特許第5909491号(P5909491)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5909491
(24)【登録日】2016年4月1日
(45)【発行日】2016年4月26日
(54)【発明の名称】粉砕装置
(51)【国際特許分類】
   B02C 18/06 20060101AFI20160412BHJP
   B02C 18/18 20060101ALI20160412BHJP
【FI】
   B02C18/06 Z
   B02C18/18 Z
【請求項の数】24
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2013-527627(P2013-527627)
(86)(22)【出願日】2011年9月9日
(65)【公表番号】特表2013-537103(P2013-537103A)
(43)【公表日】2013年9月30日
(86)【国際出願番号】EP2011065691
(87)【国際公開番号】WO2012032175
(87)【国際公開日】20120315
【審査請求日】2014年8月5日
(31)【優先権主張番号】202010012495.6
(32)【優先日】2010年9月13日
(33)【優先権主張国】DE
(31)【優先権主張番号】202010012373.9
(32)【優先日】2010年9月9日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】511230484
【氏名又は名称】フーゴ・フォーゲルザング・マシネンバウ・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】HUGO VOGELSANG MASCHINENBAU GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100081422
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 光雄
(74)【代理人】
【識別番号】100183221
【弁理士】
【氏名又は名称】植村 森平
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル・アベルン
【審査官】 葛原 怜士郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開平01−225511(JP,A)
【文献】 実開昭59−146112(JP,U)
【文献】 特開平01−269019(JP,A)
【文献】 米国特許第03404715(US,A)
【文献】 米国特許第03586083(US,A)
【文献】 実開昭53−043155(JP,U)
【文献】 実公昭27−010381(JP,Y1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B02C 18/00−18/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの第1の刃先を有する第1の切削部材(120、320、420)と、 該第1の切削部材に対して第1の動作経路上を移動可能であり、少なくとも1つの第2の刃先を有する第2の切削部材(141a−d、340a、b、440a−d)であって、
前記第2の切削部材は、前記第1の動作経路に沿った前記第2の切削部材の相対移動によって、前記少なくとも1つの第1の刃先と前記少なくとも1つの第2の刃先との間にせん断作用が生じるように、前記第1の切削部材に対して位置する第2の切削部材と、
前記第1および/または第2の切削部材が前記第1の動作経路に沿った相対移動により磨耗すると、前記第1の切削部材との恒常的な接触のために前記第2の切削部材を接近させるように、前記第1の切削部材に対して前記第2の切削部材を第2の動作経路上で調整する調整機構(160−166、350、360、370、460)と、を備え、
圧シリンダの作動により、前記第1および第2の切削部材間の調整動作を引き起こし、
前記第1および第2の切削部材が、前記油圧シリンダへ圧力を加えることにより、互いに接触するようにするため、
前記調整機構は、前記第1および第2の切削部材の間で機械的および機能的に結合された漏れのない油圧シリンダ(165、167)を有し、
前記油圧シリンダは、圧力容器を含む密閉油空圧容積(220、230)と油圧で連通しており、その容積は、第1の部分(220a)が油圧油で満たされ、第2の部分(220b)が空気で満たされ、その壁は、前記密閉油空圧容積の空気体積分率と油圧油体積分率との間に運転中に結果として生じる境界領域を規定し、前記第1および第2の切削部材の摩耗状態を示す目盛り(222)から油圧油レベルが読み取れるように少なくとも部分的に透明であり、
前記油圧シリンダは、前記第2の切削部材(141a−d)に調整力を伝達し、前記第2の切削部材に駆動モータ(190)からの回転運動を伝達する中空軸(150)に内側で案内される伝達棒(160)に作用し、前記第1の切削部材が複数の開口部を有する切削面(120)によって形成され、その穴の境界縁部は切刃を形成し、その切刃に沿って前記第2の切削部材は、前記第1の切削部材と前記第2の切削部材の前記切刃との間でせん断作用が生じるように回転される
ことを特徴とする粉砕装置。
【請求項2】
前記密閉油空圧容積は、圧縮空気で圧力容器を加圧するためのエアポンプ(240)または圧縮空気吸入口(250)に、逆止弁(241)を有する圧縮空気管を介して接続され、前記逆止弁は、前記圧力容器から前記エアポンプおよび/または前記圧縮空気吸入口への容積の流れを防止するように作用する
ことを特徴とする請求項1に記載の粉砕装置。
【請求項3】
前記油圧シリンダは、両切削部材が摩耗していない新品の状態のときに互いに位置する第1の位置と、摩耗した使用済みの状態のときに両切削部材が互いに位置する第2の位置との間で調整可能であり、前記油圧シリンダは、その容積が前記2つの位置の間で油圧により変化し、これらの容積変化は、前記密閉油空圧容積内の前記空気体積分率の最大で20%に相当する
ことを特徴とする請求項1または請求項2のいずれか1項に記載の粉砕装置。
【請求項4】
前記油圧シリンダは、両切削部材が摩耗していない新品の状態のときに互いに位置する第1の位置と、摩耗した使用済みの状態のときに両切削部材が互いに位置する第2の位置との間で調整可能であり、前記油圧シリンダは、その容積が前記2つの位置の間で油圧により変化し、前記圧力容器は、前記目盛りの辺りに、前記油圧油レベルに沿って所定の断面積を有し、それは最大で、前記油圧シリンダの油圧による前記容積変化と前記断面積との間の前記関係が1cmより大きくなるような大きさである
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の粉砕装置。
【請求項5】
前記圧力容器と前記エアポンプは、圧力ユニットに一体的に形成され、前記エアポンプは、手動操作用ハンドルにピストンロッドを介して連結されたピストンを備え、さらに、前記ピストンを密封して収容し、前記圧力ユニットに揺動自在に取り付けられたシリンダを備える
ことを特徴とする請求項1から請求項のいずれか1項に記載の粉砕装置。
【請求項6】
前記圧力容器は、
油圧油のための第1の部分(220a)と空気のための第2の部分(220b)を備え、その壁(225)は、前記油圧油の前記レベル(221)を示すために少なくとも部分的に透明であり、前記摩耗状態を読み取るための目盛り(222)が設けられた第1の圧力容器(220)と、
前記第1の圧力容器内の空気のための前記部分に圧縮空気管(231)を介して接続された圧縮空気容器(230)と、を備え、
前記圧縮空気容器は、前記エアポンプ(240)と圧縮空気接続部(250)と連通する
ことを特徴とする請求項1から請求項のいずれか1項に記載の粉砕装置。
【請求項7】
前記圧縮空気容器は、調整可能な減圧バルブ(232)を介して前記第1の圧力容器と連通しており、下記のバルブ位置のうち少なくとも1カ所で調整することができ、
第1の位置において前記圧縮空気容器と前記第1の圧力容器は相互に接続され、前記周囲圧力から隔離され、
第2の位置において前記圧縮空気容器は前記周囲圧力に接続され、前記第1の圧力容器が前記周囲圧力と前記圧縮空気容器から隔離され、
第3の位置において前記第1の圧力容器は前記周囲圧力と接続され、前記圧縮空気容器が前記周囲圧力と前記圧縮空気容器から隔離され、
第4の位置において前記第1の圧力容器と前記圧縮空気容器は前記周囲圧力に接続され、
第5の位置において前記第1の圧力容器は前記圧縮空気容器から隔離され、前記第1の圧力容器と前記圧縮空気容器前記周囲圧力から隔離され、
前記減圧弁は、前記第1の圧力容器内の圧力を前記圧縮空気容器内の圧力よりも低い圧力に調整するための可調整減圧弁として、前記第1、第2、第3および/または第4の位置で機能する
ことを特徴とする請求項に記載の粉砕装置。
