(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ミクロ細孔およびメソ細孔の領域において階層的多孔度を有する無機材料の調製方法であって、前記材料は、少なくとも2つの基本球状粒子によって構成され、該基本球状粒子は、200ミクロンの最大径を有し、前記球状粒子のそれぞれは、バナジウム、ニオブ、タンタル、モリブデン、タングステン、鉄、銅、亜鉛、コバルトおよびニッケルから選択される少なくとも1種の金属を含有する金属粒子を含み、前記金属粒子は、マトリクス内に存在し、該マトリクスは、メソ構造化されており、酸化ケイ素をベースとし、1〜60nmの範囲の厚さを有するミクロ多孔性の壁を有し、前記方法は、少なくとも以下の工程:
a)ケイ素をベースとする、最大ナノメートル寸法が60nmに等しいゼオライトナノ結晶、および/または、ケイ素をベースとするプロトゼオライト実体の前駆体要素、およびテンプレートを含有する溶液を調製する工程と;
b)溶液中、前記金属粒子または前記金属粒子の少なくとも1種の金属前駆体、少なくとも1種の界面活性剤、並びに、工程a)によって得られた少なくとも前記溶液を、無機および有機材料の体積の比、V無機/V有機が、0.29〜0.50の範囲であるように混合する工程と;
c)工程b)で得られた前記溶液のエアロゾル噴霧により、球状小滴の形成がもたらされる工程と;
d)前記粒子を乾燥させる工程と;
g)少なくとも前記テンプレートおよび少なくとも前記界面活性剤を除去する工程と;
を含む、方法。
前記工程d)の後に、前記工程d)から得られた粒子をオートクレーブ処理することからなる工程e)を行い、次いで、前記工程e)の終わりに得られた前記粒子を乾燥させることからなる工程f)を行う、請求項1に記載の調製方法。
前記ゼオライトナノ結晶は、MFI、BEA、FAUおよびLTAの構造型を有するゼオライトから選択される少なくとも1種のゼオライトを含み、および/または、前記プロトゼオライト実体は、MFI、BEA、FAUおよびLTAの構造型を有するゼオライトから選択される少なくとも1種のゼオライトを惹起するための少なくとも1種の種を含む、請求項2に記載の調製方法。
前記金属粒子は、モリブデン、タングステンおよびこれらの2種の金属の混合から選択される少なくとも1種の金属を含む酸化物ナノ粒子である、請求項4に記載の調製方法。
前記金属粒子は、前記工程b)の前に、前記金属粒子を得るために必要な金属前駆体(単数または複数)を、溶液中に溶解させることによって調製され、次いで、前記溶液は、前記工程b)による混合物中に導入される、請求項1〜8のいずれか1つに記載の調製方法。
前記工程g)を行った後に、工程g)の間に分解された、ポリオキソメタラートの形態の前記金属粒子を再生することからなる工程h)を含み、前記工程h)の後に乾燥工程i)が行われる、請求項5または6に記載の調製方法。
バナジウム、ニオブ、タンタル、モリブデンおよびタングステンから選択される金属をベースとする少なくとも1種の第1の単金属前駆体、および第VIII族金属をベースとする少なくとも1種の第2の単金属前駆体が、前記工程b)を行う前に溶解させられ、次いで、前記溶液は、前記工程b)による混合物中に導入される、請求項7に記載の調製方法。
少なくとも1種の硫黄含有化合物が、前記工程b)による混合物中に、あるいは、前記工程g)を行う時に導入される、請求項1〜11のいずれか1つに記載の調製方法。
炭化水素供給原料の転換方法であって、1)請求項1〜11のいずれか1つに記載の調製方法によって得られた無機材料を、少なくとも1種の硫黄含有化合物を含む供給原料と接触させること、次いで、2)前記工程1)から得られた前記材料を、前記炭化水素供給原料と接触させることを含む、方法。
【発明を実施するための形態】
【0024】
(発明の開示)
本発明は、ミクロ細孔およびメソ細孔の領域において階層的多孔度を有する無機材料の調製方法であって、前記材料は、少なくとも2つの基本球状粒子によって構成され、この基本球状粒子は、200ミクロンの最大径を有し、前記球状粒子のそれぞれは、バナジウム、ニオブ、タンタル、モリブデン、タングステン、鉄、銅、亜鉛、コバルトおよびニッケルから選択される少なくとも1種の金属を含有する金属粒子を含み、前記金属粒子は、マトリクス中に存在し、このマトリクスは、メソ構造化されており、酸化ケイ素をベースとし、1〜60nmの範囲の厚さを有するミクロ多孔性の壁を有し、前記方法は、少なくとも以下の工程:
a)ケイ素をベースとする、最大ナノメートル寸法が60nmに等しいゼオライトナノ結晶、および/または、ケイ素をベースとするプロトゼオライト実体の前駆体要素を含有する溶液を調製する工程と;
b)溶液中、前記金属粒子または前記金属粒子の少なくとも1種の金属前駆体、少なくとも1種の界面活性剤、並びに、工程a)によって得られた少なくとも前記溶液を、無機および有機材料の体積の比V
無機/V
有機が、0.29〜0.50の範囲であるように混合する工程と;
c)工程b)で得られた前記溶液のエアロゾル噴霧により、球状小滴を形成することとなる工程と;
d)前記粒子を乾燥させる工程と;
g)少なくとも前記テンプレートおよび少なくとも前記界面活性剤を除去する工程と;
を含む、方法に関する。
【0025】
前記工程a)、b)、c)、d)およびg)を含む本発明による前記調製方法は、本発明の主要な方法と称される。本発明の主要な方法によって調製される無機材料は、全体的に無定形のメソ構造化材料であり、これは、部分的に結晶質(混合型の無定形/結晶質)であるかまたは全体的に結晶質である。
【0026】
前記工程a)が、ケイ素をベースとするプロトゼオライト実体の前駆体要素、すなわち少なくとも1種のテンプレートおよび少なくとも1種のケイ素性剤のみを含有する溶液を調製することからなる場合、全体的に無定形のメソ構造化材料が本発明の主要な方法によって得られる:酸化ケイ素をベースとするマトリクスであって、本発明の主要な方法によって調製される前記無定形材料の球状粒子のそれぞれを形成するものは、プロトゼオライト実体によって構成される無定形壁を有し、このプロトゼオライト実体は、前記材料の球状粒子のそれぞれの中に存在するミクロ多孔度の原点にある。プロトゼオライト実体は、本発明の方法の前記工程a)によるゼオライトの合成のために用いられる試薬から調製される種であり、前記種の調製は、結晶質ゼオライトの形成の段階まで実施されない。このことは、前記プロトゼオライト実体(これは小さい)が広角X線回折によって特徴付けられる場合、それらが検出されないことを意味する。より正確には、かつ、本発明によると、本発明の主要な方法によって調製される前記無定形材料の球状粒子のそれぞれのマトリクスの無定形のミクロ多孔性の壁を構成するプロトゼオライト実体は、当業者に公知のあらゆるゼオライトの合成、特に、しかし包括的ではなく、"Atlas of zeolite framework types", 6th revised edition, 2007, C. Baerlocher, L. B. McCusker, D. H. Olsonに記録されたゼオライトの合成のためのプライマーとして作用することができる種である。本発明の主要な方法によって調製される無定形材料の粒子のそれぞれのマトリクスの無定形壁の構成要素であるプロトゼオライト実体であって、これらのミクロ多孔度の原点である、ものは、好ましくは、IZM−2、ZSM−5、ZSM−12、ZSM−48、ZSM−22、ZSM−23、ZBM−30、EU−2、EU−11、シリカライト、ベータ、ゼオライトA、フォージャサイト、Y、USY、VUSY、SDUSY、モルデナイト、NU−10、NU−87、NU−88、NU−86、NU−85、IM−5、IM−12、IM−16、フェリエライトおよびEU−1のゼオライトから選択される少なくとも1種のゼオライトのプライマー種である。非常に好ましくは、
前記材料の粒子のそれぞれのマトリクスの無定形壁を構成する前記プロトゼオライト実体は、MFI、BEA、FAUおよびLTAの構造型を有するゼオライトから選択される少なくとも1種のゼオライトを惹起するための種である。前記無定形材料は、ミクロ細孔およびメソ細孔の領域において階層的多孔度を有しかつメソ細孔(メソ構造)範囲において組織化された多孔度を有する材料である。
【0027】
前記工程a)が、ケイ素をベースとする、60nmに等しい最大ナノメートル寸法を有するゼオライトナノ結晶のみを含有する溶液を調製することからなる場合、全体的に結晶質のメソ構造化材料が本発明の主要な方法によって得られる:本発明の主要な方法によって調製される結晶質材料の球状粒子のそれぞれを形成する酸化ケイ素をベースとするマトリクスは、ゼオライト実体によって構成される結晶質壁を有し、ゼオライト実体はそれ自体が、前記材料の球状粒子のそれぞれ内に存在するミクロ多孔度の原点である。前記結晶質材料は、ミクロ細孔およびメソ細孔の領域において組織化された階層的多孔度を有する材料である。
【0028】
前記工程a)が、ケイ素をベースとする60nmに等しい最大ナノメートル寸法を有するゼオライトナノ結晶と、プロトゼオライト実体の前駆体要素、すなわち少なくとも1種のテンプレートおよび少なくとも1種のケイ素性剤との両方を含有する溶液を調製することからなる場合、部分的に結晶質のメソ構造化材料が本発明の主要な方法によって得られる:本発明の主要な方法によって調製される材料の球状粒子のそれぞれを形成する酸化ケイ素をベースとするマトリクスは、プロトゼオライト実体およびゼオライト実体から形成された部分的に結晶質の壁を有し、プロトゼオライト実体およびゼオライト実体はそれ自体が、前記材料の球状粒子のそれぞれ内に存在するミクロ多孔度の原点にある。より正確には、前記壁は、一方で無定形でありかつプロトゼオライト実体によって構成され、他方で結晶質でありかつゼオライト実体によって構成される。
【0029】
本発明の調製方法の第1の好ましい実施によると、前記工程d)の後に、前記工程d)から得られた粒子をオートクレーブ処理することからなる工程e)が行われ、次いで、前記e)の終わりに得られた前記粒子を乾燥させることからなる工程f)が行われる。前記工程f)の後、少なくとも前記テンプレートおよび少なくとも前記界面活性剤を除去するための前記工程g)が行われる。前記工程a)、b)、c)、d)、e)、f)およびg)を含む本発明の方法の前記第1の実施は、本発明の二次的な方法と称される。本発明の前記二次的な方法が有利であるのは、前記工程a)が、少なくともプロトゼオライト実体の前駆体要素を含有する溶液を調製することからなる場合である:オートクレーブ処理工程e)は、次いで、前記二次的な方法の前記工程a)の間に形成された前記プロトゼオライト実体を、結晶質ゼオライト実体に転換する。本発明の二次的な方法の前記工程a)は、より有利には、ケイ素をベースとする60nmに等しい最大ナノメートル寸法を有するゼオライトナノ結晶と、ケイ素をベースとするプロトゼオライト実体の前駆体要素との両方を含有する溶液を調製することによって行われる。本発明の二次的な方法によって調製された無機材料は、メソ構造化結晶質材料である:本発明の二次的な方法によって調製される材料の球状粒子のそれぞれを形成する酸化ケイ素をベースとするマトリクスは、ゼオライト実体によって構成される結晶質壁を有し、それらは、同様に、本発明の材料の球状粒子のそれぞれ内に存在するミクロ多孔度の原点にある。本発明の二次的な方法によって得られた前記結晶質材料は、ミクロ細孔およびメソ細孔の領域において組織化された階層的多孔度を有する材料である。
【0030】
用語「本発明の方法」は、本発明の主要な方法、本発明の二次的な方法および本明細書の以降に記載される方法の種々の実施を指定するために無差別に用いられる。
【0031】
本発明の前記主要な方法によるかまたは本発明の前記二次的な方法によって得られる無機結晶質材料は、ミクロ細孔およびメソ細孔の領域において組織化した階層的多孔度を有する材料である。前記材料を構成する前記球状粒子のそれぞれのマトリクスは、ゼオライト実体によってもっぱら構成される結晶質壁を有し、このゼオライト実体は、同様に、上述の前記プロトゼオライト実体から得られ
、オートクレーブ処理の前記工程e)(本発明の二次的方法)を経るか、および/または、本発明の主要な方法または本発明の二次的な方法の前記工程a)中に存在するゼオライトナノ結晶から得られる。特に、前記ゼオライト実体であって、本発明の主要なまたは二次的な方法によって調製された結晶質材料の粒子のそれぞれのマトリクスの結晶質壁を構成し、かつ、そのミクロ多孔度の原点にあるものは、好ましくは、IZM−2、ZSM−5、ZSM−12、ZSM−48、ZSM−22、ZSM−23、ZBM−30、EU−2、EU−11、シリカライト、ベータ、ゼオライトA、フォージャサイト、Y、USY、VUSY、SDUSY、モルデナイト、NU−10、NU−87、NU−88、NU−86、NU−85、IM−5、IM−12、IM−16、フェリエライトおよびEU−1のゼオライトから選択される少なくとも1種のゼオライトを含む。非常に好ましくは、前記結晶質材料の粒子のそれぞれのマトリクスの結晶質壁を構成する前記ゼオライト実体は、MFI、BEA、FAUおよびLTAの構造型を有するゼオライトから選択される少なくとも1種のゼオライトを含む。前記ゼオライト実体は、60nm以下、有利には30nm以下の寸法を有する。
【0032】
本発明の方法によって調製された材料は、ミクロ細孔およびメソ細孔の領域において階層的多孔度を有しかつ、少なくともメソ細孔領域において組織化した材料である。本発明において用いられるような、用語「階層的でかつ組織化した多孔度を有する材料」は、前記球状粒子のそれぞれのスケールにおいて二重の多孔度を有する材料を意味する:メソ多孔度、すなわち、1.5〜30nmの範囲、好ましくは2〜20nmの範囲、非常に好ましくは2〜15nmの範囲の一様な径(すなわち、各メソ細孔について同一)を有するメソ細孔スケールで組織化し、かつ前記粒子のそれぞれの中で均一かつ規則正しい方法で分散した細孔の存在(メソ構造化)、並びに、酸化ケイ素をベースとする各マトリクスの壁によって誘発されたミクロ多孔度であって、このミクロ多孔度の特徴は、本発明の主要な方法によって得られた無定形材料の球状粒子のそれぞれのマトリクスの無定形壁を構成するプロトゼオライト実体、または本発明の主要な方法または二次的な方法によって得られた結晶質材料の球状粒子のそれぞれのマトリクスの結晶質壁を構成するゼオライト実体、あるいは、本発明の主要な方法によって得られた部分的に結晶質の材料の球状粒子のそれぞれのマトリクスの部分的に結晶質の壁を構成する実際のプロトゼオライト実体およびゼオライト実体のいずれかに応じる、ミクロ多孔度。ミクロ多孔度は、前記壁内のミクロ細孔の存在によって特徴付けられ、1.5nm未満の径を有する。本発明の方法に従って得られた材料はまた、粒子内の表面組織的マクロ多孔度を有する。留意すべきことは、ミクロ多孔性の性質の多孔度はまた、前記材料の無機成分のメソ構造化の間に発展させられる、有機−無機界面における、本発明の調製方法の前記工程b)の間に用いられる界面活性剤と無機壁との相互浸透(interpenetration)に由来し得ることである。有利には、本発明の方法に従って得られた材料を構成する球状粒子はどれもマクロ細孔を有しない。
【0033】
本発明の方法によって調製された材料を構成する球状粒子のそれぞれの中に含まれる、酸化ケイ素をベースとするマトリクスは、メソ構造化されている:それは、1.5〜30nmの範囲、好ましくは2〜20nmの範囲、非常に好ましくは2〜15nmの範囲で一様な、すなわち、各メソ細孔について同一の径を有し、球状粒子のそれぞれにおいて均一かつ規則正しく分散するメソ細孔を有する。前記球状粒子のそれぞれのメソ細孔間に位置する材料は、ミクロ多孔性でありかつ、無定形であるか、部分的に結晶質であるか、全体的に結晶質であるかのいずれかの性質のものである。それは、1〜60nmの範囲、好ましくは1〜30nmの範囲の厚さを有する壁または仕切りを形成する。壁の厚さは、第1のメソ細孔を第2のメソ細孔から隔てる距離に相当し、第2のメソ細孔は、前記第1のメソ細孔に最も近い細孔である。上述のメソ細孔の組織化により、六方晶系、バーミキュラまたは立方晶系であってよく、好ましくはバーミキュラである、酸化ケイ素をベースとするマトリクスの構造がもたらされる。
【0034】
本発明によると、前記金属粒子は、本発明の方法によって調製された材料の前記球状粒子のそれぞれの中に含まれるマトリクス中に均一かつ一様な方法で捕捉されている。それらは、有利には、バナジウム、ニオブ、タンタル、モリブデンおよびタングステンから選択される少なくとも1種の金属を含有する。前記金属粒子は、特に、ラマン分光法によって特徴付けられ、750〜1050cm
