特許第5909510号(P5909510)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5909510
(24)【登録日】2016年4月1日
(45)【発行日】2016年4月26日
(54)【発明の名称】深冷空気分離方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
   F25J 3/04 20060101AFI20160412BHJP
   F02M 31/20 20060101ALI20160412BHJP
   F02C 3/30 20060101ALI20160412BHJP
   F02C 3/34 20060101ALI20160412BHJP
   F23R 3/00 20060101ALI20160412BHJP
   F02C 7/141 20060101ALI20160412BHJP
   F02G 5/00 20060101ALI20160412BHJP
   C01B 31/20 20060101ALI20160412BHJP
【FI】
   F25J3/04 102
   F02M31/20 A
   F02C3/30 D
   F02C3/34
   F23R3/00 B
   F02C7/141
   F02G5/00 C
   C01B31/20 Z
【請求項の数】22
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2013-558206(P2013-558206)
(86)(22)【出願日】2012年3月16日
(65)【公表番号】特表2014-515083(P2014-515083A)
(43)【公表日】2014年6月26日
(86)【国際出願番号】US2012029423
(87)【国際公開番号】WO2012125921
(87)【国際公開日】20120920
【審査請求日】2015年1月26日
(31)【優先権主張番号】61/453,381
(32)【優先日】2011年3月16日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】13/420,859
(32)【優先日】2012年3月15日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】312000387
【氏名又は名称】8 リバーズ キャピタル,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】アラム,ロドニー ジョン
(72)【発明者】
【氏名】フェットベット,ジェレミー エロン
【審査官】 團野 克也
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第05724805(US,A)
【文献】 特開昭54−162678(JP,A)
【文献】 米国特許第06117916(US,A)
【文献】 国際公開第2011/028322(WO,A1)
【文献】 特開平11−315727(JP,A)
【文献】 特開平10−267527(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
IPC F25J1/00−5/00
F02C1/00−9/58
F23R3/00−7/00
F01K23/00−23/18
DB Thomson Innovation
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
精製されたO流および加熱された作動流体流を提供するための空気分離方法であって、
空気を第1空気圧縮機で3.5バール(0.35MPa)〜12バール(1.2MPa)の圧力まで加圧する工程と、
前記加圧空気の少なくとも一部を前記第1圧縮機から第2空気圧縮機に移し、そこで、前記空気を最大150バール(15MPa)の圧力までさらに加圧する工程であって、前記第1空気圧縮機は、前記空気の中間冷却をせずに2.5以上の圧力比で断熱的に動作する少なくとも1つの段階を含み、前記第2空気圧縮機は、各段階が2.5以上の圧力比を有し、かつ前記空気の中間冷却を有しない1つ以上の断熱圧縮段階と共に動作する工程と、
前記作動流体流が加熱され、かつ前記断熱的に圧縮された空気が冷却されるように、前記第1段および第2段空気圧縮機内の各部からの前記断熱的に圧縮された空気からの熱を前記作動流体流に伝達する工程と、
を含む空気分離方法。
【請求項2】
前記第1および第2空気圧縮機からの前記冷却および圧縮された空気流を、ポンプ加圧液体酸素サイクルを有する深冷酸素プラントに供給して酸素流を生成する工程をさらに含む、請求項1に記載の空気分離方法。
【請求項3】
前記生成された酸素流は、20バール(2MPa)〜500バール(50MPa)の圧力および90モル%以上の純度を有する、請求項2に記載の空気分離方法。
【請求項4】
前記生成された酸素流は、97モル%以上の純度を有する、請求項3に記載の空気分離方法。
【請求項5】
前記空気流の前記断熱的に圧縮された部分から伝達された前記熱の少なくとも一部を、前記酸素と共にCO作動流体を用いる酸素燃料発電システムに供給する工程をさらに含む、請求項2に記載の空気分離方法。
【請求項6】
前記伝達する工程は、前記第1および第2空気圧縮機内の各段階からの前記断熱的に圧縮された空気を1つ以上の熱交換器に通し、そこで前記作動流体流を加熱し、かつ前記断熱的に圧縮された空気を冷却することを含む、請求項1に記載の空気分離方法。
【請求項7】
前記1つ以上の熱交換器は、前記断熱的に圧縮された空気からの熱を80℃〜500℃の温度範囲で前記作動流体流に伝達する、請求項6に記載の空気分離方法。
【請求項8】
前記伝達する工程は、前記第1および第2空気圧縮機内の各段階からの前記断熱的に圧縮された空気を、前記断熱的に圧縮された空気から前記作動流体流に熱を伝達する中間循環熱伝達流体と接触させることを含む、請求項1に記載の空気分離方法。
【請求項9】
前記中間循環熱伝達流体は、前記断熱的に圧縮された空気から80℃〜500℃の温度範囲で前記作動流体流に熱を伝達する、請求項8に記載の空気分離方法。
【請求項10】
燃料、酸素およびCO作動流体を燃焼器に導入する工程と、
前記燃料を燃焼させて、前記CO作動流体を含む燃焼生成物流を得る工程と、
前記燃焼生成物流よりも低い圧力を有するタービン排気流を生成するために、前記燃焼生成物流を、軸動力を生成するタービンに通す工程と、
前記タービン排気流を熱交換器に通して前記タービン排気流を冷却し、かつ再循環されるCO作動流体を加熱する工程と、
前記冷却されたタービン排気流から水および不純物のうちの1種以上を分離して、精製されたタービン排気流を得る工程と、
前記精製されたタービン排気流を圧縮して、圧縮されたタービン排気流を生成する工程と、
前記燃料の前記燃焼から生成された正味のCOを前記精製されたタービン排気流から除去して、前記再循環されるCO作動流体流を生成する工程と、
断熱的に圧縮された空気流を冷却するように、前記断熱的に圧縮された空気流からの熱の少なくとも一部を前記再循環されるCO作動流体流に伝達する工程であって、その断熱的に圧縮された空気流は、
空気を第1空気圧縮機で3.5バール(0.35MPa)〜12バール(1.2MPa)の圧力まで加圧する工程と、
