(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5909564
(24)【登録日】2016年4月1日
(45)【発行日】2016年4月26日
(54)【発明の名称】エレベータ昇降路におけるバッテリの取り付け
(51)【国際特許分類】
B66B 1/34 20060101AFI20160412BHJP
B66B 7/00 20060101ALI20160412BHJP
B66B 11/04 20060101ALI20160412BHJP
【FI】
B66B1/34 A
B66B7/00 F
B66B7/00 M
B66B11/04 Z
【請求項の数】6
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2014-551228(P2014-551228)
(86)(22)【出願日】2012年1月6日
(65)【公表番号】特表2015-508366(P2015-508366A)
(43)【公表日】2015年3月19日
(86)【国際出願番号】US2012020473
(87)【国際公開番号】WO2013103354
(87)【国際公開日】20130711
【審査請求日】2014年8月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】591020353
【氏名又は名称】オーチス エレベータ カンパニー
【氏名又は名称原語表記】OTIS ELEVATOR COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100092613
【弁理士】
【氏名又は名称】富岡 潔
(72)【発明者】
【氏名】ロジャーズ,カイル,ダブリュー.
(72)【発明者】
【氏名】マーヴィン,ダリル,ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】レインゼー,デーヴィッド,ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】アル‐アヌフ,バッセル
(72)【発明者】
【氏名】アギルマン,イスマイル
(72)【発明者】
【氏名】キム,ハンジョン
【審査官】
大塚 多佳子
(56)【参考文献】
【文献】
特開平08−208152(JP,A)
【文献】
特開2004−155526(JP,A)
【文献】
特許第4279251(JP,B2)
【文献】
特許第4261010(JP,B2)
【文献】
特許第4123153(JP,B2)
【文献】
特開2001−058771(JP,A)
【文献】
特許第4115015(JP,B2)
【文献】
特許第5502187(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 1/34
B66B 7/00
B66B 11/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
昇降路内において移動可能に取り付けられたエレベータかごと、
前記エレベータかごに作動可能に接続され、前記昇降路内において前記エレベータかごを移動させるマシンと、
前記昇降路内に取り付けられ、かつ前記マシンに作動可能に接続された電源と、
前記昇降路内に取り付けられたベッドプレートと、
を備え、
前記電源は、前記マシンに電力を供給するように構成され、供給する電力は、通常の運転条件下で前記エレベータかごを移動させるのに十分であり、
前記電源はバッテリからなり、前記マシンはモータからなり、
前記モータは前記ベッドプレートの第1の面に取り付けられ、前記バッテリは前記第1の面とは反対にある前記ベッドプレートの第2の面に取り付けられることを特徴とするエレベータシステム。
【請求項2】
前記ベッドプレートは中空であり、前記電源は前記ベッドプレート内に取り付けられることを特徴とする請求項1に記載のエレベータシステム。
【請求項3】
カウンタウェイトをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のエレベータシステム。
【請求項4】
前記ベッドプレートに取り付けられたインバータをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のエレベータシステム。
【請求項5】
昇降路に取り付けられるように構成された複数のレールと、
少なくとも1つのレールに移動可能に取り付けられるように構成されたエレベータかごと、
少なくとも1つのレールに移動可能に取り付けられるように構成されたカウンタウェイトと、
前記昇降路の頂部において前記レールに接続されるように構成されたベッドプレートと、
前記ベッドプレートに取り付けられるように構成され、かつ前記エレベータかごに作動可能に取り付けられるように構成されたマシンと、
前記ベッドプレートに取り付けられるように構成され、かつ前記マシンに電気的に接続されるように構成された電源と、
を備え、
前記電源は、前記マシンに電力を供給するように構成され、供給する電力は、通常の運転条件下で前記マシンを作動させるのに十分であり、
前記電源はバッテリであり、前記マシンはモータであり、
前記モータは前記ベッドプレートの第1の面に取り付けられ、前記バッテリは前記第1の面とは反対にある前記ベッドプレートの第2の面に取り付けられることを特徴とするエレベータシステム。
【請求項6】