−1の範囲の波数を有する少なくとも1つのバンドを有する。ラマン分光法は、当業者に周知の技術である。より正確には、前記金属粒子は、750〜950cm
−1の範囲または950〜1050cm
−1の範囲の波数を有する少なくとも1つのバンドを有する。750〜950cm
−1の範囲の波数を有するバンドは、反対称性の(M−O−M)結合伸縮または対称性の(−O−M−O−)結合伸縮に帰属し得る。950〜1050cm
−1の範囲の波数を有するバンドは、末端M=O結合の伸縮モードに帰属し得る。M−O−M、−O−M−O−およびM=O結合中に存在する元素Mは、好ましくは、バナジウム、ニオブ、タンタル、モリブデンおよびタングステン、ならびにこれらの金属の混合から選択される。前記金属粒子を識別するために用いられるラマン装置は、本明細書の以降に記載される。前記金属粒子は、0.3〜3nmの範囲、好ましくは0.3〜2nmの範囲の平均寸法を有し、より好ましくは、それは、0.3nm以上、かつ、厳密に1nm未満である。前記金属粒子の寸法は、有利には、透過電子顕微鏡法(transmission electron microscopy:TEM)によって測定される。TEMにおける金属粒子の検出がないことは、前記金属粒子が、1nm未満の寸法を有することを意味する。前記金属粒子は、好ましくは、式(X
xM
mO
yH
h)
q−を有するポリオキソメタラートの形態の金属粒子、および酸化物ナノ粒子の形態の金属粒子から選択される;このタイプの金属粒子の定義は、以下に示される。
【0035】
好ましくは、前記金属粒子は、式(X
xM
mO
yH
h)
q−(I)を有するポリオキソメタラートの形態であり、ここで、Hは水素原子であり、Oは酸素原子であり、Xは、リン、ケイ素、ホウ素、ニッケルおよびコバルトから選択される元素であり、Mは、バナジウム、ニオブ、タンタル、モリブデン、タングステン、鉄、銅、亜鉛、コバルトおよびニッケルから選択される1種以上の元素であり、xは、0、1、2、または4に等しく、mは、5、6、7、8、9、10、11、12または18に等しく、yは、17〜72の範囲であり、hは、0〜12の範囲であり、qは1〜20の範囲である(y、hおよびqは整数である)。この式の定義において、本発明の関連の中で、元素H、X、MおよびOは、ポリオキソメタラートの構造中に存在することが意図されている。式(I)を有するポリオキソメタラートの形態の前記金属粒子は、ラマン分光法において750〜1050cm
−1の範囲の波数を有する少なくとも1つのバンドの存在によって特徴付けられる。式(I)を有するポリオキソメタラートの形態の前記金属粒子は、0.6〜3nmの範囲、好ましくは0.6〜2nmの範囲の平均径を有し、より好ましくは、それは、0.6nm以上かつ厳密に1nm未満である。本発明の方法によって調製された材料の前記球状粒子のそれぞれの中に含まれるマトリクス中に捕捉された、式(X
xM
mO
yH
h)
q−を有するポリオキソメタラートの形態の前記金属粒子は、有利には、原子Mを有し、ここで、酸化数は、+IV、+Vおよび/または+VIに等しく、Mは、好ましくは、バナジウム、ニオブ、タンタル、モリブデンおよびタングステン、並びに、これらの金属の混合から選択される。ポリオキソメタラートの形態の金属粒子は、均一かつ一様な方法でマトリクス中に捕捉されている。
【0036】
本発明によると、式(I)を有するポリオキソメタラートの形態の前記金属粒子は、イソポリアニオンおよびヘテロポリアニオン(HPA)から選択される。それらは、ラマン分光法において750〜1050cm
−1の範囲の波数を有する少なくとも1つのバンドの存在によって特徴付けられる。
【0037】
本発明の方法によって調製された材料の前記球状粒子のそれぞれの中に含まれるマトリクス中に捕捉されたイソポリアニオンおよびヘテロポリアニオンは、著作物Heteropoly and Isopoly Oxometallates, Pope, Ed Springer-Verlag, 1983に詳細に記載されている。好ましくは、式(I)を有する前記金属粒子は、ヘテロポリアニオンである。式(I)を有する前記金属粒子であって、好ましくはヘテロポリアニオンの形態のものは、同一または異なる性質の正の電荷を帯びた対イオンによって補われた負の電荷qを帯びた塩である。対イオンは、有利には、金属カチオン、特に第VIII族金属のカチオン、例えば、Co
2+、Ni
2+、プロトンH
+および/またはアンモニウムカチオンNH
4+によって提供される。対イオンの全てがプロトンH
+である場合、用語「ヘテロポリ酸」は、一般的に、式(I)を有する前記金属粒子が存在する形態を指定するために用いられる。そのようなヘテロポリ酸の例は、リンモリブデン酸(3H
+・PMo
12O
403−)またはリンタングステン酸(3H
+・PW
12O
403−)である。
【0038】
酸化ケイ素をベースとする前記マトリクスのそれぞれの中にイソポリアニオンの形態の金属粒子を捕捉することからなる、本発明の方法によって調製された材料の第1の実施形態によると、上記一般式(I)において生じている元素Xは存在せずx=0である。元素Mは、バナジウム、ニオブ、タンタル、モリブデン、タングステン、コバルトおよびニッケルから有利に選択される1種以上の元素である。より好ましくは、元素Mは、バナジウム、ニオブ、タンタル、モリブデンおよびタングステンから選択される1種以上の元素である。前記一般式(I)中の元素Mとしてのコバルトおよび/またはニッケルは、有利には、バナジウム、ニオブ、タンタル、モリブデンおよびタングステンから選択される1種以上の元素Mとの混合として存在する(1種以上の元素M=V、Nb、Ta、MoまたはWのNiおよび/またはCoによる部分置換)。好ましくは、一般式(I)中に存在する元素Mのm個の原子は、全てMo原子のみ、または全てW原子のみ、またはMoおよびW原子の混合、またはWおよびNb原子の混合、またはMoおよびV原子の混合、またはWおよびV原子の混合、またはMoおよびCo原子の混合、またはMoおよびNi原子の混合、またはWおよびNi原子の混合のいずれかである。前記第1の実施形態によると、mは、5、6、7、8、9、10、11、12または18に等しい。より一層好ましくは、mは、6、7または12に等しい。元素Mがモリブデン(Mo)である特定の場合、mの値は、好ましくは7である。元素Mがタングステン(W)である別の特定の場合、mの値は、好ましくは12である。一般式(I)において、Oは、元素酸素を指定し、17≦y≦48である。qは、イソポリアニオンの電荷を指定し、ここで、3≦q≦12であり、Hは、元素水素であり、ここで、h=0〜12である。前記第1の実施形態による好ましいイソポリアニオンは、式H
2W
12O
406−(h=2、m=12、y=40、q=6)、または再び、式Mo
7O
246−(h=0、m=7、y=24、q=6)を有する。
【0039】
酸化ケイ素をベースとする前記マトリクスのそれぞれの中に、ヘテロポリアニオン(HPAと示される)の形態の金属粒子を捕捉することからなる、本発明の方法によって調製された材料の第2の実施形態によると、元素Xは、ヘテロポリアニオン構造において中心原子であり、P、Si、B、NiおよびCoから選択され、x=1または2である。元素Mは、金属原子であり、これは、有利には、ヘテロポリアニオンの構造において系統的な正八面体配位である。元素Mは、1種以上の元素であり、これは、有利には、バナジウム、ニオブ、タンタル、モリブデン、タングステン、コバルトおよびニッケルから選択される。より好ましくは、元素Mは、バナジウム、ニオブ、タンタル、モリブデンおよびタングステンから選択される1種以上の元素である。前記一般式(I)における元素Mとしてのコバルトおよび/またはニッケルは、有利には、バナジウム、ニオブ、タンタル、モリブデンおよびタングステンから選択される1種以上の元素Mとの混合として存在する(1種以上の元素M=V、Nb、Ta、MoおよびWのNiおよび/またはCoによる部分置換)。好ましくは、一般式(I)中に存在するm個のM原子は、全てMo原子のみ、または全てW原子のみ、またはMoおよびW原子の混合、またはWおよびNb原子の混合、またはMoおよびV原子の混合、またはWおよびV原子の混合、またはMoおよびCo原子の混合、またはMoおよびNi原子の混合、またはWおよびNi原子の混合のいずれかである。前記第2の実施形態によると、mは、5、6、7、8、9、10、11、12または18に等しく、好ましくは、5、6、9、10、11、12または18に等しい。一般式(I)において、Oは、元素酸素を指定し、yは、17〜72の範囲、好ましくは23〜42の範囲であり、qは、ヘテロポリアニオンの電荷を指定し、1≦q≦20、好ましくは3≦q≦12であり、Hは、元素水素であり、h=0〜12である。
【0040】
ヘテロポリアニオンであって、有利には、本発明の方法によって調製された材料の前記球状粒子のそれぞれの中に含まれるマトリクス中に捕捉されたものの第1の好ましいカテゴリー(本発明の方法によって調製された材料の第2の実施形態)は、前記ヘテロポリアニオンが、式XM
6O
24H
hq−(式中、x=1、m=6、y=24、q=3〜12およびh=0〜12)および/または式X
2M
10O
38H
hq−(式中、x=2、m=10、y=38、q=3〜12およびh=0〜12)を有するようにされ、H、X、M、O、h、x、m、yおよびqは、上記の一般式(I)に与えられるものと同一の定義を有する。このようなヘテロポリアニオンは、アンダーソン型ヘテロポリアニオンと称される(Nature, 1937, 150, 850)。それらは、同一平面上に位置しかつ縁部を介して一緒に結合された7個の八面体を含む:6個の八面体が、ヘテロ元素Xを含有する中心の八面体を取り囲んでいる。ヘテロポリアニオンCoMo
6O
24H
63−およびNiMo
6O
24H
64−は、前記メソ構造化マトリクスのそれぞれの中に捕捉されたアンダーソン型ヘテロポリアニオンの良い例であり、CoおよびNiは、それぞれ、HPA構造のヘテロ元素Xである。それらが、コバルトまたはニッケルの塩の形態である場合(すなわち、コバルトまたはニッケルがカチオンとして存在し、これにより、HPAの負の電荷が補われる場合)、式CoMo
6O
24H
63−およびNiMo
6O
24H
64−を有するそのようなアンダーソン型ヘテロポリアニオンは、0.4〜0.6の範囲、すなわち、当業者に知られる最適な比に近いか若しくは等しく、かつ、水素化処理触媒の性能を最大にするために0.4〜0.6の範囲に原子比[(プロモータ=Coおよび/またはNi)/Mo]を達成するという利点を有し、この原子比の計算のために考慮されるCoおよび/またはNiは、対イオンおよび構造HPAのヘテロ元素Xの両方として存在するCoおよび/またはNiである。例として、モノマー性の6−モリブドコバルタートイオンのコバルトまたはニッケルの塩(式CoMo
6O
24H
63−・3/2Co
2+、またはCoMo
6O
24H
63−・3/2Ni
2+)、並びに、ダイマー性のデカモリブドコバルタートイオンのコバルトまたはニッケルの塩(式Co
2Mo
10O
38H
46−・
3Co
2+またはCo
2Mo
10O
38H
46−・3Ni
2+)は、それぞれ、0.41および0.5の原子比[(プロモータ=Coおよび/またはNi)/Mo]によって特徴付けられる。再び、例として、モノマー性の6−モリブドニッケラートイオンのコバルトまたはニッケルの塩(式NiMo
6O
24H
64−・2Co
2+およびNiMo
6O
24H
64−・2Ni
2+)、並びに、ダイマー性のデカモリブドニッケラートイオンのコバルトまたはニッケルの塩(式Ni
2Mo
10O
38H
48−・4Co
2+およびNi
2Mo
10O
38H
48−・4Ni
2+)は、それぞれ、0.5および0.6の原子比[(プロモータ=Coおよび/またはNi)/Mo]によって特徴付けられ、この原子比の計算のために考慮されるCoおよび/またはNiは、対イオンおよびHPA構造のヘテロ元素Xの両方として存在するCoおよび/またはNiである。HPAがコバルト(X=Co)およびモリブデン(M=Mo)をその構造中に含有する場合、それは好ましくはダイマー性である。前記HPAの、モノマー性およびダイマー性のこれら2つの形態の混合物が用いられてよい。HPAがニッケル(X=Ni)およびモリブデン(M=Mo)をその構造中に含有する場合、それは、好ましくはモノマー性である。前記HPAのこれら2つの形態であるノマー性およびダイマー性のものの混合物が用いられてもよい。非常に好ましくは、本発明の方法によって調製される材料を得るために用いられるアンダーソン型HPAは、コバルトおよびモリブデンをその構造中に含むダイマー性のHPAであり、HPAの塩の対イオンがコバルトであるCo
II3[Co
III2Mo
10O
38H
4]またはニッケルであるNi
II3[Co
III2Mo
10O
38H
4]であってよい。
【0041】
ヘテロポリアニオンであって、有利には、本発明の方法によって調製された材料の前記球状粒子のそれぞれの中に含まれるマトリクス中に捕捉されたものの第2の好ましいカテゴリー(本発明の方法によって調製された材料の第2の実施形態)は、前記ヘテロポリアニオンが式XM
12O
40H
hq−(x=1、m=12、y=40、h=0〜12、q=3〜12)および/または式XM
11O
39H
hq−(x=1、m=11、y=39、h=0〜12、q=3〜12)を有するようにされ、式中、H、X、M、O、h、x、m、yおよびqは、上記一般式(I)において与えられたものと同一の定義を有する。式XM
12O
40H
hq−を有するヘテロポリアニオンは、ケギン型構造(Keggin structure)を有するヘテロポリアニオンであり、式XM
11O
39H
hq−を有するヘテロポリアニオンは、間隙ケギン型構造(lacunary Keggin structure)を有するヘテロポリアニオンである。ケギン型構造を有するヘテロポリアニオンは、種々のpH範囲について、A. Griboval, P. Blanchard, E. Payen, M. Fournier, J. L. Duboisによって刊行物Chem. Lett., 1997, 12, 1259において記載された製造経路を用いて得られる。ケギン型構造を有するヘテロポリアニオンはまた、第VIII族金属元素、好ましくはコバルトまたはニッケルが、式XM
12O
40H
hq−中に存在する金属Mに対して置換される、置換された形態で知られている:そのような置換型ケギン種の例は、ヘテロポリアニオンPNiMo
11O
40H
6−またはPCoMo
11O
40H
6−である(1個のMo原子が1個のNi原子または1個のCo原子でそれぞれ置換される)。種PCoMo
11O
40H
6−は、例えば、L. G. A. van de Waterらによる刊行物J. Phys. Chem. B, 2005, 109, 14513に記載された手順に従って調製される。他の置換型ケギン種であって、有利には、本発明の方法によって調製された材料の前記球状粒子のそれぞれの中に含まれるメソ構造化マトリクス中に捕捉されたものは、種PVMo
11O
404−、PV
2Mo
10O
405−、PV
3Mo
9O
406−またはPV
4Mo
8O
407−である(1個以上のV原子が、元素Mとして作用する1個以上のMo原子と置換する):これらの種およびそれらの調製様式は、D. Soogundらによる刊行物Appl. Catal. B, 2010, 98, 1, 39に記載されている。他の置換ケギン型ヘテロポリアニオン種は、種PMo
3W
9O
403−、PMo
6W
6O
403−、PMo
9W
3O
403−である。さらにより置換されたケギン型ヘテロポリアニオン種およびそれらの調製様式が、特許出願FR 2.764.211に記載されている:前記種は、式Z
wXM
11O
40Z’C
(z−2w)を有する。Zはコバルトおよび/またはニッケルであり、Xはリン、ケイ素またはホウ素であり、Mはモリブデンおよび/またはタングステンであり、Z’は、元素Mの原子と置換する原子であり、かつ、コバルト、鉄、ニッケル、銅および亜鉛から選択され、CはH
+イオンまたはアルキルアンモニウムカチオンであり、Cは、Zと同様、対イオンとして作用し、wは0〜4.5の値をとり、zは7〜9の値である。本発明の方法によって調製された材料を配備するのに特に適切でかつこの式を有するヘテロポリ化合物(ヘテロポリアニオン+対イオン)の例は、PCoMo
11O
40H(NH
4)
6、PNiMo
11O
40H(NH
4)
6、SiCoMo
11O
40H
2(NH
4)
6、Co
3PCoMo
11O
40HおよびCo
3PNiMo
11O
