特許第5909546号(P5909546)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5909546映像ストリーミング配信のための装置及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5909546
(24)【登録日】2016年4月1日
(45)【発行日】2016年4月26日
(54)【発明の名称】映像ストリーミング配信のための装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   H04N 21/854 20110101AFI20160412BHJP
【FI】
   H04N21/854
【請求項の数】10
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-508952(P2014-508952)
(86)(22)【出願日】2012年4月3日
(86)【国際出願番号】JP2012059085
(87)【国際公開番号】WO2013150611
(87)【国際公開日】20131010
【審査請求日】2014年5月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】398069333
【氏名又は名称】株式会社ビットメディア
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100109830
【弁理士】
【氏名又は名称】福原 淑弘
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(72)【発明者】
【氏名】高野 雅晴
【審査官】 後藤 嘉宏
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−159102(JP,A)
【文献】 特開2004−173102(JP,A)
【文献】 特開平11−146333(JP,A)
【文献】 ライブ/オンデマンド統合ソリューション『ShareCast Playlist Editor/Player』を開発 「行政刷新会議 提言型政策仕分け」のライブ/即時オンデマンド中継を実施,[online],株式会社ビットメディア,2011年11月22日,[検索日 2012.09.27],インターネット,URL,http://www.bitmedia.co.jp/wp-content/uploads/pdf/PressRelease_Sharecast_PLE_PLP_20111122.pdf
【文献】 山本文治,スマート化するストリーミング,[online],株式会社インターネットイニシアティブ,2011年11月11日,[検索日 2012.09.27],インターネット,URL,http://www.iij.ad.jp/company/development/tech/techweek/pdf/tw2011_14_streaming.pdf
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 21/00−21/858
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のセグメントファイルから構成されるストリーミングデータで、ネットワークを経由して送信される前記ストリーミングデータを記憶するストレージ装置と、
前記各セグメントファイルを参照するための第1の参照情報、前記各セグメントファイルのサムネイルを参照するための第2の参照情報及びメタデータを格納するデータベースと、
前記ストリーミングデータから抽出した再生用映像ファイルであるクリップを特定するクリップ情報ファイルを生成するプロセッサと、
を具備し、
前記プロセッサは、
前記各セグメントファイルのサムネイルを生成して、前記ストレージ装置に格納し、
前記生成されたサムネイルに対応する前記第2の参照情報を前記データベースに格納し、
前記クリップを構成するセグメントファイルを設定し、
前記クリップのメタデータを生成して、前記データベースに格納し、
前記第1の参照情報を使用して、前記設定された各セグメントファイルを連続して再生するための再生指示ファイルを生成し、
前記設定された各セグメントファイルのサムネイルを参照するための第2の参照情報を設定し、
前記データベースから前記クリップのメタデータを取得し、
前記生成された再生指示ファイル、前記設定された第2の参照情報及び前記取得されたメタデータを含む前記クリップ情報ファイルを編集し、
前記編集されたクリップ情報ファイルを、前記ネットワークの公開用サイトに転送するように構成されている映像ストリーミング配信装置。
【請求項2】
前記プロセッサは、前記ストリーミングデータに対する映像認識処理または音声認識処理を使用して前記メタデータを生成し、前記データベースに格納するように構成されている請求項1に記載の映像ストリーミング配信装置。