前記加圧空気の少なくとも一部を前記第1圧縮機から第2空気圧縮機に移し、そこで前記空気を最大150バール(15MPa)の圧力までさらに加圧する工程であって、前記第1空気圧縮機は、前記空気の中間冷却をせずに2.5以上の圧力比で断熱的に動作する少なくとも1つの段階を含み、前記第2空気圧縮機は、各段階が2.5以上の圧力比を有し、かつ前記空気の中間冷却を有しない1つ以上の断熱圧縮段階と共に動作し、前記断熱的に圧縮された空気流は、前記第1および第2空気圧縮機内の各部から生成される工程と、
を含む空気分離方法によって生成される工程と、
前記加熱および再循環されるCO作動流体流を、前記燃料および前記酸素と共に前記燃焼器に移す工程と、
を含む一体化された発電方法および空気分離方法。
【請求項11】
前記伝達する工程は、前記断熱的に圧縮された空気流および前記再循環されるCO作動流体流を、前記圧縮空気流からの前記熱を前記再循環されるCO作動流体流に伝達する中間循環熱伝達流体と接触させることを含む、請求項10に記載の一体化された発電方法および空気分離方法。
【請求項12】
前記中間循環熱伝達流体は、前記断熱的に圧縮された空気からの前記熱を、80℃〜500℃の温度範囲で前記再循環されるCO作動流体流に伝達する、請求項11に記載の一体化された発電方法および空気分離方法。
【請求項13】
前記伝達する工程は、前記断熱的に圧縮された空気流を前記熱交換器に通す工程を含み、ここでは、前記断熱的に圧縮された空気流からの前記熱の少なくとも一部を前記再循環されるCO作動流体流に伝達して前記再循環されるCO作動流体流をさらに加熱するように、前記タービン排気流を冷却し、かつ前記再循環されるCO作動流体を加熱する、請求項10に記載の一体化された発電方法および空気分離方法。
【請求項14】
前記熱交換器は、前記断熱的に圧縮された空気からの前記熱を80℃〜500℃の温度範囲で前記作動流体流に伝達する、請求項13に記載の一体化された発電方法および空気分離方法。
【請求項15】
前記冷却および断熱的に圧縮された空気流を、ポンプ加圧液体酸素サイクルを有する深冷酸素プラントに供給して酸素流を生成する工程をさらに含む、請求項10に記載の一体化された発電方法および空気分離方法。
【請求項16】
前記生成された酸素流は、20バール(2MPa)〜500バール(50MPa)の圧力および90モル%以上の純度を有する、請求項15に記載の一体化された発電方法および空気分離方法。
【請求項17】
前記生成された酸素流は97モル%以上の純度を有する、請求項16に記載の一体化された発電方法および空気分離方法。
【請求項18】
前記断熱的に圧縮された空気流から伝達された前記熱の少なくとも一部を、前記ポンプ加圧液体酸素サイクルからの前記酸素と共に前記発電方法に供給する工程をさらに含む、請求項15に記載の一体化された発電方法および空気分離方法。
【請求項19】
前記深冷空気分離プラントからの前記酸素を、20バール(2MPa)〜100バール(10MPa)の圧力で生成し、かつ前記精製されたタービン排気流の一部と混合して、20%〜50モル%の酸素を含む混合されたO/CO流を生成する、請求項15に記載の一体化された発電方法および空気分離方法。
【請求項20】
前記混合されたO/COを100バール(10MPa)〜520バール(52MPa)の圧力まで圧縮し、前記圧縮されたO/CO流を前記熱交換器内で500℃の温度まで加熱し、かつ前記加熱および圧縮されたO/CO流を酸化剤として前記燃焼器に導入する工程をさらに含む、請求項19に記載の一体化された発電方法および空気分離方法。
【請求項21】
前記精製されたタービン排気流を圧縮して、圧縮されたタービン排気流を生成する前記工程は、19バール(1.9MPa)〜60バール(6MPa)の開始圧力から、100バール(10MPa)〜520バール(52MPa)の終了圧力まで圧縮することを含む、請求項10に記載の一体化された発電方法および空気分離方法。
【請求項22】
空気を第1段階で3.5バール(0.35MPa)〜12バール(1.2MPa)の圧力まで加圧し、かつ空気を第2段階で最大150バール(15MPa)の圧力まで加圧するように動作可能な多段空気圧縮機であって、各段階は、前記空気の中間冷却をせずに2.5以上の圧力比で断熱的に動作するように構成された少なくとも1つの部分を含む多段空気圧縮機と、
酸素流を生成する液体酸素サイクルを動作させるように構成された深冷酸素プラントと、
前記深冷酸素プラントからの酸素、燃料およびCO作動流体を受け取るように構成された燃焼器と、
前記燃焼器と流体連通している発電タービンと、
前記タービンと流体連通している熱交換器と、
前記タービンと流体連通している1つ以上の圧縮機と、
前記多段空気圧縮機からの空気流からの熱を、前記熱交換器、前記熱交換の上流の接続部または前記熱交換器の下流の接続部まで伝達するように動作可能な1つ以上の伝熱構成要素と、
を備える一体化された発電および空気分離システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気を分離してその1種以上の個々の成分の精製された流れを得るための方法およびシステムに関する。特に、本方法およびシステムを使用して、精製されたO流を得ると共に、異なるまたは関連する方法またはシステムで使用される圧縮熱を同時に回収することができる。
【背景技術】
【0002】
大気は、複数の異なる気体成分、主に窒素および酸素だけではなく、希ガス、メタン、水蒸気および二酸化炭素などの微量の他の物質も含むことが知られている。空気分離方法およびシステム、すなわち「空気分離ユニット」または「空気分離プラント」を使用して、大気の1種以上の成分を分離し、精製された形態で得ることができる。精製された空気の深冷蒸留、酸素イオン輸送膜(または他の膜)分離、圧力スイング吸着法(PSA)、および真空圧力スイング吸着法(VPSA)などの、分離方法のために使用される各種公知技術がある。利用可能な各種方法のうち、深冷蒸留は、空気を高純度でその成分に分離するのに特に有利であり得る。公知の深冷空気分離ユニットは、断熱された筐体内に維持される冷機器を備えた冷凍サイクルを用いて、所要の低い蒸留温度を達成する。冷却方法および空気成分の分離は通常、冷凍および分離サイクルで使用される空気圧縮機を駆動するために大量の軸動力を必要とする。空気分離ユニットでは、深冷機器内の水蒸気、COおよび他の微量成分の凝固を回避するために、最初にそれらの分離を必要とすることがある。
【0003】
典型的な深冷空気分離方法は、4つの主な特徴、すなわち空気圧縮、空気精製、冷却用空気流と空気分離の加熱用生成物との熱交換、および蒸留を含むことができる。圧縮段階では、大気の総供給量を予備濾過し、典型的に3.5〜10バール(0.35〜1MPa)の圧力まで圧縮する。この圧縮段階は空気に熱を与え、そのように添加された熱は、圧縮空気温度をおよそ周囲温度まで下げるために、(例えば熱交換器で)除去しなければならない。空気は一般に、段階と、冷却水または空気などの周囲冷却手段を用いるアフタークーラとの間に中間冷却を有する多段圧縮機で圧縮される。圧縮熱は環境に放出される。圧縮空気の精製は、周期的に動作するアルミナ吸着床および/またはモレキュラーシーブ吸着剤などの吸着過程を経ることにより達成することができる。これは、あらゆる残留水蒸気、COおよび深冷機器内で凝固しやすいあらゆる他の成分ならびにガス状炭化水素を除去するのに有用であり得る。吸着剤は、熱スイングまたは、低圧で乾燥窒素パージガスを用いる圧力スイングなどの方法によって再生することができる。冷却および蒸留は、空気流を一体型熱交換器(例えば、アルミニウムプレートフィン熱交換器)に通し、生成された酸素および廃棄深冷生成物流に対して冷却を行うことから開始する。次いで、空気は、蒸留塔で蒸留するのに十分な程に冷却される。深冷機器での液体空気の生成は典型的に、若干の冷凍を必要とする。そのような液体は、弁を横切るか膨張装置を通った空気のジュール−トムソン膨張により生成してもよい。この空気を、得られる生成物に対する要求、生成物の純度、および生成物の吐出圧力に応じて、少なくとも1つ、多くの場合2つまたは3つの蒸留塔で蒸留する。分離された空気生成物の成分を、熱交換器に流入する空気に接触させて温めて、周囲温度の生成物ガスを得ることができる。
