特許第5909407号(P5909407)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5909407
(24)【登録日】2016年4月1日
(45)【発行日】2016年4月26日
(54)【発明の名称】緩衝装置
(51)【国際特許分類】
   F16F 9/348 20060101AFI20160412BHJP
   F16F 9/44 20060101ALI20160412BHJP
   B62K 25/08 20060101ALI20160412BHJP
【FI】
   F16F9/348
   F16F9/44
   B62K25/08 C
【請求項の数】4
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2012-115240(P2012-115240)
(22)【出願日】2012年5月21日
(65)【公開番号】特開2013-241985(P2013-241985A)
(43)【公開日】2013年12月5日
【審査請求日】2015年2月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000929
【氏名又は名称】KYB株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100067367
【弁理士】
【氏名又は名称】天野 泉
(74)【代理人】
【識別番号】100122323
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 憲
(72)【発明者】
【氏名】角田 雅史
【審査官】 村山 禎恒
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−062947(JP,A)
【文献】 特開平08−177930(JP,A)
【文献】 特開2012−067777(JP,A)
【文献】 特開2007−177885(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0144845(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16F 9/348
B62K 25/08
F16F 9/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車輪の両側に起立して対となる第一、第二の緩衝器を備え、上記第一の緩衝器に伸側の減衰力を発生させ、上記第二の緩衝器に圧側の減衰力を発生させる緩衝装置であって、
上記第二の緩衝器は、シリンダと、上記シリンダの外側に形成されて作動流体を収容するリザーバと、上記シリンダ内に出没可能に挿入されるピストンロッドと、上記ピストンロッドの先端に保持されて上記シリンダの内周面に摺接するピストンと、上記シリンダ内に形成されるとともに上記ピストンで区画され作動流体が充填されるピストンロッド側の伸側室及びピストン側の圧側室と、上記ピストンに形成されて作動流体が上記圧側室から上記伸側室へ移動することを許容する第一の圧側流路と、上記第一の圧側流路を通過する作動流体に抵抗を与える第一の圧側減衰力発生手段と、上記シリンダに固定され上記圧側室と上記リザーバとを区画するベース部材と、上記ベース部材に形成されて作動流体が上記圧側室から上記リザーバへ移動することを許容する第二の圧側流路と、上記第二の圧側流路を通過する作動流体に抵抗を与える第二の圧側減衰力発生手段と、圧側の減衰力を調整する圧側減衰力調整手段とを備え
上記第一の圧側減衰力発生手段が一または複数枚の環板状のリーフバルブからなり、
上記圧側減衰力調整手段は、上記第一の圧側流路を迂回して上記ピストンロッドの内部を通り上記圧側室と上記リザーバとを連通するバイパス路と、上記バイパス路内に進退可能に挿入されるニードル弁と、上記ニードル弁を駆動するアクチュエータとを備えており、上記アクチュエータがモータと、上記ニードル弁の背面に当接する作用部と、上記モータの回転運動を上記作用部の直線運動に変換する運動変換機構とを備えていることを特徴とする緩衝装置。
【請求項2】
上記第二の圧側減衰力発生手段が上記第一の減衰力発生手段を構成する上記リーフバルブと共通のリーフバルブからなり、上記第一の圧側減衰力発生手段を構成する上記リーフバルブと上記第二の圧側減衰力発生手段を構成する上記リーフバルブが上記圧側室を挟んで背中合わせ並べて配置され、
上記第一の圧側減衰力発生手段を構成する上記リーフバルブと上記第二の圧側減衰力発生手段を構成する上記リーフバルブが離着座する各弁座が同一形状を有して上記圧側室を挟んで背中合わせに配置され、
上記第一の圧側流路及び上記第二の圧側流路が同一形状有して上記圧側室を挟んで背中合わせに配置されていることを特徴とする請求項1に記載の緩衝装置。
【請求項3】