【請求項8】
凸係合接続部(354、454)が、前記第2の切削部材と、前記第1の動作経路に沿って切削力を伝達するための中空軸との間に形成され、前記中空軸は、前記第1の動作経路に必要な前記駆動力を伝達するため、周方向に凸係合により形成され、
前記第2の動作経路に沿って調整動作を実行するため、軸方向(300)に移動可能である
ことを特徴とする請求項1から請求項のいずれか1項に記載の粉砕装置。
【請求項9】
潤滑剤充填空間が、前記第1の切削部材または前記第1の切削部材と連結された部品と連結された第1の領域と、第2の切削部材または前記第2の切削部材と連結された部品と連結された第2の領域との間に形成され、前記空間の容積は、前記第2の動作経路に沿った前記第2の切削部材の調整動作により減少し、前記空間は、前記凸係合接続部に潤滑剤を供給するために前記凸係合接続部と流体連通する
ことを特徴とする請求項1から請求項のいずれか1項に記載の粉砕装置。
【請求項10】
前記潤滑剤充填空間は、前記空間の中に潤滑剤を供給するための注油ニップルに接続されている
ことを特徴とする請求項に記載の粉砕装置。
【請求項11】
前記第2の動作経路は、前記第1の動作経路と垂直である
ことを特徴とする請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の粉砕装置。
【請求項12】
前記第1の切削部材は、穴あきディスクであり、複数の第1の刃先が前記穴あきディスクを画定する壁にある開口部によって形成され、
前記第2の切削部材は、前記第1の動作経路に沿って前記穴あきディスクの表面上を回転する刃を備える
ことを特徴とする請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の粉砕装置。
【請求項13】
前記第2の切削部材は、前記第1の動作経路に沿って前記第1の切削部材の表面上を回転する刃を備え、
前記凸係合接続部は、刃を収容するブレードホルダと前記刃を駆動する駆動軸との間に、特に、前記第2の切削部材を駆動する軸と前記第2の切削部材を保持するハブ本体との間を積極的に連結する軸ハブ連結部として、特にスプライン軸連結部または実継ぎ部が形成される
ことを特徴とする請求項1から請求項12のいずれか1項に記載の粉砕装置。
【請求項14】
少なくとも1つの第1の刃先を備える第1の切削部材(120、320、420)と、
該第1の切削部材に対して第1の動作経路上を移動可能であり、少なくとも1つの第2の刃先を持つ第2の切削部材(141a−d、340a、b、440a−d)であって、前記第1の動作経路に沿った前記第2の切削部材の相対移動により、少なくとも1つの第1の刃先と少なくとも1つの第2の刃先との間にせん断作用が生じるように、前記第2の切削部材は前記第1の切削部材に対して位置する第2の切削部材と、
前記第1および/または第2の切削部材が前記第1の動作経路に沿った相対移動により摩耗すると前記第1の切削部材との恒常的な接触のために前記第2の切削部材を接近させるように、前記第1の切削部材に対して前記第2の切削部材を第2の動作経路上で調整する調整機構(350、360、370、460)と、を備え、
そこで、凸係合接続部(354、454)が前記第2の切削部材と前記切削力を前記第1の動作経路に沿って伝達する伝達部材(350、450)との間に形成され、前記凸係合接続部は、前記第1の動作経路に必要な前記駆動力を伝達するために第1の軸方向に凸係合によって形成され、前記第2の動作経路に沿って調整動作を実行するために第2の軸方向(300)に可動であり、
潤滑剤充填空間(380)が前記第1の切削部材または前記第1の切削部材と結合された部品に結合された第1の領域(32、453)と前記第2の切削部材または前記第2の切削部材に結合された部品に結合された第2の領域(342、463)との間に形成されており、前記空間の前記体積は、前記第2の切削部材の調整動作によって減少し、前記空間は、前記凸係合接続部に潤滑剤を供給するために前記凸係合接続部と油圧で連通している
ことを特徴とする粉砕装置。
【請求項15】
前記第1の軸方向は、トルクを伝達するための回転運動の前記軸であり、前記第1の動作経路は、閉環状経路である
ことを特徴とする請求項14に記載の粉砕装置。
【請求項16】
前記第2の軸方向は、前記第2の動作経路と平行である
ことを特徴とする請求項14または請求項15のいずれか1項に記載の粉砕装置。
【請求項17】
前記第2の動作経路は、前記第1の動作経路に垂直である
ことを特徴とする請求項14から請求項16のいずれか1項に記載の粉砕装置。
【請求項18】
前記第1の切削部材は、穴あきディスク(320、420)であり、複数の第1の刃先が前記穴あきディスクを画定する壁の開口部によって形成され、
前記第2の切削部材は、前記第1の動作経路に沿って前記穴あきディスクの表面上を回転する刃(341a、b、441a−d)を有する
ことを特徴とする請求項14から請求項17のいずれか1項に記載の粉砕装置。
【請求項19】
前記第2の切削部材は、前記第1の動作経路に沿って前記第1の切削部材の表面上で回転する刃を有し、
前記凸係合接続部は、前記刃を収容するブレードホルダ(340)と前記刃を駆動する駆動軸(350、450)との間に形成される
ことを特徴とする請求項14から請求項18のいずれか1項に記載の粉砕装置。
【請求項20】
前記第2の軸方向は、前記駆動軸の前記回転軸と平行である
ことを特徴とする請求項14から請求項19のいずれか1項に記載の粉砕装置。
【請求項21】
前記潤滑剤充填空間(380、480)は、前記第1の切削部材(341a、b 、440a−d)を駆動し、前記凸係合接続部を介して前記第1の切削部材に凸係合によって接続された駆動軸(350、450)の軸方向端面(352、453)と、前記第1の切削部材のためのホルダの軸方向端面(342、463)との間に配置されており、前記ホルダは、前記第1の切削部材に接続され、前記凸係合接続部で前記駆動軸に対して前記第2の軸方向に沿って可動かつ軸方向に移動可能に取り付けられている
ことを特徴とする請求項14から請求項20のいずれか1項に記載の粉砕装置。
【請求項22】
前記潤滑剤充填空間は、前記空間の中に潤滑剤を供給するための注油ニップル(382、482)に接続される
ことを特徴とする請求項14から請求項21のいずれか1項に記載の粉砕装置。
【請求項23】
前記凸係合接続部は、前記第2の切削部材を駆動する軸と、前記第2の切削部材、特にスプライン軸連結部または実継ぎ部を保持するハブ本体との間を積極的に連結する軸ハブ連結部(354、454)である
ことを特徴とする請求項14から請求項22のいずれか1項に記載の粉砕装置。
【請求項24】
粉砕装置の切削部材(320、341a、b、420、441a、b)の再調整方法であって、前記再調整方法は、
切削動作を駆動部材(350、450)から凸係合接続部を介して前記2つの切削部材の1つに伝達する工程と、
前記切削部材上に形成された切刃間における前記切削動作の間にせん断作用を生み出すために前記2つの切削部材を押し付ける工程と、
前記切削部材が磨耗によりすり減ると、切削動作を伝達するのに必要な力の方向と異なる方向に向かう軸に沿って、前記凸係合接続部に与える動きやすさによって前記2つの切削部材間の接触を維持するために、前記2つの切削部材を再調整する工程と
調整動作中に互いに向かって移動される少なくとも2つの面で規定され、前記2つの切削部材が互いに対して再調整されるとき、結果としてその容積が減少する空間(480)を設ける工程と
潤滑剤で前記空間を充填し、潤滑剤を互いに対してこれらの表面の間の前記空間から運び出すため、前記調整動作中に前記凸係合接続部で互いに対して移動される2つの面の間の境界面(483)に前記空間を接続する工程と、
を有することを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つの第1の刃先を有する第1の切削部材と、第1の動作経路に沿って第1の切削部材に対して移動可能であり、少なくとも1つの第2の刃先を有する第2の切削部材であって、第1の動作経路に沿った第2の切削部材の相対移動によって、少なくとも1つの第1の刃先と少なくとも1つの第2の刃先との間にせん断作用が生じるように第1の切削部材に対して位置する第2の切削部材と、第1の動作経路に沿った相対移動の結果として第1および/または第2の切削部材が摩耗すると、第2の切削部材が第1の切削部材に近づいて常に接触するように、第2の切削部材を第1の切削部材に対して第2の動作経路上で調整する調整機構と、を備える粉砕装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この設計の切削装置は、固体、固形物または固形物含有液体を細断、粉砕またはマセレータ(macerate)するために用いられ、例えば食品産業において、更なるエネルギ抽出のための生物懸濁液(biosuspensions)の調合において、または他の農業用途の固体との自由流動混合物(freeflowing mixtures)を調合するため、その中に含まれる固体を粉砕する工程において、特に「湿式マセレータ」(wet macerators)として用いられる。
