特許第5909617号(P5909617)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5909617
(24)【登録日】2016年4月8日
(45)【発行日】2016年4月27日
(54)【発明の名称】ナノ濾過膜
(51)【国際特許分類】
   B01D 67/00 20060101AFI20160414BHJP
   B01D 69/10 20060101ALI20160414BHJP
   B01D 69/12 20060101ALI20160414BHJP
   B01D 71/44 20060101ALI20160414BHJP
   C08J 7/04 20060101ALI20160414BHJP
【FI】
   B01D67/00
   B01D69/10
   B01D69/12
   B01D71/44
   C08J7/04 ACFG
【請求項の数】7
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2013-552957(P2013-552957)
(86)(22)【出願日】2012年2月9日
(65)【公表番号】特表2014-506531(P2014-506531A)
(43)【公表日】2014年3月17日
(86)【国際出願番号】EP2012052165
(87)【国際公開番号】WO2012107510
(87)【国際公開日】20120816
【審査請求日】2013年9月4日
(31)【優先権主張番号】11153944.1
(32)【優先日】2011年2月10日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】505422707
【氏名又は名称】ランクセス・ドイチュランド・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100089037
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】マルティン・メヘルホフ
(72)【発明者】
【氏名】トマス・フリュー
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー・コール
(72)【発明者】
【氏名】シャオピン・ウー
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー・ボム
【審査官】 池田 周士郎
(56)【参考文献】
【文献】 特表平09−503155(JP,A)
【文献】 米国特許第05075011(US,A)
【文献】 特開2003−128833(JP,A)
【文献】 特開平04−213334(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 61/00−71/82
C08J 7/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
多孔性支持膜の表面が、モノマーとして少なくともブタジエン、スチレンおよびヒドロキシエチルメタクリレートを含む乳化重合によって製造され、かつ30〜65nmの平均粒径を有するポリマー粒子でコートされていることを特徴とする、多孔性支持膜を有するナノ濾過膜の製造方法
【請求項2】
乳化重合によって製造される前記ポリマー粒子が少なくとも部分的に架橋されることを特徴とする、請求項1に記載の方法
【請求項3】
乳化重合によって製造される前記ポリマー粒子が、前記重合における多官能性モノマーの添加によって少なくも部分的に官能化されることを特徴とする、請求項2に記載の方法
【請求項4】
前記多官能性モノマーが、少なくとも2つの共重合性C=C二重結合を有する化合物からなる群から選択されることを特徴とする、請求項3に記載の方法
【請求項5】
リマー層(分離活性層)が前記支持膜上に形成されることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
請求項1〜のいずれか一項に記載の方法のための、乳化重合によって製造され、かつ30〜60nmの平均粒径を有するポリマー粒子の使用。
【請求項7】
前記ナノ濾過膜が、食品、化学または生物化学工業のためのものであることを特徴とする、請求項1〜のいずれか一項に記載の方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多孔性支持膜を有するナノ濾過膜に、この膜の製造方法に、およびその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
化学工業、食品工業、飲料工業、エレクトロニクス工業および医薬品工業においては、たとえば、固体/液体混合物および液体の分離のために膜が使用されている。環境技術との関連で、これらの膜はまた、廃水の精製および飲料水の製造にも使用されている。
【0003】
様々な膜分離技術が先行技術から公知である。それらは、精密濾過、限外濾過およびナノ濾過、ならびにまた逆浸透を含む。これらの技術は、機械的分離プロセスとして分類することができる。分離メカニズムは、異なる膜構造によって支配される。これらの構造は、その直径が分離されるべき粒子のそれよりも小さい膜細孔によって分離を行う。
【0004】
ナノ濾過膜および逆浸透膜を使用する分離における別の重要なメカニズムは、立体効果に加えて、膜の表面上の相当する荷電基との水溶液中で溶液中のイオンの、または部分解離した炭化水素の静電相互作用である。この相互作用は、それぞれ、類似サイズの粒子半径を有するが電荷または官能性が異なる2つの物質の分離を可能にする。同様に、たとえば、ナノ濾過または逆浸透用などの、相応して小さい細孔を持った膜の場合における分離は、溶液中に存在する物質の透過時に膜を通って拡散する傾向の差異に基づく可能性がある。
【0005】
圧力下での液体の公知の処理方法は、精密濾過、限外濾過およびナノ濾過である。ナノ−、限外−および精密−濾過膜の細孔径は、約0.001μm〜10.0μmである。
【0006】
膜を特徴づけるために物質について保持率Rを用いることは通例である。
【数1】
ここで、wは特定の物質の質量分率である。
【0007】
