【実施例1】
【0021】
図1は、本実施例におけるパチンコ機の遊技盤8の正面図である。なお、このパチンコ機の全体的な構成は公知技術に従っているので図示及び説明は省略する。遊技盤8には公知のガイドレール25a、25bによって囲まれた略円形の遊技領域26が設けられ、多数の遊技釘27が植設されている。遊技領域26の略中央には、窓部28aを有する液晶枠飾り28が設けられており、演出図柄表示装置54b(
図2参照)のLCD画面が遊技者から視認可能に構成され、図示しない公知のワープ入口、ワープ通路、ステージ等も設けられている。
【0022】
また、窓部28aの上方左には、7セグメントLED等の発光部材により構成される第1特別図柄表示装置29、上方右には左と同一部材の第2特別図柄表示装置30と、中央には4個の発光部材で構成される第2特別図柄保留数表示装置30aが設けられており、窓部28a下には同様に4個の発光部材で構成される第1特別図柄保留数表示装置29aが設けられている。
【0023】
液晶枠飾り28の左右両側又は左側には普通図柄作動ゲート42が設けられており、下側には第1始動口31と開放時のみ入賞可能となる普通電動役物40が第2始動口32として設けられている。また普通電動役物40には、7セグメントLED等の発光部材により構成される普通図柄表示装置41が配置されている。第2始動口32の下方には、アタッカー式の大入賞口33aを備える大入賞口ユニット33が配置され、該大入賞口ユニット33の下方にはアウト口34が設けられている。大入賞口33aの左側には4個のLEDで構成される普通図柄保留数表示装置41aが設けられている。また、大入賞口ユニット33の左側には、左一般入賞口35a(本発明の入球口に該当)が備えられる入賞口ユニット35が設けられ、大入賞口ユニット33の右側にも、右一般入賞口35a(本発明の入球口に該当)が備えられる入賞口ユニット35が設けられている。
【0024】
上記のように遊技盤8を構成することによって、普通図柄作動ゲート42に遊技球が入球(普通図柄作動スイッチ42a(
図2参照)が遊技球を検出し入賞と判定)すると、普通図柄表示装置41で普通図柄が変動表示を開始し、所定時間後に停止した普通図柄の態様に応じて、普通電動役物40の羽根部材が駆動して、普通電動役物40への入球が可能となるように構成されている。尚、本実施形態におけるパチンコ機では、普通電動役物40の羽根部材が駆動する開放時間は、通常時は0.3秒(1回)、時短状態(開放延長状態)では5.0秒(1回)である。また、遊技球が1個入賞した際に獲得する賞球数は、第1始動口31と第2始動口32は3個、大入賞口33aは14個、左右一般入賞口35aは10個に設定されている。
【0025】
また、左一般入賞口35aに遊技球が入球すると、左1一般入賞口スイッチ35b(
図2参照)(本発明の第1球検出スイッチに該当)が遊技球を検出した後に左2一般入賞口スイッチ35c(
図2参照)(本発明の第2球検出スイッチに該当)が該遊技球を検出するように配置され、同様に、右一般入賞口35aに遊技球が入球すると、右1一般入賞口スイッチ35d(
図2参照)(本発明の第1球検出スイッチに該当)が遊技球を検出した後に右2一般入賞口スイッチ35e(
図2参照)(本発明の第2球検出スイッチに該当)が該遊技球を検出するように配置されている。
【0026】
第1始動口31に遊技球が入球(第1始動口スイッチ31a(
図2参照)が遊技球を検出し入賞と判定)すると、第1特別図柄表示装置29において第1特別図柄が変動を開始し、所定時間後に停止する。また、第2始動口32である普通電動役物40に遊技球が入球(第2始動口スイッチ32a(
図2参照)が遊技球を検出し入賞と判定)すると、第2特別図柄表示装置30において第2特別図柄が変動表示を開始し、所定時間後に停止する。
【0027】
第1特別図柄及び第2特別図柄の変動中は、窓部28aに配置された演出図柄表示装置54bにおいて各々の特別図柄の変動に連動した演出態様を表示する。また、第1特別図柄と第2特別図柄は、第1始動口と第2始動口への入球順に関係なく、第2特別図柄の変動停止を優先して実施する。具体的には、第1特別図柄の保留記憶がある場合、第2特別図柄の変動が停止し且つ第2特別図柄保留記憶が無い状態となって、第1特別図柄保留記憶分の変動を開始する。第1特別図柄及び第2特別図柄の態様に応じて大入賞口ユニット33の扉部材が駆動して、大入賞口33aへの入球が可能となるように構成されている。
【0028】
続いて、
図2に本実施例におけるパチンコ機の電気配線を示すブロック図を示し説明する。
図2には煩雑になる電源の供給系統に関する記載は行わないが、電源が必要な制御装置若しくはアクチュエータ類には、電源装置(図示せず)から直接的又は間接的に供給される構成となっている。尚、遊技盤8を装着するパチンコ機本体に関する部品は図示を省略している。
【0029】
主制御装置50の入力端には、遊技盤中継端子板を介して第1始動口31に入球した遊技球を検出する第1始動口スイッチ31aと、第2始動口32である普通電動役物40に入球した遊技球を検出する第2始動口スイッチ32aと、普通図柄作動ゲート42に入球した遊技球を検出する普通図柄作動スイッチ42aと、大入賞口33aに入球した遊技球を検出するカウントスイッチ33bと、左一般入賞口35aに入球した遊技球を検出する左1一般入賞口スイッチ35b(本発明の第1球検出スイッチに該当)と、左2一般入賞口スイッチ35c(本発明の第2球検出スイッチに該当)と、右一般入賞口35aに入球した遊技球を検出する右1一般入賞口スイッチ35d(本発明の第1球検出スイッチに該当)と右2一般入賞口スイッチ35e(本発明の第2球検出スイッチに該当)とが接続されている。
【0030】
また、裏配線中継端子板を介して前面枠が閉鎖していることを検出する前面枠閉鎖スイッチと、意匠枠が閉鎖していることを検出する意匠枠閉鎖スイッチと、が接続されている。なお、主制御装置50の入力端に接続された各種入賞検出スイッチ(第1始動口スイッチ31a、第2始動口スイッチ32a、普通図柄作動スイッチ42a、カウントスイッチ33b、左1一般入賞口スイッチ35b、左2一般入賞口スイッチ35c、右1一般入賞口スイッチ35d、右2一般入賞口スイッチ35e)は、電波(電磁波)ゴトに有効(遊技球検出状態時のみ電波の影響を受ける)なスイッチとしてノーマルクローズタイプ(NCタイプ)の近接スイッチ(遊技球通過孔を備えた形状)を用いている。
【0031】
主制御装置50の出力端には、遊技盤中継端子板を介して大入賞口33aの扉部材を駆動する大入賞口ソレノイドと、普通電動役物40の羽根部材を駆動する普通電役ソレノイドとが接続されており、図柄表示装置中継端子板を介して第1特別図柄を表示する第1特図表示装置と、第1特別図柄の保留数を表示する第1特図保留数表示装置と、第2特別図柄を表示する第2特図表示装置と、第2特別図柄の保留数を表示する第2特図保留数表示装置と、普通図柄を表示する普通図柄表示装置と、普通図柄の保留数を表示する普図保留数表示装置とが接続されており、裏配線中継端子板及び外部接続端子板を介して図示しないホールコンピュータと、が接続されている。
【0032】
主制御装置50はCPU、ROM、RAM等の電気部品を備えており、搭載するROMに記憶されたプログラムに従ってCPUにて処理を実行し、入力される各種検出信号などに基づいて遊技の進行に関わる各種コマンド等を生成し、払出制御装置51及びサブ統合装置53に出力する。ここで、主制御装置50と払出制御装置51とは双方向通信回路として構成され、主制御装置50とサブ統合制御装置53とは主制御装置50からサブ統合制御装置53への一方向通信回路として構成されている。
【0033】
払出制御装置51の入力端には、裏配線中継端子板を介して球タンク又はタンクレール内の遊技球が不足していることを検出する球切れスイッチと、裏配線中継端子板及び払出中継端子板を介して払い出した遊技球を検出する払出スイッチと、各種端子板を介することなく下皿への経路に遊技球が多数あることを検出する満杯スイッチと、エラー解除スイッチ76と、が接続されている。払出制御装置51の出力端には、裏配線中継端子板及び払出中継端子板を介して遊技球を上皿へと払い出す払出モータと、球切れ表示LEDと、下皿満杯表示LEDと、異常状態報知LED75と、エラーNO表示LED74と、が接続されている。
【0034】
払出制御装置51はCPU、ROM、RAM等の電気部品を備えており、搭載するROMに記憶されたプログラムに従ってCPUにて処理を実行し、入力される各種検出信号ならびに主制御装置50から入力されるコマンドに基づいて遊技球の払い出しに関わる各種コマンド等を生成し、主制御装置50及び発射制御装置に出力する。ここで、払出制御装置51と主制御装置50とは双方向通信回路として構成され、払出制御装置51と発射制御装置とは払出制御装置51から発射制御装置への一方向通信回路として構成されている。