【請求項3】
前記プロセッサは、外部装置から入力された前記クリップのメタデータを前記データベースに格納する請求項1または請求項2に記載の映像ストリーミング配信装置。
【請求項4】
前記プロセッサは、前記ストリーミングデータのメタデータを、前記ネットワークを経由して取得し、前記データベースに格納する請求項1から3のいずれか1項に記載の映像ストリーミング配信装置。
【請求項5】
前記プロセッサは、前記編集されたクリップ情報ファイルを前記ストレージ装置に格納し、
前記ストレージ装置を介して前記クリップ情報ファイルを前記公開用サイトに転送する手段を有する請求項1から4のいずれか1項に記載の映像ストリーミング配信装置。
【請求項6】
前記プロセッサは、連続して再生する前記各セグメントファイルのファイル名、および前記各セグメントファイルの記憶場所を指示する情報を含む前記再生指示ファイルを生成する請求項1から5のいずれか1項に記載の映像ストリーミング配信装置。
【請求項7】
前記プロセッサは、前記データベースを参照して、前記クリップの再生開始点と再生終了点に基づいて連続して再生する前記各セグメントファイルを特定し、前記再生指示ファイルを生成する請求項1から6のいずれか1項に記載の映像ストリーミング配信装置。
【請求項8】
前記プロセッサは、
端末のブラウザ上に表示されたサムネイルに基づいて、前記クリップの再生開始点と再生終了点を入力し、
前記再生開始点と再生終了点に基づいて連続して再生する前記各セグメントファイルを特定する請求項7に記載の映像ストリーミング配信装置。
【請求項9】
前記ストリーミングデータ及び前記クリップをHTTPストリーミング方式により配信する請求項1に記載の映像ストリーミング配信装置。
【請求項10】
複数のセグメントファイルから構成されるストリーミングデータを、ネットワークを経由して配信する映像ストリーミング配信方法であって、
前記ネットワークを経由して送信される前記ストリーミングデータをストレージ装置に格納し、
前記ストリーミングデータから抽出した再生用映像ファイルであるクリップを特定するクリップ情報ファイルをプロセッサにより生成し、
前記プロセッサは、
前記各セグメントファイルのサムネイルを生成して前記ストレージ装置に格納し、
前記クリップを構成する各セグメントファイルを設定し、
前記クリップのメタデータを生成し、
前記各セグメントファイルを参照するための第1の参照情報、前記各セグメントファイルのサムネイルを参照するための第2の参照情報及び前記メタデータをデータベースに格納し、
前記第1の参照情報を使用して、前記設定された各セグメントファイルを連続して再生するための再生指示ファイルを生成し、
前記設定された各セグメントファイルのサムネイルを参照するための第2の参照情報を設定し、
前記データベースから前記クリップのメタデータを取得し、
前記生成された再生指示ファイル、前記設定された第2の参照情報及び前記取得されたメタデータを含む前記クリップ情報ファイルを編集し、
前記クリップ情報ファイルを、前記ネットワークの公開用サイトに転送する映像ストリーミング配信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、インターネットでの映像ストリーミング配信技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、インターネットでの映像ストリーミング配信方式として、専用プロトコルを利用する方式以外に、HTTP(hypertext transfer protocol)を利用する方式が注目されている。このHTTPを利用するストリーミング配信を、HTTPストリーミング(HTTP streaming)と総称する。
【0003】
HTTPストリーミングは、セグメント化されたストリームファイル群(映像・音声または音声)とプレイリスト(マニフェストファイル)を、HTTPを利用して配信する方式のため、既存のWebサーバによる通常のファイル転送と同様の方法で転送できる。これにより、ストリーミング配信のコスト低減を図ることが可能である。
【0004】
HTTPストリーミングには、各種の規格が提案されている。例えば、ISO MPEGの標準規格として、DASH(Dynamic Adaptive Streaming over HTTP)が策定されている。
【発明の概要】
【0005】
HTTPストリーミングを利用して、インターネットでの実況中継に相当するライブ配信やVOD(video on demand)配信を行なう映像配信サービスが実現されている。このようなサービスにおいて、ライブ配信をしながら、例えばハイライトシーンを即時に公開するなどのライブ配信とVOD配信の効用を兼ねた映像配信サービスが有用である。そこで、本発明の目的は、複雑な編集作業を要することなく、ライブ配信とVOD配信の効用を兼ねた映像配信サービスを実現することにある。
