【実施例】
【0060】
(評価方法)
本明細書中に記載の材料特性値等は以下の評価法によって得られたものである。
(1)ポリイミドの分子量
表1の条件にて重量平均分子量(Mw)を求めた。評価結果を表2に示す。
【0061】
【表1】
【0062】
(2)ポリイミドの有機溶媒への溶解性試験
ポリイミド0.5gに対し、表2に記載の有機溶媒9.5g(固形分濃度5%)をサンプル管に入れ、マグネチックスターラーで撹拌した。室温で完全に溶解したものを◎、加熱して溶解したものを○、一部溶け残りがあるものを△、不溶なものを×とした。評価結果を表2に示す。
【0063】
【表2】
【0064】
(3)ポリイミド膜の線熱膨張係数
100〜200℃の平均線膨張係数の測定は、Bruker−AXS製TMA4000を用いて(サンプルサイズ 幅5mm、長さ15mm)、荷重を膜厚(μm)×0.5gとして、5℃/minで150℃まで一旦昇温(1回目の昇温)させた後、20℃まで冷却し、さらに5℃/minで昇温(2回目の昇温)させて2回目の昇温時のTMA曲線より計算した。
(4)ポリイミド膜のガラス転移温度
Bruker−AXS製TMA4000用い、測定長(測定治具間隔)を15mmとして、正弦的に荷重(振幅15g)をかけ動的粘弾性測定を行い、損失エネルギーが最大となる温度をガラス転移温度とした。
(5)ポリイミド膜の全光線透過率
日本電色工業製積分球式ヘイズメーター300Aにより、JIS K7105−1981記載の方法により測定した。
(6)ポリイミド膜のヘイズ
日本電色工業製積分球式ヘイズメーター300Aにより、JIS K7105−1981記載の方法により測定した。
(7)ポリイミド膜の透過率
日本分光社製紫外可視近赤外分光光度計(V−650)を用いて、ポリイミド膜の200−800nmにおける光透過率を測定し、400nmの波長における光透過率を指標として用いた。また、透過率が0.5%以下となる波長(カットオフ波長)も求めた。
(8)エステル基含有テトラカルボン酸二無水物のFT−IRスペクトル測定
日本分光製FT−IR5300を用いて、積算回数16回4000cm
-1〜400cm
-1の範囲で測定した。
(9)エステル基含有テトラカルボン酸二無水物の
1H−NMRスペクトル測定
JOEL製JNM−ECP400を用いて、試料5mg程度を測定管に入れ、TMS入り重水素化溶媒(DMSO−d
6)を測定管に高さ4cmになるように加えて調整した測定試料を400MHzにて測定を実施した。
(10)エステル基含有テトラカルボン酸二無水物の融点
Bruker−AXS社製DSC3100によりJIS K−7121に記載の方法にて測定した。
【0065】
(合成例1)
<エステル基含有テトラカルボン酸二無水物の合成(下記式(3))>
【0066】
【化5】
【0067】
ポリテトラフルオロエチレン製のシール栓に4枚羽根撹拌翼を具備したステンレス製撹拌棒を備えた撹拌機、窒素導入管を備えた、500mLのガラス製セパラブルフラスコに、トリメリット酸無水物クロライド4.6g(22.0mmol)を入れ、溶液濃度が56.6wt%となるようにテトラヒドロフラン(以下、THF)4.0mlを加えて溶解させ、溶液Aを調製した。更に別の容器にトリメチルハイドロキノン1.5g(10.0mmol)を溶液濃度が30.0wt%となるようにTHFを4.0ml加えて溶解させ、脱酸剤としてピリジン3.2ml(40.0mmol)を加えて溶液Bを調製した。
【0068】
氷浴中で、溶液Aに攪拌下、溶液Bをゆっくりと滴下して3時間攪拌し、その後室温で18時間攪拌した。析出物を濾別し、得られた沈殿をTHF10mlで洗浄し、その後さらに、イオン交換水で塩化物イオンが除去されるまで洗浄した。塩化物イオンの除去は、洗浄ろ液に1wt%硝酸銀水溶液を数滴滴下することで確認した。洗浄後の沈殿を150℃で12時間真空乾燥して収量2.7g収率53.1%で白色の生成物を得た。FT−IRにて、1857cm
-1、1781cm
-1(酸無水物基C=O伸縮振動)、1734cm
-1(エステル基C=O伸縮振動)のピーク、また、
1H−NMRで、δ2.12ppm(m、CH
3、9H)、δ8.70ppm(m、フタルイミド上、5および6位C
aromH、4H)、δ8.31ppm(dd、フタルイミド上、3位C
aromH、2H)、δ7.22ppm(s、中央フェニル上、C