【0004】
高圧の酸素生成は、ポンプ加圧酸素方法を用いる全ての現在の深冷空気分離システムで達成される。ここでは、蒸留システムから回収された低圧液体酸素流を、下流の酸素消費過程によって必要とされる高い圧力までポンプ加圧する。高圧液体酸素を気化させ、酸素と熱交換器内の空気流との間に低い温度差が得られる程十分に高い圧力まで圧縮された空気供給流の一部と熱交換することにより周囲温度まで加熱する。精製された総空気供給流の約27%〜40%を、第2の多段空気圧縮機で、所要の酸素圧力に応じた圧力まで圧縮する。空気圧は、10バール(1.0MPa)の圧力の酸素のために約27バール(2.7MPa)にすることができ、約300バール(30MPa)の圧力の酸素のために約100バール(10MPa)にすることができる。
【0005】
空気分離ユニットは、商業用に大量の生成物が得られる独立型システムであってもよい。あるいは、空気分離ユニットは、空気から分離生成物の連続流が必要である他の方法およびシステムと一体化させることができる。具体的には、空気分離ユニットは、発電のために燃料を燃焼させ、燃焼を促進するために精製されたO流が必要な燃焼システムと一体化させることができる。成長する世界経済において発電の必要性が高まり続けているため、空気分離方法およびシステム、特に発電方法およびシステムに有用に組み込むことができる方法およびシステムが当該技術分野においてなお必要とされている。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、燃料の酸素焚き燃焼のような1つ以上のさらなる方法で使用される高圧酸素を得るのに有用な深冷空気分離システムおよび/または方法に関する。そのような燃焼は特に、作動流体、特にCO作動流体を用いる密閉サイクル発電方法で行うことができる。本発明の空気分離システムおよび/または方法は、複数の特定の利点によって特徴づけることができる。本空気分離システムおよび/または方法は、約99.5モル%〜約90モル%、特に約99.5モル%〜約97モル%の分子酸素濃度を有するO流を提供することができる。具体的には、深冷酸素生成システムおよび/または方法は、専用の酸素圧縮機が存在しない場合であっても、約20バール(2MPa)〜約500バール(50MPa)の圧力の酸素を生成するのに有効なポンプ加圧液体酸素サイクルを備えることができる。本深冷空気分離システムおよび/または方法は、約3バール(0.3MPa)〜約12バール(1.2MPa)の圧力の空気を生成するのに有効な第1段空気圧縮機をさらに備えることができる。この第1段圧縮機は、空気分離ユニットによって必要とされる全ての空気を供給するのに十分であることが好ましい。本深冷空気分離ユニットは、第1段空気圧縮機によって送られた空気の約25%〜約40%を供給することができる第2段空気圧縮機をさらに備えることができ、第2段圧縮機は、空気を最大約150バール(15MPa)の圧力まで加圧するのに有効であり得る。一次および二次空気圧縮機はどちらも、1つ以上(全てを含む)の圧縮機段階の間で中間冷却をせずに動作できることが好ましい。各圧縮機は、約2.5以上の断熱圧力比で1つ以上(全てを含む)の圧縮機段階の間で冷却をせずに動作することができる。第1段および第2段圧縮機の各断熱部から排出された圧縮空気流から断熱圧縮熱を回収することができる。任意に、第1段および第2段圧縮機の一方または両方における空気の圧縮全体を、段階の間で空気の中間冷却をせずに断熱的に行うことができる。任意に、約2.5以上の圧縮比を有する一方または両方の空気圧縮機には、2つ、3つまたはそれ以上の別個の断熱圧縮段階が存在することができる。空気圧縮機の断熱部での圧縮によって生成された熱を少なくとも部分的に、発電方法で使用される作動流体(例えば、CO作動流体)の一部に直接または間接的に伝達することができる。
【0007】
従って、具体的な実施形態では、本発明は、精製された高圧O流および加熱された循環流を提供するための空気分離方法に関することができる。そのような方法は、以下のうちの1つ以上に関して特徴づけることができる:
・空気を第1段空気圧縮機で約3.5バール(0.35MPa)〜約12バール(1.2MPa)の圧力まで加圧すること、
・加圧空気を第1段圧縮機から第2段空気圧縮機に移し、そこで空気を最大約150バール(15MPa)の圧力まで加圧すること、
・中間冷却をせずに断熱的に動作する1つ以上の部分を有する空気圧縮機の多段階を利用すること、
・約2.5以上の圧力比で動作する1つ以上の部分を有する空気圧縮機の多段階を利用すること、
・1つ以上の空気圧縮機の1つ以上の断熱的に動作する部分から送られた加圧空気の断熱圧縮熱の少なくとも一部を作動流体流(例えば、CO作動流体流)に伝達すること、
・1つ以上の空気圧縮機から送られた加圧空気を(例えば、周囲冷却手段などを用いて)冷却すること、
・冷却された空気流を深冷空気分離システムに供給して少なくとも90%の分子酸素濃度を有する液体O流を生成すること、
・液体O流を約20バール(2MPa)〜約500バール(50MPa)の圧力までポンプ加圧すること、
・冷却および部分液化空気流との熱交換によって、高圧酸素流を他の分離生成物と共に周囲温度まで加熱すること、および
・例えば、CO、水および微量汚染物質を除去するために、(好ましくは、空気流を深冷空気分離システムに供給する前に)1つ以上の冷却および加圧された空気流を精製すること。
【0008】
作動流体流は、COを含む流体流(例えば、気体または液体)であってもよい。例えば、圧縮熱の少なくとも一部を、CO作動流体を循環させる密閉サイクルなどの発電方法から回収された作動流体流に伝達することができる。あるいは、発電サイクルにおいて高圧CO循環作動流体に熱を伝達するために、密閉サイクル中間熱伝達流体を使用することができる。
【0009】
ある実施形態では、本発明は、特に、精製されたO流および加熱された作動流体流を得るための空気分離方法を提供する。例示的な実施形態では、そのような方法は、以下の工程を含むことができる:
空気を第1段空気圧縮機で約3.5バール(0.35MPa)〜約12バール(1.2MPa)の圧力まで加圧する工程、
加圧空気の少なくとも一部を第1段圧縮機から第2段空気圧縮機に移し、そこで、空気を最大約150バール(15MPa)の圧力までさらに加圧する工程であって、第1段空気圧縮機が空気の中間冷却をせずに2.5以上の圧力比で断熱的に動作する少なくとも1つの部分を含み、かつ第2段空気圧縮機が、各部が約2.5以上の圧力比を有し、かつ空気の中間冷却を有さない1つ以上の断熱圧縮部と共に動作する工程、および
作動流体流が加熱され、かつ断熱的に圧縮された空気が冷却されるように、第1段および第2段空気圧縮機内の各部からの断熱的に圧縮された空気からの熱を作動流体流に伝達する工程。
【0010】
空気分離方法は、第1段および第2段空気圧縮機からの冷却および圧縮された空気流を、酸素流を生成するためのポンプ加圧液体酸素サイクルを有する深冷酸素プラントに供給する工程をさらに含むことができる。具体的には、生成された酸素流は、約20バール(2MPa)〜約500バール(50MPa)の圧力および約90モル%以上、好ましくは約97モル%以上の純度を有することができる。
【0011】
