特許第5909385号(P5909385)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5909385
(24)【登録日】2016年4月1日
(45)【発行日】2016年4月26日
(54)【発明の名称】パネル体
(51)【国際特許分類】
   E06B 3/72 20060101AFI20160412BHJP
   E06B 3/70 20060101ALI20160412BHJP
   E06B 3/54 20060101ALI20160412BHJP
【FI】
   E06B3/72
   E06B3/70 D
   E06B3/54 Z
【請求項の数】2
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2012-44702(P2012-44702)
(22)【出願日】2012年2月29日
(65)【公開番号】特開2013-181298(P2013-181298A)
(43)【公開日】2013年9月12日
【審査請求日】2014年8月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000175560
【氏名又は名称】三協立山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】特許業務法人 英知国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100145241
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康裕
(72)【発明者】
【氏名】山田 航之介
【審査官】 家田 政明
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭51−086034(JP,U)
【文献】 特開平06−173538(JP,A)
【文献】 実公昭60−16233(JP,Y2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 3/54−3/88
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向する桟と、ガラスパネルとを備え、
桟のそれぞれは、
見込み方向一方側の内周側に見込み面部と、
見込み方向他方側の内周側に見込み面部より突出する立ち上がり部と、
を有し、
ガラスパネルは、
ガラス板と、
対向する第一ガラスパネル枠と、
対向する第二ガラスパネル枠と、
を有し、
第一ガラスパネル枠のそれぞれは、
内周側に開口しガラス板を保持する第一ガラス溝と、
第一ガラス溝の見込み方向一方側溝壁から外周側に延設する見付け面部と、
第一ガラス溝の外周側に位置し、桟の見込み面部に当接する当接部と、
を有し、
第二ガラスパネル枠のそれぞれは、内周側に開口しガラス板を保持する第二ガラス溝を有し、
第一ガラスパネル枠の第一ガラス溝がガラス板の一の対向する辺を保持し、かつ、第二ガラスパネル枠の第二ガラス溝がガラス板の他の対向する辺を保持し、第一ガラスパネル枠と第二ガラスパネル枠により四周枠組みされ、
一の桟の見込み面部と一の第一ガラスパネル枠の当接部とが当接されるとともに固着され、他の桟の見込み面部と他の第一ガラスパネル枠の当接部とが当接されるとともに固着される、
パネル体。
【請求項2】
対向する桟に両端を保持された1以上の中桟をさらに有することを特徴とする請求項1に記載のパネル体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドア、門扉、塀、スクリーンなどを構成するパネル体に関し、特に、一部にガラス材を含むパネル体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、高級感を醸し出すなど外観上の意匠性を高めるため、パネル状の建具やエクステリア、即ち、ドア、門扉、塀、スクリーンなどのパネル体の一部に、ガラス板などのガラス材を備えるものが知られている。
【0003】
例えば、特許文献1では、構造と外観においてパネル状のドアや仕切り壁などの要素を改良するために、ガラスパネルが、接着剤や粘着テープによりフレ−ムの表面などで固定されているドアなどの要素が開示されている。
【0004】
また、特許文献2では、自由なデザインに仕立てることができるドアの組み立てキットを提供するために、二本の縦ガマチと、複数枚のパネル板と、パネル板の数より一枚少ない枚数のパネル接続板などとをセットにし、パネル板の一部をガラス板に代えたキットが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−150211号公報
