(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第2の基板における前記距離画像センサの配列ピッチは、前記第1の基板における前記熱画像センサの配列ピッチよりも小さくなっていることを特徴とする請求項1の複合センサ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したような複合センサでは、検知対象物を精度よく検知するために、熱画像と距離画像との間に画像ずれを抑制することが必要となっている。また、外乱の影響等を排除し、熱画像センサ及び距離画像センサの感度を向上させることも必要となっている。さらに、熱画像センサ及び距離画像センサを配列する関係上、それぞれのセンサに最適な製造方法の実施や、信号の読み出し回路等を配置するための設計を許容する自由度を確保することも求められる。
【0005】
本発明は、上記課題の解決のためになされたものであり、センサの感度を十分に向上させることができ、かつ製造・配置の自由度を確保できる複合センサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題の解決のため、本発明に係る複合センサは、複数の熱電素子からなる熱画像センサが配列された第1の基板と、入射光に応じて電荷を発生させる電荷発生領域と、予め付与される電荷転送信号に基づいて電荷発生領域で発生した電荷を所定の電荷収集領域に転送する転送電極と、を有する距離画像センサが配列された第2の基板と、を備え、第2の基板は、熱画像センサの配列領域と距離画像センサの配列領域とが積層方向から見て重なるように第1の基板に積層され、第1の基板と第2の基板との積層により、第1の基板を天板として熱画像センサの周囲の空間を密封する密封体が形成されていることを特徴としている。
【0007】
この複合センサでは、熱画像センサの配列領域と距離画像センサの配列領域とが積層方向から見て重なるように配置されている。このため、熱画像と距離画像とを同軸で取得することが可能となり、熱画像と距離画像との間の画像ずれを抑制できる。したがって、検知対象物を精度よく検知できる。また、演算に要する時間の短縮及び時間分解能の向上が図られる。さらに、この複合センサでは、第1の基板と第2の基板との積層によって形成される密封体によって熱画像センサの周囲の空間が密封されている。これにより、距離画像センサの周りで発生する熱が熱画像センサ側に影響を及ぼすことを防止でき、熱画像センサの感度を向上できる。これに加え、熱画像センサを配列する基板と距離画像センサを配列する基板とが別体となっているので、センサに最適な製造方法の実施や、信号の読み出し回路等を配置するための設計の自由度を確保できる。
【0008】
また、第2の基板における距離画像センサの配列ピッチは、第1の基板における熱画像センサの配列ピッチよりも小さくなっていることが好ましい。距離画像センサには、転送電極などの構成要素が含まれており、これらの構成要素が熱画像センサを遮蔽する遮蔽体となることが考えられる。このため、距離画像センサの配列ピッチが熱画像センサの配列ピッチと同等以上であると、熱画像センサの一画素当たりの遮蔽の影響が大きくなり、熱画像の画質が劣化するおそれがある。したがって、距離画像センサの配列ピッチを熱画像センサの配列ピッチよりも小さくすることで、熱画像センサの一画素当たりの遮蔽の影響が抑えられ、熱画像の画質を担保できる。
【0009】
また、密封体の内壁面には、中赤外領域の光を通す光学フィルタ膜が形成されていることが好ましい。これにより、空気中の水分や二酸化炭素等の吸収によって影響を受けやすい波長帯の光をカットでき、熱画像センサの感度を一層向上できる。
【0010】
また、密封体の内部は、真空状態となっていることが好ましい。距離画像センサの周りで発生する熱が熱画像センサ側に影響を及ぼすことを一層確実に防止できる。
【0011】
また、本発明に係る複合センサモジュールは、上記複合センサと、第2の基板における距離画像センサの配列領域が結像面となるように配置されたレンズと、を備えたことを特徴としている。
【0012】