【0003】
冒頭で説明した種類の切削装置は、特許文献1として公開もされているPCT/EP2010/053800から知られている。この従来技術の粉砕装置では、第1および第2の切削部材は、固定された円形の穴あきディスクと、穴あきディスクの中心軸周りを回転し、刃先が穴あきディスクの表面に向かうように配置された刃とによって形成されている。粉砕される塊は穴あきディスクの穴を通して押され、穴を通過した固体は刃先と各穴を規定する縁部の間に発生するせん断作用によるせん断によって粉砕される。当該文献の開示は、本明細書の開示に参照によりその全体が組み入れられている。
【0004】
この設計のマセレータの1つの基本的な問題は、2つの切削部材、すなわちその点で例として説明した場合における穴あきディスクと、特に刃との摩耗によって生じる。常に均一な、少なくともわずかに減少した切削動力を確保するため、可能であれば規定の接触力で、2つの切削部材が常に互いに接触し続けるように設計された調整機構を提供することは、基本的に先行技術から知られている。例えばこの目的を果たす、偏心した自由転動ボールを備える調整機構は、前述の従来技術から知られている。しかし、この技術的な解決策に加えて、他の完全に機能する調整機構、例えば、油圧で伝達された張力によって穴あきディスクへ切刃を押圧して再配置する調整機構、または、そのような再調整された、プレテンションウォームギアによって2つの切削部材間の張力を生み出す調整機構が知られている。
【0005】
そのような調整機構が満たすべき主な要件は、一方では、より硬い固形物を切削しているとき、2つの切削部材が互い離間するのを防止できるようにし、そのため2つの切削部材を引き離す力は相当なものとなるが、確実な調整動作である。従来技術において、適切なブロック機構がこの目的のために、2つの切削部材が一時的にまたは永続的に予備調整位置から離間位置に移動するのを防止するこのような調整機構の中に一体化されている。これは、前述の従来技術において、例えばフリーホイリングボール(freewheeling ball)のブロック作用によって実現できるが、また、他の構成において、油圧管の逆止弁等によって実現できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】独国実用新案第202009003995号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、従来技術であり、かつ前述の実用新案出願において開発された設計の欠点は、少なくとも一方または両方の切削部材の摩耗状態を判定することはユーザにとって容易ではないことである。一般的には、粉砕装置を分解し、固形物の残渣を含んだ液を取り除き、切削部材は、進行する可能性のある過度の摩耗状態を検出して結果として起こる粉砕装置の故障をそのような状態が生じる前に検出するために外観検査および計量検査を受ける必要がある。
【0008】
したがって、本発明の目的は、その第1の実施態様によれば、摩耗状態を判定する簡易な方法を提供する粉砕装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、油圧シリンダを作動させることで、第1および第2の切削部材間の調整動作を引き起こし、油圧シリンダに圧力をかけることで第1および第2の切削部材が互いに接触するようにするため、調整機構が第1および第2の切削部材間を機械的かつ機能的に接続する漏れの無い油圧シリンダを備えるとき、および、油圧シリンダが圧力容器を含む密閉油空圧容積と油圧で連通し、その容積は第1の部分に油圧油が充填され、第2の部分に空気が充填され、その壁は密閉油空圧容積の中の動作中に続く空気体積分率と油圧油体積分率との間の境界領域を規定し、第1および第2の切削部材の摩耗状態を示す目盛りから油圧油レベルを読むことができるように少なくとも部分的に透明であるとき、本目的は達成される。
【0010】
本発明の第1の実施態様によれば、2つの切削部材の摩耗状態を読み取る便利な方法があるように設計された特定の種類の調整機構が設けられている。本発明は、油圧システムの中のエアクッションによりそれに圧力がかけられるときはいつも、調整動作によって変化するエアクッションの容積と油圧容積の比率が十分に大きいならば、油圧油レベルから調整量が読み取る方法を設けながらも、油圧調整が全調整経路に亘ってほぼ一定の付勢力を実現できるという事実を特別な方法で用いている。この調整量の読み取り機能は、漏れの無い油圧シリンダ、特に切削部材の全使用期間に亘って油圧油レベルから摩耗状態を読み取れるような漏れの無い油圧システムによって具体化される。
【0011】
本発明によれば、漏れの無い油圧シリンダや漏れの無い油圧システムとは、圧力側からの油圧油が逃げるのを十分に防止する油圧部材のみを用いる油圧シリンダや油圧システムのことであると理解できる。この理解によれば、本発明の文脈において、例えば油圧アクチュエータにおける一部の望ましい漏出により、油圧油が液溜めに回収されて油圧ポンプによって油圧システムに戻されるなどの、油圧油が圧力システムから出られるように設計されている場合、当該油圧システムは非漏出であるとみなす。油圧システムの加圧側に移動させられる油圧油の総容積が、粉砕装置が使用されている全期間にわたって変わらないということは、本発明の機能にとって非常に重要である。
【0012】
当然のことながら基本原則として、「加圧」または「圧力」とは、本明細書と添付された特許請求の範囲の意味の範囲中で周囲圧力に対して高圧または低圧を意味する。この意味で、本調整機構は油圧シリンダを高圧にする、または減圧することにより生じるものでもよい。
【0013】
この明細書と特許請求の範囲の意味の範囲内での油圧シリンダは、油圧を機械的な力や運動に変換する任意の構成の油圧アクチュエータであると理解される。これは、例えば、リニアシリンダや回転シリンダアクチュエータを用いて行うことができる。本発明によれば、油圧シリンダは第1および第2の切削部材の間が機械的および機能的に結合される。 第1および第2の切削部材の間における油圧シリンダの機能的な結合は、第1および第2の切削部材の間における油圧シリンダの実際の空間的な配置としては理解できない。その代わりに当然のことながら、油圧シリンダは2つの切削部材に対して、直接的にまたは、例えばレバー、押し棒または引き棒などの力伝達部材を介して、油圧シリンダに発生する運動および/または力が一方の切削部材による他の切削部材に対する相対移動と力の相対的な発揮を生じさせるように、機械的に結合される。これは結果として、規定された押付力が2つの切削部材によって互いに働き、2つの切削部材が摩耗しやすい場合は、同時に調整動作が生じる。油圧シリンダのこの機能的な結合は、基本的には、たとえば一方の切削部材を油圧シリンダのシリンダ部分が同様に固定して連結されたハウジングまたはケース内に固定して搭載し、それが前記第1の切削部材に対して移動できるように他方の切削部材をケース内に配置することによって、および、油圧シリンダのピストンを第2の切削部材に引き棒などを介して結合することによって実現される。他の変形例では、油圧アクチュエータはそのシリンダケースを用いて、ハウジングまたはケースにおよびそれに搭載された第1の切削部材に固定して連結されてもよく、油圧シリンダの回転動作は第2の切削部材に作用し、ハウジング内の後者を第1の切削部材に対して動かす引き棒にウォームギアを介して伝達される。
【0014】
密閉油空圧容積は周囲に対して封止され、1つまたは複数の圧力容器および油圧シリンダのほか、油圧管、圧縮空気管、バルブおよび前記部品に接続される同種のものにより構成されたシステムであると理解できる。本発明によれば、そのような密閉油空圧容積は少なくとも部分的に透明な壁を有する圧力容器を備える。本発明の一つの変形例では、前記容器はガラスシリンダまたはガラスビーカであってもよく、本発明に係る粉砕装置が正しく装着されると、油圧油と空気との間の境界は密閉油空圧容積の内部で、すなわち摩耗の結果として移動する2つの切削部材の任意の位置において動く。他の変形例では、このレベルは壁にレベルに対して直交して壁の一部として延びる透明の帯を介して読み取ることができる。この油圧油の領域には例えば100〜0%までの百分率の目盛りを示すことで、または調整動作量を目盛り上に所定の長さの単位、例えばmmで記入することで油圧油レベルを摩耗状態に直接的に割り付ける目盛りが設けられる。
【発明の効果】
【0015】
本発明による解決策はシンプルであるが、確実な調整動作と摩耗しやすい2つの切削部材間の押付力をもたらし、簡単な方法で摩耗状態を読み取れるようにする。本発明は摩耗状態を検出するために粉砕装置を分解または部分的に分解する必要がなくなる。また、本発明により、例えば経路の走査により摩耗を検出するセンサ、または一方または両方の切削部材の重量を測定することにより摩耗を検出するセンサ等、摩耗状態の表示するための追加の部品を付随する信号処理と信号表示と共に設ける必要がなくなる。