【0035】
また、払出制御装置51は、外部接続端子板を介して賞球に関する情報などをホールコンピュータに送信するほか、発射制御装置に対して発射停止信号を送信する。発射制御装置は発射モータを制御して、遊技球を遊技領域26に遊技球を発射させる。なお、発射制御装置には払出制御装置51以外に発射ハンドルからの回動量信号、タッチスイッチからのタッチ信号、発射停止スイッチから発射停止スイッチ信号が入力される。
【0036】
回動量信号は、遊技者が発射ハンドルを操作することで出力され、タッチ信号は遊技者が発射ハンドルを触ることで出力され、発射停止スイッチ信号は、遊技者が発射停止スイッチを押すことで出力される。なお、タッチ信号が発射制御装置に入力されていなければ、遊技球は発射できないほか、発射停止スイッチ信号が入力されているときには、遊技者が発射ハンドルを触っていても遊技球は発射出来ないようになっている。
【0037】
サブ統合制御装置53の入力端には、遊技者により操作可能な遊技スイッチが接続されている。サブ統合制御装置53の出力端には、図示しない意匠枠及び遊技盤8に備えられる各種LED・ランプと、前面枠及びスピーカユニットに備えられるスピーカと、が接続されている。尚、サブ統合制御装置53と主制御装置50とは主制御装置50からサブ統合制御装置53への一方向通信回路として構成され、サブ統合制御装置53と演出図柄制御装置とはサブ統合制御装置53から演出図柄制御装置への一方向通信回路として構成されている。
【0038】
サブ統合制御装置53はCPU、ROM、RAM等の電気部品を備えており、搭載するROMに記憶されたプログラムに従ってCPUにて処理を実行し、入力される遊技スイッチの入力ならびに主制御装置50から入力されるコマンドに基づいて演出に関わる各種コマンド等を生成し、演出図柄ユニットの演出図柄制御装置に出力する。
【0039】
また、サブ統合制御装置53には、音量を調節する音量調節スイッチが備えられ、音量調節スイッチの状態(位置)を検出し、その検出結果とスピーカへ送信する内容とを判断し、スピーカから出力する音量をソフト的に制御するように構成されている。
【0040】
演出図柄制御装置は、サブ統合制御装置53から受信したデータ及びコマンド(共に主制御装置50から送信されてきたものとサブ統合制御装置53が生成したものとがある)に基づいて演出図柄表示装置を制御して、演出図柄等の演出画像を窓部28aに表示させる。
【0041】
次に、
図3を用いて、主制御装置50が実行するメインルーチンについて説明する。
図3に示すフローチャートは、主制御装置50のマイコンにより実行されるメイン処理を表したものであり、約2mS毎のハード割り込みにより定期的に実行される処理である。本実施形態では、S10〜S70までの各処理は割り込み処理において1回だけ実行される処理であって「本処理」と称し、この本処理を実行して余った時間内に時間の許す限り繰り返し実行されるS75、S80の処理を「残余処理」と称する。
【0042】
マイコンによるハード割り込みが実行されると、まず正常割り込みであるか否かが判断される(S10)。この判断処理は、メモリとしてのRAMの所定領域の値が所定値であるか否かを判断することにより行われ、マイコンにより実行される処理が本処理に移行したとき、通常の処理を実行して良いのか否かを判断するためのものである。正常割り込みでない場合としては、電源投入時又はノイズ等によるマイコンの暴走等が考えられるが、マイコンの暴走は近年の技術の向上によりほとんど無いものと考えて良いので、たいていが電源投入時である。電源投入時にはRAMの所定領域の値が所定値と異なる値となっている。
【0043】
正常割り込みでないと判断されると(S10:no)、前記メモリの所定領域に所定値を書き込む特別図柄及び普通図柄を初期図柄とする等のメモリの作業領域への各初期値の書き込み、即ち初期設定が為され(S13)、残余処理に移行する。
【0044】
正常割り込みとの肯定判断がなされると(S10:yes)、各種乱数についての更新処理が順次行なわれる。まず初期値乱数1の更新処理が実行される(S15)。この処理は、初期値乱数1の値について、この処理を実行する毎に+1するインクリメント処理であり、この処理実行前の初期値乱数1の値に+1するが、この処理を実行する前の乱数値が最大値である「3966」のときには次回の処理で初期値である「0」に戻り、「0」〜「3966」までの3967個の整数を繰り返し昇順に作成する。
【0045】
S15の処理後には、初期値乱数2の更新処理が実行される(S20)。この処理はS15の処理と同様に初期値乱数2の値について、実行毎に+1するインクリメント処理である。違いは、初期値乱数1の最大値が「3966」であるのに対して初期値乱数2の最大値が「997」であるということである。よって、この処理を実行する前の初期値乱数2の乱数値が最大値である「997」のときは次回の処理で初期値である「0」に戻る。尚、初期値乱数1は大当り判定(特別図柄の抽選)に使用するものであり、初期値乱数2は当り判定(普通図柄の抽選)に使用するものである。
【0046】
S20に続く大当り判定用乱数更新処理(S25)は、初期値乱数1、初期値乱数2の更新処理と同様に処理を実行する毎に+1するインクリメント処理であるが、最大値である「3966」に至ると次回の処理では、そのときの前記初期値乱数1の値を初期値(以下、「更新初期値」という。)とし、更に割り込み毎に+1する処理を続行して更新初期値より「1」少ない値(以下、「更新最大値」という。)に至れば次回の処理では、更にそのときの初期値乱数1の値を初期値とし「0」〜「3966」までの3967個の整数値を繰り返し作成する。
【0047】
即ち、割り込み処理毎に+1し、乱数を構成する要素を「0」〜「3966」までの整数値とすることは前記初期値乱数1と何等変わることはないが、今回の更新最大値に至れば次回の割り込み処理ではそのときの更新初期値を初期値とし更新最大値に至るまで割り込み毎に+1し、更に次回の更新初期値を初期値とする構成である。これにより、大当り判定用乱数は、乱数を構成する要素を「0」〜「3966」までの3967個の整数値とし、割り込み処理毎に+1するが、更新最大値に至れば、次回の割り込み処理ではそのときの初期値乱数1により決定される値に変更されるので、当否乱数の値を予測不可能にすることができる。また、更新初期値と更新最大値とにより決定される乱数の構成要素は従来の当否乱数と同じ「0」〜「3966」の3967個の整数値と何等変わることがないので乱数を構成する要素の出現率を均一にしている。
【0048】
尚、通常確率状態時の当選値の数は10で、値は「775」〜「777」、「1775」〜「1777」、「2774」〜「2777」であり、高確率状態時の当選値の数は100で、値は「775」〜「777」、「1314」〜「1333」、「1758」〜「1777」、「2758」〜「2777」、「3314」〜「3333」である。
【0049】
S25に続く当り判定用乱数更新処理(S30)は、初期値乱数1、初期値乱数2の更新処理と同様に処理を実行する毎に+1するインクリメント処理であるが、最大値である「996」に至ると次回の処理では、そのときの前記初期値乱数2の値を初期値(以下、「更新初期値」という。)とし、更に割り込み毎に+1する処理を続行して更新初期値より「1」少ない値(以下、「更新最大値」という。)に至れば次回の処理では、更にそのときの初期値乱数2の値を初期値とし「0」〜「996」までの997個の整数値を繰り返し作成する。
【0050】
即ち、割り込み処理毎に+1し、乱数を構成する要素を「0」〜「996」までの整数値とすることは前記初期値乱数2と何等変わることはないが、今回の更新最大値に至れば次回の割り込み処理ではそのときの更新初期値を初期値とし更新最大値に至るまで割り込み毎に+1し、更に次回の更新初期値を初期値とする構成である。これにより、当り判定用乱数は、乱数を構成する要素を「0」〜「996」までの997個の整数値とし、割り込み処理毎に+1するが、更新最大値に至れば、次回の割り込み処理ではそのときの初期値乱数1により決定される値に変更されるので、当否乱数の値を予測不可能にすることができる。また、更新初期値と更新最大値とにより決定される乱数の構成要素は従来の当否乱数と同じ「0」〜「996」の997個の整数値と何等変わることがないので乱数を構成する要素の出現率を均一にしている。尚、通常確率状態時の当選値の数は10で、値は「31」〜「40」であり、高確率状態時の当選値の数は966で、値は「31」〜「996」である。