【特許文献2】実用新案登録第3116466号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1や特許文献2に開示された発明では、ドアなどのパネル体を製造する工程において特に周囲などに何も備えないガラス板自体を取り扱うこととなり、また、ガラス板をフレーム(桟)に接着テープなどで固定したり、桟にガラス板を保持する溝を形成したり、別途ガラスホルダーを用意したりすることが必要となる。そうすると、ガラス板の破損に注意しながら組み立てる必要があるので、パネル体の製造工程に時間がかかり、また、構造体となる桟の製造において製造工程が増加する場合もある。
【0007】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、パネル体の製造工程においてガラス板のみを取り扱う必要がなく、パネル体の構造体である桟にガラス板を保持する溝を形成する必要がないパネル体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、対向する桟と、ガラスパネルとを備え、桟のそれぞれは、見込み方向一方側の内周側に見込み面部と、見込み方向他方側の内周側に見込み面部より突出する立ち上がり部と、を有し、ガラスパネルは、ガラス板と、対向する第一ガラスパネル枠と、対向する第二ガラスパネル枠と、を有し、第一ガラスパネル枠の第一ガラス溝がガラス板の一の対向する辺を保持し、かつ、第二ガラスパネル枠の第二ガラス溝がガラス板の他の対向する辺を保持し、第一ガラスパネル枠と第二ガラスパネル枠により四周枠組みされ、第一ガラスパネル枠のそれぞれは、内周側に開口しガラス板を保持する第一ガラス溝と、第一ガラス溝の見込み方向一方側溝壁から外周側に延設する見付け面部と、第一ガラス溝の外周側に位置し、桟の見込み面部に当接する当接部と、を有し、第二ガラスパネル枠のそれぞれは、内周側に開口しガラス板を保持する第二ガラス溝を有し、一の桟の見込み面部と一の第一ガラスパネル枠の当接部とが当接されるとともに固着され、他の桟の見込み面部と他の第一ガラスパネル枠の当接部とが当接されるとともに固着される、パネル体が提供される。
これによれば、パネル体の桟にガラス板を保持する溝や接着剤などが不要となり、また、ガラス板の破損に必要以上に注意することが不要となり、ガラスパネルを組み込んだパネル体の製造が容易になる。また、ガラスパネル枠の見付け面部が、ガラスパネルと桟の当接部分のつなぎ目を覆うので優れた外観を呈することができる。また、桟が立ち上がり部を有することにより、ガラスパネルの見込み方向の位置決めを容易にし、保持力を高め、また桟としての強度を確保することができる。また、パネル体の所定の強度を維持しつつ、パネル体におけるガラスパネル面を大きくすることができる。
【0009】
さらに、対向する桟に両端を保持された1以上の中桟をさらに有することを特徴としてもよい。
これによれば、ガラスパネルに隣接して中桟を備えるパネル体を提供することができる。
【発明の効果】
【0010】
以上説明したように、従来パネル体にガラスパネルを取り付ける場合には、パネル体の桟自身にガラス板を保持する溝や接着剤などが必要となり、また、パネル体の桟に直接ガラス板を嵌め込む工程や貼り付ける工程が必要であったが、本発明によれば、パネル体の桟にガラス板を保持する溝や接着剤などが不要となり、また、ガラス板の破損に必要以上に注意することが不要となり、ガラスパネルを組み込んだパネル体の製造が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明に係る第一実施例の門扉を示す正面図。
図2】本発明に係る第一実施例の門扉を示す背面図。
図3A】本発明に係る第一実施例におけるパネル体を示す縦断面図(図1におけるA−A断面)。
図3B】本発明に係る第一実施例におけるパネル体を示す横断面図(図1におけるC−C断面)。
図4】本発明に係る第一実施例におけるパネル体を示す縦断面図(図1におけるB−B断面)。
図5A】本発明に係る第一実施例におけるガラスパネルを示す縦断面図(図1におけるA−A断面)。
図5B】本発明に係る第一実施例におけるガラスパネルを示す横断面図(図1におけるC−C断面)。
図6】本発明に係る第一実施例における中桟を示す横断面図。
図7】本発明に係る第一実施例における中桟の連結状態を示す横断面図(図1におけるC−C断面)。
図8】本発明に係る第一実施例における中桟などの変形例を示す横断面図。
