特許第5909373号(P5909373)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5909373シャッター装置の初期設定モードにおける上限位置・下限位置設定装置及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5909373
(24)【登録日】2016年4月1日
(45)【発行日】2016年4月26日
(54)【発明の名称】シャッター装置の初期設定モードにおける上限位置・下限位置設定装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   E06B 9/82 20060101AFI20160412BHJP
   E06B 9/68 20060101ALI20160412BHJP
【FI】
   E06B9/82 H
   E06B9/68 A
【請求項の数】12
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2012-17441(P2012-17441)
(22)【出願日】2012年1月31日
(65)【公開番号】特開2013-155535(P2013-155535A)
(43)【公開日】2013年8月15日
【審査請求日】2014年9月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】307038540
【氏名又は名称】三和シヤッター工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000106944
【氏名又は名称】シナノケンシ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103137
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 滋
(72)【発明者】
【氏名】一柳 裕昭
(72)【発明者】
【氏名】伊澤 秀観
(72)【発明者】
【氏名】山之内 佑
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 岳
(72)【発明者】
【氏名】板橋 頼行
【審査官】 家田 政明
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−177074(JP,A)
【文献】 特開平05−284783(JP,A)
【文献】 特開2006−052639(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 9/00−9/92
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物開口部に設置されたシャッター装置の初期設定モードにおける上限位置・下限位置設定装置において、
前記シャッター装置は、
シャッターカーテンを上昇・下降させる開閉機と、
開閉機のモータを第1の方向に回転させてシャッターカーテンを移動させる第1のスイッチと、
開閉機のモータを第1の方向と反対の第2の方向に回転させてシャッターカーテンを移動させる第2のスイッチと、
を備え、
前記上限位置・下限位置設定装置は、
上限位置設定手段と、
下限位置設定手段と、
開閉機のモータの回転方向決定手段と、
を備え、
前記上限位置設定手段は、第1のスイッチあるいは第2のスイッチの入力によりシャッターカーテンを上昇させて、シャッターカーテンが上限まで上昇した時に上限位置を設定し、
前記開閉機のモータの回転方向決定手段は、第1のスイッチの入力によりシャッターカーテンが上昇して上限位置が設定された場合には、モータの回転方向を予め設定された回転方向のままとし、第2のスイッチの入力によりシャッターカーテンが上昇して上限位置が設定された場合には、上限位置設定時に、第1のスイッチの入力によりシャッターカーテンが上昇し、第2のスイッチの入力によりシャッターカーテンが下降するように、予め設定されたモータの回転方向を反対方向に切り換えることによって、上限位置設定時に第1のスイッチの入力によってシャッターカーテンが上昇し、第2のスイッチの入力によってシャッターカーテンが下降するように自動的に決定し
前記下限位置設定手段は、上限位置設定後、第2のスイッチの入力によりシャッターカーテンを下降させて、シャッターカーテンが下限まで下降した時に下限位置を設定する、
上限位置・下限位置設定装置。
【請求項2】
前記シャッター装置は、過負荷検知手段を備えており、
上限位置は、前記過負荷検知手段による初回の過負荷検知時に設定される、
請求項1に記載の上限位置・下限位置設定装置。
【請求項3】
前記第1のスイッチ及び第2のスイッチは、1つの押しボタンスイッチからなり、当該押しボタンスイッチの押し操作パターンに応じて第1のスイッチの入力と第2のスイッチの入力が識別される、請求項1、2いずれかに記載の上限位置・下限位置設定装置。
【請求項4】
建物開口部に設置されたシャッター装置の初期設定モードにおける上限位置・下限位置設定方法において、
シャッター装置は、
シャッターカーテンを上昇・下降させる開閉機と、
開閉機のモータを第1の方向に回転させてシャッターカーテンを移動させる第1のスイッチと、
開閉機のモータを第1の方向と反対の第2の方向に回転させてシャッターカーテンを移動させる第2のスイッチと、