aromH、1H)のピークを確認することができたことから、目的物である上記式(3)に示すエステル基含有テトラカルボン酸二無水物が得られたことを確認した。この化合物の融点をDSCで測定したところ、245℃であった。
【0069】
(合成例2)
<ポリイミドの重合(下記式(2))>
【0070】
【化12】
【0071】
ステンレス製撹拌棒を備えた撹拌機、窒素導入管を備えた、500mLのガラス製セパラブルフラスコに、
2,2'-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(以下、TFMB)11.9gを入れ、重合用溶媒として脱水したN,N−ジメチルホルムアミド(以下、DMF)170.0gを仕込み攪拌した後、この溶液に、合成例1で合成した式(3)の構造のエステル基含有テトラカルボン酸二無水物18.1gを加え、室温で7時間攪拌し、ポリアミド酸を得た。なお、この反応溶液におけるジアミン化合物及びテトラカルボン酸二無水物の仕込み濃度は、全反応液に対して15重量%となっていた。
【0072】
上記溶液にDMFを加え固形分濃度を10重量%とし、イミド化触媒としてピリジン5.8gを添加して、完全に分散させた。分散させた溶液中に無水酢酸9.1gを添加し室温で24時間攪拌した。2Lの蒸留水にポリイミド溶液を滴下・析出させ、粉末状のポリイミドを得た。得られた粉末状のポリイミドを蒸留水で3回洗浄した後、真空乾燥装置で100℃12時間真空乾燥して、ポリイミドとして取り出した。得られたポリイミドの評価結果を表2に示す。
【0073】
(合成例3)
<エステル基含有テトラカルボン酸二無水物の合成(下記式(4))>
【0074】
【化6】
【0075】
ポリテトラフルオロエチレン製のシール栓に4枚羽根撹拌翼を具備したステンレス製撹拌棒を備えた撹拌機、窒素導入管を備えた、500mLのガラス製セパラブルフラスコに、トリメリット酸無水物クロライド8.8g(42.0mmol)を入れ、溶液濃度が33.2wt%となるようにTHF20.0mlを加えて溶解させ、溶液Aを調製した。更に別の容器に2,5−ジtert−ブチルハイドロキノン4.3g(19.6mmol)を溶液濃度が24.1wt%となるようにTHFを15.4ml加えて溶解させ、脱酸剤としてピリジン4.2ml(52.0mmol)を加えて溶液Bを調製した。
【0076】
氷浴中で、溶液Aに攪拌下、溶液Bをゆっくりと滴下して3時間攪拌し、その後室温で16時間攪拌した。析出物を濾別し、得られた沈殿をTHF10mlで洗浄し、その後さらに、イオン交換水で塩化物イオンが除去されるまで洗浄した。塩化物イオンの除去は、洗浄ろ液に1wt%硝酸銀水溶液を数滴滴下することで確認した。洗浄後の沈殿を160℃で12時間真空乾燥して収量4.8g収率43.0%で白色の生成物を得た。この粗結晶をトルエン/γ―グチロラクトン=20/1(重量比)溶液より再結晶し、180℃で12時間真空乾燥し、精製物を得た。FT−IRにて、1828cm
-1、1780cm
-1(酸無水物基C=O伸縮振動)、1747cm
-1(エステル基C=O伸縮振動)のピーク、また、
1H−NMRで、δ1.26ppm(s、tert−Bu、18H)、δ7.41ppm(s、中央フェニル上、C
aromH、2H)δ8.33ppm(m、フタルイミド上、5位C
aromH、2H)、δ8.61ppm(dd、フタルイミド上、3位C
aromH、2H)δ8.70ppm(m、フタルイミド上、6位C
aromH、2H)のピークを確認することができたことから、目的物である上記式(4)に示すエステル基含有テトラカルボン酸二無水物が得られたことを確認した。
【0077】
(合成例4)
<ポリイミドの重合(下記式(10))>
【0078】
【化13】
【0079】
ステンレス製撹拌棒を備えた撹拌機、窒素導入管を備えた、500mLのガラス製セパラブルフラスコに、TFMB9.7gを入れ、重合用溶媒として脱水したDMF170.0gを仕込み攪拌した後、この溶液に、合成例3で合成した式(4)の構造のエステル基含有テトラカルボン酸二無水物20.3gを加え、室温で7時間攪拌し、ポリアミド酸を得た。なお、この反応溶液におけるジアミン化合物及びテトラカルボン酸二無水物の仕込み濃度は、全反応液に対して15重量%となっていた。
【0080】