前記ベッドプレートに取り付けられるように構成されたインバータをさらに備えることを特徴とする請求項5に記載のエレベータシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、エレベータに関し、特にバッテリ駆動式のエレベータに関する。
【背景技術】
【0002】
エレベータは、複数のフロアを有するビル内において乗客や荷物を上下方向に運ぶ周知の機械である。通常、乗客や荷物は、ビル内を垂直方向に延びる昇降路内を移動するエレベータかごによって運ばれる。各かごは、複数のレールに取り付けられ、昇降路内を直線状に移動する。ベルトやケーブル等によってかごに接続された電気モータ等のマシンによってかごに動力が付与される。また、昇降路に亘るかごのスムーズな移動を促進するため、通常、隣接するレールにカウンタウェイトが取り付けられている。マシン及びシーブやガバナ等の他のエレベータの機械的要素は、昇降路の上部に設置されたベッドプレート上に取り付けられている。
【0003】
相対的に大きなエレベータでは、マシンに通電する電源及び電子機器回路は、ビルの上部に設けられたマシンルーム内に配置されている。他の例として、上記の機器は、ビル内における昇降路以外の他の場所に設けられたランディングキャビネット内に配置されることもある。これにより、システムのメンテナンス及びマシン(相対的に大きなエレベータの場合には複数のエレベータの複数のマシン)に対するビルの電力系統及び/又は外部電力系統の接続が容易になる。
【0004】
より最近の用途においては、マシンに通電するために用いられる電源は、既存の電力系統に接続されず、バッテリ等の内蔵型の電源より供給される。そのようなバッテリは、ビルの電力系統から受ける電力を減少させ、常に稼動している電力系統に依存しているユーティリティや発電機と比べて多くの場合、信頼性が高い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記バッテリは効果的である一方、エレベータシステムは、通常、昇降路の外側に位置するマシンルーム又はランディングキャビネットを採用しているため、既存のバッテリ駆動式のエレベータシステムでは、バッテリは昇降路外に配置されている。また、通常、システムに用いられているインバータ及び他の電子機器回路は、昇降路の外側に取り付けられている。
【0006】
周知のエレベータシステムは、該システムの構成要素の物理的な構造に起因する固有の非効率性を有することが分かった。さらに、本明細書に開示する構造を用いることによって、上記非効率性を低減又は排除することができることが分かった。低電圧−高電流の電力信号が送電される大きなゲージラインの物理的な長さを最小限にすることにより、周知のエレベータシステムに見られる著しい効率損失、エレベータ性能の問題及びバッテリ寿命の問題を回避することができる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様によれば、エレベータシステムは、昇降路と、昇降路内において移動可能なエレベータかごと、エレベータかごに作動可能に接続され、昇降路内においてエレベータかごを移動させるマシンと、昇降路内において取り付けられ、かつマシンに作動可能に接続された電源と、を備える。例示的な実施例ではバッテリを備えるものとして開示されているが、本開示の利点を享受する当業者であれば、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、開示するバッテリを他の電源と置き換えることができることを理解されるであろう。エレベータシステムの通常運転条件下においてエレベータかごを移動させるためマシンに要求される全ての電力は、バッテリによって供給される。
【0008】
本発明の他の態様によれば、エレベータシステムは、昇降路と、昇降路に取り付けられた複数のレールと、少なくとも1つのレールに移動可能に取り付けらエレベータかごと、少なくとも1つのレールに移動可能に取り付けられたカウンタウェイトと、昇降路の頂部においてレールに接続されたベッドプレートと、ベッドプレートに取り付けられ、かつエレベータかごに作動可能に取り付けられたマシンと、電力を供給するようにマシンに接続された電源と、を備え、バッテリはベッドプレートに取り付けられている。
【0009】
本発明の他の態様によれば、エレベータを運転する方法は、昇降路内にエレベータかごを移動可能に取り付けるステップと、マシンを有する昇降路内においてエレベータかごを上方及び下方に移動させるステップと、通常運転中にバッテリによりマシン全体に電力を供給するステップと、昇降路内にバッテリを取り付けるステップと、を含む。
【0010】
例示的な複数の実施例について、独立した実施例として開示するが、当業者であれば、任意の他の実施例においても多くの開示する特徴部を適切に用いることができることを理解されるであろう。例えば、任意の実施例は、電源としてバッテリと、マシンとしてモータと、電源、マシン又は他の電子機器(インバータ等)が取り付けられるベッドプレートと、電源が取り付けられるカウンタウェイトと、電源が取り付けられる複数のかもいと、をさらに備えていてもよい。同様に、開示する任意の実施例による方法は、同様の特徴部を有していてもよい。
【0011】
本開示の上記及び他の特徴は、図面とともに以下の詳細な説明を読むことにより容易に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本開示の教示により構成されたエレベータシステムの概略図。