【0016】
第1の好ましい実施形態によれば、密閉油空圧容積は逆止弁を備える圧縮空気管を介して圧力容器を加圧するためのエアポンプまたは圧縮空気吸入口に接続されており、逆止弁は圧力容器からエアポンプおよび/または圧縮空気吸入口への容積の流れを防止するように作用する。
【0017】
本発明のこの開発により、密閉容積の内容物が圧縮空気で加圧されるようにし、空気が不用意に空間から漏れたり、入り込むのを防ぐ。圧縮空気管は油圧油が存在しない密閉空間の一部に接続されているのが好ましい。
【0018】
他の好ましい実施形態によれば、油圧シリンダは、両切削部材が摩耗せずに新品の状態で互いに位置する第1の位置と両切削部材が摩耗して使用済みの交換が必要な状態で互いに位置する第2の位置との間で調節可能であり、前記シリンダは2つの状態間で油圧によりその体積が変化し、これらの変化は密閉油空圧容積内の空気体積分率で20%以下、好ましくは10%以下である。
【0019】
この構成で、切削部材の全く摩耗していない状態から完全に摩耗した状態への調整動作に起因する体積膨張は、この空気体積分率の増加によって2つの切削部材を互いに押し付ける付勢力が大幅に低減しないような、密閉油空圧容積内の空気体積分率に対する比率にある。この点で当然のことながら、空気体積分率の変化は油圧シリンダの油圧有効断面積に第1の摩耗していない位置と第2の摩耗した位置との間の油圧シリンダの運動経路距離を掛けることで計算される。
【0020】
この解決策の他の方法として、密閉油空圧容積は調節可能な減圧弁を介して相互に接続された空気充填空間と油圧油充填空間に分割できる。この方法では、空気充填空間内の圧力が空気と油圧油で満たされた空間内の圧力よりも高い限り、調整経路全体に亘って油圧油について一定の圧力を維持し、その結果、一定のレベルに下げることができる。
【0021】
油圧シリンダは、摩耗せずに新品の状態で両方の切削部材が互いに位置する第1の位置と、交換を必要とする摩耗して使用済みの状態で両方の切削部材が互いに位置する第2の位置との間で調整可能であり、前記シリンダは、2つの位置の間でその容積を油圧で変えること、および、圧力容器は、目盛りの領域において、油圧シリンダの油圧体積変化と断面積との関係が1cmより大きく、好ましくは2cmより大きくなるような大きさを持つ、油圧油レベルに沿った断面積を有していることがさらに好ましい。この好ましい実施形態では、調整動作の過程で生じた油圧油レベルの変化は、摩耗状態を読み取るときに十分な分解能が達成されるようなものである。当然のことながら、この点で設計パラメータは、1つの変数として油圧シリンダの油圧有効断面積と、特に空気容器との境界での油圧油の表面積を意味する、断面積に対する油圧油レベルの比率とを有している。また、例えばシリンダの動作経路により、2つの切削部材の調整が動作経路よりも短くなるようにシリンダの移動が低減されるとき、またはシリンダの移動が拡大されるとき、すなわち短い動作経路がより大きな調整を生成するとき、油圧シリンダの移動はレバー伝達部によって2つの切削部材の互いに対する調整動作に変換できる。十分な読み取り精度を得るため、断面積はできるだけ小さく設ける必要があるが、ここで当然のことながら、本発明装置の全体構成が十分に小さい場合、この最適化方法はとりわけ装置の全体的な寸法によって制限される。
【0022】
油圧シリンダは第2の回転切削部材に調整力を伝達し、第2の切削部材に駆動モータからの回転運動を伝達する中空軸の内部で案内される伝達棒に作用し、第1の切削部材は複数の開口部を有する切削面によって形成され、その開口部の境界縁部は切刃を形成し、その刃先に沿って第2の切削部材は第1の切削部材と第2の切削部材の切刃との間にせん断作用が生成されるように回転しながら動かされることがさらに好ましい。本実施形態は、特に効率的な粉砕を実現し、その一方で、2つの切削部材の互いに対するこの種の移動、特に製造技術の観点から有利である強い伝達にとって有益な方法で、切削力と調整力を伝達する。
【0023】
また、圧力容器とエアポンプは圧力ユニットに一体に形成され、エアポンプはピストンロッドを介して手動操作用ハンドルに連結されたピストンを備え、さらにピストンを密封して収納するシリンダを備え、好ましくは圧力ユニットに対して旋回可能に取り付けられることが好ましい。本発明の開発によれば、特に確実に漏れのない設計で生成され得る調整機構全体がコンパクトで一体構造となる。圧力ユニット上にエアポンプが一体な実施形態は、本発明による粉砕装置が大部分を自足できるようにする。これは、特に2つの切削部材に加わる必要な付勢力に関してだけでなく、互いに対する調整動作に関しても必要とされている圧縮空気の外部供給なしで加圧後に粉砕装置の動作が保証されているという事実によって可能となる。
【0024】
圧力容器は、油圧油のための第1の部分と空気のための第2の部分とを有する第1の圧力容器と、油圧油レベルを示すために少なくとも部分的に透明であり、摩耗状態を読み取るための目盛が設けられた前記第1の圧力容器の壁とを備えること、圧力容器はまた、第1の容器の空気部分に圧縮空気管を介して接続された圧縮空気容器を備えること、および、圧縮空気容器はエアポンプおよび/または圧縮空気接続部と接続されていることがさらに好ましい。
【0025】
この実施形態は、密閉容積を、2つの容器、すなわち油圧油と所定体積の空気の両方を収納できる第1の容器と読み取りに必要な油圧油レベルを有する前記容器と、そのための個別の目盛りとに細分する。この第1の容器は、好ましくは目盛りを容易に読み取れるガラス管またはガラスビーカにより形成される。この実施形態によれば、圧縮空気のみを収容できる第2の圧縮空気容器もまた設けられている。この変化は、調整の全範囲にわたって一定の付勢力を発揮するのに必要な大空気量を油圧油レベルを収容する容器から圧縮空気容器へ移動し、油圧油レベルを備える容器が、高分解能の読みやすさのために最適化された断面積、すなわち2つの切削部材の全調整範囲で油圧油レベルの比較的大きな変化を可能にする小さな断面積を有する油圧油レベルを持つようにする。そして、好ましい大きさの空気容積は、第2の容器、すなわち圧縮空気容器を用いて設けられており、それは、空気容積と密閉システム全体における容積とのできれば大きな前述の比率を与える適切な大きさの断面積を有していてもよく、それは調整動作によって変更される。この実施形態は、第1の圧力容器および圧縮空気容器が調節可能な減圧弁を介して相互に接続されている場合に特に好ましく、その場合、圧縮空気容器は前記減圧弁への圧力の供給源として作用する。
【0026】
他の好ましい実施形態によれば、圧縮空気容器は、以下の弁位置のうちの少なくとも1つ、好ましくは2つの間に調整できる可調整減圧弁を介して、作動油と所定の量の空気を含む第1の圧力容器に接続されている。第1の位置において、圧縮空気容器と第1の圧力容器が互いに接続され、周囲圧力から隔離され、第2の位置において、圧縮空気容器が周囲圧力に接続され、第1の圧力容器が周囲圧力と圧縮空気容器から隔離され、第3の位置において、第1の圧力容器が周囲圧力に接続され、圧縮空気容器が周囲圧力と圧力容器から隔離され、第4の位置において、第1の圧力容器と圧縮空気容器が周囲圧力に接続され、および/または第5の位置において、第1の圧力容器が圧縮空気容器から隔離され、第1の圧力容器と圧縮空気容器が周囲圧力から隔離されている。そこで、マルチポートバルブは、好ましくは第1、第2、第3および/または第4の位置において可調整減圧弁として作用する。そのため、この可調整減圧弁は圧縮空気容器内の圧力を維持しながら第1の圧力容器を周囲圧力に接続することができ、前記2つの切削部材とのその結合から機械的に切り離す必要がある油圧シリンダを使わずに切削部材を互いに対して移動させることができ、したがって、切削部材のいずれかまたは両方を簡便に交換することができる。このような交換後、第1の圧力容器は、減圧弁を横断位置に設定することによって圧縮空気槽から加圧できる。また、減圧弁を用いて周囲圧力に接続し、2つの切削部材間の押付力を調整することにより、システム全体の圧力を下げることができる。減圧弁の減圧作用の結果として、容積が拡大した際、圧縮空気容器内の圧力が第1の圧力容器内の圧力よりも大きいならば、第1の圧力容器内の圧力が一定に保持される。また、油空圧容積で起こる変化はこの方法で防止または少なくとも削減することができる。
【0027】
第2の切削部材と第1の動作経路に沿って切削力を伝達するための中空軸との間に、凸係合接続部が形成されていることがさらに好ましく、凸係合接続部は第1の動作経路に必要な駆動力を伝達するため周方向に凸係合によって形成されており、第2の動作経路に沿った調整動作を実行するため軸方向に移動可能である。この構成は設計や製造技術の点で調整力の油圧伝達のために特に有利な形態であり、回転刃の連続的かつ確実な調整動作を実現できる。