【0006】
本発明の観点は、HTTPストリーミング方式を適用する映像ストリーミング配信のための装置である。実施形態によれば、映像ストリーミング配信装置は、複数のセグメントファイルから構成されるストリーミングデータで、ネットワークを経由して送信される前記ストリーミングデータを記憶するストレージ装置と、前記各セグメントファイルを参照するための第1の参照情報、前記各セグメントファイルのサムネイルを参照するための第2の参照情報及びメタデータを格納するデータベースと、前記ストリーミングデータから抽出した再生用映像ファイルであるクリップを特定するクリップ情報ファイルを生成するプロセッサとを具備し、前記プロセッサは、前記各セグメントファイルのサムネイルを生成して、前記ストレージ装置に格納し、前記生成されたサムネイルに対応する前記第2の参照情報を前記データベースに格納し、前記クリップを構成する各セグメントファイルを設定し、前記クリップのメタデータを生成して、前記データベースに格納し、前記第1の参照情報を使用して、前記設定された各セグメントファイルを連続して再生するための再生指示ファイルを生成し、前記設定された各セグメントファイルのサムネイルを参照するための第2の参照情報を設定し、前記データベースから前記クリップのメタデータを取得し、前記生成された再生指示ファイル、前記設定された第2の参照情報及び前記取得されたメタデータを含む前記クリップ情報ファイルを編集し、前記編集されたクリップ情報ファイルを、前記ネットワークの公開用サイトに転送するように構成されている
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、実施形態に係るHTTPストリーミングのシステム構成を説明するためのブロック図である。
図2図2は、実施形態に係るサーバの要部を説明するためのブロック図である。
図3図3は、実施形態に係るサーバに含まれるPLEモジュールの構成を説明するためのブロック図である。
図4図4は、実施形態に係るストリーミングデータの構成を説明するための図である。
図5図5は、実施形態に係るプレイリストを説明するための図である。
図6図6は、実施形態に係るプレイリストと再生画面との関連を説明するための図である。
図7図7は、実施形態に係るプレイリストのファイル構成を説明するための図である。
図8図8は、実施形態に係るクリップ情報ファイルの生成方法を説明するための図である。
図9図9は、実施形態に係るサーバの処理を説明するためのフローチャートである。
図10図10は、実施形態に係るクリップ情報ファイルの生成手順を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して実施形態を説明する。
【0009】
図1は、本実施形態のHTTPストリーミングのシステム構成を説明するためのブロック図である。
【0010】
HTTPストリーミングにより、例えばスポーツ競技場での実況をカメラ11により撮影した映像を、インターネット1を介して配信するライブ配信が実現されている。このようなライブ配信では、図1に示すように、カメラにより撮影された映像は、エンコーダ12によりストリーミングデータに変換されてインターネット1上に送信される。エンコーダ12は、通常ではコンピュータと専用ソフトウェアにより実現されている。ストリーミングデータは映像データだけでなく、マイクロフォンにより集音される音声の音声データも含む。
【0011】
本実施形態のWebサーバ10は、エンコーダ12から送信されたストリーミングデータを取得し、HTTPストリーミングにより、インターネット1に接続された各ユーザ端末13に配信する。本実施形態のサーバ10は、HTTPストリーミング機能だけでなく、後述するように、クリップ情報ファイルの生成機能に含まれるプレイリスト(PL:playlist)生成機能を有する。
【0012】
なお、放送局を中継してライブ配信を行なう場合には、エンコーダ12は、放送局のエンコーダセンターである。また、VOD(video on demand)配信の場合には、Webサーバが、ストレージから要求されたストリーミングデータを取り出して、インターネット1に送信する。これ以降の本実施形態の処理は、ライブ配信の場合と同様である。
【0013】
図2に示すように、本実施形態のWebサーバ10は、大別して、主要システム20と、アップロードサーバ21と、ストレージ22とを有する。アップロードサーバ21は、エンコーダ12から送信されるストリーミングデータを受け付ける。アップロードサーバ21は、通常のキャッシュサーバに相当し、アップロードしたストリーミングデータをキャッシングする。
【0014】