40Hの種であり、これらの調製は、出願FR 2.764.211に詳細に記載されている。特許出願FR 2.764.211に記載されるヘテロポリアニオンが有利であるのは、それらが、0.5以下であってもよい第VIII族元素と第VI族元素との間の原子比を有するからである。
【0042】
式XM
12O
40q−(式中、Xは、リン、ケイ素およびホウ素から選択され、Mは、モリブデンおよび/またはタングステンから選択される)を有するケギン型ヘテロポリアニオンと対イオンとしてコバルトおよび/またはニッケルを有するものは、特許US 2.547.380および特許出願FR 2.749.778に記載されている。特に、特許US 2.547.380には、水素化処理適用のためのリンモリブデン酸、ケイモリブデン酸、リンタングステン酸またはケイタングステン酸のコバルトまたはニッケル塩等の第VIII族金属のヘテロポリ酸の塩の、水素化処理方法における有益な使用が開示されている。例として、式3/2Ni
2+・PW
12O
403−を有し、Ni/W比が0.125であるリンタングステン酸ニッケルおよび式3/2Co
2+・PMo
12O
403−を有するリンモリブデン酸コバルトが用いられてよい。ヘテロポリ化合物Co
7/2PMo
12O
40、Co
4SiMo
12O
40、Co
7/2SiMo
12O
40およびCo
6PMo
12O
40の具体的な調製のために特許出願FR 2.749.778に特定の調製方法が記載され、これらは、本発明の方法によって調製される材料の球状粒子のそれぞれの中に含まれるマトリクスに捕捉される金属粒子としての使用に特に適している。特許出願FR 2.749.778に開示されたヘテロポリ化合物が、特に、特許US 2.547.380において開示されたものと比較して興味深いのは、それらが、より高い原子比(第VIII族元素/第VI族元素)を有し、それ故に、より良好な性能の触媒をもたらすからである。この比の増加は、HPAを低減させることによって得られる。したがって、存在するモリブデンまたはタングステンのうち少なくともある程度は、その通常の値6より小さい原子価を有し、これは、組成、例えば、リンモリブデン酸、リンタングステン酸、ケイモリブデン酸またはケイタングステン酸の組成に由来する。
【0043】
間隙ケギン型構造を有しかつ本発明の材料の調製に特に適したヘテロポリアニオンは、特許出願FR 2.935.139に記載されている。それらは、式Ni
a+y/2XW
11−yO
39−5/2y,bH
2Oを有し、ここで、Niはニッケルであり、Xは、リン、ケイ素およびホウ素から選択され、Wはタングステンであり、Oは酸素であり、y=0または2であり、Xがリンであるならばa=3.5であり、Xがケイ素であるならばa=4であり、Xがホウ素であるならばa=4.5であり、bは0〜36の範囲の数である。前記ヘテロポリアニオンは、タングステン原子と置換するニッケル原子をそれらの構造中に有さず、前記ニッケル原子は、前記ヘテロポリアニオンの構造において対イオンの位置に置かれている。これらのヘテロポリアニオン塩が有利であるのは、それらの高い溶解性のためである。特許出願FR 2.935.139の教示によると、本発明による材料の調製のために有利なヘテロポリアニオンは、式Ni
4SiW
11O
39およびNi
7/2PW
11O
39を有する。
【0044】
ヘテロポリアニオンであって、有利には、本発明の方法によって調製された材料の前記球状粒子のそれぞれの中に含まれるマトリクス中に捕捉されるものの第3の好ましいカテゴリー(本発明の方法によって調製された材料の第3の実施形態)は、前記ヘテロポリアニオンが式P
2Mo
5O
23H
h(6−h)−(式中、h=0、1または2である)を有するようにされる。そのようなヘテロポリアニオンは、ストランドバーグ型ヘテロポリアニオン(Strandberg heteropolyanion)と称される。ストランドバーグ型HPAの調製は、W-C. Chengらによる論文J. Catal., 1988, 109, 163に記載されている。以来、ヘテロポリアニオンP
2Mo
5O
23H
h(6−h)−(式中、h=0、1または2である)、特にヘテロポリアニオンP
2Mo
5O
23H
24−の使用は、水素化処理適用のために特に有利であることが、J. A. Bergwerff, et al., Journal of the American Chemical Society 2004, 126, 44, 14548によって示された。
【0045】
有利には、本発明の方法によって調製される前記無機材料を構成する基本球状粒子は、上記の第1の、第2のおよび/または第3のカテゴリーから選択されるヘテロポリアニオンの形態の金属粒子を含む。特に、前記金属粒子は、同一のカテゴリーに属する異なる式を有するHPAの混合物から、または異なるカテゴリーに属するHPAの混合物から形成されてよい。例として、PW
12O
403−タイプのHPAを単独で、あるいはケギン型タイプのHPAである、PMo
12O
403−、PCoMo
11O
40H
6−およびP
2Mo
5O
23H
24−との混合物として用いることが有利であり、これらは当業者に周知である。
【0046】
本発明の方法によって調製された材料の別の実施形態によると、前記球状粒子のそれぞれの中に含まれる酸化ケイ素をベースとするマトリクス中に捕捉された金属粒子は、ラマン分光法において750〜1050cm
−1の範囲の波数を有する少なくとも1つのバンドの存在によって特徴付けられる酸化物ナノ粒子である。前記酸化物ナノ粒子は、バナジウム、ニオブ、タンタル、モリブデン、タングステンおよびこれらの金属の混合物から選択される少なくとも1種の金属を含む。非常に好ましくは、前記酸化物ナノ粒子は、モリブデン、タングステンおよびこれらの2種の金属の混合物から選択される少なくとも1種の金属を含む。バナジウム、ニオブ、タンタル、モリブデン、タングステンおよびこれらの混合物から選択される前記金属、好ましくはモリブデンまたはタングステンは、酸素環境下にある。前記酸化物ナノ粒子の例は、モノモリブデン酸種、モノタングステン酸種、ポリモリブデン酸種またはポリタングステン酸種である。このような種、特にポリモリブデン酸種は、B. UmbarkarらによってJournal of Molecular Catalysis A: Chemical, 310, 2009, 152Sに記載されている。
【0047】
前記酸化物ナノ粒子は、3nm以下、好ましくは厳密に1nm未満、かつ、0.3nm以上の寸法を有する。前記酸化物ナノ粒子は、透過電子顕微鏡法(TEM)によって、および、それらの寸法が1nm超である場合にはXRDによって検出される。これを超えると、TEMにおける検出がないことは、1nm未満の寸法を有するナノ粒子の存在を示す。前記金属ナノ粒子は、単金属前駆体、例えば、本発明の明細書の以降において記載されるものを用いて調製される。
【0048】
本発明による調製方法の前記工程a)によると、ケイ素をベースとする60nmに等しい最大ナノメートル寸法を有するゼオライトナノ結晶および/またはケイ素をベースとするプロトゼオライト実体の前駆体要素を含有する溶液は、当業者に公知の操作手順を用いて調製される。
【0049】
本発明による調製方法の前記工程a)の第1の実施によると、ケイ素をベースとするプロトゼオライト実体の前駆体要素を含有する溶液が調製される。より具体的には、少なくとも1種のテンプレートと少なくとも1種のケイ素性前駆体が混合されて、これにより、ケイ素をベースとするプロトゼオライト実体の前駆体要素を含有する溶液が調製される。前記プロトゼオライト実体を調製するための前記工程a)を行うために用いられるケイ素性前駆体は、当業者に周知の酸化ケイ素前駆体から選択される。特に、ゼオライトの合成において通常用いられるケイ素性前駆体から選択されるケイ素性前駆体が有利に用いられる;例として、以下のものが用いられてよい:固体粉末シリカ、ケイ酸、コロイダルシリカ、溶解シリカ、または、式Si(OR)
4−aR’
a(式中、R=H、メチルまたはエチルであり、R’は、アルキル鎖または官能基化されたアルキル鎖であり、aは例えば0〜4の範囲である)を有するアルコキシドタイプのケイ素性前駆体、例えば、オルトケイ酸テトラエチル(tetraethylorthosilicate:TEOS)としても知られるテトラエトキシシラン。好ましくは、ケイ素性前駆体は、TEOSである。前記プロトゼオライト実体を調製するための前記工程a)を行うために用いられるテンプレートは、前記プロトゼオライト実体から得られるゼオライトの性質に応じて、イオン性または中性であってよい。頻繁には、以下の非包括的リストからの有機テンプレートが用いられる:窒素含有有機カチオン、例えば、テトラプロピルアンモニウム(tetrapropylammonium:TPA)、クラウンエーテル、ジアミン、並びに、当業者に周知のゼオライトの合成のための任意の他の有機テンプレート。好ましくは、前記有機テンプレートは、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、TPAOHである。
【0050】
本発明による調製方法の前記工程a)の前記第1の実施によると、前記工程a)は、有利には、アルミニウム、鉄、ホウ素、インジウムおよびガリウムから選択される少なくとも1種の元素Yの少なくとも1種の前駆体の存在下で行われる。元素Yの前記前駆体であって、有利には、前記プロトゼオライト実体を調製するための前記工程a)を行うために用いられるものは、元素Yを含み、かつこの元素を溶液中、特に水性または水−有機の溶液中に、活性な形態で遊離させることができるあらゆる化合物であってよい。Yがアルミニウムである好ましい場合において、アルミナ前駆体は、有利には、式AlZ
3(式中、Zは、ハロゲン、ニトラートまたは水酸化物である)を有する無機アルミニウム塩である。好ましくは、Zは塩素である。アルミナ前駆体は、式Al
2(SO
4)
3を有する硫酸アルミニウムであってもよい。アルミナ前駆体はまた、式Al(OR)
3(式中、R=エチル、イソプロピル、n−ブチル、s−ブチル(Al(O
sC
4H
9)
3)またはt−ブチル)を有する有機金属前駆体、あるいは、キレート前駆体、例えばアルミニウムアセチルアセトナート(Al(C
5H
8O
2)
3)であってよい。好ましくは、Rは、s−ブチルである。アルミナ前駆体は、アルミン酸アンモニウムまたは、当業者に知られたその結晶質相の一つにおける適切なアルミナ(アルファ、デルタ、シータ、ガンマ)であってもよく、好ましくは水和された形態であるか水和され得る形態である。上記前駆体の混合物を用いることも可能である。アルミナおよびケイ素性前駆体の一部または全部は、場合により、アルミニウム原子およびケイ素原子の両方を含む単一の化合物、例えば、無定形シリカアルミナの形態で添加されてよい。
【0051】
本発明による調製方法の前記工程a)の前記第1の実施によると、一般に、前記プロトゼオライト実体の前駆体要素を含有する溶液は、少なくとも1種のケイ素性前駆体、場合による、アルミニウム、鉄、ホウ素、インジウムおよびガリウムから選択される少なくとも1種の元素Yの少なくとも1種の前駆体、好ましくは、少なくとも1種のアルミナ前駆体、および、少なくとも1種のテンプレート、好ましくは有機の性質のものを含む反応混合物を調製することにより得られる。反応混合物は、水性または水−有機性のいずれかであり、例えば水−アルコール混合物である。反応混合物は、水熱条件下、自己生成圧力下、場合により、ガス、例えば窒素を添加することによって置かれてよい。前記工程a)は、好ましくは、周囲温度から200℃までの範囲、好ましくは周囲温度から170℃までの範囲の温度で、より好ましくは120℃を超えない温度で、より一層好ましくは60℃を超えない温度で、本発明の方法に従って得られた材料の球状粒子のそれぞれのマトリクスのミクロ多孔性の壁を構成するプロトゼオライト実体を含有する溶液が形成されるまで行われる。好ましい操作の実施において、少なくとも前記テンプレート、少なくとも前記ケイ素性前駆体、および有利には、アルミニウム、鉄、ホウ素、インジウムおよびガリウムから選択される少なくとも1種の元素Yの少なくとも前記前駆体を含む反応混合物は、周囲温度で成熟させられ、これにより、本発明の方法に従って得られた材料の球状粒子のそれぞれのマトリクスのミクロ多孔性の壁を構成するプロトゼオライト実体を含有する溶液が得られる。
【0052】
本発明による調製方法、特に本発明の二次的な方法の前記工程a)の前記第1の実施を行うことにより得られるプロトゼオライト実体は、ゼオライト実体の形成における中間体である種である。本発明の二次的な方法の工程d)の終わりに得られる材料のミクロ多孔性の壁を構成するプロトゼオライト実体の転換は、本発明の前記二次的な方法のオートクレーブ処理工程e)の結果であり、これにより、上記のゼオライト実体によって全体的に構成される結晶質のミクロ多孔性の壁の形成がもたらされる。プロトゼオライト実体のゼオライト実体への転換の後、当業者に公知の分析技術である、広角X線回折が行われる(最も小さい検出可能な結晶質ゼオライト実体に相当するシグナルの検出までの応答はない)。
【0053】
本発明による調製方法の前記工程a)の第2の実施によると、60nmに等しい最大ナノメートル寸法を有する、ケイ素をベースとするゼオライトナノ結晶が分散したコロイド溶液が調製され、これは、少なくとも1種のテンプレート、少なくとも1種のケイ素性前駆体、並びに、好ましくは、アルミニウム、鉄、ホウ素、インジウムおよびガリウムから選択される少なくとも1種の元素Yの少なくとも1種の前駆体、好ましくは少なくとも1種のアルミナ前駆体から出発する。前記ケイ素性前駆体、少なくとも前記元素Yの前記前駆体、好ましくはアルミナ前駆体、および前記テンプレートは、有利には、本発明による調製方法の前記工程a)の前記第1の実施によるプロトゼオライト実体の前駆体要素を含有する前記溶液を調製するための上記の化合物から選択される。本発明による調製方法の前記工程a)の前記第2の実施によると、少なくとも1種のケイ素性前駆体と、好ましくは、アルミニウム、鉄、ホウ素、インジウムおよびガリウムから選択される少なくとも1種の元素Yの少なくとも1種の前駆体、好ましくは少なくとも1種のアルミナ前駆体と、少なくとも1種のテンプレートとを含む反応混合物は、水性または水−有機性、例えば水−アルコール混合物のいずれかである。反応混合物は、有利には、水熱条件下、自己生成圧力下で、場合によりガス、例えば窒素を添加することにより、50〜200℃の範囲、好ましくは60〜170℃の範囲、より好ましくは60〜120℃の範囲の温度で、60nmに等しい最大ナノメートル寸法を有するゼオライトナノ結晶が形成されるまで用いられる。好ましくは、反応混合物は、70〜100℃の範囲の温度で、3〜6日の範囲の期間にわたり成熟させられる。前記水熱処理の終わりに、前記ナノ結晶が分散した状態にあるコロイド溶液が得られる。前記ゼオライトナノ結晶の合成の後、広角X線回折が行われ、前記ナノ結晶のサイズは、光の分散および透過電子顕微鏡法によってモニタリングされる。当業者は、操作条件、特に水熱処理の条件を調節することが可能であり、これにより、60nmの最大ナノメートル寸法を有する前記ナノ結晶が分散した状態にある、前記コロイド溶液が得られる。
【0054】
本発明による調製方法の前記工程a)の第3の実施によると、ゼオライト結晶は、溶液中に再分散させられ、これにより、60nmの最大ナノメートル寸法を有するゼオライトナノ結晶のコロイド溶液が得られる。前記第3の実施による前記工程a)を行うために用いられるゼオライト結晶は、60nm超の寸法を有してよい。60nmの最大ナノメートル寸法を有するナノ結晶の形態で、溶液中、例えば、水−有機溶液中に分散する特性を有する当該技術分野において公知のあらゆる結晶質ゼオライトが、前記工程a)を行うのに適しているであろう。前記ゼオライト結晶の分散は、当業者に公知の任意の方法によって、例えば超音波処理によって行われる。特に、前記ゼオライト結晶は、高純度にケイ素性のタイプのものであっても、あるいは、ケイ素に加えて、アルミニウム、鉄、ホウ素、インジウムおよびガリウムから選択される少なくとも1種の元素Y、好ましくはアルミニウムを含有してもよい。前記工程a)を行うために用いられる前記ゼオライト結晶は、当業者に公知の方法によって合成される。それらは、すでにナノ結晶の形態にあってよい。60nmの最大ナノメートル寸法を有するナノ結晶の形態で分散するゼオライト結晶を得ることは、ナノ結晶の表面の官能基化(functionalization)を行うことによっても可能である。用いられるゼオライト結晶は、それらの合成されたままの形態、すなわち、依然としてテンプレートを含有する形態であるか、あるいは、それらの焼成された形態、すなわち、前記テンプレートを含有しない形態であるかのいずれかである。用いられるゼオライト結晶がそれらの合成されたままの形態である場合、前記テンプレートは、本発明の調製方法の工程g)の間に除去される。