【0028】
潤滑剤充填空間は、第1の切削部材または第1の切削部材に結合された構成に結合された第1の領域と第2の切削部材または第2の切削部材に結合された構成に結合された第2の領域との間に形成されることがさらに好ましく、前記空間の容積は、第2の動作経路に沿った第2の切削部材の調整動作によって減少し、前記空間は凸係合接続部に潤滑剤を供給するため凸係合接続部と油圧で接続されている(本発明の第2の実施態様の詳細な説明も参照されたい)。まずこの開発は、粉砕の応力やひずみを伴う長期間の運転における切削効率の低下が第1および第2の切削部材間の切削動作を伝達するための凸係合接続、つまり第1の動作経路に沿った相対移動により粉砕に伴う前述の応力とひずみに起因する第2の動作経路に沿った調整動作がもはや確実には行えなくなるという事実に起因しているという認識に基づいている。この理由の1つは、固着現象が周期的な応力とひずみに起因して前記凸係合接続部に起きるということであり、一方で、凸係合接続部に入るのを必ずしも確実には防止できるとは限らない大抵積極的な媒体であるものを伴う、この種の応力およびひずみとの組合せは、腐食や汚れによる粘着力と相まって接着効果をもたらし、その結果として把持力が第2の動作経路に沿った動きを妨げるおそれがある。この結果、摩耗を補正するための2つの切削部材の所望の調整動作は滑らかには行われず、不規則に行われるか、または場合によっては全く行われず、従って少なくとも一時的に、場合によっては恒常的に第1および第2の切削部材の間に切削性能や能力を低減する隙間が生じる、すなわち第1の切削部材はもはや第1の切削部材の上には位置しない、または完全には位置していない。
【0029】
本発明のこの開発において、この課題は凸係合接続部の潤滑によって解決される。本発明は、調整機構の領域に空間を設けることによりこの潤滑がシンプルで確実な方法で実現され、第2の動作経路に沿った調整動作のため潤滑剤はその空間から互いに対して動かされる表面の領域に運び得ることを明確に述べており、本発明によれば潤滑剤は、調整動作により互いに対して動かされる部材と接続された、壁を備える空間を制限することによってこの空間から運ばれ、調整動作が実行されると空間容積を減少させる。この構成により、各調整動作とその結果として生じる空間容積の減少の際に、互いに対して動かされる凸係合接続部の部品間に、空間内の潤滑剤が少量運ばれ、凸係合接続部の連続的な少量の潤滑を実現できる。この潤滑は追加の潤滑ポンプなどを使わず、独立した駆動ユニットを使わずに実現される。潤滑剤は、潤滑されている調整動作の結果として投与形態で設けられる。空間は凸係合接続部への潤滑剤の供給が長期にわたって保証されるような大きさを持つことができ、空間は外部から潤滑剤を補充できるようにすることができる。これは、例えば2つの切削部材の一方または両方が重摩耗により交換する必要があり、調整機構が初期位置に戻されたとき、その結果として、空間がその初期サイズに拡大され、それから潤滑剤が充填されなければならないときに必要な場合がある。
【0030】
この点、潤滑剤充填空間は空間に潤滑剤を供給するための注油ニップルに接続されていることが特に好ましい。この構成では空間は定期保守の間隔で新しい潤滑剤で充填できるようになり、当然のことであるが基本原則として、それによって空間は、切削部材のペアの再調整するための全期間にわたって、すなわち調整機構が初期位置に戻されて切削部材の一方または両方が交換された際に空間に新しい潤滑剤を充填するために、新しい切削部材を搭載してからそれら切削部材を摩耗のため交換するまで、常に上凸係合接続部の潤滑を確実にするような量の潤滑剤を充填することができる。本発明によれば、任意の炭化水素系グリース、特に任意の油系グリースは、基本的には、潤滑剤として使用することができるが、他の潤滑剤、例えばシリコーンまたはグラファイトを含む潤滑剤、または石けんベースの潤滑剤、または石油系潤滑油や合成油などの液体潤滑剤も使用できる。
【0031】
第2の動作経路は、第1の動作経路に垂直であることがさらに好ましい。2つの動作経路のこの構成によって、第1の動作経路に沿った移動によって引き起こされる摩耗を補償するための効果的な調整動作を行うことができる。
【0032】
他の好ましい実施形態によれば、第1の切削部材は穴あきディスクであり、複数の第1の刃先が穴あきディスクを画定する壁の開口部によって形成され、第2の切削部材は、穴あきディスクの表面を第1の動作経路に沿って回転する刃を備える。穴あきディスクの形状は円形で、例えば穴、三角形または台形状の凹部、または他の断面を有する貫通穴などの複数の開口部を備えていてもよい。一方、この設計によって媒体が効率よく導かれ、切削される固形物は第1の切削部材の開口部を通って流される。他方、第1の切削部材の多数の切刃に分布した効率的な切削作用が実現され、第1の切削部材上の複数の第1の刃先は開口部の境界縁部によって形成され、この複数の第1の刃先と共に、1つまたは複数の切刃は第1の切削部材上を回転する刃の形状で作られる。
【0033】
最後に、他の好ましい態様によれば、第2の切削部材は第1の動作経路に沿って第1の切削部材の表面上で回転する刃を備えており、刃を収容するブレードホルダと、刃を駆動する駆動軸との間に凸係合接続部、特に第2の切削部材を駆動する軸と第2の切削部材を保持するハブ本体との間を積極的に連結する軸ハブ連結部として、特にスプライン軸連結部や実継ぎ部が形成されている。この実施形態において、駆動部材は電動モータにより駆動できる駆動軸によって形成され、例えば刃を第1の切削部材上で回転させる。当然のことながら基本原則として、第2の切削部材はまた、2つ、3つまたは4つの複数の刃によって形成されていてもよく、例えば、それは所定の円周角で互いに離間されており、まとめて駆動される。駆動軸自体は、それが第2の切削部材の軸方向の調整動作のために軸方向に変位される、または、例えば中空軸として具体化された駆動軸の中で案内される引き棒または押し棒など、他のいくつかの部材が調整動作のためにこの軸方向移動を生成するように設けられてもよい。
【0034】
本発明の第1の実施態様による粉砕装置はまた、後述の本発明の第2の実施態様の少なくとも1つの好ましい実施形態による粉砕装置の機能を備えることが好ましい。また、後述の第2の実施態様の好ましい実施形態に関する全ての見解は、本発明の第1の実施態様による各実施形態に適用される。
【0035】
第2の実施態様によれば、本発明は最初に特定した種類の粉砕装置に関し、そこに特に第2の切削部材と第1の動作経路に沿って切削力を伝達するための伝達部材との間に凸係合接続部が形成され、該凸係合接続部は第1の動作経路に必要とされる駆動力を伝達するために第1の軸方向の凸係合によって形成され、第2の動作経路に沿って調整動作を実行するために第2の軸方向に移動可能である。
【0036】
この点での基本的な課題は、調整機構が切削作用に必要な2つの切削部材間の移動を機械的に連動させなければならず、その過程で大きな力またはトルクの伝達と速い相対移動を確保しなければならないが、また確実な方法で非常に小さな調整動作で調整動作を行わなければならず、それは前記切削部材と方向が異なり、ほとんどの種類の調整機構において小さな調整力を有する。
【0037】
従来技術で大抵の場合、確実な調整と切削作用を実現できることが見出されている。しかし、特定の用途ではその改善が必要であり、そして特に固形物含有液体を長期にわたり粉砕しなければならないとき、切削部材は非常に大きな応力とひずみにさらされており、粉砕装置が長期間運転され、特に2つの切削部材の一方または両方が摩耗により数回交換しなければならないとき、所望の品質を備えた十分な切削作用はもはや達成できない。
【0038】
第2の実施態様によれば、本発明の目的は、保守期間をさらに短縮またはより集中的な保守を行わずに、より長い運転期間に亘って高いレベルの粉砕品質を保証する粉砕装置を提供することである。
【0039】
本発明によれば、この目的は前述の構造を備えた粉砕装置を用いて達成され、潤滑剤充填空間は、第1の切削部材または第1の切削部材に結合された部品に結合された第1の領域と、第2の切削部材または第2の切削部材に結合された部品に結合された第2の領域との間に形成されており、前記空間の容積は第2の動作経路に沿って第2の切削部材の調整動作によって減少し、前記空間は凸係合接続部に潤滑剤を供給するために凸係合接続部と油圧で連通している。
【0040】
