(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の歩行用杖900においては、照明具901を点灯及び消灯させるためには、細かいスイッチ903を操作することが必要であり、せっかく歩行用杖900が照明具901を備えていても、杖等使用者にとって照明具901を点灯及び消灯させることが煩雑で面倒であるという問題がある。
【0007】
そこで、本発明は上記の問題を解決するためになされたもので、歩行用杖等の棒状部分に取り付けて用いる取り付け式照明具であって、細かいスイッチを操作しなくても照明具を点灯及び消灯させることが可能な取り付け式照明具を提供することを目的とする。また、上記のような取り付け式照明具を備える歩行用杖を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
[1]本発明の取り付け式照明具は、歩行用杖等の棒状部分に取り付け可能な取り付け部と、前記取り付け部と接続された回動部と、前記回動部と接続され、前記棒状部分に沿ってたたまれる閉状態及び前記棒状部分から突出する開状態とを取ることが可能な本体部と、前記本体部に内蔵された電源部と、前記本体部に配設され、前記電源部からの電力で点灯する照明部とを備え、前記照明部は、前記本体部が閉状態を取るときには点灯可能状態となり、前記本体部が開状態を取るときには常に消灯状態となることを特徴とする。
【0009】
本発明の取り付け式照明具によれば、本体部が閉状態を取るときには点灯可能状態となり、本体部が開状態を取るときには常に消灯状態となるため、細かいスイッチを操作しなくても本体部自体を開閉することで取り付け式照明具を点灯及び消灯させることが可能となる。
【0010】
また、本発明の取り付け式照明具によれば、歩行用杖等に取り付けて用いることにより、従来の歩行用杖と同様に、杖等使用者の足元を照らして杖等使用者が転倒する危険性を低減することが可能となり、また、自動車等の乗員に杖等使用者の存在を認知しやすくさせ、事故が発生する危険性を低減することが可能となる。
【0011】
なお、「本体部が閉状態を取るときには点灯可能状態となる」は、本体部を閉状態としたときに照明部が常に点灯状態となることのみを含むのではなく、後述する実施形態に示すように、各種センサー等を用いて所定の条件(例えば、周囲の明るさや杖の使用状態)に応じて照明部が点灯状態又は消灯状態となる(つまり、条件によっては一時的に消灯状態となる)ことも含む。
【0012】
上記[1]においては、「照明部は、本体部が閉状態を取るときには点灯可能状態となり、本体部が開状態を取るときには常に消灯状態となる」ようにするために、取り付け式照明具は、本体部の開閉状態を検知して本体部の電気回路を切り替える開閉検知機構をさらに備えることが好ましい。上記のような開閉検知機構としては、例えば、押しボタンを用いるもの(後述する[12],[13]も参照。)、電源部と回動部との間に設けられ、回動部の回転に応じて電気回路を切り替える伝達機構を用いるもの、光学的なセンサーや磁気的なセンサーを用いるものを挙げることができる。
【0013】
[2]本発明の取り付け式照明具においては、前記本体部は、板状の形状を有し、かつ、前記取り付け部を取り付ける前記棒状部分の軸を第1軸とする場合、前記本体部が開状態を取るとき前記第1軸に対して垂直な方向に突出するように構成されていることが好ましい。
【0014】
ところで、不使用時において歩行用杖を壁に立て掛けておいたりすると、歩行用杖が滑って倒れてしまうことがあり不便である。一方、上記のような構成とすることにより、当該取り付け式照明具を歩行用杖に取り付けて使用した場合、取り付け式照明具を机の天板等に置くようにすることで歩行用杖を机等に掛けて倒れないようにすることが可能となる(後述する
図3、
図6及び
図10参照。)。
【0015】
なお、上記のように取り付け式照明具を置く場合、本体部が開状態を取る必要があるため、照明部は消灯状態となる。しかしながら、上記のような状態とするのは、歩行用杖を使用しないときであり、かつ、主に建物内であると考えられるため問題は無く、むしろ照明部を消灯状態として電力消費を抑えることが可能となる。
【0016】
本明細書において「垂直」は、完全に垂直であることのみを含むのではなく、実質的に垂直であると扱うことができる程度の角度関係であることも含む。水平面に対して直線が90°の角度で交わることを「完全に垂直」であるとすると、例えば、水平面に対して直線が80°〜100°の角度で交わることを「垂直」であるとすることができる。
【0017】
上記[2]においては、「本体部が開状態を取るとき第1軸に対して垂直な方向に突出するように構成されている」ことを実現するために、回動部には回動可能範囲が設定され、本体部が第1軸に対して垂直な方向より大きく開くのを規制することが好ましい。
【0018】
[3]本発明の取り付け式照明具においては、前記取り付け式照明具は、前記本体部に対して常に所定の力を付勢する弾性部材をさらに備え、前記本体部は、前記弾性部材からの所定の力以外に力がかかっていない場合には、閉状態を取ることが好ましい。
【0019】
このような構成とすることにより、歩行用杖を机の天板等に掛けた状態から歩行用杖を持ち上げると本体部が自動的に閉状態を取るようになるため、本体部が開状態を取ったままとなる事態を防止することが可能となり、その結果、照明部が消灯状態のままとなる事態や歩行の邪魔となる事態を防止することが可能となる。
【0020】
なお、弾性部材が本体部に対して付勢する「所定の力」は、歩行用杖の自重により取り付け式照明具を机の天板等に置いた状態において取り付け式照明具にかかる重さよりも小さいことが好ましい。このような構成とすることで、取り付け式照明具を机の天板等に安定して置くことが可能となる。また、所定の力が強すぎると本体部で指を挟んで怪我をする等の事故が起こる危険性があるため、上記のような構成とすることにより、「所定の力」を小さくして、弾性部材を備えることによる事故を防止することが可能となる。
【0021】
[4]本発明の取り付け式照明具においては、前記取り付け式照明具は、前記本体部の先端部に配置されたローラー部をさらに備えることが好ましい。
【0022】
ところで、取り付け式照明具を机の天板等に置いて歩行用杖を倒れないようにするときには、基本的に手を用いて本体部に開状態を取らせる必要がある。しかしながら、上記のような構成とすることにより、机の天板等にローラーを押し付けて本体部に開状態を取らせることが可能となり、手を用いて本体部に開状態を取らせる手間を省くことが可能となる(後述する
図10参照。)。
【0023】
[5]本発明の取り付け式照明具においては、前記照明部は、前記取り付け式照明具の一方側を照明する一方側照明部と、前記一方側とは反対の他方側を照明する他方側照明部とからなることが好ましい。
【0024】
このような構成とすることにより、一方側及び他方側の2方向を照明し、自動車等の乗員に杖等使用者の存在を一層認知しやすくさせ、事故が発生する危険性を一層低減することが可能となる。
【0025】
[6]本発明の取り付け式照明具においては、前記一方側照明部は点灯時に白色光を射出するように構成され、前記他方側照明部は点灯時に赤色光を射出するように構成されていることが好ましい。
【0026】
このような構成とすることにより、例えば歩行用杖等に取り付け式照明具を取り付けたときにおいて、一方側照明具が前方側を向き、他方側照明具が後方側を向くようにすることで、方向によって照明の色に差をつけ、杖等使用者の存在をより一層認知しやすくさせることが可能となる。
【0027】
上記[6]においては、一方側照明部は白色光を射出する光源部を有することが好ましい。また、他方側照明部は、赤色光を射出する光源部を有すること、又は、白色光を射出する光源部及び入射する白色光のうち赤色光成分を通過させる赤色フィルターを有することが好ましい。
【0028】
[7]本発明の取り付け式照明具においては、前記本体部は、前記回動部と接続されている箇所から前記照明部が配設されている箇所までの間に回転軸を有し、前記一方側照明部と前記他方側照明部とが入れ替わるように回転可能であることが好ましい。
【0029】
このような構成とすることにより、本体部が回転軸を有し回転可能であるため、取り付け式照明具を歩行用杖等に取り付けた後でも、取り付け部の交換や分解等の煩雑な手順を踏まず容易に一方側照明部と他方側照明部との位置を入れ替えることが可能となる。