【0055】
本発明による調製方法の前記工程a)は、上記の3つの実施のうちの1つを配備することによって、あるいは、上記の3つの実施の少なくとも2つを同時に用いることによって行われる。特に、前記工程a)は、有利には、ケイ素および元素Yをベースとする、好ましくはケイ素およびアルミニウムをベースとするプロトゼオライト実体の前駆体要素を含有する溶液を調製すること、あるいは、60nmの最大ナノメートル寸法を有するケイ素をベースとするゼオライトナノ結晶とケイ素
をベースとする前駆体要素
とを同時に含有するコロイド溶液を調製することからなる。
【0056】
本発明による調製方法の前記工程a)によると、前記工程a)の実施に拘わらず、前記プロトゼオライト実体および/または前記ナノ結晶の進展を促すために、塩基性の反応媒体中で操作することが好ましい。前記工程a)の溶液の塩基性度は、有利には、用いられるテンプレートの塩基性度によって提供される。
【0057】
前記工程a)の前記第1の実施によって調製される、プロトゼオライト実体の前駆体要素を含有する溶液、および、前記工程a)の前記第2の実施によって調製される、60nmに等しい最大ナノメートル寸法を有するゼオライトナノ結晶を含有するコロイド溶液は、当業者に公知の操作手順を用いて得られる。例として、ベータタイプのプロトゼオライト実体の前駆体要素を含有する溶液、またはベータタイプのゼオライトナノ結晶を含有するコロイド溶液は、P. Prokesova, S. Mintova, J. Cejka, T. BeinらによってMicropor. Mesopor. Mater., 2003, 64, 165に記載された操作手順を用いて作られる。FAUタイプのプロトゼオライト実体の前駆体要素を含有する溶液、またはFAUタイプのゼオライトナノ結晶を含有するコロイド溶液は、Y. Liu, W. Z. Zhang, T. J. PinnavaiaらによってJ. Am. Chem. Soc., 2000, 122, 8791に、およびK. R. Kloetstra, H. W. Zandbergen, J. C. Jansen, H. vanBekkumによってmicroporous Mater., 1996, 6, 287に記載された操作手順を用いて作られる。ZSM−5タイプのプロトゼオライト実体の前駆体要素を含有する溶液、またはZSM−5タイプのゼオライトナノ結晶を含有するコロイド溶液は、A. E. Persson, B. J. Schoeman, J. Sterte, J-E. Otterstedtによって Zeolites, 1995, 15, 611に記載された操作手順を用いて作られる。高純度にケイ素性の材料の特定の場合、シリカライトタイプのプロトゼオライト実体の前駆体要素を含有する溶液、またはシリカライトタイプのゼオライトナノ結晶を含有するコロイド溶液は、A. E. Persson, B. J. Schoeman, J. Sterte, J-E. OtterstedtによってZeolites, 1994, 14, 557に記載された操作手順を用いて作られる。
【0058】
本発明の方法の前記工程a)を行うことによって、特に本発明の主要な方法の前記工程a)または本発明の二次的な方法の前記工程a)を行うことによって得られるプロトゼオライト実体は、ゼオライト実体、特にゼオライトナノ結晶の形成における中間体である種である。本発明による調製方法の工程d)の終わりに得られる材料のミクロ多孔性の無定形壁の成分であるプロトゼオライト実体の転換は、本発明の前記二次的な方法のオートクレーブ処理工程e)の結果であり、これにより、上述されたようにゼオライト実体によって全体的に構成される結晶質のミクロ多孔性の壁の形成がもたらされる。プロトゼオライト実体の、ゼオライト実体への転換の後に、当業者に公知の分析方法である広角X線回折が行われる(本発明の主要な調製方法を用いて得られる無定形ミクロ多孔性無機材料についての応答はなく、本発明の二次的な方法を用いて得られる結晶質のミクロ多孔性の無機材料について検出可能な少なくともより小さい結晶質実体に相当するシグナルの検出はない)。
【0059】
本発明による調製方法の工程b)によると、前記金属粒子またはそれらの前駆体、少なくとも1種の界面活性剤、および前記工程a)によって得られた少なくとも前記溶液は、媒体であって、好ましくは水性または水−有機性である媒体中に混合される。
【0060】
本発明の調製方法の工程b)によると、用いられる界面活性剤は、イオン性または非イオン性の界面活性剤、あるいはこれら2種の混合物である。好ましくは、イオン性界面活性剤は、アニオン性界面活性剤、例えば硫酸塩から選択され、例えばドデシル硫酸ナトリウム(sodium dodecylsulphate:SDS)である。好ましくは、非イオン性界面活性剤は、異なる極性を有する少なくとも2つの部分を有し、それらに両親媒性高分子特性を与えるあらゆる共重合体であってよい。これらの共重合体は、有利には、以下の重合体ファミリーの1つに属する:フッ化重合体(−[CH
2−CH
2−CH
2−CH
2−O−CO−R1]−(式中、R1=C
4F
9、C
8F
17等))、ポリアミノ酸(ポリリシン、アルギナート等)等の生物学的重合体、デンドリマー、ポリ(アルキレンオキシド)の鎖によって構成されるブロック重合体。本発明の調製方法の工程b)において安定な溶液(すなわち、噴霧に先行する期間において沈殿物の形成に導かない)を生じさせることができるならば、当業者に公知の両親媒性の性質を有する任意の他の共重合体が用いられてよく、例えば、ポリ(スチレン−b−アクリルアミド)である(S. Forster, M. Antionnetti, Adv. Mater, 1998, 10, 195-217; S. Forster, T.Plantenberg, Angew. Chem. Int. Ed, 2002, 41, 688-714; H. Colfen, Macromol. Rapid Commun, 2001, 22, 219-252)。好ましくは、本発明の関連の中で、ポリ(アルキレンオキシド)の鎖によって構成されるブロック共重合体が用いられる。前記ブロック共重合体は、好ましくは、2つ、3つまたは4つのブロックを含有するブロック共重合体であり、各ブロックは、ポリ(アルキレンオキシド)の1つの鎖から構成される。2−ブロック共重合体では、ブロックの一方は、親水性の性質を有するポリ(アルキレンオキシド)の鎖によって構成され、他方のブロックは、疎水性の性質を有するポリ(アルキレンオキシド)鎖によって構成される。3−ブロック共重合体では、ブロックの少なくとも1つは、親水性の性質を有するポリ(アルキレンオキシド)鎖によって構成される一方で、他のブロックの少なくとも1つは、疎水性の性質を有するポリ(アルキレンオキシド)鎖によって構成される。好ましくは、3−ブロックの共重合体の場合、親水性の性質を有するポリ(アルキレンオキシド)鎖は、(PEO)
xおよび(PEO)
zで示されるポリ(エチレンオキシド)の鎖であり、疎水性の性質を有するポリ(アルキレンオキシド)の鎖は、(PPO)
yで示されるポリ(プロピレンオキシド)の鎖、ポリ(ブチレンオキシド)の鎖、または各鎖が複数種のアルキレンオキシドモノマーの混合である混合鎖である。非常に好ましくは、3−ブロック共重合体の場合、2つのポリ(エチレンオキシド)の鎖と1つのポリ(プロピレンオキシド)の鎖とによって構成された化合物が用いられる。より正確には、式(PEO)
x−(PPO)
y−(PEO)
zを有する化合物が用いられ、ここで、xは5〜300の範囲、yは33〜300の範囲、zは5〜300の範囲である。好ましくは、xおよびzの値は同一である。非常に有利には、x=20、y=70およびz=20である化合物(P123)が用いられ、x=106、y=70およびz=106である化合物(F127)が用いられる。Pluronic(登録商標)(BASF)、Tetronic(登録商標)(BASF)、Triton(登録商標)(Sigma)、Tergitol(登録商標)(Union Carbide)、Brij(登録商標)(Aldrich)の名称を有する市販の非イオン性界面活性剤が、本発明の調製方法の工程b)における非イオン性界面活性剤として用いられてよい。4−ブロック共重合体では、ブロックの2つが親水性の性質を有するポリ(アルキレンオキシド)の鎖によって構成され、他の2つのブロックが疎水性の性質を有するポリ(アルキレンオキシド)の鎖によって構成される。ミセルのサイズを改変するために用いられ得る任意の膨潤剤が、有利には、界面活性剤と共に添加されてよい。例として、前記膨潤剤は、ポリプロピレングリコールである。
【0061】
本発明による調製方法の前記工程b)によると、金属粒子または前記金属粒子の少なくとも1種の金属前駆体のいずれかが、前記混合物に導入される。前記金属粒子は、式(X
xM
mO
yH
h)
q−(I)を有するポリオキソメタラート、特に、本明細書中の上記記載のイソポリアニオンまたはヘテロポリアニオンの形態の金属粒子、並びに、本明細書中の上記に記載されたような酸化物ナノ粒子から選択される。前記金属粒子は、当業者に知られる合成方法を用いて調製されるか、または、市販のものである。
【0062】
前記金属粒子は、前記工程b)の前に、前記金属粒子を得るのに必要な金属前駆体(単数または複数)を溶媒に溶解させることによって容易に調製され、前記溶液は、次いで、前記工程b)の混合物に導入される。好ましくは、前駆体(単数または複数)を溶解させるために用いられる溶媒は水性である。金属前駆体(単数または複数)を溶解させた後に得られる、工程b)の前に前記前駆体を含有する溶液は、透明であり、pHは、中性または酸性であり、好ましくは酸性である。前記金属粒子は、有利には、金属粒子を生じさせるために必要な金属前駆体(単数または複数)を、前記工程b)の混合物に直接的に導入することによって調製されてもよい。
【0063】
一般にかつ当業者に公知の方法において、イソポリアニオンは、MO
4n−タイプのオキソアニオン(nの値は、Mの性質に依存する:nは、M=MoまたはWである場合に好ましくは2に等しく、M=V、Nb、Taの場合、好ましくは3に等しい)を一緒に反応させることによって形成され、ここで、Mは、バナジウム、ニオブ、タンタル、モリブデン、タングステン、コバルトおよびニッケルから選択される1種以上の元素である。例として、モリブデン化合物は、このタイプの反応のために周知である。pHに応じて、溶液中のモリブデン化合物が、MoO
42−の形態または反応:7MoO
42−+8H
+→Mo
7O
246−+4H
2Oによって得られるイソポリアニオンMo
7O
246−の形態で存在し得るからである。タングステンをベースとする化合物に関して、反応媒体の可能性のある酸性化により、12倍縮合された、1つのα−メタタングステン酸塩の発生がもたらされ得る:12WO
42−+18H
+→H
2W
12O
406−+8H
2O。これらのイソポリアニオン種、特に種Mo
7O
246−およびH
2W
12O
406−は、有利には、本発明の調製方法における金属粒子として用いられる。イソポリアニオンの調製は、著作物Heteropoly and Isopoly Oxometallates, Pope, Eds. Springer-Verlag, 1983 (chapter II, pages 15 and 16)に詳細に記載されている。
【0064】
一般にかつ当業者に公知の方法において、ヘテロポリアニオンは、MO
4n−タイプのオキソアニオン(nの値は、Mの性質に依存する:M=MoまたはWである場合nは好ましくは2に等しく、M=V、Nb
、Taである場合好ましくは3に等しい)、タイプXO
4q−(qの値は、Mの性質に依存し、電荷qは、オクテット則およびXの性質によって決定される)の約1(またはそれ以上)のオキソアニオンの重縮合によって得られ、Mは、バナジウム、ニオブ、タンタル、モリブデン、タングステン、コバルトおよびニッケルから選択される1種以上の元素である、Xは、P、Si、B、NiおよびCoから選択される元素である。次いで、水分子が除去され、原子XとMの間にオキソブリッジが生じる。これらの縮合反応は、種々の実験要因、例えば、pH、溶液中の種の濃度、溶媒の性質および原子比M/Xによって支配される。ヘテロポリアニオンの調製は、著作物Heteropoly and Isopoly Oxometallates, Pope, Eds. Springer-Verlag, 1983 (chapter II, pages 15 and 16)に完全に記載されている。
【0065】
本発明の調製方法の前記工程b)において用いられる金属粒子を合成するために有利に行われ得る特定のヘテロポリアニオンの調製方法は、特許出願FR 2.935.139、FR 2.764.211、FR 2.749.778およびFR 2.843.050に記載されている。本発明の調製方法において使用される金属粒子として
の使用のためのヘテロポリアニオンを調製するための他の特定の様式は、上記の明細書の種々のカテゴリーのHPAに示された種々の刊行物において記載されている。
【0066】
例として、本発明の方法の前記工程b)を行う場合、式(I)を有するポリオキソメタラート、好ましくはヘテロポリアニオンの形態の金属粒子は、それらを得るのに必要な金属前駆体から容易に調製される;それらは、前記工程b)を行う前に溶媒中に溶解させられ、その後に工程b)の前記混合物中に導入されるか、あるいは工程b)の前記混合物中に直接導入されるかのいずれかである。前記金属前駆体が溶媒、好ましくは水性溶媒に溶解させられた後に、前記工程a)を行う場合、得られる溶液は、透明でありかつ中性または酸性の、好ましくは酸性のpHを有する。前記金属粒子、好ましくはヘテロポリアニオンは、固体および単離された形態で用いられてもよく、本発明の調製方法の前記工程b)の混合物中に直接導入されても、あるいは溶媒、好ましくは水性溶媒中に溶解させられた後に、前記工程b)の前記混合物に導入されてもよい。
【0067】
前記工程b)を行う前に式(I)を有するポリオキソメタラートの金属前駆体を溶解させることからなる実施によると、前記金属前駆体のための少なくとも1種の錯化剤を前記前駆体を含有する溶液に添加して、工程b)の間に、本発明の調製方法の前記工程c)を行うことを目的とした噴霧可能な混合物を得ることを促進することは有利である。前記錯化剤は、HPAタイプの金属前駆体との錯体化を可能とする当業者に公知のあらゆる化合物であってよい。例として、前記錯化剤は、尿素、チオ尿素またはアセチルアセトナートであってよい。
【0068】
前記金属粒子が、本明細書において上記に記載されたような酸化物ナノ粒子である特定の実施によると、前記ナノ粒子は、前記工程b)の前に、それらを得るのに必要な金属前駆体(単数または複数)を溶媒中に溶解させることによって調製され、前記溶液は、次いで、前記工程b)の混合物中に導入される。好ましくは、前駆体(単数または複数)を溶解させるために用いられる溶媒は、水性である。用いられる前駆体は、単金属前駆体である。この実施によると、バナジウム、ニオブ、タンタル、モリブデンおよびタングステンから選択される金属をベースとする少なくとも1種の第1の単金属前駆体は、前記工程b)を行う前に溶解させられる。好ましくは、前記第1の単金属前駆体は、モリブデンまたはタングステンをベースとする。少なくとも2種の金属前駆体を用いることが有利であり、前記前駆体のそれぞれは、バナジウム、ニオブ、タンタル、モリブデンおよびタングステンから選択される異なる金属をベースとする。したがって、無機メソ構造化材料であって、バナジウム、ニオブ、タンタル、モリブデンおよびタングステンから選択される金属をベースとするナノ粒子と、バナジウム、ニオブ、タンタル、モリブデンおよびタングステンから選択される別の金属をベースとする他のナノ粒子とが、酸化ケイ素をベースとするマトリクス中に捕捉されたものが得られる。例として、モリブデンをベースとする前駆体およびタングステンをベースとする前駆体は、有利には、モリブデンをベースとするナノ粒子およびタングステンをベースとするナノ粒子を、酸化ケイ素をベースとするマトリクス中に捕捉するために用いられる。
【0069】
前記ナノ粒子が、タングステンおよび/またはモリブデンを含む好ましい場合、以下の種から形成される単金属前駆体が、有利には、本発明の方法において用いられる:アルコラートまたはフェノラートタイプ(W−O結合、Mo−O結合)の種、アミドタイプ(W−NR
2結合、Mo−NR