ストレージ22は、大容量のネットワーク記憶装置である。アップロードサーバ21は、ストレージ22のバッファ領域にストリーミングデータを一時的に格納する(キャッシング)。また、ストレージ22は、登録された映像ファイル(音声ファイルを含む)を保存する。
【0015】
主要システム20はWebサーバ10のプラットフォーム(platform)であり、本実施形態のPLE(Playlist Editor)モジュール30と、PLE機能を支援するためのサポートモジュール40とを含む。主要システム20は、プロセッサと、記憶デバイスと、インターフェースとを有し、プロセッサが実行するアプリケーションによりPLEモジュール30及びサポートモジュール40を構成する。
【0016】
図3に示すように、PLEモジュール30は、動画ファイル取込処理部31と、データベース32と、メタデータ取込処理部33と、クリップ情報ファイル生成部34と、付加情報生成部35と、ファイル転送処理部38と、GUI(graphical user interface)部39とを有する。
【0017】
動画ファイル取込処理部31は、アップロードサーバ21によりアップロードされたストリーミングデータである動画ファイル(映像ファイルと音声ファイル)を取り込む。データベース32は、後述するセグメントファイルを参照するための情報、生成されたサムネイルを参照するための情報、セグメントファイルの時刻情報などの参照情報を記憶デバイスに格納する。また、データベース32は各アプリケーションと連携し、記憶デバイスから必要な参照情報を検索する。
【0018】
メタデータ取込処理部33は、映像コンテンツのカテゴリ等の初期設定メタデータをWebサイトから取り込み、データベース32に登録する。クリップ情報ファイル生成部34は、クリップ(clip)を定義するクリップ情報ファイルを生成する。クリップは、ストリーミングデータから抜き出した指定の動画ファイル(以下、音声ファイルも含めて映像ファイルと表記する場合がある)である。クリップ情報ファイル生成部34は、後述するように、プレイリスト(PL:Playlist)及び映像ファイルのタイトルなどのメタデータを編集してクリップ情報ファイルを生成する。
【0019】
付加情報生成部35は、サムネイル生成部36及びメタデータ生成部37を含む。サムネイル生成部36は、後述するセグメントファイル毎のサムネイルを生成する。メタデータ生成部37は、後述するように、映像認識(画像認識)処理及び音声認識処理を利用する各メタデータを生成する。ファイル転送処理部38は、クリップ情報ファイル、映像ファイル、音声ファイル、サムネイルなどを公開用サイトであるWebサイトに転送する。通常では、ファイル転送処理部38からのファイルは、トランスコーダ(transcoder)により所定のファイル形式に変換されて公開用サイトに転送される。
【0020】
GUI部39は、編集用端末(コンピュータ)41のブラウザ上でクリップ(即ち、クリップ情報ファイル)の作成や登録の操作を行なうためのインターフェースである。さらに、GUI部39はサポートモジュール40に接続している。サポートモジュール40は、権限が限定された閲覧者用の端末42のブラウザ上で2次的な編集操作を支援する。具体的には、登録済みの映像コンテンツの一部を抜き出す処理や、映像シーン毎にコメントを付ける処理などの限定された編集処理を支援する。
【0021】
次に、図4から図10を参照して、本実施形態のWebサーバ10の動作を説明する。
【0022】
例えばスポーツ競技場での実況をカメラ11により撮影した映像が、HTTPストリーミングにより配信されるライブ配信が行われている。図9のフローチャートに示すように、アップロードサーバ21は、配信されるストリーミングデータを受け付ける(ブロック100)。アップロードサーバ21は、受信したストリーミングデータをストレージ22のバッファ領域に蓄積する(ブロック101)。
【0023】
ここで、図4に示すように、HTTPストリーミングにより、エンコーダ12から送信されるストリーミングデータ120は、複数のセグメントファイル(SF:segment file)TS−1〜TS−Nから構成されている。各セグメントファイルはそれぞれ、例えば再生時間が5秒〜10秒程度の映像ファイルである。各セグメントファイルはそれぞれ、多数の送信パケットからなる。
【0024】
PLEモジュール30は、動画ファイル取込処理部31により、ストレージ22に格納されたセグメントファイル群を取り込む。サムネイル生成部36は、各セグメントファイルのサムネイルを生成する(ブロック102)。PLEモジュール30は、サムネイル生成部36により生成されたサムネイル(映像データ)をストレージ22に格納する。
【0025】
一方、PLEモジュール30は、参照情報をデータベース32に登録する(ブロック103)。具体的には、動画ファイル取込処理部31は、各セグメントファイルを参照するための情報及び各セグメントファイルの時刻情報を含む参照情報をデータベース32に登録する。付加情報生成部35は、サムネイル生成部36により生成されたサムネイルを参照するための参照情報をデータベース32に登録する。
