(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記インバンド共振器は、前記ソース共振器とターゲット共振器との間の無線電力送信距離を増加させるために、前記ソース共振器と前記ターゲット共振器との間に位置することを特徴とする請求項3に記載のインバンド通信を用いる無線電力送信装置。
前記アレイ共振部は、前記一つ以上のインバンド共振器によって前記無線電力受信装置から前記受信データを受信することを特徴とする請求項3に記載のインバンド通信を用いる無線電力送信装置。
前記変調部は、前記インバンド共振器のうちの所定数のインバンド共振器のスイッチをオンオフして前記送信データを変調することを特徴とする請求項3に記載インバンド通信を用いる無線電力送信装置。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、本発明に係るンバンド通信を用いた無線電力送受信システムを実施するための形態の具体例を図面を参照しながら説明する。
【0015】
共振特性を用いる無線電力送信において、送信効率は、無線電力送信装置と無線電力受信装置との間のインピーダンス整合及び共振周波数整合によって決定される。
インピーダンス及び共振周波数整合は、インピーダンストラッキング(tracking)及び共振周波数トラッキング方法によって行われる。
【0016】
ここで、トラッキングのための別途の通信装置及びモニタリング装置が追加される。
追加される回路から電力損失が発生し、生産工程に複雑度を増加させることから追加される回路なしでトラッキングのための方法が求められている。
【0017】
以下の説明で用いられるインバンド(in−band)通信という用語は、情報(例えば、制御情報、データ及び/又はメタデータ)が電力送信に用いられるものと同じ周波数帯域及び/又は同じチャネルで送信される通信を意味する。
実施形態に係る周波数は、共振周波数であり得る。
【0018】
図1は、本発明の一実施形態に係るインバンド通信を用いる無線電力送信装置のブロック図である。
無線電力送信装置を介して送信される無線電力は、共振電力(resonance power)を含む。
例えば、無線電力送信装置は無線電力を送信するソース共振器を含み、無線電力受信装置は無線電力を受信するターゲット共振器を含む。
【0019】
インバンド通信を用いる無線電力送信装置は、電力変換部110、電力増幅部120、整合制御部130、ソース共振部140、ソース制御部150、及び1つ以上のインバンド共振部160を備える。
【0020】
電力変換部110は、外部の電圧供給器からエネルギーを受信して無線電力を発生させる。
例えば、電気プラグ(electrical plug)が提供されてもよい。
電力変換部110は、AC−ACコンバータ、AC−DCコンバータ、及びDC−ACインバータを含む。
AC−ACコンバータは、外部装置から入力される交流信号の信号レベルを所望するレベルに調整する。
AC−DCコンバータは、AC−ACコンバータから出力される交流信号を整流することによって所定のレベルのDC電圧を出力する。
DC−ACインバータは、AC−DCコンバータから出力されるDC電圧を高速スイッチングすることによって数MHz〜数十MHz帯域のAC信号を生成する。
【0021】
電力増幅部120は、無線電力を予め設定された値に増幅する。
予め設定された値は、無線電力送信過程での雑音及び歪曲が反映された送信効率を考慮して設定される。
ここで、無線電力はAC電力信号であり得る。
【0022】
整合制御部130は、ソース共振器の共振帯域幅(Resonance Bandwidth)又はソース共振器のインピーダンス整合周波数を設定する。
例えば、整合制御部130は、ソース制御部150の制御信号によりソース共振器の共振帯域幅及びインピーダンス整合周波数を設定してもよい。
【0023】
整合制御部130は、ソース共振帯域幅設定部(図示せず)又はソース整合周波数設定部(図示せず)のうち少なくとも1つを含んでもよい。ソース共振帯域幅設定部は、ソース共振器の共振帯域幅を設定する。ソース整合周波数設定部は、ソース共振器のインピーダンス整合周波数を設定する。ここで、ソース共振器の共振帯域幅又はソース共振器のインピーダンス整合周波数設定に対応してソース共振器のQ−factorを決定してもよい。
【0024】
一方、ソース共振器とターゲット共振器との間の距離が変わったり、2つのうち1つの位置が変わるなどの外部影響によって、ソース共振器とターゲット共振器との間のインピーダンスの整合ミスが発生することがある。インピーダンスミス整合は、電力伝達の効率を減少させる直接的な原因になる。
整合制御部130は、送信信号の一部が反射して戻ってくる反射波を検出することによってインピーダンスミス整合が発生したと判断し、インピーダンス整合を行う。
【0025】
また、整合制御部130は、反射波の波形分析によって共振ポイントを検出することで共振周波数を変更する。
ここで、整合制御部130は、反射波の波形で振幅(amplitude)が最小である周波数を共振周波数に決定する。
【0026】
ソース共振部140は、電磁結合によって無線電力をインバンド(In−Band)共振器に送信するソース共振器を含む。
ソース共振器によって伝搬(propagate)される波動によって電力が無線に送信される。また、ソース共振部140は、所定の領域に対して無線電力を送信する複数のソース共振器がアレイを形成して構成されたアレイソース共振器を備えてもよい。
ここで、各ソース共振器は、各インバンド共振器と整合されるようにアレイが形成される。
【0027】
電磁結合は、電磁誘導現象を含む。
インバンド共振器は、ソース共振器とターゲット共振器との間の共振周波数と同一の共振周波数を用いる。
また、インバンド共振器は、ソース共振器とターゲット共振器との間に位置する。
インバンド共振器は、ソース共振器から受信した無線電力をターゲット共振器に伝達する。
【0028】
結合係数は、ソース共振器とターゲット共振器との間の相互誘導係数(Mutual Inductance)によって決定され、相互誘導係数の値は、ソース共振器とターゲット共振器との間の距離と2つの共振器の大きさに対応して決定される。イ
ンバンド共振器がソース共振器とターゲット共振器との間に位置することで、無線電力送信の距離による結合係数が大きくなって送信効率が高まる。
ソース共振器とターゲット共振器との間の結合係数が大きくなるほど電磁結合を通した無線電力送信効率が高まる。また、インバンド共振器がない場合に比べてソース共振器で無線電力を一定効率の以上に送信できる無線電力送信距離が増加する。
【0029】
また、インバンド共振器は、同一の共振周波数を用いてデータを送信する。
インバンド共振器は、インバンド通信によってデータを送信する。すなわち、インバンド通信は、共振周波数を介して無線電力受信装置とデータを送受信することを意味する。
アウトバンド(Out Band)通信は、データ通信のために別に割り当てられた周波数によって無線電力受信装置とデータを送受信することを意味する。
【0030】
ソース制御部150は、ソース共振器の共振周波数及びインピーダンスを制御する。
ソース制御部150は、インバンド共振器によって無線電力受信装置に対する識別情報を受信する。
ソース制御部150は、識別情報に基づいて無線電力送信装置と無線電力受信装置との間に共振周波数及びインピーダンスが整合されるよう整合制御部130を制御する。無線電力受信装置に対する識別情報は、無線電力受信装置の位置、バッテリ状態、充電リクエストの有無及びIDなどを含んでもよい。