2結合)の種、ハリドタイプ(例えば、W−Cl結合、Mo−Cl結合、)の種、イミドタイプ(W=N−R結合、Mo=N−R結合)の種、オキソタイプ(W=O結合、Mo=O結合)の種、ヒドリドタイプ(W−H結合、Mo−H結合)の種。有利には、前記第1の単金属前駆体は、以下の種から選択される:(NH
4)
2MO
4(M=Mo、W)、Na
2MO
4(M=Mo、W)、(NH
4)
2MS
4(M=Mo、W)、MoCl
5、W(OEt)
5、W(Et)
6、WCl
6、WCl
4、WPhCl
3。有利には、モリブデン、例えばMoCl
5をベースとする第1の単金属前駆体が用いられる。しかし、当業者に周知のあらゆる単金属前駆体が用いられてよい。
【0070】
前記金属粒子またはそれらの前駆体は、バナジウム、ニオブ、タンタル、モリブデン、タングステンおよびそれらの混合物の重量による量が、1〜40%(酸化物形態の無機材料の最終質量に対する酸化物の重量%として表される)の範囲、好ましくは4〜35重量%の範囲、好ましくは4〜30重量%の範囲、より好ましくは4〜20重量%の範囲であるようにされる量で、前記工程b)の混合物中に導入される。前記金属粒子またはそれらの前駆体はまた、第VIII族金属、特にコバルトおよびニッケルの全体的な重量含有率が、0〜15%(酸化物形態の無機材料の最終質量に対する酸化物の重量%として表される)の範囲、好ましくは0.5〜10重量%の範囲、より好ましくは1〜8重量%の範囲であるようにされる量で、前記工程b)の混合物中に導入される。
【0071】
本発明による調製方法の工程b)の終わりに得られる溶液は、酸性、中性または塩基性であってよい。好ましくは、前記溶液は、中性、僅かに酸性または僅かに塩基性であり、すなわち、それは、好ましくは5〜9の範囲のpHを有する。工程b)の終わりに選られる溶液は水性であってよく、あるいは、それは水−溶媒混合物であってよく、有機溶媒は好ましくは極性溶媒、特にアルコール、好ましくはエタノールである。
【0072】
本発明の調製方法の前記工程b)を行った後に得られる混合物中に存在する、有機化合物、すなわち、界面活性剤およびテンプレートの量は、前記混合物中に存在する無機材料の量に対して定義される。無機材料の量は、上記定義の金属前駆体または金属粒子それ自体によって導入される金属性要素の量、前記ケイ素性前駆体によって導入されるケイ素材料の量、および、元素Yが存在する場合にはその前駆体によって導入される元素Yの量に相当する。工程b)を行った後に得られる混合物中の体積比V
無機/V
有機は、本発明の調製方法の噴霧工程c)の間に形成された有機−無機二成分系が、種々の無機前駆体の加水分解/縮合反応とともに、界面活性剤の自己集合によるメソ構造化のプロセスを経るようにされる。前記体積比V
無機/V
有機は、以下のように定義される:V
無機/V
有機=Σ
i(m
無機i/ρ
無機i)/Σ
j(m
有機j/ρ
有機j)(式中、iは、1から無機前駆体の全数までであり、jは、1から界面活性剤およびテンプレートの全数までであり、m
無機iは、噴霧によって得られた固体基本粒子中に縮合された無機前駆体
iに関連する酸化物の質量であり、m
有機jは、噴霧によって得られた固体基本粒子中の界面活性剤または不揮発性のテンプレートjの質量であり、ρ
有機jおよびρ
無機iは、不揮発性有機化合物jおよび無機化合物iのそれぞれに関連する、それぞれの密度である。無機前駆体iに関連する酸化物の密度は、15%低減させられた、対応する結晶質酸化物の密度に等しい。本発明の関連において、Σ
i(m
無機i/ρ
無機i)は、一般的に、SiO
2および元素Yの酸化物、好ましくはAl
2O
3の質量によって補足された、バナジウム、ニオブ、タンタル、モリブデン、タングステン、鉄、銅、亜鉛、コバルトおよびニッケルから選択される少なくとも1種の元素の酸化物のそれらそれぞれの密度に対する重量比の合計に相当する。同様に、Σ
j(m
有機j/ρ
有機j)は、一般的に、界面活性剤、例えば、界面活性剤P123の質量によって補足された、テンプレート、例えば、TPAOHのそれらそれぞれの密度に対する重量比の合計に相当する。ポリオキソメタラートの金属前駆体のための錯化剤の場合による使用も、計算Σ
i(m
無機i/ρ
無機i)において考慮される。極性溶媒、好ましくはエタノール、並びに水は、前記比V
無機/V
有機の計算にお
いて考慮されない。本明細書中以下に記載されるように、本発明の調製方法の前記工程b)に続く段階において場合により導入される、元素Yを含む種、好ましくは、アルミナ種は、上記に定義された体積比V
無機/V
有機の計算のために考慮されない。
【0073】
対照的に、上記記載のもの以外の無機前駆体が調製方法の工程b)の終わりに混合物中に存在するならば、関連する酸化物の質量は、V
無機の計算において考慮されなければならない。
【0074】
本発明によると、工程b)の終わりにおける混合物中の有機材料の量および無機材料の量は、比V
無機/V
有機が、0.29〜0.50の範囲、好ましくは0.30〜0.40の範囲であるようにされる。
【0075】
本発明の方法の工程b)によると、混合物中に導入される界面活性剤の初期濃度が、c
0によって定義され、c
0は、c
mc以下であるようにされ、パラメータc
mcは、当業者に周知の臨界ミセル濃度、すなわち、これを超えると界面活性剤の分子の自己集合の現象が溶液中で起こる限界濃度を表す。噴霧前、本発明の調製方法の工程b)によって規定された溶液中の界面活性剤の分子の濃度は、特定のミセル相の形成をもたらさない。本発明の方法の好ましい実施において、濃度c
0は、c
mc未満であり、比V
無機/V
有機は、二成分系の組成が、試薬の協同自己集合によってメソ構造化機構が起こる組成条件を満たすようにされ(V
無機/V
有機は、0.29〜0.50の範囲、好ましくは0.30〜0.40の範囲である)、本発明の調製方法の工程b)において想定される前記溶液は、水−アルコール混合物である。
【0076】
本発明の調製方法の工程b)の溶液が、水−有機溶媒混合物(好ましくは中性)である場合、本発明の調製方法の工程b)の間に、マトリクスのメソ構造化の原点にある界面活性剤の濃度が、臨界ミセル濃度より低いこと、および、比V
無機/V
有機が、0.29〜0.50の範囲、好ましくは0.30〜0.40の範囲であることが不可欠であり、その結果、エアロゾル技術による、本発明の調製方法の工程c)の間の前記水−有機溶液(好ましくは中性)の蒸発が、本発明の方法により得られた材料のマトリクスのメソ構造化をもたらすミセル化または自己集合の現象を誘導する。c
0<c
mcの場合、本発明の方法に従って得られた材料のマトリクスのメソ構造化は、各小滴において、金属粒子自体の金属前駆体(単数または複数)、プロトゼオライト実体の前駆体要素および/またはケイ素をベースとする60nmの最大ナノメートル寸法を有するゼオライトナノ結晶および界面活性剤が、界面活性剤の濃度cがc
mcより大きくなるまで徐々に濃縮する結果であり、水−有機溶液(好ましくは中性)の蒸発がもたらされる。
【0077】
本発明の調製方法の前記工程c)の混合物の噴霧工程により、球状小滴が生じる。これらの小滴のサイズ分布は、対数正規タイプのものである。本発明の関連の中で用いられるエアロゾル発生器は、TSIによって提供され6ジェット噴霧器を有する市販のモデル9306A装置である。溶液の噴霧は、ベクターガスであるO
2/N
2混合物(乾燥空気)が、1.5バールに等しい圧力P下に供給される室内で行われる。小滴の径は、用いられるエアロゾル装置に応じて変動する。一般に、小滴の径は、150nm〜600ミクロンの範囲である。
【0078】
本発明の調製方法の工程d)によると、前記小滴は、次いで、エアロゾルツールを用いて乾燥させられる。この乾燥は、ベクターガスであるO
2/N
2混合物を介してPVC管内に前記小滴を運ぶことによって行われ、これにより、本発明の調製方法の前記工程b)の間に得られた溶液、例えば、水−有機溶液が徐々に蒸発し、それ故に、基本球状粒子が生じることとなる。前記乾燥は、前記粒子を、温度が調節され得るオーブン中に通過させることによって完了し、通常の温度範囲は50〜600℃、好ましくは80〜400℃であり、これらの粒子のオーブン中での残留時間は1秒程度である。粒子は、次いでフィルタ上に集められる。回路の端部に置かれたポンプは、種が実験エアロゾル装置内へと導かれるのを促す。本発明の調製方法の工程d)における小滴の乾燥の後、有利には、50〜150℃の範囲の温度でのオーブン内の通過が行われる。
【0079】
本発明の調製方法の工程g)によると、階層的多孔度を有する無機材料を得るための、少なくとも前記テンプレートおよび少なくとも前記界面活性剤の除去は、有利には、化学抽出方法または熱処理によって、好ましくは、空気中、300〜1000℃の範囲、より正確には400〜600℃の範囲の温度で、1〜24時間の期間、好ましくは2〜12時間の期間にわたって焼成することによって行われる。
【0080】
本発明による調製方法によると、アルミニウム、鉄、ホウ素、インジウムおよびガリウムから選択される少なくとも1種の元素Y、好ましくはアルミニウムの少なくとも1種の前駆体は、有利には、調製方法の前記工程a)に続く1回以上の段階において導入される。
【0081】
第1の実施において、少なくとも1種の元素Yの少なくとも1種の前駆体は、本発明の調製方法の前記工程b)を行うために導入される。したがって、溶液中での、少なくとも1種の界面活性剤、工程a)によって得られた少なくとも前記溶液、並びに、少なくとも前記金属粒子またはそれらの前駆体の混合は、上記の前記元素Yの前駆体から、好ましくは本明細書において上記に記載されたアルミナ前駆体から選択される前記元素Yの少なくとも1種の前駆体の存在下で行われ、これにより、本発明の調製方法の前記工程a)が行われる。前記第1の実施によると、本発明の方法の工程a)による溶液の調製は、少なくとも1種の元素Yの少なくとも1種の前駆体の存在下あるいは非存在下のいずれかで行われる。
【0082】
第2の実施によると、本発明の調製方法によって得られる材料の表面を改変することを目的として、少なくとも1種の元素Yの少なくとも1種の前駆体は、本発明の方法の前記工程d)を行った後および/または前記工程g)を行った後に導入される。前記第2の実施によると、少なくとも1種の元素Yの前記前駆体、好ましくは、アルミナ前駆体は、本発明の方法の前記工程d)を行った後および/または前記工程g)を行った後に、当業者に周知である、表面を改変するためのあらゆる技術を用いて、例えば、少なくとも1種の元素Yの少なくとも1種の前駆体のグラフト、少なくとも1種の元素Yの少なくとも1種の前駆体の乾式含浸または少なくとも1種の元素Yの少なくとも1種の前駆体の過剰含浸
によって導入される。表面改変技術による前記第2の実施によって導入される、少なくとも1種の元素Yの前記前駆体、好ましくはアルミナ前駆体は、本明細書中上記に記載されたように、前記元素Yの前駆体、好ましくはアルミナ前駆体から選択され、これはアルミン酸ナトリウム前駆体で補足され、本発明の方法の前記工程a)が行なわれる。前記第2の実施によると、本発明の方法の工程a)は、少なくとも1種の元素Yの少なくとも1種の前駆体、好ましくはアルミナ前駆体の存在下または非存在下で行われ、本発明の方法の工程b)は、少なくとも1種の元素Yの少なくとも1種の前駆体、好ましくはアルミナ前駆体の存在下または非存在下で行われる。
【0083】
本発明の調製方法によると、少なくとも1種の元素Yの少なくとも1種の前駆体を導入するための前記第1の実施および前記第2の実施は、本発明の調製方法の場合によるバリエーションに過ぎない。加えて、本発明の調製方法によって得られる材料の球状粒子のそれぞれの中に存在する、酸化ケイ素をベースとするマトリクスが、元素Y、好ましくはアルミニウムを含む場合、前記元素Yは、本発明の調製方法の前記工程a)の間、または前記第1の実施による前記工程b)の間、または実際に、前記第2の実施に従って、本発明の調製方法の前記工程d)を行った後および/または前記工程g)を行った後のいずれかに導入される。元素Y、好ましくはアルミニウムは、有利には、種々の工程において複数回、上記の実施の可能な組合せのいずれかにおいて導入されてもよい。特に、前記工程a)および工程b)の間、または、前記工程a)の間および前記工程d)を行った後におよび/または前記工程g)を行った後にアルミニウムを導入することは有利である。
【0084】
元素Yがアルミニウムである特定の場合、本発明の調製方法によって得られるアルミノケイ酸塩は、したがって、本発明の調製方法の工程a)の間に導入される元素ケイ素の量と、上記の種々の実施を用いて本発明の調製方法の工程(単数または複数)で導入される元素アルミニウムの全量とから規定されるモル比Si/Alを有する。これらの条件下でかつ好ましくは、モル比Si/Alの値は、0.02に少なくとも等しく、好ましくは0.1〜1000の範囲であり、非常に好ましくは1〜100の範囲である。
【0085】
前記第1の実施が適用される場合(前記工程b)を行うためにYが導入される)、工程b)を行うために導入されるべき有機および無機材料の量は、前記工程b)の間に導入される元素Y、好ましくはアルミニウムの補足材料の量に応じて、本発明の調製方法において導入される有機および無機材料の全量がミセル化の現象を許容することができるように調整されるべきであり、これにより、本発明の方法によって調製される材料の各粒子のマトリクスがメソ構造化されるに至る(V
無機/V
有機比は、0.29〜0.50の範囲、好ましくは0.30〜0.40の範囲である)。
【0086】
本発明の二次的な方法と称される、本発明の方法の前記第1の好ましい実施によると、前記工程d)の後、前記工程d)から得られた粒子をオートクレーブ処理することからなる工程e)が行われ、次いで、前記工程e)の終わりに得られた前記粒子を乾燥させることからなる工程f)が行われる。次いで、前記工程f)の後に、少なくとも前記テンプレートおよび少なくとも前記界面活性剤を除去するための前記工程g)が行われる。工程e)は、前記工程d)から得られた前記粒子を、密封容器内に、溶媒の存在下、所与の温度で置くことからなり、これにより、選択された操作条件に固有の自己生成圧力下で操作する。用いられる溶媒は、有利には、プロトン性の極性溶媒である。好ましくは、用いられる溶媒は水である。導入される溶媒の体積は、選択されるオートクレーブの体積、導入される乾燥粉末の質量、および処理温度に対して規定される。したがって、導入される溶媒の体積は、選択されるオートクレーブの体積に対して0.01〜20%の範囲、好ましくは0.05〜5%の範囲、より好ましくは0.05〜1%の範囲である。オートクレーブ処理温度は、50〜200℃の範囲、好ましくは60〜170℃の範囲、より好ましくは60〜120℃の範囲であり、これにより、ゼオライト実体が、本発明の二次的な方法を用いて得られる結晶質材料の粒子のそれぞれのマトリクスの壁中で成長することが可能となる。オートクレーブ処理は、1〜96時間、好ましくは10〜72時間の期間にわたり維持される。本発明の前記二次的な方法の工程f)によると、工程e)におけるオートクレーブ処理の後の粒子の乾燥は、有利には、オーブン中50〜150℃の範囲の温度で置くことによって行われる。
【0087】
本発明の方法によって調製された材料の前記球状粒子のそれぞれの中に含まれるマトリクス中に捕捉された前記金属粒子が、式(X
xM
mO
yH
h)
q−(I)を有するポリオキソメタラート、好ましくはヘテロポリアニオンの形態である、好ましい場合、前記工程g)を行った後、本発明の調製方法は、有利には、工程g)の間に分解する場合がある、ポリオキソメタラートの形態の前記金属粒子を再生することからなる工程h)を含む。前記再生工程h)は、好ましくは、ソックスレー型抽出器を用いて、極性溶媒により、前記工程g)から得られた固体を洗浄することによって行われる。このタイプの抽出器の機能は、当業者に周知である。好ましくは、抽出溶媒は、アルコール、アセトニトリル、または水であり、好ましくはアルコール、非常に好ましくはメタノールである。前記工程h)は、1〜24時間、好ましくは1〜8時間の期間にわたり行われる。前記再生工程h)が行われるのは、ポリオキソメタラートの形態の前記金属粒子が、前記工程g)の間に分解される場合である。前記金属粒子の分解は、ラマンスペクトル中に現れるバンドに応じて、ポリオキソメタラートの形態、好ましくはヘテロポリアニオンの形態の前記金属粒子の存在または非存在を検出するために用いられ得るラマン分光法によって実証される。前記工程g)を行った後の前記金属粒子の分解は、部分的であっても完全であってもよい。前記工程h)は、前記ポリオキソメタラートの部分的または完全な再生のための工程である。
【0088】