この複合センサモジュールでは、複合センサにおいて、熱画像センサの配列領域と距離画像センサの配列領域とが積層方向から見て重なるように配置されている。このため、熱画像と距離画像とを同軸で取得することが可能となり、熱画像と距離画像との間の画像ずれを抑制でき、検知対象物を精度よく検知できる。また、演算に要する時間の短縮及び時間分解能の向上が図られる。さらに、この複合センサモジュールでは、第1の基板と第2の基板との積層によって形成される密封体によって熱画像センサの周囲の空間が密封されている。これにより、距離画像センサの周りで発生する熱が熱画像センサ側に影響を及ぼすことを防止でき、熱画像センサの感度を向上できる。これに加え、熱画像センサを配列する基板と距離画像センサを配列する基板とが別体となっているので、センサに最適な製造方法の実施や、信号の読み出し回路等を配置するための設計の自由度を確保できる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、センサの感度を十分に向上させることができ、かつ製造・配置の自由度を確保できる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しながら、本発明に係る複合センサ及び複合センサモジュールの好適な実施形態について詳細に説明する。
【0016】
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態に係る複合センサモジュールを示す断面図である。同図に示すように、複合センサモジュール1は、複合センサ11と、レンズ12とを備えて構成されている。この複合センサモジュール1は、熱画像及び距離画像に基づいて、所定エリア内への人の立ち入りなどを感知する人感センサとして用いられるモジュールである。
【0017】
使用時において、複合センサモジュール1には、例えばレーザや発光ダイオードといった光源2と、光源2を高周波駆動する光源駆動回路3と、光源駆動回路3の駆動クロックを出力する制御回路4とを含む光源ユニット5が接続される。光源2からは、方形波或いは正弦波の光強度変調がなされた変調波が出射される。この変調波は、検知対象物Kの表面で反射され、レンズ12を通して複合センサ11に入射する。また、光源2から出射する光は、可視光ではなく且つSiに対する感度が十分に得られる波長帯であることが好ましく、例えば波長800nm程度の近赤外光が選択される。なお、制御回路4からの駆動クロックに同期した方形波或いは正弦波の変調信号(電荷転送信号)は、互いに逆相で後述の距離画像センサ31の転送電極43,43に与えられる。
【0018】
レンズ12は、例えばZnSeからなる結像レンズであり、後述する距離画像センサ31の配列領域R2が結像面となるように配置されている。レンズ12からは、例えば波長0.5μm〜21.8μmの帯域の光が通過し、複合センサ11に入射する。なお、レンズ12の材質は、ZnSeのほか、ZnSやAs
2S
3などを用いることもできる。
【0019】
次に、複合センサ11について説明する。
【0020】
図1及び
図2に示すように、複合センサ11は、熱画像センサ16がマトリクス状に配列された第1の基板13と、第1の基板13よりも一回り小さく形成され、距離画像センサ31がマトリクス状に配列された第2の基板14と、を備えている。第1の基板13及び第2の基板14は、いずれもSiによって厚さ300μm程度に形成されており、例えば波長1.2μm〜21.8μmの帯域の光が通過するようになっている。
【0021】
第1の基板13の一面側には、熱画像センサ16の配列領域R1が略正方形状に設定されている。また、配列領域R1の外側には、当該配列領域R1を囲うように熱画像センサ16用の電極パッド17が配列されている。電極パッド17は、ワイヤ18によってパッケージ側の配線回路に電気的に接続されている。第1の基板13の一面側は、電極パッド17の形成位置を除いて、例えばSiO
2からなる絶縁膜19に覆われた状態となっている。
【0022】
第1の基板13に配列される熱画像センサ16は、例えばサーモパイルやボロメータといった波長依存性を有しないセンサであり、複数の熱電素子を有している。熱画像センサ16の各画素は、
図3に示すように、略矩形の受光部20と、受光部20の対向する2つの角部から受光部20の辺に沿って互いに反対向きとなるように延びる連結部21,21と、連結部21,21の先端部分にそれぞれ設けられる支持柱22,22とを有している。
【0023】
これにより、
図1に示すように、受光部20は、絶縁膜19から僅かに離間した状態で第1の基板13の一面側に立設されている。また、
図2に示すように、隣り合う熱画像センサ16,16間の配列ピッチ(受光部20の中心間の距離)W1は、例えば60μm程度となっている。なお、受光部20の形成領域に対応して、絶縁膜19上にAlなどからなる光反射層を設けてもよい。この場合、光反射層によって漏れ光を受光部20に入射させることが可能となり、熱画像センサ16の感度をより向上させることができる。