上記第二の緩衝器は、上記ピストンに形成されて上記伸側室と上記圧側室とを連通する第一の伸側流路と、上記ピストンの圧側室側に積層されて作動流体が上記第一の伸側流路を通過して上記伸側室から上記圧側室へ移動することを許容する第一の伸側チェック弁と、上記ベース部材に形成されて上記圧側室と上記リザーバとを連通する第二の伸側流路と、上記ベース部材の圧側室側に積層されて作動流体が上記第二の伸側流路を通過して上記リザーバから上記圧側室へ移動することを許容する第二の伸側チェック弁とを備えていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の緩衝装置。
【請求項4】
上記圧側減衰力調整手段は、作動流体が上記バイパス路を通過して上記圧側室から上記リザーバへ移動することを許容するチェック弁を備えていることを特徴とする請求項1から請求項3の何れか一項に記載の緩衝装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、緩衝装置の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、緩衝装置は、自動車や二輪車等の輸送機器に利用され、車体を弾性支持する懸架ばねとともに路面凹凸による衝撃が車体に伝達されることを抑制している。
【0003】
例えば、特許文献1に開示の緩衝装置は、二輪車や三輪車等の鞍乗型車両において前輪を懸架するフロントフォークに利用されており、図3に示すように、前輪(図示せず)の両側に起立して対となる第一、第二の緩衝器d10,d20を備え、これら第一、第二の緩衝器d10,d20で前輪を両側から回転可能に支持している。
【0004】
そして、上記第一、第二の緩衝器d10,d20は、車輪側に連結されるシリンダ1と、このシリンダ1の外側に形成されて作動流体を収容するリザーバRと、車体側に連結されて上記シリンダ1内に出没可能に挿入されるピストンロッド2と、このピストンロッド2の先端に保持されて上記シリンダ1の内周面に摺接するピストン3と、上記シリンダ1内に形成されるとともに上記ピストン3で区画され作動流体が充填されるピストンロッド側(図3中上側)の伸側室A及びピストン側(図3中下側)の圧側室Bと、ピストン3に形成されて作動流体が伸側室Aから圧側室Bへ移動することを許容する伸側流路300と、同じくピストン3に形成されて作動流体が圧側室Bから伸側室Aへ移動することを許容する圧側流路301とをそれぞれ備えている。
【0005】
さらに、上記第一の緩衝器d10は、伸側流路300を通過する作動流体に抵抗を与える伸側減衰力発生手段V10と、シリンダ1に形成されて圧側室BとリザーバRとを連通する連通孔12とを備えている。このため、第一の緩衝器d10は、ピストン3で伸側室Aが加圧され、作動流体が伸側流路301を通過して伸側室Aから圧側室Bに移動する緩衝装置の伸長時に、伸側減衰力発生手段V10の抵抗に起因する大きな伸側の減衰力を発生することができる。
【0006】
また、上記第一の緩衝器d10では、圧側流路301及び連通孔12を作動流体が通過する際の抵抗が小さくなるように設定されている。このため、ピストン3で圧側室Bが加圧され、作動流体が圧側流路301を通過して圧側室Bから伸側室Aに移動するとともに、作動流体が連通孔12を通過して圧側室BからリザーバRに移動する緩衝装置の圧縮時においては、第一の緩衝器d10が発生する圧側の減衰力が小さくなる。
【0007】
他方、上記第二の緩衝器d20は、圧側流路301を通過する作動流体に抵抗を与える圧側減衰力発生手段V20と、シリンダ1に形成されて伸側室AとリザーバRとを連通する連通孔13とを備えている。このため、第二の緩衝器d20は、ピストン3で圧側室Bが加圧され、作動流体が圧側流路301を通過して圧側室Bから伸側室Aに移動する緩衝装置の圧縮時に、圧側減衰力発生手段V20の抵抗に起因する大きな圧側の減衰力を発生することができる。
【0008】
また、上記第二の緩衝器d20では、伸側流路300及び連通孔13を作動流体が通過する際の抵抗が小さくなるように設定されている。このため、ピストン3で伸側室Aが加圧され、作動流体が伸側流路300を通過して伸側室Aから圧側室Bに移動するとともに、作動流体が連通孔13を通過してリザーバRから伸側室Aに移動する緩衝装置の伸長時においては、第二の緩衝器d20が発生する伸側の減衰力が小さくなる。
【0009】
したがって、緩衝装置は、伸長時において、主に第一の緩衝器d10の伸側減衰力発生手段V10の抵抗に起因する減衰力を発生し、実質的に第一の緩衝器d10が緩衝装置の伸側の減衰力を発生している。他方、緩衝装置は、圧縮時において、主に第二の緩衝器d20の圧側減衰力発生手段V20の抵抗に起因する減衰力を発生し、実質的に第二の緩衝器d20が緩衝装置の圧側の減衰力を発生している。
【0010】
つまり、上記緩衝装置は、第一の緩衝器d10に伸側の減衰力を発生させ、第二の緩衝器d20に圧側の減衰力を発生させており、伸側の減衰力を発生するための機能と圧側の減衰力を発生するための機能を第一の緩衝器d10と第二の緩衝器d20に分離している。
【0011】