他の実施形態では、空気分離方法は、酸素および、空気流の断熱的に圧縮された部分から伝達された熱の少なくとも一部を、CO作動流体を用いる酸素燃料発電システムに供給する工程を含むことができる。
【0012】
第1段および第2段空気圧縮機内の各部からの断熱的に圧縮された空気からの熱を作動流体流に伝達する工程は、様々な方法で、例えば直接または間接的に行うことができる。例えば、上記伝達する工程は、第1段および第2段空気圧縮機内の各部からの断熱的に圧縮された空気を1つ以上の熱交換器に通し、そこで、作動流体流を加熱し、かつ断熱的に圧縮された空気を冷却する工程を含むことができる。これは、直接的な伝達の例である。熱交換器が、断熱的に圧縮された空気からの熱を約80℃〜約500℃の温度範囲で作動流体流に伝達することが好ましい。間接的な伝達の例では、上記伝達する工程は、第1段および第2段空気圧縮機内の各部からの断熱的に圧縮された空気を、断熱的に圧縮された空気から作動流体流に熱を伝達する中間循環熱伝達流体に接触させる工程を含むことができる。ここでも、中間循環熱伝達流体が、断熱的に圧縮された空気から約80℃〜約500℃の温度範囲で作動流体流に熱を伝達することが好ましいであろう。
【0013】
上記に加えて、圧縮機から送られた加圧空気の断熱的に圧縮された部分を特定の温度まで冷却することができる。例えば、加圧空気を、酸素燃料燃焼発電サイクルで使用されるCO作動流体に直接または間接的に熱を伝達する循環流体流に近い温度、例えば80℃以上の温度まで冷却してもよい。これにより、CO循環作動流体の一部を最大約500℃の温度まで加熱することができる。
【0014】
冷却、加圧および精製された空気流を、特に蒸留によって分離してもよい。例えば、空気流を1つ以上の蒸留塔に通して酸素を他の空気成分から分離し、そのようにして顕著な分子酸素濃度を有する液体O流を分離してもよい。
【0015】
分離された液体酸素流を液体ポンプで加圧し、所望であれば、およそ周囲温度などの特定の温度まで加熱することができる。この加熱は、好適な熱交換器の使用によって達成することができる。具体的には、そのような加熱により、第2の空気圧縮機から送られた空気流などの空気分離方法からの1つ以上のさらなる流れを同時に冷却することができる。
【0016】
さらなる実施形態では、本発明は、発電方法に関することができる。そのような方法は、以下のうちの1つ以上によって特徴づけることができる:
・燃料、Oおよび循環(または作動)流体を燃焼器に導入すること、
・燃料を燃焼させて作動流体を含む燃焼生成物流を得ること、
・燃焼生成物流をタービン全体に膨張させて発電すること、
・タービン排気流を熱交換ユニットに通すことによりタービン排気流から熱を回収して、冷却されたタービン排気流を得ること、
・冷却されたタービン排気流から、作動流体だけでなく冷却されたタービン排気流中に存在する1種以上の二次成分を除去して、精製および冷却されたタービン排気流を得ること、
・冷却および精製されたタービン排気流を多段圧縮機で圧縮して、高圧の主にCO流を得ること、
・CO流から、圧縮機の入口圧力と出口圧力との間の圧力であり得る燃料中に存在する炭素の燃焼により生成されたCOを除去して、CO循環作動流体を生成すること、
・回収された熱を使用してCO作動流体の温度を上昇させるように、CO作動流体を同じ一次熱交換ユニットに通すこと、
・さらなる量の熱(例えば、深冷酸素プラントの空気圧縮機由来の外部で生成された熱)をCO作動流体の一部に供給すること、
・総作動流体を燃焼器に再循環させること、
・約2.5以上の圧力比で動作する非冷却断熱部と共に動作する第1および第2の空気圧縮機で空気を加圧すること、
・非冷却部からの加圧空気の断熱圧縮熱の少なくとも一部を循環流に伝達することであって、伝達された熱は、発電方法において作動流体に供給されるさらなる量の熱の少なくとも一部を含むこと、
・圧縮空気流を精製し、加圧空気を(例えば、生成物Nおよび/またはO流に接触させて)極低温に冷却すること、
・空気を1つ以上の蒸留塔で分離して、精製された液体O流を生成すること、および
・液体O流をポンプ加圧して、燃焼器に導入されるOの少なくとも一部を得ること。
【0017】
ある実施形態では、本発明は、一体化された発電方法および空気分離方法を提供することができる。例えば、そのような一体化された方法は、以下の工程を含むことができる:
燃料、酸素およびCO作動流体を燃焼器に導入する工程、
燃料を燃焼させて、CO作動流体を含む燃焼生成物流を得る工程、
燃焼生成物流よりも低い圧力を有するタービン排気流を生成するために、燃焼生成物流を、軸動力を生成するタービンに通す工程、
タービン排気流を熱交換器に通してタービン排気流を冷却し、かつ再循環されるCO作動流体を加熱する工程、
冷却されたタービン排気流から水および不純物のうちの1種以上を分離して、精製されたタービン排気流を得る工程、
精製されたタービン排気流を圧縮して、圧縮されたタービン排気流を生成する工程、
燃料の燃焼から生成された正味のCOを精製されたCO流から除去して、再循環されるCO作動流体流を生成する工程、
断熱的に圧縮された空気流を冷却するために、断熱的に圧縮された空気流からの熱の少なくとも一部を、再循環されるCO作動流体流に伝達する工程であって、その断熱的に圧縮された空気流が、:
空気を第1段空気圧縮機で約3.5バール(0.35MPa)〜約12バール(1.2MPa)の圧力まで加圧する工程と、
加圧空気の少なくとも一部を第1段圧縮機から第2段空気圧縮機に移し、そこで空気を最大約150バール(15MPa)の圧力までさらに加圧する工程であって、第1段空気圧縮機は、空気の中間冷却をせずに2.5以上の圧力比で断熱的に動作する少なくとも1つの部分を含み、第2段空気圧縮機は、各部が約2.5以上の圧力比を有し、かつ空気の中間冷却を有さない1つ以上の断熱圧縮部と共に動作し、かつ断熱的に圧縮された空気流が第1段および第2段空気圧縮機内の各部から生成される工程と、
を含む空気分離方法によって生成される工程、および
加熱および再循環されるCO作動流体流を、燃料および酸素と共に燃焼器に通す工程。
【0018】
特定の実施形態では、一体化された発電方法および空気分離方法は、上記伝達する工程が、断熱的に圧縮された空気流および再循環されるCO作動流体流を、圧縮空気流からの熱を再循環されるCO作動流体流に伝達する中間循環熱伝達流体と接触させる工程を含むことを特徴とすることができる。具体的には、中間循環熱伝達流体は、断熱的に圧縮された空気からの熱を、約80℃〜約500℃の温度範囲で再循環されるCO作動流体流に伝達することができる。
【0019】
他の実施形態では、一体化された発電方法および空気分離方法は、上記伝達する工程が、断熱的に圧縮された空気流を熱交換器に通し、そこで、断熱的に圧縮された空気流からの熱の少なくとも一部を再循環されるCO作動流体流に伝達して再循環されるCO作動流体流をさらに加熱するように、タービン排気流を冷却し、かつ再循環されるCO作動流体を加熱する工程を含むことを特徴とすることができる。具体的には、熱交換器は、断熱的に圧縮された空気からの熱を、約80℃〜約500℃の温度範囲で作動流体流に伝達することができる。
【0020】
さらなる実施形態では、一体化された発電方法および空気分離方法は、冷却および断熱的に圧縮された空気流を、ポンプ加圧液体酸素サイクルを有する深冷酸素プラントに供給して、酸素流を生成する工程を含むことができる。生成された酸素流は、約20バール(2MPa)〜約500バール(50MPa)の圧力および約90モル%以上、好ましくは約97モル%以上の純度を有することができる。
【0021】