【0031】
また、ソース制御部150は、識別情報に基づいてインバンド共振器の内の無線電力受信装置に対応する位置のインバンド共振器を検出する。
ソース制御部150は、検出されたインバンド共振器の制御信号を生成する。
複数のインバンド共振器は、アレイを形成してソース共振器とターゲット共振器との間に位置してもよい。したがって、ソース制御部150は、ターゲット共振器を含む無線電力受信装置に対応する位置のインバンド共振器を検出する。また、ソース制御部150は、検出されたインバンド共振器を動作させてターゲット共振器に無線電力を送信する。
【0032】
ソース制御部150は、インバンド共振部160から復調された受信データが伝達され、無線電力受信装置に充電するかどうかを決定する。
ソース制御部150は、充電が決定された無線電力受信装置に対応するインバンド共振器を介して無線電力が送信されるよう、インバンド共振器の制御信号を生成する。
【0033】
インバンド共振部160は、無線電力受信装置に関する識別情報をインバンド共振器によって受信及び復調する。
インバンド共振部160は、インバンド共振器の内の無線電力受信装置に対応するインバンド共振器によって無線電力及び送信データを同時に送信する。
【0034】
送信データは、無線電力送信装置から無線電力受信装置に送信するデータを意味し、受信データは無線電力受信装置から無線電力送信装置に受信されるデータを意味する。
送信データは、ソース共振器のID(識別情報)、インバンド共振器のID、ターゲット共振器のIDリクエスト信号、ターゲット共振器を含む無線電力受信装置のIDリクエスト信号、及び無線電力受信装置の状態リクエスト情報などを含んでもよい。
【0035】
受信データは、送信データを受信したことを示すACK信号、ターゲット共振器のID、ターゲット共振器を含む無線電力受信装置のID、無線電力受信装置の状態情報、及び充電リクエスト信号などを含んでもよい。
送信データ及び受信データは、インピーダンス整合に必要な情報を含んでもよい。インピーダンス整合に必要な情報は、ソース共振器とターゲット共振器との間の距離、位置、負荷インピーダンスの差、ソース共振器からターゲット共振器に放射される波動(wave)の反射係数、電力送信の利得又はカップリング効率などを含む。
【0036】
インバンド共振部160は、アレイ共振部161、変調部163、復調部165、及びインバンド共振器制御部167を備える。
アレイ共振部161は、所定の領域に対して無線電力及び送信データを送信する1つ以上のインバンド共振器がアレイを形成して構成される。所定の領域はアレイが形成される領域を意味する。ここで、各インバンド共振器は、無線電力を送信することのできる所定の領域が割り当てられてもよい。
【0037】
アレイ共振部161は、インバンド共振器制御部167の制御信号により、アレイを形成するインバンド共振器の全てが無線電力を送信してもよく、インバンド共振器の一部のみが無線電力を送信してもよい。
また、アレイ共振部161は、変調部163で変調された送信データを送信する。
また、アレイ共振部161は、複数のインバンド共振器によって無線電力受信装置から受信データを受信する。
アレイ共振部161は、インバンド共振器制御部167の制御信号に対応して複数のインバンド共振器の内の無線電力を送信するインバンド共振器のスイッチのみをオン(On)し、残りのインバンド共振器のスイッチはオフ(Off)してもよい。
【0038】
変調部163は、複数のインバンド共振器のスイッチをオンオフし、送信データを変調する。
アレイ共振部131のインバンド共振器のそれぞれはアレイの中で位置が互いに異なる。
変調部163は、各インバンド共振器のスイッチのオンオフ動作によって位相が互いに異なる信号を生成し、結果的にI/Q(in phase/quadrature−phase)(同位相/直角位相)信号を生成する。
変調部163は、インバンド共振器制御部167の制御信号によりインバンド共振器のスイッチ動作を制御してもよい。制御プロセスについては
図2〜
図5を参照してより詳細に説明する。
【0039】
変調部163は、複数のインバンド共振器の内の一部のインバンド共振器のスイッチをオンオフして送信データを変調する。
変調部163は、一部のインバンド共振器のスイッチ動作を介しても送信データを変調することができる。インバンド共振器の数に応じて変調できる場合の数が決定される。
【0040】
変調部163は、複数のインバンド共振器のスイッチをオンオフし、送信データをアナログ変調又はデジタル変調する。
変調部163は、インバンド共振器のスイッチ動作を制御し、ASK(Amplitude Shift Keying)、FSK(Frequency Shift Keying)及びPSK(Phase Shift Keying)のようなデジタル変調を行う。
また、変調部163は、インバンド共振器のスイッチ動作を制御し、振幅変調(Amplitude Modulation)、周波数変調(Frequency Modulation)、位相変調(Phase Modulation)又は他の変調方式を用いてアナログ変調を行う。
【0041】
復調部165は、無線電力受信装置から受信された受信データを復調する。
復調部165は、無線電力受信装置で変調されて送信された受信データを復調する。
復調部165は、無線電力受信装置の変調方式と反対方式で受信データの復調を行う。復調部165は、復調された受信データをソース制御部150に伝達してもよい。
【0042】
インバンド共振器制御部167は、送信データの変調及び受信データの復調を制御する。
インバンド共振器制御部167は、インバンド共振器のスイッチング動作を制御する。
インバンド共振器制御部167は、ソース制御部150で生成された制御信号により送信データを変調するため、インバンド共振器のスイッチング動作を制御する。
また、インバンド共振器制御部167は、復調された受信データがソース制御部150に伝達されるように復調部165を制御する。
【0043】
一方、本発明の実施形態で用いられるソース共振器、インバンド共振器、及びターゲット共振器は、へリックス(helix)コイル構造の共振器、又はスパイラル(spiral)コイル構造の共振器、又は「meta−structured」共振器から構成されてもよい。
【0044】
本発明の一実施形態に係る共振器を構成する1つ以上の物質はメタ物質であってもよい。自然では固有の透磁率(Mu)及び誘電率(epsilon)を有する電磁気的な特性の多くの物質が発見される。大部分の物質は、一般的に物質は正の透磁率又は正の誘電率を有する。
したがって、このような物質に対しては電気場、磁場及びポインティングベクトルに対して右手法則が適用され、このような物質をRHM(Right Handed Material)という。
【0045】
一方、自然で存在しないか又は人工的に設計された(または人によって作られた)誘電率又は透磁率を有する物質はメタ物質と命名する。
メタ物質は、誘電率又は透磁率の符号によってENG(epsilon negative)物質、MNG(mu negative)物質、DNG(double negative)物質、NRI(negative refractive index)物質、LH(left−handed)物質などに分類される。
【0046】
透磁率は、該当物質で与えられた磁界(magnetic field)に対して発生する磁束密度(magnetic flux density)と真空中でその磁界に対して発生する磁束密度の比を意味する。
