【発明の効果】
【0015】
本発明による解決策はシンプルであるが、確実な調整動作と摩耗しやすい2つの切削部材間の押付力をもたらし、簡単な方法で摩耗状態を読み取れるようにする。本発明は摩耗状態を検出するために粉砕装置を分解または部分的に分解する必要がなくなる。また、本発明により、例えば経路の走査により摩耗を検出するセンサ、または一方または両方の切削部材の重量を測定することにより摩耗を検出するセンサ等、摩耗状態の表示するための追加の部品を付随する信号処理と信号表示と共に設ける必要がなくなる。
【0016】
第1の好ましい実施形態によれば、密閉油空圧容積は逆止弁を備える圧縮空気管を介して圧力容器を加圧するためのエアポンプまたは圧縮空気吸入口に接続されており、逆止弁は圧力容器からエアポンプおよび/または圧縮空気吸入口への容積の流れを防止するように作用する。
【0017】
本発明のこの開発により、密閉容積の内容物が圧縮空気で加圧されるようにし、空気が不用意に空間から漏れたり、入り込むのを防ぐ。圧縮空気管は油圧油が存在しない密閉空間の一部に接続されているのが好ましい。
【0018】
他の好ましい実施形態によれば、油圧シリンダは、両切削部材が摩耗せずに新品の状態で互いに位置する第1の位置と両切削部材が摩耗して使用済みの交換が必要な状態で互いに位置する第2の位置との間で調節可能であり、前記シリンダは2つの状態間で油圧によりその体積が変化し、これらの変化は密閉油空圧容積内の空気体積分率で20%以下、好ましくは10%以下である。
【0019】
この構成で、切削部材の全く摩耗していない状態から完全に摩耗した状態への調整動作に起因する体積膨張は、この空気体積分率の増加によって2つの切削部材を互いに押し付ける付勢力が大幅に低減しないような、密閉油空圧容積内の空気体積分率に対する比率にある。この点で当然のことながら、空気体積分率の変化は油圧シリンダの油圧有効断面積に第1の摩耗していない位置と第2の摩耗した位置との間の油圧シリンダの運動経路距離を掛けることで計算される。
【0020】
この解決策の他の方法として、密閉油空圧容積は調節可能な減圧弁を介して相互に接続された空気充填空間と油圧油充填空間に分割できる。この方法では、空気充填空間内の圧力が空気と油圧油で満たされた空間内の圧力よりも高い限り、調整経路全体に亘って油圧油について一定の圧力を維持し、その結果、一定のレベルに下げることができる。
【0021】
油圧シリンダは、摩耗せずに新品の状態で両方の切削部材が互いに位置する第1の位置と、交換を必要とする摩耗して使用済みの状態で両方の切削部材が互いに位置する第2の位置との間で調整可能であり、前記シリンダは、2つの位置の間でその容積を油圧で変えること、および、圧力容器は、目盛りの領域において、油圧シリンダの油圧体積変化と断面積との関係が1cmより大きく、好ましくは2cmより大きくなるような大きさを持つ、油圧油レベルに沿った断面積を有していることがさらに好ましい。この好ましい実施形態では、調整動作の過程で生じた油圧油レベルの変化は、摩耗状態を読み取るときに十分な分解能が達成されるようなものである。当然のことながら、この点で設計パラメータは、1つの変数として油圧シリンダの油圧有効断面積と、特に空気容器との境界での油圧油の表面積を意味する、断面積に対する油圧油レベルの比率とを有している。また、例えばシリンダの動作経路により、2つの切削部材の調整が動作経路よりも短くなるようにシリンダの移動が低減されるとき、またはシリンダの移動が拡大されるとき、すなわち短い動作経路がより大きな調整を生成するとき、油圧シリンダの移動はレバー伝達部によって2つの切削部材の互いに対する調整動作に変換できる。十分な読み取り精度を得るため、断面積はできるだけ小さく設ける必要があるが、ここで当然のことながら、本発明装置の全体構成が十分に小さい場合、この最適化方法はとりわけ装置の全体的な寸法によって制限される。