を備え、
第1のスイッチの入力によりシャッターカーテンが上昇した場合には、シャッターカーテンが上限まで上昇した時に上限位置を設定し、
第2のスイッチの入力によりシャッターカーテンが上昇した場合には、シャッターカーテンが上限まで上昇した時に上限位置を設定すると共に、上限位置設定時に、第1のスイッチの入力によりシャッターカーテンが上昇し、第2のスイッチの入力によりシャッターカーテンが下降するように、予め設定されたモータの回転方向を反対方向に切り換えることによって、上限位置設定時に第1のスイッチの入力によってシャッターカーテンが上昇し、第2のスイッチの入力によってシャッターカーテンが下降するように自動的に決定し
上限位置設定後、第2のスイッチの入力によりシャッターカーテンを下降させて、シャッターカーテンが下限まで下降した時に下限位置を設定する、
上限位置・下限位置設定方法。
【請求項5】
前記シャッター装置は、過負荷検知手段を備えており、
上限位置は、前記過負荷検知手段による初回の過負荷検知時に設定される、
請求項4に記載の上限位置・下限位置設定方法。
【請求項6】
前記第1のスイッチ及び第2のスイッチは、1つの押しボタンスイッチからなり、当該押しボタンスイッチの押し操作パターンに応じて第1のスイッチの入力と第2のスイッチの入力が識別される、請求項4、5いずれかに記載の上限位置・下限位置設定方法。
【請求項7】
建物開口部に設置されたシャッター装置の初期設定モードにおける上限位置・下限位置設定装置において、
前記シャッター装置は、
シャッターカーテンを上昇・下降させる開閉機と、
開閉機のモータを第1の方向に回転させてシャッターカーテンを移動させる第1のスイッチと、
開閉機のモータを第1の方向と反対の第2の方向に回転させてシャッターカーテンを移動させる第2のスイッチと、
を備え、
前記上限位置・下限位置設定装置は、
上限位置設定手段と、
下限位置設定手段と、
開閉機のモータの回転方向決定手段と、
を備え、
前記下限位置設定手段は、第1のスイッチあるいは第2のスイッチの入力によりシャッターカーテンを下降させて、シャッターカーテンが下限まで下降した時に下限位置を設定し、
前記開閉機のモータの回転方向決定手段は、第2のスイッチの入力によりシャッターカーテンが下降して下限位置が設定された場合には、モータの回転方向を予め設定された回転方向のままとし、第1のスイッチの入力によりシャッターカーテンが下降して下限位置が設定された場合には、下限位置設定時に、第1のスイッチの入力によりシャッターカーテンが上昇し、第2のスイッチの入力によりシャッターカーテンが下降するように、予め設定されたモータの回転方向を反対方向に切り換えることによって、下限位置設定時に第2のスイッチの入力によってシャッターカーテンが下降し、第1のスイッチの入力によってシャッターカーテンが上昇するように自動的に決定し
前記上限位置設定手段は、下限位置設定後、第1のスイッチの入力によりシャッターカーテンを上昇させて、シャッターカーテンが上限まで上昇した時に上限位置を設定する、
上限位置・下限位置設定装置。
【請求項8】
前記シャッター装置は、過負荷検知手段を備えており、
下限限位置は、前記過負荷検知手段による初回の過負荷検知時に設定される、
請求項7に記載の上限位置・下限位置設定装置。
【請求項9】
前記第1のスイッチ及び第2のスイッチは、1つの押しボタンスイッチからなり、当該押しボタンスイッチの押し操作パターンに応じて第1のスイッチの入力と第2のスイッチの入力が識別される、請求項7、8いずれかに記載の上限位置・下限位置設定装置。
【請求項10】
建物開口部に設置されたシャッター装置の初期設定モードにおける上限位置・下限位置設定方法において、
シャッター装置は、
シャッターカーテンを上昇・下降させる開閉機と、
開閉機のモータを第1の方向に回転させてシャッターカーテンを移動させる第1のスイッチと、
開閉機のモータを第1の方向と反対の第2の方向に回転させてシャッターカーテンを移動させる第2のスイッチと、
を備え、
第2のスイッチの入力によりシャッターカーテンが下降した場合には、シャッターカーテンが下限まで下降した時に下限位置を設定し、
第1のスイッチの入力によりシャッターカーテンが下降した場合には、シャッターカーテンが下限まで下降した時に下限位置を設定すると共に、下限位置設定時に、第1のスイッチの入力によりシャッターカーテンが上昇し、第2のスイッチの入力によりシャッターカーテンが下降するように、予め設定されたモータの回転方向を反対方向に切り換えることによって、下限位置設定時に第2のスイッチの入力によってシャッターカーテンが下降し、第1のスイッチの入力によってシャッターカーテンが上昇するように自動的に決定し
下限位置設定後、第1のスイッチの入力によりシャッターカーテンを上昇させて、シャッターカーテンが上限まで上昇した時に上限位置を設定する、
上限位置・下限位置設定方法。
【請求項11】
前記シャッター装置は、過負荷検知手段を備えており、
下限位置は、前記過負荷検知手段による初回の過負荷検知時に設定される、
請求項10に記載の上限位置・下限位置設定方法。
【請求項12】