まず本発明は、粉砕の応力やひずみを伴う長期間の運転における切削効率の低下が、第1および第2の切削部材間の切削動作を伝達するための凸係合接続、つまり、第1の動作経路に沿った相対移動により、粉砕に伴う前述の応力とひずみに起因する第2の動作経路に沿った調整動作がもはや確実には行えなくなるという事実に起因しているという認識に基づいている。この理由の1つは、固着現象が周期的な応力とひずみに起因して前記凸係合接続部に起きるということであり、一方で凸係合接続部に入るのを必ずしも確実には防止できるとは限らない大抵積極的な媒体であるものを伴う、この種の応力とひずみの組合せは、腐食や汚れによる粘着力と相まって接着効果をもたらし、その結果として、把持力が第2の動作経路に沿った動きを妨げるおそれがある。この結果、摩耗を補正するための2つの切削部材の所望の調整動作は滑らかには行われず、不規則に行われるかまたは場合によっては全く行われず、少なくとも一時的に、場合によっては恒常的に第1および第2の切削部材の間に切削性能や能力を低減する隙間が生じる、すなわち第1切削部材はもはや第1切削部材の上には位置しないまたは完全には位置していない。
【0041】
この課題は、本発明による第1の実施態様に関連して前述したように、凸係合接続部の潤滑によって解決される。第2の実施態様に係る本発明は、調整機構の領域に空間を設けることによりこの潤滑がシンプルで確実な方法で実現できることを明確に述べており、第2の動作経路に沿った調整動作のため、その空間から潤滑剤を互いに対して動かされる表面の領域に運ぶことができる。本発明によれば調整動作により互いに向けて動かされる部品に結合されている壁を備える空間を制限し、調整動作を実行したとき、空間容積を減らすことによって潤滑剤はこの空間から搬出される。この設計の結果、空間内の潤滑剤は、全ての調整動作につれて結果として空間容積が減少しながら互いに対して動かされる凸係合接続部の部品間に少量ずつ運ばれ、凸係合接続部の連続的な少量の潤滑をもたらす。この潤滑は追加の潤滑ポンプなどを使用せず、独立した駆動ユニットを使用せずに実現される。潤滑剤は潤滑されている調整動作の結果として投与形態(doses form)で設けられている。空間は凸係合接続部への潤滑剤の供給が長期にわたって保証されるような大きさを持つことができ、空間は外部から潤滑剤を補充できるようにすることができる。これは、例えば2つの切削部材の一方または両方が重摩耗によって交換する必要があり、調整機構が初期位置に戻されたときに、その結果として、空間がその初期サイズに拡大され、そして潤滑剤で充填されなければならないときに必要な場合がある。
【0042】
本発明による設けられた第1の切削部材は、好ましくは、粉砕装置に着脱不能に固定された部材、特に第1の刃先を規定する境界縁部を有する複数の開口部を備える穴あきディスクであってもよい。第2の切削部材は、特に回転軸周りの環状経路上を回転させることにより、第1の切削部材と接触しながら切削動作の経路上を移動される1つまたは複数の切刃を備えてもよい。それから、切刃の刃先は第2の刃先を形成している。切削動作のこの経路に加えて、切刃はまた、そこから異なる方向へ第2の動作経路に沿って第2の動作を実行してもよく、それは第1の切削部材との恒常的な接触のために調整される。当然のことながら基本原則として、この調整動作はまた、第1の切削部材を移動させることで実行できる。
【0043】
より具体的には、調整機構は機械的または油圧による付勢力によって作動でき、好ましくは2つの切削部材が互いに隣接する位置を離れるのを防止する固定部を備えている。本発明の好ましい一実施形態において、この調整機構は、第1の切削部材に動作を伝達するために同時に使用される凸係合接続部の内に移動可能な形で設けられている。この点で当然のことながら、本発明はまた、切削動作を実行するために、2つの切削部材の一方は、駆動装置によって動かされる形態を含んでおり、2つの切削部材の他方は、凸係合接続部によって保持され、摩耗を補償するために調整機構によって前記凸係合接続部の移動可能な軸に沿って再調整される。これは一方では、切削および調整動作は2つの切削部材の一方のみによって切削装置に他の方法で固定されたままである他方の切削部材に対して実行可能であるが、2つの切削部材の一方が切削動作を実行するために駆動され、2つの切削部材の他方が調整動作を実行するために駆動されるように、切削および調整動作はまた、2つの切削部材で共有できることを意味している。この点で重要な点は、凸係合接続部は、調整された切削部材と、調整された切削部材を駆動または保持するのに使用される粉砕装置の部材との間の調整動作のために設けられているが、粉砕装置に対して動かされる駆動部材、またはこの切削動作に対して静的に切削部材を保持する部材は、本発明によれば同様の効果を達成するものと理解される。
【0044】
一方で切削動作を生成して他方で調整動作を生成するため、第1の動作経路の方向は、第2の動作経路の方向とは全く異なる。第1の軸方向はトルクを伝達するための回転運動の軸であり、第1の動作経路は閉環状経路であることが特に好ましい。これは、効率的な運転のための好ましい形態の動作を生じさせ、そこでは第1の軸方向は連続的に変化して常に閉環状経路に沿っている。この実施形態は、第1の動作経路に沿って実行される切削動作を伝達するための力を軸ハブ連結部によって伝達し、信頼できる機械部材を力の伝達に使えるようにする。
【0045】
さらに、第2の軸方向が第2の動作経路と平行であることが好ましい。この構成によれば調整機構がレバー等のたわみ機構を必要とせずに、調整機構内で力を直接伝達できるようになる。より具体的には、円形の第1の動作経路を備えた前述の好ましい実施形態と併せて、第2の動作経路は前記円形の動作経路の軸と平行に走らせることができる。
【0046】
さらに、第1の動作経路が第2の動作経路に垂直であれば基本的には有利である。第2の経路に対する第1の経路のこの配置によって、第1の動作経路に沿った移動によって引き起こされる摩耗を補償する効率的な調整動作を行うことができる。
【0047】
さらに他の好ましい実施形態によれば、第1の切削部材は穴あきディスクであり、複数の第1の刃先が穴あきディスクを画定する壁の開口部によって形成され、第2の切削部材は、穴あきディスクの表面上を第1の動作経路に沿って回転する刃を備える。穴あきディスクの形状は円形であって、複数の開口部、例えば穴、三角形または台形状の凹部または他の断面を有する貫通孔等を有していてもよい。一方、この設計は媒体が効率よく導かれるようにし、切削される固形物は第1の切削部材の開口部を通って流される。他方、第1の切削部材に関する多数の刃先上に分散された効率的な切削作用が達成され、第1の切削部材上の複数の第1の刃先は開口部の境界縁部によってその中に形成され、この複数の第1の刃先と共に1つまたは複数の刃先が第1の切削部材上を回転する刃の形状で作られる。
【0048】
第2の切削部材は第1の動作経路に沿って第1の切削部材の表面を回転する刃を備え、凸係合接続部は刃を収納するブレードホルダと刃を駆動する駆動軸との間に形成されているのがさらに好ましい。この実施形態では、駆動部材は電動モータにより駆動できる駆動軸によって形成され、例えば刃を第1の切削部材上で回転させる。ここでは当然のことながら基本原則として、第2の切削部材は、例えば互いに所定の円周角で離間され、まとめて駆動される2つ、3つまたは4つの複数の刃によって形成されていてもよい。駆動軸自体は、第2の切削部材の軸方向の調整動作のために、それが軸方向に変位か、または他のいくつかの部材、例えば中空軸として具体化された駆動軸内で案内される引張棒または圧縮棒は、調整動作のためのこの軸方向の移動を生成するように設けられてもよい。
【0049】
他の好ましい実施形態によれば、第2軸方向は駆動軸の回転軸と平行である。この構成で調整動作は駆動軸自体または駆動軸に沿って動く調整機構の部材の軸方向の動きとして実行される。
【0050】
さらに、潤滑剤充填空間は第1の切削部材を駆動し、凸係合接続部を介して第1の切削部材に凸係合によって接続されている駆動軸の軸方向端面と、第1の切削部材のためのホルダの軸方向端面との間に配置されるのが好ましく、前記ホルダは第1の切削部材と接続され、移動可能に搭載され、凸係合接続部の中で駆動軸に対して第2の軸方向に沿って軸方向に移動可能である。この構成では、軸方向に変位可能であるが一定のトルクを伴う駆動軸と第1の切削部材のためのホルダ、例えばブレードホルダとの間の凸係合接続部とによって切削動作と調整動作を伝達するためのコンパクトな構造が実現され、該構造は本発明に係る空間を形成し、前記空間から軸方向の移動のために凸係合接続部に形成された潤滑スリットの中へ潤滑剤を供給する。ここでは当然のことながら基本原則として、ホルダの軸方向端面と駆動軸の軸方向端面との両方は、完全な円の形状の端面またはリング状の端面またはそのような完全な円形またはリング状の領域の部分であってもよい。ここでは当然のことながら基本原則として、空間はこれらの2つの端面だけなく、ホルダまたは駆動軸の一方に形成され得る各側壁によって、または駆動軸とホルダに両側に形成され、両側に円周方向に延びている壁によっても規定される。
【0051】