上記溶液にDMFを加え固形分濃度を10重量%とし、イミド化触媒としてピリジン4.8gを添加して、完全に分散させた。分散させた溶液中に無水酢酸7.5gを添加し室温で24時間攪拌した。2Lの蒸留水にポリイミド溶液を滴下・析出させ、粉末状のポリイミドを得た。得られた粉末状のポリイミドを蒸留水で3回洗浄した後、真空乾燥装置で100℃12時間真空乾燥して、ポリイミドとして取り出した。得られたポリイミドの評価結果を表2に示す。
【0081】
(合成例5)
<ポリイミドの重合(下記式(11))>
【0082】
【化14】
【0083】
ステンレス製撹拌棒を備えた撹拌機、窒素導入管を備えた、500mLのガラス製セパラブルフラスコに、TFMB12.0gを入れ、重合用溶媒として脱水したDMAc70.0gを仕込み攪拌した後、この溶液に、合成例3で合成した式(4)の構造のエステル基含有テトラカルボン酸二無水物15.0gを加え、さらに式(5)の構造のナフタレンテトラカルボン酸二無水物3.0gを加え、室温で72時間攪拌後、DMAc87.5gを添加して希釈し、ポリアミド酸を得た。
【0084】
【化7】
【0085】
なお、この反応溶液におけるジアミン化合物及びテトラカルボン酸二無水物の仕込み濃度は、全反応液に対して16重量%となっていた。各モノマーの仕込み比は、TFMBを100mol%としたとき、(4)の構造のエステル基含有テトラカルボン酸二無水物:70mol%、式(5)の構造のナフタレンテトラカルボン酸二無水物:30mol%となっていた。
【0086】
上記溶液にイミド化触媒としてピリジン6.0gを添加して、完全に分散させた。分散させた溶液中に無水酢酸9.2gを添加し室温で24時間攪拌した。2Lの蒸留水にポリイミド溶液を滴下・析出させ、粉末状のポリイミドを得た。得られた粉末状のポリイミドを蒸留水で3回洗浄した後、真空乾燥装置で100℃12時間真空乾燥して、ポリイミドとして取り出した。得られたポリイミドの評価結果を表2に示す。
【0087】
(合成例6)
<ポリイミドの重合(下記式(12))>
【0088】
【化15】
【0089】
ステンレス製撹拌棒を備えた撹拌機、窒素導入管を備えた、500mLのガラス製セパラブルフラスコに、TFMB11.2gを入れ、重合用溶媒として脱水したDMAc70.0gを仕込み攪拌した後、この溶液に、合成例3で合成した式(4)の構造のエステル基含有テトラカルボン酸二無水物14.0gを加え、さらに式(6)の構造のエステル基含有テトラカルボン酸二無水物4.8gを加え、室温で72時間攪拌後、DMAc84.0gを添加して希釈し、ポリアミド酸を得た。
【0090】
【化8】
【0091】
なお、この反応溶液におけるジアミン化合物及びテトラカルボン酸二無水物の仕込み濃度は、全反応液に対して16.3重量%となっていた。各モノマーの仕込み比は、TFMBを100mol%としたとき、(4)の構造のエステル基含有テトラカルボン酸二無水物:70mol%、式(6)の構造のエステル基含有テトラカルボン酸二無水物:30mol%となっていた。
【0092】
上記溶液にイミド化触媒としてピリジン5.5gを添加して、完全に分散させた。分散させた溶液中に無水酢酸8.6gを添加し室温で24時間攪拌した。2Lの蒸留水にポリイミド溶液を滴下・析出させ、粉末状のポリイミドを得た。得られた粉末状のポリイミドを蒸留水で3回洗浄した後、真空乾燥装置で100℃12時間真空乾燥して、ポリイミドとして取り出した。得られたポリイミドの評価結果を表2に示す。
【0093】
(合成例7)
<エステル基含有テトラカルボン酸二無水物の合成(下記式(7))>
【0094】
【化9】
【0095】
ポリテトラフルオロエチレン製のシール栓に4枚羽根撹拌翼を具備したステンレス製撹拌棒を備えた撹拌機、窒素導入管を備えた、500mLのガラス製セパラブルフラスコに、トリメリット酸無水物クロライド7.4g(35.1mmol)を入れ、溶液濃度が45.0wt%となるようにTHF10.0mlを加えて溶解させ、溶液Aを調製した。更に別の容器にtert−ブチルハイドロキノン2.6g(15.6mmol)を溶液濃度が46.0wt%となるようにTHFを3.5ml加えて溶解させ、脱酸剤としてピリジン3.4ml(42.0mmol)を加えて溶液Bを調製した。
【0096】