【0051】
大当り図柄決定用乱数更新処理(S35)は「0」〜「19」の20個の整数を繰り返し作成するカウンタとして構成され、本処理毎に+1され最大値を超えると初期値である「0」に戻る構成になっており、この20個の乱数値により20種類の大当り図柄より1つの大当り図柄が決定され、第1特別図柄、第2特別図柄共に同じ大当り図柄を使用する構成になっている。
【0052】
第1始動口31に入賞したことに起因して行われる大当り抽選(遊技者にとって有利な特別遊技状態を発生させるか否かを抽選する)で大当りと判断される確率と第2始動口32に入賞したことに起因して行われる大当り抽選で大当りと判断される確率は、通常遊技状態では1/396.7、高確率遊技状態では1/ 39.67で同じであるが、大当りした際に行われる大当り遊技の内容が第1始動口31に入球して大当りになった場合よりも第2始動口32に入球して大当りになった場合のほうが、大当り遊技中に多く賞球が得られる大当りになる確率が高くなっている。なお、確変大当りになる確率は第1始動口31に入球して抽選が行われた場合と第2始動口32に入球して抽選が行われた場合とで変化はない(同じ確率である)。
【0053】
小当り図柄決定用乱数更新処理(S40)は「0」〜「9」の10個の整数を繰り返し作成するカウンタとして構成され、本処理毎に+1されて最大値を超えると初期値である「0」に戻る。小当りを示す図柄は2種類であり、小当り図柄決定用乱数によって、どちらの小当りを示す図柄を選択するか決定する。尚、小当りを示す図柄は、第1特別図柄、第2特別図柄とも同じになっている。また、ハズレを示す特別図柄も第1特別図柄、第2特別図柄で同じになっており、ハズレを示す図柄は「−−」の1種類になっているので外れ図柄を決定するための乱数は備えていない。また、普通図柄の当り図柄もハズレ図柄も共に1種類しか存在しないので当り図柄又はハズレ図柄を決定するための乱数は備えていない。
【0054】
リーチ判定用乱数更新処理(S45)は「0」〜「228」の229個の整数を繰り返し作成するカウンタとして構成され、本処理毎で+1され最大値を超えると初期値である「0」に戻る。なお、通常確率状態時で変動時間短縮機能未作動時に当選する値の数は21個で、値は「0」〜「20」であり、通常確率状態時で変動時間短縮機能作動時に当選する値の数は5個で、値は「0」〜「4」であり、高確率状態時に当選する値の数は6個で、値は「0」〜「5」である。
【0055】
変動パターン決定用乱数の更新処理(S50)は、「0」〜「1020」の1021個の整数を繰り返し作成するカウンタとして構成され、本処理毎で+1され最大値を超えると初期値である「0」に戻る。尚、大当り判定用乱数、大当り図柄決定用乱数、小当り図柄決定用乱数、リーチ判定用乱数、変動パターン決定用乱数は第1始動口31又は第2始動口32に遊技球が入賞(第1始動口スイッチ31a又は第2始動スイッチ32aが遊技球を検出し入賞と判定)することで抽出され、当り判定用乱数は普通図柄作動ゲート42を遊技球が通過(普通図柄作動スイッチ42aが遊技球を検出し入賞と判定)することで抽出される。
【0056】
続く入賞確認処理(S55)では、遊技領域26に設けられた各入賞口へ遊技球が正規に入球したか否か及び普通図柄作動ゲート42を遊技球が正規に通過したか否かを判定する処理である。判定内容の詳細は後述するが、この入賞確認処理において遊技球の正規入賞と判定されることによって、各入賞口への入賞に基づく賞球の払出し(払出制御装置51への賞球コマンド送信)、等が実施される。
【0057】
続いては、大当りか否かを判定する条件成立判定手段としての特図当否判定処理(S60)、普通図柄抽選が当りか否かを判定する普図当否判定処理(S65)行う。この特図当否判定処理(S60)、普図当否判定処理(S65)が終了すると、画像出力処理等の各出力処理(S70)が実行される。
【0058】
各出力処理(S70)では、遊技の進行に応じて演出図柄制御装置54a、払出制御装置51、発射制御装置、サブ統合制御装置53、大入賞口ソレノイド、普電役物ソレノイド等に対して各々出力処理を実行する。即ち、入賞確認処理(S55)により遊技盤8に設けた各入賞口へ遊技球が入賞したことが確認されたときには、賞球としての遊技球を払い出すべく払出制御装置51に賞球データ(賞球コマンド)を出力する処理を、遊技機に異常があるときにはエラー中であることを報知すべく演出図柄制御装置54a及びホールコンピュータ等にエラー信号を出力する処理を各々実行する。
【0059】
本処理に続く前述の残余処理は、初期値乱数1の更新処理(S75)、初期値乱数2の更新処理(S80)から構成されるが、各々前述したS15、S20の処理と全く同じ処理である。この処理は無限ループを形成し、次の割り込みが実行されるまで、時間の許される限り繰り返し実行される。前述したS10〜S70までの本処理を実行するのに必要とされる時間は、大当り処理を実行(特別遊技の実行)するか否か、特別図柄(第1又は第2)の表示態様の相違等により割り込み毎に異なる。この結果、残余処理を実行する回数も割り込み毎に異なり、割り込み処理が1回実行されることにより初期値乱数1、初期値乱数2の更新される(加算される)値も一律ではなくなる。これにより、初期値乱数1が大当り判定用乱数と、初期値乱数2が当り判定用乱数と同期する可能性はなくなる。尚、本実施形態においては、大当り判定用乱数の更新は初期値乱数1の値により変更され、当り判定用乱数は初期値乱数2の値により変更される構成なので同期の虞は全くない。
【0060】
次に、
図4に示した左一般入賞口35aの断面図を用いて、本発明の、「入球口に入球した遊技球を遊技盤裏面側へと取り込む球通路と、該球通路に設けられる第1球検出スイッチと、該第1球検出スイッチの上流側又は下流側のいずれかに設けられた第2球検出スイッチと」の構成を説明する。なお、本実施例においては、右一般入賞口35aと右1一般入賞口スイッチ35dと右2一般入賞口35eの構成も本発明の構成に該当するが、左一般入賞口35aと同一の構成であるため以下においての説明は援用とする。
【0061】
図4(1)に示す左一般入賞口35a(本発明の入球口に該当)の断面図では、図の左側が遊技盤の表面側となり、右側が裏面側となっている。本実施例では、遊技領域に設けられた左一般入賞口35aに遊技球が入球すると、球通路を流下して遊技盤裏面側に誘導された後、左1一般入賞口スイッチ35bの通過孔を通過し、次に左2一般入賞口スイッチ35cの通過孔を通過する構成となっている。なお、それぞれの通過孔を遊技盤の表面側に配置する構成や、左1一般入賞口スイッチ35bの通過孔を遊技盤の表面側に配置し、左2一般入賞口スイッチ35cの通過孔を遊技盤裏面側に配置する構成も考えられる。
【0062】
図4(2)は、左1一般入賞口スイッチ35bを上側に配置し、左2一般入賞口スイッチ35cを下側に配置する構成において、好適なスイッチの配置位置を示した図である。遊技球Aの位置は図の左1一般入賞口スイッチ35bによる検出可能範囲の上端位置を示している。また遊技球Bの位置は図の左1一般入賞口スイッチ35bによる検出可能範囲の下端位置を示し、遊技球Cの位置は図の左2一般入賞口スイッチ35cによる検出可能範囲の上端位置を示している。
【0063】
図に示すスイッチ同士の相互干渉を防止するのに必要な距離(20.0)は、二つの検出スイッチを最も接近して配置した場合となり、この配置が遊技盤裏面又は遊技盤表面における二つの検出スイッチの配置スペースを最も少なくする配置構成となり、限られた遊技盤面及び遊技盤裏面のスペースを効率よく使用することができる。また、上記した検出可能範囲とは、遊技球を上から下へと流下させたときに、遊技球を必ず検出する範囲の上限位置(A)から検出距離だけ下方へと移動させた位置(B)までの範囲を意味する。
【0064】
本実施例では、AB間の13.4mの検出可能範囲を遊技球が流下する時間は、概ね10〜14msで平均12msとなり、AC間20.1mの区間を遊技球が流下する時間(左1一般入賞口スイッチ35bが遊技球の検出を開始してから左2一般入賞口スイッチ35cが該遊技球の検出を開始するまでの時間差)は、概ね15〜21msで平均18msとなる。
【0065】
次に、
図5のタイミングチャートを用いて、左一般入賞口35aに遊技球が入球した場合の、左1一般入賞口スイッチ35b(以下、左1スイッチ35b)と左2一般入賞口スイッチ35c(以下、左2スイッチ35c)の入球判定タイミング(入球フラグ設定タイミング)を説明する。
【0066】