前記工程h)の後に、乾燥工程i)が行われ、これは、有利には、40〜100℃の範囲、非常に有利には、40〜85℃の範囲の温度で行われる。前記工程i)は、12〜48時間の範囲の期間にわたり行われる。前記工程i)は、好ましくは、本発明の調製方法が前記工程h)を行うことを含む場合にのみ行われる。
【0089】
本発明の方法は、有利には、少なくとも1回の成形工程を含み、これは、好ましくは、無機材料が本発明の主要な方法によって調製される場合には前記工程d)または前記工程g)の後に、あるいは、無機材料が本発明の二次的な方法によって調製される場合には前記工程f)または前記工程g)の後に行われる。無機材料が本発明の前記主要な方法によって調製されるならば工程d)またはg)のいずれかから得られ、あるいは、無機材料が本発明の二次的な方法によって調製されるならば工程f)またはg)のいずれかから得られる、無機材料を成形するための操作は、前記材料を、バインダとして作用する少なくとも1種の多孔性酸化物材料と混合することからなる。前記多孔性酸化物材料は、好ましくは、アルミナ、シリカ、シリカ−アルミナ、マグネシア、粘土、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化セリウム、リン酸アルミニウム、リン酸ホウ素、および上記酸化物の少なくとも2種の混合物によって形成される群から選択される多孔性酸化物材料である。前記多孔性酸化物材料はまた、アルミナ−酸化ホウ素、アルミナ−酸化チタン、アルミナ−ジルコニアおよび酸化チタン−ジルコニアの混合物から選択されてもよい。アルミン酸塩、例えば、マグネシウム、カルシウム、バリウム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅または亜鉛のアルミン酸塩、並びに混合されたアルミン酸塩、例えば、上記金属の少なくとも2種を含有するものが、有利には、多孔性酸化物材料として用いられる。チタン酸塩、例えば、チタン酸亜鉛、チタン酸ニッケル、またはチタン酸コバルトを用いることも可能である。有利には、アルミナとシリカの混合物、並びに、アルミナと他の化合物、例えば、第VIB族元素、リン、フッ素またはホウ素との混合物を用いることも可能である。複八面体2:1フィロケイ酸塩または三八面体3:1フィロケイ酸塩のタイプの単純な合成または天然の粘土、例えば、カオリナイト、アンチゴライト、クリソタイル、モンモリロナイト、バイデライト、バーミキュライト、タルク、ヘクトライト、サポナイトまたはラポナイトを用いることも可能である。これらの粘土は、場合により離層されてよい。有利には、アルミナと粘土の混合物、およびシリカ−アルミナと粘土の混合物を用いることも可能である。同様に、モレキュラーシーブの系統の結晶質アルミノケイ酸塩タイプの合成および天然のゼオライト、例えば、Yゼオライト、フッ化Yゼオライト、希土類を含有するYゼオライト、Xゼオライト、Lゼオライト、ベータゼオライト、小細孔モルデナイト、大細孔モルデナイト、オメガゼオライト、NU−10、ZSM−22、NU−86、NU−87、NU−88、およびZSM−5ゼオライトによって形成される群から選択される少なくとも1種の化合物をバインダとして用いることが想定されてよい。ゼオライトのうち、約3/1超の骨格ケイ素/アルミニウム(Si/Al)原子比を有するゼオライトを用いることが通常好ましい。有利には、フォージャサイト構造を有するゼオライトが用いられ、特に、安定化および超安定化(USY)Yゼオライトであって、金属カチオン、例えばアルカリ土類金属カチオン、および/または、原子番号57〜71(両端の数字、57および71を含む)を有する希土類金属のカチオンで少なくとも一部交換された型か、あるいは水素型のいずれかのものが用いられる(Atlas of zeolite framework types, 6
th revised Edition, 2007, Ch. Baerlocher, L. B. McCusker, D. H. Olson)。最後に、多孔性酸化物材料として、非結晶質のアルミノケイ酸塩タイプのモレキュラーシーブの系統、例えば、メソ細孔性シリカ、シリカライト、ケイアルミノリン酸塩、アルミノリン酸塩、フェロケイ酸塩、ケイアルミン酸チタン、ホウケイ酸塩、クロモケイ酸塩および遷移金属(コバルトを含む)のアルミノリン酸塩によって形成される群から選択される少なくとも1種の化合物を用いることが可能である。上記化合物の少なくとも2種を用いる種々の混合物もまた、バインダとしての使用に適している。
【0090】
成形操作の後に得られる無機材料は、有利には、粉体、ビーズ、ペレット、細粒、押出物(中空であってもなくてもよい円柱形、多葉状円柱形、例えば、2、3、4または5葉を有するもの、捻じれた円柱形)、またはリング等の形態であり、これらの成形操作は、当業者に公知の従来技術を用いて行われる。好ましくは、本発明の方法によって得られる無機材料は、最大径が200μmである基本球状粒子によって構成される紛体の形態である。
【0091】
前記第1の実施および上記記載の異なる変形例から独立してもしていなくてもよい、本発明の調製方法の第2の好ましい実施において、1種以上の追加要素が、本発明の調製方法の前記工程b)の混合物中に、前記工程g)から得られた材料に少なくとも前記追加要素を含有する溶液を含浸させることによって、および/または、工程i)から得られた材料に少なくとも前記追加要素を含有する溶液を含浸させることによって、および/または、本発明の方法により成形された無機材料に少なくとも前記追加要素を含有する溶液を含浸させることによって、導入されてよい。前記追加要素は、元素周期分類の第VIII族金属、有機剤、およびリン、フッ素、ケイ素およびホウ素、並びに、これらの混合物によって構成されるドーピング元素のリストに属するドーピング種から選択される。本発明の調製方法の前記第2の実施によると、上記に定義された1種以上の追加要素は、本発明の調製方法の過程の中で、1以上の工程で導入される。前記追加要素が含浸によって導入される場合、乾式含浸方法が好ましい。各含浸工程の後、有利には、乾燥工程が行われ、これは、例えば、90〜200℃の範囲の温度で行われ、前記乾燥工程の後に、好ましくは、焼成工程が行われ、これは、空気中、場合によっては酸素に富む空気中、例えば、200〜600℃の範囲、好ましくは300〜500℃の範囲の温度で、1〜12時間、好ましくは2〜6時間の期間にわたり行われる。液体溶液を固体材料に含浸させる技術、特に乾式含浸の技術は、当業者に周知である。リン、フッ素、ケイ素およびホウ素から選択されるドーピング種は、それ自体触媒の性質を何ら有しないが、前記金属粒子中に存在する金属(単数または複数)の触媒活性を増大させるために用いられ得、特に、材料が硫化物形態である場合である。
【0092】
少なくとも1種の第VIII族金属をベースとする前記追加要素のための前駆体として用いられる第VIII族金属の源は、当業者に周知である。第VIII族金属のうち、コバルトおよびニッケルが好ましい。例として、硝酸塩、例えば硝酸コバルトまたは硝酸ニッケル、硫酸塩、水酸化物、例えば水酸化コバルトおよび水酸化ニッケル、リン酸塩、ハロゲン化物(例えば塩化物、臭化物またはフッ化物)、あるいはカルボン酸塩(例えば酢酸塩および炭酸塩)が用いられることとなる。前記金属粒子が酸化物ナノ粒子である特定の実施によると、第VIII族金属の前記源は、本発明の調製方法の前記工程b)において、第2の単金属前駆体として用いられる。より具体的には、バナジウム、ニオブ、タンタル、モリブデンおよびタングステンから選択される金属をベースとする、少なくとも前記第1の金属前駆体、好ましくは少なくとも前記単金属前駆体と、好ましくはニッケルおよびコバルトから選択される第VIII族金属をベースとする少なくとも前記第2の単金属前駆体は、前記工程b)を行う前に溶解させられ、前記溶液は、次いで、本発明による調製方法の前記工程b)の混合物中に導入される。有利には、モリブデン、例えばMoCl
5またはタングステン、例えばWCl
4をベースとする第1の単金属前駆体と、ニッケルまたはコバルトをベースとする第2の単金属前駆体、例えば、Ni(OH)
2またはCo(OH)
2とが用いられる。
【0093】
ホウ素をベースとする前記ドーピング種のための前駆体として用いられるホウ素の源は、好ましくは、ホウ素を含有する酸、例えば、オルトホウ酸H
3BO
3、二ホウ酸アンモニウム、五ホウ酸アンモニウム、酸化ホウ素およびホウ酸エステルから選択される。金属粒子が、本明細書において上記に記載したようにヘテロポリアニオンの形態である場合、ホウ素は、上記に与えられたリストから選択される1種以上の元素M(M=バナジウム、ニオブ、タンタル、モリブデン、タングステン、鉄、銅、亜鉛、コバルトおよび/またはニッケル)と同時にヘテロポリアニオン(式X
xM
mO
yH
hq−においてX=ホウ素)、特にケギン型、間隙ケギン型、または置換ケギン型のヘテロポリアニオンの形態で導入されてもよい。以下のヘテロポリアニオンが特に列挙されてよい:ホウモリブデン酸およびその塩、並びにホウタングステン酸およびその塩。ヘテロポリアニオンの形態のホウ素の源は、次いで本発明の調製方法の工程b)の間に導入される。ホウ素の源が含浸によって導入される場合、ホウ素源を含浸させるための前記工程は、例えば、水/アルコール混合物、あるいは水/エタノールアミン混合物中のホウ酸の溶液を用いて行われる。ホウ素の源は、ホウ酸、過酸化水素、および窒素を含有する塩基性有機化合物、例えば、アンモニア、第一級および第二級アミン、環状アミン、ピリジン族およびキノリン族の化合物またはピロール族の化合物によって形成される混合物を用いて含浸させられてもよい。
【0094】
リンをベースとする前記ドーピング種のための前駆体として用いられるリンの源は、好ましくは、オルトリン酸H
3PO
4、その塩およびエステル、例えばリン酸アンモニウムから選択される。金属粒子が本明細書中上記に記載されようなヘテロポリアニオンの形態である場合、リンは、上記に与えられたリストから選択される1種以上の元素M(M=バナジウム、ニオブ、タンタル、モリブデン、タングステン、鉄、銅、亜鉛、コバルトおよび/またはニッケル)と同時に、ヘテロポリアニオン(式X
xM
mO
yH
hq−においてX=P)の形態、特に、ケギン型、間隙ケギン型、置換ケギン型のヘテロポリアニオン、あるいは、ストランドバーグ型のヘテロポリアニオンの形態で導入されてもよい。以下のヘテロポリアニオンが、特に列挙されてよい:リンモリブデン酸およびその塩、リンタングステン酸およびその塩。ヘテロポリアニオンの形態のリンの源は、次いで本発明の調製方法の工程b)の間に導入される。リン源が含浸によって導入される場合、リン源を含浸させるための前記工程は、例えば、リン酸、および窒素を含有する塩基性有機化合物(例えば、アンモニア、第一級アミンおよび第二級アミン、環状アミン、ピリジン族およびキノリン族からの化合物またはピロール族からの化合物)によって形成される混合物を用いて行われる。
【0095】
多くのケイ素源が、ケイ素をベースとする前記ドーピング種の前駆体として用いられてよい。したがって、オルトケイ酸エチルSi(OEt)
4、シロキサン、ポリシロキサン、シリコーン、シリコーンエマルジョン、またはハロケイ酸塩、例えば、フルオロケイ酸アンモニウム(NH
4)
2SiF
6またはフルオロケイ酸ナトリウムNa
2SiF
6を用いることが可能である。金属粒子が、本明細書中に上述されたようなヘテロポリアニオンの形態で存在する場合、ケイ素は、上記に与えられたリストから選択される1種以上の元素M(M=バナジウム、ニオブ、タンタル、モリブデン、タングステン、鉄、銅、亜鉛、コバルトおよび/またはニッケル)と同時に、ヘテロポリアニオン(式X
xM
mO
yH
hq−においてX=Si)の形態、特にケギン型、間隙ケギン型または置換ケギン型のヘテロポリアニオンの形態で導入されてもよい。以下のヘテロポリアニオンが、特に列挙されてよい:ケイモリブデン酸およびその塩、ケイタングステン酸およびその塩。ヘテロポリアニオンの形態のケイ素の源は、次いで本発明の調製方法の工程b)の間に導入される。ケイ素の源が含浸によって導入される場合、ケイ素の源を含浸させる前記工程は、例えば、水/アルコール混合物中のケイ酸エチルの溶液を用いて行われる。ケイ素の源はまた、水中懸濁液中の、シリコーンタイプのケイ素またはケイ酸の化合物を用いて含浸させられてもよい。
【0096】
フッ素をベースとする前記ドーピング種のための前駆体として用いられるフッ素の源は、当業者に周知である。例として、フッ化物アニオンが、フッ化水素酸またはその塩の形態で導入されてよい。これらの塩は、アルカリ金属、アンモニウムまたは有機化合物により形成される。それらは、例えば、本発明の調製方法の工程b)の間に導入される。フッ素の源が含浸によって導入される場合、フッ素の源を含浸させるための前記工程は、例えば、フッ化水素酸またはフッ化アンモニウムまたは二フッ化アンモニウムの水溶液を用いて行われる。
【0097】
ホウ素、フッ素、ケイ素およびリンから選択される前記ドーピング種の分布および局在化は、有利には、本発明の方法により調製された無機材料中に存在する元素のキャスタン・マイクロプローブ(Castaing microprobe)(種々の元素についての分布プロファイル)、X線分析と連結された透過電子顕微鏡法(すなわち、Si(Li)ダイオードを用いた、電子ビームによって衝撃を与えられたサンプルの領域によって放出されるX線光子のエネルギーの測定からのサンプルの質的および/または量的な元素組成を確定するために用いられ得るEXD分析)等の技術を用いるか、または、電子マイクロプローブによって前記材料中に存在する元素の分布マップを確定することによって決定される。これらの技術は、これらのドーピング種の存在を実証するために用いられ得る。第VIII族金属の分析、および追加要素としての有機種の分析は、一般的に蛍光X線元素分析によって行われる。
【0098】
リン、フッ素、ケイ素、ホウ素、およびこれらの元素の混合によって構成されるドーピング元素のリストに属する前記ドーピング種は、ドーピング種の全量が、0.1〜10重量%の範囲、好ましくは0.5〜8重量%の範囲、より好ましくは0.5〜6重量%の範囲であるようにされる量(本発明の方法によって調製される無機材料の重量に対する、酸化物の重量%として表される)で導入される。これは、全含有率であり、すなわち、それは、ポリオキソメタラート粒子、特にヘテロポリアニオンの形態の粒子中の元素X、およびドーピング種の両方としてドーピング種を構成する元素の存在を考慮に入れる。これは、特に元素P、SiおよびBについての場合である。ドーピング種と、V、Nb、Ta、MoおよびWから選択される元素(単数または複数)との間の原子比は、好ましくは0.05〜0.9の範囲、より一層好ましくは0.08〜0.8の範囲であり、ドーピング種と、V、Nb、Ta、MoおよびWから選択される元素(単数または複数)とは、導入の様式とは独立して、本発明の方法に従って調製された材料における、リンと、V、Nb、Ta、MoおよびWから選択された元素(単数または複数)との全量に相当するこの比の計算のために考慮に入れられる。
【0099】
少なくとも1種の有機剤をベースとする前記追加要素の前駆体として用いられる有機剤は、キレート特性または還元特性を有しても有しなくてもよい有機剤から選択される。前記有機剤の例は、エーテル化されてよい、モノアルコール、ジアルコール、またはポリアルコール、カルボン酸、糖、非環状の、単糖類、二糖類、または多糖類(例えば、グルコース、フルクトース、マルトース、ラクトースまたはスクロース)、エステル、エーテル、クラウンエーテル、硫黄または窒素を含有する化合物(例えば、ニトリロ酢酸、エチレンジアミン四酢酸、またはジエチレントリアミン)である。
【0100】
本発明による調製方法の第3の好ましい実施によると、前記第1の実施または前記第2の実施および上記の種々のバリエーションから独立してあるいは独立せず、少なくとも1種の硫黄含有化合物が、前記工程b)の混合物中に、あるいは、前記工程g)の過程の間または前記工程h)の過程の間に導入され、これにより、少なくとも一部ではあるが完全ではなく硫化物形態の無機材料が得られる。前記硫黄含有化合物は、低温(80〜90℃)で分解してH
2Sの形成をもたらすこととなる少なくとも1個の硫黄原子を含有する化合物から選択される。例として、前記硫黄含有化合物は、チオ尿素またはチオアセタアミドである。前記第3の実施によると、前記材料の硫化は、部分的であり、その結果、前記無機材料中の硫黄の存在は、前記金属粒子の存在に完全には影響を及ぼさない。
【0101】
本発明によると、本発明の方法に従って得られた材料は、有利には、50〜1100m
2/gの範囲、有利には50〜600m
2/gの範囲、非常に好ましくは50〜400m