保持率は、供給液中の濃度に対して、透過液(ラテン語、「permeare」=通過することから)中の分離された物質のパーセンテージ分率を示す。それは、温度にのみならず、膜間圧または流量および出発液の濃度にも依存する。濃縮液(ラテン語、「retenere」=保持することから)は、分離されるべき物質の濃度を構成し、この濃度は供給液と比較して増加している。
【0008】
これは、膜の分離特性を評価するときに困難を示す。膜の大まかな分類は多くの場合、流量とともに分子カットオフによって与えられる。このカットオフは、膜がそれに対して少なくとも90%の保持率を有するモル質量と同じ意味であり、分離されるべき物質の分子構成に依存して、特にナノ濾過範囲で、非常に異なる可能性がある。ナノ濾過膜のカットオフは、典型的には1500g/モル未満である。限外濾過膜は、約150,000g/モル未満のカットオフを典型的には有する。
【0009】
たとえば、ガスの分離などの、分子レベルでの分離、ならびにまたパーベーパレーションおよび/または蒸気透過のために使用される、有機ポリマーをベースとする膜が同様に公知である。しかし、これらのポリマー膜の不利な点は、膜材料を破壊するかまたはそれを膨潤させる溶媒に対するポリマー膜の感受性のために、それらの短い寿命である。さらに、一般的なポリマー膜の比較的低い温度耐性が問題である。
【0010】
セラミック膜の組成に応じて、それらが有機化合物、酸またはアルカリに対して非常に大きく不活性でありそして、さらに、それらがポリマー材料よりも高い温度耐性を有するので、かなりより大きい寿命を有する、セラミック膜がまた頻繁に使用される。したがって、それらはまた、たとえば、蒸気透過などの、化学操作における分離作業のために使用することができる。これらの種類のセラミック膜は、最上部層、実際の分離作業を引き受ける層が最小の細孔を有し、かつできるだけ薄いように構築される状態で、異なる厚さおよび細孔径のセラミック層の総合的な、多層システムを生成するという方法で、ゾル−ゲル法によってまたは浸漬コーティング法によって典型的には製造される。セラミック材料の低い弾性の結果として、セラミック膜は、機械的負荷に敏感であり、容易に壊れる。ポリマー膜とは対照的に、それらは、スペースを取らない巻きモジュールを製造するために巻くことができない。
【0011】
すべての公知の膜合成法について、主要な問題は、正確におよび一様に分離活性層の細孔径および細孔形状のセッティングを制御すること、それ故に非常に狭い細孔径分布を達成することであると一般に述べることができる。
【0012】
非常に多種多様のポリマーでできたポリマー膜が、幅広いpH範囲および多数の用途向けに、比較的好ましいコストで入手可能であるが、大抵の場合に有機溶媒に対する耐性を欠き、かつまた非常に高いおよび/または非常に低いpHレベルでの耐性を欠く。さらに、80℃超における耐久性のある温度安定性は、ほとんど特徴とは言えない。ポリマー膜のこれらの特性を改善することを目的とした多くのアプローチがこれまでにあったが、上記の要件の1つが満たされないことは多くの場合事実である。さらに、比較的高い温度で、大半のポリマーは塑性的に変形し得る。これは、膜が比較的高い温度で圧力下に運転されるときに全体として膜の締固めをもたらす。この締固めは、膜の細孔微細構造が完全に圧縮される原因となり、それによって濾過に対する抵抗の急増を生み出す。フローの減少がそれによって誘発される。普通のポリマー材料の別の不利な点は、有機溶媒または油に対する不十分な耐性、およびポリマーへの油の可塑化影響である。これは、膜の分離能力に悪影響を及ぼす。
【0013】
膜技術は、液体の混合物の精製において重要な役割を果たす。逆浸透を用いる塩水からの飲料水の回収において、および生成物の処理において、特に、限外濾過およびナノ濾過技術、ならびに逆浸透膜は、使用が増加しつつある。
【0014】
一般的に言えば、膜プロセスにおいては、希薄溶液が濃縮され、有機溶媒、水溶液または塩溶液が分離される。本明細書では、価値のある化合物か汚染物質化合物かのどちらかが、濃縮溶液およびおそらくより低い塩含有率溶液で得られ、その後の貯蔵、輸送、廃棄処分およびさらなる処理をより費用効果的にする。廃水処理においては、特に、膜処理の目的は、容積の最大部分を、汚染されていないかまたはほんのわずかに汚染された形態の透過液として回収することである。濃縮された濃縮液は、より少ない費用および努力で、価値のある残留化合物の観点から処理することができるか、または、たとえば、焼却によるなど、この濃縮形態でより費用効果的に廃棄処分することができる。
【0015】
膜技術の分野は、非常に多種多様の異なるプロセスを包含する。その結果として、異なる膜とそのような膜の異なる技術的設計とがまた存在する。技術的に関連した膜分離技術は、直交流濾過として主に運転される。高剪断速度は、高い流量および特有のモジュール構成の結果として、膜汚れを最小限しに、かつ濃度分極を減少させることを意図される。
【0016】
商業的に入手可能なナノ濾過膜は、たとえば、(特許文献1)に記載されているように、相界面縮合を用いて製造される複合膜である。しかし、これらの公知の膜は、非常に高くつき、製造するのに不便であり、発癌性ジアミンおよび高反応性アクリロイルクロリドが使用される反応剤の例であるので、コストの意味合いを有する安全手段を使ってのみ製造できる。この種の膜は、たとえば、フラットフィルムモジュール、カセットモジュール、渦巻き形モジュールまたは中空繊維モジュールの形態で、多様な形状を有してもよい。
【0017】
さらに、市販の濾過膜は、約80℃以下のプロセス温度でのみ通常使用することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】米国特許第5,049,167号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
それ故、高い熱荷重負担能力、有機および無機溶媒中でのならびにまた高いおよび低いpHレベルでの良好な安定性、かつ、さらに、好適な表面改質に基づいて良好な分離特性を示す高性能ナノ濾過膜を提供することが本発明の目的である。本発明のさらなる目的は、問題になっている膜について画定された細孔径を生成することが可能である方法の提供である。
【課題を解決するための手段】
【0020】