また、上記懸架装置(図3)が、対となる二つの緩衝器がともに伸側及び圧側の減衰力を発生する懸架装置(図示せず)と同等の減衰力を得るためには、一方の緩衝器で二倍の伸側若しくは圧側の減衰力を発生する必要があるが、緩衝装置の伸縮時に、第一の緩衝器d10の伸側流路300を通過する作動流体の流量や、第二の緩衝器d20の圧側流路301を通過する作動流体の流量を確保することができるため、一方の緩衝器で大きな減衰力を発生することができる。
【0012】
また、上記緩衝装置(図3)において、第一の緩衝器d10が伸側流路300を通過する作動流体の流量を調整する伸側減衰力調整手段E10を備えるとともに、第二の緩衝器d20が圧側流路301を通過する作動流体の流量を調整する圧側減衰力調整手段E20とを備えており、緩衝装置の伸側及び圧側の減衰力をそれぞれ調整することができる。つまり、上記緩衝装置においては、伸側減衰力調整手段E10及び圧側減衰力調整手段E20をも、第一の緩衝器d10と第二の緩衝器d20に分離している。
【0013】
そして、この場合には、伸側減衰力調整手段E10及び圧側減衰力調整手段E20が伸側流路300及び圧側流路301を迂回するパイパス路200と、このバイパス路200内に進退可能に挿入されるニードル弁Nとをそれぞれ備え、ニードル弁Nを駆動してバイパス路200の開口量を変更することで、伸側流路300及び圧側流路301を通過する作動流体の流量を調整すればよく、伸側減衰力調整手段E10及び圧側減衰力調整手段E20の構成を共通にすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2007−177885号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
ここで、上記従来の緩衝装置において、圧側減衰力発生手段V20は、第二の緩衝器d20のピストン3に積層されるとともに内周側を第二の緩衝器d20のピストンロッド2に固定された複数枚の環板状のリーフバルブからなり、このリーフバルブの外周部を撓ませて圧側流路301を連通する作動流体に大きな抵抗を与えている。しかしながら、上記従来の緩衝装置の圧縮時においては、圧側室Bの断面積にピストンロッド2の移動距離を乗じた分の作動流体が、全て圧側流路301を通過するため、圧側減衰力発生手段V20を構成するリーフバルブの応力が過大となる虞がある。
【0016】
そこで、本発明の目的は、伸側の減衰力を発生するための機能と圧側の減衰力を発生するための機能を第一の緩衝器と第二の緩衝器に分離した緩衝装置においても、圧側減衰力発生手段を構成するリーフバルブの応力を従来よりも軽減することが可能な緩衝装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記課題を解決するための手段は、車輪の両側に起立して対となる第一、第二の緩衝器を備え、上記第一の緩衝器に伸側の減衰力を発生させ、上記第二の緩衝器に圧側の減衰力を発生させる緩衝装置であって、上記第二の緩衝器は、シリンダと、上記シリンダの外側に形成されて作動流体を収容するリザーバと、上記シリンダ内に出没可能に挿入されるピストンロッドと、上記ピストンロッドの先端に保持されて上記シリンダの内周面に摺接するピストンと、上記シリンダ内に形成されるとともに上記ピストンで区画され作動流体が充填されるピストンロッド側の伸側室及びピストン側の圧側室と、上記ピストンに形成されて作動流体が上記圧側室から上記伸側室へ移動することを許容する第一の圧側流路と、上記第一の圧側流路を通過する作動流体に抵抗を与える第一の圧側減衰力発生手段と、上記シリンダに固定され上記圧側室と上記リザーバとを区画するベース部材と、上記ベース部材に形成されて作動流体が上記圧側室から上記リザーバへ移動することを許容する第二の圧側流路と、上記第二の圧側流路を通過する作動流体に抵抗を与える第二の圧側減衰力発生手段と、圧側の減衰力を調整する圧側減衰力調整手段とを備え、上記第一の圧側減衰力発生手段が一または複数枚の環板状のリーフバルブからなり、上記圧側減衰力調整手段は、上記第一の圧側流路を迂回して上記ピストンロッドの内部を通り上記圧側室と上記リザーバとを連通するバイパス路と、上記バイパス路内に進退可能に挿入されるニードル弁と、上記ニードル弁を駆動するアクチュエータとを備えており、上記アクチュエータがモータと、上記ニードル弁の背面に当接する作用部と、上記モータの回転運動を上記作用部の直線運動に変換する運動変換機構とを備えていることである。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、伸側の減衰力を発生するための機能と圧側の減衰力を発生するための機能を第一の緩衝器と第二の緩衝器に分離していても、圧側減衰力発生手段を構成するリーフバルブの応力を従来よりも軽減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一実施の形態に係る緩衝装置の使用状態を簡略化して示した正面図である。
図2】本発明の一実施の形態に係る緩衝装置の第二の緩衝器を示した縦断面図である。