そして、誘電率は、該当物質で与えられた電界(electric field)に対して発生する電束密度(electric flux density)と真空中でその電界に対して発生する電束密度の比を意味する。
透磁率及び誘電率は、与えられた周波数又は波長で該当物質の伝搬定数を決定し、透磁率及び誘電率によってその物質の電磁気特性が決定される。特に、自然界に存在しない誘電率又は透磁率を有し、人工的に設計された物質をメタ物質といい、メタ物質は極めて大きい波長(wavelength)又は極めて低い周波数領域でも簡単に(すなわち、物質のサイズが多く変わらなくても)共振状態に置かれることがある。
【0047】
本発明の一実施形態に係るインバンド通信を用いた無線電力送受信システムにおいて、ソース共振器、インバンド共振器、及びターゲット共振器については、
図10〜
図17を参照して説明する構造から形成される。
【0048】
図2は、本発明の一実施形態に係るインバンド共振部を示す図である。
図2を参照すると、ソース共振器210は、整合制御部130によってインピーダンス及び共振周波数が整合された無線電力をインバンド共振部220に送信する。
【0049】
インバンド共振部220は、インバンド共振器221、223がアレイを形成して構成されたアレイ共振部を備える。
インバンド共振器221、223は、ソース共振器210から無線電力を受信する。
インバンド共振器223は、ターゲット共振器230に無線電力を伝達する。ターゲット共振器230は、伝達された無線電力を負荷231に伝達して充電する。
【0050】
ここで、インバンド共振器制御部167は、ターゲット共振器230が位置する領域に対応するインバンド共振器223のスイッチをオン(On)する。
変調部163は、無線電力受信装置に識別情報をリクエストする送信データを変調する。
インバンド共振器221、223は、変調した送信データを送信する。また、インバンド共振器223は、ターゲット共振器230から識別情報を含む受信データを受信する。
復調部165は、識別情報を含む受信データを復調する。
ソース制御部150は、復調された受信データに基づいてターゲット共振器230の位置を決定し、ターゲット共振器230に対応するインバンド共振器223を決定する。
【0051】
また、ソース制御部150は、インバンド共振器223によって無線電力を送信するよう制御信号を生成する。
制御信号によってインバンド共振器制御部167は、インバンド共振器223のスイッチング動作を制御する。すなわち、無線電力送信装置は、ターゲット共振器に対応するインバンド共振器を用いて無線電力を伝達する。
【0052】
無線電力送信装置は、ソース共振器を介して所定の無線電力を時間に応じて分配して複数のインバンド共振器に伝達することによって、複数の無線電力受信装置を充電することができる。
また、相対的に少ない無線電力によって複数の無線電力受信装置を充電することで、無線電力送信装置で高周波による電力損失が減少する。
【0053】
また、無線電力送信装置は、インバンド共振器を用いて無線電力を送信することによって、無線電力の送信範囲を拡張させることができる。その理由は、無線電力を送信する共振器と無線電力を受信する共振器との間に距離が近くなるほど結合係数が増加する。
無線電力送信効率は結合係数が大きいほど高くなる。したがって、ソース共振器で既存と同じ無線電力を送信すると仮定すれば、既存のものに比べてインバンド共振器によって送信効率が高くなり、送信範囲も拡張される。
【0054】
図3は、本発明の一実施形態に係るインバンド共振器を通した変調方式を示す図である。
図3を参照すると、インバンド共振器330、340のスイッチのオンオフ動作によって変調される信号はI/Q信号に対するグラフ上で点310、320に表示される。
【0055】
アレイ共振部を構成する複数のインバンド共振器の位置は互いに異なる。したがって、各インバンド共振器でスイッチング動作によって変調される信号の大きさ及び位相は互いに異なる。すなわち、信号の大きさ及び位相の差を用いて送信データを変調してもよい。一般的にI/Q信号を生成するため局部発振器(Local Oscillator)を用いるが、インバンド共振部の場合にインバンド共振器のスイッチング動作によってI/Q信号を生成してもよい。
【0056】
図4は、本発明の一実施形態に係るインバンド共振部の変調及び復調方式を説明するための図である。
変調部163は、インバンド共振器420のスイッチング動作410によって送信データを変調する。
インバンド共振器のスイッチがオープンされている場合(Off)と閉じられている場合(On)とに区別して送信データを変調する。
復調部165は受信データをDC整流し、変調信号を復元して受信データを復調する。
【0057】
図5は、本発明の一実施形態に係るインバンド共振器を通した送信データの変調方式を説明するための図である。
第1ソース共振器510は、無線電力を送信する。
【0058】
無線電力は正弦波であり、正弦波の振幅はA
0であり、位相はφ
0である。インバンド共振器520のスイッチがオフであり、ビットで表現すれば、「0」に表す場合である。
ここで、「0」に変調されたデータは振幅はA
1であり、位相はφ
1である。
振幅A
1と位相φ
1は、インバンド共振器520のアレイ上の位置に応じて異なる。振幅及び位相が反映された変調されたデータは、I/Q信号のグラフで点530に表す。
【0059】
第2ソース共振器540は、無線電力を送信する。
無線電力は正弦波であり、正弦波の振幅はA
0であり、位相はφ
0である。インバンド共振器550のスイッチがオンであり、ビットで表現すれば、「1」を表す場合である。
ここで、「1」に変調されたデータは振幅はA
2であり、位相はφ
2である。
振幅A
2及び位相φ
2は、インバンド共振器550のアレイ上における位置に応じて異なる。振幅及び位相が反映された変調されたデータは、I/Q信号のグラフで点560に表す。
【0060】
すなわち、変調部163は、各インバンド共振器のスイッチング動作によって送信データを変調する。
例えば、インバンド共振器を2個を用いる場合、変調部163は、「00」、「01」、「10」、「11」といった4種類の場合に送信データを変調する。
【0061】
図6は、本発明の一実施形態に係るインバンド通信を用いた無線電力受信装置のブロック図である。
本発明の一実施形態に係るインバンド通信を用いた無線電力受信装置600は、ターゲット共振部610、復調部620、整流部630、センシング部640、ターゲット制御部650、及び変調部660を備える。
【0062】
ターゲット共振部610は、電磁結合によってインバンド共振器から無線電力及びウェイクアップ(wake−up)信号を含む受信データを受信する。
ウェイクアップ信号は、ターゲット共振器が送信データを送信するために必要な最小限の電力信号を意味する。ウェイクアップ信号は、ウェイクアップ電力信号を意味する。
ターゲット共振部610は、ターゲット共振器によってインバンド共振器から無線電力及び受信データを受信する。ここで、受信データは無線電力受信装置が無線電力送信装置から受信するデータを意味し、送信データは無線電力受信装置が無線電力送信装置に送信するデータを意味する。
【0063】
受信データは、ソース共振器のID、インバンド共振器のID、ターゲット共振器のIDリクエスト信号、ターゲット共振器を含む無線電力受信装置のIDリクエスト信号、及び無線電力受信装置の状態リクエスト情報などを含んでもよい。