(1)は、上流側に配置された左1スイッチ35b(NC)が遊技球を検出した場合に、入球判定の結果として左1入球フラグ(本発明の第1入球フラグに該当)を設定するタイミングを示したタイミングチャートである。なお、NCタイプのスイッチ信号の態様は、検出スイッチから主制御装置50には反転して入力されるため、主制御装置50が受信する信号内容は遊技球検出状態ではHi(1)、非検出状態ではLow(0)(NOタイプと同一)となる。
【0067】
上流側に配置されたNCタイプの近接スイッチである左1スイッチ35b(NC)が、遊技球の非検出状態Hi(1)で遊技球を検出し、SW信号が検出状態Low(0)に変化すると、主制御装置50の定時割込処理の間隔が2msであるため、SW信号の変化から2ms以内に検出状態への変化を検知する。主制御装置50が実行する左1スイッチ35bの入球判定では、「定時割込処理でスイッチ信号が非検出状態Hi(1)から検出状態Low(0)に変化したことを検知し、更に次の定時割込処理においてSW信号が検出状態Low(0)を維持」したことを検知した時点で、遊技球が入球したと判断し左1入球フラグを設定する。従って「」内の内容が本発明の所定条件1に該当する。
【0068】
(2)は、左1スイッチ35bの下流側に配置された左2スイッチ35c(NC)が遊技球を検出した場合に、入球判定の結果として左1入球フラグを設定するタイミングを示したタイミングチャートである。
【0069】
NCタイプの近接スイッチである左2スイッチ35c(NC)が、遊技球の非検出状態Hi(1)で遊技球を検出し、SW信号が検出状態Low(0)に変化すると、主制御装置50の定時割込処理の間隔が2msであるため、SW信号の変化から2ms以内に検出状態への変化を検知する。主制御装置50が実行する左2スイッチ35cの入球判定では、「定時割込処理でスイッチ信号が非検出状態Hi(1)から検出状態Low(0)に変化したことを検知し、更に連続した3回の定時割込処理においてSW信号が検出状態Low(0)を維持」したことを検知した時点で、遊技球が入球したと判断し左2入球フラグを設定する。従って「」内の内容が本発明の所定条件2に該当する。
【0070】
従って、左1スイッチ35bと左2スイッチ35cとの遊技球の入球判定を比べた場合、左2スイッチ35cの方がSW信号の変化を検知してから入球判定を実施するまでに多くの定時割込処理の実行が必要となり、これは、SW信号の変化から左1スイッチ35bよりも長時間検出状態を確認して入球判定を実施する構成を示している。(所定条件1と所定条件2とでは異なる内容)
【0071】
次に、本発明における、上記した左1スイッチ35bと左2スイッチ35cとの入球判定を実行するために主制御装置50が備えるスイッチデータバッファの構成と、入球判定を行うスイッチデータパターン(スイッチデータ検出パターン)を、
図6を用いて説明する。スイッチデータバッファは、主制御装置50が定時割込処理を実施する毎に検知する入賞口に配置された近接スイッチの非検出状態「0」又は検出状態「1」を、所定期間記憶する一時記憶領域となる。
【0072】
具体的には、スイッチデータバッファは8bitの記憶領域で構成され、定時割込処理毎に以前に記憶したスイッチデータを上位にシフトしながら下位から新しいデータを書込み更新する構成となっている。但し、上位からデータを書き込む構成も考えられる。また、新しいデータを書き込む際のシフト処理によって記憶領域から消失するデータを所定期間記憶する記憶領域又はカウンタを設ける構成も考えられるし、スイッチデータバッファを16bitとする構成も考えられる。
【0073】
左1スイッチ35bのスイッチデータバッファでは、(1)(a)の太枠に示すように、下位3bitが非検出状態「0」から検出状態「1」に変化した後に検出状態「1」を1回維持した状態を示すスイッチデータ検出パターン「011」となった場合に入球と判定し、左1入球フラグを設定する入球処理と共に左一般入賞口35aにおける
図3S55で説明した入賞確認処理を実施する構成となっている。
【0074】
左2スイッチ35cのスイッチデータバッファでは、(2)(a)の太枠に示すように、下位5bitが非検出状態「0」から検出状態「1」に変化した後に検出状態「1」を3回維持した状態を示すスイッチデータ検出パターン「01111」となった場合に入球と判定し、左2入球フラグを設定する入球処理を実施する構成となっている。本実施例では、上記したように入球処理を実施するデータパターンを球検出スイッチ毎に備え、定時割込処理を実施する毎にデータ内容が更新されるスイッチデータバッファの記憶内容とデータテーブルに記憶されたデータパターンとを比較し、記憶内容とデータパターンが一致した場合に入球処理及び入賞確認処理を実施する構成となっている。
【0075】
次に、
図7、
図8のタイミングチャートを用いて、左1スイッチ35bと左2スイッチ35cに電波が照射された場合の各入球フラグの設定タイミングと電波ゴトの判定タイミングについて説明する。
図7は、左一般入賞口35aへの遊技球入球時に左1スイッチ35bと左2スイッチ35cに4ms周期の電波が照射された場合のタイミングチャートとなる(ノーマルクローズタイプは遊技球検出時のみ電波の影響を受けるため)。
【0076】
左1スイッチ35bと左2スイッチ35cで使用するNCタイプの近接スイッチでは、遊技球の検出状態時Low(0)のみ、照射された電波の影響を受けSW信号が変化する。具体的には、
図7のように4ms周期の電波を遊技球検出状態時に照射された場合、図に示すように遊技球の検出期間が例えば12msであった場合、本来ならばこの12msの期間はLow(0)状態を維持し、主制御装置50が実行する定時割込処理ではスイッチ信号として反転した信号「1」を6回連続して検知するが、この期間において4ms毎にLowとHiを繰り返す電波が照射されると、電波の周期に合わせ4ms毎にLow状態の信号が持ち上げられてしまい、信号が持ち上げられた期間の定時割込処理では、SW信号として「1」を読込んでしまう。
【0077】
本実施例の構成では、上流側に配置された左1スイッチ35bと下流側に配置された左2スイッチ35cが上流から順に遊技球を検出する際(左1スイッチ35bが遊技球の検出を開始してから18ms後に左2スイッチ35cが同一遊技球を検出)に、4ms周期の電波を照射された場合、主制御装置50が定時割込処理によって検知する偽左1スイッチ35b信号は、実際の遊技球の入球に応じて遊技球の非検出状態「0」から検出状態「1」に変化するが、4msの電波周期にあわせて次回の定時割込処理時まで検出状態「1」を維持し、次の定時割込処理時に非検出状態「0」に変化する。そして非検出状態「0」を1回維持した後検出状態「1」に変化し、検出状態「1」を1回維持した後非検出状態に変化して左1スイッチ35bの遊技球検出期間が終了する。
【0078】
従って、左1スイッチ35bが実際には1個の遊技球を検出する間に、主制御装置50は定時割込処理によって「011」の入球判定を2回実施する。具体的に該入球判定により左1入球フラグを設定するタイミングは、SW信号が非検出状態「0」から検出状態「1」に変化してから2回目の定時割込処理を実行した時点(A)と、6回目の定時割込処理を実行した時点(B)となる。
【0079】
続いて、左2スイッチ35cは、左1スイッチ35bの検出状態終了から6ms後(3回の定時割込処理終了後)に同一遊技球の検出を開始する。この場合も、スイッチ信号が検出状態「1」(検出状態時Low(0))となる12msの期間は継続して照射される4ms周期の電波の影響で、少なくとも1回は「011」のスイッチデータパターンを検知するが、左2スイッチ35cからのSW信号を基に入球判定を実施する場合、
図5、6を用いて説明したように「01111」のデータパターンを検知した場合に限る。従って、4ms周期の電波では検出状態「1」を4回連続して検出させることが不可能であるため(最低でも8mは検出状態を維持しなければならない)、左2スイッチ35cが実際に遊技球を検出した状態であっても、4ms周期の電波を照射された場合は、入球判定は実施せず、左2入球フラグは設定されない。これは、実際に遊技球が入球した場合でも、該入球に合わせて電波(入球判定に必要な時間に満たない電波周期の電波)が照射されると、該入球に応じた入球判定(入球フラグの設定)が実施されない構成といえる。従って、電波ゴトを実行することによって不利益を被る構成とも言える。
【0080】
上述した内容により、実際の遊技球検出時に4ms周期の電波を照射された場合、左1スイッチ35bからの偽SW信号に基づいて左1入球フラグが最低1回は設定されるが、左2スイッチ35cからの偽SW信号に基づいて左2入球フラグが設定されることはない。従って、左1入球フラグの設定後に左2入球フラグが設定されないため、電波ゴトが実行された可能性が高いと判断し、左1入球フラグの設定後から所定時間(本実施例では100ms)経過後に、エラー1報知を実行する。