【0022】
油圧シリンダは第2の回転切削部材に調整力を伝達し、第2の切削部材に駆動モータからの回転運動を伝達する中空軸の内部で案内される伝達棒に作用し、第1の切削部材は複数の開口部を有する切削面によって形成され、その開口部の境界縁部は切刃を形成し、その刃先に沿って第2の切削部材は第1の切削部材と第2の切削部材の切刃との間にせん断作用が生成されるように回転しながら動かされることがさらに好ましい。本実施形態は、特に効率的な粉砕を実現し、その一方で、2つの切削部材の互いに対するこの種の移動、特に製造技術の観点から有利である強い伝達にとって有益な方法で、切削力と調整力を伝達する。
【0023】
また、圧力容器とエアポンプは圧力ユニットに一体に形成され、エアポンプはピストンロッドを介して手動操作用ハンドルに連結されたピストンを備え、さらにピストンを密封して収納するシリンダを備え、好ましくは圧力ユニットに対して旋回可能に取り付けられることが好ましい。本発明の開発によれば、特に確実に漏れのない設計で生成され得る調整機構全体がコンパクトで一体構造となる。圧力ユニット上にエアポンプが一体な実施形態は、本発明による粉砕装置が大部分を自足できるようにする。これは、特に2つの切削部材に加わる必要な付勢力に関してだけでなく、互いに対する調整動作に関しても必要とされている圧縮空気の外部供給なしで加圧後に粉砕装置の動作が保証されているという事実によって可能となる。
【0024】
圧力容器は、油圧油のための第1の部分と空気のための第2の部分とを有する第1の圧力容器と、油圧油レベルを示すために少なくとも部分的に透明であり、摩耗状態を読み取るための目盛が設けられた前記第1の圧力容器の壁とを備えること、圧力容器はまた、第1の容器の空気部分に圧縮空気管を介して接続された圧縮空気容器を備えること、および、圧縮空気容器はエアポンプおよび/または圧縮空気接続部と接続されていることがさらに好ましい。
【0025】
この実施形態は、密閉容積を、2つの容器、すなわち油圧油と所定体積の空気の両方を収納できる第1の容器と読み取りに必要な油圧油レベルを有する前記容器と、そのための個別の目盛りとに細分する。この第1の容器は、好ましくは目盛りを容易に読み取れるガラス管またはガラスビーカにより形成される。この実施形態によれば、圧縮空気のみを収容できる第2の圧縮空気容器もまた設けられている。この変化は、調整の全範囲にわたって一定の付勢力を発揮するのに必要な大空気量を油圧油レベルを収容する容器から圧縮空気容器へ移動し、油圧油レベルを備える容器が、高分解能の読みやすさのために最適化された断面積、すなわち2つの切削部材の全調整範囲で油圧油レベルの比較的大きな変化を可能にする小さな断面積を有する油圧油レベルを持つようにする。そして、好ましい大きさの空気容積は、第2の容器、すなわち圧縮空気容器を用いて設けられており、それは、空気容積と密閉システム全体における容積とのできれば大きな前述の比率を与える適切な大きさの断面積を有していてもよく、それは調整動作によって変更される。この実施形態は、第1の圧力容器および圧縮空気容器が調節可能な減圧弁を介して相互に接続されている場合に特に好ましく、その場合、圧縮空気容器は前記減圧弁への圧力の供給源として作用する。
【0026】