先行技術から、比較的狭い細孔径分布を有する複合膜を得るために、ポリマー粒子が、比較的幅広い細孔径分布を有する多孔性基材上に堆積させ得ることは知られている。粒子間の空洞は、それを使って分離が液体から行われ得る細孔を形成する。この方法で得られる複合膜は、たとえば、限外濾過膜および精密濾過膜として使用することができる。
【0021】
本目的の達成のために、それ故、乳化重合によって製造され、かつ70nm未満、好ましくは30〜65nm、より好ましくは40〜50nmの平均粒径を有するポリマー粒子で支持膜の表面がコートされている、冒頭で明記されたタイプのナノ濾過膜が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本明細書では、たとえば、カットオフで特徴づけられる、膜の濾過品質と、濾過膜の構成とは区別される。
【0023】
ナノ濾過膜についての以下の言及は、そのような膜を製造するための、100nm以下の粒径範囲のポリマー粒子の使用についてである。用語「ナノ濾過膜」は、その分離特性についていかなる意味合いも持たない。
【0024】
分離効果、分離特性および分離挙動は、同じ意味で用いられる。分離効果は、前述のカットオフを用いて定義される。
【0025】
ポリマー粒子およびナノ粒子は、本明細書では同義語として用いられる。
【0026】
乳化重合によって製造され、かつ70nm未満、好ましくは30〜65nm、より好ましくは40〜50nmの平均粒径を有するポリマー粒子の使用は、粒度、粒子モルフォロジ、膨潤挙動、触媒作用活性、硬度、寸法安定性、粘着性、表面エネルギー、耐老化性および衝撃靱性などの、ポリマー粒子の化学的および物理的特性が調節できるので、他のポリマー粒子に勝る多数の利点を提供する。これは、一方では製造方法によって、より具体的には重合プロセスによって、およびまた好適なベースモノマーの選択によって、かつ他方ではポリマー粒子において幅広い限界内でカスタマイズするかまたは調整することができるその好適な官能基、濃度および占有範囲の選択によって成し遂げられる。
【0027】
分離活性層はそれ故、本発明のナノ濾過膜の、ポリマー層とも言われる、乳化重合によって製造され、かつ70nm未満、好ましくは30〜65nm、より好ましくは40〜50nmの平均粒径を有するポリマー粒子で製造される層である。
【0028】
乳化重合とは、より具体的には、それ自体が公知であり、かつ使用される反応媒体が通常は水であり、使用されるモノマーが、通常は水性ポリマーラテックスの形成とともに、乳化剤およびラジカル形成物質の不在もしくは存在下に重合させられるプロセスを意味する(とりわけRoempp Lexikon der Chemie,Volume 2,10th Edition,1997;P.A.Lovell,M.S.El−Aasser,Emulsion Polymerization and Emulsion Polymers,John Wiley & Sons,ISBN:0 471 96746 7;H.Gerrens,Fortschr.Hochpolym.Forsch.1,234(1959)を参照されたい)。懸濁重合または分散重合とは違って、乳化重合は、分離活性層においてより小さい隙間直径、それ故により小さい細孔径を可能にする、比較的細かい粒子を一般に生成する。500nm未満のサイズの粒子は、懸濁重合または分散重合によって一般に得られず、そのためこれらの粒子は、本特許出願の目的に一般に適さない。
【0029】
意外にも、画定されたポリマー粒子の選択の結果として、本発明のナノ濾過膜を安定化させるために追加の熱的または化学的手段を用いることは、もはやまったく必要ではないことが分かった。
【0030】
モノマーの選択は、ポリマー粒子のガラス転移温度およびガラス転移の幅を調整するために用いられる。ポリマー粒子のガラス転移温度(Tg)およびガラス転移の幅(ΔTg)は、好ましくは以下に記載されるように、示差走査熱量測定法(DSC)を用いて測定される。TgおよびΔTgのこの測定のためには、2つの冷却/加熱サイクルが実施される。TgおよびΔTgは、第2加熱サイクルで測定される。測定は、約10〜12mgの選択されたポリマー粒子を、Perkin−Elmer製のDSC試料ホルダー(標準アルミニウムボート)中で使用する。第1DSCサイクルは、先ず試料を液体窒素で−100℃に冷却し、次にそれを+150℃まで20K/分の速度で加熱することによって実施される。第2DSCサイクルは、+150℃の試料温度に達するや否や試料の即時冷却によって開始される。第2加熱サイクルにおいて、試料は、第1サイクルにおけるように再び+150℃まで加熱される。第2サイクルにおける加熱速度は再び20K/分である。TgおよびΔTgは、第2加熱プロセスのDSC曲線からグラフを使って求められる。この目的のためには、3つの直線がDSC曲線上に引かれる。第1ラインは、Tgよりも下のDSC曲線の部分上に、第2ラインは、変曲点で、Tgを通過する曲線の分岐上に、かつ第3ラインは、Tgよりも上のDSC曲線の分岐上に引かれる。このようにして、2つの交差点のある3つの直線が得られる。これら2つの交差点のそれぞれが、特性温度によって特徴づけられる。ガラス転移温度Tgは、これら2つの温度の平均値として得られ、ガラス転移の幅、ΔTgは、2つの温度間の差から得られる。
【0031】
ポリマー粒子は、−85℃〜150℃、より好ましくは−75℃〜110℃、非常に好ましくは−70℃〜90℃のガラス転移温度(Tg)を好ましくは有する。
【0032】
本発明に従って使用されるポリマー粒子についてのガラス転移の幅は、好ましくは5℃よりも大きい、より好ましくは10℃よりも大きい。
【0033】
乳化重合によって製造されるポリマー粒子は好ましくはゴム様である。
【0034】
ゴム様ポリマー粒子は好ましくは、たとえば、ブタジエン、イソプレン、2−クロロブタジエンおよび2,3−ジクロロブタジエンなどの共役ジエン、酢酸ビニル、スチレンもしくはその誘導体、2−ビニルピリジンおよび4−ビニルピリジン、アクリロニトリル、アクリルアミド、メタクリルアミド、テトラフルオロエチレン、フッ化ビニリデン、ヘキサフルオロプロペン、ならびに二重結合含有ヒドロキシル、エポキシ、アミノ、カルボニルおよびケト化合物をベースとするものである。
【0035】