他の実施形態では、一体化された発電方法および空気分離方法は、断熱的に圧縮された空気流から伝達された熱の少なくとも一部を、ポンプ加圧液体酸素サイクルからの酸素と共に、上記発電方法に供給する工程をさらに含むことができる。またさらに、深冷空気分離プラントからの酸素を、約20バール(2MPa)〜約100バール(10MPa)の圧力で生成することができ、精製されたタービン排気流の一部と混合して、約20モル%〜約50モル%の酸素を含む混合されたO/CO流を生成することができる。さらに、本方法は、混合されたO/CO流を、約100バール(10MPa)〜約520バール(52MPa)の圧力まで圧縮し、圧縮されたO/CO流を、熱交換器内の別個の流路内で約500℃の温度まで加熱し、かつ加熱および圧縮されたO/CO流を酸化剤として燃焼器に導入する工程をさらに含むことができる。
【0022】
具体的な実施形態では、一体化された発電方法および空気分離方法は、精製されたタービン排気流を圧縮して圧縮されたタービン排気流を生成する工程が、約19バール(1.9MPa)〜約60バール(6MPa)の開始圧力から約100バール(10MPa)〜約520バール(52MPa)の終了圧力まで圧縮することを含むことができることを特徴とすることができる。
【0023】
さらなる実施形態では、空気分離プラントからの酸素生成物を、約20バール(2MPa)〜約80バール(8MPa)の圧力で生成し、CO圧縮機入口または段間点から回収された精製されたCO循環流の一部と混合して、20モル%〜50モル%の酸素濃度を有する混合された酸素/CO流を生成することができる。次いで、この混合流を、高圧CO循環流とほぼ同じ圧力まで圧縮することができ、混合流およびCO循環作動流体流の両方を、熱交換器内の別個の流路で加熱し、その際、混合流を、約500℃以上の温度まで加熱し、断熱火炎温度を低下させるために燃焼器内で酸化剤として使用することができる。
【0024】
他の実施形態では、本発明は、一体化された発電および空気分離システムを提供することができる。そのような一体化されたシステムは、以下の構成要素を含むことができる:
空気を第1段階で約3.5バール(0.35MPa)〜約12バール(1.2MPa)の圧力まで加圧し、かつ空気を第2段階で最大約150バール(15MPa)の圧力まで加圧するように動作可能な多段空気圧縮機であって、各段階は、空気の中間冷却をせずに2.5以上の圧力比で断熱的に動作するように構成された少なくとも1つの部分を含む多段空気圧縮機、
酸素流を生成する液体酸素サイクルを動作させるように構成された深冷酸素プラント、
深冷酸素プラントからの酸素、燃料およびCO作動流体を受け取るように構成された燃焼器、
燃焼器と流体連通している発電タービン、
タービンと流体連通している熱交換器、
タービンと流体連通している1つ以上の圧縮機、および
多段空気圧縮機からの空気流からの熱を、熱交換器、熱交換器の上流の接続部、または熱交換器の下流の接続部に伝達するように動作可能な1つ以上の伝熱構成要素。
【発明を実施するための形態】
【0025】
ここで、本発明について、様々な実施形態を参照しながら以下により詳細に説明する。本開示を徹底的かつ完全なものにし、本発明の範囲が当業者に十分に伝わるように、これらの実施形態を提供する。実際に、本発明は、多くの異なる形態で実施してもよく、本明細書に記載されている実施形態に限定されるものとして解釈されるべきではなく、むしろ、本開示が適用可能な法的要件を満たすように、これらの実施形態を提供する。本明細書および添付の特許請求の範囲に使用されている単数形の「1つの(a)」、「1つの(an)」および「その(前記)(the)」は、文脈が明らかに別の意を示していない限り、複数の指示物を含む。
【0026】
本発明は、特に、精製された生成物流、特に精製されたO流、さらに特に高圧O流を大気から得るように構成された空気分離方法および関連するシステムに関する。本発明の方法およびシステムはさらに、副生成物熱を除去するための二次冷却システムの要求を踏まえて、要求がなければ利用されることがない、あるいは実際には本システムの排水として機能し得る処理熱を回収するように構成されている。本発明の空気分離方法およびシステムは、精製された空気生成物が生成および単離される独立型ユニットとして機能することができる。特定の実施形態では、空気分離方法およびシステムは、1種以上の精製された空気生成物が使用されるさらなる方法に直接組み込むことができる。本空気分離方法およびシステムは、発電方法に組み込むことができ、ここでは、精製された高圧Oを燃焼サイクルで使用し、かつ空気分離プラントに供給空気を提供する空気圧縮機から回収された熱を燃焼サイクルに投入して、サイクル効率を最大にすることもできる。
【0027】
従って、一態様では、本発明は、精製された空気生成物流、特に精製されたO流、さらに特に高圧流を得るための空気分離方法を提供する。本空気分離方法は、以下により詳細に記載するように、関連する方法における流れを直接もしくは間接的に加熱するように機能することができる加熱循環流をさらに提供することができる。
【0028】
本発明の空気分離方法は、大気を濾過する工程、大気を圧縮する工程、大気を精製する工程(例えば、水蒸気および/または二酸化炭素および/または微量炭化水素の除去のため)、大気を深冷温度まで冷却する工程、例えば蒸留により、冷却された空気を1つ以上の生成物流(例えば、OまたはN、特に液体生成物)に分離する工程、個々の空気生成物流を周囲圧力よりも高い圧力まで圧縮またはポンプ加圧する工程、1つ以上の生成物流を加熱する工程、および貯蔵または特定の直接的な使用のために精製された空気生成物の流れを導く工程のうちの1つ以上を含むことができる。ある実施形態では、上記工程のうちの1つ以上を、本発明の方法から明らかに除外してもよい。
【0029】
ある実施形態では、本発明の空気分離方法は、具体的には、大気を加圧するための多段圧縮の使用を包含することができる。好ましくは、圧縮機の1つ以上の部分を、1つ以上(全てを含む)の段階の間で空気冷却を行わずに断熱的に動作させることができる。公知の方法では、全過程の効率を高めるために、圧縮段階の間で圧縮熱を回収しなければならないことが一般に認識されている。但し、本明細書により詳細に記載するように、本発明の具体的な実施形態は、持続可能な熱源を得るために圧縮をより高温で完了した後に熱を最終的に回収することができるように、段階の間で圧縮熱を保存することが望ましいものとしている。
【0030】
空気圧縮機の各種段階は、それぞれが1つ以上の部分を有するものとして特徴づけることができる。例えば、第1段空気圧縮機は、空気の中間冷却をせずに2.5以上の圧力比で断熱的に動作する少なくとも1つの部分を含むことができる。同様に、第2段空気圧縮機は、各部が約2.5以上の圧力比を有し、かつ空気の中間冷却を有さない1つ以上の断熱圧縮部と共に動作することができる。
【0031】
ある実施形態では、二段階圧縮法を使用することができる。第1段階では、少なくとも約3.5バール(0.35MPa)、少なくとも約4バール(0.4MPa)、少なくとも約5バール(0.5MPa)または少なくとも約7バール(0.7MPa)の圧力まで大気を加圧することができる。より具体的には、本発明は、大気を第1段圧縮機で約3.5バール(0.35MPa)〜約12バール(1.2MPa)の圧力まで加圧する工程を含むことができる。
【0032】