前記第1のスイッチ及び第2のスイッチは、1つの押しボタンスイッチからなり、当該押しボタンスイッチの押し操作パターンに応じて第1のスイッチの入力と第2のスイッチの入力が識別される、請求項10、11いずれかに記載の上限位置・下限位置設定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シャッター装置の初期設定モードにおける上限位置・下限位置設定装置及び方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電動シャッター装置は、シャッターカーテンを上限位置、下限位置で自動的に停止させる制御手段を有している。このような制御手段の一例を説明する。シャッターカーテンを開閉する開閉機にロータリーエンコーダを取付けると共に、マイクロコンピュータの記憶部にシャッターカーテンの最大移動量を記憶し、上限位置または下限位置を原点位置としてロータリーエンコーダから出力されるパルスをカウントする。シャッターカーテンの上限位置は過負荷検知によって決定され、シャッターカーテンの開閉毎に原点位置としての上限位置が更新され、更新された原点位置に基づいて最大移動量に対応する値が決定され、カウント値が最大移動量に対応する値と一致したときにシャッターカーテンが下限位置に到達したと判断して開閉機を自動的に停止させる。
【0003】
シャッターカーテンの最大移動量(上限位置・下限位置間の動作幅)は、シャッター装置の初期設定時に取得される。シャッターを現場に据え付けたときに、シャッターカーテンを上限位置、下限位置に停止させて、それぞれの位置情報からシャッターカーテンの最大移動量を取得して、マイクロコンピュータの記憶部に記憶させる。このように、シャッターの据え付け時における、シャッター装置の初期設定は必要不可欠である。
【0004】
シャッターを現場に据え付けたときに留意する事項として、開閉機の回転方向も重要である。シャッターカーテンは、開閉機のモータの出力軸の正逆回転に連動する巻取シャフトの正逆回転により上昇・下降するものであり、操作スイッチの開スイッチ、閉スイッチを開閉機のモータの出力軸の回転方向と対応させることで、開スイッチからの入力に応じてシャッターカーテンが上昇し、閉スイッチからの入力に応じてシャッターカーテンが下降するように開閉機のモータの回転方向が決定される。開閉機は開口部の上方に位置して、開口部幅方向の一方に寄せて配置されるが、窓シャッター等においては、開閉機の取付方向によって右形・左形の種類がある。右形として取り付けた開閉機と左形として取り付けた開閉機は開閉機の向きが反対となるため、モータの出力軸の突出方向も逆となり、右形で取り付けられた開閉機の出力軸の回転方向と左形で取り付けられた開閉機の出力軸の回転方向は逆となる。
【0005】
通常、開閉機は工場出荷段階で回転方向が設定されており、操作部の開スイッチ、閉スイッチと、開閉機のモータの出力軸の回転方向(上昇方向、下降方向)と、を対応させた上で現場に搬入されて設置される。したがって、開閉機の右形/左形を間違えて手配したような場合やスイッチと開閉機との結線に誤りがあった場合には、開スイッチの入力によってシャッターカーテンが下降するような事態となり、開閉機を手配し直したり、操作スイッチの結線をつなぎ直したり、回転方向の設定を現場で変更したりして、操作スイッチとシャッターの動作方向を合わせてから上限位置・下限位置を設定する必要があるという不具合がある。特許文献1には、コントローラと一体になったモータを向きを逆にしてシャッターを収納する戸袋内の左右いずれにも収納できるようにした電動シャッター装置において、モータの回転方向とシャッターの開閉方向との判別を自動的に行う手段が開示されているものの、得られた回転方向をどのように用いるかについての開示は一切無く、特許文献1に係る手段では上記不具合を解決することはできない。
【特許文献1】特開平6−299769
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、出荷時の回転方向の設定にかかわらず、初期設定モードにおける上限位置・下限位置設定時に開閉機の回転方向を決定することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明が採用した第1の技術手段は、
建物開口部に設置されたシャッター装置の初期設定モードにおける上限位置・下限位置設定装置において、
前記シャッター装置は、
シャッターカーテンを上昇・下降させる開閉機と、
開閉機のモータを第1の方向に回転させてシャッターカーテンを移動させる第1のスイッチと、
開閉機のモータを第1の方向と反対の第2の方向に回転させてシャッターカーテンを移動させる第2のスイッチと、
を備え、
前記上限位置・下限位置設定装置は、
上限位置設定手段と、
下限位置設定手段と、
開閉機のモータの回転方向決定手段と、
を備え、
前記上限位置設定手段は、第1のスイッチあるいは第2のスイッチの入力によりシャッターカーテンを上昇させて、シャッターカーテンが上限まで上昇した時に上限位置を設定し、
前記開閉機のモータの回転方向決定手段は、第1のスイッチの入力によりシャッターカーテンが上昇して上限位置が設定された場合には、モータの回転方向を予め設定された回転方向のままとし、第2のスイッチの入力によりシャッターカーテンが上昇して上限位置が設定された場合には、上限位置設定時に、第1のスイッチの入力によりシャッターカーテンが上昇し、第2のスイッチの入力によりシャッターカーテンが下降するように、予め設定されたモータの回転方向を反対方向に切り換え、