好ましいモノマーまたはモノマー組み合わせとしては、次のもの:ブタジエン、イソプレン、アクリロニトリル、スチレン、アルファ−メチルスチレン、クロロプレン、2,3−ジクロロブタジエン、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、アクリル酸、ジアセトンアクリルアミド、テトラフルオロエチレン、フッ化ビニリデンおよびヘキサフルオロプロペンが挙げられる。
【0036】
「に基づく」は本明細書では、ポリマー粒子が、好ましくは60重量%超、より好ましくは70重量%超、非常に好ましくは90重量%の程度までの規定のモノマーからなることを意味する。
【0037】
ポリマー粒子は、架橋されていても非架橋であってもよい。ポリマー粒子はより具体的には、ホモポリマーまたはランダムコポリマーに基づく粒子であってもよい。用語ホモポリマーおよびランダムコポリマーは、当業者に公知であり、たとえばVollmert,Polymer Chemistry,Springer 1973に説明されている。
【0038】
より具体的には、次のものが、官能基を含むゴム様の架橋もしくは非架橋ポリマー粒子のポリマー基盤として役立つ可能性がある:
BR: ポリブタジエン、
ABR: ブタジエン/アクリル酸C1〜4アルキルエステルコポリマー、
IR: ポリイソプレン、
SBR: 1〜60、好ましくは5〜50重量パーセントのスチレン含有率を有するランダムスチレン−ブタジエンコポリマー、
FKM: フッ素化ゴム、
ACM: アクリレートゴム、
NBR: 5〜60、好ましくは10〜60重量パーセントのアクリロニトリル含有率を有するポリブタジエン−アクリロニトリルコポリマー、
CR: ポリクロロプレン、
EAM: エチレン/アクリレートコポリマー、
EVM: エチレン/酢酸ビニルコポリマー。
【0039】
他の好ましいポリマー粒子は熱可塑性であり、メタクリレート、より具体的には、メチルメタクリレート、スチレン、アルファ−メチルスチレンおよびアクリロニトリルをベースとする。
【0040】
ポリマー粒子は、おおよそ球形状を好ましくは有する。
【0041】
本発明に従って使用されるポリマー粒子は、70nm未満、好ましくは30〜65nm、より好ましくは40〜50nmの平均粒径を有する。
【0042】
平均粒径は、乳化重合からのポリマー粒子の水性ラテックスを使って超遠心分離を用いて測定される。この方法は、あらゆる凝集塊を考慮する粒径についての平均値をもたらす(H.G.Mueller(1996)Colloid Polymer Science 267:1113−1116、およびW.Scholtan,H.Lange(1972)Kolloid−Z u.Z.Polymere 250:782)。超遠心分離は、全体粒度分布が特性化され、かつ数平均および重量平均などの、異なる平均が分布曲線から計算できるという利点を有する。本発明に従って用いられる平均直径数字は、重量平均を意味する。d10、d50およびd80などの直径数字を用いることが可能である。これらの数字は、粒子のそれぞれ、10重量%、50重量%および80重量%が重量%単位での相当する数値よりも小さい直径を有することを意味する。
【0043】
動的光散乱を用いる直径測定がラテックスに関して実施される。お決まりのレーザーは、633nm(赤)でおよび532nm(緑)で動作するものである。動的光散乱は、粒度分布曲線についての平均値を生成する。本発明に従って用いられる平均直径数字は、この平均値に関する。
【0044】
粒子は、粒度が反応剤およびまた乳化剤濃度、開始剤濃度、有機相対水相の液比、親水性モノマー対疎水性モノマーの比、架橋モノマーの量、重合温度などを変えることによって幅広い直径範囲内に調整される状態で、乳化重合によって製造される。
【0045】
重合後に、ラテックスは、揮発性成分、より具体的には未反応モノマーを除去するために減圧蒸留によってまたは過熱水蒸気でのストリッピングによって処理される。
【0046】
たとえば、凝固法による、製造されたポリマー粒子のいかなるさらなる処理も必要とされない。
【0047】
乳化重合によって製造され、かつ本発明に従って使用されるポリマー粒子は、好ましい一実施形態においては、少なくとも部分的に架橋される。
【0048】
乳化重合によって製造されるポリマー粒子の架橋は、たとえば、ジイソプロペニルベンゼン、ジビニルベンゼン、ジビニルエーテル、ジビニルスルホン、ジアリルフタレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、1,2−ポリブタジエン、N,N’−m−フェニレンマレイミド、2,4−トリレンビス(マレイミド)、トリアリルトリメリテート、グリシジルメタクリレート、エチレングリコール、プロパン−1,2−ジオール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、2〜20、好ましくは2〜8のオキシエチレン単位のポリエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ビスフェノールA、グリセロール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトールなどの、多価、好ましくは2価〜4価の、C2〜C10アルコールのアクリレートおよびメタクリレート、ならびにまた脂肪族ジオールおよびポリオールとマレイン酸、フマル酸、および/またはイタコン酸との不飽和ポリエステルなどの、少なくとも2つ、好ましくは2〜4つの、共重合性C=C二重結合を有する化合物の添加によってなどの、重合における多官能性モノマーの添加によって好ましくは成し遂げられる。
【0049】
ポリマー粒子は、架橋活性を有する多官能性化合物との共重合によってなどの、乳化重合中に直接に、または下記のようにその後の架橋によって架橋されてもよい。乳化重合中の直接架橋が好ましい。好ましい多官能性コモノマーは、ジイソプロペニルベンゼン、ジビニルベンゼン、ジビニルエーテル、ジビニルスルホン、ジアリルフタレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、1,2−ポリブタジエン、N,N’−m−フェニレンマレイミド、2,4−トリレンビス(マレイミド)および/またはトリアリルトリメリテートなどの、少なくとも2つ、好ましくは2〜4つの、共重合性C=C二重結合を有する化合物である。脂肪族アミン、エポキシドならびにエチレングリコール、プロパン−1,2−ジオール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、2〜20、好ましくは2〜8のオキシエチレン単位のポリエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ビスフェノールA、グリセロール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトールなどの、多価、好ましくは2価〜4価の、C2〜C10アルコールのアクリレートおよびメタクリレートならびにまた脂肪族ジオールおよびポリオールとマレイン酸、フマル酸、および/またはイタコン酸との不飽和ポリエステルがさらに考えられる。