【0081】
エラー1報知を実施すると、サブ統合制御装置53にエラー1を示す信号を送信し演出図柄表示装置54bにエラー1を報知する態様を表示すると共に、各種ランプ・LEDでエラー1態様の点滅を繰り返し、スピーカからはエラー1を示す効果音を出力する。エラー1報知状態は、ホールスタッフが遊技機裏面に配置されたエラー解除スイッチ76を操作することで終了する。エラー1が解除されると、入球判定に係る各計数値、各タイマ、各カウントがクリアされた状態(初期状態)となる。なお、エラー1状態は報知の開始から所定時間(例えば30秒)経過した時点で終了する構成としてもよい。
【0082】
次に、8ms周期の電波を照射した場合を
図8のタイミングチャートを用いて説明する。なお、左1スイッチ35bと左2スイッチ35cが遊技球を検出するタイミングは、
図7の場合と同一となっている。
【0083】
左1スイッチ35bと左2スイッチ35cの遊技球検出時に図のようなタイミングで電波が照射されると、8msの電波のLow(0)状態が実際の遊技球の検出状態「1」の期間と重なった場合、左1スイッチ35bの入球判定では「011」のスイッチデータパターンが1回検知され、左2スイッチ35cの入球判定では「01111」のスイッチデータパターンが1回検知される。従って、左1入球フラグと左2入球フラグとが1回ずつ設定され、正常に1個の遊技球が入球した場合と何ら変わりのない状況となり、結果的に電波ゴトの影響は受けない構成となる。
【0084】
次に、本実施例において主制御装置50が実行する左1スイッチ入球判定処理1を、
図9のフローチャートを用いて説明する。この左1スイッチ入球判定処理1は、本発明の第1入球フラグ設定手段に該当する処理となる。
【0085】
左1スイッチ入球判定処理1を開始すると、定時割込処理で検知した左1スイッチ35bのスイッチ信号が「1」か否か判定する(S100)。肯定判定なら(S100:yes)、スイッチデータバッファのシフト処理として、最も古い記憶内容を消去すると共に残りの記憶内容の記憶位置を1bit繰上げ(S105)、シフト処理によって空いた下位1bit目に「1」を書き込む(S110)。次に、S105とS110の処理によって更新された下位3bitのスイッチデータパターンが、左1スイッチ35bの入球処理を実施するパターンとしてデータテーブルに記憶された「011」と一致するか否か判定する(S115)。否定判定なら(S115:no)リターンし、肯定判定なら(S115:yes)、入賞処理として、入賞確認バッファの該当するbit位置に「1」を書き込む入力エッジ処理を行い(S120)、入球処理として左1入球フラグに1を設定して(S125)リターンする。
【0086】
S100が否定判定なら(S100:no)、S105と同様のスイッチバッファのシフト処理として、最も古い記憶内容を消去すると共に残りの記憶内容の記憶位置を1bit繰上げ(S130)、シフト処理によって空いた下位1bit目に「0」を書き込み(S135)リターンする。
【0087】
次に、本実施例において主制御装置50が実行する左2スイッチ入球判定処理1を、
図10のフローチャートを用いて説明する。この左2スイッチ入球判定処理1は、本発明の第2入球フラグ設定手段に該当する処理となる。
【0088】
左2スイッチ入球判定処理1を開始すると、定時割込処理で検知した左2スイッチ35cのスイッチ信号が「1」か否か判定する(S150)。肯定判定なら(S150:yes)、スイッチデータバッファのシフト処理として、最も古い記憶内容を消去すると共に残りの記憶内容の記憶位置を1bit繰上げ(S155)、シフト処理によって空いた下位1bit目に「1」を書き込む(S160)。次に、S155とS160の処理によって更新された下位5bitのスイッチデータパターンが、左2スイッチ35cの入球処理を実施するパターンとしてデータテーブルに記憶された「01111」と一致するか否か判定する(S165)。否定判定なら(S165:no)リターンし、肯定判定なら(S165:yes)、入球処理として左2入球フラグに1を設定して(S170)リターンする。
【0089】
S150が否定判定なら(S150:no)、S155と同様のスイッチバッファのシフト処理として、最も古い記憶内容を消去すると共に残りの記憶内容の記憶位置を1bit繰上げ(S175)、シフト処理によって空いた下位1bit目に「0」を書き込み(S180)リターンする。
【0090】
次に、本実施例において主制御装置50が実行する、左1入球フラグと左2入球フラグの設定を基に遊技球の入球状況を監視する入球判定処理1を、
図11のフローチャートを用いて説明する。この入球判定処理1は本発明の異常入球判定手段に該当する処理となる。
【0091】
入球判定処理1を開始すると、タイマフラグが0か否か判定する(S200)。タイマフラグは、主制御装置50が記憶する値であり、値が「0」のときは、左1入球フラグを設定する毎にカウントを開始するタイマが未作動であることを、値が「1」のときは、該タイマが作動中であることを主制御装置50が判断するための値である。
【0092】
S200が肯定判定なら(200:yes)、左1入球フラグが1か否か、即ち左1入球フラグが設定されたか否か判定する(S205)。肯定判定なら(S205:yes)、タイマフラグに1をセットし(S210)、タイマ設定処理によってカウンタの初期値をセットし定時割込処理毎にデクリメントを行うように作動させ(S215)、左1入球フラグの設定回数に応じたカウンタに+1するインクリメント処理を行って(S220)リターンする。S205が否定判定なら(S205:no)、左2入球フラグが0か否か判定する(S225)。
【0093】
S225が肯定判定なら(S225:yes)、正常な状態としてリターンするが、否定判定なら(S225:no)、即ち上流に配置された左1スイッチ35bの入球判定を示す左1入球フラグが設定されていないにも拘らず左2入球フラグが設定された状況、言い換えれば、上流に配置された左1スイッチ35bが1個の遊技球も検出していないにも拘らず、下流に配置した左2スイッチ35cが遊技球を検出した状況は、左2スイッチ35cの下流において玉詰まりが発生し、左2スイッチ35cにおいてチャタリングが起きている可能性が高いと判断できるため、エラー2報知を実施する(S230)。
【0094】
エラー2報知が実施されると、エラー1報知時と同様に、サブ統合制御装置53にエラー2を示す信号を送信し演出図柄表示装置54bにエラー2を報知する態様を表示すると共に、各種ランプ・LEDでエラー2態様の点滅を繰り返し、スピーカからはエラー2を示す効果音を出力する。エラー2報知状態は、ホールスタッフが玉詰まりを解除した状態で遊技機裏面に配置されたエラー解除スイッチ76を操作することで終了する。エラー2が解除されると、入球判定に係る各計数値、各タイマ、各カウントがクリアされた状態(初期状態)となる。なお、エラー2状態は報知の開始から所定時間(例えば30秒)経過した時点で終了する構成としてもよい。
【0095】
S200が否定判定なら、即ち左1入球フラグの設定に応じてタイマが作動中であれば(S200:no)、定時割込処理ごとにカウントするタイマから−1するデクリメント処理を行い(S235)、左1入球フラグが1か否か判定、即ち更に左1スイッチ35bが遊技球を検出したか否か判定する(S240)。肯定判定なら(S240:yes)、左1入球フラグの設定数に応じたカウンタに+1するインクリメント処理を行って(S245)、カウンタの値が所定値(本実施例では3個)よりも大きいか否か判定し(S250)、否定判定なら(S250:no)、S260に進む。肯定判定なら、即ち左1スイッチ35bと左2スイッチ35cとの二つの検出スイッチ間に、物理的に存在が不可能な数の遊技球が存在する状況であれば(S250:yes)、二つの検出スイッチ間で玉詰まりが発生し、上流側の左1スイッチ35bにおいてチャタリングが起きている可能性が高いため、エラー2報知を実施する(S255)。
【0096】
S240又はS250が否定判定なら(S240:no、S250:no)、左2入球フラグが1か否か判定する(S260)。肯定判定なら(S260:yes)、カウンタから−1するデクリメント処理を行い(S265)、カウンタが0か否か、即ち上流側の左1スイッチ35bで検出された遊技球が下流側の左2スイッチ35cで全て検出されたか否か判定する(S270)。肯定判定なら(S270:yes)、左1スイッチ35bで検出された全ての遊技球が左2スイッチ35cで正常に検出された状態であるためタイマをクリアし(S275)、タイマフラグに0を設定して(S280)、リターンする。