図9】本発明に係る第一実施例における竪桟を示す横断面図(図1におけるC−C断面)。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下では、図面を参照しながら、本発明に係る実施例について説明する。
<第一実施例>
図1は、本発明に係る第一実施例の門扉1を、正面側(敷地外方側、または、本明細書において、一方側)から示すものである。
【0013】
門扉1は、例えば戸建て住宅等の敷地の内と外を画するための出入り口として設けられるものである。門扉1は、地面から立設された支持体としての2本の門柱3と、これらの門柱3に、丁番4を介して、それぞれ開閉自在に支持された左右対称の2つの扉2とを備える。門柱3は、アルミ形材製であり、地中に埋設された基礎(図示せず)に下端が固定され、片持ち状に上方に延びて立設されているが、特にこれに限定されるものではなく、他の材料から形成されていてもよいし、門柱3の代わりに塀やフェンスが丁番を介して扉2を支持してもよい。丁番4は、回動部材からなり、1つの門柱3に上下2つが固定され、1つの扉2をその2つの丁番4でもって回動自在に支持する。
【0014】
扉2は、吊元側を門柱3に固定された丁番4により支持される竪桟50と、反対側である戸先側に配され把手80や鍵90を備える竪桟50’と、両端の竪桟50/50’の間に配された2つの中桟40と、竪桟50と中桟40の間に配されたガラスパネル20と、上記各部材の上下両端を覆う目板60/60’、およびその他の部材(後述)を備えるパネル体10から構成される。2つの扉2の戸先側の竪桟50’同士が突き合わされて、一方の竪桟50’が有するラッチ(図示せず)が、他方の竪桟50’が有するラッチ受け(図示せず)に係合して2つの扉2が閉じられる。
【0015】
図2は、本発明に係る第一実施例の門扉1を、背面側(敷地内方側、または、本明細書において、他方側)から示すものである。図1と同じ記載は省略し、異なる部分のみを述べる。扉2は、さらに、竪桟50と中桟40の間に配された目隠しパネル70を備える。したがって、扉2は、正面側から見た場合に見えたガラスパネル20の裏、すなわち、ガラスパネル20の見込み方向他方側に、目隠しパネル70を備えることになる。これにより、ガラスパネル20のガラス部分が透明度の高い場合であっても、敷地の外側から内側への視線を遮ることができ、プライバシーの確保が図られる。目隠しパネル70は、透明度の低いガラスパネルの場合など不要な場合があり、選択的に備えられる。
【0016】
図3A図3Bは、本実施例の門扉1における扉2、すなわち、パネル体10を示す縦断面図(図1におけるA−A断面)および横断面図(図1におけるC−C断面)である。パネル体10は、上下方向に対向する2つの桟30と、その2つの桟30に挟まれるようにガラスパネル20とを備える。本実施例では、2つの桟30は、上下方向に対向し一対をなすが、これに限定されず、2つの桟は、左右方向に対向し一対をなしてもよい。上と下の桟30は、本実施例では同じ断面形状をなすが、これに限定されず、ガラスパネル20を間に保持でき、門扉1の扉2としての強度を維持できる限り、2つの桟30の形状はお互いに異なっていてもよい。
【0017】
ガラスパネル20は、ガラス板21と、対向する2つの第一ガラスパネル枠22と、対向する2つの第二ガラスパネル枠23とを有し、第一ガラスパネル枠22と第二ガラスパネル枠23とによりガラス板21の四周を枠組みすることにより構成されている。本実施例では、2つの第一ガラスパネル枠22は、上下方向に対向し一対をなすが、上述したように、2つの桟30が左右方向に対向し一対をなす場合には、同様に左右方向に対向し一対をなす。この場合、2つの第二ガラスパネル枠23は、本実施例では左右方向に対向し一対をなすが、上下方向に対向し一対をなすこととなる。また、本実施例では、一対の第一ガラスパネル枠22は、互いに同じ断面形状をなし、同形同大であるが、これに限定されず、異なる断面形状などを有していてもよい。また、同様に、一対の第二ガラスパネル枠23は、互いに同じ断面形状をなし、同形同大であるが、これに限定されず、異なる断面形状などを有していてもよい。
【0018】
上述したように、本実施例におけるパネル体10は、さらに、竪桟50/50’と、中桟40と、目板60/60’と、目隠しパネル70などを有する。図4に示すように、中桟40は、両方の見込み面の上下両端部に切欠き部41を有し、それぞれの切欠き部41に対向する桟30を嵌め込むことにより、中桟40の上下の両端が保持される。なお、目板60/60’の左右の両端にはキャップを設けることが好ましい。
【0019】