図3】従来の緩衝装置を示した縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に本発明の一実施の形態に係る緩衝装置について、図面を参照しながら説明する。いくつかの図面を通して付された同じ符号は、同じ部品か対応する部品を示す。
【0021】
図1に示すように、上記緩衝装置Dは、前輪(車輪)Wの両側に起立して対となる第一、第二の緩衝器d1,d2を備え、上記第一の緩衝器d1に伸側の減衰力を発生させ、上記第二の緩衝器d2に圧側の減衰力を発生させている。
【0022】
そして、上記緩衝装置Dにおける上記第二の緩衝器d2は、図2に示すように、シリンダ1と、このシリンダ1の外側に形成されて作動流体を収容するリザーバRと、上記シリンダ1内に出没可能に挿入されるピストンロッド2と、このピストンロッド2の先端に保持されて上記シリンダ1の内周面に摺接するピストン3と、上記シリンダ1内に形成されるとともに上記ピストン3で区画され作動流体が充填されるピストンロッド側の伸側室A及びピストン側の圧側室Bと、上記ピストン3に形成されて作動流体が上記圧側室Bから上記伸側室Aへ移動することを許容する第一の圧側流路31と、この第一の圧側流路31を通過する作動流体に抵抗を与える第一の圧側減衰力発生手段V1とを備え、この第一の圧側減衰力発生手段V1が複数枚の環板状のリーフバルブからなる。
【0023】
さらに、上記第二の緩衝器d2は、上記シリンダ1に固定され上記圧側室Bと上記リザーバRとを区画するベース部材4と、このベース部材4に形成されて作動流体が上記圧側室Bから上記リザーバRへ移動することを許容する第二の圧側流路41と、この第二の圧側流路41を通過する作動流体に抵抗を与える第二の圧側減衰力発生手段V2とを備えている。
【0024】
以下、詳細に説明すると、本実施の形態に係る緩衝装置Dは、図1に示すように、二輪車や三輪車等の鞍乗型車両において、その前輪Wを懸架するフロントフォークに利用されている。そして、上記第一、第二の緩衝器d1,d2は、車体側に配置されるアウターチューブt1と、車輪側に配置されアウターチューブt1内に出没可能に挿入されるインナーチューブt2とからなり、第一、第二の緩衝器d1,d2の外殻となる緩衝器本体Tをそれぞれ備えている。
【0025】
さらに、図示しないが、上記第一、第二の緩衝器d1,d2のアウターチューブt1,t1は、車体側ブラケットを介して連結されており、この車体側ブラケットに起立するステアリングシャフトが、車体の骨格となるフレームのヘッドパイプに連結されている。また、上記第一、第二の緩衝器d1,d2のインナーチューブt2,t2の下端部には、車輪側ブラケット(図示せず)がそれぞれ取り付けられており、これら車輪側ブラケットが前輪Wの車軸に連結されている。
【0026】
そして、上記第一の緩衝器d1は、緩衝装置Dの伸長時に大きな伸側の減衰力を発生する伸側減衰力発生手段(図示せず)と、上記伸側の減衰力を調整する伸側減衰力調整手段(図示せず)とを備えるとともに、第一の緩衝器d1で発生する圧側の減衰力が小さく設定されている。尚、第一の緩衝器d1として、上記従来の緩衝装置における第一の緩衝器d10と同様の構成を採用する等、周知の構成を採用することが可能である。したがって、ここでは第一の緩衝器d1についての詳細な説明を省略する。
【0027】
つづいて、上記第二の緩衝器d2は、上記したようにアウターチューブt1とインナーチューブt2とからなる緩衝器本体Tを備えており、図2に示すように、この緩衝器本体Tの軸心部に第二の緩衝器d2のシリンダ1が起立している。そして、作動流体を収容するリザーバRが緩衝器本体Tとシリンダ1との間に形成されている。尚、上記作動流体として種々の構成を採用することが可能であるが、本実施の形態において作動流体は油、水、水溶液等の液体からなり、上記リザーバRには作動流体の液面r1を介して上側に気体が収容されている。
【0028】
また、緩衝器本体Tは、その上下の開口がキャップ部材5及びボトム部材6でそれぞれ塞がれるとともに、アウターチューブt1とインナーチューブt2の重複部の間に形成される筒状隙間(符示せず)の図2中下側開口が図示しないシール部材で塞がれている。このため、緩衝器本体Tの内側が外気側と区画され、緩衝器本体T内に収容される作動流体や気体が外気側に漏れないようになっている。
【0029】
つづいて、緩衝器本体Tの軸心部に起立するシリンダ1は、ボトム部材6を介してインナーチューブt2に連結されている。そして、上記シリンダ1の図2中上下の開口が環状のロッドガイド7とベース部材4で塞がれており、上記ロッドガイド7とベース部材4との間と、ベース部材4とボトム部材6との間には、作動流体が充填されている。
【0030】
また、上記シリンダ1内に出没可能に挿入されるピストンロッド2は、基端部(図2中上端部)がキャップ部材5に連結されており、このキャップ部材5を介してアウターチューブt1に連結されている。さらに、ピストンロッド2の先端側(図2中下側)は、ロッドガイド7の軸心部を貫通してシリンダ1内に挿入されるとともに、ロッドガイド7で軸方向に移動自在に支持されている。このため、ピストンロッド2は、アウターチューブt1内にインナーチューブt2が出没する緩衝装置Dの伸縮に伴い先端側をシリンダ1内に出没させることができる。