2/gの範囲の比表面積を有する。本発明の方法に従って得られた材料を構成する前記基本球状粒子は、200μmに等しい最大径を有し、好ましくは、100μm未満であり、有利には50nm〜50μmの範囲、非常に有利には50nm〜30μmの範囲、一層より有利には50nm〜10μmの範囲である。より正確には、それらは、本発明の方法に従って得られた材料中に凝集体の形態で存在する。
【0102】
本発明はまた、炭化水素供給原料の転換方法であって、1)本発明の調製方法によって得られた無機材料を、少なくとも1種の硫黄含有化合物を含む供給原料と接触させること、次いで、2)前記工程1)から得られた前記材料を、前記炭化水素供給原料と接触させること、を含む、方法に関する。
【0103】
前記工程1)を行うために用いられる無機材料は、本明細書において上記に定義したように、部分的に結晶質であるか、あるいは、結晶質の無機無定形材料である。
【0104】
本発明の転換方法の前記工程1)によると、酸化物ナノ粒子の形態またはポリオキソメタラートの形態の、好ましくはヘテロポリアニオンの形態の金属粒子であって、本発明の方法によって調製された無機材料を構成する球状粒子のそれぞれのマトリクス中に捕捉された、ものは、硫化される。前記金属粒子の、それらの関連する硫化活性相への転換は、本発明の方法によって得られた前記無機材料の熱処理後に、当業者に周知の方法を用いて200〜600℃の範囲、より好ましくは300〜500℃の範囲の温度で、硫化水素と接触させて行われる。より正確には、本発明の転換方法の前記硫化工程1)は、水素およびそのままで導入されるか有機硫黄含有化合物の分解から得られる硫化水素(H
2S)の存在下、硫黄含有供給原料を用いて、前記転換方法の反応装置内で直接的に行われる(現場内硫化)か、あるいは本発明の方法によって調製された前記材料を前記転換方法のための反応装置内に装填する前(現場外硫化)に行われるかのいずれかである。現場外硫化の場合、気体混合物、例えばH
2/H
2SまたはN
2/H
2Sが、有利には、前記工程1)を行うために用いられる。本発明の方法によって調製される前記材料は、液相中の分子から前記工程1)に従って現場外で硫化されてもよく、硫化剤は、以下の化合物から選択される:ジメチルジスルフィド(dimethyldisulphide:DMDS)、ジメチルスルフィド、n−ブチルチオール、tert−ノニルポリスルフィドタイプのポリスルフィド化合物(例えば、ATOFINAによって供給されるTPS−37またはTPS−54)。これらは、芳香族またはアルキル分子からなる有機マトリクス中に希釈される。前記硫化工程1)の前に、好ましくは、当業者に周知である方法を用いて本発明の方法に従って調製された前記無機材料の熱処理のための工程が行われ、これは、好ましくは、空気中、300〜1000℃の範囲、より正確には、500〜600℃の範囲の温度で、1〜24時間の期間にわたって、好ましくは、6〜15時間の期間にわたって焼成することにより行われる。
【0105】
本発明によると、本発明の転換方法を経る前記炭化水素供給原料は、少なくとも水素および炭素原子を含有する分子を、前記原子が前記供給原料の少なくとも80重量%、好ましくは少なくとも85重量%を表すような量で含む。前記分子は、有利には、水素原子および炭素原子に加えて、ヘテロ元素、特に窒素、酸素および/または硫黄を含む。
【0106】
炭化水素供給原料の転換のための種々の方法であって、前記工程1)から得られる硫化形態の無機材料が有利には用いられる、方法は、特に、飽和および不飽和の脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、酸素含有有機化合物、および、窒素および/または硫黄を含有する有機化合物、並びに、他の官能基を含有する有機化合物を含む炭化水素供給原料の水素化処理方法、より具体的には水素化脱硫および水素化脱窒方法、並びに、水素化転化方法、より具体的には、水素化分解である。より具体的には、前記工程1)から得られる硫化形態の前記無機材料は、有利には、ガソリンおよび中間留分(ガスオイルおよびケロセン)タイプの炭化水素供給原料の水素化処理のための方法、並びに、重質炭化水素留分、例えば、真空蒸留物、脱アスファルト油、常圧残渣または真空残渣の水素化転化および/または水素化処理のための方法において用いられる。より有利には、前記工程1)から得られる硫化形態の前記無機材料は、トリグリセリドを含む炭化水素供給原料の水素化処理のための方法において配備される。
【0107】
本発明の方法によって得られる材料は、数多くの分析技術によって、特に、小角X線回折(小角XRD)、広角X線回折(XRD)、窒素容積測定分析(BET)、X線分析と連結されることもある、透過電子顕微鏡法(TEM)、走査型電子顕微鏡法(scanning electron microscopy:SEM)、および蛍光X線(X-ray fluorescence:XRF)によって特徴付けられる。本明細書の上記に記載の金属粒子の存在は、種々の技術によって、特に、ラマン、U
V可視または赤外線分光法、並びに微量分析によって実証される。核磁気共鳴(nuclear magnetic resonance:NMR)または電子常磁性共鳴(electron paramagnetic resonance:EPR)等の技術も、用いられる金属前駆体に応じて、用いられ得るだろう。ホウ素、フッ素、リンおよびケイ素から選択される少なくとも1種の任意のドーピング種が導入される場合;これらの種を識別するための分析技術は、本明細書の上記に記載されている。
【0108】
小角X線回折技術(角度2θの値は、0.5〜5°の範囲)は、本発明の方法によって得られる材料のメソ構造化マトリクスの組織化したメソ多孔度によって生じたナノメートルスケールの周期性を特徴付けるために用いられ得る。以下の考察において、X線分析は、粉末について、反射様式で操作しかつ銅の放射線(波長 1.5406Å)を用いる後方モノクロメータを備えた回折計を用いて行われる。角度2θの所与の値に相当するディフラクトグラム上で通常観察されるピークは、格子面間隔d
(hkl)と関連付けられ、これは、ブラッグの法則:2d*sin(θ)=n*λによる、材料の構造対称性の特徴である((hkl)は、逆格子のミラー指数である)。この指数化により、直接格子の格子パラメータ(abc)の測定が可能となり、これらのパラメータの値は、得られた六方晶系、立方晶系またはバーミキュラ状の構造に応じたものである。
【0109】
広角X線回折技術(角度2θの値は、6〜100°の範囲)は、分子スケールでの単位セルまたは基本格子の繰り返しによって定義される結晶質固体を特徴付けるために用いられ得る。それは、小角X線回折技術を支配するものと同一の物理的原理に従っている。それ故に、広角XRD技術が本発明の方法によって得られる材料を分析するために用いられるのは、それが本発明の方法によって得られる材料の球状粒子のそれぞれのマトリクスの壁中に存在してよいゼオライト実体の構造上の特徴付けに特に適しているからである。
【0110】
窒素容積測定分析は、一定の温度での圧力の漸進的上昇を介した、材料の細孔中の窒素分子の物理的吸着に相当し、本発明の方法によって得られる材料に特有の表面組織的特徴(細孔径、細孔容積、比表面積)についての情報を提供する。特に、それは、材料の比表面積およびメソ細孔分布へのアクセスを提供する。用語「比表面積」は、定期刊行物“The Journal of American Society”, 1938, 60, 309に記載されたBRUNAUER-EMMETT-TELLER方法に由来するASTM標準D3663−78による窒素吸着によって決定されるBET比表面積(S
BET(m
2/g))を意味する。2〜50nmの範囲を中心とするメソ細孔の個体群を表す細孔分布(IUPAC分類)は、Barrett-Joyner-Halendaモデル(BJH)から求められる。得られたBJHモデルによる窒素吸着−脱着等温線は、E. P. Barrett、L. G. JoynerおよびP. P. Halendaによって書かれた定期刊行物"The Journal of the American Society", 1951, 73, 373に記載されている。以下の考察において、メソ構造化マトリクスのメソ細孔の径φは、窒素等温線の吸着分岐から得られる細孔サイズ分布曲線から読み出される径についての最大値に相当する。加えて、窒素吸着等温線およびヒステリシスループの形状は、本発明の方法によって得られる材料のメソ多孔度の性質およびミクロ多孔度の存在に関する情報を提供することができる。本発明の方法を用いて得られる材料のミクロ多孔度の定量分析は、「t」(Lippens-De Boer method、1965)または「α
s」方法(Singによって提案された方法)を用いて行われ、これは、著作物"Adsorption by powders and porous solid. Principles、methodology and applications" by F. Rouquerol, J. Rouquerol and K. Sing, Academic Press, 1999に記載されたように、初期吸着等温線の転換に相当する。これらの方法は、特に、本発明の方法により得られた材料のミクロ多孔度の特徴であるミクロ多孔性の体積の値へのアクセスを提供するために用いられ得る。
【0111】
メソ構造化マトリクスに関して、メソ細孔径についての値φと、上記記載の小角XRDによって規定される格子パラメータとの間の差は、量eを提供するために用いられ得、ここで、e=a−φであり、量eは、本発明の方法によって得られた材料の球状粒子のそれぞれの中に含まれるメソ構造化マトリクスの壁の厚さの特徴である。前記格子パラメータaは、相の幾何学的形状(geometry)の特徴である幾何学的形状要因による細孔間の相関距離dと関連する。例として、バーミキュラ構造の場合、e=d−φである。
【0112】
透過電子顕微鏡法(TEM)も、これらの材料の構造を特徴付けるために幅広く用いられる技術である。それは、対象の固体の画像を形成するために用いられ得、観察されるコントラストは、観察される粒子の構造組織、表面組織または形態の特徴である;この技術の最大分解能は1nmである。以下の考察において、TEM写真は、サンプルのミクロトーム切片から作成されることとなり、これにより、本発明の方法によって得られた材料の基本球状粒子の断面が見られる。画像分析は、パラメータd、φおよびeへのアクセスを提供するために用いられ得、これらは、上記定義のメソ構造化マトリクスの特徴である。
【0113】
基本粒子の形態およびサイズ分布は、走査型電子顕微鏡法(SEM)によって得られる写真の分析によって確立された。
【0114】
酸化物ナノ粒子の形態あるいはポリオキソメタラートの形態、より好ましくはヘテロポリアニオン(HPA)の形態のいずれかである金属粒子は、本明細書において上述の通り、特に、ラマン分光法によって特徴付けられる。ラマンスペクトルは、532nmの励起波長を有するレーザを備えた分散タイプのラマン分光計により得られた。レーザ光線は、倍率50の長距離作業用対物レンズを備えた顕微鏡を用いてサンプル上に集束させられた。サンプルにおけるレーザの電力は、1mW程度であった。サンプルによって発せられたラマンシグナルは、同一の対物レンズによって集められ、1800ライン/mmのグレーティングを用いて分散させられ、次いで、CCD(Charge Coupled Device:電荷結合素子または電荷転送素子)検出器によって集められた。得られたスペクトル分解能は、2cm
−1程度のものであった。記録されたスペクトル帯域は、300〜1500cm
−1であった。獲得期間は、記録された各ラマンスペクトルに対して120秒に固定された。
【0115】
核磁気共鳴(NMR)も、有利には、ポリオキソメタラートの形態、特にHPAの形態の金属粒子を特徴付けるために用いられた。300または400MHzの分光計に記録された
31Pおよび
29SiのNMR分析が特に挙げられ得る。核磁気分光法(NMR)、特に
95Moおよび
183WのNMRも、有利には、本明細書における上記に記載された金属酸化物ナノ粒子を特徴付けるために用いられる。
【0116】
本発明は、以下の実施例によって例証されることとなる。
【0117】
(実施例)
以下の実施例において、用いられたエアロゾル技術は、本発明の開示において上記に記載されたものであった:TSIによって提供され6ジェット噴霧器を有するモデル9306A発生器を用いた。用いられた分散ラマン分光計は、Horiba Jobin-Yvonによって提供された市販のLabRAM Aramis装置であった。用いられたレーザは、532nmの励起波長を有していた。以下の実施例1〜5の実施におけるこのスペクトログラフの操作は、上記に記載されていた。
【0118】
以下の実施例1〜5のそれぞれについて、金属粒子またはそれらの前駆体、(プロト)ゼオライト実体の前駆体、および界面活性剤(P123またはF127)を含有する工程b)から得られた混合物の比V
無機/V
有機を計算した。この比は、以下のように定義される:V
無機/V
有機=Σ
i(m
無機i/ρ
無機i)/Σ
j(m
有機j/ρ
有機j)(式中、iは、1から無機前駆体の全数までであり、jは、1から界面活性剤およびテンプレートの全数までであり、m
無機iは、噴霧によって得られた固体基本粒子中に縮合された無機前駆体iと関連する酸化物の質量であり、m
有機jは、噴霧によって得られた固体基本粒子中の界面活性剤または不揮発性テンプレートjの質量であり、ρ
有機jおよびρ
無機iは、不揮発性の有機jおよび無機iの化合物のそれぞれに関連するそれぞれの密度である。無機前駆体iに関連する酸化物の密度は、15%低減させられた対応する結晶質酸化物の密度に等しい。以下の実施例について、Σ
i(m
無機i/ρ
無機i)は、一般的に、SiO
2およびAl
2O
3の質量に加えられた酸化物MoO
3、CoO、NiOおよび/またはP
2O
5の質量のそれらのそれぞれの密度に対する比の合計に対応する。同様に、Σ
j(m
有機j/ρ
有機j)は、一般的に、界面活性剤、すなわち、実施例1〜5における界面活性剤P123またはF127の質量によって補足された、テンプレート、すなわち、実施例1〜5におけるTPAOHのそれらのそれぞれの密度に対する重量比の合計に対応する。極性溶媒である、実施例1〜5におけるエタノール、並びに、水は、前記比V
無機/V
有機の計算において考慮されなかった。
【0119】
(実施例1(本発明)):ストランドバーグ型のHPAであるH
2P
2Mo
5O
234−・2Co
2+を有する材料であって、最終材料に対して10重量%のMoO
3、2.08重量%のCoOおよび1.97重量%のP
2O
5を有するものの調製。酸化物マトリクスは、ミクロ細孔およびメソ細孔の領域において階層的多孔度を有し、これは、メソ細孔領域において組織化しており、無定形ミクロ多孔性壁が、モル比Si/Al=12であるようにされたZSM−5タイプ(MFI)のアルミノケイ酸塩プロトゼオライト実体によって構成されている。
【0120】
3.61モル/LのMoO
3、1.44モル/LのH
3PO
4、1.44モル/LのCo(OH)
2を含有する水溶液を、撹拌しながら周囲温度で調製した。最終材料について行われたラマン分析により、主な種として、ストランドバーグ型HPAであるH
2P
2Mo
5O
234−・2Co
2+の存在が明らかになった。
【0121】
0.44gのアルミニウム トリ−secブトキシドを、TPAOHの水溶液2.17g(40重量%)と混合した。10分間にわたる周囲温度での撹拌の後、22.4gの置換水(permutated water)を添加した。均一化の後、4.43gのTEOSを添加して、次いで、16時間にわたり、撹拌しながら周囲温度で加水分解させた。加水分解の後、溶液を、1.46gのP123(Sigma-Aldrich)、45.5gの置換水および5.79gのエタノールを含有する溶液で希釈した。10.0gの置換水、0.33mLの水性ストランドバーグ型溶液H
2P
2Mo
5O
234−・2Co
2+(0.72モル/LのHPAを含有する)、並びに0.22gのチオ尿素からなる溶液を調製した。5分間にわたる撹拌の後、この溶液を、P123を含有する溶液に添加した。混合物の比V
無機/V
有機は、0.32に等しく、これは、上記記載の通り計算された。混合物を30分間にわたり撹拌して、次いで、上記明細書において記載されたようなエアロゾル発生器の噴霧室に送り、溶液を、微細な小滴の形態で、圧力下(P=1.5バール)で導入されたベクターガス(乾燥空気)の作用の下に噴霧した。小滴を、上記の本発明の開示に記載された手順に従って乾燥させた:それらを、O
2/N