氷浴中で、溶液Aに攪拌下、溶液Bを約10分かけてゆっくりと滴下し、その後室温で19時間攪拌した。析出物を濾別し、得られた沈殿をTHF10mlで洗浄し、その後さらに、イオン交換水で塩化物イオンが除去されるまで洗浄した。塩化物イオンの除去は、洗浄ろ液に1wt%硝酸銀水溶液を数滴滴下することで確認した。洗浄後の沈殿を100℃で2時間、さらに160℃で12時間真空乾燥して収量5.3g収率66.0%で白色の生成物を得た。この粗結晶に無水酢酸20mlを加えて、加熱・冷却することで再結晶し、析出した結晶をろ別した後、無水酢酸およびトルエンで洗浄してから、80℃で2時間、さらに160℃で12時間真空乾燥し、精製物を得た。再結晶収率は47.9%であり、トータルでの収率は31.6%であった。FT−IRにて、1861cm
-1、1778cm
-1(酸無水物基C=O伸縮振動)、1740cm
-1(エステル基C=O伸縮振動)のピークを確認することができたことから、目的物である上記式(7)に示すエステル基含有テトラカルボン酸二無水物が得られたことを確認した。この化合物の融点をDSCで測定したところ、224℃であった。
【0097】
(合成例8)
<ポリイミドの重合(下記式(13))>
【0098】
【化16】
【0099】
ステンレス製撹拌棒を備えた撹拌機、窒素導入管を備えた、500mLのガラス製セパラブルフラスコに、TFMB11.5gを入れ、重合用溶媒として脱水したDMAc214.0gを仕込み攪拌した後、この溶液に、合成例7で合成した式(7)の構造のエステル基含有テトラカルボン酸二無水物18.5gを加え、室温で7時間攪拌し、ポリアミド酸を得た。なお、この反応溶液におけるジアミン化合物及びテトラカルボン酸二無水物の仕込み濃度は、全反応液に対して12.3重量%となっていた。
【0100】
上記溶液にDMAcを加え固形分濃度を7.6重量%とし、イミド化触媒としてピリジン5.7gを添加して、完全に分散させた。分散させた溶液中に無水酢酸8.8gを添加し室温で24時間攪拌した。2Lの蒸留水/エタノール=1/1(体積比)混合溶媒にポリイミド溶液を滴下・析出させ、粉末状のポリイミドを得た。得られた粉末状のポリイミドを蒸留水で3回洗浄した後、真空乾燥装置で150℃12時間真空乾燥して、ポリイミドとして取り出した。得られたポリイミドの評価結果を表2に示す。
【0101】
(合成例9)
<エステル基含有テトラカルボン酸二無水物の合成(下記式(8))>
【0102】
【化10】
【0103】
ポリテトラフルオロエチレン製のシール栓に4枚羽根撹拌翼を具備したステンレス製撹拌棒を備えた撹拌機、窒素導入管を備えた、500mLのガラス製セパラブルフラスコに、トリメリット酸無水物クロライド6.3g(30.0mmol)を入れ、溶液濃度が45.3wt%となるようにTHF8.6mlを加えて溶解させ、溶液Aを調製した。更に別の容器にジアミルハイドロキノン2.5g(10.0mmol)を溶液濃度が30.0wt%となるようにTHFを6.6ml加えて溶解させ、脱酸剤としてピリジン4.9ml(60.0mmol)を加えて溶液Bを調製した。
【0104】
氷浴中で、溶液Aに攪拌下、溶液Bを約10分かけてゆっくりと滴下し、その後室温で18時間攪拌した。析出物を濾別し、得られた沈殿をTHF、希塩酸溶液洗浄し、その後さらに、イオン交換水で塩化物イオンが除去されるまで洗浄した。塩化物イオンの除去は、洗浄ろ液に1wt%硝酸銀水溶液を数滴滴下することで確認した。洗浄後の沈殿を80℃で2時間、さらに160℃で12時間真空乾燥して収量3.9g収率65.6%で白色の生成物を得た。この粗結晶に1gあたり10mlの1,4−ジオキサンを加えて、加熱・冷却することで再結晶し、この操作を3回繰り返した。析出した結晶をろ別した後、80℃で2時間、さらに160℃で12時間真空乾燥し、精製物を得た。再結晶収率は56.4%であり、トータルでの収率は40.0%であった。FT−IRにて、1865cm
-1、1783cm
-1(酸無水物基C=O伸縮振動)、1743cm
-1(エステル基C=O伸縮振動)のピークを確認することができたことから、目的物である上記式(8)に示すエステル基含有テトラカルボン酸二無水物が得られたことを確認した。この化合物の融点をDSCで測定したところ、269.2℃であった。
【0105】
(合成例10)
<ポリイミドの重合(下記式(14))>
【0106】
【化17】
【0107】
ステンレス製撹拌棒を備えた撹拌機、窒素導入管を備えた、500mLのガラス製セパラブルフラスコに、TFMB10.3gを入れ、重合用溶媒として脱水したDMAc70.0gを仕込み攪拌した後、この溶液に、合成例9で合成した式(8)の構造のエステル基含有テトラカルボン酸二無水物19.3gを加え、室温で142時間攪拌した後、DMAcを153.4g添加して希釈し、ポリアミド酸を得た。なお、この反応溶液におけるジアミン化合物及びテトラカルボン酸二無水物の仕込み濃度は、全反応液に対して11.7重量%となっていた。