第2段圧縮では、加圧空気の少なくとも一部を、第1段圧縮機から第2段空気圧縮機に移し、そこで、空気をさらに加圧する。第2段階に移される空気の割合は、第1段圧縮機からの加圧空気の約25%〜約40%にすることができる。第2段圧縮機を使用して、空気を最大約50バール(5MPa)、最大約75バール(7.5MPa)、最大約100バール(10MPa)、最大約120バール(12MPa)または最大約150バール(15MPa)の圧力まで加圧することができる。いくつかの実施形態では、第2段圧縮機によって得られる圧力は、最終的な生成物流(例えば、O流またはN流)が得られる所望の圧力に応じて決定することができる。第2段圧縮で使用される圧力は、第2の圧縮機から排出する加圧空気流と高圧生成物流との間に最も効率的な伝熱が得られる圧力にすることができる。
【0033】
第2段圧縮空気の圧力は、生成物流の圧力によって決定することができる。ある実施形態では、O生成物流は、少なくとも100バール(10MPa)、少なくとも150バール(15MPa)、少なくとも200バール(20MPa)または少なくとも225バール(22.5MPa)の圧力にすることができる。他の実施形態では、生成物流の圧力は、約150バール(15MPa)〜約500バール(50MPa)、約175バール(17.5MPa)〜約375バール(37.5MPa)、約200バール(20MPa)〜約350バール(35MPa)、約225バール(22.5MPa)〜約325バール(32.5MPa)または約250バール(25MPa)〜約310バール(31MPa)にすることができる。
【0034】
さらなる実施形態では、空気分離プラントからの酸素生成物を、約20バール(2MPa)〜約100バール(10MPa)の圧力で生成し、CO圧縮機の入口または段間点から回収された精製されたCO循環流の一部と混合して、約20モル%〜約50モル%の酸素濃度を有する混合された酸素/CO流を生成することができる。次いで、この混合流を、高圧CO循環流とほぼ同じ圧力まで圧縮することができ、混合流およびCO循環作動流体流の両方を、熱交換器内の別個の流路で加熱し、その際、混合流を約500℃以上の温度まで加熱し、燃焼器で酸化剤として使用して断熱火炎温度を低下させることができ、純粋な酸素流ではなく希釈された酸素流を安全に予備加熱することができる。
【0035】
他の実施形態では、酸素をCO圧縮機の出口の高圧CO循環流と同じ圧力で生成し、高圧CO流の少なくとも一部と混合して、約20モル%〜約50モル%の酸素濃度を有する混合された酸素/CO流を生成することができ、混合流およびCO循環作動流体流の両方を熱交換器内の別個の流路で加熱し、その際、混合流を約500℃以上の温度まで加熱し、燃焼器で酸化剤として使用して断熱火炎温度を低下させることができ、純粋な酸素流ではなく希釈された酸素流を安全に予備加熱することができる。
【0036】
深冷空気分離プラントで酸素を生成するには、供給空気の一部を、蒸発および/または加熱高圧液体酸素流と第2段空気圧縮機からの冷却および/または凝縮高圧空気流との間に正の低い温度差を得るのに十分に高い圧力まで圧縮することが必要なことがある。約25バール(2.5MPa)〜約30バール(3MPa)の酸素圧力のために、第2段空気圧縮機の空気圧は、約50バール(5MPa)にすることができる。約300バール(30MPa)の酸素圧力のために、空気圧は、約100バール(10MPa)にすることができる。
【0037】
一般に総空気流の精製後に第1段圧縮機から第2段圧縮機に移される加圧空気の実際の量は、いくつかの実施形態では、上記のように、第2の圧縮機から排出する加圧空気流と高圧生成物O流との間の所望の伝熱に応じて決定することができる。特に、第2段圧縮機は、具体的な実施形態では、ポンプを離れる生成物O流に効率的に熱を伝達する高圧空気流を提供するという一次機能を有するものとして特徴づけることができる。特に、伝熱は、生成物流の温度を周囲温度に近い温度まで上昇させるのに十分なものとすることができる。第2段圧縮機の流量は、酸素圧力、空気供給量中の酸素の回収率、熱交換器の温度差、およびプラントから要求される液体生成物の量に応じて、総プラント空気供給量の25%〜40%の間で変動することができる。具体的な実施形態では、第1段圧縮機を離れる圧縮空気の少なくとも約25%を第2段空気圧縮機に移す。より具体的には、第1段圧縮機を離れる圧縮空気の約25%〜約40%を、第2段空気圧縮機に移すことができる。第2段空気圧縮機の2.5を超える圧力比で断熱的に動作する部分による空気圧縮後に、圧縮空気を周囲冷却手段で冷却した後、深冷空気分離プラントの熱交換器に投入する。
【0038】
第1段および第2段圧縮機の一方または両方は、所望の圧力比で断熱圧縮が進行する1つ以上の部分を含むことができる。圧力比は、関連する発電方法に伝達するのに必要な熱の量および温度レベルにとって最適な設計要求に応じて決定することができる。断熱圧縮部で使用される圧力比は、その圧縮部からの空気の出口温度を決定する。その熱は、酸素燃料燃焼発電サイクルで使用されるCO作動流体の一部に間接的に、あるいはCO作動流体自体に直接的に熱を伝達する循環流体流に近い温度で動作する熱交換器で伝達される。作動流体は、約80℃以上の入口温度にすることができ、最大約500℃の温度まで加熱することができる。OおよびNなどの2原子ガスまたは空気などの大部分が2原子ガスであるものは、約1.4のC/Cによって特徴づけることができる。断熱部の実際の出口温度は、入口温度、圧力比、および圧縮部の断熱効率の関数である。CO循環作動流体の一部の加熱温度は、提供される熱交換器内の設計温度差によって決まる。断熱圧縮熱が伝達される発電サイクルは、約80℃〜約500℃の温度範囲の大きなさらなる熱投入に対するその要求によって特徴づけられる。そのような発電サイクルについては、米国特許出願公開第2011/0179799A1号に記載されており、その開示内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。所望の圧力比は、約2.5〜約40にすることができる。そのような圧力比に関するさらなる理論は、米国特許第4,461,154号に記載されており、その開示内容が参照により本明細書に組み込まれる。本発明の実施形態では、第1段および第2段圧縮機の一方または両方は、約2.5を超える圧力比によって特徴づけられる1つ、2つまたはさらに3つの断熱部を有することができる。これらは、約2.5〜約40、約2.5〜約30、約2.5〜約20、約2.5〜約15または約2.5〜約12にすることができる。一般に、約2.5を超え、かつ第2段空気圧縮機の規定の入口および出口圧力に基づく最大の可能な圧力比から得られる最大の比までの任意の圧力比を使用することができる。いくつかの実施形態では、これを、約150:3.5の比にすることができる。断熱部の数および/または圧力比の選択は、本明細書にさらに記載するように、空気圧縮方法に関連し得る熱負荷の所要の最高温度によって決定することができる。例えば、空気圧縮方法からの熱を使用して、発電方法において循環流の加熱を行うことができる。空気分離ユニット空気圧縮機の断熱部によって送られた熱をそのような循環流(すなわち、循環作動流体または、熱を循環作動流体に伝達する中間熱伝達流体)を少なくとも部分的に加熱するのに使用する場合、循環流に投入される熱負荷の最高温度は、断熱部の適切な数および適切な圧力比を決定するための基準を形成することができる。より高い温度は、より高い圧力比を必要とし得、次いで、より高い圧力比は、断熱段階の数および伝達される熱の総量を制限することができる。
【0039】
