(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5909549
(24)【登録日】2016年4月1日
(45)【発行日】2016年4月26日
(54)【発明の名称】正極と負極間の狭い間隔で所要電気が節減されるドラム式電気浸透脱水機
(51)【国際特許分類】
C02F 11/12 20060101AFI20160412BHJP
B01D 35/06 20060101ALI20160412BHJP
【FI】
C02F11/12 EZAB
B01D35/06 N
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-518778(P2014-518778)
(86)(22)【出願日】2011年9月30日
(65)【公表番号】特表2014-523339(P2014-523339A)
(43)【公表日】2014年9月11日
(86)【国際出願番号】KR2011007229
(87)【国際公開番号】WO2013002454
(87)【国際公開日】20130103
【審査請求日】2014年7月23日
(31)【優先権主張番号】10-2011-0062086
(32)【優先日】2011年6月27日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】512313388
【氏名又は名称】ファイン インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】FINE INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】イ,サン ジュン
【審査官】
井上 能宏
(56)【参考文献】
【文献】
特開2009−045587(JP,A)
【文献】
特開平03−217208(JP,A)
【文献】
特開平06−015298(JP,A)
【文献】
特開平01−127012(JP,A)
【文献】
特開昭63−256113(JP,A)
【文献】
特開昭60−038012(JP,A)
【文献】
特開昭56−060603(JP,A)
【文献】
特開昭63−256112(JP,A)
【文献】
特開2011−072862(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 11/00〜11/78
B01D 35/00〜35/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中央上部に具備され、回転部及び前記回転部の下部に具備される2つのローラを含むスラッジ供給部と、
前記スラッジ供給部の下部に具備されてスラッジが投入され、軸に沿って回転する円筒状の内周面に片方の極性の直流電源が印加されるドラムと、
前記ドラムと一定の間隔を置いて無限軌道で運行され、他方の極性の直流電源が印加される電源印加部、前記電源印加部の下部に具備されるろ布、前記ろ布の下部に具備されて複数個の穴が開かれるキャタピラ(登録商標)、前記ろ布とキャタピラの間に具備されて前記キャタピラの間にすり抜けるスラッジを防ぐビニル部及び前記キャタピラの下部に具備されるチェーンを含むキャタピラ部と、
前記キャタピラ部の間の空間に具備され、前記チェーンと接して前記キャタピラ部を運行させる複数個のアイドルスプロケット(Idle Sproket)部と、を含むことを特徴とする電気浸透脱水機。
【請求項2】
前記キャタピラ部は、
前記電源印加部の上部に突出されるように前記キャタピラに固定され、前記ドラムとのショートを防止するプラスチックボルトと、
前記キャタピラに具備され、前記ドラムとキャタピラ部の間にスラッジがすり抜けないように前記キャタピラに流動性を与える弾性体と、を更に含むことを特徴とする請求項1に記載の電気浸透脱水機。
【請求項3】
前記アイドルスプロケット部は、
予備脱水が行われるように第2アイドルスプロケットが前記ドラムと一定間隔で離れるように具備されることを特徴とする請求項1に記載の電気浸透脱水機。
【請求項4】
最後のアイドルスプロケット側に具備され、前記キャタピラのスラッジを払うブラシ部と、
前記ブラシ部の下部に具備され、脱水が完了されたスラッジを集めて排出するスクリューコンベヤ部と、
前記ブラシ部の反対側に具備され、前記キャタピラ部に水を噴射して洗浄する洗浄部と、を更に含むことを特徴とする請求項1に記載の電気浸透脱水機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はドラム式電気浸透脱水機に関するものであり、更に詳しくは、正極と負極間の狭い間隔で所要電気が節減されるドラム式電気浸透脱水機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に、電気浸透脱水機は、スラッジと結合された水を電気泳動性で除去するための電場を形成させるために直流電源が印加され、その電圧差によってスラッジの含水を脱水させる装置である。
【0003】
このような電気泳動式電気浸透脱水機は、「電気浸透脱水機(特許文献1)」、「位相制御型電気脱水機(特許文献2)」、「電気浸透脱水機(特許文献3)」、「三相交流電源を利用した位相制御型電気泳動式電気浸透脱水機(特許文献4)」と、本発明の出願人が先出願した「通電性が向上された電気泳動式電気浸透脱水機のドラム装置(特許文献5)」、「電気泳動式電気浸透脱水機の洗浄装置(特許文献6)」及び「三相交流電源を利用した位相制御型電気泳動式電気浸透脱水機のデジタル制御回路及びそのシステム(特許文献7)」などに記載されて周知されたように、その構造は大きく正極(+)又は負極(−)が印加されたドラム、ドラムと一定空間部を置いて設置され、全体に負極(−)又は正極(+)が印加されたキャタピラ