前記下限位置設定手段は、上限位置設定後、第2のスイッチの入力によりシャッターカーテンを下降させて、シャッターカーテンが下限まで下降した時に下限位置を設定する、
上限位置・下限位置設定装置、である。
【0008】
本発明が採用した第2の技術手段は、
建物開口部に設置されたシャッター装置の初期設定モードにおける上限位置・下限位置設定方法において、
シャッター装置は、
シャッターカーテンを上昇・下降させる開閉機と、
開閉機のモータを第1の方向に回転させてシャッターカーテンを移動させる第1のスイッチと、
開閉機のモータを第1の方向と反対の第2の方向に回転させてシャッターカーテンを移動させる第2のスイッチと、
を備え、
第1のスイッチの入力によりシャッターカーテンが上昇した場合には、シャッターカーテンが上限まで上昇した時に上限位置を設定し、
第2のスイッチの入力によりシャッターカーテンが上昇した場合には、シャッターカーテンが上限まで上昇した時に上限位置を設定すると共に、上限位置設定時に、第1のスイッチの入力によりシャッターカーテンが上昇し、第2のスイッチの入力によりシャッターカーテンが下降するように、予め設定されたモータの回転方向を反対方向に切り換え、
上限位置設定後、第2のスイッチの入力によりシャッターカーテンを下降させて、シャッターカーテンが下限まで下降した時に下限位置を設定する、
上限位置・下限位置設定方法、である。
【0009】
1つの態様では、前記シャッター装置は、過負荷検知手段を備えており、上記第1の技術手段、第2の技術手段において、上限位置は、前記過負荷検知手段による初回の過負荷検知時に設定される。
下限位置も、前記過負荷検知手段による過負荷検知時に設定される。
【0010】
本発明が採用した第3の技術手段は、
建物開口部に設置されたシャッター装置の初期設定モードにおける上限位置・下限位置設定装置において、
前記シャッター装置は、
シャッターカーテンを上昇・下降させる開閉機と、
開閉機のモータを第1の方向に回転させてシャッターカーテンを移動させる第1のスイッチと、
開閉機のモータを第1の方向と反対の第2の方向に回転させてシャッターカーテンを移動させる第2のスイッチと、
を備え、
前記上限位置・下限位置設定装置は、
上限位置設定手段と、
下限位置設定手段と、
開閉機のモータの回転方向決定手段と、
を備え、
前記下限位置設定手段は、第1のスイッチあるいは第2のスイッチの入力によりシャッターカーテンを下降させて、シャッターカーテンが下限まで下降した時に下限位置を設定し、
前記開閉機のモータの回転方向決定手段は、第2のスイッチの入力によりシャッターカーテンが下降して下限位置が設定された場合には、モータの回転方向を予め設定された回転方向のままとし、第1のスイッチの入力によりシャッターカーテンが下降して下限位置が設定された場合には、下限位置設定時に、第1のスイッチの入力によりシャッターカーテンが上昇し、第2のスイッチの入力によりシャッターカーテンが下降するように、予め設定されたモータの回転方向を反対方向に切り換え、
前記上限位置設定手段は、下限位置設定後、第1のスイッチの入力によりシャッターカーテンを上昇させて、シャッターカーテンが上限まで上昇した時に上限位置を設定する、
上限位置・下限位置設定装置、である。
【0011】
本発明が採用した第4の技術手段は、
建物開口部に設置されたシャッター装置の初期設定モードにおける上限位置・下限位置設定方法において、
シャッター装置は、
シャッターカーテンを上昇・下降させる開閉機と、
開閉機のモータを第1の方向に回転させてシャッターカーテンを移動させる第1のスイッチと、
開閉機のモータを第1の方向と反対の第2の方向に回転させてシャッターカーテンを移動させる第2のスイッチと、
を備え、
第2のスイッチの入力によりシャッターカーテンが下降した場合には、シャッターカーテンが下限まで下降した時に下限位置を設定し、
第1のスイッチの入力によりシャッターカーテンが下降した場合には、シャッターカーテンが下限まで下降した時に下限位置を設定すると共に、下限位置設定時に、第1のスイッチの入力によりシャッターカーテンが上昇し、第2のスイッチの入力によりシャッターカーテンが下降するように、予め設定されたモータの回転方向を反対方向に切り換え、
下限位置設定後、第1のスイッチの入力によりシャッターカーテンを上昇させて、シャッターカーテンが上限まで上昇した時に上限位置を設定する、
上限位置・下限位置設定方法、である。
【0012】
1つの態様では、前記シャッター装置は、過負荷検知手段を備えており、上記第3の技術手段、第4の技術手段において、下限位置は、前記過負荷検知手段による初回の過負荷検知時に設定される。
上限位置も、前記過負荷検知手段による過負荷検知時に設定される。
【0013】
上記第1〜第4の技術手段において、回転方向が決定され、回転方向とスイッチとの対応関係が決定された後は、第1のスイッチが上昇(開)スイッチとして、第2のスイッチが下降(閉)スイッチとして、それぞれ作動する。