【0024】
一方、第2の基板14の一面側には、
図1に示すように、例えば熱画像センサ16の配列領域R1と同等の大きさで、距離画像センサ31の配列領域R2が略正方形状に設定されている。また、配列領域R2の外側には、平面視において熱画像センサ16用の電極パッド17よりも内側の位置で、当該配列領域R2を囲うように距離画像センサ31用の電極パッド32が配列されている。電極パッド32は、電極パッド17と同様に、ワイヤ33によってパッケージ側の配線回路に電気的に接続されている。第2の基板14の一面側は、電極パッド32の形成位置を除いて、例えばSiO
2からなる絶縁膜34に覆われた状態となっている。
【0025】
第2の基板14の他面側には、例えばSiの異方性エッチングやドライエッチングによって、熱画像センサ16の配列領域R1に対応する大きさの断面略正方形状の凹部36が形成されている。凹部36の内壁面には、中赤外領域の光を通す光学フィルタ膜37が設けられている。より具体的には、光学フィルタ膜37は、例えばGeとZnSとの多層膜によって構成され、8μm〜14μm程度の帯域の光のみを通すようになっている。また、第2の基板14の他面側において、凹部36の縁部には、例えばSiO
2からなる絶縁膜38が設けられている。
【0026】
以上のような第2の基板14は、凹部36が第1の基板13側を向くようにし、かつ熱画像センサ16の配列領域R1と距離画像センサ31の配列領域R2とが積層方向から見て重なるように第1の基板13に積層されている。また、第2の基板14の積層により、凹部36の内壁面と第1の基板13の一面側とによって、第1の基板13を天板として熱画像センサ16の周囲の空間を密封する密封体S1が形成されている。第1の基板13と第2の基板14との積層には、例えば真空雰囲気下での常温接合が用いられる。したがって、熱画像センサ16が収容される密封体S1の内部空間は、真空状態となっている。
【0027】
第2の基板14に配列される距離画像センサ31は、いわゆる電荷振分型の距離画像センサである。距離画像センサ31の各画素は、
図4に示すように、入射光に応じて電荷を発生させる受光部(電荷発生領域)41と、予め付与される電荷転送信号に基づいて受光部41で発生した電荷を電荷収集領域42,42に転送する一対の転送電極43,43とを有している。
【0028】
受光部41は、レンズ12を通った光が入射する部分であり、
図2に示すように、熱画像センサ16の一つの受光部20に対して2×2となるように配置されている。これにより、隣り合う距離画像センサ31,31間の配列ピッチ(受光部41の中心間の距離)W2は、上述した熱画像センサ16,16間の配列ピッチW1の1/2以下となっている。また、配列領域R2において、受光部41を除いた部分には、例えばAlからなる遮光部44が形成されている。遮光部44は、受光部41に相当する部分が開口するように絶縁膜34上に形成されており、遮光部44に対する開口部分の比は、例えば20%〜50%程度となっている。
【0029】
電荷収集領域42,42は、
図4に示すように、高濃度のP型半導体領域の表面側に低濃度で形成されたP型半導体領域の更に表面側に形成された一対の高濃度のN型半導体領域である。N型半導体領域は、電気的に中性な状態において電子をキャリアとして有しており、キャリアが抜けた場合には正にイオン化する。したがって、電荷収集領域42,42は、大きく下向きに凹む形となり、ポテンシャル井戸を構成する。電荷収集領域42,42には、ソースフォロアアンプ46,46がそれぞれ電気的に接続されている。
【0030】
転送電極43,43は、受光部41と電荷収集領域42,42との間に配置されている。転送電極43,43には、制御回路4からの駆動クロックに同期した方形波或いは正弦波の変調信号(電荷転送信号)が互いに逆相となるように付与される。付与される変調信号がハイレベルとなった方の転送電極43の直下には、受光部41よりもポテンシャルが低い領域が形成される。これにより、受光部41で発生した電子が転送電極43によって転送され、対応する電荷収集領域42に振り分けられて蓄積される。
【0031】
電荷収集領域42,42に蓄積された電荷は、ソースフォロアアンプ46,46からの出力として増幅回路等を介して制御回路4に入力される。制御回路4は、ソースフォロアアンプ46,46からの出力に基づいて、例えばL=(1/2)×c×{Q
2/(Q
1+Q
1)}×T
0により距離を算出する。この式において、cは光速、Q
1は転送電極VTX1側の出力信号(位相0°の出力信号)、Q