【0031】
また、上記ピストンロッド2の先端に保持されるピストン3は、ロッドガイド7とベース部材4との間に配置されるとともに、上記したように、上記シリンダ1の内周面に摺接しており、シリンダ1内をピストンロッド側(図2中上側)の伸側室Aとピストン側(図2中下側)の圧側室Bとに区画している。そして、上記伸側室Aは、シリンダ1に形成される連通孔10を介してリザーバRと連通している。
【0032】
また、上記ピストン3には、伸側室Aと圧側室Bとを連通する第一の伸側流路30と第一の圧側流路31とが形成されている。さらに、上記ピストン3の圧側室側(図2中下側)には、第一の伸側チェック弁C1が積層されるとともに、ピストン3の伸側室側(図2中上側)には、第一の圧側減衰力発生手段V1が積層されている。
【0033】
そして、上記第一の伸側流路30は、入口が常に伸側室Aと連通するとともに、出口が上記第一の伸側チェック弁C1で開閉可能に塞がれており、作動流体は、第一の伸側流路30を通過して伸側室Aから圧側室Bへ移動することのみを許容されている。他方、上記第一の圧側流路31は、入口が常に圧側室Bと連通するとともに、出口が第一の圧側減衰力発生手段V1で開閉可能に塞がれており、作動流体は、第一の圧側流路31を通過して圧側室Bから伸側室Aへ移動することのみを許容されている。
【0034】
また、上記第一の圧側減衰力発生手段V1は、内周側をピストンロッド2に固定された複数枚の環板状のリーフバルブからなり、外周部をピストン3の弁座(符示せず)に離着座させることにより、第一の圧側流路31の連通を許容したり、阻止したりすることができる。そして、第一の減衰力発生手段V1は、この第一の減衰力発生手段V1を構成するリーフバルブの外周部を反ピストン側に撓ませて第一の圧側流路31を通過し圧側室Bから伸側室Aに移動する作動流体に、大きな抵抗を与えるように設定されている。他方、連通孔10や第一の伸側チェック弁C1が連通孔10や第一の伸側流路30を通過する作動流体に与える抵抗は小さく設定されており、作動流体は連通孔10や第一の伸側流路30を速やかに通過することができる。
【0035】
もどって、上記ベース部材4は、ボトム部材6に起立するベースロッド60の先端に保持されてシリンダ1の図1中下端部に固定され、上記したように、シリンダ1の図1中下側開口を塞いでいる。また、作動流体が充填された上記ベース部材4と上記ボトム部材6との間には、液溜室Hが形成されており、この液溜室Hは、シリンダ1に形成される連通孔11を介してリザーバRと常に連通している。つまり、本実施の形態において、ベース部材4は、液溜室Hと圧側室Bとを区画することにより、液溜室Hに連通するリザーバRと圧側室Bとを区画している。
【0036】
また、上記ベース部材4には、圧側室Bと液溜室H(リザーバR)とを連通する第二の伸側流路40と第二の圧側流路41とが形成されている。さらに、ベース部材4の圧側室側(図2中上側)には、第二の伸側チェック弁C2が積層されるとともに、ベース部材4の液溜室側(図2中下側)には、第二の圧側減衰力発生手段V2が積層されている。
【0037】
そして、上記第二の伸側流路40は、入口が常に液溜室H(リザーバR)と連通するとともに、出口が上記第二の伸側チェック弁C2で開閉可能に塞がれており、作動流体は、第二の伸側流路40を通過して液溜室H(リザーバR)から圧側室Bへ移動することのみを許容されている。他方、上記第二の圧側流路41は、入口が常に圧側室Bと連通するとともに、出口が第二の圧側減衰力発生手段V2で開閉可能に塞がれており、作動流体は、第二の圧側流路41を通過して圧側室Bから液溜室H(リザーバR)へ移動することのみを許容されている。
【0038】
また、上記第二の圧側減衰力発生手段V2は、内周側をベースロッド60に固定された複数枚の環板状のリーフバルブからなり、外周部をベース部材4の弁座(符示せず)に離着座させることにより、第二の圧側流路41の連通を許容したり、阻止したりすることができる。そして、第二の減衰力発生手段V2は、この第二の減衰力発生手段V2を構成するリーフバルブの外周部を反ベース部材側に撓ませて第二の圧側流路41を通過し圧側室Bから液溜室H(リザーバR)に移動する作動流体に、大きな抵抗を与えるように設定されている。他方、連通孔11や第二の伸側チェック弁C2が連通孔11や第二の伸側流路41を通過する作動流体に与える抵抗は小さく設定されており、作動流体は連通孔11や第二の伸側流路40を速やかに通過することができる。
【0039】
さらに、本実施の形態において、第一、第二の伸側流路30,40及び第一、第二の圧側流路31,41が同一形状を有して圧側室Bを中心に対称に配置され、第一、第二の伸側チェック弁C1,C2及び第一、第二の圧側減衰力発生手段V1,V2が共通の構成からなり、同じく圧側室Bを中心に対称に配置されている。また、第一、第二の伸側チェック弁C1,C2及び第一、第二の圧側減衰力発生手段V1,V2が離着座する弁座(図示せず)も同一形状を有して圧側室Bを中心に対称に配置されている。