1つの態様では、上記第1〜第4の技術手段において、前記第1のスイッチ及び第2のスイッチは、1つの押しボタンスイッチからなり、当該押しボタンスイッチの押し操作パターンに応じて第1のスイッチの入力と第2のスイッチの入力が識別される。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、出荷時の回転方向の設定にかかわらず、初期設定モードにおける上限位置・下限位置設定時に開閉機の回転方向(開閉機のモータ軸の回転方向とシャッターカーテンの昇降方向の対応、及び、開閉機のモータ軸の回転方向と操作部の各スイッチとの対応)を自動的に設定することができ、開閉機の右形/左形を間違えて手配したような場合やスイッチと開閉機との結線に誤りがあった場合であっても、上限位置・下限位置設定ステップの中で、上限位置ないし下限位置を設定した時点で、開閉機のモータ軸の回転方向を逆転させて、開閉機のモータ軸の回転方向と操作部のスイッチとの対応を切り換えることで、操作者が意識することなく修正される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】電動シャッター装置の全体構成を示す概略図である。
図2】初期設定モードにおける上限位置・下限位置設定の第1実施形態を示すフローチャートである。
図3】初期設定モードにおける上限位置・下限位置設定の第2実施形態を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1において、建物開口部に設置されるシャッター装置は、シャッターカーテン1とシャッターカーテン1の上端が連結されている巻取りシャフト2と、巻取りシャフト2を開閉駆動させる開閉機3とを有する。開閉機3は駆動手段として例示するステッピングモータ4を有しており、ステッピングモータ4の回転軸と巻取りシャフト2とを伝動連結させ、ステッピングモータ4の回転軸の回転を巻取りシャフト2に伝達することで巻取りシャフト1を正逆回転させてシャッターカーテン1を巻取りシャフト2に巻き取り、あるいは、巻取りシャフト2から繰り出すことでシャッターカーテン1が左右のガイドレール5に案内されながら上昇・下降して開口部を開閉する。
【0017】
シャッター装置の開閉駆動は、操作部6からの入力によって行われる。操作部6からの入力は制御部(開閉制御回路)7を介して開閉機3のステッピングモータ4に送信される。1つの態様では、操作部は、いわゆる1点式押しボタンスイッチであり、1つの押しボタンスイッチの押し操作パターンに応じて、上昇入力、下降入力、停止入力が行われるようになっている。1つの態様では、1回の押し操作によって、上昇(開放)→停止→下降(閉鎖)→停止→上昇(開放)→・・・の順で開閉機3が運転される。すなわち、押しボタンを1回押すと、開閉機3のステッピングモータ4が第1の方向に回転して、シャッターカーテン1が上昇し、次いで押しボタンを1回押すと、ステッピングモータ4へのモータ駆動電流の供給が遮断されて、ステッピングモータ4の回転が停止し、次いで、押しボタンを1回押すと、開閉機3のステッピングモータ4が第2の方向に回転して、シャッターカーテン1が下降し、次いで押しボタンを1回押すと、ステッピングモータ4へのモータ駆動電流の供給が遮断されて、ステッピングモータ4の回転が停止する。
【0018】
また、シャッターカーテンが上限位置・下限位置で自動停止した場合、昇降中のシャッターカーテンが過負荷検知により停止した場合は、停止する前の動作と、停止後の押しボタン入力による動作が逆となる。例えば、上昇するシャッターカーテンが上限位置で自動停止した後に押しボタンを1回押した時には、下降入力となって、シャッターカーテンが下降する。
【0019】
1点式押しボタン操作スイッチは公知であり、例えば、特公平7−91927号にも開示されている。押しボタンスイッチの押し操作パターンも上述の態様に限定されるものではなく、様々な態様(押し操作の順番、所定時間内の押し回数、押し下げ継続時間の違い、あるいは、これらの任意の組み合わせ、等)を採用し得ることが当業者に理解される。なお、本発明に係る操作部は、1点式押しボタン操作スイッチに限定されるものではなく、上昇用、下降用、停止用の3つの押しボタン操作スイッチを別個に備えた操作部を用いてもよい。
【0020】
シャッター装置は、シャッターカーテンの過負荷を検出する過負荷検知手段を備えており、移動中のシャッターカーテンが過負荷となったことを検出すると、モータ駆動を停止してシャッターカーテンの移動を停止させる。上述のように、シャッターカーテンの駆動手段は、1つの態様ではステッピングモータ4であり、この場合、過負荷検知手段は、1つの態様では、ステッピングモータ4の脱調を利用するものである。すなわち、負荷がモータ出力を上回ると脱調するというステッピングモータの特性を利用して脱調によって過負荷を検出する(特許第4505570号参照)。もちろん、本発明が適用される駆動手段や過負荷検知は、ステッピングモータ、ステッピングモータの脱調には限定されるものではなく、他のDCモータ、ACモータ等を採用することができ、他の過負荷検知手段、例えば、モータの電流値変化、モータの回転速度の低下(エンコーダからのパルス間隔の変化)、によって過負荷状態を検知してもよい。
【0021】
制御部7はマイクロコンピュータを有しており、マイクロコンピュータはCPUと記憶部を備えており、記憶部を構成するICメモリはさらに不揮発性記憶手段(典型的にはROM)と揮発性記憶手段(典型的にはRAM)を有している。ステッピングモータ4の駆動はマイクロコンピュータによって制御され、マイクロコンピュータによって制御された所定の駆動電流をステッピングモータ4に送出することでステッピングモータ4は所定の駆動トルク(開閉機出力)を出力する。制御部7の不揮発性記憶手段にはシャッターカーテンの最大移動量(後述のように初期設定モードで取得される)が記憶されている。シャッターカーテンの最大移動量は、1つの態様では、シャッターカーテンの最大移動量に対応するパルス数として記憶されている。不揮発性記憶手段(データ書き換え可能なROM、例えば、EEPROM)には、開閉機のモータ軸の回転方向(後述のように初期設定モードで決定される)が記憶されている。