2は転送電極VTX2側の出力信号(位相180°の出力信号)、T
0はパルス幅である。
【0032】
続いて、複合センサ11の製造工程について説明する。
【0033】
複合センサ11を製造するにあたっては、
図5(a)に示すように、第1の基板13及び第2の基板14をそれぞれ別体で用意する。第1の基板13には、電極パッド17及び絶縁膜19を予めパターン形成すると共に、熱画像センサ16を配列領域R1に配列する。また、第2の基板14には、Siの異方性エッチングやドライエッチングによって凹部36を形成した後、蒸着等によって光学フィルタ膜37を凹部36の内壁面に形成する。その後、電極パッド32、絶縁膜34,38、遮光部44、及び距離画像センサ31の各構成要素を予めパターン形成する。
【0034】
次に、
図5(b)に示すように、凹部36が第1の基板13側を向くようにし、かつ熱画像センサ16の配列領域R1と距離画像センサ31の配列領域R2とが積層方向から見て重なるように、常温接合によって第1の基板13上に第2の基板14を積層する。これにより、第1の基板13を天板として熱画像センサ16の周囲の空間を密封する密封体S1が形成される。また、第1の基板13への第2の基板14の常温接合を真空雰囲気下で行うことにより、密封体S1の内部空間を真空状態とすることができる。
【0035】
第1の基板13への第2の基板14の積層を行った後、
図6(a)に示すように、第1の基板13及び第2の基板14における所定の切断予定線に沿ってレーザを照射することにより、第1の基板13及び第2の基板14の内部に改質層48を形成する。なお、作業性の観点からは、第1の基板13に対する改質層48の形成を先に実施し、第2の基板14に対する改質層48の形成を行うことが好ましい。
【0036】
改質層48を形成した後、例えば第2の基板14の他面側にエキスパンドシート49を貼り付ける。そして、エキスパンドシート49を面内方向に伸張させることにより、
図6(b)に示すように、改質層48に沿って第1の基板13及び第2の基板14を切断する。これにより、複合センサ11の各素子が互いに分離され、
図1に示した複合センサ11が得られる。
【0037】
以上説明したように、この複合センサ11では、熱画像センサ16の配列領域R1と距離画像センサ31の配列領域R2とが積層方向から見て重なるように配置されている。このため、熱画像と距離画像とを同軸で取得することが可能となり、熱画像と距離画像との間の画像ずれを抑制できる。したがって、検知対象物を精度よく検知できる。また、演算に要する時間の短縮及び時間分解能の向上が図られる。
【0038】
さらに、この複合センサ11では、第1の基板13と第2の基板14との積層によって形成される密封体S1によって熱画像センサ16の周囲の空間が真空状態で密封されている。これにより、距離画像センサ31の周りで発生する熱が熱画像センサ16側に影響を及ぼすことを防止でき、熱画像センサ16の感度を向上できる。これに加え、熱画像センサ16を配列する基板と距離画像センサ31を配列する基板とが別体となっているので、センサに最適な製造方法の実施や、信号の読み出し回路等を配置するための設計の自由度を確保できる。
【0039】
また、複合センサ11では、第2の基板14における距離画像センサ31の配列ピッチW2は、第1の基板13における熱画像センサ16の配列ピッチW1よりも小さくなっている。距離画像センサ31には、転送電極43などの構成要素が含まれており、これらの構成要素が熱画像センサ16を遮蔽する遮蔽体となることが考えられる。このため、距離画像センサ31の配列ピッチW2が熱画像センサ16の配列ピッチW1と同等以上であると、熱画像センサ16の一画素当たりの遮蔽の影響が大きくなり、熱画像の画質が劣化するおそれがある。したがって、距離画像センサ31の配列ピッチW2を熱画像センサ16の配列ピッチW1よりも小さくすることで、熱画像センサ16の一画素当たりの遮蔽の影響が抑えられ、熱画像の画質を担保できる。
【0040】
また、複合センサ11では、中赤外領域の光を通す光学フィルタ膜37が密封体S1の内壁面に形成されている。これにより、空気中の水分や二酸化炭素等の吸収によって影響を受けやすい波長帯の光をカットでき、熱画像センサ16の感度を一層向上できる。
【0041】
[第2実施形態]
図7は、本発明の第2実施形態に係る複合センサモジュール50を示す断面図である。同図に示すように、第2実施形態に係る複合センサモジュール50は、複合センサ51における第1の基板13と第2の基板14との接合構造が第1実施形態と異なっている。
【0042】