【0040】
上記構成を備えることにより、インナーチューブt2がアウターチューブt1から退出するとともに、ピストンロッド2がシリンダ1から退出する緩衝装置Dの伸長時には、ピストン3で加圧された伸側室Aの作動流体が、連通孔10を通過してリザーバRに移動するとともに、第一の伸側チェック弁C1を開いて第一の伸側流路30を通過して圧側室Bに移動する。また、リザーバRよりも圧側室Bの内圧が低くなると、第二の伸側チェック弁C2が開き、リザーバRの作動流体が連通孔11、液溜室H、第二の伸側流路41を通過して圧側室Bに移動する。
【0041】
このとき、第二の緩衝器d2は、第一、第二の伸側流路30,40、連通孔10,11を作動流体が通過する際の抵抗に起因する伸側の減衰力を発生するが、上記したように、連通孔10,11や第一、第二の伸側流路30,40を作動流体が通過する際の抵抗が小さくなるように設定されている。このため、第二の緩衝器d2で発生する伸側の減衰力が小さくなり、第一の緩衝器d1で緩衝装置Dにおける実質的な伸側の減衰力を発生することができる。つまり、緩衝装置Dは、第一の緩衝器d1に伸側の減衰力を発生させていることとなる。
【0042】
他方、インナーチューブt2がアウターチューブt1内に進入するとともに、ピストンロッド2がシリンダ1内に進入する緩衝装置Dの圧縮時には、ピストン3で加圧された圧側室Bの作動流体が、第一の圧側減衰力発生手段V1を構成するリーフバルブの外周部を撓ませて第一の圧側流路31、伸側室A、連通孔10を通過してリザーバRに移動するとともに、第二の減衰力発生手段V2を構成するリーフバルブの外周部を撓ませて第二の圧側流路41、液溜室H、連通孔11を通過してリザーバRに移動する。
【0043】
このとき、第二の緩衝器d2は、第一、第二の圧側流路31,41、連通孔10,11を作動流体が通過する際の抵抗、特に、第一、第二の減衰力発生手段V1,V2の抵抗に起因する大きな圧側の減衰力を発生する。そして、上記したように、第一の緩衝器d1で発生する減衰力が小さくなるように設定されていることから、第二の緩衝器d2で緩衝装置Dにおける実質的な圧側の減衰力を発生することができる。つまり、緩衝装置Dは、第二の緩衝器d2に圧側の減衰力を発生させていることとなる。
【0044】
尚、上記第一、第二の圧側減衰力発生手段V1,V2、第一、第二の伸側チェック弁C1,C2、連通孔10,11による抵抗の大小の閾値や、上記第一、第二の圧側減衰力発生手段V1,V2、第一、第二の伸側チェック弁C1,C2、連通孔10,11による抵抗に起因する減衰力の大小の閾値は、適宜設定することが可能である。
【0045】
つづいて、第二の緩衝器d2は、緩衝装置Dの圧側の減衰力を調整する圧側減衰力調整手段E1を備えており、この圧側減衰力調整手段E1は、第一の圧側流路31を迂回して圧側室BとリザーバRとを連通するバイパス路20と、このバイパス路20を通過する作動流体が圧側室BからリザーバRに移動することのみを許容するチェック弁C3と、上記バイパス路20内に進退可能に挿入されるニードル弁Nと、このニードル弁Nを駆動するアクチュエータMとを備えている。
【0046】
そして、上記バイパス路20は、上記ピストンロッド2の軸心部に形成されて圧側室Bに連通する縦孔20aと、この縦孔20aとリザーバRとを連通する横孔20bとを備えている。また、上記チェック弁C3は、ピストンロッド2の圧側室側(図2中下側)内周に形成された環状の弁座2aに離着座する球体21を備えており、圧側室側の内圧が高まると球体21が押し上げられて座面2aから離れ、リザーバ側の内圧が高まると球体21が座面2aに押し付けられる。このため、チェック弁C3は、圧側室BからリザーバRへの作動流体の移動のみを許容し、圧側室Bが加圧される緩衝装置Dの圧縮時にのみバイパス路20を連通することができる。
【0047】
また、上記ニードル弁Nは、キャップ部材側(図2中上側)からバイパス路20の縦孔20aに向けて進退可能に挿入されており、附勢ばねSとアクチュエータMとの間に挟まれている。そして、上記アクチュエータMは、モータm1と、ニードル弁Nの背面に当接する作用部m2と、上記モータm1の回転運動を作用部m2の直線運動に変換する運動変換機構(図示せず)とを備えている。
【0048】
上記構成を備えることにより、アクチュエータMの作用部m2を前進させると、ニードル弁Nが附勢ばねSの附勢力に抗してバイパス路20内に進入し、ニードル弁Nの先端部n1外周に形成される隙間量が少なくなる。このため、チェック弁C3が開弁する緩衝装置Dの圧縮時において、第一、第二の圧側流路31,41を通過する作動流体の流量が増える。このため、緩衝装置Dは、圧側減衰力調整手段E1で圧側の減衰力を大きく調整することができる。
【0049】
他方、アクチュエータMの作用部m2を後退させると、ニードル弁Nが附勢ばねSで押し上げられてバイパス路20から退出し、ニードル弁Nの先端部n1外周に形成される隙間量が大きくなる。このため、チェック弁C3が開弁する緩衝装置Dの圧縮時において、第一、第二の圧側流路31,41を通過する作動流体の流量が減る。このため、緩衝装置Dは、圧側減衰力調整手段E1で圧側の減衰力を小さく調整することができる。