他の好ましい実施形態によれば、圧縮空気容器は、以下の弁位置のうちの少なくとも1つ、好ましくは2つの間に調整できる可調整減圧弁を介して、作動油と所定の量の空気を含む第1の圧力容器に接続されている。第1の位置において、圧縮空気容器と第1の圧力容器が互いに接続され、周囲圧力から隔離され、第2の位置において、圧縮空気容器が周囲圧力に接続され、第1の圧力容器が周囲圧力と圧縮空気容器から隔離され、第3の位置において、第1の圧力容器が周囲圧力に接続され、圧縮空気容器が周囲圧力と圧力容器から隔離され、第4の位置において、第1の圧力容器と圧縮空気容器が周囲圧力に接続され、および/または第5の位置において、第1の圧力容器が圧縮空気容器から隔離され、第1の圧力容器と圧縮空気容器が周囲圧力から隔離されている。そこで、マルチポートバルブは、好ましくは第1、第2、第3および/または第4の位置において可調整減圧弁として作用する。そのため、この可調整減圧弁は圧縮空気容器内の圧力を維持しながら第1の圧力容器を周囲圧力に接続することができ、前記2つの切削部材とのその結合から機械的に切り離す必要がある油圧シリンダを使わずに切削部材を互いに対して移動させることができ、したがって、切削部材のいずれかまたは両方を簡便に交換することができる。このような交換後、第1の圧力容器は、減圧弁を横断位置に設定することによって圧縮空気槽から加圧できる。また、減圧弁を用いて周囲圧力に接続し、2つの切削部材間の押付力を調整することにより、システム全体の圧力を下げることができる。減圧弁の減圧作用の結果として、容積が拡大した際、圧縮空気容器内の圧力が第1の圧力容器内の圧力よりも大きいならば、第1の圧力容器内の圧力が一定に保持される。また、油空圧容積で起こる変化はこの方法で防止または少なくとも削減することができる。
【0027】
第2の切削部材と第1の動作経路に沿って切削力を伝達するための中空軸との間に、凸係合接続部が形成されていることがさらに好ましく、凸係合接続部は第1の動作経路に必要な駆動力を伝達するため周方向に凸係合によって形成されており、第2の動作経路に沿った調整動作を実行するため軸方向に移動可能である。この構成は設計や製造技術の点で調整力の油圧伝達のために特に有利な形態であり、回転刃の連続的かつ確実な調整動作を実現できる。
【0028】
潤滑剤充填空間は、第1の切削部材または第1の切削部材に結合された構成に結合された第1の領域と第2の切削部材または第2の切削部材に結合された構成に結合された第2の領域との間に形成されることがさらに好ましく、前記空間の容積は、第2の動作経路に沿った第2の切削部材の調整動作によって減少し、前記空間は凸係合接続部に潤滑剤を供給するため凸係合接続部と油圧で接続されている(本発明の第2の実施態様の詳細な説明も参照されたい)。まずこの開発は、粉砕の応力やひずみを伴う長期間の運転における切削効率の低下が第1および第2の切削部材間の切削動作を伝達するための凸係合接続、つまり第1の動作経路に沿った相対移動により粉砕に伴う前述の応力とひずみに起因する第2の動作経路に沿った調整動作がもはや確実には行えなくなるという事実に起因しているという認識に基づいている。この理由の1つは、固着現象が周期的な応力とひずみに起因して前記凸係合接続部に起きるということであり、一方で、凸係合接続部に入るのを必ずしも確実には防止できるとは限らない大抵積極的な媒体であるものを伴う、この種の応力およびひずみとの組合せは、腐食や汚れによる粘着力と相まって接着効果をもたらし、その結果として把持力が第2の動作経路に沿った動きを妨げるおそれがある。この結果、摩耗を補正するための2つの切削部材の所望の調整動作は滑らかには行われず、不規則に行われるか、または場合によっては全く行われず、従って少なくとも一時的に、場合によっては恒常的に第1および第2の切削部材の間に切削性能や能力を低減する隙間が生じる、すなわち第1の切削部材はもはや第1の切削部材の上には位置しない、または完全には位置していない。
【0029】
