【0053】
その後、ステップ102において、カメラは、周囲光に最もよく適合するLEDフラッシュを用いて、通常の写真撮影を行う。
【0054】
ステップ104において、上記の周囲光と関連付けられたアルゴリズムを用いて、写真に色補償が施される。こうして、アルゴリズムが最適に適用される。
【0055】
ステップ106において、色補正されたイメージがメモリ82内に保存される。
【0056】
図7は、
図5で作製されたLEDフラッシュを用いたカメラ動作の、別の例を示している。
図7のステップ108では、カメラは各フラッシュを順番に用いて1枚ずつの写真を撮影し、それらの写真をメモリ内に一時保存する。
【0057】
ステップ110において、マイクロプロセッサ70は、たとえば顔のトーンを検査するまたはその他の基準を用いて、最良の写真を決定する。
【0058】
その後、ステップ112において、カメラは、その最良の写真に、検出された周囲光に基づいて適切な色補正アルゴリズムを適用し、残りの写真を削除する。
【0059】
ステップ114において、色補正されたイメージがメモリ82内に保存される。
【0060】
図8は、イメージの照明においてLEDフラッシュが優勢であることを前提とした別の技術を示している。この例では、カメラは、実際の周囲光に関係なく、LEDフラッシュと関連付けられた色補正アルゴリズム(たとえば白熱灯の光用のアルゴリズム)を適用する。この例は、周囲光の明るさが不十分であるためにフラッシュが必要とされているという前提に立っている。
【0061】
図8のステップ116では、青色LEDの上の蛍光体の密度、厚さ、タイプ等が調整されて、特定のカメラ内に既にプログラミングされている昼光、白熱灯の光、および蛍光灯の光の周囲光特性のうちの1つと適合するように、カスタマイズされた白色光LEDフラッシュが形成される。
【0062】
フラッシュが必要であることが検出されると、ステップ118において写真が撮影され、イメージの照明においてフラッシュが優勢であることが仮定される。
【0063】
ステップ120では、LEDフラッシュの特性と関連付けられた色補償アルゴリズムを用いて、写真に色補正が施される。ほとんどのフラッシュ写真は白熱灯の周囲光の下で屋内撮影されるので、1つの実施形態では、LEDフラッシュは白熱灯の光の特性を有するものとされる。
【0064】
ステップ122において、色補正されたイメージがメモリ82内に保存される。
【0065】
すべての実施形態において、明るさの補償は、シャッターの開放時間と補償アルゴリズムとの組合せにより実現されてもよい。
【0066】
上記で説明した方法の様々な組合せが、1つまたは複数のカスタマイズされたLEDフラッシュで撮影された写真を処理するのに用いられ得る。ユーザが周囲光を手動で指定する形態では、それらの処理は簡略化される。
【0067】
以上、本発明を詳細に説明してきたが、本明細書の開示内容を読んだ当業者は、本明細書で説明した発明概念の精神から逸脱することなく、本発明に対し複数の修正を施すことが可能である旨を理解するであろう。したがって、本発明の技術的範囲を、ここで図解および説明した具体的な実施形態に限定することは意図されていない。