【0030】
また、例えば、上記[6]のように一方側照明部と他方側照明部とに違いがある場合であっても本体部の回転により入れ替えることができるため、取り付け間違いにより前後が逆になってしまう事態を防止することが可能となる(後述する
図7参照。)。
【0031】
[8]本発明の取り付け式照明具においては、前記本体部は、一方側照明部及び前記他方側照明部の両方又は片方について、前記一方側又は前記他方側へ向かう光の一部を、前記一方側とも前記他方側とも異なる第三方側へ導光する導光部を有することが好ましい。
【0032】
このような構成とすることにより、第三方側に導光される光により杖等使用者の位置が一層判りやすくなることから、自動車等の乗員に杖等使用者の存在をより一層認知しやすくさせ、事故が発生する危険性をより一層低減することが可能となる。
【0033】
導光部としては、照明部の第三方側(照明部が、本体の正面側にある場合には側面側、側面側にある場合には正面側。)に設けられたスリットを例示することができる。照明部が透明カバー(透光板)や光拡散板等を有する場合には、当該スリット内部に透明カバー(透光板)や光拡散板等が入り込んでいてもよい。
【0034】
[9]本発明の取り付け式照明具においては、前記照明部は、光源部ごとに照明可能範囲が異なる、足元用光源部を有することが好ましい。
【0035】
このような構成とすることにより、取り付け式照明具(あるいは歩行用杖等)と地面との角度が変わっても、足元を照明することが可能となる。
【0036】
上記[9]の場合においては、足元用光源部は、歩行用杖等の棒状部分を地面と垂直にした場合において、杖等使用者の足元近辺を照明する第1光源部、第1光源部よりも遠方を照明する第2光源部及び第2光源部よりも遠方を照明する第3光源部を有することが一層好ましい。このように構成することにより、第1光源部、第2光源部及び第3光源部を用いて足元を一層確実に照明することが可能となる。なお、光源部は1つの光源からなるものを用いてもよいし、複数の光源からなるものを用いてもよい。
【0037】
なお、上記[5]に記載したように、照明部が一方側照明部と他方側照明部とからなる場合には、杖等使用者の前方側を照明する照明部(例えば、[6]に記載したように一方側照明部が点灯時に白色光を射出するように構成され、他方側照明部が点灯時に赤色光を射出するように構成されている場合には、一方側照明部)のみが光源部ごとに照明可能範囲が異なる足元用光源部を有し、杖等使用者の後方側を照明する照明部(例えば、他方側照明部)は後方側に向かってまっすぐ光を射出することが好ましい。このような構成とすることにより、杖等使用者の前方側を照明する照明部(例えば、一方側照明部)で杖等使用者の足元を照明するとともに、杖等使用者の後方側を照明する照明部(例えば、他方側照明部)で杖等使用者の存在を遠くからでも認知しやすくすることが可能となる。
【0038】
[10]本発明の取り付け式照明具においては、前記足元用光源部は、前記足元用光源部を構成する光源部ごとに照明可能範囲が異なるようにするための光学素子をさらに有することが好ましい。
【0039】
ところで、本体部をコンパクトにまとめようとする場合、平面状の回路上に光源部を直接配置することが好ましい。しかし、このようにすると、光源部そのものの向きを変えて照明可能範囲を調節することが困難となる。
そこで、上記[10]のような構成とすることにより、光源部そのものの向きではなく、光源部が射出する光の向きを変えることが可能となり、その結果、本体部をコンパクトにまとめることと、照明可能範囲を調節することとを両立することが可能となる(後述する
図2、
図5、
図9及び
図11参照。)。
【0040】
照明可能範囲を調節するための光学素子としては、例えば、光学レンズやレンチキュラー素子を挙げることができる。
【0041】
[10]本発明の取り付け式照明具においては、前記取り付け式照明具は、明るさセンサー及び振動センサーをさらに備え、前記照明部は、前記本体部が閉状態を取り、前記明るさセンサーが所定の明るさより弱い光を検知し、かつ、前記振動センサーが所定の強さより強い振動を検知したときに点灯することが好ましい。
【0042】
このような構成とすることにより、細かいスイッチを操作する等の煩雑な手順を踏まなくても取り付け式照明具を点灯及び消灯させることが可能となり、かつ、不使用時(周囲が明るいときや歩行用杖そのものを使用していないとき)に照明部を消灯状態として電力消費を抑えることが可能となる。
【0043】
[12]本発明の取り付け式照明具においては、前記取り付け式照明具は、前記回動部よりも前記取り付け部側に第1基準部をさらに備え、前記本体部は、前記本体部が閉状態を取るときに前記第1基準部と向かい合う第2基準部をさらに有し、前記第2基準部は、前記本体部が閉状態を取るという条件と前記第1基準部が所定の位置に配置されているという条件との両方を満たすときに前記第1基準部の接触又は近接を検知する検知部を有し、前記検知部が前記第1基準部の接触又は近接を検知したときには、前記第2基準部が前記本体部の電気回路を切り替えて、前記照明部を点灯可能状態にすることが好ましい。
【0044】
このような構成とすることにより、細かいスイッチを操作しなくても本体部自体を開閉することで取り付け式照明具を点灯及び消灯させることを、第1基準部と第2基準部との組み合わせという比較的単純な機構で実現することが可能となる。
【0045】
第1基準部は、回動部よりも取り付け部側にあるため、本体部の開閉によっては位置が変わらないということができる。
「接触」とは、例えば、第1基準部の一部又は全部と検知部とが直接接触するとき(例えば、検知部として接触式のボタン、スイッチやセンサーを用いる場合)のことをいう。
また、「近接」とは、第1基準部の一部又は全部と検知部とが一定以下の距離にまで近づくとき(例えば、検知部として磁気や静電力を利用するスイッチやセンサーを用いる場合)のことをいう。一定の距離は、使用するスイッチやセンサー等に依存する。
【0046】
「本体部の電気回路を切り替える」とは、例として、検知部が第1基準部の接触又は近接を検知していないときには電源部と照明部との間の電気回路を非接続状態にし、検知部が第1基準部の接触又は近接を検知したときには電源部と照明部との間の電気回路を接続状態にすることを挙げることができる。
【0047】
第1基準部は、移動可能に構成されていてもよいし、移動不可能に構成されていてもよい。第1基準部が移動可能に構成されている場合には、第1基準部を、本体部の状態に関わらず照明部を消灯状態とする強制消灯操作部として使用することが可能となる。このような構成とすることにより、照明部を点灯させる条件を満たしていても点灯させたくない場合や電力消費を抑えたい場合に、第1基準部を所定の位置から移動させることで、照明部を強制的に消灯させることが可能となる。
【0048】
第1基準部及び第2基準部は、上記した「本体部の開閉状態を検知して本体部の電気回路を切り替える開閉検知機構」に相当する。
【0049】
[13]本発明の取り付け式照明具においては、前記検知部は、押しボタンからなり、前記第1基準部は、スライド移動可能に構成されているスライド板と、前記検知部に接触可能な接触部とを有することが好ましい。
【0050】
このような構成とすることにより、第1基準部を、本体部の状態に関わらず照明部を消灯状態とするための強制消灯操作部として使用することが可能となり、照明部を点灯させる条件を満たしていても点灯させたくない場合や電力消費を抑えたい場合に、第1基準部を所定の位置から移動させることで、照明部を強制的に消灯させることが可能となる。
【0051】
また、このような構成とすることにより、第1基準部が本体部とは別の位置に設けられているため、第1基準部を本体部に設ける場合(強制消灯操作部を本体部に設ける場合に相当)よりも、第1基準部の設計上の制限(形状、大きさ等)を緩くして操作容易な形状とすることが可能となる。
【0052】
接触部は、ボタンスイッチの位置、形状、大きさに応じて形状を決定することができる。接触部は、例えば、突起状の形状を有していてもよいし、平面状の形状を有していてもよい。
【0053】