本発明のこの開発において、この課題は凸係合接続部の潤滑によって解決される。本発明は、調整機構の領域に空間を設けることによりこの潤滑がシンプルで確実な方法で実現され、第2の動作経路に沿った調整動作のため潤滑剤はその空間から互いに対して動かされる表面の領域に運び得ることを明確に述べており、本発明によれば潤滑剤は、調整動作により互いに対して動かされる部材と接続された、壁を備える空間を制限することによってこの空間から運ばれ、調整動作が実行されると空間容積を減少させる。この構成により、各調整動作とその結果として生じる空間容積の減少の際に、互いに対して動かされる凸係合接続部の部品間に、空間内の潤滑剤が少量運ばれ、凸係合接続部の連続的な少量の潤滑を実現できる。この潤滑は追加の潤滑ポンプなどを使わず、独立した駆動ユニットを使わずに実現される。潤滑剤は、潤滑されている調整動作の結果として投与形態で設けられる。空間は凸係合接続部への潤滑剤の供給が長期にわたって保証されるような大きさを持つことができ、空間は外部から潤滑剤を補充できるようにすることができる。これは、例えば2つの切削部材の一方または両方が重摩耗により交換する必要があり、調整機構が初期位置に戻されたとき、その結果として、空間がその初期サイズに拡大され、それから潤滑剤が充填されなければならないときに必要な場合がある。
【0030】
この点、潤滑剤充填空間は空間に潤滑剤を供給するための注油ニップルに接続されていることが特に好ましい。この構成では空間は定期保守の間隔で新しい潤滑剤で充填できるようになり、当然のことであるが基本原則として、それによって空間は、切削部材のペアの再調整するための全期間にわたって、すなわち調整機構が初期位置に戻されて切削部材の一方または両方が交換された際に空間に新しい潤滑剤を充填するために、新しい切削部材を搭載してからそれら切削部材を摩耗のため交換するまで、常に上凸係合接続部の潤滑を確実にするような量の潤滑剤を充填することができる。本発明によれば、任意の炭化水素系グリース、特に任意の油系グリースは、基本的には、潤滑剤として使用することができるが、他の潤滑剤、例えばシリコーンまたはグラファイトを含む潤滑剤、または石けんベースの潤滑剤、または石油系潤滑油や合成油などの液体潤滑剤も使用できる。
【0031】
第2の動作経路は、第1の動作経路に垂直であることがさらに好ましい。2つの動作経路のこの構成によって、第1の動作経路に沿った移動によって引き起こされる摩耗を補償するための効果的な調整動作を行うことができる。
【0032】
他の好ましい実施形態によれば、第1の切削部材は穴あきディスクであり、複数の第1の刃先が穴あきディスクを画定する壁の開口部によって形成され、第2の切削部材は、穴あきディスクの表面を第1の動作経路に沿って回転する刃を備える。穴あきディスクの形状は円形で、例えば穴、三角形または台形状の凹部、または他の断面を有する貫通穴などの複数の開口部を備えていてもよい。一方、この設計によって媒体が効率よく導かれ、切削される固形物は第1の切削部材の開口部を通って流される。他方、第1の切削部材の多数の切刃に分布した効率的な切削作用が実現され、第1の切削部材上の複数の第1の刃先は開口部の境界縁部によって形成され、この複数の第1の刃先と共に、1つまたは複数の切刃は第1の切削部材上を回転する刃の形状で作られる。
【0033】
最後に、他の好ましい態様によれば、第2の切削部材は第1の動作経路に沿って第1の切削部材の表面上で回転する刃を備えており、刃を収容するブレードホルダと、刃を駆動する駆動軸との間に凸係合接続部、特に第2の切削部材を駆動する軸と第2の切削部材を保持するハブ本体との間を積極的に連結する軸ハブ連結部として、特にスプライン軸連結部や実継ぎ部が形成されている。この実施形態において、駆動部材は電動モータにより駆動できる駆動軸によって形成され、例えば刃を第1の切削部材上で回転させる。当然のことながら基本原則として、第2の切削部材はまた、2つ、3つまたは4つの複数の刃によって形成されていてもよく、例えば、それは所定の円周角で互いに離間されており、まとめて駆動される。駆動軸自体は、それが第2の切削部材の軸方向の調整動作のために軸方向に変位される、または、例えば中空軸として具体化された駆動軸の中で案内される引き棒または押し棒など、他のいくつかの部材が調整動作のためにこの軸方向移動を生成するように設けられてもよい。