【0050】
次に、本実施の形態に係る緩衝装置Dの作用効果について説明する。本実施の形態に係る緩衝装置Dは、第一の緩衝器d1に伸側の減衰力を発生させ、上記第二の緩衝器d2に圧側の減衰力を発生させており、伸側の減衰力を発生するための機能と圧側の減衰力を発生するための機能を第一の緩衝器d1と第二の緩衝器d2に分離している。
【0051】
さらに、上記緩衝装置Dは、緩衝装置Dにおける圧側の減衰力を発生するための第二の緩衝器d2が、圧側室BとリザーバRとを区画するベース部材4と、このベース部材4に形成されて圧側室BからリザーバRへの作動流体の移動を許容する第二の圧側流路41と、この第二の圧側流路41を通過する作動流体に抵抗を与える第二の圧側減衰力発生手段V2とを備えている。
【0052】
そして、従来の第二の緩衝器d20の圧縮時においては、作動流体がピストン3に形成された一つの圧側流路301のみを通過して圧側室Bから流出するが、本実施の形態の第二の緩衝器d2においては、ピストン3及びベース部材4に圧側流路31,41がそれぞれ形成されているため、圧側室Bから作動流体を分散して流出させることができ、各圧側流路31,41を通過する作動流体の流量を従来よりも少なくすることができる。したがって、各圧側流路31,41を通過する作動流体に抵抗を与える各減衰力発生手段V1,V2を構成するリーフバルブの応力を、従来よりも軽減することが可能となる。
【0053】
また、従来の第二の緩衝器d20においては、圧側減衰力発生手段V20を構成するリーフバルブの応力を軽減するため、圧側減衰力調整手段E20を構成するバイパス路200を常に開いておく必要があったが、本実施の形態においては、上記したように各減衰力発生手段V1,V2を構成するリーフバルブの応力が軽減されているため、バイパス路20を閉じきることができる。したがって、第二の緩衝器が圧側減衰力調整手段を備えている場合、本発明の緩衝装置Dは、従来の緩衝装置と比較して、圧側の減衰力の調整幅を大きくすることが可能となる。
【0054】
また、従来の第二の緩衝器d20では、緩衝装置の圧縮時に圧側室Bの圧力が高くなり、この圧力がニードル弁Nを介してこのニードル弁Nを駆動するアクチュエータに作用するため、圧側の減衰力の調整をモータで行う場合、ニードル弁Nを駆動するためのモータの推力が不足する虞がある。しかし、本実施の形態の第二の緩衝器d2においては、上記したように、圧側室Bの作動流体を各圧側流路31,41に分散して流出させることができるため、緩衝装置Dの圧縮時における圧側室Bの昇圧を従来よりも抑制し、モータm1の推力不足を抑制するとともに、モータm1にかかる負荷を軽減することができる。
【0055】
また、本実施の形態において、第二の圧側減衰力発生手段V2が第一の圧側減衰力発生手段V1を構成するリーフバルブと共通のリーフバルブからなり、第一の圧側減衰力発生手段V1を構成するリーフバルブと第二の圧側減衰力発生手段V2を構成するリーフバルブが圧側室Bを中心に対称に配置されている。
【0056】
さらに、第一、第二の圧側減衰力発生手段V1,V2を構成するリーフバルブが離着座する各弁座(符示せず)が同一形状を有して圧側室B中心に対称に配置されるとともに、第一の圧側流路31と第二の圧側流路41が同一形状を有して圧側室Bを中心に対称に配置されている。
【0057】
したがって、緩衝装置Dの圧縮時において、作動流体が第二の緩衝器d2の圧側室BからリザーバRに移動する際に、第一、第二の圧側流路31,41を作動流体が流れる量を略均等にすることが可能となり、第一の圧側減衰力発生手段V1を構成するリーフバルブまたは第二の圧側減衰力発生手段V2を構成するリーフバルブの一方の応力のみが高まることを抑制し、リーフバルブの耐久性を効率的に高めることが可能となる。
【0058】
また、第一、第二の圧側減衰力発生手段V1,V2を構成するリーフバルブが共通であることから、緩衝装置Dを構成する部品の種類を少なくすることが可能となり、コストを低減することが可能となる。
【0059】
また、本実施の形態において、第二の緩衝器d2が、ピストン3に形成されて伸側室Aと圧側室Bとを連通する第一の伸側流路30と、ピストン3の圧側室側に積層されて作動流体が第一の伸側流路30を通過して伸側室Aから圧側室Bへ移動することを許容する第一の伸側チェック弁C1と、ベース部材4に形成されて圧側室BとリザーバR(液溜室H)とを連通する第二の伸側流路41と、上記ベース部材4の圧側室側に積層されて作動流体が第二の伸側流路41を通過してリザーバR(液溜室H)から圧側室Bへ移動することを許容する第二の伸側チェック弁C2とを備えている。
【0060】
したがって、圧側室Bが減圧される緩衝装置Dの伸長時に、第一、第二の伸側流路30,40を介して圧側室Bに作動流体を供給することが可能となり、圧側室Bが負圧となってエアレーションが発生することを抑制することが可能となる。