[14]本発明の歩行用杖は、棒状部分と、握り部分と、前記棒状部分に取り付けられた取り付け式照明具とを備える歩行用杖であって、前記取り付け式照明具は、歩行用杖等の棒状部分に取り付け可能な取り付け部と、前記取り付け部と接続された回動部と、前記回動部に接続され、前記棒状部分に沿ってたたまれる閉状態及び前記棒状部分から突出する開状態を取ることが可能な本体部と、前記本体部に内蔵された電源部と、前記本体部に配設され、前記電源部からの電力で点灯する照明部とを備え、前記照明部は、前記本体部が閉状態を取るときには点灯可能状態となり、前記本体部が開状態を取るときには常に消灯状態となるとを特徴とする。
【0054】
本発明の歩行用杖によれば、本発明の取り付け式照明具を備えるため、本体部が閉状態を取るときには点灯可能状態となり、本体部が開状態を取るときには常に消灯状態となり、細かいスイッチを操作しなくても本体部自体を開閉することで取り付け式照明具を点灯及び消灯させることが可能となる。
【0055】
また、本発明の歩行用杖によれば、従来の歩行用杖と同様に、杖等使用者の足元を照らして杖等使用者が転倒する危険性を低減することが可能となり、また、自動車等の乗員に杖等使用者の存在を認知しやすくさせ、事故が発生する危険性を低減することが可能となる。
【0056】
上記[14]に記載した取り付け式照明具は、要するに上記[1]に記載した取り付け式照明具であるが、本発明の歩行用杖においては、取り付け式照明具は、上記[2]〜[13]のいずれかに記載した取り付け式照明具であることが好ましい。このような構成とすることにより、上記[2]〜[13]のいずれかに記載した取り付け式照明具の効果を得ることが可能となる。
【0057】
[15]本発明の歩行用杖においては、前記棒状部分の軸を第1軸とするとき、前記握り部分は前記第1軸とは垂直な方向に伸びる第2軸を有し、前記取り付け式照明具の前記本体部は、板状の形状を有し、かつ、前記本体部が開状態を取るとき前記第1軸及び前記第2軸に対して垂直な方向に突出するように構成されていることが好ましい。
【0058】
このような構成とすることにより、歩行用杖の握り部分が机等の縁に沿うように歩行用杖を固定するようになるため、握り部分が机等から突出して邪魔になるのを防止することが可能となる(後述する
図6及び
図10参照。)。
【0059】
上記[15]が備える取り付け式照明具は、上記[5]に記載した取り付け式照明具であることが一層好ましい。このような構成とすることにより、一方側照明部及び他方側照明部の光が棒状部分に遮られることがないため、自動車等の乗員に杖等使用者の存在をより一層認知しやすくさせ、事故が発生する危険性をより一層低減することが可能となる。
【0060】
なお、「握り部分は第1軸とは垂直な方向に伸びる第2軸を有する」とは、握り部分が全体として直線状の軸(第2軸)を想定することが可能な形状であることをいう。
【0061】
[16]本発明の歩行用杖においては、前記取り付け式照明具の前記本体部において、前記回動部の回動軸に沿う方向の長さを本体部の幅とするとき、前記本体部の幅は、前記棒状部分の最大径よりも大きいことが好ましい。
【0062】
このような構成とすることにより、本体部そのものを掴んで開閉の操作を行うことを容易なものとすることが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0064】
[実施形態1]
図1は、実施形態1に係る取り付け式照明具1を説明するために示す図である。
図1(a)は閉状態を取る取り付け式照明具1の正面図であり、
図1(b)は開状態を取る取り付け式照明具1の上面図であり、
図1(c)は閉状態を取る取り付け式照明具1の側面図であり、
図1(d)は開状態を取る取り付け式照明具1の側面図である。なお、
図1(c)及び
図1(d)においては、説明を容易にするため、一方側照明部50及び他方側照明部60を実線で表示している。符号510で示す棒状部分は歩行用杖500の一部であり、取り付け式照明具1の構成要素ではない。
【0065】
図2は、実施形態1に係る歩行用杖500を説明するために示す図である。
図2(a)は歩行用杖500の正面図であり、
図2(b)は歩行用杖500の側面図である。なお、
図2における取り付け式照明具1はいずれも閉状態である。
図2(b)においてWで表示する実線矢印は一方側照明部50の光源部52,54,56が射出する光の向きを示すものであり、Wで表示する破線矢印は一方側照明部50からの拡散光等が下方に向かうことを示すものであり、Rで表示する実線矢印は他方側照明部60の光源部62が射出する光の向きを示すものである。
図3は、実施形態1に係る歩行用杖500を机の天板600に掛けることを説明するために示す図である。符号600で示す机の天板は歩行用杖500の一部を構成するものではない。
【0066】
まず、実施形態1に係る取り付け式照明具1について説明する。
実施形態1に係る取り付け式照明具1は、
図1に示すように、取り付け部10と、弾性部材12(図示せず。)と、回動部14と、本体部20と、電源部30と、明るさセンサー40(図示せず。)と、振動センサー42(図示せず。)と、照明部50,60とを備える。
【0067】
取り付け部10は、歩行用杖等(実施形態1の場合、歩行用杖500)の棒状部分510に取り付け可能に構成されている。取り付け部10は、いわゆるユニバーサルバンドからなり、刻みのついた可撓性バンドとネジとを有することにより、様々な径の棒状部分に対応することができる。なお、取り付け部としては、単に棒状部分を挟むような構成の取り付け部を用いることもできる。
【0068】
弾性部材12は、本体部20に対して常に所定の力を付勢する。弾性部材12が付勢する所定の力は、本体部20に弾性部材12からの所定の力以外に力がかかっていない場合、本体部20が閉状態を取るようにする力である。弾性部材12は、例えば、板バネやコイルバネからなる。弾性部材12は、図示は省略するが、回動部14付近又は回動部14の内部に配置されている。
なお、弾性部材12が本体部20に対して付勢する「所定の力」は、歩行用杖500の自重により取り付け式照明具1を机の天板等に置いた状態において取り付け式照明具1にかかる重さよりも小さい。
【0069】
回動部14は、取り付け部10と接続され、かつ、本体部20と接続されている。回動部14には回動可能範囲が設定され、本体部20が第1軸に対して垂直な方向より大きく開くのを規制する。実施形態1においては、回動部14は、棒状部分510の軸(第1軸ax1)を基準として0°〜90°の範囲内で回動可能である(
図1(c)及び
図1(d)参照。)。
【0070】
本体部20は、回動部と接続されている。本体部20は、棒状部分510に沿ってたたまれる閉状態(
図1(a)及び
図1(c)参照。)及び棒状部分510から突出する開状態(
図1(b)及び
図1(d)参照。)とを取ることが可能に構成されている。
さらにいえば、本体部20は、板状の形状を有し、かつ、取り付け部10を取り付ける棒状部分510の軸を第1軸ax1とする場合、本体部20が開状態を取るとき第1軸に対して垂直な方向に突出するように構成されている。
【0071】
本体部20は、弾性部材12からの所定の力以外に力がかかっていない場合には、閉状態を取る。本体部20は、その先端部において、指をかけて本体部20に開状態を取らせるための突起22を有する。
【0072】
電源部30は、本体部20に内蔵されている。電源部30で用いる電源としては、様々な電池(例えば、種々の汎用乾電池、専用形状のニッケル・カドミウム電池やリチウムイオン電池等)を用いることができる。中でも、本体部20の大きさや厚み、入手や扱いの容易さを考えると、例えば、単4乾電池2本(使い切り式でも充電式でもよい。)を好適に用いることができる。
【0073】
明るさセンサー40及び振動センサー42は、図示は省略するが、本体部20に内蔵されている。
明るさセンサー40としては、例えば、フォトトランジスタを有するものや太陽電池パネルを有するものを用いることができる。
振動センサー42としては、例えば、機械式の振動センサー、光学式の振動センサー又は半導体式の振動センサーを有するものを用いることができる。
【0074】