(登録商標)、ドラムとキャタピラの間にスラッジの移送及び脱水のために巻き取られたろ布ベルトなどで構成される。
【0004】
従来の電気浸透脱水機はドラムとキャタピラの間に一定の純粋直流電圧が印加されて電場が形成され、電場の中で帯電された液体スラッジ粒子周囲の水が電気泳動と毛細管現象によってスラッジ粒子が帯びている電荷と反対電極の方に移動し、水分が分離されて除去される。
【0005】
即ち、スラッジ粒子は(−)表面電荷を帯びるためスラッジに電場を形成させるとスラッジ粒子は(+)極に移動し、スラッジ粒子層内の水分は(−)極に移動して脱水が促進される。
【0006】
このような従来の電気浸透脱水機は正極と負極、即ち、ドラムとキャタピラの間に間隔が保持されるべきであるが、電気浸透脱水機は正極と負極間の間隔にその効率が左右される。ところが、従来の電気浸透脱水機は正極と負極の間にろ布が位置して通電を妨げ、正極と負極間の間隔を遠くする問題点がある。
【0007】
そして、ろ布は消耗品であり、6ヶ月乃至9ヶ月使用すると新しい製品に代替しなければならない問題点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】大韓民国出願番号10−2004−7759
【特許文献2】大韓民国出願番号10−2005−9928
【特許文献3】大韓民国出願番号10−2007−46494
【特許文献4】大韓民国出願番号10−2008−44901
【特許文献5】大韓民国出願番号10−2010−135183
【特許文献6】大韓民国出願番号10−2010−135185
【特許文献7】大韓民国出願番号10−2010−135188
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上述したような問題点を解決するために提案されたものであり、その目的は正極と負極間の間隔を狭くして電気を節減し得る電気浸透脱水機を提供することにある。
【0010】
本発明の他の目的は、正極と負極の間に具備されたろ布を除去して正極と負極間の間隔を狭くすることができ、通電を妨げていた要素を除去し得る電気浸透脱水機を提供することにある。
【0011】
本発明のまた他の目的は、消耗品としてのろ布が除去されることでコストを節減し得る電気浸透脱水機を提供することにある。
【0012】
本発明の更に他の目的は、流動性スラッジの漏れなく円滑な脱水作業が行われる電気浸透脱水機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上述した目的を達成するための本発明による電気浸透脱水機は、中央上部に具備され、回転部及び前記回転部の下部に具備される2つのローラを含むスラッジ供給部と、前記スラッジ供給部の下部に具備されてスラッジが投入され、軸に沿って回転する円筒状の内周面に片方の極性の直流電源が印加されるドラムと、前記ドラムと一定の間隔を置いて無
限軌道で運行され、他方の極性の直流電源が印加される電源印加部、前記電源印加部の下部に具備されるろ布、前記ろ布下部に具備されて複数個の穴が開かれるキャタピラ、前記ろ布とキャタピラの間に具備されて前記キャタピラの間にすり抜けるスラッジを防ぐビニル部及び前記キャタピラの下部に具備されるチェーンを含むキャタピラ部と、前記キャタピラ部の間の空間に具備され、前記チェーンと接して前記キャタピラ部を運行させる複数個のアイドルスプロケット(Idle Sprocket)部と、を含む。
【0014】
そして、本発明による電気浸透脱水機の前記キャタピラ部は、前記電源印加部の上部に突出されるように前記キャタピラに固定され、前記ドラムとのショートを防止するプラスチックボルトと、前記キャタピラに具備され、前記ドラムとキャタピラ部の間にスラッジがすり抜けないように前記キャタピラに流動性を与える弾性体と、を更に含むことにその特徴がある。
【0015】
また、本発明による電気浸透脱水機の前記アイドルスプロケット部は、予備脱水が行われるように第2のアイドルスプロケットが前記ドラムと一定間隔に離れるように具備されることにその特徴がある。
【0016】
そして、本発明による電気浸透脱水機は、最後のアイドルスプロケット側に具備され、前記キャタピラのスラッジを払うブラシ部と、前記ブラシ部の下部に具備され、脱水が完了されたスラッジを集めて排出するスクリューコンベヤ部と、前記ブラシ部の反対側に具備され、前記キャタピラ部に水を噴射して洗浄する洗浄部と、を更に含むことに特徴がある。
【発明の効果】
【0017】
本発明は正極と負極の間にあるろ布を除去することで正極と負極間の間隔を狭くし、それによって電気を節減し得る効果がある。
【0018】
そして、ろ布を除去することで通電を妨げていた要素を除去することができ、消耗品としてのろ布を除去することでコストを節減し得る効果がある。
【0019】
また、予備脱水が行われ、ビニル部などの構成によって流動性スラッジの漏れなく円滑な脱水作業が行われる効果もある。
【0020】
本発明は添付された図面に示された実施例を参考にして説明されるが、これは例示的なものであり、該当分野の通常の知識を有する者であればこれから多様な変形及び均等な実施例が可能であるということを理解できるはずである。従って、本発明の本当の保護範囲は添付された特許請求の範囲によってのみ決められるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明による電気浸透脱水機の前面を示す図である。