【0097】
S260が否定判定、又はS270が否定判定なら(S260:no、S270:no)、タイマのカウンタ値が0か否か判定する(S285)。否定判定なら(S285:no)リターンし、肯定判定なら、即ち左1入球フラグが設定された状態において、所定時間(本実施例では100ms)を経過しても左2入球フラグが設定されない状態であれば(S285yes)、左1スイッチ35bと左2スイッチ35cとに電波が照射され、
図7で説明した状況となった可能性が高いため、エラー1報知を実施する(S290)。
【0098】
以上が実施例1の説明となる。実施例1では、監視対象となる二つの検出スイッチ(左1スイッチ35b、左2スイッチ35c)が、どちらもノーマルクローズタイプの近接スイッチとしたため、電波ゴトの影響を受けるタイミングは遊技球検出時に限られ、影響を受けにくい構成となっているが、その場合においても、上流側に配置された検出スイッチの入球判定条件(左1入球フラグ設定条件)と下流側に配置された検出スイッチの入球判定条件(左2入球フラグ設定条件)とを異なる内容にすることにより、電波ゴトの実行を適切に判断することが可能となっている。
【実施例2】
【0099】
次に実施例2について説明する。本実施例に於いて電気的接続は実施例1と共通であり、遊技機を構成する部品は、左2スイッチ35c(右2スイッチ35e)の近接スイッチがノーマルオープン(NO)タイプに変更となる意外は実施例1と共通である。従って、重複する部分は実施例1を援用して説明を進める。
【0100】
実施例1は、監視対象となる左1スイッチ35bと左2スイッチ35cをどちらもノーマルクローズ(NC)タイプとしたが、本実施例は、下流側に配置する左2スイッチ35cをノーマルオープン(NO)タイプとした構成となっている。
【0101】
実施例1で説明した
図1、2、3、4は共通内容であるため説明は援用とし、監視対象の入球検出スイッチとして上流側に配置された左1スイッチ35b(NC)の入球判定条件(左1入球フラグ設定条件)と下流側に配置された左2スイッチ35c(NO)の入球判定条件(左2入球フラグ設定条件)から説明する。
【0102】
図12は、本実施例において左1スイッチ35b(NC)と左2スイッチ35c(NO)の入球判定タイミングを示すタイミングチャートである。(1)は、上流側に配置された左1スイッチ35b(NC)が出力するSW信号と入球判定の関係を示したタイミングチャートとなり、本実施例でも上流側に配置された左1スイッチ35b(NC)はNCタイプの近接スイッチとなるが、左1入球フラグの設定条件は実施例1とは異なる内容となっている。具体的には、主制御装置50が定時割込処理において検知するSW信号が非検出状態Low(0)から検出状態Hi(1)に変化してから3回連続して検出状態Hi(1)を維持した時点で左1入球フラグを設定する。従ってこの入球フラグ設定条件は、実施例1の左2入球フラグの設定条件、即ち下流側に配置された検出スイッチの入球判定条件と同一内容となっている。
【0103】
図12(2)は、下流側に配置された左2スイッチ35cが出力するSW信号と入球判定の関係を示したタイミングチャートとなる。上記したように本実施例では左2スイッチ35cはNOタイプであるため、遊技球の非検出時に検出状態がLow(0)、検出時に検出状態がHi(1)となり、SW信号も同一内容が出力される。このことから、NOタイプは、遊技球の非検出状態Low(0)において電波の周波数に合わせてSW信号が検出状態Hi(1)に持ち上げられてしまう構成となる。
【0104】
下流側に配置されたNOタイプの左2スイッチ35cが、遊技球の非検出状態Low(0)で遊技球を検出し、SW信号が検出状態Hi(1)に変化すると、主制御装置50の定時割込処理の間隔が2msであるため、SW信号の変化から2ms以内に検出状態への変化を検知する。主制御装置50が実行する左2スイッチ35cの入球判定では、定時割込処理でスイッチ信号が非検出状態Low(0)から検出状態Hi(1)に変化したことを検知し、更に次の定時割込処理においてSW信号が検出状態Hi(1)を維持したことを検知した時点で、遊技球が入球したと判断し左2入球フラグを設定する。従って、SW信号が変化してから(立ち上ってから)入球フラグが設定されるまでの条件は、実施例1で上流側に配置された左1スイッチ35bと同一内容となる。
【0105】
従って、左1スイッチ35bと左2スイッチ35cとの遊技球の入球判定を比べた場合、左1スイッチ35bの方がSW信号の変化を検知してから入球判定を実施するまでに多くの定時割込処理の実行が必要となり、これは、左2スイッチ35cよりも長時間検出状態を確認して入球判定を実施する構成を示している。
【0106】
なお、本実施例では、上流側に配置されたNCタイプの左1スイッチ35bの左1入球フラグ設定時(入球判定時)に入賞確認処理(S55)が実施される。これにより、賞球等の遊技進行に係る処理は、電波ゴトに対してより安全性の高いNCタイプのスイッチからのSW信号を基にして実行され、尚且つ該SW信号による入球判定を、より厳しい条件に設定した構成となっている。また、本実施例においても、各スイッチが出力するSW信号の検出に応じて、第1入球フラグと第2入球フラグが同一数成立すれば正常な遊技球の入球と判定する。
【0107】
次に、本実施例における、左1スイッチ35bと左2スイッチ35cの入球判定を実行するために主制御装置50が備えるスイッチデータバッファの構成と、入球判定を行うスイッチデータパターン(スイッチデータ検出パターン)を、
図13を用いて説明する。
【0108】
本実施例における左1スイッチ35bのスイッチデータバッファでは、(1)(a)の太枠に示すように、下位5bitが非検出状態「0」から検出状態「1」に変化した後に、検出状態「1」を3回維持した状態を示すスイッチデータ検出パターン「01111」となった場合に入球と判定し、左1入球フラグを設定する入球処理を実施する。また、上述したように、
図3S55で説明した入賞確認処理を実施する。
【0109】
左2スイッチ35cのスイッチデータバッファでは、(2)(a)の太枠に示すように、下位3bitが非検出状態「0」から検出状態「1」に変化した後に検出状態「1」を1回維持した状態を示すスイッチデータ検出パターン「011」となった場合に入球と判定し、左2入球フラグを設定する入球処理を実施する。本実施例でも、入球処理を実施するデータパターンを球検出スイッチ毎に備え、定時割込処理を実施する毎にデータ内容が更新されるスイッチデータバッファの一次記憶内容と、データテーブルに記憶されたデータパターンとを比較し、記憶内容とデータパターンが一致した場合に入球処理(又は/及び入賞確認処理)を実施する構成となっている。
【0110】
次に、
図14、
図15のタイミングチャートを用いて、左1スイッチ35bと左2スイッチ35cに電波が照射された場合の各入球フラグの設定タイミングと電波ゴトの判定タイミングについて説明する。
図14は、左一般入賞口35aへの遊技球入球時に左1スイッチ35bと左2スイッチ35cに4ms周期の電波が照射された場合のタイミングチャートとなる。
【0111】
本実施例の構成でも、上流側に配置された左1スイッチ35b(NC)と下流側に配置された左2スイッチ35c(NO)が、上流側から順に遊技球を検出する際に、4ms周期の電波を照射された場合(左1スイッチ35bが遊技球の検出を開始してから18ms後に左2スイッチ35cが同一遊技球を検出)、主制御装置50が定時割込処理によって検知する偽左1スイッチ35bの出力信号は、実際の遊技球の入球に応じて遊技球の非検出状態「0」から検出状態「1」に変化するが、実際に検出状態となる12msの期間では、照射された4ms周期の電波の影響で4ms毎に変化してしまう。但し、4msの電波では入球判定を行う「01111」のデータパターンを維持するまでには至らないため、左1入球フラグは設定されない。これは、実際に遊技球が入球した場合でも、該入球に合わせて電波が照射されると、該入球に応じた入球判定(入球フラグの設定)が実施されない構成といえる。また、本実施例では左1スイッチ35bの入球判定に応じて入賞確認処理(S55)が実施されるため、遊技球入球に基づく賞球の払出しも実施されない。従って、電波ゴトを実行することによって不利益を被る構成とも言える。
【0112】
下流側に配置された左2スイッチ35cでは、実際に遊技球を検出する以前から、電波の照射によってLow(0)状態のSW信号が4ms周期で変化し、主制御装置50が定時割込処理によって「011」のデータパターンを検知する。
