特許第5909496号(P5909496)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5909496
(24)【登録日】2016年4月1日
(45)【発行日】2016年4月26日
(54)【発明の名称】輸送用装置とそれによる輸送手段
(51)【国際特許分類】
   B60P 3/08 20060101AFI20160412BHJP
【FI】
   B60P3/08
【請求項の数】12
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-533155(P2013-533155)
(86)(22)【出願日】2011年10月6日
(65)【公表番号】特表2014-500820(P2014-500820A)
(43)【公表日】2014年1月16日
(86)【国際出願番号】EP2011067469
(87)【国際公開番号】WO2012049067
(87)【国際公開日】20120419
【審査請求日】2014年7月9日
(31)【優先権主張番号】10187699.3
(32)【優先日】2010年10月15日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】503276470
【氏名又は名称】ドイチェ ポスト アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100080621
【弁理士】
【氏名又は名称】矢野 寿一郎
(72)【発明者】
【氏名】コールグリューベル,スヴェン
【審査官】 林 政道
(56)【参考文献】
【文献】 特開平06−127301(JP,A)
【文献】 実開平01−150530(JP,U)
【文献】 特開2002−293330(JP,A)
【文献】 特開平05−294381(JP,A)
【文献】 特開2002−256696(JP,A)
【文献】 特開2008−074273(JP,A)
【文献】 特開2005−035645(JP,A)
【文献】 特開2010−168099(JP,A)
【文献】 米国特許第04668141(US,A)
【文献】 米国特許第05344266(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60P 3/00− 9/00
B65D 19/00−19/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つの車両を、一つを他の一つの上方に配置する輸送用装置(1)であって、当該装置(1)は、下部パレット(100)と上部パレット(200)とを含む、装置(1)において、
当該上部パレット(200)は、個別に高さを調節可能な複数のブーム(300)により、前記下部パレット(100)に結合されており、ブーム(300)は調整ユニット(310)と持ち上げロッド(350)とにより構成され、当該持ち上げロッド(350)は調整ユニット(310)に異なる高さで固定することができ、前記ブーム(300)がこのように設けられることにより、前記上部パレット(200)は前記下部パレット(100)に対して縦方向に傾斜することができ、前記上部パレット(200)は前記ブーム(300)から取り外すことができ、当該ブーム(300)は折り畳んで前記下部パレット(100)の上に平らに置くことができ、前記上部パレット(200)は前記折り畳んだブーム(300)の上に平らに置くことができ、当該ブーム(300)は前記下部パレット(100)の縦方向に垂直な方向に折り畳むことができ、前記調整ユニット(310)は2つの脚(311)で構成されており、第一の端で下部パレット(100)の上に立てられており、そして前記上部パレット(200)には、産業用フロアトラックの積み荷持ち上げ要素のためのフォークの入り口(250)がさらに設けられている、ことを特徴とする輸送用装置。
【請求項2】
請求項1に記載の輸送用装置(1)であって、
前記上部パレット(200)は、その第一の側に貫通孔(210)を有し、その第二の側にスロット(220)を有し、それぞれはボルト(500)を受け止めるためのものであり、当該ボルト(500)により前記上部パレット(200)は前記ブーム(300)に固定される、ことを特徴とする輸送用装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の輸送用装置(1)であって、
前記下部パレット(100)と前記上部パレット(200)は穿孔したプレートにより構成される乗り入れ手段(205)を有している、ことを特徴とする輸送用装置。
【請求項4】
請求項3に記載の輸送用装置(1)であって、