さらに、潤滑剤充填空間は、空間に潤滑剤を供給するための注油ニップルに接続されていることが好ましい。この構成では空間が定期保守の間隔で新しい潤滑剤を充填できるようになり、当然のことながら基本原則として、それによって空間は切削部材のペアの動作を再調整するための全期間、すなわち新しい切削部材からそれら切削部材の摩耗による交換まで、調整機構が初期位置に戻されて一方または両方の切削部材が交換される際に空間を新しい潤滑剤で充填するため、凸係合接続部の潤滑を確実にする量の潤滑剤で常に充填することができる。本発明によれば、任意の炭化水素系グリース、特に任意の油系グリースは、基本的には潤滑剤として使用できるが、他の潤滑剤、例えばシリコーンまたはグラファイトを含む潤滑剤、または石けん系潤滑剤、石油系潤滑油や合成油などの液体潤滑剤も使用できる。
【0052】
最後に、他の好ましい実施形態によれば、凸係合接続部は、第2の切削部材を駆動する軸と第2の切削部材を保持するハブ本体との間を積極的に連結する軸ハブ連結部、特にスプライン軸連結部または実継ぎ部である。このような凸係合接続部は周知であり、確実なトルク伝達で実績のある部品を使用しており、それは本発明による自動化された潤滑剤の供給により軸を軸方向に確実に変位させ、調整機構による調整のために使用できる。
【0053】
本発明の第2の実施態様による粉砕装置は粉砕装置の切削部材の調整方法に従って動作し、前記調整方法は以下の工程、すなわち凸係合接続部を介して2つの切削部材の1つに駆動部材から切削動作を伝達する工程と、切削部材上に形成された刃先間に切削動作中にせん断作用を生じさせるために2つの切削部材を押し付ける工程と、切削部材が磨耗によりすり減ると、切削動作を伝達するのに必要な力の方向と異なる方向を向かう軸に沿って、凸係合接続部に与える動きやすさによって2つの切削部材間の接触を維持するために、2つの切削部材を再調整する工程と、調整動作中に互いに向かって移動される少なくとも2つの面で規定され、2つの切削部材が互いに対して再調整されるとき、結果としてその容積が減少する空間を設ける工程と、潤滑剤で空間を充填し、潤滑剤を互いに対してこれらの表面の間の空間から運び出すため、調整動作中に凸係合接続部で互いに対して移動される2つの面の間の境界面に空間を接続する工程と、を有する。
【0054】
この方法によって、2つの移動部材間にあるこの目的のために必要な溝の中へ潤滑剤を運ぶことによって、このような粉砕装置における効果的な調整動作を実現する。
【0055】
本発明の第2の実施態様による粉砕装置はまた、さらに前述の本発明の第1の実施態様の少なくとも1つの好ましい実施形態による粉砕装置の特徴を有していることが好ましい。また、前述の第1の実施態様の好ましい実施形態による本発明の好適な構成に関するすべての見解は、本発明の第2の実施態様による各実施形態に適用される。
【0056】
第1および第2の実施態様による本発明の好ましい実施形態について、好ましい実施形態を参照し、以下の添付図面を参照しながらより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0057】
図1】油圧作動調整機構を除いた第1の実施態様による発明の粉砕装置の垂直断面図を示す
図2図1による粉砕装置の斜視図を示す。
図3図1および図2による好ましい実施形態における油圧調整機構の概略図を示す。
図4】本発明の第1の実施態様による好ましい実施形態の油圧ユニットの部分断面正面図を示す。
図5図3による実施例の図7のB−B線に沿った全長断面図を示す。
図6図3による油圧ユニットの図7のC−C線に沿った縦断面図を示す。
図7図4に示された油圧ユニットの上側部分の詳細図を示す。
図8図3でA−Aの符号が付けられた横断面で横方向に切り欠いた平面図を示す。
図9図5でZの符号が付けられた中間部の詳細図を示す。
図10】本発明の第1の実施形態と本発明の第2の実施態様による粉砕装置の基本構造を示す縦断面図である。
図11図10の一部を示し、本発明の第2の実施態様による本発明の潤滑機構の第1の実施形態を示す。
図12】垂直断面図に第2の実施態様による本発明の第2の実施形態を示す。
図13図12に示された実施形態の側面および正面からの斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0058】
まず、図1および図2を参照して、本発明の第1の実施態様による発明の粉砕装置の粉砕機能の原理について説明する。粉砕装置は、固形物含有液体が案内されるときに通過する注入開口部110を備える。固形物含有液体は、固体と液体が通過可能な開口部が複数設けられた環状の穴あきディスク120と接触する。穴あきディスクは、吐出ケース130に固定して搭載されており、その中で固形物が粉砕された後、固形物含有液体はその中に入り込み、前記吐出ケースから吐出穴を通って径方向に出ることができる。
【0059】
4つの刃141a−dを持つブレードホルダ140は、穴あきディスク120の面に注入開口部に向けて配置されている。刃141a−dは、その刃先が注入開口部に面した穴あきディスク120の表面121上にある。各刃141は、穴あきディスク120の中心縦軸と同心の回転軸100から半径方向に延びている。
【0060】
刃141が取り付けられたブレードホルダ140は、中空駆動軸150により前記回転軸100周りに回転運動するように設定され、その結果、刃が穴あきディスク120上で円形経路上を回転するように滑る。これによって、刃先と穴あきディスク内の開口部の境界縁部との間にせん断作用が生じ、開口部に入る固形物を粉砕する。
【0061】
回転運動は軸ハブ連結部151を介してブレードホルダ140上の中空軸150によって伝達される。軸とハブの接続によって、ブレードホルダ140は中空軸150に対して軸方向に移動できる。
【0062】
中空軸150は、駆動モータ190によって駆動され、刃141 に回転運動を伝達する。
【0063】
駆動軸150は、中空軸として具体化され、スプライン軸連結部154によって刃141にトルクを伝達する。刃141は軸方向に移動できるが、スプライン軸連結部154の中の中空軸150に対してトルク抵抗をもって案内され、その結果、切削面120上の切刃141a、bの調整動作を行うことができる。
【0064】
引き棒160は、中空軸150内で案内される。引き棒160は、この目的のために設けられた調整駆動装置からの軸方向の引張力と調整力を、ホルダ140の上にある引き棒160の軸端部161に伝達する。
【0065】
調整駆動装置は、中空軸に固定連結され、ピストン166が軸心方向に変位自在に搭載された筒部165を備えている。ピストン166は、引き棒160に固定的に接続されている。油圧接続部材167がピストン160に取り付けられており、これによって、ピストン166とシリンダ165との間の隙間168に油圧油を加圧下で押し込むことができる。図1は、摩耗していない新品の切削部材141a、b、120が装着された状態の本発明に係る粉砕装置を示している。図示された位置から、ピストン166は、シリンダ165から上方に持ち上げることができ、これにより、中空軸150から矢印102の方向に引き棒160を引いて、その結果、切刃141a、bは切削面120の方向に移動される。
【0066】
注油ニップル182と潤滑穴181とを介して外部から潤滑剤が充填される空間180は、刃141aの領域にある軸150 の端部におけるリング状の端面153と、前記駆動軸端部を収容するためのブレードホルダ140にある止まり穴内の環状の底面163との間に配置されている。ブレードホルダ140の調整動作が矢印101の向きに行われると、この空間は、端面153 163が近づいて接触することで、その体積が変化する。結果として、空間180内の潤滑剤は、スプライン軸連結部の領域内にある潤滑スリット183の中へ押し込まれ、切削面120に対して常に切刃141a−dの動きやすさと確実な調整動作を確実に確保する。
【0067】
単動式リニア油圧シリンダ210は、引き棒160に作用する。油圧シリンダ210は、圧力が油圧シリンダに印加され、その結果、油圧シリンダが延びたとき、切刃141a−dを切削面120に押し付ける引張力が引き棒160に伝達されるように、引き棒160に結合されている。
【0068】
図3は、油圧システムの構造を概略形状で示している。油圧シリンダ210は、平行に配置された逆止弁211とチョーク212によって可変量式圧力容器220に接続されている。また、油圧シリンダ210への接続管とその加圧側を充填する油圧油は、可変量式圧力容器220の底部220aに配置されている。
【0069】
また、可変量式圧力容器220は、その容器内の油圧油とほぼ等しい体積である空気体積220bを有している。油圧油レベル221は、空気体積220bと油圧油体積220aとの間に形成されている。
【0070】
また、可変量式圧力容器220は、目盛り222を備え、金属キャップ付き耐圧ガラスビーカとして具体化されており、空気と油圧油との間の界面レベルを外部から読み出すことができる。前記レベルが油圧シリンダ210の伸長に割り当てられた目盛り222が、ガラスビーカに設けられている。同様に、油圧シリンダ210のこの伸長状態は、調整経路に対応し、したがって、切刃141a−dと切削面120の摩耗状態に対応する。切刃と切削面の摩耗状態は、両側の累積摩耗として、目盛り上の油圧油レベルによって可視化される。