【0022】
開閉機を構成するモータの回転軸には、シャッターカーテンの位置検出手段としてのロータリーエンコーダが取り付けてあり、回転軸の回転に応じて出力されるパルス数をカウント手段によってカウントし、カウント値を記憶部(揮発性記憶手段)に記憶するようになっている。シャッターカーテンの上限位置または下限位置を原点位置としてロータリーエンコーダから出力されるパルスをカウントして記憶することで、カウント値によってシャッターカーテンの位置が検出される。また、原点位置と上限位置あるいは下限位置のカウント値とから、シャッターカーテンの最大移動量に対応するパルス数を取得することができる。また、シャッターカーテン移動時にエンコーダから連続的に発生するパルス数をカウントすることでパルス数によってシャッターカーテンの移動量を検出する。
【0023】
1つの態様では、シャッターカーテンの上限位置は過負荷検知によって決定され、シャッターカーテンの開閉毎に原点位置としての上限位置が更新され、更新された原点位置に基づいて最大移動量に対応する値が決定され、カウント値が最大移動量に対応する値と一致したときにシャッターカーテンが下限位置に到達したと判断して開閉機のモータの回転を自動的に停止させる。なお、パルス数のカウント値を用いてシャッターの制御を行う場合に、実際のカウント値よりもわずかに増減したカウント値を用いて制御を行い得ることが当業者に理解される。
【0024】
シャッター装置の初期設定モードにおける上限位置・下限位置設定について説明する。建物開口部にシャッター装置を設置して電源を投入する際に、電源投入時に、所定の初期値(上限位置、下限位置、動作幅等)が制御部の記憶部に記憶されていない場合には、自動的に初期設定モードとなる。シャッター装置を建物開口部に設置した時点では初期値は設定されていないので、設置後の初回の電源投入時には自動的に初期設定モードとなる。
【0025】
初期設定モードにおける上限位置設定手段、下限位置設定手段は、過負荷検知手段を備えている。シャッターカーテンの上限位置あるいは下限位置の検出は、シャッターカーテンを上昇あるいは下降させた時に、シャッターカーテンが開口部上方のまぐさ部、あるいは開口部下方の水切り板等に当接した時の過負荷を検出することで行う。過負荷検知手段は、一つの態様では、過負荷によって開閉機に内蔵されたステッピングモータが脱調することによって検知する。あるいは、モータの電流値変化やモータの回転速度の低下(エンコーダからのパルス間隔の変化)によって過負荷状態を検知してもよい。なお、本発明において、上限位置設定手段、下限位置設定手段は、過負荷検知手段を用いるものに限定されるものではなく、例えば、マイクロスイッチ、近接スイッチ等を用いて上限位置、下限位置を設定するものでもよい。
【0026】
シャッターの初期設定モードにおいて、シャッターカーテンの上限位置、下限位置が設定され、シャッターカーテンの上限位置、下限位置は、各位置に対応するパルス数として記憶部に記憶される。典型的には、シャッターカーテンの上限位置または下限位置のうち最初に設定された側を原点位置とし、シャッターカーテンの移動に伴いロータリーエンコーダから出力されるパルスをカウントして記憶して行き、上限位置または下限位置のうち最初に設定されなかった側のカウント値から、シャッターカーテンの最大移動量に対応するパルス数を取得する。上下限位置の設定によってシャッターカーテンの最大移動量がパルス数として算出されて、算出された最大移動量が不揮発性記憶手段に記憶される。
【0027】
第1の実施形態では、初期設定モードにおける上限位置・下限位置設定において、上限位置を先に設定するようにルール化する。必要に応じてシャッターカーテンを手動で半開状態として電源を投入すると、所定の初期値が制御部の記憶部に記憶されていないことを条件として自動的に初期設定モードに入る。1回の押し操作によって、上昇(開放)→停止→下降(閉鎖)→停止→上昇(開放)→・・・の順で「開」「閉」入力が「停止」を挟んで交互に入力される操作部において、最初の押し操作が第1のスイッチの入力、停止を介して、次の押し操作が第2のスイッチの入力となる。現場搬入時に、第1のスイッチを開スイッチ、第2のスイッチを閉スイッチとするように予め割り当てられていると仮定する。
【0028】
図2に、初期設定モードにおける上限位置・下限位置設定の第1実施形態を示す。最初の押し操作(第1のスイッチの入力)により開閉機のモータ軸が第1の方向に回転してシャッターカーテンが上昇した場合には、シャッターカーテンが上限まで上昇した時に上限位置設定手段(過負荷検知手段を備える)により上限位置を設定し、上限位置が設定される時の開閉機のモータ軸の回転方向(第1の方向)を上昇方向とし、反対方向の回転方向(第2の方向)を下降方向と決定する。この場合は、予め設定されていた操作部の各スイッチと開閉機のモータ軸の回転方向との対応関係(第1のスイッチ入力と第1の方向の回転、第2のスイッチ入力と第2の方向の回転)をそのまま維持する。すなわち、出荷時に記憶部(データ書き換え可能な不揮発性記憶手段、例えばEEPROM)に記憶されている「回転方向(モータ軸の回転方向とシャッターカーテンの移動方向との対応)」がそのまま維持される。