前記上部パレット(200)はボルト(500)により前記持ち上げロッド(350)に固定される、ことを特徴とする輸送用装置。
【請求項5】
請求項3又は請求項4に記載の輸送用装置(1)であって、
前記持ち上げロッド(350)はボルト(400)により前記調整ユニット(310)に固定される、ことを特徴とする輸送用装置。
【請求項6】
請求項3から請求項5までのいずれか一項に記載の輸送用装置(1)であって、
前記調整ユニット(310)はヒンジ(312)によって前記下部パレット(100)に回転可能に結び付けられる、ことを特徴とする輸送用装置。
【請求項7】
請求項3から請求項6までのいずれか一項に記載の輸送用装置(1)であって、
前記調整ユニット(310)が前記下部パレット(100)に対して本質的に垂直な位置に固定できるように、前記調整ユニット(310)を固定要素(313)によって前記下部パレット(100)に固定することができる、ことを特徴とする輸送用装置。
【請求項8】
請求項1から請求項7までのいずれか一項に記載の輸送用装置(1)であって、
フォーク爪用ディフレクタ(115)が前記下部パレット(100)の第一の端(110)に設けられ、支持要素(150)が前記下部パレット(100)の第二の端(120)に設けられ、このような構成により、前記第一の端(110)を持ち上げることにより、前記装置(1)を長手方向に移動させ、高さ制限のあるハウジングの中に移動させることができる、ことを特徴とする輸送用装置。
【請求項9】
請求項8に記載の輸送用装置(1)であって、
前記支持要素は、それ自身の周りを回転することができるように設けられる、ことを特徴とする輸送用装置。
【請求項10】
請求項1から請求項9までのいずれか一項に記載の輸送用装置(1)であって、
積み荷を留めるための手段(600)が前記下部パレット(100)及び/又は前記上部パレット(200)に設けられる、ことを特徴とする装置。
【請求項11】
請求項1から請求項10までのいずれか一項に記載の輸送用装置(1)であって、
当該輸送用装置(1)はアルミニウム合金により作製されている、ことを特徴とする輸送用装置。
【請求項12】
輸送手段であって、
当該輸送手段は、請求項1から請求項11までのいずれか一項に記載の輸送用装置を含む、ことを特徴とする輸送手段。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の輸送のための装置に関し、システムの高さを規定の最大の高さとしたときに、所定の表面積の下で最も多くの車両を輸送することができるものである。
【背景技術】
【0002】
近年、車両(特に自動車)は、たくさんの台数が、時には長距離にわたって、輸送される。この輸送過程においては、車両は損傷から護られなければならない。とりわけ、車両が特に高価な場合はそうである。車両が特に高価な場合とは、別の言葉で言うと、例えば、レースカー、アンティークカー、試作品、展示車両、その他の希少な自動車の場合である。このような車両が空輸により輸送されるケースが増加している。その場合、航空会社は委託当業者に対し、問題になっている飛行機で必要となった輸送表面積に応じて、輸送費用を請求する。このとき、高さは与えられた最大の高さとして計算される。このような車両が船や鉄道により輸送される場合、通常これらの車両はコンテナの中に入れて輸送される。そのため、車両は損傷から護られ、積み込み作業は最小限に抑えられる。同様に、コンテナの高さも制限される。車両が結合された輸送様式によって輸送される場合、すなわち、例えば、鉄道で港や空港に輸送され、その後船や飛行機により輸送される場合、通常これらは車両自身の駆動力により輸送トレイラーに乗り入れたり降ろしたりされ、そしてその後積み替え地点へと駆動力により移動される。そこから、空輸操作の場合、車両は通常飛行機のパレットに乗り入れされる。海上輸送貨物操作の場合、車両は通常上述したコンテナに乗り入れされるか、またはいわゆるロールオン・ロールオフ船(ローロー船)に乗り入れされる。この目的のためには、数多くのエンジン始動が必要となり、そしてそれに続く短い駆動時間は望ましいものではない。
【0003】
上述したタイプのコンテナは、例えばISO668において公知となっており、標準化されている。これらはいわゆる海上輸送貨物コンテナであり、10フィート、16フィート、20フィート、及び40フィートのコンテナとして利用できる。これらは例えば自動車の輸送に適しており、使用されている。このようなコンテナはとても丈夫な構造を有しているが、しかしながらその結果、高い固有の重量を有している。このため、このようなコンテナは飛行機での輸送には適していない。
【0004】