より具体的には、複合センサ51では、第2の基板14の他面側に凹部36を設けておらず、第2の基板14の他面側は平坦面となっている。また、光学フィルタ膜37は、第2の基板14の他面側の全面にわたって形成されている。第1の基板13と第2の基板14との接合にあたっては、箔材52及びリッド材53が用いられている。箔材52は、バッファメタルに低融点金属を組み合わせた層であり、例えばTi/Pt/Au或いはCr/Ni/Auなどからなる。箔材52は、第1の基板13の一面側と第2の基板14の他面側とにおいて、例えば電極パッド32と重なる位置にそれぞれ環状に配置されている。
【0043】
リッド材53は、例えばコバールからなる環状の金属材である。リッド材53は、第1の基板13側の箔材52と第2の基板側の箔材52とに挟み込まれて接合されている。このリッド材53の介在により、第1の基板13と第2の基板14とはリッド材53の厚みに対応する空間が形成されている。そして、第1の基板13の一面側と第2の基板14の他面側とリッド材53とによって、第1の基板13を天板として熱画像センサ16の周囲の空間を密封する密封体S2が形成されている。密封体S2の内部空間は、第1実施形態と同様に真空状態となっている。
【0044】
この複合センサ51を製造するにあたっては、
図8(a)に示すように、第1の基板13及び第2の基板14をそれぞれ別体で用意する。第1の基板13には、電極パッド17、絶縁膜19、及び箔材52を予めパターン形成すると共に、熱画像センサ16を配列領域R1に配列する。また、第2の基板14には、例えば蒸着等によって光学フィルタ膜37を他面側に形成した後、電極パッド32、絶縁膜34、箔材52、遮光部44、及び距離画像センサ31の各構成要素を予めパターン形成する。
【0045】
次に、
図8(b)に示すように、熱画像センサ16の配列領域R1と距離画像センサ31の配列領域R2とが積層方向から見て重なるようにした状態で箔材52,52間にリッド材53を配置し、第1の基板13上に第2の基板14を積層する。これにより、第1の基板13を天板として熱画像センサ16の周囲の空間を密封する密封体S2が形成される。この接合を真空雰囲気下で行うことにより、密封体S2の内部空間を真空状態とすることができる。
【0046】
第1の基板13への第2の基板14の積層を行った後、
図9(a)に示すように、第1の基板13及び第2の基板14における所定の切断予定線に沿ってレーザを照射することにより、第1の基板13及び第2の基板14の内部に改質層54を形成する。なお、作業性の観点からは、第1の基板13に対する改質層54の形成を先に実施し、第2の基板14に対する改質層54の形成を行うことが好ましい。
【0047】
改質層54を形成した後、例えば第2の基板14の他面側にエキスパンドシート49を貼り付ける。そして、エキスパンドシート49を面内方向に伸張させることにより、
図9(b)に示すように、改質層54に沿って第1の基板13及び第2の基板14を切断する。これにより、複合センサ51の各素子が互いに分離され、
図7に示した複合センサ51が得られる。
【0048】
以上のような複合センサ51においても、熱画像センサ16の配列領域R1と距離画像センサ31の配列領域R2とが積層方向から見て重なるように配置されている。このため、熱画像と距離画像とを同軸で取得することが可能となり、熱画像と距離画像との間の画像ずれを抑制できる。したがって、検知対象物を精度よく検知できる。また、演算に要する時間の短縮及び時間分解能の向上が図られる。
【0049】
また、複合センサ51においても、第1の基板13と第2の基板14との積層によって形成される密封体S2によって熱画像センサ16の周囲の空間が真空状態で密封されている。これにより、距離画像センサ31の周りで発生する熱が熱画像センサ16側に影響を及ぼすことを防止でき、熱画像センサ16の感度を向上できる。これに加え、熱画像センサ16を配列する基板と距離画像センサ31を配列する基板とが別体となっているので、センサに最適な製造方法の実施や、信号の読み出し回路等を配置するための設計の自由度を確保できる。
【0050】
また、複合センサ51においても、第2の基板14における距離画像センサ31の配列ピッチW2は、第1の基板13における熱画像センサ16の配列ピッチW1よりも小さくなっている。したがって、熱画像センサ16の一画素当たりの遮蔽の影響が抑えられ、熱画像の画質を担保できる。さらに、密封体S2内の光学フィルタ膜37により、空気中の水分や二酸化炭素等の吸収によって影響を受けやすい波長帯の光をカットでき、熱画像センサ16の感度を一層向上できる。