ただし、桟30とガラスパネル20以外の、竪桟50/50’と、中桟40と、目板60/60’と、目隠しパネル70などの部材は、本発明にかかるパネル体においては選択的に用いられるものであり、対向する2つの桟30と、その2つの桟30に挟まれるようにガラスパネル20とを備え、桟30とガラスパネル20が以下の構成を有する限り本発明を構成する。
【0020】
図4に示すように、桟30のそれぞれは、見込み方向一方側(敷地外方側)の内周側(パネル体10の中心寄りの側)に見込み面部31と、見込み方向他方側(敷地内方側)の内周側に見込み面部31よりパネル体10の中心より方へ突出する立ち上がり部32とを有する。これにより、ガラスパネル20の見込み方向の位置決めを容易にし、保持力を高めるので、ガラスパネル20を組み込んだパネル体10の製造が容易になる。また、立ち上がり部32が見込み面部31から突出することにより桟30の面積を大きくすることができるので、桟30としての強度を確保することができる。また、その結果、桟30の外周側端からの見込み面部31の高さを小さくしても、パネル体10の所定の強度を維持しつつ、パネル体10におけるガラスパネル面を大きくすることができ、外観上優れたパネル体を提供することができる。なお、桟30や竪桟50/50’は中空であり、インターホンの配線スペースとすることができる。また、見込み面部は、見込み方向一方側端部に位置する内周側の見込み面部であってもよい。
【0021】
また、図5A図5Bは、本実施例におけるガラスパネル20を示す縦断面図(図1におけるA−A断面)および横断面図(図1におけるC−C断面)である。これらが示すように、ガラスパネル20の対向する2辺に取り付けられた第一ガラスパネル枠22のそれぞれは、内周側に開口しガラス板21を保持する第一ガラス溝221と、第一ガラス溝221の見込み方向一方側溝壁225から外周側に延設する見付け面部222と、第一ガラス溝221の外周側に位置し、桟30の見込み面部31に当接する当接部223とを有する。第一ガラス溝221の溝底の裏面を当接部223とすることで、第一ガラスパネル枠22の見付け幅の増大を抑えることができる。なお、保持力向上や防振のため、ガラス板21を保持する第一ガラス溝221には、圧入されたグレージングガスケット224が備えられることが好ましい。
【0022】
本実施例では、2つの桟30が上下方向に対向し一対をなしているので、2つの第一ガラスパネル枠22も上下方向に対向し一対をなしているが、2つの桟が左右方向に対向し一対をなしている場合には、2つの第一ガラスパネル枠も左右方向に対向し一対をなす。第一ガラスパネル枠22は、正面側(一方側)視で、溝壁225と溝壁225から外周側に延設した見付け面部222とが一体となった平面として形成されており、溝壁225と見付け面部222の間の境目は視認できない。これは、パネル体10の正面側においてフラットで一体的な外観が形成されることに貢献する。
【0023】
また、第一ガラス溝221の外周側に位置する当接部223は、桟30の見込み面部31に当接するために、見付け面部222に対して垂直なほぼ平面、パネル体10が鉛直に設置されることを前提とすれば水平なほぼ平面である。これは、本実施例における桟30の見込み面部31が水平に形成されることを前提とするものであり、仮に、下側の桟30の見込み面部が、図4のような断面視において、立ち上がり部32の方へ下がる傾き(右下がりの傾き)を有する場合には、当接部も同じ傾きを以って形成されることとなる。また、第一ガラスパネル枠22に設けられる当接部223は、第一ガラス溝221の外周側の任意の位置に設けることができる。
【0024】
また、ガラスパネル20の対向する残りの2辺に取り付けられた第二ガラスパネル枠23のそれぞれは、内周側に開口しガラス板を保持する第二ガラス溝231を有する。同様に、保持力向上や防振のため、ガラス板21を保持する第一ガラス溝231には、圧入されたグレージングガスケット232が備えられることが好ましい。なお、本実施例においては、ガラス板21は、2枚の板ガラスの間に樹脂などの中間膜を挟み接着した、耐貫通性・耐衝撃性に優れた合わせガラスであるが、これに限定されず、例えば、強化ガラスや網入りガラスであってもよい。
【0025】
また、ガラスパネル20は、第一ガラスパネル枠22の第一ガラス溝221がガラス板21の一の対向する辺を保持し、かつ、第二ガラスパネル枠23の第二ガラス溝231がガラス板21の他の対向する辺を保持することにより、第一ガラスパネル枠22と第二ガラスパネル枠23により四周枠組みされている。これによれば、パネル体10の桟30にガラス板21を保持する溝や接着剤などが不要となり、また、強固なガラスパネル枠でガラス板21を四周枠組みされているので、パネル体10である扉2の組み立て工程において、ガラス板21の破損に必要以上に注意することが不要となり、ガラスパネル20を組み込んだパネル体10の製造が容易になる。