国際公開第96/26849号には、自動車のうちの一つをもう一つの上方に配置して輸送することのできる、自動車の輸送のための装置が開示されている。この装置においては、上の車両は、下の車両の上方に、ある角度で配置される。こうすることにより、一つを他の一つの上方に配置して輸送するときの2つの自動車の全体的な高さを最小限とすることができる。この目的のために、本発明は、上の車両の車輪を置くことのできる高さ調節可能な車輪キャリヤを提案する。各車両につき、2つのこれらの車輪キャリアが必要である。当該装置は、取り外し可能な、又は高さ調節可能な、上部フレームを有する。車輪キャリヤは、車両の車軸に対して、レールシステムにより軸方向に移動させることができる。そのため、当該装置は輸送される車両の異なるホイールベースに対応して適合することができる。そして、上の車両は下の車両の上方に配置することができるので、個々の車両の車軸は低くなり、そして、上の車両はある角度で配置することができるので、下の車両の車体の凹所を利用することができる。車体の凹所とは、例えば、トランクやエンジンボンネットの上方等であり、このような場所を有効利用することにより、互いに上下に配置して輸送される2つの車両の全体的な高さを最小限とすることができる。このシステムは、車両の輸送のために、車両に取り外せないように設置される。しかし、固有の重量のために、これは空輸には適していない。輸送様式(鉄道、車道、船、飛行機)が変化する場合、車両は一旦降ろされて、続いて他の輸送手段に積み入れられなければならない。言い換えれば、そのようなケースでは、車両自体が動かされなければならない。
【0005】
同様のシステムが欧州特許出願第0274882号公報に開示されている。トラックトレーラーに取り外せないように設置されたシステムにより、車両を車輪キャリヤの上に持ち上げることができる。車輪キャリヤは、異なる高さで固定することができ、そしてそれ自体、車両の車軸の方向にトレイラーの長さに沿って軸方向に移動させることができる。この装置は、上で言及した装置と同様の欠点を引き起こす。
【0006】
さらに、国際公開第88/05001号公報には、2つの車両を上下に配置して輸送することのできる共同一貫輸送のコンテナが提案されている。このコンテナにおいては、当該コンテナの内壁の縦側部にレールが固定されており、このレール上を車輪キャリヤが走るようになっている。車両の前後の車軸は、異なる高さの車輪キャリヤの中に置くことができ、その結果、車両は同様にある角度で配置することができ、そのため下の車両の車体の凹所を利用することができる。車体の凹所とは、例えば、トランクやエンジンボンネットの上方等であり、このような場所を有効利用することにより、互いに上下に配置して輸送される2つの車両の全体的な高さを最小限とすることができる。このシステムは、共同一貫輸送に利用することができるものの、その固有の重量のために、少なくとも空輸には不適切である。
【0007】
米国特許出願第5,890,855号公報には、少なくとも2つの車両を、一方を他方の上方に配置して輸送するための装置が開示されており、この装置は、下部パレットと、上部パレットと、前部の一対の柱と、後部の一対の柱と、で構成されている。これらの柱は、クランプにより下部パレットに取り付けられており、上部パレットを固定するのに用いられる。ここで、特に、対応する柱を調節することで、上部パレットの下部パレットに対する傾斜角度を変更することが可能である。さらに、空の当該装置をスペースを取らずに輸送することを可能とするために、当該装置は、分解できるようになっている。この目的のために、前記上部パレットは前記柱から取り外され、当該柱は前記下部パレットから取り外されて当該下部パレットの上に横たえられ、そして上部パレットは、下部パレットの上に置かれている柱の上に横たえられる。前記装置に2台の車両を積むために、まず始めに、上部パレットは、一端からある角度だけ上昇されて固定されることにより、第一の車両が上部パレットの上に乗り入れられなければならない。続いて、上部パレットは産業用フロアトラックにより持ち上げられなければならず、それから、第二の車両が下部パレットの上に乗り入れる前に、ある高さである角度で固定されなければならない。このときの高さは、第二の車両の高さに依存して決まり、このときの角度は、同様に、車両の形や高さに依存して決まる。この過程においては、第二の車両が積み込まれる前に、上部パレットが設置される高さを特に確定しておく必要がある。また、第二の車両が損傷を受けることなくぴったりと収まるようにするために、どの程度上部パレットを傾斜させたらよいかを確定しておく必要がある。この積み込みの過程は面倒である。さらに、構造は安定しているとはいえ、この装置には多くの部材が含まれており、とりわけ前記柱を構成する必須の交差ブレースにより、装置全体が重たくなっている。このため、この装置は少なくとも空輸には適していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際公開第96/26849号公報