【0034】
本発明の第1の実施態様による粉砕装置はまた、後述の本発明の第2の実施態様の少なくとも1つの好ましい実施形態による粉砕装置の機能を備えることが好ましい。また、後述の第2の実施態様の好ましい実施形態に関する全ての見解は、本発明の第1の実施態様による各実施形態に適用される。
【0035】
第2の実施態様によれば、本発明は最初に特定した種類の粉砕装置に関し、そこに特に第2の切削部材と第1の動作経路に沿って切削力を伝達するための伝達部材との間に凸係合接続部が形成され、該凸係合接続部は第1の動作経路に必要とされる駆動力を伝達するために第1の軸方向の凸係合によって形成され、第2の動作経路に沿って調整動作を実行するために第2の軸方向に移動可能である。
【0036】
この点での基本的な課題は、調整機構が切削作用に必要な2つの切削部材間の移動を機械的に連動させなければならず、その過程で大きな力またはトルクの伝達と速い相対移動を確保しなければならないが、また確実な方法で非常に小さな調整動作で調整動作を行わなければならず、それは前記切削部材と方向が異なり、ほとんどの種類の調整機構において小さな調整力を有する。
【0037】
従来技術で大抵の場合、確実な調整と切削作用を実現できることが見出されている。しかし、特定の用途ではその改善が必要であり、そして特に固形物含有液体を長期にわたり粉砕しなければならないとき、切削部材は非常に大きな応力とひずみにさらされており、粉砕装置が長期間運転され、特に2つの切削部材の一方または両方が摩耗により数回交換しなければならないとき、所望の品質を備えた十分な切削作用はもはや達成できない。
【0038】
第2の実施態様によれば、本発明の目的は、保守期間をさらに短縮またはより集中的な保守を行わずに、より長い運転期間に亘って高いレベルの粉砕品質を保証する粉砕装置を提供することである。
【0039】
本発明によれば、この目的は前述の構造を備えた粉砕装置を用いて達成され、潤滑剤充填空間は、第1の切削部材または第1の切削部材に結合された部品に結合された第1の領域と、第2の切削部材または第2の切削部材に結合された部品に結合された第2の領域との間に形成されており、前記空間の容積は第2の動作経路に沿って第2の切削部材の調整動作によって減少し、前記空間は凸係合接続部に潤滑剤を供給するために凸係合接続部と油圧で連通している。
【0040】
まず本発明は、粉砕の応力やひずみを伴う長期間の運転における切削効率の低下が、第1および第2の切削部材間の切削動作を伝達するための凸係合接続、つまり、第1の動作経路に沿った相対移動により、粉砕に伴う前述の応力とひずみに起因する第2の動作経路に沿った調整動作がもはや確実には行えなくなるという事実に起因しているという認識に基づいている。この理由の1つは、固着現象が周期的な応力とひずみに起因して前記凸係合接続部に起きるということであり、一方で凸係合接続部に入るのを必ずしも確実には防止できるとは限らない大抵積極的な媒体であるものを伴う、この種の応力とひずみの組合せは、腐食や汚れによる粘着力と相まって接着効果をもたらし、その結果として、把持力が第2の動作経路に沿った動きを妨げるおそれがある。この結果、摩耗を補正するための2つの切削部材の所望の調整動作は滑らかには行われず、不規則に行われるかまたは場合によっては全く行われず、少なくとも一時的に、場合によっては恒常的に第1および第2の切削部材の間に切削性能や能力を低減する隙間が生じる、すなわち第1切削部材はもはや第1切削部材の上には位置しないまたは完全には位置していない。