【0108】
上記溶液にDMAcを加え固形分濃度を4.9重量%とし、イミド化触媒としてピリジン5.2gを添加して、完全に分散させた。分散させた溶液中に無水酢酸8.2gを添加し室温で24時間攪拌した。2Lの蒸留水/エタノール=1/1(体積比)混合溶媒にポリイミド溶液を滴下・析出させ、粉末状のポリイミドを得た。得られた粉末状のポリイミドを蒸留水で3回洗浄した後、真空乾燥装置で150℃12時間真空乾燥して、ポリイミドとして取り出した。得られたポリイミドの評価結果を表2に示す。
【0109】
(合成例11)
<ポリイミドの重合(下記式(15))>
【0110】
【化18】
【0111】
ステンレス製撹拌棒を備えた撹拌機、窒素導入管を備えた、500mLのガラス製セパラブルフラスコに、TFMB11.9gを入れ、重合用溶媒として脱水したDMAc120.0gを仕込み攪拌した後、この溶液に、合成例9で合成した式(8)の構造のエステル基含有テトラカルボン酸二無水物15.6gを加え、さらに式(5)の構造のナフタレンテトラカルボン酸二無水物を3.0g加えて、室温で48時間攪拌し、適当な粘度となるよう希釈した後、DMAcを54.2g添加して希釈し、ポリアミド酸を得た。なお、この反応溶液におけるジアミン化合物及びテトラカルボン酸二無水物の仕込み濃度は、全反応液に対して14.9重量%となっていた。各モノマーの仕込み比は、TFMBを100mol%としたとき、(8)の構造のエステル基含有テトラカルボン酸二無水物:70mol%、式(5)の構造のナフタレンテトラカルボン酸二無水物:30mol%となっていた。
【0112】
上記溶液にDMAcを加え固形分濃度を5.5重量%とし、イミド化触媒としてピリジン5.9gを添加して、完全に分散させた。分散させた溶液中に無水酢酸9.1gを添加し室温で24時間攪拌した。2Lの蒸留水/エタノール=1/1(体積比)混合溶媒にポリイミド溶液を滴下・析出させ、粉末状のポリイミドを得た。得られた粉末状のポリイミドを蒸留水で3回洗浄した後、真空乾燥装置で150℃12時間真空乾燥して、ポリイミドとして取り出した。得られたポリイミドの評価結果を表2に示す。
【0113】
(合成例12)
<ポリイミドの重合(下記式(16))>
【0114】
【化19】
【0115】
ステンレス製撹拌棒を備えた撹拌機、窒素導入管を備えた、500mLのガラス製セパラブルフラスコに、TFMB12.2gを入れ、重合用溶媒として脱水したDMAc76.8gを仕込み攪拌した後、この溶液に、合成例7で合成した式(7)の構造のエステル基含有テトラカルボン酸二無水物9.8gを加え、さらに式(4)の構造のエステル基含有テトラカルボン酸二無水物を10.9g加えて、室温72時間攪拌した後、DMAcを53.2g添加して希釈し、ポリアミド酸を得た。なお、この反応溶液におけるジアミン化合物及びテトラカルボン酸二無水物の仕込み濃度は、全反応液に対して20.2重量%となっていた。各モノマーの仕込み比は、TFMBを100mol%としたとき、(7)の構造のエステル基含有テトラカルボン酸二無水物:50mol%、式(4)の構造のエステル基含有テトラカルボン酸二無水物:50mol%となっていた。
【0116】
上記溶液にDMAcを加え固形分濃度を6.3重量%とし、イミド化触媒としてピリジン6.0gを添加して、完全に分散させた。分散させた溶液中に無水酢酸9.3gを添加し室温で24時間攪拌した。2Lの蒸留水/エタノール=1/1(体積比)混合溶媒にポリイミド溶液を滴下・析出させ、粉末状のポリイミドを得た。得られた粉末状のポリイミドを蒸留水で3回洗浄した後、真空乾燥装置で150℃12時間真空乾燥して、ポリイミドとして取り出した。得られたポリイミドの評価結果を表2に示す。
【0117】
(合成例13)
<ポリイミドの重合(下記式(17))>
【0118】
【化20】
【0119】