【特許文献2】欧州特許出願第0274882号公報
【特許文献3】国際公開第88/05001号公報
【特許文献4】米国特許出願第5,890,855号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そのため、本発明の課題は、陸送だけでなく空輸にも海運にも適した、車両の輸送のための装置であって、互いに上下となって輸送される2つの車両の高さを最小限にすることのできる、装置を提案することにある。この事情では、陸送、海運及び/又は空輸を組み合わせたような輸送形態であっても、車両を一旦積み荷から降ろす必要がない。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によれば、この課題は、独立請求項1の特徴を有する装置により達成される。当該装置の有利な実施形態は、従属請求項2〜11の結果として起こる。本発明のもう一つの課題は、陸送だけでなく空輸にも海運にも適した、車両の輸送のための輸送手段であって、互いに上下となって輸送される2つの車両の高さを最小限にすることができ、陸送、海運及び/又は空輸を組み合わせたような輸送形態であっても、車両を一旦積み荷から降ろす必要がない、輸送手段を提案することにある。この目的は、請求項12に係る輸送手段により達成される。
【0011】
本発明の本質は、下部パレットと上部パレットとを含む装置を提供することである。前記上部パレットは、前記下部パレットの上に置かれた複数のブームにより支持される。当該ブームは、個別に高さを調節可能な持ち上げロッドを有しており、そのため、前記上部パレットは前記下部パレットに対して縦方向に傾斜させることができる。結果として、2つの車両を互いに上下に配置することができ、前記上部パレットが傾斜しているとき、上の車両は下の車両の外形を利用して配置することができ、通常は、エンジンやトランクの領域は低くなっており、その領域に一つの車両の車軸を配置し、すなわち他の車軸よりも低い位置に配置する。上の車両が、その高い外形がこの位置となるように配置されると、上下に配置される2つの車両の全体的な高さは最小限に抑えられる。装置に車両を積むためには、例えば、産業用フロアトラックを使用して、前記上部パレットを前記装置から持ち上げることができる。前記下部パレットには、第一の車両を乗り入れることができる。床に平らに横たえられた上部パレットには、第二の車両を乗り入れることができる。車両が固定された後、例えば産業用フロアトラックにより、上に載せられた車両と共に前記上部パレットが持ち上げられ、装置の上に上部パレットが載せられ、結合される。前記上部パレットを前記下部パレットに対してある角度とするために、縦軸の周りを旋回可能な貨物運搬機構が設けられた産業用フロアトラックを用いて、前記上部パレットを適切な傾斜角度になるまで持ち上げて、個別に高さが調節された前記ブームの上に前記上部パレットを載せることが可能である。もし、このような産業用フロアトラックを利用することができないときは、まず始めのステップで、前記上部パレットを前記ブームの上に水平に置く。第二のステップで、産業用フロアトラックにより前記上部パレットの一端を持ち上げる。そしてこの側の適切な持ち上げロッドの高さが調整され、それから一側が持ち上げられた前記上部パレットは、高さを調整した持ち上げロッドの上へと降ろされる。適切なボルトが挿入されて固定された後、前記上部パレットが装置の残りの部分にしっかりと固定される。
【0012】
前記装置の一端には、支持要素が設けられており、少なくとも反対側の端が僅かに持ち上げられているときには、その一端において前記装置は前記支持要素を縦方向に移動することができる。このようにして、前記装置は、高さ制限のあるハウジングを出入りすることができる。このようなハウジングは、海上輸送コンテナ、トラックの積み荷領域、あるいは飛行機の貨物倉とすることができる。高さ制限は、ここでは例えば3メートルとすることができる。
【0013】
本発明の一つの有利な実施形態においては、前記上部パレットは前記ブームから取り外すことができる。前記ブームは前記下部パレットに取り外し可能に結合されており、あるいは前記ブームは前記下部パレットにヒンジにより結合されている。そのため、前記ブームは前記下部パレットの上に平らに置くことができる。前記上部パレットは、前記下部パレットの上に置かれた前記ブームの上に、平らに置くことができる。そのため、空の状態で輸送をする際には、前記装置を平らになるように畳むことができる。このようにして、例えば、海上輸送コンテナや、飛行機の貨物倉の中で、複数の畳んだ前記装置を互いに重ね合わせて、スペースを余分に取らない状態で輸送することができる。