【0113】
従って、本実施例の構成の場合、上流側に配置した左1SW35bへの入球を示す左1入球フラグが設定されていないにもかかわらず、下流側に配置した左2SW35cへの入球を示す左2入球フラグが設定された時点(C)で、電波ゴトが実行された可能性が高いと判断しエラー1報知が実行される。
【0114】
次に、8ms周期の電波を照射した場合を
図15のタイミングチャートを用いて説明する。なお、左1スイッチ35bと左2スイッチ35cが遊技球を検出するタイミングは、
図14の場合と同一となっている。
【0115】
左1スイッチ35bと左2スイッチ35cの遊技球検出時に図のようなタイミングで電波が照射されると、上流側の左1スイッチ35bの入球判定では「01111」のスイッチデータパターンが検知され、左1入球フラグが設定される。下流側の左2スイッチ35cの入球判定では、実際の遊技球の検出以前に、「011」のスイッチデータパターンが検知されるとともに、実際の遊技球の検出時にも「011」のスイッチデータパターンが検知される。
【0116】
従って、上流側に配置した左1スイッチ35bへの入球を示す左1入球フラグの設定回数よりも、下流側に配置した左2スイッチ35cへの入球を示す左2入球フラグの設定回数の方が多くなるため、余分に左2入球フラグが設定された時点(D)でエラー1報知を実行する。但しこのエラー1報知の判断も、
図14のエラー1報知と同様に、上流側に配置した左1SW35bへの入球を示す左1入球フラグが設定されていないにもかかわらず、下流側に配置した左2SW35cへの入球を示す左2入球フラグが設定された時点(D)でのエラー1報知となる。
【0117】
次に、本実施例において主制御装置50が実行する左1スイッチ入球判定処理2を、
図16のフローチャートを用いて説明する。この左1スイッチ入球判定処理2は、本発明の第1入球フラグ設定手段に該当する処理となる。
【0118】
左1スイッチ入球判定処理2の処理構成は、実施例1で説明した左1スイッチ入球判定処理1の処理構成と同一であり、左1スイッチ入球判定処理1のS115に該当するS315の判定条件のみが異なる内容となっている。具体的には、左1スイッチ35bのスイッチデータバッファに「1」が書き込まれた場合、スイッチデータバッファの下位5ビットが「01111」か否か判定し(S315)、否定判定なら(S315:no)リターンし、肯定判定なら(S315:yes)、入賞処理(S320)と、左1入球フラグに1を設定し(S325)リターンする。
【0119】
次に、本実施例において主制御装置50が実行する左2スイッチ入球判定処理2を、
図17のフローチャートを用いて説明する。この左2スイッチ入球判定処理2は、本発明の第2入球フラグ設定手段に該当する処理となる。
【0120】
左2スイッチ入球判定処理2の処理構成は、実施例1で説明した左2スイッチ入球判定処理1の処理構成と同一であり、左2スイッチ入球判定処理1のS165に該当するS370の判定条件のみが異なる内容となっている。具体的には、左2スイッチ35cのスイッチデータバッファに「1」が書き込まれた場合、スイッチデータバッファの下位3ビットが「011」か否か判定し(S370)、否定判定なら(S370:no)リターンし、肯定判定なら(S370:yes)、左2入球フラグに1を設定して(S375)リターンする。
【0121】
次に、本実施例において主制御装置50が実行する、左1入球フラグと左2入球フラグの設定を基に遊技球の入球状況を監視する入球判定処理2を、
図18のフローチャートを用いて説明する。この入球判定処理2は本発明の異常入球判定手段に該当する処理となる。
【0122】
入球判定処理2の処理構成は、実施例1で説明した入球判定処理1の処理構成と同一であるが、エラー1報知を実行する判定箇所が異なるものとなる。具体的には、実施例1のS225の判定に該当するS425の判定が否定判定なら(S425:no)、実施例1では玉詰まりの可能性が高いとしてエラー2報知を実施したが、本実施例では、
図14、15で説明した状況により、上流側に配置した左1スイッチ35bへの入球を示す左1入球フラグが設定されていないにもかかわらず、下流側に配置した左2SW35cへの入球を示す左2入球フラグが設定されたことにより、電波ゴトが実行された可能性が高いと判断しエラー1報知が実行される(S430)。これは、下流側に配置した左2スイッチ35cが、ノーマルオープンタイプであるために電波の影響を受け易いことに基づいた判断構成である。
【0123】
また実施例1では、S285が肯定判定の場合に電波ゴトの可能性が高いとしてエラー1報知を実施したが、本実施例の構成では、S285に該当するS485が肯定判定の場合(S485:yes)、左1スイッチ35bと左2スイッチ35cの間で玉詰まりが発生した可能性が高いと判断できるため、エラー2報知を実施する。
【0124】
以上が実施例2の説明となる。本実施例では、上流側に配置した左1スイッチ35bをノーマルクローズタイプとし、下流側に配置した左2スイッチ35cをノーマルオープンタイプとし、尚且つ各スイッチの入球判定条件(入球フラグ設定条件)を異なるものとしている。これにより、遊技球の検出時のみ電波ゴトが有効となる検出スイッチと、遊技球の非検出時に電波ゴトが有効になる検出スイッチを混在させることにより、不正行為の難易度を更に高くすることを可能としたうえで、安全性の高い検出スイッチで入賞確認処理を行うことが可能な構成となっている。
【実施例3】
【0125】
次に実施例3について説明する。本実施例に於いて電気的接続は実施例1と共通であり、遊技機を構成する部品は、左1スイッチ35b(右1スイッチ35d)の近接スイッチがノーマルオープン(NO)タイプに変更となる意外は実施例1と共通である。従って、監視対象となる検出スイッチのノーマルクローズタイプとノーマルオープンタイプの位置関係が、実施例2とは逆の構成となる。よって重複する部分は、実施例1と実施例2を援用して説明を進める。
【0126】
実施例1で説明した
図1、2、3、4、6、9、10は本実施例と共通内容であるため説明は援用とし、監視対象の入球検出スイッチとして上流側に配置された左1スイッチ35b(NO)の入球判定条件(左1入球フラグ設定条件)と、下流側に配置された左2スイッチ35c(NC)の入球判定条件(左2入球フラグ設定条件)から説明する。
【0127】
図19は、本実施例において左1スイッチ35b(NO)と左2スイッチ35c(NC)の入球判定タイミングを示すタイミングチャートである。(1)は、上流側に配置された左1スイッチ35b(NO)が出力するSW信号と入球判定の関係を示したタイミングチャートで、その内容は、実施例2の
図12(2)で説明した左2スイッチ35c(NO)のものと同一となっている。また、
図19(2)は、下流側に配置した左2スイッチ35c(NC)が出力するSW信号と入力判定の関係を示したタイミングチャートとなるが、その内容は、実施例2の
図12(1)で説明した左1スイッチ35c(NC)のものと同一となっている。
【0128】
従って、左1スイッチ35bと左2スイッチ35cとの遊技球の入球判定を比べた場合、下流側に配置した左2スイッチ35c(NC)の方がSW信号の変化を検知してから入球判定を実施するまでに多くの定時割込処理の実行が必要となり、これは、左1スイッチ35bよりも長時間検出状態を確認して入球判定を実施する構成を示している。
【0129】
なお、本実施例では、下流側に配置されたNCタイプの左2スイッチ35cの左2入球フラグ設定時(入球判定時)に、入賞確認処理(S55)が実施される。これにより、賞球等の遊技進行に係る処理は、電波ゴトに対して安全性の高いNCタイプのスイッチからのSW信号を基に実行され、尚且つ該SW信号による入球判定を、より厳しい条件に設定した構成となっている。また、本実施例においても、各スイッチが出力するSW信号の検出に応じて、第1入球フラグと第2入球フラグが同一数成立すれば正常な遊技球の入球と判定する。
【0130】
本実施例における、左1スイッチ35bと左2スイッチ35cの入球判定を実行するために主制御装置50が備えるスイッチデータバッファの構成は、実施例1で
図6を用いて説明した内容と同一となるため援用とする。
【0131】
次に、
図20、
図21のタイミングチャートを用いて、左1スイッチ35bと左2スイッチ35cに電波が照射された場合の各入球フラグの設定タイミングと電波ゴトの判定タイミングについて説明する。
図20は、左一般入賞口35aへの遊技球入球時に左1スイッチ35bと左2スイッチ35cに4ms周期の電波が照射された場合のタイミングチャートとなる。
【0132】