【0041】
この課題は、本発明による第1の実施態様に関連して前述したように、凸係合接続部の潤滑によって解決される。第2の実施態様に係る本発明は、調整機構の領域に空間を設けることによりこの潤滑がシンプルで確実な方法で実現できることを明確に述べており、第2の動作経路に沿った調整動作のため、その空間から潤滑剤を互いに対して動かされる表面の領域に運ぶことができる。本発明によれば調整動作により互いに向けて動かされる部品に結合されている壁を備える空間を制限し、調整動作を実行したとき、空間容積を減らすことによって潤滑剤はこの空間から搬出される。この設計の結果、空間内の潤滑剤は、全ての調整動作につれて結果として空間容積が減少しながら互いに対して動かされる凸係合接続部の部品間に少量ずつ運ばれ、凸係合接続部の連続的な少量の潤滑をもたらす。この潤滑は追加の潤滑ポンプなどを使用せず、独立した駆動ユニットを使用せずに実現される。潤滑剤は潤滑されている調整動作の結果として投与形態(doses form)で設けられている。空間は凸係合接続部への潤滑剤の供給が長期にわたって保証されるような大きさを持つことができ、空間は外部から潤滑剤を補充できるようにすることができる。これは、例えば2つの切削部材の一方または両方が重摩耗によって交換する必要があり、調整機構が初期位置に戻されたときに、その結果として、空間がその初期サイズに拡大され、そして潤滑剤で充填されなければならないときに必要な場合がある。
【0042】
本発明による設けられた第1の切削部材は、好ましくは、粉砕装置に着脱不能に固定された部材、特に第1の刃先を規定する境界縁部を有する複数の開口部を備える穴あきディスクであってもよい。第2の切削部材は、特に回転軸周りの環状経路上を回転させることにより、第1の切削部材と接触しながら切削動作の経路上を移動される1つまたは複数の切刃を備えてもよい。それから、切刃の刃先は第2の刃先を形成している。切削動作のこの経路に加えて、切刃はまた、そこから異なる方向へ第2の動作経路に沿って第2の動作を実行してもよく、それは第1の切削部材との恒常的な接触のために調整される。当然のことながら基本原則として、この調整動作はまた、第1の切削部材を移動させることで実行できる。
【0043】
より具体的には、調整機構は機械的または油圧による付勢力によって作動でき、好ましくは2つの切削部材が互いに隣接する位置を離れるのを防止する固定部を備えている。本発明の好ましい一実施形態において、この調整機構は、第1の切削部材に動作を伝達するために同時に使用される凸係合接続部の内に移動可能な形で設けられている。この点で当然のことながら、本発明はまた、切削動作を実行するために、2つの切削部材の一方は、駆動装置によって動かされる形態を含んでおり、2つの切削部材の他方は、凸係合接続部によって保持され、摩耗を補償するために調整機構によって前記凸係合接続部の移動可能な軸に沿って再調整される。これは一方では、切削および調整動作は2つの切削部材の一方のみによって切削装置に他の方法で固定されたままである他方の切削部材に対して実行可能であるが、2つの切削部材の一方が切削動作を実行するために駆動され、2つの切削部材の他方が調整動作を実行するために駆動されるように、切削および調整動作はまた、2つの切削部材で共有できることを意味している。この点で重要な点は、凸係合接続部は、調整された切削部材と、調整された切削部材を駆動または保持するのに使用される粉砕装置の部材との間の調整動作のために設けられているが、粉砕装置に対して動かされる駆動部材、またはこの切削動作に対して静的に切削部材を保持する部材は、本発明によれば同様の効果を達成するものと理解される。