【0026】
次に、PLEモジュール30は、後述するように、クリップ情報ファイル生成部34によるクリップ情報ファイルの生成処理を実行する(ブロック104)。ファイル転送処理部38は、生成されたクリップ情報ファイルを公開用サイトであるWebサイトに転送する(ブロック105)。ファイル転送処理部38は、クリップ情報ファイル以外にも、映像ファイル、音声ファイル、サムネイルなどを公開用サイトであるWebサイトに転送する。
【0027】
クリップ情報ファイルは、例えばライブ配信により配信される映像のクリップを特定する情報である。即ち、例えばスポーツ中継でライブ配信されている映像から、ハイライトシーンを抽出する場合、当該ハイライトシーンに対応する映像ファイルがクリップである。従って、クリップ情報ファイルを公開用サイトで公開することにより、ユーザは、ユーザ端末13のブラウザ上でクリップ情報ファイルを選択することで、該当するクリップを取得することが可能となる。ファイル転送処理部38は、該当するクリップに対応する映像ファイル(音声ファイルを含む)を公開用サイトに転送する。
【0028】
クリップ情報ファイルは、プレイリスト(PL)と呼ぶクリップを定義する情報を含む。プレイリスト(PL)は、マニフェストリスト(manifesto list)とも呼ばれ、ストリーミングデータから抜き出した再生用映像ファイルであるクリップを定義する。
【0029】
即ち、図5に示すように、プレイリストPL1〜PL3はそれぞれ、ライブ配信されている映像のシーン(クリップ)A〜Cに対応する。図6に示すように、ユーザ端末13のブラウザにより、再生画面130上で、プレイリストPL1〜PL3により指示されるシーンA〜Cに対応する映像60が再生される。なお、再生画面130上では、映像60と共に、シーンA〜C毎のタイトル61の表示が可能である。このタイトル61に対応するメタデータは、後述するように、クリップ情報ファイルの編集処理により設定される。
【0030】
図7は、プレイリスト(PL1)の構成を示す。プレイリスト(マニフェストファイル)は、テキストファイル(XMLファイル:extensible markup language file)である。プレイリストは、連続して再生する各セグメントファイルを指示する再生指示ファイルである。具体的には、プレイリストは、再生時間701、各セグメントファイルのファイル名702、各セグメントファイルの記憶場所703などの情報を含む。各セグメントファイルのファイル名702は、図4に示すように、受信したストリーミングデータ120において、連続して再生するセグメントファイルの範囲を示す。各セグメントファイルの記憶場所703は、Web上のストレージの記憶場所(即ち、URL)である。ここでは、各セグメントファイルは、ストレージ22に保存されている。
【0031】
次に、図10のフローチャートを参照して、クリップ情報ファイルの生成(編集)処理の手順を説明する。
【0032】
本実施形態では、図3に示すように、作業者が、編集用端末41のブラウザ上でクリップ情報ファイルを作成する。図8に示すように、編集用端末41は、表示画面410上に、ライブ配信されている映像(ストリーミングデータ120)を再生するウインドウ411と、各セグメントファイルのサムネイルを再生するウインドウ412を表示する。
【0033】
編集用端末41は、ウインドウ411上にライブ配信されている映像(例えばスポーツ実況中継映像)を再生する(ブロック200)。同時に、ウインドウ412上には、サムネイル生成部36により生成された各セグメントファイルのサムネイルを再生する。編集用端末41は、ブラウザ上で再生されたサムネイルを指定することにより、指定のクリップの再生開始点と終了点を入力する。
【0034】
クリップ情報ファイル生成部34は、編集用端末41により指定された再生開始点と終了点に応じて、データベース32を参照して、連続して再生するセグメントファイルの範囲を設定する(ブロック201)。前述したように、データベース32には、各セグメントファイルを参照するための情報、各セグメントファイルの時刻情報、及びサムネイルを参照するための参照情報が登録されている。サムネイルの参照情報は、各セグメントファイルの参照情報に対応付けされている。
【0035】
さらに、クリップ情報ファイル生成部34は、データベース32を参照して、設定した範囲の各セグメントファイルを指示する再生指示ファイルであるプレイリストを生成する(ブロック202)。次に、クリップ情報ファイル生成部34は、編集用端末41のウインドウ412上からサムネイルが選択されると、当該クリップのサムネイルを指示する参照情報を設定する(ブロック203)。
【0036】