【0026】
そして、一方の桟30(たとえば、上側の桟30)の見込み面部31と一方の第一ガラスパネル枠22(たとえば、上側の第一ガラスパネル枠22)の当接部223とが当接されるとともに固着され、もう一方(他方)の桟30(たとえば、下側の桟30)の見込み面部31ともう一方(他方)の第一ガラスパネル枠22(たとえば、下側の第一ガラスパネル枠22)の当接部223とが当接されるとともに固着される。これによれば、第一ガラスパネル枠22の見付け面部222が、ガラスパネル20の当接部223と桟30の見込み面部31との当接部分のつなぎ目を覆うので、優れた外観を呈することができる。固着の仕方は、本実施例ではビス止めで固定されているが、特にこれに限定されず、接着剤や両面接着テープなどで固定してもよい。
【0027】
パネル体がこのような構成を有することにより、パネル体の組み立て工程以前にガラスパネル20を組み立てておくことができる。その結果、パネル体自体の組み立て工程においては、ガラス板のみを取り扱うことはなく、強固なガラスパネル枠により事前に四周枠組みされたガラスパネル20を取り扱うことができる。
【0028】
したがって、パネル体が以上の構成を有することにより、従来パネル体にガラスパネルを取り付ける場合には、パネル体の桟自身にガラス板を保持する溝や接着剤などが必要となり、また、パネル体の桟に直接ガラス板を嵌め込む工程や貼り付ける工程が必要であったが、本発明にかかるパネル体10は、パネル体10の桟30にガラス板21を保持する溝や接着剤などが不要となり、また、ガラス板21の破損に必要以上に注意することが不要となり、ガラスパネル20を組み込んだパネル体10の製造が容易になる。
【0029】
本実施例におけるパネル体10は、2つの中桟40を備えるが、これに限定されず、無くても本発明に係るパネル体を構成することができるし、1つまたは3つ以上の中桟を備えてもよい。また、図3B図6が示すように、中桟40は、ガラスパネル20側の見込み面部に第二ガラスパネル枠23を保持するガラスパネル用溝42と目隠しパネル70を保持する目隠しパネル用溝43を有する。中桟40のガラスパネル側見込み面に、ガラスパネルの第二ガラスパネル枠23を保持するガラスパネル用溝42を設けてあることで、一般的な中桟タイプのパネル体の組み立てと同等の工程により、一部にガラスパネルを組み込んだパネル体の組み立てができる。さらに、ガラスパネルの第二ガラスパネル枠23が中桟40のガラスパネル用溝42に呑み込まれるので、ガラスパネル20の中桟側端部が見込み方向に強固に保持され、ガラスパネル20の取付け強度を確保でき、ガラスパネル20に隣接して中桟を備えるパネル体を提供することができる。また、中桟40のもう一方の見込み面部には、他の中桟40や竪桟50’と位置決めしやすいように凹部と凸部を有する。また、このように凹部と凸部があることにより、中桟40と竪桟50’の間からの光漏れが起こることを防止できる。
【0030】
図7が示すように、中桟40と竪桟50とは、一方側および他方側の側面がほぼ同一平面をなすように位置合わせされる。また、図3A図3Bが示すように、中桟40の見込み方向一方側の面が、第一ガラスパネル枠22の見付け面部222の面とほぼ同一平面をなす。これにより、パネル体10は、パネル体10の一方側(正面側)においてフラットで一体的な外観が形成され、外観上優れたパネル体を提供することができる。
【0031】
図8が示すように、中桟40、竪桟50/50’、目隠しパネル70、ガラスパネル(図示せず)の見付け方向であって左右方向の巾は、パネル体の横巾や使用する中桟の数により、さまざまである。図8(A)は、本実施例のように2つの中桟40を目隠しパネル70と竪桟50’の間に備えるパネル体を示す。また、図8(B)に示すパネル体では、目隠しパネル70、ガラスパネル(図示せず)の見付け方向であって左右方向の巾は、本実施例のそれらよりも長くなっており、パネル体の巾に応じてそれぞれの巾は調整される。また、図8(C)に示すパネル体では、本実施例のパネル体に比べ中桟40の数が1つ多い。また、これらの見込み方向の巾もさまざまであることは言うまでもない。
【0032】