【0014】
前記装置は、車両以外の積荷の輸送のためにも用いられ得ることは、言うまでもない。同様に、当該装置は、車両や他の荷物の複合輸送にも用いることが可能である。
【0015】
本発明の他の利点、特別な特徴、及び実際的構成は、従属請求項及び下記の図面に基づいた好適な実施形態の説明により、結果として明らかとされる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】装置の側面図であり、上部パレットが最も高い高さに配置されている状態を示している。
図2】一端から見た装置の図である。
図3】装置の側面図であり、上部パレットが最も低い高さに配置されている状態を示している。
図4】装置の側面図であり、上部パレットを最大限傾斜させたときの状態を示している。
図5】装置の側面図であり、移動させるために一端を上昇させたときの状態を示している。
図6】フォーク爪用ディフレクタ(図5中のAを詳細に示したもの)。
図7】支持要素(図5中のBを詳細に示したもの)。
図8】平らに畳んだときの、装置の側面図である。
図9】平らに畳んだときの、装置の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は、本発明に係る装置(1)の側面図を示しており、上部パレット(200)が下部パレット(100)の上方の最も高い高さに配置されている状態を示している。全部で4本のブーム(300)があり、そのうちの2本はこの図において見ることができ、それぞれは調整ユニット(310)と持ち上げロッド(350)とから構成される。持ち上げロッド(350)は管状部(351)とフォーク状部(355)とから構成されており、当該フォーク状部(355)は持ち上げロッド(350)の一端に配置される。持ち上げロッド(350)の管状部(351)には、半径方向に格子状に分布された複数の貫通孔(352)が設けられる。調整ユニット(310)は、2本の脚(311)で構成されており、これらはそれぞれ相対する角度となるように配置される。脚(311)の第一の端は下部パレット(100)の上に立てられ、一方、脚(311)の第二の端はヨークによって互いに結合されている。当該ヨークには、持ち上げロッド(350)を受け止めるための管状部(316)が設けられる。2つの貫通孔(317)がこの管状部(316)を径方向に貫通しており、この2つの孔の間の距離は、持ち上げロッド(350)を貫通する貫通孔(352)の間隔と同じ距離である。貫通孔(317・352)の直径は略同じであり、そのため両方の貫通孔(317・352)を互いに重ね合わせたとき、ボルト(400)をこれらの貫通孔(317・352)に通すことができる。
【0018】
そして、持ち上げロッドは、ボルト(500)によって上部パレット(200)に結合される。ボルト(500)は、持ち上げロッド(350)のフォーク状部(355)を介して、又は対応する貫通孔(210)を介して、又は上部パレット(200)のスロット(220)を介して、貫通孔(210)が互いに重ね合わされたとき、貫通孔(210)に通すことができる。
【0019】
持ち上げロッド(350)の高さ全体にわたって複数の貫通孔(352)がグリッドパターンとして分布していることにより、前記上部パレットは下部パレット(100)の上方の様々な高さに固定することができる。前記上部パレットがある角度に配置されたときの当該上部パレットの超過長さの変化を補うために、前記上部パレットの第一の端(110)のみに、持ち上げロッド(350)を上部パレット(200)に結合するボルト(210)を受け止めるための同心孔が設けられる。一方で、この目的のために、第二の端(120)にはスロット(220)が設けられる。貫通孔(210)に代えて、止め穴を設けることとしてもよい。当該止め穴は、例えば、照合可能な幾何学的形状を有している場合、締め付けることにより、ボルト(500)がしっかりと固定される幾何学的形状を有しているものとすることができる。
【0020】
下部パレット(100)にも、上部パレット(200)にも、積み荷をしっかり留めるための締結側面(600)が設けられる。
【0021】
図2は、一端(110・120)から見た装置(1)を示す図であり、上部パレット(200)が下部パレット(100)の上方の最も高い高さに固定されている状態を示している。ボルト(400・500)は、落ちないように鋼線(410・510)によりしっかりと固定されている。調整ユニット(310)はヒンジ(312)により下部パレット(100)に固定されており、そのためこれらは畳むことができる。まっすぐに立った状態、すなわち、装置(1)の軸方向から見てブーム(300)が下部パレット(100)に対して約90度の角度を成しているとき、ブーム(300)は、もはや内側に向かって回転しないように、ブーム(300)の外側に配置された固定要素(313)により下部パレット(100)に固定される。ヒンジ(313)がブーム(300)の内側に配置され、固定要素(313)の反対側に配置されることにより、ブーム(300)は、同様に、下部パレット(100)に対して直角となる位置を越えては大きく外側に回転することはできない。ブーム(300)に固定された保護要素(314)は、固定要素(313)を保護する目的で設けられている。