【0029】
最初の押し操作(第1のスイッチの入力)により開閉機のモータ軸が第2の方向に回転してシャッターカーテンが下降した場合には、押し操作(停止入力)を行うことで、シャッターカーテンの下降を停止し、再び押し操作(第2のスイッチの入力)により開閉機のモータ軸を第1の方向に回転させてシャッターカーテンを上昇させる。シャッターカーテンが上限まで上昇した時に上限位置設定手段(過負荷検知手段を備える)により上限位置を設定し、上限位置が設定される時の開閉機のモータ軸の回転方向(第1の方向)を上昇方向とし、反対方向の回転方向(第2の方向)を下降方向とすると共に、上限位置設定時に、第1のスイッチの入力によりシャッターカーテンが上昇し、第2のスイッチの入力によりシャッターカーテンが下降するように、予め設定された操作部の各スイッチと開閉機のモータ軸の回転方向との対応関係(第1のスイッチ入力と第2の方向の回転、第2のスイッチ入力と第1の方向の回転)を反対方向に切り換えて、第1のスイッチ入力と第1の方向の回転、第2のスイッチ入力と第2の方向の回転を、それぞれ対応させる。これは、上限位置設定時の開閉機のモータ軸の回転方向を逆方向に書き換えることで達成できる。すなわち、出荷時に記憶部(データ書き換え可能な不揮発性記憶手段、例えばEEPROM)に記憶されている「回転方向(モータ軸の回転方向とシャッターカーテンの移動方向との対応)」を逆方向に書き換える。
【0030】
このように、第1実施形態では、過負荷検知手段による初回の過負荷検知時に上限位置が設定され、その時の開閉機のモータ軸の回転方向(第1の方向)が上昇方向であると認識される。モータ軸の回転方向は、エンコーダによって検出することができる。シャッターカーテンの上昇方向と開閉機のモータ軸の回転方向の対応は記憶部に記憶される。また、制御部は、どのスイッチの入力があったかを判別しており、閉スイッチとして割り当てられたスイッチ(第2スイッチ)の入力でシャッターカーテンが上昇して上限位置が設定された場合には、上限位置設定時に、予め設定された開閉機のモータ軸の回転軸の回転方向を逆転させて、開スイッチとして割り当てられたスイッチ(第1のスイッチ)の入力によりシャッターカーテンが上昇し、閉スイッチとして割り当てられたスイッチ(第2のスイッチ)の入力によりシャッターカーテンが下降するように、開閉機のモータ軸の回転方向と操作部のスイッチとの対応関係を切り換える。
【0031】
上限位置設定後、初回の押し操作は、上限設定時の回転方向と反対の回転方向を行うための入力(第2のスイッチの入力)となり、第2のスイッチの入力により、開閉機のモータ軸が第2の方向に回転して、シャッターカーテンを下降させて、シャッターカーテンが下限まで下降した時に下限位置設定手段(過負荷検知手段を備える)により下限位置を設定する。記憶部(揮発性記憶手段)に記憶された上限位置と下限位置とからシャッターカーテンの最大移動量(動作幅)を取得し、記憶部(不揮発性記憶手段)に記憶しておき、シャッター装置の通常運転時の下限位置の検出(上限位置は過負荷検知手段で検出する)に用いる。
【0032】
第2の実施形態では、初期設定モードにおける上限位置・下限位置設定において、下限位置を先に設定するようにルール化する。必要に応じて、シャッターカーテンを手動で半開状態として電源を投入すると、所定の初期値が制御部の記憶部に記憶されていないことを条件として自動的に初期設定モードに入る。1回の押し操作によって、上昇(開放)→停止→下降(閉鎖)→停止→上昇(開放)→・・・の順で「開」「閉」入力が「停止」を挟んで交互に入力される操作部において、最初の押し操作が第1のスイッチの入力、停止を介して、次の押し操作が第2のスイッチの入力となる。現場搬入時に、第1のスイッチを開スイッチ、第2のスイッチを閉スイッチとするように予め割り当てられていると仮定する。
【0033】
図3に、初期設定モードにおける上限位置・下限位置設定の第2実施形態を示す。最初の押し操作(第1のスイッチの入力)により開閉機のモータ軸が第2の方向に回転して、シャッターカーテンが下降した場合には、シャッターカーテンが下限まで下降した時に下限位置設定手段(過負荷検知手段を備える)により下限位置を設定し、下限位置が設定される時の開閉機のモータ軸の回転方向(第2の方向)を下降方向とし、反対方向の回転方向(第1の方向)を上昇方向とすると共に、下限位置設定時に、第1のスイッチの入力によりシャッターカーテンが上昇し、第2のスイッチの入力によりシャッターカーテンが下降するように、予め設定された操作部の各スイッチと開閉機のモータ軸の回転方向との対応関係(第1のスイッチ入力と第2の方向の回転、第2のスイッチ入力と第1の方向の回転)を反対方向に切り換えて、第1のスイッチ入力と第1の方向の回転、第2のスイッチ入力と第2の方向の回転を、それぞれ対応させる。これは、下限位置設定時の開閉機のモータ軸の回転方向を逆転させることで達成できる。
【0034】