本図では、ガラスパネルと目隠しパネル70は、竪桟50の戸先側に隣接して備えられるが、これに限定されず、竪桟50の戸先側に隣接させて中桟40を備えて、その中桟40の戸先側にガラスパネルと目隠しパネル70を備えてもよいし、ガラスパネルと目隠しパネル70をさらに戸先側に配置して竪桟50’に隣接させてもよいし、ガラスパネルと目隠しパネル70を中桟40を挟んで複数備えてもよい。この場合、中桟40は、戸先側見込み面部にガラスパネル用溝42と目隠しパネル用溝43を備え、吊元側見込み面部と戸先側見込み面部の両方に、ガラスパネル用溝42と目隠しパネル用溝43を備えてもよい。これにより、ガラスパネルを好みに応じて柔軟にかつ容易に配置させて備えることができるパネル体を提供することができる。
【0033】
図9が示すように、竪桟50は、パネル体10の吊元側に位置し、丁番と接合されるように形成されているとともに、丁番との接合部の反対側の見込み面部にガラスパネル20と目隠しパネル70を受け入れる溝を備えている。なお、竪桟50とガラスパネル20及び目隠しパネル70の間に中桟を備えてもよい。また、竪桟50’は、パネル体10の戸先側に配され、把手80や鍵を備え、もう一方のパネル体10の竪桟50’と突き合わされ、ラッチ91で契合する。
【0034】
なお、本実施例では、複数の中桟において互いの形状は同じであるが、これに限定されず、互いに異なる形状であってもよい。また、中桟40は、アルミ押出形材であるが、これに限定されず、ステンレス鋼などの金属製パネル、繊維強化プラスチックパネル、格子状パネルであってもよい。また、桟30、竪桟50/50’、目板60/60’も同様にアルミ押出形材であるが、これに限定されず、ステンレス鋼などの金属製部材、繊維強化プラスチック部材であってもよい。
【0035】
ガラスパネル20の組み立て手順は、以下のとおりである。図1に示すように、ガラスパネル20は、上下方向に長辺、左右方向に短辺を有する長方形をなすものである。まず、ガラス板21の長辺にグレージングガスケット232を、短辺にグレージングガスケット224を嵌め込む。次に、ガラス板21の一方の長辺に、第二ガラスパネル枠23の第二ガラス溝231をガラス板21の一方の短辺に、第一ガラスパネル枠22の第一ガラス溝221を嵌め込み、第一ガラスパネル枠22と第二ガラスパネル枠23とが直角をなすように第二ガラスパネル枠の端部とをビス止めにより固定し、連結する。
【0036】
その後、同様に、ガラス板21の他方の長辺を、第二ガラスパネル枠23を嵌め込み、先程嵌めた第一ガラスパネル枠22と直角をなすように第二ガラスパネル枠の端部とをビス止めにより連結する。最後に、ガラス板21の他方の短辺に第一ガラスパネル枠22を嵌め込み、両方の第二ガラスパネル枠23の端部とビス止めにより固定し、連結する。
【0037】
なお、この組み立て手順は一例であり、これに限定されず、たとえば、先に第一ガラスパネル枠22と第二ガラスパネル枠23を直角をなすように連結しておき、連結した部分にガラス板21の角を突き当てるようにして、それぞれのガラス溝に嵌め込んでもよい。以上のガラスパネル20の組み立て工程、すなわち、ガラス板21自体を取り扱い、ガラス板21にガラスパネル枠を嵌め込む工程は、扉1などのパネル体の組み立て工程とは別工程で行われる。
【0038】
パネル体の組み立て手順は、以下のとおりである。ガラスパネル20の一方の第一ガラスパネル枠22の当接部223を一方の桟30の見込み面部31に当接させ、ビス止めにより固着、すなわち位置を定めて固定し、接続する。同様に、ガラスパネル20の他方の第一ガラスパネル枠22の当接部223を他方の桟30の見込み面部31に当接させ、ビス止めにより固着する。これにより、パネル体が形成される。かかる組み立て手順を行うことにより、桟30の入隅(見込み面部31と立ち上がり部32との隅)に、第一ガラスパネル枠22の出隅(当接部223と他方側溝壁との隅)を突き合わせて固着することができるようになるので、ガラスパネル20をより安定して取り付けることができ、取り付け強度が向上するとともに、パネル体の組み立てもし易くなる。
【0039】
本実施例ではパネル体10は中桟40も有するので、さらに、パネル体の桟30の、ガラスパネル20が取り付けられた部分以外の部分に、中桟40の切欠き部41を嵌め込み、中桟40の見込み面の、見込み方向一方側に位置するガラスパネル用溝42に、ガラスパネル20の第二ガラスパネル枠23を嵌め込む。同様に、目隠しパネル70を、中桟40の見込み面の、見込み方向他方側に位置する目隠しパネル用溝43に嵌め込む。
【0040】