【0050】
乳化重合中の架橋はまた、高転化率までずっと重合を続行することによってまたは、モノマー供給プロセスでは、高い内部転化率での重合によって行われてもよい。代わりの可能性は、連鎖移動調整剤の不在下で乳化重合を実施することである。
【0051】
乳化重合後の非架橋のまたはほんのわずかに架橋したポリマー粒子の架橋のためには、乳化重合で得られるラテックスを使用することが最良である。
【0052】
架橋活性を有する好適な化学薬品の例としては、ジクミルペルオキシド、第三ブチルクミルペルオキシド、ビス(第三ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、ジ−第三ブチルペルオキシド、2,5−ジメチルヘキサン 2,5−ジヒドロペルオキシド、2,5−ジメチルヘキ−3−イン 2,5−ジヒドロペルオキシド、ジベンゾイルペルオキシド、ビス(2,4−ジクロロベンゾイル)ペルオキシド、過安息香酸第三ブチルなどの、有機過酸化物、ならびにまた、アゾビスイソブチロニトニルおよびアゾビスシクロヘキサンニトリルなどの、アゾ化合物およびまた、ジメルカプトエタン、1,6−ジメルカプトヘキサン、1,3,5−トリメルカプトトリアジンなどの、ジメルカプトおよびポリメルカプト化合物、およびビスクロロエチルホルマールとナトリウムポリスルフィドとのメルカプト末端反応生成物などのメルカプト末端ポリスルフィドゴムが挙げられる。
【0053】
ポスト架橋を実施するための最適温度は、架橋剤の反応性にもちろん依存し、室温から約180℃以下の温度で高められた圧力下に任意選択的に実施されてもよい(これに関連して、Houben−Weyl,Methoden der organischen Chemie,4th Edition,Volume 14/2、page 848を参照されたい)。特に好ましい架橋剤は過酸化物である。
【0054】
ポリマー粒子を形成するためのC=C二重結合を含有するゴムの架橋はまた、米国特許第5,302,696号明細書もしくは米国特許第5,442,009号明細書に記載されているようにヒドラジン、または、任意選択的に、例が有機金属水素化物錯体である、他の水素化剤によるC=C二重結合の同時の、部分的な、任意選択的に完全な水素化とともに分散液でまたはエマルジョンで行われてもよい。
【0055】
ポスト架橋前に、中にまたは後に、任意選択的に、凝集による粒子拡大を実施することが可能である。
【0056】
本発明に従って使用される架橋ポリマー粒子は有利には、少なくとも約70重量%、より好ましくは少なくとも約80重量%、より好ましくは90重量%、さらにより好ましくは少なくとも約98重量%の23℃でトルエンに不溶性の画分(ゲル含有率)を有する。このトルエン不溶性画分は、23℃でトルエン中で測定される。この測定において、250mgのポリマー粒子が、23℃で24時間振盪しながら25mlのトルエン中で膨潤させられる。20,000rpmでの遠心分離後に、不溶性画分が分離され、乾燥させられる。ゲル含有率は、乾燥残渣対最初の質量の比によって与えられ、重量パーセント単位で表される。
【0057】
使用される架橋ポリマー粒子はまた有利には、約80未満、より好ましくは60未満、さらにより好ましくは40未満の23℃でのトルエン中の膨潤指数を有する。したがって、ポリマー粒子の膨潤指数(Qi)は、特に好ましくは1〜20および1〜10である。膨潤指数は、(20,000rpmで遠心分離後の)23℃で24時間トルエン中で膨潤させられた溶媒含有ポリマー粒子の重量および乾燥ポリマー粒子の重量から計算される。
Qi=ポリマー粒子の湿潤重量/ポリマー粒子の乾燥重量
【0058】
膨潤指数を測定するために、250mgのポリマー粒子が24時間振盪しながら25mlのトルエン中で膨潤にかけられる。ゲルは、遠心分離によって回収され、秤量され、その後70℃で一定重量まで乾燥させられ、再び秤量される。
【0059】
支持膜は、好ましくは無機または有機材料からなる。
【0060】
さらに、支持膜が化学的におよび/または機械的に安定であることが有利である。それは、pH安定であり、かつまた、たとえば、アルデヒド、ケトン、一価および多価アルコール、ベンゼン誘導体、ハロゲン化炭化水素、エーテル、エステル、カルボン酸、環式炭化水素、アミン、アミド、ラクタム、ラクトン、スルホキシド、アルカンおよびアルケンなどの、有機溶媒中でも安定であるべきである。
【0061】
次の溶媒:アセトン、トルエン、ベンゼン、水、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、N−エチルピロリドン、ピリジン、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、メチルエチルケトン、ジエチルエーテル、ジクロロメタン、テトラクロロエタン、四塩化炭素、メチル第三ブチルエーテル、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン、ニトロベンゼン、酢酸エチル、シクロヘキサン中で化学的に安定である支持膜を選択することが好ましい。
【0062】
本発明のナノ濾過膜はまた、特に10〜14および/または1〜4のpH範囲でも安定であることが分かった。
【0063】
膜の適用のためには、支持膜が、室温でおよび典型的な適用プロセス温度においての両方で温度安定性である材料からなることが、さらに、有用である。50〜200℃、好ましくは70〜150℃、かつまた80〜120℃の温度安定性がまた考えられる。
【0064】