【
図2】本開示の教示により構成されたエレベータシステムの一つの例示的な実施例の側面図。
【
図3】本開示の教示により構成されたエレベータシステムの他の実施例の配置図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
特定の例示的な実施例を参照しつつ以下に開示するが、本発明の範囲から逸脱することなく、種々の変更がされ得ること及び構成要素を均等物と置換することができることを理解されたい。さらに、特定の状況や材料を採用するために、本発明の範囲から逸脱することなく、本開示の教示に対して多くの変更がなされ得る。本開示は、本開示を実行するために熟考したベストモードとして開示する特定の実施例に限定されるものではなく、本発明の範囲には、添付する特許請求の範囲内に含まれる全ての実施例が含まれる。
【0014】
図1を参照すると、参照符号20は、本開示の教示により構成されたエレベータシステムを示している。エレベータシステム20は昇降路22を有し、昇降路22は、エレベータシステム20を採用する複数のフロアを有するビル(図示せず)を通って垂直方向に延びる開チャネルを画定する。エレベータシステム20は、複数のレール24をさらに備え、該レール24は、昇降路22の底部つまりピット26から昇降路22の頂部28に亘って延びており、頂部28においてベッドプレート30に接続されている。レール24は、昇降路22を通るエレベータかご32の直線的な移動を促進する構造体である。さらに、レール33は同様のメカニズムを付与するものであって、レール33により昇降路22を通るカウンタウェイト34の直線的な移動がもたらされる。
【0015】
昇降路22を通してかご32を駆動させるため、マシン36が用いられている。マシン36は、電気モータの形態又は原動機の形態として設けられる。
図2にも示すように、マシン36は出力シャフト38を有し、該シャフト38には1つまたは複数のシーブ40が取り付けられている。シーブ40の周囲にはベルト、ケーブル又は他の動力伝達要素42が延在している。該要素42は、第1の端部44においてかご32に接続されており、第2の端部45においてカウンタウェイト34に接続されている。
【0016】
次に
図2を参照すると、本開示の教示による、マシン36の電源及び電子機器回路を搭載するためにベッドプレート30が用いられている。
図2に示す実施例では、バッテリ46、インバータ48又は他の駆動機器がベッドプレート30に直接取り付けられている。開示する実施例では、マシン36及びシーブ40は、ベッドプレート30の上面50に取り付けられており、バッテリ46及びインバータ(駆動装置)48は、ベッドプレート30の下面52に取り付けられている。しかし、他の実施例では、マシン36、バッテリ46及びインバータ48は、ベッドプレート30における異なる位置に配置されていてもよいし、ベッドプレート30の周囲に取り付けられていてもよいことを理解されたい。重要なことは、バッテリ46とマシン36との間の効率損失を避けるため、バッテリ46からマシン36までの電力が流れる距離を最小限にすることである。
【0017】
さらに別の実施例では、バッテリ46及びインバータ48をベッドプレート30に直接取り付ける必要はなく、昇降路22内の他の位置に取り付けてもよい。このような配置によっても、バッテリ46及びインバータ48が昇降路の外側に配置されている既存のエレベータシステムに対して著しい利点をもたらす。例えば、
図3に示すように、ピット26、カウンタウェイト(CW)34、かご32、エレベータが停止する各フロアに設けられたかもい(ドアのまぐさ)54、昇降路壁部56、昇降路22の天井58又は昇降路22内の任意の位置にバッテリ46及び/又はインバータ48を配置してもよい。
【0018】
前述のように、最も重要なことは、送電損失を低減させるため、高電流信号が送られる送電距離を最小限にすることである。例えば、上記の損失は、通常、式:P
l=I
2Rを用いて計算され得る。ここで、P
lは電力損失であり、Iは電流であり、Rは抵抗である。上記の損失を実例に当てはめてみると、1000Kgのエレベータかごが1秒間に1メートルを移動する場合には、通常、約225アンペアのピーク電流の引き込みがある。この量の電流を安全に流すために、通常は0又は00ゲージのワイヤが用いられている。そのようなワイヤ(又はコンダクタ)は、1メートルにつき数ドルの費用がかかるとともに、バッテリ46とインバータ48との間には、通常、上記のようなコネクタが2つ必要であり、インバータ48とマシン36との間には、通常、3つ必要となる。上記コンダクタが導く距離を減少させることにより、抵抗Rが低減され、その結果、送電損失が減少する。さらに、バッテリ46をマシン36及びインバータ48により近接させて配置することにより、必要となるワイヤが短くなる。
【0019】
前述したように、本明細書は、従来周知のエレベータシステムと比べて、効率が著しく向上する、エレベータの電源としてバッテリを使用する改善されたエレベータシステムを開示している。バッテリ及び電子機器回路を昇降路内に配置することにより、電力が流れる距離が大幅に減少する。これは、例えば、バッテリ及びインバータをベッドプレートに直接配置すること、したがってマシンに隣接させて配置することによって実現し得る。さらに、バッテリ及びインバータを、昇降路における他の位置、例えば、ピット内、カウンタウェイト上、かご上、オーバヘッド、昇降路壁部、昇降路の天井又はかもい等に取り付けてもよい。