【0022】
図3は、本発明に係る装置(1)の側面図を示しており、上部パレット(200)が下部パレット(100)の上方の最も低い高さに配置された状態を示している。各持ち上げロッド(350)は、付随する前記ヨークの管状部(316)の中をできる限り下まで通過させられた状態である。
【0023】
図4は、上部パレット(200)を最大限傾斜させた状態の、装置(1)の側面図である。上部パレット(200)が傾斜することにより、処理手順によりボルトの到達地点(210・220)の間の距離が変化する。このため、上部パレット(200)の一側にはボルト(500)の貫通孔(210)が設けられ、一方、他側にはスロット(220)が設けられ、このような構成により、上部パレット(200)が傾斜しても、ボルト(500)が両側に挿入された状態を保つことができ、上部パレット(200)と持ち上げロッド(350)との間の結合は安定した状態に保たれる。2つのフォーク入り口(250)が、上部パレット(200)の長手側面に設けられている。装置(1)を持ち上げるために、フォークリフトのフォーク爪をこれらのフォーク入り口の中に挿入することができる。上部パレット(200)が装置(1)から持ち上げられることを前提として、上部パレット(200)にフォーク入り口(250)を設けている。これにより、上部パレット(200)は地面の上に平らに置くことができるので、車両を非常に簡単に上部パレット(200)の上に載せることができる。このため、上部パレット(200)の少なくとも一端には、適切な乗り入れランプ(230)が設けられている。上部パレット(200)がブーム(300)の上に置かれ当該ブーム(300)と結合され、下部パレット(100)と結合された後は、装置(1)全体を持ち上げて輸送することができる。このようにして、例えば、産業用フロアトラックを用いて上部パレット(200)を持ち上げることができる。
【0024】
図5は、装置(1)の側面図を示しており、装置(1)の第一の端(110)が僅かに持ち上げられることにより、第二の端(120)に設けられる支持要素(150)(図7に示した部分拡大図を参照)に載せ装置(1)全体を長手方向に動かすことができることを示している。第一の端(110)が持ち上げられたら、支持要素(150)が地面と接触するようになる。示した実施形態においては、装置(1)全体が地面に対して約2.5°の角度となるように、第一の端(110)を持ち上げれば十分である。示した実施形態においては、支持要素(150)は下部パレット(100)に取り付けられたローラにより構成される。当該ローラは、下部パレット(100)が地面に平らに置かれている状態においては、地面の上方約1mmのところで、それ自体の外周を回転させることができるように、下部パレット(100)に取り付けられている。当然ながら、支持要素(150)の配置連結の態様を変更したり、要求される持ち上げ高さを変更したりすることも考えられる。
【0025】
図6は、図5中の詳細"A"の部分拡大図である。第一の端(110)を都合よく持ち上げるために、下部パレット(100)の端のこの端(110)に、フォーク爪ディフレクタ(115)が設けられている。このフォーク爪ディフレクタ(115)は、底面が外側に向かって上昇する外形を有して構成される。例えば、フォークリフトトラックのような産業用フロアトラックのフォーク爪がこの持ち上げるものの底面の下に挿入されると、装置(1)は、産業用フロアトラックのフォークの爪全体が装置(1)の下に押し込むことができるぐらいにまで持ち上げられる。フォーク爪及び、それにより装置(1)全体が第一の端(110)のところで持ち上げられ、第二の端(120)の支持要素(150)が地面と接触するようになるまで持ち上げられ、その結果、産業用フロアトラックはこの支持要素(150)を支点として装置(1)を動かすことができる。
【0026】