さらに、クリップ情報ファイル生成部34は、指定のクリップのタイトルなどのメタデータをデータベース32から取り込む(ブロック204)。クリップ情報ファイル生成部34は、データベース32から、メタデータ取込処理部33により取り込まれた初期設定メタデータを取り込む。また、クリップ情報ファイル生成部34は、編集用端末41または閲覧者用の端末42のブラウザ上で入力されたメタデータをデータベース32から取り込む。クリップ情報ファイル生成部34は、指定のクリップを再生するためのクリップ情報ファイルを、プレイリスト、メタデータ及びサムネイルを指示する参照情報を編集して生成する(ブロック205)。クリップ情報ファイル生成部34は、生成したクリップ情報ファイルをストレージ22に保存する(ブロック206)。
【0037】
以上のようにして、本実施形態によれば、例えばスポーツ実況中継において、その映像をライブ配信しながら、ハイライトシーンに対応するクリップを定義するプレイリストを含むクリップ情報ファイルをWeb上で公開できる。これにより、ユーザは、ユーザ端末13のブラウザ上でクリップ情報ファイルを指定することにより、当該ハイライトシーンを即時に視聴することが可能である。
【0038】
ここで、本実施形態では、ライブ配信される映像ファイル(音声ファイルを含む)そのものを加工せずに、データベース32に格納された参照情報を使用して、プレイリストを含むクリップ情報ファイルの編集処理を行なう。即ち、本実施形態では、映像ファイル(音声ファイルを含む)そのものは、ストレージ22に格納される。これに対して、データベース32には、各セグメントファイルの参照情報やメタデータなど、映像ファイル以外の情報が格納される。従って、本実施形態は、従来の映像編集作業によりクリップを作成する場合と比較して、簡易かつ効率的な編集作業により、結果としてクリップを作成できる。具体的には、映像ファイル(音声ファイルを含む)そのものを加工しないため、複数の作業者が同時に編集作業を実行することが可能である。
【0039】
本実施形態の構成により、例えばスポーツ実況中継において、その映像をライブ配信しながら、ハイライトシーンを即時に公開することが可能になるため、ライブ配信とVOD配信の効用を兼ねた映像配信サービスを実現できる。即ち、VOD配信は、ストレージに録画した映像ファイル(音声ファイルを含む)を提供するサービスである。本実施形態では、ライブ配信時に、クリップ情報ファイルを簡易かつ効率的な編集作業により生成できる。このため、ライブ配信の映像を視聴しながら、配信後の映像ファイルからなるクリップを即時に視聴できる。
【0040】
なお、本実施形態では、ライブ配信のストリーミングデータの各セグメントファイルを参照して、クリップ情報ファイルを編集する場合について説明した。これに限ることなく、VOD配信のストリーミングデータの各セグメントファイルを参照し、クリップ情報ファイルを編集する場合にも適用できる。
【0041】
また、本実施形態では、付加情報生成部35において、サムネイル生成部36がセグメントファイル毎のサムネイルを生成すると同時に、メタデータ生成部37は映像認識(画像認識)処理及び音声認識処理を利用して各メタデータを生成する処理を実行する構成でもよい。即ち、メタデータ生成部37は、ストリーミングデータの音声ファイルから音声認識処理を利用してキーワードを抽出し、当該キーワードを示すメタデータを生成してデータベース32に格納する。また、メタデータ生成部37は、映像認識(画像認識)処理を利用して、ストリーミングデータに含まれている字幕スーパーインポーズからキーワードを抽出し、当該キーワードを示すメタデータを生成してデータベース32に格納する。
【0042】
さらに、本実施形態は、ストリーミングデータがアダプティブ・ビットレートに対応している場合(例えば5Mbps、500kbps、300kbpsなど)、選択した1つのビットレートの各セグメントファイルのみを参照して、クリップを作成することもできる。また、異なるビットレートに対応する各プレイリストを生成して公開してもよい。
【0043】
本実施形態は、作成したクリップ(映像ファイル)をHTTPストリーミング形式で転送して公開する構成である。これに限ることなく、本実施形態のサーバ10は、クリップを構成する各セグメントファイルを1ファイルに統合する機能を有し、1映像ファイルとしてクリップを公開する構成でもよい。
【0044】
さらに、本実施形態は、クリップを構成する各セグメントファイルの中で、最初と最後のセグメントファイルに対するファイルカット編集処理を実行し、フレーム単位での編集処理を実行する構成でもよい。
【0045】
さらに、本実施形態は、作成したクリップに対してファイル形式の変換や、ファイル暗号化を行なう機能を有する構成でもよい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10