ステンレス製撹拌棒を備えた撹拌機、窒素導入管を備えた、500mLのガラス製セパラブルフラスコに、TFMB13.1gを入れ、重合用溶媒として脱水したDMAc80.7gを仕込み攪拌した後、この溶液に、合成例7で合成した式(7)の構造のエステル基含有テトラカルボン酸二無水物16.8gを加え、さらに式(4)の構造のエステル基含有テトラカルボン酸二無水物を4.7g加えて、室温48時間攪拌した後、DMAcを56.8g添加して希釈し、ポリアミド酸を得た。なお、この反応溶液におけるジアミン化合物及びテトラカルボン酸二無水物の仕込み濃度は、全反応液に対して20.1重量%となっていた。各モノマーの仕込み比は、TFMBを100mol%としたとき、(7)の構造のエステル基含有テトラカルボン酸二無水物:80mol%、式(4)の構造のエステル基含有テトラカルボン酸二無水物:20mol%となっていた。
【0120】
上記溶液にDMAcを加え固形分濃度を6.2重量%とし、イミド化触媒としてピリジン6.4gを添加して、完全に分散させた。分散させた溶液中に無水酢酸9.9gを添加し室温で24時間攪拌した。2Lの蒸留水/エタノール=1/1(体積比)混合溶媒にポリイミド溶液を滴下・析出させ、粉末状のポリイミドを得た。得られた粉末状のポリイミドを蒸留水で3回洗浄した後、真空乾燥装置で150℃12時間真空乾燥して、ポリイミドとして取り出した。得られたポリイミドの評価結果を表2に示す。
【0121】
(合成例14)
<ポリイミドの重合(下記式(18))>
【0122】
【化21】
【0123】
ステンレス製撹拌棒を備えた撹拌機、窒素導入管を備えた、500mLのガラス製セパラブルフラスコに、TFMB12.6gを入れ、重合用溶媒として脱水したDMAc78.6gを仕込み攪拌した後、この溶液に、合成例7で合成した式(7)の構造のエステル基含有テトラカルボン酸二無水物13.2gを加え、さらに合成例3で合成した式(4)の構造のエステル基含有テトラカルボン酸二無水物を7.9g加えて、室温96時間攪拌した後、DMAcを258.0g添加して希釈し、ポリアミド酸を得た。なお、この反応溶液におけるジアミン化合物及びテトラカルボン酸二無水物の仕込み濃度は、全反応液に対して9.1重量%となっていた。各モノマーの仕込み比は、TFMBを100mol%としたとき、(7)の構造のエステル基含有テトラカルボン酸二無水物:65mol%、式(4)の構造のエステル基含有テトラカルボン酸二無水物:35mol%となっていた。
【0124】
上記溶液にDMAcを加え固形分濃度を6.8重量%とし、イミド化触媒としてピリジン6.2gを添加して、完全に分散させた。分散させた溶液中に無水酢酸9.6gを添加し室温で24時間攪拌した。2Lの蒸留水/エタノール=1/1(体積比)混合溶媒にポリイミド溶液を滴下・析出させ、粉末状のポリイミドを得た。得られた粉末状のポリイミドを蒸留水で3回洗浄した後、真空乾燥装置で150℃12時間真空乾燥して、ポリイミドとして取り出した。得られたポリイミドの評価結果を表2に示す。
【0125】
(合成例15)
<ポリイミドの重合(下記式(19))>
【0126】
【化22】
【0127】
ステンレス製撹拌棒を備えた撹拌機、窒素導入管を備えた、500mLのガラス製セパラブルフラスコに、TFMB12.4gを入れ、重合用溶媒として脱水したDMAc70.9gを仕込み攪拌した後、この溶液に、合成例3で合成した式(4)の構造のエステル基含有テトラカルボン酸二無水物15.5gを加え、ピロメリット酸二無水物を2.5g加えて、室温で92時間攪拌した後、DMAcを120.6g添加して希釈し、ポリアミド酸を得た。なお、この反応溶液におけるジアミン化合物及びテトラカルボン酸二無水物の仕込み濃度は、全反応液に対して13.7重量%となっていた。各モノマーの仕込み比は、TFMBを100mol%としたとき、(4)の構造のエステル基含有テトラカルボン酸二無水物:70mol%、ピロメリット酸二無水物:30mol%となっていた。
【0128】
上記溶液にDMAcを加え固形分濃度を6.2重量%とし、イミド化触媒としてピリジン6.1gを添加して、完全に分散させた。分散させた溶液中に無水酢酸9.5gを添加し室温で24時間攪拌した。2Lの蒸留水/エタノール=1/1(体積比)混合溶媒にポリイミド溶液を滴下・析出させ、粉末状のポリイミドを得た。得られた粉末状のポリイミドを蒸留水で3回洗浄した後、真空乾燥装置で150℃12時間真空乾燥して、ポリイミドとして取り出した。得られたポリイミドの評価結果を表2に示す。
【0129】
(実施例1)
<ポリイミド溶液およびのポリイミド膜の作製>