さらに、桟30の、ガラスパネル20と上記中桟40が取り付けられた部分以外の部分に、戸先側の中桟40の切欠き部41を嵌め込み、吊元側の中桟40の戸先側見込み面にある凹部と戸先側の中桟40の吊元側見込み面にあるガラスパネル用溝42と目隠しパネル用溝43の間の仕切りを突き合わせて位置合わせする。この状態で、上下の桟30とガラスパネル20、2つの中桟40、および目隠しパネル70とをビス止めにより固着する。このように、パネル体が、さらに中桟40や目隠しパネル70を備える場合であっても、ガラスパネル20と桟30のビス止めなどの組み立て作業と同じ方向からの流れ作業なかで、桟30と中桟40および目隠しパネル70も組み立てることができ、中桟40等を含むパネル体であっても、組み立て手順が複雑になることなく、組み立て容易性が確保される。さらに、竪桟50の溝に、ガラスパネル20のもう一方の第二ガラスパネル枠23と目隠しパネル70を嵌め込み、竪桟50と上下の桟30とをビス止めにより固着する。また、竪桟50’の吊元側見込み面部の凸部および凹部を、戸先側の中桟40の戸先側見込み面の凹部および凸部に位置合わせする。この状態で、竪桟50’と上下の桟30とをビス止めにより固着する。
【0041】
さらに、目板60/60’を、ビス止めで強固に一体となった、竪桟50、ガラスパネル20、目隠しパネル70、中桟40、および竪桟50’を、上下から覆うようにして被せる。以上によって、パネル体10の組み立てが完了する。
【0042】
以上のような構成の門扉1の組み立て手順としては、工場等において扉2/パネル体10を予め組み立てた上で現地に搬送する。そして、現地において、丁番4の片方を固定した門柱3を基礎の上に立設し、他方の丁番4を備えた竪桟50を有する扉2を、開き具合を調整して、両方の丁番を係合させて、扉2を備え付ける。以上によって門扉1の組み立てが完了する。
【0043】
なお、本発明は、例示した実施例に限定するものではなく、特許請求の範囲の各項に記載された内容から逸脱しない範囲の構成による実施が可能である。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され、かつ説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、形状、材質、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。従って、上記に開示した形状、材質などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質などの限定の一部もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
【0044】
例えば、第一実施例では、戸建て住宅等の敷地の内外を仕切るための出入り口としての門扉1について説明したが、門扉1の設置場所は特に限定されるものではなく、住宅以外の建物に付属して設けられてもよく、また建物に関係なく屋外施設に付属して設けられてもよい。また、前記実施形態では、両開きで左右対称の扉2を有する門扉1について説明したが、これに限定されず、片開きタイプや親子タイプの門扉であってもよい。
【0045】
また、見込み面部と立ち上がり部を有する対向する桟と、当接部等を有する第一ガラスパネル枠およびガラス溝を有する第二ガラスパネル枠とで四周枠組みされたガラスパネルとを備え、見込み面部と当接部が当接し固着されたパネル体は、門扉に限らず、ドアや塀などに用いることができることは言うまでもない。
【0046】
このパネル体をドアや塀などに用いた場合であっても、このパネル体による効果は同様に得られる。即ち、パネル体の桟にガラス板を保持する溝や接着剤などが不要となり、また、ドアや塀などの製造工程においてガラス板の破損に必要以上に注意することが不要となり、ドアや塀などのパネル体の製造が容易になる。また、ガラスパネル枠の見付け面部が、ガラスパネルと桟の当接部分のつなぎ目を覆うので優れた外観を呈することができる。また、桟が立ち上がり部を有することにより、ガラスパネルの見込み方向の位置決めを容易にし、保持力を高め、また桟としての強度を確保することができる。また、パネル体の所定の強度を維持しつつ、パネル体におけるガラスパネル面を大きくすることができる。
【符号の説明】
【0047】
1 門扉
2 扉
3 門柱
4 丁番
10 パネル体
20 ガラスパネル
21 ガラス板
22 第一ガラスパネル枠
221 第一ガラス溝
222 見付け面部
223 当接部
224 グレージングガスケット
225 溝壁
23 第二ガラスパネル枠
231 第二ガラス溝
232 グレージングガスケット
30 桟
31 見込み面部
32 立ち上がり部
40 中桟
41 切欠き部
42 ガラスパネル用溝
43 目隠しパネル用溝
50 竪桟
60 目板
70 目隠しパネル
80 把手
90 鍵
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9