本実施例の構成でも、上流側に配置された左1スイッチ35b(NO)と下流側に配置された左2スイッチ35c(NC)が、上流から順に遊技球を検出する際に、4ms周期の電波を照射された場合(左1スイッチ35bが遊技球の検出を開始してから18ms後に左2スイッチ35cが同一遊技球を検出)、主制御装置50が定時割込処理によって検知する偽左1スイッチ35bの出力信号は、実際の遊技球の入球に応じて遊技球の非検出状態「0」から検出状態「1」に変化するが、NOタイプの検出スイッチにおいて遊技球検出によってSW信号が検出状態「1」に変化した場合は、電波の影響を受けないため、遊技球の検出期間中は検出状態「1」を継続して検知し、実際の遊技球の検出期間が終了し非検出状態Low「0」となる時点から電波の影響を受けSW信号が変化する。
【0133】
従って、実際の遊技球の検出に応じて「011」のデータパターンが検知され左1入球フラグを1回設定し、遊技球の検出期間が終了した後に、継続して照射された電波によって「011」のデータパターンが更に検知され2回目の左1入球フラグが設定される。
【0134】
続いて、左2スイッチ35c(NC)が実際に検出状態となる12msの期間では、照射された4ms周期の電波の影響で4ms毎にSW信号が変化するが、4ms周期の電波では左2スイッチ35c(NC)の入球判定を行う「01111」のデータパターンを維持するまでには至らないため、左2入球フラグは設定されない。これは、実際に遊技球が入球した場合でも、該入球に合わせて電波が照射されると、該入球に応じた入球判定(入球フラグの設定)が実施されない構成といえる。また、本実施例では左2スイッチ35cの入球判定に応じて入賞確認処理(S55)が実施されるため、遊技球入球に基づく賞球の払出しも実施されない。
【0135】
従って、上流側の左1スイッチ35bへの入球を示す左1入球フラグは、電波の照射によって複数回設定されるが、下流側の左2スイッチ35cへの入球を示す左2入球フラグは設定されない。これにより本実施例の構成で4ms周期の電波を照射された場合は、最後に左1入球フラグが設定された時点(E)から所定時間(本実施例では100ms)経過しても左2入球フラグが設定されない、若しくは、電波の照射が継続された場合に左1入球フラグの設定数が所定数(3)を上回るため、電波ゴトが実施された確率が高いと判断しエラー1報知を実行する。
【0136】
次に、8ms周期の電波を照射した場合を
図21のタイミングチャートを用いて説明する。なお、左1スイッチ35bと左2スイッチ35cが遊技球を検出するタイミングは、
図20の場合と同一となっている。
【0137】
左1スイッチ35bと左2スイッチ35cの遊技球検出時に図のようなタイミングで8ms周期の電波が照射されると、上流側の左1スイッチ35bの入球判定では、実際の遊技球の入球に応じて遊技球の非検出状態「0」から検出状態「1」に変化するが、NOタイプの検出スイッチにおいて遊技球検出によってSW信号が検出状態「1」に変化した場合は、電波の影響を受けないため、遊技球の検出期間中は検出状態「1」を継続して検知し、実際の遊技球の検出期間が終了し非検出状態Low「0」となる時点から電波の影響を受けSW信号が変化する。
【0138】
従って、8ms周期の電波を照射された場合でも、実際の遊技球の検出に応じて「011」のデータパターンが検知され左1入球フラグを1回設定し、遊技球の検出期間が終了した後に、継続して照射された電波によって「011」のデータパターンが更に検知されこの時点(F)で2回目の左1入球フラグが設定される。続いて、左2スイッチ35c(NC)が遊技球を検出する12msの期間に8ms周期の電波を照射されると、「01111」のデータパターンが1回検知される。
【0139】
従って、上流側の左1スイッチ35bへの入球を示す左1入球フラグは、電波の照射によって複数回設定されるが、下流側の左2スイッチ35cへの入球を示す左2入球フラグの設定回数は1回となる。これにより8ms周期の電波を照射された場合は、左2入球フラグが1回設定されるため、2回目に左1入球フラグが設定された時点(F)から所定時間(本実施例では100ms)経過しても左2入球フラグが設定されないため、電波ゴトが実施された確率が高いと判断しエラー1報知を実行する。
【0140】
本実施例において主制御装置50が実行する左1スイッチ入球判定処理3は、実施例1で
図9を用いて説明した左1スイッチ入球判定処理1と同一処理となり、左2スイッチ入球判定処理3は、実施例1で
図10を用いて説明した左2スイッチ入球判定処理1と同一処理となるため、説明は援用とする。
【0141】
次に、本実施例において主制御装置50が実行する、左1入球フラグと左2入球フラグの設定を基に遊技球の入球状況を監視する入球判定処理3を、
図22のフローチャートを用いて説明する。この入球判定処理3も、本発明の異常入球判定手段に該当する処理となる。
【0142】
入球判定処理3の処理構成は、2箇所を除いて入球判定処理1と共通の処理構成となり、エラー1報知の判定箇所も一部異なるものとなる。異なる処理構成は、入球判定処理1のS240に該当するS535の肯定判定後の処理と否定判定後の処理となり、具体的には、S535が否定判定の場合に(S535:no)、入球判定処理1のS235で実施したタイマデクリメント処理を行い、S535が肯定判定なら(S535:yes)、タイマ再設定処理を行う(S540)。タイマ再設定処理は、前回の左1入球フラグの設定に基づいてカウントを開始したタイマ(S515又はS540で設定)のカウントを終了し、カウンタ値をクリアしてからS515と同様にカウンタを初期値から再作動させる処理となる。
【0143】
また、本実施例で電波ゴトを報知するエラー1報知は、S550が肯定判定の場合と、S590が肯定判定の場合に実行される。S550の具体意的な判定内容は、正常な入球判定であれば、左1入球フラグの設定数(S520とS545でインクリメントするカウンタ値)と、左2入球フラグの設定数(S570のデクリメント回数)とで、整合性をとる処理が行われるが、電波によって左1入球フラグのみ設定される状況(
図20参照)が発生した場合に、この判定によってエラー1報知を実施する。
【0144】
S590の判定は、
図21の状況による電波ゴトを判断する内容となり、電波によって左2入球フラグが1回は設定されるが、左1入球フラグが先にそれ以上の数設定された場合は、2回目の左1入球フラグの設定時から所定時間(本実施例では100ms)経過した時点で電波ゴトの可能性が高いと判断できるためエラー1報知を実施する。
【0145】
以上が実施例3の説明となる。本実施例では、上流側に配置した左1スイッチ35bをノーマルオープンタイプとし、下流側に配置した左2スイッチ35cをノーマルクローズタイプとし、尚且つ二つのスイッチの入球判定条件(入球フラグ設定条件)を異なるものとしている。これにより、実施例2の構成と同様に、遊技球の検出時のみ電波ゴトが有効となる検出スイッチと、遊技球の非検出時に電波ゴトが有効になる検出スイッチを混在させることにより、不正行為の難易度を更に高くすることを可能としたうえで、安全性の高い検出スイッチで入賞確認処理を行うことが可能な構成となっている。
【0146】
以上が実施例の説明となる。全ての実施例では、監視対象となる検出スイッチの内、少なくとも1個はノーマルクローズタイプの検出スイッチを用いているため、電波ゴトが有効となる遊技球入球時を具体例として説明したが、遊技球入球時以外に電波を照射した場合、実施例1の場合は、二つの検出スイッチがともにノーマルクローズタイプであるため、電波によってSW信号が変化せず、影響を受けることはない。
【0147】
実施例2の場合は、下流側に配置されたノーマルオープンの左2スイッチ35cが影響を受けるが、左1入球フラグが設定されていないにもかかわらず左2入球フラグが設定されることにより、
図18のS425の否定判定によりエラー1報知が実行される。
【0148】
実施例3の場合は、上流側に配置されたノーマルオープンの左1スイッチ35bが影響を受けるが、左1入球フラグのみが設定されるため、左1入球フラグの設定数が所定数を超えた場合は、
図22のS550の肯定判定によりエラー1報知が実施され、左1入球フラグの設定数が所定数を超えない場合でも、S590の肯定判定によりエラー1報知が実施される。
【0149】
従って、左1スイッチ35bと左2スイッチ35cの異なる入球条件により左1入球フラグと左2入球フラグとがそれぞれ設定され、所定時間内に1対1の設定により整合性が取れた場合のみ正常な入球と判定されるため、どちらか一方の検出スイッチに対して局所的に電波が照射された場合は、一方の入球フラグしか設定されないため必ず電波ゴトを報知するエラー1報知を実行する。