照明部50,60は、取り付け式照明具1の一方側を照明する一方側照明部50と、一方側とは反対の他方側を照明する他方側照明部60とからなる。当該照明部50,60は、本体部20に配置され、電源部30からの電力で点灯する。照明部50,60は、本体部20が閉状態を取るときには点灯可能状態となり、本体部20が開状態を取るときには常に消灯状態となる。照明部50,60にこのような状態を取らせるために、取り付け式照明具1は、例えば、本体部20の開閉状態を検知して本体部20の電気回路(図示せず。)を切り替える開閉検知機構(図示せず。)をさらに備えることができる。開閉検知機構としては、例えば、電源部30と回動部14との間に設けられ、回動部14の動きに応じて電気回路(例えば、電源部の配線)を切り替える伝達機構を用いるもの、光学的なセンサーや磁気的なセンサーを用いるものを挙げることができる。
【0075】
照明部50,60は、本体部20が閉状態を取り、明るさセンサー40が所定の明るさより弱い光を検知し、かつ、振動センサー42が所定の強さより強い振動を検知したとき(つまり、周囲が暗く、歩行用杖500を実際に使用するとき)に点灯する。
【0076】
照明部50,60は、一度点灯した後は、明るさセンサー40が所定の光度より強い光を検知した場合(例えば、街灯の下を通過した場合)でも、所定の時間(任意の時間を設定し得るが、例えば、5分間)点灯し続ける。
【0077】
このため、照明部50,60は、一度点灯した後は、明るさセンサー40が所定の光度より強い光を検知した場合でも所定の時間点灯し続けるようになり、杖等使用者が一時的に明るい場所を通りかかったときに照明部50,60が急に消灯してしまうのを防止することが可能となる。
【0078】
また、照明部50,60は、一度点灯した後は、振動センサー42が所定の強さよりも弱い振動を検知した場合や振動を検知できなくなった場合(例えば、一時的に立ち止まった場合)でも、所定の時間(任意の時間を設定し得るが、例えば、5分間)点灯し続ける。
【0079】
このため、照明部は、一度点灯した後は、振動センサー42が所定の強さよりも弱い振動を検知した場合や振動を検知できなくなった場合でも所定の時間点灯し続けるようになり、杖等使用者が一時的に立ち止まったときでも照明部が急に消灯してしまうのを防止することが可能となる。
【0080】
一方側照明部50は、点灯時に白色光を射出するように構成されている。一方側照明部50は、光源部52,54,56を有する。光源部52,54,56としては種々の光源を用いることができるが、例えば、小型・高輝度で消費電力が低いという特徴から、発光ダイオード(LED)を好適に用いることができる。光源部52,54,56は、白色光を射出する。
【0081】
なお、光源部52,54,56は平面状の回路に直接配置されているため、光源部52,54,56からの光は基本的に直進する(
図2(b)の実線矢印W参照。)。しかし、光源部52,54,56が射出する光には光軸以外の方向へ向かう光も含まれ、また、光源部52,54,56が射出する光の中には照明部のカバー(符号を図示せず。)等により拡散され拡散光となる光があることにより、照明部(一方側照明部50)からの光は杖等使用者の足元を照らすことができる(
図2(b)の破線矢印W参照)。
【0082】
他方側照明部60は、点灯時に赤色光を射出するように構成されている。他方側照明部60は、光源部62を有する。光源部62としては種々の光源を用いることができるが、例えば、小型・高輝度で消費電力が低いという特徴から、やはり発光ダイオード(LED)を好適に用いることができる。光源部62は、赤色光を射出する。なお、他方側照明部60は、白色光を射出する光源部及び入射する白色光のうち赤色光成分を通過させる赤色フィルターを有することとしてもよい。
なお、他方側照明部60は棒状部分510と対向しており、他方側照明部60からの光の一部は棒状部分510に遮られる。しかしながら、棒状部分510に遮られなかった光が後方側へ向かうため、他方側照明部60の機能を果たすことが可能である(
図2(b)の実線矢印R参照。)。
【0083】
照明部は、光源部からの光を側面側を介して本体部の背面方向に導光する導光部材(例えば、反射ミラーや光ファイバー)を有してもよい。このような構成とすることにより、本体部そのものや棒状部分510を回避して歩行用杖500の背面側に光を届かせることが可能となる。
【0084】
次に、実施形態1に係る歩行用杖500について説明する。
歩行用杖500は、
図2に示すように、棒状部分510と、握り部分520と、石突部分530と、棒状部分510に取り付けられた取り付け式照明具1とを備える。取り付け式照明具1は、歩行用杖500の正面側に取り付けられている。これにより、一方側照明部50の光源部52,54,56を用いて前方側を照明することが可能となり、また、他方側照明部60の光源部62を用いて後方側を照明することが可能となる。
【0085】
棒状部分510の軸を第1軸ax1とするとき、握り部分520は第1軸ax1とは垂直な方向に伸びる第2軸ax2を有し、取り付け式照明具1の本体部20は、板状の形状を有し、かつ、本体部20が開状態を取るとき第1軸ax1及び第2軸ax2に対して垂直な方向に突出するように構成されている(
図3参照。)。
【0086】
このため、歩行用杖500は、
図3に示すように、取り付け式照明具1の本体部20が開状態を取るときは、机の天板600のように平面状の天面を有するものに掛けることができる。なお、本体部20は弾性部材12により常に所定の力が付勢されているため、歩行用杖500を机の天板600から取り上げると、本体部20は自動的に閉状態を取る。
【0087】
取り付け式照明具1の本体部20において、回動部14の回動軸に沿う方向の長さを本体部20の幅とするとき、本体部20の幅は、棒状部分510の最大径よりも大きい(
図1及び
図2参照。)。
【0088】
以下、実施形態1に係る取り付け式照明具1及び歩行用杖500の効果を説明する。
【0089】
実施形態1に係る取り付け式照明具1によれば、本体部20が閉状態を取るときには点灯可能状態となり、本体部20が開状態を取るときには常に消灯状態となるため、細かいスイッチを操作しなくても本体部自体を開閉することで取り付け式照明具を点灯及び消灯させることが可能となる。
【0090】
また、実施形態1に係る取り付け式照明具1によれば、歩行用杖等に取り付けて用いることにより、従来の歩行用杖と同様に、杖等使用者の足元を照らして杖等使用者が転倒する危険性を低減することが可能となり、また、自動車等の乗員に杖等使用者の存在を認知しやすくさせ、事故が発生する危険性を低減することが可能となる。
【0091】
また、実施形態1に係る取り付け式照明具1によれば、本体部20が板状の形状を有し、かつ、本体部20が開状態を取るとき第1軸に対して垂直な方向に突出するように構成されているため、当該取り付け式照明具を歩行用杖に取り付けて使用した場合、取り付け式照明具を机の天板等に置くようにすることで歩行用杖を机等に掛けて倒れないようにすることが可能となる。
【0092】
また、実施形態1に係る取り付け式照明具1によれば、本体部20に開状態を取らせて取り付け式照明具1を置く場合に、照明部を消灯状態として電力消費を抑えることが可能となる。
【0093】
また、実施形態1に係る取り付け式照明具1によれば、取り付け式照明具1は、弾性部材12をさらに備え、本体部20は、弾性部材12からの所定の力以外に力がかかっていない場合には閉状態を取るため、歩行用杖を机の天板等に掛けた状態から歩行用杖を持ち上げると本体部が自動的に閉状態を取るようになり、本体部が開状態を取ったままとなる事態を防止することが可能となり、その結果、照明部が消灯状態のままとなる事態や歩行の邪魔となる事態を防止することが可能となる。
【0094】
また、実施形態1に係る取り付け式照明具1によれば、弾性部材12が本体部20に対して付勢する「所定の力」は、歩行用杖500の自重により取り付け式照明具1を机の天板等に置いた状態において取り付け式照明具1にかかる重さよりも小さいため、取り付け式照明具を机の天板等に安定して置くことが可能となる。
また、所定の力が強すぎると本体部で指を挟んで怪我をする等の事故が起こる危険性があるため、上記のような構成とすることにより、「所定の力」を小さくして、弾性部材を備えることによる事故を防止することが可能となる。
【0095】
また、実施形態1に係る取り付け式照明具1によれば、照明部は、取り付け式照明具1の一方側を照明する一方側照明部50と、一方側とは反対の他方側を照明する他方側照明部60とからなるため、一方側及び他方側の2方向を照明し、自動車等の乗員に杖等使用者の存在を一層認知しやすくさせ、事故が発生する危険性を一層低減することが可能となる。
【0096】