送信データは、受信データを受信したことを示すACK信号、ターゲット共振器のID、ターゲット共振器を含む無線電力受信装置のID、無線電力受信装置の状態情報及び充電リクエスト信号などを含んでもよい。
ターゲット共振部610は、変調部660で変調された送信データをインバンド共振器に送信する。
【0064】
復調部620は、ウェイクアップ信号を含む受信データを復調する。
復調部620は、インバンド共振器によって変調された受信データを復調する。
無線電力受信装置600は、復調された受信データに基づいて無線電力受信装置600の識別情報を無線電力送信装置に送信する。無線電力受信装置600の識別情報は、無線電力受信装置600の位置、バッテリ状態、充電リクエスト有無、及びIDなどを含んでもよい。
【0065】
整流部630は、ターゲット共振器によって受信された無線電力をDC電圧に整流する整流器を含む。整流されたDC電圧は負荷670に伝達され、負荷670を充電する。
例えば、整流部630は、AC−DCコンバータ及びDC−DCコンバータを含んでもよい。AC−DCコンバータは、ターゲット共振器に受信されるAC信号を整流してDC信号を生成し、DC−DCコンバータは、DC信号の信号レベルを調整することによって定格電圧をデバイス又は負荷に供給する。
【0066】
センシング部640は、ターゲット共振器によって受信された無線電力の反射波を決定又は検出する。
検出された無線電力の反射波に関する情報は、ターゲット制御部650に伝達される。ターゲット制御部650は、反射波情報に基づいて負荷670、ターゲット共振器、インバンド共振器、及びソース共振器間のインピーダンス整合、共振周波数整合を行う。
【0067】
ターゲット制御部650は、ソース共振器、インバンド共振器及びウェイクアップされたターゲット共振器間のインピーダンスを整合させるためにインピーダンスを制御する。
ターゲット制御部650は、ターゲット共振器の共振帯域幅又はターゲット共振器のインピーダンス整合周波数の少なくとも1つを設定する。
【0068】
ターゲット制御部650は、ターゲット共振帯域幅設定部又はターゲット整合周波数設定部の少なくとも1つを含む。
ターゲット共振帯域幅設定部は、ターゲット共振器の共振帯域幅を設定する。
ターゲット整合周波数設定部は、ターゲット共振器のインピーダンス整合周波数を設定する。例えば、ターゲット共振器の共振帯域幅又はターゲット共振器のインピーダンス整合周波数設定に応じてターゲット共振器のQ−factorを決定する。
【0069】
変調部660は、ウェイクアップ信号に対する応答信号、充電リクエスト信号及びウェイクアップされたターゲット共振器のIDを含む送信データを変調する。
本発明の一実施形態に係るインバンド通信を用いた無線電力受信装置600は、受信データに基づいて無線電力受信装置がウェイクアップしたか否か及び負荷への充電が必要であるか否かを判断する電力判断部をさらに備えてもよい。
【0070】
図7は、本発明の一実施形態に係るソース共振器、インバンド共振器、ターゲット共振器間の無線電力及びデータの流れを示す図である。
図7の最上部を参照すると、ソース共振器は、時間に応じて持続的に無線電力を送信する。ここで、ソース共振器の無線電力は、インバンド共振器に伝達される。また、無線電力は直接的にターゲット共振器に伝達されてもよい。
【0071】
ソース共振器の初期無線電力は、インバンド共振器、ターゲット共振器1、ターゲット共振器2、及びターゲット共振器3をウェイクアップさせるウェイクアップ電力信号701である。
ウェイクアップ電力信号とは、共振器がデータを送信して受信するために必要な最小の電力信号を意味する。すなわち、共振器を動作させるための最小電力を意味する。
【0072】
インバンド共振器がウェイクアップされれば、インバンド共振器は、送信データ703を変調して送信する。
送信データ703は、ソース共振器のID、インバンド共振器のID、ターゲット共振器のIDリクエスト信号、ターゲット共振器を備える無線電力受信装置のIDリクエスト信号、及び無線電力受信装置の状態リクエスト情報などを含んでもよい。
【0073】
ターゲット共振器1はインバンド共振器から送信データを受信し、これに対応して送信データを受信したことを示すACK信号、ターゲット共振器1のID、ターゲット共振器1を含む無線電力受信装置のID、無線電力受信装置の状態情報、及び充電リクエスト信号などを含むデータ705を送信する。
【0074】
ターゲット共振器2はインバンド共振器から送信データを受信し、これに対応して送信データを受信したことを示すACK信号、ターゲット共振器2のID、ターゲット共振器2を含む無線電力受信装置のID、無線電力受信装置の状態情報、及び充電リクエスト信号などを含むデータ707を送信する。
【0075】
ターゲット共振器3はインバンド共振器から送信データを受信し、これに対応して送信データを受信したことを示すACK信号、ターゲット共振器3のID、ターゲット共振器3を含む無線電力受信装置のID、無線電力受信装置の状態情報、及び充電リクエスト信号などを含むデータ709を送信する。
【0076】
インバンド共振器は、ターゲット共振器1、ターゲット共振器2、及びターゲット共振器3からターゲット共振器のID、無線電力受信装置の状態情報、及び充電リクエスト信号を含む受信データ711を受信する。
【0077】
ターゲット共振器1に対応する位置にあるインバンド共振器は、送信データ713及び無線電力を送信する。
ターゲット共振器1は無線電力を受信(符号717)して負荷を充電し、送信データ713を受信する。負荷の充電が完了すれば、ターゲット共振器1は、充電完了信号719をインバンド共振器に送信する。
インバンド共振器は、充電完了信号719を受信(符号715)する。ここで、ターゲット共振器2及びターゲット共振器3に対応する位置にあるインバンド共振器のスイッチはオフされ、ターゲット共振器2及びターゲット共振器3は無線電力を受信しない。
【0078】
ターゲット共振器2に対応する位置にあるインバンド共振器は、送信データ721及び無線電力を送信する。
ターゲット共振器2は、無線電力を受信(符号725)して負荷を充電し、送信データ721を受信する。負荷の充電が完了すれば、ターゲット共振器2は、充電完了信号727をインバンド共振器に送信する。
インバンド共振器は、充電完了信号727を受信(符号723)する。ここで、ターゲット共振器1及びターゲット共振器3に対応する位置にあるインバンド共振器のスイッチはオフされ、ターゲット共振器1及びターゲット共振器3は無線電力を受信しない。
【0079】
ターゲット共振器3に対応する位置にあるインバンド共振器は、送信データ729及び無線電力を送信する。
ターゲット共振器3は、無線電力を受信(符号733)して負荷を充電し、送信データ729を受信する。負荷の充電が完了すれば、ターゲット共振器3は、充電完了信号735をインバンド共振器に送信する。
インバンド共振器は、充電完了信号735を受信(符号731)する。ここで、ターゲット共振器1及びターゲット共振器2に対応する位置にあるインバンド共振器のスイッチはオフされ、ターゲット共振器1及びターゲット共振器2は無線電力を受信しない。
【0080】
無線電力送信装置は、ターゲット共振器の位置にあるインバンド共振器を制御して無線電力及び送信データを送信する。
ここで、無線電力送信装置は、ターゲット共振器1、ターゲット共振器2、及びターゲット共振器3に所定の時間間隔をもって無線電力を送信し、平均的には持続的に無線電力を送信する効果をもたらす。