【
図2】本発明による電気浸透脱水機のキャタピラを示す図である。
【
図3】本発明による電気浸透脱水機のキャタピラ部を示す図である。
【
図4】本発明による電気浸透脱水機のキャタピラ部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の好ましい実施例による正極と負極間の狭い間隔で所要電気が節減されるドラム式電気浸透脱水機を添付した図面に基づいて詳しく説明する。
図1は、本発明による電気浸透脱水機の前面を示す図である。そして、
図2は本発明による電気浸透脱水機のキャタピラを示す図であり、
図3と
図4は本発明による電気浸透脱水機のキャタピラ部を示す図である。
【0023】
図1乃至
図4を参照すると、本発明による正極と負極間の狭い間隔で所要電気が節減されるドラム式電気浸透脱水機100は、スラッジ供給部10、ドラム20、キャタピラ部30及びアイドルスプロケット部(idle sprocke)40で構成される。
【0024】
スラッジ供給部10は、電気浸透脱水機100の中央上部に具備される。スラッジ供給部10は回転部11と2つのローラ12a,12bを含む。スラッジ供給部10にスラッジが投入されると回転部11によってスラッジが回転されながら投入され、回転部11の下部に具備される2つのローラ12a,12bによってスラッジが容易に投入され得る。
【0025】
ドラム20は、スラッジ供給部10の下部に具備される。ドラム20は軸に沿って回転する円筒状であり、内周面に片方の極性の直流電源が印加される。ドラム20は投入されたスラッジの脱水を行う。
【0026】
キャタピラ部30は、ドラム20と一定の間隔を置いて無
限軌道で運行される。キャタピラ部30は電源印加部31、ろ布32、キャタピラ33、ビニル部(web)34、チェーン35、プラスチックボルト36、弾性体37を含む。電源印加部31はドラム20と反対の極性の直流電源が印加される。
【0027】
ろ布32は、電源印加部31の下部に具備される。従来の電気浸透脱水機はろ布が電源印加部の上部、即ち、ドラムとキャタピラの間に具備されており、このような従来のろ布によって正極と負極間の間隔が遠くなり、通電を妨げ、消耗品として代替しなければならない問題点があった。本実施例のろ布32は電源印加部31の下部で電源印加部31と下記キャタピラ33の間に具備され、それによって正極と負極間の間隔が狭くなり、スラッジの脱水が容易に行われ得る。そして、このようなろ布32は半永久的に使用され得る。
【0028】
キャタピラ33は、ろ布32の下部に具備される。キャタピラ33には複数個の穴が開かれ、それによってスラッジの水が通過されるようにする。ビニル部34は、ろ布32とキャタピラ33の間に具備される。ビニル部34によってキャタピラ33の間にスラッジがすり抜けないようにすることができる。
【0029】
チェーン35は、キャタピラ33の下部に具備される。チェーン35と下記アイドルスプロケット部40によってキャタピラ部30の運行が行われ得る。プラスチックボルト36は、電源印加部31の上部に突出されるようにキャタピラ33に固定される。プラスチックボルト36によってドラム20とキャタピラ部30の間のショートが防止され得る。
【0030】
弾性体37は、各キャタピラ33の両側に具備される。弾性体37はドラム20とキャタピラ部30の間にスラッジがすり抜けないようにキャタピラ33に流動性を与える。即ち、キャタピラ部30が無
限軌道で運行される際、弾性体37によってキャタピラ33がドラム20との間の間隔を流動的に動かせることで、スラッジがすり抜けないようにする役割を果たす。
【0031】
アイドルスプロケット部40はキャタピラ部30の間の空間に具備され、チェーン35と接してキャタピラ部30を運行させる。アイドルスプロケット部40は複数個、例えば、6個が具備される。第1アイドルスプロケット40aはスラッジ供給部10の第2ローラ12bの隣に具備される。第1アイドルスプロケット40aによって形成されるドラム20とキャタピラ部30の間の空間に脱水のためのスラッジが供給される。
【0032】
第2アイドルスプロケット40bは、ドラム20とキャタピラ部30の間に圧力を与えないようにドラム20から一定間隔離れた状態で具備される。第2アイドルスプロケット40bによって、供給されたスラッジの予備脱水が行われ得る。即ち、圧力を受ける前にスラッジの水分が除去され得る。
【0033】
ブラシ部50は、第6アイドルスプロケット40f側に具備される。ブラシ部50はキャタピラ部30のスラッジを払う役割を果たす。キャタピラ部30のビニル部34によってスラッジのすり抜けを防止し、溜まっているスラッジをブラシ部50が払う。
【0034】
スクリューコンベヤ部60は、ブラシ部50の下部に具備される。スクリューコンベヤ部60は脱水が完了されたスラッジを集めて外部に排出させる。ブラシ部50によって払われたスラッジ及び脱水が完了されたスラッジは、スクリューコンベヤ部60を介して排出される。
【0035】
洗浄部70は、電気浸透脱水機100のブラシ部50の反対側に具備される。洗浄部70はキャタピラ部30に水を噴射して洗浄する。洗浄部70は噴射される水でキャタピラ部30を洗浄する。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本実施例による正極と負極間の狭い間隔で所要電気が節減されるドラム式電気浸透脱水機は上述された形に限られず、本発明の技術的中心思想を逸脱しない範囲内で多様に変形実施され得る。これは、本発明が属する技術分野に携わる者であれば容易に理解できるはずである。