また、実施形態1に係る取り付け式照明具1によれば、一方側照明部50は点灯時に白色光を射出するように構成され、他方側照明部60は点灯時に赤色光を射出するように構成されているため、方向によって照明の色に差をつけ、杖等使用者の存在をより一層認知しやすくさせることが可能となる。
【0097】
また、実施形態1に係る取り付け式照明具1によれば、取り付け式照明具1は、明るさセンサー40及び振動センサー42を備え、照明部50,60は、本体部20が閉状態を取り、明るさセンサー40が所定の明るさより弱い光を検知し、かつ、振動センサー42が所定の強さより強い振動を検知したときに点灯するため、細かいスイッチを操作する等の煩雑な手順を踏まなくても取り付け式照明具を点灯及び消灯させることが可能となり、かつ、不使用時(周囲が明るいときや歩行用杖そのものを使用していないとき)に照明部を消灯状態として電力消費を抑えることが可能となる。
【0098】
実施形態1に係る歩行用杖500によれば、棒状部分510と、握り部分520と、取り付け式照明具1とを備える歩行用杖であって、取り付け式照明具1は、取り付け部10と、回動部14と、本体部20と、電源部30と、照明部とを備え、照明部は、本体部20が閉状態を取るときには点灯可能状態となり、本体部20が開状態を取るときには常に消灯状態となるため、本体部が閉状態を取るときには点灯可能状態となり、本体部が開状態を取るときには常に消灯状態となり、細かいスイッチを操作しなくても本体部自体を開閉することで取り付け式照明具を点灯及び消灯させることが可能となる。
【0099】
また、実施形態1に係る歩行用杖500によれば、従来の歩行用杖と同様に、杖等使用者の足元を照らして杖等使用者が転倒する危険性を低減することが可能となり、また、自動車等の乗員に杖等使用者の存在を認知しやすくさせ、事故が発生する危険性を低減することが可能となる。
【0100】
また、実施形態1に係る歩行用杖500によれば、取り付け式照明具1の本体部20の幅は、棒状部分510の最大径よりも大きいため、本体部そのものを掴んで開閉の操作を行うことを容易なものとすることが可能となる。
【0101】
[実施形態2]
図4は、実施形態2に係る取り付け式照明具2を説明するために示す図である。
図4(a)は閉状態を取る取り付け式照明具2の正面図であり、
図4(b)は開状態を取る取り付け式照明具2の上面図であり、
図4(c)は閉状態を取る取り付け式照明具2の側面図であり、
図4(d)は開状態を取る取り付け式照明具2の側面図である。符号510で示す棒状部分は歩行用杖502の一部であり、取り付け式照明具2の構成要素ではない。
【0102】
図5は、実施形態2に係る歩行用杖502を説明するために示す図である。
図5(a)は歩行用杖502の正面図であり、
図5(b)は歩行用杖502の側面図である。なお、
図5における取り付け式照明具2はいずれも閉状態である。
図5(a)においてWで表示する実線矢印は一方側照明部80が射出する光の向きを示すものであり、Rで表示する実線矢印は他方側照明部100が射出する光の向きを示すものである。
図6は、実施形態2に係る歩行用杖502を机の天板600に掛けることを説明するために示す図である。符号600で示す机の天板は歩行用杖500の一部を構成するものではない。
【0103】
実施形態2に係る取り付け式照明具2は、基本的には実施形態1に係る取り付け式照明具1と同様の構成を有するが、本体部及び照明部の構成が実施形態1に係る取り付け式照明具1とは異なる。また、これに伴って、歩行用杖502についても、実施形態1にかかる歩行用杖500とは取り付け式照明具の取り付け位置が異なる。以下、取り付け式照明具2及び歩行用杖502について、実施形態1に係る取り付け式照明具1及び歩行用杖500との差異点を中心に説明する。
【0104】
まず、実施形態2に係る取り付け式照明具2について説明する。
取り付け式照明具2は、
図4に示すように、取り付け部10と、弾性部材12(図示せず。)と、回動部14と、本体部70と、電源部30と、明るさセンサー40(図示せず。)と、振動センサー42(図示せず。)と、照明部80,100とを備える。
取り付け式照明具2において、本体部70及び照明部80,100以外の構成要素は、実施形態1に係る取り付け式照明具1の対応する構成要素と同様の構成を有するため、説明を省略する。
【0105】
本体部70は、基本的には実施形態1における本体部20と同様の構成を有するが、実施形態1の場合とは照明部の配置が異なるため、全体的な形状が異なる。
【0106】
照明部80,100は、一方側照明部80と他方側照明部100とからなる。
一方側照明部80は、基本的には実施形態1における一方側照明部50と同様の構成を有するが、位置及び構成要素が異なる。具体的には、一方側照明部80は、本体部70の側面に配置されている。また、一方側照明部80は、光源部82,84,86ごとに照明可能範囲が異なるようにするための光学素子92,94,96をさらに有する。このため、一方側照明部80は、光源部82,84,86ごとに照明可能範囲が異なる足元用光源部を有するということができる。なお、光源部82,84,86は白色光を射出する。一方側照明部80は、杖等使用者の前方を照明する(
図5参照。)。
【0107】
光学素子92は光源部82に対応し、光学素子94は光源部84に対応し、光学素子96は光源部86に対応する。光学素子92,94,96は、光源部82,84,86からの光を下方に向けて曲げる光学レンズからなる。
つまり、一方側照明部80は、歩行用杖502の棒状部分510を地面と垂直にした場合において、杖等使用者の足元近辺を照明する第1光源部である光源部82、第1光源部よりも遠方を照明する第2光源部である光源部84及び第2光源部よりも遠方を照明する第3光源部である光源部86を有することとなる。
【0108】
他方側照明部100は、基本的には一方側照明部80と同様の構成を有するが、一方側照明部80とは反対側の側面に配置されていること、光源部102,104,106が赤色光を射出すること及び光学素子112,114,116が光源部102,104,106からの光を直進させる光学レンズからなることが異なる。他方側照明部100は、杖等使用者の後方側を照明する。なお、他方側照明部100は、白色光を射出する光源部及び入射する白色光のうち赤色光成分を通過させる赤色フィルターを有することとしてもよい。
【0109】
実施形態2に係る取り付け式照明具2においては、後述する歩行用杖502の説明に記載するように、杖等使用者の前方側を照明する一方側照明部80のみが光源部82,84,86ごとに照明可能範囲が異なる足元用光源部を有し、杖等使用者の後方側を照明する他方側照明部は後方側に向かってまっすぐ光を射出することとなる。
【0110】
次に、実施形態2に係る歩行用杖502について説明する。
歩行用杖502は、
図5に示すように、棒状部分510と、握り部分520と、石突部分530と、棒状部分510に取り付けられた取り付け式照明具2とを備える。
【0111】
棒状部分510の軸を第1軸ax1とするとき、握り部分520は第1軸ax1とは垂直な方向に伸びる第2軸ax2を有し、取り付け式照明具2の本体部70は板状の形状を有し、かつ、本体部70が開状態を取るとき第1軸ax1及び第2軸ax2に対して垂直な方向に突出するように構成されている(
図6参照。)。つまり、実施形態1の場合とは異なり、取り付け式照明具2は歩行用杖502の側面に取り付けられている。これにより、一方側照明部80及び他方側照明部100からなる照明部によって、前方側及び後方側を照明することが可能となる(
図5(a)参照。)。
【0112】
以下、実施形態2に係る取り付け式照明具2及び歩行用杖502の効果を説明する。
【0113】
実施形態2に係る取り付け式照明具2は、本体部及び照明部の構成が実施形態1に係る取り付け式照明具1とは異なるが、実施形態1に係る取り付け式照明具1と同様に、本体部70が閉状態を取るときには点灯可能状態となり、本体部70が開状態を取るときには常に消灯状態となるため、細かいスイッチを操作しなくても本体部自体を開閉することで取り付け式照明具を点灯及び消灯させることが可能となる。
【0114】
また、実施形態2に係る取り付け式照明具2によれば、照明部は、光源部ごとに照明可能範囲が異なる、足元用光源部を有するため、取り付け式照明具(歩行用杖等)と地面との角度が変わっても、足元を照明することが可能となる。