【0044】
一方で切削動作を生成して他方で調整動作を生成するため、第1の動作経路の方向は、第2の動作経路の方向とは全く異なる。第1の軸方向はトルクを伝達するための回転運動の軸であり、第1の動作経路は閉環状経路であることが特に好ましい。これは、効率的な運転のための好ましい形態の動作を生じさせ、そこでは第1の軸方向は連続的に変化して常に閉環状経路に沿っている。この実施形態は、第1の動作経路に沿って実行される切削動作を伝達するための力を軸ハブ連結部によって伝達し、信頼できる機械部材を力の伝達に使えるようにする。
【0045】
さらに、第2の軸方向が第2の動作経路と平行であることが好ましい。この構成によれば調整機構がレバー等のたわみ機構を必要とせずに、調整機構内で力を直接伝達できるようになる。より具体的には、円形の第1の動作経路を備えた前述の好ましい実施形態と併せて、第2の動作経路は前記円形の動作経路の軸と平行に走らせることができる。
【0046】
さらに、第1の動作経路が第2の動作経路に垂直であれば基本的には有利である。第2の経路に対する第1の経路のこの配置によって、第1の動作経路に沿った移動によって引き起こされる摩耗を補償する効率的な調整動作を行うことができる。
【0047】
さらに他の好ましい実施形態によれば、第1の切削部材は穴あきディスクであり、複数の第1の刃先が穴あきディスクを画定する壁の開口部によって形成され、第2の切削部材は、穴あきディスクの表面上を第1の動作経路に沿って回転する刃を備える。穴あきディスクの形状は円形であって、複数の開口部、例えば穴、三角形または台形状の凹部または他の断面を有する貫通孔等を有していてもよい。一方、この設計は媒体が効率よく導かれるようにし、切削される固形物は第1の切削部材の開口部を通って流される。他方、第1の切削部材に関する多数の刃先上に分散された効率的な切削作用が達成され、第1の切削部材上の複数の第1の刃先は開口部の境界縁部によってその中に形成され、この複数の第1の刃先と共に1つまたは複数の刃先が第1の切削部材上を回転する刃の形状で作られる。
【0048】
第2の切削部材は第1の動作経路に沿って第1の切削部材の表面を回転する刃を備え、凸係合接続部は刃を収納するブレードホルダと刃を駆動する駆動軸との間に形成されているのがさらに好ましい。この実施形態では、駆動部材は電動モータにより駆動できる駆動軸によって形成され、例えば刃を第1の切削部材上で回転させる。ここでは当然のことながら基本原則として、第2の切削部材は、例えば互いに所定の円周角で離間され、まとめて駆動される2つ、3つまたは4つの複数の刃によって形成されていてもよい。駆動軸自体は、第2の切削部材の軸方向の調整動作のために、それが軸方向に変位か、または他のいくつかの部材、例えば中空軸として具体化された駆動軸内で案内される引張棒または圧縮棒は、調整動作のためのこの軸方向の移動を生成するように設けられてもよい。
【0049】
他の好ましい実施形態によれば、第2軸方向は駆動軸の回転軸と平行である。この構成で調整動作は駆動軸自体または駆動軸に沿って動く調整機構の部材の軸方向の動きとして実行される。
【0050】