空気圧縮機は、段階の間で中間冷却をせずに断熱的に動作することができる。それどころか、好ましい実施形態では、加圧空気の断熱圧縮熱の少なくとも一部を、循環流に伝達することができる。例えば、多段圧縮を離れる圧縮空気流を熱交換器に通してもよく、そこでは、断熱圧縮熱を対流に伝達することができる。従って、この対流は、加熱された循環流として熱交換器から排出することができる。そのような加熱された循環流は、断熱圧縮熱をさらなる流れまたは異なるもしくは関連する方法の処理工程に間接的に伝達することができる特に選択された熱伝達流体であってもよい。これは、空気分離方法が低レベルの熱投入が望ましいさらなる方法に直接組み込まれている実施形態で特に起こり得る。他の実施形態では、さらなる方法に関連する流れは、断熱圧縮熱がさらなる方法における流れに直接伝達されるように、循環流として直接機能することができる。空気圧縮からのこの伝熱の利点は、以下に示すさらなる開示からより十分に理解することができる。
【0040】
第1段および第2段空気圧縮機の一方または両方からの冷却および加圧された空気を極低温冷却に供して、蒸留部に供給することができる液体空気流を生成することができる。そのような極低温冷却は、主に、分配または貯蔵前に(例えば、およそ周囲温度まで)加熱される予め極低温冷却された生成物流との熱交換により行うことができる。いくつかの実施形態では、本方法およびシステムには、大気の1種以上の成分、具体的には酸素および/または窒素を液化するのに十分に低い温度まで初期冷却を行うのに有効な冷凍構成要素を組み込むことができる。十分に低い深冷処理温度を維持するのに必要であれば、そのような冷凍構成要素を使用してメイクアップ冷却を行ってもよい。
【0041】
好ましい実施形態では、蒸留を使用して、冷却および液化された空気を特定の成分に分離する。但し、本発明は、他の分離方法(例えば、膜分離、PSAまたはVPSA)の使用を包含し、当業者の使用を、本明細書に提供されている開示を踏まえた使用に適合させてもよい。特に蒸留を使用して、所望の純度レベルを有する成分の流れを得ることができる。例えば、具体的な実施形態では、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%または少なくとも99.5%の分子酸素濃度を有するO流を得ることが望ましい。ある実施形態では、酸素純度は、約90%〜約99.5%、約95%〜約99.5%または約97%〜約99.5%にすることができる。
【0042】
いくつかの実施形態では、規定の圧力の精製された生成物流(例えば、精製されたO流)が得られると有用であり得る。そのような加圧は、別個の酸素圧縮機を使用して達成してもよい。但し、好ましい実施形態では、所望の圧力は、明らかに別個の酸素圧縮機の補助なしに達成してもよい。具体的には、本発明は、所望の圧力を達成するために、深冷空気分離ユニットにおける精製された液体O流のポンプ加圧に依存することができる。例えば、液体酸素が外側ポンプジャケットに流入し、そこからポンプシリンダ内に引き込まれ、ポンプ圧力行程においてピストンによって外に圧縮されるポンプを使用してもよい。液体酸素流の一部は、ポンプ加圧で生成された熱により蒸発し得、そのような蒸気は、開口部から出て行くことができる。ポンプから出て行く高圧液体酸素は、1つ以上の逆止め弁を通ることができる。あるいは、多段遠心酸素ポンプを使用することもできる。具体的な実施形態では、液体酸素を、20バール(2MPa)を超えて、100バール(10MPa)を超えて、または300バール(30MPa)を超えて、最大約500バール(50MPa)の圧力までポンプ加圧することができる。他の生成物の圧力範囲も、上記のようにポンプ加圧手段によって達成することができる。
【0043】
いくつかの実施形態では、貯蔵部への投入または特定の方法への投入のために、液体O流(または他の空気生成物)を加熱してもよい。従って、本方法は、流れの温度を例えば、およそ周囲温度まで上昇させるために、液体生成物流を1つ以上の熱交換器に通す工程を含んでもよい。液体生成物流は、上記のように、大気流を極低温に冷却し、かつその成分を液化するために使用される熱交換器の低温端に通してもよい。冷却高圧空気流を用いるポンプ加圧された液体酸素の加熱により高圧酸素を生成するための深冷空気分離サイクルに関する装置および方法については、米国特許第6,718,795号に記載されており、その開示内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。安全な高圧酸素流の加熱については、米国特許第6,360,561号に記載されており、その開示内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0044】
様々な実施形態では、本発明の空気分離方法は、Oなどの精製された空気生成物の投入が有用である他の方法に直接に組み込むことができるという点で有用であり得る。具体的には、本発明の空気分離方法は、発電方法に直接組み込んでもよい。従って、本発明は、精製された高圧O流および任意に、発電で利用することができる加熱された循環流を得る工程を含む発電方法を提供することができる。
【0045】
特定の実施形態では、空気分離方法を、関連する作動流体(例えば、CO作動流体)の使用を含むシステムまたは方法に組み込むと有利であり得る。具体的には、高いCO再循環比を有する高圧作動流体の使用は、所望の燃焼生成物を発電で容易に使用することができるように燃焼サイクルの各種処理パラメータを制御するのに有利であり得る。さらに、そのような方法およびシステムは、大気へのCO排出を完全になくすというよりも、隔離のために本システムからのCOの任意の所望の部分を案内する能力を提供する。CO作動流体を本方法およびシステムの様々なさらなる態様で同様に使用して、サイクルの効率を最大にすることができる。
【0046】
いくつかの実施形態では、CO作動流体を、炭素質材料および燃焼過程で有用な任意のさらなる材料と共に、燃焼器に供給することができる。具体的には、本空気分離方法によって得られる精製されたO流を、燃料および作動流体と共に燃焼器に供給することができる。そのようなシステムおよび方法は、非常に高温(例えば、約1,600℃〜約3,300℃の範囲またはさらにそれ以上)で動作する燃焼器を備えることができ、作動流体の存在は、流体流を発電のためのエネルギー伝達に利用することができるように、燃焼器から出て行く流体流の温度を緩和する役割を果たすことができる。高い再循環CO濃度を有する高温および高圧での燃焼過程の性質は、発電用タービンを通る流れを最大にし、かつタービン入口温度を約800℃〜1600℃の範囲に緩和することにより、処理効率を高めることができる。燃焼過程で使用される酸素は、燃料成分の化学量論的燃焼のために必要な量を超えて供給される。過剰な酸素の量は、化学量論的酸素要求全体の約0.1%〜約2%である。再循環COを2つの部分に分けることができる。第1の部分は、深冷空気分離プラントを離れる酸素流と混合して、混合されたCO+約20%〜約50%の酸素モル濃度を有する酸素流を生成することができる。酸化剤流中の酸素濃度は、2,000℃〜約3,000℃の範囲の適度な断熱燃焼温度に有利な値に定められる。周囲温度に近いこの流れは、熱交換器で冷却され、かつそこから正味の水、COおよび酸化された燃料成分に由来する他の不純物が除去されたタービン排気流の圧力に対応する圧力で生成することができる。混合流の圧力は、約20バール(2MPa)〜約50バール(5MPa)にすることができる。あるいは、それを約100バール(10MPa)〜約500バール(50MPa)の圧力で高圧CO再循環圧縮システムから離れるCOから生成することができ、あるいは、それを約30バール(3MPa)〜約100バール(10MPa)の範囲でCO再循環圧縮機内の好都合な段階排出圧力から回収されたCOから生成することができる。次いで、混合流を、熱交換器で500℃を超える温度まで、安全に(例えば、酸素/金属燃焼のリスクの発生を最小に抑えながら)予備加熱することができる。この予備加熱により、燃焼動態が向上し、かつ発電システムの全体的効率を全く損失することなく熱交換器表面積要求も減少する。再循環流の第2の部分は、燃焼器/混合装置で燃焼生成物と直接混合するために使用して、総混合流温度範囲を約800℃〜約1,600℃の範囲に緩和し、タービン入口流を生成する。