【0115】
また、実施形態2に係る取り付け式照明具2によれば、足元用光源部は、歩行用杖等の棒状部分を地面と垂直にした場合において、杖等使用者の足元近辺を照明する第1光源部、第1光源部よりも遠方を照明する第2光源部及び第2光源部よりも遠方を照明する第3光源部を有するため、第1光源部、第2光源部及び第3光源部を用いて足元を一層確実に照明することが可能となる。
【0116】
また、実施形態2に係る取り付け式照明具2によれば、一方側照明部80のみが光源部82,84,86ごとに照明可能範囲が異なる足元用光源部を有し、他方側照明部100は後方側に向かってまっすぐ光を射出するため、杖等使用者の前方側を照明する照明部(一方側照明部)で杖等使用者の足元を照明するとともに、杖等使用者の後方側を照明する照明部(他方側照明部)で杖等使用者の存在を遠くからでも認知しやすくすることが可能となる。
【0117】
また、実施形態2に係る取り付け式照明具2によれば、照明部(一方側照明部80)は、足元用光源部を構成する光源部ごとに照明可能範囲が異なるようにするための光学素子92,94,96を有するため、光源部そのものの向きではなく、光源部が射出する光の向きを変えることが可能となり、その結果、本体部をコンパクトにまとめることと、照明可能範囲を調節することとを両立することが可能となる。
【0118】
なお、実施形態2に係る取り付け式照明具2は、本体部及び照明部の構成以外は実施形態1に係る取り付け式照明具1と同様の構成を有するため、実施形態1に係る取り付け式照明具1が有する効果のうち該当する効果をそのまま有する。
【0119】
実施形態2に係る歩行用杖502は、取り付け式照明具の取り付け位置が実施形態1に係る歩行用杖500とは異なるが、実施形態1に係る歩行用杖500と同様に、本体部70が閉状態を取るときには点灯可能状態となり、本体部70が開状態を取るときには常に消灯状態となるため、細かいスイッチを操作しなくても本体部自体を開閉することで取り付け式照明具を点灯及び消灯させることが可能となる。
【0120】
また、実施形態2に係る歩行用杖502によれば、本体部70が板状の形状を有し、かつ、本体部70が開状態を取るとき第1軸ax1及び第2軸ax2に対して垂直な方向に突出するように構成されているため、歩行用杖の握り部分が机等の縁に沿うように歩行用杖を固定するようになり、握り部分が机等から突出して邪魔になるのを防止することが可能となる。
【0121】
また、実施形態2に係る歩行用杖502によれば、一方側照明部80及び他方側照明部100の光が棒状部分510に遮られることがないため、自動車等の乗員に杖等使用者の存在をより一層認知しやすくさせ、事故が発生する危険性をより一層低減することが可能となる。
【0122】
なお、実施形態2に係る歩行用杖502は、取り付け式照明具の取り付け位置以外は実施形態1に係る歩行用杖500と同様の構成を有するため、実施形態1に係る歩行用杖500が有する効果のうち該当する効果をそのまま有する。
【0123】
[実施形態3]
図7は、実施形態3に係る取り付け式照明具3を説明するために示す図である。
図7(a)は閉状態を取る取り付け式照明具3の正面図であり、
図7(b)は閉状態を取る取り付け式照明具3であって、第2本体部124部分を回転させた状態の取り付け式照明具3の正面図であり、
図7(c)〜
図7(e)は第2本体部124を回動させて取り付け式照明具3の配置を入れ替える様子を示す図である。符号510で示す棒状部分は歩行用杖の一部であり、取り付け式照明具3の構成要素ではない。
【0124】
実施形態3に係る取り付け式照明具3は、基本的には実施形態2に係る取り付け式照明具2と同様の構成を有するが、本体部及び照明部の構成が実施形態2に係る取り付け式照明具2とは異なる。以下、取り付け式照明具3について、実施形態2に係る取り付け式照明具2との差異点を中心に説明する。
【0125】
取り付け式照明具3は、
図7に示すように、取り付け部10と、弾性部材12(図示せず。)と、回動部14と、本体部120と、電源部30と、明るさセンサー40(図示せず。)と、振動センサー42(図示せず。)と、照明部130,150とを備える。
取り付け式照明具3において、本体部120及び照明部130,150以外の構成要素は、実施形態2に係る取り付け式照明具2の対応する構成要素と同様の構成を有するため、説明を省略する。なお、照明部130,150は、一方側照明部130と他方側照明部150とからなる。
【0126】
本体部120は、回動部14と接続されている箇所から照明部が配設されている箇所までの間に回転軸126を有し、一方側照明部130と他方側照明部150とが入れ替わるように回転可能である(
図7(c)〜
図7(e)参照。)。さらに詳しく言えば、本体部120は、第1本体部122と、第2本体部124と、回転軸126と、固定機構128を有する。
【0127】
本体部120は第1本体部122と第2本体部124との間で分割されており、第1本体部122と第2本体部124は回転軸126で接続されている。当該回転軸126によって第2本体部124部分は回転可能であり、ちょうどよい位置(例えば、棒状部分510に取り付けた場合において、一方側照明部130が前方側を向く位置)で第2本体部124を固定機構128が固定するように構成されている(
図7(a)及び
図7(b)参照。)。
【0128】
一方側照明部130は、足元用光源部を構成する光源部132,134,136ごとに照明可能範囲を異なるものとするための光学素子として、光学レンズの代わりに平面状のレンチキュラー素子142,144,146を備えること以外については、実施形態2における一方側照明部80と同様の構成を有する。レンチキュラー素子142,144,146としては、透明樹脂からなるものや、光学ガラスからなるものを好適に用いることができる。
【0129】
他方側照明部150は、光源部152,154,156からの光を直進させる光学レンズの代わりに透明カバー162,164,166を備えること以外については、実施形態2おける他方側照明部100と同様の構成を有する。透明カバー162,164,166としては、透明樹脂からなるものや、光学ガラスからなるものを好適に用いることができる。また、透明カバー162,164,166は、例えば、赤色に着色されていてもよい。
【0130】
以下、実施形態3に係る取り付け式照明具3の効果を説明する。
【0131】
実施形態3に係る取り付け式照明具3は、本体部及び照明部の構成が実施形態2に係る取り付け式照明具2とは異なるが、実施形態2に係る取り付け式照明具2と同様に、本体部120が閉状態を取るときには点灯可能状態となり、本体部120が開状態を取るときには常に消灯状態となるため、細かいスイッチを操作しなくても本体部自体を開閉することで取り付け式照明具を点灯及び消灯させることが可能となる。
【0132】
また、実施形態3に係る取り付け式照明具3によれば、本体部120が回転軸126を有し回転可能であるため、取り付け式照明具を歩行用杖等に取り付けた後でも、取り付け部の交換や分解等の煩雑な手順を踏まず容易に一方側照明部と他方側照明部との位置を入れ替えることが可能となる。
【0133】
また、実施形態3に係る取り付け式照明具3によれば、一方側照明部130と他方側照明部150とに違いがある場合であっても本体部120の回転により入れ替えることができるため、取り付け間違いにより前後が逆になってしまう事態を防止することが可能となる。
【0134】
なお、実施形態3に係る取り付け式照明具3は、本体部及び照明部の構成以外は実施形態2に係る取り付け式照明具2と同様の構成を有するため、実施形態2に係る取り付け式照明具2が有する効果のうち該当する効果をそのまま有する。
【0135】
[実施形態4]
図8は、実施形態4に係る取り付け式照明具4を説明するために示す図である。
図8(a)は閉状態を取る取り付け式照明具4の上面図であり、
図8(b)は開状態を取る取り付け式照明具4の正面図であり、
図8(c)は閉状態を取る取り付け式照明具4の側面図であり、
図8(d)は開状態を取る取り付け式照明具4の側面図である。符号510で示す棒状部分は歩行用杖504の一部であり、取り付け式照明具4の構成要素ではない。
【0136】
図9は、実施形態4に係る歩行用杖504を説明するために示す図である。
図9(a)は歩行用杖504の正面図であり、
図9(b)は歩行用杖504の側面図である。なお、