【0071】
可変量式圧力容器220の空気充填部220bは、圧縮空気管231によって圧縮空気容器230に接続されている。可調整減圧弁232は圧縮空気管231の中に挿入される。この減圧弁232は、圧縮空気容器または可変量式圧力容器220を周囲圧力に選択的に接続する。また、圧縮空気容器230と可変量式圧力容器220は、減圧弁232を介して周囲圧力に同時に接続できる。通常の運転位置において、減圧弁232は圧縮空気容器を可変量式圧力容器に接続し、両容器を周囲から遮断する。この通常の運転位置において、総空気容積が油圧シリンダ210内でピストンが変位された結果、容積が増加することに起因して拡大する場合、圧縮空気容器230の圧力が可変量式圧力容器220の圧力よりも大きい限り、一定の圧力が可変量式圧力容器において維持される。
【0072】
手動で操作可能なエアポンプ240は、逆止弁241を介して圧縮空気容器230に接続され、そこに装着されている。密閉油空圧システムにおける油圧油によって、切刃141a−dと穴あきディスク120との間の圧縮圧力を発生させるため、エアポンプ240によって圧縮空気容器内に所望の内部圧力を発生させることができる。
【0073】
図4から図9は、本発明の粉砕装置の油圧ユニットのさまざまな図面を示している。参照するに、油圧ユニットは、油圧シリンダ210に接続するためのコネクタ226をその底部に備えたガラスビーカ225を備えている。目盛り222がガラスビーカ225のガラス製の壁に印刷されている。
【0074】
ガラスビーカ225は、ケース本体235にねじ込結合部227によって密封して取り付けられている。圧縮空気容器230は、ケース本体235内の空間として配置され、上ぶた236によって密閉されている。
【0075】
図5図8からわかるように、特に圧縮空気容器230は、手動で操作されるエアポンプ240によって、あるいは圧縮空気接続部250を介して圧縮空気で加圧することが可能である。
【0076】
圧縮空気容器230は、横穴234に開口する縦穴233と傾斜穴228によって可変量式圧力容器に接続されている。外部から操作でき、圧縮空気容器または可変量式圧力容器のいずれか一方が、周囲圧力または互いに接続されて周囲圧力から遮断された圧縮空気容器と可変量式圧力容器に接続されるのを許容する吸入バルブが横穴234に挿入されている。
【0077】
また、2つの圧力計261、262が油圧ユニット上に配置されている。上側圧力計261は圧縮空気容器230内の空気圧を示す。下側圧力計262は可変量式圧力容器内の圧力を示す。
【0078】
まず、図10を参照すると、本発明の第2の実施態様に係る本発明の粉砕装置の粉砕機能の原理について述べる。粉砕装置は注入開口部310を備えており、これを介して固形物含有液体が案内され、これは横方向に筒状ケース311によって規定される。固形物含有液体は、固体と液体が通過可能な複数の開口部を備えた環状の穴あきディスク320 に接触する。穴あきディスクは吐出ケース330に固定して取り付けられており、固形物が粉砕された後、この中へ固形物含有流体が入り、前記吐出ケースから径方向に吐出口331を通って出ることができる。
【0079】
合計4つの刃341a、bを備えるブレードホルダ340は、注入開口部に面している穴あきディスク320の側部に配置されている。刃341a、bは、注入開口部に面した穴あきディスク320の表面321に刃先を備えて位置している。各刃341a、bは、穴あきディスク320の中心縦軸と同心の回転軸300から径方向に延びている。
【0080】
刃341a、bが取り付けられているブレードホルダ340は、駆動軸350によって前記回転軸300周りに回転運動するように設けられており、これによって、刃は穴あきディスク340上で円形経路上を回転して滑る。これによって、刃先と穴あきディスクの中にある開口部の境界縁部との間にせん断作用が生じ、これによって開口部に入る固形物を粉砕する。
【0081】
回転運動は軸350によってブレードホルダ340に軸ハブ連結部351を介して伝達される。軸ハブ連結部は、軸350に対するブレードホルダ340上の軸方向の移動を許容し、軸350に対して軸方向に配置された複数の引張バネ360a、bによって、穴あきディスク320の表面321への規定された付勢力を伴って、刃341a、bを押すために使用される。ボールロッキング機構370は刃が穴あきディスク320に隣接した位置から外れて後方にジャンプしないようにし、刃と穴あきディスクとの恒常的な接触を実現する。
【0082】
軸350は、駆動モータ390により駆動され、刃341a、bに回転運動を伝達する。
【0083】
図11は、凸係合接続部に形成され、互いに対して動かされる表面の自動的な潤滑を詳細に示している。図示するように、空間380は、軸350の端面352と、ブレードホルダ340にある止まり穴の端面底部342との間に形成され、その止まり穴の中に軸350の軸端部350aが収容される。空間380は、貫通孔381を介して注入開口部310に向いた注油ニップルに接続されており、注油ニップル382と貫通孔381を介してグリースを充填できる。
【0084】
確実に連結する軸ハブ連結部が、軸350とブレードホルダ340との間に、軸上の縦溝353と、ブレードホルダ340にある止まり穴内の対応する縦溝343とによって、これらの2つの溝353、343に嵌合している実さね354(tongue)によって形成される。軸ハブ連結部は、ブレードホルダ340と軸350との間で軸方向に変位できるように設計され、実さね354は、図11に示すように、軸に対して固定された位置に留まり、ブレードホルダ340は、軸350と実さね354に対して軸方向に移動できる。図11は、新たに挿入され刃341aと新たに挿入された穴あきディスク320と最大容積の空間380とを備えた開始位置を示している。また、ブレードホルダ340は、軸350に沿って図11に示された位置からバネ360の引張方向に移動できる。空間380はこの移動により減容され、刃341a、bは穴あきディスク320の方向に移動される。
【0085】
潤滑剤が空間380から入るようにする潤滑スリット383は、ブレードホルダ340にある止まり穴の内周壁346と軸350の周壁356との間に形成されている。潤滑スリット383は、その寸法が非常に小さいため、潤滑剤が不要に空間380から漏れるのを防止できる一方で、軸350とブレードホルダ340との間の軸方向の相対移動によって、空間380の容積が減少した際、潤滑剤がこの潤滑スリットに入るのを許容し、その結果、潤滑剤が空間から押し出される。刃341a、bおよび/または穴あきディスク320の摩耗を補償するため、ブレードホルダ340を引張ばね360の引張り方向に調整することによって、空間380の容積を減らし、グリースを潤滑スリット383の中へ押し込み、その結果、実さね354によって実現される軸ハブ連結部は、動作中の任意の時点で移動可能に維持され、穴あきディスク320に対する確実な刃341a、bの調整を確実にする。
【0086】
図12図13は本発明の第2の実施形態を示している。この実施形態では駆動軸450は中空軸として具体化され、スプライン軸連結部454によってトルクを刃441a−dに伝達する。刃441a−dは、軸方向に移動できるが、中空軸889.00cmのスプライン軸連結部454に対してトルク抵抗しながら案内され、その結果、切削面420上の切刃441a−dの調整動作を実行できる。
【0087】
引き棒460は中空軸450内で案内される。引き棒460は、圧力調整部材462上の引き棒460の軸方向端部461に設けられた調整用駆動装置(図示しない)からの軸方向の引張力と調整力を伝達する。第1の簡単な構成において、この引張力は、ねじ棒として具体化されて圧力調整部材462の雄ねじの中にねじ込まれる引き棒460によって実現され、その結果、引き棒460が回転されて一方で前記引き棒460が同時に軸方向に固定されると、圧力調整部材462の軸方向の動作を生成する。他の構成では、引き棒はまた、圧力調整部材462に固定して取り付けることができ、例えばその中へ螺合させることで、例えばねじで係合するねじ歯車を用いて、引き棒自体の軸方向動作により引張力と引張動作を働かせて生じさせることができる。
【0088】
注油ニップル482と潤滑穴481を介して潤滑剤が充填される空間480は、刃441a−dの領域にある軸450の端部にある環状端面453と、前記駆動軸端部を収納するための圧力調整部材462にある止まり穴内の環状底面との間に調整される。圧力調整部材462の調整動作が矢印401の方向になされるとき、この空間は端面453、463の接近に起因してその体積を変化する。その結果として、空間480内の潤滑剤は、スプライン軸連結部の領域にある潤滑スリット483の中に押し込まれ、常に切削面420に対する切刃441a−dの動きやすさと確実な調整動作を確実に確保する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13