無機の、透過性支持膜として、たとえば、不織ガラスマイクロファイバー布、不織金属布、密に織られたガラスファイバー布または織金属布を、しかしまた織もしくは不織セラミックまたは炭素繊維布を使用することが可能である。当業者には、支持膜として相当するサイズの開気孔または開口部を有するすべての他の公知の、好ましくは可撓性の材料を使用することが本明細書ではまた可能であることは明らかである。たとえば、Al、酸化チタン、酸化ジルコニウムまたは酸化ケイ素から選択される酸化物でできた無機支持材料などの、セラミック複合材料を、同様にうまく使用することができる。無機支持膜は好ましくはまた、セラミック、SiC、Si、カーボン、ガラス、金属または半金属から選択される材料を特徴とする。さらに、ポリイミド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリベンズイミダゾール、ポリアミドなどの、十分な化学的および熱的安定性を有する有機ポリマー材料が支持膜として使用されることが可能である。
【0065】
支持膜は、500nm未満の細孔径を好ましくは有する。特に好ましくはそれらは、100nm未満の、非常に好ましくは50nm未満の細孔径を有する。
【0066】
支持膜の細孔径は、特に好ましくはポリマー粒子の平均粒径よりも小さい。
【0067】
支持膜の厚さは、好ましくは5〜100μm、より好ましくは20〜80μm、非常に好ましくは30〜60μmである。
【0068】
乳化重合によって製造されるポリマー粒子は、重合における多官能性モノマーの添加によって少なくとも部分的に好ましくは官能化される。これに関連して、多官能性モノマーは、次のもの:ジイソプロペニルベンゼン、ジビニルベンゼン、ジビニルエーテル、ジビニルスルホン、ジアリルフタレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、1,2−ポリブタジエン、N,N’−m−フェニレンマレイミド、2,4−トリレンビス(マレイミド)、トリアリルトリメリテート、脂肪族アミン、エポキシドならびにエチレングリコール、プロパン−1,2−ジオール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、2〜20、好ましくは2〜8のオキシエチレン単位のポリエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ビスフェノールA、グリセロール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトールなどの、多価、好ましくは2価〜4価の、C2〜C10アルコールのアクリレートおよびメタクリレートならびにまた脂肪族ジオールおよびポリオールとマレイン酸、フマル酸、および/またはイタコン酸との不飽和ポリエステルなどの、少なくとも2つ、好ましくは2〜4つの、共重合性C=C二重結合を有する化合物からなる群から選択されてもよい。
【0069】
本発明のナノ濾過膜の分離活性層は、70nm未満、好ましくは30〜65nm、より好ましくは40〜50nmの平均粒径を有するポリマー粒子の少なくとも1つの単分子層を好ましくは有する。
【0070】
本発明のナノ濾過膜の好ましい一実施形態は、ポリマー粒子の複数の層が互いのトップ上にある、0.1〜20μmの厚さの分離活性層を有する。
【0071】
分離活性層の厚さは好ましくは、支持膜のそれ以下である。
【0072】
さらなる発明は、乳化重合によって製造されるポリマー粒子の分散液(ラテックス)が支持膜に塗布され、ポリマー層(分離活性層)が支持膜上に形成される、本発明のナノ濾過膜の製造方法である。
【0073】
使用される分散液は非常に大部分は単分散である、すなわち、動的光散乱の方法によれば、ポリマー粒子の95.4%は±7nmの偏差のサイズ階級に存在することが解明された。
【0074】
本方法は好ましくは連続的に実施される。
【0075】
水性分散液は、70nm未満、好ましくは30〜65nm、より好ましくは40〜50nmの平均粒径を有するポリマー粒子を好ましくは含み、重合後の乾燥ゴム含有率は、ポリマーの総体積を基準として、少なくとも20%、好ましくは少なくとも25%、より好ましくは少なくとも30%である。
【0076】
ポリマーの総体積を基準として、65%以下の乾燥ゴム含有率へのラテックスの濃縮は、製造のために同じく考えられる。
【0077】
乾燥ゴム含有率は、次の通り測定される:乾燥ゴム含有率は、たとえば、Mettler Toledo Halogen Moisture Analyzer HG63などの、ハロゲン水分測定器を用いて測定される。本明細書では、ラテックスは、140℃の温度で乾燥させられ、連続計量にかけられる。測定は、減量が1mg/50秒未満であるときに終了であると考えられる。
【0078】
重合後の乾燥ゴム含有率は、ポリマーの総体積を基準として、好ましくは65%以下である。
【0079】
ポリマー粒子のラテックスは、ノズルを用いて支持膜に好ましくは塗布される。
【0080】
下流工程において、この方法で形成されたナノ濾過膜は乾燥させられる。こうして形成されたナノ濾過膜は、ポリマー粒子が互いにおよび/または結果として支持膜に結合する状態で、さらに架橋されると考えられる。電磁(たとえばUV)、熱および/または放射線によって開始される、化学的(共有および/またはイオン)ならびにまた物理的架橋モードを用いることが通例である。すべての従来の架橋補助装置を使用することができる。
【0081】
結果として、細孔径はもっとさらに減らされ、濾過特性は変性される。
【0082】
さらなる発明は、ナノ濾過膜を製造するための、乳化重合によって製造され、かつ70nm未満、好ましくは30〜65nm、より好ましくは40〜50nmの平均粒径を有するポリマー粒子の使用である。
【0083】
別の発明は、食品、化学および生物化学工業のためのナノ濾過膜の使用である。このリスティングは限定的ではない。
【0084】
本発明は、実施例を用いて、以下により詳細に例示される。
【実施例】
【0085】
ポリマー粒子タイプ1および2の製造
ポリマー粒子は、以下の反応剤を使用して製造した。表1において、処方成分は、モノマー混合物の100重量部を基準としている。
【0086】
モノマー
1) Lanxess Deutschland GmbHからのブタジエン(不安定化された、99%形態)