図9における取り付け式照明具4はいずれも閉状態である。
図9(a)においてWで表示する実線矢印は一方側照明部80が射出する光の向きを示すものであり、Rで表示する実線矢印は他方側照明部100が射出する光の向きを示すものである。
図10は、実施形態4に係る歩行用杖504を机の天板600に掛けることを説明するために示す図である。
図10(a)は歩行用杖504を机の天板600に掛ける途中の図であり、
図10(b)は歩行用杖504を机の天板600に掛けたときの図である。符号600で示す机の天板は歩行用杖500の一部を構成するものではない。
【0137】
実施形態4に係る取り付け式照明具4は、基本的には実施形態2に係る取り付け式照明具2と同様の構成を有するが、ローラー部をさらに備える点が実施形態2に係る取り付け式照明具2とは異なる(
図8参照。)。すなわち、取り付け式照明具4は、実施形態2に係る取り付け式照明具4が備える構成要素に加えて、本体部170の先端部に配置されたローラー部172を備える。なお実施形態2における本体部70と本体部の符号が変わっているのは、本体部170がローラー部172を備えるのに適した形状となっているためである。
【0138】
実施形態4に係る歩行用杖504は、基本的には実施形態2に係る歩行用杖502と同様の構成を有するが、実施形態2に係る取り付け式照明具2ではなく実施形態4に係る取り付け式照明具4を備える点が異なる(
図9参照。)。
このため、歩行用杖504においては、
図10に示すように、取り付け式照明具4のローラー部172を机の天板600に押し付けるようにして、手を使わずに本体部170に開状態を取らせることができる。
【0139】
以下、実施形態4に係る取り付け式照明具4の効果を説明する。
【0140】
実施形態4に係る取り付け式照明具4は、ローラー部をさらに備える点が実施形態2に係る取り付け式照明具2とは異なるが、実施形態2に係る取り付け式照明具2と同様に、本体部170が閉状態を取るときには点灯可能状態となり、本体部170が開状態を取るときには常に消灯状態となるため、細かいスイッチを操作しなくても本体部自体を開閉することで取り付け式照明具を点灯及び消灯させることが可能となる。
【0141】
また、実施形態4に係る取り付け式照明具4によれば、本体部170の先端部に配置されたローラー部172を備えるため、机の天板等にローラーを押し付けて本体部を開状態を取らせることが可能となり、手を用いて本体部に開状態を取らせる手間を省くことが可能となる。
【0142】
なお、実施形態4に係る取り付け式照明具4は、ローラー部をさらに備える点以外は実施形態2に係る取り付け式照明具2と同様の構成を有するため、実施形態2に係る取り付け式照明具2が有する効果のうち該当する効果をそのまま有する。
【0143】
実施形態4に係る歩行用杖504は、取り付け式照明具が実施形態2に係る歩行用杖502とは異なるが、実施形態2に係る歩行用杖502と同様に、本体部170が閉状態を取るときには点灯可能状態となり、本体部170が開状態を取るときには常に消灯状態となるため、細かいスイッチを操作しなくても本体部自体を開閉することで取り付け式照明具を点灯及び消灯させることが可能となる。
【0144】
なお、実施形態4に係る歩行用杖504は、取り付け式照明具以外は実施形態2に係る歩行用杖502と同様の構成を有するため、実施形態2に係る歩行用杖502が有する効果をそのまま有する。
【0145】
[実施形態5]
図11は、実施形態5に係る取り付け式照明具5を説明するために示す図である。
図11(a)は閉状態を取る取り付け式照明具5の正面図であり、
図11(b)は開状態を取る取り付け式照明具5の上面図であり、
図11(c)は閉状態を取る取り付け式照明具5の側面図であり、
図11(d)は開状態を取る取り付け式照明具5の側面図である。符号510で示す棒状部分は歩行用杖の一部であり、取り付け式照明具5の構成要素ではない。なお、
図11においては、電源部30の図示は省略する。
【0146】
図12は、実施形態5に係る取り付け式照明具5の細部を説明するために示す図である。
図12(a)は本体部180の裏面側を示す図であり、
図12(b)は第1基準部190が所定の位置に配置されているときの様子を示す図であり、
図12(c)は第1基準部190が他の位置に配置されているときの様子を示す図である。なお、
図12(b)及び
図12(c)においては、取り付け部11の一部、回動部15及び第1基準部190のみを図示している。
図12(b)及び
図12(c)は、
図11(a)に相当する視点から見たときの図であり、
図11(a)や
図12(a)よりも構成要素を大きく表示している。また、
図12(b)及び
図12(c)におけるスライド板192の側面に表示する矢印は、スライド板192を矢印の方向から押すことで、スライド板192をスライド移動させることが可能であることを表すものである。
【0147】
実施形態5に係る取り付け式照明具5は、基本的には実施形態3に係る取り付け式照明具3と同様の構成を有するが、本体部の構成及び第1基準部を備えることが実施形態3に係る取り付け式照明具3とは異なる。以下、取り付け式照明具5について、実施形態3に係る取り付け式照明具3との差異点を中心に説明する。
【0148】
取り付け式照明具5は、
図11及び
図12に示すように、取り付け部11と、弾性部材13と、回動部15と、本体部180と、電源部31(図示せず。)と、明るさセンサー40(図示せず。)と、振動センサー42(図示せず。)と、照明部131,151(一方側照明部131及び他方側照明部151)と、第1基準部190とを備える。
【0149】
取り付け式照明具5における取り付け部11、弾性部材13、回動部15、電源部31、明るさセンサー40、振動センサー42、一方側照明部131及び他方側照明部151については、多少形状が異なるものもあるが、それぞれ取り付け式照明具3における取り付け部10、弾性部材12、回動部14、電源部30、明るさセンサー40、振動センサー42、一方側照明部130及び他方側照明部150と同様の機能を有するものであるため、説明を省略する。
【0150】
第1基準部190は、回動部15よりも取り付け部11側に配置されている(
図11(c),
図11(d)参照。)。第1基準部190は、スライド板192と、接触部194とを有する。
スライド板192は、スライド移動可能に構成されている。このため、第1基準部190は、スライド板192のスライド移動により所定の位置(
図12(b)参照。)及び他の位置(
図12(c)参照。)に配置することが可能である。
接触部194は、検知部186(後述)に接触可能である。詳しくいえば、接触部194は、本体部180が閉状態を取るという条件と第1基準部190が所定の位置に配置されているという条件との両方を満たすときに、検知部186と接触してこれを押圧する。接触部194は、スライド板192から本体部180側に向かって突出する凸形状を有する。
【0151】
本体部180は、取り付け式照明具3の第1本体部122、第2本体部124、回転軸126及び固定機構128に対応する第1本体部123、第2本体部125と、回転軸127(図示せず。)及び固定機構129(図示せず。)を有する。これらについても、多少形状が異なるものもあるが、取り付け式照明具3のものと同様の機能を有するものであるため、説明を省略する。
【0152】
本体部180は、
図11(c)、
図11(d)及び
図12(a)に示すように、本体部180が閉状態を取るときに第1基準部190と向かい合う第2基準部184をさらに有する。なお、
図11(c)及び
図11(d)では第2基準部184そのものは視認できないが、おおよその位置を符号付きの矢印で表示している。
第2基準部184は、本体部180が閉状態を取るという条件と第1基準部190が所定の位置に配置されているという条件との両方を満たすときに第1基準部190の接触又は近接を検知する検知部186を有する。実施形態1においては、検知部186は第1基準部190の接触を検知する。検知部186は、押しボタンからなる。
検知部186が第1基準部の接触を検知したときには、第2基準部184が本体部180の電気回路を切り替えて、照明部131,151を点灯可能状態にする。本体部180の電気回路を切り替える例としては、検知部186が第1基準部の接触を検知していないときは電源部31と照明部131,151との間の電気回路を非接続状態にし、検知部186が第1基準部の接触を検知したときは電源部31と照明部131,151との間の電気回路を接続状態にするスイッチ機構を挙げることができる。