【0061】
また、本実施の形態において、上記第二の緩衝器d2が圧側の減衰力を調整する圧側減衰力調整手段E1を備えている。そして、この圧側減衰力調整手段E1が、第一の圧側流路31を迂回して圧側室BとリザーバRとを連通するバイパス路20と、このバイパス路20内に進退可能に挿入されるニードル弁Nと、このニードル弁Nを駆動するアクチュエータMとを備えており、このアクチュエータMがモータm1と、ニードル弁Nの背面に当接する作用部m2と、モータm1の回転運動を上記作用部の直線運動に変換する運動変換機構(図示せず)とを備えている。
【0062】
したがって、モータm1の回転により作用部m2を前進、後退させてニードル弁Nを駆動し、ニードル弁Nの先端部n1外周に形成される隙間量を変更することで、第一、第二の圧側流路31,41を通過する作動流体の流量を変更し、圧側の減衰力を調整することができる。
【0063】
また、本実施の形態において、上記圧側減衰力調整手段E1は、作動流体がバイパス路20を通過して圧側室BからリザーバRへ移動することを許容するチェック弁C3を備えている。
【0064】
したがって、圧側減衰力調整手段E1で圧側の減衰力のみを調整することが可能となる。
【0065】
以上、本発明の好ましい実施の形態を詳細に説明したが、特許請求の範囲から逸脱することなく改造、変形及び変更を行うことができることは理解すべきである。
【0066】
例えば、上記実施の形態に係る緩衝装置Dは、二輪車や三輪車等の鞍乗型車両において前輪を懸架するフロントフォークに利用されているが、本発明に係る緩衝装置が後輪を懸架するリアクッションユニットや他の輸送機器に利用されるとしてもよい。
【0067】
また、上記実施の形態において、アウターチューブt1とピストンロッド2が車体側に連結されるとともに、インナーチューブt2とシリンダ1が車輪側に連結されているが、アウターチューブt1とピストンロッド2が車輪側に連結されるとともに、インナーチューブt2とシリンダ1が車体側に連結されるとしてもよい。
【0068】
また、上記実施の形態の第二の緩衝器d2において、第一、第二の圧側減衰力発生手段V1,V2が複数枚のリーフバルブからなるが、各圧側減衰力発生手段V1,V2の構成は、それぞれ適宜選択することが可能である。例えば、第一、第二の圧側減衰力発生手段V1,V2が一枚の肉厚なリーフバルブからなるとしてもよい。
【0069】
また、上記実施の形態の第二の緩衝器d2において、第一、第二の圧側減衰力発生手段V1,V2が共通のリーフバルブからなるとともに、これらリーフバルブが圧側室Bを中心に対称に配置されているがこの限りではなく、第一、第二の圧側減衰力発生手段V1,V2が異なる構成からなるとしてもよい。
【0070】
また、上記実施の形態の第二の緩衝器d2において、第一、第二の圧側減衰力発生手段V1,V2が離着座する各弁座(符示せず)が同一形状を有して圧側室Bを中心に対称に配置されており、第一、第二の圧側流路31,41が同一形状を有して圧側室Bを中心に対称に配置されているがこの限りではなく、各圧側流路31,41が異なる形状を有していても、上記各弁座が異なる形状を有していてもよい。
【0071】
また、上記実施の形態の第二の緩衝器d2において、第一、第二の伸側チェック弁C1,C2が共通の構成を有して圧側室Bを中心に対象に配置され、第一、第二の伸側チェック弁C1,C2が離着座する各弁座及び第一、第二の伸側流路30,40がそれぞれ同一形状を有して圧側室を中心に対称に配置されているが、この限りではない。
【0072】
また、上記実施の形態の第二の緩衝器d2において、ピストン3に第一の伸側流路30が形成されるとともに、ベース部材4に第二の伸側流路40が形成されているが、第二の緩衝器d2が第一の伸側流路30及び第二の伸側流路40の何れか一方を備えていればよい。
【0073】
また、上記実施の形態の圧側減衰力調整手段E1は、モータm1でニードル弁Nを駆動することにより、圧側の減衰力を調整しているが、圧側減衰力調整手段E1の構成は、適宜選択することが可能であり、手動用のアジャスタでニードル弁Nを駆動するとしてもよく、チェック弁C3を備えていなくてもよい。
【符号の説明】
【0074】
A 伸側室
B 圧側室
C1 第一の伸側チェック弁
C2 第二の伸側チェック弁
D 緩衝装置
d1,d10 第一の緩衝器
d2,d20 第二の緩衝器
E1,E10 圧側減衰力調整手段
E20 伸側減衰力調整手段
H 液溜室
M アクチュエータ
m1 モータ
m2 作用部
N ニードル弁
n1 尖端部
R リザーバ
r1 液面
T 緩衝器本体
t1 アウターチューブ
t2 インナーチューブ
V1 第一の圧側減衰力発生手段
V2 第二の圧側減衰力発生手段
1 シリンダ
2 ピストンロッド
3 ピストン
4 ベース部材
5 キャップ部材
6 ボトム部材
7 ロッドガイド
10,11,12,13 連通孔
20 バイパス路
30 第一の伸側流路
31 第一の圧側流路
40 第二の伸側流路
41 第二の圧側流路
60 ベースロッド
図1
図2
図3