溶媒としてDMAcを用い、合成例2にて合成したポリイミドが7.3重量%の濃度で含有されているポリイミド溶液を作製した。このポリイミド溶液をバーコーターでガラス板上に塗布し、60℃で2時間、250℃で1時間乾燥させ、ポリイミド膜を得た。ポリイミド膜の評価結果を表3に示す。
【0130】
(実施例2)
<ポリイミド溶液およびのポリイミド膜の作製>
溶媒としてシクロペンタノンを用い、合成例2にて合成したポリイミドが7重量%の濃度で含有されているポリイミド溶液を作製した。このポリイミド溶液をバーコーターでガラス板上に塗布し、60℃で2時間、250℃で1時間乾燥させ、ポリイミド膜を得た。ポリイミド膜の評価結果を表3に示す。
【0131】
(実施例3)
<ポリイミド溶液およびのポリイミド膜の作製>
溶媒としてDMAcを用い、合成例4にて合成したポリイミドが15.0重量%の濃度で含有されているポリイミド溶液を作製した。このポリイミド溶液をバーコーターでガラス板上に塗布し、60℃で2時間、250℃で1時間乾燥させ、ポリイミド膜を得た。ポリイミド膜の評価結果を表3に示す。
【0132】
(実施例4)
<ポリイミド溶液およびのポリイミド膜の作製>
溶媒としてシクロペンタノンを用い、合成例5にて合成したポリイミドが8.2重量%の濃度で含有されているポリイミド溶液を作製した。このポリイミド溶液をバーコーターでガラス板上に塗布し、60℃で2時間、280℃で1時間乾燥させ、ポリイミド膜を得た。ポリイミド膜の評価結果を表3に示す。
【0133】
(実施例5)
<ポリイミド溶液およびのポリイミド膜の作製>
溶媒としてシクロペンタノンを用い、合成例6にて合成したポリイミドが8.3重量%の濃度で含有されているポリイミド溶液を作製した。このポリイミド溶液をバーコーターでガラス板上に塗布し、60℃で2時間、220℃で1時間乾燥させ、ガラスから剥離した後、さらに220℃で1時間熱処理し、ポリイミド膜を得た。ポリイミド膜の評価結果を表3に示す。
【0134】
(実施例6)
<ポリイミド溶液およびのポリイミド膜の作製>
溶媒としてDMAcを用い、合成例8にて合成したポリイミドが10.7重量%の濃度で含有されているポリイミド溶液を作製した。このポリイミド溶液をバーコーターでガラス板上に塗布し、60℃で3時間乾燥させ、ガラスから剥離した後、さらに220℃で1時間熱処理し、ポリイミド膜を得た。ポリイミド膜の評価結果を表3に示す。
【0135】
(実施例7)
<ポリイミド溶液およびのポリイミド膜の作製>
溶媒としてDMAcを用い、合成例10にて合成したポリイミドが10.6重量%の濃度で含有されているポリイミド溶液を作製した。このポリイミド溶液をバーコーターでガラス板上に塗布し、60℃で2時間乾燥させ、ガラスから剥離した後、さらに260℃で1時間熱処理し、ポリイミド膜を得た。ポリイミド膜の評価結果を表3に示す。
【0136】
(実施例8)
<ポリイミド溶液およびのポリイミド膜の作製>
溶媒としてシクロペンタノンを用い、合成例11にて合成したポリイミドが9.1重量%の濃度で含有されているポリイミド溶液を作製した。このポリイミド溶液をバーコーターでガラス板上に塗布し、60℃で2時間乾燥させ、ガラスから剥離した後、さらに260℃で1時間熱処理し、ポリイミド膜を得た。ポリイミド膜の評価結果を表3に示す。
【0137】
(実施例9)
<ポリイミド溶液およびのポリイミド膜の作製>
溶媒としてシクロペンタノンを用い、合成例12にて合成したポリイミドが13.8重量%の濃度で含有されているポリイミド溶液を作製した。このポリイミド溶液をバーコーターでガラス板上に塗布し、60℃で2時間乾燥させ、ガラスから剥離した後、さらに230℃で1時間熱処理し、ポリイミド膜を得た。ポリイミド膜の評価結果を表3に示す。
【0138】
(実施例10)
<ポリイミド溶液およびのポリイミド膜の作製>
溶媒としてDMAcを用い、合成例13にて合成したポリイミドが15.5重量%の濃度で含有されているポリイミド溶液を作製した。このポリイミド溶液をバーコーターでガラス板上に塗布し、60℃で2時間乾燥させ、ガラスから剥離した後、さらに220℃で1時間熱処理し、ポリイミド膜を得た。ポリイミド膜の評価結果を表3に示す。
【0139】
(実施例11)
<ポリイミド溶液およびのポリイミド膜の作製>
溶媒としてシクロペンタノンを用い、合成例14にて合成したポリイミドが7.5重量%の濃度で含有されているポリイミド溶液を作製した。このポリイミド溶液をバーコーターでガラス板上に塗布し、60℃で2時間乾燥させ、ガラスから剥離した後、さらに230℃で1時間熱処理し、ポリイミド膜を得た。ポリイミド膜の評価結果を表3に示す。