したがって、相対的に少ない供給電力で複数の無線電力受信装置を充電することができる。
【0081】
図8は、本発明の一実施形態に係るインバンド通信を用いた無線電力送信方法を説明するためのフローチャートである。
ステップS810において、本実施形態に係るインバンド通信を用いる無線電力送信装置は、無線電力受信装置に関する識別情報をインバンド共振器によって受信する。
インバンド共振器は、無線電力受信装置から識別情報をインバンド通信を介して受信する。インバンド通信は、共振周波数によって無線電力受信装置とデータを送受信することを意味する。無線電力受信装置に対する識別情報は、無線電力受信装置の位置、バッテリ状態、充電リクエスト有無、及びIDなどを含んでもよい。
【0082】
ステップS820において、本実施形態に係るインバンド通信を用いる無線電力送信装置は、受信された識別情報を復調する。
本実施形態に係るインバンド通信を用いる無線電力送信装置は、無線電力受信装置の変調方式と反対方式で受信データの復調を行う。
ステップS830において、本実施形態に係るインバンド通信を用いる無線電力送信装置は、復調された識別情報に基づいてソース共振器の共振周波数及びインピーダンスを制御する。
【0083】
ステップS840において、本実施形態に係るインバンド通信を用いる無線電力送信装置は、電磁結合を介してソース共振器から無線電力をインバンド共振器に送信する。
ソース共振器によって伝搬される波動によって電力が無線に送信される。
ステップS850において、本実施形態に係るインバンド通信を用いる無線電力送信装置は、インバンド共振器の内の無線電力受信装置に対応するインバンド共振器によって無線電力及び送信データを同時に送信する。
本実施形態に係るインバンド通信を用いる無線電力送信装置は、複数のインバンド共振器を制御して(例えば、複数のインバンド共振器のオンオフをスイッチングすることによって)送信データを変調する。
【0084】
本実施形態に係るインバンド通信を用いる無線電力送信装置は、無線電力受信装置から受信された受信データを復調する。
本実施形態に係るインバンド通信を用いる無線電力送信装置は、複数のインバンド共振器がアレイを形成して構成されたアレイインバンド共振器によって所定の領域に対して無線電力及び送信データを送信する。
本実施形態に係るインバンド通信を用いる無線電力送信装置は、インバンド共振器の内の無線電力受信装置に対応する位置のインバンド共振器を検出する。
本実施形態に係るインバンド通信を用いる無線電力送信装置は、検出されたインバンド共振器の制御信号を生成する。
本実施形態に係るインバンド通信を用いる無線電力送信装置は、検出されたインバンド共振器の制御信号を介してインバンド共振器によってターゲット共振器に無線電力を送信する。
【0085】
図9は、本発明の一実施形態に係るインバンド通信を用いる無線電力受信方法を説明するためのフローチャートである。
ステップS910において、本実施形態に係るインバンド通信を用いた無線電力受信装置は、電磁結合によってインバンド共振器から無線電力及びウェイクアップ(wake−up)信号を含む受信データを受信する。
ウェイクアップ信号は、ターゲット共振器が送信データを送信するために必要な最小限の電力信号を意味する。ウェイクアップ信号はウェイクアップ電力信号を意味する。
【0086】
ステップS920において、本実施形態に係るインバンド通信を用いた無線電力受信装置は、ウェイクアップ信号を含む受信データを復調する。
本実施形態に係るインバンド通信を用いた無線電力受信装置は、インバンド共振器によって変調された受信データを復調する。
ステップS930において、本実施形態に係るインバンド通信を用いた無線電力受信装置は、ウェイクアップ信号に対する応答信号、充電リクエスト信号及びウェイクアップされたターゲット共振器のIDを含む送信データを変調する。
【0087】
ステップS940において、一本実施形態に係るインバンド通信を用いた無線電力受信装置は、ソース共振器、インバンド共振器、及びウェイクアップされたターゲット共振器間のインピーダンスを整合させるためにインピーダンスを制御する。
本実施形態に係るインバンド通信を用いた無線電力受信装置は、受信データに基づいてウェイクアップしたか否か及び負荷の充電が必要であるかどうかを判断する。
【0088】
図10は、本発明の一実施形態に係る2次元(平面)構造の共振器1000を示す図である。
図10を参照すると、本実施形態に係る2次元(平面)構造の共振器1000は、第1信号導体部分1011、第2信号導体部分1012、及びグラウンド導体部分1013を含む送信線路、キャパシタ1020、整合器1030、及び導体(1041、1042)を備える。
【0089】
図10に示すように、キャパシタ1020は、送信線路で第1信号導体部分1011と第2信号導体部分1012との間に位置に直列に挿入され、それによって電界はキャパシタ1020に閉じ込められるようになる。一般的に、送信線路は上部に少なくとも1つの導体、下部に少なくとも1つの導体を含み、上部にある導体を介して電流が流れ、下部にある導体は電気的にグラウンドされる。
【0090】
図10に示すように、本発明の一実施形態に係る共振器1000は、2次元(平面)構造の形態を有する。
送信線路路は、上部に第1信号導体部分1011及び第2信号導体部分1012を含み、下部にグラウンド導体部分1013を含む。
第1信号導体部分1011及び第2信号導体部分1012とグラウンド導体部分1013は互いに向かい合うように配置される。電流は第1信号導体部分1011及び第2信号導体部分1012を通じて流れる。
【0091】
また、
図10に示すように、第1信号導体部分1011の一端は導体1042と接続され、他端はキャパシタ1020と接続される。そして、第2信号導体部分1012の一端は導体1041と接続され、他端はキャパシタ1020と接続される。
すなわち、第1信号導体部分1011、第2信号導体部分1012、及びグラウンド導体部分1013、導体(1041、1042)は互いに接続されることによって、共振器1000は電気的に閉じたループ構造を有する。ここで、「ループ構造」は、円形構造、四角形構造のような多角形の構造などを含み、電気的に閉じられている。
【0092】
キャパシタ1020は、送信線路の中部に挿入される。
例えば、キャパシタ1020は第1信号導体部分1011と第2信号導体部分1012との間に挿入される。ここで、キャパシタ1020は、集中素子(lumped element)及び分散素子(distributed element)などの形態を有してもよい。特に、分散素子の形態を有する分散したキャパシタは、ジグザグ形態の導体ラインとその導体ラインとの間に存在する高い誘電率を有する誘電体を含む。
【0093】
キャパシタ1020が送信線路に挿入されることによって共振器1000はメタ物質の特性を有し得る。例えば、キャパシタ1020のキャパシタンスを適切に調整することによって共振器は負の透磁率を有し得るため、本発明の一実施形態に係る共振器1000はMNG共振器と呼ばれる。
後述にて説明するが、キャパシタ1020のキャパシタンスを定める前提(criterion)は様々であり得る。共振器1000がメタ物質の特性を有する前提、共振器1000が対象周波数で負の透磁率を有する前提、共振器1000が対象周波数で零次共振(Zeroth−Order Resonance)の特性を有する前提などがある。
【0094】
(MNG)共振器1000は、伝搬定数が0であるときの周波数を共振周波数として有する零次共振の特性を有する。