【0047】
燃焼生成物流を、少なくとも1つのタービン全体に膨張させて発電することができる。次いで、膨張させたガス流を発電システム熱交換器で冷却して、流れから所望の成分(例えば、正味のHO、COおよび酸化された不純物)を除去することができる。復水および不純物を分離することができ、酸化された燃料炭素からの正味のCO生成物を、再循環圧縮機吸込圧から吐出圧までの選択された圧力で生成することができる。膨張させたガス流から回収された熱を使用して、燃焼器に戻して再循環されるCO作動流体を加熱することができる。本空気分離方法における断熱圧縮熱に由来する加熱された循環流によって、さらなる熱を得ることができる。再循環されるCO作動流体は、本システムおよび方法の浸出冷却(または浸出保護)式構成要素(例えば、浸出冷却式燃焼器または、タービン翼などの浸出冷却式タービンの構成要素)のための冷却用流体(または保護用流体)として使用できると有利である。CO作動流体流を再循環前に加圧できると好ましい。
【0048】
ある実施形態では、本発明の発電方法は、燃料、Oおよび作動流体を燃焼器に導入する工程と、燃料を燃焼させて作動流体を含む燃焼生成物流を得る工程と、燃焼生成物流をタービン全体に膨張させて発電する工程とを含むことができる。タービンからの排気流を一次熱交換器に通して、そこから熱を回収し、このようにして冷却されたタービン排気流を得ることができる。そのような冷却は、CO作動流体に加えて冷却されたタービン排気流中に存在する1種以上の二次成分(例えば、水、二酸化炭素、酸化窒素、酸化硫黄、水銀など)の除去を単純化するのに有利であり得る。二次成分の除去後に、得られた精製および冷却されたタービン排気流は、主に作動流体を含む。これは、作動流体が、精製および冷却されたタービン排気流の少なくとも大部分を含むことを意味し得る。作動流体がCOを含む場合、本発明によれば、隔離のためにCOの一部を回収すると有利であり得る。
【0049】
タービン排気流から回収された熱を使用して高圧作動流体の温度を上昇させるように、圧縮および精製された作動流体を同じ一次熱交換ユニットに通すことができる。いくつかの実施形態では、燃焼サイクルの効率を最大にするために、さらなる量の熱を作動流体に供給すると有利であり得る。作動流体に供給されるさらなる量の熱の実際の量およびその温度レベルは、熱交換器において異なる温度レベルで達成することができる最小温度差を定める利用可能な発電システムの熱交換器の表面積に依存する発電システムの全体効率を最大にするような空気圧縮機の断熱部における圧力比の選択によって変動することができる。さらなる熱投入量は、直接に(例えば、高圧CO再循環流の一部を、空気圧縮機の断熱部からの空気を冷却するために使用される熱交換器を通して循環させることにより)、あるいは中間循環熱伝達流体を使用して導入することができる。約80℃の高圧CO循環流体の温度レベルを超える熱を導入し、約50℃の最小の温度上昇によってCO流体を加熱しなければならず、そのような加熱は、約500℃の最大の総温度になるまで行う。具体的な実施形態では、さらなる量の熱は、発電所の熱交換器における冷却タービン排気流と加熱高圧CO再循環流との最小温度差を、少なくとも約20℃以内、少なくとも約15℃以内、少なくとも約10℃以内、少なくとも約7℃以内または少なくとも約5℃以内にするのに十分である。次いで、加熱された作動流体をさらに加熱し、燃焼器に再循環させることができる。
【0050】
上記のような発電方法は、具体的には、別途本明細書に記載されているように、空気分離方法に組み込むことができる。例えば、組み込まれた空気分離方法は、以下の工程:各断熱段階で空気冷却をせずに約2.5を超える圧力比で動作する1つ以上の断熱圧縮段階を有する各圧縮機の少なくとも一部により2つの空気圧縮ユニットで空気を加圧する工程、加圧空気の断熱圧縮熱の少なくとも一部を発電システムからの高圧CO循環流に伝達する工程、加圧および精製された空気流を極低温に冷却する工程、冷却された部分的に液化された空気流を蒸留システムで分離して液体O流および廃棄窒素流を生成する工程、液体O流を約20バール(2MPa)〜約500バール(50MPa)の範囲の高い圧力までポンプ加圧する工程、および高圧酸素を他の分離された空気画分と共に冷却空気流に接触させて周囲温度近くの温度まで加熱して、燃焼器に導入されるOの少なくとも一部を得る工程を含むことができる。さらに、伝達された断熱圧縮熱は、上記のように発電方法で作動流体に供給されるさらなる量の熱の少なくとも一部を提供することができる。
【0051】
いくつかの実施形態では、密閉サイクルで動作する冷却剤を使用して、空気分離方法で使用される空気圧縮機の断熱圧縮部から発生した熱を回収し、その熱をCO作動流体に供給してもよい。他の実施形態では、作動流体を、空気圧縮方法で発生した熱の一部を回収するために空気分離ユニット内の空気圧縮機の1つ以上の断熱部の吐出口に位置する熱交換器に直接循環させることもできる。
【0052】
本空気分離ユニットおよび方法を上記のように燃焼サイクルに組み込むことは、高圧Oを燃焼サイクルに提供することができるため、特に有利であり得る。そのようなサイクルにおける燃焼は比較的高圧で行われ、高圧Oを提供する能力を必要とし得る。具体的には、燃焼器に導入されるOが少なくとも80バール(8MPa)の圧力を有すると有利であり得る。さらなる実施形態では、燃焼器に導入されるOを、少なくとも100バール(10MPa)、少なくとも150バール(15MPa)、少なくとも200バール(20MPa)、少なくとも300バール(30MPa)または少なくとも500バール(50MPa)の圧力にすることができる。燃焼器に純粋な酸素供給物を使用する場合、バーナ設計は、バーナ内に再循環される高圧COまたはバーナシステム内の断熱火炎温度を緩和するために再循環される燃焼生成物ガスによる酸素の希釈を含むことができる。他の構成は、上記のように再循環COにより酸素を希釈することができる。
【0053】
本発明は、精製された酸素生成物流および加熱されたCO循環流体流を生成するために上記構成要素を含む空気分離システムを提供することができる。本発明は、作動流体の存在下および本明細書に記載されている空気分離ユニットから得られるO流の存在下で燃料を燃焼させるために上記構成要素を含む発電システムも提供することができる。燃焼システムは、特に、高圧の再循環される作動流体の再加熱に関して、発電方法の効率を上げるためのさらなる熱源として、空気分離ユニットの空気圧縮部からの断熱圧縮熱を回収するための本明細書に記載されている構成要素をさらに含むことができる。
【0054】
本発明が属する技術分野の当業者であれば、上記説明および関連する図面に示されている教示の利益を有する本発明の多くの修正および他の実施形態を思いつくであろう。従って、本発明は、開示されている具体的な実施形態に限定されるものではなく、修正および他の実施形態が、添付の特許請求の範囲に含まれるものであることを理解されたい。具体的な用語が本明細書に用いられているが、それらは、単に一般的かつ記述的な意味で使用されており、限定のためのものではない。