2混合物によって、PVC管を通過するように導いた。次いで、それらを、350℃の固定乾燥温度に調節されたオーブン中に導入した。回収された粉末を、次いで、18時間にわたり95℃で乾燥させた。次いで、粉末を、空気中5時間にわたり550℃で焼成した。次いで、Soxhletを用いて、4時間にわたりメタノールにより固体を洗浄することにより、HPAを再生した。最後に、材料を、80℃で24時間にわたり乾燥させた。固体を、小角XRD、窒素容積測定分析、TEM、SEM、XRFおよびラマン分光法によって特徴付けた。TEM分析により、最終材料は、バーミキュラ構造によって特徴付けられる組織化したメソ多孔度を有することが示された。α
s方法を用いる分析と組み合わされた窒素容積測定分析により、ミクロ多孔性容積V
ミクロ(N
2)についての値0.03mL/g、メソ多孔性体積V
メソ(N
2)についての値0.43mL/gおよび最終材料の比表面積S=217m
2/gを得た。メソ構造化マトリクスの特徴であるメソ細孔の径φは、8.3nm
であった。小角XRD分析により、角度2θ=0.84°における相関ピークを得た。ブラッグの法則:2d*sin(0.42)=1.5406を用いて、材料の組織化したメソ細孔間の相関距離dを計算し、すなわち、d=10.5nmであった。メソ構造化材料の壁の厚さは、e=d−φによって定義され、それ故にe=2.2nmであった。XRFによって得られたSi/Alモル比は、12であった。得られた球状基本粒子のSEM画像により、これらの粒子が、50nm〜30μmの範囲の径によって特徴付けられる寸法を有し、これらの粒子のサイズ分布が、約15μmを中心とすることが示された。最終材料のラマンスペクトルにより、ストランドバーグ型HPAであるH
2P
2Mo
5O
234−の存在が明らかになり、このヘテロポリアニオンの特徴的なバンドは、941cm
−1にあり、二次的なバンドは、892、394および369cm
−1にあった。
【0122】
(実施例2(本発明)):ストランドバーグ型のHPAであるH
2P
2Mo
5O
234−・2Co
2+を有し、最終材料に対して5重量%のMoO
3、1.04重量%のNiOおよび0.99重量%のP
2O
5を有する材料の調製。酸化物マトリクスは、ミクロ細孔およびメソ細孔の領域において階層的多孔度を有し、これは、メソ細孔領域において組織化しており、無定形ミクロ多孔性壁が、モル比Si/Al=25であるようなZSM−5タイプ(MFI)のアルミノケイ酸塩プロトゼオライト実体によって構成されている。
【0123】
3.61モル/LのMoO
3、1.44モル/LのH
3PO
4、1.44モル/LのNi(OH)
2を含有する水溶液を、撹拌しながら周囲温度で調製した。最終材料について行われたラマン分析により、主な種として、ストランドバーグ型HPAであるH
2P
2Mo
5O
234−・2Co
2+の存在が明らかになった。
【0124】
0.23gのアルミニウム トリ−secブトキシドを、TPAOHの水溶液2.17g(40重量%)と混合した。10分間にわたる周囲温度での撹拌の後、22.3gの置換水を添加した。均一化の後、4.82gのTEOSを添加して、次いで、16時間にわたり、撹拌しながら周囲温度で加水分解させた。加水分解の後、溶液を、1.45gのP123(Sigma-Aldrich)、45.4gの置換水および5.78gのエタノールを含有する溶液で希釈した。10.0gの置換水およびストランドバーグ型HPAであるH
2P
2Mo
5O
234−・2Co
2+の水溶液0.15mL(0.72モル/LのHPAを有する)からなる溶液を調製した。5分間にわたる撹拌の後、この溶液を、先行する溶液に添加した。混合物の比V
無機/V
有機は、0.32に等しく、これは、上記に記載されたように計算された。混合物を30分間にわたり撹拌して、次いで、上記説明において記載されたようなエアロゾル発生器の噴霧室に送り、溶液を、微細な小滴の形態で、圧力下(P=1.5バール)で導入されたベクターガス(乾燥空気)の作用の下に噴霧した。小滴を、上記の本発明の開示に記載された手順に従って乾燥させた:それらを、O
2/N
2混合物によって、PVC管を通過するように導いた。次いで、それらを、350℃の固定乾燥温度に調節されたオーブン中に導入した。回収された粉末を、次いで、18時間にわたり95℃で乾燥させた。次いで、粉末を、空気中5時間にわたり550℃で焼成した。次いで、Soxhletを用いて、4時間にわたりメタノールにより固体を洗浄することにより、HPAを再生した。最後に、固体を、80℃で24時間にわたり乾燥させた。固体を、小角XRD、窒素容積測定分析、TEM、SEM、XRFおよびラマン分光法によって特徴付けた。TEM分析により、最終材料は、バーミキュラ構造によって特徴付けられる組織化したメソ多孔度を有することが示された。α
s方法を用いる分析と組み合わされた窒素容積測定分析により、ミクロ多孔性容積V
ミクロ(N
2)についての値0.05mL/g、メソ多孔性容積V
メソ(N
2)についての値0.41mL/gおよび最終材料の比表面積S=225m
2/gを得た。メソ構造化マトリクスの特徴であるメソ細孔径φは、8.7nmであった。小角XRD分析により、角度2θ=0.86°における相関ピークを得た。ブラッグの法則:2d*sin(0.43)=1.5406を用いて、材料の組織化したメソ細孔間の相関距離dを計算し、すなわち、d=10.3nmであった。メソ構造化材料の壁の厚さは、e=d−φによって定義され、それ故にe=1.6nmであった。XRFによって得られたSi/Alモル比は、25であった。得られた球状基本粒子のSEM画像により、これらの粒子が、50nm〜30μmの範囲の径によって特徴付けられる寸法を有し、これらの粒子のサイズ分布が、約15μmを中心とすることが示された。最終材料のラマンスペクトルにより、ストランドバーグ型HPAであるH
2P
2Mo
5O
234−の存在が明らかになり、このヘテロポリアニオンの特徴的なバンドは、943cm
−1にあり、二次的なバンドは、894、396および370cm
−1にあった。
【0125】
(実施例3(本発明)):モリブデンおよびコバルトを含む酸化物ナノ粒子を有し、最終材料に対して5重量%のMoO
3および1.04重量%のCoOを有する材料の調製。酸化物マトリクスは、ミクロ細孔およびメソ細孔の領域において階層的多孔度を有し、これは、メソ細孔領域において組織化しており、無定形ミクロ多孔性壁は、モル比Si/Al=12であるようなタイプZSM−5(MFI)のアルミノケイ酸塩プロトゼオライト実体によって構成されている。
【0126】
0.11モル/LのMoCl
5および0.08モル/LのCo(OH)
2を含有する水溶液を、撹拌しながら、周囲温度で調製した。
【0127】
0.45gのアルミニウム トリ−secブトキシドを、TPAOHの水溶液2.16g(40重量%)と混合した。10分間にわたる周囲温度での撹拌の後、22.3gの置換水を添加した。均一化の後、4.59gのTEOSを添加して、次いで、16時間にわたり、撹拌しながら周囲温度で加水分解させた。加水分解の終わりに、1.58gのF127(Sigma-Aldrich)、45.3gの置換水および5.77gのエタノールからなる溶液を、プロトゼオライト実体の前駆体を含有する溶液に添加した。5分間にわたる均一化の後、MoCl
5およびCo(OH)
2を含有する溶液を滴下した。混合物の比V
無機/V
有機は、0.30に等しく、上記記載のように計算された。混合物を30分間にわたり撹拌して、次いで、上記説明において記載されたエアロゾル発生器の噴霧室に送り、溶液を、微細な小滴の形態で、圧力下(P=1.5バール)で導入されたベクターガス(乾燥空気)の作用の下に噴霧した。小滴を、上記の本発明の開示に記載された手順に従って乾燥させた:それらを、O
2/N
2混合物によって、PVC管を通過するように導いた。次いで、それらを、350℃の固定乾燥温度に調節されたオーブン中に導入した。回収された粉末を、次いで、18時間にわたり95℃で乾燥させた。次いで、粉末を、空気中5時間にわたり550℃で焼成した。最後に、固体を、80℃で24時間にわたり乾燥させた。固体を、小角XRD、窒素容積測定分析、TEM、SEM、XRFおよびラマン分光法によって特徴付けた。TEM分析により、最終材料は、バーミキュラ構造によって特徴付けられる組織化したメソ多孔度を有することが示された。α
s方法を用いる分析と組み合わされた窒素容積測定分析により、ミクロ多孔性容積V
ミクロ(N
2)についての値0.04mL/g、メソ多孔性の容積V
メソ(N
2)についての値0.41mL/gおよび最終材料の比表面積S=349m
2/gを得た。メソ構造化マトリクスの特徴であるメソ細孔径φは、6.0nmであった。小角XRD分析により、角度2θ=0.62°における相関ピークを得た。ブラッグの法則:2d*sin(0.31)=1.5406を用いて、材料の組織化したメソ細孔間の相関距離dを計算し、すなわち、d=14.2nmであった。メソ構造化材料の壁の厚さは、e=d−φによって定義され、それ故にe=8.2nmであった。XRFによって得られたSi/Alモル比は、12であった。得られた球状基本粒子のSEM画像により、これらの粒子が、50nm〜30μmの範囲の径によって特徴付けられる寸法を有し、これらの粒子のサイズ分布が、約15μmを中心とすることが示された。最終材料のラマンスペクトルにより、担体と相互作用するポリモリブデン酸塩の種の存在が明らかになり、これらの種についての特徴的なバンドは、950および887cm
−1にあった。
【0128】
(実施例4(本発明)):モリブデンおよびニッケルを含む酸化物ナノ粒子を有し、最終材料に対して5重量%のMoO
3および1.04重量%のNiOを有する材料の調製。酸化物マトリクスは、ミクロ細孔およびメソ細孔の領域において階層的多孔度を有し、これは、メソ細孔領域において組織化しており、無定形ミクロ多孔性壁が、モル比Si/Al=12であるようなZSM−5タイプ(MFI)のアルミノケイ酸塩プロトゼオライト実体によって構成されている。
【0129】
0.11モル/LのMoCl
5および0.08モル/LのNi(OH)
2を含有する水溶液を、撹拌しながら、周囲温度で調製した。
【0130】
0.45gのアルミニウム トリ−secブトキシドを、TPAOHの水溶液2.16g(40重量%)と混合した。10分間にわたる周囲温度での撹拌の後、22.3gの置換水を添加した。均一化の後、4.59gのTEOSを添加して、次いで、16時間にわたり、撹拌しながら周囲温度で加水分解させた。溶液を成熟させるための工程を、80℃で24時間にわたり行った。この工程の終わりに、1.58gのF127(Sigma-Aldrich)、45.3gの置換水および5.77gのエタノールからなる溶液を、プロトゼオライト実体の前駆体を含有する溶液に添加した。5分間にわたる均一化の後、MoCl
5およびNi(OH)
2を含有する溶液を滴下した。混合物の比V
無機/V
有機は、0.30に等しく、上記記載のように計算された。混合物を30分間にわたり撹拌して、次いで、上記説明において記載されたようなエアロゾル発生器の噴霧室に送り、溶液を、微細な小滴の形態で、圧力下(P=1.5バール)で導入されたベクターガス(乾燥空気)の作用の下に噴霧した。小滴を、上記の本発明の開示に記載された手順に従って乾燥させた:それらを、O
2/N
2混合物によって、PVC管を通過するように導いた。次いで、それらを、350℃の固定乾燥温度に調節されたオーブン中に導入した。回収された粉末を、次いで、18時間にわたり95℃で乾燥させた。次いで、粉末を、空気中5時間にわたり550℃で焼成した。固体を、小角XRD、窒素容積測定分析、TEM、SEM、XRFおよびラマン分光法によって特徴付けた。TEM分析により、最終材料は、バーミキュラ構造によって特徴付けられる組織化したメソ多孔度を有することが示された。α
s方法を用いる分析と組み合わされた窒素容積測定分析により、ミクロ多孔性の容積V
ミクロ(N
2)についての値0.05mL/g、メソ多孔性容積V
メソ(N
2)についての値0.43mL/gおよび最終材料の比表面積S=360m
2/gを得た。メソ構造化マトリクスの特徴であるメソ細孔径φは、7.2nmであった。小角XRD分析により、角度2θ=0.62°における相関ピークを得た。ブラッグの法則:2d*sin(0.31)=1.5406を用いて、材料の組織化したメソ細孔間の相関距離dを計算し、すなわち、d=14.0nmであった。メソ構造化材料の壁の厚さは、e=d−φによって定義され、それ故にe=6.8nmであった。XRFによって得られたSi/Alモル比は、12であった。得られた球状基本粒子のSEM画像により、これらの粒子が、50nm〜30μmの範囲の径によって特徴付けられる寸法を有し、これらの粒子のサイズ分布が、約15μmを中心とすることが示された。最終材料のラマンスペクトルにより、担体と相互作用するポリモリブデン酸塩の種の存在が明らかになり、これらの種についての特徴的なバンドは、951および886cm
−1にあった。
【0131】
(実施例5(本発明)):モリブデンおよびニッケルを含む酸化物ナノ粒子を有し、最終材料に対して5重量%のMoO
3および1.04重量%のNiOを有する材料の調製。酸化物マトリクスは、ミクロ細孔およびメソ細孔の領域において組織化した階層的多孔度を有し、ミクロ多孔性の結晶質壁が、モル比Si/Al=59であるようなZSM−5(MFI)タイプのゼオライト性アルミノケイ酸塩実体によって構成されている。
【0132】
0.11モル/LのMoCl
5および0.08モル/LのNi(OH)
2を含有する水溶液を、撹拌しながら、周囲温度で調製した。
【0133】
0.10gのアルミニウム トリ−secブトキシドを、TPAOHの水溶液2.16g(40重量%)と混合した。10分間にわたる周囲温度での撹拌の後、22.3gの置換水を添加した。均一化の後、5.01gのTEOSを添加して、次いで、16時間にわたり、撹拌しながら周囲温度で加水分解させた。溶液を成熟させるための工程を、80℃で24時間にわたり行った。この工程の終わりに、1.58gのF127(Sigma-Aldrich)、45.3gの置換水および5.77gのエタノールからなる溶液を、ゼオライト実体の前駆体を含有する溶液に添加した。5分間にわたる均一化の後、MoCl
5およびNi(OH)
2を含有する溶液を滴下した。混合物の比V
無機/V
有機は、0.30に等しく、上記記載のように計算された。混合物を30分間にわたり撹拌して、次いで、上記説明において記載されたようなエアロゾル発生器の噴霧室に送り、溶液を、微細な小滴の形態で、圧力下(P=1.5バール)で導入されたベクターガス(乾燥空気)の作用の下に噴霧した。小滴を、上記の本発明の開示に記載された手順に従って乾燥させた:それらを、O
2/N
2混合物によって、PVC管を通過するように導いた。次いで、それらを、350℃の固定乾燥温度に調節されたオーブン中に導入した。回収された粉末を、次いで、18時間にわたり95℃で乾燥させた。この粉末100mgを、0.6mLの蒸留水の存在下の1Lのオートクレーブ内に置いた。オートクレーブを、48時間にわたり95℃に加熱した。回収された粉末を、次いで100℃でオーブン乾燥させて、次いで空気中5時間にわたり550℃で焼成した。固体を、小角および広角XRD、窒素容積測定分析、TEM、SEM、XRFおよびラマン分光法によって特徴付けた。TEM分析により、最終材料は、バーミキュラ構造によって特徴付けられる組織化したメソ多孔度を有することが示された。α
s方法を用いる分析と組み合わされた窒素容積測定分析により、ミクロ多孔性の容積V
ミクロ(N
2)についての値0.13mL/g、メソ多孔性の容積V
メソ(N
2)についての値0.33mL/gおよび最終材料の比表面積S=180m
2/gを得た。メソ構造化マトリクスの特徴であるメソ細孔径φは、17nmであった。小角XRD分析により、角度2θ=1.32°における相関ピークを得た。ブラッグの法則:2d*sin(θ)=1.5406を用いて、材料の組織化したメソ細孔間の相関距離dを計算し、すなわち、d=67nmであった。メソ構造化材料の壁の厚さは、e=d−φによって定義され、それ故にe=50nmであった。広角XRDにより、角度2θ=7.9°および8.9°における相関ピークを得た。これらは、ZSM−5ゼオライトの結晶質MFI構造を特徴付ける。XRFによって得られたSi/Alモル比は、59であった。得られた球状基本粒子のSEM画像により、これらの粒子が、50nm〜30μmの範囲の径によって特徴付けられる寸法を有し、これらの粒子のサイズ分布が、約15μmを中心とすることが示された。最終材料のラマンスペクトルにより、担体と相互作用するポリモリブデン酸塩の種の存在が明らかになり、これらの種についての特徴的なバンドは、952および887cm
−1にあった。