【0153】
実施形態5に係る取り付け式照明具は、第1基準部190を備え、本体部180が第2基準部184を有するため、実施形態1において例示した開閉検知機構は備えていない。
【0154】
また、本体部180は、
図11(a)及び
図11(b)に示すように、導光部182をさらに有する。導光部182は、他方側照明部151について、他方側へ向かう光の一部を、一方側とも他方側とも異なる第三方側(
図11(a)における紙面に対して垂直な方向)へ導光する。導光部182は、他方側照明部151の第三方側に形成された長方形のスリットからなる。当該スリットには、他方側照明部151における透明カバーの一部が入り込んでいる。
他方側照明部151における光源153,155,157(図示せず。)から射出された光の一部は、透明カバー内で反射されたり、拡散されたりするうちに導光部182(スリット)内に入り込む。導光部182に入り込んだ光は第三方側から射出されるため、点灯時の取り付け式照明具5は、
図11(a)で見える側やその裏側から見たときにも目立つものとなる。
【0155】
以下、実施形態5に係る取り付け式照明具5の効果を説明する。
【0156】
実施形態5に係る取り付け式照明具5は、本体部の構成及び第1基準部を備えることが実施形態3に係る取り付け式照明具3とは異なるが、実施形態3に係る取り付け式照明具3と同様に、本体部180が閉状態を取るときには点灯可能状態となり、本体部180が開状態を取るときには常に消灯状態となるため、細かいスイッチを操作しなくても本体部自体を開閉することで取り付け式照明具を点灯及び消灯させることが可能となる。
【0157】
また、実施形態5に係る取り付け式照明具5によれば、本体部180が導光部182を有するため、第三方側に導光される光により杖等使用者の位置が一層判りやすくなることから、自動車等の乗員に杖等使用者の存在をより一層認知しやすくさせ、事故が発生する危険性をより一層低減することが可能となる。
【0158】
また、実施形態5に係る取り付け式照明具5によれば、第1基準部190をさらに備え、本体部180は第2基準部184をさらに有し、第2基準部184は検知部186を有し、検知部186が第1基準部190の接触を検知したときには、第2基準部184が本体部180の電気回路を切り替えて照明部131,151を点灯可能状態にするため、細かいスイッチを操作しなくても本体部自体を開閉することで取り付け式照明具を点灯及び消灯させることを、第1基準部と第2基準部との組み合わせという比較的単純な機構で実現することが可能となる。
【0159】
また、実施形態5に係る取り付け式照明具5によれば、検知部186は押しボタンからなり、第1基準部190はスライド板192と接触部194とを有するため、第1基準部を、本体部の状態に関わらず照明部を消灯状態とするための強制消灯操作部として使用することが可能となり、照明部を点灯させる条件を満たしていても点灯させたくない場合や電力消費を抑えたい場合に、第1基準部を所定の位置から移動させることで、照明部を強制的に消灯させることが可能となる。
【0160】
また、実施形態5に係る取り付け式照明具5によれば、第1基準部190が本体部180とは別の位置に設けられているため、第1基準部を本体部に設ける場合(強制消灯操作部を本体部に設ける場合に相当)よりも、第1基準部の設計上の制限(形状、大きさ等)を緩くして操作容易な形状とすることが可能となる。
【0161】
なお、実施形態5に係る取り付け式照明具5は、本体部の構成及び第1基準部を備えること以外は実施形態3に係る取り付け式照明具3と同様の構成を有するため、実施形態3に係る取り付け式照明具3が有する効果のうち該当する効果をそのまま有する。
【0162】
以上、本発明を上記の実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではない。その趣旨を逸脱しない範囲において種々の様態において実施することが可能であり、例えば、次のような変形も可能である。
【0163】
(1)上記各実施形態において記載した取り付け式照明具及び歩行用杖の構成要素の数、材質、形状、位置、大きさ等は例示であり、本発明の効果を損なわない範囲において変更することが可能である。
【0164】
(2)上記各実施形態における取り付け式照明具においては、電源部は、電源として充電池を有し、取り付け式照明具は、充電池を充電可能な充電部をさらに備えることが好ましい。このような構成とすることにより、充電部で充電池を充電することによって、電源として通常の乾電池を用いた場合のように、電池切れによって照明部の点灯ができなくなるという事態を防止することが可能となる。
【0165】
(3)また、上記(2)の場合においては、充電部は、太陽電池を有することが好ましい。このような構成とすることにより、充電池を簡易に充電することが可能となる。また、太陽電池が発生させる電力を検知することで、太陽電池を明るさセンサーとして用いることが可能となる。
【0166】
(4)また、上記(2)の場合においては、充電部は、外部電源から電力を取り入れて充電池を充電することが可能であることも好ましい。このような構成とすることにより、昼夜問わず外部電源を用いて充電池を充電することが可能となる。
【0167】
(5)上記各実施形態における取り付け式照明具においては、ブザー音を鳴らすことが可能なスピーカーをさらに備えることが好ましい。このような構成とすることにより、緊急時にブザー音を鳴らして杖等使用者の存在を周囲に知らせることが可能となる。なお、この場合、ブザー音を鳴らすために、取り付け式照明具がブザー用スイッチをさらに備えることが好ましい。
【0168】
(6)また、上記(5)の場合においては、取り付け式照明具は、歩行用杖の転倒による振動を検知する転倒検知部をさらに備え、転倒検知部が歩行用杖の転倒を検知したときには、スピーカーからブザー音を鳴らすことが好ましい。このような構成とすることにより、杖等使用者が転倒した場合に、杖等使用者の存在を周囲に知らせることが可能となる。なお、杖等使用者は転倒しておらず、歩行用杖のみが転倒する場合もあるが、この場合においては、ブザー音により歩行用杖の位置を把握しやすくすることが可能となる。転倒検知部は、例えば、一定以上の激しい振動を検知することで歩行用杖の転倒を検知することができる。この場合、振動センサーを転倒検知部として兼用してもよい。
【0169】
(7)上記各実施形態においては、明るさセンサー及び振動センサーを用いたが、本発明はこれに限定されるものではない。明るさセンサー及び振動センサーのようなセンサーを備えず、本体部の開閉状態のみで照明部を点灯させ、また消灯させるようにしてもよい。
【0170】
(8)上記実施形態1〜4においては、取り付け式照明具は、本体部の状態に関わらず照明部を消灯状態とするための強制消灯操作部をさらに備えることが好ましい。このような構成とすることにより、照明部を点灯させる条件を満たしていても点灯させたくない場合や電力消費を抑えたい場合に、強制消灯操作部により照明部を消灯させることが可能となる。
【0171】
(9)上記各実施形態においては、取り付け式照明具の表面に配置される光反射材をさらに備えることとしてもよい。このような構成とすることにより、光を発するだけでなく外部からの光を反射することで自動車等の乗員に杖等使用者の存在をより一層認知しやすくさせ、事故が発生する危険性をより一層低減することが可能となる。
【0172】
(10)上記各実施形態においては、取り付け式照明具の表面に配置される滑り止め材をさらに備えることとしてもよい。このような構成とすることにより、机の天板等に杖を掛けるときにおいて、取り付け式照明具の本体部が滑りにくくなり、一層安定して杖を掛けることが可能となる。
【0173】
(11)上記実施形態1においては、スライド板192から本体部180側に向かって突出する凸形状を有する接触部194を用いたが、本発明はこれに限定されるものではない。平面状の形状を有する接触部を用いてもよい。この場合、第1基準部は、第1基準部が他の位置に配置されているときにおいて、ボタンスイッチと第1基準部との接触を防ぐ接触回避部を有することが好ましい。接触回避部は、例えば、スライド板から本体部とは反対の側に向かって後退する凹形状を有するものとすることができる。