【0140】
(実施例12)
<ポリイミド溶液およびのポリイミド膜の作製>
溶媒としてシクロペンタノンを用い、合成例15にて合成したポリイミドが7.0重量%の濃度で含有されているポリイミド溶液を作製した。このポリイミド溶液をバーコーターでガラス板上に塗布し、60℃で3時間、250℃で1時間乾燥させ、ガラスから剥離した後、さらに250℃で1時間熱処理し、ポリイミド膜を得た。ポリイミド膜の評価結果を表3に示す。
【0141】
(合成例16)
ポリテトラフルオロエチレン製のシール栓に4枚羽根撹拌翼を具備したステンレス製撹拌棒を備えた撹拌機、窒素導入管を備えた、500mLのガラス製セパラブルフラスコに、TFMB9.7gを入れ、重合用溶媒として脱水したDMF170gを仕込み攪拌した後、この溶液に、下記式(9)に示すアミド基含有テトラカルボン酸二無水物20.2gを加え、室温で攪拌し、ポリアミド−アミド酸を得た。
【0142】
【化11】
【0143】
なお、この反応溶液におけるジアミン化合物及びテトラカルボン酸二無水物の仕込み濃度は、全反応液に対して15重量%となっていた。24時間撹拌後に、イミド化触媒としてピリジン4.8gを添加して、完全に分散させた。分散させた溶液中に無水酢酸7.4gを添加して攪拌し、100℃で4時間攪拌したのち、室温まで冷却した。冷却した反応溶液に、DMFを88g添加し撹拌したのち、その溶液を2Lセパラブルフラスコに移し、その溶液に600gのイソプロパノールを2〜3滴/秒となる速度で滴下して、目的とする生成物を沈殿させた。その後、桐山ロートにより、吸引ろ過し、300gのイソプロパノールにて洗浄した。この洗浄を2回繰り返し、桐山ロートにより、吸引ろ過し100℃に設定した真空オーブンで一晩乾燥させることで、ポリイミドを得た。
【0144】
(比較例1)
<ポリイミド溶液およびのポリイミド膜の作製>
合成例16で得られたポリイミドをDMAcに溶解してポリイミドが7重量%含有されているポリイミド溶液を作製し、ガラス板上に塗工した後、60℃で10分間乾燥させ、さらに150℃で60分間、300℃で60分間乾燥させた。その後ガラス板からフィルムを剥がし、フィルムを得た。得られたフィルムの評価結果を表3に示す。
【0145】
(比較例2)
ステンレス製撹拌棒を備えた撹拌機、窒素導入管を備えた、500mLのガラス製セパラブルフラスコに、TFMB12.3gを入れ、重合用溶媒として脱水したDMF170gを仕込み攪拌した後、この溶液に、式(6)の構造のエステル基含有テトラカルボン酸二無水物17.7gを加え、室温で7時間攪拌し、ポリアミド酸を得た。
【0146】
なお、この反応溶液におけるジアミン化合物及びテトラカルボン酸二無水物の仕込み濃度は、全反応液に対して15重量%となっていた。
【0147】
上記溶液にDMFを加え固形分濃度を10重量%とし、イミド化触媒としてピリジン6.1gを添加して、完全に分散させた。分散させた溶液中に無水酢酸9.4gを添加したが、1時間後にゲル化してしまったため、これ以降の操作は実施しなかった。
【0148】
【表3】
【0149】
実施例1〜12のポリイミドは、比較例1のポリイミドと比べて、400nmの波長における光透過率が高いことから透明性に優れるとともに、無機材料と同等の低線熱膨張係数を有していた。また、実施例1〜12のポリイミドは、比較例2のポリイミドと比べて、溶媒への溶解性に優れており、ポリイミド溶液として供給することが可能であった。
【0150】
上記式(1)において、R1〜R3が炭素数1のアルキル基であり、R4が水素原子である構造のみを含有する実施例1のポリイミドは400nmの波長における透過率が60%以上かつ線熱膨張係数が15ppm/K以下であり、高透明性かつ低熱膨張特性を有していた。
【0151】
上記式(1)において、R1、R3が炭素数3以上のアルキル基であり、R2,R4が水素原子である構造のみを含有する実施例3および7のポリイミドは400nmの波長における光透過率が70%以上であり、非常に透明性に優れていた。
【0152】
また、ナフタレン構造テトラカルボン酸二無水物やピロメリット酸二無水物を上記式(1)の構造のポリイミドに共重合した実施例4、8および12に示すポリイミドは、線熱膨張係数が16ppm/K以下であり、低熱膨張特性を有していた。