(MNG)共振器1000は、零次共振特性を有するため、共振周波数は(MNG)共振器1000の物理的なサイズに対して独立的であり得る。すなわち、下記で再び説明するが、(MNG)共振器1000で共振周波数を変更するためにはキャパシタ1020を適切に設計することで充分であるため、(MNG)共振器1000の物理的なサイズを変更しなくてもよい。
【0095】
また、近接フィールドにおいて、電界は送信線路に挿入されたキャパシタ1020に集中するため、キャパシタ1020によって近接フィールドでは磁界がドミナント(dominant)される。そして、(MNG)共振器1000は集中素子のキャパシタ1020を用いて高いQ−ファクター(Q−Factor)を有するため、電力送信の効率を向上させることができる。参考に、Q−ファクターは、無線電力送信において、抵抗損失の程度、又は抵抗に対するリアクタンスの比を表すが、Q−ファクターが大きいほど無線電力送信の効率は大きいものと理解される。
【0096】
また、(MNG)共振器1000はインピーダンス整合のための整合器1030を備えてもよい。ここで、整合器1030は、(MNG)共振器1000の磁界の強度を適切に調整することができる。そして、電流はコネクタを介して(MNG)共振器1000に流入したり(MNG)共振器1000から流出してもよい。ここで、コネクタはグラウンド導体部分1013又は整合器1030と接続される。ただし、コネクタとグラウンド導体部分1013又は整合器1030の間には物理的な連結が形成されてもよく、コネクタとグラウンド導体部分1013又は整合器1030の間に物理的な連結なしでカップリングを介して電力が伝達されてもよい。
【0097】
詳細には、
図10に示すように、整合器1030は、共振器1000のループ構造によって形成されるループ内に位置する。整合器1030は、物理的な形態を変更することによって共振器1000のインピーダンスを調整する。
特に、整合器1030は、グラウンド導体部分1013から距離「h」だけ離れた位置にインピーダンス整合のための導体1031を含み、共振器1000のインピーダンスは距離「h」を調整することによって変更される。
【0098】
例えば、整合器1030を制御できるコントローラが存在する場合、整合器1030はコントローラによって生成される制御信号によって整合器1030の物理的な形態を変更することができ、このような変更により共振器のインピーダンスを調整できる。
例えば、制御信号によって整合器1030の導体1031とグラウンド導体部分1013との間の距離「h」を増加させたり減少させたりする。これによって整合器1030の物理的な形態が変更するため、共振器1000のインピーダンスが調整される。
【0099】
整合器1030は
図10に示すように、導体部分1031のような受動素子のように実現されてもよく、実施形態によってはダイオード、トランジスタなどのような能動素子で実現されてもよい。
能動素子が整合器1030に含まれる場合、能動素子はコントローラによって生成される制御信号に応答して駆動され、その制御信号に応じて共振器1000のインピーダンスは調整される。
例えば、整合器1030には能動素子の一種であるダイオードが含まれてもよく、ダイオードが「on」又は「off」の状態であるかに応じて共振器1000のインピーダンスが調整される。
また、
図10には示していないが、(MNG)共振器1000を貫通するマグネチックコアをさらに含んでもよい。このようなマグネチックコアは電力送信距離を増加させる機能を行う。
【0100】
図11は、本発明の一実施形態に係る3次元(立体)構造の共振器1100を示す図である。
図11を参照すると、本発明の一実施形態に係る3次元構造の共振器1100は、第1信号導体部分1111、第2信号導体部分1112、及びグラウンド導体部分1113を含む送信線路及びキャパシタ1120を含む。ここで、キャパシタ1120は、送信線路である第1信号導体部分1111と第2信号導体部分1112との間に位置に直列に挿入され、電界はキャパシタ1120に閉じ込められる。
【0101】
また、
図11に示すように、共振器1100は3次元(立体)構造の形態を有する。
送信線路路は、上部に第1信号導体部分1111及び第2信号導体部分1112を含み、下部にグラウンド導体部分1113を含む。第1信号導体部分1111及び第2信号導体部分1112とグラウンド導体部分1113は互いに向かい合うように配置される。このような整列で電流は、第1信号導体部分1111及び第2信号導体部分1112を通じてx方向に流れ、このような電流によって−y方向に磁界H(w)が発生する。
もちろん、
図11に示したものとは相違して、+y方向に磁界H(w)が発生させることもできる。
【0102】
また、
図11に示すように、第1信号導体部分1111の一端は導体1142と電気的に接続され、他端はキャパシタ1120と接続される。そして、第2信号導体部分1112の一端は導体1141と接続され、他端はキャパシタ1120と接続される。すなわち、第1信号導体部分1111、第2信号導体部分1112、及びグラウンド導体部分1113、導体(1141、1142)は互いに接続されることによって、共振器1100は電気的に閉じているループ構造を有する。
【0103】
また、
図11に示すように、キャパシタ1120は、第1信号導体部分1111と第2信号導体部分1112との間に挿入される。
ここで、キャパシタ1120は、集中素子及び分散素子などの形態を有してもよい。特に、分散素子の形態を有する分散したキャパシタは、ジグザグ形態の導体ラインとその導体ラインとの間に存在する高い誘電率を有する誘電体を含む。
【0104】
図11に示すように、キャパシタ1120が送信線路に挿入されることによって共振器1100はメタ物質の特性を有し得る。
集中素子として挿入されたキャパシタ1120のキャパシタンスが適切に決定されれば、共振器1100はメタ物質の特性を有する。特に、キャパシタ1120のキャパシタンスを適切に調整することによって、共振器1100は特定の周波数帯域において負の透磁率を有し得るため、本発明の一実施形態に係る共振器1100はMNG共振器と呼ばれる。
下記で説明するが、キャパシタ1120のキャパシタンスを定める前提は様々であり得る。共振器1100がメタ物質の特性を有する前提、共振器1100が対象周波数で負の透磁率を有する前提、又は共振器1100が対象周波数で零次共振の特性を有する前提などがあり、上述した前提のうち少なくとも1つの前提下でキャパシタ1120のキャパシタンスを決定してもよい。
【0105】
図11に示すように、(MNG)共振器1100は、伝搬定数(propagation constant)が0であるときの周波数を共振周波数として有する零次共振の特性を有する。(MNG)共振器1100は零次共振の特性を有するため、共振周波数は(MNG)共振器1100の物理的なサイズに対して独立的であり得る。
(MNG)共振器1100で共振周波数を変更するためにはキャパシタ1120を適切に設計することで充分であるため、(MNG)共振器1100の物理的なサイズを変更しなくてもよい。
【0106】
図11に示すように、(MNG)共振器1100を参照すれば、近接フィールドにおいて、電界は送信線路1110に挿入されたキャパシタ1120に集中するため、キャパシタ1120によって近接フィールドでは磁界がドミナントされる。