さらに、潤滑剤充填空間は第1の切削部材を駆動し、凸係合接続部を介して第1の切削部材に凸係合によって接続されている駆動軸の軸方向端面と、第1の切削部材のためのホルダの軸方向端面との間に配置されるのが好ましく、前記ホルダは第1の切削部材と接続され、移動可能に搭載され、凸係合接続部の中で駆動軸に対して第2の軸方向に沿って軸方向に移動可能である。この構成では、軸方向に変位可能であるが一定のトルクを伴う駆動軸と第1の切削部材のためのホルダ、例えばブレードホルダとの間の凸係合接続部とによって切削動作と調整動作を伝達するためのコンパクトな構造が実現され、該構造は本発明に係る空間を形成し、前記空間から軸方向の移動のために凸係合接続部に形成された潤滑スリットの中へ潤滑剤を供給する。ここでは当然のことながら基本原則として、ホルダの軸方向端面と駆動軸の軸方向端面との両方は、完全な円の形状の端面またはリング状の端面またはそのような完全な円形またはリング状の領域の部分であってもよい。ここでは当然のことながら基本原則として、空間はこれらの2つの端面だけなく、ホルダまたは駆動軸の一方に形成され得る各側壁によって、または駆動軸とホルダに両側に形成され、両側に円周方向に延びている壁によっても規定される。
【0051】
さらに、潤滑剤充填空間は、空間に潤滑剤を供給するための注油ニップルに接続されていることが好ましい。この構成では空間が定期保守の間隔で新しい潤滑剤を充填できるようになり、当然のことながら基本原則として、それによって空間は切削部材のペアの動作を再調整するための全期間、すなわち新しい切削部材からそれら切削部材の摩耗による交換まで、調整機構が初期位置に戻されて一方または両方の切削部材が交換される際に空間を新しい潤滑剤で充填するため、凸係合接続部の潤滑を確実にする量の潤滑剤で常に充填することができる。本発明によれば、任意の炭化水素系グリース、特に任意の油系グリースは、基本的には潤滑剤として使用できるが、他の潤滑剤、例えばシリコーンまたはグラファイトを含む潤滑剤、または石けん系潤滑剤、石油系潤滑油や合成油などの液体潤滑剤も使用できる。
【0052】
最後に、他の好ましい実施形態によれば、凸係合接続部は、第2の切削部材を駆動する軸と第2の切削部材を保持するハブ本体との間を積極的に連結する軸ハブ連結部、特にスプライン軸連結部または実継ぎ部である。このような凸係合接続部は周知であり、確実なトルク伝達で実績のある部品を使用しており、それは本発明による自動化された潤滑剤の供給により軸を軸方向に確実に変位させ、調整機構による調整のために使用できる。
【0053】
本発明の第2の実施態様による粉砕装置は粉砕装置の切削部材の調整方法に従って動作し、前記調整方法は以下の工程、すなわち凸係合接続部を介して2つの切削部材の1つに駆動部材から切削動作を伝達する工程と、切削部材上に形成された刃先間に切削動作中にせん断作用を生じさせるために2つの切削部材を押し付ける工程と、切削部材が磨耗によりすり減ると、切削動作を伝達するのに必要な力の方向と異なる方向を向かう軸に沿って、凸係合接続部に与える動きやすさによって2つの切削部材間の接触を維持するために、2つの切削部材を再調整する工程と、調整動作中に互いに向かって移動される少なくとも2つの面で規定され、2つの切削部材が互いに対して再調整されるとき、結果としてその容積が減少する空間を設ける工程と、潤滑剤で空間を充填し、潤滑剤を互いに対してこれらの表面の間の空間から運び出すため、調整動作中に凸係合接続部で互いに対して移動される2つの面の間の境界面に空間を接続する工程と、を有する。
【0054】
この方法によって、2つの移動部材間にあるこの目的のために必要な溝の中へ潤滑剤を運ぶことによって、このような粉砕装置における効果的な調整動作を実現する。
【0055】
本発明の第2の実施態様による粉砕装置はまた、さらに前述の本発明の第1の実施態様の少なくとも1つの好ましい実施形態による粉砕装置の特徴を有していることが好ましい。また、前述の第1の実施態様の好ましい実施形態による本発明の好適な構成に関するすべての見解は、本発明の第2の実施態様による各実施形態に適用される。
【0056】
第1および第2の実施態様による本発明の好ましい実施形態について、好ましい実施形態を参照し、以下の添付図面を参照しながらより詳細に説明する。