図7は、図5中の詳細"B"の部分拡大図である。この実施形態においては、支持要素(150)は、下部パレット(100)の第二の端(120)に導入されたローラにより構成される。当該ローラは、装置(1)が地面の上に水平に立っているとき、その外周が地面の上方約1mmのところに浮いた状態となるように、第二の端(120)に取り付けられている。結果として、装置(1)は、一側が持ち上げられていないときは、滑らないように安全に動かないように置かれることとなる。下部パレット(100)が反対側の端である第一の端(110)において持ち上げられたときにのみ、ローラ(150)が地面と接触するようになる。ローラ(150)の上方には、保護要素(155)が設けられている。当該保護要素(155)は、物体が上方からローラ(150)と下部パレット(100)との間に落ちることを防ぎ、それによりローラが回転しなくなることを防ぐために、設けられるものである。一方で、保護要素(155)は、輸送過程において作業をしている作業者を負傷から護る働きもする。
【0027】
さらに、図7は、積み荷をしっかり固定しておくための固定形状部(600)を示している。特にこれは、主に航空貨物部門において知られるシステムレールに見られる。しかしながら、異なる形状の他の固定形状部(600)も同様に考えられる。
【0028】
図8には、平らに畳まれた装置(1)の側面図を描いている。上部パレット(200)はブーム(300)から持ち上げられ、持ち上げロッド(350)は前記ヨークの管状部(316)の中へとできるだけ長く移動させ、そして固定要素(313)は開放された。ブーム(300)は下部パレット(100)の上に平らに畳まれ、上部パレット(200)は、同様に平らに横たえられたブーム(300)の上に平らに横たえられた。このように製作されたパッケージは、ラチェット付きストラップを用いて束ねておくことができる。しかしながら、上部パレット(200)から下部パレット(100)まで貫通するように伸びるボルトやクランプを用いて、又は外側から上部パレット(200)及び下部パレット(100)に向かって押し込まれるボルトやクランプを用いて、結合可能であることも同様に考えられる。下部パレット(100)と上部パレット(200)がドライビングトラックとして互いに連結していない乗り入れ式のプレートのみを有している場合、内側から下部パレット(100)及び上部パレット(200)を押すことのできるクランプを含む接続オプションを思い浮かべることができる。他の可能性としては、上部パレット(200)及び/又は下部パレット(100)の適切な切欠に挿入可能なクランプを用いることもできる。上部パレット(200)を下部パレット(100)に結合することにより、例えば、産業用フロアトラックによりフォーク入り口(250)にアクセスして上部パレット(200)を持ち上げることにより、装置(1)全体を持ち上げて輸送することが可能となる。とりわけ、複数の空の装置(1)を一つの装置(1)を運ぶときのように輸送するために、複数の装置(1)を互いに上に積み重ねることができる。
【0029】
図9は、平らに畳んだときの装置(1)の上面図である。上部パレット(200)にも、下部パレット(100)にも、ドライビングトラックとして乗り入れプレート(205)が設けられている。重量を軽くする観点から、これらの乗り入れプレートは、輸送される車両の車輪が配置され得る領域にのみ配置されている。乗り入れプレート(205)は、穿孔したプレートにより構成される。ブーム(300)は下部パレット(100)の上で平らに畳まれて、持ち上げロッド(350)は前記ヨークの管状部(316)の中にできる限り挿入される。箱状の外形を有するフォークの入り口(250)は、装置(1)の横幅全長にわたって伸びている。
【0030】
図10は、まっすぐに立った状態の装置(1)の上面図を示している。この実施形態においては、所望の車両の車輪が置かれることとなるウェル(206)が設けられている。これは、車両を積んだ状態の装置の全体的な高さをさらに低くするためのものである。
【0031】
軽量化の観点から、装置全体はアルミニウム又はアルミニウム合金で作製することができる。前記装置を輸送手段に固定するために、当該装置に突起を設けることとすることができる。
【符号の説明】
【0032】
1 装置
100 下部パレット
110 第一の端
115 フォーク爪用ディフレクタ
120 第二の端
150 支持要素
155 保護要素
200 上部パレット
205 乗り入れプレート
206 車輪ウェル
210 貫通孔
220 スロット
230 乗り入れランプ
250 フォークの入り口
300 ブーム
310 調整ユニット
311 脚
312 ヒンジ
313 固定要素
314 保護要素
316 管状部
317 貫通孔
350 持ち上げロッド
351 持ち上げロッドの管状部
352 貫通孔
355 持ち上げロッドのフォーク状部
400 ボルト
410 鋼線
500 ボルト
510 鋼線
600 固定形状部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10