また、零次共振の特性を有する(MNG)共振器1100は磁気双極子(magnetic dipole)に類似の特性を有するため、近接フィールドでは磁界がドミナントになり、キャパシタ1120の挿入により発生する少ない量の電界又はそのキャパシタ1120に集中されるため、近接フィールドでは磁界が最もドミナントされる。(MNG)共振器1100は集中素子のキャパシタ1120を用いて高いQ−ファクターを有するため、電力送信の効率を向上させることができる。
【0107】
また、
図11に示すように、(MNG)共振器1100はインピーダンス整合のための整合器1130を備える。
ここで、整合器1130は、(MNG)共振器1100の磁界の強度を適切に調整でき、整合器1130によって(MNG)共振器1100のインピーダンスが決定される。そして、電流はコネクタ1140を介して(MNG)共振器1100に流入するか、(MNG)共振器1100から流出する。ここで、コネクタ1140はグラウンド導体部分1113又は整合器1130と接続されてもよい。
【0108】
詳細には、
図11に示すように、整合器1130は共振器1100のループ構造によって形成されるループの内部に位置する。
整合器1130は物理的な形態を変更することによって共振器1100のインピーダンスを調整する。特に、整合器1130はグラウンド導体部分1113から距離「h」だけ離隔された位置にインピーダンス整合のための導体部分1131を含んでもよく、共振器1100のインピーダンスは距離「h」を調整することによって変更され得る。
【0109】
図11に示していないが、整合器1130を制御することのできるコントローラが存在する場合、整合器1130はコントローラによって生成される制御信号に応答して整合器1130の物理的な形態を変更してもよい。
例えば、制御信号に応じて整合器1130の導体1131とグラウンド導体部分1113との間の距離「h」を増加させたり減少させたりし、これにより整合器1130の物理的な形態が変更されることで共振器1100のインピーダンスが調整される。
【0110】
整合器1130の導体1131とグラウンド導体部分1113との間の距離「h」は様々な方式で調整されてもよい。
すなわち、第1に、整合器1130には様々な導体が含まれてもよく、その導体のいずれか1つを適応的に活性化することによって距離「h」が調整され得る。
第2に、導体1131の物理的な位置を上下に調整することによって距離「h」が調整される。このような距離「h」はコントローラの制御信号に応じて制御されてもよく、コントローラは様々なファクターを考慮して制御信号を生成してもよい。
【0111】
整合器1130は
図11に示すように、導体部分1131のような受動素子で実現してもよく、実施形態によってはダイオード、トランジスタなどのような能動素子で実現してもよい。
能動素子が整合器1130に含まれる場合、能動素子はコントローラによって生成される制御信号に応答して駆動し、その制御信号に応じて共振器1100のインピーダンスを調整することができる。例えば、能動素子が整合器1130に含まれたダイオードである場合、ダイオードが「on」または「off」状態であるかに応じて共振器1100のインピーダンスが調整される。
また、
図11には明示的に示していないが、(MNG)共振器1100を貫通するマグネチックコアをさらに含んでもよい。このようなマグネチックコアは電力送信距離を増加させる機能を行う。
【0112】
図12は、本発明の一実施形態に係る「bulky type」に設計された無線電力送信のための共振器の例を示す図である。
以下、別の継ぎ目なしに1つの一体型として2つ以上の部分を互いに接続するタイプを「bulky type」と呼ぶ。
図12を参照すると、第1信号導体部分1211と導体1242は個別的に製造して、接続するのではなく、一体型に製造される。同様に、第2信号導体部分1212と導体1241も一体型に製造される。
【0113】
例えば、第2信号導体部分1212と導体1241が個別的に製造された後互いに接続される場合、継ぎ目1250による導体損失が発生し得る。
ここで、本発明の実施形態によれば、第2信号導体部分1212と導体1241は別途の継ぎ目なしで(seamless)互いに接続され、導体1241とグラウンド導体部分1213も別途の継ぎ目なしで互いに接続されることで、継ぎ目による導体損失を減らすことができる。すなわち、第2信号導体部分1212とグラウンド導体部分1213は別途の継ぎ目なしで一体型製造される。
同様に、第1信号導体部分1211とグラウンド導体部分1213も別途の継ぎ目なしで1つの一体型に製造される。
整合器1230は、上記で説明された1つ以上の実施形態と類似した構成にて提供され得る。
【0114】
図13は、本発明の一実施形態に係る「Hollow type」に設計された無線電力送信のための共振器の例を示す図である。
図13を参照すると、「Hollow type」に設計された無線電力送信のための共振器の第1信号導体部分1311、第2信号導体部分1312、グラウンド導体部分1313、導体(1341、1342)それぞれは、内部に空いている空間を含む。
ここで、「Hollow type」は、内部に空いている空間を含む構造を意味する用語として使用する。
【0115】
与えられた(所定の)共振周波数において、有効電流は第1信号導体部分1311、第2信号導体部分1312、グラウンド導体部分1313、導体(1341、1342)それぞれの全ての部分を介して流れることなく、一部の部分のみを介して流れるものとモデリングしてもよい。
すなわち、与えられた共振周波において、第1信号導体部分1311、第2信号導体部分1312、グラウンド導体部分1313、導体(1341、1342)の厚さがそれぞれの表皮厚さ(skin depth)よりも過度に厚いことは効率的ではない。すなわち、それは共振器1300の重さ又は共振器1300の製造費用を増加させる原因になり得る。
【0116】
したがって、本発明の実施形態によれば、与えられた(所定の)共振周波数において、第1信号導体部分1311、第2信号導体部分1312、グラウンド導体部分1313、導体(1341、1342)それぞれの表皮厚さに基づいて第1信号導体部分1311、第2信号導体部分1312、グラウンド導体部分1313、導体(1341、1342)それぞれの厚さを適切に決定することができる。
第1信号導体部分1311、第2信号導体部分1312、グラウンド導体部分1313、導体(1341、1342)それぞれが該当の表皮厚さよりも大きいながらも適切な厚さを有する場合、共振器1300は軽くなり、共振器1300の製造費用も減少され得る。
【0117】
例えば、
図13の円で囲んだ拡張領域1360に示される第2信号導体部分1312の厚さは「d」mmに決定してもよく、「d」は、
によって決定される。
ここで、fは周波数、μは透磁率、σは導体定数を表す。
【0118】
特に、第1信号導体部分1311、第2信号導体部分1312、グラウンド導体部分1313、導体(1341、1342)が銅(copper)として5.8×10
7(Sm
−1)の導電率を有する場合、共振周波数が10kHzについては表皮厚さ(skin depth)が約0.6mmであり、共振周波数が100MHzについては表皮厚さは0.006mmである。
キャパシタ1320及び整合器1330は、上記で説明した1つ以上の実施形態と類似した構成にて提供され得る。
【0119】
図14は、パラレルシート(parallel−sheet)が適用された無線電力送信のための共振器の例を示す図である。
図14を参照すると、パラレルシートが適用された無線電力送信のための共振器に含まれた第1信号導体部分1411、第2信号導体部分1412それぞれの表面にはパラレルシートを適用する。