2) Merck KGaAからの、アクリロニトリル(ヒドロキノンモノメチルエーテルで安定化された、99%形態)
3) KMF Labor Chemie Handels GmbHからのスチレン(98%形態)
4) Aldrichからのトリメチロールプロパントリメタクリレート(96%形態);製品番号:24684−0;(省略形:TMPTMA)
5) ヒドロキシエチルメタクリレート(Arcosからの97%;省略形:HEMA)
【0087】
乳化剤
6) 不均化樹脂酸(RSと略記される)−Dresinate(登録商標)835(Abieta Chemie GmbH;D−86358 Gersthofen)の使用量から出発して、遊離酸として計算される
【0088】
使用されるDresinate(登録商標)835バッチは、その固形分でならびにまたナトリウム塩、遊離酸、および中性体の形態で存在する乳化剤成分で特徴づけられた。
【0089】
固形分は、Maron,S.H.;Madow,B.P.;Borneman,E.「The effective equivalent weights of some rosin acids and soaps」Rubber Age,April 1952,71−72によって公表された仕様に従って測定した。
【0090】
使用されるDresinate(登録商標)835バッチの3つのアリコート試料について分かった平均値は、71重量%の固形分であった。
【0091】
ナトリウム塩および遊離酸の形態で存在する、乳化剤分率は、Maron,S.H.,Ulevitch,I.N.,Elder,M.E.「Fatty and Rosin Acids,Soaps,and Their Mixtures」,Analytical Chemistry,Vol.21,6、691−695によって記載された方法に従って滴定法により測定した。
【0092】
この測定のためには、(一例では)1.213gのDresinate(登録商標)835(71%形態)を、200gの蒸留水と200gの蒸留イソプロパノールとの混合物に溶解させ、過剰の水酸化ナトリウム溶液(5mlの0.5NのNaOH)を加え、逆滴定を0.5Nの塩酸で行った。滴定の経過は、電位差pH測定によって監視した。滴定曲線は、Analytical Chemistry,Vol.21,6,691−695に記載されているように評価した。
【0093】
使用されるDresinate(登録商標)835バッチの3つのアリコート試料に関して得られた平均値は、次の通りであった:
総乳化剤含有率: 2.70ミリモル/g乾燥質量
Na塩: 2.42ミリモル/g乾燥質量
遊離酸: 0.28ミリモル/g乾燥質量
【0094】
不均化アビエチン酸のNa塩についてのモル質量(324g/モル)およびまた遊離の不均化アビエチン酸についてのモル質量(302g/モル)を用いて、使用されるDresinate(登録商標)835バッチのNa塩、遊離酸および非捕捉画分の重量分率を計算した:
不均化樹脂酸のナトリウム塩: 78.4重量%
遊離の不均化樹脂酸: 8.5重量%
非捕捉画分(中性体): 13.1重量%
【0095】
下の処方では、重合のために使用されるDresinate(登録商標)835の量を遊離酸(RAと略記される)に換算し、モノマーの100重量分率に対する重量分率として表した。この換算においては、中性体は考慮しなかった。
【0096】
使用されるDresinate 835(登録商標)の量に基づいて、表1に示される不均化アビエチン酸(RA)の量の換算を例示するために、下の表1が添えられる。
【0097】
【表1】
【0098】
7) 部分水素化牛脂脂肪酸−FAと略記される(Cognis Oleo ChemicalsからのEdenor(登録商標)HTiCT N)
【0099】
総乳化剤含有率および使用されるEdenor(登録商標)HTiCT Nバッチの平均分子量は、次の方法:Maron,S.H.,Ulevitch,I.N.,Elder,M.E.「Fatty and Rosin Acids,Soaps,and Their Mixtures」,Analytical Chemistry,Vol.21,6,691−695;Maron,S.H.;Madow,B.P.;Borneman,E.「The effective equivalent weights of some rosin acids and soaps」Rubber Age(1952),71 71−2)を用いて滴定法によって測定した。この滴定においては、(一例では)1.5gのEdenor(登録商標)HTiCT Nを、200gの蒸留水と200gの蒸留イソプロパノールとの混合物に溶解させ、過剰の15mlのNaOH(0.5モル/l)を加え、逆滴定を0.5Mの塩酸で行った。
【0100】
この場合には、使用されるEdenor(登録商標)HTiCT Nバッチの3つのアリコート部分について分かった平均値は、次の通りであった:
総乳化剤含有率: 3.637ミリモル/g乾燥質量
モル質量(遊離酸): 274.8mg/ミリモル
【0101】
下の処方では、(商業的に入手可能なままで)使用される部分水素化牛脂脂肪酸の量は、「遊離酸=FA」として表した。
【0102】
表に報告される中和度をセットするために必要とされる量は、使用されるDresinate(登録商標)835およびEdenor(登録商標)HTiCT Nバッチの様々な成分の、滴定法によって測定された量に基づいて計算した。中和度は、水酸化カリウムを使用してセットした。
【0103】
連鎖移動調整剤
8) Chevron Phillips Chemical Company LPからの第三ドデシルメルカプタン(Sulfole(登録商標)120)
ポリマー粒子は、攪拌機付きの20リットルのオートクレーブでの乳化重合によって製造した。重合バッチのために、0.34gの4−メトキシフェノール入りの4.3kgのモノマー(Arcos Organics,Article No.126001000,99%)を使用した。表に報告される総乳化剤量および総水量(水性プレミックス溶液およびp−メンタンヒドロペルオキシド溶液を調製するために必要とされる水の量を差し引いて−下を参照されたい)を、乳化剤および必要とされる量の水酸化カリウムと一緒に、各場合にオートクレーブへ導入した。
【0104】