最初の押し操作(第1のスイッチの入力)により開閉機のモータ軸が第1の方向に回転してシャッターカーテンが上昇した場合には、押し操作(停止入力)を行うことで、シャッターカーテンの上昇を停止し、再び押し操作(第2のスイッチの入力)により開閉機のモータ軸を第2の方向に回転させて、シャッターカーテンを下降させる。シャッターカーテンが下限まで下降した時に下限位置設定手段(過負荷検知手段を備える)により下限位置を設定し、下限位置が設定される時の開閉機のモータ軸の回転方向(第2の方向)を下降方向とし、反対方向の回転方向(第1の方向)を上昇方向とする。この場合は、予め設定されていた操作部の各スイッチと開閉機のモータ軸の回転方向との対応関係(第1のスイッチ入力と第1の方向の回転、第2のスイッチ入力と第2の方向の回転)をそのまま維持する。
【0035】
このように、第2実施形態では、過負荷検知手段による初回の過負荷検知時に下限位置が設定され、その時の開閉機のモータ軸の回転方向(第2の方向)が下降方向であると認識される。モータ軸の回転方向は、エンコーダによって検出することができる。シャッターカーテンの上昇方向と開閉機のモータ軸の回転方向の対応は記憶部に記憶される。また、制御部は、どのスイッチの入力があったかを判別しており、開スイッチとして割り当てられたスイッチ(第1スイッチ)の入力でシャッターカーテンが下降して下限位置が設定された場合には、下限位置設定時に、予め設定された開閉機のモータ軸の回転軸の回転方向を逆転させて、開スイッチとして割り当てられたスイッチ(第1のスイッチ)の入力によりシャッターカーテンが上昇し、閉スイッチとして割り当てられたスイッチ(第2のスイッチ)の入力によりシャッターカーテンが下降するように、開閉機のモータ軸の回転方向と操作部のスイッチとの対応関係を切り換える。
【0036】
下限位置設定後、初回の押し操作は、下限設定時の回転方向と反対の回転方向を行うための入力(第1のスイッチの入力)となり、開閉機のモータ軸を第1の方向に回転させて、シャッターカーテンを上昇させて、シャッターカーテンが上限まで上昇した時に上限位置設定手段(過負荷検知手段を備える)により上限位置を設定する。記憶部(揮発性記憶手段)に記憶された上限位置と下限位置とからシャッターカーテンの最大移動量(動作幅)を取得し、記憶部(不揮発性記憶手段)に記憶しておき、シャッター装置の通常運転時の上限位置の検出(下限位置は過負荷検知手段で検出する)に用いる。
【0037】
第1実施形態の変形例(3点式押ボタンスイッチを用いたもの)について説明する。上述のように、第1の実施形態では、初期設定モードにおける上限位置・下限位置設定において、上限位置を先に設定するようにルール化する。必要に応じて、シャッターカーテンを手動で半開状態として電源を投入すると、所定の初期値が制御部の記憶部に記憶されていないことを条件として自動的に初期設定モードに入る。3つの操作ボタンにおいて、開スイッチを第1スイッチ、閉スイッチと第2スイッチとする。
【0038】
(1)操作部の開スイッチ(第1スイッチ)を長押する。
(2)開スイッチの長押により、開閉機のモータ軸が第1の方向に回転して、シャッターカーテンが上昇した場合には、そのまま上限(まぐさ部)に突き当てて、過負荷検知手段により停止させて、上限位置を決定する。
(3)開スイッチの長押により、開閉機のモータ軸が第2の方向に回転して、シャッターカーテンが下降した場合には、停止スイッチを押してシャッターカーテンの下降を停止させ、閉スイッチ(第2スイッチ)を長押して、開閉機のモータ軸を第1の方向に回転させて、シャッターカーテンを上昇させる。上昇するシャッターカーテンを上限(まぐさ部)に突き当てて、過負荷検知手段により停止させて、上限位置を決定する。上限位置設定時に、開スイッチの入力によりシャッターカーテンが上昇し、閉スイッチの入力によりシャッターカーテンが下降するように、予め設定されたモータの回転方向(操作部の各スイッチと開閉機のモータ軸の回転方向との対応)を反対方向に切り換える。
【0039】
(4)最初に突き当たった方向、すなわち最初に過負荷検知された時のシャッターカーテンの移動方向(開閉機のモータ軸の第1の方向の回転)を上昇方向とし、上限位置が決定された時点で、第1の方向を上昇方向として決定する。閉スイッチの入力によりシャッターカーテンが上昇して上限位置が設定された場合には、上限位置設定時に、開閉機のモータ軸の回転方向を逆転させて、開スイッチ(第1のスイッチ)の入力によりシャッターカーテンが上昇し、閉スイッチ(第2のスイッチ)の入力によりシャッターカーテンが下降するように、開閉機のモータ軸の回転方向と操作部のスイッチとの対応関係を切り換える。
(5)上限位置の設定後、閉スイッチ(上限設定時に閉スイッチでシャッターカーテンを上昇させた場合も、この時点で各スイッチと開閉機のモータ軸の回転方向の対応関係が修正されている)を長押すると、開閉機もモータ軸が第2の方向に回転して、シャッターカーテンが下降し、下限(水切り板等)に突き当てて、過負荷検知手段により停止させて、下限位置を設定する。
(6)設定された上限位置と下限位置とから、シャッターの最大移動量(動作幅)を取得して、記憶部(不揮発性記憶手段)に記憶する。
(7)第2実施形態にも、第1実施形態と同様に、3点式押ボタンスイッチを適用できることが当業者に理解される。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明は、シャッター装置の初期設定モードにおける上限位置・下限位置設定に利用可能である。
【符号の説明】
【0041】
1 シャッターカーテン
3 開閉機
4 モータ
6 操作部
7 制御部
図1
図2
図3