【0120】
第1信号導体部分1411、第2信号導体部分1412は完ぺきな導体ではないことから、抵抗成分を有することがあり、その抵抗成分によって抵抗損失が発生することがある。このような抵抗損失はQファクターを減少させ、カップリング効率を減少させ得る。
本発明の一実施形態によると、第1信号導体部分1411、第2信号導体部分1412それぞれの表面にパラレルシートを適用することによって抵抗損失を減らし、Qファクター及びカップリングの効率を増加させることができる。
【0121】
円によって拡大表示された領域1470を参照すると、パラレルシートが適用される場合、第1信号導体部分1411、第2信号導体部分1412それぞれは複数の導体ラインを含む。この導体ラインは並列に配置され、第1信号導体部分1411、第2信号導体部分1412それぞれの先の部分で互いに接続される。
第1信号導体部分1411、第2信号導体部分1412それぞれの表面にパラレルシートを適用する場合、導体ラインが並列に配置されるため、導体ラインが有する抵抗成分の合計は減少する。したがって、抵抗損失を減らし、Qファクター及びカップリング効率を増加させることができる。
キャパシタ1420及び整合器1430は、上記で説明された1つ以上の実施形態と類似した構成にて提供され得る。
【0122】
図15は、分散型キャパシタを含む無線電力送信のための共振器の例を示す図である。
図15を参照すると、無線電力送信のための共振器に含まれるキャパシタ1520は分散したキャパシタである。
集中素子としてのキャパシタは相対的に高い等価直列抵抗(Equivalent Series Resistance:ESR)を有し得る。集中素子としてのキャパシタが有するESRを減らすための様々な提案があるものの、本発明の実施形態は分散素子としてのキャパシタ1520を用いることによってESRを減らす。参考に、ESRによる損失はQファクター及びカップリング効率を減少させることがある。
【0123】
図15に示すように、分散素子としてのキャパシタ1520はジグザグの構造の導体ライン及び誘電体で実現される。
それだけではなく、
図15に示すように、本発明の実施形態は分散素子としてのキャパシタ1520を用いることによって、ESRによる損失を減らすことができ、複数の集中素子としてのキャパシタを並列的に用いることによってESRによる損失を減らすことができる。
なぜなら、集中素子としてのキャパシタそれぞれが有する抵抗成分は並列接続によって小さくなるため、並列的に接続された集中素子としてのキャパシタの有効抵抗も小さくなり、したがって、ESRによる損失を減らすことができる。例えば、10pFのキャパシタ1つを用いることを1pFのキャパシタ10個を用いるものと代替することによってESRによる損失を減らすことができる。
【0124】
図16Aは整合器を含む
図10に示した2次元(平面)共振器1000で使用される整合器1030の一例を示し、
図16Bは
図11に示した3次元(立体)共振器1100で使用される整合器1130の一例を示す。
図16Aは整合器1030を含む2次元共振器の一部を示し、
図16Bは整合器1130を含む3次元共振器の一部を示す。
【0125】
図16Aを参照すると、整合器は、導体1031、導体1032及び導体1033を含み、導体1032及び導体1033は送信線路のグラウンド導体部分1013及び導体1031と接続される。
導体1031とグラウンド導体部分1013との間の距離「h」により2次元(平面)共振器のインピーダンスは決定され、導体1031とグラウンド導体部分1013との間の距離「h」はコントローラによって制御される。導体1031とグラウンド導体部分1013との間の距離「h」は様々な方式で調整されてもよく、導体1031になり得る様々な導体のいずれか1つを適応的に活性化することによって距離「h」を調整する方式、導体1031の物理的な位置を上下に調整することで距離「h」を調整する方式などがあり得る。
【0126】
図16Bを参照すれば、整合器1130は、導体1131、導体1132及び導体1133を備え、導体1132及び導体1133は送信線路のグラウンド導体部分1113及び導体1131と接続される。
導体1131とグラウンド導体部分1113との間の距離「h」により3次元(立体)共振器のインピーダンスは決定され、導体1131とグラウンド導体部分1113との間の距離「h」はコントローラによって制御される。2次元(平面)構造の共振器に含まれる整合器と同様に、3次元(立体)構造の共振器1100に含まれる整合器でも導体1131とグラウンド導体部分1113との間の距離「h」は様々な方式で調整されてもよい。例えば、導体1131になり得る様々な導体のいずれか1つを適応的に活性化することによって距離「h」を調整する方式、導体1131の物理的な位置を上下に調整することで距離「h」を調整する方式などがあり得る。
【0127】
本発明の一実施形態に係る整合器は、能動素子を含んでもよく、能動素子を用いて共振器のインピーダンスを調整する方式は上述した内容に類似する。
すなわち、能動素子を用いて整合器を通じて流れる電流の経路を変更することによって、共振器のインピーダンスを調整することができる。
【0128】
図17は、
図10に示した無線電力送信のための共振器1000の等価回路を示す図である。
図10に示した無線電力送信のための共振器1000は、
図17に示す等価回路でモデリングされる。
図17に示す等価回路で、C
Lは
図10に示す電力送信線路の中部に集中素子の形態に挿入されたキャパシタを示し、L
Rは電力送信線路のインダクタンスを示し、C
Rは電力送信ライン及び/またはグラウンド間のキャパシタンスを示す。
【0129】
例えば、
図10に示す無線電力送信のための共振器1000は零次共振特性を有する。
すなわち、伝搬定数が0である場合、無線電力送信のための共振器1000はω
MZRを共振周波数として有すると仮定する。
ここで、共振周波数ω
MZRは、以下の数式1のように表される。MZRは「Mu Zero Resonator」を意味する。
【0131】
数式1を参照すると、共振器1000の共振周波数ω
MZRはL
R/C
Lによって決定することができ、共振周波数ω
MZRと共振器1000の物理的なサイズは互いに独立的であることが分かる。
したがって、共振周波数ω
MZRと共振器1000の物理的なサイズが互いに独立的であるため、共振器1000の物理的なサイズは十分に小さくなり得る。
【0132】
本発明の一実施形態に係る方法は、多様なコンピュータ手段によって行うことができるプログラム命令の形態で実現されても良く、かかるプログラム命令は、コンピュータ読み出し可能記憶媒体に記録されてもよい。
コンピュータ読み出し可能記憶媒体は、プログラム命令、データファイル、データ構造などを単独又は組み合わせたものを含んでもよい。記憶媒体に記録されるプログラム命令は、本発明のために特別に設計して構成されたものでもよく、コンピュータソフトウェア分野の技術を有する当業者にとって公知のものであり使用可能なものであってもよい。
【0133】
以上のように本発明を限定された実施形態と図面によって説明したが、本発明は、上記の実施形態に限定されることなく、本発明が属する分野における通常の知識を有する者であれば、このような記載から多様な修正及び変形が可能である。
したがって、本発明の範囲は、説明された実施形態に限定されて定められるものではなく、特許請求の範囲及び特許請求の範囲と均等なものなどによって定められるものである。