15℃での反応混合物の順化後に、50%のフレッシュに調製した水性プレミックス溶液(4%濃度)を、リストされる重合バッチのそれぞれについてオートクレーブへ導入した。これらのプレミックス溶液は、
0.284g エチレンジアミン四酢酸(Fluka,Article number 03620)、
0.238g 硫酸鉄(II)*7HO(Riedel de Haen,Article number:12354)(結晶水なしで計算した)
0.576g Rongalit C、Naホルムアルデヒドスルホキシレート2水和物(Merck−Schuchardt,Article number 8.06455)(結晶水なしで計算した)および
0.874g リン酸三ナトリウム*12HO(Acros,Article number 206520010)(結晶水なしで計算した)
からなった。
【0105】
リストされる重合の活性化のために、スチレン含有型については5g、アクリロニトリル含有型については1.7gのp−メンタンヒドロペルオキシド(Akzo−DegussaからのTrigonox NT 50)を使用し、反応器中で調製された200mlの乳化剤溶液中で乳化させた。30%の転化率に達したときに、残りの50%のプレミックス溶液を計量供給した。
【0106】
重合中の温度レジームは、表に示される温度範囲内に、冷却剤の量および冷却剤の温度をセットすることによって導いた。
【0107】
85%超(典型的には:90%〜100%)の重合転化率に達したときに、重合を、2.35gのジエチルヒドロキシルアミン(DEHA,Aldrich,Article number 03620)の水溶液の添加によって停止させた。
【0108】
揮発性成分の除去
揮発性成分は、ラテックスを大気圧下で水蒸気蒸留にかけることによってラテックスから除去した。
【0109】
この方法で製造されたポリマー粒子を、本発明のナノ濾過膜のために使用する。
【0110】
表2は、製造されるポリマー粒子の処方を示し;使用される索引は次の通りである:
1) ブタジエン(不安定化)
2) Merck KGaAからの、アクリロニトリル(ヒドロキノンモノメチルエーテルで安定化された、99%形態)
3) スチレン(100〜150ppmの4−第三ブチルピロカテコールで安定化された)
4) トリメチロールプロパントリメタクリレート(Aldrichからの96%形態)
5) ヒドロキシエチルメタクリレート(Arcosからの97%形態)
6) 使用されるDresinates 835の量から計算される、量の不均化樹脂酸(RAと略記される)
7) Oleo ChemicalsからのEdenor HTiCT N(FAと略記される)
8) 第三ドデシルメルカプタン(Chevron PhillipsからのSulfol(登録商標)120)
【0111】
製造された粒子の特性を表3に示す。
【0112】
【表2】
【0113】
【表3】
【0114】
ポリマー粒子タイプ1でのおよびポリマー粒子タイプ2での本発明のナノ濾過膜の製造
使用される支持膜は高架橋ポリイミドであった。この膜を、タイプ1または2のゴム様ポリマー粒子の水性分散系で、スロットダイを用いて、ビーズ−コーティング法によってコートした。支持膜を2m/分の速度でダイの真下に搬送させた。支持膜からのダイの距離は100μmであった。ラテックス層の湿潤フィルム厚さは30μmと推定され、約10μmの分離活性層についての乾燥フィルム厚さを与えた。乾燥は、約30分間大気圧下に室温で行われた。ナノ濾過膜タイプ1(タイプ−1ポリマー粒子での)およびナノ濾過膜タイプ2(タイプ−2ポリマー粒子での)を製造した。
【0115】
発明ナノ濾過膜タイプ2の場合には、ポリマー粒子の架橋を乾燥後にさらに実施した。使用される架橋剤は、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)であった。先ず第一に、膜をアセトンで、次にn−ヘキサンで洗浄した。次にn−ヘキサン中の2重量%のHDIおよび0.2重量%のジオクチルスズラウレートの溶液を膜に塗布した。25℃で20分の反応時間後に、反応溶液を除去し、膜をアセトンで洗浄した。
【0116】
濾過特性の測定
本発明のナノ濾過膜の濾過特性を、様々な溶媒中のポリスチレンオリゴマーのモデル系で測定した。オリゴマーは、約230〜1100g/モルの分子量を有した。十分に大量の透過液の通過後に、試料を濃縮液および透過液から採取し、オリゴマーのそれぞれの濃度を、HPLCによってクロマトグラフィー的に測定した。オリゴマーのそれぞれの得られた濃度から、膜によるそれらの保持率およびそれ故に分子量カットオフを測定することが可能である。
【0117】
本発明のナノ濾過膜タイプ1の濾過特性
表4は、分離活性層が、さらに架橋されなかったタイプ−1ポリマー粒子からなる状態で、本発明のナノ濾過膜タイプ1によるポリスチレンオリゴマーの保持率についての値を示す。選択された溶媒はアセトンであった。スチレンオリゴマーの分離は、30バールの圧力下に25℃で行われた。流量は11リットル/(mh)であると測定された。
【0118】
【表4】
【0119】
本明細書で定義される試験システムにおいては、それ故、本発明のナノ濾過膜は、本明細書で測定される保持率が90%であったので、約1000g/モルのカットオフを有する。本膜はそれ故ナノ濾過に好適である。
【0120】
本発明のナノ濾過膜タイプ2の濾過特性
表5は、分離活性層が1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートによってさらに架橋されたタイプ−2ポリマー粒子からなる状態で、本発明のナノ濾過膜タイプ2によるポリスチレンオリゴマーの保持率についての値を含有する。値は、3つの異なる溶媒(アセトン、テトラヒドロフラン(THF)およびトルエン)中での濾過について報告される。7〜11リットル/(mh)の流量が、25℃の温度および30バールの圧力で測定された。
【0121】
【表5】
【0122】
本明細書に示される測定値から、ポリマー粒子の架橋後に、この膜のカットオフは、膜がナノ濾過のために使用できることを意味する、700〜800g/モルにあることが明らかである。数字は、選択された溶媒にわずかな程度にだけ依存する。使用された溶媒のすべてにおいて、本発明の膜は、溶解のいかなる兆候も示さなかった。